説明

イオンビームエッチング方法、イオンビームエッチング装置、コンピュータプログラム、記録媒体

【課題】シャッターの形状や導電性などシャッター装置の種類に関わらず、基板電位の変動を抑制し、ESD(Electrostatic Damage)の発生を防ぐことができるイオンビームエッチング方法を提供する。
【解決手段】開閉移動するシャッター5を備えるイオンビームエッチング装置を用い、シャッター5が閉位置5aから開位置5bに移動するとき、イオン源から放出されるイオンビームの量を一定にするとともに、中和器から放出される電子の量をシャッターの移動前と比べて一旦減量した後に増量することで基板電位の変動を抑制するイオンエッチング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビームエッチング方法、イオンビームエッチング装置及びコンピュータプログラム、記録媒体、半導体素子の製造方法に係り、特に、ESDの発生を防ぐことができるイオンビームエッチング方法、イオンビームエッチング装置及びコンピュータプログラム、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンビームエッチング処理は、基板ホルダーに配置された非エッチング基板(以下、基板とする)に正イオン(イオンビーム)を照射してエッチングする処理方法である。イオンビームエッチング装置は、プラズマ中から引き出し電極によって正イオンを引き出すイオン源と、イオン源に正対した位置にあって真空中で基板を保持する基板ホルダーを備えている。一般的にはさらに、イオン源から引き出された正イオンに対して電子を放出する電子源(中和器あるいはニュートラライザ)と、イオン源と基板ホルダーの中間にあってイオンビームを遮蔽するシャッター装置と、処理室を真空に排気する排気装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
引き出されたイオンビームによって基板はエッチングされるが、その際、正電荷のイオンビームによって基板に正電位が発生する。この正電位によって基板上に形成されている絶縁膜が損傷を受けることがある。一般的に、この基板素子の損傷は静電ダメージ(electrostatic damage;ESD)と呼ばれている。特に、TMR(tunneling magnetoresistance)素子などの数nmの絶縁膜を有する素子は、静電ダメージを受けるおそれがあるため、それらの素子の加工工程では基板電位の変動が抑制されることが望ましい。
【0004】
エッチング処理中の基板電位の変動は、引き出し電極と基板の間に正電位を中和する電子を放出することで抑制している。電子は、イオン源の引き出し電極付近に配置されている中和器から放出される。放出される電子の量は、基板電位が所望の値になるように調整される。エッチング処理の開始と終了は、シャッターの開閉によって制御されるが、シャッターの動作中はシャッター開度によって、基板に入射するイオンビーム量と電子量がそれぞれ変動する。このとき、基板に入射するイオンビーム量と電子量のバランスが崩れると基板電位が変動する。
【0005】
説明のため、中和器から放出される電子量(中和電流21a)を一定として、シャッターを開放したときの基板電位(モニター電圧21)の測定結果を図5に示す。図5中、A点はシャッターが開動作を開始したタイミングであり、D点はシャッターの開動作が完了したタイミングである。基板電位21はシャッターの動作中に大きく変動していることがわかる。このため、シャッターの動作状態による基板電位の変動を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
特許文献1には、シャッター開動作時にイオン源の出力を制御することで基板電位の変動を下げる技術が開示されている。具体的には、シャッター開時の基板電位の中和不足を解決するために、シャッター開閉時にイオンビームの放出量またはイオンビームの加速電圧を減量制御することが示されている。
特許文献2には、シャッターに流れ込む電子を、シャッター板に逆電圧を印加することで抑制する技術が開示されている。すなわち、シャッターへの電子の流れ込みを防ぐことで、シャッター閉時に生じる中和不足を軽減することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−353172号公報
【特許文献2】特開2002−075968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1において適用される装置は、シャッター装置によってイオンビームと電子を基板側の空間から完全に遮蔽できる構成であるため、シャッター閉時にはイオン源とシャッター間の密閉された狭い空間にイオンビームと電子(すなわちプラズマ)が閉じ込められる。このため、シャッター閉時においても基板側の空間とプラズマが生じる空間を遮蔽しないシャッター装置、言い換えるとシャッター閉時においてもプラズマの回り込みは遮蔽しないシャッター装置においては同様の効果を得ることができないという問題があった。
また、特許文献1に開示された技術は、イオンビーム量を変動させるため、シャッター開閉動作中の基板のエッチング量が大きく変動し、基板上に形成された素子の品質が変動するおそれがあった。さらに特許文献2に開示された技術は、シャッター板に電圧を印加するが、シャッター閉時においてもプラズマの回り込みを遮蔽しないシャッター装置のように電子が流れにくいシャッター装置には適用が難しいという問題があった。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するものであり、シャッター板の形状や導電性などシャッター装置の種類に関わらず、基板電位の変動を抑制し、ESDの発生を防ぐことができるイオンビームエッチング方法、イオンビームエッチング装置、コンピュータプログラム、記録媒体を提供することを目的とする。また、本発明は基板上に形成された素子の品質を安定させることができるイオンビームエッチング方法、イオンビームエッチング装置、コンピュータプログラム、記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るイオンビームエッチング方法は、基板ホルダーに向けて、イオンビームを放出するイオン源と、イオンビームに向けて電子を放出する中和器と、イオン源から基板ホルダーに向けて放出されたイオンビームを遮蔽する閉位置及び、イオン源から基板ホルダーに向けて放出されたイオンビームを遮蔽しない開位置の間を移動できるシャッターとを備えるイオンビームエッチング装置を用いて基板ホルダーに配置された基板をエッチングするイオンエッチング方法であって、シャッターが閉位置から開位置に移動するとき、イオン源から放出されるイオンビームの量を一定にするとともに、中和器から放出される電子の量を徐々に減量する第1の工程と、イオン源から放出されるイオンビームの量を第1の工程での量と同じにするとともに、中和器から放出される電子の量を徐々に増量する第2の工程とを有することを特徴とする。
或いは本発明に係るイオンビームエッチング装置は、基板ホルダーに向けて、イオンビームを放出するイオン源と、イオンビームに向けて電子を放出する中和器と、イオン源から基板ホルダーに向けて放出されたイオンビームを遮蔽する閉位置及び、イオン源から基板ホルダーに向けて放出されたイオンビームを遮蔽しない開位置の間を移動できるシャッターと、イオン源と中和器とシャッターの動作を制御するコントローラとを有するイオンビームエッチング装置であって、コントローラは、シャッターが閉位置から開位置に移動する間に、イオン源から放出されるイオンビームの量を一定にするとともに、中和器から放出される電子の量を徐々に減量し、その後、イオン源から放出されるイオンビームの量を一定にするとともに、中和器から放出される電子の量を徐々に増量する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シャッターの形状に関わらず、基板電位の変動を抑制し、ESDの発生を防ぐことができるイオンビームエッチング方法及びイオンビームエッチング装置を提供することができる。また、本発明によれば、基板上に形成された素子の品質を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に適用可能なイオンビームエッチング装置の概略図である。
【図2】図1のI−I断面矢視図である。
【図3】本発明を実施したときの中和電流と基板電位の測定結果である。
【図4】本発明に係るイオンビームエッチング装置において、シャッターの開動作時に実行される制御工程のフローチャートである。
【図5】電子量を一定としてシャッターの開放動作をしたときの基板電位の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は発明を具体化した一例であって本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0014】
図1乃至4は本発明の一実施形態に係るイオンビームエッチング装置又はイオンビームエッチング方法について説明した図であり、図1はイオンビームエッチング装置の概略図、図2は図1のI−I断面矢視図、図3は中和電流と基板電位の測定結果、図4はシャッターの開放動作時に実行される制御工程のフローチャートである。なお、図面の煩雑化を防ぐため一部を除いて省略されている。
【0015】
まず、図1、2に基づいてはイオンビームエッチング装置の概略構成を説明する。なお、図2ではシャッター5の裏側にある基板ホルダー4などは破線で示し、中和器2やコントローラ7を省略した。イオンビームエッチング装置は、真空容器1、引き出し電極2aによってプラズマ中から正イオン(イオンビーム2b)を引き出すイオン源2、基板電位を中和するための電子3a(中和電子)を放出する中和器3、イオン源2からのイオンビーム2bを照射できる位置で基板4aを保持する基板ホルダー4、イオン源2と基板ホルダー4の中間にあってイオンビーム2bをシャッター5によって遮蔽するシャッター装置6、真空容器1内を真空排気する排気装置8を有して構成される。また、中和器3やイオン源2、基板ホルダー4、シャッター装置6などはコントローラ7を介して制御されている。プラズマ中から引き出されたイオンビーム2bを基板ホルダー4に配置された基板4aに向けて放出して、基板をエッチングするイオンエッチング処理を行うことができる。
【0016】
イオン源2は、内部にプラズマを発生させることができるイオン源容器、イオン源容器内にArガスを導入するガス導入装置、誘電体を介してイオン源容器内部にプラズマを生成するためのループアンテナとループアンテナに高周波電力を供給するプラズマ発生装置(いずれも不図示)、イオン源容器内のプラズマから正イオンを引き出すことができる引き出し電極2aとを有して構成されている。引き出し電極2aは複数で構成されており、それぞれの引き出し電極2aに所定の電圧を印加することで正イオンを加速してイオンビーム2bを取り出すことができる。
【0017】
中和器3は、イオン源2から基板4に向かうイオンビーム2bに対して電子3aを照射できる位置に配置されている。本実施形態ではホローカソードタイプの中和器が採用されている。中和器2は、片端が閉じて他端が開いた円筒の電極(ホロー陰極)と、このホロー電極内に発生させたプラズマから電子を取り出して真空容器1内に電子として放出する電極と(いずれも不図示)を有して構成されている。もちろん、中和器としてホローカソードタイプ以外にも、フィラメント、マイクロ波など発生方法の異なる各種形式を採用することができる。
【0018】
基板ホルダー4は、基板4aを保持する装置と、基板4aの近傍にあって表面電位をモニターする電気的に浮いたフローティング電極4bを備えている。また、基板ホルダー4は公転軸4cを介して真空容器1に対して傾斜(公転)と自転が可能に取り付けられている。公転軸4cは、内部に自転のための回転力を基板ホルダー4に伝達する自転駆動軸や基板4aを保持する装置に供給される電力供給経路が構成されている(いずれも不図示)。なお、公転軸4cを回転させることで基板ホルダー4を傾斜させて基板4aに入射するイオンビームの角度を調整できる。公転軸4cは真空容器1に取り付けられたホルダー駆動装置4dによって回転制御される。
【0019】
シャッター装置6は、シャッター駆動装置6aを制御することで、シャッター5を閉位置5aから開位置5bまで連続的に移動制御することができる装置であり、シャッター5とシャッター駆動装置6aとを有してなる。シャッター5は断面円弧状に湾曲した板状部材である。湾曲した内側に基板ホルダー4が配置されており、シャッター駆動装置6aによって基板ホルダー4の周りを移動させることができる。シャッター5の幅は、イオン源2から基板に向かって放出されるイオンビーム2bの幅よりも広く構成されている。
【0020】
なお、円弧状に湾曲したシャッター5に替えて平板状のシャッター板を回転させるシャッター装置を用いてもよい。ただし、シャッター5に替えて用いるシャッター板は、シャッター閉時(イオンビーム遮蔽時)においても基板側へのプラズマの回り込みを遮蔽しない構成のシャッター板であれば、本実施形態のシャッター5に変えて用いることができる。ただし、シャッター5の形状として、円弧状に湾曲した形状は平板状に比べて真空容器1内の構造物に干渉しにくいという利点と、シャッターを基板ホルダーの裏側に移動させた位置が閉じた状態なのでシャッター板の退避スペースを必要としないという利点がある。このため、真空容器1(イオンビームエッチング装置)を小型化できる。また、本実施形態のイオンビームエッチング装置ではシャッター5の回転軸は公転軸4cの回転軸と平行に配設されているが、シャッター5の回転軸と公転軸4cの回転軸が交わるように配置してもよい。
【0021】
本実施形態におけるイオンビームエッチング装置は、シャッター5の閉位置5aにおいても、イオン源2と中和器3とシャッター板5の間を密閉する構造ではなく、イオン源2の正面にあってイオンビーム2bが放出されない方向には空間(シャッター5と真空容器1の壁面との隙間)がある構造となっている。このため、閉位置5aではイオン源2とシャッター5の間の空間にイオンビーム2bと電子3aとプラズマが混在し、プラズマと電子3aの一部は拡散により閉位置5aのシャッター5の裏側にある基板ホルダー4まで到達することができる。ここでいうプラズマは、イオン源2内部のプラズマが拡散によって引き出し電極2aの穴を通過したものである。拡散した電子3aとプラズマは、シャッター5が閉位置5aであっても基板4aに負電位を発生させる。
【0022】
コントローラ7は、中和器3、イオン源2、シャッター装置6を少なくとも制御することができる制御装置であり、コンピュータと接続されたプログラムロジックコントローラ(PLC)と、中和器3やシャッター装置などの各装置を制御するために接続された装置ドライバと、プログラムレシピ(プログラム)を記録した記録媒体とを有して構成されている。また、コントローラ7は、シャッター5の開閉位置を示す信号(開度情報)、中和器3及びイオン源2の運転信号(出力情報)が適宜入力されるように構成することができる。シャッター5の開度とは、シャッター5の移動量に応じた値であり、シャッター5の開度情報は、例えば、シャッター装置に備えられているモータのエンコーダの測定値に基づいて算出することができ、中和器3及びイオン源2の出力情報は、これらの装置に印加される出力の値に基づいている。
【0023】
フローティング電極4bは、基板表面(被処理面)の電位をモニターするセンサーである。フローティング電極4bにより測定されるモニター電圧(ESD
monitor)は、実際の基板電位を反映しているが、基板4aよりも数V程度負電位側にシフトする傾向がある。すなわち、イオンビームエッチング装置は、基板4aの被処理面においてはイオンビーム2bの照射量が均一になるようにイオン源2の設計がなされているが、基板4a被処理面の外側領域では照射量が低下する。
【0024】
一方、プラズマと電子3aは真空容器1内で広範囲に拡散するため、電子3aの量は基板ホルダー4上ではほぼ均一である。しかしながら、フローティング電極4bに位置は基板4aの外縁よりも外側であるために、シャッター5を開けてミリング中(エッチング処理)のモニター電圧は、実際の基板4aよりも数V程度負電位側にシフトすることがある。なお、シャッター閉時(閉位置5a)に発生する負電位にはモニター電圧と基板4aの差は生じない。基板4にイオンビーム2bが照射されないためである。エッチング処理中は、フローティング電極4bのモニター電圧をモニターしながら、電位が所望の値になるように適宜中和電流(中和器3の出力)を調整することができる。
【0025】
ここで、シャッター5の移動する位置について図1を参照しつつ説明する。
開位置5bはイオン源2から基板に向かって放出されたイオンビーム2bを遮蔽しない位置である。開位置5bでは、シャッター5のイオン源2側の端部(図1中でP1)がイオンビーム2bの照射範囲の上端よりも上側に退避している状態であり、イオンビーム2bと基板に到達する電子3aのシャッター5による遮蔽が全く行われない。イオンビーム2bの照射範囲とは、イオン源2から引き出されたイオンビーム2bの断面(イオンビームの進行方向と直交する面)の範囲である。イオンビーム2bは引き出し電極2aによって引き出されるので、引き出し電極2a近傍ではイオンビーム2bの直径は引き出し電極2aの直径にほぼ一致する。引き出し電極2aと基板4a間で空間電荷効果によってイオンビーム2bが照射されるエリアは引き出し電極2aの直径よりも数10%程度大きくなる。
【0026】
閉位置5aは、イオン源2から基板に向かって放出されたイオンビーム2bを遮蔽する位置である。閉位置5aでは、シャッター5の上下方向の端部(図1,2中でP2,P3)がイオンビーム2bの照射範囲よりも上下側に張り出して位置し、イオンビーム2bの照射範囲よりも大きな範囲を塞ぐことでイオンビーム2bを遮蔽している状態である。閉位置5aでは、シャッター5端部(図1中でP2)と真空容器1内面との距離(隙間)が小さくなるため、シャッター動作中の半閉位置5cよりも基板4aに到達する電子3aの量を減少させることができる。
【0027】
半閉位置5c(シャッター動作中)は、閉位置5aと開位置5bの間の位置であり、シャッター5の端部(図1中でP4)がイオンビーム2bの照射範囲の端と実質的に一致する位置である。半閉位置5cでは、閉位置5aよりも基板4aに到達する電子3aの量が増加する。なお、本実施形態においては、シャッター5の移動速度は一定に設定されており、シャッター装置によるシャッター5の開閉動作(移動)には1〜2秒を要する。
【0028】
ここで、上述のイオンビームエッチング装置を用いたイオンビームエッチング方法について説明する。イオンビームエッチング方法は、上述のイオンビームエッチング装置を用いて、プラズマ中から引き出されたイオンビーム2bを基板ホルダー4に配置された基板4aに照射して、基板をエッチング処理する処理工程である。本発明に係るイオンビームエッチング方法は、イオンビームエッチング処理中における中和器2の制御方法に特徴を有している。特に、シャッター移動中の中和器2の制御方法に特徴がある。以下に中和器2の制御について説明する。
【0029】
図3に本発明を実施した場合の中和電流と基板電位の測定結果を示す。図3の測定結果は、シャッター5が閉位置5aから開位置5bまで移動したときの中和電流と基板電位のタイムチャートであり、中和器の制御パターンに応じた3種類の測定結果が示されている。図3は上欄と下欄に分かれており、下欄の横軸は処理時間(Process time)、縦軸は中和器2に印加される電流(中和電流)値(Neut cur.)である。上欄の横軸は同じく処理時間(Process time)、縦軸はモニター電圧(ESD monitor)である。
【0030】
図3中の処理時間はイオンエッチング処理における経過時間であり、任意の点を基準とすることができる。いずれも図1のイオンエッチング装置を用いて測定されたものである。図3中、A点はシャッター5が閉位置5aから移動し始めたタイミングであり、シャッター5の位置は図1中符号5aに対応している。D点はシャッター5が移動し開放されたタイミング(開位置5b)であり、シャッター5の位置は図1中符号5bに対応している。
【0031】
B点はシャッター5の移動中であり、シャッター5の位置は図1中の符号5c(半閉位置)に対応している。B点でのシャッター5はイオンビーム2bを遮蔽しているが、電子3aに対しては開口が広がり拡散しやすくなり、シャッター5の基板側に回り込んだ電子3aにより基板4aがマイナスに帯電し負電位となる状態である。C点は、シャッター5が、図1の符号5c(半閉位置)よりもさらに開いた状態であり、イオンビーム2bが基板4aに向かって放出(照射)され始めるが、電子3aの拡散量の方が多いため基板4aが負電位となる状態である。後述するがC点は、中和電流を減量する制御から増量する制御に切り替える点であり、モニター電圧の変動が一定以内になるような地点に定められる。本実施形態においてはモニター電位23の変動は±2V未満になるようにC点が設定されている。
【0032】
上述した3種類の中和器の制御パターンは、比較例と実施例1と実施例2であり、いずれの場合もイオン源2に印加される電力は一定である。比較例は、中和電流を一定(印加パターン21a)にしてシャッター5を開放動作した場合、実施例1は、シャッター動作に伴って中和を増量制御(電流印加パターン22a)した場合、実施例2は、シャッター開動作直後(A点)に中和電流を減量制御してシャッター開動作途中Cで中和電流を増量制御(印加パターン23a)した場合である。図3中に、比較例での制御パターンのモニター電圧は符号21、実施例1での制御パターンのモニター電圧は符号22、実施例2での制御パターンのモニター電圧は符号23として示した。
ここで、中和電流を減量する制御とは、シャッターの開度に応じて中和電流を徐々に減少させる制御であり、中和電流を減量する制御とは、シャッターの開度に応じて中和電流を徐々に増加させる制御である。
【0033】
まず比較のため、中和電流を一定として、シャッター5を開放動作した場合(比較例)について説明する(図3、図5参照)。
中和電流を一定(印加パターン21a)にすると、シャッター開動作に伴ってモニター電圧21は、負電位が一旦増大した後に減少し一定の値に収束する。これは、基板へのイオンビーム2bの照射量と拡散するプラズマと電子量のバランスを反映したものである。シャッター5の動作中の半閉位置5cではイオンビーム2bを完全に遮蔽しているが、イオン源2の正面にあってイオンビーム2bが照射されない領域ではシャッター5が存在しないため、基板ホルダー4側に拡散するプラズマと電子量が増加し、モニター電圧21の負電位は増大する。シャッター5がさらに開度を増すとイオンビーム2bが基板4aに照射され始める。このためシャッター5の開動作中の半閉位置5cからシャッター5が完全に開いた開状態5bの間では基板4aへのイオンビーム2bの照射量が徐々に増加するため、モニター電圧21と基板表面の負電位はシャッター5の移動量に応じて徐々に減少する。
【0034】
比較例では、開閉動作中の基板電位の変化を考慮せずに、シャッター5解放後(D点:開位置5b)での基板電位が所望の値になるような一定の値に中和電流を設定している。そのため、シャッター5の閉位置(A点)でのモニター電圧21は、拡散するプラズマと過剰な電子3aにより負電位(図3中は−6V)になる。ただし、シャッター閉時の負電位を抑制するために中和電流を下げれば、以下に説明するように、モニター電圧22,23の負電位を低減することができる。
【0035】
なお、シャッター5の開放動作に伴って階段状に中和電流の出力設定を一時に変更するという従来から行われている制御方式では、シャッター5の開動作開始(A点)と同時にモニター電圧21として示されるような負電位を抑制することは困難である。シャッター5の開動作開始(A点)と同時に中和電流を一時に変更すると、シャッター5の移動量よりも早く電子3aの照射量が増減してしまい、イオンビーム2bと電子3aのバランスが崩れるタイミングが生じるためである。
【0036】
シャッター5の動作(移動)に伴って中和電流を増量制御した実施例1について説明する。シャッター5の開放動作(A点)前の中和電流を小さく設定し、シャッターの開放動作と同時に中和電流を増量制御(印加パターン22a)することで、シャッター5の解放後(D点)の負電位を低減(モニター電圧22)できる。このため、中和器2から放出される電子3aの量はシャッター5の開動作開始後はシャッター5の開度に応じて徐々に増量される。しかし、上述の比較例と同様にシャッター5が完全に開くまでの間に負電位が極大となるため、基板電位の変動を抑える効果は不十分である。
【0037】
シャッター開動作直後(A点)に中和電流を減量制御してシャッター開動作途中(C点)で中和電流を増量制御した実施例2について説明する。中和電流の制御を印加パターン23aに示すように、シャッター5の開動作開始(A点)直後に中和電流を減量制御し、シャッター開動作途中(C点)で中和電流を増量制御することで、モニター電圧23に示すように負電位の増大を抑えることができる。このように、中和電流の増減する割合が異なる制御段階(制御工程)を複数段に分けて設定することでシャッター5の開放動作(A点)後の基板電圧の変動を効果的に抑制できる。
【0038】
実施例2ではシャッター5の開動作途中(B点)で中和電流が減量する割合(印加パターン23aの傾き)を切り替えており、減量制御が2段階に分かれている。具体的には、図3中において、A点以前、A点からB点の間、B点からC点の間、C点からD点の間、D点以降、の5つの領域(制御領域)でそれぞれ中和電流の制御工程をコントローラ7によって切り替えている。各制御工程は、コントローラ7の記録媒体に入力されているプログラムレシピに従い切り替えられるが、コントローラ7に入力されるシャッター5の開閉位置を参照して切り変え制御方法を用いることもできる。なお、イオン源2から放出されるイオンビーム2bの量は5つの領域(各制御工程)で一定とされている。記録媒体としては、メモリー、ハードディスク(HD)などの記憶容量(ストレージ)を有する部材をいう。
【0039】
図4に実施例2においてシャッターの開放動作時に実行される制御工程のフローチャートを示す。図4に示すようにシャッター5の開放動作においては、シャッター5の開度に応じて5種類の制御工程が行われている。この図に基づいて各制御工程について説明する。
A点以前は、シャッター5が完全に閉まっている状態(閉位置5a)であり、中和器に印加される電流(中和電流)は一定に維持されている。このとき、中和器から放出される電子3aの量は一定である。A点以前で行われるイオンエッチング装置の制御工程を移動前工程(S1)とする。
【0040】
A点からB点の間は、A点の地点での中和電流を基準として、中和電流が徐々に減量されるように制御されている。中和電流(印加パターン23a)の変化は階段状ではなく連続的な変化である。このとき、中和器3から放出される電子3aの量も徐々に減量される。A点からB点ではA点以前よりも基板4a上に到達する電子3aが増大するため、基板電位の変化を中和するために電子3aの量を減量する必要があるためである。A点からB点の間で行われるイオンエッチング装置の制御工程を第1減量工程(S2)とする。
【0041】
B点からC点の間は、B点の地点から、さらに中和電流が減量されるように制御されている。A点からB点の間と同様に中和電流(印加パターン23a)の変化は連続的な変化であるが、印加パターン23aが減少する傾きは、A点からB点の間よりもやや大きくなっている。このとき、中和器2から放出される電子3aの減少する傾きも大きくなる。B点からC点では、A点からB点のときよりも基板4a上に到達する電子3aが増大するため、基板電位の変化を中和するために電子3aの量をさらに減量する必要があるためである。B点からC点の間で行われるイオンエッチング装置の制御工程を第2減量工程(S3)とする。なお、A点からC点の間で中和電流が一旦減量される制御工程(第1減量工程S2と第2減量工程S3)を合せて第1の工程とする。
【0042】
C点からD点の間は、C点を基準として、中和電流が徐々に増量されるように制御されている。C点からD点の間での中和電流の変化は連続的な変化である。このとき、中和器2から放出される電子の量は徐々に増量される。シャッター5がC点の位置よりも開くと、基板4a上に照射されるイオンビーム2bが徐々に増大するため、基板電位の変化を中和するために電子3aの量を増加する必要があるためである。なお、C点からD点の間で中和電流が増量される制御工程を第2の工程S4とする。
D点以降は、シャッター5が開放された状態(開位置5b)であり、中和電流は一定に維持されている。このとき、中和器2から放出される電子3aの量は一定である。しかし、A点以前(閉位置5a)とはバランスが異なるため、A点以前の中和電流値よりも幾分高い値に設定されている。D点以降で行われるイオンエッチング装置の制御工程を開放後工程(S5)とする。
【0043】
なお、実施例2では、各領域で中和電流値が異なる変化率になるように多段階の制御がなされているが、各領域の境界領域で急激な制御電流の変化を防ぐために曲線的な制御を行ってもよい。また、制御の段階をさらに細かく分割してもよいことはもちろんである。シャッター開閉時の中和電流の制御としては、実施例1のようにイオン源2の出力を一定にし、中和電流値を連続的に減量制御させることができ、また、実施例2のようにイオン源2の出力を一定にし、中和電流を一旦減量させた後に増量させることもできる。
【0044】
基板電位はイオンビーム2bと中和電流3aのバランスで決まるため、中和電流を一定にしてイオン源2の引き出し電流と引き出し電圧を制御することでも基板電位の変動を抑制できる。このとき、シャッター5の移動に応じてイオン源2の引き出し電流と引き出し電圧が変化するように制御する。中和電流の制御と同様に多段階の制御工程を設定できる。
【0045】
上記の各実施形態では、シャッター5の開動作における中和電流の制御について説明したが、本発明は、シャッター5の閉動作における中和電流の制御にも適用できることはもちろんである。シャッター5の閉動作に本発明を適用する場合は、上述の実施例1若しくは実施例2での中和電流の制御を逆の順番にすればよい。実施例1での制御をシャッター5の開動作に適用すると、中和器2から放出される電子3aの量は、シャッター5の移動前と比べて徐々に減量される。また、実施例2での制御をシャッター5の開動作に適用すると、シャッター閉動作開始直後(D点に相当)に中和電流の減量を始め、シャッター5がC点に達したときからA点までは徐々に中和電流を増量する。もちろん、C点からB点と、B点からA点までで中和電流の印加パターンの傾きを変化させてもよい。
【0046】
ここで、イオンエッチング装置の制御について説明する。コントローラ7には、上述のイオンエッチング方法を実行するプログラムレシピ(プログラム又はプログラムコンピュータ)が記録された記録媒体を備えており、このプログラムに従って、中和器3、イオン源2、シャッター装置の駆動装置や基板ホルダー4(各装置)が制御されている。すなわち、コンピュータが記録媒体からプログラムレシピを読み出し、そのプログラムレシピに従ってPLCにコマンドを送信する。そして、PLCは、各装置ドライバに対して具体的な動作に関するコマンドを送信して各装置を制御する。この際、PLCや各装置ドライバは各装置からのフィードバック情報を適宜参照するものとする。
【0047】
記録媒体には上述の第1の工程と第2の工程を実行する命令を含んだプログラムレシピ(コンピュータプログラム)が少なくとも格納されている。第1の工程を実行するプログラムレシピ(減量制御プログラム)には、シャッター5の開動作を所定のタイミングで開始する命令と、イオン源2のイオン電流を変化させずに、中和器3の中和電流を徐々に減少させる命令が少なくとも含まれている。第1の工程として、上述の第1減量工程と第2減量工程を行われる場合には、第1の工程を実施するためのプログラムレシピも中和電流の減少量が2段階になるようにプログラムされる。
【0048】
同様に、第2の工程を実行するプログラムレシピ(増量制御プログラム)には、イオン源2のイオン電流を変化させずに、シャッター5が所定量開放されたタイミングで中和器3の中和電流を所定量増量させる命令が少なくとも含まれている。本実施形態ではシャッター5の移動速度を一定に設定したイオンエッチング装置を用いたため、中和器3の中和電流を変化させる命令が実行されるタイミングは、シャッター5の開動作の開始から所定時間経過後に設定されている。
【0049】
しかし、シャッター5の移動速度を一定にしない場合にはシャッター5の開度情報に応じて中和電流を変化させることで基板電位を制御することができる。基板電位とシャッター5の開度の間には相関関係があるためである。また、フローティング電極4bの電位が所望の値になるように、フローティング電極4bの値を参照しながら中和電流を決定するフィードバック制御を行ってもよい。中和電流をフローティング電極4bの値を参照して決定するフィードバック制御の場合は、イオン源2と基板ホルダー4の角度などの情報とシャッター5の状態(開度情報)を参照する設定をすることが可能である。
【0050】
すなわち、中和器3の中和電流を変化させる命令が実行されるタイミングとしては、シャッター5の開動作開始からの経過時間に基づく処理、シャッター5の開度情報に基づく処理、フローティング電極4bの値に基づく処理、シャッター5の開度情報に加えてフローティング電極4bの値も参照する処理、などが考えられる。このうち、シャッター5の開動作開始時からの経過時間を参照する処理や、シャッター5の開度情報を参照する処理では、フローティング電極4bの値を参照しないため、フローティング電極4bの値がノイズや誤差を多く含むときも適切に基板電位の変動を抑制することができる。また、フローティング電極4bの値とシャッター5の開度情報には相関関係があるため、その両方を参照し分析することでプロセスの異常を検知することもできる。
【0051】
最後に、本発明の効果について述べる。本発明は、シャッター5が閉位置にあるときも基板に到達する電子3aとプラズマが完全には遮蔽されず、かつ、シャッター5に電子3aが流れにくい状態となるシャッター装置を有したイオンビームエッチング装置でのエッチング処理に好適な方法である。本発明を用いることで基板電位の変動を抑制し、ESDの発生を効果的に防ぐことができる。これによって、磁気記録装置の読み取りセンサーに使用されるTMRヘッドのように微細な素子寸法を有し、従来よりも静電破壊(ESD)に対して脆弱な素子の製造に好適に適用することができる。
【0052】
また、本発明によれば、シャッター5の開動作時の基板電位を中和器3からの電子3aの放出量の変更によって制御して基板電位の変動を抑制し、ESDの発生を防ぐことができる。そのため、イオンビーム2bの放出量や加速電圧を減量制御する必要はなく、シャッター5の開動作中におけるエッチング速度の変動を防ぐことができるため、エッチング量をより精密に制御することができる。さらに、本発明によれば、質量が小さく拡散速度が速い電子によって基板電位を制御するため、イオンビーム2bによって基板電位を制御する方法よりも、応答時間を短くすることができるため、エッチング量をより精密に制御することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 真空容器
2 イオン源
2a 引き出し電極
2b イオンビーム
3 中和器
3a 電子(中和電子)
4 基板ホルダー
4a 基板
4b フローティング電極
4c 公転軸
4d ホルダー駆動装置
5 シャッター
5a 閉位置
5b 開位置
5c 半閉位置(シャッター開動作中)
6 シャッター装置
7 コントローラ
8 排気装置
21 比較例のモニター電圧
21a 比較例の中和電流
22 実施例1のモニター電圧
22a 実施例1の中和電流
23 実施例2のモニター電圧
23a 実施例2の中和電流



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ホルダーに向けて、イオンビームを放出するイオン源と、
前記イオンビームに向けて電子を放出する中和器と、
前記イオン源から前記基板ホルダーに向けて放出された前記イオンビームを遮蔽する閉位置及び、前記イオン源から前記基板ホルダーに向けて放出された前記イオンビームを遮蔽しない開位置の間を移動できるシャッターとを備えるイオンビームエッチング装置を用いて前記基板ホルダーに配置された基板をエッチングするイオンエッチング方法であって、
前記シャッターが前記閉位置から前記開位置に移動するとき、
前記イオン源から放出される前記イオンビームの量を一定にするとともに、前記中和器から放出される前記電子の量を徐々に減量する第1の工程と、
前記イオン源から放出される前記イオンビームの量を前記第1の工程での量と同じにするとともに、前記中和器から放出される前記電子の量を徐々に増量する第2の工程とを有することを特徴とするイオンエッチング方法。
【請求項2】
前記第1の工程は、前記中和器から放出される前記電子の量を前記シャッターの移動量に応じた所定の割合で減量する第1減量工程と、前記第1減量工程の後に行われ、前記中和器から放出される前記電子の量を前記所定の割合と異なる割合で減量する第2減量工程とからなることを特徴とする請求項1に記載のイオンエッチング方法。
【請求項3】
前記シャッターが前記開位置から前記閉位置に動作するとき、
前記イオン源から放出される前記イオンビームの量は、前記シャッターの移動中は一定に制御され、
前記中和器から放出される前記電子の量は、前記シャッターの移動前と比べて、一旦減量した後に増量される制御が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオンエッチング方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のイオンエッチング方法を実行するコンピュータプログラムであって、
前記第1の工程を実施する命令を有する減量制御プログラムと、
前記第2の工程を実施する命令を有する増量制御プログラムとを含んでいることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータにより読み出し可能なプログラムを格納した記録媒体であって、請求項4に記載のコンピュータプログラムを格納していることを特徴とする記録媒体。
【請求項6】
基板ホルダーに向けて、イオンビームを放出するイオン源と、
前記イオンビームに向けて電子を放出する中和器と、
前記イオン源から前記基板ホルダーに向けて放出された前記イオンビームを遮蔽する閉位置及び、前記イオン源から前記基板ホルダーに向けて放出された前記イオンビームを遮蔽しない開位置の間を移動できるシャッターと、
前記イオン源と前記中和器と前記シャッターの動作を制御するコントローラとを有するイオンビームエッチング装置であって、
前記コントローラは、
前記シャッターが前記閉位置から前記開位置に移動する間、
前記イオン源から放出される前記イオンビームの量を一定にするとともに、前記中和器から放出される前記電子の量を徐々に減量し、その後、前記イオン源から放出される前記イオンビームの量を一定にするとともに、前記中和器から放出される前記電子の量を徐々に増量する制御を行うことを特徴とするイオンビームエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−129224(P2012−129224A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276556(P2010−276556)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】