説明

イオンビームガイド管

【課題】イオン注入装置内で注入されている半導体ウェハの付近に配置されるイオンビーム用のガイド管を提供する。
【解決手段】イオン注入装置に係り、より詳細には、イオン注入装置のイオンビーム用のガイド管であって、注入装置内で注入されている半導体ウェハの付近に配置されるガイド管16に係る。このようなガイド管は、主として、注入中にウェハの中性化に使用される荷電粒子を拘束するために設けられる。好都合なことに、ガイド管は、外方にテーパー付けされた中央ボアを有し、これにより、イオンビームがガイド管を通過するときにビームが衝突する問題を軽減する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、イオン注入装置に係り、より詳細には、イオン注入装置のイオンビーム用のガイド管であって、注入装置内で注入されている半導体ウェハの付近に配置されるガイド管に関する。このようなガイド管は、主として、注入中にウェハの中性化に使用される荷電粒子を拘束するために設けられる。
【発明の背景】
【0002】
半導体デバイスの製造にイオン注入が使用されるときには、注入されている半導体ウェハの表面上の絶縁された場所に電荷が蓄積するために問題が生じることになる。半導体ウェハの表面における過剰な電荷は、ウェハに形成されている繊細な構造にダメージを及ぼすと共に、特に、低いエネルギーでイオンを注入するときには、注入プロセスそれ自体に影響を及ぼすことにもなる。
【0003】
それ故、イオン注入中にウェハ表面に蓄積した電荷を中性化するための構成を設けることが通常の習慣である。注入中のウェハ中性化のための構成が米国特許第5,399,871号に開示されている。ウェハの前方にガイド管が配置され、そのガイド管を通して注入中にウェハにイオンビームが向けられる。ガイド管に関連したプラズマジェネレータがガイド管の内部への低エネルギー電子源をなす。通常の正のイオンビームの場合は、注入されているウェハの表面上に蓄積される静電荷が正である。ガイド管内の低エネルギー電子は、ウェハ表面上に蓄積された正の静電荷の場所へ引き付けられ、それが中性化される。
【0004】
上述した種類の電荷中性化システムに関連した更なる開発が、米国特許第6,101,536号、米国特許第6,501,081号、及び米国特許出願第60/830,117号に開示されており、これらの開示は、参考としてここにそのまま援用する。これら従来の文書に開示された中性化システムは、この技術では、プラズマフラッドシステム(PFS)と称される。
【発明の概要】
【0005】
この背景に対して、本発明は、イオン注入装置内で注入されるべきウェハの付近に配置され、注入中にウェハの中性化に使用される荷電粒子を拘束するための、イオン注入装置のイオンビーム用のガイド管であって、イオンビームの通過を許容するためにガイド管を通る中央ボアを画成するための壁を備え、これらの壁は、中央ボアがテーパー付けされるように構成されたガイド管に関する。
【0006】
好都合にも、テーパー付けされたボアをガイド管に設けることで、隣接するボアより狭い入口アパーチャー及び/又は出口アパーチャーを省略することができる。例えば、入口アパーチャー及び/又は出口アパーチャーを通してボアが延びるときにボアのサイズの段階的変化を与えるためにガイド管を狭くする必要はない。ボア内に生じることのあるビーム衝突は、テーパー付けされた壁をかすめて入射する。これは、イオンビームの粒子汚染を引き起こすビーム衝突の問題を減少することが分かっている。
【0007】
任意であるが、中央ボアは、均一なテーパーでもよい。或いは又、中央ボアは、変化するテーパーを有してもよい。中央ボアは、サイズの段階的変化を含まないのが好ましい。
【0008】
中央ボアが複数の壁によって画成される場合には、各壁は、ボアがテーパー付けされるように構成されてもよい。或いは又、壁の幾つか、例えば、壁の対向対だけがテーパー付けされてもよい。この構成は、リボンビームと共に使用されるときに特に有益であり、この場合、ガイド管は、リボンビームの短軸方向にテーパー付けされてもよい。
【0009】
任意であるが、ガイド管は、長手軸と、この長手軸に沿ってイオンビームを受け取るための開放端とを有することができる。長手軸に実質的に平行に位置される中央ボアを画成する壁には、ガイド管の内部から外部へガス導通通路を形成する少なくとも1つの開口が管壁を貫通して設けられ、その通路は、長手軸に垂直に通路を通る視線が実質的に遮られるように、長手軸に対して鋭角に整列された長さと、この長さに対して横方向の最小寸法とを有している。任意であるが、この通路は、壁を貫通するスロットとして形成され、これは、長手軸に対して横方向である通路長さに対して横方向の主寸法を有する。
【0010】
ガイド管の表面は、例えば、表面の隣接部分の配向の鋭い変化により少なくとも一部分画成された表面特徴部を設けるように粗面化されてもよい。表面は、一連の溝を設けるように粗面化されるのが好ましい。溝の深さは、0.1mmから10mm、0.25mmから7.5mm又は0.5mmから5mmの範囲でよい。任意であるが、表面の一部分は、一連の並置溝を設けるように粗面化されてもよい。それらの一連の溝は、0.1mmから10mm、0.25mmから7.5mm又は0.5mmから5mmの範囲の規則的な間隔をもつ溝を含んでもよい。それらの溝は、次の断面プロフィール、即ちv字状、u字状、鋸歯状又はボックス状トレンチ、のいずれを有してもよい。表面の一部分は、少なくとも2つの交差する一連の溝を設けるように粗面化されてもよい。第1の一連の溝及び第2の一連の溝は、直交して配設されてもよく、例えば、第1及び第2の一連のv字状の溝が、四面体のアレイを形成するように交差してもよい。
【0011】
また、本発明は、上述したガイド管のいずれかを含むイオン注入装置にも係る。ガイド管は、イオン注入装置を通るイオンビーム進行方向にテーパー付けされてもよい。ガイド管は、イオンビームが進行する進行方向において外方にテーパー付けされるのが好ましい。
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0013】
図1において、図示されたイオン注入装置10は、イオン源14を備え、注入に必要な種のイオンを含むイオンがそこから抽出される。イオン注入装置10は、更に、質量選択スリット32を含む質量分析器30を備えている。この質量分析器30は、本質的に注入に望まれる種のイオンだけが、注入のためにウェハ12に向かうビーム34において質量選択スリット32を通して出てくるように保証する。イオン注入装置10の全ての要素は、この分野で良く知られており、従来知られた典型的な構成が米国特許第5,969,366号に示されている。
【0014】
イオン源14は、所定エネルギーのイオンビーム34を発生し、これは、ウェハホルダ36に装着された半導体ウェハ12に向けられる。典型的に、注入されるべきウェハ12にイオンビーム34が当たるときの断面又は足跡は、ウェハ12の面積よりも非常に小さい。それ故、ウェハ12の全ての部分が必要なイオンの均一ドーズを受けるよう保証するために、ウェハホルダ36を、矢印18で示すように、スキャンして、ウェハ12の全ての部分をイオンビーム34に等しく露出させることができる。イオンビーム34に対してウェハ12をスキャンするためのシステムは、固定のイオンビーム34を越えてウェハホルダ36を二次元スキャニングするか、又は固定のウェハ12に対してイオンビーム34を二次元スキャニングするか、或いはイオンビーム34を一方向にスキャンし且つウェハ12を別の方向に移動することの組合せ、を含むことができる。ウェハ12及びイオンビーム34の相互スキャンの全ての形態が本発明において意図されるが、本発明は、イオンビーム34が固定され、ウェハ12のみがスキャンされる場合に特に有用である。
【0015】
通常、注入装置10におけるイオン34の質量選択されたビームのエネルギーは、10keV以上である。これより低いエネルギーも発生できるが、このような低エネルギーのビームは、質量分析器30を通して搬送することが困難であり、その結果、低エネルギーのイオンビーム34は、非常に低いイオン電流しかもたないことになる。しかしながら、1keV以下のエネルギーでイオンを注入することもしばしば要求される。そこで、22で一般的に示された減速レンズアッセンブリを質量選択スリット32とウェハ12との間に配置することができる。
【0016】
減速レンズアッセンブリ22は、イオンビーム34の領域に減速静電界を設定するようにバイアスされる1つ以上の電極を備えている。従って、減速レンズアッセンブリ22を通過するイオンビーム34は、注入のための低いエネルギーに減速することができる。適当な減速レンズアッセンブリ22が、前記米国特許第5,969,366号に詳細に説明されている。
【0017】
ウェハ12の直前で且つ減速レンズアッセンブリ22の下流では、イオン注入装置10は、15で示されたウェハ中性化システムを有している。このウェハ中性化システム15は、主として、低エネルギーの電子を与えると共に、これらの電子をウェハ12の直前の領域に拘束するように意図されている。これらの電子は、ウェハ12上の正に荷電された場所へ引き付けられて、ウェハ12における過剰な電荷の蓄積、及びこの電荷から生じるダメージのおそれを防止することができる。更に、ウェハ中性化システム15は、上流の電界からウェハ12に向かう電界の貫通を最小にし、ウェハ12に到着する直前にイオンビームのサイズを決め、且つウェハ12からビーム線を戻るようにガス放出されるガスの伝導性を低下するようにも働く。
【0018】
図2及び図3は、従来技術によるウェハ中性化システム15を示す。このウェハ中性化システム15は、各端が開いたガイド管16を備え、イオンビーム34は、ガイド管16の長手軸に一般的に平行にガイド管16を通過することができる。ガイド管16の壁には、プラズマチャンバー40が固定されて設けられる。プラズマチャンバー40の内部は、開口42を通してガイド管16の内部と連通する。アルゴンのような不活性ガスが管路43を通してプラズマチャンバー40に供給され、プラズマチャンバー40の壁に対して加熱カソード44を適当にバイアスすることによりプラズマが形成される。多量の電子がプラズマに発生され、次いで、プラズマは、アパーチャー42を通してガイド管16の内部へ現れ、注入中にウェハ12に蓄積される電荷を中性化するのに使用される。この形式のプラズマフラッドシステム15の更なる詳細が、前記米国特許第5,399,871号、並びに米国特許第6,101,536号及び第6,501,081号に見られる。
【0019】
ガイド管16は、プラズマチャンバー40により発生された低エネルギー電子をガイド管16の内部に拘束し、それらを利用して、ウェハ12に蓄積した正の電荷を中性化するように働く。このため、ガイド管16は、小さな負の電位に保持することができる。
【0020】
PFS形式の中性化システム15の特定形態を説明したが、任意の中性化システム15を本発明の実施形態に使用することができ、ここで、中性化システム15は、注入されているウェハ12の前方及びイオンビーム34の周りに中性化電子を拘束する目的で、ガイド管16と一般的に同様のガイド管を使用する。
【0021】
ガイド管16は、この実施形態では、後加速システムにより画成された入口アパーチャー46を備えている。しかしながら、ガイド管は、その前に種々の構造体が存在してもよく、それらは、(i)後加速システム、(ii)減速レンズアッセンブリ、又は(iii)アインツェルレンズのような収束レンズを含む。或いは又、入口アパーチャーは、ガイド管16に特定のもので、従って、ガイド管16に入るイオンビーム34のサイズを制限するように働くだけでもよい。この最後のケースでは、ガイド管は、その前に磁石又は他の偏向素子があってもよいし、或いはその前に質量分析器30の質量選択スリット32があるだけでもよい。
【0022】
狭いアパーチャー46は、ビームの衝突を受け易く、従って、粒子汚染の著しい原因となる。ガイド管16内の狭い部分によって形成された出口アパーチャー48も、ビームの衝突を受け易く、従って、粒子汚染に貢献し、これは、出口アパーチャー48がウェハ12に最も接近しているために特に顕著である。
【0023】
図4及び図5は、本発明の第1実施形態によるガイド管16を示す。従来のガイド管16に見られる入口及び出口アパーチャー46及び48にビームが当たる問題を克服するために、これらの狭いアパーチャーが除去されている。むしろ、平易な端46及び48を有するガイド管16が形成される。むしろ、ガイド管16は、テーパー形態を有する。ガイド管16の4つの壁50−56は、全て、イオンビーム34の進行方向に沿って外方にテーパー付けされ、ガイド管16の下流端48が上流端46に対して広くなっている。従来の設計と共通して、壁50−56は、グラファイトで作られるか、又はグラファイトの裏張りが固定される。
【0024】
矢印34は、ガイド管16を通るイオンビーム34の進行方向を示す。イオンビーム34は、ガイド管を通して進行するときに、多数の理由で、発散する傾向となる。第1に、空間電荷作用でイオンビームのサイズが膨張される。第2に、イオンビームは、通常、ガイド管16の上流の点(例えば、質量選択スリット32)に収束され、この点の後に、イオンビーム34が発散する。
【0025】
イオンビーム34が発散するにつれて、ガイド管16を通るボアを画成する壁50−56の内面にイオンビーム34が衝突する機会が生じ得る。しかしながら、下流端48のサイズは、従来の出口アパーチャー48のサイズに類似しているので、ビーム衝突の増加は見られない。更に、ビーム衝突は、図4及び5のガイド管16にかすめて入射するように生じ、これは、イオンビーム34における粒子汚染の問題を低減することが分かっている。上流端46のサイズは、従来のガイド管16における入口アパーチャー46の典型的なサイズに対して増加することができる。しかしながら、例えば、ガイド管16の上流端46に発生される電界の要件、等、このサイズ増加を制限する他の理由も存在し得る。
【0026】
図6A−図6Cは、図4及び図5のガイド管16が2つのコンポーネント、即ち第1の下部コンポーネント58及び第2の上部コンポーネント60でどのように構成できるかを示している。下部コンポーネント58は、ガイド管16の下壁56と、図6Aに50a及び52aとして示された側壁50及び52の下半分とを形成する。上部コンポーネント60は、上壁54と、側壁の上半分50b及び52bとを形成する。また、上部コンポーネント60には、アパーチャー42も設けられ、これは、プラズマチャンバー40が上部コンポーネント60に固定されたときにそのプラズマチャンバーと連通する。上部コンポーネント60及び下部コンポーネント58は、多数の従来のやり方で接合することができ、例えば、ボルトで一緒に固定することができる。明らかなように、コンポーネント58及び60は、(図4及び図5に示すガイド管16とは異なり)均一な外部寸法を有するガイド管16を形成するように接合されるが、それらの壁50−56は、(図4及び図5と共通に)それらが画成する内部ボアがイオンビーム34の進行方向に沿って外方にテーパー付けされるように形成される。
【0027】
図7及び図8は、本発明の更に別の実施形態によるガイド管16を示す。この実施形態は、次の付加的な特徴を除き、図4及び図5の実施形態に広く対応している。壁50−56には、一連の角度付けされたスロット60が設けられる。更に、ガイド管16の上流端46には、粗面化された表面62が設けられる。これらの追加の理由を以下に説明する。
【0028】
上述したように、中性化システム15は、その前に減速レンズアッセンブリ22があってもよい。イオンビーム34が減速レンズアッセンブリ22を通過するときにイオンビーム34に中性原子が存在する場合、これら中性物は減速されない。このような中性物は、イオンビーム34の減速エネルギーより高いエネルギーでガイド管16を通して進行し、次いで、この高いエネルギーでウェハ12に注入され得る。ウェハ12のこのようなエネルギー汚染は、望ましいものではなく、減速レンズアッセンブリ22の領域における中性物の数を最小にするよう確保するためのステップがとられる。
【0029】
中性物汚染は、ガイド管16の壁50−56を貫通する角度付けされたスロット60を設けることにより減少できることが分かっている。図8において明らかなように、スロット60は、壁54及び壁56(及び図示されていないが、壁50及び壁52)の厚みを貫通して延びる。スロット60の各々は、(ガイド管16の内部と外部との間に延びる)長さがガイド管の長手軸に対して鋭角に整列される。更に、スロット60の各々は、スロット60の巾に対応する最小寸法が充分に小さく、ガイド管16の長手軸に垂直な方向にガイド管16の内部から外部へ視線が延びないようにされる。重要なことに、スロット60は、図8に示すように、ガイド管16の左手端にあるウェハ12から外方に且つ離れる方向に角度が付けられる。このように、注入中にウェハ12から(典型的に注入プロセスの前にウェハ12に付着されたマスキング材料又はレジストから)ガス放出される原子及び分子は、スロット60を通過することによりガイド管16の内部から容易に脱出することができる。スロット60をウェハ12の表面から外方に且つ離れるように角度付けすることで、レジストガスを容易に脱出させることができる。
【0030】
更に、プラズマチャンバー40の内部への不活性(アルゴン)ガスのフィード43は、ガイド管16の内部に高い残留ガス圧力を生じさせることが明らかである。また、通路60は、このガスを脱出させるための導通経路でもある。
【0031】
従って、ガイド管16の上流端46を出るガスの量が減少される。ひいては、これは、減速レンズアッセンブリ22の領域のガス負荷減少を与える。その結果、残留ガス分子との衝突事象により中性化されるイオンビーム34内のイオンの確率が減少され、ガイド管16を通してウェハ12へ通過するイオンビーム34のエネルギー汚染が減少される。
【0032】
ガイド管16におけるスロット60の効果は、減速されたイオンビーム34に対して最も顕著であるが、減速レンズアッセンブリ22をもたないイオン注入装置10に使用されるとき、又は減速レンズアッセンブリ22がイオンビーム34を減速するようにバイアスされないときにも、効果が得られる。次いで、質量分析器30に続くイオンビーム経路に沿った残留ガス圧力を減少することにより、イオンビーム34に発生される中性物の数を減少することができ、全イオンビーム電流を容易に測定することができる。
【0033】
ガイド管の壁50−56を貫通するスロット60を傾斜させることは、多数の効果を有する。第1に、スロット60は、注入されているウェハ12から離れるように傾斜され、ウェハ12からのガス放出材料をスロット60に沿ってガイド管16の外部へ容易に通過させることができる。第2に、スロット60を傾斜させ、且つそれらの巾を制御することで、ガイド管16内からの熱の放射が減少される。これは、ウェハ12及び中性化システム15を取り巻くプロセスチャンバーにおける繊細な装置、例えば、この領域に真空を維持するのに使用される低温ポンプ、の過負荷を防止する上で特に重要である。第3に、鋭角のスロット60は、ウェハ中性化のために低エネルギー電子を拘束するのに必要なガイド管16内の静電界の実質的な歪を防止する。
【0034】
ガイド管16の内部が例えばガス放出レジスト材料で被覆状態になる傾向がある場合には、更に別の効果を得ることができる。このような被覆は、誘電体であり、ガイド管16により発生される電子拘束電界を損なうことになり得る。スロット60は、ガイド管16の内部と外部との間に著しい長さを有し、これは、スロット60の鋭角の結果として増加される。スロット60の内壁を含むガイド管16の内部表面の少なくとも幾つかの部分が絶縁被覆なしのままとなる確率が高くなる。
【0035】
図8のスロット60に代わるものとして、ガイド管16の壁50−56は、複数の角度付けされたスラットを含んでもよい。これらのスラットは、ガイド管16のフレームワークを形成するコーナーポスト間に装着することができる。
【0036】
このような構成の更なる詳細は、米国特許出願第11/822,738号に見ることができ、該特許出願の内容は、参考としてここにそのまま援用する。
【0037】
上述したように、ガイド管16へのビーム衝突は、粒子汚染を引き起こすことがあり、これは、イオンビーム34が斜角でガイド管16に当たる場合に悪化する。この問題は、図2の48における出口アパーチャー除去することにより著しく減少されるが、ガイド管16の上流端46は、依然として面62を呈しており、ここにはイオンビーム34が斜めに当たることがある。この面62から粒子がスパッタされる問題を軽減するために、面62が粗面化される。これは、面62に一連の溝を形成することにより達成できる。図7において、粗面化は、四面体のアレイを形成する一連の交差する溝であるように示されている。このような粗面化は、面62に材料の大きな堆積物が形成されるのに抵抗するので、有用である。例えば、イオンビーム34内に随伴されたグラファイトのような粒子が面62に堆積され、後になってスパッタ除去されることがある。これらの堆積物は、蓄積し、後で、大きな材料薄片として剥離して、注入されているウェハ12に形成される構造体に大きなダメージを及ぼすことがある。
【0038】
図7は、面62のみがこのように粗面化されることを示すが、イオンビーム34に隣接した他の表面、例えば、ガイド管16の壁50−56の内面も、同様に粗面化することができる。
【0039】
このような構成の更なる詳細を米国特許出願第11/651,107号に見ることができ、該特許出願の内容は、参考としてここにそのまま援用する。
【0040】
図7及び図8の実施形態は、スロット22及び表面の粗面化の使用を結合するものであるが、これら2つの考え方の各々は、当然、それ自身で使用することもできる。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱せずに前記実施形態に他の変更がなされ得ることが明らかであろう。
【0041】
例えば、ガイド管16のテーパーは、希望の電界形状を達成するように変更してもよい。形状の操作、それにより得られる電界、及びイオンビームに対するその作用は、例えば、シミオン(Simion)(RTM)のようなソフトウェアパッケージの使用により容易に達成することができる。図示されたガイド管16は、それらの長さに沿った一定のテーパーを採用しているが、これが必要とされるのではない。変化するテーパー、又はテーパーのない均一な区分を使用してもよい。更に、壁50−56の全部にテーパー付けする必要もない。例えば、一対の壁だけをテーパー付けしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態を組み込んだイオン注入装置の簡単な図である。
【図2】従来のウェハ中性化システムの長さに沿った断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施形態によるガイド管を含むウェハ中性化システムの長さに沿った概略断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った概略断面図である。
【図6A】本発明の実施形態によるガイド管を形成するようにアッセンブルできるコンポーネントの斜視図であって、上流に向いて上から左へ見た第1コンポーネントの斜視図である。
【図6B】本発明の実施形態によるガイド管を形成するようにアッセンブルできるコンポーネントの斜視図であって、上流に向いて上から左へ見た第2コンポーネントの斜視図である。
【図6C】本発明の実施形態によるガイド管を形成するようにアッセンブルできるコンポーネントの斜視図であって、図6bに対してひっくり返された第2コンポーネントの斜視図である。
【図7】本発明の更に別の実施形態によるガイド管を含むウェハ中性化システムの、下流に向いて見た端面図である。
【図8】図7.7のウェハ中性化システムの長さに沿った概略断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10…イオン注入装置、12…ウェハ、14…イオン源、15…ウェハ中性化システム、16…ガイド管、22…減速レンズアッセンブリ、30…質量分析器、32…質量選択スリット、34…イオンビーム、36…ウェハホルダ、40…プラズマチャンバー、42…開口、46、48…アパーチャー、50−56…壁、58…第1の下部コンポーネント、60…第2の上部コンポーネント、60…スロット、62…粗面化された表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入装置内で注入されるべきウェハの付近に配置され、注入中にウェハの中性化に使用される荷電粒子を拘束するための、イオン注入装置のイオンビーム用のガイド管であって、イオンビームの通過を許容するために上記ガイド管を通る中央ボアを画成するための1つ以上の壁を備え、これら1つ以上の壁は、上記中央ボアがテーパー付けされるように構成される、ガイド管。
【請求項2】
上記ガイド管は、隣接するボアより狭い入口アパーチャー及び/又は出口アパーチャーがないように、平易な端を有する、請求項1に記載のガイド管。
【請求項3】
上記ガイド管は、上記中央ボアが入口アパーチャー及び/又は出口アパーチャーを通して延びるときに上記中央ボアのサイズに段階的変化を与えないように、滑らかにテーパー付けされる、請求項2に記載のガイド管。
【請求項4】
上記ガイド管は、その長さに沿ったどこかで上記中央ボアのサイズに段階的変化を与えないように、滑らかにテーパー付けされる、請求項3に記載のガイド管。
【請求項5】
上記中央ボアは、均一にテーパー付けされる、請求項1から4のいずれかに記載のガイド管。
【請求項6】
上記中央ボアは、複数の壁によって画成され、各壁は、上記ボアがテーパー付けされるように構成される、請求項1から5のいずれかに記載のガイド管。
【請求項7】
上記ガイド管は、長手軸と、該長手軸に沿ってイオンビームを受け取るための開放端とを有し、上記長手軸に実質的に平行に位置された上記中央ボアを画成する壁には、管壁を貫通する少なくとも1つの開口が設けられて、上記ガイド管の内部から外部へのガス導通通路を形成し、該通路は、上記長手軸に垂直に該通路を通る視線が実質的に遮られるように、上記長手軸に対して鋭角に整列された長さと、該長さに対して横方向の最小寸法とを有する、請求項1から6のいずれかに記載のガイド管。
【請求項8】
上記通路は、上記壁を貫通するスロットとして形成され、これは、上記長手軸に対して横方向である通路長さに対して横方向の主寸法を有する、請求項7に記載のガイド管。
【請求項9】
上記ガイド管の表面は、粗面化される、請求項1から8のいずれかに記載のガイド管。
【請求項10】
上記表面は、一連の溝を設けるように粗面化される、請求項9に記載のガイド管。
【請求項11】
上記表面の一部分は、2つの一連の交差する並置溝を設けるように粗面化される、請求項10に記載のガイド管。
【請求項12】
上記ガイド管は、隣接するボアより狭い入口アパーチャー及び/又は出口アパーチャーがない、請求項1から11のいずれかに記載のガイド管。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のガイド管を有するイオン注入装置。
【請求項14】
上記ガイド管は、イオン注入装置を通してイオンビームが進行する方向において外方にテーパー付けされる、請求項11に記載のイオン注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−170404(P2009−170404A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−262108(P2008−262108)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】