説明

イオンビーム分析装置

【課題】対象試料を実条件に近い状態で計測でき、且つ、単純な構成のイオンビーム分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】試料3に向けてイオンビーム6を照射するイオンビーム照射手段1と、該イオンビーム照射手段1に接続され、前記イオンビーム6の通路となる低圧部2と、該低圧部2の外部に配置されて、前記試料3に前記イオンビーム6が照射されるよう試料3を保持する試料保持手段と、前記イオンビーム6によって前記試料3から放射された放射エネルギーを検出する検出手段4とを備え、前記低圧部2が、イオンビーム6の出口部分となる開口部を有し、該開口部には、隔壁部材5が前記低圧部2の内部を気密保持可能に設けられ、前記隔壁部材5が、イオンビーム透過性を有し、且つ、前記低圧部2の内外の圧力差に耐えうる強度を有する材料からなるイオンビーム分析装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビーム分析装置に関し、特にイオンビームを用いた水素分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加速器によって得られるイオンビームを試料に照射し、発生するγ線、α線、中性子等の放射エネルギーを検出することによって当該試料を分析するイオンビーム分析法が知られている(特許文献1、非特許文献1参照)。
このイオンビーム分析の一つとして、15N(p,αγ)12Cの共鳴核反応を用いた軽水素分析が知られている(非特許文献1参照)。
具体的には、共鳴エネルギーである6.385MeV以上まで加速器によって加速された単色15Nイオンビームを、1×10−5Torr(1.33×10−3Pa)以下の高真空とされた真空チャンバー内に設置された試料に照射する。すると、試料内に存在する軽水素との共鳴核反応が生じ、γ線が放射される。このγ線を検出することによって軽水素の定量を行う。この共鳴核反応は、共鳴エネルギー幅が狭い(1.8keV)ので、選択的に軽水素を測定できるという利点を有している。
【0003】
さらに、試料中で15Nイオンビームのエネルギーが減少することを利用して、試料の深さ方向の軽水素分布を測定することも行われている。つまり、15Nイオンビームが試料内部を進行すると、15Nイオンビームはエネルギーを失い減衰する。そして、減衰した15Nイオンビームが共鳴エネルギーである6.385MeVとなった深さ位置で共鳴核反応を生じる。15Nイオンビームの試料中における減衰率が既知であれば、共鳴核反応が生じた深さ位置を特定できるので、この位置での軽水素を定量することができる。
したがって、試料に入射させる15Nイオンビームのエネルギーを変化させて測定を行えば、試料の深さ方向における軽水素分布が得られることになる。
【0004】
以上のような共鳴核反応法は、例えば燃料電池に用いられる水素透過膜の分析や様々な新素材の水素分布の計測などに利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3958299号公報(請求項3、図1)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】D.Sekiba,et.al,“Development of micro−beam NRA for 3D−mapping of hydrogen distribution in solids:Application of tapered glass capillary to 6 MeV 15N ion”,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research,B 266,2008,p.4027−4036
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
イオンビームを試料に照射するためには、試料を高真空下に配置する必要がある。しかし、イオンビーム照射によって計測される対象である水素は、拡散しやすい元素であり、高真空下に試料を曝すと水素が試料から拡散・脱離してしまい、水素分布が変化してしまう恐れがある。そのため、試料中の真の水素分布を捉えることができず、当該分析技術分野の適用範囲を非常に狭くしていた。上記のような理由から、実際に試料が使用される条件(以下、実条件と称する。例えば水素透過膜の実条件は、1気圧(1.013×10Pa)。)で、試料の水素分布を計測できる技術が求められている。
【0008】
そこで、本発明者らは、特許文献1で開示されているイオン分析装置を発明した。イオン分析装置は、収容容器内に、計測対象の試料が雰囲気ガスを実条件で導入した環境下に設置してある。イオンビームの引き出し口は、高真空であることが必要である。そのため、排気室を多段に構成し、差動排気させることによって、水素の計測を行う。しかしながら、上記のような装置は、必要な真空度を得るために多くの排気ポンプを備えるため、装置構成が大掛かりになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、対象試料を実条件に近い状態で計測でき、且つ、単純な構成のイオンビーム分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、試料に向けてイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、該イオンビーム照射手段に接続され、前記イオンビームの通路となる低圧部と、該低圧部の外部に配置されて、前記試料に前記イオンビームが照射されるよう試料を保持する試料保持手段と、前記イオンビームによって前記試料から放射された放射エネルギーを検出する検出手段とを備え、前記低圧部が、イオンビームの出口部分となる開口部を有し、該開口部には、隔壁部材が前記低圧部の内部を気密保持可能に設けられ、前記隔壁部材が、イオンビーム透過性を有し、且つ、前記低圧部の内外の圧力差に耐えうる強度を有する材料からなるイオンビーム分析装置を提供する。
【0011】
本発明によれば、試料は低圧部の外部で試料保持手段によって保持されているため、実条件に近い環境に試料を配置することができる。イオンビームが引き出されるのに必要な低圧部(真空領域)と、試料が存在する実条件とを隔壁部材で隔てることができるため、装置の構成を単純化することができる。このようなイオンビーム分析装置では、水素分布を変化させずに試料内の水素を定量することができる。隔壁部材は、イオンビーム透過性を有するため、イオンビームを試料に照射させることが可能である。また、低圧部の外部が実条件環境である場合、低圧部の内外では圧力差が生じる。そのため、隔壁部材は低圧部の内外の圧力差に耐えうる強度(すなわち、隔壁部材が破壊されずに圧力差を保つことのできる強度)を有し、低圧部の内部の気密性を保持できるように設けられる。
【0012】
上記発明において、前記隔壁部材の前記イオンビームが通過する少なくとも一方の面が、導電性金属を含む補強材で被覆されていることが好ましい。
低圧部の開口部に設けた隔壁部材のイオンビームが通過する面を導電性金属で被覆することによって、以下の効果が得られる。(1)イオンビームによるチャージアップが避けられる。(2)機械的強度が増加する。(3)イオンビームが照射された部分の局所的温度上昇と、それに伴うストレスの発生が抑えられる。これによって、隔壁部材の耐久性を向上させることができる。
【0013】
上記発明において、前記試料を収容するとともに、ガスが導入可能とされた収容容器を更に備えても良い。
例えば、収容容器内に水素ガスを導入すると、試料の内外で水素が平衡状態となり、試料内の水素分布の変化を抑制することができる。導入するガス種を定めることにより、イオンビームが低圧部を出てから試料に到達するまでのイオンビームのエネルギーの減衰を予測することができる。導入するガスの質量数を小さくすることで、イオンビームが試料に到達するまでのエネルギーの減衰を抑制することができる。
【0014】
上記発明において、前記収容容器が、前記試料のイオンビーム被照射面に面した照射側部屋と、前記イオンビーム被照射側の反対側の裏面に面した裏面側部屋とに区画され、前記照射側部屋にはガスが導入され、前記裏面側部屋は低圧とされていても良い。
計測対象を含む試料がパラジウム等の水素透過膜である場合、照射側部屋に水素ガスを導入しながら、裏面側部屋を低圧とすることで、パラジウム中を透過する水素の深さ分布を計測することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低圧部の開口部に隔壁部材を設けることで、対象試料を実条件に近い状態で計測できるイオンビーム分析装置の構成を単純化することができる。また、隔壁部材を導電性金属で被覆することによって、隔壁部材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るイオンビーム分析装置の部分概略図である。
【図2】第2実施形態に係るイオンビーム分析装置の部分概略図である。
【図3】イオンビームエネルギーと水素濃度との関係を示すグラフである。
【図4】第3実施形態に係るイオンビーム分析装置の部分概略図である。
【図5】第4実施形態に係るイオンビーム分析装置の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るイオンビーム分析装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1に、本実施形態に係るイオンビーム分析装置10の部分概略図を示す。イオンビーム分析装置10は、イオンビーム照射手段1と、低圧部2と、試料3を保持する保持手段(図示せず)と、放射エネルギーを検出する検出手段4とから構成されている。
【0018】
イオンビーム照射手段1は、イオン源1aと加速器1bとを備え、15NやLiなどのイオンビームを試料に向けて照射する。イオンビーム照射手段1は、加速器1bのビーム引き出し口が真空となるよう低圧部2に接続されている。
【0019】
低圧部2には、図示しないターボ分子ポンプ等の排気手段が接続され、低圧部2の内部が1×10−5Torr(1.33×10−3Pa)以下の高真空環境とされる。低圧部2は、イオンビーム6の通路となり、イオンビーム6の出口部分となる開口部を有する。該開口部には、低圧部2の内部の気密性が保持されるように、隔壁部材5が設けられている。
【0020】
試料3は、低圧部2の外部に、イオンビームが照射されるよう保持手段で保持されている。試料3は、実条件下、本実施形態においては大気圧下に配置されている。試料3としては、例えば、水素脆化部材、水素イオン交換膜、水素吸蔵合金が挙げられる。
【0021】
隔壁部材5は、イオンビーム透過性が高く、且つ、低圧部2の内部と試料が配置される実条件との圧力差に耐えうる機械的強度を有する材料からなる。例えば、SiN(シリコンナイトライド)やグラファイト等が挙げられる。SiNを用いる場合、隔壁部材5の厚さは50nm以上200nm以下とする。厚さを50nm以上とすることで、1枚でも低圧部2の内部と実条件との圧力差に耐えることができる隔壁部材5となる。また、厚さを200nm以下とすることで、イオンビーム6が隔壁部材5内を通過する際のイオンビーム6の減衰を少なくすることができる。隔壁部材5は、イオンビーム6が通過するのに必要であり、且つ、所望の耐久性が得られる大きさとする。例えば、出口径が50μmのガラスキャピラリーからイオンビーム6を出射した場合、隔壁部材5の大きさは、1mm×1mmとする。
試料3と隔壁部材5との距離は、試料3と隔壁部材5との間に存在する雰囲気ガスによるイオンビーム6の減衰を抑えるため、数mmとされる。
【0022】
検出手段4は、試料3の近傍に配置されており、照射されたイオンビーム6が試料内の水素と共鳴核反応して放出されるγ線を検知する。検出手段4としては、例えば、Geγ線検出器、NaIシンチレータ、BiGe12(BGO)シンチレータが用いられる。
【0023】
次に、上記構成のイオンビーム分析装置10を用いた計測方法について、軽水素の計測方法を例に挙げて説明する。
まず、保持手段に試料3を設置する。ターボ分子ポンプを用いて低圧部2内を1.33×10−3Pa以下まで真空排気する。
【0024】
次に、加速器1bを稼働させて、6.385MeV以上の単色15Nイオンビームを試料3に向けて照射する。この際、照射された15Nイオンビームは、低圧部2内、隔壁部材5、及び雰囲気ガス(大気)を順に通過して、試料3に到達する。15Nイオンビームが照射されると、試料3内に吸着されて存在する水素に共鳴エネルギー6.385MeVが吸収されて15N(p,αγ)12Cの共鳴核反応が生じ、γ線が放出される。この放出されたγ線を検出手段4によって検出し、γ線量に基づいて、図示しない演算手段によって水素を定量する。この際、雰囲気ガス内を通過する際の15Nイオンビームのエネルギーの減衰量を予め計測しておき、対照とする。
【0025】
上記共鳴反応は、共鳴エネルギーが1.8keV以下の鋭い共鳴反応なので、次のような深さ分布を計測するのに適している。
照射する15Nイオンビームのエネルギーと、予め得られている試料3内における15Nイオンビームの減衰とから、照射エネルギーと試料3内で共鳴核反応が生じる深さとの関係を計測しておく。そして、15Nイオンビームの照射エネルギーを出力制御手段(図示せず)によって深さ方向にスキャンさせながら共鳴核反応によって放出されるγ線を計測し、各深さ方向における軽水素を定量する。
【0026】
本実施形態によれば、隔壁部材1枚で低圧部2と試料3が配置されている実条件とを隔てることができるため、装置の構造を単純化することができる。
【0027】
なお、試料3は、ガスが導入可能とされた収容容器に収容されていても良い。この場合、収容容器はイオンビーム6の入口部分としての開口部を有する。該開口部は、低圧部2のイオンビーム6の出口部分の開口部と、隔壁部材5を介して接続されている。収容容器には、図示しないガス供給源が接続されており、雰囲気ガスが導入されている。雰囲気ガスとしては、例えば、大気、水素、重水素、ヘリウム、アルゴン、酸素,水蒸気などが挙げられる。雰囲気ガスは、質量数が小さいものほどイオンビーム6の減衰を抑制することができる。雰囲気ガスは、測定対象試料に応じて適宜選択され、所定の圧力で導入される。
【0028】
(隔壁の耐久性評価)
1mm×1mm×厚さ100nmのSiNを隔壁部材5として用い、イオンビーム分析装置10を作製した。本実施形態に係るイオンビーム分析装置を繰り返し作動させ、隔壁部材5が破損し、低圧部2内部の真空が保てなくなるまでの隔壁部材5に付与されたイオンビーム量を積算した。付与したイオンビーム量は、加速器1bの設定値を用い、電流×時間として算出した。
第1実施形態に係るイオンビーム分析装置の隔壁は、総イオンビーム付与量が101μCとなるまで、破損せずに使用することができた。
【0029】
〔第2実施形態〕
図2に、本実施形態に係るイオンビーム分析装置20の部分概略図を示す。イオンビーム分析装置20は、第1実施形態に係るイオンビーム分析装置10の隔壁部材5に補強材8を設け、試料3をガスが導入可能とされた収容容器7内に収容すること以外は、第1実施形態と同様の構成である。
【0030】
補強材8は、導電性金属からなり、例えば、Au、Ag、Cuなどが挙げられる。補強材8は、隔壁部材5の収容容器7が接続される側の面を被覆するよう設けられる。被覆方法は、蒸着、スパッタ法、電気めっきなどの周知の方法を用いる。Auを被覆する場合、Auの厚さは5nm以上20nm以下とすることが好ましい。
【0031】
(水素分布の計測)
基板として10mm×10mmのSiを用いた。線状(幅100μm)のY薄膜が間隔(200μm)をあけて平行に配列されるように、基板面をSUS304(コーケン化学(株)製、100μm厚)でマスクし、Y薄膜(膜厚:80nm)を製膜した。Y薄膜製膜後、マスクを剥してパターン化させたY薄膜とした。その上からPd薄膜(膜厚:80nm)を製膜し、試料3とした。製膜は、イオン・ビーム・スパッタ法(Ar、3×10−2Pa、1keV、18mA)にて行い、イオンソースとしてION−TECH社製3cmイオンソースを用いた。膜厚は、水晶振動子を用いて評価した。
【0032】
上記試料を1気圧の水素雰囲気中に12時間曝露させ、その後、試料3をPa薄膜がイオンビーム被照射面となるよう保持手段に保持させた。雰囲気ガスとしてNを用い、収容容器7内にそれぞれ100hPa、300hPa、700hPa、1000hPaで導入し、Y薄膜に含有される水素分布を計測した。
【0033】
図3に、収容容器7内に導入するNガスの圧力を変化させたときの、イオンビームエネルギーと水素濃度との関係をグラフに示す。同図において、横軸はイオンビームエネルギー、縦軸は水素濃度をY原子に対する水素原子の比率で表したものである。
ガスを導入する圧力を変化させても、ピーク高さはほとんど変化しなかった。これによって、試料を実条件(略1気圧)に配置した状態において、試料中の水素分布を正確に計測できることが分かった。
【0034】
(隔壁の耐久性評価)
1mm×1mm×厚さ100nmのSiNを隔壁部材5とし、該隔壁部材の収容容器7側の面に補強材8としてAuを厚さ10nmとなるよう製膜したものを用いて、イオンビーム分析装置20を作製した。
第1実施形態と同様に、隔壁部材5が破損し、低圧部2内部の真空が保てなくなるまでの、隔壁部材5に付与されたイオンビーム量を積算した。
【0035】
第2実施形態に係るイオンビーム分析装置20の隔壁部材5は、総イオンビーム付与量が400μCを超えても破損することはなかった。上記結果によれば、隔壁部材5の収容容器7側の面に補強材8を設けることで、隔壁部材5の寿命が最低でも4倍程度延びることが確認された。
【0036】
〔第3実施形態〕
図4に、本実施形態に係るイオンビーム分析装置30の部分概略図を示す。イオンビーム分析装置30は、試料33を収容容器7に収容し、試料33によって収容容器7を2つの部屋に区画したこと以外は、第2実施形態と同様の構成とする。
【0037】
図4に示されるように、試料33は、収容容器7内に収容される。収容容器7は、試料33によって、試料33のイオンビーム被照射面側が収容される照射側部屋7aと、試料33の照射面側の裏面を収容する裏面側部屋7bとに区画される。照射側部屋7aは、隔壁部材に隣接し、ガスを導入する手段を有する。裏面側部屋7bには、図示しないターボ分子ポンプ等の真空排気手段が接続されており、裏面側部屋7bの内部は低圧部されている。
上記のようなイオンビーム分析装置30を用いる場合、試料33として、パラジウム、パラジウム合金、ニッケル系合金等の水素透過膜が用いられる。試料33として水素透過膜を用いる場合、照射側部屋7aに水素ガスを1気圧で導入するとともに、裏面側部屋7bの内部を真空排気する。そうすることによって、照射側部屋7aから裏面側部屋7bへと透過する水素の深さ分布を測定することができる。
【0038】
〔第4実施形態〕
図5に、本実施形態に係るイオンビーム分析装置40の部分概略図を示す。イオンビーム分析装置40は、第3実施形態に係るイオンビーム分析装置30の隔壁部材5に補強材8を設けること以外は、第3実施形態と同様の構成とする。補強材8は、第2実施形態と同様のものとする。
上記構成のイオンビーム分析装置40は、装置の構成が単純で、且つ、隔壁の耐久性の高いものとなる。
【符号の説明】
【0039】
1 イオンビーム照射手段
1a イオン源
1b 加速器
2 低圧部
3,33 試料
4 検出手段
5 隔壁部材
6 イオンビーム
7 収容容器
7a 照射側部屋
7b 裏面側部屋
8 補強材(導電性材料)
10,20,30,40, イオンビーム分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に向けてイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、
該イオンビーム照射手段に接続され、前記イオンビームの通路となる低圧部と、
該低圧部の外部に配置されて、前記試料に前記イオンビームが照射されるよう試料を保持する試料保持手段と、
前記イオンビームによって前記試料から放射された放射エネルギーを検出する検出手段とを備え、
前記低圧部が、イオンビームの出口部分となる開口部を有し、
該開口部には、隔壁部材が前記低圧部の内部を気密保持可能に設けられ、
前記隔壁部材が、イオンビーム透過性を有し、且つ、前記低圧部の内外の圧力差に耐えうる強度を有する材料からなるイオンビーム分析装置。
【請求項2】
前記隔壁部材の前記イオンビームが通過する少なくとも一方の面が、導電性金属を含む補強材で被覆されている請求項1に記載のイオンビーム分析装置。
【請求項3】
前記試料を収容するとともに、ガスが導入可能とされた収容容器を更に備える請求項1または請求項2に記載のイオンビーム分析装置。
【請求項4】
前記収容容器が、前記試料のイオンビーム被照射面に面した照射側部屋と、前記イオンビーム被照射側の反対側の裏面に面した裏面側部屋とに区画され、
前記照射側部屋にはガスが導入され、前記裏面側部屋は低圧とされている請求項3に記載のイオンビーム分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−95154(P2011−95154A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250539(P2009−250539)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度 独立行政法人科学技術振興機構「水素のナノスケール顕微鏡(イオン源・加速器・試料槽の開発と実環境化計測への適用)委託研究」、産業技術力強化法第19条の適用)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】