説明

イオンビーム照射装置におけるフィードバックシステム

【課題】本発明は、信号にノイズが入力された場合、測定した線量値が変化して差動増幅器に治療計画に適うビーム強度値との正確な差分値を出力することができないという問題を解消できるフィードバックシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のフィードバックシステム1は、イオンビーム照射装置100から照射されるイオンビームの線量を測定する線量測定部10と、線量測定部10から出力される信号が入力され、線量の値に対応する周波数に変換して出力する周波数変換部20と、周波数変換部20から入力される所定時間あたりの周波数をカウントし、そのカウントされた所定時間あたりの周波数に対応するカウント値を出力するカウンタ部30と、ビーム強度値と指令値との差分値を求めて、差分値をRF―KO電極間の印加電圧を制御するRF―KO電極コントローラに出力する差動増幅部40と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビーム照射装置のフィードバックシステムに関し、特に、照射するイオンビームを治療計画によって決められたビーム強度に制御するためのRF−KO(Radio Frequency−KnockOut)電極等のビーム強度制御装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンビーム照射装置を用いた癌治療において、下記特許文献1に開示されるように、ラスタースキャニング照射方式の照射時間の短縮化を図るためには、スポット移動軌跡中の線量を予測して、治療計画に組み込むため、照射するイオンビームを治療計画に決められたビーム強度(単位時間当たりのイオンビームの線量)に制御する必要がある。
【0003】
また、呼吸性変動をする照射対象に対して、下記特許文献2に開示されるように、スキャニング照射を可能とする、PCR法(Phase Controlled Rescanning)においても、照射するイオンビームを、治療計画に決められたビーム強度に制御することが求められる。
【0004】
しかしながら、イオンビーム照射装置の一部をなす、シンクロトロンからのビーム取り出しにおいては、イオンビームがもつ空間的・エネルギー的分布に由来したビーム強度の時間的な変動は避けられないものである。
また、イオンビーム照射装置を構成する電源の時間的な変動も、ビーム強度の時間的な変動を誘起する。
また、加速器の制御部は、イオンビームを制御する磁界を作り出すために使用されている大電力の電源が放出するノイズ信号の影響を受けやすい環境にある。
これらの理由により、イオンビーム照射装置のビーム強度は、時間的に変動するため、ビーム強度を制御するフィードバックシステムが必要となる(下記特許文献3の請求項4、段落0020参照)。
【0005】
ここで、照射するイオンビームのビーム強度が一定に保たれているか否かについては、線量計を用いて通過するイオンビームの線量を測定し、その測定された線量値が一定値を保持しているか否かをもって判断することができる。そして、この線量計によって測定された線量値のデータを利用して、照射するイオンビームのビーム強度を制御する制御システムとして、図3に示す従来技術におけるイオンビーム照射装置201のフィードバックシステム200があげられる。
【0006】
具体的に、図3に示すイオンビーム照射装置201のフィードバックシステム200は、イオンビーム照射装置201から照射されるイオンビームの線量を測定し、その測定値に対応する信号を出力する線量計210と、その信号を受けて、測定値に比例する電圧値が入力されたアナログ信号を出力するI−V変換器220と、そのアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器230と、ディジタル信号となったイオンビームのビーム強度値と、治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値(指令値)とを比較して差分値を求め、その差分値を強度制御装置であるRF−KO電極コントローラ250に出力する差動増幅器240とから構成されている。
【0007】
そして、差分値が入力されたRF−KO電極コントローラ250が、入力された差分値に基づいて、イオンビーム照射装置201内に設置されるRF−KO電極間に印加する電圧を制御して、治療計画により決められたビーム強度となるようにイオンビームを照射していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−136523号公報
【特許文献2】特開2008−154627号公報
【特許文献3】特開2002−334821号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.Furukawa et al.,”Global spill control in RF-knockout slow extracution”,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research SectionA 522-3,(2004)pp.194-204.
【非特許文献2】H.Nakagawa et al.,”Slow Extraction Control Using The Digital Feedback System”,Proceedings of EPAC2000,Vienna,(2000)p.1921.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記したフィ−ドバックシステム200の構成において、通常は線量計210とI−V変換器220は、ノイズの侵入を防ぐために、近接させるが、I−V変換器220とA/D変換器230の距離は離れていることが多い。この場合、I−V変換器220から出力される信号は通常10V以下と低いアナログ信号であるので、ノイズが発生している環境下においては、そのアナログ信号にノイズが入力され、アナログ信号の波形が崩れるおそれがあった。
したがって、差動増幅器240には、線量計210が測定した測定値ではなく、ノイズが入った値が入力されて、治療計画により決められたビーム強度値との正確な差分値を得ることができず、RF−KO電極コントローラ250がイオンビームを治療計画により決められたビーム強度に制御することができないという問題があった。
【0011】
一方で、I−V変換器220とA/D変換器230の距離を近接させて、ノイズの侵入を防ぐ方法も考えられるものの、A/D変換器230をI−V変換器220に近接させた分、A/D変換器230と差動増幅器240と距離を遠くなる。つまり、デジタルデータをA/D変換器230から差動増幅器240へ転送に、多数の長距離ケーブルが必要になるという問題がある。
【0012】
その他、測定した線量の値が低い場合には、I−V変換器220から出力されたアナログ信号が小さくなりすぎるため、A/D変換器230において、デジタルデータに変換した数値の精度が悪化するという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、信号にノイズが入力された場合、測定した線量値が変化して差動増幅器が治療計画により決められたビーム強度値との正確な差分値を出力することができないという問題を解消できるイオンビーム照射装置のフィードバックシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明に係るイオンビーム照射装置のフィードバックシステムは、イオンビーム照射装置から照射されるイオンビームの強度を制御するビーム強度制御装置と、前記イオンビームの強度を測定し、測定強度に対応する線量信号を出力する線量測定部と、前記線量信号の出力を受け、該線量信号と治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値とのビーム強度の差分値を求めて出力する差動増幅部と、前記差分値の出力を受け、前記差分値が小さくなるように前記ビーム強度制御装置の電極間電圧を制御する電極コントローラと、を備えたイオンビーム照射装置のフィードバックシステムにおいて、前記線量信号の出力を受け、該線量信号を前記測定線量値に対応する周波数に変換した周波数信号を出力する周波数変換部と、前記周波数信号の出力を受け、該周波数信号の所定時間あたりの周波数をカウントし、該カウント値を前記線量信号として前記差動増幅部に出力するカウンタ部と、を備えることにより、前記差動増幅部へ周波数に変換された線量信号が入力されることで線量信号の伝達精度を高めたことを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、周波数変換部は、線量測定部が測定したイオンビームの線量値を、信号上において周波数に変換して出力しているため、ノイズが信号に入力されてとしても、信号上の波形が変化するだけで、信号の周波数は変化しない。
また、カウンタ部は、所定時間あたりの周波数をカウントすることによって、ビーム強度をカウント値として導出することができる。
そして、差動増幅部は、測定された線量値から導出されたカウント値(ビーム強度)と治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値との正確な差分を得ることができ、その正確な差分を電極コントローラに出力することができる。
よって、本発明によれば、電極コントローラが正確な差分に基づいて、電極間に電圧を印加するか否かを決定することができ、治療計画に適ったビーム強度のイオンビームを照射することが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の構成は、前記周波数変換部から出力される信号の波形は、パルス波であることを特徴とする。前記構成によれば、ノイズによる影響が少ないため、測定された線量値が変化するおそれが少なく、正確な測定値をカウンタ部に入力することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の構成は、前記カウンタ部は、カウントした二以上の前記カウント値から平均値である平均カウント値を算出し、その算出された前記平均カウント値を前記ビーム強度値として前記差動増幅部に出力することを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、前後するカウント値から平均値である平均カウント値を算出し、測定値に近似した平均カウント値を差動増幅部に入力することができ、測定した線量の値が低いために生じるカウンタ部の計測不良を回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によれば、信号にノイズが入力された場合であっても、測定値が変化することなくカウンタ部に入力される。よって、電極コントローラは、照射するイオンビームを治療計画により決められたビーム強度に制御可能な、イオンビーム照射装置のフィードバックシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態におけるイオンビーム照射装置とそのフィードバックシステムとの構成を示す図である。
【図2】図2(a)が、カウンタ部に入力された信号における周波数(パルス)を示し、図2(b)は、そのパルスをカウントする実施形態のカウンタ部の時間幅を表す図で、図2(c)は、変更例のカウンタ部の時間幅を表す図である。
【図3】従来技術におけるイオンビーム照射装置とそのフィードバックシステムとの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の一実施形態におけるイオンビーム照射装置のフィードバックシステムについて、図面を参照して説明する。
【0022】
(イオンビーム照射装置100)
図1に図示される本実施形態のイオンビーム照射装置100は、イオンを生成するイオン源101、初段の加速を行う線形加速器102、イオンを高エネルギーまで加速される環状のシンクロトロン103、RF−KO電極104、ならびに治療用の照射装置105と、を含んで構成されている。また、イオンビーム照射装置100は、RF−KO電極104の印加電圧を制御するRF−KO電極コントローラ106と、RF−KO電極104以外の装置は図示しない制御装置とで制御され、イオンビームを治療に必要なエネルギーまで加速して標的に照射する。
【0023】
RF−KO電極104は、イオンビームの進行方向と垂直方向又は水平方向に電圧を印加することを可能とする装置である。そして、RF−KO電極104がイオンビームの進行方向と垂直方向又は水平方向に電圧を印加することによって、シンクロトロン103内からイオンビームを取り出されて、照射装置105からイオンビームが照射される。なお、RF−KO電極104が電圧を印加するか否かは、後記するRF−KO電極コントローラ106から送信される制御信号に基づいて行われる。
【0024】
また、RF−KO電極コントローラ106は、RF−KO電極104に電圧を印加するか否かの判断を行う制御部であり、後記する差動増幅部40から差分値が入力された場合には、その差分値を基に、RF−KO電極104間に電圧の印加、又は電圧の印加の停止すべき制御信号をRF−KO電極104に送信する。これによって、イオンビームを取り出す量が治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度とすることが可能となる。
【0025】
(フィードバックシステム1)
本実施形態のフィードバックシステム1は、イオンビームの線量を測定する線量測定部10と、測定された線量値を周波数に変換するI―F変換部20と、所定時間あたりの周波数をカウントするカウンタ部30と、ならびに入力された二つのデータの差分を算出する差動増幅部40とを含んで構成される。
【0026】
(線量測定部10)
線量測定部10は、照射されるイオンビームの線量の測定を行うものであって、電離作用を利用して線量を測定する電離箱や、イオンビームが生成する2次電子を捕集して線量を測定する2次電子モニターが挙げられる。また、これに限られず、リアルタイムに、線量を計測できる線量計であれば、他の機器であってもよい。
【0027】
(I―F変換部20)
I―F変換部20は、線量測定部10から入力される、例えば、電流値などのアナログ信号を受けて、そのアナログ信号の電流値に比例した数の周波数を生成し信号として出力を行う周波数変換部である。また、本実施形態におけるI―F変換部20が生成し出力する信号の波形は、パルス波とするが、本発明は、このパルス波に限るものではない。たとえば、ノイズによる影響が少ない矩形波など急峻な変化を示す波形であってもよい。なお、I―F変換部20は、特許請求の範囲に記載される「周波数変換部」に相当するものである。
【0028】
(カウンタ部30)
カウンタ部30は、I―F変換部20より出力された信号(パルス)に入力される所定時間あたりの周波数をカウントし、そのカウントされた周波数の数値(カウント値)の出力を行う。ここで、所定時間は、特に限定されるものでないが、本実施形態においては100μ秒と設定されているとする。よって、カウンタ部30はこの100μ秒を1ブロックとして周波数のカウントを行う。
よって、図2に示すように、カウンタ部30に、図2(a)に示すようなパルスが入力された信号が入力された場合、上記した実施形態のカウンタ部30は、図2(b)に示すように、100μ秒間隔でブロック毎に計測し、その各ブロックにおける計測されたカウント値であるN〜Nを、そのまま後記する差動増幅部40に送信を行う。
【0029】
カウンタ部30は、イオンビーム量が少なく、ビーム強度値が小さい場合に、周波数の計測にばらつきが生じるおそれがある。この場合に備え、あらかじめ閾値を設けておき、その値よりカウント値が下回った場合は、カウンタ部30は、連続したブロックでカウントした二以上のカウント値からそれらの平均値である平均カウント値を算出し、その平均カウント値をビーム強度値として、差動増幅部40に出力するとしてもよい。
具体的に、カウンタ部30は、図2(c)に示すように、各ブロックにおいて計測されたカウント値であるN〜Nの平均カウント値((N+N+N)/3)を算出し、その平均カウント値((N+N+N)/3)をビーム強度として、差動増幅部40に送信するとしてもよい。この変形例によれば、カウンタ部30に周波数の計測不備が生じても、測定値に近似する値をカウント値として出力することができる。
【0030】
(差動増幅部40)
差動増幅部40は、カウンタ部30から入力されるカウント値から、指令値を減算して差分値を求めて、その差分値をRF−KO電極コントローラ106に出力する装置である。ここで、差動増幅部40に入力される指令値とは、治療計画によりスケジュールされあらかじめメモリーに書き込まれた標的に照射すべきビーム強度の値(請求項に記載の「治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値」に相当。)であって、具体的には、1ブロック単位(100μ秒)当りに照射されるべきイオンビームの線量の値である。
【0031】
(使用方法)
つぎに、実施形態に係るイオンビーム照射装置100におけるフィードバックシステム1の使用方法について説明する。
【0032】
まず、RF−KO電極コントローラ106は、イオンビーム照射装置100から照射されるイオンビームが、治療計画に基づいた照射すべきビーム強度となるようにRF−KO電極104間の電圧を印加し、患者等にイオンビームが照射される。
【0033】
つぎに、線量測定部10は、電離箱を通過するイオンビームの線量の測定を行い、測定した線量値に対応する大きさとなる電流を信号として、I―F変換部20に出力する。
【0034】
I―F変換部20は、入力された信号の電流値に比例する周波数を生成して出力する。また、I―F変換部20は生成する信号の波形は、パルスであるために、図2(a)に示すような信号がカウンタ部30に送信されることとなる。そして、カウンタ部30は、1ブロック単位(100μ秒)毎の入力された信号の周波数(パルスの個数)をカウントし、そのカウント値を差動増幅器に出力する。ここで、カウンタ部30によってカウントされたカウント値は、100μ秒間における線量の値、つまり、測定されたイオンビームの100μ秒あたりのビーム強度値である。
【0035】
そして、差動増幅部40は、カウンタ部30によって導出されたビーム強度値を指令値として入力された治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値で減算して差分値を算出し、その差分値をRF−KO電極コントローラ106に出力する。
【0036】
そして、RF−KO電極コントローラ106は、入力された差分値が0をまたぐ所定範囲内の場合に、照射するイオンビームのビーム強度は治療計画に決められたビーム強度と同一であると判断する。そして、RF−KO電極コントローラ106は、RF−KO電極104に、印加する電圧値を変えずにそのまま継続して印加するように制御信号を送信する。したがって、イオンビーム照射装置100からは、継続して治療計画に決められたイオンビーム強度のイオンビームが照射されることとなる。
【0037】
また、入力された差分値が所定の範囲よりもプラス方向に大きい場合には、RF−KO電極コントローラ106は、照射するイオンビームのビーム強度が治療計画に決められたビーム強度よりも高いと判断する。そして、RF−KO電極コントローラ106は、RF−KO電極104に印加する電圧値をその高い分だけ下げて印加するように制御信号を送信する。
【0038】
一方で、入力された差分値が所定の範囲よりもマイナス方向に大きい場合には、RF−KO電極コントローラ106は、照射するイオンビームのビーム強度が治療計画に決められたビーム強度よりも低いと判断し、RF−KO電極104に印加する電圧値をその低い分だけ上げて印加するように制御信号を送信する。
以上より、イオンビーム照射装置100は、RF−KO電極コントローラ106が差分値に基づいてRF−KO電極104の印加電圧を制御することによって、治療計画に決められたイオンビーム強度のイオンビームを照射することが可能となる。
【0039】
以上、本実施形態におけるイオンビーム照射装置のフィードバックシステムについて説明したが、本実施形態によれば、線量測定部10によって測定された測定データ(線量値)は、I―F変換部20によって周波数に変換されるため、たとえノイズが入力されたとしても、信号の波形が変化するだけであって、その周波数が増減するおそれはない。
つまり、本実施形態のイオンビーム照射装置のフィードバックシステムによれば、測定された正確なビーム強度値を差動増幅器に入力することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、RF―KO電極コントローラは、導出されたビーム強度値と治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値との正確な差分値を得て、RF−KO電極間に印加する電圧を制御することができ、治療計画により決められたビーム強度のイオンビームを照射することが可能となる。
【0040】
なお、本発明は実施形態に示すものに限るものでない。例えば、実施形態においては、RF−KO電極104を用いていたが、このRF−KO電極104以外にも、ビーム強度制御装置として、四重極電磁石励磁電流変更によるベータトロンチューン制御手法を用いたビーム強度制御装置、及びビームエネルギー変更によるベータトロンチューン制御手法を用いたビーム強度制御装置であってもよい。このビームエネルギー変更は、誘導加速装置または高周波加速装置などのビーム加速装置を用いて行なうものである。
【0041】
また、四重極電磁石励磁電流変更によるベータトロンチューン制御手法を用いたビーム強度制御装置において、四重極電磁石の電源を制御することで、励磁電流を変化させてもよい。四重極電磁石は、一般にシンクロトロン中に複数設けられているが、少なくともその一つを制御することでも効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 フィードバックシステム
10 線量測定部
20 I−F変換部
30 カウンタ部
40 差動増幅部
100 イオンビーム照射装置
101 イオン源
102 線形加速器
103 シンクロトロン
104 RF−KO電極
105 照射装置
106 RF−KO電極コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビーム照射装置から照射されるイオンビームの強度を制御するビーム強度制御装置と、
前記イオンビームの強度を測定し、測定強度に対応する線量信号を出力する線量測定部と、
前記線量信号の出力を受け、該線量信号と治療計画によりスケジュールされ記憶されているビームの強度値とのビーム強度の差分値を求めて出力する差動増幅部と、
前記差分値の出力を受け、前記差分値が小さくなるように前記ビーム強度制御装置の電極間電圧を制御する電極コントローラと、
を備えたイオンビーム照射装置のフィードバックシステムにおいて、
前記線量信号の出力を受け、該線量信号を前記測定線量値に対応する周波数に変換した周波数信号を出力する周波数変換部と、
前記周波数信号の出力を受け、該周波数信号の所定時間あたりの周波数をカウントし、該カウント値を前記線量信号として前記差動増幅部に出力するカウンタ部と、
を備えることにより、
前記差動増幅部へ周波数に変換された線量信号が入力されることで線量信号の伝達精度を高めたことを特徴とするイオンビーム照射装置のフィードバックシステム。
【請求項2】
前記周波数信号の波形は、パルス波であることを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム照射装置のフィードバックシステム。
【請求項3】
前記カウンタ部は、あらかじめ設けた閾値よりビーム強度が小さいことを示すカウント値をカウントした場合に、連続カウントした二以上の前記カウント値の平均カウント値を算出し、前記算出値を前記線量信号として前記差動増幅部に出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオンビーム照射装置のフィードバックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−177327(P2011−177327A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43808(P2010−43808)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】