説明

イオンビーム用質量フィルタ及びイオンビーム装置

【課題】C60クラスターを含む重イオンが得られるイオンビーム用質量フィルタを提供し、また重イオンビームのイオンビーム装置を小型で経済的に製作できるようにする。
【解決手段】イオン源側に、光軸に垂直な面内で回転する所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極11を配置すると共に、イオンビームIBの放出側には前記第一の偏向電極11の回転電界と同じ周波数で所定の偏向角の回転電界を作る第二の偏向電極12を配置している。第一及び第二の偏向電極11、12間には、複数の円筒状電極14から16よりなるレンズシステム13を設けて回転電場型の質量フィルタ10を構成する。第一の偏向電極11のイオン源側及び第二の偏向電極12のイオンビーム放出側に、それぞれアパーチャ20を配置し、また、レンズシステム13の略軸方向の中間部には、イオンビーム通路の中央部分を遮蔽する遮蔽手段17を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオンビーム用質量フィルタ及びイオンビーム装置に係り、特にイオンビームをC60(炭素60クラスター)イオンを主体とする重イオンとするのに好適なイオンビーム用質量フィルタ及びイオンビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、nm級の微小膜厚である有機薄膜等の有機材料は、表示装置や半導体装置、生命科学(バイオテクノロジ)等の種々の分野で用いられてきている。有機材料を活用するためには、材料表面及び内部の組成や形態等の化学構造を詳細に分析する必要がある。
【0003】
材料解析のため、真空雰囲気とする真空容器内に、有機材料の試料を配置し、試料の表面をArイオン等の希ガスイオン源によりエッチングすると、試料の表面の損傷が著しく、有機物の化学構造を内部深くまで分析できないでいた。最近では、C60主体の重イオンビームを用いて試料の表面を加工すると、均一にエッチング処理しかも表面の損傷が殆どなく、試料の組成や化学状態等の分析に好適であることが知られてきている。このため、分析装置の真空容器に、定められた加速電圧でC60主体のイオンビームを加速するイオンビーム装置を取り付け、試料の低損傷エッチング源とすることも提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
通常イオンビーム装置は、イオン源と筒体内に配置する電磁レンズや対物レンズや偏向レンズ等を備えた構造が一般的である。そして、イオン源でガスに対して電極の間で高い直流電圧を印加して、供給されたガスを電離してガスのプラズマを発生させ、プラズマ中のガスイオンを電極間の電圧によって加速し、ガスイオンをイオンビームとして放出するとき、レンズ等によってイオンビームを偏向或いは収束を行って、試料の表面の加工に適するイオンビームとするものである(例えば特許文献2参照)。
【0005】
ところで、従来のイオンビーム装置は、C60クラスターイオンビームと呼んではいるが、このイオンビームの中には、元となるC60の他に水素元素H、炭素元素C、酸素元素O等の軽イオンや、C60クラスターの中性粒子の成分が混入して多く存在する。これら不純物である軽イオンやC60クラスターの中性粒子の成分を除去し、より高純度のC60クラスターイオンビームを得るための工夫か行われている。
【0006】
イオンビーム装置で重イオンを取り出すには、例えば、四重極フィルタやウィーンフィルタやセクターマグネット等で代表され、一般に質量フィルタと呼ばれる分離機構が用いられる。また、従来のイオンビーム装置には、イオンビーム中から中性粒子の成分を除去するため、中性粒子が電界や磁界中においても直進するという性質を利用し、中性粒子をイオンと分離することが行われている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−134170号公報
【特許文献2】特開2005−44570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分離機構の一つである四重極フィルターは、4本の柱が互いに等距離に配置され、この柱に直流電圧に高周波を重畳した信号を入れて中心を飛行するイオンに進行方向に対して垂直の力を与えて振動させる方式である。そして、直流電圧の大きさと高周波の振幅の大きさがある特定の値のとき、その値に相当した質量のイオンのみが柱の中を通過でき、他の質量のイオンは発散して通過できないものである。しかし、この方式は、比較的低い周波数の高周波を利用しているため、主に軽イオンに適し、重イオンに適用させるには、機構や構造が複雑で寸法が大きくなり、設備が経済的に製作できない問題がある。
【0009】
また、ウィーンフィルタは、直行する電場と磁場を用いて、所望の電荷と質量比のイオンのみを通過させる方式であって、重イオンの分離のために、非常に強力な磁束線を必要とするからマグネットが巨大化するので、小型のイオンビーム装置には採用できないし、更にセクターマグネットにおいても、同様な問題がある。
【0010】
上記の高周波電界や静電界や静磁界中での荷電粒子の運動を利用する形式の質量フィルタでは、いずれの方式もイオン質量が大きくなるほど質量分解能は劣化するため、必要とする質量分解能を確保するには、選択すべきイオンの質量に対応してフィルタの形状を大きくしなければならず、重イオンに対して原理的に不利であった。
【0011】
これに対して、従来から飛行時間(Time Of Flight、以下「TOF」と略称する。)法のフィルタでは、イオンの質量が大きくなるほど、質量分解能は向上するし、飛行時間が長くなるので飛行距離は短くでき、それ故イオン質量が大きくなるほど全体を小型にできることが知られている。しかし、従来のTOF型フィルタでは、イオンビームをパルス化する必要があり、イオンの使用効率は極めて悪くなってしまう欠点がある。
【0012】
また、イオンビーム装置でイオンビーム中から中性粒子の成分を除去するのに、イオン源から加工対象の標的である試料の間で、イオンビームを偏向する必要がある従来の方式では、イオン源とイオン光学系の光軸と試料の三者を、一直線上に配置することができない構成となる。この結果、小型のイオンビーム装置を構築する上で大きな欠点となるし、またイオンビームを収束させるビームスポット寸法の微小化の観点からも問題となる。
【0013】
本発明の目的は、高純度のC60クラスターを含む重イオンが得られるイオンビーム用質量フィルタを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、C60クラスターを含む重イオンビームのイオンビーム装置を小型で経済的に製作できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のイオンビーム用質量フィルタは、イオン源側に、光軸に垂直な面内で回転する所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側に、前記第一の偏向電極の回転電界とは同じ周波数で所定の偏向角の光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置し、前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設けて構成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のイオンビーム用質量フィルタは、イオン源側に、所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側に、前記第一の偏向電極の回転電界とは同じ周波数で所定の偏向角の光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置し、前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設け、前記レンズシステムの略軸方向中間部には、イオンビーム通路の中央部分を遮蔽する遮蔽手段を配置して構成したことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記第一の偏向電極のイオン源側及び第二の偏向電極のイオンビーム放出側に、それぞれアパーチャを配置して構成したことを特徴とする。
【0018】
また、好ましくは前記レンズシステムの軸方向中間部に位置する円筒状電極に、前記遮蔽手段を保持させて構成したことを特徴とする。
【0019】
更に、本発明のイオンビーム装置は、筒状容器の一端側にイオン源を配置し、筒状容器の他端側の放出部からイオンビームを放出するイオンビーム装置であって、前記筒状容器内のイオン源側に、光軸に垂直な面内で回転する所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側には前記第一の偏向電極の回転電界とは同じ周波数で所定の偏向角の光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置し、前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設け、前記第一の偏向電極のイオン源側及び第二の偏向電極のイオンビーム放出側に、それぞれアパーチャを配置して構成したことを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記レンズシステムの略軸方向中間部には、イオンビーム通路の中央部分を遮蔽する遮蔽手段を配置して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の如くイオンビーム用質量フィルタは、飛行時間法でしかも連続ビーム型に構成したので、簡単な構造で軽イオン及びC60の中性粒子を除去した高純度のC60クラスターを主体とする重イオンが得ることができる。
【0022】
また、本発明の如くイオンビーム用質量フィルタ用いてイオンビーム装置を構成すれば、重イオンビームを放出する装置が小型で経済的に製作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のイオンビーム用質量フィルタは、イオン源側に光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側には光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置している。第一及び第二の偏向電極の回転電界は、所定の偏向角でかつ同じ周波数で回転させており、しかも前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設けて構成する。
【0024】
また、本発明のイオンビーム装置は、筒状容器内に上記の質量フィルタを配置し、しかも第一の偏向電極のイオン源側及び第二の偏向電極のイオンビーム放出側に、それぞれアパーチャを配置して構成する。
【実施例1】
【0025】
以下本発明のイオンビーム用質量フィルタ及びイオンビーム装置について、図面に示す実施例を用いて説明する。一般にイオン銃と呼ばれるイオンビーム装置は、図1に示すように筒状容器1の一端にイオン源2を設け、筒状容器1の他端側の放出部3からイオンビームを放出する直線状に構成している。イオン源2と放出部3との間には、イオン源2からイオンビームIBを加速して引き出す引出電極4、イオンビームIBを収束するコンデサレンズ5、イオンビームIB軸を中心にするアライナ電極6及びアライナ可動絞り7、イオンビームIBの対物レンズ8、イオンビームIBを加工対象物へ偏向させる偏向電極9を、順に配設しており、放出部3からイオンビームIBを加工対象物へ放出する直線状の構造にしている。
【0026】
しかも、イオン源2と放出部3間、即ち図1の例ではアライナ電極6とアライナ可動絞り7間に、本発明の回転電場を利用した連続型TOF法を用いた回転電場の質量フィルタ(RFMF:Rotating Fild Mass Filter、以下「RFMF」と略称する)10を設け、このRFMF10でイオンビームIBを一旦偏向させた後、もとの状態に振り戻すようにしている。これによって、本発明のイオンビーム装置では、イオン源2と、イオンビームIBの光学系の光軸、加工対象物である試料を直線上に配置できる小型の構造にでき、後述するように60クラスターイオンの中性粒子を効率的に除去し、イオンビームを収束させてビームスポット寸法の微小化も可能になる。
【0027】
本発明の連続型TOF法のRFMF10は、図2に示すように第一及び第二の偏向電極11、12と、これら間に配置するアインツェルレンズ(Einzel Lens)と称される複数個の静電型の円筒状電極からなるレンズシステム13とによって構成している。
【0028】
RFMF10を構成する第一及び第二の偏向電極11、12は、種々の偏向方式のものを使用することができるが、この図2の例ではそれぞれ光軸に垂直な面内の回転電場発生用に、x軸とy軸方向に直交する二対の平行平板電極を用いており、例えばx方向に正弦波、y方向に余弦波の交流電圧を印可することによって、光軸に垂直な面内での回転電界を発生させている。また、レンズシステム13は、この例では銅やステンレス鋼等の如き非磁性材料で製作する3個の静電型の円筒状電極14、15、16を用いている。
【0029】
静電型の円筒状電極14、15、16からなるレンズシステム13は、この軸方向寸法の略中間部の位置となる円筒状電極15部分に、イオンビーム通路となる円筒状電極15の空間断面の中心部分、即ちイオンビームIBの進行軸の中心部を遮蔽するように遮蔽手段17を配置しており、これによって60クラスターイオンの中性成分を阻止している。
【0030】
遮蔽手段17を取り付けるには、例えば、中央の円筒状電極15を2分割し、これら分割部分間に挟持させて固定するか、図4に示すように円筒状電極15のイオンビームIBの進路側端面にボルト等の固定部材22を用いて固定する。
【0031】
遮蔽手段17は、ステンレス鋼等の非磁性材料を用い、例えば図5に示すように円筒状電極15のイオンビーム通路の空間断面積に対し、20%程度の面積を持つ大きさ円形の遮蔽板で製作し、環状の支持部材18に同一材料のワイヤや針金等の支持手段19にてイオンビーム通路を確保できるように中心部分に位置させるか、これと同様の形状に非磁性材料から切削加工によって、一体に製作して使用する。
【0032】
また、RFMF10は、タングステン等の高融点材料を用いて中央部に小孔21を形成したアパ−チャ20を、図2の例では第一の偏向電極11のイオン源側及び第二の偏向電極12のイオンビーム放出側、即ちイオンビームIBの入口側位置及び出口側位置にそれぞれ配置している。これら両アパ−チャ20で、不要な水素元素等を遮蔽し、イオンビームIBを60クラスターイオン主体の重イオンにすることができる。
【0033】
この連続型TOFの法のRFMF10は、図3に示すようにレンズシステム13の両端の第一及び第二の偏向電極11、12が、例えばそれぞれ直交する二組の平行平板電極で構成されていると、これらで作る回転電界A及びBが配置され、回転電界Aは偏向角θで、また回転電界Bは、回転電界Aと同一周波数で光軸に垂直な面内を回転している。
【0034】
このため、イオン源2から加速して引き出されたイオンビームIBが、図1及び図2に示すように最初の第一の偏向電極11が作る回転電界Aに入ったとき、光軸を中心とし、頂角θのコーン状に発散されレンズシステムに入射する。このとき、一個のイオンに着目し、矢印で示すように偏向角θでy軸の正の方向に曲げられたとする。中間に配置するレンズシステム13により、再び収束されるC60クラスターのイオンは第二の偏向電極12にy軸の負の方向に偏向角−θで入射することになる。このとき、たまたま回転電界Bにおける回転電界の位相が回転電界Aと同位相であれば、イオンは再び光軸上に振り戻され、イオン源2からでてくるときのイオンビームIBと同方向の成分となり、この状態で放出部から加工対象物に放出することができる。
【0035】
RFMF10について図2及び図3を用いて更に詳細に説明すると、図の左側からz軸に沿ってイオンビームIBが入射しているとき、例えば直行する二組の平行平板電極で構成する第一及び第二の偏向電極11、12に、例えばx軸方向に正弦波、y軸方向に余弦波の交流電圧を印可し、光軸に垂直な面内を回転するそれぞれ定めた偏向角の回転電界A、Bを発生させた状態にしている。イオンビームIBが、第一の偏向電極11に入ってきた時点で、電界がたまたまy軸の正の方向に向いていると、図3のようにイオンビームIBはy軸方向に偏向角θで方向を変え、レンズシステム13に入射する。
【0036】
イオンビームIBは、レンズシステム13の各円筒状電極14から16の収束作用により軌道を変え、第二の偏向電極12にy軸の負の方向に偏向角−θで入射する。このときの第二の偏向電極12における電界の方向がy軸方向であれば、イオンビームIBは角度θだけ偏向し、軌道は元の中心光軸に復帰し、イオンビーム出口側に配置したアパーチャ20を通過することができる。イオンビームがアパーチャ20を通過する条件は、イオンのエネルギーと質量及び回転電界の周波数と二つの回転電界の位相差によって決定される。
【0037】
イオンビームIBが入射したときの電界の方向は、y軸方向でなくても任意の方向で良いものであって、イオンビームIBがRFMF10に入射したときの第一の偏向電極11での電界の方向と、イオンビームIBがRFMF10をでるときの第二の偏向電極12での電界の方向とが同位相で一致しておれば、イオンビームIBはRFMF10を通過することができる。どのような回転角においても、上記が成り立つものであって、イオンビームは連続ビームとなる。
【0038】
イオンビームIBが、第一及び第二の偏向電極11、12間の飛行する時間tは、イオンの加速電圧Vとイオンの質量M、イオンの電荷e、電極間距離Lで決まり、下記の(1)式で求まる。

【0039】
回転電界の周波数f、偏向電極12における回転電界Bが、第一の回転電界Aより位相φだけ遅れているとすると、次の(2)式を満たす質量のイオンのみが通過できる。

【0040】
このため、周波数f又は位相φを調整することで、通過するイオンの質量を選別することができる。重いイオンほど電極間距離Lを小さくでき、かつイオンビームIBは連続ビームとなる。
【0041】
また、レンズシステム13の軸方向寸法の中央部付近では、等電位面は中心の光軸に対して垂直であるから、遮蔽手段17はイオンビーム通路を確保できる状態の中央位置に配置し、レンズシステムの軸方向の中央部に位置する円筒状電極15と同電位にしておけば、イオンビームの軌道に影響は与えずに60クラスターイオンの中性粒子を除去でき、装置全体は中心の光軸に対して対称であり、小型でイオンビームの収束に対して有利にできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を適用したイオンビーム装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明のイオンビーム用質量フィルタを示す要部拡大図である。
【図3】本発明のイオンビーム用質量フィルタの原理を示す模式図である。
【図4】図2のイオンビーム用質量フィルタおけるレンズシステムの一例を示す要部図である。
【図5】イオンビーム用質量フィルタに用いる中性粒子の遮蔽手段の一例を示す正面図と側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…筒状容器、2…イオン源、3…放出部、10…回転電場型の質量フィルタ、11…第一の偏向電極、12…第二の偏向電極、13…レンズシステム、14、15、16…円筒状電極、17…遮蔽手段、20…アパーチャ、IB…イオンビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源側に、光軸に垂直な面内で回転する所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側に、前記第一の偏向電極の回転電界とは同じ周波数で所定の偏向角の光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置し、前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設けて構成したことを特徴とするイオンビーム用質量フィルタ。
【請求項2】
イオン源側に、光軸に垂直な面内で回転する所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側に、前記第一の偏向電極の回転電界とは同じ周波数で所定の偏向角の光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置し、前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設け、前記レンズシステムの略軸方向中間部には、イオンビーム通路の中央部分を遮蔽する遮蔽手段を配置して構成したことを特徴とするイオンビーム用質量フィルタ。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかにおいて、前記第一の偏向電極のイオン源側及び第二の偏向電極のイオンビーム放出側に、それぞれアパーチャを配置して構成したことを特徴とするイオンビーム用質量フィルタ。
【請求項4】
請求項2において、前記レンズシステムの軸方向中間部に位置する円筒状電極に、前記遮蔽手段を保持させて構成したことを特徴とするイオンビーム用質量フィルタ。
【請求項5】
筒状容器の一端側にイオン源を配置し、筒状容器の他端側の放出部からイオンビームを放出するイオンビーム装置であって、前記筒状容器内のイオン源側に、光軸に垂直な面内で回転する所定の偏向角の回転電界を作る第一の偏向電極を配置すると共に、イオンビームの放出側に、前記第一の偏向電極の回転電界とは同じ周波数で所定の偏向角の光軸に垂直な面内で回転する回転電界を作る第二の偏向電極を配置し、前記第一及び第二の偏向電極の回転電界は、前記第一及び第二の偏向電極間に、複数の円筒状電極よりなるレンズシステムを設け、前記第一の偏向電極のイオン源側及び第二の偏向電極のイオンビーム放出側に、それぞれアパーチャを配置して構成したことを特徴とするイオンビーム装置。
【請求項6】
請求項5において、前記レンズシステムの略軸方向中間部には、イオンビーム通路の中央部分を遮蔽する遮蔽手段を配置して構成したことを特徴とするイオンビーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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