説明

イオン交換フィルタ

【課題】濾過流体中にイオン交換樹脂粒子などのコンタミが流出することなく、精密濾過フィルタを設置するスペースを新たに確保する必要がないイオン交換フィルタを得る。
【解決手段】 このイオン交換フィルタ1は、イオン捕捉粉体がバインダで付着されたイオン交換フィルターエレメント3を筐体内2,7,8に備えている。筐体内2,7,8のイオン交換フィルターエレメント3の2次側には、イオン捕捉粉体を分離する精密濾過フィルターエレメント5が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体や気体などの精密濾過に使用されるイオン交換フィルタであって、特にたとえば、イオン捕捉粉体の脱落による濾過流体の汚染が発生しないイオン交換フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造時に使用する洗浄液の精製,有機溶媒の精製、電子部品用原料液の精製,一般産業用液体中の有害なイオンの除去等を行う場合には、濾過流体中から特定のイオン不純物を除去するためにイオン交換フィルタが利用されてきた。イオン交換フィルタの濾材としては、繊維マトリックス全体に、濾過助剤とイオン交換樹脂粒子とを均一に分散してバインダで固定した濾材が利用されている(特許文献1参照)。この濾材は、通常、図8に示すように、細かくプリーツ加工が施されフィルターエレメント11として加工され、多数の孔を有する円筒形のコア12と、コアの外側に配置されるケージ13との間に配置され使用される。なお、ケージ13は、上下端から濾過流体が抜けないように、その上下にエンドプレート14が液密に封着されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2000−516133号公報
【特許文献2】特開2004−073924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に提案されている濾材は、イオン交換樹脂粒子をバインダを用いて繊維に付着させているため、濾過工程中に加わる振動や圧力によりイオン交換樹脂粒子が濾材から離脱する。そのため、図8ようなイオン交換フィルタを使用した場合には、濾過流体中に離脱したイオン交換樹脂粒子などの微細なゴミ、いわゆるコンタミネーション(以下、単にコンタミと称す)が混ざり込み濾過流体を汚染してしまう。コンタミは、生産システム等のシステム全体に悪影響を及ぼす場合があるため、イオン交換フィルタの下流に精密濾過フィルタを設置して、離脱したイオン交換樹脂粒子を濾過流体から除去していた。精密濾過フィルタは、イオン交換フィルタの下流に直列に設置される。そのため、イオン交換フィルタの設置場所の他に、精密濾過フィルタを設置するスペースを確保しなければならない問題があった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、濾過流体中にイオン交換樹脂粒子などのコンタミが流出することなく、精密濾過フィルタを設置するスペースを新たに確保する必要がないイオン交換フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、イオン捕捉粉体がバインダで付着されたイオン交換フィルターエレメントを筐体内に備えたイオン交換フィルタであって、筐体内のイオン交換フィルターエレメントの2次側にイオン捕捉粉体を分離する精密濾過フィルターエレメントを備えたことを特徴とする、イオン交換フィルタである。この場合には、イオン交換フィルターエレメントから脱離したイオン交換粉体などのコンタミは精密濾過エレメントにより除去される。また、筐体内に精密濾過フィルターエレメントが配置されているので、イオン交換フィルタ装置を設置するスペースとは別に、精密濾過装置を設置するスペースを新たに確保する必要がない。
【0006】
請求項2に記載の発明は、精密濾過フィルターエレメントが、イオン交換フィルターエレメントの内側にある、請求項1に記載のイオン交換フィルタである。この場合には、イオン交換フィルタの外側から内側に向けて濾過流体を流通させて使用するが、外周部にイオン交換フィルターエレメントを配することで濾過流体のイオン不純物を除去するのに十分な有効面積を確保することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかるイオン交換フィルタによれば、イオン捕捉粉体などのコンタミが濾過流体に混入することがなく、精密濾過装置のためにスペースを確保する必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明にかかるイオン交換フィルタの一実施の形態を示す一部を破断した斜視図解図である。図2は、図1の線II−IIにおける断面図解図である。
【0009】
イオン交換フィルタ1は、カバー2を有する。カバー2は、イオン交換フィルタ1の筐体の一部を構成し、内部に格納されるフィルターエレメント等を保護するためのものである。カバー2は、ポリプロピレン、ポリエチレンや、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などのプラスチックから形成され、その形状は円筒状に形成されている。また、カバー2は、側面全体に貫通孔2aが多数設けられており、濾過流体が外面から内面へ向けてスームズに流通するように構成されている。
【0010】
カバー2の内側には、図3に示すように、イオン交換フィルターエレメント3が配されている。なお、図3は、イオン交換フィルタを示す縦断面図解図である。イオン交換フィルターエレメント3は、濾過流体からイオン不純物を除去するための濾過体である。イオン交換フィルタは、図4に示すように、イオン除去性能を備えた濾材3aを、流入側サポート材3bと流出側サポート材3cとで挟み込んだ形に構成されている。なお、図4は、イオン交換フィルターエレメントを示す要部断面図解図である。
【0011】
濾材3aには、ポリプロピレン繊維等からなる不織布にイオン捕捉粉体をバインダで固着したものが用いられる。濾材3aにイオン捕捉粉体を固着すると濾材3aの孔径が小さくなって圧力損失が上昇する。そのため、濾材3aの種類としては、メンブレン膜といったような微細孔を有するものではなく、比較的大きい孔径分布を持つメルトブロー不織布やスパンボンド不織布といったものが用いられる。なお、ここで言うイオン捕捉粉体とは、濾過流体中からイオン不純物を捕捉して除去する機能を有する粉体のことを指し、具体的には、イオン交換樹脂、活性炭、天然ゼオライト、人工ゼオライト、光触媒、キレート粉体、帯電物質、無機吸着剤などの粉体が使用される。そして、流入側サポート材3bとしては、プリーツ状に成型された濾材3a同士の密着を防止できる厚さを有し、耐液性と通液性に優れた部材が適用可能であり、具体的には、ポリプロピレン等のプラスチックからなるネットまたはスパンボンド不織布などが使用される。また、流出側サポート材3cについても、流入側サポート材3bと同様な目的で使用され、プリーツ状に成型された濾材3a同士の密着を防止できる厚さを有し、耐液性と通液性に優れた部材が適用可能であり、具体的には、通液性に優れたスパンボンド不織布などが使用される。なお、流入側サポート材3bについては、プレフィルタの役目を備えさせる点で、平均細孔径は濾材3aの平均細孔径より大きいものを使用することが望ましい。
【0012】
濾材3aと流入側サポート材3bと流出側サポート材3cとは、重ね合わされた後、図3に示すように、所定の幅でプリーツ加工が施され、所定の寸法に裁断される。重ね合わされ裁断された部材は、円筒状となるようにその両端部同士が突き合わされた状態で液密に溶着され、イオン交換フィルターエレメント3とされる。
【0013】
イオン交換フィルターエレメント3の内側には、外部コア4が配されている。外部コア4は、イオン交換フィルターエレメント3を内側から支持し、後述する精密濾過フィルターエレメント4を外側から保護するためのものである。外部コア4は、ポリプロピレン、ポリエチレンや、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などのプラスチックから形成され、その形状は円筒状に形成されている。また、外部コア4は、側面全体に貫通孔4aが多数設けられており、カバー2と同様に、濾過流体が外側から内側へスムーズに流通できるように構成されている。
【0014】
外部コア4の内側には、精密濾過フィルターエレメント5が配されている。精密濾過フィルターエレメント5は、イオン交換フィルターエレメント3から脱離したイオン捕捉粉体を除去するためのものである。精密濾過フィルターエレメント5には、脱離したイオン捕捉粉体を捕捉可能な濾過精度を備えたメンブレン膜などの精密濾過材が使用されることが望ましい。例えば、衝撃粉砕により得られた平均粒径20μm、粒度分布が0.1μm〜40μmであるイオン交換樹脂粉体をバインダを用いて、濾過精度10μm(ここで、濾過精度10μmとは、10μm粒子の除去率が100%であることを表す。ちなみに同フィルタの5μm粒子での除去率は90%である)の濾材3aに固着したイオン交換フィルターエレメント3の場合、離脱したイオン交換樹脂粉体を除去する精密濾過フィルターエレメント5としては、濾過精度0.05μm〜10μmのものを使用することが望ましい。さらに望ましくは濾過精度0.05μm〜5.0μmのものを使用するのがさらに望ましい。精密濾過フィルターエレメント5の濾過精度が、0.05μm以上が好ましいのは、イオン交換樹脂粉体の最小粒子を除去できることが望ましいからであり、10μm以下というのはイオン交換フィルターエレメント3の濾材3aの濾過精度が10μmであるため、離脱したイオン交換樹脂粉体を除去する精密濾過フィルターエレメント5はそれよりも小さい濾過精度で良いからである。また、濾過精度10μmのイオン交換フィルターエレメント3から離脱したイオン交換樹脂粉体は5μm以下のものが90%以上含まれるため、それを効率的に捕捉する精密濾過フィルターエレメント5の濾過精度としては5μm以下のものがさらに好ましい。なお、精密濾過フィルターエレメント5の濾過精度・濾過効率については、上述した値に限らず、イオン交換フィルターエレメント3を使用したときに発生するコンタミを大きさに基いて、発生するコンタミを全て除去できる濾材が使用されてもよいし、イオン交換フィルタ1を使用するシステムが許容するコンタミの大きさや量に基いて、濾材の濾過精度・濾過効率が適宜設定されればよい。濾材は、一定の幅にプリーツ加工が施された後、所定のサイズに裁断される。裁断された不織布は、円筒状となるように、その両端部を突き合わせた状態で液密に溶着シールが施され、精密濾過フィルターエレメント5とされる。なお、プリーツ加工により得られた濾材には、1次側にサポート材を1枚または1次側および2次側にそれぞれ1枚のサポート材を設けてもよい。この場合、サポート材がプレフィルタの役目を果たし、濾材の寿命を長くすることができ、また、プリーツ加工された濾材同士が密着して濾過性能が低下することが防止できる。また、設置した精密濾過フィルターエレメント5の濾材面積を変えないで濾過流体の処理流量を増加させたい場合は、メンブレン膜に静電吸着処理を行ったものを使用することもできる。この場合、メンブレン膜の物理的な除去機能に加えて静電吸着による除去も併せて行われるので、通常の膜に比べて濾材の孔径をより大きくできその結果、処理流量をより増加することができる。
【0015】
精密濾過フィルターエレメント5の内側には、内部コア6が配されている。内部コア6は、精密濾過フィルターエレメント5を内側から支持するものである。内部コア6は、ポリプロピレン、ポリエチレンや、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などなどのプラスチックから形成され、その形状は円筒状に形成されている。また、内部コア6は、側面全体に貫通孔6aが多数設けられており、カバー2等と同様に、濾過流体が外側から内側へスムーズに流入できるように構成されている。
【0016】
カバー2の下部には、下部エンドプレート7が取付けられている。下部エンドプレート7は、イオン交換フィルタ1の筐体の一部を構成し、内部に格納されるフィルターエレメント等を保護するためのものである。下部エンドプレート7は、ポリプロピレン、ポリエチレンや、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などのプラスチックから形成される。下部エンドプレート7の形状は、平面形状正円形で、その外径はカバー2の外径と等しく形成されている。また、下部エンドプレート7の外周縁部7aおよび内周縁部7bは、図4に示すように垂直方向上方に向けて立設されている。なお、内周縁部7bの外縁には、全周に亘って切欠き7cが設けられている。切り欠き7cには、内部コア6の下端が嵌め入れられ、内部コア6が所定位置に配置される。さらに、下部エンドプレートの内面には、外部コア4の外径と略等しい径を有する円形リブ7dが垂直方向に立設されている。リブ7dの内縁部には全周に亘って、切欠き7eが形成されている。切欠き7eには、外部コア4の下端が嵌め入れられ、外部コア4が所定位置に配置される。また、外周縁部7aとリブ7dとの間には、イオン交換フィルターエレメント3が嵌め入れられ、カバー2と外部コア4との間にイオン交換フィルターエレメント3が配される。さらに、リブ7dと内周縁部7bとの間には、精密濾過フィルターエレメント5が嵌め入れられ、リブ7dと内部コア6との間にイオン交換フィルターエレメント3が配される。
【0017】
カバー2の上部には、上部エンドプレート8が取付けられている。上部エンドプレート8は、下部エンドプレートと同様に、イオン交換フィルタ1の外郭の一部を構成し、内部に格納されるフィルターエレメント等を保護するものである。さらに、上部エンドプレート8は、濾過された濾過流体を排出するための流出経路の役割も備えている。上部エンドプレート8は、ポリエチレン、ポリプロピレンや、PTFE,PFA等のフッ素樹脂などなどのプラスチックから形成されている。上部エンドプレート8の形状は、平面形状正円形で、その外径はカバー2の外径と等しく形成されている。また、上部エンドプレート8の外周縁部8aおよび内周縁部8bは、図4に示すように垂直方向下方に向けて立設されている。なお、内周縁部8bの外縁には、全周に亘って切欠き8cが設けられている。切り欠き8cには、内部コア6の上端が嵌め入れられ、内部コア6が所定位置に配置される。さらに、下部エンドプレートの内面には、外部コア4の外径と略等しい径を有する円形リブ8dが垂直方向に立設されている。リブ8dの内縁部には全周に亘って、切欠き8eが形成されている。切欠き8eには、外部コア4の上端が嵌め入れられ、外部コア4が所定位置に配置される。また、外周縁部8aとリブ8dとの間には、イオン交換フィルターエレメント3が嵌め入れられ、カバー2と外部コア4との間にイオン交換フィルターエレメント3が配される。さらに、リブ8dと内周縁部8bとの間には、精密濾過フィルターエレメント5が嵌め入れられ、リブ7dと内部コア6との間にイオン交換フィルターエレメント3が配される。上部エンドプレート8の中央部分には、排出口8fが設けられている。排出口8fは、イオン交換フィルタ1内部に流入し濾過された濾過流体を外部に排出するためのものである。排出口8fは、上部エンドプレート8の中央部分が円形に開口され、開口部分の縁が上方に向けて円筒状に突出するように設けられている。排出口8fは、適宜、システム下流に位置する装置類に接続され、濾過した濾過流体を下流の装置等に排出する。イオン交換フィルターエレメント3および精密濾過フィルタ5の上下端は、それぞれ上部エンドプレート7と下部エンドプレート8とに液密に溶着され、濾過流体が濾過されずに洩れでて排出口8fに排出されないように構成されている。
【0018】
引き続き、本発明にかかる別の実施の形態について説明を行う。なお、図5は、本発明にかかるイオン交換フィルタの別の実施の形態である。この実施の形態は、図1に示す実施の形態とは、格納される精密濾過フィルターエレメントが異なる。この実施の形態では、精密濾過フィルターエレメントに、濾過方向に厚みを有するデプス型の精密濾過フィルターエレメントを備えている。
【0019】
なお、上述の実施の形態では、イオン交換フィルターエレメントにプリーツ加工を施して作製したプリーツ型のイオン交換フィルターエレメントとプリーツ型の精密濾過フィルターエレメントとを組合せたものと、プリーツ型のイオン交換フィルターエレメントとデプス型の精密濾過フィルターエレメントとを組合せたものについて説明を行ったが、この発明にかかるイオン交換フィルタは、上記の組合せだけに限られることはない。例えば、図6に示すようにデプス型のイオン交換フィルタにプリーツ型の精密濾過フィルターエレメントを組合せたものや、図7に示すようにデプス型のイオン交換フィルタとデプス型の精密濾過フィルターエレメントとの組合せたものが適用されてもよい。
【0020】
上述したイオン交換フィルタ1には、図3に矢印で示すように、カバー1の外面から濾過流体が流し入れられ、内部のイオン交換フィルターエレメント3でイオン不純物が除去されたのち、さらに精密濾過フィルターエレメント5で濾過されて排出口8fから排出される。このときイオン交換フィルターエレメント3のイオン捕捉粉体が脱落して濾過流体中に混入しても、下流に配置されている精密濾過フィルターエレメント5によりイオン捕捉粉体が除去されるので、濾過流体がイオン交換フィルタ1から排出されるときには、濾過流体のイオン捕捉粉体は除去されている。上述した実施の形態では、カバー2の外側から排出口8fに向けて濾過流体を流通させる場合について説明を行ったが、これとは反対に、排出口8fからカバー2の外面に向けて濾過流体を流通させてもよい。この場合には、精密濾過フィルターエレメント5がイオン交換フィルターエレメント3の下流に位置するように、内部コア6と外部コア4との間にイオン交換フィルターエレメント3を配し、外部コア4とカバー2との間に精密濾過フィルターエレメント5を配すればよい。
【0021】
このように、本発明にかかるイオン交換フィルタによれば、イオン交換フィルターエレメントから脱落したイオン交換粉体が、イオン交換フィルタエレメン内に収納された精密濾過フィルターエレメントにより除去される。よって、濾過流体中にイオン交換粉体が、混入することがないのでコンタミが発生することがない。また、精密濾過フィルターエレメントがイオン交換フィルターエレメント内に収納されているので、従来のように、精密濾過フィルタを設ける設置場所を確保する必要がない。
【実施例】
【0022】
以下、幾つかの実施例を挙げて具体的に本発明にかかるイオン交換フィルタについて説明を行う。なお、各実施例において、ケージ1,外部コア4および内部コア6は同一の形状をしている。各部の形状の詳細は以下の通りである。
カバー:多孔性のポリプロピレン樹脂を用いて外径70mm円筒形に形成した。
外部コア:多孔性のポリプロピレン樹脂を用いて外径45mm,厚み2.5mmの円筒形に形成した。
内部コア:多孔性のポリプロピレン樹脂を用いて外径28mm、厚み2.5mmの円筒形に形成した。なお、イオン交換フィルタは、10インチの高さとなるように形成し、内部に格納されるイオン交換フィルターエレメント3および精密濾過フィルタ5は、それに対応した高さを有するものを使用した。
(実施例1)
イオン交換フィルターエレメント3にプリーツ型イオン交換フィルタを適用した。プリーツ型のイオン交換フィルターエレメント3の詳細は、下記の通りである。
【0023】
流入側サポート材:目開き縦1.8mm×横1.0mm、目付け45g/m2のポリプロピレン製ネット。
【0024】
濾材:目付け60g/m2、厚さ0.3mm、定格濾過精度10μm(10μm粒子の濾過効率が100%の意)のポリプロピレン製メルトブロー不織布にイオン交換樹脂粉体をバインダで固着(イオン交換樹脂粉体付着量42g/10インチフィルタ)
流出側サポート材;繊度3.3dtex、目付け20g/m2のポリプロピレン製スパンボンド不織布。
上記3つの部材を重ね合わせ、プリーツ幅10mmにプリーツ加工し、カバー2の内面と等しい外径で内径が45mmの円筒状となるように両端部を溶着し、カバー2と外部コア4の間に配置した。
【0025】
精密濾過フィルタ5にプリーツ型精密濾過フィルタを適用した。精密濾過フィルタ5の詳細は、下記の通りである。
【0026】
濾材:定格濾過精度0.5μm(0.5μm粒子の濾過効率が100%の意)のメンブレン膜をプリーツ幅6mmにプリーツ加工し、内径φ28mmの円筒状となるように両端部を溶着し、外部コア4と内部コア6との間に配置した。
【0027】
イオン交換フィルターエレメント3および精密濾過フィルタ5の上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着した。
(実施例2)
イオン交換フィルターエレメント3にプリーツ型イオン交換フィルタを適用した。プリーツ型のイオン交換フィルターエレメント3の詳細は、下記の通りである。
【0028】
流入側サポート材:目開き縦1.8mm×横1.0mm、目付け45g/m2のポリプロピレン製ネット。
【0029】
濾材:目付け60g/m2、厚さ0.3mm、定格濾過精度10μm(10μm粒子の濾過効率が100%の意)、のポリプロピレン製メルトブロー不織布にイオン交換樹脂粉体をバインダで固着(イオン交換樹脂粉体付着量42g/10インチフィルタ)
流出側サポート材;繊度3.3dtex、目付け20g/m2のポリプロピレン製スパンボンド不織布。
上記3つの部材を重ね合わせ、プリーツ幅10mmにプリーツ加工し、カバー2の内面と等しい外径で内径が45mmの円筒状となるように両端部を溶着し、カバー2と外部コア4の間に配置した。
【0030】
精密濾過フィルターエレメント5にデプス型精密濾過フィルタを適用した。精密濾過フィルターエレメント5の詳細は、下記の通りである。
【0031】
濾材:定格濾過精度0.5μm(0.5μm粒子の濾過効率が100%の意)のポリプロピレン製デプスフィルタを外径40mm、内径28mmの円筒状に成型し、外部コア4と内部コア6との間に配置した。
【0032】
イオン交換フィルターエレメント3および精密濾過フィルタ5の上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着した。
(実施例3)
イオン交換フィルターエレメント3にデプス型イオン交換フィルタを適用した。イオン交換フィルターエレメント3の詳細は、下記の通りである。
【0033】
濾材:ポリプロピレン繊維からなる定格濾過精度10μm(10μm粒子の濾過効率が100%の意)のデプスフィルタを、外径がカバー2の内径と等しく、内径が45mmとなるよう成型し、カバー2と外部コア4との間に配置した。(イオン交換樹脂粉体付着量42g/10インチフィルタ)
精密濾過フィルタ5にプリーツ型精密濾過フィルタを適用した。精密濾過フィルタ5の詳細は、下記の通りである。
【0034】
濾材:定格濾過精度が0.5μm(0.5μm粒子の濾過効率が100%の意)のメンブレン膜をプリーツ幅6mmにプリーツ加工し、内径φ28mmの円筒状となるように両端部を溶着し、外部コア4と内部コア6との間に配置した。
【0035】
イオン交換フィルターエレメント3および精密濾過フィルタ5の上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着した。
(実施例4)
イオン交換フィルターエレメント3にデプス型イオン交換フィルタを適用した。イオン交換フィルターエレメント3の詳細は、下記の通りである。
【0036】
濾材:ポリプロピレン繊維からなる定格濾過精度10μm(10μm粒子の濾過効率が100%の意)のデプスフィルタを、外径がカバー2の内径と等しく、内径が45mmとなるよう成型し、カバー2と外部コア4との間に配置した。(イオン交換樹脂粉体付着量42g/10インチフィルタ)
精密濾過フィルターエレメント5にデプス型精密濾過フィルタを適用した。精密濾過フィルターエレメント5の詳細は、下記の通りである。
【0037】
濾材:定格濾過精度0.5μm(0.5μm粒子の濾過効率が100%の意)のポリプロピレン製デプスフィルタを外径40mm、内径28mmの円筒状に成型し、外部コア4と内部コア6との間に配置した。
【0038】
イオン交換フィルターエレメント3および精密濾過フィルタ5の上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着した。
(比較例1)
イオン交換フィルターエレメント3にプリーツ型イオン交換フィルタを適用した。プリーツ型のイオン交換フィルターエレメント3の詳細は、下記の通りである。
【0039】
流入側サポート材:目開き縦1.8mm×横1.0mm、目付け45g/m2のポリプロピレン製ネット。
【0040】
濾材:目付け60g/m2、厚さ0.3mm、定格濾過精度10μm(10μm粒子の濾過効率が100%の意)のポリプロピレン製メルトブロー不織布にイオン交換樹脂粉体をバインダで固着(イオン交換樹脂粉体付着量42g/10インチフィルタ)
流出側サポート材;繊度3.3dtex、目付け20g/m2のポリプロピレン製スパンボンド不織布。
上記3つの部材を重ね合わせ、プリーツ幅10mmにプリーツ加工し、カバー2の内面と等しい外径で内径が45mmの円筒状となるように両端部を溶着し、カバー2と外部コア4の間に配置した。
【0041】
イオン交換フィルターエレメント3の上下端は、それぞれ上部エンドプレートと下部エンドプレートとに液密に溶着した。なお、イオン交換フィルタは10インチの高さのものとし、内部に格納されるイオン交換フィルターエレメント3は、それに対応した高さを有するものを使用した。
【0042】
以上の実施例1乃至4の性能を検証するために、実施例1乃至実施例4および比較例1について、同じ条件のもと性能実験を行った。なお、実験の内容は、イオン交換フィルタに、純水を流量12.0リットル/分で2時間流した後、パーティクルカウンタ(リオン株式会社製)により10ml中に含まれるのイオン交換樹脂粉体の粒子数の測定するというものである。
【0043】
実験の結果を、表1に示す。表1の数値からわかるように、本発明にかかるイオン交換フィルタの実施例は、従来型の比較例と比べて、大幅に流出するイオン捕捉粉体の数を大幅に削減することができる。
【0044】
【表1】

なお、本発明にかかるイオン交換フィルタについて実施例を用いて具体的に説明を行ったが、本発明はこれらに限定されることはない。請求の範囲の範囲内において所望する効果が得られるように、適宜変更され実施されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかるイオン交換フィルタの一実施の形態を示す一部を破断した斜視図解図である。
【図2】図1の線II−IIにおける断面図解図である。
【図3】イオン交換フィルタを示す縦断面図解図である。
【図4】イオン交換フィルターエレメントを示す要部断面図解図である。
【図5】本発明にかかるイオン交換フィルタの別の実施の形態を示す断面図解図である。
【図6】本発明にかかるイオン交換フィルタのまた別の実施の形態を示す断面図解図である。
【図7】本発明にかかるイオン交換フィルタのさらに別の実施の形態を示す断面図解図である。
【図8】従来のイオン交換フィルタを示す一部を破断した図解図である。
【符号の説明】
【0046】
1 イオン交換フィルタ
2 カバー
3 イオン交換フィルターエレメント
4 外部コア
5 精密濾過フィルターエレメント
6 内部コア
7 下部エンドプレート
8 上部エンドプレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン捕捉粉体がバインダで付着されたイオン交換フィルターエレメントを筐体内に備えたイオン交換フィルタであって、
前記筐体内のイオン交換フィルターエレメントの2次側に前記イオン捕捉粉体を分離する精密濾過フィルターエレメントを備えたことを特徴とする、イオン交換フィルタ。
【請求項2】
前記精密濾過フィルターエレメントが、イオン交換フィルターエレメントの内側にある、請求項1に記載のイオン交換フィルタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−798(P2006−798A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182015(P2004−182015)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(394010506)
【Fターム(参考)】