説明

イオン交換プロセスにより変性されたカラゲナン

ある組成物はイオン交換されたカラゲナンを含む。このカラゲナンは、慣用的に抽出されたιもしくはκカラゲナンまたは中性で抽出されたιもしくはκカラゲナンであってもよい。このイオン交換されたカラゲナンは、そのイオン交換されていない対照物と比べて、低下したゲル化陽イオン含有量、低下したゲル化温度、および低下した融点を有する。このイオン交換されたカラゲナンは、特有のゲル化温度および融点を有するカラゲナン生成物を形成するために、別のカラゲナンと混合されてもよい。イオン交換されたカラゲナン組成物を製造するためのプロセスもまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、発明の名称「Ion Exchange Resin Process for Use with Carrageenan(カラゲナンとともに使用するためのイオン交換樹脂プロセス)」の2008年3月14日出願の米国仮特許出願第61/207,856号、および発明の名称「Kappa Carrageenan Products and Methods for Making(κカラゲナン生成物および製造方法)」の、2008年3月14日出願の米国仮特許出願第61/207,858号、および発明の名称「Carrageenan Process and Apparatus(カラゲナンプロセスおよび装置)」の、2008年3月14日出願の米国仮特許出願第61/207,857号の優先権の利益を主張する。これらの開示は、その全体を参照により本願明細書に援用したものとする。
【0002】
本発明は、カラゲナン組成物およびそれを製造するためのプロセスに関する。より具体的には、本発明は、減少したゲル化陽イオンを有するι(イオタ)カラゲナン組成物またはκ(カッパ)カラゲナン組成物、およびカラゲナンエキスの中のゲル化陽イオンを低下させることをもたらすプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
カラゲナンの生産は、引潮の間に熊手を用いて、または岸に打ち上げられた海藻を集めることによってヤハズツノマタ(chondrus crispus)という紅藻類の種の植物が最初に収穫されたアイルランドに遡ることができる。収穫後、この海藻は、典型的には洗浄され、日光漂白され(sun−bleached)、乾燥され、そしてミルクとともに煮沸され、プディングが作られた。この海藻自体は「アイリッシュ・モス」と呼ばれ、欧州のほとんどによく知られるようになった後、19世紀のアイルランド人の移民がそれを米国にそしてカナダにも持ち込んだ。
【0004】
今日、この海藻のプディングはアイルランドの文化史にほとんど限定されているが、カラゲナンは、水系の中でゲルを形成する際の機能性食品添加剤としてのその有効性のため、はるかにより重要になった。この水系の中でゲルを形成することは、ビール(この用途では、カラゲナンは、150年を超える年月にわたって清澄剤(fining)として使用されてきた)から加工肉ならびにミルク飲料およびデザートなどの食品まで;経口投与されるゲルカプセルなどの医薬調剤;練り歯磨きおよびスキンケア調剤などのパーソナルケア製品;ならびに消臭剤ジェルおよびクリーニングゲルなどの家庭用品を含めた実に様々な応用例でカラゲナンを有用なものにする。
【0005】
カラゲナンの抽出および生産の現代の方法は、最近の50年でかなり進歩した。今日、野生で育った海藻から集めるよりも、Kappaphycus cottonii(Kappaphycus alvarezii)、Euchema spinosum(Euchema denticulatum)などのカラゲナン含有植物、および上述のヤハズツノマタは、特に地中海の一部において、およびインド洋の多くにわたっておよびアジアの太平洋の海岸線に沿って、より一般的にナイロンロープに沿って播種され、大量養殖栽培事業で収穫されているということが、恐らくは非常に重要である。19世紀のプロセスにおけるのとまさに同じように、現代のプロセスにおいても、さらなる加工前に、この海藻原料はまず、不純物を除去するために水の中で徹底的に洗浄され、次いで乾燥される。次いで、Stanleyらに対する特許文献1(この開示は参照により本願明細書に援用したものとする)に記載されているように、カラゲナンはこの洗浄された海藻から抽出され、これと同時に、低濃度のアルカリ塩の添加によってわずかにアルカリ性にされた溶液(すなわち、この溶液のpHは例えば9〜10の範囲まで上げられる)の中にその海藻を入れて、次いでこの溶液を約80℃の温度に約20分間から2時間もの長い時間のあいだ加熱することによるアルカリ変性にかけられる。
【0006】
カラゲナンがゲル化および融解する温度は多くの要因に依存するが、その要因としてはとりわけゲル化陽イオン(カリウムおよびカルシウムイオンなど)の濃度が挙げられる。一般的に言えば、ゲル化陽イオンの濃度が高いほど、カラゲナンのゲル化温度および融点は高い。このような陽イオンは、カラゲナンがゲル化剤として添加される組成物に由来するだけでなく、そのカラゲナン自体からも由来する可能性がある。
【0007】
比較的高いゲル化陽イオン濃度を有するカラゲナン生成物は、比較的高い温度での加工を必要とする。より低い温度でのプロセスは加工時間を節約し、費用がより安く、かつカラゲナンが含まれている組成物の調製に悪影響を及ぼさないため、一般に、より低い温度でのプロセスが好ましい。より高い温度は中に含まれる基本の食材を損なう可能性がある食品組成物については、より低い温度での加工はとりわけ重要である。
【0008】
カラゲナン含有海藻をアルカリ変性にかけると、得られたカラゲナン生成物の中のゲル化陽イオン濃度を低下させるという所望の結果が得られる。しかしながら、このゲル化陽イオンレベルを減らすことができる程度は限られている。なぜなら、その海藻の中のカラゲナンを解重合(従って、損傷)しないように比較的低い濃度のアルカリだけが使用されてもよいからである。このように、ゲル化陽イオン濃度が減らされるとしても、ゲル化陽イオン濃度は依然として高い。
【0009】
例えば、アルカリ変性プロセスが使用されない場合(つまり、中性の抽出プロセスにおいて)、ιまたはκカラゲナンの中の典型的な陽イオン濃度レベルは、
【表1】

である。
【0010】
水酸化カルシウムをアルカリ変性剤として利用する特許文献1におけるように、アルカリ変性工程がこれらのゲル化陽イオン濃度を減少させるために使用される場合(つまり、慣用的な抽出プロセスにおいて)、ιまたはκカラゲナンの中の得られた陽イオン濃度レベルは、
【表2】

である。
【0011】
分かるように、特許文献1に教示されるアルカリ変性工程はマグネシウムおよびナトリウムイオンのレベルを著しく減少させたが、カリウムおよびカルシウムなどの他のゲル化陽イオンは減少させなかった。
【0012】
対照的に、特許文献2におけるように水酸化ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどの他のアルカリが使用される場合、ιカラゲナン中の典型的な陽イオンレベルは、
【表3】

である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3,094,517号明細書
【特許文献2】米国特許第6,063,915号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の内容を考慮すると、カラゲナンを解重合することもなく、何らかの他の形でカラゲナンを損傷することもなく、ゲル化陽イオンの濃度を低下させ、これによりゲル化温度および融点を低下させるためのプロセスについての当該技術分野のニーズがある。加えて、製造プロセスによって生産されるカラゲナン材料の融点およびゲル化温度を正確に制御する製造を可能にするであろうプロセスについてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの実施形態によれば、ある組成物はイオン交換プロセスにかけられたιカラゲナンを含む。このイオン交換されたιカラゲナンは、約6mg/gカラゲナン〜約35mg/gカラゲナンのカリウム含有量;約13mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量;および約5mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量を有する。
【0016】
別の実施形態によれば、ある組成物は、イオン交換プロセスにかけられた慣用的に抽出されたκカラゲナンを含む。このイオン交換されたκカラゲナンは、約5mg/gカラゲナン〜約30mg/gカラゲナンのカリウム含有量;約7mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量;および約0.2mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量を有する。
【0017】
別の実施形態によれば、ある組成物は、イオン交換プロセスにかけられた中性で抽出されたκカラゲナンを含む。このイオン交換されたκカラゲナンは、約4mg/gカラゲナン〜約30mg/gカラゲナンのカリウム含有量;約3mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量;および約3mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量を有する。
【0018】
別の実施形態によれば、このイオン交換されたカラゲナンは、パーソナルケア製品、食品、家庭用品、または医薬製品において使用されてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態によれば、イオン交換されたカラゲナン組成物を生産するためのプロセスは、(a)水系処理溶液を用いてカラゲナン出発物質を抽出して、ιまたはκカラゲナンエキスを形成する工程と、(b)このカラゲナンエキスを酸性の陽イオン交換材料と接触させ、このカラゲナンエキスの陽イオン含有量を減少させて、イオン交換されたカラゲナンエキスを生産する工程とを含む。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、イオン交換されたカラゲナン組成物を生産するためのプロセスは、(a)第1のゲル化温度および第1の融点を有する第1のカラゲナンエキスを準備する工程と、(b)この第1のゲル化温度とは異なる第2のゲル化温度およびこの第1の融点とは異なる第2の融点を有する第2のイオン交換されたカラゲナンエキスを準備する工程と、(c)この第1のカラゲナンエキスおよび第2のイオン交換されたカラゲナンエキスを混合して、第1のゲル化温度と第2のゲル化温度との間の第3のゲル化温度および第1の融点と第2の融点との間の第3の融点を有する第3のカラゲナン生成物を形成する工程とを含む。
【0021】
上記の概要、および以下の、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれると、よりよく理解されるであろう。本発明を例証する目的で、現在のところ好ましい実施形態がそれらの図面に示されている。しかしながら、本発明は示されているまさにその配置および手段に限定されないということは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】κカラゲナンのゲル化温度および融点に対するイオン交換材料濃度の効果を示す。
【図2】慣用的なκカラゲナンの陽イオン組成に対するイオン交換材料濃度の効果を示す。
【図3】中性のκカラゲナンの陽イオン組成に対するイオン交換材料濃度の効果を示す。
【図4】イオン交換されていないκカラゲナンエキスおよび1リットルのエキスあたり100gのイオン交換材料を使用してイオン交換されたκカラゲナンエキスの1:1混合物のゲル化温度および融点を示す。
【図5】慣用的なイオン交換されていないκカラゲナンおよび慣用的なイオン交換されたκカラゲナンの1:1混合物の陽イオン組成を示す。
【図6】中性で抽出されたイオン交換されていないκカラゲナンおよび中性で抽出されたイオン交換されたκカラゲナンの1:1混合物の陽イオン組成を示す。
【図7】ιカラゲナンのゲル化温度および融点に対するイオン交換材料濃度の効果を示す。
【図8】慣用的なιカラゲナンの陽イオン組成に対するイオン交換材料濃度の効果を示す。
【図9】中性のιカラゲナンの陽イオン組成に対するイオン交換材料濃度の効果を示す。
【図10】イオン交換されていないιカラゲナンエキスおよびエキス1リットルあたり100gのイオン交換材料を使用してイオン交換されたιカラゲナンエキスの混合物のゲル化温度および融点を示す。
【図11】慣用的なイオン交換されていないιカラゲナンおよび慣用的なイオン交換されたιカラゲナンの1:1混合物の陽イオン組成を示す。
【図12】中性で抽出されたイオン交換されていないιカラゲナンおよび中性で抽出されたイオン交換されたιカラゲナンの1:1混合物の陽イオン組成を示す。
【図13】例示的な実施形態に係るイオン交換されたカラゲナン混合物を製造するための例示的なプロセスを示す。
【図14】慣用的なιカラゲナン混合物のゲル化温度および融点を示す。
【図15】イオン交換されていない慣用的なιカラゲナン生成物およびイオン交換された慣用的なιカラゲナン生成物の乾燥混合物のゲル化温度および融点を示す。
【図16】κカラゲナン系における陽イオンレベルに対する、イオン交換樹脂濃度および沈殿用アルコール濃度の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願明細書で使用されるすべての部数、百分率および比は、特段の記載がない限り、重量によって表される。本願明細書に引用されたすべての文献は、参照により援用される。
【0024】
「アルカリ」は、ブレンステッド−ローリー(Bronsted−Lowry)の定義による塩基を意味する。すなわち、アルカリは、プロトン移動反応においてプロトンを受け取る分子またはイオンである。
【0025】
「溶液」は、限定する意図はないが例えば不均一系混合物、懸濁液、混合物、ゾル、ゲル、分散液、またはエマルションの形態の2以上の物質のいずれかの組み合わせを意味する。
【0026】
「慣用的な」、「慣用的に抽出された」、または「慣用的に処理された」カラゲナンは、加工の間に高温でアルカリ溶液と接触されることによりアルカリ変性にかけられるカラゲナンを意味する。
【0027】
「中性の」、「中性で抽出された」、または「中性で処理された」カラゲナンは、加工の間にアルカリ溶液に接触されなかったカラゲナンを意味する。
【0028】
本願明細書に記載される種々の例示的な実施形態は、カラゲナン生成物、より具体的にはιおよびκカラゲナンに関する。カラゲナンは、一般的な繰り返しの、それぞれb−(1−4)およびa−(1−3)結合したガラクトースおよび3,6−アンヒドロガラクトース残基として、および特徴的な4位で結合した3,6−アンヒドロ−a−D−ガラクトースおよび3位で結合したb−D−ガラクトース−4−スルフェート基を有するとしてより具体的に記載されてもよい。κカラゲナンは、1つの硫酸基の存在だけがιカラゲナンとは異なる。これらの分子は右巻き二重らせんで配列し、これらの鎖は平行かつ三回対称的であり(threefold)、ここでもιおよびκカラゲナンはこの点で非常に類似しているが、κカラゲナンはわずかにより多く乱れたらせんを形成する。このらせんは、O−2およびO−6の非置換の位置だけを介しての、そのらせんから外に向かって突き出ているスルフェート基との鎖間水素結合により安定化されている。
【0029】
上述したように、ゲル化陽イオンの存在とゲル化との間には強い相関がある。理論によって限定されることはないが、三次元的なゲルのネットワークを形成するためのそれらの鎖の隣り合わせでの相互作用を容易にするNa、K、Rb、Cs、NH、Ca2+などのゲル化(主に、一価の)陽イオンおよびカルシウム原子などのいくつかの二価の陽イオンを介して、ゲルがカラゲナンの中で形成されると考えられる。より高い温度におけるランダムに配向したコイルとしてのカラゲナンからゲル化したネットワークへの正確な変換機構は、いくらか議論の主題となっている。温度が低下するにつれて、カラゲナン分子のランダムコイルは再び凝集してゲルを形成する。ゲル化の1つのモデルでは、ゲルはカラゲナン分子の、二重らせんへの形成によって作り上げられる。特定の形態のカラゲナン(κカラゲナンなど)では、これらの二重らせんは、上述のゲル化陽イオンの影響によってそれ自体が隣り合って凝集して、二重らせんの凝集体を形成し、最終的には三次元的な秩序あるゲルのネットワークのドメインさえ形成するする可能性がある。あるいは、冷却の際に、カラゲナン分子のランダムコイルは二重らせんを形成せず1本のらせん構造だけを形成すること、およびこれらの1本のらせん構造は1本のらせんを形成し、このらせんで、らせんの屈曲部に取り込まれたゲル化陽イオンが分子間凝集を促進することが示唆されてきた。
【0030】
種々の例示的な実施形態によれば、カラゲナン組成物を作製するためのプロセスは、カラゲナン含有海藻のエキスをイオン交換樹脂と接触させてカラゲナンの中のゲル化陽イオンの量を減少させる工程を含む。この例示的な実施形態は、具体的にはκおよびιカラゲナンに関するが、広い範囲のカラゲナン材料にも同様に適用されてもよい。
【0031】
例示的な実施形態によれば、このカラゲナンはカラゲナン含有材料から抽出されてもよい。カラゲナン含有材料としては例えば、紅藻が挙げられる。カラゲナンは、公知のおよび後に開発される技術に従ってこのカラゲナン含有物質から抽出されてもよい。例えば、このカラゲナンは、完全にアルカリ変性されたプロセス、または一部アルカリ変性されたプロセスで抽出されてもよいし(すなわち、「慣用的に処理される」)、またはアルカリ変性されていないプロセス、例えば海藻が中性条件下で抽出される(すなわち、「中性で処理される」)プロセスで抽出されてもよい。アルカリ変性されたプロセスまたは一部アルカリ変性されたプロセスでは、カラゲナンは、典型的に水系の処理溶液として水に溶解された水酸化ナトリウム、ならびにその対応する炭酸塩および炭酸水素塩などのアルカリに接触される。このような処理化合物は、唯一の水を除いて、中性で処理されたプロセスでは利用されない。抽出のための適切な技術は、米国特許第3,094,517号、動第3,907,770号および米国特許出願公開第2008−0317927号(これらの開示は、その全体を参照により本願明細書に援用したものとする)で論じられている。
【0032】
例示的な実施形態では、上記の慣用的に処理されるまたは中性で処理される抽出プロセスによってもたらされるカラゲナンエキスは、種々のレベルのゲル化陽イオンを含む。このゲル化陽イオンとしては、例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびナトリウムが挙げられる。1つの例示的な実施形態では、慣用的なιカラゲナンエキスは約50mg/g K、約21mg/g Ca、約3mg/g Mg、および約25mg/g Naを含有してもよい。陽イオンの含有量は、本願明細書ではmg/gとして表され、これは本願明細書で使用する場合、1グラムのカラゲナンあたりの陽イオンのミリグラムを指す。別の例示的な実施形態では、中性のιカラゲナンエキスは約54mg/g K、約6mg/g Ca、約7mg/g Mg、および約22mg/g Naを含有してもよい。別の例示的な実施形態では、慣用的なκカラゲナンエキスは約49mg/g K、約20mg/g Ca、約0.4mg/g Mg、および約10mg/g Naを含有してもよい。別の例示的な実施形態では、中性のκカラゲナンエキスは約48mg/g K、約4mg/g Ca、約5mg/g Mg、および約11mg/g Naを含有してもよい。
【0033】
例示的な実施形態では、上記の慣用的に処理されるまたは中性で処理される抽出プロセスによってもたらされるカラゲナンエキスは、特徴的なゲル化温度(T)および融点(T)を有する。例えば、上記のゲル化陽イオン含有量を有する慣用的なιカラゲナンは約40℃のTおよび約47℃のTを有してもよい。上記のゲル化陽イオン含有量を有する中性のιカラゲナンは約25℃のTおよび約38℃のTを有してもよい。上記のゲル化陽イオン含有量を有する慣用的なκカラゲナンは約37℃のTおよび約62℃のTを有してもよい。上記のゲル化陽イオン含有量を有する中性のκカラゲナンは約38℃のTおよび約52℃のTを有してもよい。
【0034】
種々の実施形態では、当該カラゲナンエキスはエキス溶液として準備されてもよい。例えば、乾燥されたエキスは水に溶解されてエキス溶液が形成されてもよいし、またはそのエキスがアルカリ条件下で作製される場合、このエキス溶液は中和工程から得られる溶液であってもよい。例示的な実施形態では、エキス溶液は、約1%〜約5%カラゲナン、より好ましくは約2%カラゲナン(すなわち、1000グラムの溶液あたり約20グラムのカラゲナンエキス)を含んでもよい。
【0035】
例示的な実施形態によれば、当該カラゲナンエキスはイオン交換材料と接触されてもよい。イオン交換は、液体媒体(水溶液など)中のイオンが、その液体媒体に不溶性の不動の固体粒子に結合された同じ電荷を帯びたイオンと交換される、可逆的な化学反応である。用語「イオン交換材料」または「イオン交換樹脂」は、本願明細書で使用する場合、すべてのこのような物質を指す。このイオン交換樹脂は、イオン交換基が結合しているポリマー支持体の架橋されているという性質に起因して不溶性になっている。イオン交換樹脂は、交換に利用できる正に帯電した移動性のイオンを有する酸性の陽イオン交換体、および利用できる負に帯電したイオン、典型的に水酸化物イオンを有する塩基性の陰イオン交換体として分類される。
【0036】
種々の例示的な実施形態では、当該イオン交換材料は酸性の陽イオン交換樹脂である。例示的な酸性の陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸陽イオン交換樹脂、カルボン酸陽イオン交換樹脂、アクリル酸陽イオン交換樹脂またはリン酸陽イオン交換樹脂などの有機酸交換樹脂が挙げられる。種々の例示的な実施形態では、当該イオン交換材料はスルホン酸陽イオン交換材料である。例示的なスルホン酸陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ならびにこれらの組み合わせおよび混合物が挙げられる。種々の例示的な実施形態では、当該イオン交換樹脂は、その酸形態、またはその金属イオン形態、すなわち、ナトリウム形態で準備されてもよい。上記のものなどの酸性の陽イオン交換樹脂は市販されている。例示的な陽イオン交換樹脂としては、以下の商標名、ランクセス社(LANXESS AG)によるLEWATIT S 1468;ならびにロームアンドハース社(Rohm and Haas Company)によるAMBERLITE 252 Na、AMBERLITE 200C Na、およびAMBERLITE IR 120 Na、で販売されているものなどの、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体に基づく強酸陽イオン交換樹脂のナトリウムイオン形態が挙げられる。本願明細書で提示される指針を使用すれば、当該技術分野の当業者なら、例示的な実施形態とともに使用するための適切な酸性の陽イオン交換樹脂を選択することができるであろう。
【0037】
例示的な実施形態では、イオン交換プロセス工程の結果として、当該カラゲナンエキスは、減少したレベルのゲル化陽イオンを有してもよい。例えば、当該イオン交換材料がナトリウム形態の酸性の陽イオン交換樹脂である例示的な実施形態では、カラゲナンエキスがそのイオン交換材料と接触するとき、このカラゲナンの二価のイオンCaおよびMgは減少されて、一価のNaイオンと交換されてもよい。慣用的なιカラゲナンについては、この例示的なイオン交換プロセス工程は、Ca含有量を約13mg/g未満まで減少させてもよく、かつMg含有量を約2mg/g未満まで減少させてもよく、かつNa含有量を約45mg/gを超えるまで増加させてもよい。中性のιカラゲナンについては、このイオン交換プロセスは、Ca含有量を約5mg/g未満まで減少させてもよく、かつMg含有量を約5mg/g未満まで減少させてもよく、かつNa含有量を約45mg/gを超えるまで増加させてもよい。慣用的なκカラゲナンについては、このイオン交換プロセス工程は、Ca含有量を約7mg/g未満まで減少させてもよく、かつMg含有量を約0.2mg/g未満まで減少させてもよく、かつNa含有量を約30mg/gを超えるまで増加させてもよい。中性のκカラゲナンについては、このイオン交換プロセスは、Ca含有量を約5mg/g未満まで減少させてもよく、かつMg含有量を約5mg/g未満まで減少させてもよく、かつNa含有量を約30mg/gを超えるまで増加させてもよい。
【0038】
特定のプロセス条件下で、このイオン交換プロセス工程はこのカラゲナンエキスの中のカリウムレベルも低下させるということも、予想外にも見出された。例えば、慣用的なιカラゲナンおよび中性のιカラゲナンでは、Kレベルは35mg/g未満まで低下する可能性があり、慣用的なκカラゲナンおよび中性のκカラゲナンでは、Kレベルは30mg/g未満まで低下する可能性がある。
【0039】
いずれの特定の理論によっても拘束されるつもりはないが、ゲル化陽イオン、特にK、Ca、およびMg陽イオンの減少は、当該カラゲナンのゲル化温度および融点の低下に対応すると考えられる。例えば、ゲル化陽イオンを減少させることにより、慣用的なιカラゲナンは約18℃〜30℃の低下したT、および約27℃〜約37℃の低下したTを有してもよい。中性のιカラゲナンについては、ゲル化陽イオンを減少させることで、約5℃〜約17℃の低下したT、および約17℃〜約27℃の低下したTがもたらされてもよい。慣用的なκカラゲナンについては、ゲル化陽イオンを減少させることで、約10℃〜約27℃の低下したT、および約23℃〜約45℃の低下したTがもたらされてもよい。中性のκカラゲナンについては、ゲル化陽イオンを減少させることで、約10℃〜約35℃の低下したT、および約23℃〜約45℃の低下したTがもたらされてもよい。
【0040】
例示的な実施形態によれば、使用されるイオン交換材料の量は、エキス溶液の中のカラゲナンエキスの濃度に応じて変わるであろう。そのエキス溶液の中のエキスの濃度がより高いほど、より低い濃度のエキス溶液に関するのと同じ効果を得るために、より多くのイオン交換材料が使用されなければならないであろう。例示的な実施形態では、当該イオン交換材料の濃度は、溶液中で約0.5g/gカラゲナン〜約10g/gカラゲナン、より好ましくは溶液中で約1.25g/gカラゲナン〜約10g/gカラゲナン、より好ましくは溶液中で約2.5g/gカラゲナン〜約10g/gカラゲナンの範囲であってもよい。当該エキス溶液が2%カラゲナンエキスを含む例示的な実施形態では、当該イオン交換材料の濃度は、約10g/l〜約200g/l、より好ましくは約25g/l〜約200g/l、より好ましくは約50g/l〜約200g/lの範囲であってもよい。
【0041】
例示的な実施形態によれば、当該イオン交換プロセス工程の間の温度は、当該カラゲナンが溶解することを確実にするのに十分高くなければならないが、このイオン交換樹脂に対する損傷を防止するのに十分低くなければならない。種々の例示的な実施形態では、このイオン交換プロセス工程の温度は、約30℃〜約90℃、好ましくは約50℃〜約80℃、より好ましくは約60℃〜約70℃の範囲内であってもよい。
【0042】
種々の例示的な実施形態では、このイオン交換プロセス工程は非常に速く行われ、当該イオン交換工程は連続プロセスに適合される。例えば、当該カラゲナンエキスまたは溶液は、イオン交換樹脂が充填されたカラムに通されてもよく、この場合は当該エキスの流量およびそのカラムの高さが、当該エキスがイオン交換されうる程度を一部は決定する。当該イオン交換プロセスがバッチプロセスで行われてもよい実施形態では、当該イオン交換プロセス工程は約5〜30分、好ましくは20〜30分を要してもよい。
【0043】
種々の例示的な実施形態では、当該イオン交換されたカラゲナンは、公知の技術に従って沈殿、乾燥および/または粉砕されてもよい。例示的な実施形態では、当該イオン交換された粉末カラゲナンエキスは、それ自体で組成物または消費者製品として使用されてもよい。例示的な実施形態に係るカラゲナンの生産のためのプロセスの他の態様は特に限定はされず、必要に応じて、従来のカラゲナン技術を使用してもよい。本願明細書で示される特定の工程に加えて、当該例示的な実施形態のプロセスはさらに、典型的にカラゲナン生産に関連する付加的なプロセスを含んでもよい。
【0044】
種々の例示的な実施形態では、このイオン交換されたカラゲナンは、1以上のさらなるカラゲナンエキスと組み合わされ、または混合され、またはブレンドされてもよい。これらの実施形態では、同じカラゲナンの種類が一緒に使用されるであろうということ、すなわち、ιカラゲナンはιカラゲナンと組み合わされ、κカラゲナンはκカラゲナンと組み合わされるであろうということが想定される。このイオン交換されたカラゲナンをさらなるカラゲナンエキスとブレンドすることで、特有のゲル化特性および融解特性を有する組成物が提供されるということが予想外にも見出された。特定の理論によって拘束されるつもりはないが、混合されたときにその2つのカラゲナン材料は相互作用してイオンを共有し、単に2つの異なるカラゲナンの混合物というよりはむしろ、混成の特性を有するカラゲナン組成物を生じると考えられる。例えば、第1のTおよび第1のTを有するイオン交換されたカラゲナンがそれぞれ第1のTおよび第1のTよりも高い第2のTおよび第2のTを有するイオン交換されていないカラゲナンと混合されると、得られるカラゲナン混合物は第1のTと第2のTとの間の第3のTおよび第1のTと第2のTとの間の第3のTを有するであろう。このカラゲナン混合物の得られるTおよびTは、2つの最初のカラゲナン画分の量の比に関連する。同様に、このカラゲナン混合物は、その2つの最初のカラゲナン画分の割合に関連して、その2つの最初のカラゲナン画分の含有量の間にあるゲル化陽イオン含有量をも有する可能性がある(これは、下記の実施例でさらに例証される)。この2つの最初のカラゲナン画分の割合を制御することにより、当該カラゲナン混合物の特性を制御することができる。
【0045】
種々の実施形態では、当該イオン交換されたカラゲナンは、上記の出願された米国特許出願で論じられた以前の出願において開示されたもの、ならびに米国特許出願公開第2008−0317926号、同第2008−0317790号、同第2008−0317789号、および同第2008−0317791号(これらの開示は、その全体を参照により本願明細書に援用したものとする)において開示されたものなどのイオン交換されていないカラゲナン組成物またはイオン交換されたカラゲナン組成物と組み合わされてもよい。
【0046】
例示的な実施形態では、2以上のカラゲナンが溶液またはゲルの形態で組み合わされてもよい。他の例示的な実施形態では、この2以上のカラゲナンは個々に乾燥粉末へと加工され、次いでその乾燥形態で一緒に混合されてもよい。ゲルの調製のあいだ、この2以上の画分の中に存在する陽イオンは、上記のとおり相互交換してカラゲナン混合物を形成してもよい。
【0047】
種々の例示的な実施形態は、そのイオン交換されたカラゲナンエキスを含む混合物を作製するためのプロセスを提供する。図13を参照すると、例示的なプロセス1では、カラゲナンエキス10(慣用的にまたは中性で抽出されたιまたはκカラゲナンエキスなど)は圧力下で弁20へと通されてもよい。弁20は、入力通路10からの流れを2つの部分:第1のエキス部分22、および第2のエキス部分25へと制御して分けることができるいずれかの装置であってもよい。例えば、弁20は、分配弁または他の似た装置であってもよい。弁20は、第2のエキス部分25をイオン交換体30へ、およびその中へと導いてもよい。例示的な実施形態では、イオン交換体30は、ナトリウム形態の酸性の陽イオン交換体などのイオン交換材料を収容する。イオン交換材料の量、およびこのイオン交換体を通る液体の流量は、このイオン交換プロセスの効率(すなわち、交換されたイオンの量)を決定する可能性がある。第2のエキス部分25がイオン交換体30を流れるにつれて、この第2のエキス部分のカラゲナンはそのイオン交換材料と接触し、このカラゲナンのゲル化陽イオン含有量を減少させ、イオン交換された第2のエキス部分35を生成する。イオン交換された第2のエキス部分35および第1のエキス部分22は継ぎ手40で出会う。継ぎ手40は、イオン交換された第2のエキス部分35および第1のエキス部分22を組み合わせてカラゲナン混合物45を生成することができるいずれの装置であってもよい。例えば、継ぎ手40は混合弁(blend valve)またはT型継ぎ手(T−コネクタ)であってもよい。本願明細書で提示される指針を使用すれば、液体の流れ系に精通している当業者は、弁20、イオン交換体30、および継ぎ手40、ならびにプロセス1の他の要素に適した装置をどのようにして選択すべきかを理解するであろう。
【0048】
例示的な実施形態によれば、プロセス1を通る流れを自動的にまたは手動により制御するために、1つの手段が備えられてもよい。例えば、弁20および/もしくは継ぎ手40への、ならびに/または弁20および/もしくは継ぎ手40から出る流れを調整するための1つの手段が備えられてもよい。1以上のセンサ(例えば、流体流量センサ、温度センサ、圧力センサ、など)が、プロセス1を通る流体流れをモニターするために1以上の通路および弁に配置されていてもよい。これらのセンサは、コンピューターまたは他のディスプレイ端末などの入力/出力装置に送信されてもよい信号を生成してもよい。人間の操作者はこれらの信号をモニターし、弁20および/または継ぎ手40を通る流れ、または他のプロセス設定値を調整してもよい。あるいは、このプロセス設定値の調整は、例えばコンピュータープログラムの中にある予めプログラムされたアルゴリズムを用いて自動化されていてもよい。本願明細書で提示される指針を使用すると、流体の流れ系に精通している当業者は、プロセス1を通る液体流れを制御するための適切な手段をどのようにして選択すべきかを理解するであろう。
【0049】
例示的な実施形態によれば、プロセス1は、予め定めたゲル化温度および融点を有するカラゲナンエキスを生産するために使用されてもよい。第1のTおよびTを有するイオン交換されていないカラゲナンエキス(すなわち、慣用的にまたは中性で抽出されたιまたはκカラゲナンエキスなど)は水に溶解されて、圧力下で弁20へとポンプ輸送されてもよいエキス溶液10が生産されてもよい。次いで弁20は、エキス溶液10を2つの部分、当該エキス溶液と同じ第1のTおよびTを有する第1の部分22、およびイオン交換体30に向けられる第2の部分25に分けてもよく、イオン交換体30は、第2の部分25を第1のTおよびTよりも低い第2のTおよびTを有するイオン交換された第2の部分35へと変換する。第1の部分22およびイオン交換された第2の部分35が継ぎ手40で合わされると、得られるカラゲナン混合物45は、それぞれ第1のTと第2のTとの間、および第1のTと第2のTとの間の第3のTおよびTを有する。弁20および/または継ぎ手40は、合わされてカラゲナン混合物45を生成するイオン交換された第2の部分35の量に対する第1の部分22の量の比を変えるように調整されてもよい。第3のTおよびTは、イオン交換された第2の部分35に対する第1の部分22の比に比例して変わるであろう。言い換えれば、融点およびゲル化温度は、イオン交換された第2の部分35に対する第1の部分22の割合を調節するために弁20および/または継ぎ手40の設定値を制御することにより、上昇または低下される可能性がある。
【0050】
種々の例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は、種々の製品で使用されてもよい。イオン交換されたカラゲナンは、従来のカラゲナン生成物を用いて可能な温度よりも低い温度でゲル化および/または融解が起こらなければならない製品において特に有益である。例えば、上記例示的な実施形態のカラゲナン生成物は、消臭剤ジェル;油中水型エマルション(スキンケアローション剤および低脂肪マーガリンなど);カプセル剤などの医薬品;および加工肉、鳥肉および魚肉製品などの種々の製品に組み込まれてもよい。これらの製品は、下記でおよび米国特許出願公開第2008−0317683号(この開示は、その全体を参照により本願明細書に援用したものとする)でより詳細に論じられる。
【0051】
例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は、消臭剤ジェルなどの家庭用品で使用されてもよい。例示的な消臭剤ジェルは、1以上の非イオン性界面活性剤を含有し、このジェルが特定の温度(「曇り点」と呼ばれる。典型的に非イオン性界面活性剤は約0℃〜約60℃の範囲の曇り点を有する)よりも上に加熱されると、非イオン性界面活性剤はあまり溶解しなくなり、このジェルから沈殿して、曇った不透明なジェルに導く。本発明のカラゲナン生成物は、当該界面活性剤の曇り点で、または曇り点より下でゲル化するように調整することができ、従って当該界面活性剤の結晶がそのジェルの中で凍結することを防止し、そうして得られた消臭剤ジェルが曇って不透明になることを防止する。
【0052】
例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は低温設定消臭剤ジェルで使用されてもよい。従来の消臭剤ジェルはその組成物を約70〜90℃に加熱することによって作製され、その後、冷却中にゲル化が起こる。しかしながら、芳香剤材料のうちのいくらかは加熱の間に蒸発するため、この加熱は、消臭剤配合物の中で使用される芳香剤の実質的な喪失をもたらす。上記例示的な実施形態のカラゲナン生成物は、室温でまたは室温より下の温度で溶解するように調整することができ、これにより、芳香剤の喪失はなくなる。いったん溶解すると、この液体消臭剤配合物は、カラゲナンと合わせてゲルのネットワークを形成するゲル化陽イオン(上で論じたように)を含む、その最終容器の中へと注ぎ込むことができる。このような陽イオンは、消臭剤配合物を容器の中へと充填する前にその容器の中へと直接加えられてもよいし、またはこの陽イオンはその容器を予めコーティングするフィルムコーティングなどのコーティングとして加えられてもよい。陽イオンが静止条件下で消臭剤配合物の中へと拡散するにつれて、この消臭剤配合物は均一なジェルへとゲル化するであろう。
【0053】
例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は、食品またはパーソナルケア製品で使用するためのものなどの油中水型エマルションで使用されてもよい。油中水型エマルションは、水滴の不連続相が分散した連続的な油相によって特徴付けられる。多くの場合、そのエマルションがその水溶性の構成成分を放出するように、この油中水型エマルションが特定の温度で水中油型エマルションへと反転することが所望される。1つの例はマーガリンである。マーガリンでは、エマルションは口の中で反転し、水溶性の芳香および塩類を放出する。ゼラチンはその水相が油相と同じ温度で融解することを確実にするので、ゼラチンは、この水相の好ましい安定剤である。その温度というのはほぼ口の中の温度であり、従って、唾液および口の中のせん断を通して、このエマルションは水中油型エマルションへと反転し、芳香および塩類を放出する。従来のカラゲナン生成物は、口の中の温度で融解するゲルを形成することはできないが、本発明のカラゲナン生成物は、まさにそうするように調整することができる。
【0054】
パーソナルケア製品に関しては、ほとんどのスキンケアローション剤は、水相が連続相である水中油型エマルションとして生産されている。そうするとスキンケアローション配合物の中で防腐剤を使用することが必要になるため、これは不利である。防腐剤はホルモンといくらかの類似性を有するので、スキンケアローション剤の中の防腐剤、特にパラベン型の防腐剤をなくしたいという要求がある。上記例示的な実施形態のカラゲナン生成物を使用すると、油中水型エマルションの形態のスキンケアローションを提供することが可能になる。これらの油中水型エマルションでは、油の連続相は防腐剤を必要とはしないが、この油中水型エマルションは、皮膚の温度およびそのローションをすりこむことから生じるせん断で、広がりうる水中油型エマルションに反転するであろう。1つの例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は20〜80%の油を含む油中水型エマルションで使用されてもよく、そのエマルションは約37〜50℃の範囲の温度で反転する。
【0055】
種々の例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は、香味の封入または薬物の封入のためなどの封入のために使用されてもよい。封入されている薬剤が熱に敏感である場合は、上記例示的な実施形態のイオン交換されたカラゲナン生成物は、その薬剤を低温で封入することができる。イオン交換されたカラゲナンまたはカラゲナン混合物は、イオン交換特性を変えることにより、または所望のTおよびTを有するカラゲナンを与えるように計算された比で2つのカラゲナンをブレンドすることにより、封入された薬剤を所定の目的の温度範囲内で放出するように特別に配合されてもよい。1つの例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は、約37〜50℃の範囲の温度で放出されなければならない薬物を封入するために、医薬製品において使用されてもよい。
【0056】
種々の例示的な実施形態では、イオン交換されたカラゲナンまたはそのイオン交換されたカラゲナンを含む混合物は、加工肉、鳥肉および魚肉製品において使用されてもよい。加工肉、鳥肉および魚肉製品は、約72℃の低温殺菌温度で熱処理されることが多い。このような製品の水相は、典型的には最高約3%の塩化ナトリウムを含有し、この塩化ナトリウムが従来のカラゲナン生成物の溶解を妨げる。本発明のカラゲナン生成物は、この低温殺菌温度または低温殺菌温度より下の温度で溶解するように調整することができ、このことは、カラゲナン生成物の溶解、従って、最終の加工肉、鳥肉または魚肉製品におけるより均一なゲルにつながる。
【0057】
上記例示的な実施形態は、これより、以下の限定を意図しない実施例に関連して、より詳細に説明される。これらの実施例およびそれらの付随する本文の説明は、当該例示的な実施形態のプロセスの詳細な説明および実験的なプロセスから得られた結果を提示する。これらの結果のさらなる分析が提示され、そして可能な理論的説明によって補足される。
【実施例】
【0058】
実験方法:
以下の実験設備、材料および方法を、本実験を実施する際に使用した。これらの実験方法の適用は、例示的な実施形態を例証して、先行技術の文脈の中にそれを置く、下記の具体的な実施例の節で導入される。
【0059】
設備
・ 温度制御を備えた、マグネチックスターラーおよびヒーター、例えばJanke & Kunkel GmbH、ドイツによって製造されたIkamag Ret。
・ ビーカー、1リットルおよび2リットル。
・ 2リットルのコニカルフラスコ、ブフナー漏斗および真空ポンプ。
・ 濾布。
・ レオメータ − Thermo Electron GmbH、ドイツによって製造されたカップ Z20/48 mmおよびローター Z20 DIN を備えるHaake RheoStress RS100。
・ 化学天秤(小数点以下2桁まで秤量する) − Sartorius GmbH、ドイツによって製造されたSartorius Basic B3100P。
・ オートクレーブ、25リットル。
【0060】
化学物質:
・ メチル−4−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム、分析用、Merck,KGaA、ドイツ、ダルムシュタット イソプロピルアルコール、100%
・ グリセリン、分析用、Scharlau Chemie、スペイン、バルセロナ。
・ レモン油、H.N.Fusgaard、デンマーク、レズオウア(Roedovre)。
・ Cremophor RH 40、BASF、ドイツ、ルードヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)。
・ イオン交換樹脂、Lewatit(登録商標) S−1468、ナトリウム形態の酸性の陽イオン交換樹脂、LANXESS、ドイツ、レーバークーゼン(Leverkusen)。
【0061】
慣用的なカラゲーン(carrageen)抽出方法:
【0062】
「慣用的な」カラゲナン抽出は、上記のとおり米国特許第3,094,517号および同第3,907,770号に従って実施した。具体的には以下の工程によった。
1. カラゲナンを過剰の水酸化カルシウムを用いて抽出し、高温で24時間放置して、完全なアルカリ変性をもたらした。
2. 次いでこのエキスを濾過し、二酸化炭素を用いてpH 約9まで中和し、再度濾過し、3体積分の100% イソプロパノールの中に沈殿させた。
3. 次いでこの沈殿物を圧しつけ、70℃で一晩乾燥し、0.250mmのふるい上で粉にした。
【0063】
中性のカラゲーン抽出方法:
【0064】
脱イオン水を用いた海藻の中性での抽出は、以下のプロセスに従って実施した:
1. 海藻を1リットルの脱イオン水中で3回洗浄し、冷蔵庫の中で保存した。
2. 約130gの洗浄した海藻を10リットルのビーカーの中に入れた。
3. 7500mlの沸騰する脱イオン水を加え、90℃で1時間抽出を実施した。
4. 抽出された海藻を、珪藻土を濾過助剤として用いて濾過した。
5. 濾過したエキスを3体積分の100% イソプロパノールの中に沈殿させ、手で圧しつけ、70℃で一晩乾燥した。次いで、最終的に0.250mmのふるい上で粉にした。
【0065】
溶解したカラゲナンのイオン交換:
1. 20gの乾燥したカラゲナンを1リットルの脱イオン水に分散させ、撹拌しながら70℃に加熱することにより溶解させた(2%溶液が生成する)。
2. 種々の量のイオン交換樹脂をこの熱い溶液に加え、この混合物を70℃で種々の時間のあいだ静置した。
3. この後、この混合物をナイロン布上で濾過し、この液体を3体積分の100% イソプロピルアルコールの中で沈殿させ、500mlの100% イソプロピルアルコールの中で1回洗浄した。
4. この沈殿物を70℃で一晩乾燥し、0.250mmのふるい上で粉にした。
【0066】
中性のκカラゲナン海藻エキスのイオン交換:
【0067】
中性のκカラゲナンエキスのイオン交換は、以下のようにして実施した:
1. 600gの乾燥E.cottonii海藻を、生産プラントからの水の中で4回洗浄した。
2. 洗浄した海藻を15リットルの生産プラントからの水とともにオートクレーブに入れ、100℃で30分間抽出した。
3. 抽出された海藻をふるいにかけ、約90℃の温度で3〜4時間静置した。
4. このエキスを珪藻土のフィルターで濾過し、カラゲナンの濃度を決定するために少量の試料をイソプロピルアルコールの中で沈殿させた。
5. このエキスの試料を、異なる量のイオン交換樹脂を用いて70℃で30分間イオン交換した。
6. このイオン交換樹脂を、ふるいを用いて除去し、このエキスを3体積分のイソプロピルアルコールの中に沈殿させた。
【0068】
カラゲナンについてのゲル化温度および融点の測定
【0069】
カラゲナン組成物のゲル化温度および融点の測定を、以下のカラゲナンを取り込んだ組成を有する組成物を使用して行った。
【表4】

【0070】
この組成物は、以下のようにして調製した:
1. 水、グリセリンおよびパラベンを混合した。
2. 海藻エキスをこの混合物に分散させ、約60分間撹拌した。
3. この分散液を撹拌しながら70℃に加熱した。
4. 次いでこの分散液を55〜60℃まで冷却した。
5. レモン油、イソプロピルアルコールおよびCremophor RH 40の熱い(約50℃)調製物を、この冷却した分散液の中へと混合した。
6. 全体の重量を熱い(約60℃)水を用いて調整し、室温で一晩冷却した。
【0071】
ゲル化温度および融点は、1℃/分の冷却および加熱速度を使用して、Haake RheoStress RS100での温度掃引により測定した。しかしながら、ゲル化温度および融点がより高いいくつかの例では以下のプログラムを通常は使用した。このプログラムはより高い出発温度およびより低い最終温度で実行した:
1. 65〜5℃、0.50Pa、f=0.4640Hz
2. 5〜65℃、0.50Pa、f=0.4640Hz
3. ゲル化温度は、弾性係数、G’が粘性係数、G”と交差する冷却掃引の間の温度として定義する。
4. 融点は、弾性係数、G’が粘性係数、G”と交差する加熱掃引の間の温度として定義する。
【0072】
これより、上記の設備、材料および方法を用いて実施した以下の限定を意図しない実施例に関して、本発明をより詳細に記載する。
【0073】
以下の実施例は、「慣用的な」方法および「中性での」抽出方法によりEucheuma cottoniiおよびEucheuma Spinosumを処理することにより得られた結果に関する。さらなるカラゲナン材料を、それを当該イオン交換プロセスにかけることにより、例示的な実施形態に従って調製した。従って、イオン交換プロセスで処理したカラゲナンから得られた結果は、比較となる、先行技術の「慣用的な」および「中性での」抽出と比較とした。
【0074】
実施例1:慣用的なおよび中性のκカラゲナンのイオン交換
【0075】
この実施例では、上で提示したそれぞれの方法を使用してEucheuma cottoniiを抽出し、「慣用的なκカラゲナン」および「中性のκカラゲナン」を生成した。次いで、これらのエキスの溶液(2% カラゲナン溶液)を、上で提示した方法を使用して、50g/l、100g/l、および200g/lの濃度(それぞれ2.5g/gカラゲナン、5g/gカラゲナン、および10g/gカラゲナン)のナトリウム形態の酸性の陽イオン交換樹脂を用いてイオン交換した。これらの試料溶液の各々を3体積分の100% イソプロピルアルコールの中に沈殿させ、70℃で一晩乾燥し、0.250mmのふるい上で粉にした。ゲル化イオン含有量、ゲル化温度(T)および融点(T)を、各イオン交換されていない対照試料(0g/lと同定した)およびイオン交換した試料について測定した。結果を下記の表1および表2、ならびに図1〜図3に示す。
【表5】

【表6】

【0076】
上記の表および図1で分かるように、当該κカラゲナン試料をナトリウム形態の酸性の陽イオン交換材料と接触させることにより、慣用的なκカラゲナンおよび中性のκカラゲナンを用いて作製したゲルは低下したTおよびTを有した。加えて、イオン交換濃度が増加するにつれてこのTおよびTは低下し、濃度が200g/lに近づくにつれて最終的には漸減した。慣用的なκカラゲナン試料については、イオン交換された試料についてのTは約10℃〜約27℃の範囲であり、Tは約23℃〜約45℃の範囲であった。中性で抽出されたκカラゲナン試料については、イオン交換された試料についてのTは約10℃〜約35℃の範囲であり、Tは約23℃〜約45℃の範囲であった。
【0077】
上記の表および図2および図3で分かるように、当該κカラゲナン試料をナトリウム形態の酸性の陽イオン交換材料と接触させることにより、このカラゲナンのゲル化陽イオン含有量は低下した。ナトリウムイオンを除いて、このイオン交換材料の濃度が増加するにつれて、各陽イオンのレベルは減少した。対照的に、ナトリウム形態のイオン交換樹脂について予測されるとおり、ナトリウムレベルはイオン交換によって増加した。慣用的なκカラゲナン試料については、イオン交換された試料のカリウム含有量は5〜30mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のカルシウム含有量は0〜7mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のマグネシウム含有量は0〜0.2mg/gの範囲であった。中性のκカラゲナン試料については、イオン交換された試料のカリウム含有量は4〜30mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のカルシウム含有量は0〜3mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のマグネシウム含有量は0〜3mg/gの範囲であった。すべての試料について、陽イオン含有量は、最終的には約70g/lの濃度(このデータの内挿に基づく)で横ばいになった。言い換えると、慣用的にまたは中性で抽出されたκカラゲナンについては、70g/l(3.5g/gカラゲナン)以上のイオン交換濃度を用いて最低レベルのゲル化陽イオンを達成することができた。
【0078】
表1および図1および図2の慣用的なκカラゲナンのデータを比較すると、すべてのゲル化陽イオンのうちで、カリウム含有量がゲル化温度および融点の大きさに最も強く相関しており、特にこのイオン交換濃度が約50g/l(2.5g/gカラゲナン)よりも高い場合はそうであった。同様に、表2および図1および図3の中性のκカラゲナンのデータを比較すると、カリウム含有量がゲル化温度および融点の大きさに最も強く相関しており、特にこのイオン交換濃度が約50g/l(2.5g/gカラゲナン)よりも高い場合はそうであった。
【0079】
(実施例2:κカラゲナンの混合物)
【0080】
混合物を、慣用的なκカラゲナンおよび中性のκカラゲナンの両方について、以下のようにして調製した。イオン交換されていないκカラゲナン(0g/lと示す)を、1:1の比で、100g/l ナトリウム形態の酸性の陽イオン交換樹脂(5g/gカラゲナン)でイオン交換したκカラゲナンと混合することにより、カラゲナン混合物を調製した。この混合物を70℃で作製し、撹拌しながら70℃で5分間〜約1000分間放置し、この混合プロセスのあいだ周期的に試料を採取した。これらの試料溶液の各々を3体積分の100% イソプロピルアルコールの中で沈殿させ、70℃で一晩乾燥し、0.250mmのふるい上で粉にした。ゲル化イオン含有量、T、およびTを各混合物試料について測定した。結果を上記の表1および表2、ならびに図4〜図6に示す。
【0081】
図4〜図6は、イオン交換されていないκカラゲナンとイオン交換されたκカラゲナンとの混合の結果を示す。図4は、イオン交換されていないκカラゲナンエキスと100g/l イオン交換樹脂(慣用的なκカラゲナンおよび中性のκカラゲナンの両方とも)のイオン交換樹脂濃度でイオン交換したκカラゲナンエキスとの1:1混合物について、経時的にTおよびTを示す。図4で分かるように、この2つのカラゲナン画分を混合して15分と経たないのうちに、この混合物のTおよびTはそれぞれの個々のκカラゲナン画分のTおよびTのおよそ中間となった。
【0082】
図5は、イオン交換されていない慣用的なκカラゲナンエキスと100g/lのイオン交換樹脂濃度でイオン交換した慣用的なκカラゲナンエキスとの1:1混合物について、経時的にゲル化陽イオン組成を示す。図6は、イオン交換されていない中性のκカラゲナンエキスと100g/lのイオン交換樹脂濃度でイオン交換した中性のκカラゲナンエキスとの1:1混合物について、経時的にゲル化陽イオン組成を示す。この図で、データは、この2つのカラゲナン画分を混合した後ほとんどすぐに、得られた混合物の陽イオン組成はそれぞれの個々のκカラゲナン画分の陽イオン組成のおよそ中間となったということを示す。
【0083】
(実施例3:慣用的なιカラゲナンおよび中性のιカラゲナンのイオン交換)
【0084】
この実施例では、上で提示したそれぞれの方法を使用してEucheuma spinosumを抽出し、「慣用的なιカラゲナン」および「中性のιカラゲナン」を生成した。次いで、これらのエキスの溶液(2% カラゲナン溶液)を、上で提示した方法を使用して、50g/l、100g/l、および200g/l(それぞれ2.5g/gカラゲナン、5g/gカラゲナン、および10g/gカラゲナン)のナトリウム形態の酸性の陽イオン交換樹脂濃度を用いてイオン交換した。これらの試料溶液の各々を3体積分の100% イソプロピルアルコールの中に沈殿させ、70℃で一晩乾燥し、0.250mmのふるい上で粉にした。ゲル化イオン含有量、TおよびTを、各イオン交換されていない対照試料(0g/lと同定した)およびイオン交換した試料について測定した。結果を下記の表3および表4、ならびに図7〜図9に示す。
【表7】

【表8】

【0085】
上記の表および図7で分かるように、当該ιカラゲナン試料をナトリウム形態の酸性の陽イオン交換材料と接触させることにより、慣用的なιカラゲナンおよび中性のιカラゲナンを用いて作製したゲルは低下したTおよびTを有した。加えて、イオン交換濃度が増加するにつれてTおよびTは減少し、濃度が200g/l(10g/gカラゲナン)に近づくにつれて最終的には横ばいになった。慣用的なιカラゲナン試料については、イオン交換された試料についてのTは約18℃〜約30℃の範囲であり、Tは約27℃〜約37℃の範囲であった。中性で抽出したιカラゲナン試料については、イオン交換された試料についてのTは約5℃〜約17℃の範囲であり、Tは約17℃〜約27℃の範囲であった。
【0086】
上記の表および図8および図9で分かるように、当該ιカラゲナン試料をナトリウム形態の酸性の陽イオン交換材料と接触させることにより、このカラゲナンのゲル化陽イオン含有量は低下した。ナトリウムイオンを除いて、イオン交換材料の濃度が増加するにつれて、各陽イオンのレベルは減少した。対照的に、ナトリウム形態のイオン交換樹脂について予測されるとおり、ナトリウムレベルはイオン交換によって増加した。慣用的なιカラゲナン試料については、イオン交換された試料のカリウム含有量は6〜35mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のカルシウム含有量は0〜13mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のマグネシウム含有量は0〜2mg/gの範囲であった。中性のιカラゲナン試料については、イオン交換された試料のカリウム含有量は6〜35mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のカルシウム含有量は0〜5mg/gの範囲であり、このイオン交換された試料のマグネシウム含有量は0〜5mg/gの範囲であった。すべての試料について、陽イオン含有量は、最終的には約70g/l濃度(このデータの内挿に基づく)で横ばいになった。言い換えると、慣用的に抽出したまたは中性で抽出したιカラゲナンについては、70g/l(3.5g/gカラゲナン)以上のイオン交換濃度を用いて最低レベルのゲル化陽イオンを達成することができた。
【0087】
表3および図7および図8の慣用的なιカラゲナンのデータを比較すると、すべてのゲル化陽イオンのうちで、カリウム含有量がゲル化温度および融点の大きさに最も強く相関しており、特にこのイオン交換濃度が約50g/l(2.5g/gカラゲナン)よりも高い場合はそうであった。同様に、表4および図7および図9の中性のιカラゲナンのデータを比較すると、カリウム含有量がゲル化温度および融点の大きさに最も強く相関しており、特にこのイオン交換濃度が約50g/l(2.5g/gカラゲナン)よりも高い場合はそうであった。
【0088】
(実施例4:ιカラゲナンの混合物)
【0089】
混合物を、慣用的なιカラゲナンおよび中性のκカラゲナンの両方について、以下のようにして調製した。イオン交換されていないιカラゲナン(0g/lと示す)を、1:1の比で、100g/l ナトリウム形態の酸性の陽イオン交換樹脂(5g/gカラゲナン)でイオン交換したιカラゲナンと混合することにより、カラゲナン混合物を調製した。この混合物を70℃で作製し、撹拌しながら70℃で5分間〜約1000分間放置し、この混合プロセスのあいだ周期的に試料を採取した。これらの試料溶液の各々を3体積分の100% イソプロピルアルコールの中で沈殿させ、70℃で一晩乾燥し、0.250mmのふるい上で粉にした。ゲル化イオン含有量、T、およびTを各混合物試料について測定した。結果を上記の表3および表4、ならびに図10〜図12に示す。
【0090】
図10〜図12は、イオン交換されていないιカラゲナンとイオン交換されたιカラゲナンとの混合の結果を示す。図10は、イオン交換されていないιカラゲナンエキスと100g/l イオン交換樹脂(慣用的なιカラゲナンおよび中性のιカラゲナンの両方とも)のイオン交換樹脂濃度でイオン交換したιカラゲナンエキスとの1:1混合物について、経時的にTおよびTを示す。図10で分かるように、この2つのカラゲナン画分を混合して15分と経たないうちに、この混合物のTおよびTはそれぞれの個々のιカラゲナン画分のTおよびTのおよそ中間となった。
【0091】
図11は、イオン交換されていない慣用的なιカラゲナンエキスと100g/lのイオン交換樹脂濃度でイオン交換した慣用的なιカラゲナンエキスとの1:1混合物について、経時的にゲル化陽イオン組成を示す。図12は、イオン交換されていない中性のιカラゲナンエキスと100g/lのイオン交換樹脂濃度でイオン交換した中性のιカラゲナンエキスとの1:1混合物について、経時的にゲル化陽イオン組成を示す。この図で、データは、この2つのカラゲナン画分を混合した後ほとんどすぐに、得られた混合物の陽イオン組成はそれぞれの個々のιカラゲナン画分の陽イオン組成のおよそ中間となったということを示す。
【0092】
これまでの実施例は、イオン交換プロセスにおけるカラゲナン生産のいくつかの態様を示す。しかしながら、カラゲナンの2つの画分が溶解した形態で接触される時間は綿密には制御されなかった。この合わせた画分の調製の間、接触時間は制御したが、エアーゲル(air gel)試料の調製の間の接触時間、冷却の間の接触時間、およびエアーゲル試料を測定するまでの接触時間は、特には制御せず、数時間から数日までばらついていた。従って、上記2つのカラゲナン画分の中のイオンがどれだけ速く分子レベルでの平衡を作り出すかは確定していなかった。
【0093】
(実施例5:慣用的なιカラゲナンの混合物)
【0094】
この実験では、個々のエアーゲル調製物を70℃で形成するために、2つの「慣用的なιカラゲナン」画分を作製した。1つの画分はイオン交換しなかったが、他方の画分は、100g/l ナトリウム形態の酸性の陽イオン交換材料(5g/gカラゲナン)でイオン交換した。次いでこれらの別々のエアーゲル調製物を、60℃で混合し、すぐにレオメータに移して、測定した。この2つのエアーゲル画分を混合した時から測定を開始した時までに経過した時間は5分未満であった。結果を下記の表5および図14に示す。
【表9】

【0095】
上記のデータおよび図14から分かるように、イオン交換された慣用的なιカラゲナンおよびイオン交換されていない慣用的なιカラゲナンの混合物については、個々のカラゲナン画分の濃度とゲル化温度および融点との間には直線関係がある。1:1の比では、ゲル化温度および融点は表3にあるものと同一であった。
【0096】
(実施例6:水および油の中での乾燥したιカラゲナンの混合物)
【0097】
以下の実験では、実施例5の結果を生成するために使用したものと同じ2つの慣用的なιカラゲナン画分の乾燥混合物を混合し、以下のようにして水および油と合わせた。第1の試料では、0.12gのイオン交換されていない材料を0.12gのイオン交換された材料と混合し、水相に分散させた。この材料が適正に分散するとすぐに、この分散液を70℃に加熱し、60℃まで冷却し、50℃の熱い油相に加えた。この加熱の間、約35〜40℃で低粘度化(thinning out)が起こることが観察された。この混合物を45℃まで冷却し、すぐにレオメータの中へと注ぎ込んだ。分散の開始から測定の開始までの時間は16分間であった。この第1の試料についてのTおよびTを、図15にグラフで示す。
【0098】
第2の試料では、0.12gのイオン交換されていない材料を0.12gのイオン交換された材料と混合し、50℃で油相に分散させた。次いで70℃の熱い水相をこの油相に加え、1分間混合した。この試料をすぐにレオメータに移した。分散から測定の開始までの時間は5分間であった。この第2の試料のTおよびTを、図15にグラフで示す。
【0099】
これらの結果は、異なるTおよびTを有するカラゲナン画分を乾燥混合して、依然として同じ結果を得ることができる、すなわち、個々のカラゲナン画分の間のTおよびTであるTおよびTを有するカラゲナンゲルを得ることができるということを実証する。この実施例では、ιカラゲナンの乾燥した画分を混合して、このような乾燥混合物を水相に溶解させ、またはまずこのような乾燥混合物を油相に分散させた後には、得られたゲルのTおよびTは、個々のカラゲナン画分のTの間およびTの間に入った。カラゲナンの乾式混合は、カラゲナン画分の特注の乾燥混合物を提供することが容易である場合があるため、カラゲナンの乾式混合は有益である。
【0100】
(実施例7:海藻エキスのイオン交換)
【0101】
上記の実施例では、イオン交換は、溶解したカラゲナンに対して行った。しかしながら、商業生産では、このイオン交換は、典型的には海藻からのカラゲナンエキスに対して行われることになろう。この実施例では、中性のκカラゲナン海藻エキスを調製し、上記の方法に従ってイオン交換プロセスにかけた。溶解したカラゲナンを使用する実験と比較して、海藻エキスを用いた実験は、生産プラントからの水およびアルコールを使用した。プラントからのこの水およびアルコールはともに、典型的には、実験室の脱イオン水および精留されていないアルコールよりも多くの陽イオンを含有する。
【0102】
ゲル化陽イオン含有量を、これらの中性で抽出したκカラゲナン試料について測定した。(プラントからの)80%および100% イソプロピルアルコールを使用して沈殿させた試料についての結果を下記の表6、および図16に示す。
【表10】

【0103】
最初の問題として、これらの結果は、海藻エキスからのイオン交換されていない中性で抽出したκカラゲナンは、溶解したカラゲナンを用いて作製した中性のκカラゲナン試料の陽イオン含有量よりも高い陽イオン含有量を有していたということを示す。理論によって拘束されるつもりはないが、これは、少なくとも一部は、商業生産で使用される水およびアルコールの中のより高い負荷量の陽イオンに起因すると考えられる。100% IPAを用いて沈殿させた試料についてのナトリウムおよびカリウムレベルは、80% IPAを用いて沈殿させた試料についてのナトリウムおよびカリウムレベルよりもわずかに高かった。
【0104】
表6および図16で分かるように、中性で抽出したκカラゲナンをナトリウム形態の酸性の陽イオン交換材料と接触させることにより、そのカラゲナンのゲル化陽イオン含有量は(溶解したカラゲナンに関して観察された結果と同様に)減少した。ナトリウムイオンを除いて、イオン交換材料の濃度が増加するにつれて、各陽イオンのレベルは減少した。対照的に、ナトリウム形態のイオン交換樹脂について予測されるとおり、ナトリウムレベルはイオン交換材料の濃度の増加に伴って増加した。加えて、沈殿の間の異なる量のイオン交換材料および異なるアルコール%におけるゲル化陽イオン含有量。
【0105】
この実施例は、カラゲナンのエキスをイオン交換するとき、イオン交換材料の量は、溶解したカラゲナンについて必要な量と比べて増やされる必要がある場合があるということを示す。図16のデータを内挿することにより、カリウム含有量は、約120g/l(2% 溶液について、すなわち6g/gカラゲナン)のイオン交換濃度で、最小の含有量で横ばいになったように見える。カルシウムおよびマグネシウム含有量は、約100g/l(5g/gカラゲナン)のイオン交換濃度で、最小の含有量で横ばいになったように見える。ナトリウム含有量は、約120g/l(6g/gカラゲナン)で、最大の含有量で横ばいになったように見える。比較として、実施例1の溶解した中性のκカラゲナン試料については、ゲル化陽イオン組成は、約70g/l(3.5g/gカラゲナン)のイオン交換材料濃度で横ばいになった。いずれの特定の理論によっても拘束されるつもりはないが、この差は、一部は、イオン交換されていないエキスの中のより高い負荷量の陽イオンならびに商業生産で使用される水およびアルコールの中のより高い負荷量の陽イオンによって説明される可能性がある。
【0106】
上記の実施形態に対して、その幅広い発明の思想から逸脱することなく変更を加えることができるということを、当業者なら分かるであろう。それゆえ、本発明は開示される特定の実施形態に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲によって画定される例示的な実施形態の趣旨および範囲のうちにある改変を包含することが意図されている、ということを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換プロセスにかけられたιカラゲナンを含む組成物であって、前記ιカラゲナンは、
約6mg/gカラゲナン〜約35mg/gカラゲナンのカリウム含有量と、
約13mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量と、
約5mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量と
を含む、組成物。
【請求項2】
前記ιカラゲナンは慣用的に抽出されたカラゲナンであり、かつ約18℃〜約30℃のゲル化温度、および約27℃〜約37℃の融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ιカラゲナンは中性で抽出されたカラゲナンであり、かつ約5℃〜約17℃のゲル化温度、および約17℃〜約27℃の融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
イオン交換プロセスにかけられた慣用的に抽出されたκカラゲナンを含む組成物であって、前記κカラゲナンは、
約5mg/gカラゲナン〜約30mg/gカラゲナンのカリウム含有量と、
約7mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量と、
約0.2mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量と
を含む、組成物。
【請求項5】
イオン交換プロセスにかけられた中性で抽出されたκカラゲナンを含む組成物であって、前記κカラゲナンは、
約4mg/gカラゲナン〜約30mg/gカラゲナンのカリウム含有量と、
約3mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量と、
約3mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量と
を含む、組成物。
【請求項6】
前記カラゲナンは約10℃〜約27℃のゲル化温度、および約23℃〜約43℃の融点を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記カラゲナンは約10℃〜約35℃のゲル化温度、および約23℃〜約45℃の融点を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
パーソナルケア製品、食品、家庭用品、または医薬製品における請求項1、請求項4、または請求項5のいずれか1項に記載のカラゲナンの使用。
【請求項9】
イオン交換されたカラゲナン組成物を生産するためのプロセスであって、
カラゲナン出発物質を水系処理溶液で抽出して、ιまたはκカラゲナンエキスを形成する工程と、
前記カラゲナンエキスを酸性の陽イオン交換材料と接触させ、前記カラゲナンエキスの陽イオン含有量を低下させて、イオン交換されたカラゲナンエキスを生産する工程と
を含む、プロセス。
【請求項10】
前記接触させる工程は、前記カラゲナンエキスを水に溶解してエキス溶液を形成する工程、および前記イオン交換材料を第1の濃度レベルで前記エキス溶液に加える工程を含み、前記第1の濃度レベルはエキス溶液1リットルあたり約200gのイオン交換材料以下である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記イオン交換されたカラゲナンエキスを、(1)ιまたはκカラゲナンエキスであり、かつ(2)前記第1の濃度レベルとは異なる第2の濃度レベルで酸性の陽イオン交換材料で処理された第2のイオン交換されたカラゲナンエキスと混合する工程を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第1の濃度レベルは約1.25g/gカラゲナン〜約10g/gカラゲナンである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記接触させる工程は約5〜約30分間行われる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
前記カラゲナンエキスはιカラゲナンエキスであり、前記イオン交換されたエキスは、約6mg/gカラゲナン〜約35mg/gカラゲナンのカリウム含有量と、約13mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量と、約5mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量とを有する、請求項9に記載のプロセスに従って調製されるイオン交換されたエキス。
【請求項15】
前記カラゲナンエキスは中性のκカラゲナンエキスであり、前記イオン交換されたエキスは、約4mg/gカラゲナン〜約30mg/gカラゲナンのカリウム含有量と、約3mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量と、約3mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量とを有する、請求項9に記載のプロセスにより調製されるイオン交換されたエキス。
【請求項16】
前記カラゲナンエキスは慣用的なκカラゲナンエキスであり、前記イオン交換されたエキスは、約5mg/gカラゲナン〜約30mg/gカラゲナンのカリウム含有量と、約7mg/gカラゲナン未満のカルシウム含有量と、約0.2mg/gカラゲナン未満のマグネシウム含有量とを有する、請求項9に記載のプロセスにより調製されるイオン交換されたエキス。
【請求項17】
カラゲナン生成物を製造するためのプロセスであって、
(a)第1のゲル化温度および第1の融点を有する第1のカラゲナンエキスを準備する工程と、
(b)前記第1のゲル化温度とは異なる第2のゲル化温度および前記第1の融点とは異なる第2の融点を有するイオン交換された第2のカラゲナンエキスを準備する工程と、
(c)前記第1のカラゲナンエキスおよび前記イオン交換された第2のカラゲナンを混合して、前記第1のゲル化温度と第2のゲル化温度との間の第3のゲル化温度および前記第1の融点と第2の融点との間の第3の融点を有するカラゲナン生成物を形成する工程と
を含む、プロセス。
【請求項18】
前記イオン交換された第2のカラゲナンエキスを準備する工程は、
(a)第2のカラゲナンエキスを準備する工程と、
(b)前記第2のカラゲナンエキスを酸性の陽イオン交換材料と接触させ、前記第2のカラゲナンエキスの陽イオン含有量を低下させて、前記イオン交換された第2のカラゲナンエキスを生産する工程と
を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第1のカラゲナンエキスは慣用的に抽出されたιカラゲナンであり、前記第3のゲル化温度は約18℃〜約40℃であり、前記第3の融点は約27℃〜約47℃である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記第1のカラゲナンエキスは中性で抽出されたιカラゲナンであり、前記第3のゲル化温度は約5℃〜約25℃であり、前記第3の融点は約17℃〜約38℃である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項21】
前記第1のカラゲナンエキスは慣用的に抽出されたκカラゲナンであり、前記第3のゲル化温度は約10℃〜約37℃であり、前記第3の融点は約23℃〜約63℃である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項22】
前記第1のカラゲナンエキスは中性で抽出されたκカラゲナンであり、前記第3のゲル化温度は約10℃〜約38℃であり、前記第3の融点は約23℃〜約53℃である、請求項17に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−518232(P2011−518232A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550882(P2010−550882)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/037047
【国際公開番号】WO2009/114749
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(506128352)シーピー・ケルコ・ユーエス・インコーポレーテッド (18)
【Fターム(参考)】