説明

イオン交換処理水製造装置およびイオン交換処理水製造方法

【課題】小粒径化したイオン交換樹脂の混入が抑制された純水等のイオン交換処理水を効率良く製造でき、イオン交換樹脂の再利用効率にも優れたイオン交換処理水製造装置およびイオン交換処理水製造方法の提供。
【解決手段】水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する装置であって、イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔と、前記通水塔から排出される前記イオン交換樹脂粒子を再生して前記通水塔に戻す移送循環部と、を備え、前記移送循環部が、前記イオン交換樹脂粒子を移送する移送経路上に、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級手段を備えたイオン交換処理水製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水のイオン交換処理を連続的に行って純水等のイオン交換処理水を製造するイオン交換処理水製造装置およびイオン交換処理水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、純水の製造装置としては、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂がそれぞれ別のイオン交換樹脂塔に固定されている固定床式のものや、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を混合状態で1つのイオン交換樹脂塔に充填した混床式のものが用いられている。これらのうち、混床式は、イオン交換樹脂(単にイオン交換樹脂という場合は陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂を示す。)がイオン交換樹脂塔に固定されておらず、イオン交換が進行して飽和吸着したイオン交換樹脂を別の塔に移送し、連続的に再生し、イオン交換樹脂塔に返送して再利用することができるため、連続的なイオン交換が可能である(非特許文献1)。混床式連続純水製造装置は、合成樹脂や合成繊維産業分野などにおいて原料又は洗浄用純水の製造装置として使用されている。また、同様の構成の装置が、発電所の復水脱塩装置としても使用されている(特許文献1)。
【0003】
従来の混床式連続純水製造装置の構成例を図12に示す。本例の混床式連続純水製造装置100は、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂が混合状態で充填された通水塔56と、分離塔60と、陽イオン交換樹脂再生塔61と、陰イオン交換樹脂再生塔62と、を備える。通水塔56の頂部には、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂の貯留と通水塔56への充填を行う通水塔ホッパー57が設置され、通水塔ホッパー57の上方には、通水塔ホッパー57に陰イオン交換樹脂を補給する計量ホッパー58と、通水塔ホッパー57に陽イオン交換樹脂を補給する計量ホッパー59が設置されている。
混床式連続純水製造装置100を用いた純水の製造は、以下のようにして行われる。
原水を、原水タンク52からポンプ54により送液ラインL1を通じて通水塔56に移送し、通水塔56下部の原水入口56aから流入させる。これにより、通水塔56内に充填されている陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂が通水塔56内の上部に押し付けられてイオン交換樹脂層が形成され、イオン交換が行われる。通水塔56への通水時、イオン交換樹脂層では、下側のイオン交換樹脂から原水中のイオンを吸着していき、イオン交換が行われるイオン交換帯は次第に上方へ移動していく。
イオン交換樹脂層を通過した処理水(純水)は、塔上部の処理水出口56bから排出され、ストレーナ55が設置された送液ラインL2を通じて純水タンク51に送られる。得られた処理水は、純水タンク51から図示しない他の部署、たとえば合成樹脂や合成繊維を製造する部署に移送されて原料や洗浄用純水として使用され、一部はポンプ53により送液ラインL3を通じて各再生塔61、62に移送されて薬品の溶解や各イオン交換樹脂の洗浄に使用される。
【0004】
通水塔56に一定時間通水した後、すなわち通水塔56のイオン交換帯の上端が処理水出口まで到達した時、通水を一時停止して水抜きを行い、通水塔56内のイオン交換樹脂層を水とともに下方に落下させる。このとき同時に、通水塔ホッパー57に貯められている陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂が混合状態で、または混合されながら通水塔56に充填される。また、通水塔ホッパー57には、その上側に設置された計量ホッパー58から陰イオン交換樹脂、計量ホッパー59から陽イオン交換樹脂がそれぞれ補給される。
水抜きにより落下したイオン交換樹脂層(陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂の混合物)は、塔内圧によって水と共にスラリー状態で分離塔60に移送される。分離塔60に移送された各イオン交換樹脂の混合物は、逆洗によって陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に分離される。陽イオン交換樹脂の方が陰イオン交換樹脂よりも比重が大きいため、陽イオン交換樹脂の方が下になる。
分離した陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂はそれぞれ、水頭差(ヘッド差)によって、陽イオン交換樹脂再生塔61、陰イオン交換樹脂再生塔62それぞれの頂部上に設けられたホッパーに移送され、各再生塔61、62に充填される。各再生塔61、62では薬品を通液し、各イオン交換樹脂に接触させることで各イオン交換樹脂を再生する。薬品としては、陽イオン交換樹脂再生塔61では塩酸等の酸が用いられ、陰イオン交換樹脂再生塔62では水酸化ナトリウム等の塩基が用いられる。再生された各イオン交換樹脂は各再生塔61、62にて洗浄される。
再生・洗浄済みの陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂はそれぞれ、通水塔56の水抜きと同時、つまり通水塔ホッパー57からの陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子の充填、ならび通水塔ホッパー57への陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子の補給と同時に、各再生塔61、62の底部からそれぞれの塔内圧によって水とともに抜き出され、スラリー状態で計量ホッパー59、58に移送される。また、各再生塔61、62の頂部のホッパーから陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂が充填される。
【0005】
上記のように、混床式連続純水製造装置においては、純水の製造とイオン交換樹脂の再生がいずれも通水(通液)とイオン交換樹脂層を下方に移動させるための水抜き(液抜き)の二動作だけで行われる。この水抜き(液抜き)のために停止する時間は30〜60秒間程度のわずかな時間であるため、通水(通液)は殆ど連続に近い状態で行われる。そのため殆ど連続に純水製造が出来る。また、イオン交換樹脂の利用効率が高く、固定床式に比べ、イオン交換樹脂の使用量が極めて少ない。さらに、固定床式に比べ、装置が立体的になるので設置面積を節減できる。また、固定床式並流再生形の純水製造装置に比べて、再生塔が小型であるため、再生に用いる薬品の利用効率が高く、薬品の使用量を大幅に低減できる。
しかし、混床式連続純水製造装置においては、イオン交換樹脂を通水塔56〜分離塔60〜各再生塔61、62〜各イオン交換樹脂計量ホッパー58、59〜通水塔ホッパー57〜通水塔56と移送、循環させるため、物理的な破砕によって正規の粒径よりも小さくなる問題がある。物理的な破砕の主な原因は、吸着と再生の繰返しに伴うイオン交換樹脂粒子の膨潤・収縮による粒子母体の疲労、逆洗、混合、移送などによる樹脂粒子の相互の摩擦による粉体化などである。
小粒径化したイオン交換樹脂は、純水製造能力の低下や、純水製造装置内での圧力損失の増大、詰り等の工程の異常を起こす原因となる。それだけでなく、製造された純水を使用する部署に悪影響を及ぼしてしまう。たとえば合成樹脂や合成繊維の原料や洗浄用純水の中に小粒径化したイオン交換樹脂が含まれると、得られる製品の品質が低下する。再生塔での洗浄操作、たとえば塔下部から空気と水を注入し、スクラビング効果により小粒径化したイオン交換樹脂を除去することである程度の除去効果は得られるものの、その効果は不充分である。
このような問題に対し、現在は、破砕した樹脂による使用部署での影響を低減或いは防止するために、製造した純水の送液ライン中に前記ストレーナ55等の精密ろ過装置を設置したり、純水製造装置中のイオン交換樹脂を抜き出して、篩いに掛けて分級し小さい粒を除去した後に純水製造装置中に戻すことが行われている。しかし、精密ろ過装置を設置した場合、精密ろ過装置を洗浄するために定期的に純水製造装置の運転を停止する必要があり、生産効率が低下する。イオン交換樹脂を抜き出す場合も同様である。また、洗浄や分級作業は運転員の負担にもなっている。
原子力発電所などでは、別途、振動式樹脂洗浄装置を設け、復水脱塩装置から移送した廃液中の破砕樹脂を除去することも行われている。しかし、振動式樹脂洗浄装置は、振動ふるいを利用するため、樹脂にダメージを与え、破砕樹脂が増えてしまうため、イオン交換樹脂の再利用効率が低下する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「イオン交換樹脂・膜の最新応用技術」、1982年12月21日、桧垣虎雄編、株式会社シーエムシー発行、22〜23頁
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−99613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が抑制された純水等のイオン交換処理水を効率良く製造でき、イオン交換樹脂の再利用効率にも優れたイオン交換処理水製造装置およびイオン交換処理水製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1] 水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する装置であって、
イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔と、前記通水塔から排出される前記イオン交換樹脂粒子を再生して前記通水塔に戻す移送循環部と、を備え、
前記移送循環部が、前記イオン交換樹脂粒子を移送する移送経路上に、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級手段を備えたイオン交換処理水製造装置。
[2] 水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する装置であって、
陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子を含む複数種のイオン交換樹脂粒子が充填された通水塔と、前記通水塔から排出される前記複数種のイオン交換樹脂粒子を比重差により分離し、それぞれ再生して前記通水塔に戻す移送循環部と、を備え、
前記移送循環部が、分離された前記複数種のイオン交換樹脂粒子をそれぞれ単独で移送する移送経路上に、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級手段を備えたイオン交換処理水製造装置。
[3] 前記粒子の分級が、上昇水流中における粒子の沈降速度差を利用したものである、[1]または[2]に記載のイオン交換処理水製造装置。
[4] 前記イオン交換処理水が純水である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のイオン交換処理水製造装置。
[5] 水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する方法であって、
イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔への通水と、前記通水によりイオン交換が進行して飽和吸着したイオン交換樹脂粒子を前記通水塔から排出し、再生して前記通水塔に戻す移送循環操作とを連続的に行う工程を有し、
前記移送循環操作の際、前記イオン交換樹脂粒子について、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級処理を行うイオン交換処理水製造方法。
[6] 水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する方法であって、
陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子を含む複数種のイオン交換樹脂粒子が充填された通水塔への通水と、前記通水によりイオン交換が進行して飽和吸着した前記複数種のイオン交換樹脂粒子を前記通水塔から排出し、比重差により分離し、それぞれ再生して前記通水塔に戻す移送循環操作とを連続的に行う工程を有し、
前記移送循環操作の際、前記複数種のイオン交換樹脂粒子を分離した後、再度混合状態とする前に、各イオン交換樹脂粒子について、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級処理を行うイオン交換処理水製造方法。
[7] 前記粒子の分級が、上昇水流中における粒子の沈降速度差を利用したものである、[5]または[6]に記載のイオン交換処理水製造方法。
[8] 前記イオン交換処理水が純水である、[5]〜[7]のいずれか一項に記載のイオン交換処理水製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が抑制された純水等のイオン交換処理水を効率良く製造でき、イオン交換樹脂の再利用効率にも優れたイオン交換処理水製造装置およびイオン交換処理水製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】分級処理に用いられる分級筒の分級特性例を示すグラフである。
【図2】上昇水流中における沈降速度差を利用してイオン交換樹脂粒子を分級する場合の、分級筒内に供給する水の流量の変化による粒子径と上昇/沈降の変化の関係を示すグラフである。
【図3】静止状態の水中における沈降速度差を利用してイオン交換樹脂粒子を分級する場合の、粒子径と分級筒内における上昇/沈降の変化の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第一の実施形態の混床式連続純水製造装置の構成を示す概略図である。
【図5】第一の実施形態の混床式連続純水製造装置の計量ホッパー59および分級筒32の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。
【図6】計量ホッパー59および分級筒32の動作タイムチャート例である。
【図7】第二の実施形態で用いられる分級筒32’の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。
【図8】計量ホッパー59および分級筒32’の動作タイムチャート例である。
【図9】第二の実施形態で用いられる計量ホッパー33の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。
【図10】計量ホッパー33の動作タイムチャート例である。
【図11】第三の実施形態で用いられる計量ホッパー34の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。
【図12】従来の混床式連続純水製造装置の構成例を示す概略図である。
【図13】本発明を適用した復水脱塩装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のイオン交換処理水製造装置は、水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する装置であって、
イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔と、前記通水塔から排出される前記イオン交換樹脂粒子を再生して前記通水塔に戻す移送循環部と、を備え、
前記移送循環部が、前記イオン交換樹脂粒子を移送する移送経路上に、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級手段を備えたものである。
また、本発明のイオン交換処理水製造方法は、水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する方法であって、
イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔への通水と、前記通水によりイオン交換が進行して飽和吸着したイオン交換樹脂粒子を前記通水塔から排出し、再生して前記通水塔に戻す移送循環操作とを連続的に行う工程を有し、
前記移送循環操作の際、前記イオン交換樹脂粒子について、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級処理を行う方法である。
【0013】
本発明において、前記通水塔から排出されたイオン交換樹脂粒子は、スラリー状態で移送循環部内を移送される。このスラリーに対して、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級処理が行われる。
該分級処理における粒子の分級は、水中での粒子の沈降速度差を利用することから、湿式分級のうちの重力分級に分類される。該重力分級は、静止状態の水中、水平流中、垂直流中のいずれで行うものであってもよい。これらのなかでも、垂直流、特に上昇水流中における沈降速度差を利用した重力分級(上昇流型重力分級)が、分級する粒子径の境界点を容易に調節できることから好ましい。
【0014】
粒子の沈降速度差を利用した粒子の分級について、上昇流型を例に挙げて説明する。
分級液および粒子の比重が一定である場合、静止状態の液体中における粒子の沈降速度Umは、その粒径に依存する。液体が一定の流速Uで垂直方向上向きに流れている上昇流中において、粒子は(U−Um)の速度で流れ方向に移動する。つまりU>Umであれば上昇流中を上昇し、U=Umであれば上昇流中で静止し、U<Umであれば上昇流中を沈降する。
したがって、上昇流の流速Uを、粒径が所定値に満たない粒子(小粒径化したイオン交換樹脂粒子)が上昇し、それよりも粒径の大きい粒子(再利用可能な粒径のイオン交換樹脂粒子)が沈降する流速に設定することで、粒径が所定値に満たない粒子を分離し、除去することができる。
たとえば垂直に設置された分級筒内に、材質が同じ(比重が同じ)イオン交換樹脂粒子をスラリーの状態で導入するとともに、該分級筒の下部から水を連続的に供給し、再利用可能な粒径のイオン交換樹脂粒子が沈降し且つ小粒径化したイオン交換樹脂粒子が上昇する上昇流を形成し、上昇した粒子を該分級筒から取り出すことで、小粒径化したイオン交換樹脂粒子が除去されたイオン交換樹脂粒子が得られる。このイオン交換樹脂粒子は、そのまま当該イオン交換処理水製造装置内を下流方向に移送される。そのため、イオン交換処理水製造装置の運転を停止させることなく、小粒径化したイオン交換樹脂粒子を除去することができ、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が抑制されたイオン交換処理水を効率良く製造できる。
また、湿式分級のため、分級によるイオン交換樹脂粒子にダメージを与えにくく、破砕が生じにくい。そのため、イオン交換樹脂の再利用効率も向上する。
【0015】
分級手段としては、通常、垂直に設置された分級筒が用いられる。分級筒の下部から水などの分級液を連続的に供給することで分級筒内に上昇流が形成される。
図1に、分級処理に用いられる分級筒の分級特性例を示す。図1中、Iの線は、比重1.26のイオン交換樹脂(以下、単に樹脂ということがある。)粒子の粒子径[mm]と、静止状態の水中での沈降速度[cm/s]との関係を示す。IIの線は、内径100mmの円筒状の分級筒内に供給する水の流量[m/h]と、該分級筒内における上昇水流の上昇速度[cm/s]との関係を示す。
たとえば粒径0.3mmの樹脂粒子の静止状態の水中での沈降速度は1.2cm/s(Iの線の(2)の点)である。一方、上昇水流の上昇速度が1.2cm/sとなる水の流量は、0.35m/hである(IIの線の(1)の点)。
したがって、粒径0.3mmの樹脂粒子は、静止状態の水中での沈降速度と上昇水流の上昇速度が同じため、分級筒内を上昇も沈降もせず静止し、粒径0.3mm超の樹脂粒子は、静止状態の水中での沈降速度が上昇水流の上昇速度よりも大きいため、分級筒内を沈降し、粒径0.3mm未満の樹脂粒子は、静止状態の水中での沈降速度が上昇水流の上昇速度よりも小さいため、分級筒内を上昇することになる。
したがって、水量を変化させることにより、分級する粒径の境界を制御することができる。たとえば、流量を0.17m/hとすれば、上昇水流の上昇速度は0.7cm/s(IIの線の(1’)の点)となる。0.7cm/sの上昇流中で静止する粒子の粒径は0.2mm(Iの線の(2’)の点)であるから、それよりも粒径が大きい樹脂粒子は沈降し、小さい樹脂粒子は上昇することになる。
図2に、分級筒内に供給する水の流量の変化による粒子径と上昇/沈降の変化の関係を示す。グラフの縦軸の「上昇/沈降速度」は、(上昇水流の上昇速度−静止状態の水中での粒子の沈降速度)を示し、正の値であれば粒子が上昇し、負の値であれば粒子が沈降する。図2は、分級筒内に供給する水の流量を変えることで、上昇/沈降する粒径の境界を変えることができることを示している。
分級筒の分級性能は、長さ(高さ)を長くして整流領域を長くすることにより向上させることができる。
【0016】
粒子の沈降速度差を利用した粒子の分級は、上記の上昇流型には限定されない。たとえば静止水中でも可能である。
静止水中における粒子径と上昇/沈降の変化の関係は、前記流速Uが0の場合として考えることができる。図3に、水を貯めた分級筒内(静止状態の水中)における比重1.26のイオン交換樹脂の粒径と上昇/沈降の変化の関係を示す。グラフの縦軸の「上昇/沈降速度」は、(−静止状態の水中での粒子の沈降速度)を示し、正の値であれば粒子が上昇し、負の値であれば粒子が沈降する。図3に示すように、該イオン交換樹脂は、静止状態の水中では必ず沈降するが、その沈降速度は粒径に比例している。したがって、垂直に設置された分級筒内に水を貯め、その状態で分級筒の上部から材質が同じ(比重が一定)イオン交換樹脂粒子をスラリーの状態で投入すると、大きな粒径の粒子は速く沈降し、小さな粒径の粒子はゆっくり沈降する。そのため、分級筒を水で満たし、スラリーを投入し、スラリーを投入してから所定時間経過した時点で分級筒上部の水を抜くと、該水とともに小さな粒径の粒子を除去することができる。これら一連の操作を一サイクルとして繰り返すことで、イオン交換処理水製造装置の運転を停止させることなく、小粒径化したイオン交換樹脂粒子を除去することができる。
【0017】
本発明において、前記通水塔に充填されるイオン交換樹脂粒子は、1種でも2種以上でもよい。ただし、粒子の沈降速度差を利用した分級処理を行うためには、分級処理を行うスラリー中に含まれる粒子の比重が同じである必要がある。
そのため、イオン交換処理水製造装置が、通水塔内に複数種の樹脂粒子が充填されたものである場合、たとえば陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子の両方が混合状態で充填された混床式のイオン交換処理水製造装置である場合、分級処理を行う前に、通水塔から排出されたスラリーに含まれる複数種の樹脂粒子を比重差により分離する。該分離は、分離塔など、公知の分離手段により実施できる。
【0018】
以下、本発明のイオン交換処理水製造装置およびイオン交換処理水製造方法について、実施形態例を示して説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
[第一の実施形態]
図4に本実施形態の混床式連続純水製造装置(イオン交換処理水製造装置)110の概略構成を示す。
混床式連続純水製造装置110は、陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子が混合状態で充填された通水塔56と、分離塔60と、陽イオン交換樹脂再生塔61と、陰イオン交換樹脂再生塔62と、を備える。
通水塔56と分離塔60とは配管41で接続され、分離塔60と各再生塔61、62とは配管42、43で接続されている。
通水塔56の頂部には、陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子の貯留と通水塔56への充填を行う通水塔ホッパー57が設置され、通水塔ホッパー57の上方には、通水塔ホッパー57に陰イオン交換樹脂粒子を補給する計量ホッパー58と、通水塔ホッパー57に陽イオン交換樹脂粒子を補給する計量ホッパー59が設置されている。
計量ホッパー58には分級筒31が接続され、陰イオン交換樹脂再生塔62から配管44を通じて計量ホッパー58に移送された陰イオン交換樹脂粒子の一部を移送して分級処理を行い、小粒径化した粒子を除去した陰イオン交換樹脂粒子を通水塔ホッパー57に移送できるようになっている。同様に、計量ホッパー59には分級筒32が接続され、陽イオン交換樹脂再生塔61から配管75を通じて計量ホッパー59に移送された陽イオン交換樹脂粒子の一部を移送して分級処理を行い、小粒径化した粒子を除去した陽イオン交換樹脂粒子を通水塔ホッパー57に移送できるようになっている。
混床式連続純水製造装置110においては、配管41から通水塔ホッパー57までが、通水塔56から混合状態で排出される陰イオン交換樹脂粒子と陽イオン交換樹脂粒子とを比重差により分離し、それぞれ再生して通水塔56に戻す移送循環部として機能する。
【0020】
混床式連続純水製造装置110は、図12に示した従来の混床式連続純水製造装置100において、計量ホッパー58、59それぞれに分級筒31、32を接続した構成であり、通水塔56、通水塔ホッパー57、分離塔、各再生塔61、62としてはそれぞれ公知のものが利用できる。
陰イオン交換樹脂粒子としては通常、強塩基性陰イオン交換樹脂粒子が用いられ、陽イオン交換樹脂粒子としては通常、強酸性陽イオン交換樹脂粒子が用いられる。
また、混床式連続純水製造装置110を用いた純水の製造は、再生塔61、62から各計量ホッパー59、58に移送されたスラリーの一部を別置の分級筒32、31に移送して該スラリーに含まれるイオン交換樹脂粒子を連続的に分級する方式で分級処理を行う以外は、従来と同様にして実施できる。つまり、陽イオン交換樹脂再生塔61から計量ホッパー59に移送された陽イオン交換樹脂粒子は、従来は全てそのまま通水塔ホッパー57に移送されていたが、本実施形態においては、一部が分級筒32に移送され、分級処理された後、通水塔ホッパー22に移送される。同様に、陰イオン交換樹脂再生塔62から計量ホッパー58に移送された陰イオン交換樹脂粒子は、従来は全てそのまま通水塔ホッパー57に移送されていたが、本実施形態においては、一部が分級筒31に移送され、分級処理された後、通水塔ホッパー22に移送される。
【0021】
図5および図6により、計量ホッパー59および分級筒32の構成ならびに分級処理の動作を説明する。図5は、計量ホッパー59および分級筒32の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。図6は、計量ホッパー59および分級筒32の動作タイムチャート例である。
計量ホッパー59は、円筒状の直筒部とその下端側に連続して設けられた逆円錐状の底部とから構成され、頂部にはベント管7が接続されている。
直筒部の下部には樹脂入口3が設けられ、配管45により陽イオン交換樹脂再生塔61と接続されている。樹脂入口より上側には、直筒部内を上下に区画するようにサランネット(メッシュ状スクリーン)8が設けられている。直筒部の上部にはオーバーフロー配管6が接続され、サランネット8を通過する微細な陽イオン交換樹脂粒子を除去できるようになっている。直筒部の下端付近には、内部の陽イオン交換樹脂粒子の状態を確認するための覗き窓21が設けられている。
底部の高さ方向中央付近には樹脂抜出口が設けられ、樹脂抜出自動弁15を備える樹脂抜出配管16が接続されている。底部の下端には樹脂出口が設けられ、樹脂出口自動弁4を備える樹脂出口配管5が接続されている。
計量ホッパー58の構成も上記と同様である。
【0022】
分級筒32は、円筒状の直筒部とその下端側に連続して設けられた逆円錐状の底部とから構成され、頂部にはベント管20が接続されている。
直筒部の高さ方向中央付近で樹脂抜出配管16の接続位置よりも上側の位置にはオーバーフロー自動弁18を備えるオーバーフロー配管17が接続され、直筒部の上端にはオーバーフロー配管19が接続されており、当該位置まで上昇した陽イオン交換樹脂粒子を水と共に抜き出すことができるようになっている。
直筒部の下端、オーバーフロー配管17、19の接続位置付近にはそれぞれ、内部の状況が確認できるように覗き窓22、23、24が設けられている。なお、ここでは3箇所に覗き窓22、23、24を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。覗き窓は必須ではなく、たとえば分級筒32を透明な材料(透明樹脂等)で構成する場合は、覗き窓を設けなくてもよい。また、覗き窓を設ける場合、その数は少なくとも1個あればよい。また、設ける位置は上記には限定されず、分級筒32の底部などに設けてもよい。
底部の高さ方向中央付近には分級水入口が設けられ、分級水量調整弁10および分級水流量計11を備える分級水供給配管12が接続されている。底部の下端には、沈降した陽イオン交換樹脂粒子(分級処理された陽イオン交換樹脂粒子)を排出するための樹脂出口が設けられ、分級樹脂出口自動弁13を備える樹脂出口配管14により通水塔ホッパー57と接続されている。
分級筒32の形状は、処理粒子径に応じストークスの法則が成立する領域となる内径、および分級水量による筒内滞在時間が1分程度にすることが好ましい。分級筒32の場合、筒径50〜150mm、筒長800〜1200mmが好ましい。
分級水供給配管12は、可能な限り底部に近くで水平方向に流し、抜出樹脂配管16は、分級筒32底部より容積2〜4リットル程度となる高さに設置し、オーバーフロー自動弁18は、抜出樹脂配管16の上部で分級筒32底部より容積3〜5リットル程度となる高さに設置することが好ましい。
分級筒31の構成も上記と同様である。ただし、分級筒31の場合、陽イオン交換樹脂粒子よりも比重が小さい陰イオン交換樹脂粒子の分級処理を行うため、その形状は、筒径100〜200mm、筒長500〜1000mmが好ましい。
【0023】
計量ホッパー59および分級筒32を用いた分級処理について、まず、計量ホッパー59には、陽イオン交換樹脂再生塔61から再生された陽イオン交換樹脂粒子(以下、単に粒子ということがある。)が水と一緒になってスラリー状で移送される。このスラリー中には、新品と同等の粒径のものから破砕により小粒径化したものまで様々な粒径の粒子が含まれている。
樹脂出口自動弁4は、陽イオン交換樹脂再生塔61での液抜きと同時に開となり、液抜きが終了する時点(30秒後)に閉となり、閉の状態を一定時間(155秒間)維持する動作を1サイクルとして繰り返すように設定されている。樹脂出口自動弁4が開の間、計量ホッパー59の底部から粒子が抜き出される。
樹脂出口自動弁4が閉となった直後(10秒後)の一定時間(10秒間)、樹脂抜出自動弁15が開となり、上記スラリーが計量ホッパー59から樹脂抜出配管16を経由して分級筒32に一定量移送される。
分級筒32では、分級水量調整弁10および分級水流量計11により一定量の分級用の水が供給され続けている。そのため分級筒32内では、徐々に水面が上昇しながら、移送されたスラリー中の粒子の分級が行われ、所定の粒径を満たす粒子(正常粒子)は沈降して底部に堆積し、所定の粒径に満たない粒子(小粒径化粒子)は上昇する。このとき分級する粒子径の境界点は、分級水量調整弁10と分級水流量計11で分級筒32に流入させる分級用の水の流量を調節することにより容易に調節できる。
小粒径化粒子の上昇速度は、粒径の小さいものほど速い。分級筒32内の上端まで達した小粒径化粒子はオーバーフロー管19より水とともに排出され、図示しない樹脂回収ピットに収納されるが、粒径によっては、1サイクルの終了までに上端まで到達しない。そのため、1サイクルが終了に近づいた時点でオーバーフロー自動弁18を一定時間(35秒間)開ける。これにより、オーバーフロー管17の接続位置付近よりも上方に在る小粒径化粒子が水とともに排出され、樹脂回収ピットに収納される。
その後、次のサイクルの冒頭で樹脂出口自動弁4および分級樹脂出口自動弁13が一定時間(それぞれ30秒間、20秒間)開となっている時に、計量ホッパー59、分級筒32それぞれの底部に堆積した正常粒子が通水塔ホッパー57に落とされ、貯留される。
分級筒32に供給する樹脂粒子の量は、分級筒32内での粒子相互の干渉沈降を避けるためには少ないことが好ましいが、少ないほど分級頻度が少なくなるので、双方から適する量にする必要があり、分級筒32内の粒子濃度で1〜5%程度にすることが好ましい。
計量ホッパー58および分級筒31を用いた分級処理の動作も上記と同様である。
【0024】
上記のように、計量ホッパー59および分級筒32、ならびに計量ホッパー58および分級筒31にて上記の操作を数分間隔で繰り返すことにより分級処理が連続的に行われ、再生処理および分級処理が行われた陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子が通水塔ホッパー57に補給され、更に通水塔56に移送されて再利用される。そのため、通水塔56内では、再生済みでかつ正常な粒径の陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子の混床が形成され、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が少ない純水を連続的に製造できる。
【0025】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態の混床式純水製造装置および純水製造方法について説明する。なお、以下に記載する実施形態において、第一実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態の混床式純水製造装置は、分級筒32の代わりに図7に示す構成の分級筒32’を設け、分級筒31の代わりに分級筒32’と同様の構成の分級筒31’を設けた以外は、第一の実施形態の混床式純水製造装置110と同様の構成である。
本実施形態は、分級筒31’、32’の上部にスラリーを投入し、静止状態の水中で粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級する方式で行われる。
【0026】
分級筒32’は、円筒状の直筒部とその下端側に連続して設けられた逆円錐状の底部とから構成され、頂部は大気開放されている。
直筒部の上端には、オーバーフロー弁28を備えたオーバーフロー配管50が接続されており、オーバーフロー配管50の、オーバーフロー弁28よりも下流の位置に、樹脂抜出配管16が接続されている。
直筒部の高さ方向中央付近で樹脂抜出配管16の接続位置よりも上側の位置にはオーバーフロー自動弁29およびボールコック49を備えるオーバーフロー配管17が接続されており、当該位置からオーバーフロー配管50の接続位置までの間の陽イオン交換樹脂粒子を水と共に抜き出すことができるようになっている。
底部の高さ方向中央付近には分級水入口が設けられ、分級水弁27およびボールコック47を備える分級水供給配管12が接続されている。底部の下端には、沈降した陽イオン交換樹脂粒子(分級処理された陽イオン交換樹脂粒子)を排出するための樹脂出口が設けられ、分級樹脂出口自動弁13を備える樹脂出口配管14により通水塔ホッパー57と接続されている。
分級筒32’の形状は、処理粒子径に応じストークスの法則が成立する領域となる内径、および分級水量による筒内滞在時間が1分程度にすることが好ましい。分級筒32’の場合、筒径50〜150mm、筒長800〜1200mmが好ましい。
分級水供給配管12は、可能な限り底部に近くで水平方向に流し、オーバーフロー自動弁18は、抜出樹脂配管16の上部で分級筒32’底部より容積3〜5リットル程度となる高さに設置し、オーバーフロー配管50(樹脂抜出配管16)は、分級筒32’底部より容積10〜20リットル程度となる高さに設置することが好ましい。
分級筒31’の構成も上記と同様である。ただし、分級筒31’の場合、陽イオン交換樹脂粒子よりも比重が小さい陰イオン交換樹脂粒子の分級処理を行うため、その形状は、筒径100〜200mm、筒長500〜1000mmが好ましい。
【0027】
図8に、計量ホッパー59および分級筒32’の動作タイムチャート例を示す。
この例においては、まず、計量ホッパー59に、陽イオン交換樹脂再生塔61から再生された陽イオン交換樹脂粒子(以下、単に粒子ということがある。)が水と一緒になってスラリー状で移送される。このスラリー中には、新品と同等の粒径のものから破砕により小粒径化したものまで様々な粒径の粒子が含まれている。
樹脂出口自動弁4は、陽イオン交換樹脂再生塔61での液抜きと同時に開となり、液抜きが終了する時点(30秒後)に閉となり、閉の状態を一定時間(155秒間)維持する動作を1サイクルとして繰り返すように設定されている。樹脂出口自動弁4が開の間、計量ホッパー59の底部から粒子が抜き出される。
樹脂出口自動弁4が閉となった直後(10秒後)の一定時間(10秒間)、分級水弁27が開となり、分級筒32’への分級用の水の供給が行われ、分級水弁27が閉となった直後の一定時間(4秒間)、樹脂抜出自動弁4が開となって、上記スラリーが計量ホッパー59から樹脂抜出配管16を経由して分級筒32’に一定量移送され、分級筒32’上部に投入される。樹脂抜出自動弁4が閉となってから所定時間後(1分後)、分級水抜弁29が一定時間(35秒間)開となる。
分級筒32’では、投入されたスラリー中の粒子の分級が行われ、粒径の大きいものほど速く沈降する。そのため、スラリー投入から所定時間後に分級水抜弁29を開けたときに、オーバーフロー配管17の接続位置よりも上側にある粒子はオーバーフロー配管17から水と共に抜き出され、該接続位置よりも下側まで沈降している粒子はそのまま分級筒32を沈降し、底部に堆積する。
その後、次のサイクルの冒頭で樹脂出口自動弁4および分級樹脂出口自動弁13が一定時間(それぞれ30秒間)開となっている時に、計量ホッパー59、分級筒32’それぞれの底部に堆積した正常粒子が通水塔ホッパー57に落とされ、貯留される。
計量ホッパー58および分級筒31’を用いた分級処理の動作も上記と同様である。
【0028】
上記のように、計量ホッパー59および分級筒32’、ならびに計量ホッパー58および分級筒31’にて上記の操作を数分間隔で繰り返すことにより分級処理が連続的に行われ、再生処理および分級処理が行われた陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子が通水塔ホッパー57に補給され、更に通水塔56に移送されて再利用される。そのため、通水塔56内では、再生済みでかつ正常な粒径の陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子の混床が形成され、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が少ない純水を連続的に製造できる。
【0029】
[第三の実施形態]
次に、本発明の第三の実施形態の混床式純水製造装置および純水製造方法について説明する。
本実施形態の混床式純水製造装置は、別置の分級筒31、32を設けず、計量ホッパー58、59の代わりに分級筒としての機能を有する計量ホッパーを備える以外は、第一の実施形態の混床式純水製造装置110と同様の構成である。
本実施形態での分級処理は、各計量ホッパーに再生塔61、62からスラリーを移送する際に、初期に移送されるスラリーに含まれるイオン交換樹脂粒子を連続的に分級する方式で行われる。
【0030】
図9および図10により、本実施形態で計量ホッパー59の代わりに用いられる計量ホッパー33の構成および分級処理の動作を説明する。図9は、計量ホッパー33の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。図10は、計量ホッパー33の動作タイムチャート例である。
計量ホッパー33は、計量ホッパー59の直筒部の下端からサランネット8までの長さを長くすることにより整流領域を設け、底部の高さ方向中央付近に、分級水用自動弁9、分級水量調整弁10および分級水流量計11を備える分級水供給配管12を接続することにより分級水を供給できるようにして分級性能を持たせたものである。
計量ホッパー33の直筒部のサランネット8の下側の位置にはオーバーフロー自動弁18を備えるオーバーフロー配管17が接続されており、当該位置まで上昇した陽イオン交換樹脂粒子を水と共に抜き出すことができるようになっている。オーバーフロー配管17の接続位置付近には、内部の陽イオン交換樹脂粒子を確認するための覗き窓25が設けられている。覗き窓25には光電スイッチ26が設置されている。
【0031】
分級処理について、まず、計量ホッパー33には、陽イオン交換樹脂再生塔61から再生された陽イオン交換樹脂粒子(以下、単に粒子ということがある。)が水と一緒になってスラリー状で移送される。このスラリー中には、新品と同等の粒径のものから破砕により小粒径化したものまで様々な粒径の粒子が含まれている。
樹脂出口自動弁4は、陽イオン交換樹脂再生塔61での液抜きと同時に開となり、液抜きが終了する時点(30秒後)に閉となり、閉の状態を一定時間(155秒間)維持する動作を1サイクルとして繰り返すように設定されている。樹脂出口自動弁4が開の間、計量ホッパー33の底部から粒子が抜き出される。
計量ホッパー33へのスラリーの移送開始後、樹脂出口自動弁4が閉となった直後に分級水用自動弁9とオーバーフロー自動弁18を開け、分級水量調整弁10と分級水流量計11で一定量の分級用の水を供給する。そのため計量ホッパー33内では、徐々に水面が上昇しながら、この時点で移送されているスラリー中の粒子の分級が行われ、所定の粒径を満たす粒子(正常粒子)は沈降して底部に堆積し、所定の粒径に満たない粒子(小粒径化粒子)は上昇する。小粒径化粒子の上昇速度は、粒径の小さいものほど速い。サランネット8を通過するような小粒径化粒子はやがてオーバーフロー管17から水と共に排出され、樹脂回収ピットに収納される。
スラリーの移送開始後、時間経過と共に樹脂面も上昇してくる。樹脂面が覗き窓25の位置に達すると、覗き窓25に設置している光電スイッチ26が動作して、分級水用自動弁9とオーバーフロー自動弁18が閉となる。これにより分級水の供給が停止するので、その後はサランネット8を経由して水だけがオーバーフロー管6より排出されることになる。最終的にはサランネット8の下部が全て樹脂で充満されて、スラリーの移送が終了する。
これらの操作を数分間隔で繰り返すことで分級処理がほぼ連続的に行われ、再生処理および分級処理が行われた陽イオン交換樹脂粒子が通水塔ホッパー57に補給され、更に通水塔56に移送されて再利用される。
計量ホッパー58の代わりに用いられる計量ホッパーの構成および動作も計量ホッパー33と同様である。
そのため、通水塔56内では、再生済みでかつ正常な粒径の陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子の混床が形成され、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が少ない純水を連続的に製造できる。
【0032】
[第四の実施形態]
次に、本発明の第四の実施形態の混床式純水製造装置および純水製造方法について説明する。
本実施形態の混床式純水製造装置は、別置の分級筒31、32を設けず、計量ホッパー58、59の代わりに分級筒としての機能を有する計量ホッパーを備える以外は、第一の実施形態の混床式純水製造装置110と同様の構成である。
本実施形態での分級処理は、各計量ホッパーに再生塔61、62からスラリーを移送する際に、移送されたスラリーに含まれるイオン交換樹脂粒子全量を連続的に分級する方式で行われる。
【0033】
図11により、本実施形態で計量ホッパー59の代わりに用いられる計量ホッパー34の構成および分級処理の動作を説明する。図11は、計量ホッパー34の構成および分級処理の動作を説明する概略図である。
計量ホッパー34は、計量ホッパー59の直筒部の下端からサランネット8までの長さを長くすることにより整流領域を設け、底部の高さ方向中央付近に、分級水量調整弁10および分級水流量計11を備える分級水供給配管12を接続することにより分級水を供給できるようにして分級性能を持たせたものである。
【0034】
分級処理について、まず、計量ホッパー34には、陽イオン交換樹脂再生塔61から再生された陽イオン交換樹脂粒子(以下、単に粒子ということがある。)が水と一緒になってスラリー状で移送される。このスラリー中には、新品と同等の粒径のものから破砕により小粒径化したものまで様々な粒径の粒子が含まれている。
樹脂出口自動弁4は、陽イオン交換樹脂再生塔61の液抜きと同時に開となり、液抜きが終了する時点に閉となり、閉の状態を一定時間維持する動作を1サイクルとして繰り返すように設定されている。樹脂出口自動弁4が開の間、計量ホッパー34の底部から粒子が抜き出される。
計量ホッパー34へのスラリーの移送開始後、分級水量調整弁10と分級水流量計11で一定量の分級用の水を供給すると、徐々に水面が上昇しながら、移送されたスラリー中の粒子の分級が行われ、所定の粒径を満たす粒子(正常粒子)は沈降して底部に堆積し、所定の粒径に満たない粒子(小粒径化粒子)は上昇する。小粒径化粒子やがてサランネット8を通過して、オーバーフロー管6から水と共に排出され、樹脂回収ピットに収納される。最終的にはサランネット8の下部が全て大粒の樹脂で充満されて、スラリーの移送が終了する。
これらの操作を数分間隔で繰り返すことで分級処理がほぼ連続的に行われ、再生処理および分級処理が行われた陽イオン交換樹脂粒子が通水塔ホッパー57に補給され、更に通水塔56に移送されて再利用される。
計量ホッパー58の代わりに用いられる計量ホッパーの構成および動作も計量ホッパー34と同様である。
そのため、通水塔56内では、再生済みでかつ正常な粒径の陽イオン交換樹脂粒子および陰イオン交換樹脂粒子の混床が形成され、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が少ない純水を連続的に製造できる。
【0035】
以上、第一〜第四の実施形態を説明したが本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
たとえば分級手段として、陰イオン交換樹脂粒子、陽イオン交換樹脂粒子をそれぞれ貯留する計量ホッパーに別置の分級筒を接続した例、計量ホッパーとして分級筒の機能を有する物を用いた例を示したが、分級手段を設ける場所は、陰イオン交換樹脂粒子、陽イオン交換樹脂粒子がそれぞれ単独で存在している場所であればよく、計量ホッパー部分には限定されない。
分級手段の構造は、上記分級筒31、31’、計量ホッパー33、34には限定されず、粒子の沈降速度差による分級と、小粒径化粒子の除去ができるものであればよい。分級する粒子径の境界点を容易に調節できる点では、図1、図2に示すような、流量の調節によって分級する粒子径の境界点を調節できる分級特性を有するものが好ましい。
第一〜第二の実施形態では、再生塔61、62から計量ホッパー59、58に移送したスラリーの一部を計量ホッパー59、58から抜き出して分級筒32、31に移送した例を示したが、配管44、45をそれぞれ分岐させて樹脂抜出自動弁15及び樹脂抜出配管16に接続して、スラリーを再生塔61、62から直接分級筒31、32に移送してもよい。
通水塔56に充填されるイオン交換樹脂粒子は1種でもよい。また、複数種のイオン交換樹脂粒子が充填される場合、その組み合わせは、陰イオン交換樹脂粒子と陽イオン交換樹脂粒子に限定されず、比重差により分離可能であれば、複数種の陰イオン交換樹脂粒子を組み合わせてもよく、複数種の陽イオン交換樹脂粒子を組み合わせてもよい。
【0036】
以上説明したように、混床式連続純水製造装置など、通水塔に充填したイオン交換樹脂粒子を通水塔から抜き出し、再生して再利用するタイプのイオン交換処理水製造装置(以下、単に製造装置という。)を連続運転する場合、イオン交換樹脂が移送時の衝撃等によって破砕して小粒径化することが繰り返されるが、本発明によれば、複数種のイオン交換樹脂を分離した後、再度混合状態とするまでの移送過程において、小粒径化したイオン交換樹脂を連続的に除去することができる。
たとえば陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子の粒径は、未使用の新品で0.45mm〜0.65mm程度であり、0.35mm程度までであれば充分に性能が確保されるとされている。従来用いられているストレーナ等のろ過装置は、除去できる粒子の大きさに限界があり、通常、微細な粒子はろ過装置を通過してしまう。これに対し、本発明においては、従来のろ過装置を通過する微細な粒子径のイオン交換樹脂を除去することができる。また、分級水量を調節するだけの簡単な方法で、分級する粒子径の境界点を調節できる。
また、短時間に繰り返し自動的に分級処理することができるので、1年間では、純水製造装置内に充填・循環しているイオン交換樹脂全量相当量の10倍〜100倍のイオン交換樹脂を分級処理できることになる。
したがって、小粒径化したイオン交換樹脂を継続的に系外に排出することが可能になるため、運転中に小粒径化したイオン交換樹脂が製造装置内に残らず、小粒径化したイオン交換樹脂の混入が抑制された純水を効率良く製造できる。
また、製造装置の運転に同調して自動的に分級処理を出来るので、分級に係わる運転員の作業は皆無になる。従来のように、製造装置中のイオン交換樹脂を抜き出して、篩いに掛けて分級し小さい粒を除去した後に製造装置中に戻す作業を無くすことができる。また、ろ過装置を通過する微細な粒子径の樹脂も除去することが可能になり、微粒子の少ない純水を使用部署に供給することができ、合成樹脂や合成繊維の品質影響を軽減できると共に、ろ過装置の詰りの頻度も減少し、運転員の作業軽減になる。
本発明における分級処理は原理が簡単で、製造装置の移送循環ライン上で、イオン交換樹脂粒子と水が混在したスラリー状で行われるので、安価に、しかも遠心式など機械的外力を加えることによるイオン交換樹脂粒子の破砕などを起こすこともなく分級が可能になる。
【0037】
本発明は、通水塔を備え、イオン交換樹脂を再生して再利用する方式の各種イオン交換処理装置に適用できる。たとえば純水製造装置以外の混床式のイオン交換処理装置の例として、原子力発電所などで使用されている復水脱塩装置などが挙げられる。
図12に、本発明を適用した復水脱塩装置の一例を示す。本例の復水脱塩装置200は、混床式の脱塩塔(通水塔)71、ろ過装置72、樹脂分離兼陽イオン交換樹脂再生塔73、陰イオン交換樹脂再生塔74、混合樹脂取出槽75、樹脂貯槽76を備える従来の復水脱塩装置において、樹脂分離兼陽イオン交換樹脂再生塔73、陰イオン交換樹脂再生塔74それぞれの下流に分級筒77、78を配置した構成である。
復水脱塩装置200においては、復水のイオン交換が脱塩塔71で行われる。使用済みの陽イオン交換樹脂(水素イオン型やアンモニウムイオン型など)および陰イオン交換樹脂の混合物は、脱塩塔71から樹脂分離兼陽イオン交換樹脂再生塔73に移送され、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に分離される。
上層の陰イオン交換樹脂は陰イオン交換樹脂再生塔74に移送され再生される。陰イオン交換樹脂再生塔74で再生された陰イオン交換樹脂は、分級筒78にて分級処理が行われた後、樹脂貯槽76に移送される。
上層と下層との境界付近の樹脂は混合樹脂取出槽75に送られる。
下層の陽イオン交換樹脂はそのまま樹脂分離兼陽イオン交換樹脂再生塔73で再生される。樹脂分離兼陽イオン交換樹脂再生塔73で再生された陽イオン交換樹脂は、分級筒77にて分級処理が行われた後、樹脂貯槽76に移送される。
樹脂貯槽76に移送された陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂は、更に脱塩塔71に移送されて再利用される。
【符号の説明】
【0038】
3…樹脂入口、4…樹脂出口自動弁、5…樹脂出口配管、6…オーバーフロー配管、7…ベント管、8…サランネット、9…分級水用自動弁、10…分級水量調整弁、11…分級水流量計、12…分級水供給配管、13…分級樹脂出口自動弁、14…樹脂出口配管、15…樹脂抜出自動弁、16…樹脂抜出配管、17…オーバーフロー配管、18…オーバーフロー自動弁、19…オーバーフロー配管、20…ベント管、21〜25…覗き窓、26…光電スイッチ、27…分級水弁、28…オーバーフロー弁、29…オーバーフロー自動弁、31…分級筒、32…分級筒、32’…分級筒、33…計量ホッパー、34…計量ホッパー、41〜45…配管、47…ボールコック、49…ボールコック、50…オーバーフロー配管、51…純水タンク、52…原水タンク、53…ポンプ、54…ポンプ、55…ストレーナ、56…通水塔、57…通水塔ホッパー、58…計量ホッパー、59…計量ホッパー、60…分離塔、61…陽イオン交換樹脂再生塔、62…陰イオン交換樹脂再生塔、100…混床式連続純水製造装置、110…混床式連続純水製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する装置であって、
イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔と、前記通水塔から排出される前記イオン交換樹脂粒子を再生して前記通水塔に戻す移送循環部と、を備え、
前記移送循環部が、前記イオン交換樹脂粒子を移送する移送経路上に、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級手段を備えたイオン交換処理水製造装置。
【請求項2】
水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する装置であって、
陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子を含む複数種のイオン交換樹脂粒子が充填された通水塔と、前記通水塔から排出される前記複数種のイオン交換樹脂粒子を比重差により分離し、それぞれ再生して前記通水塔に戻す移送循環部と、を備え、
前記移送循環部が、分離された前記複数種のイオン交換樹脂粒子をそれぞれ単独で移送する移送経路上に、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級手段を備えたイオン交換処理水製造装置。
【請求項3】
前記粒子の分級が、上昇水流中における粒子の沈降速度差を利用したものである、請求項1または2に記載のイオン交換処理水製造装置。
【請求項4】
前記イオン交換処理水が純水である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン交換処理水製造装置。
【請求項5】
水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する方法であって、
イオン交換樹脂粒子が充填された通水塔への通水と、前記通水によりイオン交換が進行して飽和吸着したイオン交換樹脂粒子を前記通水塔から排出し、再生して前記通水塔に戻す移送循環操作とを連続的に行う工程を有し、
前記移送循環操作の際、前記イオン交換樹脂粒子について、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級処理を行うイオン交換処理水製造方法。
【請求項6】
水のイオン交換処理を連続的に行ってイオン交換処理水を製造する方法であって、
陰イオン交換樹脂粒子および陽イオン交換樹脂粒子を含む複数種のイオン交換樹脂粒子が充填された通水塔への通水と、前記通水によりイオン交換が進行して飽和吸着した前記複数種のイオン交換樹脂粒子を前記通水塔から排出し、比重差により分離し、それぞれ再生して前記通水塔に戻す移送循環操作とを連続的に行う工程を有し、
前記移送循環操作の際、前記複数種のイオン交換樹脂粒子を分離した後、再度混合状態とする前に、各イオン交換樹脂粒子について、水中での粒子の沈降速度差を利用して粒子を分級し、小粒径化した粒子を除去する分級処理を行うイオン交換処理水製造方法。
【請求項7】
前記粒子の分級が、上昇水流中における粒子の沈降速度差を利用したものである、請求項5または6に記載のイオン交換処理水製造方法。
【請求項8】
前記イオン交換処理水が純水である、請求項5〜7のいずれか一項に記載のイオン交換処理水製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−81906(P2013−81906A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223828(P2011−223828)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】