説明

イオン性官能基含有エポキシ樹脂

【課題】容易な製造方法で、かつイオン伝導性の高いフレキシブルな樹脂の提供。
【解決手段】(A)下記式(1)で表されるエポキシ化合物、


(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および
(C)下記式(2)で表される化合物


を反応させてなる樹脂。
(上記式(1)において、Xはエポキシ基を有する基を示し、Yはイオン性官能基を示し、R1は炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、nは1〜100の整数である。上記式(2)において、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示すが、R2〜R5の少なくとも3つは水素原子であり、R6およびR8は、それぞれ独立に、メチレン基、または炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示し、R7は、炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、mは9〜100の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン性官能基を含有するエポキシ樹脂および該エポキシ樹脂により成形された成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンバッテリーやリチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスに使用される電解質材料として、これまでは主に有機系溶剤に電解質を溶解させた電解液が用いられてきたが、発火性や液漏れ等が問題となってきたため、高分子固体電解質やゲル電解質の開発が盛んに進められてきた。
しかしながら、これらの材料においても電解質やゲルの可塑剤等の染み出しを完全に防ぐことは難しく実用化の妨げとなっている。そこで、イオン性液体をセパレータやフィルム等に含浸させる開発が進められてきた。イオン性液体は常温で液体状の溶融塩で、不揮発性、不燃性でイオン伝導性を示すことから、さまざまな電気化学デバイスへの応用が期待されている。しかし、ブリード現象などが発生するため、その材料としての利便性を著しく損なうという問題がある。
【0003】
上述した技術的背景より、イオン性液体の電解質としての特性を保持したまま固形化すべく、種々の高分子材料にイオン性液体を封入する試みがなされている(特許文献1〜2)。
【0004】
一方、エポキシ樹脂は、優れた接着性、強靭性、耐熱性、電気絶縁性、耐食性等を有する熱硬化性樹脂であることから、塗料や接着剤以外に、土木、建築分野およびコンポジット分野等、さらに電気機器、通信機等の精密機器に装着されている電気部品に広く使用されている。
【0005】
そこで、特許文献2には、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を用いて、イオン性液体を封入する試みがされているが、得られた形成体では、形成体の加工工程や使用中にイオン性液体の溶出による劣化が避けられず、問題となっていた。
【0006】
これに対して、イオン性官能基を架橋性高分子の分子鎖上に化学結合により導入することでイオン対の一方をポリマー中に固定化すれば、材料からのイオンの染み出しが起こらない自立膜として、イオン伝導性を示す材料が合成できると期待される。
【0007】
また、特許文献3と4には極性の高いエポキシ系イオン性官能基を高分子ポリマーに重合させることで、イオン性官能基を持つモノマーに固定し、イオン伝導性のあるポリマー形成体を合成する方法が開示されている。しかしながら、特許文献3および4に用いられているポリマーの構造は、重合開始剤を添加してからの製造過程でUV硬化や熱硬化させる必要があり、時間がかかるため実用的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−70420号公報
【特許文献2】国際公開第2007/018239号パンフレット
【特許文献3】特開2007−9124号公報
【特許文献4】特開2003−252952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記課題を解消し、容易な製造方法で、かつイオン伝導性の高いフレキシブルな樹脂を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、種々検討した結果、スペーサーを介してエポキシ基を有する基とイオン性官能基とを有するエポキシ化合物、2個以上のエポキシ基を有する化合物、および特定の硬化剤を反応させて得られた樹脂は、自立性のある膜として形成でき、高いイオン伝導性を示すことを見出した。
また、本発明者らは、さらに検討したところ、上記得られた樹脂のうち、アニオン性官能基を有する樹脂は、乾燥状態でもイオン伝導性を有し、炭酸プロピレンまたはリチウム塩の炭酸プロピレン溶液で膨潤させた場合に優れたイオン伝導性を有すること、カチオン性官能基を有するネットワークポリマーは、乾燥状態および膨潤状態で優れたイオン伝導性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)下記式(1)で表されるエポキシ化合物、(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および(C)下記式(2)で表される化合物を反応させてなる樹脂を提供するものである。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
(上記式(1)において、Xはエポキシ基を有する基を示し、Yはイオン性官能基を示し、R1は炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、nは1〜100の整数である。上記式(2)において、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示すが、R2〜R5の少なくとも3つは水素原子であり、R6およびR8は、それぞれ独立にメチレン基、または炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示し、R7は、炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、mは9〜100の整数である。)
【0015】
また、本発明は、前記化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)を含有する硬化性組成物を提供するものである
また、本発明は、前記化合物(A)〜(C)を反応させてなる樹脂を含有する樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記化合物(A)〜(C)を反応させてなる樹脂またはこれを含有する樹脂組成物を用いて成形された成形体、およびバッテリーまたはキャパシタ用電解質フィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の樹脂は、容易な製造方法によって製造でき、電解質成分が染み出すことなく、高いイオン伝導性を有する。従って、本発明の樹脂は、バッテリーやキャパシタ等の電気化学デバイス用の電解質、帯電防止剤として有用である。
また、本発明の樹脂のうち、アニオン性官能基を有する樹脂は、乾燥状態でもイオン伝導性を有し、炭酸プロピレンまたはリチウム塩の炭酸プロピレン溶液で膨潤させた場合に優れたイオン伝導性を有し、また、カチオン性官能基を有するネットワークポリマーは、乾燥状態及び膨潤状態で優れたイオン伝導性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】試料1〜3および1'〜3'のイオン伝導度測定結果を示す。
【図2】試料4、5、4'および5'のイオン伝導度測定結果を示す。
【図3】試料6〜8のイオン伝導度の温度依存性の結果を示す。
【図4】試料6〜8の応力−歪み曲線の測定結果を示す。
【図5】試料7とPEGBA1500のDSC曲線の測定結果を示す。
【図6】試料7のTGA曲線の測定結果を示す。
【図7】PEGGE/EGGE/LiGPSI−1.0/PEGBA1500のIRスペクトルの測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.樹脂
本発明の樹脂は、(A)式(1)で表されるエポキシ化合物、(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および(C)式(2)で表される化合物を反応させることにより得られる。
【0019】
本発明の樹脂の製造に用いる(A)エポキシ化合物は、上記式(1)で表される。
【0020】
上記式(1)中のYで示されるイオン性官能基としては、アニオン性官能基およびカチオン性官能基のいずれも含まれる。また、アニオン性官能基は、カチオン成分が付随して塩を形成していてもよく、カチオン性官能基は、アニオン成分が付随して塩を形成していてもよい。
【0021】
[アニオン性官能基]
上記アニオン性官能基としては、酸性基の共役塩基アニオンが好ましく、具体的には、−COO-、−SO3-、−SO4-、−PO42-、−SO2-21(ここでR21は、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を示す)、−SO2-SO222(ここでR22は、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を示す)等が挙げられ、このうち、−COO-、−SO3-、−SO2-SO222が好ましく、−SO3-、−SO2-SO2r2r+1(ここでrは1〜12の整数を示す)が特に好ましい。ここで、−SO2-SO2r2r+1としては、−SO2-SO2CF3が特に好ましい。また、これらのアニオン性官能基と塩を形成し得るカチオン成分としては、金属カチオン、有機アンモニウムカチオンが好ましく、アルカリ金属カチオンがより好ましい。
すなわち、アニオン性官能基とカチオン成分が形成する塩としては、酸性基のアルカリ金属塩や、酸性基と有機アミンとの塩などが挙げられる。また、当該酸性基のアルカリ金属塩としては、例えば、Na塩、K塩、Li塩などが挙げられる。アニオン性官能基のアルカリ金属塩としては、−COO-Na+、−COO-+、−SO3-Na+、−SO3-Li+、−SO2-SO2CF3・Li+、−SO2-SO2CF3・Na+などが挙げられる。
【0022】
酸性基と有機アミンとの塩としては、−COO-HN+abc、−SO3-HN+def(Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfはそれぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1〜12のアルキル基を示す)等が挙げられる。ここで炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が好ましい。これらのアルキル基に置換し得る基としては、水酸基、スルホンアミド基、炭素数1〜6のアシルオキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、シアノ基などが挙げられる。
【0023】
[カチオン性官能基]
また、カチオン性官能基としては、正電荷を帯びていれば特に限定されないが、例えば−P+(R234(R23は、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す)、金属イオン、下記式(3)、式(4)または式(5)で表される基が挙げられる。
【0024】
【化3】

【0025】
(式(3)において、R9、R10およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
上記R9、R10およびR11としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、メチル基が特に好ましい。
【0026】
【化4】

【0027】
(式(4)において、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
上記R12、R13、R14およびR15において、炭素数1〜12のアルキル基としては、前記R9と同様のものが好ましい。
【0028】
【化5】

【0029】
(式(4)において、R16およびR17は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
上記R16およびR17のアルキル基としては、前記R9〜R11と同様のものが好ましい。
また、カチオン性官能基に付随するアニオン成分としては、負電荷を帯びていれば特に限定されないが、例えば、無機酸の共役塩基アニオン、有機酸の共役塩基アニオン等が挙げられる。アニオン成分の具体例としては、Br-、AlCl4-、Al2Cl7-、NO3-、BF4-、PF6-、CH3COO-、CF3COO-、CF3SO3-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6-、SbF6-、F(HF)n-、CF3CF2CF2CF2SO3-、(CF3CF2SO22-、CF3CF2CF2COO-等が挙げられ、融点が低く、耐熱性が高い点でBF4-、PF6-、(CF3SO22-が好ましく、PF6-、(CF3SO22-がより好ましい。
【0030】
[(A)化合物]
本発明樹脂の製造に用いる(A)式(1)中のXで示されるエポキシ基を有する基としては、下記式(6)で表される基が好ましい。
【0031】
【化6】

【0032】
(式(6)において、kは、0〜5の整数である。)
上記kとしては、0〜3が好ましく、0〜1が特に好ましい。
Xの好適な具体例としては、エポキシ基、グリシジル基等が挙げられるが、グリシジル基が特に好ましい。
【0033】
式(1)中のR1のうち、炭素数2〜20の非置換アルキレン基としては、エチレン基、メチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,3−ブチレン基、1,2−ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、エチレン基、メチルエチレン基、トリメチレン基が好ましい。なお、これらのアルキレン基には、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基等が置換していてもよい。
また、炭素数2〜20の非置換アルキレン基のうち、炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基が特に好ましい。
【0034】
nは、1〜100の整数であるが、1〜50、特に1〜20が好ましい。また、n個のOR1は、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。
【0035】
式(1)のエポキシ化合物は、例えば次の反応式に従って製造することができる。
【0036】
【化7】

【0037】
(式中、Halはハロゲン原子を示し、R1、Y、Xおよびnは前記と同じ。)
【0038】
すなわち、エポキシ基含有ハロゲン化エーテル化合物(7)とイオン性官能基を有するアルコール(8)とを塩基の存在下に反応させることにより、エポキシ化合物(1)が得られる。
【0039】
反応に用いる塩基としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、アルキルリチウム、アルキルナトリウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド等の強塩基、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。反応は、ジメチルホルムアミド、アセトン、エーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等の溶媒中、0〜100℃で1〜50時間行えばよい。
【0040】
また、式(1)のエポキシ化合物は、2,3−エポキシ−1−プロパノール(グリシドール)と、プロパンサルトン、ブタンサルトン等の、塩基の作用によりそれ自身が開環してグリシジルエーテル生成物中に酸性基を与える化合物とを、塩基の存在下に反応させることによっても製造できる。
【0041】
本発明の樹脂を製造する際、(A)式(1)のエポキシ化合物の使用量は、エポキシ樹脂に電解質としての作用を発揮させる点から、1〜40重量部、さらに、1〜30重量部、特に、1〜25重量部であるのが好ましい。
【0042】
[(B)化合物]
本発明樹脂の製造に用いる(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、2個以上のエポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、グリシジルアミノ基等のエポキシ含有基を有する化合物が包含される。また、2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜3個、さらに好ましくは2個のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
上記化合物の具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂、ビスフェノールアルカン類型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエーテル、シリコーン変性エポキシ樹脂、ケイ素含有エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。このうち、これらの化合物(B)は単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、化合物(B)としては、下記式(9)で表される化合物が好ましい。
【0043】
【化8】

【0044】
(上記式(9)において、R18は、炭素数2〜5の置換または非置換アルキレン基を示し、pは、1〜100の整数である。)
【0045】
上記R18としては、炭素数2または3の置換もしくは非置換アルキレン基が好ましい。当該R18の具体例としては、エチレン基、メチルエチレン基が挙げられ、エチレン基が特に好ましい。
また、pとしては、1〜50、特に1〜20が好ましい。なお、p個のR18Oは、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。
【0046】
本発明の樹脂を製造する際の(B)エポキシ基を2個有する化合物の使用量は、エポキシ樹脂にイオン伝導性を高める作用を発揮させる点から、5〜70重量部、さらに5〜45重量部、特に5〜30重量部であるのが好ましい。
【0047】
[(C)化合物]
本発明樹脂の製造に用いる(C)式(2)で表される化合物中のR2〜R5において、炭素数1〜20の置換または非置換アルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましいが、R2〜R5のうち、少なくとも3つは水素原子である。
また、式(2)中のR2〜R5としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0048】
また、式(2)中のR6およびR8において、炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基としては、好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは炭素数2〜6の置換もしくは非置換アルキレン基である。
【0049】
当該炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1,3−ブチレン基、1,2−ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0050】
また、R6およびR8の好適な具体例としては、エチレン基、トリメチレン基が挙げられ、トリメチレン基が特に好ましい。
【0051】
また、R7としては、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6の置換もしくは非置換アルキレン基である。好適な具体例としては、前記R6と同様のものが挙げられるが、エチレン基が特に好ましい。
【0052】
ここで、式(2)の繰り返し単位(m)数が大きくなると、ポリマーとしての柔軟性が向上するため、ポリマーに固定化されたイオン性官能基の自由度が高くなり、イオン伝導性を向上させることができる。このイオン伝導性を向上させるために、ジアミン化合物(C)の繰り返し単位数は、mが9〜100であり、好ましくはmが9〜99であり、より好ましくはmが20〜99であり、さらに好ましくはmが20〜90である。
【0053】
上記式(2)の−R6(−OR7−)mOR8−を具体的に示すと、アルキレンポリ(オキシアルキレン)基;アルキレンポリ(グリセリン)アルキレン基等のヒドロキシが置換した基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ等のアルコキシ基置換アルキレンポリ(オキシ)アルキレン基が挙げられる。さらに、本発明における式(2)の化合物(C)中の−R6(−OR7−)mOR8−としては、エチレンポリ(オキシエチレン)基、プロピレンポリ(オキシプロピレン)基等のアルキレンポリ(オキシアルキレン)基がより好ましい。
【0054】
本発明の樹脂を製造する際の(C)式(2)の化合物の使用量は、エポキシ樹脂にイオン伝導性を高める作用を発揮させる点から、30〜80重量部、好ましくは40〜75重量部、より好ましくは45〜70重量部が好ましい。これらの化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)を反応させることで、より自立膜としての柔軟性が向上した樹脂を得ることが出来る。そして、得られた樹脂は、柔軟性が高く、樹脂中に固定化されたイオン性官能基がフレキシブルに自由運動するため、イオン伝導性が高い。
【0055】
化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の反応は、50〜200℃に30分〜20時間加熱することにより行うことができる。
【0056】
本発明の樹脂中の、化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)の含有質量比(A:B:C)は、1〜20:0.5〜40:2〜100、さらに5〜20:0.5〜35:2〜95が好ましい。特に(C)化合物の質量を大きくすることでイオン伝導性が向上する。
【0057】
本発明の樹脂の製造には、(C)式(2)のジアミン化合物以外にさらに他の化合物を使用することもできる。そのような他の化合物としてはアミン化合物、フェノール類、酸無水物等が挙げられる。
上記式(2)以外のアミン化合物としては、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、メタキシリレンジアミン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、メチレンジアニリン、メタフェニレンジアミン、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
【0058】
フェノール類としては、フェノール性水酸基を有するものであれば特に限定されないが、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、キシレン−ノボラック、メラミン−ノボラック、p−ヒドロキシスチレン(共)重合物およびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体等が挙げられる。
【0059】
酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸(HPA)、無水テトラヒドロフタル酸(THPA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、無水クロレンド酸(HET)、無水ナディック酸(NA)、無水メチルナディック酸(MNA)、無水ドデシニルコハク酸(DDSA)、無水フタル酸(PA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHPA)、無水マレイン酸等がある。
これらの式(2)の化合物以外の化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
2.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、前記化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)を含有する。本発明の硬化性組成物は熱硬化性である。
本発明の硬化性組成物は、例えば、化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の各化合物と、必要に応じて溶剤、その他の化合物とを混合することによって製造することができる。硬化性組成物の製造方法としては、従来公知の方法を適宜使用することができ、各化合物を一度に、あるいは任意の順序で加えて撹拌、混合、分散すればよい。また、本発明の硬化性組成物は、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)を混合してから硬化するまでの時間が短いため、化合物(A)および化合物(B)を含む(I)成分と、化合物(C)を含む(II)成分とを夫々で保管することで、貯蔵安定性が向上しやすくなる。
本発明の硬化性組成物中の前記化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の含有量は、前記本発明樹脂製造の際の使用量と同様である。また、本発明の硬化性組成物中には、前記他の化合物を配合することができる。
【0061】
本発明の硬化性組成物には、その他の添加剤として、例えば、有機スルホニルイミドリチウム、カルボン酸類、二塩基酸ジヒドラジド、イミダゾール類、有機ボロン、有機ホスフィン、グアニジン類およびこれらの塩などを使用することができ、これらは1種単独または2種以上を組み合わせて併用することができる。
【0062】
上記添加剤のうち、イオン伝導性の点で、(D)下記式(10)で表される化合物が好ましい。
【0063】
【化9】

【0064】
(上記式(10)において、Zは、ハロゲン原子を示す。)
Zとしては、フッ素原子が好ましい。
上記化合物(D)を使用する場合、当該含有量は、樹脂組成物中、1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部が好ましい。
【0065】
3.樹脂組成物
また、本発明においては、イオン伝導性の点で、上記により得られた樹脂を膨潤剤で膨潤せしめ、樹脂組成物とするのが好ましい。
当該膨潤剤としては、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸ビニレン、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、プロパンサルトン、ブタンサルトンおよびこれらの混合物が挙げられる。また、イオン伝導性の点で、当該膨潤剤に、上記式(10)で表される化合物等の添加剤を含有せしめて膨潤させてもよい。
また、当該膨潤は、公知の方法により行えばよく、樹脂組成物の膨潤度は、イオン伝導性の点で、1.5〜50が好ましく、2〜20がより好ましい。
【0066】
また、式(1)のエポキシ化合物(A)の繰り返し単位数(n)および、(C)の繰り返し単位数(m)が大きくなるほど、ポリマーの自由度が大きくなり、高いイオン伝導性を有する樹脂が得られる。
【0067】
本発明に係る樹脂組成物または硬化性組成物は、必要に応じて、リチウム塩等の電解質、無機フィラー、密着助剤、高分子添加剤、反応性希釈剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤、防カビ剤、調湿剤、難燃剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0068】
本発明の樹脂組成物または硬化性組成物は、熱硬化させることによって、イオン性官能基が固定され、イオン性官能基の溶出が防止された成形体を得ることができる。また、得られた成形体は、エポキシ樹脂特有の機械的特性、電気特性、接着性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性等の特性を有し、式(1)のYがカチオン性官能基の場合には乾燥状態でも膨潤状態でも優れたイオン伝導性を有し、式(1)のYがアニオン性官能基の場合には乾燥状態でイオン伝導性を有し、膨潤状態で優れたイオン伝導性を有し、且つ電解質としての特性も有する。特に熱硬化性フィルムの形態にすることが好ましく、フィルムの形態とすることにより、帯電防止フィルム、耐熱フィルム、難燃フィルム、接着フィルム、イオン伝導性フィルム、導電性フィルム、バッテリー用電解質フィルム、キャパシタ用電解質フィルム等に特に有用である。特に、本発明のフィルムは、イオン性官能基の構造が安定化しており、キャパシタや電池等の充放電に耐えうると推測できるので、バッテリー用途、キャパシタ用途に使用するのが好ましい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0070】
本実施例に用いた試薬は以下の通りである。
塩化コリン、エピクロロヒドリン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、水素化ナトリウム(オイル分散物)、水素化リチウム、水酸化リチウム−水和物、酢酸、アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノール(特級)は、和光純薬工業から購入しそのまま使用した。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、和光純薬工業から購入し、モレキュラーシーブ4Aで乾燥して使用した。3−クロロプロパンスルホニルクロライドは、Alfa Aesarから購入しそのまま使用した。リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI) は、和光純薬工業から購入し、真空下120℃に3時間加熱して乾燥させた。プロパンサルトン、トリフルオロメタンスルホンアミド、エピブロモヒドリンは、東京化成工業から購入しそのまま使用した。ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(Mw=526,PEGGE)及び、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)(Mw=1500,PEGBA1500)は、Aldrichから購入してそのまま使用した。ポリ(エチレンオキシド)ジアミン(Mw=2000,PEGBA2000)は、Scientific Polymer Products,Inc.から購入してそのまま使用した。1−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリドは、J.P.Synthesis 2006,23,4046−4052に従い合成した。N−N−ジメチルホルムアミド(DMF)は、水素化カルシウム上から減圧蒸留して用いた。炭酸プロピレン(PC)は、東京化成工業から購入し、水素化カルシウム上から蒸留して用いた。
また、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)は、和光純薬工業から購入し、真空下120℃に3時間加熱して乾燥させてから使用した。
【0071】
製造例1
リチウム 3−グリシジルオキシプロパンスルホネート(LiGPS)の製造
2,3−エポキシ−1−プロパノール(1.48g,20.0mmol)とプロパンサルトン(2.44g,20mmol)のDMF(4mL)溶液中に水素化リチウム(176mg,22mmol)を加え室温で20時間攪拌した後、反応混合物にアセトン(100mL)を加え生成物を沈殿させた。沈殿を回収しアセトンで沈殿を洗浄後、得られた固体を真空乾燥することにより目的の化合物(2.21g,10.9mmol)を収率54.7%で得た。得られた化合物は下記式に示す。
【0072】
【化10】

【0073】
ATR−IR:751,800,851,891,910,1045,1076,1104,1166,1221,2876,2940cm-1
1H−NMR δ in CD3OD:2.00−2.13(m,2H),2.63(dd,J=2.8,5.2Hz,1H),2.81(dd,J=4.4,5.2Hz,1H),2.92(t,J=7.8Hz,2H),3.10−3.20(m,1H),3.37(dd,J=6.0,11.4Hz,1H),3.57−3.68(m,2H),3.79(dd,J=2.8,11.4Hz,1H).
【0074】
製造例2
2−グリシジルオキシエチルトリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(GETMATFSI)の製造
室温にて、塩化コリン(2.79g,20.0mmol)の5mL水溶液にリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)(5.74g,20.0mmol)の5mL水溶液を加え、24h攪拌後、下層液体を回収し、純水(10mL)で3回洗浄した後、70℃で3時間真空乾燥することによりコリンのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(4.63g,11.4mmol)を収率57.0%で得た。このコリンTFSI塩(2.80g,7.29mmol)とエピクロロヒドリン(3.37g,37.0mmol)のDMF(7.0mL)溶液を水冷しながら、水素化ナトリウム(約50wt%オイル分散物,420mg,約8.75mmol)をゆっくり加え攪拌した。20時間後に、ジエチルエーテル(100mL)を加え、沈殿物を回収しジエチルエーテル(10mL)で2回洗浄した後、純水(5mL)を加え攪拌後下層液体を回収し、純水(5mL)で2回洗浄後、室温で3時間真空乾燥し目的の化合物(1.38g,3.04mmol)を収率41.7%で得た。得られた化合物は下記式に示す。
【0075】
【化11】

【0076】
ATR−IR:739,788,866,895,926,969,1049,1130,1175,1325,1346,1476,1487cm-1
1H−NMR δ in CD3OD:2.67(dd,J=2.7,5.0Hz,1H),2.85(dd,J=4.2,5.0Hz,1H),3.16−3.28(m,1H),3.21(s,9H),3.41(dd,J=6.3,11.6Hz,1H),3.62−3.68(m,2H),3.96(dd,J=2.1,11.6Hz,1H),3.75−4.05(m,2H).
【0077】
製造例3
1−(2−グリシジルオキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(GEDMITFSI)の製造
室温にて、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド(3.53g,20.0mmol)の5mL水溶液にリチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)(5.74g,20.0mmol)の5mL水溶液を加え、24h攪拌後、下層液体を回収し、純水(5mL)で3回洗浄した後、80℃で2時間真空乾燥することにより1−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(4.95g,11.8mmol)を収率58.8%で得た。この1−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(3.37g,8.00mmol)とエピクロロヒドリン(3.70g,40.0mmol)のDMF(8.0mL)溶液を水冷しながら、水素化ナトリウム(約50wt%オイル分散物,586mg,約12.2mmol)をゆっくり加え攪拌した。20時間後に、ジエチルエーテル(150mL)を加え、沈殿物を回収しジエチルエーテル(10mL)で2回洗浄した後、純水(5mL)を加え攪拌後下層液体を回収し、純水(5mL)で2回洗浄後、室温で3時間真空乾燥し目的の化合物(1.73g,3.62mmol)を収率45.3%で得た。得られた化合物は下記式で示す。
【0078】
【化12】

【0079】
ATR−IR:741,763,791,860,915,1054,1135,1180,1229,1336,1351cm-1
1H−NMR δ in acetone−d6:2.50(dd,J=2.8,5.2Hz,1H),2.70(dd,J=4.7,5.2Hz,1H),2.81(s,3H),3.02−3.10(m,1H),3.29(dd,J=6.5,11.4Hz,1H),3.84(d,J=11.6Hz,1H),3.88−3.96(m,2H),3.98(s,3H),4.45−4.54(m,2H),7.58−7.70(m,2H).
【0080】
製造例4
リチウム3−グリシジルオキシプロパンスルホニルトリフルオロスルホニルイミド(LiGPSI)
室温でトリフルオロメタンスルホンアミド(2.98g,20.0mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液中に、3−クロロプロパンスルホニルクロライド(3.54g,20.0mmol)と水酸化リチウム一水和物(1.68g,40.0mmol)を加え20時間撹拌した。混合物をガラスフィルターでろ過し、ろ液を濃縮した後ジクロロメタン(30mL)を加えて1時間撹拌したところ白色結晶が生成した。混合物をガラスフィルターでろ過し結晶を回収して真空乾燥を行うことでリチウム3−クロロプロパンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミド(5.18g,17.5mmol)を収率87%で得た。
酢酸(1.56g,26.3mmol)を純水(18mL)に溶解し水酸化リチウム一水和物(1.11g,26.3mmol)を加え中和した後、上述の3−クロロプロパンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミド(5.18g,17.5mmol)を加え100℃で42時間加熱撹拌した。反応混合物に水酸化リチウム一水和物(924mg,22.0mmol)を加え室温で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮後、アセトニトリル(30mL)を加えて撹拌した。デカンテーションで上澄み液を回収し、沈殿をアセトニトリル(10mL)で洗浄した洗液とともに濃縮した後、50℃に加熱しながら真空乾燥を行ったところ、リチウム3−ヒドロキシルプロパンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミド(2.58g,9.31mmol)を収率53%で得た。
得られたリチウム3−ヒドロキシルプロパンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミド(444mg,1.50mmol)をジメチルスルホキシド(1.1mL)に溶解し、エピブロモヒトドリン(438mg,3.2mmol)と水素化リチウム(60mg,7.5mmol)を加え50℃に加熱し43時間撹拌した。反応混合物にアセトニトリル(10mL)を加え撹拌後、ガラスフィルターでろ過し未反応の水素化リチウムと臭化リチウムを除去した後、トルエン(20mL)を加え撹拌した。沈殿した褐色の液体を回収しトルエン(5mL)で2回洗浄後、真空乾燥を行うことでリチウム3−グリシジルオキシプロパンスルホニルトリフルオロスルホニルイミド(LiGPSI)と原料であるリチウム3−ヒドロキシルプロパンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミドの混合物のジメチルスルホキシド溶液(グリシジル化率86%,LiGPSI含有率31.0wt%)1.61gを得た。得られた化合物は下記式で示す。
【0081】
【化13】

【0082】
下記式に、上述したLiGPSの合成経路を示す。
【0083】
【化14】

【0084】
フィルムの調製−1
PEGGE/LiGPS/PEGBA2000フィルムの調製
LiGPSのメタノール溶液(濃度約30wt%)に、表1に示す量のPEGGEとPEGBA2000を加えドライヤーで加熱しながら溶解混合して得られた液体を、PTFEテープを貼ったガラス基板上にキャストしメタノールを蒸発させた後、100℃で8時間加熱し無色透明のエポキシ樹脂を得た。エポキシ樹脂(15mm×5mm×610mm)を切り出し、メタノール(50mL)中に2時間浸漬した後エポキシ樹脂を取り出しメタノールで洗浄した。この操作を3回行った後、最終洗液のイオン伝導度が3mS/cm以下でイオン性化合物の染み出しがないことを確認した。洗浄された膜を一晩風乾し、さらに電気乾燥機を用いて100℃で3時間加熱乾燥させ乾燥状態の目的のエポキシ樹脂(試料1〜試料3)を合成した。また、乾燥試料を過剰量の乾燥炭酸プロピレン中に6時間浸漬して炭酸プロピレンで膨潤した試料(試料1'〜3')を調製した。
【0085】
各試料の仕込み量を表1に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
フィルムの調製−2
PEGGE/GETMATFSI−1.0/PEGBA1500フィルムの調製
PEGGE(158mg,0.30mmol)、GETMATFSI(132mg,0.30mmol)、PEGBA1500(338mg,0.225mmol)をドライヤーで加熱しながら溶解混合して得られた液体を、PTFEテープを貼った2枚のガラス基板と厚み500mmのPTFEシートで作成したスペーサーからなるPTFE型枠内に流し込み、100℃で8時間加熱した。室温まで冷却後フッ素樹脂の型をはずして褐色透明のエポキシ樹脂を得た。エポキシ樹脂(15mm×5mm×500mm)を切り出し、メタノール50mL中に2時間浸漬した後エポキシ樹脂を取り出しメタノールで洗浄した。この操作を3回行った後最終洗液のイオン伝導度が3mS/cm以下でイオン性化合物の染み出しがないことを確認した。洗浄された膜を、一晩風乾し、さらに電気乾燥機を用いて100℃で3時間加熱乾燥させ目的のエポキシ樹脂(試料4)を合成した。また、乾燥試料を過剰量の乾燥炭酸プロピレン中に6時間浸漬して炭酸プロピレンで膨潤した試料(試料4')を調製した。
【0088】
フィルムの調製−3
PEGGE/GEDMITFSI−1.0/PEGBA1500フィルムの調製
PEGGE(158mg,0.30mmol)、GEDMITFSI(134mg,0.30mmol)、PEGBA1500(338mg,0.225mmol)をドライヤーで加熱しながら溶解混合して得られた液体を、PTFEテープを貼った2枚のガラス基板と厚み500mmのPTFEシートで作成したスペーサーからなるPTFE型枠内に流し込み、100℃で8時間加熱した。室温まで冷却後フッ素樹脂の型をはずして褐色透明のエポキシ樹脂を得た。エポキシ樹脂(15mm×5mm×500mm)を切り出し、メタノール50mL中に2時間浸漬した後エポキシ樹脂を取り出しメタノールで洗浄した。この操作を3回行った後、最終洗液のイオン伝導度が3mS/cm以下でイオン性化合物の染み出しがないことを確認した。洗浄された膜を一晩風乾し、さらに電気乾燥機を用いて100℃で3時間加熱乾燥させ目的のエポキシ樹脂(試料5)を合成した。また、乾燥試料を過剰量の乾燥炭酸プロピレン中に6時間浸漬して炭酸プロピレンで膨潤した試料(試料5')を調製した。
【0089】
試験例1
フィルムのイオン伝導度測定
乾燥試料および炭酸プロピレン膨潤試料に関して、交流4端子法によりインピーダンスを測定し、その絶対値からイオン伝導度を求めた(HIOKI 3532−80 Chemical impedance meter,9140 4端子プローブ,電圧:50mV,測定周波数:4Hz〜100KHz)。
LiGPSを用いて合成した試料(試料1〜3および1'〜3')に関するイオン伝導度測定結果を図1に示す。GETMATFSI、GEDMITFSIを用いて合成した試料(試料4、4'5および5')に関するイオン伝導度測定結果を図2に示す。
【0090】
図1および図2から明らかなように、試料1〜3の樹脂はイオン伝導性を有する。また、試料4,5の樹脂は高いイオン伝導性を有する。
また、炭酸プロピレンで膨潤させたアニオン性基を有するネットワークポリマーは(試料1'〜3')、膨潤させていないネットワークポリマー(試料1〜3)よりも高いイオン伝導性を有することがわかる。
一方、カチオン性基を有するネットワークポリマーは、乾燥状態および膨潤状態のいずれの状態でも高いイオン伝導性を有し、膨潤状態の状態では、特に優れたイオン伝導性を有することがわかる(試料4'および5')。
【0091】
フィルムの調製−4
PEGGE/LiGPS/PEGBA1500フィルム(厚膜)の調製
表2に示す量のPEGGE、LiGPSおよびPEGBA1500を、同じく表2に示す量のメタノールに溶解させて、テフロン(登録商標)枠(2.0cm×4.0cm)内にキャストした。メタノールを蒸発させた後、混合物を100℃で8時間加熱して硬化させ無色透明のエポキシ樹脂薄膜を得た。得られたエポキシ樹脂薄膜の一部を切り出し(2.0cm×1.0cm)、メタノール(40mL)に2時間浸漬洗浄を3回繰り返したのち最終洗液のイオン伝導度が3mS/cm以下でイオン性化合物の染み出しがないことを確認した。洗浄されたエポキシ樹脂薄膜を風乾し、さらに100℃で3時間加熱乾燥してサンプル表題のフィルム(厚膜)(膜厚410μm〜450μm)を得た(試料6〜8)。
【0092】
【表2】

【0093】
試験例2
(1)フィルムサンプルの評価(イオン伝導度測定)
乾燥試料に関して、イオン伝導度測定は、ステンレス平板電極を用いて交流4端子法によりインピーダンスを測定し、ナイキストプロットによる解析を行い、イオン伝導度を求めた(HIOKI 3532-80 Chemical impedance meter, 9140 4端子プローブ, 電圧:50mV,測定周波数:4Hz〜1MHz)。各サンプルのイオン伝導度を表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
表3から明らかなように、試料6〜8の樹脂は、いずれも高いイオン伝導性を有する。
【0096】
(2)フィルムサンプルの評価(イオン伝導度の温度依存性)
試験例2−(1)に記載のイオン伝導度測定法で、サンプルを挟み込んだ電極全体を電気恒温乾燥装置内に入れて、温度を25℃〜90℃に変化させてインピーダンス測定を行い、ナイキストプロットによる解析でイオン伝導度を求めた(HIOKI 3532-80 Chemical impedance meter, 9140 4端子プローブ, 電圧:50mV,測定周波数:4Hz〜1MHz)。
上記表3の各サンプルのイオン伝導度の温度依存性を図3に示す。
【0097】
図3の結果から、膜状のサンプルのイオン伝導性は、温度の上昇とともに増大した。特に90℃以上では2.0×10-4S/m以上の高いイオン伝導性を示した。
【0098】
(3)フィルムサンプルの評価(応力−歪み)
応力−歪み測定は、試料6〜8の樹脂を10mm×5mm程度に切り出し、セイコーインスツルメント社製TMA6200を用いて、室温下で0.2mm/minで引張り歪みを与えて応力を測定した。その測定結果を図4に示す。
【0099】
図4の結果から、試料6〜8の樹脂は、2×10-5Pa以上の比較的高い引張強度を有することがわかる。
【0100】
(4)フィルムサンプルの評価(示差走査熱量)
PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500(試料7)およびPEGBA1500を用いて示差走査熱量の測定を行った。
示差走査熱量分析(DSC)は、セイコーインスツルメント社製DSC6200により、アルミパンを用いて、20mL/minの窒素気流中10℃/minで昇温させて測定した。サンプルは、測定前に70℃で数分熱処理した後、液体窒素を用いて−100℃まで急冷した。その測定結果を図5に示す。
【0101】
図5の結果から、ネットワークポリマー材料においてネットワーク形成により結晶化が阻害され、融点が低下する。PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500は16℃付近に融点を持ち、この温度以上で高いイオン伝導性を維持できると推測される。なお、PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500の融点は、PEGBA1500の融点(49℃付近)よりも低いことがわかる。
【0102】
(5)フィルムサンプルの評価(熱重量)
PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500(試料7)を用いて熱重量の測定を行った。
熱重量分析(TGA)は、セイコーインスツルメント社製TG−DTA6200により、アルミパンを用いて、50mL/minの窒素気流中10℃/minで昇温させて測定した。その測定結果を図6に示す。
【0103】
図6の結果から、PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500の5%重量損失温度は300℃以上であり、高い熱安定性を示した。
【0104】
フィルムの調製−5
LiTFSI添加PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500フィルム(厚膜)の調製
表4に示す量のLiTFSI、PEGGE、LiGPSおよびPEGBA1500をメタノール(430mg)に溶解させて、テフロン(登録商標)枠(2.0cm×4.0cm)内にキャストした。メタノールを蒸発させた後、混合物を100℃で8時間加熱して硬化させ無色透明のエポキシ樹脂フィルム(厚膜)(膜厚300μm〜390μm)を得た(試料9〜12)。
【0105】
【表4】

【0106】
試験例3
フィルムのイオン伝導度測定
各サンプルのイオン伝導度を表5に示す。測定は、試験例2と同様にして行った。
【0107】
【表5】

【0108】
表5から明らかなように、試料9〜12の樹脂は、いずれも高いイオン伝導性を有する。
【0109】
フィルムの調製−6
LiTFSI添加PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500フィルム(薄膜)の調製
PEGGE(316mg、0.60mmol)、LiGPS(121mg、0.60mmol)、LiTFSI(172mg、0.60mmol)、PEGBA1500(675mg、0.45mmol)をメタノール(3.6g)に溶解させて、6個のテフロン(登録商標)枠(5.0cm×3.0cm)内にキャストした。メタノールを蒸発させた後、混合物を100℃で8時間加熱して硬化させ無色透明のエポキシ樹脂フィルム(薄膜)(5.0cm×3.0cm×110〜160μm)6枚を得た(試料13)。
【0110】
フィルムの調製−7
PC膨潤PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500フィルム(厚膜)の調製
前記試料7と同様にして得たPEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500フィルム(厚膜)(8.0mg、約3mm×4mm×410μm)をPC(1mL)中に浸漬し6時間後に取り出し、表面をキムワイプで拭き取りPC膨潤サンプル(30.4mg)を調製した(試料14)。試験例2と同様の方法で測定したイオン伝導度を以下に示す。
イオン伝導度:2.6x10-3S/m
膨潤度(膨潤重量(mg)/乾燥重量(mg)):3.8
【0111】
フィルムの調製−8
LiTFSI/PC膨潤PEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500フィルム(厚膜)の調製
前記試料7と同様にして得たPEGGE/LiGPS-1.0/PEGBA1500フィルム(厚膜)(6.1mg、約3mm×4mm×410μm)を、LiTFSIのPC溶液(1.0mol/L,1mL)中に浸漬し6時間後に取り出し、表面をキムワイプで拭き取りLiTFSI/PC膨潤サンプル(39.0mg)を調製した(試料15)。
なお、LiTFSIのPC溶液は、PC1Lに対し、LiTFSIを1.0mol混合させることにより得た。
試験例2と同様の方法で測定したイオン伝導度を以下に示す。
イオン伝導度:3.6×10-1S/m
膨潤度(膨潤重量(mg)/乾燥重量(mg)):6.4
【0112】
上記結果より、炭酸プロピレンまたはLiTFSIのPC溶液でPEGGE/L位GPS−1.0/PEGBA1500を膨潤させることにより、高いイオン伝導度を示すことがわかる。また、LiTFSIのPC溶液で膨潤させることにより、特に優れたイオン伝導度を示すことがわかった。
【0113】
フィルムの調製−9
PEGGE/LiGPSI/PEGBA1500フィルムの調製
所定量のPEGGE、LiGPSI、PEGBA1500をテフロン(登録商標)枠(2.0cm×4.0cm)内にキャストした。混合物を100℃で8時間加熱して硬化させ無色透明のエポキシ硬化薄膜を得た。得られた硬化膜を、メタノール(40mL)に2時間浸漬して洗浄した。この洗浄を3回繰り返したのち風乾し、さらに100℃で3時間加熱乾燥して表題のフィルム(膜厚370μm〜440μm)を得た。IRスペクトルを図7に示す。
【0114】
各試料の仕込み量を表6に示す。
【0115】
【表6】

【0116】
フィルムの調製−10
LiTFSI添加PEGGE/LiGPSI−1.0/PEGBA1500フィルムの調製
PEGGE/LiGPSI−1.0/PEGBA1500(膜厚220〜270μm)を5mm×5mmのサイズで切り出して、LiTFSIのメタノール溶液中に3時間浸漬後100℃で3時間加熱乾燥してLiTFSI添加フィルムを調製した。
【0117】
各試料の仕込み量を表7に示す。
【0118】
【表7】

【0119】
フィルムの調製−11
PC膨潤PEGGE/LiGPSI−1.0/PEGBA1500フィルムの調製
LiGPSI含有量の異なるPEGGE/LiGPS/PEGBA1500フィルム(膜厚400μm)を3mm×4mm程度に切り取り、乾燥PC(1mL)中に6時間浸漬後、取り出して表面の余分なPCをキムワイプでふき取り、PC膨潤試料を調製した。
【0120】
各試料の膨潤量を表8に示す。
【0121】
【表8】

【0122】
フィルムの調製−12
LiTFSI/PC溶液膨潤PEGGE/LiGPSI−1.0/PEGBA1500フィルムの調製
LiGPSI含有量の異なるPEGGE/LiGPS/PEGBA1500フィルム(膜厚400μm)を3mm×4mm程度に切り取り、1.0mol/LのLiTFSIのPC溶液(1mL)中に6時間浸漬後、取り出して表面の余分なPCをキムワイプでふき取り、PC膨潤試料を調製した。
【0123】
各試料の膨潤量を表9に示す。
【0124】
【表9】

【0125】
調製−9〜調製−12で得られたフィルムのイオン伝導度を、試験例1又は2に従って測定した。
【0126】
調製−9により得られた各フィルム(乾燥試料)のイオン伝導度を表10に示す。
【0127】
【表10】

【0128】
調製−10により得られた各試料において、吸収されたLiTFSIとフィルム合成時仕込み量からフィルム中に導入されたと考えられるLiGSPIのモル比、ならびにイオン伝導度を表11に示す。
【0129】
【表11】

【0130】
調製−11により得られたPC膨潤PEGGE/LiGPSI/PEGBA1500フィルムの各試料のイオン伝導度を表12に示す。
【0131】
【表12】

【0132】
調製−12により得られたPC膨潤PEGGE/LiGPSI/PEGBA1500フィルムの各試料のイオン伝導度を表13に示す。
【0133】
【表13】

【0134】
上記の結果から明らかなように、本発明の樹脂の、アニオン性基を有するネットワークポリマーは、炭酸プロピレンで膨潤させた場合に高いイオン伝導性を示し、カチオン性基を有するネットワークポリマーは、乾燥状態及び膨潤状態のいずれの状態でも高いイオン伝導性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で表されるエポキシ化合物、
【化1】

(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および
(C)下記式(2)で表される化合物
【化2】

を反応させてなる樹脂。
(上記式(1)において、Xはエポキシ基を有する基を示し、Yはイオン性官能基を示し、R1は炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、nは1〜100の整数である。上記式(2)において、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示すが、R2〜R5のうち、少なくとも3つは水素原子であり、R6およびR8は、それぞれ独立に、メチレン基、または炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示し、R7は、炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、mは9〜100の整数である。)
【請求項2】
前記Xが、下記式(6)で表される基
【化3】

(式(6)において、kは、0〜5の整数である。)
であり、前記(B)が、下記式(9)で表される化合物
【化4】

(上記式(9)において、R18は、炭素数2〜5の置換または非置換アルキレン基を示し、pは、1〜100の整数である。)
である請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
前記イオン性官能基が、−SO3-、−SO2-SO222(R22は、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を示す)、式(3)で表される基、式(4)で表される基またはそれらの塩から選ばれる基である請求項1または2に記載の樹脂。
【化5】

(式(3)において、R9、R10およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
【化6】

(式(4)において、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
【請求項4】
式(2)の−R6(−OR7−)mOR8−において、R6、R7およびR8がそれぞれ独立に、エチレン基、メチルエチレン基およびトリメチレン基から選ばれる基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂および膨潤剤を含有する樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂または請求項5記載の樹脂組成物を用いて成形された成形体。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂または請求項5記載の樹脂組成物を用いて成形されたバッテリーまたはキャパシタ用電解質フィルム。
【請求項8】
(A)下記式(1)で表されるエポキシ化合物、(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および(C)下記式(2)で表される化合物を含有する硬化性組成物。
【化7】

【化8】

(上記式(1)において、Xはエポキシ基を有する基を示し、Yはイオン性官能基を示し、R1は炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、nは1〜100の整数である。上記式(2)において、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示すが、R2〜R5の少なくとも3つは水素原子であり、R6およびR8は、それぞれ独立にメチレン基、または炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示し、R7は、炭素数2〜20の置換または非置換アルキレン基を示し、mは9〜100の整数である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46915(P2011−46915A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28797(P2010−28797)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】