説明

イオン検出器、イオン検出器を備える質量分析計、イオン検出器を操作する方法

【課題】試料に応じて適した検出器を切り換えて使用できるようにする。
【解決手段】イオン検出器は、イオンを受け取る入口開口部と、ファラデーカップと、電子増倍器と、入口開口部を通して受け取ったイオンを方向づけるよう配置されたイオンビームコントローラとを備える。コントローラは、受け取ったイオンがファラデーカップによって検出されるようにコントローラが作動する第1の構成と、受け取ったイオンが電子増倍器によって検出されるようにコントローラが作動する第2の構成との間で切り替え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン検出器に関し、詳細には、質量分析計において用いるのに好適なイオン検出器、ならびにそのような検出器を組み込んだ質量分析計に関する。
【0002】
質量分析法は、イオンの質量電荷比の測定によるイオン同定の分析技法である。イオンの質量電荷比とは、イオンの質量をそのイオンにかかる電荷で割ったものである。原子および分子は、1つまたは複数の電子を失うことによって、または1つまたは複数の陽子を得ることによって、正に帯電することができる。原子および分子はまた、電子を獲得することによって負に帯電して、負のイオンを生成することもできる。
【0003】
質量分析計は、イオンをその質量電荷比にしたがって分離してさまざまな質量電荷比でのイオン分布を示すのに用いる計器である。
【0004】
図1は、典型的な質量分析計10の概略図を示す。質量分析計10は、イオン源12、質量分析器14、およびイオン検出器16という3つの主な構成要素から成っている。
【0005】
イオン源12は、サンプル材料をイオン化し、出力としてイオン13のビームを生成する。気体状のサンプルの電子ボンバード(electron bombardment)は、イオンを形成するのに用いられる一般的な方法であるが、多くのその他のタイプのイオン化、例えば熱イオン化やプラズマイオン化が利用できる。
【0006】
質量分析器(または質量選別器)14は、イオン源12からイオン13を受け取り、イオンをその質量電荷比にしたがって分離する。これは通常、電界および磁界を用いることによって行われる。図1に示す質量分析器14は、イオン13の運動方向に対し直角にある磁界を供給するよう配置されている。イオンビーム13は、異なる質量電荷比のイオンが異なるビーム飛翔経路15a、15b、15cをたどるように偏向される。このような飛翔経路15a、15b、15cは、イオンビーム13を偏向させる磁界の強さを変えることによって変更することができる。
【0007】
イオン検出器16は、検出器に入射するイオンの数に関連する電気信号を生成する。イオン検出器は、質量分析器14の光出力経路内に配置される。それぞれのイオン検出器の前には入口開口部17(コレクタスリットと呼ぶ)が配置され、特定の1つの質量電荷比のイオンのみがそのイオン検出器に当たることができるようになっている、すなわち、ただ1つの飛翔経路に対応するビームがその入口開口部を通過するようになっている。
【0008】
図1の質量分析計10は、複数のイオン検出器16を備える。スリット17と検出器16とは、それぞれの検出器が互いに異なる質量電荷比のイオンを受け取るよう配置されている。質量分析器14は、各イオンビーム15a、15b、15cをほぼそれぞれの焦点に集中させるよう配置されている。このような焦点は、焦点面と呼ばれる1つの平面を画定する。入口開口部17はそれぞれ、通常、イオンビーム飛翔経路15a、15b、15cのそれぞれの焦点に配置されている。入口開口部17(および対応する検出器16)の位置は、通常、質量分析器14の磁界とともに制御されて、さまざまなイオンビームを検出器16と最適に整合することができる。
【0009】
少なくとも、検出器を通るイオンビーム(複数可)の経路は、真空のエンクロージャ(evacuated enclosure)18内にある。エンクロージャ18は、典型的には比較的高真空、例えば1.33×10−6Pa(10−8トール)以下の圧力に維持されて、汚染および干渉の影響を最小にする。
【0010】
図1に示すタイプの質量分析計は、米国特許第4,524,275号明細書において説明されており、材料の同位体比を求めるのに好適である。
【0011】
ファラデーカップと電子増倍器という、2つのタイプのイオン検出器が一般的に用いられている。イオン検出器の選択は、一般的に、検出器に入射するイオンビームの強度に基づく。イオンビームの強度は、そのビームが運ぶ電流(単位時間当たりの電荷、例えばアンペア)によって測定することができる。ファラデーカップは、典型的には約10−15アンペアよりも大きい電流を有するビームに用いられ、電子増倍器は10−13〜10−19アンペアの範囲の電流に用いることができる。質量分析計内の検出器(複数可)は、高真空において、および外来の物質による汚染を回避するために清浄な環境において動作する必要があるので、1つのタイプの検出器を別のタイプの検出器と交換するのには多くの時間がかかる。これは、組成がはっきりと定まらないサンプルを分析する場合に特に問題をはらむ。そのような場合においては、利用するべき検出器の実際のタイプは、最初の測定(reading)を行うまで、したがってサンプルからのビームの強度が求められるまで、わからない。
【0012】
本発明の実施形態の目的は、本明細書において言及されるにせよそうでないにせよ、従来技術の1つまたは複数の問題に実質的に取り組むイオン検出器を提供することである。
【0013】
第1の態様において、本発明は、
イオンを受け取る入口開口部と、
ファラデーカップと、
電子増倍器と、
入口開口部を通して受け取ったイオンを方向づけるよう配置され、受け取ったイオンがファラデーカップによって検出されるように作動する第1の構成と、受け取ったイオンが電子増倍器によって検出されるように作動する第2の構成との間で切り替え可能な、イオンビームコントローラと
を備えるイオン検出器を提供する。
【0014】
そのようなイオン検出器を提供することによって、ファラデーカップまたは電子増倍器のどちらかを所望のとおりに選択することができる。したがって、必要とされているイオン検出器を変更することなく、ファラデーカップまたは電子増倍器のどちらかを用いてイオンを検出するよう、そのセクタを都合よく再構成することができる。
【0015】
長手方向の軸は入口開口部を貫くとともにファラデーカップを貫いて延び、第1の構成によって、イオンが妨げられることなく長手方向の軸に沿って通過することができる。
【0016】
電子増倍器は細長く、該電子増倍器の長さは長手方向の軸と実質的に平行であってもよい。
【0017】
イオンビームコントローラは、第1および第2の構成のうちの少なくとも1つにおいて、イオンを方向づける電界を発生させるよう配置されてもよい。
【0018】
イオンビームコントローラは、第2の構成内に、受け取ったイオンを引き寄せて自らの表面に衝突させ、電子増倍器によって検出される二次電子を表面が放出するよう配置された、第1のダイノードを備えてもよい。
【0019】
イオンビームコントローラはさらに、第1のダイノードからの二次電子を引き寄せて自らの表面に入射させ、電子増倍器によって検出されるさらなる二次電子が放出されるよう配置された、第2のダイノードを備えてもよい。
【0020】
第2の態様において、本発明は、上述のイオン検出器を備える質量分析計を提供する。
【0021】
質量分析計は複数のイオン検出器を備え、該イオン検出器の入口開口部は、質量分析計の焦点面に沿って互いに間隔を置いて配置されてもよい。
【0022】
少なくとも1つのイオン検出器の位置および向きのうちの少なくとも一方を制御するよう配置された移動ユニットをさらに備えてもよい。
【0023】
第3の態様において、本発明は、
イオンを受け取る入口開口部と、
ファラデーカップと、
電子増倍器と、
入口開口部を通して受け取ったイオンを方向づけるよう配置され、受け取ったイオンがファラデーカップによって検出されるように作動する第1の構成と、受け取ったイオンが電子増倍器によって検出されるように作動する第2の構成との間で切り替え可能な、イオンビームコントローラと
を備えるイオン検出器を操作する方法であって、
該イオン検出器の操作に関連する所定パラメータを求めることと、
イオンビームコントローラを、所定パラメータに応じて第1の構成と第2の構成との間で切り替えることと
を含む方法を提供する。
【0024】
所定パラメータは、検出器に入射するイオンビームの強度を含み得る。
【0025】
次に本発明の実施形態を、添付の図面を参照して実施例で説明する。
【0026】
本発明は、2つの互いに異なる構成の間で切り替え可能なイオン検出器を提供し、第1の構成においてイオンが第1のタイプのイオン検出器によって検出され、第2の構成においてイオンが第2のタイプのイオン検出器によって検出されるようになっている。この2つのタイプのイオン検出器を単一の装置内に組み込むことによって、1つのタイプのコレクタを別のタイプと物理的に交換する必要なしに、好ましいタイプの検出器を所望に応じて利用することができる。さらに、コレクタスリットの場所の変更がないので、コレクタの位置決めが確実なものになる。好ましい実施形態において、切り替えは迅速であり、単にイオンビームコントローラに電圧を印加するだけで行うことができる。
【0027】
図2は本発明の好ましい実施形態によるイオン検出器100の概略断面平面図を示し、図3は、同じ検出器の、検出器の入口開口部104を含む面を見た端面図を示す。
【0028】
検出器100は、本体102内に封入されたファラデーカップ110と電子増倍器120とを組み込んでいる。本体102は、典型的には鋼等の保護材料で形成されている。
【0029】
本体102の入口開口部104は、イオン105の進入点を提供する。開口部を貫くとともにファラデーカップ(ファラデーコレクタ(Faraday collector)とも呼ぶ)110を貫いて、長手方向の進入路(longitudinal access)106が延びている。軸106に沿って開口部104に入射するイオンビーム105は、イオンビーム105が進路を変更しないと仮定すれば、ファラデーカップ110まで進み、ファラデーカップ110によって検出される。
【0030】
ファラデーカップ110は、当該技術分野において既知のタイプの検出器である。ファラデーカップ110は、その名前が示唆するように、イオンを捕捉するのにカップ型の表面を利用する。ファラデーカップが正確に歪みなくイオンの電荷電流(charge current)を測定するためには、いかなる帯電した二次粒子およびいかなる注入イオンもファラデーカップを再び出てはならない。したがって、イオンを捕捉するのに用いるカップはできるだけ幅が狭くかつ深くなければならず、入口開口部104を通して受け取ったイオン105がカップ110の可能な限り深くまで入るように正確に整合しなければならない。さらに、カップ110の前には、負に帯電した二次粒子を効果的にばらばらにして(break)カップ110に戻すために、二次電子ダイアフラム(diaphragm)112が取り付けられている。さらに、カップは外部の散乱粒子に対して電気的にほぼ遮蔽されている。
【0031】
電圧が可変の電極130は、ファラデーカップ110によって検出される状態から、電子増倍器120によって検出される状態に、イオンの進路を変更するように電界を印加するよう作用することができる。電極130は、少なくとも2つの互いに異なる構成、すなわち2つの互いに異なる電圧、の間で切り替え可能である。電極130は、長手方向の軸106に隣接して(すなわち、受け取ったイオンの経路に隣接して)配置される。電極130は、長手方向の軸106と実質的に平行な平面にあり、長手方向の軸106から所定距離だけ間隔を置いて配置された表面132を有する。この特定の実施形態において、長手方向の軸に面している電極の表面全体は平らではなく、平らな表面132の両側に高くなった部分134を有して、二次電子の経路を方向づけるのに好適な所望の電界分布を提供するようになっている。しかし、表面はまた、電子のいかなる必要なまたは所望の収束(focusing)も行われるように湾曲していてもよい。
【0032】
第1の構成において、電極130は中性点(neutral)電圧(例えばゼロボルト)に維持されて、受け取ったイオンが妨げられることなくファラデーカップ組立品の入口開口部114内へと通過することができるようになっている。
【0033】
第2の構成において、電極134に負の電圧(例えば−3.5kV)が印加され、電極がダイノードの機能を果たすようになっている。ダイノード電極は、増幅を行うよう二次電子を放出する電極である。
【0034】
正に帯電したイオンは、負に帯電した電極に向かって引き寄せられ、電極の方向転換表面(conversion surface)132に衝突して二次電子を放出する。このような電子は次に、「中間」電位(例えば典型的には−200ボルト)に保たれた第2の方向転換プレート(conversion plate)すなわちダイノード122に向かって引き寄せられる。この電位が「中間」なのは、第1のダイノード134の電位と電子増倍器120の入口124の電位の間だからである。ダイノード122から放出された二次電子は次に、ダイノード122よりも正の電圧(例えば接地電位)に保たれた電子増倍器120の入口124に向かって引き寄せられる。
【0035】
第2のダイノード122は、長手方向の軸に関して第1のダイノード130の反対側にあり、長手方向の軸106と電子増倍器120の入口基部(entrance base)124の両方に対して、ある角度をなして傾斜している。
【0036】
電子増倍器120は好ましくは細長く、長手方向の軸と平行になるよう配置されていて、検出器100全体の全幅が最小になるようにしている。これによって、質量分析計の焦点面全体にわたっていくつかの検出器100を整合させることが容易になる。
【0037】
この配置では、電子増倍器自体に当たるのは二次電子のみとなり、それによって電子増倍器の損傷率が低くなり寿命が延びる。コレクタをこのような幾何学的配置にすると、たとえ電子増倍器が用いられていなくても、入射イオンビームのいかなる部分も電子増倍器に当たることが不可能になる。
【0038】
電子増倍器120は、電位が次第に増加する状態で連続して配置された一連のダイノードから成るのが効果的である。この特定の実施形態において、増倍器は実際には、その長さに沿って電位が変化する連続ダイノードから成っている。カスケード効果(cascade effect)のために、電子増倍器の典型的な利得は、典型的には100万の域にある、すなわち、電子増倍器内の第1のダイノードに当たるどの電子(またはイオン)についても、100万個の電子が最後のダイノードから生成される。したがって、受け取ったイオンを方向づけるように第1のダイノード130に適切な電圧を印加することによって、イオンが電子増倍器によって検出される。
【0039】
好ましくは、イオン検出器100の構造は、350℃までの計器の焼成/調整(baking/conditioning)温度に適合するようになっている。例えば質量分析計内で、イオン検出器の位置および/または向きを変えるのに、さまざまな移動ユニットまたは装置を用いることができる。好ましくは、そのような装置は焼成可能な直線駆動装置(bakable linear drives)を用い、駆動装置の周りにはベローズ(bellows)が配置されて、外部源からの蒸気進入によるイオン検出器システムの汚染を防止する。焼成可能という用語は、350℃までの動作温度に耐えることができる駆動装置のことを指す。
【0040】
イオン検出器(すなわちコレクタ)の本体(すなわちエンベロープ)102は、ステンレス鋼で形成されている。コレクタを集めて組み立てたもの全体は、典型的には銅のガスケットまたは金のOリングの封止材を有する、ステンレス鋼の真空チャンバ内に配置されている。ドイツのSjuts of Gottingenが製造するKBLA 210−5という機種が、そのような装置において用いるのに好適な増倍器である。そのような増倍器は、公称の幅が2.4mmで高さが10mmである。
【0041】
検出器100の厳密な寸法は、その検出器の所望の性能および使用法によって決まる。
【0042】
例として、以下の寸法が少なくとも1つの実施形態において適切である。検出器100は、幅Aが5.1mmで高さBが26mmであり、全長Cは46mmである。入口開口部104は幅Dが0.8mmであり長さEが14mmである。第1のダイノード130は長さFが3.6mmである。ファラデーカップ組立品の入口開口部114の幅Hは、約1.2mmである。これに対応する、第1のダイノード130と第2のダイノード122との間のバッフルの開口部の幅Iは、1.3mmである。ファラデーカップ組立品の長さGは、好ましくはできるだけ長く、典型的には約30mmである。実際のカップは、典型的には幅Jが1.4mmであり、幅Kが2.5mmのエンクロージャ内に配置されている。検出器100の入口開口部104からファラデーカップ組立品の入口開口部114までの距離は、典型的には5.2mmである。
【0043】
上記実施形態は例としてのみである、ということが理解されよう。当業者には、本発明の範囲内にあるさまざまな代替が明白となろう。例えば、好ましい実施形態では、2つのダイノード134、122を利用して二次電子を生成している。しかし、その他の幾何学的配置が可能であり、所望であれば単一のダイノードのみを利用してもよい、ということが理解されよう。
【0044】
同様に、上記実施形態においては、簡潔にするために、長手方向の軸が入口開口部を貫くとともにファラデーカップを貫いて延び、したがって、イオンが妨げられることなく長手方向の軸に沿ってカップ内へと通過することができるようになっている。しかし、ファラデーカップおよび電子増倍器のその他の幾何学的配置を利用してもよい、ということが理解されよう。例えば、代替的な実施形態において、電子増倍器のダイノードは入口開口部と一直線に(すなわち、入口開口部と同じ長手方向の軸に沿って)配置され、入口開口部を通過するイオンがダイノードに当たり、次に電子増倍器に向かって引き寄せられるようになっている。この実施形態のイオンビームコントローラは、作動時にイオンを軸外の(off-axis)ファラデーカップ内へと方向づける電界を発生させるよう配置された、一連の電極の形をとる。
【0045】
代替的な実施形態においては、ファラデーカップと電子増倍器のダイノードは両方とも軸外である。一構成において、電極装置(すなわちイオンビームコントローラ)は、イオンをファラデーカップに向かって方向づけるよう配置され、別の構成において、電子増倍器に向かって方向づけるよう配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】典型的な質量分析計の概略図である。
【図2】好ましい実施形態によるイオン検出器の概略断面平面図である。
【図3】図2に示すイオン検出器の端面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを受け取る入口開口部と、
ファラデーカップと、
電子増倍器と、
前記入口開口部を通して受け取ったイオンを方向づけるよう配置され、受け取ったイオンが前記ファラデーカップによって検出されるように作動する第1の構成と、受け取ったイオンが前記電子増倍器によって検出されるように作動する第2の構成との間で切り替え可能な、イオンビームコントローラと
を備えるイオン検出器。
【請求項2】
長手方向の軸は前記入口開口部を貫くとともに前記ファラデーカップを貫いて延び、
前記第1の構成によって、イオンが妨げられることなく前記長手方向の軸に沿って通過することができる、請求項1に記載のイオン検出器。
【請求項3】
前記電子増倍器は細長く、前記電子増倍器の長さは前記長手方向の軸と実質的に平行である、請求項2に記載のイオン検出器。
【請求項4】
前記イオンビームコントローラは、前記第1および第2の構成のうちの少なくとも1つにおいて、イオンを方向づける電界を発生させるよう配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン検出器。
【請求項5】
前記イオンビームコントローラは、前記第2の構成内に、
受け取ったイオンを引き寄せて自らの表面に衝突させ、前記電子増倍器によって検出される二次電子を前記表面が放出するよう配置された、第1のダイノードを
備える、請求項4に記載のイオン検出器。
【請求項6】
前記イオンビームコントローラはさらに、
前記第1のダイノードからの二次電子を引き寄せて自らの表面に入射させ、前記電子増倍器によって検出されるさらなる二次電子が放出されるよう配置された、第2のダイノード
を備える、請求項5に記載のイオン検出器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオン検出器を備える質量分析計。
【請求項8】
複数の前記イオン検出器を備え、
前記イオン検出器の前記入口開口部は、前記質量分析計の焦点面に沿って互いに間隔を置いて配置されている、請求項7に記載の質量分析計。
【請求項9】
少なくとも1つの前記イオン検出器の位置および向きのうちの少なくとも一方を制御するよう配置された移動ユニットをさらに備える、請求項7または8に記載の質量分析計。
【請求項10】
イオンを受け取る入口開口部と、
ファラデーカップと、
電子増倍器と、
前記入口開口部を通して受け取ったイオンを方向づけるよう配置され、受け取ったイオンが前記ファラデーカップによって検出されるように作動する第1の構成と、受け取ったイオンが前記電子増倍器によって検出されるように作動する第2の構成との間で切り替え可能な、イオンビームコントローラと
を備えるイオン検出器を操作する方法であって、
前記イオン検出器の操作に関連する所定パラメータを求めることと、
前記イオンビームコントローラを、前記所定パラメータに応じて前記第1の構成と前記第2の構成との間で切り替えることと
を含む方法。
【請求項11】
前記所定パラメータは、前記検出器に入射するイオンビームの強度を含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−221876(P2006−221876A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32228(P2005−32228)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(504429138)ジーヴィ・インストロメンツ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】GV Instruments Limited
【住所又は居所原語表記】Crewe Road, Wythenshawe, Manchester, M23 9BE, United Kingdom
【Fターム(参考)】