イオン源のための置き換え可能な陽極ライナー
イオン源の陽極内部に適合するような取外し可能な陽極ライナー:陽極ヘ放出するような電子、ここで任意の絶縁堆積物が、陽極ライナーの内部に付着する、そのため、早期の取り替え又は取り除きをしないで効果的に使用可能年数を増大させること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析器の分野に関係するものであり、特に、半導体処理モニタリングにおいて用いられる、イオン源のための置き換え可能な陽極ライナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定の半導体ウェハモニタリングプロセスでは、プロセスガスの存在及び相対量を決定するために質量分析計、又は他の装置を用いることが知られている。例えば、化学的蒸着(CVD)技術を利用するもののような、多くのこれらのプロセスは、プロセスをモニタしている質量分析計をして、代表的に分光計と結合して用いられるイオン源の平均使用可能年数と比較して比較的短期間の間に、感度を損なう結果となる揮発性シリコン、及び/又は、他の種を含む。さらに簡潔にいえば、結果として起こる問題は、イオン源は、イオン源の通常または典型的な使用可能期間(例えば数ヶ月)に反して、その必要とする感度を、ほんの数日で失ってしまい得ることであり、これにより、早期にこれを取り替えることを必要とする。
【0003】
上記した感度の損失は、イオン源の陽極の内部上での、絶縁堆積物の蓄積によるものである。典型的なイオン源は、図1及び図2に描かれており、一方でこれを組み込んでいる質量分析システム31は、図3に描かれている。この問題をよりよく理解する目的のために、これらの図の各々を参照する。
【0004】
第1に、図1及び図2に関して、一対のイオン源10、30が描かれている。これらのイオン源の各々に共通に使われ、ここで参照される構成要素には、明瞭化のため同じ参照数字が記されている。
【0005】
描かれたイオン源10、30間の差異については、いくつかのイオン源製造業者は、例えばQ-Massセンサーシステム用に、Leybold Inficon of East Syracuseによって製造されたイオン源におけるもののように、洗浄のためにすべての部品を置き換え、又は取り除くことのできる置き換え可能な陽極を用いることが出来る。典型的に、これらの有機質量分析ユニットは、既知のイオン源10の一部を表す、図1に示されるような、ガスクロマトグラフィーから伸びるガスエントリー、又は陽極の側に(すなわち水平に)入る他の形の出力を持つ。
【0006】
しかしながら、及び真空処理の応用において、Inficon,Inc.,によって製造されるCompact Process Monitorのような残留ガス分析器(RGAs)に基づくプロセス分析器は、代表的に図2で示されるように、閉じたイオン源30を持っている。
【0007】
イオン源10、30の各々は、共通に電子流生成手段、この場合、陽極18、32の各々の構造内に放出する電子流を生成するタングステン、又は同様の金属で作られる加熱されたフィラメント14を含む。上記で述べたように、図1のイオン源10の陽極18は取外し可能であり、この図では、該陽極は、組み立てられた、及び組み立てられていない状態の両方が示される、一方で、図2の該閉じられたイオン源30では、その上端に保護ディスク34のような支持構造を持つ固定された陽極32を含む。
【0008】
各イオン体積10、30の加熱されたフィラメント14から形成される電子は、陽極18、32の内部内のイオン化体積又は領域内に排出される。陽極18、32の電位は、フィラメント及び電子反射電極(図示せず)に対してプラスである。堆積室又はモニターされるべき、他のイオン源からの試薬ガスは、イオン化体積内に供給される。上記したように、かつイオン源10の例では、ガスは、ポート22を通って水平に供給され、一方、イオン源30内では、ガスは同軸に設けられる。つまり、ガスは、実質的に、陽極32を通る電子流の方向に実質的に垂直な方向27に導入される。
【0009】
質量分析システム31の例が図3において示されており、そこでは、イオン検出器及び四極子質量検出器を収容するセンサー33が、イオン化体積内の試薬ガスを引き出す真空テスト室35及び真空ポンプ37に対して、配置されている。プロセス20からのガスは、フローを御する開口21により閉じたイオン源30に供給される。上記したシステムに関するさらなる詳細は、米国特許No.5,889,281内に設けられており、その内容は、参照によりここに組み入れられる。
【0010】
各イオン源10、30において、イオン化体積という制限の中で結果的に形成された電子は、少なくとも1つのフォーカスプレート、又はエキストラクター(抽出器)24、及び平行かつ同心状の出口レンズ29よりなるイオンレンズアセンブリを通して適切な電位によって引き出される。陽極18、32のそれより低い陽電位を持つプレート24は、四極子のような質量フィルタ又は他の装置(図1及び図2では図示せず)へ、イオンレンズアセンブリ内の同心状の開口28を通して、軸25に沿って形成された陽イオンを集束イオンビーム26として加速するよう働く。絶縁材38は、各イオン源10、30のレンズアセンブリ内に、ガス漏れを防ぐよう設けられている。四極子質量分析器(以後QMSと称す)において特に、感度(すなわち、イオン源分圧に比例して検出されるイオン電流)は、イオンエネルギーに非常に依存している。
【0011】
どの事例においても、陽極表面を加熱する電子ビームは、モニタされているCVD試薬ガスからの絶縁堆積層39の形成を誘導することが出来る。続いて、同じ電子ビームは、絶縁堆積層表面39上に電子を蓄積し、負の表面電荷を形成し、かつ陽極に対して負である電気的ポテンシャルを形成する。
【0012】
典型的に、図2で示されるような、プロセスモニタリングに用いられる閉じたイオン源30は、イオンエネルギー約6〜8電子ボルトを持つイオンを作り出すように動作する。質料分析器(図2においては、図示せず)に入る結果として生じるイオンのイオンエネルギーは、上記した絶縁層効果により作り出される負のポテンシャルにより減少させられ、閉じたイオン源のQMSユニットの感度を、劇的に減少させる。
【0013】
現在、公知技術に従って実施されている上記の問題を解決する、2つの伝統的な解決法がある。第1の解決法は、イオン源をすべて交換することである。この解決法は、イオン源が陽極に加えて多数の部品を含むということで非常にコストがかかる。この第1の解決法は、また時間も消費する。第2の解決法は、標準陽極を取り替えることである。この後者の解決法は、陽極の置き換えに加えて、イオン源の分解を必要とする。ほとんど確実に、後者の解決法は、フィラメントの交換をも必要とし、したがって余分な修理コストがかかる。
【0014】
イオン源10において、試薬ガスのポート22を通っての側面からの、又は水平な入力は、その除去のために、陽極18をイオンビーム26の軸25に沿って除去することに至らしめる。試薬ガスがイオンビーム軸25に沿って該イオン源に入る閉じたイオン源30内において、陽極32は、通常イオン源30の一体的部分である。陽極32を置き換えるための分解シーケンスは、シーリングディスク34、圧縮バネ(図示さず)、加熱されたフィラメント14、及びさらには置き換える前の実際の陽極構造を含む、数多くの構成部品の除去を必要とする。閉じたイオン源への軸状のガスの入力のために陽極32を置き換えることは、それゆえ、イオン源アセンブリの主要な再作業となる。上述したように、陽極アセンブリだけなら最小に置き換えられるが、フィラメント14も恐らく取替えが必要である。これは、フィラメントがタングステンで作られている場合、そのもともと壊れやすい性質により、かつアセンブリの際、フィラメントの破砕の危険性があることより、特に当てはまる。新しい(例えば加熱されていない)タングステンフィラメントは、すでに加熱されたフィラメントよりも壊れにくい。しばしば、この分野において、ユーザーは、分解を行う以外に、イオン源を完全に取り替えることを選ぶ。
【特許文献1】米国特許第5,889,281号明細書
【特許文献2】米国特許第6,413,387号明細書
【特許文献3】欧州特許第1049133号明細書
【発明の開示】
【0015】
本発明の主目的は、上記先行技術の問題点を克服することである。
【0016】
本発明のもう1つの主目的は、イオン源の総合的な感度について妥協することなしに、陽極構造に関して導入することのできる、使い捨て可能な部品の室外での置き換えを可能とすることにより、質料分析器、または同様の装置に用いられるイオン源の使用可能期間を増大することである。
【0017】
したがって、及び本発明の好ましい側面によれば、質料分析システムのためのイオン源が与えられ、該イオン源は以下のものよりなる:
電子流を生成する手段:
前記生成された電子流が注入される内部領域をもつ陽極であって、該電子流は前記陽極領域内で終了し、かつそこでイオンが生成される;及び
置き換え可能な陽極ライナーであって、該陽極ライナーは、前記内部陽極領域に挿入が可能であり、かつそこで該電子流を受けるように構築されている。
【0018】
本発明のもう1つの好ましい側面によれば、イオン源のための置き換え可能な陽極ライナーが開示され、該イオン源は、陽極支持構造の内部に関連して配置された電子流を生成する手段を持ち、該ライナーは、前記イオン源と取外し可能に係合しており、かつ、前記陽極支持構造内に適合するよう構築されている。
【0019】
好ましくは、置き換え可能な、又は電気防食用の陽極ライナーは、イオン源の固定された陽極の内部内に適するスリーブ状部材よりなり、該ライナーはさらに、該ライナーが前記陽極上に位置する時、該ライナーをフィラメントのような、電子流生成手段に対して位置決めするインデックス手段を含む。一つの好ましい実施形態によれば、該ライナーは、インデックス手段、及び伸張手段を持ち、各手段は、陽極構造上の参照特徴に揃えられたライナーの一端上のT字型スロットにより実施される。閉じたイオン源の場合、該T型スロットが最初に、陽極構造上の参照特徴に揃えられる時、該ライナーの対向端に形成された水平スロットは、フィラメントのような電子流生成手段に対して自動的に位置決めされる。
【0020】
該ライナーは、イオン源の分解を必要とせずに、その挿入、又は取り外しを可能とする手段をもつ。つまり、該ライナーは、取外しツールを用いて、固定された陽極に直接組み立て及びこれから取外しすることができる。
【0021】
好ましくは、該ライナーは、陽極の外周内での閉じたスライドする適合を維持し、これにより、ガスはイオン源陽極の内部とライナーの外周との間の通路に沿ってイオン源の低圧力側にもれ出ることがない。
【0022】
本発明の、さらにもう1つの好ましい側面によれば、ガス分析システムのためのイオン源アセンブリを備え、該アセンブリは以下のものよりなる:
少なくとも1つのフィラメント、該フィラメントからの形成された電子ビームが、その中に入る陽極構造、分析のために処理ガスが入ることを許すガスポート、及び複数の陽極ライナーを含み、陽極ライナーは、前記陽極構造の内部内に挿入可能であり、前記ライナーの各々は、導電材料から作られ、かつ少なくとも前記電子流の一部が、前記陽極構造の内部に入ることを許す手段をもつ。
【0023】
本発明の更にもう1つの側面によれば、汚染されたイオン源の感度を改善する方法が開示されており、該イオン源は、内部領域を定義する陽極構造を含み、該陽極の内部領域は、電子流を受け、ここでイオンは該領域内で形成され、該方法は以下のステップよりなる:
置き換え可能な陽極ライナーを、該ライナーが該陽極内部領域内に配置され、かつ前記電子流を受けるよう、陽極構造内に挿入し、該ライナーは、導電材料より作られ、該電子流からの絶縁堆積物が、前記陽極構造の内部に代わり、その内部表面上に形成されることを許す。
【0024】
本発明の利点としては、陽極ライナーが、ここで説明されているように、臨界的な構成要素の実質的な分解あるいは置き換えなしで、イオン源の使用可能な寿命の全体を許すことである。
【0025】
本発明によって実現されるもう1つの直接的な利点は、ここで記述された陽極ライナーが利用されているハードウェア(例えば、質量分析器)のイオン源の用途に依存して、陽極領域内への電子ビームの放射を効果的に制御することができる態様で製造されることである。
【0026】
更なるもう一つの利点は、ここで記述されているライナーは、ライナーが最初に搭載された時、つまり汚染される前には、イオン源の感度に実質的に影響を与えないことである。さらに、方法及び設計が、ライナーを、その挿入に際して、イオン源の形成された電子ビームに対して効果的に中心をとり、揃えるように、記述されている。
【0027】
本発明の更にもう1つの利点は、有効な汚染制御が、イオン源の全体感度を、犠牲にする、あるいは実質的に影響を与えることなく、使い捨て可能な部品を用いて行われる。
【0028】
好ましい実施形態は、イオン源又は陽極の全体を置き換える公知の技術に対して、低コストの置き換え要素及び時間を節約できる置き換え方法で、イオン源の感度の保持を完遂する。
【0029】
これらの、及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面とともに読まれるべき以下の詳細な説明から容易に明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、ここでは置き換え可能な陽極ライナーに関する特定の好ましい実施形態に関して説明されており、同様にイオン源の構造も、ここで併せて用いられることが出来るように説明されている。この分野の当業者が、以下の説明を読めば、すぐに理解をすることができ、また、本発明の精神と原則の範囲内での他の修正及びバリエーションを実行することが可能である。さらに、“上”、“下”、“水平”、“上部”“真下”“側面”のような特定の語句が説明の中で用いられる。これらの語句は、参照に用いる図、及び過度の制限を意図しないような枠組みを規定するために用いられるものであり、ここでは実質的に正反対を意図するものを除くものである。
【0031】
図4(a)に戻り、先に図2で示されたような、閉じたイオン源40が示されている。ここでの議論の目的のために、同様の部品には、同じ参照数字を記す。先に説明されたように、イオン源40は、陽極の内部内に放出される電子を形成するのに役立つ加熱されたフィラメント14に対して揃えられた陽極構造32を含む。該イオン源40は、さらにフォーカスプレート24及び同心円状の出口レンズを含むイオンレンズアセンブリを含み、その各々は、陽極からの抽出されたイオンビーム26を質量フィルタ(図示せず)に焦点をあわせ、かつ向けさせる開口28を持つ。試薬ガスが陽極領域に同軸に、つまり、陽極構造の上部からイオンビーム26の軸25に平行な方向に入る。該アセンブリは、陽極構造の最上部にマウントされたシーリングディスク34、及びイオンレンズアセンブリ内にマウントされた絶縁体38の手段によりシールされる。
【0032】
該アセンブリは、さらに図4(a)-図4(c)で示される、本発明の第1の実施形態に従って作られる電気防食用陽極ライナー44を含む。この実施形態に従った陽極ライナー44は、さらに中空の内部60を定義する一対の開口端52、56をもつ、円筒形のスリーブ状の筐体48により定義される。該ライナー44は、任意の導電性の材料より構築され、ただし、この特定の実施形態では、ライナーは、金メッキされた304ステンレススチールにより構築される。該ライナー44は、以下でよりよく説明する理由により、薄い壁からなり、かつ比較的軽量であり、かつ該ライナーは、図4(a)で示されるように、イオン源40の固定された陽極構造32の内部と、かつ特にイオンがその中に形成される陽極領域と緊密にフィットするような大きさに形成されている。
【0033】
特に図4(b)及び図4(c)を参照すると、陽極ライナー44は、さらに垂直部68及び水平な、又は横の領域72を持つT字型スロット64を含み、該スロットは、第1の、又は上部開口52ばかりでなく、その反対側の第2の、又は下側開口56の近傍に形成された水平スロット76の近傍に伸びている。該T字型スロット64は、ライナー44を、これが挿入された時、これに圧力をかけ、かつこれをその位置に位置させるその両方を行うための手段として、該ライナーの外径の残りの部分に比べ、大きい直径に形成されている。該T字型スロット64は、陽極構造に対し該ライナー44を、組み立て/マウントするために、図5のように、挿入/除去ツール80による、係合を許すよう構築されており、以下により詳細に記述する。該ライナー44の水平スロット76は、イオン源40の電子形成源(ここでは、図4(a)の、加熱されたフィラメント14)に揃えられる大きさに形成されており、図4(a)のように通常の方法で、図4(a)のように電子が陽極32の内部内に貫通することを許すようにしている。しかしながら、かつ陽極ライナーの存在により、陽極の内部上の表面に吸収されたスピーシーズ、及びガス相スピーシーズのどちらか又は両方から代表的に形成される任意の絶縁堆積物は、電子が陽極44の内壁をたたくにつれ、陽極の伝導性のある内部表面の内部表面上に形成され、イオンエネルギーを堆積し、その壁温を上昇させ、かつ堆積物が形成されることを許す。
【0034】
図5及び図6は、上記に述べたものと同様に、閉じたイオン源40Aに関連して本発明に従って、電気防食用陽極ライナー44の取外し、及びそれに続く置き換えを描写している。ここで用いられる挿入/除去ツール80は、一対の開口端、すなわち、挿入端88、及び取外し端84のそれぞれを持つ円筒形部材により定義される。
【0035】
図5を参照して、そこで示された装置は、すでに、電気防食用陽極ライナー44が、上記したように、すでに、閉じたイオン源40Aの固定された陽極構造32Aに関して所定位置に置かれていると仮定している。この特定の実施形態の、挿入/除去ツール80は、陽極構造32Aの内部、すでに挿入された陽極ライナー44の内部と係合する大きさである直径をもつ。該ツール80は、揃え除去ピン92が、ツールの底からT字型スロット64の水平部72に突出するまで、陽極内に挿入される。該ツール80は、その後それがT字型スロット64の水平部72の端と合うまで、その中心軸の回りに回転せられる。ライナーの除去の目的のためには、ツール80が、時計回りに回転されるか、反時計回りに回転されるかは問題ではない。一度該ツール揃え除去ピン92が、T字型スロット64の水平部72と係合すれば、ライナー44は、挿入/除去ツール80を、方向101で示されるように引き抜くことによって、陽極の内部から引き出すことができる。
【0036】
図6を参照して、新しい陽極ライナー44は、図5の除去されたライナーと置き換えることが出来る。挿入は該ツール80を用いて、より特定的には、該ツールの外側から放射状に突き出たツール揃え挿入ピン94をもちいて行う。該揃え挿入ピン94は、この実施形態では、最初に、電気防食用陽極ライナー44のT字型スロット64の垂直部68に沿って揃えられる。ライナーの水平スロット76は、この実施形態では、固定された陽極32Aの上端ポイントに小さい周状切り込み102を設けることによって、イオン源40Aのフィラメント(図示せず)に自動的に揃えられる。この切り込み102は、除去/挿入ツール80のツール揃え挿入ピン94のそれとの係合が、ライナー44の底にある水平スロット76を、イオン源40Aの電子流源(例えばフィラメント)と自動的に揃える、あるいは位置決めするように設けられている。その後、挿入は方向108において軸的に行なわれ、挿入端は、肩部105により、陽極構造内の所定の軸距離までの挿入を可能にする。陽極ライナー44の高さは、該陽極32よりもわずかに高いようにセットされており、該ライナーは、十分に挿入された時、陽極の上端上にわずかだけ突出し、これにより、ライナーが十分に挿入されることを可能とする。
【0037】
このようにして、該挿入は、有効に、ライナー44の電子入力スロットを、フィラメント14に対して、さらなる助けあるいは検査を必要とすることなく、自動的に位置揃え及びセンタリングを行う。
【0038】
好ましくは、かつ動作においては、ここで記述された電気防食用、又は置き換え可能な陽極ライナー44は、イオン源の陽極構造の内部へ最初に組み入れられ、かつ該陽極構造は、さらに円状の切り込み102を含む。該ライナー44の厚さは、イオン源の感度を維持するよう充分に薄くなければならず、部分的には陽極内のイオン化領域の寸法により制御される。
【0039】
証明試験は、上記したような、イオン源アセンブリ内における、電気防食用ライナーのプロトタイプの使用を証明するように実施される。この試験の目的のために、該イオン源は、Inficon,Inc.によって製造されるCVDバージョンの閉じたイオン源である。テストは、上記したように、電気防食用陽極ライナーを備えない場合、及び前記ライナー44を含んだ場合の両方で測定された感度の効果を決定するために、四極子質量フィルタを備えたPhase 2 Compact Process Monitor を用いて行なわれる。
【0040】
【表1】
【0041】
第2の比較は、上記したように、電気防食用陽極ライナーを挿入する前と後とで測定された汚染されたイオン源を用いて行われる。
【0042】
【表2】
【0043】
本発明の更にもう1つの実施形態によれば、電気防食用陽極ライナーは、電子のイオン化体積内への流れを制御するように設計することが出来る。多目的の、または“普遍的な”イオン源110は、図7-9で描写され、複数サイズの、又は複数設計の、複数の陽極ライナーを収容することができる。該イオン源110は密閉形式のものであり、かつ陽極構造114、及び電子源として作用するフィラメント115を含む。該イオン源110は、さらに伝導性のフォーカスプレート118及びイオン出口レンズ122を含むイオンレンズアセンブリを含み、その各々は、イオンビーム130がそれを通過する同心状の開口126を持つ。プロセス試薬ガスが、イオン源110に、陽極構造114を通って、軸的に(形成されたイオンビーム130に関して)入り、かつイオンレンズアセンブリ及びフィラメントを通って出て行く。該イオン源110は、他にも、陽極構造114の上端に配置されたシーリングディスク135及びイオンレンズアセンブリに設けられた絶縁体139の手段によりガス漏れに対してシールされる。
【0044】
図7で示される一つのバリエーションによれば、電気防食用陽極ライナー140は、陽極構造114の内部内に適合するように設計され、そのような大きさとされた、円筒状スリーブ部材として定義される。該ライナー140は、導電材料から作られる薄い壁状の構造であり、かつ、中空の内部を定義する一対の対向する開口を含む。電子入力スロット147は、その低端に、形成された電子が、陽極構造114の内部内に入ることを許すようフィラメント115と揃えられて設けられる。既に述べたようにかつ、陽極構造の内部上に形成される前に、試薬ガスによる任意の絶縁堆積物が、ライナー140の対向する壁の内部表面上に形成されるかわりに、層149として、つまり電子入力スロット147の反対側に、形成され、該ライナーは電気的に伝導性があり、これを推進する。該ライナー140は、図では、集められた状態及び集められていない状態の両方で示されており、該ライナーは方向145に、挿入及び取外し可能である。
【0045】
図8を参照して、もう1つのバージョンの電気防食用陽極ライナー150がイオン源110で用いられるよう図示されている。この特定の実施形態において、該ライナー150の設計は、図7と文字通り同一であり、ただ、該ライナーの底端での水平な電子入力スロットが、PVD処理(Physical Vapor Deposition)プロセスで用いられるような、電子の閉じたイオン源の内部への入力を制御するより小さい開口154で置き換えられている。該小さい電子入力開口154は、電子入力の外でのガスの伝導率を減少し、それゆえ陽極領域内の圧力を上昇させる。
【0046】
図9で図示されている、第3のライナー160は、以前のライナー140、150と同様の設計であるが、このライナーでは、水平の電子入力スロットは除去され、かつ該ライナーの開いた下端は、該ライナー160の下端での単一又は複数のガス流出開口164により置き換えられている。後者の設計は、ガスの分子ビームのみが、陽極領域を通って流れることに役立つ。しかしながら、上記のライナーの設計の各々においては、単一の陽極構造及びイオン光学アセンブリのみが必要とされる。
【0047】
上記ライナーの各々の設計の残りは、上記したように、T字型スロット166を含む上端開口端を共通に含み、該陽極構造114は、図9でのみ示されているが、同様に周状の切り込み116を持つよう構築されており、ライナー140、150、160の各々をフィラメント115に対して位置決めすることを可能としている。図5及び図6で示されたような挿入ツールは、それゆえ、必要に応じて、イオン源110に対して、容易に挿入又は除去するよう使用することができ、ライナー140、150、160を、イオン源の汚染の制御、及び改善された寿命のいずれかのために、及び他の中でも、PVDのような、異なったアプリケーションを利用するために用いることができる。
【0048】
上記した請求項に従えば、この分野の当業者は、ここで記述された発明の範囲内で多くのバリエーション及び改良をできることがすぐに理解できる。例えば、他の形状をもつイオン源の陽極は、周状でなくてもよく、その長軸がセンサーの長軸と同心であるのでなくてもよい。上記陽極ライナーの概念は、これらのイオン源においても用いることができる。このようなケースでは、保持バネは、ライナー部分自身に、又は他のねじのような手段に、ライナーを適切な位置に保持するように、組み込むことができる。同様に、バネの効果は、ライナーの上部をその断面がわずかに長円型になるまで、わずかに破砕することによって実現される。ばねは円筒の長軸内に二つの平行な切り口を、タブを形成するよう入れることにより形成することができ、これは、保持力を改善するためにわずかに外側に曲げることも出来る。
【0049】
さらに、他の揃え特徴は、同様にタブを用いることによって実現することができ、視覚上以外の揃えは必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、先行技術のイオン源の断面をとった、部分側立面図である。
【図2】図2は、もう1つの先行技術のイオン源の、断面をとった、部分側立面図である。
【図3】図3は半導体モニタープロセスに用いられる質量分析システムにおいて用いられるイオン源を示す図である。
【図4(a)】図4(a)は、本発明の好ましい実施形態に従って製造される置き換え可能な陽極ライナーを持つイオン源の、断面をとった側立面図である。
【図4(b)】図4(b)は、図4(a)の陽極ライナーの側立面図を示す。
【図4(c)】図4(c)は、図4(a)の陽極ライナーの側立面図を示す。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施形態に従い、イオン源から図4(a)-図4(c)のライナーを除去する様子を図解する斜視図である。
【図6】図6は、図4(a)-図4(c)を図5のイオン源上に着脱する様子を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に従った陽極ライナーの側面図の図解である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施形態に従った陽極ライナーの側面図の図解である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施形態に従って組み立てられた陽極ライナーの側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析器の分野に関係するものであり、特に、半導体処理モニタリングにおいて用いられる、イオン源のための置き換え可能な陽極ライナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定の半導体ウェハモニタリングプロセスでは、プロセスガスの存在及び相対量を決定するために質量分析計、又は他の装置を用いることが知られている。例えば、化学的蒸着(CVD)技術を利用するもののような、多くのこれらのプロセスは、プロセスをモニタしている質量分析計をして、代表的に分光計と結合して用いられるイオン源の平均使用可能年数と比較して比較的短期間の間に、感度を損なう結果となる揮発性シリコン、及び/又は、他の種を含む。さらに簡潔にいえば、結果として起こる問題は、イオン源は、イオン源の通常または典型的な使用可能期間(例えば数ヶ月)に反して、その必要とする感度を、ほんの数日で失ってしまい得ることであり、これにより、早期にこれを取り替えることを必要とする。
【0003】
上記した感度の損失は、イオン源の陽極の内部上での、絶縁堆積物の蓄積によるものである。典型的なイオン源は、図1及び図2に描かれており、一方でこれを組み込んでいる質量分析システム31は、図3に描かれている。この問題をよりよく理解する目的のために、これらの図の各々を参照する。
【0004】
第1に、図1及び図2に関して、一対のイオン源10、30が描かれている。これらのイオン源の各々に共通に使われ、ここで参照される構成要素には、明瞭化のため同じ参照数字が記されている。
【0005】
描かれたイオン源10、30間の差異については、いくつかのイオン源製造業者は、例えばQ-Massセンサーシステム用に、Leybold Inficon of East Syracuseによって製造されたイオン源におけるもののように、洗浄のためにすべての部品を置き換え、又は取り除くことのできる置き換え可能な陽極を用いることが出来る。典型的に、これらの有機質量分析ユニットは、既知のイオン源10の一部を表す、図1に示されるような、ガスクロマトグラフィーから伸びるガスエントリー、又は陽極の側に(すなわち水平に)入る他の形の出力を持つ。
【0006】
しかしながら、及び真空処理の応用において、Inficon,Inc.,によって製造されるCompact Process Monitorのような残留ガス分析器(RGAs)に基づくプロセス分析器は、代表的に図2で示されるように、閉じたイオン源30を持っている。
【0007】
イオン源10、30の各々は、共通に電子流生成手段、この場合、陽極18、32の各々の構造内に放出する電子流を生成するタングステン、又は同様の金属で作られる加熱されたフィラメント14を含む。上記で述べたように、図1のイオン源10の陽極18は取外し可能であり、この図では、該陽極は、組み立てられた、及び組み立てられていない状態の両方が示される、一方で、図2の該閉じられたイオン源30では、その上端に保護ディスク34のような支持構造を持つ固定された陽極32を含む。
【0008】
各イオン体積10、30の加熱されたフィラメント14から形成される電子は、陽極18、32の内部内のイオン化体積又は領域内に排出される。陽極18、32の電位は、フィラメント及び電子反射電極(図示せず)に対してプラスである。堆積室又はモニターされるべき、他のイオン源からの試薬ガスは、イオン化体積内に供給される。上記したように、かつイオン源10の例では、ガスは、ポート22を通って水平に供給され、一方、イオン源30内では、ガスは同軸に設けられる。つまり、ガスは、実質的に、陽極32を通る電子流の方向に実質的に垂直な方向27に導入される。
【0009】
質量分析システム31の例が図3において示されており、そこでは、イオン検出器及び四極子質量検出器を収容するセンサー33が、イオン化体積内の試薬ガスを引き出す真空テスト室35及び真空ポンプ37に対して、配置されている。プロセス20からのガスは、フローを御する開口21により閉じたイオン源30に供給される。上記したシステムに関するさらなる詳細は、米国特許No.5,889,281内に設けられており、その内容は、参照によりここに組み入れられる。
【0010】
各イオン源10、30において、イオン化体積という制限の中で結果的に形成された電子は、少なくとも1つのフォーカスプレート、又はエキストラクター(抽出器)24、及び平行かつ同心状の出口レンズ29よりなるイオンレンズアセンブリを通して適切な電位によって引き出される。陽極18、32のそれより低い陽電位を持つプレート24は、四極子のような質量フィルタ又は他の装置(図1及び図2では図示せず)へ、イオンレンズアセンブリ内の同心状の開口28を通して、軸25に沿って形成された陽イオンを集束イオンビーム26として加速するよう働く。絶縁材38は、各イオン源10、30のレンズアセンブリ内に、ガス漏れを防ぐよう設けられている。四極子質量分析器(以後QMSと称す)において特に、感度(すなわち、イオン源分圧に比例して検出されるイオン電流)は、イオンエネルギーに非常に依存している。
【0011】
どの事例においても、陽極表面を加熱する電子ビームは、モニタされているCVD試薬ガスからの絶縁堆積層39の形成を誘導することが出来る。続いて、同じ電子ビームは、絶縁堆積層表面39上に電子を蓄積し、負の表面電荷を形成し、かつ陽極に対して負である電気的ポテンシャルを形成する。
【0012】
典型的に、図2で示されるような、プロセスモニタリングに用いられる閉じたイオン源30は、イオンエネルギー約6〜8電子ボルトを持つイオンを作り出すように動作する。質料分析器(図2においては、図示せず)に入る結果として生じるイオンのイオンエネルギーは、上記した絶縁層効果により作り出される負のポテンシャルにより減少させられ、閉じたイオン源のQMSユニットの感度を、劇的に減少させる。
【0013】
現在、公知技術に従って実施されている上記の問題を解決する、2つの伝統的な解決法がある。第1の解決法は、イオン源をすべて交換することである。この解決法は、イオン源が陽極に加えて多数の部品を含むということで非常にコストがかかる。この第1の解決法は、また時間も消費する。第2の解決法は、標準陽極を取り替えることである。この後者の解決法は、陽極の置き換えに加えて、イオン源の分解を必要とする。ほとんど確実に、後者の解決法は、フィラメントの交換をも必要とし、したがって余分な修理コストがかかる。
【0014】
イオン源10において、試薬ガスのポート22を通っての側面からの、又は水平な入力は、その除去のために、陽極18をイオンビーム26の軸25に沿って除去することに至らしめる。試薬ガスがイオンビーム軸25に沿って該イオン源に入る閉じたイオン源30内において、陽極32は、通常イオン源30の一体的部分である。陽極32を置き換えるための分解シーケンスは、シーリングディスク34、圧縮バネ(図示さず)、加熱されたフィラメント14、及びさらには置き換える前の実際の陽極構造を含む、数多くの構成部品の除去を必要とする。閉じたイオン源への軸状のガスの入力のために陽極32を置き換えることは、それゆえ、イオン源アセンブリの主要な再作業となる。上述したように、陽極アセンブリだけなら最小に置き換えられるが、フィラメント14も恐らく取替えが必要である。これは、フィラメントがタングステンで作られている場合、そのもともと壊れやすい性質により、かつアセンブリの際、フィラメントの破砕の危険性があることより、特に当てはまる。新しい(例えば加熱されていない)タングステンフィラメントは、すでに加熱されたフィラメントよりも壊れにくい。しばしば、この分野において、ユーザーは、分解を行う以外に、イオン源を完全に取り替えることを選ぶ。
【特許文献1】米国特許第5,889,281号明細書
【特許文献2】米国特許第6,413,387号明細書
【特許文献3】欧州特許第1049133号明細書
【発明の開示】
【0015】
本発明の主目的は、上記先行技術の問題点を克服することである。
【0016】
本発明のもう1つの主目的は、イオン源の総合的な感度について妥協することなしに、陽極構造に関して導入することのできる、使い捨て可能な部品の室外での置き換えを可能とすることにより、質料分析器、または同様の装置に用いられるイオン源の使用可能期間を増大することである。
【0017】
したがって、及び本発明の好ましい側面によれば、質料分析システムのためのイオン源が与えられ、該イオン源は以下のものよりなる:
電子流を生成する手段:
前記生成された電子流が注入される内部領域をもつ陽極であって、該電子流は前記陽極領域内で終了し、かつそこでイオンが生成される;及び
置き換え可能な陽極ライナーであって、該陽極ライナーは、前記内部陽極領域に挿入が可能であり、かつそこで該電子流を受けるように構築されている。
【0018】
本発明のもう1つの好ましい側面によれば、イオン源のための置き換え可能な陽極ライナーが開示され、該イオン源は、陽極支持構造の内部に関連して配置された電子流を生成する手段を持ち、該ライナーは、前記イオン源と取外し可能に係合しており、かつ、前記陽極支持構造内に適合するよう構築されている。
【0019】
好ましくは、置き換え可能な、又は電気防食用の陽極ライナーは、イオン源の固定された陽極の内部内に適するスリーブ状部材よりなり、該ライナーはさらに、該ライナーが前記陽極上に位置する時、該ライナーをフィラメントのような、電子流生成手段に対して位置決めするインデックス手段を含む。一つの好ましい実施形態によれば、該ライナーは、インデックス手段、及び伸張手段を持ち、各手段は、陽極構造上の参照特徴に揃えられたライナーの一端上のT字型スロットにより実施される。閉じたイオン源の場合、該T型スロットが最初に、陽極構造上の参照特徴に揃えられる時、該ライナーの対向端に形成された水平スロットは、フィラメントのような電子流生成手段に対して自動的に位置決めされる。
【0020】
該ライナーは、イオン源の分解を必要とせずに、その挿入、又は取り外しを可能とする手段をもつ。つまり、該ライナーは、取外しツールを用いて、固定された陽極に直接組み立て及びこれから取外しすることができる。
【0021】
好ましくは、該ライナーは、陽極の外周内での閉じたスライドする適合を維持し、これにより、ガスはイオン源陽極の内部とライナーの外周との間の通路に沿ってイオン源の低圧力側にもれ出ることがない。
【0022】
本発明の、さらにもう1つの好ましい側面によれば、ガス分析システムのためのイオン源アセンブリを備え、該アセンブリは以下のものよりなる:
少なくとも1つのフィラメント、該フィラメントからの形成された電子ビームが、その中に入る陽極構造、分析のために処理ガスが入ることを許すガスポート、及び複数の陽極ライナーを含み、陽極ライナーは、前記陽極構造の内部内に挿入可能であり、前記ライナーの各々は、導電材料から作られ、かつ少なくとも前記電子流の一部が、前記陽極構造の内部に入ることを許す手段をもつ。
【0023】
本発明の更にもう1つの側面によれば、汚染されたイオン源の感度を改善する方法が開示されており、該イオン源は、内部領域を定義する陽極構造を含み、該陽極の内部領域は、電子流を受け、ここでイオンは該領域内で形成され、該方法は以下のステップよりなる:
置き換え可能な陽極ライナーを、該ライナーが該陽極内部領域内に配置され、かつ前記電子流を受けるよう、陽極構造内に挿入し、該ライナーは、導電材料より作られ、該電子流からの絶縁堆積物が、前記陽極構造の内部に代わり、その内部表面上に形成されることを許す。
【0024】
本発明の利点としては、陽極ライナーが、ここで説明されているように、臨界的な構成要素の実質的な分解あるいは置き換えなしで、イオン源の使用可能な寿命の全体を許すことである。
【0025】
本発明によって実現されるもう1つの直接的な利点は、ここで記述された陽極ライナーが利用されているハードウェア(例えば、質量分析器)のイオン源の用途に依存して、陽極領域内への電子ビームの放射を効果的に制御することができる態様で製造されることである。
【0026】
更なるもう一つの利点は、ここで記述されているライナーは、ライナーが最初に搭載された時、つまり汚染される前には、イオン源の感度に実質的に影響を与えないことである。さらに、方法及び設計が、ライナーを、その挿入に際して、イオン源の形成された電子ビームに対して効果的に中心をとり、揃えるように、記述されている。
【0027】
本発明の更にもう1つの利点は、有効な汚染制御が、イオン源の全体感度を、犠牲にする、あるいは実質的に影響を与えることなく、使い捨て可能な部品を用いて行われる。
【0028】
好ましい実施形態は、イオン源又は陽極の全体を置き換える公知の技術に対して、低コストの置き換え要素及び時間を節約できる置き換え方法で、イオン源の感度の保持を完遂する。
【0029】
これらの、及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面とともに読まれるべき以下の詳細な説明から容易に明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、ここでは置き換え可能な陽極ライナーに関する特定の好ましい実施形態に関して説明されており、同様にイオン源の構造も、ここで併せて用いられることが出来るように説明されている。この分野の当業者が、以下の説明を読めば、すぐに理解をすることができ、また、本発明の精神と原則の範囲内での他の修正及びバリエーションを実行することが可能である。さらに、“上”、“下”、“水平”、“上部”“真下”“側面”のような特定の語句が説明の中で用いられる。これらの語句は、参照に用いる図、及び過度の制限を意図しないような枠組みを規定するために用いられるものであり、ここでは実質的に正反対を意図するものを除くものである。
【0031】
図4(a)に戻り、先に図2で示されたような、閉じたイオン源40が示されている。ここでの議論の目的のために、同様の部品には、同じ参照数字を記す。先に説明されたように、イオン源40は、陽極の内部内に放出される電子を形成するのに役立つ加熱されたフィラメント14に対して揃えられた陽極構造32を含む。該イオン源40は、さらにフォーカスプレート24及び同心円状の出口レンズを含むイオンレンズアセンブリを含み、その各々は、陽極からの抽出されたイオンビーム26を質量フィルタ(図示せず)に焦点をあわせ、かつ向けさせる開口28を持つ。試薬ガスが陽極領域に同軸に、つまり、陽極構造の上部からイオンビーム26の軸25に平行な方向に入る。該アセンブリは、陽極構造の最上部にマウントされたシーリングディスク34、及びイオンレンズアセンブリ内にマウントされた絶縁体38の手段によりシールされる。
【0032】
該アセンブリは、さらに図4(a)-図4(c)で示される、本発明の第1の実施形態に従って作られる電気防食用陽極ライナー44を含む。この実施形態に従った陽極ライナー44は、さらに中空の内部60を定義する一対の開口端52、56をもつ、円筒形のスリーブ状の筐体48により定義される。該ライナー44は、任意の導電性の材料より構築され、ただし、この特定の実施形態では、ライナーは、金メッキされた304ステンレススチールにより構築される。該ライナー44は、以下でよりよく説明する理由により、薄い壁からなり、かつ比較的軽量であり、かつ該ライナーは、図4(a)で示されるように、イオン源40の固定された陽極構造32の内部と、かつ特にイオンがその中に形成される陽極領域と緊密にフィットするような大きさに形成されている。
【0033】
特に図4(b)及び図4(c)を参照すると、陽極ライナー44は、さらに垂直部68及び水平な、又は横の領域72を持つT字型スロット64を含み、該スロットは、第1の、又は上部開口52ばかりでなく、その反対側の第2の、又は下側開口56の近傍に形成された水平スロット76の近傍に伸びている。該T字型スロット64は、ライナー44を、これが挿入された時、これに圧力をかけ、かつこれをその位置に位置させるその両方を行うための手段として、該ライナーの外径の残りの部分に比べ、大きい直径に形成されている。該T字型スロット64は、陽極構造に対し該ライナー44を、組み立て/マウントするために、図5のように、挿入/除去ツール80による、係合を許すよう構築されており、以下により詳細に記述する。該ライナー44の水平スロット76は、イオン源40の電子形成源(ここでは、図4(a)の、加熱されたフィラメント14)に揃えられる大きさに形成されており、図4(a)のように通常の方法で、図4(a)のように電子が陽極32の内部内に貫通することを許すようにしている。しかしながら、かつ陽極ライナーの存在により、陽極の内部上の表面に吸収されたスピーシーズ、及びガス相スピーシーズのどちらか又は両方から代表的に形成される任意の絶縁堆積物は、電子が陽極44の内壁をたたくにつれ、陽極の伝導性のある内部表面の内部表面上に形成され、イオンエネルギーを堆積し、その壁温を上昇させ、かつ堆積物が形成されることを許す。
【0034】
図5及び図6は、上記に述べたものと同様に、閉じたイオン源40Aに関連して本発明に従って、電気防食用陽極ライナー44の取外し、及びそれに続く置き換えを描写している。ここで用いられる挿入/除去ツール80は、一対の開口端、すなわち、挿入端88、及び取外し端84のそれぞれを持つ円筒形部材により定義される。
【0035】
図5を参照して、そこで示された装置は、すでに、電気防食用陽極ライナー44が、上記したように、すでに、閉じたイオン源40Aの固定された陽極構造32Aに関して所定位置に置かれていると仮定している。この特定の実施形態の、挿入/除去ツール80は、陽極構造32Aの内部、すでに挿入された陽極ライナー44の内部と係合する大きさである直径をもつ。該ツール80は、揃え除去ピン92が、ツールの底からT字型スロット64の水平部72に突出するまで、陽極内に挿入される。該ツール80は、その後それがT字型スロット64の水平部72の端と合うまで、その中心軸の回りに回転せられる。ライナーの除去の目的のためには、ツール80が、時計回りに回転されるか、反時計回りに回転されるかは問題ではない。一度該ツール揃え除去ピン92が、T字型スロット64の水平部72と係合すれば、ライナー44は、挿入/除去ツール80を、方向101で示されるように引き抜くことによって、陽極の内部から引き出すことができる。
【0036】
図6を参照して、新しい陽極ライナー44は、図5の除去されたライナーと置き換えることが出来る。挿入は該ツール80を用いて、より特定的には、該ツールの外側から放射状に突き出たツール揃え挿入ピン94をもちいて行う。該揃え挿入ピン94は、この実施形態では、最初に、電気防食用陽極ライナー44のT字型スロット64の垂直部68に沿って揃えられる。ライナーの水平スロット76は、この実施形態では、固定された陽極32Aの上端ポイントに小さい周状切り込み102を設けることによって、イオン源40Aのフィラメント(図示せず)に自動的に揃えられる。この切り込み102は、除去/挿入ツール80のツール揃え挿入ピン94のそれとの係合が、ライナー44の底にある水平スロット76を、イオン源40Aの電子流源(例えばフィラメント)と自動的に揃える、あるいは位置決めするように設けられている。その後、挿入は方向108において軸的に行なわれ、挿入端は、肩部105により、陽極構造内の所定の軸距離までの挿入を可能にする。陽極ライナー44の高さは、該陽極32よりもわずかに高いようにセットされており、該ライナーは、十分に挿入された時、陽極の上端上にわずかだけ突出し、これにより、ライナーが十分に挿入されることを可能とする。
【0037】
このようにして、該挿入は、有効に、ライナー44の電子入力スロットを、フィラメント14に対して、さらなる助けあるいは検査を必要とすることなく、自動的に位置揃え及びセンタリングを行う。
【0038】
好ましくは、かつ動作においては、ここで記述された電気防食用、又は置き換え可能な陽極ライナー44は、イオン源の陽極構造の内部へ最初に組み入れられ、かつ該陽極構造は、さらに円状の切り込み102を含む。該ライナー44の厚さは、イオン源の感度を維持するよう充分に薄くなければならず、部分的には陽極内のイオン化領域の寸法により制御される。
【0039】
証明試験は、上記したような、イオン源アセンブリ内における、電気防食用ライナーのプロトタイプの使用を証明するように実施される。この試験の目的のために、該イオン源は、Inficon,Inc.によって製造されるCVDバージョンの閉じたイオン源である。テストは、上記したように、電気防食用陽極ライナーを備えない場合、及び前記ライナー44を含んだ場合の両方で測定された感度の効果を決定するために、四極子質量フィルタを備えたPhase 2 Compact Process Monitor を用いて行なわれる。
【0040】
【表1】
【0041】
第2の比較は、上記したように、電気防食用陽極ライナーを挿入する前と後とで測定された汚染されたイオン源を用いて行われる。
【0042】
【表2】
【0043】
本発明の更にもう1つの実施形態によれば、電気防食用陽極ライナーは、電子のイオン化体積内への流れを制御するように設計することが出来る。多目的の、または“普遍的な”イオン源110は、図7-9で描写され、複数サイズの、又は複数設計の、複数の陽極ライナーを収容することができる。該イオン源110は密閉形式のものであり、かつ陽極構造114、及び電子源として作用するフィラメント115を含む。該イオン源110は、さらに伝導性のフォーカスプレート118及びイオン出口レンズ122を含むイオンレンズアセンブリを含み、その各々は、イオンビーム130がそれを通過する同心状の開口126を持つ。プロセス試薬ガスが、イオン源110に、陽極構造114を通って、軸的に(形成されたイオンビーム130に関して)入り、かつイオンレンズアセンブリ及びフィラメントを通って出て行く。該イオン源110は、他にも、陽極構造114の上端に配置されたシーリングディスク135及びイオンレンズアセンブリに設けられた絶縁体139の手段によりガス漏れに対してシールされる。
【0044】
図7で示される一つのバリエーションによれば、電気防食用陽極ライナー140は、陽極構造114の内部内に適合するように設計され、そのような大きさとされた、円筒状スリーブ部材として定義される。該ライナー140は、導電材料から作られる薄い壁状の構造であり、かつ、中空の内部を定義する一対の対向する開口を含む。電子入力スロット147は、その低端に、形成された電子が、陽極構造114の内部内に入ることを許すようフィラメント115と揃えられて設けられる。既に述べたようにかつ、陽極構造の内部上に形成される前に、試薬ガスによる任意の絶縁堆積物が、ライナー140の対向する壁の内部表面上に形成されるかわりに、層149として、つまり電子入力スロット147の反対側に、形成され、該ライナーは電気的に伝導性があり、これを推進する。該ライナー140は、図では、集められた状態及び集められていない状態の両方で示されており、該ライナーは方向145に、挿入及び取外し可能である。
【0045】
図8を参照して、もう1つのバージョンの電気防食用陽極ライナー150がイオン源110で用いられるよう図示されている。この特定の実施形態において、該ライナー150の設計は、図7と文字通り同一であり、ただ、該ライナーの底端での水平な電子入力スロットが、PVD処理(Physical Vapor Deposition)プロセスで用いられるような、電子の閉じたイオン源の内部への入力を制御するより小さい開口154で置き換えられている。該小さい電子入力開口154は、電子入力の外でのガスの伝導率を減少し、それゆえ陽極領域内の圧力を上昇させる。
【0046】
図9で図示されている、第3のライナー160は、以前のライナー140、150と同様の設計であるが、このライナーでは、水平の電子入力スロットは除去され、かつ該ライナーの開いた下端は、該ライナー160の下端での単一又は複数のガス流出開口164により置き換えられている。後者の設計は、ガスの分子ビームのみが、陽極領域を通って流れることに役立つ。しかしながら、上記のライナーの設計の各々においては、単一の陽極構造及びイオン光学アセンブリのみが必要とされる。
【0047】
上記ライナーの各々の設計の残りは、上記したように、T字型スロット166を含む上端開口端を共通に含み、該陽極構造114は、図9でのみ示されているが、同様に周状の切り込み116を持つよう構築されており、ライナー140、150、160の各々をフィラメント115に対して位置決めすることを可能としている。図5及び図6で示されたような挿入ツールは、それゆえ、必要に応じて、イオン源110に対して、容易に挿入又は除去するよう使用することができ、ライナー140、150、160を、イオン源の汚染の制御、及び改善された寿命のいずれかのために、及び他の中でも、PVDのような、異なったアプリケーションを利用するために用いることができる。
【0048】
上記した請求項に従えば、この分野の当業者は、ここで記述された発明の範囲内で多くのバリエーション及び改良をできることがすぐに理解できる。例えば、他の形状をもつイオン源の陽極は、周状でなくてもよく、その長軸がセンサーの長軸と同心であるのでなくてもよい。上記陽極ライナーの概念は、これらのイオン源においても用いることができる。このようなケースでは、保持バネは、ライナー部分自身に、又は他のねじのような手段に、ライナーを適切な位置に保持するように、組み込むことができる。同様に、バネの効果は、ライナーの上部をその断面がわずかに長円型になるまで、わずかに破砕することによって実現される。ばねは円筒の長軸内に二つの平行な切り口を、タブを形成するよう入れることにより形成することができ、これは、保持力を改善するためにわずかに外側に曲げることも出来る。
【0049】
さらに、他の揃え特徴は、同様にタブを用いることによって実現することができ、視覚上以外の揃えは必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、先行技術のイオン源の断面をとった、部分側立面図である。
【図2】図2は、もう1つの先行技術のイオン源の、断面をとった、部分側立面図である。
【図3】図3は半導体モニタープロセスに用いられる質量分析システムにおいて用いられるイオン源を示す図である。
【図4(a)】図4(a)は、本発明の好ましい実施形態に従って製造される置き換え可能な陽極ライナーを持つイオン源の、断面をとった側立面図である。
【図4(b)】図4(b)は、図4(a)の陽極ライナーの側立面図を示す。
【図4(c)】図4(c)は、図4(a)の陽極ライナーの側立面図を示す。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施形態に従い、イオン源から図4(a)-図4(c)のライナーを除去する様子を図解する斜視図である。
【図6】図6は、図4(a)-図4(c)を図5のイオン源上に着脱する様子を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に従った陽極ライナーの側面図の図解である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施形態に従った陽極ライナーの側面図の図解である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施形態に従って組み立てられた陽極ライナーの側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析システムにおけるイオン源であって、前記イオン源は以下のものよりなる:
電子流を形成する手段;
前記形成された電子流が注入される内部領域をもつ陽極であって、前記電子流が前記陽極領域内で終了し、かつそこでイオンが形成される;及び
取外し可能な陽極ライナーであって、前記陽極カバーは、前記内部陽極領域に挿入が可能であり、かつ前記電子流をそこで受けるように形状が構築されている。
【請求項2】
請求項1のイオン源において、前記陽極領域からイオンを抽出するイオン抽出手段をさらに含む。
【請求項3】
請求項2のイオン源において、前記システムによって観察される、プロセスからの少なくとも1つの試薬ガスを放射する手段を含む。
【請求項4】
請求項3のイオン源において、前記少なくとも1つの試薬ガスが、前記イオン抽出手段によって作られた形成されたイオンビームと同軸に放射される。
【請求項5】
請求項1のイオン源において、前記取外し可能な陽極ライナーは、前記陽極領域に入る電子がたたき、かつエネルギーを堆積し、かつ少なくとも表面吸収されたスピーシーズ及びガス相スピーシーズのうちの少なくとも1つからの堆積物が付着することのできる内部表面を含む。
【請求項6】
請求項1のイオン源において、さらに前記取外し可能な陽極ライナーは、該ライナーが前記陽極領域に挿入された時、前記作られた電子流の少なくとも一部が、該陽極領域に入ることを許す電子入力手段を含む。
【請求項7】
請求項1のイオン源において、前記電子入力方法は、前記取外し可能な陽極ライナー上に設けられた、少なくとも1つの水平スロットを含む。
【請求項8】
請求項1のイオン源において、前記取外し可能な前記陽極ライナーが、前記陽極領域から選択的に挿入される、及び除去されることを可能とする挿入及び取出し可能な手段を含む。
【請求項9】
請求項8のイオン源において、前記挿入及び取出し手段は、前記取外し可能な陽極ライナーの一端に設けられた少なくとも1つの取付け及び除去スロット、及び前記少なくとも1つの取付け及び除去スロットと係合する少なくとも1つのピンを持つ挿入/除去ツールを含む。
【請求項10】
請求項6のイオン源であって、前記ライナーが前記陽極領域内に挿入された時、前記取外し可能な陽極ライナーの前記電子入力手段を前記電子流形成手段に揃える手段を含む。
【請求項11】
請求項10のイオン源において、前記揃える手段は、前記陽極上に設けられた参照特徴を含み、該参照特徴は、前記ライナーがそこに組み立てられた時、該ライナーの前記電子流形成手段に関しての、位置決めを与えるようライナーが最初そこに組み立てられた後に、前記挿入ツールの一部に揃えられる。
【請求項12】
請求項1のイオン源において、前記ライナーは、前記陽極の内部に適合する大きさのスリーブ状部材よりなる。
【請求項13】
請求項1のイオン源において、前記電子流形成手段は、加熱されたフィラメントを含む。
【請求項14】
請求項1のイオン源において、前記陽極ライナーは、導電材料よりなる。
【請求項15】
イオン源のための取外し可能な陽極ライナーにおいて、前記イオン源は、陽極支持構造の内部に関連して配置された電子流を作製する手段を持ち、前記ライナーは、前記イオン源と取外し可能に係合するものであり、前記陽極支持構造内に適合するように構築される。
【請求項16】
請求項15の陽極ライナーであって、前記ライナーが前記陽極構造内に挿入された時、前記取外し可能な陽極ライナーを前記イオン源の電子流製造手段に関連して自動的に位置決めする手段を含む。
【請求項17】
請求項16の陽極ライナーにおいて、前記ライナーは、前記陽極構造の内部内に適合する大きさの直径をもつ円周型のスリーブ部材である。
【請求項18】
請求項17の陽極ライナーにおいて、前記ライナーは導電材料よりなる。
【請求項19】
請求項18の陽極ライナーであって、前記電子流形成手段からの電子をして、中に入る試薬ガスからの絶縁堆積物が前記陽極ライナーの内部に付着するよう、前記陽極の内部、及び前記ライナーの内部に流れることを許す大きさの第1のスロットを含む。
【請求項20】
請求項19の陽極ライナーであって、前記ライナーをイオン源に対して選択的に取外し、及び挿入するためのツールに係合する大きさの、第2のスロットを含む。
【請求項21】
請求項20の陽極ライナーにおいて、前記第2のスロットは、前記ツールのピンと係合するために、実質的にT字型をしており、かつ前記第二のスロットの前記ピンとの係合は、前記ライナーの前記イオン源に対しての挿入及び除去のいずれをも可能とする。
【請求項22】
ガス分析システムのためのイオン源アセンブリであって、前記アセンブリは以下のものよりなる:
少なくとも1つのフィラメント、前記フィラメントからの形成された電子ビームがその中に入る内部領域を持つ陽極構造、分析のために処理ガスが入ることを可能にするガスポート、及び複数の置き換え可能な陽極ライナーを含み、陽極ライナーは、前記陽極構造の内部内に挿入可能であり、各々のライナーは導電材料から作られ、かつ少なくとも前記電子流の一部をして、前記陽極構造の内部内に入ることを許す手段をもつ。
【請求項23】
請求項22のイオン源アセンブリであって、前記陽極構造の前記内部領域からイオンを抽出する手段を含む。
【請求項24】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記イオン源は、閉じたイオン源である。
【請求項25】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記置き換え可能な陽極ライナーの内の少なくとも1つは、前記電子ビームの少なくとも一部をして、前記内部陽極領域に入ることを許す大きさの開口を含む。
【請求項26】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記置き換え可能な陽極ライナーの内の少なくとも1つは、ガス流出ポートを含む。
【請求項27】
請求項25のイオン源アセンブリにおいて、前記開口は、水平のスロットである。
【請求項28】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記陽極ライナーの各々は、前記陽極領域に入る電子を制御し、前記イオン源は、PVD及びCVD処理の各々をモニタするよう用いられる。
【請求項29】
請求項25のイオン源アセンブリは、前記ライナーが前記陽極構造内に挿入された時、前記開口を前記電子流製造手段に関連して自動的に位置決めする手段を含む。
【請求項30】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記置き換え可能な陽極ライナーの各々は、前記イオン源の内部陽極領域内に挿入された時の、前記陽極の内部上の表面蓄積物の蓄積を防ぐ。
【請求項31】
汚染されたイオン源の感度を改善する方法において、前記イオン源は、内部領域を定義する陽極構造を含み、前記内部陽極領域は電子流を受け取り、イオンは該領域内で形成され、前記方法は以下のステップよりなる:
置き換え可能な陽極ライナーを、陽極構造内に、前記ライナーが、前記内部陽極領域内に配置され、かつ前記電子流を受け取るよう、挿入され、前記ライナーは、前記電子流からの絶縁堆積物が、前記陽極構造の内部の代わりに、それの内部表面上に、形成されることを許容するよう導電材料より作られる。
【請求項32】
請求項31の方法において、前記置き換え可能な陽極ライナーは、スリーブ状部材であり、前記挿入ステップは以下のステップを含む:
前記置き換え可能な陽極ライナーの一端を、挿入ツールの一端上に置く;及び
陽極構造内に前記ライナーを挿入する。
【請求項33】
請求項32の方法であって、前記挿入ステップの間に、前記置き換え可能な陽極ライナーの電子入力手段を、前記イオン源の電子流形成手段に対して揃えるステップを含む。
【請求項34】
請求項33の方法において、前記揃えるステップは、以下のステップを含む:
前記置き換え可能な陽極ライナーの一端を挿入ツールの端にマウントする、前記マウントステップは以下の付加的なステップを含む:
前記挿入ツールのピンを前記ライナーのアセンブリスロットに揃える;及び、
前記アセンブリピンが前記アセンブリスロット内に配置されるよう前記ライナーを前記挿入ツール上で滑らせる;及び
前記アセンブリピンを前記陽極構造上に設けられた参照特徴に揃える、ここで、前記ライナーの挿入は、前記ライナーの電子入力手段を自動的に前記電子流形成手段に揃える。
【請求項35】
請求項34の方法であって、前記ライナーを、その置き換えのための所定の時間後に、取り除くステップを含む。
【請求項36】
請求項35の方法において、前記取り除くステップは、以下のステップよりなる:
取り除きツールを前記ライナーに、前記ライナーのT字型スロットが前記取り除きツールのピンに揃えられるように揃える;
前記ツールを、前記ピンが前記スロットと係合することを許すよう、中心軸の回りに回転させる;及び
前記取外し可能な陽極ライナーを、前記陽極構造から、軸方向に取り外す。
【請求項1】
質量分析システムにおけるイオン源であって、前記イオン源は以下のものよりなる:
電子流を形成する手段;
前記形成された電子流が注入される内部領域をもつ陽極であって、前記電子流が前記陽極領域内で終了し、かつそこでイオンが形成される;及び
取外し可能な陽極ライナーであって、前記陽極カバーは、前記内部陽極領域に挿入が可能であり、かつ前記電子流をそこで受けるように形状が構築されている。
【請求項2】
請求項1のイオン源において、前記陽極領域からイオンを抽出するイオン抽出手段をさらに含む。
【請求項3】
請求項2のイオン源において、前記システムによって観察される、プロセスからの少なくとも1つの試薬ガスを放射する手段を含む。
【請求項4】
請求項3のイオン源において、前記少なくとも1つの試薬ガスが、前記イオン抽出手段によって作られた形成されたイオンビームと同軸に放射される。
【請求項5】
請求項1のイオン源において、前記取外し可能な陽極ライナーは、前記陽極領域に入る電子がたたき、かつエネルギーを堆積し、かつ少なくとも表面吸収されたスピーシーズ及びガス相スピーシーズのうちの少なくとも1つからの堆積物が付着することのできる内部表面を含む。
【請求項6】
請求項1のイオン源において、さらに前記取外し可能な陽極ライナーは、該ライナーが前記陽極領域に挿入された時、前記作られた電子流の少なくとも一部が、該陽極領域に入ることを許す電子入力手段を含む。
【請求項7】
請求項1のイオン源において、前記電子入力方法は、前記取外し可能な陽極ライナー上に設けられた、少なくとも1つの水平スロットを含む。
【請求項8】
請求項1のイオン源において、前記取外し可能な前記陽極ライナーが、前記陽極領域から選択的に挿入される、及び除去されることを可能とする挿入及び取出し可能な手段を含む。
【請求項9】
請求項8のイオン源において、前記挿入及び取出し手段は、前記取外し可能な陽極ライナーの一端に設けられた少なくとも1つの取付け及び除去スロット、及び前記少なくとも1つの取付け及び除去スロットと係合する少なくとも1つのピンを持つ挿入/除去ツールを含む。
【請求項10】
請求項6のイオン源であって、前記ライナーが前記陽極領域内に挿入された時、前記取外し可能な陽極ライナーの前記電子入力手段を前記電子流形成手段に揃える手段を含む。
【請求項11】
請求項10のイオン源において、前記揃える手段は、前記陽極上に設けられた参照特徴を含み、該参照特徴は、前記ライナーがそこに組み立てられた時、該ライナーの前記電子流形成手段に関しての、位置決めを与えるようライナーが最初そこに組み立てられた後に、前記挿入ツールの一部に揃えられる。
【請求項12】
請求項1のイオン源において、前記ライナーは、前記陽極の内部に適合する大きさのスリーブ状部材よりなる。
【請求項13】
請求項1のイオン源において、前記電子流形成手段は、加熱されたフィラメントを含む。
【請求項14】
請求項1のイオン源において、前記陽極ライナーは、導電材料よりなる。
【請求項15】
イオン源のための取外し可能な陽極ライナーにおいて、前記イオン源は、陽極支持構造の内部に関連して配置された電子流を作製する手段を持ち、前記ライナーは、前記イオン源と取外し可能に係合するものであり、前記陽極支持構造内に適合するように構築される。
【請求項16】
請求項15の陽極ライナーであって、前記ライナーが前記陽極構造内に挿入された時、前記取外し可能な陽極ライナーを前記イオン源の電子流製造手段に関連して自動的に位置決めする手段を含む。
【請求項17】
請求項16の陽極ライナーにおいて、前記ライナーは、前記陽極構造の内部内に適合する大きさの直径をもつ円周型のスリーブ部材である。
【請求項18】
請求項17の陽極ライナーにおいて、前記ライナーは導電材料よりなる。
【請求項19】
請求項18の陽極ライナーであって、前記電子流形成手段からの電子をして、中に入る試薬ガスからの絶縁堆積物が前記陽極ライナーの内部に付着するよう、前記陽極の内部、及び前記ライナーの内部に流れることを許す大きさの第1のスロットを含む。
【請求項20】
請求項19の陽極ライナーであって、前記ライナーをイオン源に対して選択的に取外し、及び挿入するためのツールに係合する大きさの、第2のスロットを含む。
【請求項21】
請求項20の陽極ライナーにおいて、前記第2のスロットは、前記ツールのピンと係合するために、実質的にT字型をしており、かつ前記第二のスロットの前記ピンとの係合は、前記ライナーの前記イオン源に対しての挿入及び除去のいずれをも可能とする。
【請求項22】
ガス分析システムのためのイオン源アセンブリであって、前記アセンブリは以下のものよりなる:
少なくとも1つのフィラメント、前記フィラメントからの形成された電子ビームがその中に入る内部領域を持つ陽極構造、分析のために処理ガスが入ることを可能にするガスポート、及び複数の置き換え可能な陽極ライナーを含み、陽極ライナーは、前記陽極構造の内部内に挿入可能であり、各々のライナーは導電材料から作られ、かつ少なくとも前記電子流の一部をして、前記陽極構造の内部内に入ることを許す手段をもつ。
【請求項23】
請求項22のイオン源アセンブリであって、前記陽極構造の前記内部領域からイオンを抽出する手段を含む。
【請求項24】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記イオン源は、閉じたイオン源である。
【請求項25】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記置き換え可能な陽極ライナーの内の少なくとも1つは、前記電子ビームの少なくとも一部をして、前記内部陽極領域に入ることを許す大きさの開口を含む。
【請求項26】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記置き換え可能な陽極ライナーの内の少なくとも1つは、ガス流出ポートを含む。
【請求項27】
請求項25のイオン源アセンブリにおいて、前記開口は、水平のスロットである。
【請求項28】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記陽極ライナーの各々は、前記陽極領域に入る電子を制御し、前記イオン源は、PVD及びCVD処理の各々をモニタするよう用いられる。
【請求項29】
請求項25のイオン源アセンブリは、前記ライナーが前記陽極構造内に挿入された時、前記開口を前記電子流製造手段に関連して自動的に位置決めする手段を含む。
【請求項30】
請求項22のイオン源アセンブリにおいて、前記置き換え可能な陽極ライナーの各々は、前記イオン源の内部陽極領域内に挿入された時の、前記陽極の内部上の表面蓄積物の蓄積を防ぐ。
【請求項31】
汚染されたイオン源の感度を改善する方法において、前記イオン源は、内部領域を定義する陽極構造を含み、前記内部陽極領域は電子流を受け取り、イオンは該領域内で形成され、前記方法は以下のステップよりなる:
置き換え可能な陽極ライナーを、陽極構造内に、前記ライナーが、前記内部陽極領域内に配置され、かつ前記電子流を受け取るよう、挿入され、前記ライナーは、前記電子流からの絶縁堆積物が、前記陽極構造の内部の代わりに、それの内部表面上に、形成されることを許容するよう導電材料より作られる。
【請求項32】
請求項31の方法において、前記置き換え可能な陽極ライナーは、スリーブ状部材であり、前記挿入ステップは以下のステップを含む:
前記置き換え可能な陽極ライナーの一端を、挿入ツールの一端上に置く;及び
陽極構造内に前記ライナーを挿入する。
【請求項33】
請求項32の方法であって、前記挿入ステップの間に、前記置き換え可能な陽極ライナーの電子入力手段を、前記イオン源の電子流形成手段に対して揃えるステップを含む。
【請求項34】
請求項33の方法において、前記揃えるステップは、以下のステップを含む:
前記置き換え可能な陽極ライナーの一端を挿入ツールの端にマウントする、前記マウントステップは以下の付加的なステップを含む:
前記挿入ツールのピンを前記ライナーのアセンブリスロットに揃える;及び、
前記アセンブリピンが前記アセンブリスロット内に配置されるよう前記ライナーを前記挿入ツール上で滑らせる;及び
前記アセンブリピンを前記陽極構造上に設けられた参照特徴に揃える、ここで、前記ライナーの挿入は、前記ライナーの電子入力手段を自動的に前記電子流形成手段に揃える。
【請求項35】
請求項34の方法であって、前記ライナーを、その置き換えのための所定の時間後に、取り除くステップを含む。
【請求項36】
請求項35の方法において、前記取り除くステップは、以下のステップよりなる:
取り除きツールを前記ライナーに、前記ライナーのT字型スロットが前記取り除きツールのピンに揃えられるように揃える;
前記ツールを、前記ピンが前記スロットと係合することを許すよう、中心軸の回りに回転させる;及び
前記取外し可能な陽極ライナーを、前記陽極構造から、軸方向に取り外す。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−538376(P2007−538376A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527397(P2007−527397)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017340
【国際公開番号】WO2005/114701
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502458213)インフィコン インコーポレイティッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017340
【国際公開番号】WO2005/114701
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502458213)インフィコン インコーポレイティッド (4)
【Fターム(参考)】
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