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イオン源
説明

イオン源

【課題】 安全かつ長寿命であるイオン源を提供する。
【解決手段】 イオン源1は、円形薄板又は芯線からなるアノード電極2と、その一端3aと他端3bとの間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部3cを有し、該本体部3cの中心軸上にアノード電極2を位置させるカソード電極3と、該カソード電極3の一端と他端との間に電源供給して加熱する加熱電源4と、アノード電極2の電位がカソード電極3の電位より高くなるように、アノード電極2とカソード電極3との間に電圧を印加する主電源5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンモビリティースペクトロメーター等に用いることが可能なイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンモビリティースペクトロメーター(以下、IMSと記載する。)とは、分析対象であるサンプルガスをイオン源によりイオン化して、その移動度を測定することで、当該サンプルガスの分析を行うものである。
【0003】
前記イオン源としては、特許文献1に開示されるように、Ni−63等の放射性同位元素より発せられたβ線を利用するものが使用されている。このイオン源では、前記放射性同位元素より発せられたβ線をアルゴン等のキャリアガス及びサンプルガスに照射することで、それらをイオン化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−87976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるイオン源は、放射性同位元素を使用しているため危険であり、その製造も法律により規制されているので特定の施設にて行う必要がある。また、放射性同位元素からのβ線の放射は止めることができず、当該イオン源を使用していない状態であっても、当該放射性同位元素の半減期に基づきβ線の放射量は減衰する。従って、前記イオン源は、使用頻度にかかわらず、所定の時間を経過することで寿命に達してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、安全かつ長寿命であるイオン源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のイオン源は、円形薄板又は芯線からなるアノード電極と、その一端と他端との間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部を有し、該本体部の中心軸上に前記アノード電極を位置させるカソード電極と、該カソード電極の一端と他端との間に電流を流して加熱する加熱電源と、前記アノード電極の電位が前記カソード電極の電位より高くなるように、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加する主電源と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載のイオン源は、円形薄板又は芯線からなるアノード電極と、トリア入りのタングステンにより構成され、その一端と他端との間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部を有し、該本体部の中心軸上に前記アノード電極を位置させるカソード電極と、前記アノード電極の電位が前記カソード電極の電位より高くなるように、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加する主電源と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載のイオン源は、円形薄板又は芯線からなるアノード電極と、その一端と他端との間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部を有し、該本体部の中心軸上に前記アノード電極を位置させるカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極の本体部との間の空間にX線又は紫外線を照射する光源と、前記アノード電極の電位が前記カソード電極の電位より高くなるように、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加する主電源と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載のイオン源は、前記主電源が、外部から入力される同期信号に同期して、前記アノード電極と前記カソード電極との間にパルス電圧を印加することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載のイオン源は、前記カソード電極の本体部より小径の円筒状であり、その中心軸が前記カソード電極の本体部の中心軸と一致するように配設される制御電極と、該制御電極に制御電圧を印加する制御電源と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のイオン源は、加熱電源により電流を流すことで加熱したカソード電極の本体部より電子を放出させる。放出された電子は、主電源により電圧を印加することで形成されたアノード電極とカソード電極の本体部との間の電界により、加速しつつアノード電極方向へ移動する。この際、電子はアノード電極とカソード電極の本体部との間に存在するガスに衝突しイオン化して、新たな電子を生じさせる。この新たな電子も含め、電子は、前記電界により加速されてアノード電極方向へ移動しイオン化を繰り返すので、アノード電極付近ではカスケードイオン化が生じる。従って、本イオン源では、高密度のイオンが得られるイオン化を安定して行うことができる。また、本イオン源は、放射性同位元素を使用しないので、安全かつ長寿命である。
【0013】
請求項2に記載のイオン源は、トリア入りのタングステンにより構成されるカソード電極が、主電源によりアノード電極とカソード電極との間に電圧が印加されることで、本体部より電子を放出する。この放出された電子は、請求項1のイオン源と同様に、アノード電極とカソード電極の本体部との間の電界により加速しつつアノード電極方向に移動して、アノード電極付近でカスケードイオン化を生じさせる。従って、本イオン源は、請求項1のイオン源と同様に、高密度のイオンが得られるイオン化を安定して行うことができ、又安全かつ長寿命である。
【0014】
請求項3に記載のイオン源は、アノード電極とカソード電極の本体部との間の空間に、光源よりX線又は紫外線を照射することにより、当該空間のガスをイオン化して電子を生じさせる。この生じた電子は、請求項1のイオン源と同様に、アノード電極とカソード電極の本体部との間の電界により加速しつつアノード電極方向に移動して、アノード電極付近でカスケードイオン化を生じさせる。従って、本イオン源は、請求項1のイオン源と同様に、高密度のイオンが得られるイオン化を安定して行うことができ、又安全かつ長寿命である。
【0015】
請求項4に記載のイオン源は、主電源からアノード電極とカソード電極との間に印加される電圧が、同期信号に同期したパルス電圧であるので、当該同期信号を生成する外部機器と同期してイオン化を行うことができる。
【0016】
請求項5に記載のイオン源は、制御電源より制御電極に印加する電圧を制御することで、アノード電極とカソード電極の本体部との間の電界の強度を変化させることができる。従って、本イオン源は、前記電界による電子の加速を変化させて、生成するイオンの量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るイオン源の斜視図。
【図2】アノード電極を芯線として、制御電極を設けない場合のシミュレーションの結果を示す断面図。
【図3】アノード電極を円形の薄板として、制御電極を設けない場合のシミュレーションの結果を示す断面図。
【図4】アノード電極を円形の薄板として、制御電極を設けた場合のシミュレーションの結果を示す断面図。
【図5】印加電圧と放電電流との関係を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るイオン源の斜視図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るイオン源の斜視図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るイオン源の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。本発明の第1の実施形態に係るイオン源1は、図1に示すように、円形の薄板又は芯線からなるアノード電極2と、円環形状又は円筒形状のカソード電極3と、該カソード電極3に電源供給して加熱する加熱電源4と、アノード電極2とカソード電極3との間に電圧を印加する主電源5と、円筒状の制御電極6と、該制御電極6に制御電圧を印加する制御電源7とを備える。
【0019】
前記イオン源1は、サンプルガスをイオン化したイオンを前方端の開口部8aから導入してドリフトさせ、後方端のコレクタ8bにより検知して検知信号を生成するドリフトチューブ8と、ケーブル8cを介して入力端子9aに入力された前記検知信号に基づき前記イオンの移動度を求めてサンプルガスの分析を行うコントローラ(外部機器)9とを備えたIMS10のイオン源として使用されるものである。そのため、イオン源1は、そのアノード電極2、カソード電極3、制御電極6等が、大気圧程度のガス圧であるアルゴン等のキャリアガス及び分析対象となるサンプルガス雰囲気中に前記ドリフトチューブ8と共に置かれる。
【0020】
前記アノード電極2は、金属により構成された薄板を円形に形成したものである。このアノード電極2は、前記カソード電極3との間に形成される電界の強度を当該アノード電極2付近で強くさせるために小径に形成されており、その直径は10〜50μm程度である。なお、アノード電極2は、より小径とするため、図2に示すように、前記主電源5との接続用のケーブル11の芯線11aをそのまま使用して構成してもよい。
【0021】
前記カソード電極3は、タングステン、又はトリア(酸化トリウム)入りのタングステンにより構成される。このカソード電極3は、一端3aと他端3bとの間に、図1に示すような円環形状、又は前後方向に所定の幅を有する円筒形状に形成された本体部3cを有するように構成されたものである。前記本体部3cは、図2〜4に特によく表れているように、アノード電極2と前後方向の位置が一致すると共に、その中心軸上に当該アノード電極2が位置するように配置される。
【0022】
前記加熱電源4は、直流電源により構成されており、カソード電極3の一端3aと他端3bとの間に電流を流して、該カソード電極3の本体部3cを加熱することができる。この加熱電源4は、図1に示すように、出力端子4aがカソード電極3の一端3aに、アース端子4bがカソード電極3の他端3b及びアースに、夫々接続されている。なお、加熱電源4は、カソード電極3を加熱する必要がない場合において設けなくてよく、この場合には、カソード電極3の他端3bをアースに直接接続する。
【0023】
前記主電源5は、パルス電源により構成されており、アノード電極2とカソード電極3との間にパルス電圧を印加して、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に電界を形成することができる。この主電源5は、出力端子5aがケーブル11を介してアノード電極2に、アース端子5bがアースに、同期信号入力端子5cがケーブル12を介してコントローラ9の同期信号出力端子9bに、夫々接続されている。これにより、主電源5は、コントローラ9の同期信号出力端子9bより同期信号入力端子5cに入力される同期信号に同期して、アノード電極2とカソード電極3との間に、アノード電極2の電位がカソード電極3の電位より高くなるように、パルス電圧を印加することができる。
【0024】
前記制御電極6は、金属により構成された前後方向に所定の幅を有する円筒形状を有するものである。この制御電極6は、アノード電極2より大径かつカソード電極3より小径である。又、制御電極6は、図4に特によく表れているように、中心軸がカソード電極3の本体部3cの中心軸と一致すると共に、その後方端6aがアノード電極2及びカソード電極3の本体部3cより僅かに前方に位置するように配置される。
【0025】
前記制御電源7は、直流電源により構成されており、制御電極6に制御電圧を印加して、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に形成される電界を制御することができる。この制御電源7は、出力端子7aがケーブル13を介して制御電極6に、アース端子7bがアースに、夫々接続されている。なお、制御電源7は、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に形成される電界を制御する必要がない場合において、制御電極6共々設けなくてよい。
【0026】
以上のように構成されるイオン源1を使用する際には、まず、加熱電源4よりカソード電極3の一端3aと他端3bとの間に電流を流して、該カソード電極3の本体部3cを加熱する。これにより、カソード電極3の本体部3cからは電子が放出される。なお、カソード電極3をトリア入りのタングステンにより構成した場合には、主電源5によりアノード電極2とカソード電極3との間にパルス電圧を印加した際に、カソード電極3の本体部3cより電子が放出されるので、この加熱を行う必要がない。
【0027】
続いて、主電源5は、コントローラ9の同期信号出力端子9bから同期信号入力端子5cに送られた同期信号に同期して、アノード電極2とカソード電極3との間に、アノード電極2の電位がカソード電極3の電位より高くなるようにパルス電圧を印加し、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に電界を形成する。この電界の強度は、アノード電極2が小径に形成されることにより、該アノード電極2付近で強くなる。このことは、図2〜4に示すシミュレーション結果にも表れている。なお、図2に示すシミュレーション結果は、アノード電極2を、芯線11aをそのまま利用して構成すると共に制御電極6を設けない場合であり、図3に示すシミュレーション結果は、アノード電極2を円形の薄板により構成すると共に制御電極6を設けない場合であり、夫々等電位線を示している。また、図4に示すシミュレーション結果は、アノード電極2を円形の薄板により構成すると共に制御電極6を設けた場合であり、電気力線を示している。なお、前記電界は、制御電源7より制御電極6に制御電圧を印加することで、その強度を変化させることができる。
【0028】
カソード電極3の本体部3cより放出された電子は、図1に示すように、前記電界により、加速しつつアノード電極2方向へ移動する。この際、電子は、前記電界がアノード電極2の付近で強くなっていることに基づき、アノード電極2付近でより加速される。これにより、電子は、アノード電極2付近に位置している前記キャリアガス及び前記サンプルガスに衝突しイオン化して、新たな電子を生じさせる。この新たな電子も含め、電子は、前記電界により加速しつつアノード電極2方向へ移動してキャリアガス及びサンプルガスに衝突し、そのイオン化を繰り返す。これにより、アノード電極2付近では、カスケードイオン化が生じる。以上により、イオン源1では、高密度のイオンを得ることができる。
【0029】
なお、イオン源1において高密度のイオンを得ることができることを確認する試験として、大気圧のキャリアガス(アルゴンガス)雰囲気中にイオン源1のアノード電極2、カソード電極3、制御電極6等を配置して、主電源5によりアノード電極2とカソード電極3との間に電圧を印加し、当該印加電圧に対するアノード電極2とカソード電極3との間に流れる放電電流の変化を測定した。この測定は、カソード電極3をタングステンにより構成して加熱電源4による加熱を行った場合と、カソード電極3をトリア入りタングステンにより構成して加熱電源4による加熱を行わなかった場合とについて行い、比較例としてカソード電極3をタングステンにより構成して加熱電源4による加熱を行わなかった場合についても行った。
【0030】
その結果、図5に示すように、カソード電極3をタングステンにより構成して加熱電源4による加熱を行った場合及びカソード電極3をトリア入りタングステンにより構成して加熱電源4による加熱を行わなかった場合共に、比較例より、低い印加電圧で放電電流が流れ始めていることが明らかとなった。このことは、カソード電極3の本体部3cより放出された電子に基づき、アノード電極2の付近にてカスケードイオン化が生じていることを示すものである。
【0031】
以上説明したイオン源1は、放射性同位元素を使用しないので安全かつ長寿命であり、高密度のイオンを得るイオン化を安定して行うことができる。
【0032】
また、イオン源1は、主電源5からアノード電極2とカソード電極3とに印加される電圧が、IMS10のコントローラ9からの同期信号に同期したパルス電圧であり、前記コントローラ9に同期して高密度のイオンを生成することができる。これにより、IMS10では、コントローラ9にて、イオン源1でイオン化したサンプルガスのドリフトチューブ8内でのドリフト時間を正確に測定してその移動度を求め、分析を行うことができる。従って、イオン源1は、IMS10のイオン源として使用することにより、そのサンプルガスの分析の正確さを向上させることができる。
【0033】
また、イオン源1は、制御電極6に印加する制御電圧を調整することでアノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に形成される電界の強度を制御できるので、当該電界による電子の加速を変化させて、生成するイオンの量を制御することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態に係るイオン源21を説明する。本発明の第2の実施形態に係るイオン源21は、図6に示すように、イオン源1に対し、光源22及び光源コントローラ23が追加されたものである。
【0035】
なお、イオン源21では、カソード電極3より電子を放出させる必要がないので、カソード電極3をトリア入りのタングステンにより構成する必要はない。また、イオン源21では、カソード電極3の本体部3cを加熱する必要がないので加熱電源4を設けなくてよく、この場合は、カソード電極3の他端3bを直接アースに接続する。
【0036】
前記光源22は、X線又は紫外線を放射するものであり、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間の空間に向けて、X線又は紫外線を放射できるように配設されている。
【0037】
前記光源コントローラ23は、前記光源22に電源供給を行ってX線又は紫外線を放射させるものであり、出力端子23aがケーブル24を介して光源22に、アース端子23bがアースに、夫々接続されている。
【0038】
以上のように構成されるイオン源21を使用する際には、まず、光源コントローラ23より光源22に電源供給して、光源22よりX線又は紫外線を放射させる。この光源22が放射したX線又は紫外線は、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間の空間に照射され、当該空間内のキャリアガス及びサンプルガスをイオン化して電子を発生させる。
【0039】
続いて、イオン源1の場合と同様に、主電源5は、コントローラ9から送られる同期信号に同期して、アノード電極2とカソード電極3との間にパルス電圧を印加し、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に電界を形成する。これにより、光源22から放射されたX線又は紫外線によって、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間の空間内で発生した電子は、図6に示すように前記電界により加速されるので、アノード電極2付近では、イオン源1の場合と同様に、カスケードイオン化が生じる。以上により、イオン源21では、イオン源1と同様に、高密度のイオンを得ることができ、IMS10のイオン源として好適に使用できる。
【0040】
次に、本発明の第3の実施形態に係るイオン源31を説明する。本発明の第3の実施形態に係るイオン源31は、図7に示すように、イオン源1における主電源5及び制御電源7を、夫々、主電源32及び制御電源33に変更したものである。
【0041】
前記主電源32は、直流電源により構成されており、アノード電極2とカソード電極3との間に直流電圧を印加することができる。この主電源32は、出力端子32aがケーブル11を介してアノード電極2に、アース端子32bがアースに、夫々接続されている。これにより、主電源32は、アノード電極2とカソード電極3との間に、アノード電極2の電位がカソード電極3の電位より高くなるように、直流電圧を印加することができる。
【0042】
前記制御電源33は、同期信号に同期して出力する電圧の値を変更することができる電源により構成されており、制御電極6に制御電圧を印加することができる。この制御電源33は、出力端子33aがケーブル13を介して制御電極6に、アース端子33bがアースに、同期信号入力端子33cがケーブル12を介してコントローラ9の同期信号出力端子9bに接続されている。これにより、制御電源33は、コントローラ9の同期信号出力端子9bより同期信号入力端子33cに入力される同期信号に同期して、制御電極6に印加する制御電圧の値を変化させることができる。
【0043】
以上のように構成されるイオン源31を使用する際には、まず、加熱電源4よりカソード電極3の一端3aと他端3bとの間に電流を流して、カソード電極3の本体部3cを加熱して電子を放出させる。なお、カソード電極3をトリア入りタングステンにより構成した場合は、この加熱は不要である。
【0044】
続いて、主電源32によりアノード電極2とカソード電極3との間に直流電圧を印加してアノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に電界を形成すると共に、当該電界をカソード電極3の本体部3cから放出された電子を加速しない強度に弱める制御電圧を、制御電源33より制御電極6に印加する。この状態では、アノード電極2付近でのカスケードイオン化は生じない。
【0045】
この状態にて、制御電源33は、コントローラ9の同期信号出力端子9bから同期信号入力端子33cに送られた同期信号に同期して、所定期間内だけ、制御電極6に印加する制御電圧の大きさを変化させて、主電源32によりアノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に形成された電界にてカソード電極3の本体部3cから放出された電子を加速できるようにする。
【0046】
これにより、前記所定期間内においては、図7に示すようにカソード電極3の本体部3cから放出された電子が、前記電界により加速されるので、アノード電極2付近では、イオン源1の場合と同様に、カスケードイオン化が生じる。以上により、イオン源31では、イオン源1と同様に、高密度のイオンを得ることができ、IMS10のイオン源として好適に使用できる。
【0047】
次に、本発明の第4の実施形態に係るイオン源41を説明する。本発明の第4の実施形態に係るイオン源41は、図8に示すように、イオン源21における主電源5及び光源コントローラ23を、夫々、直流電源である前記主電源32及び光源コントローラ42に変更したものである。なお、イオン源41では、カソード電極3の本体部3cから電子が放出されないようにする必要があるので、カソード電極3はトリア入りタングステンにより構成してはならず、また加熱電源4により加熱してもならない。
【0048】
前記光源コントローラ42は、同期信号に同期して前記光源22に電源供給を行ってX線又は紫外線の放射を制御できる。この光源コントローラ42は、出力端子42aがケーブル24を介して光源22に、アース端子42bがアースに、同期信号入力端子42cがケーブル12を介してコントローラ9の同期信号出力端子9bと接続されている。これにより、光源コントローラ42は、コントローラ9の同期信号出力端子9bより同期信号入力端子42cに入力される同期信号に同期して、光源22から放射されるX線又は紫外線を制御することができる。
【0049】
以上のように構成されるイオン源41を使用する場合には、主電源32によりアノード電極2とカソード電極3との間に直流電圧を印加して、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間に電界を形成する。この際、光源コントローラ42は、X線又は紫外線の放射が行われないように光源22を制御しているので、アノード電極2付近でのカスケードイオン化は生じない。
【0050】
この状態にて、光源コントローラ42は、コントローラ9の同期信号出力端子9bから同期信号入力端子42cに送られた同期信号に同期して、所定期間内だけ、光源22よりX線又は紫外線を放射させる。この光源22が放射したX線又は紫外線は、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間の空間に照射され、当該空間内のキャリアガス及びサンプルガスをイオン化して電子を発生させる。
【0051】
これより、前記所定期間内においては、図8に示すように光源22から放射されたX線又は紫外線によって、アノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間の空間内で発生した電子が、前記電界により加速されるので、アノード電極2付近では、イオン源1の場合と同様に、カスケードイオン化が生じる。以上により、イオン源41では、イオン源1と同様に、高密度のイオンを得ることができ、IMS10のイオン源として好適に使用できる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、イオン源1、21、31、41において、コントローラ9との同期が不要であれば、主電源5、制御電源33及び光源コントローラ42夫々の同期信号入力端子5c、33c、42cと、コントローラ9の同期信号出力端子9bとをケーブル12を介して接続する必要はない。
【0053】
また、イオン源31は、光源22、光源コントローラ23を備えてもよい。この場合において、イオン源31は、カソード電極3の本体部3cより電子を放出させるかわりに、光源22からのX線又は紫外線をアノード電極2とカソード電極3の本体部3cとの間の空間に照射して電子を発生させる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るイオン源1、21、31、41は、IMSのイオン源として好適に使用することができ、その他、イオン加速器、除電装置等のイオン源としても好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1、21、31、41 イオン源
2 アノード電極
3 カソード電極
4 加熱電源
5、32 主電源
6 制御電極
7、33 制御電源
22 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形薄板又は芯線からなるアノード電極と、
その一端と他端との間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部を有し、該本体部の中心軸上に前記アノード電極を位置させるカソード電極と、
該カソード電極の一端と他端との間に電流を流して加熱する加熱電源と、
前記アノード電極の電位が前記カソード電極の電位より高くなるように、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加する主電源と、を備えることを特徴とするイオン源。
【請求項2】
円形薄板又は芯線からなるアノード電極と、
トリア入りのタングステンにより構成され、その一端と他端との間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部を有し、該本体部の中心軸上に前記アノード電極を位置させるカソード電極と、
前記アノード電極の電位が前記カソード電極の電位より高くなるように、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加する主電源と、を備えることを特徴とするイオン源。
【請求項3】
円形薄板又は芯線からなるアノード電極と、
その一端と他端との間に円環形状又は円筒形状に形成された本体部を有し、該本体部の中心軸上に前記アノード電極を位置させるカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極の本体部との間の空間にX線又は紫外線を照射する光源と、
前記アノード電極の電位が前記カソード電極の電位より高くなるように、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加する主電源と、を備えることを特徴とするイオン源。
【請求項4】
前記主電源が、外部から入力される同期信号に同期して、前記アノード電極と前記カソード電極との間にパルス電圧を印加することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のイオン源。
【請求項5】
前記カソード電極の本体部より小径の円筒状であり、その中心軸が前記カソード電極の本体部の中心軸と一致するように配設される制御電極と、
該制御電極に制御電圧を印加する制御電源と、を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のイオン源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119142(P2012−119142A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267275(P2010−267275)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(501174837)株式会社エックスレイプレシジョン (7)
【Fターム(参考)】