説明

イオン生成装置および当該イオン生成装置を備える髪ケア装置

【課題】より確実にカバーの除電を行うことのできるイオン生成装置および当該イオン生成装置を備える髪ケア装置を得る。
【解決手段】イオン生成装置100は、放電を行う第1電極51と、当該第1電極51とは別に設けられた第2電極52とを有し、イオンを生成するイオン生成部50と、当該イオン生成部50で生成されたイオンを吹き出すイオン吹出口20cが形成されたカバー20と、を備えている。また、カバー20には、第2電極52に接触する突部21が設けられている。そして、第2電極52と突部21とが、カバー20とイオン生成部50との組付方向と交差する方向で対向する面52h、21bで接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン生成装置および当該イオン生成装置を備える髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髪ケア装置として、放電を行う第1電極と当該第1電極とは別に設けられた第2電極とを有するイオン生成部を備えたヘアドライヤが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、第1電極と第2電極との間に高電圧を印加して放電を行うことでイオンを生成し、生成したイオンをカバーに形成されたイオン吹出口から吹き出すようになっている。そして、イオン吹出口から吹き出したイオンを髪にあてることで、髪ケア効果を高めている。
【0004】
さらに、この特許文献1では、カバーに突部を設け、当該突部を第2電極に接触させることで、イオン生成部で生成したイオンにより帯電するカバーを除電し、イオン吹出口から吹き出すイオンの量が減少してしまうのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−29813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、カバーに設けた突部を、第2電極のカバー組付方向に対向する面に突き当てることで、突部を第2電極に接触させている。そのため、カバーの組付誤差等により、突部と第2電極とが接触しないおそれがあり、確実にカバーの除電を行うことができなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、より確実にカバーの除電を行うことのできるイオン生成装置および当該イオン生成装置を備える髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、放電を行う第1電極と、当該第1電極とは別に設けられた第2電極とを有し、イオンを生成するイオン生成部と、当該イオン生成部で生成されたイオンを吹き出すイオン吹出口が形成されたカバーと、を備えるイオン生成装置であって、前記カバーには、前記第2電極に接触する突部が設けられており、前記第2電極と前記突部とが、前記カバーと前記イオン生成部との組付方向と交差する方向で対向する面で接触していることを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、前記第2電極は、前記カバーと前記イオン生成部との組付方向に面する前面と、前記カバーと前記イオン生成部との組付方向と交差する方向に面する側面とを備えており、前記突部は、前記第2電極の側面に接触していることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、前記突部は、前記第2電極の側面および前面に接触していることを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、前記第2電極は、後面を備えており、前記突部は、前記第2電極の側面、前面および後面に接触していることを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、前記第2電極は、前記突部に圧入された状態で接触していることを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、前記イオン生成部が前記第1電極と第2電極の位置を規制する固定用リブを複数備えており、前記固定用リブと固定用リブの間で前記突部と前記第2電極が接触することを要旨とする。
【0014】
本発明の第7の特徴は、前記イオン生成装置を備える髪ケア装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第2電極と突部とを、カバーとイオン生成部との組付方向と交差する方向で対向する面で接触させている。そのため、カバーが当該カバーとイオン生成部との組付方向に位置ずれしたとしても、第2電極と突部との接触状態を保つことができる。その結果、より確実にカバーの除電を行うことのできるイオン生成装置を得ることができる。
【0016】
また、より確実にカバーの除電を行うことのできるイオン生成装置を用いることで、髪ケア効果をより高めることのできる髪ケア装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの側面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤを吹出口側から見た正面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を吹出口側から見た正面図である。
【図7】図6の金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す正面図である。
【図8】図4のミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す断面図である。
【図9】イオン生成装置の変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えており、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように構成されている。把持部1aの突出端部からは、電源コード2が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0020】
ヘアドライヤ1の外壁をなすケース3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ケース3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0021】
本体部1bの内部には、その長手方向(図4の左右方向)の一方側(右側)の入口開口4aから出口開口4bに至る風洞4が形成されており、この風洞4内に収容されたファン5を回転させることによって空気流W1が形成される。すなわち、空気流W1は、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って出口開口4bから外部に排出される。
【0022】
また、本体部1bにおいて、ケース3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流W1はこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を駆動するモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱機構としてのヒータ8が配置されている。ヒータ8を作動させたときには、出口開口4bから温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0023】
そして、本体部1b内で、ケース3と内筒6との間に形成された空洞9に、2つ(複数)の金属微粒子生成部(イオン生成部)30,40や、ミスト生成部(イオン生成部)50、ミスト生成部50に電圧を印加する電圧印加回路12等が収容されている。また、空洞9の電圧印加回路12が収容された部位とは別の部位には、金属微粒子生成部30,40に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)が収容されている。
【0024】
電圧印加回路12および金属微粒子生成部30,40に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)は、把持部1a内、または本体部1b内で把持部1aの延長線上となる領域に配置するのが好適である。使用者が把持部1aを持ったときに、電圧印加回路12および電圧印加回路(図示せず)の質量に起因する回転モーメントを小さくして、使用者の手に作用する負荷を小さくするためである。
【0025】
また、これら電圧印加回路12および電圧印加回路(図示せず)を、内筒6を挟んで相互に反対側となる位置に配置するのが好適である。こうすれば、電圧印加回路12と電圧印加回路(図示せず)との相互干渉による電圧の低下や不安定化等の不具合を抑制することができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、空洞9の側面部分(空洞9の電圧印加回路12が収容された部位とは別の部位)に、温風と冷風の切り換えや動作モード等を行うスイッチ部(図示せず)が収容されている。
【0027】
また、把持部1aの先端部1d内の空洞には、電源のONとOFFとの切り換え等を行う別のスイッチ部16が収容されている。これら電気部品同士は、金属導体等からなる芯線を絶縁性樹脂等で被覆したリード線17によって接続されている。なお、金属微粒子生成部30に繋がるリード線17、金属微粒子生成部40に繋がるリード線17およびミスト生成部50に繋がるリード線17は、相互に交叉させることなく極力離間させて配索するのが好適である。それぞれのリード線17を流れる電流の相互干渉によって、金属微粒子生成部30,40あるいはミスト生成部50で所望の電圧が得られなくなったり、電圧が不安定になったりするのを抑制するためである。
【0028】
また、温風と冷風の切り換えや動作モード等を行うスイッチ部(図示せず)は、ケース3の表面を切り欠いて一体に形成した操作子19を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。そして、操作子19の上方には、現在選択されているモードを表示する表示部14が形成されている。
【0029】
また、スイッチ部16は、ケース3の表面に露出した操作子18を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。
【0030】
内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図4では一箇所のみ図示)と、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cと、を有している。筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流W1の一部が分岐されて流入し、分岐流W2が形成されている。なお、分岐流W2の空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流W2は、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
【0031】
そして、分岐流W2の一部はさらに分岐されて分岐流W3となっている。この分岐流W3は、後述する金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a,20bやミスト吹出口(イオン吹出口)20cを通過せず、内筒6とケース3との間を通って出口開口4bの外周部分から吹き出す比較的冷たい空気流となっている。
【0032】
ケース3には、空洞9の出口開口4b側となる位置に、楕円形の貫通孔3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。カバー20には、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a,20bとミスト吹出口(イオン吹出口)20cとがそれぞれ独立して形成されている。カバー20は、金属微粒子あるいはミストによる帯電を抑制するため、ケース3よりも導電性を低くするのが好適である。カバー20が帯電すると、その電荷によって、金属微粒子生成部30,40やミスト生成部50から電荷を帯びた金属微粒子およびマイナスイオンやミストが放出されにくくなるからである。カバー20の帯電を抑制するためには、帯電を起こしにくい材料、例えば、PC(ポリカーボネート)樹脂を用いてカバー20を形成し、カバー20の材質を帯電を起こしにくい材質とするのが好ましい。なお、この部分では、カバー20がヘアドライヤ1の外壁を成している。
【0033】
また、本実施形態では、金属微粒子吹出口20a,20bの孔径を、ミスト吹出口20cの孔径より小さくしてある。すなわち、ミスト吹出口20cを介してのミスト生成部50のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行わせるとともに、金属微粒子吹出口20a,20bを介しての手指や道具等の誤進入を抑制してある。
【0034】
また、カバー20の内側にはリブ(突部)21が設けられており、このリブ(突部)21を後述するミスト生成部50の放電対向電極(第2電極)52に当接させることで、カバー20の除電を行うようにしている。
【0035】
このように、本実施形態では、カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50、カバー20と金属微粒子生成部(イオン生成部)30,40とで、3つのイオン生成装置100が形成されている。
【0036】
さらに、本実施形態では、ミスト吹出口20cの周辺部20dに、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a,20bを形成している。
【0037】
具体的には、金属微粒子吹出口20aと金属微粒子吹出口20bとを、ミスト吹出口20cが中心となるように並設している。
【0038】
すなわち、カバー20には、金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cが、ヘアドライヤ1の幅方向(図3の左右方向)に、金属微粒子吹出口20a、ミスト吹出口20c、金属微粒子吹出口20bの順に並ぶように形成されている。
【0039】
このような配置とすることで、マイナスに帯電しているミスとが、ミスト吹出口20cの周辺部20dに形成された金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a、20bから吹き出されるマイナスイオンによって、外側へ拡散(離散)してしまうのを抑制できるようにしている。
【0040】
その結果、ミストの直進性が向上してミストが髪に届きやすくなり、髪ケア効果をより高めることができる。
【0041】
さらに、ミスト吹出口20cの下流側かつ下方に、ミストの吹き出し方向に延在するように壁部20eを設けている。この壁部20eを設けることで、ミスト吹出口20cから吹き出されたミストが下方に拡散(離散)してしまうのを抑制できるようにしている。
【0042】
また、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50は、空洞9内でヘアドライヤ1の幅方向(図7の左右方向)に、金属微粒子生成部30、ミスト生成部50、金属微粒子生成部40の順に並列に配置されている。
【0043】
そして、ミスト生成部50と、当該ミスト生成部50と隣り合う金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30、40との間には、遮蔽板(仕切部)6dが設けられている。そして、図5および図7に示すように、遮蔽板6dを、ヘアドライヤ1の上下方向およびミストの吹き出し方向(図7の左右方向)に延在するように配置することで、金属微粒子やミストが金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cから吹き出される前に混合してしまうのを抑制している。
【0044】
金属微粒子生成部30,40は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(第1電極)32,42および放電対向電極(第2電極)33,43を有している。そして、これら放電極32,42と放電対向電極33,43との間に電圧印加回路(図示せず)によって高電圧(本実施形態では、−1kV〜−3kV)を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極32,42や放電対向電極33,43等から金属微粒子(金属の分子やマイナスイオン等)を放出させるものである。
【0045】
この金属微粒子生成部30,40は、本実施形態では、ほぼ同一の形状に形成されているが、金属微粒子生成部30,40の形状がそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0046】
放電極32,42は、極細の線材として構成され、その幅(直径)を、10〜400[μm](好適には30〜300[μm]、より一層好適には50〜200[μm])に設定してある。なお、断面形状としては、円形、楕円形、多角形形状等、各種採用することができる。
【0047】
また、放電極32,42は、例えば、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等として構成することができる。金属微粒子生成部30,40で生成され放出された金属の微粒子に、金や、銀、銅等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。また、金属微粒子生成部30,40は、放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO2−、NO3−等)を生じさせ、このイオンを、放電極32,42や、放電対向電極33,43、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成するものであってもよい。すなわち、放電対向電極33,43や上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0048】
放電対向電極33,43は、図7に示すように、略矩形状の基体部33a,43aと、基体部33a,43aから突設される端子部33b,43bとを有している。
【0049】
基体部33a,43aの略中央位置には、金属微粒子の放出口となる円形状の開口部33c,43cが形成されている。図7に示すように、正面視では、放電極32,42は、開口部33c,43cのほぼ中心に配置される。一方、端子部33b,43bには、リード線17を挿通して結線するための貫通孔33d,43dが穿設されている。
【0050】
上記構成の金属微粒子生成部について発明者らが鋭意研究を重ねた結果、白金微粒子を毛髪等に供給して毛髪に抗酸化作用を付与し、毛髪等のダメージを回復させる際に、白金微粒子に加えて亜鉛微粒子を毛髪等に供給すると毛髪等のダメージをより効果的に回復できることが判明した。
【0051】
そこで、本実施形態では、金属微粒子生成部30の放電極32に含まれる金属を白金、金属微粒子生成部40の放電極42に含まれる金属を亜鉛とした。なお、白金を放電極42に、亜鉛を放電極32に含ませるようにしてもよい。
【0052】
ミスト生成部50は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(第1電極)51および放電対向電極(第2電極)52を有している。そして、これら放電極51と放電対向電極52との間に電圧印加回路12によって高電圧(本実施形態では、−3kV〜−5kV)を印加することで放電(コロナ放電等)を生じさせるものである。
【0053】
本実施形態では、放電極51は針状に形成されており、放電対向電極52は放電極51の先端側に離間配置した環状かつ板状の部材として形成されている。
【0054】
放電対向電極52は、図7に示すように、略円環状の基体部52aと、基体部52aから突設される端子部52bとを有している。
【0055】
基体部52aの略中央位置には、金属微粒子の放出口となる円形状の開口部52cが形成されている。図7に示すように、正面視では、放電極51は、開口部52cのほぼ中心に配置される。一方、端子部52bには、リード線17を挿通して結線するための貫通孔52dが穿設されている。
【0056】
また、ミスト生成部50として、放電極51を冷却するための冷却装置53と、当該冷却装置53によって放電極51を冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィン54と、を備える静電霧化装置を用いている。
【0057】
具体的には、ミスト生成部50は、冷却装置53としてのペルチェ素子53aおよび熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板53bとを含んでおり、ペルチェ素子53aによって冷却された冷却板53bの表面に空気中の水分を結露させ、結露水を生じるようになっている。そして、ミスト生成部50の上流側には、冷却板53bを冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィン54が設けられている。かかる構成では、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト)が生成される。
【0058】
また、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50は、内筒6の上壁6fから突設された固定リブ(固定部材)6gに載置することで、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50が内筒6の上方に固定されている。
【0059】
なお、固定リブ6gの形状や突出位置を様々に設定することで、空洞(分岐流路)9を流れる風の風向や風量を所望の量とすることが可能である。すなわち、固定リブ6gは、空洞(分岐流路)9を流れる風の風向や風量を制御する制御手段として利用することができる。
【0060】
ここで、本実施形態では、放電対向電極(第2電極)52とリブ(突部)21とを、前後方向(カバー20とミスト生成部50との組付方向)と交差する方向で対向する面で接触させている。
【0061】
具体的には、放電対向電極(第2電極)52は、前後方向(カバー20とミスト生成部50との組付方向)前方に面する前面52gと、ヘアドライヤ1の幅方向(カバー20とイオン生成部50との組付方向と交差する方向)外側に面する側面52hとを備えている。そして、放電対向電極(第2電極)52の側面52hにリブ(突部)21を面接触させている。
【0062】
さらに、本実施形態では、リブ(突部)21は、放電対向電極(第2電極)52の前面52gにも面接触している。
【0063】
そして、本実施形態では、カバー20を組み付ける際に、リブ(突部)21に放電対向電極(第2電極)52を圧入することで、放電対向電極(第2電極)52の前面52gおよび側面52hにリブ(突部)21を面接触させている。
【0064】
具体的には、リブ21は、放電対向電極(第2電極)52の基体部52aの外周の4箇所で、放電対向電極(第2電極)52の前面52gおよび側面52hに接触するように、カバー20の裏面の4箇所に突設されている。
【0065】
そして、4つのリブ21には、先端側に放電対向電極(第2電極)52の挿入をガイドするガイド斜面21aが形成されており、ガイド斜面21aに連設するように横側当接面21bが形成されている。そして、横側当接面21bに連設するように前側当接面21cが形成されている。
【0066】
また、4つのリブ21は、2つのリブ21が互いに対向するように、90度ずつずらした位置に設けられている。このとき、4つのリブ21は、互いに対向するリブ21のガイド斜面21a同士、横側当接面21b同士が対向するように設けられている。そして、互いに対向するガイド斜面21aは、先端(後方)に向かうにつれて幅広のテーパ状となるように形成されている。
【0067】
さらに、互いに対向する横側当接面21bの幅が、放電対向電極(第2電極)52の基体部52aの径よりも若干幅狭となるようにすることで、放電対向電極(第2電極)52が互いに対向するリブ21によって狭持されるようにしている。
【0068】
かかる構成とすることで、放電対向電極(第2電極)52は、ガイド斜面21aにガイドされながら挿入されて、放電対向電極(第2電極)52の側面52hが横側当接面21bに面接触するように圧入される。さらに、奥まで挿入することで、放電対向電極(第2電極)52は、リブ21に圧入された状態で、側面52hが横側当接面21bに面接触するとともに、前面52gが前側当接面21cと面接触することとなる。
【0069】
さらに、本実施形態では、ミスト生成部(イオン生成部)50は、放電極(第1電極)51と放電対向電極(第2電極)52との位置を規制する固定用リブ55を複数備えている。
【0070】
具体的には、4つの固定用リブ55は、2つの固定用リブ55が互いに対向するように、90度ずつずらした位置に設けられている。
【0071】
また、放電対向電極(第2電極)52の基体部52aの外周の4箇所に半円状に突出した突出部52eが設けられている。そして、突出部52eが設けられた位置に形成された貫通孔52fに固定用リブ55をそれぞれ挿入することで、放電極(第1電極)51と放電対向電極(第2電極)52との位置を規制している。
【0072】
このとき、固定用リブ55と固定用リブ55の間でリブ(突部)21と放電対向電極(第2電極)52が接触するようにしている。すなわち、カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50とを組み付けた状態(放電対向電極52がリブ21に圧入された状態)で、固定用リブ55とリブ(突部)21とが接触しないようにしている。
【0073】
以上、説明したように、本実施形態では、放電対向電極(第2電極)52とリブ(突部)21とを、カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50との組付方向と交差する方向で対向する面(側面52hと横側当接面21b)で面接触させている。そのため、カバー20が当該カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50との組付方向に位置ずれしたとしても、放電対向電極(第2電極)52とリブ(突部)21との接触状態を保つことができる。その結果、より確実にカバー20の除電を行うことのできるイオン生成装置100を得ることができる。
【0074】
このように、カバー20が当該カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50との組付方向に位置ずれした場合に、放電対向電極(第2電極)52とリブ(突部)21との接触状態を保つことができるようにすることで、カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50との組付誤差の許容範囲が広くなり、容易に製造することができるようになる。
【0075】
また、本実施形態では、リブ(突部)21は、放電対向電極(第2電極)52の前面52gにも面接触している。その結果、放電対向電極(第2電極)52とリブ(突部)21との接触面積が増大し、より十分にカバー20の除電を行うことができるようになる。
【0076】
また、本実施形態では、放電対向電極(第2電極)52は、リブ21に圧入された状態で、側面52hが横側当接面21bに面接触するとともに、前面52gが前側当接面21cと面接触している。このように、放電対向電極(第2電極)52をリブ21に圧入させることで、放電対向電極(第2電極)52とリブ21との接触圧を高めることができ、より安定してカバー20の除電を行うことができるようになる。
【0077】
さらに、本実施形態では、固定用リブ55と固定用リブ55の間でリブ(突部)21と放電対向電極(第2電極)52が接触するようにしている。すなわち、カバー20とミスト生成部(イオン生成部)50とを組み付けた状態(放電対向電極52がリブ21に圧入された状態)で、固定用リブ55とリブ(突部)21とが接触しないようにしている。そたがって、固定用リブ55とリブ(突部)21との接触による除電効果の低下を抑制することができ、より確実かつより安定的にカバー20の除電を行うことができるようになる。
【0078】
また、より確実にカバー20の除電を行うことのできるイオン生成装置100を用いることで、髪ケア効果をより高めることのできるヘアドライヤ(髪ケア装置)を得ることができる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0080】
例えば、図9に示すように、リブ(突部)21が、放電対向電極(第2電極)52の前面52g、側面52h、後面52iで面接触するようにしてもよい。
【0081】
具体的には、図9では、ガイド斜面21aと横側当接面21bとの間に、後側当接面21dが形成されている。
【0082】
そして、後側当接面21dが後面52iと面接触するようにしている。
【0083】
すなわち、図9においては、放電対向電極(第2電極)52は、リブ21に圧入嵌合された状態で、前面52g、側面52hおよび後面52iが、それぞれ前側当接面21c、横側当接面21bおよび後側当接面21dと面接触している。
【0084】
こうすれば、放電対向電極(第2電極)52とリブ(突部)21との接触面積が増大し、より十分にカバー20の除電を行うことができるようになる。
【0085】
また、放電対向電極(第2電極)52をリブ21に圧入嵌合させることで、放電対向電極(第2電極)52がリブ21から抜けてしまうのが抑制され、より確実かつより安定的にカバー20の除電を行うことができるようになる。
【0086】
また、上記実施形態では、リブ(突部)が接触する放電対向電極(第2電極)を有するイオン生成部としてミスト生成部を例示したが、金属微粒子生成部に本発明を適用することも可能である。
【0087】
また、上記実施形態では、イオン生成部として、金属微粒子およびマイナスイオンを生成する金属微粒子生成部を例示したが、金属微粒子は生成せず、単にマイナスイオンを生成するものを用いてもよい。
【0088】
また、プラスイオンを生成するイオン生成装置にあっても、本発明を適用することができる。
【0089】
また、上記実施形態では、ミスト生成部およびマイナスイオン生成部として放電極(第1電極)と対向する放電対向電極(第2電極)を有するものを例示したが、第2電極を放電極(第1電極)と対向しない位置に設けたものを用いてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を2つ形成したものを例示したが、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を3つ以上形成することも可能である。
【0091】
また、上記実施形態では、分岐流によって、金属微粒子およびミストを吹き出すようにしたものを例示したが、分岐流がない場合でも、金属微粒子およびミストを対応する吹出口から吹き出すことができる。
【0092】
また、ヘアブラシ、ヘアアイロン等他の髪ケア装置にあっても、本発明を実施することができる。
【0093】
また、カバーやケース、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 ヘアドライヤ(髪ケア装置)
20 カバー
20a、20b 金属微粒子吹出口(イオン吹出口)
20c ミスト吹出口(イオン吹出口)
21 リブ(突部)
30、40 金属微粒子生成部(イオン生成部)
32,42 放電極(第1電極)
33,43 放電対向電極(第2電極)
50 ミスト生成部(イオン生成部)
51 放電極(第1電極)
52 放電対向電極(第2電極)
52g 前面
52h 側面
52i 後面
55 固定用リブ
100 イオン生成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電を行う第1電極と、当該第1電極とは別に設けられた第2電極とを有し、イオンを生成するイオン生成部と、当該イオン生成部で生成されたイオンを吹き出すイオン吹出口が形成されたカバーと、を備えるイオン生成装置であって、
前記カバーには、前記第2電極に接触する突部が設けられており、
前記第2電極と前記突部とが、前記カバーと前記イオン生成部との組付方向と交差する方向で対向する面で接触していることを特徴とするイオン生成装置。
【請求項2】
前記第2電極は、前記カバーと前記イオン生成部との組付方向に面する前面と、前記カバーと前記イオン生成部との組付方向と交差する方向に面する側面とを備えており、
前記突部は、前記第2電極の側面に接触していることを特徴とする請求項1に記載のイオン生成装置。
【請求項3】
前記突部は、前記第2電極の側面および前面に接触していることを特徴とする請求項2に記載のイオン生成装置。
【請求項4】
前記第2電極は、後面を備えており、
前記突部は、前記第2電極の側面、前面および後面に接触していることを特徴とする請求項3に記載のイオン生成装置。
【請求項5】
前記第2電極は、前記突部に圧入された状態で接触していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のイオン生成装置。
【請求項6】
前記イオン生成部が前記第1電極と第2電極の位置を規制する固定用リブを複数備えており、前記固定用リブと固定用リブの間で前記突部と前記第2電極が接触することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のイオン生成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のイオン生成装置を備えることを特徴とする髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−81646(P2013−81646A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223758(P2011−223758)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】