説明

イオン発生装置及びそれを備えた美容装置

【課題】放電部毎に異なる量のイオンを発生可能として、イオンの塗布効果を向上したイオン発生装置及びそれを備えた美容装置を提供することを課題とする。
【解決手段】放電によりイオンを発生する複数の放電部101,201と、複数の放電部101,201に共通した高電圧の放電電力を出力する高電圧発生部300と、高電圧発生部300から出力されて放電部101,201に供給される放電電力の電力量を放電部101,201毎に独立して個別に変更する電力量変更部102a,102b,202a,202bとを有し、放電部101と放電部201とは略同一の形態で構成され、放電部101は電力量変更102a,102bを介して高電圧発生部300と接続され、放電部201は電力量変更部202a,202bを介して高電圧発生部300と接続されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の放電部を備えたイオン発生装置及びそれを備えた美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献には、1つの高電圧発生部から給電される同一形態の複数の針状のマイナスイオン発生電極と、各マイナスイオン発生電極に共通した対向電極とを備えたヘアードライヤの技術が記載されている。
【0003】
このように、イオンを発生させる複数の放電部を備えることで、単一の放電部のみの場合に比べて、多くのマイナスイオンを発生させることが可能となる。したがって、このような技術を美容装置に採用し、発生したイオンを髪や肌に与えることで、例えば髪であれば毛髪の水分率を高い状態に保持し、髪をしっとりサラサラにするといった髪質を改善できる効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−159810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、髪や肌への効果を高めるためには、イオンの塗布量を髪や肌の部位毎に変える必要があった。すなわち、髪や肌へ与えるイオン量と効果との間には相関関係があり、例えば毛髪の場合には、与えるイオンが少なすぎると十分な髪質改善効果が得られない一方、多すぎると毛髪が帯電して髪質改善効果が逆に低下してしまう。
【0006】
また、髪の部位別でみると、毛髪の根本は地肌に触れているので帯電し難いのに対して、毛先では帯電しやすくなる。このため、髪に対しては根本に多くのイオンを与える一方、毛先には少ないイオンを与えることが望ましい。
【0007】
しかしながら、上記従来のヘアードライヤで採用されたイオンを発生する技術では、複数の電極に共通の電力を供給する構成を採用しているので、同時に複数の各電極で異なった量のイオンを発生することができなかった。このため、上述したように、イオンを与える部位毎に発生するイオンの量を適正化することが困難となり、十分な効果が得られないおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電部毎に異なる量のイオンを発生可能として、イオンの塗布効果を向上したイオン発生装置及びそれを備えた美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にあっては、放電によりイオンを発生する複数の放電部と、複数の放電部に共通した放電電力を出力する高電圧発生部と、高電圧発生部から出力されて複数の放電部に供給される放電電力の電力量を複数の放電部毎に独立して個別に変更する電力量変更部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明において、電力量変更部は、複数の抵抗体で構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項2に記載の発明において、複数の抵抗体の内、少なくとも1つの抵抗体の抵抗値は、他の抵抗体の抵抗値と異なることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、複数の放電部は、略同一の形態で構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明にあっては、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部を構成する一対の放電体の一方の放電体に接地電位を除く所定の電位が与えられることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明にあっては、請求項5に記載の発明において、一方の放電体は、抵抗体を介して接地されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明にあっては、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、高電圧発生部は、交流の放電電力を出力し、複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部は交流の放電電力で放電を行い、複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部は交流の放電電力を変換して得られる直流の放電電力で放電を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明にあっては、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部の放電体は遷移金属から構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明にあっては、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部は、放電部に液体を供給する液体供給手段を備え、液体供給手段から供給された液体を静電霧化することを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明にあっては、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、高電圧発生部と各放電部とは、放電による損傷の少ないリード線で接続され、抵抗体は、屈曲して配置されることを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明にあっては、請求項1〜10のいずれか1項に記載のイオン発生装置を備えたことを特徴とする美容装置である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、各放電部で個別に放電効率を調整することができるので、イオンを塗布する部位に応じたイオン量のイオンを発生させることが可能となる。これにより、イオンを与える部位毎にその効果を向上させることができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、容易かつ小型に電力量変更部を構成できるので、装置全体の構成を小型化することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、各放電部に供給される放電電力量を容易に変更することができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、同一形態で放電部を構成することが可能となり、製造コストを削減することができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、発生させるイオン量を増加させることが可能となり、髪や肌へのイオンの塗布効果を高めることが可能となる。
【0025】
請求項6の発明によれば、小型な構成でもって、一方の放電部に接地電位を除く所定の電位を与えることが可能となる。
【0026】
請求項7の発明によれば、プラスイオンならびにマイナスイオンを同時に発生することが可能となり、双方のイオンを髪に与えることで、髪への美容効果を高めることができる。
【0027】
請求項8の発明によれば、金属微粒子を発生することが可能となり、この金属微粒子を髪や肌に与えることで紫外線のプロテクト効果を得ることができる。
【0028】
請求項9の発明によれば、イオンを含んだ液体の微粒子を発生することが可能となり、この微粒子を髪や肌に与えることで髪や肌に潤いを与えることができる。
【0029】
請求項10の発明によれば、放電を安定化させることが可能になることに加えて、狭いスペースに抵抗体を収納することが可能となる。
【0030】
請求項11の発明によれば、髪や肌にイオンを与える美容装置における美容効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1に係るイオン発生装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係るイオン発生装置の変形例を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【図4】図3に示すヘアドライヤを出口開口側から見た正面図である。、
【図5】図3に示すヘアドライヤの本体内部を一部拡大した平面図である。
【図6】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としてのヘアブラシの断面図である。
【図7】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としての他のヘアブラシの断面図である。
【図8】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としてのヘアアイロンの側面図である。
【図9】図8に示すヘアアイロンのA−A断面図である。
【図10】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としての他のヘアアイロンの正面図である。
【図11】図10に示すヘアアイロンの側面図である。
【図12】図10に示すヘアアイロンの側面断面図である。
【図13】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としての他のヘアアイロンの正面図である。
【図14】図13に示すヘアアイロンの側面図である。
【図15】本発明の実施例1に係るイオン発生装置が適用可能な美容装置としてのミスト発生装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示すミスト発生装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施例を説明する。
【実施例1】
【0033】
図1は本発明の実施例1に係るイオン発生装置の要部構成を示す図である。図1に示す実施例1のイオン発生装置は、マイナスイオン発生部100と微細化ミスト発生部200と高電圧発生部300とを備えて構成されている。
【0034】
マイナスイオン発生部100は、放電部101ならびに電力量変更部102a,102bを備えて構成されている。放電部101は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極101aとこの放電極101aに対向する放電対向部101bを有して構成されている。放電極101aは、電力量変更部102aを介して高電圧発生部300のマイナス極端子に接続され、マイナスの高電圧が印加される。放電対向部101bは、電力量変更部102bを介して高電圧発生部300のグランド端子に接続されている。
【0035】
電力量変更部102a,102bを介してこれら放電極101aと放電対向部101bとの間に高電圧発生部300によって高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極101aや放電対向部101b等から例えばNO2−、NO3−等のマイナスイオンを発生して放出させる。
【0036】
放電極101aは、極細の線材として構成することができ、その場合に、断面形状としては、円形、楕円形、多角形形状等、各種採用することができる。なお、放電極101aは、尖端を有する針状に形成してもよい。
【0037】
また、放電極101aは、例えば、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等として構成することができる。マイナスイオン発生部100で生成され放出されたマイナスイオンに微粒子の上記金属、金や、銀、銅、亜鉛等が含まれている場合は、この金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、この金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。また、金属微粒子を髪や肌に与えることで、紫外線から髪や肌を守る効果を得ることができる。なお、金属微粒子の放出をさせない部分(例えば放電対向部101b等)は、ステンレススチールや、タングステン等を用いて構成することができる。
【0038】
放電対向部101bは、例えば放電極101aの先端側に予め設定された所定の距離だけ離間させて放電極101aの延伸方向と略直交して配置される環状かつ板状の部材として設けることができる。また、放電対向部101bをグランド電極として機能させる場合には、放電部101を収納する収納体で構成することも可能である。
【0039】
電力量変更部102a,102bは、高電圧発生部300から出力された高電圧の放電電力を変更、もしくは変更せずに放電極101aと放電対向部101bに供給する。電力量変更部102a,102bは、高電圧発生部300から出力される高電圧の放電電力に対して、予め設定されたイオン量のマイナスイオンを発生させるのに適した放電電力が放電極101aと放電対向部101bとの間に与えられるように、その電力量をそれぞれ独立して個別に適宜設定される。
【0040】
電力量変更部102a,102bは、例えば抵抗値が固定もしくは可変可能な抵抗体で構成することができる。あるいは、放電部101に供給される電流値を変更できるように構成した例えばトランジスタ等を含む電気回路で構成することもできる。電力量変更部102a,102bを抵抗体で構成した場合に、その抵抗体は、回路部品としての抵抗素子として構成する他に、所望の抵抗値が得られる抵抗体であればよく、例えば放電部101を収納する収納体を抵抗体として機能させてもかまわない。したがって、抵抗体の抵抗値は同一もしくは異なって設定される。なお、放電対向部101bは、電力量変更部102bを構成する抵抗体の抵抗値を0とした場合にはグランド電位となりグランド電極として機能することになる。
【0041】
微細化ミスト発生部200は、放電部201ならびに電力量変更部202a,202bを備えて構成されている。放電部201は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極201aおよび放電対向部201bを有して構成されている。放電極201aは、電力量変更部202aを介して高電圧発生部300のマイナス極端子に接続され、マイナスの高電圧が印加される。放電対向部201bは、電力量変更部202bを介して高電圧発生部300のグランド端子に接続されている。
【0042】
電力量変更部202a,202bを介してこれら放電極201aと放電対向部201bとの間に高電圧発生部300によって高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせる。具体的には、例えば放電極201aを針状に形成し、放電対向部201bは放電極201aの先端側に予め設定された所定の距離だけ離間配置した環状かつ板状の部材として形成することができる。
【0043】
微細化ミスト発生部200は、冷却機構としてのペルチェ素子(図示せず)および熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板(図示せず)とを含んでおり、ペルチェ素子によって冷却された冷却板の表面に空気中の水分を結露させ、結露水を生じるようになっている。これにより、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されて微細化されたミスト)が発生して静電霧化を行う。ここで、ペルチェ素子および冷却板が液体供給手段に相当する。
【0044】
電力量変更部202a,202bは、高電圧発生部300から出力された高電圧の放電電力を変更、もしくは変更せずに放電極201aと放電対向部201bに供給する。電力量変更部202a,202bは、高電圧発生部300から出力される高電圧の放電電力に対して、予め設定されたイオン量の微細化されたミストを発生させるのに適した放電電力が放電極201aと放電対向部201bとの間に与えられるように、その電力量がそれぞれ独立して個別に適宜設定される。
【0045】
電力量変更部202a,202bは、例えば抵抗値が固定もしくは可変可能な抵抗体で構成することができる。あるいは、放電部201に供給される電流値を変更できるように構成された例えばトランジスタ等を含む電気回路で構成することもできる。電力量変更部202a,202bを抵抗体で構成した場合に、その抵抗体は、回路部品としての抵抗素子として構成する他に、所望の抵抗値が得られる抵抗体であればよく、例えば放電部201を収納する収納体を抵抗体として機能させてもかまわない。したがって、抵抗体の抵抗値は同一もしくは異なって設定される。なお、放電対向部201bは、電力量変更部202bを構成する抵抗体の抵抗値を0とした場合にはグランド電位となりグランド電極として機能することになる。
【0046】
放電対向部201bをグランド電極として機能させる場合には、放電部201を収納する収納体で構成することも可能である。
【0047】
高電圧発生部300は、直流の高電圧を生成する例えばイグナイタ等で構成され、予め設定された直流のマイナスの高電圧をマイナスイオン発生部100の放電部101ならびに微細化ミスト発生部200の放電部201に共通して同時に供給する。なお、いずれか一方の放電部にのみ選択的に供給できる機能を加えてもかまわない。
【0048】
一方、高電圧発生部300は、交流の高電圧を発生するように構成してもよく、その場合には図2に示すようにマイナスイオン発生部100の電力量変更部102aと高電圧発生部300との間に整流用のダイオードD100を挿入し、電力量変更部102bを介して放電対向部101bをグランドに接続することで、高電圧発生部300から放電部101にマイナスの高電圧を供給して、図1に示す構成と同様にマイナスイオンを発生させることができる。
【0049】
なお、高電圧発生部300は、プラスの高電圧を発生して放電部101に供給してもよく、その場合には放電部101はプラスイオンを発生することが可能となる。
【0050】
本実施例1では、放電部の数を2つとして説明したが、3つ以上の複数の放電部を備えていてもかまわない。その場合に、すべての放電部の形態が略同一となるように構成される。ここで、放電部の形態とは、放電極の形状、特に先端部の形状、放電極の長さ、太さ、材質ならびに極間距離(この実施例1では放電極と放電対向部との間の距離)を指すものとする。したがって、図1に示す2つの放電部を有する構成では、マイナスイオン発生部100の放電部101と微細化ミスト発生部200の放電部201との形態は略同一となるように構成される。
【0051】
このように上記実施例1においては、高電圧発生部300と各放電部101、201との間に電力量変更部102a,102b,202a,202bを設け、それらの各電力量変更部102a,102b,202a,202bにより対応する放電部101、102に供給される電力量を適宜独立して調整し設定することで、共通の高電圧発生部300から出力される同一の電力に対して、各放電部101,201の放電に適した電力を各放電部101,201に個別に供給することが可能となる。これにより、形態が略同一の複数の放電部101,201に対して、各放電部101,201の目的にあった異なる放電効率で各放電部101,201で放電を行うことができる。したがって、それぞれ異なるイオン量のイオンを各放電部101,201で発生することが可能となり、イオンを塗布する部位に応じて最適なイオン量のイオンを発生することができる。これにより、発生した異なるイオン量を髪や肌の対応する各部位に与えることで、髪をしっとりさせる効果や、肌に潤いを与える効果を同時に得ることが可能となる。また、マイナスイオンと金属微粒子を同時に与えることも可能となる。
【0052】
同一形態で放電部を構成しているので、形態が異なる複数類の放電部を用意する必要がなく、製造コストを低減することが可能となる。
【0053】
また、高電圧発生部300を共通化できるので、構成の小型化ならびにコストの削減を図ることができる。また、従来からある各放電部を組み合わせることが可能となるので、新たに放電部を開発する必要はなく、製造コストを削減することができる。
【0054】
放電対向部101b,201bに接続される電力量変更部102b,202bで電力量を変更せずに、放電対向部101b,201bに接地電位を与えることで、例えば電力量変更部102b,202bを抵抗体で構成しその抵抗値を0とすることで、各放電部101、201の電界が安定して電界強度の増強、安定化を図ることができ、各放電部101,201における電子の発生量を安定させることができる。これにより、各放電部101,201におけるイオン量のばらつきを抑制することが可能となることに加えて、発生するイオン量を容易に調整制御することが可能となる。
【0055】
放電対向部101b、201bに接続される電力量変更部102b,202bにより各放電部101,201にグランド電位以外の所定の電位を与えることで、例えば電力量変更部102b,202bを所定の抵抗値の抵抗体で構成することで、各放電対向部101b、201bに流れる電流量を制御することが可能となり、放電対向部101b、201bをグランド電位とした場合に比べて放電対向部101b、201bに吸収される電子量を低減することができ、塗布できるイオン量を増加させることができる。これにより、髪や肌へのイオン塗布効果を高めることができる。
【0056】
高電圧発生部300で交流の高電圧を発生して放電部に供給することで、プラスイオンならびにマイナスイオンのいずれか一方または双方を同時に発生することができる。プラスイオンとマイナスイオンとを同時に発生して髪に与えた場合には、毛髪がマイナス電位に帯電している場合には、毛髪はプラスイオンを引き寄せやすくなる一方、毛髪がプラス電位に帯電している場合には、マイナスイオンを引き寄せやすくなる。すなわち、髪は帯電していない状態にすることが可能となり、髪の拡がりを抑える効果を得ることができる。
【0057】
マイナスイオンとともに静電霧化によりイオンを含んだ微粒子化された水等の液体を発生させて髪や肌に塗布することで、マイナスイオンの塗布効果に加えて髪や肌に潤いを与えることができる。
【0058】
各放電部101,201と高電圧発生部300とを、放電による損傷が比較的に少ない例えばフッ素樹脂等の被覆材で覆われたリード線を介して接続することで、シリコン等の被覆材で覆われたリード線を用いた場合に比べて被覆材のシリコンが放電極に付着して放電が不安定になるといった不具合を回避することができる。また、これらのリード線に各抵抗体を屈曲部として接続することで、ヘアードライア等の髪ケア装置の比較的狭いケース内に容易に収納することが可能となり、生産性を向上することができる。
【0059】
この実施例1のイオン発生装置を、ヘアドライヤ、ヘアブラシ、ヘアアイロン、ミスト発生装置等の美容装置に適用することで、小型な構成で、髪や肌への美容効果を高めた美容装置を提供することができる。
【実施例2】
【0060】
図3,図4,図5は、本発明の実施例2を示すものであり、このうち、図3は、上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのヘアドライヤの断面図、図4は、ヘアドライヤを出口開口側から見た正面図、図5は、ヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部(実施例1のマイナスイオン発生部100に相当)10とミスト生成部(微細化ミスト発生部200に相当)11が設けられる部分を拡大して示す平面図である。なお、以下に示す複数の実施例には同様の構成要素が含まれており、それら同様の構成要素に共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0061】
また、以下に示す各実施例では、電力量変更部102a,102b,202a,202bを例えば抵抗体R101,R102,R201,R202で構成した例で説明する。
【0062】
ヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えており、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施例2では略T字状)の外観を呈するように構成されている。把持部1aの突出端部からは、電源コード2が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0063】
ヘアドライヤ1の外壁をなすケース3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ケース3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0064】
本体部1bの内部には、その長手方向(図3の左右方向)の一方側(右側)の入口開口4aから出口開口4bに至る風洞4が形成されており、この風洞4内に収容されたファン5を回転させることによって空気流Wが形成される。すなわち、空気流Wは、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って出口開口4bから外部に排出される。
【0065】
また、本体部1bにおいて、ケース3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流Wはこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を駆動するモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱機構としてのヒータ8が配置されている。ヒータ8を作動させたときには、出口開口4bから温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0066】
そして、本体部1b内で、ケース3と内筒6との間に形成された空洞9に、金属微粒子生成部10や、ミスト生成部11、金属微粒子生成部10ならびにミスト生成部11に電圧を印加する電圧印加回路(実施例1の高電圧発生部300に相当)12等が収容されている。金属微粒子生成部10は、33MΩ程度の抵抗体R101、R102(実施例1の抵抗体R101,R102に相当)を介して電圧印加回路12に接続されて高電圧が印加され、ミスト生成部11は、33MΩ程度の抵抗体R201、R202(実施例1の抵抗体R201,R202に相当)を介して電圧印加回路12に接続されて高電圧が印加される。
【0067】
また、把持部1aの根元部1c内の空洞13には、や、動作モードの切り換え等を行うスイッチ部15が収容されている。さらに、把持部1aの先端部1d内の空洞には、電源のONとOFFとの切り換えや動作モードの切り換え等を行う別のスイッチ部16が収容されている。これら電気部品同士は、金属導体等からなる芯線を絶縁性樹脂等で被覆したリード線17によって接続されている。なお、スイッチ部15,16は、ケース3の表面に露出した操作子18,19を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。
【0068】
電圧印加回路12は、図3に示すように、把持部1a内、または本体部1b内で把持部1aの延長線上となる領域に配置するのが好適である。使用者が把持部1aを持ったときに、電圧印加回路12に作用する重力による回転モーメント(のモーメントアーム)を小さくして、使用者の手に作用する負荷を小さくするためである。
【0069】
内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図1では一箇所のみ図示)と、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cと、を有している。筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流Wの一部が分岐されて流入し、分岐流Wpが形成されている。なお、分岐流Wpの空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流Wpは、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
【0070】
ケース3には、図4に示すように、空洞9の出口開口4b側となる位置に、楕円形の貫通孔3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。カバー20には、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとが形成されている。カバー20は、金属微粒子あるいはミストによる帯電を抑制するため、ケース3よりも導電性を低くするのが好適である。カバー20が帯電すると、その電荷によって、金属微粒子生成部10やミスト生成部11から電荷を帯びた金属微粒子やミストが放出されにくくなるからである。なお、この部分では、カバー20がヘアドライヤ1の外壁を成している。
【0071】
金属微粒子生成部10は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(実施例1の放電極101aに相当)10aおよびグラウンド電極(実施例1の放電対向部101bに相当)10bを有しており、これら放電極10aとグラウンド電極10bとの間に第一の電圧印加回路14によって高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極10aやグラウンド電極10b等から金属微粒子(金属の分子やイオン等)を放出させるものである。
【0072】
この金属微粒子生成部10は、箱状の筐体10cを備えており、放電極10aは、筐体10c内で、当該筐体10cに固定された基台部(例えばプリント基板等、図示せず)に、例えばはんだ付けやかしめ等によって固定されている。
【0073】
放電極10aは、極細の線材として構成することができ、その幅(直径)を、10〜400[μm](好適には30〜300[μm]、より一層好適には50〜200[μm])に設定することができる。その場合、断面形状としては、円形、楕円形、多角形形状等、各種採用することができる。なお、放電極10aは、尖端を有する針状に形成してもよい。
【0074】
グラウンド電極10bは、例えば、放電極10aの先端側に離間させて当該放電極10aの延伸方向と略直交して配置される環状かつ板状の部材として設けることができる。
【0075】
また、放電極10aは、例えば、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等として構成することができる。金属微粒子生成部10で生成され放出された金属の微粒子に、金や、銀、銅、亜鉛等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。なお、金属微粒子の放出をさせない部分(例えばグラウンド電極10b等)は、ステンレススチールや、タングステン等を用いて構成することができる。
【0076】
また、金属微粒子生成部10は、放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO2−、NO3−等)を生じさせ、このイオンを、放電極10aや、グラウンド電極10b、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成するものであってもよい。すなわち、グラウンド電極10bや上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0077】
ミスト生成部11は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(実施例1の放電極201aに相当)11aおよびグラウンド電極(実施例1の放電対向部201bに相当)11bを有しており、これら放電極11aとグラウンド電極11bとの間に電圧印加回路12によって高電圧を印加することで放電(コロナ放電等)を生じさせるものである。具体的には、例えば、放電極11aは針状に形成し、グラウンド電極11bは放電極11aの先端側に離間配置した環状かつ板状の部材として形成することができる。また、ミスト生成部11は、冷却機構としてのペルチェ素子(図示せず)および熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板11cとを含んでおり、ペルチェ素子によって冷却された冷却板11cの表面に空気中の水分を結露させ、結露水を生じるようになっている。かかる構成では、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト)が生成される。本実施形態では、ペルチェ素子および冷却板11cが水供給部に相当する。
【0078】
本実施例2では、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11ともに、イオンを発生させるイオン発生部に相当するものである。
【0079】
また、本実施例2にかかるヘアドライヤ1は、発光部21を備えている。発光部21は、空洞9内に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源21aと、光源21aの光を導光するアクリル等の透光性を有する合成樹脂材料で形成される導光部材21bと、を有している。図4に示すように、カバー20の、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとの間には、縦長の長円状の孔20cが形成されており、導光部材21bの光源21aと反対側の出射端部21cが、この孔20cに嵌挿されて、カバー20の外に露出している。したがって、光源21aの光は導光部材21bによって導光され、出射端部21cからカバー20の外に出射される。かかる構成では、ヘアドライヤ1の使用時には、出射端部21cが使用者の頭部に対向して配置されることになる。
【0080】
この発光部21は、ヘアドライヤ1の動作モードの表示手段として利用することができる。例えば、ヒータ8を使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータ8を使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、金属微粒子生成部10が稼動していて金属微粒子が放出されている状態では黄色、ミスト生成部11が稼動していてミストが放出されている状態では青色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、例えば電圧印加回路12等と同じ基板上に実装された制御回路(図示せず)が各部の動作状態に応じて光源21aの発光を制御することができる。この場合、各色に対応する光源21aが複数実装され、制御回路がこれら複数の光源21aの発光を制御することになる。なお、制御回路によって光源21aを点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
【0081】
また、発光部21からの光によって、人体に所定の効果を与えることも可能である。例えば、光源21aとして波長415[nm]の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される青色光により、細菌の破壊による殺菌効果や、毛孔の縮小や皮脂の分泌低下等によるざ瘡(にきび)の予防効果などが得られることが確認されている。また、光源21aとして波長630[nm]程度の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される赤色光により、血行促進、血管新生による新陳代謝の活性、コラーゲンやエラスチンの生成を促進するなどの効果が得られることが確認されている。さらに、赤色光の照射回数を重ねた場合には、小じわ、しみ、くすみ、開大毛孔などの光老化皮膚やざ瘡後の瘢痕の改善に有効であることが確認されている。なお、これらの効果は、人によって異なるものとなる。
【0082】
さらに、発光部21を、金属微粒子生成部10あるいはミスト生成部11を照らす照射手段として利用することができる。こうすれば、金属微粒子生成部10やミスト生成部11の状態を視認しやすくなるとともに、掃除等のメンテナンスを行う場合にも視認性が高まって作業効率が向上するという効果が得られる。
【0083】
また、本実施例2では、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成してある。具体的には、金属微粒子排出口20aおよびミスト排出口20bともに断面円形の孔として、金属微粒子排出口20aの孔径Daをミスト排出口20bの孔径Dbより小さくしてある(Da<Db)。
【0084】
また、本実施例2では、金属微粒子生成部10のグラウンド電極10bに金属微粒子を通過させる開口部10dを形成し、開口部10d(孔径:d)を、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成してある(d<Da)。
【0085】
さらに、本実施例2では、金属微粒子排出口20aには、金属微粒子の放出方向に向けてラッパ状に拡開する拡開部20eを設けてある。
【0086】
以上、説明したように、本実施例2では、金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成した。このため、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行うことができるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、道具、異物等の誤進入を抑制することができる。
【0087】
また、本実施例2では、金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向させるとともにミスト生成部11をミスト排出口20bに対向させて設けたため、金属微粒子およびミストの排出効率を高めることができる。金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向配置させた場合、当該金属微粒子排出口20aから放電極10aに対して比較的アクセスしやすくなる分、その影響が懸念されるのであるが、本実施形態では、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、上記対向配置したことによる効果を得やすくなる。
【0088】
また、本実施例2では、金属微粒子生成部10の放電極10aを線材によって構成した。線材は、長さ方向の位置によらず直径が同じである。よって、金属微粒子が放出されて放電極10aが徐々に消失しても、放電極10aの先端部の形状をほぼ同じ形状(曲率半径)に維持しやすくなって、放電性能ひいては金属微粒子の放出性能の経時変化(経時的な増減)を抑制することができる。また、異物等が進入しやすい状況では、線材としての放電極10aに変形が生じて性能の維持に支障を来す虞があるが、本実施形態では、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、放電極10aを線材にすることよる上記効果を得やすくなる。
【0089】
また、本実施例2では、金属微粒子生成部10のグラウンド電極10bに金属微粒子を通過させる開口部10dを形成し、開口部10dを、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成してある。したがって、グラウンド電極10bが遮蔽壁となって、外部からの異物等が放電極10aにより一層到達し難くなる。
【0090】
また、本実施例2では、金属微粒子排出口20aには、金属微粒子の放出方向に向けてラッパ状に拡開する拡開部20eを設けた。このため、この拡開部20eによって、金属微粒子の拡散性を高めることができる。
【0091】
さらに、本発明の特徴的なイオン発生装置を上記実施例2の美容装置としてのヘアドライアに適用することが可能となり、小型な構成でもって髪にイオンを塗布する際の効果を高めることができる。
【実施例3】
【0092】
図6は上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのヘアブラシの断面図である。
【0093】
本実施例3にかかる美容装置としてのヘアブラシ1Dは、棒状に形成されており、使用者が把持部1fを持って先端部1gに設けられたブラシ部23を髪に当てて整髪する(髪を梳かす)ものである。ブラシ部23には、複数のブリッスル23aが突設されている。
【0094】
外壁をなすケース3Dは、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されており、その内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0095】
また、把持部1fのブラシ部23に近い部分には、膨出した形状の外壁をなすカバー20Dが取り付けられており、このカバー20Dとケース3Dとによって形成される空洞9D内に、金属微粒子生成部10とマイナスイオン生成部11dとが収容されている。カバー20Dには、ブリッスル23aに向けて開放された排出口20dが形成され、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子ならびにマイナスイオン生成部11dで生成されたマイナスイオンは、この排出口20dから外部に放出され、髪や地肌に作用することになる。なお、金属微粒子生成部10およびマイナスイオン生成部11dには、抵抗体R101、R201を介して回路部(実施例1の高電圧発生部300を含む)24から電圧が印加され、抵抗体R102、R201を介してグランドに接続されている。
【0096】
さらに、本実施例3では、使用者の帯電によって金属微粒子の放出が阻害されるのを抑制するため、把持部1fの表面にチャージ部25を露出させてある。チャージ部25は、放出される金属微粒子およびミストの極性と逆の極性(例えば金属微粒子およびミストのマイナスイオンが放出される構成の場合にはプラス)に帯電され、使用者は、このチャージ部25を握ることで、当該逆の極性に帯電される。なお、チャージ部25の少なくとも最外層は絶縁性材料で構成されている。
【0097】
このように、上記実施例3では、本発明の特徴的なイオン発生装置を美容装置としてのヘアブラシに適用することが可能となり、小型な構成でもって髪にイオンを塗布する際の効果を高めることができる。
【実施例4】
【0098】
図7は上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのヘアブラシの断面図である。
【0099】
本実施例4にかかる美容装置としてのヘアブラシ1Eは、基本的には上記実施例3にかかるヘアブラシ1Dと同様の構成要素を備えている。
【0100】
ただし、本実施例4では、空洞9Dに空気流Wを生じさせるファン5Eおよびこのファン5Eを回転させるモータ7Eを設け、金属微粒子生成部10で生成した金属微粒子ならびにマイナスイオン生成部11dで生成したマイナスイオンを、分岐流Wpに乗せて排出できるようにした点が、上記実施例3と相違している。
【0101】
本実施例4では、送風機構としてのモータ7Eおよびファン5Eは、ケース3E内に形成される空洞内に収容されている。モータ7Eは回路部24に含まれる駆動回路によって回転駆動される。ケース3Eの基端側(図7では下側)には空気の導入口となる開口部1hが形成されており、ファン5Eが回転すると、空気が外部から開口部1hを介して空洞9D内に流入し、当該空洞9D内を通って排出口20dからブラシ部23に向けて排出される空気流Wが形成されるとともに、ブラシ部23のブリッスル23aの根元に形成された吹出孔23bからも空気が吹き出される。なお、本実施例4では、電源コード2を介して電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0102】
このように、上記実施例4では、本発明の特徴的なイオン発生装置を美容装置としてのヘアブラシに適用することが可能となり、小型な構成でもって髪にイオンを塗布する際の効果を高めることができる。
【実施例5】
【0103】
図8,図9は、本発明の実施例5を示しており、このうち、図8は、上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのヘアアイロンの側面図、図9は、図8のA−A断面図である。
【0104】
図8に示すように、本実施例5にかかる美容装置としてのヘアアイロン1Fは、回動連結部1kを介して略V字状に拡開可能な二つのアーム部1i,1jを備えており、それらアーム部1i,1jの先端側の挟持部26に髪を挟み込んで加熱部27で加熱して整髪するものである。
【0105】
図9に示すように、外壁をなすケース3Fの内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0106】
アーム部1iのケース3Fの、挟持部26に対して回動連結部1k側に隣接する部分には、相反する方向(図9の左右方向)に張り出す外壁をなす一対のカバー20F1,20F2が取り付けられており、このカバー20F1,20F2とケース3Fとによって形成される空洞9F内に、金属微粒子生成部10とマイナスイオン生成部11dとが収容されている。金属微粒子生成部10は、カバー20F1内に収容されており、金属微粒子はカバー20F1に形成された金属微粒子排出口20aから放出される。一方、マイナスイオン生成部11dは、カバー20F2内に収容されており、マイナスイオンはカバー20F2に形成されたミスト排出口20bから放出される。
【0107】
金属微粒子生成部10は、抵抗体R101,R102を介して高電圧を発生供給する回路部24に接続され、マイナスイオン生成部11dは、抵抗体R201,R202を介して高電圧を発生供給する回路部24に接続されている。
【0108】
この実施例5では、マイナスイオン生成部11dに供給される電流を金属微粒子生成部10に供給される電流に比べて少なく設定している。このため、金属微粒子生成部10の抵抗体R101は例えば25MΩ〜40MΩ程度、抵抗体R102は0Ωに設定されるのに対して、マイナスイオン生成部11dの抵抗体R201は5MΩ〜20MΩ程度、抵抗体R202は0.1MΩ〜5MΩ程度に設定され、好ましくは抵抗体R101は30MΩ〜35MΩ程度、マイナスイオン生成部11dの抵抗体R201は5MΩ〜20MΩ程度、抵抗体R202は0.5MΩ〜4MΩ程度に設定され、さらに好ましくは抵抗体R101は33MΩ〜34MΩ程度、マイナスイオン生成部11dの抵抗体R201は10MΩ〜11MΩ程度、抵抗体R202は1MΩ〜2MΩ程度に設定されることが望ましい。
【0109】
このように抵抗値をそれぞれ独立して個別に適宜調整することで、金属微粒子生成部10ならびにマイナスイオン生成部11dの放電効率を調整制御することが可能となる。これにより、金属微粒子生成部10では、必要量の金属微粒子を吐出する放電を行うことができ、マイナスイオン生成部11dでは、必要量のマイナスイオンを吐出する放電を行うことができる。
【0110】
また、この実施例5では、上記実施例2〜4と同様に、金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成した。このため、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行うことができるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、道具、異物等の誤進入を抑制することができる。
【0111】
そして、本実施例5でも、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向させるとともにミスト生成部11をミスト排出口20bに対向させて設けたことによる上記効果を得やすくなるとともに、放電極10aを線材にすることよる上記効果を得やすくなる。
【0112】
また、本実施例5でも、金属微粒子生成部10のグラウンド電極に形成した開口部を、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成することで、当該グラウンド電極が遮蔽壁となって、外部からの異物等が放電極により一層到達し難くなる。
【0113】
このように、上記実施例5では、本発明の特徴的なイオン発生装置を美容装置としてのヘアアイロンに適用することが可能となり、小型な構成でもって髪にイオンを塗布する際の効果を高めることができる。
【実施例6】
【0114】
図10,図11,図12は、本発明の実施例6を示しており、このうち、図10は上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのヘアアイロンの正面図、図11は図10に示すヘアアイロンの側面図、図12は図10に示すヘアアイロンの側面断面図である。
【0115】
図10に示すように、本実施例6にかかる美容装置としてのヘアアイロンは、略円柱状の把持部52の先端に円柱状の巻付胴部51を連設し、把持部52から先端方向に突出して巻付胴部51の周面に接離自在にされる押さえ板53を備えて先端方向に長い略円棒状のヘアアイロン本体57が形成されている。
【0116】
詳しくは、図12のように巻付胴部51はその内部にヒータ58を備えており、断面円状の巻付胴部51の周面がこのヒータ58の発熱で加熱される加熱面とされている。また、巻付胴部51の先端には水タンク59が付設されており、水タンク59内に貯水された水をヒータ58に供給して蒸発させて巻付胴部51の周面から外方にスチームとして噴出可能にされている。
【0117】
ここで、加熱面となる巻付胴部51の周面は伝熱性が高く且つ複数のスチーム噴出口(図示せず)が設けられた金属製の断面円状のパイプ材にて構成されている。また、押さえ板53は、巻付胴部51の周面に沿う円弧状断面を有する先端方向に長いヘラ板状の押さえ板面部53aとこの押さえ板面部53aの基端部から延出された操作部53bとを備えて形成されており、操作部53bを把持部52の先端部位にバネ60を介して枢支させ、バネ60の付勢によって押さえ板面部53aが巻付胴部51の周面に弾接されるようにされている。
【0118】
なお、押さえ板面部53aには複数の貫通孔61(図13参照)を設けてもよい。この貫通孔61は周部挟持面54に噴出されたスチームを逃がすための孔であり、押さえ板面部53aを巻付胴部51の周面に弾接させた際に巻付胴部51のスチーム噴出口とは重ならない位置に配設される。つまり、本実施例6のヘアアイロンは、把持部52を使用者が握って巻付胴部51の周面に髪を巻付け、この髪を巻付胴部51の周面と押さえ板53とが対向する周部挟持面54の間に挟持させることで、髪にカール状のくせ付けを施し得るようにしたヘアアイロンである。
【0119】
また、把持部52には、先の実施例5で説明したと同様に構成された、マイナスイオンを生成するマイナスイオン生成部と、金属微粒子を生成する金属微粒子発生部とが設けられている。マイナスイオン生成部としては、先の実施例5で説明したと同様の抵抗体を介してグランド電極及び針電極に高電圧発生回路63を接続し、グランド電極を基準として針電極に高電圧を印加して針電極でのコロナ放電によって多量のマイナスイオンを発生させ、このマイナスイオンをイオン放出口55aから放出させる。同様にして金属微粒子生成部で生成された金属微粒子をイオン放出口55bから放出させる。
【0120】
なお、マイナスイオン生成部では、コロナ放電が行われる針電極の先端よりもイオン放出口55a側にグランド電極が配置され、この針電極とグランド電極との位置関係からイオン放出口55aに向けてイオン風が発生され、このイオン風によってイオン放出口55aから外方にマイナスイオンが放出可能にされている。また、図示はしないが、マイナスイオン発生部にファンを内蔵し、ファンの風力にてイオン放出口55aからマイナスイオンを外方に放出させることも好ましい。上記マイナスイオン生成部で採用した構成は、金属微粒子生成部で採用することもできる。
【0121】
把持部52の周面には、把持部52を握った使用者をプラス電位に帯電させてマイナスイオンを付着させ易くする帯電部が設けられている。この帯電部は、プラス電圧を発生させるプラス電圧発生回路とこのプラス電圧発生回路の出力端子に接続された導電部材とで構成される。詳しくは、把持部52はグリップ形状の絶縁物(樹脂成型品)で形成されているが、把持部52の周面の一部に帯電部の導電部材65が配置されている。また、把持部52の基端には上記ヒータ58やマイナスイオン発生部や帯電部に給電させる電源コード66が延出されている。
【0122】
ここで、把持部52の周面にはスイッチ67が設けられ、このスイッチ67の切換によってヒータ58やマイナスイオン生成部や帯電部への通電が制御されてオンオフ操作が行われる。なお、スチーム発生のオンオフ操作は水タンク59からヒータ58への水の供給、停止操作にて行われている。具体的に、水タンク59は巻付胴部51の先端に突没自在に付設されているが、水タンク59を巻付胴部51に向けて押没させると、水タンク59内の水を含んだ吸水材68がヒータ58に接触され、吸水材58を介して水タンク59内の水がヒータ58にてスチーム化されるようにされている。
【0123】
ところで、マイナスイオン生成部のイオン放出口55aは、巻付胴部51の軸方向の端部に設けられ、その開口は巻付胴部51の周部挟持面54に向けて開口するように形成されている。詳しくは、イオン放出口55aの開口は、巻付胴部51の軸方向の端部(本実施例6では巻付胴部51の軸方向の端部に隣接する把持部52の先端部位)の周部挟持面54の近傍位置に配設されており、その開口は、放出されるマイナスイオンの放出角度γ内に周部挟持面54を収めるようにして形成されている(図11参照)。なお、図示はしないが、イオン放出口55aの開口は巻付胴部51の軸方向の端部に直接配設してもよい。
【0124】
ここで、マイナスイオンの放出角度γとは、イオン放出口55aの開口方向を中心とした周方向への広がり角度をいう。各イオン放出口55a,55bの開口は巻付胴部51の軸方向の先端側に向けて開口するようにそれぞれ形成されている。これにより、イオン放出口55aから放出されたマイナスイオンは、周部挟持面54に挟持させた髪の全体に効率よく付着されるようにされている。詳しくは、髪の周部挟持面54への挟持部位の前後部位にマイナスイオンが効率よく付着されるようにされている。これにより、マイナスイオンの効能を髪に効率よく付与させて髪の毛先までしっとりと仕上げることが可能にされている。
【0125】
このように、イオン放出口55aを巻付胴部51の径外方向に突出した位置に配置させたり、イオン放出口55aの開口を巻付胴部51の径外方向に向けて形成させることで、イオン放出口55aから放出したマイナスイオンの大部分が巻付胴部51の周面ではなくて髪に直接付着されるようにしているのである。
【0126】
ここで、イオン放出口55aから放出したマイナスイオンが大量に金属製のパイプ材で構成された巻付胴部51の周面に付着すると、巻付胴部51の周面全体がマイナスに帯電し、その後、巻付胴部51の周面近傍に放出されたマイナスイオンを反発させて遠くに飛ばしてしまって、結果、マイナスイオンの周部挟持面54近傍の髪への付着に障害となるものであった。
【0127】
しかしながら、本実施例6のヘアアイロンでは、上記のように巻付胴部51から径外方向に離れた位置にあるイオン放出口55aから径外方向に向けてマイナスイオンを放出させる構造となっているので、マイナスイオンの大部分を巻付胴部51の周面に付着させることなく、髪に直接付着させることができるので、マイナスイオンの髪全体への効率良い付着の確保が図られているのである。
【0128】
金属微粒子生成部で生成されて放出される金属微粒子においても、上記マイナスイオンと同様の効果を得ることができる。
【0129】
上述したように、本実施例6のヘアアイロンは、髪を巻き付ける巻付胴部51の周面が金属製のパイプ材で構成される加熱面であり、この巻付胴部51の周面と押さえ板53との周部挟持面54に髪を挟持させて髪にカール状のくせ付けを施すカールタイプのヘアアイロンであって、このカルタイプのヘアアイロンにマイナスイオン生成部ならびに金属微粒子生成部を備えたものであるが、金属製のパイプ材で構成される巻付胴部51の周面にイオン放出口55aから放出させたマイナスイオン、イオン放出口55bから放出させた金属微粒子を極力当てないようにし、且つ、周部挟持面54に挟持させた髪の全体に効率よくマイナスイオンならびに金属微粒子を付着させるようにしたので、従来、髪に適度なマイナスイオンならびに金属微粒子の効能を付与させるため(髪に適量のマイナスイオンならびに金属微粒子を付着させるため)に多くなりがちであったマイナスイオン生成部ならびに金属微粒子生成部の設置個数を抑制し、ヘアアイロンの構成の複雑化や大型化の回避が図られているのである。
【0130】
このように、上記実施例6では、本発明の特徴的なイオン発生装置を美容装置としてのヘアアイロンに適用することが可能となり、小型な構成でもって髪にイオンを塗布する際の効果を高めることができる。
【実施例7】
【0131】
図13,図14は、本発明の実施例7を示しており、このうち、図13は上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのヘアアイロンの正面図、図14は図13に示すヘアアイロンの側面図である。
【0132】
図13に示すように、本実施例7にかかる美容装置としてのヘアアイロンは、先の実施例6のヘアアイロンのように髪にカール状のくせ付けを施し得る機能を有し、更に髪にストレート状のくせ付けを施し得る機能をも付加させたものであり、カール状にくせ付けを施す髪に加え、ストレート状にくせ付けを施す髪にもマイナスイオンならびに金属微粒子を効率よく付着させようとするものである。以下、先の図10〜図12と同様部分には同符合を付して説明を省き、異なる部分につき詳述する。
【0133】
この実施例7のヘアアイロンは、周面が加熱面とされた半円柱状の一対の分割胴部51a,51bを接離自在にして円柱状の巻付胴部51が形成されており、対向する一対の分割胴部51a,51bの間に髪を挟持させて髪にくせ付けを施す内部挟持面56が設けられている。詳しくは、ヘアアイロン本体57は半円柱状の分割把持部52a(52b)の先端に半円柱状の分割胴部51a(51b)を連設した一対の半体57a,57bから構成され、一対の半体57a,57bの基端部同士を枢支連結させて一対の半体57a,57b同士の対向面が接離自在にされており、一対の半体57a,57b同士を合わせたときには一対の分割把持部52a,52b同士によって円柱状の把持部52が形成されると共に一対の分割胴部51a,51b同士によって円柱状の巻付胴部51が形成されるようにされている。
【0134】
ここで、それぞれの分割胴部51a(51b)の内部にはそれぞれヒータ58が備えられ、断面半円状の分割胴部51a(51b)の周面はヒータ58の発熱で加熱される加熱面とされている。つまり、略平面状の加熱面である一対の分割胴部51a,51bの対向面が、その間に髪を挟持させて髪にストレート状のくせ付けを施す内部挟持面56を構成しているのである。なお、この内部挟持面56では、加熱面同士で髪を挟持するものであるから、髪に比較的強いくせ付けを施すことが可能である。
【0135】
また、一対の分割胴部51a,51bを有する本実施例7のヘアアイロンにも先の実施例6のヘアアイロンと同様に押さえ板53が備えられている。この押さえ板53は一方の半体57aの分割把持部52aに付設され、この一方の半体57aの分割胴部51aにおける円弧状の周面に接離自在にされている。ここで、この押さえ板53の分割胴部51aへの接離方向は一方の半体57aの他方の半体57bへの接離方向と同方向に設定されている。つまり、一方の半体57aにおける断面半円状の分割胴部51aにあって、その周面の円弧状部位は押さえ板53との協働で髪を挟持する周部挟持面54を構成し、その周面の平面状部位は他方の半体57bの分割胴部51bの対向面(他方の半体57bの分割胴部51aにおける周面の平面状部位)との協働で髪を挟持する内部挟持面56を構成しているのである。
【0136】
また、一方の半体57aの分割胴部51aの先端には水タンク59が突没自在に付設されており、水タンク59内の水をヒータ58にてスチーム化させてこの一方の半体57aの分割胴部51aの周面から外方に噴出可能にされている。なお、他方の半体57bの分割胴部51bの先端にはキャップ69が突没自在に備えられている。このキャップ69は水を貯えるものではないが、一対の半体57a,57b同士を合わせたときに水タンク59と一緒に分割胴部方向に押没させ、スチーム発生の操作を容易に行えるようにしたものである。つまり、加熱面とされる各分割胴部51a,51bの周面はそれぞれヒータ58にて加熱される金属製の断面半円状のパイプ材で構成されているが、水タンク59が付設された一方の半体57aの分割胴部51aの周面を構成する金属製の断面半円状のパイプ材には複数のスチーム噴出口(図示せず)が穿孔されているのである。
【0137】
このようにヘアアイロンは、髪にカール状のくせ付けを施し得る円弧面状の周部挟持面54に加え、髪にストレート状のくせ付けを施し得る平板状の内部挟持面56を備えたものであるが、各挟持面54,56に挟持させた髪全体に効率よくマイナスイオンを付着させるべく、先の実施例6と同様のマイナスイオン生成部と金属微粒子を付着させるべく金属微粒子生成部とが備えられている。
【0138】
上述したように、本実施例7のヘアアイロンは、円弧面状の周部挟持面54に髪を挟持させて髪にカール状のくせ付けを施し得ると共に、平面状の内部挟持面56に髪を挟持させて髪にストレート状のくせ付けを施し得るカール&ストレートタイプのヘアアイロンであって、このカール&ストレートタイプのヘアアイロンにマイナスイオン生成部ならびに金属微粒子生成部を備えたものであるが、それぞれ金属製のパイプ材で構成される一対の分割胴部51a,51bで構成された巻付胴部51の周面にイオン放出口55a,55bから放出させたマイナスイオンならびに金属微粒子を極力当てないようにし、且つ、周部挟持面54または内部挟持面56に挟持させた髪のそれぞれ全体に効率よくマイナスイオンならびに金属微粒子を付着させるようにしたので、従来、髪に適度なマイナスイオンならびに金属微粒子の効能を付与させるために多くなりがちであったマイナスイオン生成部ならびに金属微粒子生成部の設置個数を抑制できてヘアアイロンの構成の複雑化や大型化の回避が図られる。
【0139】
このように、上記実施例7では、本発明の特徴的なイオン発生装置を美容装置としてのヘアアイロンに適用することが可能となり、小型な構成でもって髪にイオンを塗布する際の効果を高めることができる。
【実施例8】
【0140】
図15,図16は、本発明の実施例8を示しており、このうち、図15は上述した本発明の特徴的な技術思想が適用可能な美容装置としてのミスト発生装置の構成を示すブロック図、図16は図15に示すミスト発生装置の外観を示す斜視図である。
【0141】
図15,図16において、ミスト発生装置Aは給水タンク77から供給される水を加熱して発生したスチームを放電によりミスト化してスチームノズル71から噴出させるスチーム発生機構70と、給水タンク77から供給される水とポンプ79から圧送される空気を混合して得られる冷ミストをミストノズル73から噴出させる冷ミスト発生機構82と、マイナスイオン放電部86で生成されたマイナスイオンをイオンノズル72から放出するマイナスイオン発生機構81を備え、スチームノズル71を複数備えることで肌に熱的刺激を与えて美肌効果を高められるようにしたものである。
【0142】
スチーム発生機構70は、給水タンク77から供給される水を加熱してスチームを発生させるスチームボイラー83と、発生させたスチームをミスト化するするための放電部84と、乱れたミストを整流するミスト整流部85と、ミスト化したスチームを噴出するスチームノズル71とを備えて構成されている。
【0143】
このような構成において、スチーム発生機構70は、給水タンク77から供給された水は給水路に設けられた分岐部91を通ってスチームボイラー83に供給されて一定の水位で安定する。スチームボイラー83に供給された水は加熱されてスチーム路92を通って複数のスチームノズル71から噴出される。このときに、スチームがスチーム路92を通る際に、放電部84を構成する放電針によって高圧放電を受けることでスチームがミスト化される。また、ミスト化されたスチームがミスト整流部85を通ることで乱れたスチームが整流される。また、スチーム化によってスチームボイラー83内の水が減少して水位が低下すると、一定の水位で安定しようとして給水タンク77からスチームボイラー83への給水が開始され、これらの動作が繰り返されることでミスト化されたスチームがスチームノズル71から連続して噴出される。
【0144】
冷ミスト発生機構82は、給水路の分岐部91に液体供給路87の一端が接続され、液体供給路87の他端がポンプ79とミストノズル73とを接続する空気の送出路88に接続されて構成されている。このような構成において、ポンプ79が駆動されてポンプ79から噴出された空気は送出路88を通ってミストノズル73から噴出される。このとき、ベンチェリー効果が発生するように構成されたミストノズル73は、液体供給路87を介して液体供給路87内の温水を汲み上げて冷ミストを噴出する。この実施例8では、ミストノズル73は図16に示すように2つのスチームノズル71間の略中心に配置されている。
【0145】
マイナスイオン発生機構81は、ノズルブロック93に取り付けられており、マイナスイオン放電部86を構成する放電針と対極板間で高電圧放電を行うことでマイナスイオンを発生し、発生したマイナスイオンをイオンノズル72から放出し、放出されたマイナスイオンはスチームノズル71から噴出されたスチームと混合される。この実施例8では、イオンノズル72は2つのスチームノズル71の中心線上に配置され、ミストノズル73の概ね20mm程度上方に配置されている。
【0146】
スチームボイラー83で生成されたスチームをミスト化する放電部84と、マイナスイオン発生機構81のマイナスイオン放電部86とは、先の実施例1で説明したと同様に、抵抗体を介して同一の高電圧発生回路に接続されている。この高電圧発生回路は交流電源が与えられて交流の高電圧で放電が行われているので、先の図2に示すようにダイオードを用いて整流することでマイナスイオンのみを生成している。なお、マイナスイオンと同時にプラスイオンを発生させる構成を採用してもよく、また、マイナスイオンに代えてプラスイオンのみを発生させるようにしてもかまわない。
【0147】
ミスト発生装置Aは、本体の天面94の後部にスチームノズル71、イオンノズル72、ミストノズル73とが取り付けられたノズルブロック93が設けられている。天面94は、本体蓋95により開閉自在とされる。本体蓋95は、本体に設けたヒンジ部により回転可能に取付けられており、美容装置の使用時には開姿勢、収納時には閉姿勢に保たれる。閉姿勢では天面94が覆い隠される。本体の外側には持ち運び用の取手96が取り付けられている。本例では取手96の両端は、ハウジング97の両側壁に設けた取付部により上下回りに回動可能に取付けられていると共に、本体蓋95を開いた状態では本体蓋95が邪魔をして取手96を上方に回動させることができない設計としている。これにより、取手96を持って持ち運ぶ時は本体蓋95を閉じた状態としなければ持ち運び可能角度まで取手96を回動させることができないため、持ち運ぶ時は必ず本体動作がヒンジ部内蔵のリードスイッチによって停止され、安全性が向上する。
【0148】
また、本体の天面94には、電源ボタン74と運転制御ボタン74と使用コース選択ボタン75とが設けられている。電源ボタン74は機械的スイッチとし、本体暴走時でも確実に本体動作を停止できるようにする。運転制御ボタン74は本体の運転開始と運転停止の機能を有する。使用コース選択ボタン75は任意の使用コースを選択するために用いる。
【0149】
各ボタン74〜75からの入力信号はマイコンで構成される制御回路78に送られる。なお、上記使用コース選択ボタン75は、例えば押す毎に使用コースが順次切り替るよう設定する。例えば、スチームによる温とミストによる冷の発生時間と繰返し回数を肌への効果が最適となるように適宜任意に設定され、例えば温と冷を同時に肌へ与えず、温度差による肌への刺激を重視するため交互に与えるような使用コースが含まれる。
【0150】
また、上記給水経路の分岐部91には、排水ボタン89で開閉される排水経路98が接続されており、使用後に排水ボタン89を押して排水経路98を開くだけで本体内の残水を分岐部91から排水口90へ容易に排水できる構造となっている。
【0151】
このように、上記実施例8では、本発明の特徴的なイオン発生装置を美容装置としてのミスト発生装置に適用することが可能となり、小型な構成でもって肌への美容効果を高めることができる。すなわち、スチーム発生機構70で生成されたスチームとマイナスイオン発生機構81で生成されたマイナスイオンとを混合して肌に与えることで、肌のバリア機能を改善できることに加えて、肌の水分保持量を増加させることができ、肌のキメを改善することが可能となる。
【0152】
なお、本発明の実施形態は上記各実施例に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
【0153】
例えば、金属微粒子を排出する排出口およびミストを排出する排出口は、断面円形孔である必要はなく、楕円形や矩形等、他の形状であってもよい。電力量変更部を抵抗体で構成した場合に、抵抗体は回路部品としてのディスクリート素子の抵抗器に限らず、HG等の導電性の低い部材でもかまわない。高電圧発生部300から発生する高電圧はパルス電圧であってもよい。
【符号の説明】
【0154】
100…マイナスイオン発生部
101,201…放電部
101a,201a…放電極
101b,201b…放電対向部
102a,102b,202a,202b…電力量変更部
200…微細化ミスト発生部
300…高電圧発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電によりイオンを発生する複数の放電部と、
前記複数の放電部に共通した放電電力を出力する高電圧発生部と、
前記高電圧発生部から出力されて前記複数の放電部に供給される放電電力の電力量を前記複数の放電部毎に独立して個別に変更する電力量変更部と
を有することを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記電力量変更部は、複数の抵抗体で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記複数の抵抗体の内、少なくとも1つの抵抗体の抵抗値は、他の抵抗体の抵抗値と異なる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記複数の放電部は、略同一の形態で構成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部を構成する一対の放電体の一方の放電体に接地電位を除く所定の電位が与えられる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記一方の放電体は、抵抗体を介して接地されている
ことを特徴とする請求項5に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記高電圧発生部は、交流の放電電力を出力し、
前記複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部は交流の放電電力で放電を行い、
前記複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部は交流の放電電力を変換して得られる直流の放電電力で放電を行う
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部の放電体は遷移金属から構成されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
前記複数の放電部の内、少なくとも1つの放電部は、放電部に液体を供給する液体供給手段を備え、前記液体供給手段から供給された液体を静電霧化する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項10】
前記高電圧発生部と前記各放電部とは、放電による損傷の少ないリード線で接続され、 前記抵抗体は、屈曲して配置される
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項11】
前記請求項1〜10のいずれか1項に記載のイオン発生装置を備えた
ことを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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