説明

イオン発生装置

【課題】高圧発生部で発生する高圧電力を2個の2次側回路部に分岐して各々の2次側回路部に設けた放電電極からイオンを発生させるイオン発生装置では、2次側回路部を高圧発生部を挟んでレイアウトすると、両2次側回路部のグランドを連結する必要がある。被覆されていない単芯である線材であって直線状のものを用いてグランドを連結すると、線材が膨張・収縮した場合にグランドとの連結部分に大きな応力が発生して連結部分が破損するおそれが生じる。また、特に線材が膨張した場合に線材が高圧発生部に向かって撓んでショート故障が生じるおそれもある。
【解決手段】線材を、高圧発生部から離れる方向に山となるように折り曲げた状態で両端を各々2次側回路部のグランドに固定することにより、折り曲げ部の角度が変化することにより抗力を緩和させ、かつ撓み方向が高圧発生部から離れる方向になるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極に高圧の交流電力を供給して放電させることによりイオンを発生させるイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のイオン発生装置として、例えばマイナスイオンとプラスイオンを同時に発生させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなイオン発生装置では、マイナスイオン発生用の放電電極と、プラスイオン発生用の放電電極とをそれぞれ別個に設けている場合がある。ただし、このように放電電極を複数設けている場合でも高圧電力を発生させる高圧発生部は共通1個とし、高圧発生部から発生する高圧電力を分岐して各放電電極に供給している。なお、このように高圧発生部からの高圧電力を分岐する場合であっても各放電電極のグランドは共通である。
【特許文献1】特開2006−185758号公報(請求項2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記イオン発生装置は通常は樹脂製のケーシング内に納められており、放電電極部分だけケーシングに開口を設け、その開口からイオンが空中に放出されるように構成されている。このようにケーシング内に高圧発生部や放電電極、および高圧発生部と放電電極との間に設けられる2次側回路部等が収納される場合には、ケーシングを極力小さくすることが望まれる。そのため、放電電極や2次側回路部が高圧発生部を挟んで両者を互いに離してレイアウトしなければならない場合が生じる。
【0004】
一方、ケーシングに上記の各部品類を収納させる際には自動化が進められ、したがって、相互に離れた2次側回路部のグランドを連結する配線もロボットアーム等により自動で配設することが望まれる。そのためグランドを連結する配線として、柔軟な絶縁層で被覆されたリード線は使用しづらい。
【0005】
そこで、被覆されていない単芯である線材を用いてグランドを連結することが望ましい。ところが、直線状の線材を用いて両グランドを連結すると、線材が膨張・収縮した場合にグランドとの連結部分に大きな応力が発生して連結部分が破損するおそれが生じる。また、特に線材が膨張した場合に線材が高圧発生部に向かって撓んでショート故障が生じるおそれもある。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、互いに離れたグランドを線材で連結する際に上述のような不具合の生じることのないイオン発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるイオン発生装置は、高電圧の交流電力を発生する高圧発生部と、この高圧発生部が出力する交流電力を放電電極に供給する2次側回路部とをケーシング内に配設した状態でケーシング内に樹脂を注入して封止したイオン発生装置において、少なくとも2個の2次側回路部を、高圧発生部を挟むようにケーシング内に固定して設け、各2次側回路部のグランドを連結する配線を被覆されていない線材によって行うと共に、この線材を、高圧発生部から離れる方向に山となるように折り曲げた状態で両端を各々2次側回路部に固定したことを特徴とする。
【0008】
上記構成では、線材が膨張・収縮しても折り曲げられた部分の角度が変化することにより、両端部分で生じる応力を緩和することができる。また、膨張した場合には、山側に脹らむように撓むため、高圧発生部から線材が遠ざかり、線材と高圧発生部とがショートすることがない。
【0009】
なお、上記線材の一端を一方の2次側回路部に固定し、その一端から直線状に他方の2次側回路部に延設され、他方の2次側回路部と重なった部分でほぼ直角に折り曲げた後、他端を他方の2次側回路部に固定することにより、線材をケーシング内にコンパクトに収納させることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、線材の両端部分で生じる応力を緩和することができるので、線材の両端での接合部分が破損するおそれがなくなる。また、線材が膨張して撓んでも、線材が高圧発生部に接触しないのでショート故障が生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、1は本発明によるイオン発生装置の一例である。このイオン発生装置1は外部からリード線11を介して供給される低電圧の電力を内部で高電圧の交流電力に変換し、放電電極に供給してイオンを発生させるものである。本実施の携帯では、マイナスイオン発生用に2対の放電電極を設け、同じくプラスイオン発生用に2対の放電電極を設けた。そして、マイナスイオン発生用の放電電極から発生したマイナスイオンは開口12から外部に放出され、プラスイオン発生用の放電電極から発生したプラスイオンは開口13から外部に放出される。
【0012】
図2および図3を参照して、上記リード線11から供給される低電圧の電力は高圧発生部2に入力され、昇圧トランス21によって所定の高電圧の交流電力に変換される。また、マイナスイオン発生用の2次側回路部3と高圧発生部2とはダイオード22を介して連結される。また、プラスイオン発生用の2次側回路部4と高圧発生部2とは同じくダイオード22を介して連結される。なお、両ダイオード22、22は極性が互いの逆方向になるように取り付けられる。
【0013】
両2次側回路部3、4には各グランド部31、41が設けられており、両グランド部31、41は被覆されていない線材5によって相互に連結される。この線材5は図示のごとくL字状に折り曲げられている。
【0014】
線材5の一端51はグランド部31に半田付けされ、他端52はグランド部41に半田付けされる。その際、折り曲げ部53の谷、すなわち内側が高圧発生部2側になり、山、すなわち外側が高圧発生部2に対して離れる方向に位置するようにした。
【0015】
上記のように各構成部品をケーシング内に収納した後、ケーシング内には図示しない樹脂を注入し、さらに熱して樹脂を硬化させる。また、イオン発生装置1の設置場所によってはイオン発生装置1が繰り返し加熱される場合がある。すると、加熱されるごとに線材5は膨張し、冷却に伴って収縮する。線材5が仮に折り曲げられておらず直線状であるとすると、膨張・収縮時に両グランド部31、41と両端部51、52との間に大きな応力が生じ、グランド部31、41が2次側回路部3、4から剥がれるなどの故障が生じるおそれがある。また、特に線材5が膨張すると撓むが、高圧発生部2側に撓めばショート故障が生じる。
【0016】
ところが、本実施の形態では線材5に折り曲げ部53を設けたので、線材5が膨張・収縮しても折り曲げ部53の角度が変化することによって両端51、52の接合部に生じる応力を緩和することができる。また、特に膨張した際には本実施の形態における線材5であっても撓むが、撓む方向が、高圧発生部2から遠ざかる方向であるので、線材5が高圧発生部2に対して接触することがない。
【0017】
なお、本実施の形態では線材5の形状を、両グランド部31、41に半田付けした状態で、一端51から高圧発生部2の側方をまっすぐに2次側回路部4に向かって延び、2次側回路部4と重なる位置に折り曲げ部53が位置するようにした。このように構成することにより、線材5の直線部分が高圧発生部2に沿うことになり、高圧発生部2と線材5との間隔を必要最小限に設定することができる。そのため、ケーシング内のレイアウトをコンパクトにすることができる。
【0018】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】ケーシング内のレイアウトを示す図
【図3】線材の取り付け状態を示す図
【符号の説明】
【0020】
1 イオン発生装置
2 高圧発生部
3 2次側回路部
4 2次側回路部
5 線材
21 昇圧トランス
22 ダイオード
31 グランド部
41 グランド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧の交流電力を発生する高圧発生部と、この高圧発生部が出力する交流電力を放電電極に供給する2次側回路部とをケーシング内に配設した状態でケーシング内に樹脂を注入して封止したイオン発生装置において、少なくとも2個の2次側回路部を、高圧発生部を挟むようにケーシング内に固定して設け、各2次側回路部のグランドを連結する配線を被覆されていない線材によって行うと共に、この線材を、高圧発生部から離れる方向に山となるように折り曲げた状態で両端を各々2次側回路部に固定したことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
上記線材の一端を一方の2次側回路部に固定し、その一端から直線状に他方の2次側回路部に延設され、他方の2次側回路部と重なった部分でほぼ直角に折り曲げた後、他端を他方の2次側回路部に固定したことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−123406(P2010−123406A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296325(P2008−296325)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)