説明

イオン移動度分光計

【課題】
【解決手段】イオントラップ(1)からイオン移動度分光計(2)中へのイオンの移送を最適化してイオンのフラグメンテーションを防ぐために、イオン移動度分光計(2)の上流に構成されたイオントラップ(1)の出口領域とイオン移動度分光計(2)の入口領域との間の電位差を時間と共に時間的に変化させるイオン移動度分光計(2)が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン移動度分光計、質量分析計、イオン移動度分光分析の方法、および質量分析の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析計の真空室内にて大気圧を下回る圧力で動作するイオン移動度分光計段を備える質量分析計が公知である。イオン移動度分光計段は、他のイオン・光学部品、および特に質量分析計の最終段を形成する質量分析部のガス負荷を最小限とするため、0.1〜10mbarの範囲のガス圧で動作し、差動排気型真空室内に配置される。イオンは、イオン移動度分光計段の上流に構成されたイオントラップ内に蓄積される。イオントラップは、比較的低圧に維持されるので、イオン移動度分光計段からのガスの著しい流出に逆らってイオントラップからイオン移動度分光計段中へとイオンを推進する必要がある。適切でない電場を使用してイオンをイオントラップからイオン移動度分光計段中へと推進すると脆弱なイオンのフラグメンテーションを引き起こす可能性があるため、イオン移動度分光計段からのガスの著しい流出は特に問題となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良された質量分析計を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によると、
イオントラップと、
複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータであって、イオントラップの下流に構成されたイオン移動度分光計またはセパレータと、
イオントラップの出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させるよう構成および適合されたデバイスと
を備える質量分析計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、公知の構成によるイオントラップおよびイオン移動度分光計を、イオントラップの電位、イオントラップの出口に構成されたイオンゲートの電位、およびイオン移動度分光計の長さに沿って維持される電位差を示す電位図と共に示す。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施形態によるイオントラップおよびイオン移動度分光計を、イオントラップの電位、イオントラップの出口に構成されたイオンゲートの電位、およびイオントラップの出口とイオン移動度分光計の入口との間の電位差を時間の関数として示す電位図と共に示す。
【図3】図3は、イオントラップの出口とイオン移動度分光計の入口との間に維持される注入電圧または電位差ΔVが、本発明の好ましい実施形態に従って時間の関数として増加するようにどのように構成されるかを示すとともに、注入電圧のタイミングが、イオントラップの出口に構成されたイオンゲートに印加される抽出パルスにどのように関係しているかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
この好ましい実施形態によると、イオンは、好ましくは、イオントラップから放出され、次いで、ドリフト領域に注入されるときと同様にして、イオントラップを出射すると、その質量電荷比に応じて時間的に分離を開始する。その結果、比較的小さいイオンは、イオントラップの出口とイオン移動度分光計またはセパレータの入口との間の領域にその他のイオンよりも先に到達する。この好ましい実施形態の重要な特徴は、イオントラップの出口とイオン移動度分光計への入口との間の領域全体にわたって維持される電位差が時間と共に一定のままではなく、むしろ、時間的にあるいは時間の関数として変化(例えば、増加)するということである。その結果、質量電荷比が比較的低いイオンは、比較的低い電位差を受け、そして、フラグメンテーションされることなく、ガスの流出に逆らってイオン移動度分光計中へと加速される。質量電荷比が比較的高いイオンは、イオントラップの出口とイオン移動度分光計またはセパレータの入口との間の領域に、もっと後の時点に到達する。イオントラップの出口とイオン移動度分光計またはセパレータの入口との間の電位差は、時間と共に変化(例えば、増加)するので、質量電荷比が比較的高いイオンは、イオントラップの出口とイオン移動度分光計またはセパレータの入口との間の電位差が増加した時点で、イオントラップの出口とイオン移動度分光計またはセパレータの入口との間の領域に到達する。その結果、質量電荷比が比較的高いイオンは、フラグメンテーションされることなく、ガスの流出に逆らってイオン移動度分光計またはセパレータ中へと前進させられるかあるいは加速される。
【0007】
イオントラップは、多重極ロッドセットまたはセグメント化多重極ロッドセットイオンガイドを含み、当該ロッドセットイオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるために好ましくは使用される1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせて用いられ得る。あるいは、イオントラップは、イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイド含み、当該イオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせて用いられ得る。別の実施形態によると、イオントラップは、イオンガイドを形成する積層または配列された平面状、板状、または網状の電極を含み、当該イオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせて用いられ得る。さらなる実施形態によると、イオントラップは、螺旋状イオンガイド含み、当該イオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせて用いられ得る。
【0008】
螺旋状イオンガイドは、国際公開第2008/104771号に開示されるようなイオンガイドを含んでいてもよく、同文献は参照により本明細書に援用される。
【0009】
イオントラップの一部を形成する1つ以上の電極またはイオンゲートには、好ましくは、使用時にイオントラップ内にイオンを軸方向に閉じ込めるために、DCおよび/またはRF電圧が印加される。上記好ましい実施形態によると、1つ以上の電極またはイオンゲートは、好ましくは、イオントラップの出口領域に配置されたイオンゲートを含む。
【0010】
上記電位または電圧差により、使用時に、イオンがイオントラップからイオン移動度分光計またはセパレータ中へと加速されるのが好ましい。したがって、上記電位または電位差は、イオンをイオントラップからイオン移動度分光計またはセパレータ中に注入するための注入電圧を好ましくは含む。
【0011】
上記デバイスは、イオントラップの出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を、第1の時間t1における第1の電位または電圧差ΔV(t1)から第2の後の時間t2における第2の電位または電圧差ΔV(t2)まで増加、減少または変化させるよう好ましくは構成および適合されている。一実施形態によると、ΔV(t1)は、(i)<5V、(ii)5〜10V、(iii)10〜15V、(iv)15〜20V、(v)20〜25V、(vi)25〜30V、(vii)30〜35V、(viii)35〜40V、(ix)40〜45V、(x)45〜50V、(xi)50〜55V、(xii)55〜60V、(xiii)60〜65V、(xiv)65〜70V、(xv)70〜75V、(xvi)75〜80V、(xvii)80〜85V、(xviii)85〜90V、(xix)90〜95V、(xx)95〜100V、および(xxi)>100Vからなる群から選ばれる。一実施形態によると、ΔV(t2)は、(i)<5V、(ii)5〜10V、(iii)10〜15V、(iv)15〜20V、(v)20〜25V、(vi)25〜30V、(vii)30〜35V、(viii)35〜40V、(ix)40〜45V、(x)45〜50V、(xi)50〜55V、(xii)55〜60V、(xiii)60〜65V、(xiv)65〜70V、(xv)70〜75V、(xvi)75〜80V、(xvii)80〜85V、(xviii)85〜90V、(xix)90〜95V、(xx)95〜100V、および(xxi)>100Vからなる群から選ばれる。
【0012】
一実施形態によると、電位差または注入電圧の変化、すなわち、ΔV(t2)−ΔV(t1)またはΔV(t1)−ΔV(t2)は、(i)<5V、(ii)5〜10V、(iii)10〜15V、(iv)15〜20V、(v)20〜25V、(vi)25〜30V、(vii)30〜35V、(viii)35〜40V、(ix)40〜45V、(x)45〜50V、(xi)50〜55V、(xii)55〜60V、(xiii)60〜65V、(xiv)65〜70V、(xv)70〜75V、(xvi)75〜80V、(xvii)80〜85V、(xviii)85〜90V、(xix)90〜95V、(xx)95〜100V、および(xxi)>100Vからなる群から好ましくは選ばれる。
【0013】
この好ましい実施形態によると、電位差または注入電圧が変化する期間、すなわち、Δt=t2−t1は、Δtが、(i)<1μs、(ii)1〜10μs、(iii)10〜20μs、(iv)20〜30μs、(v)30〜40μs、(vi)40〜50μs、(vii)50〜60μs、(viii)60〜70μs、(ix)70〜80μs、(x)80〜90μs、(xi)90〜100μs、(xii)100〜200μs、(xiii)200〜300μs、(xiv)300〜400μs、(xv)400〜500μs、(xvi)500〜600μs、(xvii)600〜700μs、(xviii)700〜800μs、(xix)800〜900μs、(xx)900〜1000μs、(xxi)1〜2ms、(xxii)2〜3ms、(xxiii)3〜4ms、(xxiv)4〜5ms、および(xxv)>5msからなる群から選ばれるようなものであることが好ましい。
【0014】
上記デバイスは、イオントラップの出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を、線形的に、非線形的に、二次式的に、指数関数的に、階段状に、曲線状にまたは漸進的に、時間的に増加、減少または変化させるよう好ましくは構成および適合されている。
【0015】
イオン移動度分光計またはセパレータは、気相電気泳動デバイスを好ましくは含む。イオン移動度分光計またはセパレータは、ドリフト管、多重極ロッドセットイオンガイドまたはセグメント化多重極ロッドセットイオンガイド、イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイド、イオンガイドを形成する積層もしくは配列された平面状、板状、もしくは網状の電極、または螺旋状イオンガイドを含み得る。螺旋状イオンガイドは、国際公開第2008/104771号に実質的に開示されるような螺旋状イオン移動度分光計を含んでいてもよく、同文献は引用により本明細書に援用される。
【0016】
一実施形態によると、ドリフト管は、1つ以上の電極と、ドリフト管の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って軸方向DC電圧勾配または実質的に一定もしくは線形の軸方向DC電圧勾配を維持するためのデバイスとを含み得る。
【0017】
一実施形態によると、多重極ロッドセットイオンガイドは、四重極ロッドセットイオンガイド、六重極ロッドセットイオンガイド、八重極ロッドセットイオンガイドまたは8個を超えるロッドを含むロッドセットイオンガイドを含み得る。
【0018】
一実施形態によると、イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイドは、使用時にイオンが移送される開口を有する複数の電極または少なくとも2個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個もしくは100個の電極含み、当該電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が、寸法または面積が実質的に同じ開口を有するかあるいは寸法または面積が漸進的に大きくなりかつ/または小さくなる開口を有してもよい。別の実施形態によると、イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイドは、少なくとも2個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個の第1の電極および少なくとも2個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個の第2の電極を含み得、第1の電極および第2の電極は、使用時にイオンが移送される開口を有し、第1の電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が、実質的に同じ第1の寸法または面積を有する開口を有し、第2の電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が、実質的に同じ第2の寸法または面積を有する開口を有し、第1の寸法または面積は、第2の寸法または面積と実質的に異なっていてもよい。
【0019】
一実施形態によると、上記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選ばれる内径または内寸を有する。
【0020】
積層または配列された平面状、板状または網状の電極は、複数または少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個もしくは20個の平面状、板状または網状の電極を好ましくは含み、平面状、板状または網状の電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが進行するかあるいは移送される平面内に概ね構成されているのが好ましい。
【0021】
一実施形態によると、平面状、板状または網状の電極の少なくともいくつかまたは少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%にACまたはRF電圧が供給され、隣り合う平面状、板状または網状の電極に当該ACまたはRF電圧の反対の位相が好ましくは供給される。
【0022】
螺旋状イオンガイドは、使用時にイオンが移送される1つ以上の螺旋状、トロイダル状、一部トロイダル状、片トロイダル状、半トロイダル状または渦巻き状の管を好ましくは含み、イオンは、当該イオンがイオンガイドに沿ってかつイオンガイドを通って進むとき、実質的に螺旋状、トロイダル状、一部トロイダル状、片トロイダル状、半トロイダル状または渦巻き状の軌道を進行するよう構成されているのが好ましい。上記1つ以上の管は、漏出性(leaky)誘電体から好ましくは形成されている。上記1つ以上の管は、抵抗ガラス、ケイ酸鉛添加ガラスまたはセラミックから形成されてもよい。
【0023】
一実施形態によると、螺旋状イオンガイドは、使用時にイオンが移送される1つ以上の開口をそれぞれが含む複数の電極を含み得、イオンガイドは、螺旋状、トロイダル状、一部トロイダル状、片トロイダル状、半トロイダル状または渦巻き状のイオンガイド領域を含んでもよい。
【0024】
イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計またはセパレータは、複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個または100個の軸方向セグメントを好ましくは含む。
【0025】
一実施形態によると、質量分析計は、
(i)イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って少なくともいくつかのイオンを前進させるために、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って実質的に一定のDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段、ならびに/あるいは
(ii)イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100% に沿って少なくともいくつかのイオンを前進させるために、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータを形成する電極に1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位波形を印加するよう構成および適合された過渡DC電圧手段、ならびに/あるいは
(iii)イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って少なくともいくつかのイオンを前進させるために、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータを形成する電極に2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を印加するよう構成および適合されたACまたはRF電圧手段をさらに備え得る。
【0026】
イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計またはセパレータは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選ばれる軸方向長さを好ましくは有する。
【0027】
イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータは、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータ内にイオンを半径方向に閉じ込めるために、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータを形成する電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%にACまたはRF電圧を印加するよう構成および適合されたACまたはRF電圧手段を好ましくはさらに備える。
【0028】
ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピークピーク、(ii)50〜100Vピークピーク、(iii)100〜150Vピークピーク、(iv)150〜200Vピークピーク、(v)200〜250Vピークピーク、(vi)250〜300Vピークピーク、(vii)300〜350Vピークピーク、(viii)350〜400Vピークピーク、(ix)400〜450Vピークピーク、(x)450〜500Vピークピーク、および(xi)>500Vピークピークからなる群から選ばれる振幅を有するACまたはRF電圧をイオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの電極に供給するよう好ましくは構成および適合されている。ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選ばれる周波数を有するACまたはRF電圧をイオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの電極に供給するよう好ましくは構成および適合されている。
【0029】
1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、または>1000の範囲の質量電荷比を有する一価イオンが、(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、および(xlv)>100msの範囲のイオン移動度分光計またはセパレータを通るドリフトまたは通過時間を好ましくは有する。
【0030】
一実施形態によると、質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの少なくとも一部を(i)>0.001mbar、(ii)>0.01mbar、(iii)>0.1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)<0.001mbar、(viii)<0.01mbar、(ix)<0.1mbar、(x)<1mbar、(xi)<10mbar、(xii)<100mbar、(xiii)0.001〜0.01mbar、(xiv)0.01〜0.1mbar、(xiv)0.1〜1mbar、(xv)1〜10mbar、および(xvi)10〜100mbarからなる群から選ばれる圧力に維持するよう構成および適合されたデバイスをさらに備える。イオントラップは、0.001mbarを超える圧力に維持され得る。
【0031】
一実施形態によると、イオン移動度分光計は、イオンをそのイオン移動度に応じて時間的に分離させるよう好ましくは構成されている。一実施形態によると、イオン移動度分光計は、イオン移動度分光計が、イオンを電場強度に伴うそのイオン移動度の変化率に応じて時間的に分離させるよう構成および適合されたフィールド非対称イオン移動度分光計(「FAIMS」)を含み得る。一実施形態によると、緩衝、反応またはフラグメンテーションガスがイオン移動度分光計内に準備され得る。
【0032】
イオン移動度分光計を通過するイオンの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の滞在、通過または反応時間は、(i)<1ms、(ii)1〜5ms、(iii)5〜10ms、(iv)10〜15ms、(v)15〜20ms、(vi)20〜25ms、(vii)25〜30ms、(viii)30〜35ms、(ix)35〜40ms、(x)40〜45ms、(xi)45〜50ms、(xii)50〜55ms、(xiii)55〜60ms、(xiv)60〜65ms、(xv)65〜70ms、(xvi)70〜75ms、(xvii)75〜80ms、(xviii)80〜85ms、(xix)85〜90ms、(xx)90〜95ms、(xxi)95〜100ms、(xxii)100〜105ms、(xxiii)105〜110ms、(xxiv)110〜115ms、(xxv)115〜120ms、(xxvi)120〜125ms、(xxvii)125〜130ms、(xxviii)130〜135ms、(xxix)135〜140ms、(xxx)140〜145ms、(xxxi)145〜150ms、(xxxii)150〜155ms、(xxxiii)155〜160ms、(xxxiv)160〜165ms、(xxxv)165〜170ms、(xxxvi)170〜175ms、(xxxvii)175〜180ms、(xxxviii)180〜185ms、(xxxix)185〜190ms、(xl)190〜195ms、(xli)195〜200ms、および(xlii)>200msからなる群から好ましくは選ばれる。
【0033】
イオン移動度分光計は、(i)<1ms、(ii)1〜10ms、(iii)10〜20ms、(iv)20〜30ms、(v)30〜40ms、(vi)40〜50ms、(vii)50〜60ms、(viii)60〜70ms、(ix)70〜80ms、(x)80〜90ms、(xi)90〜100ms、(xii)100〜200ms、(xiii)200〜300ms、(xiv)300〜400ms、(xv)400〜500ms、(xvi)500〜600ms、(xvii)600〜700ms、(xviii)700〜800ms、(xix)800〜900ms、(xx)900〜1000ms、(xxi)1〜2s、(xxii)2〜3s、(xxiii)3〜4s、(xxiv)4〜5s、および(xxv)>5sからなる群から選ばれるサイクル時間を好ましくは有する。
【0034】
一実施形態によると、質量分析計は、構成されたイオン源をさらに備え、このイオン源とは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、(xviii)サーモスプレーイオン源、(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(「ASGDI」)イオン源、および(xx)グロー放電(「GD」)イオン源からなる群から好ましくは選ばれるイオン源である。
【0035】
質量分析計は、1つ以上の連続またはパルス化イオン源を好ましくはさらに備える。
一実施形態によると、質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のイオンガイドを備え得る。
【0036】
質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のイオン移動度分離デバイスおよび/または1つ以上のフィールド非対称イオン移動度分光計デバイスをさらに備え得る。
【0037】
質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のイオントラップまたは1つ以上のイオントラップ領域をさらに備え得る。
【0038】
質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上の衝突、フラグメンテーションまたは反応セルを好ましくはさらに備え、この1つ以上の衝突、フラグメンテーションまたは反応セルは、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス、(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス、(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vii)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(viii)赤外放射誘起解離デバイス、(ix)紫外放射誘起解離デバイス、(x)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(xi)インソースフラグメンテーションデバイス、(xii)インソース衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xiii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiv)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定分子反応デバイス、(xxviii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定原子反応デバイス、および(xxix)電子イオン化解離(「EID」)フラグメンテーションデバイスからなる群から選ばれるのが好ましい。
【0039】
質量分析計は、(i)四重極質量分析部、(ii)二次元または線形四重極質量分析部、(iii)ポールまたは三次元四重極質量分析部、(iv)ペニングトラップ質量分析部、(v)イオントラップ質量分析部、(vi)磁場型質量分析部、(vii)飛行時間質量分析部、(viii)直交加速式飛行時間質量分析部、および(ix)直線加速式飛行時間質量分析部からなる群から選ばれる質量分析部を好ましくはさらに備える。
【0040】
質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のエネルギー分析器または静電エネルギー分析器を好ましくはさらに備える。
【0041】
一実施形態によると、質量分析計は、1つ以上のイオン検出器をさらに備え得る。
質量分析計は、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上の質量フィルタを備え得、1つ以上の質量フィルタは、(i)四重極質量フィルタ、(ii)二次元または線形四重極イオントラップ、(iii)ポールまたは三次元四重極イオントラップ、(iv)ペニングイオントラップ、(v)イオントラップ、(vi)磁場型質量フィルタ、(vii)飛行時間質量フィルタ、および(viii)ウィーンフィルタからなる群から選ばれてもよい。
【0042】
質量分析計は、実質的に連続したイオンビームをパルス化イオンビームに変換するためのデバイスを備え得、このデバイスは、イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成されてもよい。
【0043】
一実施形態によると、質量分析計は、Cトラップと、質量分析部とをさらに備え得、第1の動作モードにおいて、イオンがCトラップに移送され、次いで質量分析部に注入され、第2の動作モードでは、イオンはCトラップに移送され、次いで衝突、フラグメンテーションもしくは反応セルまたは電子移動解離および/もしくはプロトン移動反応デバイスに移送され、少なくともいくつかのイオンがフラグメントイオンにフラグメンテーションされ、かつ/または反応して生成イオンを形成し、このフラグメントイオンおよび/または生成イオンは、次いで、Cトラップに移送されてから質量分析部に注入されてもよい。
【0044】
本発明の別の態様によると、質量分析計の制御システムによって実行可能なコンピュータプログラムが提供され、質量分析計は、イオントラップと、複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータとを備え、イオン移動度分光計またはセパレータは、イオントラップの下流に構成され、コンピュータプログラムは、制御システムに、
(i)イオントラップの出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させるように構成されている。
【0045】
本発明の別の態様によると、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されたコンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供され、当該命令は、質量分析計の制御システムによって実行可能に構成され、質量分析計は、イオントラップと、複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータとを備え、イオン移動度分光計またはセパレータは、イオントラップの下流に構成され、当該命令は、制御システムに、
(i)イオントラップの出口領域と、イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させるように構成されている。
【0046】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、および(vi)光ディスクからなる群から好ましくは選ばれる。
【0047】
本発明の別の態様によると、
イオントラップを準備する工程と、
複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータであって、イオントラップの下流に構成されたイオン移動度分光計またはセパレータを準備する工程と、
イオントラップの出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させる工程と
を含む質量分析の方法が提供される。
【0048】
以下に、添付の図面を参照しながら、本発明の種々の実施形態を、単に例示を目的として示す構成と共に、あくまでも例として説明する。図中、
図1は、公知の構成によるイオントラップおよびイオン移動度分光計を、イオントラップの電位、イオントラップの出口に構成されたイオンゲートの電位、およびイオン移動度分光計の長さに沿って維持される電位差を示す電位図と共に示し、
図2は、本発明の好ましい実施形態によるイオントラップおよびイオン移動度分光計を、イオントラップの電位、イオントラップの出口に構成されたイオンゲートの電位、およびイオントラップの出口とイオン移動度分光計の入口との間の電位差を時間の関数として示す電位図と共に示し、
図3は、イオントラップの出口とイオン移動度分光計の入口との間に維持される注入電圧または電位差ΔVが、本発明の好ましい実施形態に従って時間の関数として増加するようにどのように構成されるかを示すとともに、注入電圧のタイミングが、イオントラップの出口に構成されたイオンゲートに印加される抽出パルスにどのように関係しているかを示す。
【0049】
以下に、図1を参照して従来の質量分析計について説明する。図1は、イオントラップ1がイオン移動度分光計2の上流に構成された従来の構成を示す。イオントラップ1は、四重極ロッドセット1と、イオントラップ1の出口電極を形成するように四重極ロッドセット1の下流に構成されたイオンゲート5とを備える。イオンがイオントラップ1内に軸方向に閉じ込められるようにイオンゲート5すなわち出口電極にトラップ電圧Vtrapを印加することにより、イオンはイオントラップ1内に蓄積される。
【0050】
一動作モードにおいて、イオンゲート5すなわち出口電極の電位を電位Vtrapから電位Vextractに下げることにより、イオンはイオントラップ1からイオン移動度分光計2に移送される。イオンゲート5すなわち出口電極の電位を電位Vtrapから電位Vextractに下げると、イオントラップ1とイオンゲート5との間の電位差およびイオンゲート5とイオン移動度分光計またはセパレータ2の入口領域との間の電位差により、イオンは、軸方向に加速されてイオントラップ1を出てイオン移動度分光計2に向けて前進させられる。以下、イオンゲート5とイオン移動度分光計またはセパレータ2の入口領域との間の電位差をΔVと呼ぶ。
【0051】
イオントラップ1から出射し、イオン移動度分光計2中へと加速されるイオンは、次いで、イオン移動度分光計2を通過するにつれてそのイオン移動度に応じて時間的に分離される。イオンがイオン移動度分光計2を通過するにつれて時間的に分離された後、イオンは、次いで、イオン移動度分光計2を出射し、イオン移動度分光計2の下流に構成された移送イオンガイド3へと前方へ移送される。次いで、イオンは、質量分析計の後段へと前方へ移送される。
【0052】
イオントラップ1からイオン移動度分光計2へ加速されるイオンは、当該イオンがイオン移動度分光計2に入射するためには、加圧されたイオン移動度分光計セル2から漏出するガス4による流体力に打ち勝たなければならない。この従来の構成によると、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の上流端との間に注入電圧または電位差ΔVが維持される。軸方向電圧または電位勾配もまた、イオン移動度分光計2に入射したイオンをイオン移動度分光計2の長さに沿ってまたはその全長にわたって前進させるために、イオン移動度分光計2の長さに沿って維持される。イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の上流端との間の注入電圧または電位差ΔVは、時間と共に一定のままである。
【0053】
比較的大きいイオンは、比較的低い移動度を有する傾向があり、したがって、当該イオンをイオントラップ1からイオン移動度分光計2中に移送させるために必要となる推進力または力は比較的大きい。これに対し、比較的小さいイオンは、比較的高い移動度を有する傾向があり、したがって、当該イオンをイオントラップ1からイオン移動度分光計2中に移送させるために必要となる推進力または力は比較的小さい。
【0054】
ある状況において、イオントラップ1内に蓄積されており、イオン移動度分光計2に同時に移送されることが所望されるイオンは、比較的広い質量、質量電荷比またはイオン移動度範囲を有し得る。その結果、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の上流端との間の注入電圧または電位差ΔVは、比較的大きいイオン種がイオントラップ1からイオン移動度分光計2中に注入される程度に比較的高く設定されなければならない。しかし、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の上流端との間の注入電圧または電位差ΔVが比較的高く設定された場合、これにより、比較的小さく比較的不安定なイオンがイオントラップ1からイオン移動度分光計2中に注入または移送される過程でフラグメンテーションされ得る。イオントラップ1からイオン移動度分光計2中に注入または移送されるときに比較的不安定なイオンがフラグメンテーションされることは、特に問題であり、不利となる。
【0055】
本発明の上記好ましい実施形態によると、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータ2の上流端との間の注入電圧または電位差ΔVは、時間と共に変化(例えば、増加)するように構成される。この好ましい実施形態によると、注入電圧または電位差ΔVは、イオンゲート5に印加される電圧が電位Vtrapから電位Vextractに変化した瞬間、すなわち、イオンがイオントラップ1からイオン移動度分光計またはセパレータ2に向けて加速することができるような低さにイオンゲート電圧が設定された瞬間に、時間の関数として変化または増加し始めるように好ましくは構成される。しかし、イオンゲート5の電位が電位Vtrapから電位Vextractに低下してからイオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の上流端との間の注入電圧または電位差ΔVが時間と共に変化(例えば、増加)し始めるまでに最初の遅延がある、好ましさが劣る実施形態が考えられる。イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計またはセパレータ2の上流端との間の注入電圧または電位差ΔVが、イオンゲート5の電位が電位Vtrapから電位Vextractに低下する前の時点を起点として時間と共に変化(例えば、増加)し始めるように構成され得る別の好ましさが劣る実施形態もまた考えられる。
【0056】
図2に示すように、本発明の上記好ましい実施形態によると、イオンは、注入プロセスの開始時、イオンゲート5とイオン移動度分光計またはセパレータ2の入口領域との間に維持される電位差ΔV(t1)による加速力を好ましくは最初に受け、この加速力は、比較的小さいイオン(イオントラップ1から出射するイオン移動度が比較的高いイオン)を当該イオンのいずれもがフラグメンテーションを起こすことなくイオン移動度分光計またはセパレータセル2に向けてかつその中へ推進、前進または加速するのに十分であることが好ましい。注入電圧または電位差が電位ΔV(t1)に固定されたままであれば、イオン移動度が比較的低い比較的大きいイオンがその後にイオントラップ1から出射するとき、これらのイオンは、イオン移動度分光計またはセパレータセル2からのガス4の流出に逆らってイオン移動度分光計またはセパレータセル2中へと加速されることができなくなる。その結果、比較的大きく、イオン移動度が比較的低いイオンは、系から失われることになる。
【0057】
本発明の特に有利な態様は、注入電圧または電位差ΔVを一定期間にわたって徐々に増加させることにより、広い範囲の質量、質量電荷比またはイオン移動度を有するイオンを、当該イオンがフラグメンテーションを起こすことなく、イオントラップ1からイオン移動度分光計またはセパレータセル2中に移送または注入することができるということである。この好ましい実施形態によると、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の入口領域との間の注入電圧または電位差ΔVが比較的高く設定される時までには、イオン移動度が比較的高い、比較的不安定な全てのイオンは、既にイオントラップ1から出射し、既にイオントラップ1からイオン移動度分光計またはセパレータセル2中に注入または移送されている。その結果、比較的不安定なイオンは、比較的高い注入電圧または電位差ΔVに当てられるかあるいはさらされることがなく、したがって、比較的不安定なイオンがイオントラップ1からイオン移動度分光計またはセパレータ2中に移送されるときにフラグメンテーションを起こすという問題は、本発明によれば実質的に回避される。
【0058】
図3は、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の入口領域との間の注入電圧または電位差ΔVが時間の関数として増加していることが分かる本発明の一実施形態による電位プロファイルを示す。この好ましい実施形態によると、イオンゲート5上の電圧は、時間t1において、電位Vtrap(イオンをイオントラップ1内にトラップするように好ましくは作用する)から電位Vextract(イオンをイオントラップから抽出するように好ましくは作用する)に好ましくは低下する。イオンゲート5の電位は、好ましくは、イオンゲート5の電位が好ましくは電位Vtrapに再び上げられる後の時間t2まで電位Vextractのままとなるように設定される。したがって、イオンは、好ましくは、時間t1から後の時間t2までの期間中イオントラップを出射するように加速される。時間t1から時間t2までの同じ期間にわたって、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の入口領域との間の注入電圧または電位差ΔVは、好ましくは、時間t1における値ΔV(t1)から後の時間t2における値ΔV(t2)に増加するように構成される。一実施形態によると、ΔV(t1)は、5Vの値に設定してもよく、ΔV(t2)は、30Vまたは40Vの値に設定してもよい。好ましくはイオンがイオントラップ1から抽出され、次いでイオン移動度分光計またはセパレータ2中に注入される期間であるt2−t1は、10〜500μsの範囲となるように好ましくは構成される。イオンゲート5の電位が時間t1において電位Vtrapから電位Vextractに低下した時点から、イオンゲート5の電位が次に電位Vtrapから電位Vextractに低下する後の時点までの期間として定義され得るサイクル時間は、好ましくは、約10msである。
【0059】
上記好ましい実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータセル2は、好ましくは、上流の蓄積用イオントラップ1および/またはゲート用デバイスすなわちイオンゲート5に対して正の圧力に維持される。イオンは、イオンゲート5すなわちイオントラップ1の出口領域とイオン移動度分光計2の入口領域との間の注入電圧または電位差ΔVを時間的に変化させることによって、イオントラップ1からイオン移動度分光計またはセパレータセル2中に好ましくは注入される。その結果、比較的移動度が高く、比較的不安定で比較的軽いイオンは、イオン移動度分光計またはセパレータセル2に入射するよう好ましくは配置され、また、イオントラップ1からイオン移動度分光計またはセパレータセル2へのドリフト時間が比較的小さいために、比較的低い注入電位、注入電圧または電位差ΔVを受けるのが好ましい。対照的に、比較的移動度が低く比較的大きい、より安定なイオンは、イオントラップ1の出口からイオン移動度分光計またはセパレータセル2中へのドリフト時間が比較的長いために、比較的高い注入電位、注入電圧または電位差ΔVを受ける。いったんイオンがイオン移動度分光計またはセパレータセル2に入射すると、比較的軽いイオンは、注入電圧の増加をその後経験することはない。その結果、比較的移動度が高く比較的不安定である、比較的軽いイオンは、当該イオンがフラグメンテーションを起こすリスクをその後実質的に有することなくイオン移動度分光計またはセパレータ2中に注入される。このように、本発明の上記好ましい実施形態によると、イオン移動度分光計による1回の分離において、より大きいイオン質量範囲が分析され得る。
【0060】
イオン移動度分光計またはセパレータデバイス2がドリフトセル、RF閉じ込めを用いたドリフトセル、進行波イオン移動度イオン移動度分光計または螺旋状イオンガイドを備え得る本発明の実施形態も考えられる。
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において種々の変更が可能であることが当業者には明らかである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオントラップと、
複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータであって、前記イオントラップの下流に構成されたイオン移動度分光計またはセパレータと、
前記イオントラップの出口領域と前記イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させるよう構成および適合されたデバイスと
を備える質量分析計。
【請求項2】
前記イオントラップが、
(i)多重極ロッドセットまたはセグメント化多重極ロッドセットイオンガイドであって、前記ロッドセットイオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせた多重極ロッドセットまたはセグメント化多重極ロッドセットイオンガイド、
(ii)イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイドであって、前記イオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせたイオントンネルまたはイオンファネルイオンガイド、
(iii)イオンガイドを形成する積層または配列された平面状、板状、または網状の電極であって、前記イオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせた積層または配列された平面状、板状、または網状の電極、および
(iv)螺旋状イオンガイドであって、前記イオンガイド内にイオンを軸方向に閉じ込めるための1つ以上の電極またはイオンゲートと組み合わせた螺旋状イオンガイドからなる群から選ばれる、請求項1に記載の質量分析計。
【請求項3】
使用時に、前記電位または電圧差により、イオンが前記イオントラップから前記イオン移動度分光計またはセパレータ中へと加速される、請求項1または2に記載の質量分析計。
【請求項4】
前記デバイスが、前記イオントラップの出口領域と前記イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の前記電位または電圧差を、第1の時間t1における第1の電位または電圧差ΔV(t1)から第2の後の時間t2における第2の電位または電圧差ΔV(t2)まで増加、減少または変化させるよう構成および適合され、
(a)ΔV(t1)が、(i)<5V、(ii)5〜10V、(iii)10〜15V、(iv)15〜20V、(v)20〜25V、(vi)25〜30V、(vii)30〜35V、(viii)35〜40V、(ix)40〜45V、(x)45〜50V、(xi)50〜55V、(xii)55〜60V、(xiii)60〜65V、(xiv)65〜70V、(xv)70〜75V、(xvi)75〜80V、(xvii)80〜85V、(xviii)85〜90V、(xix)90〜95V、(xx)95〜100V、および(xxi)>100Vからなる群から選ばれ、かつ/あるいは
(b)ΔV(t2)が、(i)<5V、(ii)5〜10V、(iii)10〜15V、(iv)15〜20V、(v)20〜25V、(vi)25〜30V、(vii)30〜35V、(viii)35〜40V、(ix)40〜45V、(x)45〜50V、(xi)50〜55V、(xii)55〜60V、(xiii)60〜65V、(xiv)65〜70V、(xv)70〜75V、(xvi)75〜80V、(xvii)80〜85V、(xviii)85〜90V、(xix)90〜95V、(xx)95〜100V、および(xxi)>100Vからなる群から選ばれる、請求項1、2または3に記載の質量分析計。
【請求項5】
(a)ΔV(t2)−ΔV(t1)またはΔV(t1)−ΔV(t2)が、(i)<5V、(ii)5〜10V、(iii)10〜15V、(iv)15〜20V、(v)20〜25V、(vi)25〜30V、(vii)30〜35V、(viii)35〜40V、(ix)40〜45V、(x)45〜50V、(xi)50〜55V、(xii)55〜60V、(xiii)60〜65V、(xiv)65〜70V、(xv)70〜75V、(xvi)75〜80V、(xvii)80〜85V、(xviii)85〜90V、(xix)90〜95V、(xx)95〜100V、および(xxi)>100Vからなる群から選ばれ、かつ/または
(b)Δt=t2−t1であり、Δtが、(i)<1μs、(ii)1〜10μs、(iii)10〜20μs、(iv)20〜30μs、(v)30〜40μs、(vi)40〜50μs、(vii)50〜60μs、(viii)60〜70μs、(ix)70〜80μs、(x)80〜90μs、(xi)90〜100μs、(xii)100〜200μs、(xiii)200〜300μs、(xiv)300〜400μs、(xv)400〜500μs、(xvi)500〜600μs、(xvii)600〜700μs、(xviii)700〜800μs、(xix)800〜900μs、(xx)900〜1000μs、(xxi)1〜2ms、(xxii)2〜3ms、(xxiii)3〜4ms、(xxiv)4〜5ms、および(xxv)>5msからなる群から選ばれる、請求項4に記載の質量分析計。
【請求項6】
前記デバイスが、前記イオントラップの出口領域と前記イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の前記電位または電圧差を、線形的に、非線形的に、二次式的に、指数関数的に、階段状に、曲線状にまたは漸進的に、時間的に増加、減少または変化させるよう構成および適合されている、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項7】
前記イオン移動度分光計またはセパレータが気相電気泳動デバイスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項8】
前記イオン移動度分光計またはセパレータが、
(i)ドリフト管、
(ii)多重極ロッドセットイオンガイドまたはセグメント化多重極ロッドセットイオンガイド、
(iii)イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイド、
(iv)イオンガイドを形成する積層もしくは配列された平面状、板状、もしくは網状の電極、および
(v)螺旋状イオンガイドからなる群から選ばれる、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項9】
前記ドリフト管が、1つ以上の電極と、前記ドリフト管の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って軸方向DC電圧勾配または実質的に一定もしくは線形の軸方向DC電圧勾配を維持するためのデバイスとを含む、請求項8に記載の質量分析計。
【請求項10】
前記多重極ロッドセットイオンガイドが、四重極ロッドセットイオンガイド、六重極ロッドセットイオンガイド、八重極ロッドセットイオンガイドまたは8個を超えるロッドを含むロッドセットイオンガイドを含む、請求項2または8に記載の質量分析計。
【請求項11】
前記イオントンネルまたはイオンファネルイオンガイドが、
(i)使用時にイオンが移送される開口を有する複数の電極または少なくとも2個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個もしくは100個の電極であって、前記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が寸法または面積が実質的に同じ開口を有するかあるいは寸法または面積が漸進的に大きくなりかつ/または小さくなる開口を有する電極、あるいは
(ii)使用時にイオンが移送される開口を有する、少なくとも2個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個の第1の電極および少なくとも2個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個の第2の電極であって、前記第1の電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が実質的に同じ第1の寸法または面積を有する開口を有し、前記第2の電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が実質的に同じ第2の寸法または面積を有する開口を有し、前記第1の寸法または面積が、前記第2の寸法または面積と実質的に異なる第1の電極および第2の電極を含む、請求項2または8に記載の質量分析計。
【請求項12】
前記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選ばれる内径または内寸を有する、請求項11に記載の質量分析計。
【請求項13】
前記積層または配列された平面状、板状または網状の電極は、複数または少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個もしくは20個の平面状、板状または網状の電極を含み、前記平面状、板状または網状の電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%が、使用時にイオンが進行するかあるいは移送される平面内に概ね構成されている、請求項2または8に記載の質量分析計。
【請求項14】
前記平面状、板状または網状の電極の少なくともいくつかまたは少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%にACまたはRF電圧が供給され、隣り合う平面状、板状または網状の電極に前記ACまたはRF電圧の反対の位相が供給される、請求項13に記載の質量分析計。
【請求項15】
前記螺旋状イオンガイドが、使用時にイオンが移送される1つ以上の螺旋状、トロイダル状、一部トロイダル状、片トロイダル状、半トロイダル状または渦巻き状の管を含み、イオンが、当該イオンが前記イオンガイドに沿ってかつ前記イオンガイドを通って進むとき、実質的に螺旋状、トロイダル状、一部トロイダル状、片トロイダル状、半トロイダル状または渦巻き状の軌道を進行するよう構成されている、請求項2または8に記載の質量分析計。
【請求項16】
前記1つ以上の管が、
(i)漏出性(leaky)誘電体から形成され、かつ/あるいは
(ii)抵抗ガラス、ケイ酸鉛添加ガラスまたはセラミックから形成されている、請求項15に記載の質量分析計
【請求項17】
前記螺旋状イオンガイドが、使用時にイオンが移送される1つ以上の開口をそれぞれが含む複数の電極を含み、前記イオンガイドが、螺旋状、トロイダル状、一部トロイダル状、片トロイダル状、半トロイダル状または渦巻き状のイオンガイド領域を含む、請求項2または8に記載の質量分析計。
【請求項18】
前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータが、複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個または100個の軸方向セグメントを含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項19】
(i)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って少なくともいくつかのイオンを前進させるために、前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って実質的に一定のDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段、ならびに/あるいは
(ii)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100% に沿って少なくともいくつかのイオンを前進させるために、前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータを形成する電極に1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位波形を印加するよう構成および適合された過渡DC電圧手段、ならびに/あるいは
(iii)前記イオントラップおよび/またはイオン移動度分光計もしくはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って少なくともいくつかのイオンを前進させるために、前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータを形成する電極に2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を印加するよう構成および適合されたACまたはRF電圧手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項20】
前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータが、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選ばれる軸方向長さを有する、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項21】
前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータが、前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータ内にイオンを半径方向に閉じ込めるために、前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータを形成する電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%にACまたはRF電圧を印加するよう構成および適合されたACまたはRF電圧手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項22】
前記ACまたはRF電圧手段が、
(a)(i)<50Vピークピーク、(ii)50〜100Vピークピーク、(iii)100〜150Vピークピーク、(iv)150〜200Vピークピーク、(v)200〜250Vピークピーク、(vi)250〜300Vピークピーク、(vii)300〜350Vピークピーク、(viii)350〜400Vピークピーク、(ix)400〜450Vピークピーク、(x)450〜500Vピークピーク、および(xi)>500Vピークピークからなる群から選ばれる振幅を有するACまたはRF電圧を前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの電極に供給し、かつ/あるいは
(b)(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選ばれる周波数を有するACまたはRF電圧を前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの電極に供給するよう構成および適合された、請求項21に記載の質量分析計。
【請求項23】
1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、または>1000の範囲の質量電荷比を有する一価イオンが、(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、および(xlv)>100msの範囲の前記イオン移動度分光計またはセパレータを通るドリフトまたは通過時間を有する、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項24】
前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの少なくとも一部を(i)>0.001mbar、(ii)>0.01mbar、(iii)>0.1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)<0.001mbar、(viii)<0.01mbar、(ix)<0.1mbar、(x)<1mbar、(xi)<10mbar、(xii)<100mbar、(xiii)0.001〜0.01mbar、(xiv)0.01〜0.1mbar、(xiv)0.1〜1mbar、(xv)1〜10mbar、および(xvi)10〜100mbarからなる群から選ばれる圧力に維持するよう構成および適合されたデバイスをさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項25】
(a)前記イオン移動度分光計が、イオンをそのイオン移動度に応じて時間的に分離させるよう構成され、かつ/あるいは
(b)前記イオン移動度分光計が、イオンを電場強度に伴うそのイオン移動度の変化率に応じて時間的に分離させるよう構成および適合されたフィールド非対称イオン移動度分光計(「FAIMS」)を含み、かつ/あるいは
(c)使用時に、緩衝、反応またはフラグメンテーションガスが前記イオン移動度分光計内に備えられる、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項26】
(a)前記イオン移動度分光計を通過するイオンの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の滞在、通過または反応時間が、(i)<1ms、(ii)1〜5ms、(iii)5〜10ms、(iv)10〜15ms、(v)15〜20ms、(vi)20〜25ms、(vii)25〜30ms、(viii)30〜35ms、(ix)35〜40ms、(x)40〜45ms、(xi)45〜50ms、(xii)50〜55ms、(xiii)55〜60ms、(xiv)60〜65ms、(xv)65〜70ms、(xvi)70〜75ms、(xvii)75〜80ms、(xviii)80〜85ms、(xix)85〜90ms、(xx)90〜95ms、(xxi)95〜100ms、(xxii)100〜105ms、(xxiii)105〜110ms、(xxiv)110〜115ms、(xxv)115〜120ms、(xxvi)120〜125ms、(xxvii)125〜130ms、(xxviii)130〜135ms、(xxix)135〜140ms、(xxx)140〜145ms、(xxxi)145〜150ms、(xxxii)150〜155ms、(xxxiii)155〜160ms、(xxxiv)160〜165ms、(xxxv)165〜170ms、(xxxvi)170〜175ms、(xxxvii)175〜180ms、(xxxviii)180〜185ms、(xxxix)185〜190ms、(xl)190〜195ms、(xli)195〜200ms、および(xlii)>200msからなる群から選ばれ、かつ/あるいは
(b)前記イオン移動度分光計が、(i)<1ms、(ii)1〜10ms、(iii)10〜20ms、(iv)20〜30ms、(v)30〜40ms、(vi)40〜50ms、(vii)50〜60ms、(viii)60〜70ms、(ix)70〜80ms、(x)80〜90ms、(xi)90〜100ms、(xii)100〜200ms、(xiii)200〜300ms、(xiv)300〜400ms、(xv)400〜500ms、(xvi)500〜600ms、(xvii)600〜700ms、(xviii)700〜800ms、(xix)800〜900ms、(xx)900〜1000ms、(xxi)1〜2s、(xxii)2〜3s、(xxiii)3〜4s、(xxiv)4〜5s、および(xxv)>5sからなる群から選ばれるサイクル時間を有する、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項27】
(a)構成されたイオン源であって、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、(xviii)サーモスプレーイオン源、(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(「ASGDI」)イオン源、および(xx)グロー放電(「GD」)イオン源からなる群から選ばれるイオン源、ならびに/あるいは
(b)1つ以上の連続またはパルス化イオン源、ならびに/あるいは
(c)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のイオンガイド、ならびに/あるいは
(d)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のイオン移動度分離デバイスおよび/または1つ以上のフィールド非対称イオン移動度分光計デバイス、ならびに/あるいは
(e)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のイオントラップまたは1つ以上のイオントラップ領域、ならびに/あるいは
(f)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上の衝突、フラグメンテーションまたは反応セルであって、前記1つ以上の衝突、フラグメンテーションまたは反応セルが、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス、(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス、(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vii)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(viii)赤外放射誘起解離デバイス、(ix)紫外放射誘起解離デバイス、(x)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(xi)インソースフラグメンテーションデバイス、(xii)インソース衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xiii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiv)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定分子反応デバイス、(xxviii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定原子反応デバイス、および(xxix)電子イオン化解離(「EID」)フラグメンテーションデバイスからなる群から選ばれる衝突、フラグメンテーションまたは反応セル、ならびに/あるいは
(g)(i)四重極質量分析部、(ii)二次元または線形四重極質量分析部、(iii)ポールまたは三次元四重極質量分析部、(iv)ペニングトラップ質量分析部、(v)イオントラップ質量分析部、(vi)磁場型質量分析部、(vii)飛行時間質量分析部、(viii)直交加速式飛行時間質量分析部、および(ix)直線加速式飛行時間質量分析部からなる群から選ばれる質量分析部、ならびに/あるいは
(h)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上のエネルギー分析器または静電エネルギー分析器、ならびに/あるいは
(i)1つ以上のイオン検出器、ならびに/あるいは
(j)前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成された1つ以上の質量フィルタであって、前記1つ以上の質量フィルタは、(i)四重極質量フィルタ、(ii)二次元または線形四重極イオントラップ、(iii)ポールまたは三次元四重極イオントラップ、(iv)ペニングイオントラップ、(v)イオントラップ、(vi)磁場型質量フィルタ、(vii)飛行時間質量フィルタ、および(viii)ウィーンフィルタからなる群から選ばれる質量フィルタ、ならびに/あるいは
(k)実質的に連続したイオンビームをパルス化イオンビームに変換するためのデバイスであって、前記イオントラップおよび/または前記イオン移動度分光計もしくはセパレータの上流および/または下流に構成されたデバイスをさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項28】
前記質量分析計が
Cトラップと、
質量分析部とをさらに備え、
第1の動作モードにおいて、イオンが前記Cトラップに移送され、次いで前記質量分析部に注入され、
第2の動作モードにおいて、イオンが前記Cトラップに移送され、次いで衝突、フラグメンテーションもしくは反応セルまたは電子移動解離および/もしくはプロトン移動反応デバイスに移送され、少なくともいくつかのイオンがフラグメントイオンにフラグメンテーションされ、かつ/または反応して生成イオンを形成し、前記フラグメントイオンおよび/または前記生成イオンが、次いで、前記Cトラップに移送されてから前記質量分析部に注入される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項29】
質量分析計の制御システムによって実行可能なコンピュータプログラムであって、前記質量分析計が、イオントラップと、複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータとを備え、前記イオン移動度分光計またはセパレータが、前記イオントラップの下流に構成され、前記コンピュータプログラムが、前記制御システムに、
(i)前記イオントラップの出口領域と前記イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させるように構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項30】
コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されたコンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令が、質量分析計の制御システムによって実行可能に構成され、前記質量分析計が、イオントラップと、複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータとを備え、前記イオン移動度分光計またはセパレータが、前記イオントラップの下流に構成され、前記命令が、前記制御システムに、
(i)前記イオントラップの出口領域と、前記イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させるように構成されている、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
前記コンピュータ読み取り可能な媒体が、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、および(vi)光ディスクからなる群から選ばれる、請求項30に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項32】
イオントラップを準備する工程と、
複数の電極を含むイオン移動度分光計またはセパレータであって、前記イオントラップの下流に構成されたイオン移動度分光計またはセパレータを準備する工程と、
前記イオントラップの出口領域と前記イオン移動度分光計またはセパレータの入口領域との間の電位または電圧差を時間的に増加、減少または変化させる工程と
を含む質量分析の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−510463(P2011−510463A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543572(P2010−543572)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000202
【国際公開番号】WO2009/093045
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】