説明

イオン置換リン酸カルシウム粒子

本発明は、イオン置換リン酸カルシウムの球状の粒子を形成するための方法に関する。前記方法は、静的、撹拌またはハイドロサーマル条件下で緩衝溶液から粒子を沈殿させることに基づく。また、本発明は、形成された材料の使用および粒子自体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、イオン置換リン酸カルシウムナノ粒子、特に制御された形態および構造を有するリン酸カルシウムナノ粒子の製造法に関する。また、本発明は、医療用に使用される係る材料組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
リン酸カルシウム(CaP)および特にヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2、HA)は、骨および歯のミネラル成分との類似性および生体適合性のために医療用に広く使用されるミネラルである。さらにヒドロキシアパタイトは、非毒性(non-toxic)、生体適合性および生理活性である。このことはヒドロキシアパタイトが有害ではないこと、異物として認識されないこと、他方で骨のリモデリングにプラス効果を有しうることを意味している。それ故、ヒドロキシアパタイトは、骨の修復や薬/遺伝子送達ビヒクル、触媒、イオン吸着/交換剤、光電試薬、などとして広く使用されてきた。再吸着ナノ粒子(即ち、インビボで溶解できる粒子)は、幾つかの適用、例えば、骨空隙充填剤(bone void fillers)、薬物送達ビヒクル、象牙管(dentin tubuli)の脱過敏化などに特に所望される。
【0003】
骨中のヒドロキシアパタイトは、微量のCO32-、F-、Cl-、Mg2+、Sr2+、Si4+、Zn2+、Ba2+、Fe3+、などを含む複数置換されたリン酸カルシウムである。これらのイオン置換は、骨形成および正常な機能、例えば材料の溶解性、結晶構造および界面化学に重要な役割を担っている。
【0004】
フッ化物は、脊椎動物の体の骨および歯に存在する。OH部位に対するフッ化物の置換およびフッ化物置換ヒドロキシアパタイトの形成によって、ヒドロキシアパタイトバイオセラミックスの酸抵抗性および機械的な特性が増強されること(Gross et al., Biomaterials 2004; 25:1375-1384)および、より良い生物学的応答が誘導されること(Robinson et al., Crit Rev Oral Biol Med 2000; 11:481-495)が報告された。
シリコンは、正常な骨および軟骨の成長および発生に必須であることが見つけられた。微量レベルのSiを構造中に含む合成リン酸カルシウムは、化学量論的にリン酸カルシウムと比べて著明に増加した生物学的性能が実証された(Pietak et al., Biomaterials 2007; 28:4023-4032)。生物学的性能の改善は、材料の特性におけるSi誘導性の変化が原因であるとすることができ、且つ骨および結合組織系の生理的なプロセスにおけるSiの直接的な効果が原因であるとすることができる。Si置換は、材料の溶解性を増加させること、電気的に陰性の表面を発生させること、微細なミクロ構造を作出することにより材料表面を生物学的に均等なリン酸カルシウムに変換して生物活性を促進する。細胞外の媒体へSi複合体を放出することおよび材料表面にSiが存在することによって、骨および軟骨組織系の細胞に付加的で用量依存的な刺激効果が誘導されうる。
【0005】
ストロンチウムは化学的におよび物理的にカルシウムと密接に関連するので、リン酸カルシウム中のカルシウムの天然の置換として容易に導入される。ストロンチウムは、骨形成を増加する、および骨吸収を減少する効果を有することが証明されており、ストロンチウムは正常な動物およびヒトにおいて骨量(bone mass)を増加させ、機械的な特性を改善する。Sr置換ヒドロキシアパタイトセラミックスは、純粋なヒドロキシアパタイトよりも良好な機械的特性を示し、インビトロ研究において骨芽細胞の増殖および分化を増強する(Landi et al., Acta Biomaterials 2007; 3:961-969)。ストロンチウムイオンのプラス効果は、薬学的に利用されており、具体的には骨粗鬆症の人々に適用されるラネル酸ストロンチウムと称されるものが利用されている。
【0006】
純粋なCaP粒子、球状の顆粒およびバルク材料を生産する方法は、先行技術に記載されており、湿性での化学沈殿(wet chemical precipitation)、ゾル-ゲルまたは熱水合成が含まれ、例えば、US 5858318、US 7326464、US 5702677およびHui Gang Zhang, Qingshan Zhu, Yong Wang, Chem. Mater. 2005, 17, 5824-5830に記載されている。
【0007】
他の方法でのリン酸カルシウムの合成は、この種類のミネラルが生物中で形成される天然の自己集合プロセスであるバイオミネラリゼーションを模倣している。そのうえ、溶液から特定の形態および構造を有するミネラルナノ材料を合成することは、それら材料がユニークな物理的、化学的および生物学的な特性を有することおよび進歩した機能的な材料は潜在的に用途を有することから注目が増している。
【0008】
バイオミネラリゼーションプロセスを模倣する異なる形態、例えば、球、ファイバーおよびロッド、コア-シェル構造およびメソポーラス構造を有するミネラルナノ材料の現行の合成では、界面活性剤および生体分子を用いる自己集合で濃縮される(Xu et al, J Mater Chem 2007;17:415-449)。例えば、リン酸カルシウムの核生成および成長は幾つかの特異的な界面活性剤または生体分子により制御でき、これらにより成長が方向づけられ、その結果成長するナノ材料の形態が制御される。界面活性剤なしでは、溶液中で最小の表面張力を有する特定の結晶平面上で優先的に成長している結晶により生得的に形態が制御される。例えば、過飽和溶液(通常、カルシウムおよびリン酸イオンを含む)において、リン酸カルシウムは、結晶c軸に沿って自発的にフレーク(flakes)またはファイバー/ロッド様に成長する。
【0009】
これまでに、例えば、ロッド状、管状、シート状または球状のナノ粒子が調査されたが、送達粒子(delivery particles)、触媒サポート(catalyst support)、イオン吸着/交換剤などとして機能するために全ての形態が都合がいいとは限らない。一例として、効率的な薬物送達法を達成するために、大きな表面領域および多孔性の構造が可能な限り多くの作用物質を吸着するため有利である、もちろん生体適合性や担体および物質の間の結合に関する必要性も同様に存在する。
【0010】
CaP粒子の調製に関する1つの問題は、サイズ分布および粒子の形を制御することである。しばしば、サイズの分布は、広く、CaPの六方晶系の対称性および格子定数に起因する。c軸に沿ってピン様の形を生じる可能性が最も高い。
【発明の概要】
【0011】
前述の観点において、本発明の1つの課題は、界面活性剤または鋳型を用いることなく、ナノからマイクロメートルの範囲でリン酸カルシウム(CaP)粒子の形態を制御して提供することである。
【0012】
それ故、本発明は、界面活性剤フリーでバイオミネラリゼーションプロセスを介して制御された形態および構造を有するイオン置換CaP粒子の製造方法、引用形式請求項で規定されたようなCaP粒子およびその医療用途および薬担体としての使用を提供する。
【0013】
本発明にしたがった方法において、制御された形態および形態を有するCaP粒子は、界面活性剤なしのバイオミメティックプロセスで調製される。
【0014】
本発明にしたがった制御された形態および形態を有するCaP粒子の調製のために、目標とすることは、天然でそれらが存在するような組成を有する前駆体を使用すること、天然のプロセスにおいて使用されず、製品にも含められるべきではない化学物質を使用しないことである、即ち、本発明の製造方法において、界面活性剤は粒子合成に使用してはならない。先行技術の方法において、尿素、コラーゲン、単糖またはNa2EDTAのような有機物の界面活性剤または鋳型を使用して、制限された反応空間を通して球状構造が達成される。界面活性剤の使用により生産における多くの工程が導かれ、更なる工程、例えば、加熱処理がCaPから有機成分を除去するために必要であろう。さらに、インビボで使用された場合に、残留物は問題を生じさせる可能性がある。バイオミメティック法を用いることにより、それらの更なる工程が必要とされず、結果的に前記プロセスが単純化されることが本発明の利点の1つである。加えて、形態の制御のためにイオン置換(ion substitution)を用いる利点の1つは、これにより界面活性剤が制御するプロセスによっては容易に達成されない他の形および空隙率が可能となることである。
【0015】
本発明の方法において、前記粒子は、ミネラリゼーション並びに塩溶液を調製することおよびCaP粒子を前記塩溶液から沈殿させることの基礎的な工程を含む沈殿方法で合成される。
【0016】
より詳細には、前記方法は、以下の工程を含む:
* 1またはそれ以上のカルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオンおよび/またはリン酸イオンを含む水溶液を提供すること、
* 2.0〜10,0の範囲の初期pH、好ましくは6.0〜8.0のpH、および20℃ 〜150℃の温度を前記溶液に有させること、
* 更に1またはそれ以上の置換イオン マグネシウム、ストロンチウム、シリコン、フッ化物、バリウム、鉄および亜鉛、炭酸イオンおよび硫酸イオンまたはその組み合わせを前記溶液に含ませること、および
* 所望のナノ粒子の形成に十分な時間で静的プロセス(static process)、撹拌プロセス(stirring process)および/またはハイドロサーマルプロセス(hydrothermal process)の形式で自己集合化プロセス(self-assembled process)を提供すること。
【0017】
本発明の好適な態様において、前記溶液は、カルシウム、およびリン酸イオンおよび1またはそれ以上のマグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩化物、炭酸または硫酸イオンを含み、前記イオンの濃度は以下である、
カルシウムイオンの濃度は、0.01〜25 10-3Mの範囲であってもよい、
マグネシウムイオンの濃度は、0.01〜15 10-3Mの範囲であってもよい、
ナトリウムイオンの濃度は、0.01〜1420 10-3Mの範囲であってもよい、
カリウムイオンの濃度は、0.01〜1420 10-3Mの範囲であってもよい、
塩化物イオンの濃度は、0.01〜1030 10-3Mの範囲であってもよい、
リン酸イオンの濃度は、0.01〜10 10-3Mの範囲であってもよい、
炭酸イオンの濃度は、0.01〜270 10-3Mの範囲であってもよい、
硫酸イオンの濃度は、0.01〜5 10-3Mの範囲であってもよい、
置換イオンの濃度は、Sr2+に関して0.01〜1.0 10-3M、Si4+に関して0.01〜10 10-3MおよびF-に関して0.01〜0.5 10-3Mであろう。
【0018】
一態様において、製造法は、少なくともカルシウムイオンおよび置換イオン、例えば、Sr2+、Si4+、F- Mg2+、Zn2+、Ba2+またはFe3またはその組み合わせを含む過飽和リン酸緩衝溶液を利用する。界面活性剤フリーの自己集合化プロセスは緩衝液中で生じ、動的な形成速度(dynamic formation rate)を温度、pH、組成およびイオン濃度により制御できる。自己組織化プロセスは、静的プロセス、撹拌プロセス、およびハイドロサーマルプロセスであってもよい。形成時間は、典型的には1時間〜4週間内、例えば、2時間を超えるまたは5 時間を超えるまたは10時間を超えるまたは1日を超えるが、しかし、4週間未満または2週間未満または1週間未満であり、より長いまたはより短い形成時間であっても粒子を形成できる。
【0019】
本発明の一態様において、少なくとも1つの置換イオンは、Sr2+である。
【0020】
本発明の別の態様において、少なくとも1つの置換イオンは、Mg2+である。
【0021】
本発明の別の態様において、少なくとも1つの置換イオンは、Si4+である。
【0022】
本発明の別の態様において、少なくとも1つの置換イオンは、F-である。
【0023】
本発明の別の態様において、少なくとも2つの置換イオンは、Sr2+およびMg2+である。
【0024】
本発明の別の態様において、少なくとも2つの置換イオンは、Sr2+およびF-である。
【0025】
本発明の別の態様において、少なくとも2つの置換イオンは、Mg2+およびF-である。
【0026】
別の態様において、溶液の温度は、30℃〜70℃である。
【0027】
なお別の態様において、形成された粒子におけるマグネシウム濃度は、0および10重量%の間、例えば、1%を超えるまたは3%を超えるまたは5%を超えるまたは10%または8%未満または5%未満である。
【0028】
一態様において、前記方法は、溶液における前記粒子の成長および自己集合の工程を含み、それによって中空コア(hollow core)および高密度シェル(dense shell)または、中空コアおよび多孔性シェル(porous shell)または、多孔性コア(porous core)および高密度シェルを有するまたは、粒子が多孔性であるイオン置換粒子が前記溶液中の置換イオンの濃度の調整により形成される。
【0029】
なお別の態様において、前記イオン置換粒子は、球状である。
【0030】
なお別の態様において、溶液中のSr2+の濃度は、0.15mM未満、好ましくは約0.06mMであり、それによって約1μmの直径を有する不規則な球状で多孔性のSr置換ナノ粒子が形成される。
【0031】
なお別の態様において、溶液中のSr2+の濃度は、0.06mMを超え且つ0.3mM未満、好ましくは約0.15mMであり、それによって約100-300nmの直径を有する球状で多孔性のSr置換ナノ粒子が形成され、各ナノ粒子は中空コアおよび多孔性シェルを有する。
【0032】
なお別の態様において、溶液中のSr2+の濃度は、0.15mMを超え且つ0.6mM未満、好ましくは約0.3mMであり、それによって約200〜500nmの直径を有する規則的な球状のSr置換ナノ粒子が形成され、各ナノ粒子は中空コアおよび多孔性シェルを有する。
【0033】
なお別の態様において、溶液中のSr2+の濃度は、0.3mM且つ0.67mM未満、好ましくは約0.6mMであり、それによって約100〜500nmの直径を有するSr置換された球状のナノ粒子が形成され、各ナノ粒子は高密度シェルおよび多孔性コアを有する。
【0034】
なお別の態様において、Sr2+ 濃度は、0.01〜0.7mM、例えば、0.01または0.05を超える、または0.1を超える、または0.3を超える、または0.7以下、または0.5mM未満;およびMg2+濃度は、0.1〜0.5 mM、例えば、0.1または0.2を超える、または0.3を超える、または0.5または0.4mM未満である。
【0035】
なお別の態様において、溶液中のF-の濃度は、約0.04〜0.2mMであり、それによって300 500nmの直径を有する球状で多孔性のF置換ナノ粒子が形成される。
【0036】
なお別の態様において、Si4+の濃度は、約6mMであり、それによって200〜500nmのサイズを有する球状で多孔性のSi置換ナノ粒子が形成される。
【0037】
本発明の第1の側面において、制御された形態、例えば、中空または多孔性のCaP粒子またはその組み合わせを有する粒子が提供される。例えば、前記粒子は、中空コアおよび高密度シェル、または中空コアおよび多孔性シェル、または多孔性コアおよび高密度シェルを有してもよい、または前記粒子は多孔性であってもよい。本発明のCaP粒子の形態は、成長溶液中の置換イオンの濃度を調整することにより制御できる。本発明の球状の粒子の直径は、好ましくは10〜1000nm、例えば、30nmを超える、または50nmを超える、または100nmを超えるが、1000nm未満または500nm未満または300nm未満である。形成された粒子は、単結晶ではなく、幾つかの小さな単位、完全なまたは部分的なまたは非結晶性のイオン置換CaPから構成される。粒子の最小の単位は、例えば、大きな粒子を共に形成するフレーク様ナノ粒子および針様ナノ粒子であってもよい。
【0038】
一態様において、形成された粒子は、例えば、30℃を超えるまたは50℃を超えるまたは100℃を超える温度で熱処理される。
【0039】
別の態様において、形成された粒子におけるストロンチウム濃度は、0〜35重量%の間、例えば、5%を超える、または15%を超える、または25%を超える、または35%または30%未満または20%未満または10%未満である。
【0040】
なお別の態様において、前記粒子は、中空および/または多孔性である。
【0041】
なお別の態様において、前記粒子は、高密度シェルを有する多孔性コアを有する。
【0042】
別の態様において、前記粒子は、置換イオンとして1またはそれ以上のSr2+、Si4+、およびF-を含む。
【0043】
本発明による方法を用いて調製された粒子の形態は、多様なデザインに制御される。100nm〜1μmの直径を有する固体、多孔性、中空またはロープ様に組織化した球が、形成できる。マグネシウム、フッ素(fluor)、シリコンおよび液体前駆体(緩衝液)は、単独または組み合わせて、ストロンチウムに加えて、形態に強く影響しうる。
【0044】
本発明の一態様において、多孔性および/または中空のストロンチウムでドープした球状のリン酸カルシウム粒子が提供される。
【0045】
別の態様において、フッ化物および/またはシリコンでドープした球状のリン酸カルシウム粒子が提供される。
【0046】
本発明の第2の側面において、ヒトにおいてまたは体を模倣した環境において調製された粒子からの制御されたイオン放出、例えばストロンチウム放出のための粒子が提供される。
【0047】
本発明による粒子を用いるストロンチウム放出試験により、pH値におけるイオンの放出量の依存性が示された。浸漬液体の8.0〜6.8のpH値の減少によって、ストロンチウムの放出量が2倍になることが見つけられ、溶液の変化なく全体で導入されたストロンチウムの20%が13日後に放出された。さらにまた、浸漬液体中に無機イオンが存在することによって、溶液中のストロンチウム含有量が減少し、それぞれの粒子におけるCaPの結晶化が誘導された、このことは前記粒子が生理活性であることを示している(Hench LL. J Am Ceram Soc 1991;74:1487-1510)。この特性は、再ミネラリゼーション特性が重要な適用、例えば歯への適用および整形外科への適用のために特に重要である。
【0048】
制御された形態を有する非化学量論的な結晶を形成するCaPの能力によって、特定の適用のための材料を作ることが可能となる。というのも、例えば、ダメージをうけた骨の再生を、生体適合性であり生分解性である人工的に調製されたイオン置換CaPを体に挿入することにより刺激でき、骨の強度が増大するからである。しかしながら、これに限定されず、本発明で製造できる広範囲な粒子の形態および組成によって、以下の幾つかの適用が開発される:
* 持続性および制御性の放出作用を有する薬物送達。薬物の非限定的な例には、抗生物質、抗炎症、タンパク質、癌治療および疼痛治療のための薬物が含まれる。薬の負荷(drug loading)は、当業者に知られている任意の方法を用いて実施できる。非限定的な例には、粒子の製造の間の浸漬および負荷または2つの組み合わせが含まれる。例えば、本発明のCaP粒子によって、大量の作用物質が吸着されることが可能となり、生体適合性および担体および物質の間の強い結合の必要性が充足され、大きい表面領域および多孔性構造を有することにより効率的な薬物送達が可能となりうる。
【0049】
* 前記粒子は、骨の修復および再生に使用できる。前記粒子は、当業者に知られている方法を用いて骨の欠陥部に送達できる。2つの非限定的な例は、血漿中で粒子を浸漬することおよびそれらを前記欠陥部に添加することまたは液体またはゲルの担体を用いて前記粒子をシリンジを介して送達することが含まれる。前記ゲルは、ポリサッカライド、例えば、ヒアルロナンまたはキトサンまたは任意のその誘導体であってもよい。他の例には、グリセロール、ポリエチレングリコールまたは他の水混和液体(water-miscible liquids)が含まれる。加えて、前記粒子は、注射可能な自己硬化材料系(self hardening material systems)に添加でき、非限定的な例には注射可能なバイオセラミックス(リン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムセメント、ケイ酸カルシウムセメントなど)が含まれ、また非再吸着性の注射可能なポリマー様ポリ-メチル-メタ-アクリラート(PMMA)に添加できる。再生をさらに改善するために、前記粒子および/または前記液体またはゲルは、生物学的物質、例えば、成長因子を付加的に含んでもよい。
【0050】
* 前記粒子は、歯の修復および再生に使用できる。前記粒子は、当業者に知られている方法を用いて骨の欠陥部に送達できる。2つの非限定的な例は、血漿中で粒子を浸漬することおよびそれらを前記欠陥部に添加することまたは液体またはゲルの担体を用いて前記粒子をシリンジを介して送達することが含まれる。前記ゲルは、ポリサッカライド、例えば、ヒアルロナンまたはキトサンまたは任意のその誘導体であってもよい。他の例には、グリセロール、ポリエチレングリコールまたは他の水混和液体が含まれる。加えて、前記粒子は、注射可能な自己硬化材料系に添加でき、非限定的な例には注射可能なバイオセラミックス(リン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムセメント、ケイ酸カルシウムセメントなど)が含まれ、また非再吸着性の注射可能なポリマー様ポリ-メチル-メタ-アクリラート(PMMA)に添加できる。再生をさらに改善するために、前記粒子および/または前記液体またはゲルは、生物学的物質、例えば、成長因子を付加的に含んでもよい。
【0051】
* 歯の侵襲性が低い予防処理、例えば、清浄、研磨、ホワイトニング、歯の漂白およびブラスティング(bleaching and blasting teeth)、シーラント、歯腔の予防(cavity prevention)、歯の保存および回復、並びに漂白後のエナメル表面を改善すること。
【0052】
* ゲルまたは液体の担体を用いる歯周炎の治療のため、または歯腔の修復としてまたは歯腔の充填修復の一部として。
【0053】
* インプラント周囲炎(インプラント周囲炎が原因で形成された歯のインプラント周囲の骨の空隙の充填および再生)のための治療。この治療において、前記CaP粒子は、注射可能剤のための送達機構を用いて部位に送達できるまたは血液等と混合できるおよび欠陥部にパックできる。
【0054】
* 過敏な歯根の治療、開放した管の脱過敏化および早期カリエスの治療(healing)のための歯磨きペーストにおける充填粒子。好ましくは、球状のCaP粒子、なおより好ましくはF-イオンを含む球状のCaP粒子を用いる。
* 重金属イオンの吸着剤。
【0055】
* 遺伝子、成長因子、造影剤(contrast substances)、放射ラベルした粒子または物質または薬物の送達。
【0056】
* 象牙管の脱過敏化。中空および/または多孔性の粒子は、開放した象牙管を充填するために適切である。
* エナメルの治療のためのデンタルテープ、デンタル漂白テープまたはペースト。
【0057】
* 練り歯磨き、マウスウォーター、口内洗浄剤、マウススプレー、クリーム歯磨き、漂白およびホワイトニングペースト剤。
【0058】
* 食物サプリメントおよびチューイングガム。チューイングガムのために、約10wt.%以下のオーダーのCaP粒子が再ミネラリゼーション特性を達成するため添加される。
【0059】
本発明の粒子を、他の材料と混合して、注射可能なバイオマテリアルにおける充填粒子などの特性を改善しうる。非限定的な例には、PMMA骨セメント、バイオセラミックス(例えば、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム)、グラスアイオノマーセメント(glass ionomer cements)が含まれる。
【0060】
薬物送達のために、上記の本発明の第1および第2の側面は、それぞれ粒子の形態を粒子中の孔または中空における薬の負荷を可能にするために適用される第1のアプローチ、および制御されたイオン放出を含む第2のアプローチを生じる。第1のアプローチにおいて、薬は成長の後および/または成長の間に負荷されてもよい。
【0061】
図9のF置換粒子のように、図10のSi置換粒子の表面は、比較的粗く、表面から突出するフレークを含む。しかしながら、F置換粒子は、より規則的な球状の形を有する。これらの両方の置換粒子は、薬送達、遺伝子送達、タンパク質吸着およびクロマトグラフィーカラムにおける充填材料のために適切だろう。
【0062】
本発明の態様は、引用形式請求項に規定される。本発明の他の課題、効果および新規の特性は、本発明の以下の詳細な記載を添付される図面および請求項と併せて考慮することで明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の好適な態様は、本出願に添付される図面を参照して記載される。
【図1】図1は、0.06 mMのSrドープPBSを用いて60℃で1週間処理した後のSrCaPの形態を示している。
【図2】図2は、0.15 mMのSrドープPBSを用いて60℃で1週間処理した後のSrCaPの形態を示している。
【図3】図3は、0.3 mMのSrドープPBSを用いて60℃で1週間処理した後のSrCaPの形態を示している。図中の矢印は中空の粒子を示している。
【図4】図4は、0.6 mMのSrドープPBSを用いて60℃で1週間処理した後のSrCaPの形態を示している。
【図5】図5は、0.6 mMのSrドープPBSを用いて60℃で2週間処理した後のSrCaPの形態を示している。
【図6】図6は、0.6 mMのSrドープPBSを用いて60℃、1週間で得られたSrCaP粒子のTEMイメージを示している。
【図7】図7は、0.6 mMのSrドープPBSを用いて60℃で1日撹拌した後のSrCaPの形態を示している。
【図8】図8は、0.6 mMのSrドープPBSを用いて100℃で1時間熱水処理(hydrothermalized)した後のSrCaPの形態を示している。
【図9】図9は、(a) 0.04 mMおよび(b) 0.2 mMのFドープPBSを用いて100℃で24時間熱水処理(hydrothermalized)した後のFCaPの形態を示している。
【図10】図10は、6 mMのSiドープPBSを用いて100℃で24時間熱水処理した後のSiCaPの形態を示している。
【図11】図11は、純粋なPBSを用いて100℃で24時間を経た後のCaPの形態を示している。
【図9−1】図9’は、本発明にしたがった増加したCa/P比でのSrドープCaP粒子を示している。
【図10−1】図10’は、本発明にしたがったFドープおよびSiドープ粒子を示している。
【図1−1】図1’(a)-(c)は、本発明にしたがって、それぞれM1、M2およびM3-Srを用いて得られた形態を示している。
【図2−1】図2’(a)-(d)は、本発明にしたがったM2-H2O(緩衝液なし)からの粒子の形態を示している。
【図3−1】図3’は、M2を用いて製造された粒子の形態におけるMgおよびSrの影響を示している。
【図4−1】図4’は、本発明にしたがった異なるMgおよびSr濃度のM2を用いて製造された粒子のXRDパターンを示している。
【図5−1】図5’は、本発明にしたがったM3を用いて製造された粒子の形態を示している。
【図6−1】図6’は、本発明にしたがったM3-Srを用いて製造された粒子のXRDパターンを示している。
【図7−1】図7’は、本発明にしたがったM1を用いて製造された100mg粒子の累積的なストロンチウム放出を示している。
【図8−1】図8’は、本発明にしたがった37℃での水溶液中で13日間を経た後のM1からの粒子の形態を示している。
【図9−2】図9’は、100℃で24 時間を経過させたCa/P比を増加させた0.6mMのSrドープ多孔性CaP球のSEMイメージを示している。Ca/P比は、(A)0.1、(B)1.0、(C)および(D)2.5、(E)および(F)5.0である。
【図10−2】図10’は、0.2mM フッ化物イオンに関して(A) 12時間および(B) 24時間、および0.15mM ケイ酸イオンに関して(C) 12時間および(D) 24時間で100℃で処理されたリン酸緩衝液から調製されたフッ化物置換リン酸カルシウムナノスフェアのSEMイメージを示している。
【図11−1】図11は、(A)〜(E)において0 〜0.6mMに増加したストロンチウム濃度で60℃ で1週間を経過させたリン酸カルシウムの形態を示している。Ca/P比は0.1である。(D)の矢印は粒子の中空の性状を示している。
【図12】図12は、100℃で様々な反応時間処理されたストロンチウムドープリン酸カルシウム球のSEMイメージを示している。
【図13】図13は、0.6 mMのSrイオンを有する溶液を用いたSr-CaP球状粒子のXRDパターンを示している。
【態様の詳細な記載】
【0064】
本出願において、「ドープ(doped)」の用語は、「置換(substituted)」と互換的に使用される。
【0065】
本出願の目的に関して、バイオマテリアルは、体の任意の組織、器官または機能を評価するために、治療するために、補充(augment)するために、または置換するために生体系と相互作用することが意図される材料である。
【0066】
化学量論的なヒドロキシアパタイト(HA)の化学式はCa10(PO4)6(OH)2であるが、本出願の目的に関して多くのバリエーションを使用できる。本発明は、主にリン酸カルシウム(CaP)の用語で記載され、これらに限定するものではないが、リン酸2カルシウム2水和物(DCPD)、オクタリン酸カルシウム(OCP)、リン酸3カルシウム(TCP)、および非晶形なリン酸カルシウム(ACP)または任意のその誘導体を含む。多様なイオンは3つの下位の格子(sub-lattices)に導入でき、それと共に材料の特性、例えば、溶解性、結晶構造、結晶化度、結晶サイズまたは空隙率が変化しうる。潜在的には、陽イオン性の置換イオンはSr2+、Mg2+、Si4+、Zn2+、Ba2+、Fe3+またはTi4+? であり、陰イオン性の置換イオンはCl-、F-、HCO3-またはCO32-である。イオン置換の供給源は、置換されるイオンを含む可溶性の塩および僅かに可溶性の塩であってもよく、例えば、これらに限定するものではないが、SrCl2、SrCO3、Sr(NO3)2、Na2SiO3、ケイ酸カルシウム、例えば、(CaOSiO2、CaO(SiO2)2、CaO(SiO2)3); ZnCl2、ZnSO4、BaCl2、FeCl3、Fe(NO3)3、Na2 CO3、NaF、Na2FPO4 NaHCO3またはNaTiO3である。
【0067】
本発明にしたがった方法において、制御された形態を有するイオン置換CaP粒子は、界面活性剤なしでのバイオミメティックプロセスで調製される。1950年代にオットーシュミットにより造り出された用語であるバイオミメティックは、天然のプロセスを研究することおよび生物学から得られた知識を科学技術に移すこと、従って天然で生じるプロセスを模倣することを意味しており、この場合においてはバイオミネラリゼーションである。
【0068】
以下、一般的で非限定的な本発明の概要および様々な形態の幾つかを記載し、如何にしてそれらが異なる要素により影響されるか、および如何にしてそれらが本発明により得られたかを記載する:
本発明は、形態および構造を制御するための小単位のイオン置換CaPの好ましくは球状の凝集物に関与する;
単位/結晶の形態は、イオン濃度により影響される;
好ましくは粒子の直径は1000nm未満、より好ましくは100nm未満である、好ましくは直径は10nmを超える。
【0069】
ストロンチウムを置換イオンとして用いた場合に、Sr2+:Ca2+:HPO42-の比は好ましくはx:1:10であり、式中のxは好ましくは0<x0.67、例えばxは0またはそれ以上、または0.10を超えるまたは0.20を超えるまたは0.30を超えるまたは0.67以下、または0.50未満または0.40未満である。
【0070】
* 700nm〜2μmの直径を有する不規則な球状の多孔性粒子を形成するために0.01-0.09mM
* 約100〜300nmの直径を有する球状の多孔性粒子を形成するために0.01〜0.1mM
* 中空コアおよび多孔性シェルを有し、約200〜500nmの直径を有する規則的な球状の粒子を形成するために0.2-0.4mM
* 高密度シェルおよび多孔性コアを有し、100〜500nmの直径を有する球状の粒子を形成するために0.5〜0.7mM。
【0071】
図9'は、(A)〜(E)において0〜0.6mMに増加したストロンチウム濃度で60℃で1週間を経過したリン酸カルシウムの多孔性の形態を示している。Ca/P比は0.1である。(D)の矢印は粒子の中空の性状を示している。また、図10'、11および12は、ストロンチウムドープCaPを示している。
【0072】
フッ化物を置換イオンとして用いた場合に、F-:Ca2+:HPO42-の比は好ましくはx:1:10であり、式中のxは好ましくは0<x0.22、例えば、xは0.05を超えるまたは0.10を超えるまたは0.22以下または0.15未満であり、
約300〜500nmの直径を有する球状の多孔性粒子が形成される。
【0073】
シリコンを置換イオンとして用いた場合に、SiO32-:Ca2+:HPO42-の比はx:1:10、好ましくは0<x10、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である可能性があり、
約200〜500nmの直径を有する球状の多孔性粒子が形成される。
【0074】
以下の例において、異なる形態を有するイオン置換CaP粒子の形成が、より詳細に記載される。多くの例示のプロセスは球状のCaP粒子を目標としているので、前記粒子は互換的にナノスフェア(nanospheres)と称される。
【0075】
例1
ストロンチウム置換多孔性CaPナノスフェアを、静的プロセスでCa2+、HPO42-、Na+、K+、Cl-、Mg2+(濃度に関して表1を参照されたい)を含んでいるSrドープ過飽和リン酸緩衝液から合成した。体液を模倣するために、Srドープリン酸緩衝塩類溶液のpH値を7.4に制御した。Sr2+:Ca2+:HPO42-の開始比は、x:1:10 (式中のxは0〜0.67)であった。ストロンチウム置換CaP結晶は、過飽和溶液中で成長し、自己集合した。結晶の成長および自己集合の進行を増加させるために、静的プロセス中に乾燥器で37℃または60℃で処理を行った。
【0076】
前記プロセスによって、外側に殻構造および内側に多孔を有し、約100〜1000nmの粒径を有するSr置換CaPナノスフェアが生じた。
【0077】
Sr置換CaPナノスフェアの形態は、リン酸緩衝液中のストロンチウムイオン濃度により変化した。PBS溶液中のSrの開始濃度が0.06mMである場合に、ナノスフェアは約1マイクロメーターの直径を有する不規則な球状の多孔性粒子となった(図1)。Sr PBS溶液の開始濃度が0.15mMに増加した場合に、球のサイズは100-300nmに減少し、粒子は中空コアおよび多孔性シェルを有する球状となった(図2)。Srイオン濃度が0.3mMに増加した場合に、粒子は中空コアおよび多孔性シェルを有し、約 200-500nmの直径を有する規則的な球となった(図3)。しかしながら、Sr PBS溶液の開始濃度が0.6mMに増加した後に、粒子は高密度シェルおよび多孔性コアを有し、約100-500nmの直径を有する球となった(図4、図6)。処理時間が2週間に増加した場合に、形態は変化せず、粒子は成長せず、サイズは1週間での結果のものと同じとなった(図5)。
【0078】
例2
例1と同じ実験手続きを用いたが、溶液をウォーターバス中で37℃または60℃で磁力で撹拌した。
【0079】
そのプロセスによって、静的プロセスのものよりも粗い中空コアおよびシェルを有し、約200〜400nmの粒径を有するSr置換CaPナノスフェアが生じた。
【0080】
図7に係るSr置換CaPナノスフェアの粗い外層および中空コアを有する球の形態を示す。0.6mMのSrドープPBS中で60℃で1日撹拌して反応させた。
【0081】
例3
例1と同じ実験手続きを用いたが、ハイドロサーマルプロセスのために溶液を60℃、80℃または100℃でオートクレーブに入れた。
【0082】
前記プロセスによって、高密度シェルおよび内側に多孔を有し、約 200〜500nmの粒径を有するSr置換CaPナノスフェアが生じた。ハイドロサーマルプロセスにより合成時間は1週間から1時間へと非常に短縮された。
【0083】
図8に、係るSr置換CaPナノスフェアが滑らかな表面を有する球の形態であることが示される。0.6mMのSrドープPBS中で100℃で1時間熱水処理して反応させた。
【0084】
以上、例1〜3 および対応する図1〜8は、リン酸緩衝液中のSrイオン濃度を使用して、Sr置換粒子の形態を制御できることを示している。ヒドロキシアパタイトナノ結晶の形態におけるSr濃度の影響は、以前にBigi等(Bigi et al., Inorganica Chemica Acta 2007; 360:1009-1016)により観察された。彼等の研究において、Sr含有量が減少する場合に、Sr置換ナノ結晶はプレート形から縁がはっきりしない不安定な形(perturbed shaped)へと変化している。以前の研究は、球または球状の粒子が生産させたことを示してはおらず、彼等は如何に濃度が形態に影響するかについて結果を示していなかった。高いSr含有量では、結晶の次元はSr含有量が増加するとともに増加する。これらの大きなナノ結晶、即ち0.5×0.1μmは、結晶のc軸と平行な方向に伸びた非常にはっきりした形を有する。対照的に、本発明のSr置換粒子は、ナノスフェアおよびミクロスフェアと称される10〜1000nmの多数のナノ結晶の実質的に球状の凝集物である。そのうえ、Srイオン濃度が変化する場合の形態の変化に加えて、Srイオン濃度が増加する場合にはナノスフェアのサイズが減少する。例1〜3では、以下に示すような4つの特徴的な形態を生じた:
図1、 約1μmの直径を有する不規則な球状の多孔性粒子;
図2、 中空コアおよび多孔性シェルを有し、約100〜300nmの直径を有する球状の粒子;
図3、 中空コアおよび多孔性シェルを有し、約200〜500nmの直径を有する規則的な球状の粒子;および
図4-6、 高密度シェルおよび多孔性コアを有し、約100〜500nmの直径を有する球状の粒子。
【0085】
本発明は、Sr濃度の手段による形態の制御に限定されない。以下の例は、フッ化物置換およびシリコン置換を用いて形成される粒子の形態の制御を実証しており、後者はケイ酸塩、例えばシリカ、で例示できるだろう。これらの例は、異なる置換イオンを選択することまたは異なる置換イオンを組み合わせることによりおよび置換イオン濃度を変化させることにより、広範な形、サイズおよび形態が得られることを示している。
【0086】
例4
フッ化物置換多孔性CaPナノスフェアを、Ca2+、HPO42-、Na+、K+、Cl-、Mg2+を含んでいるFドープ過飽和リン酸溶液からハイドロサーマルプロセスで合成した。体液を模倣するために、Fドープリン酸緩衝塩類溶液のpH値を7.4に制御した。F-:Ca2+:HPO42-の開始比は、x:1:10(式中のxは0〜0.22)であった。フッ化物置換リン酸カルシウム結晶は、過飽和溶液中で成長し、自己集合した。乾燥器中で60℃、80℃または100℃で行う熱水処理プロセスで合成が行われた。
【0087】
前記プロセスによって、約300-500nmの直径を有する球状の多孔性F置換粒子が生じた。
【0088】
図9に、0.04mM(図9a)および0.2mM(図9b)のFドープPBSを用いて100℃で24時間熱水処理した後のF置換CaP粒子の形態を示す。例えば、図4〜6におけるSr置換粒子のイメージと比べて、F置換粒子の表面の形態がSr置換粒子の表面形態と異なること、即ち、表面から突出するシートを有する粗い表面を有するF置換粒子よりもSr置換粒子が滑らかな表面を有することが理解されるだろう。
【0089】
フッ化物置換アパタイトの結晶形態の1つの効果は、Jha等(Jha et al, Journal of Materials Science: Materials in Medicine 1997; 8:185-191)に示される。彼等の研究では球状のまたはより尖った結晶が沈殿した。沈殿温度の低下およびフッ化物イオン濃度の増加が、生産された微結晶のアスペクト比を減少させる傾向があることが認められた。本発明において、フッ化物濃度を使用してフッ化物置換リン酸カルシウム結晶の球状の凝集物が得られ、前記凝集物は制御された形態を有する。上記の多くの適用において、凝集物の形態の制御は、非常に重要であり、他方で結晶の形態は限定的な効果を有する。
【0090】
例5
ケイ酸置換多孔性リン酸カルシウムナノスフェアを、Ca2+、HPO42-、Na+、K+、Cl-、Mg2+を含んでいるSiドープ過飽和リン酸溶液から合成した。体液を模倣するために、ケイ酸塩ドープリン酸緩衝塩類溶液のpH値を7.4に制御した。
【0091】
SiO32-:Ca2+:HPO42-の開始比は、x:1:10 (式中のxは0〜10)であった。ケイ酸塩置換を有するリン酸カルシウム結晶は、過飽和溶液中で成長し、自己集合した。結晶成長および自己集合の進行を増加するために、溶液は80℃または100℃でオートクレーブに配置した。
【0092】
前記プロセスは、約200〜500 nmの直径を有する球状の多孔性Si置換CaP粒子を生じた。
【0093】
図10において、6mMのSiドープPBSを用いて100℃で24時間熱水処理された後の係るSi置換CaP粒子の形態が示される。図9のF置換粒子のように、図10のSi置換粒子の表面は、比較的粗く、表面から突出するフレークを含む。しかしながら、F置換粒子は、より規則的な球状の形を有する。
例6
多孔性リン酸カルシウムナノスフェアを、Ca2+、HPO42-、Na+、K+、Cl-、Mg2+を含む過飽和リン酸溶液から合成した(濃度に関して表1を参照されたい)。体液の状態を模倣するために、次の処理を行う前に、このリン酸緩衝塩類溶液のpH値を7.4に制御した。Ca2+:HPO42-の開始比は、1:10であった。リン酸カルシウム結晶は、過飽和溶液から成長し、自己集合した。結晶の成長および自己集合の進行を増加させるために、溶液は80℃または100℃でオートクレーブに供した。
【0094】
前記プロセスによって、約300〜500nmの直径を有する多孔性粒子が生じた。
【0095】
図11に純粋なPBSを用いて100℃で24時間で熱水処理した後の粒子の形態を示す。
【0096】
例7
別の例において、緩衝液のCa/P比は0.1〜1.0mMのカルシウムおよび10mMのリン酸イオンで変化し、Srは0〜0.6mMで変化し、前記粒子は60℃、1週間で老化する。リン酸カルシウム粒子は、ストロンチウムイオンの非存在下でナノフレークのランダムなクラスターとして沈殿する。リン酸緩衝塩類溶液へのストロンチウム付加後に、粒子形態の変化が認められる。Sr濃度が0.06mMに増加すると、フレーク様のCaP粒子はストロンチウムイオンなしの溶液から得られたものよりもさらに規則的に凝集する。さらにSrイオンが0.15mMに増加することによって、さらに小さな直径を有する球への粒子の凝集を生じる。個々のCaP粒子は、なおフレーク様のナノリン酸カルシウムに集合する。Srが0.3mMに増加した後のCaP粒子の形態は、球を囲むフレーク様の翼部分を有する球状である。これらのCaP粒子の平均直径は約500nmである。これらのCaP球は中空であることが特に重要である。Srイオンの濃度が0.6mMに増加する場合に、CaP粒子は完全な球状で出現し、その直径は200nm-1μmである。このサンプルのXRD分析によって、(002)、(211)、および(203)にリン酸カルシウムの特異的なピークが示されたことから、これらの球がリン酸カルシウム結晶であることが確認される。
【0097】
0.6mMのストロンチウム溶液から得られたCaP粒子の構造を、さらに高角環状暗視野(CaPADF)走査型透過電子顕微鏡(STEM)により分析した。CaP球が約100nmの厚さの中空コアおよびシェルを有することは明らかである、図6。EDXSの基本的なマップによって、球がCa、P、O、およびSrを含むことおよびサンプルを通して分布が均質であることが確認された。また、元素マップによって、球が実際に中空であることが確認される。というのも、Ca、P、O、およびSrのシグナルが、ちょうどシェルに沿って分布するからである。
【0098】
ストロンチウムイオンの付加は、このミネラリゼーションプロセスにおいて、組成のみならず、リン酸カルシウムの形態および構造をも変化させる鍵となる因子であることは明らかである。リン酸カルシウムの形態は、フレーク様粒子のランダムなクラスターから、フレーク様粒子の規則的なクラスターに変化し、粗い表面を有する球状粒子に変化し、粗いシェルを有する中空球に変化し、および最終的に滑らかなシェルを有する中空球に変化する。この現象によって、構造を方向づける界面活性剤とは対照的に、CaPの形態および構造を無機イオンのみ使用することで変化させる可能性が促進される。最終的な材料がドープしたCaPであり、他の残留物または他の結晶、例えばリン酸ストロンチウムのないことを保証する戦略を本発明は提供する。
【0099】
ストロンチウムドープリン酸カルシウムの形態は、Srイオン濃度に依存するのみならず、カルシウムとリン酸塩との比によっても影響される。この系において、Sr濃度およびカルシウムとリン酸塩との比が高ければ、より球状の形となる。
【0100】
例示として、0.6mMのストロンチウム濃度に関して、20〜40nmの直径を有するCaP 粒子はCa/P比が0.1である場合に得られ、他方でCa/P比が1.0に増加した場合にCaPはフラワー様の形態で凝集する傾向を有するナノフレークに成長する。Ca/P比がさらに2.5に増加する場合に、フレーク様粒子は、0.6〜1μmの直径を有する球状の粒子に自己集合した。さらにまた、Ca/P比が5.0に増加する場合に、CaP 粒子は、多孔構造を有し、直径が約1〜5μmに増加し、良好に形成された(well-formed)球状の形態を示す。図9'は、(A)0.1、(B)1.0、(C)および(D)2.5、(E)および(F)5.0と増加した比のイオンドープCaP粒子を示している。
【0101】
また、溶液処理の温度は、結果として生じる粒子の形態に大きい効果を有する。1.0mMのカルシウムイオン、10mMのリン酸塩イオン、および0.6mMのストロンチウムイオンを含む溶液によって、60℃で処理された場合に1週間後に良好に形成された中空のCaP球が生産された。温度が100℃に増加する場合に、球状のCaPナノ粒子は、1時間処理した後に形成される。これらの粒子は、200〜500nmの直径を有し、ナノフレークでカバーされる。12時間で反応させた後に、CaP球は、非常に滑らかであることが認められ、球の直径は500〜800nmに増加する。CaP球の直径は、24時間で反応させた後にさらに600nm〜1μmに増加し、表面は12時間で反応させた後に得られたものよりも粗くなる。長いフレーク様粒子は、CaP球の内側部分から放射状に成長する。0.06mMのSr2+濃度から調製されたCaP球は、60℃でCaP球を生産しないが、温度を100℃に増加することで球状の粒子が容易に形成される。
【0102】
ストロンチウムに加えて、他のイオンが、リン酸緩衝液、例えばフッ化物、およびケイ酸イオン、例えばSiO32-に添加されてもよく、上記例に示すように、これはSrと同様に骨のミネラルにおける天然の置換である。
【0103】
制御された形態を有するフッ化物およびシリコンドープCaP(F-CaPおよびSi-CaP)粒子は、これらのイオンをリン酸緩衝液に添加することおよび100℃で12および24時間処理した後に形成される。F-CaP粒子は、ちょうど12時間後に球を形成する(図6A)。針様粒子は、球状の内側コアから放射状に成長して、良好に形成された球を作出する。24時間処理後、フッ化物ドープCaP粒子は、球状となる。しかしながら、シリコンドープCaP粒子は、球状で出現する。反応温度は、Si/F-CaP系における球状の粒子形成において重要な役割を担っており、好ましくは温度は60℃を超えるべきである。図10'は、0.2mM フッ化物イオンを(A)12時間および(B)24時間、および0.15mM ケイ酸イオンを(C)12時間および(D)24時間含み、100℃で処理されたリン酸緩衝液から調製されたリン酸カルシウム球のSEMイメージを示している。
【0104】
静的プロセスにおいて反応温度を増加させる効果は、ハイドロサーマル法のものと類似する。高温でストロンチウムドープCaP球が形成する割合が増加するのみならず、低温で調製できないフッ化物およびシリコンドープCaP球の調製も可能となる。
【0105】
以前に付加的な加熱処理の必要ないことが示されているが、本発明の方法を用いて製造された粒子を、同様に熱処理して結晶の形態または結晶化度を変化させてもよい。この処理に関する選択肢は、乾燥器における高温での焼成または水性媒体中での成熟である。
【0106】
例8
例1にしたがって0.15mMのSr溶液で製造された球状のSr置換CaP粒子を含む歯磨きペーストは、球のサイズが100〜300nmであり、粒子は中空コアおよび多孔性シェルを有する球状であった。7 wt.%のCaP粒子は、市販の利用可能な歯磨きペースト(ACTA, Cederbloms, Vasby Sweden)に添加された。この研究の目的は、象牙質のCaP粒子での閉塞を評価することであった。
【0107】
方法: インビトロ実験を、ヒトの抜歯した歯の象牙質の標準化したスラブを用いて実施した。抜歯した歯からディスク状に切断して、それを粉砕することおよび研磨することにより調製して検査表面を標準化した。それらをエッチングして観察が良好となるようにスメア層(smear layer)を除去し、スラブを半分に切断して適合検査(matching test)および対照サンプルに提供した。象牙質ブロックの研磨した表面を、それぞれの処理を30秒間の環状運動で穏やかにスワブした。処理した材料を、象牙質ブロックにさらに30秒間静置し、次に水道水で約60秒間激しくリンスして歯磨きペーストの残留物を除去した。次に、サンプルを乾燥し、唾液を模倣した37℃の浴槽に5 分間静置した。5分間後、同じ処理を各サンプルが全体で10回処理されるまで行い、サンプルを再び処理した。全サンプルを、影響を視覚化するために走査型電子顕微鏡(SEM)に設置した。
【0108】
結果: SEM評価で対照サンプルが、大量に開放した象牙管を有するが、しかし、処理サンプルは開放した管を非常に僅か有することが認められた。前記管の双方を、CaP粒子を残すことにより閉塞させた。
【0109】
例9
以下に、制御された形態およびヒトの体においてまたは体を模倣した環境において調製した粒子からの制御されたイオン放出、例えばストロンチウム放出のためのイオン置換CaP粒子の形成が、1) ダルベッコリン酸緩衝液D8862 (D-PBS)に基づく塩溶液、2) 自作のTris-HClおよび3) 蒸留水、以下、それぞれ、M1、M2およびM3と称される、を利用する3つの異なるアプローチを参照して詳細に記載される。これらの塩溶液の例は、表1に認められる。塩溶液の1又はそれ以上の成分の濃度は、変化できる。
【表1】

【0110】
医療用に関して、放出されたイオンの割合および量を知ることおよび制御することが必要であることから、一般的には放出試験が実施される。このようなことから本発明のCaP粒子は置換イオン、特にSrイオン、の放出について評価される。体の状態を模倣するために、インビトロでの放出検査は、しばしば模倣した体液中で実施される、この溶液はヒトの血漿の組成と類似する組成で7.4前後のpH値を有する溶液である。様々な溶液が知られており、幾つか溶液は無機成分のみを含み、他の溶液は同様に有機物を模倣することを試行している。
【0111】
液体中のストロンチウム濃度が長期にわたり測定される放出試験は、異なるタイプのバイオ物質、例えば、バイオガラス、骨セメントまたは複数層のナノ粒子に関して、以前に行われており、2つの異なる方法は共通している。材料が同じ液体中に全時間残る連続的な方法で累積的な放出が決定され、他方で動的な方法では前記液体は各々の標本抽出後に変化し、それゆえ前記液体の初期の組成は各時間で同じであり、まさに2つのサンプル間の放出量が測定される。影響に関する情報を得るために、それぞれ、放出イオンの毒性濃度、細胞試験を行う必要があり、これら試験をインビトロまたはインビボで行うことができる。
【0112】
M1に関して、1リットルのD-PBSおよび0.6mMの硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)2)を、ガラス容器に満たし、これを密閉し、乾燥器に24時間、100℃で設置した。液体前駆体は、模倣した体液(SBF)に基づいたものであってもよい。D-PBSおよびSBFの組成は、以下の表中で血漿の組成と比較される。
【表2】

【0113】
M2は、自作のPBSに基づいており、Tris-HClと称される。この溶液1リットルは、500 mlの0.1M トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、420mlの0.1 M HClおよび5.844gのNaClに溶液が1リットルになるまで蒸留水を加えて調製した。pH値を7.4に調整した。
【0114】
M2の基礎版は、自作のPBSを模倣し、緩衝液の影響を研究する試みである。全ての所望のイオン(Ca、P、Mg)は、M1に使用されるD-PBSと同じ濃度でTris-HClに添加される。0.6mMの硝酸ストロンチウムを溶液に添加し、次にこれをガラス容器に満たし、24時間、100℃で維持した(M1と比較されたい)。
【0115】
研究の1つの目的は、マグネシウムの形態における影響を示すことであった。この目的のために、溶液中のMg濃度を等しく4段階で減少させ、これらの段階は当初のMg濃度の0.5mMの0.75、0.5、0.25および0倍であった。これらの方法を、それぞれM2-0.38Mg、M2-0.25Mg、M2-0.13Mg、M2-0Mgと命名した。さらに、時間依存性、それぞれのエイジングを調査し、全てのバリエーションを1時間および24時間の反応時間で調製した。
【0116】
別の目的は、ストロンチウムの形態における影響を示すことであった。この目的のために、0.5mM MgおよびMgフリーの24時間のバリエーションをストロンチウム(M2-0Sr、M2-0Mg-0Sr)なしおよびM2-H2Oで調製し、この際M2と同じイオン濃度を使用した。しかし、蒸留水は液体前駆体であり、これにより初期のpHの7.2-7.3を生じる。上記の表は、全てのバリエーションの組成を示している。
【0117】
M3に関して、蒸留水を、液体前駆体として使用した。2つの別々に調製された溶液(第1の溶液中でPおよびHCO3および第2の溶液中でCa)を、室温でマグネチックスターラと共にビーカーに添加した。サンプルを5分間の反応時間の後に集めた。
【0118】
M3-Srに関して、0.6 mMのストロンチウムを添加し、サンプルを5分間および1時間後に得た。M3-Sr-0HCO-3に関して、溶液を炭酸塩を添加することなく調製した。M3-Sr-2xおよびM3-Sr-5xに関して、イオン濃度は、溶液リットル毎の球の量を増加させる試みにおいて、それぞれ2および5の係数で増加した。調製した粒子の形態を、走査型電子顕微鏡 (SEM)で試験した。
【0119】
X線回折を使用して粒子の結晶構造が決定された。この試験に関して、シリコンウェーハをエタノール粒子溶液(ethanol-particle-solution)でカバーし、エタノールを蒸発させ、サンプルをCu Kα照射 (λ=1.5418)を用いるX線回折計で検査した。生じるパターンを、コンピュータ(DIFFRACplus EVA, Bruker)の手段で分析した。
【0120】
置換イオンから利益を得るためには、CaP粒子が体中で分解することが必要である。分解は、例えばヒトの血液に関して7.35および7.45の間で異なるpH値のような多くの因子に依存し、同様に材料の結晶化度および格子歪をCaPの構造に導入する基またはイオンをドープすることまたは置換することに依存する。速い分解は、例えば、低いpH値、マグネシウムおよびストロンチウムの取り込みおよび結晶化度の減少または表面領域の増加により発生する。一般的に、CaPの溶解性は、ACP>TTCP>>α-TCP>>β-TCP>>CaPであり、非晶形リン酸カルシウムがトリリン酸カルシウムよりも非常に速く分解することおよびリン酸カルシウムが最も安定なCaPであることを意味している。
【0121】
本発明にしたがって製造されたストロンチウムドープCaP粒子の浸漬液体へのストロンチウム放出および周囲のpH値への依存性を実証するために、4つの異なる溶液を調製し、M1から100mgの球をこれらの溶液のうちの1つを各々100 ml有するボトルに入れた。前記ボトルを、密封し、37℃で僅かに振盪(水平方向に25 rev/分間)して、体の環境を模倣した。使用した溶媒はTris-HClであり、そのpH値はそれぞれ6.8、7.4および8.0に調整されたので、ヒトの血液のpH値の付近である、また同様にpH値7.4を有する単純なD-PBS(P4417、P、K、Na、Clを有する)を使用した。
【0122】
12サンプルを、15 分間および13日間の間の反応時間後に得た。毎回ビン中の上部の2mlの溶液を、ピペットで取り、チューブを満たした。その後、ビンを2 mlの特定の溶媒を再充填した。次に、サンプルを遠心分離し、沈殿が観察されたケースでは液体を新しいチューブに注ぎ、沈殿物を2 mlの特定の溶媒に分散した。次の標本抽出の後、ビンを、このケースにおいて2 mlの新鮮な溶媒の代わりにこの2ml溶液で再充填した。さらに、20mgの粒子を、5mlの1モル濃度のHClに溶解して、粒子の全組成を決定した。
【0123】
サンプル中のイオン濃度を、高周波誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES: Inductively Coupled Plasma - Optical Emission Spectrometry)で決定した。
【0124】
4つの異なる溶液中で13日間を経過させた後に、粒子を遠心分離し、エタノール中で洗浄し、乾燥させた。SEMを使用して形態の変化を検査した。
【0125】
図1’のSEM写真は、各々がストロンチウムを含む3の異なる基礎的なアプローチからの粒子を示す。全ての粒子タイプは球状の形を示すが、各々はユニークな形態を有する。図1a’に示されるM1からの粒子は多孔性の表面および1および2μmの間の直径を有し、図1b’に示されるM2-粒子はロープ様構造を示す300nm〜2μmのサイズの粒子であり、図1c’に示されるM3-Srで生産される球は僅か100〜200nmの小さいものであり、イメージ中で分解できない滑らかな表面構造を有する。X線回折によって、M3の球が非晶形であることおよびM1およびM2からの球がCaP結晶構造を有することが決定された。
【0126】
Tris-HCl緩衝液が水で置換されたM2-H2Oの実験において、生じる粒子の形態は高い多様性を示し、サイズ分布が広範囲であった。しかしながら、多くの粒子は球状であり、幾つかは中空であり、他は多孔性または柔毛状(furry)であった。少数の代表的な例は図2’に示される。
【0127】
図3’にストロンチウムおよびマグネシウム濃度を変化させたM2の実験結果を合わせて示す。Mg濃度は写真の最初の列における0.5 mMから最後の列のMgフリーにまで垂直方向に減少し、最初の2列は1時間および24時間の反応時間の間の差を示し、列2および3はそれぞれ0.6mMおよび0mMのSr濃度での粒子を比較している。マグネシウムが球の表面構造に影響することは明らかである。0.5 mMのMgでの24時間粒子は毛糸の玉に見えるが(図3b)、Mgフリーの粒子は高度に多孔性でフラワー様に見えた(図3k)。形態の変化に関する境界は、0.38 mMのMg濃度付近である。この組成の粒子の写真(図3e)は、フラワー状およびロープ状の間の形に見えるが、双方の状態を示す粒子がサンプル中に提示された。図3’の最初の列に、1時間の反応時間後の粒子の状態が認められる。フラワー粒子の核は既に同じ構造を有するが、完全に球状ではなく(図3f、h、j)、0.5mMおよび0.38mMのMg球の核は、柔毛状の表面を有する粒子であり、24時間の粒子よりも非常に小さかった(図3a、3d)。Mgの効果は優性であり、Srの効果はこれらの実験において小さかった、しかし、明らかにMgフリーのフラワーはSrが存在する場合に小さかった(図3k、3l)。Mg含有球の写真(図3b、3c)において、Srの有意な影響は認められなかった。
【0128】
Mg濃度を変化させた粒子のXRDパターン(反応時間24時間)は、図4’に示される。全サンプルに関して、特徴的なリン酸カルシウムのピークが検出できた。
【0129】
M3を変化させて調製された粒子を図5’に示す。(a)の粒子をM3を用いて製造したところ、M3-Sr、即ち0.6mMストロンチウムでのバージョン(図1c)と差がないことが示された。2倍のイオン濃度、即ちM3-Sr-2xの溶液からの(b)の粒子は依然として球状の粒子を示し、5倍の濃度、即ちM3-Sr-5xは不規則な形の粒子(c)を産生した。M3-Sr-0HCO3-で生産された炭酸塩なしの粒子(d)は、非常に小さかった(<100 nm)。XRD分析はランダムパターンを生じ、この結果はM3の全ての粒子が非晶形であることを意味している。XRDパターンの一例は図6’に示される。
【0130】
M1の使用によって、D-PBSのリットル毎に130mg付近の粒子が生じる。M2を用いることにより緩衝液リットル毎に180mgの粒子が提供され、M3は溶液リットル毎に190mgを生産する。使用された塩の質量毎に粒子の質量を考慮する場合に、生産性における差はなおさら明らかとなる。これらの生産性は、それぞれ13.3, 24.0 および 55.9 mg/g付近であった。
図7’にストロンチウム放出試験の曲線を示す。全ての曲線の進行は、対数形である。最初に放出は非常に速く進行し、15 分間付近後の最初の測定ポイントでストロンチウム濃度は、既に20および45%の終濃度の間であり、2日間の放出後に変化は最小であった。
【0131】
ストロンチウムの放出量は溶液に依存し、Tris-HCl溶液のpH値が低い場合に放出は高かった。次の表に示される13日間後に溶液中で放出されたストロンチウムの総量は、pHが1.2増加することにより放出が50%近くに低下することを示している。驚くべきことに、D-PBS中の放出割合は、Tris-HCl中の放出割合よりも非常に低く、最終的なストロンチウム濃度は8.20mg/g・lであり、同じpH値を有するTris-HClにおける放出割合の4分の1未満であった。
【表3】

【0132】
さらに、粒子中の総ストロンチウムの放出パーセンテージは、HCl溶解粒子のICP測定により行われた以下の表に示されるように粒子の組成のデータを用いて計算された。pH6.8のTris-HClにおいて、20.3%のストロンチウムが13日間後に溶解された。しかし、D-PBS中では球のストロンチウム含有量のちょうど3.5%が溶液中で検出された(上記表を比較されたい)。
【表4】

【0133】
それぞれTris-HClおよびD-PBS中で37℃で経過させた後に、M1からの粒子の形態が僅かに変化し、分解の徴候が視認できたが、粒子の形は依然として球状であった。しかしながら、それぞれTris-HCl、pH6.8、Tris-HCl、pH7.4およびTris HCl、pH8.0に対応する図9a-cに示されるように、Tris-HCl実験のSEM写真の間に認識しうる有意差は存在しない。全ての粒子は多孔性の表面を示し、幾つかはさらに深い亀裂を生じ、特に図9aにおいて視認できる。図9dに示されるD-PBS、pH7.4中で経過させた粒子は、当初の粒子の写真(図1a)と比較して最も変化した。多くの粒子は表面にフレークまたはシートを生じており、この結果は分解が生じることのみならず、材料の再形成およびリモデリングも生じることを意味している。13日間後の溶液のpH値は、6.75、7.15、7.75および7.45と測定され、Tris-HCl溶液のpH値は減少し、D-PBSのpH値は僅かに増加した。しかし、これらの変化は全体では無視でき、pH値は定常と考えることができる。
【0134】
Tris-HCl緩衝液が水で置換されたM2-H2Oの実験により、pH値の粒子の形への影響が試験できた。この結果は、緩衝剤なしでpH値が全反応時間にわたって定常のままではないことによる。このパラメータの変化によって、異なるプロセスの優位性が導かれ、異なる形態が生じるのであろう。それ故、この方法による粒子は、形態およびサイズにおいて高い多様性を示した。この結果から、反応溶液のpH値を調整することにより、および恐らく同様に全反応間で定常性を維持することまたはpH値の特定の変化を準備することにより粒子の形態を制御できるであろうことが理解できる。M2からの球の形態におけるマグネシウムの影響に関する研究において、2つの異なる構造タイプが検出でき、これらの2つの間を転移する臨界濃度は0.38mM Mgの組成の付近であることが認められる。写真は、双方の特徴的な形の混合の形態を有する粒子を示している(図3'e)。恐らく、フラワー様の粒子のコアは低マグネシウムで球と同様に形成され、その後に表面でフレークが成長する。しかしながら、この仮定は1時間の実験の結果と適合しないので、粒子の核形成が異なることが明らかとされた。それでも、フレークはロープ様構造の球の表面で成長し、それゆえ一種のフラワー形態が混乱した核から生じることが可能である。さらに、Mgの量にかかわらず、全ての粒子がCaP構造を有することが認められた。
【0135】
全ての方法の結果を比べた場合に、液体前駆体が材料の形成に影響することは明らかである。ストロンチウムは、D-PBS中での球の形成に関する鍵となる因子であるが、M3においてストロンチウムの付加は視認しうる影響はない。しかし、炭酸塩は影響があった。M2においてストロンチウムなしの粒子はまだ球状であり、マグネシウムはストロンチウムよりも形態に大きく影響した。さらに、同じ塩組成での溶液および異なる緩衝液(M1、M2)で調製された粒子の形態は全く異なっており(図1b、c)、Tris-HCl粒子の表面は組織化したが、PBS粒子はむしろほんの僅かに窪みがある表面を有し、加えて、後者は中空であることが示されたが、M2からの球は固体である。
【0136】
本出願に記載された方法において、形態の変化が観察されたが、粒子の形は常に実質的に球状であった。
【0137】
M3からの粒子は非晶形であるので、この粒子の分解はM1およびM2よりも非常に早く生じる。このように、M3により形成された粒子は、例えば乾燥器で任意で熱処理されて結晶材料が達成される。熱処理のための1つの方法は、粒子が分散されているため凝集する危険性が少ない溶液中での成熟である。
【0138】
調製された粒子の医療用の特殊な品質は、2つの群に分けることができる。第1の群は、骨再生を刺激するために使用できる導入されたストロンチウムを放出することであり、考えられるものは局所注射であろう。第2の群は、生体適合性の担体粒子として適用するために優れた特性を示す小さいサイズの粒子および球状の形である。その生体適合性によって、体中での循環に適切なものとなり、機能化した場合には必要とされる吸着した物を正確に体の場所に送達できるだろう。この事項は、剤の欠損が小さく、活性成分の総量を減らすことができることを意味する。優れた効率性、それぞれ大きい比表面積を有し、高度に多孔性であるまたはむしろ中空である粒子に関して、体積が大きいことが有利であり、従ってM1およびM2から粒子が提供される特性が有利である。考えられる適用は、マーカー物質としての薬および遺伝子の送達または使用である。
【0139】
イオン置換CaP粒子のための1つの適用は、歯のケアのための製品に関する。フッ素は、この適用分野に有利な特性を有することが知られている。ストロンチウムは、歯の過敏性に対して効果を有し、粒子の球状の形が近くの象牙管(dentinal tube)にさらに良好に適合し、それと共にそれらを横切った流体の流れを阻止し、過敏性および痛覚が減少するだろう。
【0140】
粒子は様々な横断面の形を有してもよいので、直径の用語は有効な直径を参照することを意図する本出願の目的のための用語である。
【0141】
本発明は、現在最も実際的で好適な態様であると考えられるものに関連して記載されるが、本発明が開示された態様に限定されず、添付される特許請求の範囲に記載される様々な修飾および均等な配置(arrangements)を含むことを意図していると理解される。
【0142】
例10
0.6 mMのSr溶液での例1を用いている空洞骨欠陥モデル(cavital bone defect model)での骨再生における球状のSr置換CaP(Sr-CP)粒子の効果を研究するために動物試験が行われた、この際に使用した球のサイズは100〜1000nmであり、粒子は中空コアおよび滑らかなシェルを有する球状のものであった。
【0143】
方法: 前記動物を、材料移植前手術の12週前に前手術した。500〜600と計量された雄性ウィスター系ラットを、2L/分間のO2、400cm3/分間のN2O、200cm3/分間のハロタンで麻酔した。尾をベタジンで3回洗浄し、出血を予防するために尾を根元で結紮した。尾の先端を、外科的に除去し、欠陥部を尾の椎骨の遠位側を通してドリルした。直径2mmで3.5mmの深さの空間を欠陥部の深さを標準化するためのストッパーを有する特殊なドリルチップにより作った。椎骨の自己再生を停止させるために、キルシェンワイヤーを孔にインプラントした。傷を非再吸着ポリプロピレンモノフィラメント4/0 Premilene 45cm縫合材を用いて縫合した。キルシェンワイヤーの位置をX線で追跡した。12週後に動物を麻酔し、上記と同じ処置で洗浄した。キルシェンワイヤーインプラントを除去した。
【0144】
球状のSr-CP粉末を、使用する前に2滴の自己血液と事前に無菌条件下で混合した。欠陥部を、Sr-CP(n=5)、骨細片(n=5)の何れかで充填するかまたは陰性対照として空の状態(n=7)とし、傷を上記と同じ処置で閉鎖した。全ての外科的な処置を無菌条件下で行った。動物を彼等の耳を切ることおよび耳標でマークした。Sr-CP骨の骨の内殖(bone ingrowth)および再生を追跡するため、骨細片および空の欠陥部を単一同位体nanoSPECT-CTにより分析した。NanoSPECT-CTを、週に1度6週間実施し、最終的な分析を12週に実施した。12週後に動物を過度に麻酔し、放血させることで安楽死させ、手術した椎骨および次の健常な椎骨を外科的に摘出し、15mlの4%ホルムアルデヒド中に配置し、マイクロCTで分析した。
【0145】
結果: 12週後に骨梁(trabecular bone)が、Sr-CPを用いて充填した孔の欠陥部中に形成された。骨の硬化が増強され、総欠陥体積の約80%が新しく形成された骨で充填された。しかしながら、骨細片で固定された孔中に骨の硬化は存在しない。結果は、骨空隙の充填材料としてのこれらの球状CaP粒子の潜在的な適用が優れていることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン置換リン酸カルシウム化合物の粒子を形成するための方法であって、以下の工程を含む方法:
− カルシウムイオン、リン酸イオンと、マグネシウム、ストロンチウム、シリコン、フッ化物、バリウム、鉄および亜鉛から選択される1または1以上の置換イオンとを含み、さらに、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、炭酸イオンおよび硫酸イオンから選択される1または1以上のイオンを任意に含む水溶液を提供すること、水溶液は、2.0〜10.0の範囲の初期pHと20℃ 〜150℃の温度を有する、および
− 静的プロセス、撹拌プロセスおよび/またはハイドロサーマルプロセスの形式で自己集合化プロセスにより溶液中の粒子を沈殿すること。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、溶液における前記粒子の成長および自己集合の工程を含み、それによって中空コアおよび高密度シェル、または中空コアおよび多孔性シェル、または多孔性コアおよび高密度シェル、または多孔性を有するイオン置換粒子が、前記溶液中の置換イオンの濃度の調整により形成される方法。
【請求項3】
請求項1および2の何れか1項に記載の方法であって、1または1以上の置換イオンの濃度は、Sr2+に関して0.01〜1.0 10-3M、Si4+に関して0.01〜10 10-3MおよびF-に関して0.01〜0.5 10-3Mの範囲にあるべき方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、Sr2+の濃度は、0.01〜0.08mMである方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、Sr2+の濃度は、0.1〜0.2mMである方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、Sr2+の濃度は、0.2〜0.4mMである方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、Sr2+の濃度は、0.5〜0.7mMである方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の方法であって、Sr2+ 濃度は、0.01〜0.7mM、例えば、0.01または0.05を超えるまたは0.1を超えるまたは0.3を超えるまたは0.7または0.6未満または0.5mM未満;およびMg2+濃度は、0.1〜0.5mM、例えば、0.1または0.2を超えるまたは0.3を超えるまたは0.5または0.4mM未満である方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法であって、pHは6.0〜8.0である方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の方法であって、前記溶液は、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸イオンと、ナトリウム、カリウム、塩化物、炭酸または硫酸イオンの1または1以上を含み、前記イオンの濃度は:
カルシウムイオンは、0.01〜25 x 10-3Mの範囲であり、
マグネシウムイオンは、0.01〜15 x 10-3Mの範囲であり、
ナトリウムイオンは、0.01〜1420 x 10-3Mの範囲であり、
カリウムイオンは、0.01〜1420 x 10-3Mの範囲であり、
塩化物イオンは、0.01〜1030 x 10-3Mの範囲であり、
リン酸イオンは、0.01〜10 x 10-3Mの範囲であり、
炭酸イオンは、0.01〜270 x 10-3Mの範囲であり、または
硫酸イオンは、0.01〜5 x 10-3Mの範囲である
方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の方法であって、少なくとも1つの置換イオンは、Sr2+である方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の方法であって、少なくとも1つの置換イオンは、Mg2+である方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の方法であって、温度は30〜70℃である方法。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の方法であって、形成された粒子は、例えば、30℃を超えるまたは50℃を超えるまたは100℃を超える温度で熱処理される方法。
【請求項15】
多数の小単位の結晶性、非晶形または双方のリン酸カルシウム材料の凝集物から構成されるリン酸カルシウム化合物の粒子であって、リン酸カルシウムの粒子は、1または1以上の置換イオン マグネシウム、ストロンチウム、シリコン、フッ化物、バリウム、鉄および亜鉛を含むこと、並びに前記粒子は中空コアおよび高密度シェル、または中空コアおよび多孔性シェル、または多孔性コアおよび高密度シェルを有する、または前記粒子は多孔性であることを特徴とする粒子。
【請求項16】
請求項15に記載の粒子であって、実質的に球状の粒子。
【請求項17】
請求項15および16に記載の粒子であって、10〜1000nmの直径、例えば、10nmまたは50nmを超えるまたは100nmを超えるまたは1000nmまたは500nm未満または300nm未満の直径を有する粒子。
【請求項18】
請求項15〜17の何れか1項に記載の粒子であって、中空および/または多孔性の粒子。
【請求項19】
請求項15〜18の何れか1項に記載の粒子であって、高密度シェルを有する多孔性コアを有する粒子。
【請求項20】
請求項15〜19の何れか1項に記載の粒子であって、置換イオンとしてSr2+、Si4+およびF-の1または1以上を含む粒子。
【請求項21】
請求項15〜20の何れか1項に記載の粒子であって、ストロンチウム濃度は、0〜35重量%、例えば、5%を超えるまたは15%を超えるまたは25%を超えるまたは35%または30%未満または20%未満または10%未満である粒子。
【請求項22】
請求項15〜21の何れか1項に記載の粒子であって、マグネシウム濃度は、0〜10重量%、例えば、1%を超えるまたは3%を超えるまたは5%を超えるまたは10 %または8%未満または5%未満である粒子。
【請求項23】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の薬物送達適用における使用であって、中空および/または孔を薬、造影剤、放射ラベルした粒子で充填すること、または前記薬、造影剤、放射ラベルした粒子を前記粒子の表面に吸着または付着させることによる使用。
【請求項24】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の遺伝子または成長因子の送達のための使用であって、中空および/または孔を前記遺伝子および/または成長因子で充填すること、または前記遺伝子および/または成長因子を前記粒子の表面に吸着させることによる使用。
【請求項25】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の制御されたイオン放出のための使用。
【請求項26】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用であって、最小限の歯侵襲性の予防処理、例えば、清浄、研磨、ホワイトニング、歯の漂白およびブラスティング、シーラント、歯腔の予防、歯の保存および回復のため、並びに漂白後のエナメル表面を改善するための使用。
【請求項26】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用であって、歯周炎の治療のための使用、または歯腔の充填材料としての使用または移植材料としての使用または重金属イオンの吸着剤としての使用。
【請求項27】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用であって、過敏な歯根の治療のための歯磨きペースト、過敏化を改善するための歯磨きペースト、および早期カリエスの治療のための歯磨きペーストにおける充填粒子としての使用。
【請求項28】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用であって、エナメルの治療のためのデンタルテープまたはペースト、練り歯磨き、マウスウォーター、口内洗浄剤、マウススプレー、クリーム歯磨き、漂白およびホワイトニングペースト剤としての使用。
【請求項29】
食物サプリメントおよびチューイングガムとしての請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用。
【請求項30】
骨の充填剤としてのまたは骨成長を刺激する手術における請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用であって、前記粒子は、置換イオンおよび放出イオンとしてSr2+を含む使用。
【請求項31】
骨の修復および再生のための請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用。
【請求項32】
歯の修復および再生のための請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子の使用。
【請求項33】
薬物送達適用における請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物であって、薬物が造影剤および放射ラベルした粒子を含む組成物。
【請求項34】
粒子の中空および/または孔を遺伝子および/または成長因子で充填すること、または遺伝子および/または成長因子を粒子の表面に吸着させることによる、遺伝子または成長因子の送達のための請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物。
【請求項35】
制御されたイオン放出のための請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物。
【請求項36】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物であって、最小限の歯侵襲性の予防処理、例えば、清浄、研磨、ホワイトニング、歯の漂白およびブラスティング、シーラント、歯腔の予防、歯の保存および回復のため、並びに漂白後のエナメル表面を改善するための組成物。
【請求項37】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物であって、歯周炎の治療のための組成物、または歯腔の充填材料としての組成物または移植材料としての組成物または重金属イオンの吸着剤としての組成物。
【請求項38】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物であって、過敏な歯根の治療のための歯磨きペースト、過敏化を改善するための歯磨きペースト、および早期カリエスの治療のための歯磨きペーストにおける使用の組成物。
【請求項39】
請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物であって、エナメルの治療のためのデンタルテープまたはペースト、練り歯磨き、マウスウォーター、口内洗浄剤、マウススプレー、クリーム歯磨き、漂白およびホワイトニングペースト剤としての組成物。
【請求項40】
食物サプリメントおよびチューイングガムとして請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物。
【請求項41】
骨の充填剤としてのまたは骨成長を刺激する手術における請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物であって、前記粒子は置換イオンおよび放出イオンとしてSr2+を含む組成物。
【請求項42】
骨の修復および再生のための請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物。
【請求項43】
歯の修復および再生のための請求項15〜22の何れか1項に記載の粒子を含む組成物。

【図1】
image rotate

【図1−1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図8】
image rotate

【図8−1】
image rotate

【図9】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate

【図10】
image rotate

【図10−1】
image rotate

【図10−2】
image rotate

【図11】
image rotate

【図11−1】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate


【公表番号】特表2013−500935(P2013−500935A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523588(P2012−523588)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050874
【国際公開番号】WO2011/016772
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(511260861)バイオマトセル・エービー (2)
【氏名又は名称原語表記】Biomatcell AB
【住所又は居所原語表記】Erik Dahlbergsgatan 11A, SE−411 26 Goeteborg, Sweden
【Fターム(参考)】