説明

イオン選択性電極、イオン選択性電極モジュール、及びイオン選択性電極の製造方法

【課題】高い歩留まりを有するイオン選択性電極、イオン選択性電極モジュール、及びイ
オン選択性電極の製造方法を提供する。
【解決手段】被検試料が流通する第1の貫通孔6d及び第1の貫通孔6dの一部に連通す
る第1及び第2の開口部6e,6fを有する第1のセンサ本体6と、第1及び第2の開口
部6e,6fを閉塞して形成された第1及び第2のイオンに選択的に応答する第1及び第
2の感応膜71,81と、第1及び第2の感応膜71,81で応答した電位を外部に出力
するための第1のセンサ本体6に保持された第1及び第2の出力子72,82とを備え、
第1及び第2の開口部6e,6fは、第1の貫通孔6dに近づく従い、その開口の面積が
狭くなるすり鉢状の傾斜面を形成し、第1及び第の感応膜71,81は前記傾斜面で保持
されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に含まれているイオンの分析に用いられるイオン選択性電極、イオン
選択性電極モジュール、及びイオン選択性電極の製造方法に関わり、特にヒトの血液や尿
などに含まれるイオンを分析するイオン選択性電極、イオン選択性電極モジュール、及び
イオン選択性電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検試料に含まれるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンなどの電解質は、
各電解質に選択的に応答するイオン選択性電極及びこの電極の基準となる参照電極により
構成されるイオン選択性電極モジュールの各電極間の起電力を測定することにより、被検
試料中の電解質の濃度を求める。このイオン選択性電極及び参照電極は、被検試料に含ま
れる生化学検査項目や免疫検査項目などの成分を分析する自動分析装置や電解質を専用に
測定する装置に装着されて用いられる。
【0003】
このイオン選択性電極では、被検試料に含まれる特定のイオンに対して選択的に応答す
る感応物質を含む成分により構成される感応膜の電位を、内部電極を介して出力ピンに出
力する。また、参照電極では、被検試料に対して発生する一定な電位を、内部電極を介し
て出力ピンに出力する。そして、イオン選択性電極及び参照電極間の電位差である起電力
を測定することにより、特定イオンの濃度を求めることができる。
【0004】
ところで、小型化が可能なイオン選択性電極の製造方法として、測定対象のイオンに対
して応答する感応物質を含む成分を溶剤で溶解した溶解液を電極本体に少量ずつ繰り返し
塗布した後、充分に乾燥させることにより感応膜を形成する方法が知られている(例えば
、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−295261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、塗布した溶解液内に気泡が発生し、乾燥した後にその気泡により感応膜
に気孔が形成されることがある。その気孔が被検試料と接触する感応膜の表面に形成され
ると、製造したイオン選択性電極を例えば濃度の異なる複数の被検試料を用いて検査する
とき、感応膜の気孔内に以前の被検試料が残存し、次に測定する被検試料を汚染して測定
結果に悪影響を与える。これにより、イオン選択性電極の歩留まりが低下する問題がある

【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、高い歩留まりを有するイオン
選択性電極、イオン選択性電極モジュール、及びイオン選択性電極の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明のイオン選択性電極は、被検試料が
流通する貫通孔及びこの貫通孔の一部に連通し、内面を有する開口部を有するセンサ本体
と、前記開口部を閉塞して形成され、所定のイオンに選択的に応答する感応膜と、前記セ
ンサ本体により、前記内面から前記感応膜が保持される側に一部が出て配置され、当該感
応膜で応答した電位を外部に出力するための出力子と、前記出力子のうち、前記内面から
前記感応膜が保持される側に出ている一部の表面に形成される内部電極と、を備え、前記
感応膜は、前記内面のうち前記出力子が保持されている部分で保持されていることを特徴
とする。
【0009】
また、請求項8に係る本発明のイオン選択性電極モジュールは、 請求項1乃至請求項
3に記載のイオン選択性電極と、前記被検試料が流通する貫通孔を有する参照電極本体、
この参照電極本体の貫通孔に形成された液絡孔、前記液絡孔を介して前記被検試料に流通
可能に前記参照電極本体内に収容された内部液、及びこの内部液に一端部が接触して前記
液絡孔におけるほぼ一定な電位を出力するための出力子を有する参照電極と、前記センサ
本体の貫通孔及び前記参照電極本体の貫通孔を貫通するように配置された前記センサ本体
及び前記参照電極本体を着脱可能に狭持する支持体と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
更に、請求項11に係る本発明のイオン選択性電極の製造方法は、被検試料が流通する
貫通孔と、この貫通孔の一部に連通し、内面を有する開口部とを有するセンサ本体の前記
貫通孔にほぼ隙間なく適合するピンを挿通し、所定のイオンに選択的に応答する感応物質
からなる感応膜が、前記内面のうち、前記センサ本体に保持され前記感応膜で応答した電
位を外部に出力するための出力子の一端部が保持されている部分を含んだ部分で保持され
、前記出力子の一端部は、前記内面から前記感応膜が保持される側に出て配置され、前記
内面から前記感応膜が保持される側に出ている一部の表面に形成される内部電極と前記感
応膜とが接するように前記感応物質を含む成分を溶剤に溶解した溶解液を塗布し、塗布し
た前記溶解液の溶剤が気化した後に、前記貫通孔から前記ピンを抜くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検試料が流通する貫通孔を有するイオン選択性電極本体に貫通孔の
一部に連通するすり鉢状の開口部を設け、この開口部に感応膜を形成することにより、イ
オン選択性電極の歩留まり及び品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係るイオン選択性電極モジュールの構成を示す図。
【図2】本発明の実施例に係るマルチイオンセンサの構成を示す図。
【図3】本発明の実施例に係るマルチイオンセンサの一部を拡大した図。
【図4】本発明の実施例に係るマルチイオンセンサの第1及び第2の出力子の構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第3のイオン選択性電極の断面を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る参照電極の断面を示す図。
【図7】本発明の実施例に係るイオン選択性電極モジュールの断面を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る第1の製造工程を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例に係る第1の製造工程の一部の工程を示す図
【図10】本発明の実施例に係るイオン選択性電極モジュールの製造工程を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施例に係るイオン選択性電極モジュールの概観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明によるイオン選択性電極モジュールの実施例を、図1乃至図11を参照
して説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るイオン選択性電極モジュールの構成を示した図である。
このイオン選択性電極モジュール10は、被検試料に含まれる例えばナトリウムイオン、
カリウムイオン、塩素イオンなどの特定のイオンに対して選択的に応答するイオン選択性
電極を備えたイオンセンサ部1と、イオンセンサ部1のイオン選択性電極の基準となる参
照電極2と、イオンセンサ部1の各イオン選択性電極及び参照電極2を狭持する支持体3
とを備えている。
【0015】
イオンセンサ部1は、第1の製造工程で製造される複数のイオン選択性電極を備えた蓋
9を有するマルチイオンセンサ4と、第1の製造工程とは異なる第2の製造工程で製造さ
れる第3のイオン選択性電極5を備えている。
【0016】
次に、図1乃至図4を参照して、マルチイオンセンサ4の構成を説明する。図2は、マ
ルチイオンセンサ4の構成を示す図である。そして、図2(a)は、図1に示した蓋9を
取り外したマルチイオンセンサ4を側面から見た図であり、また図2(b)は、図2(a
)のマルチイオンセンサ4の線X−Xにおける断面を示した図である。更に、図3は、図
2(b)に示したマルチイオンセンサ4の一部を拡大した図である。図4は、マルチイオ
ンセンサ4の一部の構成を示す図である。
【0017】
図2において、マルチイオンセンサ4は、電気絶縁性に優れた材料である例えば硬質の
塩化ビニール(PVC)からなる第1のセンサ本体6と、この第1のセンサ本体6に保持
された例えばナトリウイオン等の第1のイオンに選択的に応答する第1の感応膜71を有
する第1のイオン選択性電極7と、第1のセンサ本体6に保持された例えばカリウムイオ
ン等の第2のイオンに選択的に応答する第2の感応膜81を有する第2のイオン選択性電
極8と、第1のセンサ本体6に着脱自在に配置された蓋9とを備えている。
【0018】
第1のセンサ本体6は、円柱状の側面の一部に突起6aが形成された形状をなし、第1
のイオン選択性電極7と第2のイオン選択性電極8の間の絶縁が可能なように絶縁材から
形成される。また、第1のセンサ本体6の円柱状部分の上面及び底面に当たる一面6b及
び他面6cの夫々中心近傍を貫通する第1の貫通孔6dを備えている。そして、支持体3
の狭持により他面6cが第3のイオン選択性電極5に圧接した状態で、一面6b側の第1
の貫通孔6dから流入した被検試料を、他面6c側の第1の貫通孔6dから第3のイオン
選択性電極5に流出する。
【0019】
また、第1の貫通孔6dを中心として突起6aからほぼ90°回転した前記円柱状の側
面に形成された第1の貫通孔6dの一部に連通する第1の開口部6e及び第2の開口部6
fを備えている。
【0020】
第1の開口部6eは、第1のセンサ本体6の一面6bの近傍に位置し、図3に示すよう
に、第1のセンサ本体6の側面から第1の貫通孔6dに近づく従い、その開口の面積が狭
くなるすり鉢状の傾斜面(0<θ1<90°)を形成している。
【0021】
第2の開口部6fは、第1の開口部6eから離間して第1のセンサ本体6の他面6cの
近傍に位置し、第1の開口部6eと同様に、第1のセンサ本体6の側面から第1の貫通孔
6dに近づく従い、その開口の面積が狭くなるすり鉢状の傾斜面を形成している。
【0022】
第1のイオン選択性電極7は、第1のセンサ本体6の第1の開口部6eを閉塞して形成
された第1の感応膜71、及びこの第1の感応膜71で検出した第1のイオンに応答する
電位を出力するための第1の出力子72により構成される。
【0023】
第1の感応膜71は、第1のイオンに選択的に応答する例えばクラウンエーテル系の第
1の感応物質及びこの第1の感応物質を包含するPVC等により構成される。そして、図
3に示したように、第1の感応膜71の一面が第1の貫通孔6dの一部を形成し、その一
面と第1の開口部6eの傾斜面の境界は凹凸のない滑らかな面になっている。また、前記
一面と他面の間の側面が第1の開口部6eの傾斜面で保持されている。
【0024】
このように、第1のセンサ本体6に蓋9を未装着の状態で、第1の開口部6eに形成さ
れた第1の感応膜71を観察することができる。
【0025】
第1の出力子72は、例えば銀から形成されており、図4に示すように、一端部がリン
グ状をなし、他端部が前記リング状の一部から伸びた棒状をなしている。また、一端部に
おけるリング状の内周部分が第1の開口部6eの傾斜面から外側に出た位置に配置され、
前記内周部分の表面に塩化銀が形成された内部電極72aを構成している。この内部電極
72aに第1の感応膜71が接合されている。
【0026】
このように、内部電極72aに第1の感応膜71を接合することにより、内部液を必要
としないので、第1のイオン選択性電極7を小型にすることができる。
【0027】
また、他端部の一部が突起6aの外側に配置され、イオン選択性電極モジュール10が
装着される例えば電解質測定装置に接続される第1の出力ピン72bを構成している。そ
して、第1のセンサ本体6の第1の貫通孔6dに流入した被検試料等に含まれる第1のイ
オンに応答した第1の感応膜71の電位を、内部電極72aを介して電解質測定装置に出
力する。
【0028】
更に、内部電極72a及び第1の出力ピン72b以外の部分が第1のセンサ本体6に保
持されている。なお、第1の出力ピン72bが第1の貫通孔6dに対して垂直に配置可能
なように、第1のセンサ本体6に保持されている部分が屈曲している。
【0029】
第2のイオン選択性電極8は、第1のイオン選択性電極7から離間して配置され、第1
のセンサ本体6の第2の開口部6fを閉塞して形成された第2の感応膜81、及びこの第
2の感応膜81で検出した第2のイオンに応答する電位を出力するための第2の出力子8
2により構成される。
【0030】
第2の感応膜81は、第2のイオンに選択的に応答する例えばクラウンエーテル系の第
2の感応物質及びこの第2の感応物質を包含するPVC等により構成される。そして、図
3に示した第1の感応膜71と同様に、第2の感応膜81の一面が第1の貫通孔6dの一
部を形成し、その一面と第2の開口部6fの傾斜面の境界は凹凸のない滑らかな面になっ
ている。また、前記一面と他面の間の側面が第2の開口部6fの傾斜面で保持されている

【0031】
このように、第1のセンサ本体6に蓋9を未装着の状態で、第2の開口部6fに形成さ
れた第2の感応膜81を観察することができる。
【0032】
第2の出力子82は、第1の出力子72と同様にして形成され、一端部がリング状をな
し、他端部が前記リング状の一部から伸びた棒状をなしている。また、一端部におけるリ
ング状の内周部分が第2の開口部6fの傾斜面から外側に出た位置に配置され、前記内周
部分の表面に塩化銀が形成された内部電極82aを構成している。この内部電極82aに
第2の感応膜81が接合されている。
【0033】
このように、内部電極82aに第2の感応膜81を接合することにより、第2のイオン
選択性電極8を小型にすることができる。
【0034】
また、他端部の一部が突起6aの外側に配置され、イオン選択性電極モジュール10が
装着される電解質測定装置に接続される第2の出力ピン82bを構成している。そして、
第1のセンサ本体6の第1の貫通孔6dに流入した被検試料等に含まれる第2のイオンに
応答した第2の感応膜81の電位を、内部電極82aを介して電解質測定装置に出力する
。更に、内部電極82a及び第2の出力ピン82b以外の部分が第1のセンサ本体6に保
持されている。
【0035】
蓋9は、イオン選択性電極モジュール10の外部から第1のセンサ本体6の第1及び第
2の開口部6e,6f内に液体や高湿度の気体等が浸入し、第1のイオン選択性電極7の
第1の感応膜71と第2のイオン選択性電極8の第2の感応膜81の間の電気絶縁性が低
下するのを防ぐために設けられている。
【0036】
このように、第1のセンサ本体6を用いて複数の第1及び第2のイオン選択性電極7,
8を作製することにより、第1の貫通孔6dで構成される滑らかな被検試料の流路を形成
することができる。また、部品のコストを低減することができる。
【0037】
なお、第1のセンサ本体6に更に第3の開口部を設け、この第3の開口部に第4のイオ
ンに応答する第4の感応膜を形成した第4のイオン選択性電極を設けるようにしてもよい
。また、小型化を必要としない場合、内部電極72a,82aを第1及び第2の感応膜7
1,81の他面の上方に配置し、上方に配置した内部電極と第1及び第2の感応膜71,
81の間に電解質を含む内部溶液を封入するようにしてもよい。
【0038】
次に、図5を参照して、イオンセンサ部1の第3のイオン選択性電極5の構成を説明す
る。図5は、第3のイオン選択性電極5の断面を示した図である。この第3のイオン選択
性電極5は、電気絶縁性に優れた例えばPVCからなる第2のセンサ本体51と、この第
2のセンサ本体51に保持された例えば塩素イオン等の第3のイオンに選択的に応答する
第3の感応膜52と、この第3の感応膜52で検出した第3のイオンに応答する電位を出
力するための第3の出力子53とにより構成される。
【0039】
第2のセンサ本体51は、円柱状の側面の一部に突起51aが形成された形状をなし、
前記円柱状部分の上面及び底面に当たる一面51b及び他面51cの夫々中心近傍を貫通
する第2の貫通孔51dを備えている。そして、支持体3の狭持により一面51bがマル
チイオンセンサ4における第1のセンサ本体6の他面6cに圧接し、他面51cが参照電
極2に圧接した状態で、一面51b側の第2の貫通孔51dから流入した被検試料を他面
61c側の第2の貫通孔51dから参照電極2に流出する。
【0040】
突起51aの一面51b側の一面は第1のセンサ本体6の他面6c側の突起6aの他面
と同じサイズであり、また一面51bは他面6cと同じサイズであり、更に第2の貫通孔
51dは第1のセンサ本体6の第1の貫通孔6dの孔の断面と同じサイズである。そして
、支持体3で狭持されると、第2のセンサ本体51の一面51b及び突起51aの一面が
第1のセンサ本体6の他面6c及び突起6aの他面に一致し、且つ第2の貫通孔51dが
第1の貫通孔6dに一致するように、一面51bが他面6cに圧接する。また、他面51
cが参照電極2に圧接する。
【0041】
第3の感応膜52は、第3のイオンに選択的に応答する第3の感応物質等により構成さ
れ、第3のイオンが塩素イオンであると、例えば塩化銀を含む混合物を加圧成形すること
により形成される。加圧成形された混合物は円柱状をなし、この円柱状の中心近傍を貫通
する孔が第2の貫通孔51dの一部を形成し、円柱状の孔以外の面で第2のセンサ本体5
1に保持されている。
【0042】
第3の出力子53の一端面は、第3の感応膜52の側面に接続されている。また、他端
部は突起51aの外側に電解質測定装置に接続可能な第3の出力ピン53bを形成し、支
持体3に狭持されると、マルチイオンセンサ4における第2のイオン選択性電極8の第2
の出力ピン82bに平行に配置される。更に、一端面及び第3の出力ピン53b以外の部
分は、第2のセンサ本体51に保持されている。そして、第2のセンサ本体51の第2の
貫通孔51dに流入した被検試料等に含まれる第3のイオンに応答した第3の感応膜52
の電位を電解質測定装置に出力する。なお、第3の出力ピン53bが第2の貫通孔51d
に対して垂直に配置されている。
【0043】
次に、図6を参照して、参照電極2の構成を説明する。図6は、参照電極2の断面を示
した図である。この参照電極2は、電気絶縁性に優れた例えばPVCから形成された参照
電極本体21と、この参照電極本体21に保持された液絡孔22と、この液絡孔22を介
して被検試料と流通可能に参照電極本体21内に収容された内部液23と、この内部液2
3に接触して液絡孔22で検出した被検試料に対する電位を出力するための第4の出力子
24とを備えている。
【0044】
参照電極本体21は、円柱状の側面の一部に突起21aが形成された形状をなし、前記
円柱状部分の上面及び底面に当たる一面21b及び他面21cの夫々中心近傍を貫通する
第3の貫通孔21dと、前記円柱状内の第3の貫通孔21dの外周に形成された凹部とを
備えている。そして、支持体3の狭持により一面21bが第3のイオン選択性電極5にお
ける第2のセンサ本体51の他面51cに圧接した状態で、第2のセンサ本体51の第2
の貫通孔51dから一面21b側の第3の貫通孔21dから流入した被検試料を他面21
c側の第3の貫通孔21dから外部に排出する。
【0045】
突起21aの一面21b側の一面は第2のセンサ本体51の他面51c側の突起51a
の他面と同じサイズであり、また一面21bは他面51cと同じサイズであり、更に第3
の貫通孔21dは第2のセンサ本体51の第2の貫通孔51dの孔の断面と同じサイズで
ある。そして、支持体3で狭持されると、一面21b及び突起21aの一面が他面51c
及び突起51aの他面に一致し、且つ第3の貫通孔21dが第2の貫通孔51dに一致す
るように、一面21bが他面51cに圧接する。
【0046】
液絡孔22は、例えば管状の多孔質からなり、この多孔質の内面が参照電極本体21の
第3の貫通孔21aの一部を形成している。また、多孔質の一端部及び他端部が参照電極
本体21に保持されている。
【0047】
内部液23は、高濃度の塩化カリウム等を含んでおり、第3の貫通孔21aに流入した
被検試料に対して液絡孔22を介して流通可能に参照電極本体21内部の凹部に収容され
ている。
【0048】
第4の出力子24の一端部は、参照電極本体21の凹部に配置され、例えば銀/塩化銀
からなる内部電極24aを形成し、内部液23に接触している。また、他端部は、参照電
極本体21の突起21aの外側に、電解質測定装置に接続可能な第4の出力ピン24bを
形成し、支持体3に狭持されると第3のイオン選択性電極5の第3の出力ピン53bに平
行に配置される。更に、内部電極24a及び第4の出力ピン24b以外の部分は、参照電
極本体21に保持されている。そして、参照電極本体21の第3の貫通孔21dに流入し
た被検試料に応答する液絡孔22の一定な電位を電解質測定装置に出力する。なお、第4
の出力ピン24bは、第3の貫通孔21dに対して垂直になるように配置されている。
【0049】
次に、図1及び図7を参照して、支持体3の構成を説明する。
図7は、イオンセンサ部1のマルチイオンセンサ4、第3のイオン選択性電極5、及び
参照電極2の各電極が支持体3で狭持されたイオン選択性電極モジュール10の断面を示
した図である。
【0050】
支持体3は、各電極を一体にする第1及び第2の支持体31,32と、マルチイオンセ
ンサ4と第3のイオン選択性電極5の間及び第3のイオン選択性電極5と参照電極2の間
に配置されるパッキング33,34とを備えている。
【0051】
第1の支持体31は、筒状をなし、この筒状の一端部の縁辺がこの筒の中心方向に向か
ってほぼ垂直に屈曲している屈曲部31aと、前記筒状の他端部の外面に形成された第2
の支持体32に螺合する螺合面31bと、前記筒状の側面の一部に形成されたマルチイオ
ンセンサ4における第1のセンサ本体6の突起6a、第3のイオン選択性電極5における
第2のセンサ本体51の突起51a、及び参照電極2における参照電極本体21の突起2
1aに係合する切欠き31cとを有する。
【0052】
第2の支持体32は、第1の支持体31よりも短い筒状をなし、この筒状の一端部の縁
辺が中心方向に向かってほぼ垂直に屈曲している屈曲部32a、及び前記筒状の他端部の
内面に形成された第1の支持体31の螺合面31bに螺合する螺合面32bを有する。
【0053】
パッキング33は、第1のセンサ本体6の他面6cと第2のセンサ本体51の一面51
bの間の第1及び第2の貫通孔6d,51dの外周に配置される。また、パッキング34
は、第2のセンサ本体51の他面51cと参照電極本体21の一面21bの間の第2及び
第3の貫通孔51d,21dの外周に配置される。そして、第1及び第2の支持体31,
32で狭持されると、第1の貫通孔6dから第2の貫通孔51dに流入する被検試料、及
び第2の貫通孔51dから第3の貫通孔21dに流入する被検試料が外部に漏洩するのを
防ぐことができる。
【0054】
そして、第1の支持体31の他端部の開口部からマルチイオンセンサ4、パッキング3
3、第3のイオン選択性電極5、パッキング34、及び参照電極2を、各電極の各突起6
a,51a,21aが第1の支持体31の切欠き31cに係合するように第1の支持体3
1内に収容した後、第2の支持体32を螺合することにより、各電極が図1に示した矢印
L1及びL2方向から狭持される。
【0055】
なお、第1の支持体31を長くし、第4のイオン選択性電極を設けたマルチイオンセン
サ、第3のイオン選択性電極5、及び参照電極2を一体にするようにしてもよい。また、
第3のイオン選択性電極5と同様に、1つのイオンに応答する第5のイオン選択性電極を
も一体にするようにしてもよい。
【0056】
以下、図1乃至図11を参照して、イオン選択性電極モジュール10の製造工程を説明
する。図8は、マルチイオンセンサ4を製造する第1の製造工程を示すフローチャートで
ある。図9は、第1の製造工程の一部の工程を示す図である。図10は、図8で製造した
マルチイオンセンサ4を用いてイオン選択性電極モジュール10を製造する工程を示すフ
ローチャートである。図11は、イオン選択性電極モジュール10の概観を示す図である

【0057】
図8において、第1の製造工程S22は、ステップS1乃至S10で構成される。先ず
、第1及び第2の出力子72,82を例えば金型の所定の位置に配置した状態で、その金
型内にPVCを流し込んで射出成形することにより、第1及び第2の出力子72,82を
保持した第1のセンサ本体6を作製する(ステップS1)。
【0058】
第1の感応物質、PVC等にこれらの溶剤である例えばテトラヒドロフラン(THF)
を加えて溶解した第1の溶解液を調整する。また、第2の感応物質、PVC等にテトラヒ
ドロフラン(THF)を加えて溶解した第2の溶解液を調整する(ステップS2)。
【0059】
第1及び第2の溶解液の調整後、図9(a)に示すように、第1及び第2の出力子72
,82を保持した第1のセンサ本体6の第1の貫通孔6dに、ほぼ隙間なく適合するステ
ンレス鋼等の金属ピンを挿通する。そして、第1及び第2の出力ピン72b,82bを水
平に向け、更に傾斜面が上方に向かって開口の面積が広くなる向きに配置した第1のセン
サ本体6の第1の開口部6eを閉塞するように所定量の第1の溶解液を塗布する。
【0060】
第1回目の塗布により、第1の溶解液は金属ピン上及び第1の開口部6eの傾斜面に亘
ってほぼ均一な液層を形成する。塗布した所定時間後、図8(b)に示すように、塗布し
た第1の溶解液からTHFが気化して第1の液層よりも薄い第1の膜を形成する(ステッ
プS3)。このとき、第1の膜の側面は、第1の開口部6eの傾斜面にTHFで溶着して
保持されている。
【0061】
第h回目(h=2)の塗布により、第1の溶解液は第(h−1)の膜上及び第1の開口
部6eの傾斜面に亘ってほぼ均一な第hの液層を形成する。塗布した所定時間後、塗布し
た第1の溶解液からTHFが気化して第hの液層よりも薄い第hの膜を第(h−1)の膜
に重畳して形成する(ステップS4)。
【0062】
そして、hがiである場合(ステップS5のはい)、第1の開口部6eには第1乃至第
iの膜からなる第1の感応膜71が形成されている。また、hがi未満である場合(ステ
ップS5のいいえ)、第1の開口部6eには第1の感応膜71よりも薄い膜が形成されて
おり、内部電極72aと接合していない、又は膜強度が不足している、又は感応膜の使用
寿命が短い等の問題があるので、ステップS4に戻る。なお、第1の感応膜71は、この
側面が第1の開口部6eの傾斜面にTHFで溶着して保持されている。
【0063】
ここで、第1の開口部6eの傾斜面の傾斜角度が90°以上であると、塗布した第1の
溶解液内に例えばTHFが気化して気泡が発生したとき、その気泡はその傾斜面に付着し
て上昇が妨げられるため、第1の溶解液内に残存する。残存した気泡は、膜を形成したと
きに気孔を形成する。図3に示した第1の感応膜71の例えば一面に気孔が形成されると
、その気孔に被検試料が残存し、残存した被検試料が次の被検試料を汚染し、次の被検試
料の測定精度が低下する問題がある。
【0064】
また、第1の感応膜71の一面の近傍に大きな気孔が形成されると、第1のイオンに応
答するその一面の膜層が薄くなっているため、製造時に検査に合格する性能が得られても
その後の使用寿命が短くなる問題がある。更に、膜内に形成された気孔の総容積が大きい
と、膜抵抗が大きくなり測定機器における検出信号のノイズが大きくなり測定精度が悪化
する問題がある。
【0065】
このように、第1の貫通孔6dに金属ピンを挿通し、上方に向かって開口の面積が広く
なる向きに傾斜面を配置した第1の開口部6eに第1の溶解液を塗布することにより、第
1の感応膜71の一面と第1の開口部6eの境界が凹凸のない滑らかな第1の貫通孔6d
の面を形成することができる。また、塗布した第1の溶解液内に発生した気泡が上昇して
大気中に放出されるため、第1の感応膜71内に気孔が形成されるのを防ぐことができる

【0066】
これにより、第1の貫通孔6dに流入する被検試料間の汚染、膜抵抗の増大、及び使用
寿命の低下を防ぎ、第1のイオン選択性電極7の歩留まり及び品質の向上を図ることがで
きる。
【0067】
第2の溶解液の第1回目の塗布により、第2の溶解液は金属ピン上及び第2の開口部6
fの傾斜面に亘ってほぼ均一な第1の液層を形成する。塗布した所定時間後、塗布した第
2の溶解液からTHFが気化して第1の液層よりも薄い第1の膜を形成する(ステップS
6)。
【0068】
第m回目(m=2)の塗布により、第2の溶解液は第(m−1)の膜上及び第2の開口
部6fの傾斜面に亘ってほぼ均一な第mの液層を形成する。塗布した所定時間後、塗布し
た第2の溶解液からTHFが気化して第mの液層よりも薄い第mの膜を第(m−1)の膜
に重畳して形成する(ステップS7)。
【0069】
そして、mがnである場合(ステップS8のはい)、第2の開口部6fには第1乃至第
nの膜からなる第2の感応膜81が形成されている。また、mがn未満である場合(ステ
ップS8のいいえ)、第2の開口部6fには第2の感応膜81よりも薄い膜が形成されて
おり、内部電極82aと接合していない、又は膜強度が不足している、又は感応膜の使用
寿命が短い等の問題があるので、ステップS7に戻る。
【0070】
このように、第1の貫通孔6dに金属ピンを挿通し、上方に向かって開口の面積が広く
なる向きに傾斜面を配置した第2の開口部6fに第2の溶解液を塗布することにより、第
2の感応膜81の一面と第2の開口部6fの境界が凹凸のない滑らかな第1の貫通孔6d
の面を形成することができる。また、塗布した第2の溶解液内に発生した気泡が上昇して
大気中に放出されるため、第2の感応膜81内に気孔が形成されるのを防ぐことができる

【0071】
これにより、第1の貫通孔6dに流入する被検試料間の汚染、膜抵抗の増大、及び使用
寿命の低下を防ぎ、第2のイオン選択性電極8の歩留まり及び品質の向上を図ることがで
きる。
【0072】
ステップS5及びS8の「はい」の後に、第1のセンサ本体6から金属ピンを抜く。そ
して、第1及び第2の感応膜71,81を第1のセンサ本体6の第1及び第2の開口部6
e,6fから観察して検査を行う(ステップS8)。
【0073】
このように、第1の開口部6e,6fから第1及び第2の感応膜71,81の観察が可
能となり、マルチイオンセンサ4を作製した段階で検査を行うことができる。
【0074】
そして、第1及び第2の感応膜71,81に気孔が含まれていない場合(ステップS9
のはい)、その第1及び第2の感応膜71,81が形成された第1のセンサ本体6を合格
とし、合格した第1のセンサ本体6に蓋9を取り付ける(ステップS10)。また、第1
の感応膜71又は第2の感応膜81に気孔が含まれている場合(ステップS9のいいえ)
、その第1及び第2の感応膜71,81を有する第1のセンサ本体6を不合格にして、ス
テップS2に戻る。
【0075】
図10は、イオン選択性電極モジュール10の製造工程を示したフローチャートである
。イオン選択性電極モジュール10の製造を開始する(ステップS21)。
【0076】
第1の製造工程S22を実行してマルチイオンセンサ4を作製する。また、第2の製造
工程を実行する。この第2の製造工程では、第3の感応膜52に成形した後、成形した第
3の感応膜52に第3の出力子53を接続する。次いで、第3の出力子53を接続した第
3の感応膜52を例えば金型の所定の位置に配置した状態で、その金型内にPVCを流し
込んで射出成形する。この工程により、第3の感応膜52及び第3の出力子53を保持し
た第2のセンサ本体51からなる第3のイオン選択性電極5を作製する(ステップS23
)。
【0077】
参照電極2の製造工程では、第4の出力子24を金型の所定の位置に配置した状態で、
その金型内にPVCを流し込んで、液絡孔22が参照電極本体21内に配置可能なように
例えば一面21bを含む参照電極本体21の一部を除いた参照電極本体を作製する。次い
で、液絡孔22をその参照電極本体内に配置した後、前記一部を除いた参照電極本体内の
凹部に内部液23を収容し、更に前記一部を溶着することにより、液絡孔22、内部液2
3、及び第4の出力子24を保持した参照電極本体21からなる参照電極2を作製する(
ステップS24)。
【0078】
ステップS22,S23,S24の後に、支持体3を用いて、マルチイオンセンサ4、
第3のイオン選択性電極5、及び参照電極2を一体にする(ステップS25)。
【0079】
一体にしたマルチイオンセンサ4、第3のイオン選択性電極5、及び参照電極2を総合
検査する。そして、マルチイオンセンサ4、又は第3のイオン選択性電極5、又は参照電
極2のいずれかが不合格である場合(ステップS26のいいえ)、ステップS25に戻る
。また、マルチイオンセンサ4、第3のイオン選択性電極5、及び参照電極2が合格した
場合(ステップS26のはい)、図11に示したイオン選択性電極モジュール10の作製
を完了し、製造を終了する(ステップS27)。
【0080】
このように、マルチイオンセンサ4、第3のイン選択性電極5、及び参照電極2を夫々
着脱自在な支持体3を用いることにより、総合検査で不良であるユニットを良好なものと
容易に交換することができる。
【0081】
また、イオン選択性電極モジュール10を用いることにより、電解質測定装置にイオン
選択性電極や参照電極を個別に装着する手間を省くことができる。また装着する際の、各
電極間の流路やパッキングなどの位置ずれによる測定精度の不良を防ぐことができる。
【0082】
以上述べた本発明の実施例によれば、第1のセンサ本体6の第1の貫通孔6dに金属ピ
ンを挿通し、上方に向かって開口の面積が広くなる向きに傾斜面を配置した第1及び第2
の開口部6e,6fに第1及び第2の溶解液を塗布することにより、第1及び第2の感応
膜71,81の一面と第1及び第2の開口部6e,6fの境界が凹凸のない滑らかな第1
の貫通孔6dの面を形成することができる。また、第1及び第2の感応膜71,81内に
気孔が形成されるのを防ぐことができる。
【0083】
これにより、第1の貫通孔6dに流入する被検試料間の汚染、膜抵抗の増大、及び使用
寿命の低下を防ぎ、第1のイオン選択性電極7の歩留まり及び品質の向上を図ることがで
きる。
【0084】
また、第1及び第2の開口部6e,6fに第1及び第2の感応膜71,81を形成した
段階で、第1及び第2のイオン選択性電極7,8の検査を行うことができる。これにより
、第1及び第2の感応膜71,81が不良である場合のマルチイオンセンサ4を作製して
から総合検査するまでの製造工程の手間を削減することができる。
【0085】
更に、支持体3を用いてマルチイオンセンサ4、第3のイン選択性電極5、及び参照電
極2を夫々着脱自在にすることにより、イオン選択性電極モジュール10の総合検査で不
良であるユニットの良好なものへの交換が可能となり、イオン選択性電極モジュール10
の製造に掛かる部品の費用及び時間を低減することができる。
【0086】
更にまた、イオン選択性電極モジュール10を用いることにより、電解質測定装置にイ
オン選択性電極や参照電極を個別に装着する手間を省くことができる。また装着する際の
、各電極間の流路やパッキングなどの位置ずれによる測定精度の不良を防ぐことができる

【符号の説明】
【0087】
1 イオンセンサ部
2 参照電極
3 支持体
4 マルチイオンセンサ
5 第3のイオン選択性電極
6 第1のセンサ本体
6a,21a,51a, 突起
6b,21b,51b 一面
6c,21c,51c 他面
6d 第1の貫通孔
7 第1のイオン選択性電極
8 第2のイオン選択性電極
9 蓋
10 イオン選択性電極モジュール
21 参照電極本体
21d 第3の貫通孔
31 第1の支持体
31a,32a 屈曲部
31b,32b 螺合面
31c 切欠き
32 第2の支持体
33,34 パッキング
51 第2のセンサ本体
51d 第2の貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料が流通する貫通孔及びこの貫通孔の一部に連通し、内面を有する開口部を有す
るセンサ本体と、
前記開口部を閉塞して形成され、所定のイオンに選択的に応答する感応膜と、
前記センサ本体により、前記内面から前記感応膜が保持される側に一部が出て配置され
、当該感応膜で応答した電位を外部に出力するための出力子と、
前記出力子のうち、前記内面から前記感応膜が保持される側に出ている一部の表面に形
成される内部電極と、
を備え、
前記感応膜は、前記内面のうち前記出力子が保持されている部分で保持されていること
を特徴とするイオン選択性電極。
【請求項2】
前記出力子の一端部はリング状を成し、当該リング状の内周部分が前記内面から前記感
応膜が保持される側に出て配置されることを特徴とする請求項1記載のイオン選択性電極

【請求項3】
前記開口部は、前記貫通孔に近づくに従い、その開口の面積が狭くなる傾斜面を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のイオン選択性電極。
【請求項4】
前記開口部は、少なくとも第1の開口部及びこの第1の開口部から離間して位置する第
2の開口部からなり、
前記第1の開口部を閉塞して形成された第1のイオンに選択的に応答する第1の感応膜
、及びこの第1の感応膜で応答した電位を外部に出力するための前記センサ本体に保持さ
れた第1の出力子と、
前記第2開口部を閉塞して形成された第2イオンに選択的に応答する第2感応膜、及び
この第2感応膜で応答した電位を外部に出力するための前記センサ本体に保持された第2
出力子と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のイオン選択性電極。
【請求項5】
前記出力子は、この一端部が前記傾斜面で前記感応膜に接合し、他端部が前記センサ本
体から外側に出た外部の装置に接続可能な出力ピンであることを特徴とする請求項1乃至
請求項3に記載のイオン選択性電極。
【請求項6】
前記感応膜の一面は、前記貫通孔の面の一部を形成していることを特徴とする請求項1
乃至請求項3に記載のイオン選択性電極。
【請求項7】
前記感応膜の他面を覆うように前記センサ本体に着脱自在に取り付けた蓋を有すること
を特徴とする請求項6に記載のイオン選択性電極。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3に記載のイオン選択性電極と、
前記被検試料が流通する貫通孔を有する参照電極本体、この参照電極本体の貫通孔に形
成された液絡孔、前記液絡孔を介して前記被検試料に流通可能に前記参照電極本体内に収
容された内部液、及びこの内部液に一端部が接触して前記液絡孔におけるほぼ一定な電位
を出力するための出力子を有する参照電極と、
前記センサ本体の貫通孔及び前記参照電極本体の貫通孔を貫通するように配置された前
記センサ本体及び前記参照電極本体を着脱可能に狭持する支持体と、
を備えたことを特徴とするイオン選択性電極モジュール。
【請求項9】
前記センサ本体と前記参照電極本体の間の貫通孔の外周に、前記センサ本体と前記参照
電極本体の間から前記被検試料が漏洩するのを防ぐためのパッキングが配置されているこ
とを特徴とする請求項8に記載のイオン選択性電極モジュール。
【請求項10】
前記支持体は、互いに螺合する面を有する第1及び第2の支持体を有し、
前記センサ本体及び前記参照電極本体を収容した前記第1の支持体に、前記第2の支持
体を螺合して前記センサ本体及び前記参照電極本体を狭持するようにしたことを特徴とす
る請求項8に記載のイオン選択性電極モジュール。
【請求項11】
被検試料が流通する貫通孔と、この貫通孔の一部に連通し、内面を有する開口部とを有
するセンサ本体の前記貫通孔にほぼ隙間なく適合するピンを挿通し、
所定のイオンに選択的に応答する感応物質からなる感応膜が、前記内面のうち、前記セ
ンサ本体に保持され前記感応膜で応答した電位を外部に出力するための出力子の一端部が
保持されている部分を含んだ部分で保持され、前記出力子の一端部は、前記内面から前記
感応膜が保持される側に出て配置され、前記内面から前記感応膜が保持される側に出てい
る一部の表面に形成される内部電極と前記感応膜とが接するように前記感応物質を含む成
分を溶剤に溶解した溶解液を塗布し、塗布した前記溶解液の溶剤が気化した後に、前記貫
通孔から前記ピンを抜くことを特徴とするイオン選択性電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−58254(P2012−58254A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250042(P2011−250042)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【分割の表示】特願2006−329357(P2006−329357)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)