説明

イソオキサゾリジン誘導体

本発明は、グルココルチコステロイド系の新規の抗炎症性および抗アレルギー性化合物、そのような化合物を調製する方法、それらを含む医薬品組成物、それらの組合せおよび治療的使用に関する。より具体的には、本発明は、イソオキサゾリジンの誘導体であるグルココルチコステロイドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、グルココルチコステロイド系列の新規の抗炎症性および抗アレルギー性化合物、そのような化合物を調製する方法、それらを含む医薬品組成物、それらの組合せおよび治療的使用に関する。より具体的には、本発明は、イソオキサゾリジンの誘導体であるグルココルチコステロイドに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
コルチコステロイドは、炎症細胞の数、活性および移動を減少させることができる強力な抗炎症剤である。
【0003】
コルチコステロイドは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患および自己免疫疾患を含めた広範囲の慢性および急性炎症状態を治療するのに一般に使用されている。
【0004】
コルチコステロイドは、グルココルチコイド受容体(GR)を介してそれらの効果を媒介する。コルチコステロイドのGRへの結合により、GRの核移行が誘発され、それにより、DNA結合依存性(例えばトランス活性化)および非依存性(例えばトランス抑制(Transespression))機構を介して、多数の下流経路に影響が及ぶ。
【0005】
肺における慢性炎症状態、例えば、喘息およびCOPDなどを治療するためのコルチコステロイドは、現在、吸入を通して投与されている。吸入コルチコステロイド(ICS)を使用する利点の1つは、薬物を作用部位に直接送達し、全身性副作用を限定し、したがって、より急速な臨床反応およびより高い治療可能比をもたらす可能性があることである。
【0006】
ICS治療により重要な利益を得ることができるが、特に喘息において、長期投与に不随し得る望ましくない副作用の発生および重症度の原因となるICS全身曝露を最小化することが重要である。さらに、現在臨床現場で利用可能なICSは作用持続時間が限られているため、該疾患の管理が最適以下となる。吸入器技術が肺を標的とするための要点である一方、経口バイオアベイラビリティーを減少させ、薬理学的活性を肺にのみ局限し(プロドラッグおよびソフトドラッグ(soft drug))、全身クリアランスを増大するための薬物動態学的および薬力学的特性の最適化にはコルチコステロイド分子足場の上の置換基の調節が重要である。さらに、1日1回のICSの投与により投与の頻度の低減が可能となり、したがって、患者のコンプライアンスが実質的に改善し、結果的に、疾患の管理および制御が実質的に改善すると考えられるため、肺における長期の持続性のICS活性が非常に望ましい。要するに、改善した薬物動態学的および薬力学的特徴を有するICSを開発する医学的必要性が差し迫っている。
【0007】
グルココルチコイドイソオキサゾリジン誘導体は、WO2006/005611(特許文献1)、GB1578446(特許文献2)および「Synthesis and topical anti−inflammatory activity of some steroidal[16α,17α−d] isoxazolidines」(J.Med.Chem.、25、1492〜1495、1982)(非特許文献1)に記載されている。
【0008】
本発明のイソオキサゾリジングルココルチコイドは、in vitroでの、a)GRへの結合、b)GRの核移行の誘発、およびc)マクロファージにおける炎症反応の阻害に対する効力および効能を特徴としている。さらに、肺における抗炎症効力、効能および作用持続時間を改善するため、ならびに全身性副作用を低減するために薬物動態学的/薬力学的特性の最適化を追求している。実験動物モデルにおいて肺に局所的に投与すると、本発明のイソオキサゾリジングルココルチコイドは、良好な抗炎症効力および効能と関係している長い作用持続時間および限定的な全身曝露を特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2006/005611号パンフレット
【特許文献2】英国特許第1578446号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J.Med. Chem.、25、1492〜1495、1982
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、
R1は(CH−Z−(CHn’−R4(式中、nおよびn’は、それぞれ独立して0、1または2である)であり;
Zは、単結合であるか、またはS、O、COおよびNR3(式中、R3は、H、CNで場合により置換されている直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択される)からなる群から選択され;
R4は、
・H、ハロゲン、OH、SH、CN、NH
・オキソ基で場合により置換されているアリール(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルカルボニル、(C〜C)アルキルカルボキシル、O(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C)アルキルアミドおよび(C〜C)アルコキシ;
・ハロゲン原子、CN、OH、NH、NO、CFおよびSHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい(C〜C)アルキル;
・(C〜C)アルキニル;
・1つまたは複数のハロゲン原子またはオキソ基で場合により置換されている単環式、二環式または三環式の飽和または部分的に飽和または不飽和の環、例えば、(C〜C)シクロアルキル、アリール、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールなど
からなる群から選択され、
R2は、
・H;
・直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキル;
・(CHR5(式中、R5は、オキソ、OH、ハロゲン、CN、NH、NO、アリール、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C)アルキルアミド、アリール(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルキルであって、それぞれが1つまたは複数のハロゲン原子またはCOOHで場合により置換されているものからなる群から選択される置換基で場合により置換されているヘテロアリールである);
・(CHNR6R7;
・(CHNR6COR7;
・(CHNR6SOR7;
・(CHCONR6R7;
・(CHSONR6R7;
・(CHCOR7;
・(CHOR7;
・(CHSOR7
(式中、R6およびR7は、独立してHであるか、または直鎖もしくは分枝鎖(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリール(C〜C)アルキルおよび飽和、部分的に飽和または不飽和の場合により縮合された環、例えば、アリール、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールからなる群から選択され、各基は、ハロゲン、CN、オキソ、NH、NOおよび(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい);
・(CHR8(式中、R8は、ハロゲン、オキソ、CN、OH、NH、NO;ハロゲン、CO、CN、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)カルボキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)ハロアルコキシおよび(C〜C)アルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されている(C〜C)シクロアルキル、アリールおよび飽和、部分的に飽和または不飽和の場合により縮合された環、例えば、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して0または1〜6の整数であり、qは0、1または2である)
からなる群から選択され、
XおよびYは、独立してHおよびハロゲン原子からなる群から選択され、
但し、R2が(C〜C)アルキルである場合、XとYが同時にHではない)
の化合物およびそれらの医薬として許容される塩、前記化合物を調製する方法、それらを含む組成物ならびにそれらの治療的使用を対象としている。
【0014】
一般式(I)の化合物は、少なくとも4a、4b、5、6a、6b、9a、10a、10b、12の位置で不斉中心を含有し、したがって多くの光学立体異性体およびそれらの混合物として存在し得ることが当業者には明らかとなろう。
したがって、本発明は、これらの形態の全ても対象としている。
【0015】
好ましい化合物は、キラル炭素原子の立体配置が固定されており、特に4aが(R)、4bが(R)、5が(S)、6aが(S)、6bが(R)、9aが(S)、10aが(S)、10bが(S)および12が(S)である一般式(I)のものであり、以下の式(I’)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R1、R2、XおよびYの値は、上で定義した通りである)
により表される。
【0018】
一般式(I)の化合物は、酸付加塩、特に医薬として許容される酸付加塩を形成することができる。
【0019】
式(I)の化合物の医薬として許容される酸付加塩は、したがって、式(I’)のものも包含し、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸など;硝酸、硫酸、リン酸;ならびに有機酸、例えば脂肪族モノカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、およびプロピオン酸など;脂肪族ヒドロキシル酸(hydroxyl acid)、例えば、乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸など;ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸またはコハク酸など;芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸など;芳香族ヒドロキシル酸およびスルホン酸のものが挙げられる。
【0020】
これらの塩は、式(I)の化合物から知られている塩形成手順により調製することができる。
【0021】
本発明の目的である式(I)の化合物は、従来の方法および技術に従って実施される様々な合成ステップに従って調製することができる。
【0022】
本発明は、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1であり、R4は上で定義した通りである)である一般式(I’)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・式(VI)
【0023】
【化3】

【0024】
の化合物と塩化メタンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニルとを反応させて一般式(XI)
【0025】
【化4】

【0026】
(式中、離脱基(LG)は求核試薬により置換されていてもよい)
の化合物を得る反応
を含む。
【0027】
本発明は、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0であり、ZおよびR4は上で定義した通りである)である一般式(I’)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・酸化条件下で式(VI)の化合物を反応させて一般式(XII)
【0028】
【化5】

【0029】
の中間体を得る反応と、
・1当量以上の酸活性化剤、次いで、求核試薬による式(XII)の化合物の処理と
を含む。
【0030】
本発明は、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0、Z=Sであり、R4は上で定義した通りである)である一般式(I’)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・酸化条件下で式(VI)の化合物を反応させて一般式(XII)の中間体を得る反応と、
・一般式(XIII)
【0031】
【化6】

【0032】
の化合物へのその転化と、
・式(XIII)の化合物のアルキル化と
を含む。
【0033】
本発明は、一般式(VI)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・一般式(IV)
【0034】
【化7】

【0035】
の化合物とN−テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミン(HO−NH−THP)とを反応させて式(V)
【0036】
【化8】

【0037】
の化合物を調製する反応と、
・式(V)の化合物の任意選択のさらなる官能化と、
・脱保護と
を含む。
【0038】
本発明は、一般式(VI)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・式(VII)
【0039】
【化9】

【0040】
の化合物と式(X)
【0041】
【化10】

【0042】
の化合物との反応
を含む。
【0043】
本発明は、一般式(VI)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・式(VII)の化合物とN−テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミン(HO−NH−THP)とを反応させて式(VIII)
【0044】
【化11】

【0045】
の化合物を得る反応と、
・式(IX)
【0046】
【化12】

【0047】
の化合物を得るための式(VIII)の化合物の保護と、
・式(IX)の化合物の任意選択のさらなる官能化と、
・脱保護と
を含む。
【0048】
本発明は、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1、Z=Oであり、R4=Acである)である一般式(I’)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、一般式(IV)の中間体と式(X)のヒドロキシルアミンとの反応を含む。
【0049】
本発明は、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1、Z=O、R4=HおよびX=Clである)である一般式(I’)の化合物の調製方法も対象としており、該方法は、
・式(I’)の化合物(式中、n=1、Z=O、R4=AcおよびX=Hである)と塩化メタンスルホニルとを反応させて式(XIV)
【0050】
【化13】

【0051】
の化合物を得る反応と、
・化合物(XIV)と塩素化剤との反応と、
・加水分解と
を含む。
【0052】
全ての上記の記述から、適当な立体化学的配置を有する出発原料を選択することにより、上に述べたように、可能性のある式(I)の立体異性体のいずれかを得ることができることが当業者には明らかである。
【0053】
本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物ならびに1つまたは複数の医薬として許容される担体および/または賦形剤を含む医薬品組成物も提供する。
【0054】
本発明の化合物は、唯一の活性薬剤として、または呼吸器障害の治療において現在使用されているもの、例えば、ベータ2−作動薬、抗ムスカリン剤、コルチコステロイド、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(P38 MAPキナーゼ)阻害剤、核因子カッパ−Bキナーゼサブユニットベータ(IKK2)阻害剤、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、ロイコトリエン調節剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)および粘液調整剤を含めた他の医薬活性成分と組み合わせて投与することができる。
【0055】
本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物と、カルモテロール、GSK−642444、インダカテロール、ミルベテロール(milveterol)、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルブタモール、レバルブテロール、テルブタリン、AZD−3199、BI−1744−CL、LAS−100977、バンブテロール、イソプロテレノール、プロカテロール、クレンブテロール、レプロテロール、フェノテロールおよびASF−1020ならびにそれらの塩からなる群から選択されるβ2−作動薬との組合せも提供する。
【0056】
本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物と、アクリジニウム(aclidinium)、チオトロピウム、イプラトロピウム、トロスピウム、グリコピロニウムおよびオキシトロピウム塩からなる群から選択される抗ムスカリン剤との組合せも提供する。
【0057】
本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物と、AN−2728、AN−2898、CBS−3595、アプレミラスト、ELB−353、KF−66490、K−34、LAS−37779、IBFB−211913、AWD−12−281、シパムフィリン、シロミラスト、ロフルミラスト、BAY19−8004およびSCH−351591、AN−6415、indus−82010、TPI−PD3、ELB−353、CC−11050、GSK−256066、オグレミラスト、OX−914、テトミラスト、MEM−1414およびRPL−554からなる群から選択されるPDE4阻害剤との組合せも提供する。
【0058】
本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物と、セマピモド、タルマピモド(talmapimod)、ピルフェニドン、PH−797804、GSK−725、ミノキン(minokine)およびロスマピモド(losmapimod)およびそれらの塩からなる群から選択されるP38 MAPキナーゼ阻害剤との組合せも提供する。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物とIKK2阻害剤との組合せを提供する。
【0060】
本発明は、式(I)の化合物と、AAT、ADC−7828、エリバ(Aeriva)、TAPI、AE−3763、KRP−109、AX−9657、POL−6014、AER−002、AGTC−0106、レスプリバ(respriva)、AZD−9668、ゼマイラ(zemaira)、AAT IV、PGX−100、エラフィン、SPHD−400、プロラスチンCおよび吸入プロラスチンからなる群から選択されるHNE阻害剤との組合せも提供する。
【0061】
本発明は、式(I)の化合物と、モンテルカスト、ザフィルルカストおよびプランルカストからなる群から選択されるロイコトリエン調節剤との組合せも提供する。
【0062】
本発明は、式(I)の化合物と、イブプロフェンおよびケトプロフェンからなる群から選択されるNSAIDとの組合せも提供する。
【0063】
本発明は、式(I)の化合物と、INS−37217、ジクアホソル、シベナデット(sibenadet)、CS−003、タルネタント、DNK−333、MSI−1956およびゲフィチニブからなる群から選択される粘液調整剤との組合せも提供する。
【0064】
本発明は、医薬として使用するための一般式(I)または(I’)の化合物も提供する。
【0065】
本発明は、in vitroおよび/またはin vivoでの炎症細胞の数、活性および移動を減少させるための一般式(I)または(I’)の化合物の使用にも関する。
【0066】
本発明は、炎症細胞の数、活性および移動の減少が関係している任意の疾患の予防または治療において使用するための一般式(I)または(I’)の化合物も対象としている。
【0067】
さらなる態様において、本発明は、炎症細胞の数、活性および移動の減少が関係している任意の疾患の予防および/または治療のための一般式(I)または(I’)の化合物の使用を提供する。
【0068】
特に、単独の、または1つもしくは複数の活性成分と組み合わせた一般式(I)または(I’)の化合物は、気道閉塞を特徴としている気道の疾患、例えば、喘息およびCOPDなどの予防および/または治療のために投与することができる。
【0069】
さらなる態様において、本発明は、炎症細胞の数、活性および移動の減少が関係している任意の疾患の予防および/または治療用の医薬の調製のための一般式(I)または(I’)の化合物の使用を提供する。
【0070】
さらに、本発明は、炎症細胞の数、活性および移動の減少が関係している任意の疾患の予防および/または治療方法を提供し、前記方法は、そのような治療を必要としている患者に治療有効量の一般式(I)または(I’)の化合物を投与することを含む。
【0071】
本発明は、吸入による投与、注射による投与、経口または経鼻投与に適した一般式(I)または(I’)の化合物の医薬調製物も提供する。
【0072】
吸入可能な調製物としては、吸入可能な粉末、噴射剤を含有する計量エアロゾルまたは噴射剤を含有していない吸入可能な製剤が挙げられる。
【0073】
本発明は、一般式(I)または(I’)の化合物を含む単回または多回投与用の乾燥粉末吸入器、定量吸入器またはネブライザー、特にソフトミストネブライザーとすることができる装置も対象としている。
【0074】
本発明は、単独で、または1つもしくは複数の医薬として許容される担体および/もしくは賦形剤と組み合わせたもしくは混合した一般式(I)または(I’)の化合物の医薬品組成物、ならびに単回または多回投与用の乾燥粉末吸入器、定量吸入器またはネブライザーとすることができる装置を含むキットも対象としている。
【0075】
定義
「ハロゲン」または「ハロゲン原子」という用語は、本明細書において使用する場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。
【0076】
本明細書において使用する場合、「(C〜C)アルキル」という表現は、構成炭素原子の数が1〜6の範囲である直鎖および分枝鎖アルキル基を指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルである。
【0077】
「(C〜C)アルキニル」という表現は、同様に解釈すべきものである。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。
【0078】
「(C〜C)アルコキシ」という用語は、アルキル−オキシ(例えばアルコキシ)基を指す。前記基の例は、したがって、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ等を含み得る。
【0079】
「(C〜C)ハロアルキル」および「(C〜C)ハロアルコキシ」という用語は、1つまたは複数の水素原子が互いに同じでも異なっていてもよい1つまたは複数のハロゲン原子により置換されている上記「(C〜C)アルキル」および「(C〜C)アルコキシ」基を指す。
【0080】
同様に、「(C〜C)アルキルカルボニル」、「O(C〜C)アルキルカルボニル」、「(C〜C)アルキルカルボキシル」および「(C〜C)アルキルアミド」という用語は、それぞれアルキル−CO、O−アルキル−CO、アルキル−CO−およびアルキル−NH、アルキル−NH−アルキルまたはアルキル−N−(アルキル)基を指す。
【0081】
同様に、「(C〜C)アルキルスルホニル」という用語は、アルキル−SO−基を指す。
【0082】
「(C〜C)シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を有する環状非芳香族炭化水素基を指す。その例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
【0083】
「(C〜C10)ヘテロシクロアルキル」という用語は、少なくとも1個の環原子がヘテロ原子(例えば、N、SまたはO)である環状非芳香族炭化水素基を指す。その例としては、ジヒドロピリジンおよびジヒドロベンゾジオキシン基が挙げられる。
【0084】
「アリール」という用語は、5〜20、好ましくは5〜15個の環原子を有し、少なくとも1個の環が芳香族である単環式、二環式または三環式環系を指す。
【0085】
「アリール(C〜C)アルキル」、および「アリール(C〜C)アルコキシ」という用語は、それぞれアリール、アルコキシ、ヘテロアリールまたはシクロアルキル環によりさらに置換されている(C〜C)アルキル基を指す。
【0086】
好適なアリール(C〜C)アルキル基の例としては、ベンジル、ビフェニルメチルおよびチオフェニルメチルが挙げられる。
【0087】
本明細書において使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、5〜20、好ましくは5〜15個の環原子を有し、少なくとも1個の環が芳香族であり、少なくとも1個の環原子がヘテロ原子(例えば、N、SまたはO)である単環式、二環式または三環式環系を指す。
【0088】
好適な単環式系の例としては、チオフェン、シクロペンタジエン、ベンゼン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、イソキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、ピリジン、イミダゾリジン、ピペリジンおよびフラン基、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0089】
好適な二環式系の例としては、ナフタレン、ビフェニル、プリン、プテリジン、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾジオキサンおよびベンゾチオフェン基が挙げられる。
【0090】
好適な三環式系の例としては、フルオレン基が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0091】
発明の詳細な説明
本発明は、強力な抗炎症剤であるグルココルチコステロイドとして作用する化合物を対象としている。
【0092】
前記化合物は、炎症細胞の数、活性および気管支粘膜下組織への移動を減少させ、気道の反応性を減少させる。
【0093】
特に、本発明は、上で定義した一般式(I)
【0094】
【化14】

【0095】
の化合物に関する。
【0096】
好ましい化合物は、キラル炭素原子の立体配置が固定されており、特に、4aが(R)、4bが(R)、5が(S)、6aが(S)、6bが(R)、9aが(S)、10aが(S)、10bが(S)および12が(S)であり、以下の式(I’)
【0097】
【化15】

【0098】
(式中、R1、R2、XおよびYの値は、上で定義した通りである)
により表される遊離または塩の形態の一般式(I)のものである。
【0099】
一般式(I’)の化合物の第1の好ましい基は、R1が(CH−Z−(CHn’−R4(nは0または1である)であり;Zが、単結合であるか、またはS、OおよびNR3(R3はHまたは(C〜C)アルキルである)からなる群から選択され;n’が0、1または2であり;R4が、H、ハロゲン、CN、OH;ハロゲン原子、CN、OH、NH、NO、CFおよびSHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されている(C〜C)アルキル;場合によりオキソ基により置換されているアリール(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルカルボニル、O(C〜C)アルキルカルボニル、(C〜C)アルキルアミド、(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、R2、XおよびYが上で説明した意味を有するものである。
【0100】
このクラスの中でさらにより好ましいのは、R4が、メチル、エチル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルスルホニル、メチルカルボニル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル、メチルカルボキシル、エチルカルボキシル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルおよびブチニルからなる群から選択される一般式(I’)の化合物である。
【0101】
このクラスの中でより一層好ましいのは、R3がHまたはメチルである一般式(I’)の化合物である。
【0102】
このクラスの中でより一層好ましいのは、R2が直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキルである一般式(I’)の化合物である。
【0103】
一般式(I’)の化合物の第2の好ましい基は、R1、XおよびYが上で定義した通りであり、R2がHであるか、または(CHR5(式中、mは1または2であり、R5はハロゲン、CN、OH、CF3、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルスルホニルおよびアリールから選択される基で場合により置換されているヘテロアリールである);(CHCONR6R7(式中、mは0であり、R6は(C〜C)アルキルであり、R7はアリールである);(CHCOR7、(式中、mは1であり、R7はアリール、ヘテロアリールまたは(C〜C10)ヘテロシクロアルキルである);(CHOR7、(式中、pは2であり、R7はアリールまたはアリール(C〜C)アルキルである);(CHSOR7(式中、mは0または2であり、qは0または2であり、R7は(C〜C)アルキルまたはアリールである);および(CHR8(式中、pは1、2または3であり、R8は、ハロゲン、オキソ、CN、OH、CF、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)ハロアルコキシ、(C〜C)アルキルカルボキシルおよび(C〜C)アルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されているアリールおよび(C〜C10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)からなる群から選択されるものである。
【0104】
このクラスの中でさらにより好ましいのは、R2が、フェニル、チオフェニル、ピリジル、イミダゾリル、チアゾリル、ベンジルオキシエチル、フェニルスルファニル(Phenylsulfanyl)、フェニルプロピル、フェノキシエチル、イソキサゾリル、ベンゾイル、フランカルボニル、メタンスルホニル、ジヒドロピリジンメチルおよびメチルフェニルアミド、シクロペンテノン、ベンゾフラン、フラン、ジヒドロベンゾジオキシン基からなる群から選択される、一般式(I’)の化合物である。
【0105】
一般式(I’)の化合物の第3の好ましい基は、R1およびR2が上で定義した通りであり、XおよびYがいずれもHもしくはフッ素原子であるか、またはXが塩素でYがHであるものである。
【0106】
一般式(I)および(I’)の化合物のほとんどは、利用した全ての無細胞および細胞ベースのアッセイにおいて、10−8〜10−10Mの範囲のin vitro活性を示すことが分かり、それらの一部は、齧歯類のin vivo実験モデルにおいて、肺における長い持続時間の抗炎症作用を付与されていることが分かった。
【0107】
本発明の好ましい化合物の例は以下で説明している。
【0108】
【表1−1】

【0109】
【表1−2】

【0110】
【表1−3】

【0111】
【表1−4】

【0112】
【表1−5】

【0113】
【表1−6】

【0114】
【表1−7】

【0115】
【表1−8】

【0116】
【表1−9】

【0117】
【表1−10】

【0118】
【表1−11】

【0119】
【表1−12】

【0120】
【表1−13】

【0121】
【表1−14】

【0122】
【表1−15】

【0123】
【表1−16】

【0124】
【表1−17】



【0125】
一般式(I)および(I’)の化合物は、当技術分野において開示されている方法に従って従来通り調製することができる。式(I’)の化合物の調製に使用することができるプロセスの一部は、以下のスキームに記載している通り、式(I)の化合物についても適用することができる。
【0126】
【化16】

【0127】
本発明の化合物の調製手順
本発明の特定の実施形態によると、本発明の化合物は、置換基R1、R2、XおよびYに応じて、スキームに記載の様々な経路に従って調製することができる。
【0128】
経路A1 − 式(V)の化合物を調製するための一般式(IV)の化合物とN−テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミン(HO−NH−THP)との反応は、80〜100℃の範囲の温度でプロトン性溶媒、例えば、EtOHなどにおいて実施することが好都合であり得る。THP保護基は、この反応条件で直接開裂される。
【0129】
これらの化合物を、当業者にすぐに分かる方法を使用して、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、塩化カルバモイルまたは塩化スルホニルでさらに官能化(J.Med.Chem.、379〜388、1995;J.C.S.Chem.Comm.、256〜257、1985)して、一般式(VI)の化合物を得ることができる。これらの反応は、通常、溶媒、例えば、ジクロロメタン(DCM)またはテトラヒドロフラン(THF)などにおいて実施し、室温(RT)から還流の温度範囲で進行する。この反応を促進するために塩基、例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどが必要となり得る。ハロゲン化アリールとの反応は、知られているイソオキサゾリジンの銅触媒N−アリール化を行いながら実施することができる(Bioorg.Med.Chem. Lett.、2834、2005)。アセチルエステルは、アルコールの脱アセチル化の標準条件を使用して容易に加水分解することができ、例えば、該化合物を、好適な溶媒(例えば、メタノールまたはエタノール)において塩基、例えば、水酸化ナトリウムもしくはカリウムまたは炭酸カリウムなどで処理する。この反応は、通常、RTで1〜5時間にわたって進行し、それにより、一般式(VI)の化合物が生じる。
【0130】
一般式(IV)の化合物は、文献で報告されている標準的手順に従って調製できることが好都合である。例えば、それらは、一般式(III)の化合物の塩基、例えば、酢酸カリウムなどによる処理により調製することができる。この反応は、通常、好適な極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)などにおいて実施し、一般に80〜110℃の温度範囲で、0.5〜4時間にわたって進行する。
【0131】
式(III)の化合物は、知られている化合物から当業者によく知られている方法により容易に調製することができ、一般式(II)の化合物から出発する(J.Med.Chem.1982、25、1492〜1495)。
【0132】
経路A2 − あるいは、一般式(VI)の化合物は、ニトロンの付加環化によるイソオキサゾリジン形成の知られている手順を使用して、パラホルムアルデヒドの存在下での式(VII)の化合物と式(X)の化合物との反応から出発して調製することができる(J.Med.Chem.、25、1492〜1495、1982)。この反応は、80〜100℃の範囲の温度で、プロトン供与溶媒、例えばエタノールなどにおいて実施することが好都合である。式(X)のヒドロキシルアミンは、市販されているか、または当業者によく知られている手順を使用して、例えばオキシムを、還元剤、例えばボランピリジン錯体などで還元すること(J.Med.Chem.、40、1955〜1968、1997)により、またはO−テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミンと好適なアルキル化剤、例えば、ハロゲン化アルキルなどとの反応(Chem.Pharm.Bull.、46、966〜972、1998)により容易に調製することができる。
【0133】
式(VII)の化合物は、式(IV)の化合物を加水分解することにより調製することができる。この反応は、化合物(IV)に酵素、例えば、Candida Antarctica由来の固定化リパーゼ(Sigma Aldrich)などの作用を受けさせることにより実施することが好ましい(Tetrahedron、50、13165〜13172、1994)。
【0134】
経路A3 − 一般式(VIII)の化合物は、式(VII)の化合物とHO−NH−THPとの反応から出発して調製することができる。この反応は、80〜100℃の範囲の温度でジオキサンにおいてまたはプロトン性溶媒、例えばEtOHなどにおいて実施することが好都合であり得る。THP保護基は、この反応条件で直接開裂される。得られた(VIII)を、0℃〜RTの温度で、好適な溶媒、例えば、DCMまたはTHFなどにおけるジヒドロピランによる処理により都合よくおよび選択的に保護して、式(IX)の化合物を得ることができる。この反応は、0.5〜3時間の範囲の時間で完了する。式(IX)の化合物は、経路A1に記載したように、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、イソシアネート、塩化カルバモイルまたは塩化スルホニルでさらに官能化することができる。THP保護基は、保護された中間体を好適な溶媒、例えば、THFまたはジオキサンなどにおいてHClで処理することにより容易に除去することができる。この反応は、通常、RTで1〜15時間にわたって進行し、それにより一般式(VI)の化合物が生じる。
【0135】
経路A − 一般式(VI)の化合物の6b位の2−ヒドロキシアセチル部分のヒドロキシル基の一般式(XI)の化合物の離脱基(LG)への転化は、好適な溶媒、例えばピリジンなどにおいて式(VI)の化合物を塩化メタンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニルで処理することにより実施することができる(Marchによる「Advanced Organic Chemistry」、Wiley−Interscience)。この反応は、通常、RTで1〜5時間にわたって実施する。
【0136】
一般式(XI)の化合物のLGを、求核試薬、例えば、ハロゲン化物アニオン、アルコール、チオール、チオ酸、アミン、アミドおよびカルバニオンなどにより容易に置換(J.Org.Chem.、1042、1999;J.Steroid.Biochem.13、311〜322、1980)して、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0であり、ZおよびR4は上で定義した通りである)である一般式(I)および(I’)の化合物を得ることができる。この反応は、通常、好適な溶媒、例えば、DCM、THFまたはジメチルホルムアミド(DMF)などにおいて0〜80℃の温度範囲で1〜5時間にわたって実施し、塩基、例えば、炭酸ナトリウムもしくはカリウムまたは水素化ナトリウムなどにより促進することができる。得られた生成物は、記載した求核置換反応により導入した部分を修飾することによりさらに官能化することができる。
【0137】
経路B − 一般式(XII)の中間体を得るためのよく知られている酸化条件下での式(VI)の化合物の反応。この反応は、通常、開放空気において、室RTで12〜48時間にわたって、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウムまたはカリウムなどの水溶液の存在下で、好適な溶媒、例えばTHFなどにおいて実施する。
【0138】
経路B1 − 1当量以上の酸活性化剤、例えば、カルボニルジイミダゾールなどによる酸(XII)の処理による、式(XII)の中間体の、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0であり、ZおよびR4は上で定義した通りである)である一般式(I)および(I’)の化合物への転化。この反応は、通常、好適な極性溶媒、例えばDMFなどにおいて、0〜80℃の温度範囲で1〜2時間にわたって実施する。活性化した酸は、求核試薬、例えば、アルコール、チオール、チオ酸およびアミンなどと反応させることができる。この反応は、塩基、例えば、炭酸ナトリウムまたはカリウム、水素化ナトリウムなどにより促進することができ、0〜20℃の範囲の温度で1〜24時間にわたって進行する。
【0139】
あるいは、式(XII)の中間体は、よく知られている条件下で、好適な溶媒、例えばDCMなどにおいて塩化オキサリルを使用して、対応する塩化アシルに転化することができる。活性化した中間体は、求核試薬、例えば、アルコール、チオール、チオ酸、アミンならびにカルバニオン、例えば、アルキル、アリールおよびヘテロアリールクプラートなど、または塩化アシルの対応するケトンへの転化に適していると文献で報告されている他の有機金属化合物などと反応させることができる。
【0140】
経路B2 − 酸(XII)とカルボニルジイミダゾールとの反応、ならびにその後のチオ酢酸のナトリウム塩および/または無水硫化水素との反応に由来する、式(XII)の中間体の一般式(XIII)の化合物への転化。この反応は、通常、0〜20℃の範囲の温度で、予め形成した塩のこの反応溶媒溶液を活性化した酸の溶液に添加することにより実施する。容易に形成したチオ酸中間体(XIII)を、in situでアルキル化剤、例えばブロモアルカンなどと反応させ、それにより、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0、Z=Sであり、R4は上で定義した通りである)である一般式(I)および(I’)のチオエステルが生じる。好適なブロモアルカン、例えばブロモ−クロロメタンなどの選択により、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0、Z=Sであり、R4は上で定義した通りである)である式(I)および(I’)の化合物の調製が可能となり、それは、さらに修飾することができる。例えば、R4がクロロメチルであるこれらの化合物とヨウ化カリウムとの反応、およびその後のフッ化銀による処理により、R4=フルオロメチルである式(I)および(I’)の化合物の調製が可能となり得る。これらの反応は、当業者によく知られている(J.Med.Chem.、37、3717−3729、1994)。
【0141】
経路C − ニトロンの付加環化によるイソオキサゾリジン形成の知られている手順を使用した、パラホルムアルデヒドの存在下での一般式(IV)の中間体と式(X)のヒドロキシルアミンとの反応。この反応は、プロトン供与溶媒、例えばエタノールなどにおいて実施することが好都合である。この反応は、高温、例えば60〜85℃で実施することが好都合であり、それにより、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1、Z=O、R4=Ac)である一般式(I)および(I’)の化合物が生じる。
【0142】
一般式(XIV)の中間体は、塩基、例えばピリジンなどの存在下で、好適な溶媒、例えばDMFなどにおいて、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1、Z=O、R4=AcおよびX=H)である一般式(I)および(I’)の化合物を塩化メタンスルホニルで処理することにより調製することができる。この反応は、80〜100℃の範囲の温度で1〜5時間にわたって進行する。
【0143】
対応するアルケンから出発するクロロヒドリンの調製のよく知られている条件下で式(XIV)の化合物を反応させることにより、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1、Z=O、R4=HおよびX=Cl)である一般式(I)および(I’)の化合物を得ることが可能となる。この反応は、塩素化剤、例えば、N−クロロスクシンイミドまたはジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインなどの使用を伴い、酸、例えば過塩素酸などにより促進される。この反応は、通常、極性溶媒、例えばTHFなどにおいて、0〜20℃の温度範囲で1〜4時間にわたって実施する。式(XIV)の化合物のアセチルエステルは、アルコールの脱アセチル化の標準条件を使用して容易に加水分解することができ、例えば、該化合物を溶媒、例えば、メタノールまたはエタノールなどにおいて塩基、例えば、炭酸ナトリウムまたはカリウムなどで処理する。この反応は、通常、0〜20℃の範囲の低温で、0.5〜2時間にわたって進行する。
【0144】
経路D − 当業者によく知られている手順を使用した、一般式(VI)の中間体と塩化アシルとの反応。この反応は、塩基、例えばトリエチルアミンなどの存在下で、溶媒としてのDCMにおいて、室温で20〜50時間にわたって実施することが好都合である。この手順により、R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1、Z=O、R4は上で定義した通りである)である化合物式(I’)の化合物の調製が可能となり得る。
【0145】
経路E − 一般式(I’)の化合物を得るための一般式(XV)の化合物の合成およびその後の付加環化反応のワンポット手順。この手順の第1のステップは、C21での対応するメシレートの形成を必然的に伴い、乾燥アセトニトリル中の塩化メシルおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を用いるよく知られている条件により、中間体(VII)から出発する。次いで、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)およびKIのin situ添加ならびに8〜20時間にわたる加熱により、フッ素原子の導入を実施できることが好都合である。経路Cに記載の知られている条件下、パラホルムアルデヒドの存在下での得られた中間体(XV)と式(X)のヒドロキシルアミンとの環化付加反応により、一般式(I’)の化合物(式中、R1=CH−Fであり、R2は上で定義した通りである)が形成される。
【0146】
有益なことに、本発明の化合物は、例えば、0.001と1000mg/日との間、好ましくは0.1と500mg/日との間に含まれる投与量で投与することができる。
【0147】
吸入経路で本発明の化合物を投与する場合、一般式(I)および(I’)の化合物の投与量は、有益には、0.01と20mg/日との間、好ましくは0.1と10mg/日との間に含まれる。
【0148】
単独の、または他の活性成分と組み合わせた本発明の化合物は、任意の閉塞性呼吸器疾患、例えば、喘息、慢性気管支炎および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの予防および/または治療のために投与できることが好ましい。
【0149】
しかし、本発明の化合物は、炎症細胞の数、活性および移動の減少が関係している任意の疾患の予防および/または治療のために投与することができる。
【0150】
そのような疾患の例としては、炎症を伴う疾患、例えば、喘息および他のアレルギー性障害、COPD、急性鼻炎など;逆急性移植片拒絶反応(reverse acute transplant rejection)および選択した自己免疫障害の急性悪化、骨髄移植における移植片対宿主病;自己免疫障害、例えば、リウマトイドおよび他の関節炎など;皮膚の状態、例えば、全身性紅斑性狼瘡、全身性皮膚筋炎、乾癬など;炎症性腸疾患、炎症性眼疾患、自己免疫血液障害、および多発性硬化症の急性悪化;腎臓、肝臓、心臓、および他の臓器移植;ベーチェット症候群に伴う眼の急性症状(Behcet’s acute ocular syndrome)、内因性ぶどう膜炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、およびネフローゼ症候群;ホジキン病および非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および慢性リンパ性白血病(CLL);CLLに付随する自己免疫性溶血性貧血および血小板減少;白血病および悪性リンパ腫が挙げられる。
【0151】
本発明の化合物は、呼吸器疾患、例えば、喘息およびCOPDの軽度の状態から急性で重症の状態などの予防および/または治療のために投与できることが好ましい。
【実施例】
【0152】
次に、以下の非限定的な例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0153】
例1
【0154】
【化17】

【0155】
酢酸2−((10R,13S,17R)−17−アセトキシ−10,13−ジメチル−3,11−ジオキソ6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ−エチルエステル(中間体2)の調製
酢酸2−((10R,13S,17R)−17−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3,11−ジオキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ−エチルエステル(中間体1)(2g、4.99mmol)およびp−トルエンスルホン酸(PTSA)(200mg、1.051mmol)の酢酸(5ml)懸濁液に、0℃で、無水トリフルオロ酢酸(5ml、35.4mmol)を10分にわたってゆっくりと添加した。0℃で20minの撹拌後、反応混合物を室温(RT)で3時間撹拌した
反応混合物を氷/水(130ml)に注ぎ、得られた混合物をDCM(2×100ml)およびAcOEt(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで乾燥し、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCMからDCM AcOEt 50:50の勾配溶出で粗生成物を精製して、表題化合物を得た(2.64g、定量収率)
LC−MS(ESI POS):445.2(MH+)。
【0156】
酢酸−(10R,11S,13S,17R)−17−(2−アセトキシ−アセチル)−11−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステル(中間体3)の調製
(中間体2)(2.64g、5.97mmol)の氷冷したTHF(15ml)とMeOH(15.00ml)との溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(221mg、5.84mmol)を2.5時間にわたって少しずつ添加した。反応混合物を1N HClおよび氷(150ml)に注いだ。形成した沈殿物をAcOEt(3×100ml)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 40:60の勾配溶出で粗製物を精製して、表題化合物を得た(1.21g、収率45.6%)
H NMR(300MHz,クロロホルム−d)ppm 7.28(d,1H)、6.30(dd,1H)、6.05(t,1H)、4.92(d,1H)、4.69(d,1H)、4.48〜4.58(m,1H)、2.75〜2.91(m,1H)、2.61(m,1H)、2.37(ddd,1H)、2.18〜2.21(m,3H)、2.09〜2.28(m,3H)、2.07(s,3H)、1.74〜1.98(m,3H)、1.51〜1.70(m,1H)、1.48(s,3H)、1.26〜1.39(m,2H)、1.11〜1.19(m,1H)、1.05(s,3H)
LC−MS(ESI POS):445.2(MH+)。
【0157】
例2
【0158】
【化18】

【0159】
酢酸2−((6S,9R,10S,11S,13S)−6,9−ジフルオロ−11−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)−2−オキソ−エチルエステル(中間体5)の調製
酪酸(9R,10S,1lS,13S,17R)−17−(2−アセトキシ−アセチル)−9−クロロ−11−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−3−オキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イルエステル(中間体4)(2.48g、4.88mmol)の無水DMF(60ml)溶液に、窒素雰囲気下で、酢酸カリウム(3.83g、39.0mmol)を添加し、反応混合物を100℃で1.5時間撹拌した。冷却した反応混合物を氷およびブライン(200ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×150ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して2.55gの粗表題化合物を得、それをさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0160】
H NMR(300MHz,DMSO−d):ppm 7.29(dd,1H)、6.99(dd,1H)、6.29(dd,1H)、5.98〜6.15(m,1H)、5.68(dddd,1H)、5.56(dd,1H)、5.10(d,1H)、4.92(d,1H)、3.98〜4.23(m,1H)、2.56〜2.83(m,1H)、2.26〜2.44(m,3H)、2.14〜2.26(m,1H)、2.09(s,3H)、1.71〜1.87(m,1H)、1.55〜1.65(m,2H)、1.53(s,3H)、1.15(s,3H)
LC−MS(ESI POS):421.97(MH+)。
【0161】
(6S,9R,10S,11S,13S)−6,9−ジフルオロ−11−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシ−アセチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15−デカヒドロ−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(中間体6)の調製
(中間体5)(2.55g、6.06mmol)のエタノール(100ml)溶液に、Candida Antarcticaリパーゼ(2U/mg)(510mg、6.06mmol)を添加し、反応混合物を37℃で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/AcOEt 90:10からDCM/AcOEt 50:50の勾配溶出で残渣を精製して、1.62gの表題化合物を得た(収率70.6%)。
H NMR(300MHz,DMSO−d):ppm 7.29(dd,1H)、6.87(dd,1H)、6.29(dd,1H)、6.09〜6.17(m,1H)、5.67(dddd,1H)、5.53(dd,1H)、4.77(t,1H)、4.44(dd,1H)、4.26(dd,1H)、4.04〜4.15(m,1H)、2.56〜2.79(m,1H)、2.39(dd,1H)、2.25〜2.35(m,2H)、2.09〜2.25(m,1H)、1.76(td,1H)、1.55〜1.66(m,2H)、1.53(s,3H)、1.17(s,3H)
LC−MS(ESI POS):379.99(MH+)。
【0162】
中間体3から出発して、中間体5および6について前述したように、表1に列挙した中間体7および8を調製した。
【0163】
【表2】

【0164】
例3
【0165】
【化19】

【0166】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−8−フラン−3−イルメチル−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物9)の調製
(中間体8)(100mg、0.292mmol)、N−(フラン−3−イルメチル)ヒドロキシルアミン(33mg、0.292mmol)およびパラホルムアルデヒド(50mg、0.999mmol)のエタノール(5ml)中混合物を105℃で一晩撹拌した。溶媒を蒸発し、分取HPLCにより残渣を精製して、58mgの純粋な化合物を得た(収率42%)。
H NMR(300MHz,クロロホルム−d):ppm 7.38(t,1H)、7.32〜7.36(m,1H)、7.25(d,1H)、6.36(dd,1H)、6.30(dd,1H)、6.05(t,1H)、4.45〜4.63(m,1H)、4.45(d,1H)、4.10(d,1H)、3.76(d,1H)、3.70(d,1H)、3.38〜3.61(m,2H)、2.90(br.s.,1H)、2.48〜2.69(m,1H)、2.36(ddd,1H)、2.14〜2.29(m,1H)、2.03〜2.14(m,2H)、1.99(dd,1H)、1.65〜1.85(m,2H)、1.49〜1.67(m,4H)、1.47(s,3H)、1.04〜1.21(m,1H)、0.96(s,3H)
LC−MS(ESI POS):468.18(MH+)。
【0167】
好適なヒドロキシルアミンによる中間体6または8の付加環化により、化合物9について前述したように、表2に列挙した化合物を調製した
シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは分取HPLCにより、最終化合物を精製した。
【0168】
【表3−1】

【0169】
【表3−2】

【0170】
【表3−3】

【0171】
【表3−4】

【0172】
【表3−5】

【0173】
【表3−6】

【0174】
【表3−7】

【0175】
【表3−8】

【0176】
【表3−9】

【0177】
【表3−10】

【0178】
【表3−11】

【0179】
【表3−12】

【0180】
【表3−13】

【0181】
【表3−14】

【0182】
【表3−15】

【0183】
【表3−16】

【0184】
【表3−17】

【0185】
【表3−18】

【0186】
【表3−19】

【0187】
【表3−20】

【0188】
【表3−21】

【0189】
【表3−22】

【0190】
【表3−23】

【0191】
【表3−24】

【0192】
【表3−25】

【0193】
【表3−26】

【0194】
【表3−27】

【0195】
【表3−28】

【0196】
【表3−29】

【0197】
【表3−30】

【0198】
例4
【0199】
【化20】

【0200】
メタンスルホン酸2−[(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニルプロピル)2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル]−2−オキソ−エチルエステル(化合物74)の調製
化合物30(100mg、0.185mmol)のピリジン(5ml)溶液に、窒素雰囲気下で、塩化メタンスルホニル(0.030ml、0.385mmol)を添加した。RTで5時間の撹拌後、反応混合物を2N HClおよび氷(75ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して115mgの粗化合物48を得た。
LC−MS(ESI POS):620.4(MH+)
化合物74について前述したように、表3に列挙した化合物を調製した。
【0201】
【表4】



【0202】
例5
【0203】
【化21】

【0204】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−6b−(2−エチルスルファニル−アセチル)−8−フラン−3−イルメチル−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物81)の調製
CO(41mg、0.297mmol)の無水DMF(1ml)分散液に、窒素雰囲気下で、エタンチオール(15ml、0.196mmol)を添加した。10分の撹拌後、無水DMF(2ml)に溶解した化合物76(107mg、0.196mmol)をそこに滴下した。反応混合物をRTで1.5時間撹拌し、次いで、2N HCl(20ml)および氷に注いだ。水性層をAcOEt(3×30ml)で抽出し、合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、AcOEt/石油エーテル 10:90からAcOEt/石油エーテル 40:60の勾配溶出で粗生成物を精製して、68mgの表題化合物を得た(収率68%)。
【0205】
H NMR(300MHz,クロロホルム−d)ppm 7.38(t,1H)、7.33〜7.36(m,1H)、7.26(d,1H)、6.37(dd,1H)、6.30(dd,1H)、6.05(t,1H)、4.50(五重線,1H)、3.73(s,2H)、3.44(d,1H)、3.35〜3.61(m,2H)、3.40(d,1H)、2.43〜2.73(m,3H)、2.36(ddd,1H)、1.92〜2.28(m,4H)、1.60〜1.91(m,3H)、1.47(s,3H)、1.41〜1.54(m,1H)、1.23(t,3H)、1.08〜1.38(m,3H)、0.99(s,3H)。
【0206】
LC−MS(ESI POS):512.09(MH+)
化合物81について前述したように、表4に列挙した化合物を調製した。
【0207】
【表5−1】

【0208】
【表5−2】

【0209】
【表5−3】

【0210】
例6
【0211】
【化22】

【0212】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−8−フラン−3−イルメチル−5−ヒドロキシ−6b−(2−メルカプト−アセチル)−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物88)の調製
化合物82(63mg、0.120mmol)の脱気エタノール(7ml)と水(3ml)との溶液に、0℃で、窒素雰囲気下、1N NaOH(120μl、0.120mmol)を添加した。反応混合物を0℃で3.5時間撹拌した後、反応混合物を2N HCl(1ml)およびブライン(10ml)に注いだ。水性層をAcOEt(3×20ml)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 80:20の勾配溶出で粗生成物を精製して、20mgの純粋な化合物を得た(収率34%)。
【0213】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)ppm 7.58(t,1H)、7.52〜7.57(m,1H)、7.31(d,1H)、6.41(dd,1H)、6.17(dd,1H)、5.93(t,1H)、4.70(d,1H)、4.14〜4.44(m,1H)、3.76(d,1H)、3.66(d,1H)、3.62(dd,1H)、3.34(dd,1H)、3.29〜3.53(m,2H)、2.52〜2.62(m,1H)、2.34〜2.44(m,1H)、2.20〜2.35(m,1H)、1.87〜2.22(m,3H)、1.73(d,2H)、1.50〜1.71(m,2H)、1.38(s,3H)、1.30〜1.51(m,1H)、0.99〜1.13(m,1H)、0.95(dd,1H)、0.81(s,3H)
LC−MS(ESI POS):484.09(MH+)。
【0214】
例7
【0215】
【化23】

【0216】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−6b−(2−クロロ−アセチル)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−8−(3−フェニル−プロピル)−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物89)の調製
塩化リチウム(97mg、2.285mmol)の無水DMF(1ml)溶液に、窒素雰囲気下で、無水DMF(2ml)に溶解した化合物74(118mg、0.190mmol)を添加した。反応混合物を65℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を2N HClおよび氷(20ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(2×40ml)、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 85:15の勾配溶出で粗生成物を精製して、78mgの表題化合物を得た(収率73.1%)。
【0217】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.03〜7.34(m,6H)、6.29(dd,J=10.12,1.91Hz,1H)、6.11(s,1H)、5.49〜5.78(m,1H)、5.45(d,J=2.93Hz,1H)、4.69(d,J=17.31Hz,1H)、4.54(d,J=17.31Hz,1H)、3.98〜4.24(m,1H)、3.45〜3.62(m,1H)、3.33〜3.45(m,1H)、2.70(t,J=7.19Hz,2H)、2.59(t,J=7.63Hz,2H)、2.05〜2.35(m,2H)、1.97(br.s.,2H)、1.54〜1.85(m,6H)、1.49(s,3H)、1.39〜1.46(m,1H)、0.84(s,3H)
LC−MS(ESI POS)560.0(MH+)
化合物89について前述したように、表5に列挙した化合物を調製した。
【0218】
【表6−1】

【0219】
【表6−2】

【0220】
例8
【0221】
【化24】

【0222】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−8−フラン−3−イルメチル−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−6b−[2−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルスルファニル)−アセチル]−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物93)の調製
3−メルカプト−ジヒドロ−フラン−2−オン(37mg、0.312mmol)の無水THF(1ml)溶液を、NaHの無水THF(1.5ml)撹拌懸濁液(13mg、0.325mmol、60%の鉱油懸濁液)に0℃で滴下した。得られた溶液を0℃で30min撹拌した。化合物76(170mg、0.312mmol)の無水THF(2ml)溶液をゆっくりと滴下し、混合物を0℃で2hrおよびRTで3hr撹拌した。反応混合物を水(20ml)および氷に注ぎ、水性層をAcOEt(3×20ml)で抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 25:75の勾配溶出で粗生成物を精製して、97mgの純粋な化合物を得た(収率55%)。
【0223】
H NMR(300MHz,クロロホルム−d)ppm 7.32〜7.43(m,2H)、7.18〜7.32(m,2H)、6.33〜6.43(m,1H)、6.26〜6.34(m,1H)、5.82〜6.13(m,1H)、4.46〜4.58(m,1H)、4.24〜4.69(m,2H)、3.31〜4.21(m,7H)、2.48〜2.87(m,2H)、2.30〜2.49(m,1H)、1.86〜2.29(m,5H)、1.60〜1.86(m,2H)、1.47(s,3H)、1.38〜1.63(m,1H)、1.25〜1.37(m,1H)、1.06〜1.20(m,2H)、0.98(s,3H)
LC−MS(ESI POS):568.11(MH+)
化合物93について前述したように、表6に列挙した化合物を調製した。
【0224】
【表7−1】

【0225】
【表7−2】

【0226】
例9
【0227】
【化25】

【0228】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル-6b−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−アセチル]−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(中間体97)の調製
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(中間体21)(250mg、0.64mmol)のDCM(10ml)溶液に、0℃で、窒素雰囲気下、DHP(161μl、1.9mmol)を添加し、反応混合物をRTで1hr撹拌した。溶媒を蒸発し、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/AcOEt 80:20で残渣を精製して、260mgの表題化合物を得た(収率86%)
LC−MS(ESI POS):444.2(MH+)。
【0229】
例10
【0230】
【化26】

【0231】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−8−ベンゾイル−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−6b−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−アセチル]−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(中間体98)の調製
中間体97(130mg、0.27mmol)の無水THF(2.7ml)溶液に、0℃で、窒素雰囲気下、トリエチルアミン(75μl、0.54mmol)を添加し、混合物を0℃で15分撹拌した。塩化ベンゾイルを添加し(63μl、0.54mmol)、混合物をさらに15分撹拌した。混合物をAcOEt(20ml)で希釈し、有機層を水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/AcOEt 80:20で粗生成物を精製して、120mgの表題化合物を無色の油として得た(収率77%)
LC−MS(ESI POS):576.15(MH+)
中間体97と好適な塩化アシルとを反応させて、中間体98について前述したように、表7に列挙した中間体を調製した。
【0232】
【表8】

【0233】
例11
【0234】
【化27】

【0235】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−8−ベンゾイル−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物100)の調製
中間体98(120mg、0.20mmol)のTHF(6ml)溶液に、1N HCl(3ml)を添加し、混合物をRTで14時間撹拌した。混合物をAcOEt(30ml)で希釈し、有機層を水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。分取HPLCにより粗生成物を精製して、41.3mgの表題化合物を得た(収率42%)。
【0236】
H NMR(300MHz,クロロホルム−d)ppm 7.57〜7.71(m,2H)、7.47〜7.56(m,1H)、7.37〜7.46(m,2H)、7.30(d,1H)、6.39(dd,1H)、6.15(t,1H)、4.44〜4.56(m,1H)、4.42(d,1H)、4.21(dd,1H)、4.16(d,1H)、3.73(td,1H)、3.53(dd,1H)、2.53〜2.72(m,1H)、2.42(ddd,1H)、2.17〜2.30(m,1H)、2.06〜2.17(m,1H)、1.96〜2.06(m,1H)、1.85(ddd,1H)、1.67〜1.79(m,2H)、1.62(dd,1H)、1.47(s,3H)、1.09〜1.33(m,1H)、1.04(dd,1H)、1.01(s,3H)
LC−MS(ESI POS):492.10(MH+)
化合物100について前述したように、化合物101を調製した。
【0237】
【表9】

【0238】
例12
【0239】
【化28】

【0240】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−8−(フラン−2−カルボニル)−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物102)の調製
中間体97およびトリエチルアミン(117ml、0.84mmol)の乾燥THF溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、塩化2−フロイル(76μl、0.77mmol)を添加し、反応混合物を5分間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣をTHF(2ml)、アセトニトリル(2ml)および水(10ml)に溶解した。1N HClをこの混合物に添加し、混合物をRTで30分撹拌した。DCM(15ml)を添加し、各相を分離し、水性層をDCM(2×15ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮した。分取HPLCにより粗生成物を精製して、40mgの表題化合物を得た(収率11%)。
【0241】
H NMR 1H NMR(300MHz,DMSO−d6)ppm 7.90(dd,1H)、7.31(d,1H)、7.20(dd,1H)、6.67(dd,1H)、6.16(dd,1H)、5.91(s,1H)、4.80(br.s.,1H)、4.45(d,1H)、4.27〜4.38(m,1H)、4.20(dd,1H)、4.19(d,1H)、3.53〜3.67(m,1H)、3.46(dd,1H)、2.53〜2.61(m,1H)、2.22〜2.39(m,2H)、1.94〜2.17(m,2H)、1.82〜1.92(m,2H)、1.50〜1.82(m,3H)、1.39(s,3H)、0.99〜1.15(m,1H)、0.92〜1.00(m,1H)、0.92(s,3H)
LC−MS(ESI POS):482.00(MH+)
化合物102について前述したように、表9に列挙した化合物を調製した。
【0242】
【表10−1】

【0243】
【表10−2】

【0244】
例13
【0245】
【化29】

【0246】
酢酸2−((4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル)−2−オキソ−エチルエステル(化合物106)の調製
中間体7から出発して、化合物9(例3)について前述したように、表題化合物を収率55%で得た
LC−MS(ESI POS):430.3(MH+)。
【0247】
酢酸2−((4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−8−メタンスルホニル−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル)−2−オキソ−エチルエステル(化合物107)の調製
化合物106(120mg、0.28mmol)を窒素雰囲気下で無水DCM(5ml)に溶解した。トリエチルアミン(75μl、0.54mmol)および塩化メタンスルホニル(75μl、0.54mmol)を添加し、反応混合物をRTで3日間撹拌した。混合物をDCM(20ml)で希釈し、有機相を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/AcOEt 90:10からDCM/AcOEt 50:50の勾配溶出で粗生成物を精製して、74mgの純粋な化合物を得た(収率52%)
LC−MS(ESI POS):508.3(MH+)。
【0248】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−8−メタンスルホニル−4a,6a−ジメチル4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物108)の調製
酢酸2−((4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−8−メタンスルホニル−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル)−2−オキソ−エチルエステル(化合物107)(74mg、0.16mmol)の脱気メタノール(5ml)と水(5ml)との溶液に、0℃で、窒素雰囲気下、1N NaOH(180μl)を添加し、反応混合物を0℃で10分間撹拌した。反応混合物をpH2まで酸性化し、濃縮し、分取LC−MSにより残渣を精製して、11.5mgの表題化合物を得た(収率17%)。
【0249】
H NMR(300MHz,クロロホルム−d):ppm 7.26(d,1H)、6.33(dd,1H)、6.08(t,1H)、4.72(d,1H)、4.54(q,1H)、4.23(d,1H)、4.03(dd,1H)、3.78(td,1H)、3.06(s,3H)、3.00(dd,1H)、2.51〜2.71(m,1H)、2.39(ddd,1H)、2.17〜2.31(m,1H)、2.01〜2.17(m,3H)、1.77〜1.95(m,1H)、1.58〜1.76(m,2H)、1.47(s,3H)、1.09〜1.32(m,2H)、1.01(s,3H)
LC_MS(ESI POS):466.09(MH+)。
【0250】
例14
【0251】
【化30】

【0252】
酢酸2−[(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−8−(メチル−フェニル−カルバモイル)−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル]−2−オキソ−エチルエステル(化合物109)の調製
化合物106(200mg、0.50mmol)を窒素雰囲気下で無水DCM(7ml)に溶解した。トリエチルアミン(71μl、0.51mmol)およびN−メチル−N−フェニル塩化カルバモイル(87mg、0.51mmol)を添加し、反応混合物を0℃で3時間およびRTで3日間撹拌した。混合物を水(15ml)で希釈し、1N HClを添加した。水性層をDCM(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮した。分取HPLCにより粗生成物を精製して、66mgの純粋な化合物を得た(収率23%)
LC−MS(ESI POS):563.7(MH+)。
【0253】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,6b,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−8−カルボン酸メチル−フェニル−アミド(化合物110)の調製
化合物109(66mg、0.12mmol)の脱気メタノール(1.5ml)と水(1.5ml)との溶液に、0℃で、窒素雰囲気下、1N NaOH(117μl)を添加し、反応混合物を0℃で10分間撹拌した。反応混合物をpH2まで酸性化し、濃縮し、分取LC−MSにより残渣を精製して、21mgの表題化合物を得た(収率33%)。
【0254】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.25〜7.38(m,3H)、7.17〜7.25(m,2H)、7.06〜7.17(m,1H)、6.20(dd,1H)、5.94(s,1H)、4.64(br.s.,1H)、4.36(d,1H)、4.04〜4.25(m,1H)、3.89(d,1H)、3.65(dd,1H)、3.40〜3.46(m,1H)、3.14(s,3H)、2.98(dd,1H)、2.53〜2.65(m,1H)、2.20〜2.35(m,1H)、1.84〜2.13(m,2H)、1.47〜1.69(m,2H)、1.37〜1.47(m,1H)、1.35(s,3H)、1.13〜1.37(m,3H)、0.92〜1.12(m,1H)、0.84(dd,1H)、0.78(s,3H)
LC_MS(ESI POS):521.24(MH+)。
【0255】
例15
【0256】
【化31】

【0257】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−チオフェン−3−イルメチル−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボン酸(化合物111)の調製
11(202mg、0.418mmol)のTHF(3ml)と水(1ml)との溶液に、1N NaOH(836μl、0.836mmol)を添加し、反応混合物をRTで開放容器において24時間撹拌した。反応混合物を2N HClおよび氷(30ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して202mgの粗製物(定量収率)を得、それをさらに精製することなくそのまま使用した。
【0258】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)ppm 7.42(dd,1H)、7.31〜7.35(m,1H)、7.31(d,1H)、7.04(dd,1H)、6.16(dd,1H)、5.92(s,1H)、4.20〜4.35(m,1H)、3.89(br.s.,2H)、3.31〜3.58(m,2H)、2.53〜2.60(m,1H)、2.22〜2.37(m,1H)、1.93〜2.20(m,3H)、1.81(d,1H)、1.49〜1.71(m,3H)、1.35〜1.48(m,1H)、1.39(s,3H)、0.97〜1.15(m,1H)、0.96(s,3H)、0.91(dd,1H)
LC−MS(ESI POS):470.13(MH+)。
【0259】
化合物111について前述したように、表10に列挙した化合物を調製した。
【0260】
【表11】

【0261】
例16
【0262】
【化32】

【0263】
(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−チオフェン−3−イルメチル−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボン酸メチルエステル(化合物116)の調製
窒素雰囲気下で、化合物111(110mg、0.23mmol)を無水THF(25ml)に懸濁し、CDI(65mg、0.39mmol)を添加し、混合物を60℃で3hr撹拌した。メタノール(5ml)を添加し、反応混合物をRTで一晩撹拌した。溶媒を蒸発し、分取HPLCにより粗生成物を精製して、41mgの純粋な化合物を得た(収率37%)。
【0264】
H NMR(300MHz,DMSO−d6)ppm 7.42(dd,1H)、7.31(d,1H)、7.27〜7.30(m,1H)、7.01(dd,1H)、6.16(dd,1H)、5.92(s,1H)、4.18〜4.36(m,1H)、3.88(s,2H)、3.66(s,3H)、3.38〜3.51(m,2H)、2.53〜2.61(m,1H)、2.21〜2.37(m,1H)、1.92〜2.18(m,3H)、1.69〜1.84(m,1H)、1.46〜1.68(m,3H)、1.39(s,3H)、1.32〜1.46(m,1H)、0.97〜1.14(m,1H)、0.90(s,3H)、0.86〜0.96(m,1H)
LC−MS(ESI POS):484.28(MH)。
【0265】
例17
【0266】
【化33】

【0267】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボチオ酸(carbothoic acid)S−ブチルエステル(化合物117)の調製
化合物114(100mg、0.190mmol)の無水DMF(2ml)溶液に、窒素雰囲気下で、カルボニルジイミダゾール(CDI)(61.5mg、0.379mmol)を添加し、反応混合物をRTで1.5hrおよび60℃で30min撹拌した。次いで、ブチルメルカプタン(0.041ml、0.379mmol)および水素化ナトリウム(16.68mg、0.417mmol)の無水DMF(3ml)溶液をゆっくりと滴下し、反応混合物をRTで1.5hr撹拌した。反応混合物を水および氷(50ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュSiOカートリッジにより、DCMからDCM/AcOEt 88:12の勾配溶出で粗生成物を精製して、66mgの表題化合物を得た(収率58.1%)。
【0268】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.08〜7.33(m,6H)、6.29(dd,1H)、6.11(s,1H)、5.50〜5.78(m,1H)、5.47(d,1H)、4.06〜4.30(m,1H)、3.44〜3.64(m,1H)、3.32〜3.44(m,1H)、2.79(td,2H)、2.54〜2.74(m,6H)、2.18〜2.32(m,1H)、1.94〜2.18(m,3H)、1.70〜1.94(m,4H)、1.53〜1.68(m,1H)、1.49(s,3H)、1.40〜1.48(m,2H)、1.25〜1.39(m,2H)、0.87(s,3H)、0.86(t,3H)
LC−MS(ESI POS):600.4(MH+)
[α]25=+150.2°(c=0.50,CHCl)。
【0269】
例18
【0270】
【化34】

【0271】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−8−(4−クロロ−ベンジル)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボン酸メチルアミド(化合物118)の調製
化合物113(200mg、0.375mmol)の乾燥DMF(5ml)溶液に、窒素雰囲気下で、CDI(66.8mg、0.412mmol)を添加し、混合物を50℃で1h撹拌した。反応物を室温まで冷却し、メチルアミン(0.749ml、1.498mmol)の2MのTHF溶液を添加し、その後、DMAP(45.8mg、0.375mmol)を添加した。反応物を50℃で4時間撹拌すると、依然として多少のカルボン酸が存在していたため、メチルアミン(1.5ml、3.00mmol)の2M溶液をさらに添加し、反応物を50℃で一晩加熱した。反応混合物を冷却し、100mlの水に注ぎ、AcOEt(3×70ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物(240mg)をMeOHに溶解し、残りのカルボン酸をPS−HCO3カートリッジで除去し、219mgの粗生成物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーカラム(DCM/AcOEt 1/1)を介した精製により150mgの表題化合物を得る(収率73%)。
【0272】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.27〜7.46(m,4H)、7.24(dd,1H)、7.10(q,1H)、6.29(dd,1H)、6.11(s,1H)、5.50〜5.79(m,1H)、5.38(dd,1H)、4.05〜4.17(m,1H)、3.91(d,1H)、3.83(d,1H)、3.46〜3.62(m,1H)、3.34〜3.46(m,1H)、2.61(d,3H)、2.54〜2.59(m,1H)、2.18〜2.33(m,1H)、1.97〜2.17(m,1H)、1.71〜1.86(m,1H)、1.51〜1.65(m,3H)、1.49(s,3H)、1.46〜1.52(m,1H)、1.39(dd,1H)、0.88(s,3H)
LC−MS(ESI POS):547.19 MH+
[α]25=+283.3,(c 0.21,CHCl
好適なアルコール、チオール、またはアミン(またはアミンの対応する塩酸塩)を利用して、化合物118について前述したように、表11に列挙した化合物を調製した。
【0273】
【表12−1】

【0274】
【表12−2】

【0275】
【表12−3】

【0276】
【表12−4】

【0277】
【表12−5】

【0278】
【表12−6】

【0279】
【表12−7】

【0280】
【表12−8】

【0281】
例19
【0282】
【化35】

【0283】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボン酸クロロメチルエステル(化合物135)の調製
化合物114(120mg、0.227mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(4ml)溶液に、窒素雰囲気下で、炭酸カリウム(62.9mg、0.455mmol)およびブロモクロロメタン(0.075ml、1.137mmol)を添加し、反応混合物をRTで25時間撹拌した。反応混合物をAcOEt(40ml)で希釈し、有機層を5%NaHCO、水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 85:15の勾配溶出で粗生成物を精製して、31.5mgの表題化合物を得た(収率24%)。
【0284】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.08〜7.34(m,6H)、6.29(dd,1H)、6.11(s,1H)、5.95(d,1H)、5.92(d,1H)、5.53〜5.80(m,1H)、5.53(dd,1H)、4.10〜4.24(m,1H)、3.43〜3.72(m,2H)、2.54〜2.70(m,4H)、2.18〜2.34(m,2H)、2.04〜2.19(m,1H)、1.80〜1.95(m,1H)、1.60〜1.80(m,5H)、1.50〜1.60(m,1H)、1.49(s,3H)、1.38〜1.47(m,1H)、0.94(s,3H)
LC−MS(ESI POS):576.07(MH+)
化合物135について前述したように、表12に列挙した化合物を調製した。
【0285】
【表13−1】

【0286】
【表13−2】

【0287】
例20
【0288】
【化36】

【0289】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボチオ酸S−シアノメチルエステル(139)の調製
化合物114(220mg、0.417mmol)およびCDI(135mg、0.834mmol)の乾燥DMF(4ml)中混合物を、65℃で、窒素下で1時間30分撹拌した。混合物をRTで、次いで、0℃で冷却し、新たに調製したチオ酢酸(0.096ml、1.334mmol)および水素化ナトリウム(50.0mg、1.251mmol)の乾燥DMF(2ml)溶液を混合物に添加し、得られた溶液を0℃で10分間撹拌した。次いで、2−ブロモアセトニトリル(0.119ml、1.710mmol)を添加し、得られた混合物をRTで3時間撹拌した。混合物をAcOEt(40ml)と水(30ml)との間で分配し、有機相を分離し、水性層をAcOEt(2×40ml)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 90:10の勾配溶出で粗生成物を精製して、100mgの表題化合物を得た(収率41.2%)。
【0290】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.05〜7.34(m,6H)、6.29(dd,1H)、6.11(s,1H)、5.55(dd,1H)、5.49〜5.82(m,1H)、4.12〜4.24(m,1H)、3.96(d,1H)、3.89(d,1H)、3.46〜3.67(m,1H)、3.33〜3.45(m,1H)、2.54〜2.84(m,5H)、1.99〜2.33(m,3H)、1.49(s,3H)、1.42〜1.93(m,7H)、0.92(s,3H)
LC−MS(ESI POS):583.98(MH+)
[α]25=+118.2°(c=0.49,CHCl
化合物139および好適なブロモエタン誘導体について前述したように、表13に列挙した化合物を調製した。
【0291】
【表14−1】

【0292】
【表14−2】

【0293】
【表14−3】

【0294】
【表14−4】

【0295】
【表14−5】

【0296】
【表14−6】

【0297】
【表14−7】

【0298】
【表14−8】

【0299】
【表14−9】

【0300】
例21
【0301】
【化37】

【0302】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボチオ酸S−インドメチルエステル(化合物157)の調製
化合物143のアセトン(4ml)溶液に、ヨウ化ナトリウム(122mg、0.811mmol)を添加し、反応混合物を65℃で9時間撹拌した。反応混合物をAcOEt(50ml)で希釈し、水性層を水、10%チオ硫酸ナトリウム、5%炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、AcOEt/石油エーテル 5:95からAcOEt/石油エーテル 30:70の勾配溶出で粗生成物を精製して、16mgの表題化合物を得た(収率34.6%)。
LC−MS(ESI POS):684.2(MH+)。
【0303】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(化合物158)の調製
化合物157(16mg、0.023mmol)のアセトニトリル(7ml)溶液に、フッ化銀(41.6mg、0.328mmol)を添加し、反応混合物をRTで暗所で一晩撹拌した。綿パッドを通して反応混合物を濾過し、濃縮して28mgの粗製物を得、それをアセトニトリル中のRP18カートリッジにより精製して、所望の生成物を含有する13mgの混合物を得た。SiOカートリッジにより、AcOEt/DCM 15:85からAcOEt/DCM 30:70の勾配溶出で混合物をさらに精製して、2.1mgの表題化合物を得た(収率16%)。
【0304】
H NMR(300MHz,クロロホルム−d)ppm 7.16〜7.33(m,5H)、7.12(dd,1H)、6.46(s,1H)、6.40(dd,1H)、6.01(dd,1H)、5.64(dd,1H)、5.41(dddd,1H)、4.25〜4.50(m,1H)、3.52〜3.74(m,2H)、2.76〜2.94(m,2H)、2.64〜2.76(m,2H)、2.41〜2.64(m,1H)、2.23〜2.40(m,2H)、1.65〜2.19(m,6H)、1.48(br.s.,1H)、1.28(s,3H)、1.22〜1.36(m,2H)、1.03(s,3H)
LC−MS(ESI POS):575.90(MH+)
好適な酸誘導体から出発して、化合物158について前述したように、表14に列挙した化合物を調製した。
【0305】
【表15】

【0306】
例22
【0307】
【化38】

【0308】
化合物9(例3)について前述したように、中間体7と3−フェニル−プロピル−ヒドロキシルアミンとを反応させて、酢酸2−[(4aR,5S,6aS,6bR,9aS)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル]−2−オキソ−エチルエステル(化合物160)を収率79%で得た。
【0309】
酢酸2−[(4aS,6aS,6bR,9aS)−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−ドデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル]−2−オキソ−エチルエステル(化合物161)の調製
化合物160(403mg、0.736mmol)のDMF(8ml)溶液に、窒素雰囲気下で、ピリジン(0.268ml、3.31mmol)および塩化メタンスルホニル(0.172ml、2.207mmol)を添加した。反応混合物を90℃で3.5時間およびRTで一晩撹拌した。
【0310】
反応混合物を氷およびブライン(40ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×40ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 85:15の勾配溶出で粗生成物を精製して、211mgの純粋な化合物を得た(収率54.1%)
LC−MS(ESI POS):530.4(MH+)。
【0311】
酢酸2−[(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS)−4b−クロロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−(3−フェニル−プロピル)−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル]−2−オキソ−エチルエステル(化合物162)の調製
化合物161(211mg、0.398mmol)のTHF(12ml)溶液に、0℃で、窒素雰囲気下、過塩素酸(0.073ml、1.214mmol)の水(164μl)溶液を添加し、その後1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(57mg、0.289mmol)を添加した。5分後に冷却槽を取り出し、混合物をRTで3時間撹拌した。1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(57.0mg、0.289mmol)および過塩素酸(0.073ml、1.215mmol)をさらに添加し、反応混合物をRTでさらに1時間撹拌した。反応混合物をNaHSO(100ml)の0.64%溶液に注ぎ、その後、固体NaClを添加した。水性層をAcOEt(3×75ml)で抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(無水NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCMからDCM/AcOEt 70:30の勾配溶出で粗生成物を精製して、112mgの表題化合物を得た(収率48.3%)
LC−MS(ESI POS):582.3(MH+)。
【0312】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS)−4b−クロロ−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル−8−(3−フェニル−プロピル)−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物163)の調製
化合物162(112mg、0.192mmol)のMeOH(8ml)とTHF(5.00ml)との溶液(脱気溶媒)に、窒素雰囲気下、0℃で、KCO(39.9mg、0.289mmol)を添加し、反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を2N HClおよび氷(50ml)に注ぎ、水性層をAcOEt(3×60ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。次いで、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、AcOEt/DCM 5:95からAcOEt/DCM 40:60の勾配溶出で粗製物を精製して、73mgの表題化合物を得た(収率70.3%)。
【0313】
H NMR(300MHz,クロロホルム−d)ppm 7.29〜7.34(m,1H)、7.11〜7.25(m,5H)、6.37(dd,1H)、6.11(t,1H)、4.87(d,1H)、4.60(br.s.,1H)、4.22(d,1H)、3.75〜3.88(m,1H)、3.59〜3.75(m,1H)、2.88〜3.16(m,2H)、2.68〜2.79(m,2H)、2.54〜2.70(m,3H)、2.36〜2.53(m,2H)、2.19〜2.33(m,1H)、1.99〜2.17(m,2H)、1.71〜1.93(m,3H)、1.67(s,3H)、1.60(dd,1H)、1.40〜1.54(m,1H)、1.00(s,3H)
LC−MS(ESIPOS):540.01(MH+)
中間体7とN−p−クロロベンジルヒドロキシルアミンとを反応させて、化合物163について前述したように、化合物164を調製した。
【0314】
【表16】

【0315】
例23
【0316】
【化39】

【0317】
プロピオン酸2−((4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−8−チオフェン−2−イルメチル−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル)−2−オキソ−エチルエステル(化合物165)の調製
37の無水ジクロロメタン(15ml)溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、トリエチルアミン(0.161ml、1.155mmol)および塩化プロピオニル(0.100ml、1.155mmol)を添加した。反応混合物を0℃で15minおよび室温で24hrs撹拌し、次いで、さらなるトリエチルアミン(0.080ml、0.577mmol)および塩化プロピオニル(0.050ml、0.577mmol)を添加した。混合物を室温でさらに2時間撹拌した。混合物をDCM(60ml)で希釈し、有機相を1N HCl、水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルフラッシュカートリッジにより、DCMからDCM/AcOEt 85:15の勾配溶出で残渣を精製して、248mgの104を得た(収率75%)。
【0318】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.44(dd,1H)、7.27(dd,1H)、7.00(dd,1H)、6.96(dd,1H)、6.31(dd,1H)、6.12(s,1H)、5.58(d,1H)、5.37〜5.81(m,1H)、4.76(d,1H)、4.64(d,1H)、4.20〜4.26(m,1H)、4.21(d,1H)、4.01(d,1H)、3.45〜3.63(m,1H)、3.32〜3.38(m,1H)、2.59〜2.71(m,1H)、2.38(q,2H)、2.08〜2.31(m,3H)、1.94〜2.05(m,1H)、1.73(d,1H)、1.52〜1.68(m,2H)、1.49(s,3H)、1.43(dd,1H)、1.05(t,3H)、0.85(s,3H)
LC−MS(ESI POS):576.21 MH+
[α]25=+162.0(c=0.151,MeOH)
好適なイソオキサゾリジン誘導体から出発して、化合物165について前述したように、表16に列挙した化合物を調製した。
【0319】
【表17】

【0320】
例24
【0321】
【化40】

【0322】
酢酸2−((4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル)−2−オキソ−エチルエステル(化合物168)の調製
中間体7から出発して、化合物9(例3)について前述したように、表題化合物を収率33%で得た
LC−MS(ESI POS):466.0(MH+)。
【0323】
酢酸2−((4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−2−オキソ−2,4a,4b,5,6,6a,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−N−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−6b−イル)−2−オキソ−エチルエステル(化合物169)の調製
化合物168(200mg、0.430mmol)、ヨウ化カリウム(164mg、0.988mmol)およびエチルジイソプロピルアミン(0.169ml、0.988mmol)の無水DMF(3ml)溶液に、無水DMF(5ml)に溶解した(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)メチルメタンスルホネート(215mg、0.988mmol)を添加した。100℃でのマイクロ波加熱下で反応混合物を3時間撹拌した。反応混合物をAcOEt(50ml)で希釈し、有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/MeOH/AcOEt 49:1:50からDCM/MeOH/AcOEt 47:3:50の勾配溶出で残渣を精製して、115mgの表題化合物を得た(収率46%)
LC−MS(ESI POS):587.1(MH+)。
【0324】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−4b,12−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−6b−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−N−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イルメチル)−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物170)の調製
化合物169(115mg、0.196mmol)のジオキサン(12ml)と水(6.00ml)との溶液に、12N HCl(1.5ml)を添加し、反応混合物を60℃で3時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、pHを9に調整した。ブラインを添加し、水性相をAcOEt(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルフラッシュカートリッジにより、AcOEtからAcOEt/MeOH 97:3の勾配溶出で粗生成物を精製して、73mgの表題化合物を得た(収率68%)。
【0325】
H NMR(300MHz,DMSO−d)ppm 7.62(dd,1H)、7.37(dd,1H)、7.26(d,1H)、6.30(dd,1H)、6.17(t,1H)、6.12(s,1H)、5.49〜5.83(m,1H)、5.43(dd,1H)、4.77(t,1H)、4.32(dd,1H)、4.10〜4.22(m,1H)、4.01(dd,1H)、3.71(br.s.,2H)、3.44〜3.56(m,2H)、3.42(s,3H)、2.58〜2.71(m,1H)、2.07〜2.35(m,3H)、1.83〜1.99(m,1H)、1.52〜1.68(m,3H)、1.49(s,3H)、1.38〜1.47(m,1H)、0.81(s,3H)
LC−MS(ESI POS):545.25 MH+
[α]25=+190.6(c=0.136,MeOH)
好適なアルキル化剤を用いて、化合物170について前述したように、表16に列挙した化合物を調製した。
【0326】
【表18】

【0327】
例25
【0328】
【化41】

【0329】
(6S,8S,9R,10S,11S,13S,14S)−6,9−ジフルオロ−17−(2−フルオロ−アセチル)−11−ヒドロキシ−10,13−ジメチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15−デカヒドロ−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(化合物173)の調製
化合物6(0.5g、1.321mmol)の乾燥アセトニトリル(20ml)溶液に、窒素雰囲気下で、DIPEA(0.396ml、2.246mmol)およびMs−Cl(0.155ml、1.982mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、THF中のTBAF(2.64ml、2.64mmol)1Mおよびフッ化カリウム(0.077g、1.321mmol)を添加し、混合物を還流で一晩加熱した。混合物をAcOEtで希釈し、有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより、石油エーテル/AcOEt 8:2からAcOEtの勾配溶出で粗生成物を精製して、表題化合物を得た(収率98%)
LC−MS(ESI POS):381.3MH+。
【0330】
(4aS,4bR,5S,6aS,6bR,9aS,10aS,10bS,12S)−8−(4−クロロ−ベンジル)−4b,12−ジフルオロ−6b−(2−フルオロ−アセチル)−5−ヒドロキシ−4a,6a−ジメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,8,9,9a,10,10a,10b,11,12−テトラデカヒドロ−7−オキサ−8−アザ−ペンタレノ[2,1−a]フェナントレン−2−オン(化合物174)の調製
化合物9(例3)について前述したように、中間体111とN−(4−クロロ−ベンジル)−ヒドロキシルアミンとを反応させて化合物173を収率21%で得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d6)ppm 7.36〜7.44(m,2H)、7.29〜7.36(m,2H)、7.27(dd,1H)、6.30(dd,1H)、6.13(s,1H)、5.49〜5.79(m,1H)、5.46(dd,1H)、4.92(dd,1H)、4.67〜4.94(m,1H)、4.09〜4.27(m,1H)、3.95(d,1H)、3.78(d,1H)、3.45〜3.60(m,1H)、3.34〜3.44(m,1H)、2.59〜2.69(m,1H)、1.99〜2.39(m,3H)、1.72〜1.96(m,1H)、1.51〜1.70(m,3H)、1.49(s,3H)、1.38〜1.48(m,1H)、0.84(s,3H)
LC−MS(ESI POS):550.18 MH+
[α]25=+221.2(c=0.2,MeOH)。
【0331】
凡例
NMR
s=一重項(singlet)
d=二重項(doublet)
t=三重項(triplet)
q=四重項(quartet)
dd=二重項の二重項(doublet of doublets)
m=多重項(multiplet)
br=ブロード(broad)
ESI−POS=エレクトロスプレー陽イオン化
LC−MS=液体クロマトグラフィー−質量分析。
【0332】
本発明の化合物の薬理活性
In vivo研究
例26
リポ多糖(LPS)誘発性の肺好中球増加
Am.J.Respir.Crit.Care Med.、第162巻、1455〜1461頁、2000に記載の方法を若干変更して、本発明に記載の化合物の効力および作用持続時間を肺炎の急性モデルにおいてin vivoで評価した。
各試験を雄のSprague−Dawleyラット(200g)で実施した。
LPSの気管内点滴により、進行中の急性肺炎の特徴であるBALFにおける好中球濃度の統計的に有意な上昇が生じた。
75%阻害を実現するグルココルチコイドの用量(ED75用量)評価試験のために、LPS攻撃(Challenge)の1時間前に各化合物(0.01〜3μモル/Kg体重)を懸濁液(NaCl 0.9%中の0.2%Tween 80)として気管内投与した。
試験化合物のLPS誘発性の肺好中球増加に対する阻害効果の用量−反応曲線を測定し、グルココルチコイドのED75用量をこのバイオアッセイの効力の尺度として得た。本発明の化合物のED75用量値は、0.62から1.62μモル/Kg体重の間に含まれていた。
作用持続時間の評価を目的としている第2シリーズの実験では、LPS攻撃の前の様々な時点(16時間、24時間)で、該化合物を懸濁液としてED75用量で気管内投与した。一部の化合物は、16時間で50%を超える阻害パーセントを示した。最も興味深い化合物は、LPS攻撃の24時間前に投与したときに活性(50%を超える阻害のパーセント)であった。
【0333】
In vitro研究
例27
グルココルチコイド受容体(GR)移行アッセイプロトコル
ASSAY Drug Devel.Technol.、4(3)、263〜272、2006に従って、DiscoveRx(Fremont、CA)により開発された酵素断片相補(Enzyme Fragment Complementation)(EFC)型の新規の細胞ベースのGR−移行アッセイを通して、本発明の化合物のGR核移行の定量測定を実施した。
グルココルチコイドが存在しない場合、グルココルチコイド受容体(GR)は、熱ショックタンパク質を含めた様々なタンパク質と複合体を形成しているサイトゾル中に存在している。
グルココルチコイドが細胞膜を通って細胞質内に拡散してグルココルチコイド受容体(GR)と結合すると、その結果、熱ショックタンパク質の解離および細胞核への移行が生じ、そこで遺伝子転写が調節される。
【0334】
DiscoveRxアッセイでは、改変CHO−K1バイオセンサー細胞におけるGR−移行の指標としてb−ガラクトシダーゼ(b−gal)のEFCを使用する。b−galの酵素アクセプター(EA)断片は、専売セットの配列の付加および修飾の使用を通して設計されたように、細胞核中に存在している。b−galの小さいペプチド酵素ドナー(ED)断片はGRのC末端に直接縮合し、受容体シグナリングが存在しない場合は細胞質に局在していた。GRリガンドに結合すると、複合体は細胞核に移行し、そこで相補により無傷の酵素の活性が回復され、b−gal活性が検出された。
【0335】
CHO−K1細胞によりb−galのNLS−酵素アクセプター断片(EA)が安定して発現し、5%COおよび95%空気を含有する加湿雰囲気下、37℃で、F12培地(Invitrogen、Carlsbad、CA)においてb−galのGR−酵素ドナー(ED)断片を維持した。該培地は10%FBS、2mM L−グルタミン、50U/mlペニシリン50μg/mlストレプトマイシン、および250μg/mlハイグロマイシンおよび500μg/ml G418(Invitrogen)を含有していた。
【0336】
細胞膜透過剤(cell membrane permeabilizing reagent)およびベータ−gal基質を含有するPathHunter検出キット(DiscoveRx、Fremont、CA)を使用してGR−移行を測定した。10−11〜10−6Mの範囲の様々な濃度を使用して全ての化合物をスクリーニングした。48−ウェル(105細胞/ウェル)で該アッセイを実施した。スクリーニングした化合物とのインキュベーションを37℃で2時間実施した。DiscoveRxにより供給されたキットから検出緩衝液を添加することにより検出を行い、室温で1時間インキュベートした。CENTRO LB960マイクロプレートリーダー(Berthold Technologies)を使用することによりルミネセンスを検出した。
【0337】
Prismバージョン3.0 Graphpadソフトウェア(San Diego、CA)を使用することにより、各EC50の統計的分析および測定を実施した。
【0338】
GR移行アッセイによりアッセイした化合物は、1nMと10nMとの間に含まれるEC50を示した。
【0339】
例28
RAW264.7マクロファージにおけるLPS誘発性の一酸化窒素生成の阻害
本発明のコルチコステロイドの抗炎症効果を試験するために、マクロファージのマウス細胞株RAW264.7ベースのin vitroモデルを使用した。
炎症プロセスの間、NOシンターゼの誘導性アイソフォーム(iNOS)により大量の一酸化窒素(NO)が発生した。マクロファージにおける炎症反応を刺激するための実験的設定において、細菌性リポ多糖(LPS)を一般に使用した。
【0340】
フェノールレッド不含培地(熱不活化10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリンおよび0.1mg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI)で細胞を培養した。細胞をLPSと共に24時間インキュベートして最終濃度を100ng/ml以上とすることにより細胞刺激を引き起こした。本発明の化合物による処理は、LPS曝露の15分前に、DMSO(最終濃度0.1%)をビヒクルとした化合物を所望の最終濃度まで添加することにより実施した。一酸化窒素生成の指標として、Griessの比色反応を使用することにより亜硝酸塩の濃度をならし培地において測定した(J.Neuroimmunol.、150、29〜36、2004)。
Prismバージョン3.0 Graphpadソフトウェア(San Diego、CA)を使用することにより、各IC50の統計的分析および測定を実施した。本発明の化合物について試験したIC50値は、0.06から5.3nMの間に含まれていた。
【0341】
例29
H]−デキサメタゾン結合アッセイ
IRL Press編、Oxford University Press、247〜253、1992に記載の放射性リガンド結合アッセイを利用して、本特許出願に記載の化合物のグルココルチコイド受容体親和性を評価した。
【0342】
ヒトリンパ芽球細胞株IM−9(ACC117;DSMZ)が可溶性グルココルチコイド受容体の原料として、および[H]−デキサメタゾン(GE Healthcare;SA34μCi/nmol)が放射性リガンドとして使用されてきた(Invest.Ophtalmol.Vis.Sci.37、805〜813、1996)。過剰の非標識ベクロメタゾン(10μΜ)の存在下で非特異的な結合を評価した。
【0343】
H]−デキサメタゾンK値(1.5〜2nM)に近い放射性リガンド濃度で結合実験を2回実施した。各試料を0℃で16〜18時間、暗所でインキュベートした。10mMトリスpH7.4、1mM EDTA中の2%活性炭と0.5%デキストランとの混合物を添加することによりこの反応を終了した。0℃で10minのインキュベーション後、各試料を4500rpmで10min遠心分離した。3mlのシンチレーションカクテルFiltercount(Perkinelmer)を含有するバイアルに試料の上清のアリコートを入れ、PerkinElmer 2500 TRベータ計数器で測定した。
本発明の化合物について試験したIC50値は、0.5と2nMとの間に含まれていた。
【0344】
例30
動力学的特性評価:肺内滞留
2つのパラメーター:MRTL(肺における平均滞留時間)、すなわち、肺の均質化後に測定する、1μmol/kgの気管内投与後のラット肺における該化合物の濃度の最終測定可能時間である肺における該化合物の滞留、およびC48L/C0.5L(%)、すなわち、気管内投与後48時間の肺における該化合物の量のパーセンテージ対投与後0.5時間の肺における同じ化合物の量により肺内残留を測定した。
MRTLおよびC48L/C0.5L(%)は、一回量の肺投与後の薬物の効果の持続時間の2つの重要で予測的なパラメーターである。
本発明の化合物は、非常に遅い肺排出を示し、MRTLは20時間を超え、C48L/C0.5Lは20%を超えていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、
R1は、(CH−Z−(CHn’−R4(式中、nおよびn’は、それぞれ独立して0、1または2である)であり;
Zは、単結合であるか、またはS、O、COおよびNR3(式中、R3は、H、CNで場合により置換されている直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択される)からなる群から選択され;
R4は、
・H、ハロゲン、OH、SH、CN、NH
・オキソ基で場合により置換されているアリール(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルカルボニル、(C〜C)アルキルカルボキシル、O(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C)アルキルアミドおよび(C〜C)アルコキシ;
・ハロゲン原子、CN、OH、NH、NO、CFおよびSHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい(C〜C)アルキル;
・(C〜C)アルキニル;
・1つまたは複数のハロゲン原子またはオキソ基で場合により置換されている単環式、二環式または三環式の飽和または部分的に飽和または不飽和の環、例えば、(C〜C)シクロアルキル、アリール、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール
からなる群から選択され、
R2は、
・H;
・直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキル;
・(CHR5(式中、R5は、オキソ、OH、ハロゲン、CN、NH、NO、アリール、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C)アルキルアミド、アリール(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルキルであって、それぞれが1つまたは複数のハロゲン原子またはCOOHで場合により置換されているものからなる群から選択される置換基で場合により置換されているヘテロアリールである);
・(CHNR6R7;
・(CHNR6COR7;
・(CHNR6SOR7;
・(CHCONR6R7;
・(CHSONR6R7;
・(CHCOR7;
・(CHOR7;
・(CHSOR7
(式中、R6およびR7は、独立してHであるか、または直鎖もしくは分枝鎖(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリール(C〜C)アルキルおよび飽和、部分的に飽和または不飽和の場合により縮合された環、例えば、アリール、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールからなる群から選択され、各基は、ハロゲン、CN、オキソ、NH、NOおよび(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい);
・(CHR8(式中、R8は、ハロゲン、オキソ、CN、OH、NH、NO;ハロゲン、CO、CN、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)カルボキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)ハロアルコキシおよび(C〜C)アルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されている(C〜C)シクロアルキル、アリールおよび飽和、部分的に飽和または不飽和の場合により縮合された環、例えば、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0または1〜6の整数であり、qは0、1または2である)
からなる群から選択され、
XおよびYは、独立して、Hおよびハロゲン原子からなる群から選択され、
但し、R2が(C〜C)アルキルである場合、XとYが同時にHではない)
の化合物、およびその医薬として許容される塩。
【請求項2】
一般式(I’)
【化2】

により表され、
式中、4aは(R)、4bは(R)、5は(S)、6aは(S)、6bは(R)、9aは(S)、10aは(S)、10bは(S)および12は(S)である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、(CH−Z−(CHn’−R4(式中、nおよびn’は、それぞれ独立して0、1または2である)であり;
Zが、単結合であるか、またはS、O、COおよびNR3(式中、R3は、H、CNで場合により置換されている直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択される)からなる群から選択され;
R4が、
・H、ハロゲン、OH、SH、CN、NH
・オキソ基で場合により置換されているアリール(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルカルボニル、(C〜C)アルキルカルボキシル、O(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C)アルキルアミドおよび(C〜C)アルコキシ;
・ハロゲン原子、CN、OH、NH、NO、CFおよびSHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい(C〜C)アルキル;
・(C〜C)アルキニル;
・1つまたは複数のハロゲン原子またはオキソ基で場合により置換されている単環式、二環式または三環式の飽和または部分的に飽和または不飽和の環、例えば、(C〜C)シクロアルキル、アリール、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール
からなる群から選択され、
R2が、
・H;
・(CHR5(式中、R5は、それぞれが1つまたは複数のハロゲン原子またはCOOHで場合により置換されているオキソ、OH、ハロゲン、CN、NH、NO、アリール、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C)アルキルアミド、アリール(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基で場合により置換されているヘテロアリールである);
・(CHNR6R7;
・(CHNR6COR7;
・(CHNR6SOR7;
・(CHCONR6R7;
・(CHSONR6R7;
・(CHCOR7;
・(CHOR7;
・(CHSOR7
(式中、R6およびR7は、独立してHであるか、または直鎖もしくは分枝鎖(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、アリール(C〜C)アルキルおよび飽和、部分的に飽和または不飽和の場合により縮合された環、例えば、アリール、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールからなる群から選択され、各基は、ハロゲン、CN、オキソ、NH、NOおよび(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つもしくは複数の置換基で場合により置換されていてもよい);
・(CHR8(式中、R8は、ハロゲン、オキソ、CN、OH、NH、NO;ハロゲン、CO、CN、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)カルボキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)ハロアルコキシおよび(C〜C)アルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されている(C〜C)シクロアルキル、アリールおよび飽和、部分的に飽和または不飽和の場合により縮合された環、例えば、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0または1〜6の整数であり、qは0、1または2である)
からなる群から選択され、
XおよびYが、独立して、Hおよびハロゲン原子からなる群から選択される、
請求項1または2に記載の化合物、およびその医薬として許容される塩。
【請求項4】
R1が、(CH−Z−(CHn’−R4(式中、nは0または1である)であり;Zが、単結合であるか、またはS、OおよびNR3(式中、R3はHまたは(C〜C)アルキルである)からなる群から選択され;n’が0、1または2であり;R4が、H、ハロゲン、CN、OH;ハロゲン原子、CN、OH、NH、NO、CFおよびSHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されている(C〜C)アルキル;オキソ基で場合により置換されているアリール(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルカルボニル、O(C〜C)アルキルカルボニル、(C〜C)アルキルアミド、(C〜C)アルキルカルボキシル、(C〜C10)ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R4が、メチル、エチル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルスルホニル、メチルカルボニル、塩素、フッ素、トリフルオロメチル、メチルカルボキシル、エチルカルボキシル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルおよびブチニルからなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R3が、Hまたはメチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
R2が、Hであるか、または(CHR5(式中、mは1または2であり、R5はハロゲン、CN、OH、CF、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルスルホニルおよびアリールから選択される基で場合により置換されているヘテロアリールである);(CHCONR6R7(式中、mは0であり、R6は(C〜C)アルキルであり、R7はアリールである);(CHCOR7、(式中、mは1であり、R7はアリール、ヘテロアリールまたは(C〜C10)ヘテロシクロアルキルである);(CHOR7、(式中、pは2であり、R7はアリールまたはアリール(C〜C)アルキルである);(CHSOR7(式中、mは0または2であり、qは0または2であり、R7は(C〜C)アルキルまたはアリールである);および(CHR8(式中、pは1、2または3であり、R8は、ハロゲン、オキソ、CN、OH、CF、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)ハロアルコキシ、(C〜C)アルキルカルボキシルおよび(C〜C)アルキルスルホニルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換されているアリールおよび(C〜C10)ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される)からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R2が、フェニル、チオフェニル、ピリジル、イミダゾリル、チアゾリル、ベンジルオキシエチル、フェニルスルファニル(phenylsulfanyl)、フェニルプロピル、フェノキシエチル、イソキサゾリル、ベンゾイル、フランカルボニル、メタンスルホニル、ジヒドロピリジンメチルおよびメチルフェニルアミド、シクロペンテノン、ベンゾフラン、フラン、ジヒドロベンゾジオキシン基からなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
XおよびYが、いずれもHもしくはフッ素原子であるか、またはXが塩素でYがHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R2が、直鎖または分枝鎖(C〜C)アルキルである、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=1である)である請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の調製方法であって、
・式(VI)
【化3】

の化合物と塩化メタンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニルとを反応させて一般式(XI)
【化4】

(式中、離脱基(LG)は求核試薬により置換されていてもよい)
の化合物を得る反応
を含む方法。
【請求項12】
R1=(CH−Z−(CHn’−R4(式中、n=0である)である請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の調製方法であって、
・酸化条件下で式(VI)の化合物を反応させて一般式(XII)
【化5】

の中間体を得る反応と、
・1当量以上の酸活性化剤、次いで、求核試薬による式(XII)の化合物の処理と
を含む方法。
【請求項13】
1つまたは複数の医薬として許容される担体および/または賦形剤と共に請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬品組成物。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と、ベータ2−作動薬、抗ムスカリン剤、コルチコステロイド、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(P38 MAPキナーゼ)阻害剤、核因子カッパ−Bキナーゼサブユニットベータ(IKK2)阻害剤、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、ロイコトリエン調節剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)および粘液調整剤のクラスから選択される1つまたは複数の活性成分との組合せ。
【請求項15】
医薬として使用するための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
炎症細胞の数、活性および移動の減少が関係している任意の疾患の予防および/または治療において使用するための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−504524(P2013−504524A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528250(P2012−528250)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005366
【国際公開番号】WO2011/029547
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(304037234)シエシー ファルマセウティチィ ソシエタ ペル アチオニ (24)
【Fターム(参考)】