説明

イソオキサゾリン−3−イルアシルベンゼンの中間体、及びその製造方法

【課題】農薬として有用なイソオキサゾリン−3−イルアシルベンゼンの中間体及びこの中間体を製造するための新規な方法を提供する。
【解決手段】対応するメチルベンゼン誘導体を、非プロトン性極性溶剤中、塩基の存在下、−20℃未満の温度で有機亜硝酸エステルと反応させることにより得られる下式IIIで示されるベンズアルドキシム誘導体。


[式中、R1はC1〜C6アルキル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソオキサゾリン−3−イルアシルベンゼンの中間体及びこの中間体を製造するための新規な方法を提供する。
【0002】
イソオキサゾリン−3−イルアシルベンゼンは、農作物の保護に使用し得る有用な化合物である。例えば、WO98/31681には、2−アルキル−3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)アシルベンゼンが除草有効化合物として開示されている。
【0003】
従って、本発明の目的は、3−ヘテロシクリル−置換ベンゾイル誘導体を製造するための代わりの方法を提供することにある。WO98/31681に開示されている2−アルキル−3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)アシルベンゼン又はその前駆体(2−アルキル−3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)ブロモベンゼン誘導体)の製造方法は、これら化合物を工業生産するには特に適当でない。なぜなら、この合成は複雑な工程を包含しており、またこの合成の第一工程に使用される出発材料に対する当該最終生成物の収量は比較的低いからである。
【0004】
式Iで表される化合物の構造に類似の構造である化合物又は中間体の製造方法は、文献により公知である: WO96/26206には、最終工程で、5−ヒドロキシピラゾールを3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)安息香酸誘導体と反応させる、4−[3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)ベンゾイル]−5−ヒドロキシピラゾールの製造方法を開示している。この方法に必要とされる3−(4,5−ジヒドロイソキサゾール−3−イル)安息香酸誘導体は、非常の多くの工程により、入手が困難である。従って、この方法は非常に高価であり、かつ経済的に最善ではない。
【0005】
DE19709118には、3−ブロモ−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)ベンゼン、グリニャール試薬及び二酸化炭素を出発材料として、3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)安息香酸を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO98/31681
【特許文献2】WO96/26206
【特許文献3】DE19709118
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
驚くべきことに、この合成が所定の中間体により行われる場合、3−ヘテロシクリル−置換ベンゾイル誘導体の製造処理工程数を、WO98/31681に開示されている方法と比較して減らせることを、本発明者等は見出した。さらに、本発明の方法は、使用される出発材料に対する、式Iで表される最終生成物及び中間体Xの全収量が、WO98/31681に開示されている方法の収量より高いという利点がある。さらに、個々の処理工程の各中間体は、良好な収量で得られる。さらに、個々の処理工程の中には、コスト面で有効であり、かつその後の経済的な製造ができるため、中間体の工業生産に有効なのがある。さらに、使用される出発材料は、製造が容易であり、かつ原料を幾つかの独立した供給者から比較的多量に入手可能である基本的な化学製品である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、上記目的は、式III:
【0009】
【化1】

【0010】
[但し、R1がC1〜C6アルキルを表す]
で表される化合物により達成されることが見出された。
【0011】
次の反応工程において、式VIで表される化合物を、対応する3−ブロモ−置換化合物(ブロモベンゼン誘導体)に転化し、そしてフェニル環のアミノ基をスルホニル基に転移させて、式X:
【0012】
【化2】

で表される化合物を得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
式Xの化合物(3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)ブロモベンゼン)は、式Iで表される有効化合物を製造するための有用な中間体である。特に、本発明の方法により、最終反応工程で化合物Iを良好な収量で得る。化合物Iは、例えばWO96/26206及びWO97/35850に開示されているように、農作物保護剤、特に除草剤としての使用に適当である。
【0014】
本発明によると、式Iで表される化合物及び必須の中間体、特に式VI又はXで表される化合物は、以下の処理工程a)〜g)の内一工程以上を組み合わせることにより、有利に得られる: a)式II:
【0015】
【化3】

【0016】
[但し、R1が上記と同義である]
で表されるニトロ−o−メチルフェニル化合物を、塩基の存在下、有機ニトリトR−ONOと反応させて、式III:
【0017】
【化4】

【0018】
[但し、R1が上記と同義である]
で表されるオキシムを得る工程;
【0019】
b)式IIIで表されるオキシムを、塩基の存在下、式IV:
【0020】
【化5】

【0021】
[但し、R3〜R5が請求項1と同義である]
で表されるアルケンで環化して、式V:
【0022】
【化6】

【0023】
[但し、R1及びR3〜R5が請求項1と同義である]
で表されるイソオキサゾールを得る工程;
【0024】
c)触媒の存在下、ニトロ基を還元して、式VI:
【0025】
【化7】

【0026】
[但し、R1及びR3〜R5が請求項1と同義である]
で表されるアニリンを得る工程;
【0027】
d)式VIで表されるアニリンを、式VII: R2−S−S−R2 VIIで表されるジアルキルジスルフィドと、有機ニトリトR−ONO、適宜触媒の存在下で反応させて、式VIII:
【0028】
【化8】

【0029】
[但し、R1〜R5が請求項1と同義である]
で表されるチオエーテルを得る工程;
【0030】
e)式VIIIで表されるチオエーテルを臭素化剤で臭素化して、式IX:
【0031】
【化9】

【0032】
[但し、R1〜R5が請求項1と同義である]
で表されるブロモチオエーテルを得る工程;
【0033】
f)式IXで表されるブロモチオエーテルを酸化剤で酸化して、式X:
【0034】
【化10】

【0035】
[但し、nが1又は2を表す]
で表されるイソオキサゾールを得る工程;
【0036】
g)適宜、一酸化炭素、触媒及び塩基の存在下、式Xで表されるイソオキサゾリンを式R6−OH(XI)で表される化合物と反応させて式Iで表される化合物を得る工程。
【0037】
主に、化合物Xを製造するための本発明による方法は、処理工程a)〜f)を一工程以上含み、或いは化合物Iの場合は、処理工程a)〜g)を一工程以上含む。処理工程a)若しくはd)のどちらか一方又は工程a)及びd)の両方を含む反応順序が好ましい。
【0038】
1〜C6アルキル及びC1〜C4アルキルは、炭素原子数をそれぞれ1〜6個及び1〜4個含む直鎖又は分枝のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルである。このことは、C1〜C6アルコキシ基に類似的に適用する。
【0039】
1はアルキル基、特にメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル又はn−ブチル基を表すのが好ましい。
【0040】
3、R4及びR5は水素であるのが好ましい。R4とR5が合体して結合を表していても良く、これにより対応するイソオキサゾール誘導体を得る。この場合、R3は水素であるのが好ましい。
【0041】
6の定義において、「複素環」は、1〜3個の酸素、硫黄又は窒素原子を含む飽和、不飽和又は部分不飽和複素環を意味する。複素環は窒素原子を2個含むのが好ましい。特に、WO98/31681で詳細に開示されているように、R6はピラゾール基を表す。これは、4位で結合され、かつ所定の反応条件下で化学的に不活性である他の基で置換されていても良いピラゾールを表すのが好ましい。この種類の好適なピラゾール置換基は、例えば以下の基である:ヒドロキシル、オキソ、スルホニルオキシ、C1〜C6アルキル又はC1〜C6アルコキシ、特に1位でC1〜C4アルキル。R6は基1−アルキル−5−ヒドロキシピラゾール−4−イルを表すのが特に好ましく、1−メチル−5−ヒドロキシピラゾール−4−イル、1−エチル−5−ヒドロキシピラゾール−4−イルを表すのが極めて好ましい。
【0042】
本発明の方法は、以下の式Iで表される化合物の製造に特に好適である:
1−メチル−4−(3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾール;
1−エチル−4−(3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾール;
1−メチル−4−(3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−エチル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾール;
1−メチル−4−(3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−プロピル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾール;
1−メチル−4−(3−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−ブチル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾール。
【0043】
式VIで表される中間体は、以下の化合物が好ましい:
2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)アニリン;
2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリン;
2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−エチルアニリン;
2−(イソオキサゾール−3−イル)アニリン;
2−(イソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリン;
2−(イソオキサゾール−3−イル)−3−エチルアニリン。
【0044】
式Xで表される中間体は、以下の化合物が好ましい:
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−クロロ−2−メチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−エチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−イソプロピル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−エチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−プロピルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−ブチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−ペンチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール;
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−ヘキシルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール。
【0045】
化合物Xを製造するまでの適当な反応順序について、以下の図式にその要点を示す:
【0046】
【化11】

【0047】
以下に、個々の反応工程を詳述する。
【0048】
1.工程a)
【0049】
【化12】

【0050】
反応は、例えば以下の条件下で行われる: 溶剤として、非プロトン性の二極性溶剤、例えばN,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−ジアルキルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)を使用し;ジメチルホルムアミド(DMF)又はNMPを使用するのが好ましい。温度は、−60℃〜室温の範囲とし、−50〜−20℃の範囲が好ましい。溶剤系の融点を十分低くするために、溶剤混合物、例えばTHFとの混合物を使用しても良い。有機ニトリトR−ONOとして、亜硝酸アルキル(R=アルキル)を使用し、亜硝酸n−ブチル又は亜硝酸(イソ)アミルを使用するのが好ましい。適当な塩基は、MOアルキル、MOH、RMgX(M=アルカリ金属)であり、カリウムメトキシド(KOMe)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、又はカリウムtert−ブトキシド(KOtbutylate)が好ましい。ナトリウム塩基を使用する場合、1〜10モル%のアミルアルコールを加えても良い。化学量論比は、1〜4当量の塩基、1〜2当量のR−ONOとし、1.5〜2.5当量の塩基及び1〜1.3当量のR−ONOが好ましい。
【0051】
添加は、例えば以下の順序で行われる: a)最初に、ニトロ−o−キシレン及びニトリトを導入し、そして塩基を計量導入する;
b)固体の塩基を添加しないために、塩基をまずDMFに溶解させ、ニトロ−o−キシレン/亜硝酸ブチルを同時に添加しても良い。
【0052】
塩基を計量導入する際の速度を比較的遅くして、必要な冷却を最小限にする。後処理は、以下の方法のいずれかにより行われる: a)水中で撹拌することにより、生成物を沈殿させる;
b)十分な量の水を反応混合物に加え、生成物を沈殿させる。
【0053】
生成物の精製は、0〜110℃の範囲、好ましくは室温にてトルエンで摩砕することにより行われる。
【0054】
2.工程b)
【0055】
【化13】

【0056】
反応は、例えば以下の機械的な中間体により行われる:オキシムIIIを活性化ヒドロキサム酸誘導体(例えば、ヒドロキサム酸クロリド)に、塩素化剤を用いて塩素化させることにより転化し、この活性化ヒドロキシム酸誘導体をニトリルオキシドに例えば以下のように転化し、即ち塩基の存在下、ヒドロキサム酸クロリドをニトリルオキシドに転化し、次いでアルケンIVをこのニトリルオキシドに付加環化する。
【0057】
この反応は、式Vで表されるイソオキサゾール誘導体を製造するための新規な方法である。驚くべきことに、この方法により、イソオキサゾリンが極めて良好な収量で得られる。さらに、副生成物は殆んど形成されず、そして比較的容易に除去可能である。従って、工業的規模において、最終生成物の単離及び精製が容易であるため、イソオキサゾリンを高純度で、かつ低コストで製造することができる。イソオキサゾリンを製造するための公知方法の使用は、ここでは不都合がある。なぜなら、イソオキサゾリンは、ベンズアルドオキシムの反応から出発すると、不満足な収量で得られるだけだからである。さらに、従来技術により公知の方法では、溶解性が低く、環境上不都合な副生成物を形成するアルカリ金属ハイポハライド含有溶液を屡々使用する。本発明の方法は、アルカリ金属ハイポハライド含有溶液を使用しないという点で特徴付けられるため、実質上アルカリ金属ハイポハライドを含まない。
【0058】
イソオキサゾリンは、例えば以下の方法により得られる:塩基を計量、添加して、適宜過圧下にて、最初にヒドロキサム酸クロリドを形成し、第二工程でこれをアルケンで環化する。これら個々の工程を「ワンポット」反応により組み合わせ得るのが有効である。このために、反応は、両方の部分工程に好適な溶剤、例えばカルボン酸エステル(例えば、酢酸エチル)、クロロベンゼン又はアセトニトリル中で行われる。
【0059】
N−クロロスクシンイミドのDMF溶液を用いるヒドロキサム酸クロリドの製造方法は、文献により公知である(Liu et al., J. Org. Chem. 1980; 45: 3916〜3918頁)。しかしながら、o−ニトロベンズアルドオキシムのヒドロキサム酸クロリドへの塩素化による転化は、極めて低い収量で可能である(Chiang, J. Org. Chem. 1971, 36: 2146〜2155頁)。副反応としては、塩化ベンザルの形成が予想される。驚くべきことに、上述の方法において、所望のヒドロキサム酸クロリドを極めて良好な収量で製造できる条件が見出された。安価な塩素を使用するのが特に有効である。
【0060】
反応は、例えば以下の条件下で行われる: 溶剤:ハロアルカン、例えば1,2−ジクロロエタン又は塩化メチレン;芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン又はキシレン;非プロトン性極性溶剤、例えば、N,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−アセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルプロピレン尿素;テトラメチル尿素、アセトニトリル、プロピオニトリル;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノール;カルボン酸、例えば酢酸又はプロピオン酸;カルボン酸エステル、例えば酢酸エチル。以下の溶剤を使用するのが好ましい:即ち、酢酸、メタノール、エタノール、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロベンゼン又は酢酸エチル。反応は−40℃〜100℃の範囲で行われ、−10〜40℃又は0〜30℃の範囲で行われるのが好ましい。ハロゲン化剤としての使用に適当なのは、N−クロロスクシンイミド、元素の塩素であり、塩素が好ましい。化学量論比は、例えば1〜3当量のハロゲン化剤であり、1〜1.5当量であるのが好ましい。塩素の場合、計量、添加は、塩素ガスを導入することにより行われ、そしてN−クロロスクシンイミド(NCS)を、固体として、或いは適宜適当な溶剤中で計量、導入する。
【0061】
後処理は、例えば以下のスキームにより行われる:即ち、a)精製を行わない。この溶液をさらに直接使用する;b)溶剤を蒸留除去することにより溶剤を交換し;c)水を添加し、ヒドロキサム酸クロリドを適当な溶剤で抽出する。
【0062】
塩基を添加することにより、ヒドロキサム酸クロリドをニトリルオキシドに転化する。後者の化合物は不安定なため、解決すべき課題は、ニトリルオキシドを安定させ、かつ所望の生成物に転化させる条件を見出すことであった。驚くべきことに、この課題は、以下の反応条件を選択することにより解決された:即ち、溶剤としてハロゲン化アルカン、例えば1,2−ジクロロエタン又は塩化メチレン;芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン又はキシレン;非プロトン性極性溶剤、例えば、N,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−アセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルプロピレン尿素;テトラメチル尿素、アセトニトリル、プロピオニトリル;カルボン酸エステル、例えば酢酸エチルを使用する。1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、トルエン、キシレン、酢酸エチル又はクロロベンゼンを使用するのが好ましい。
【0063】
反応温度は、0℃〜150℃の範囲であり、0〜50℃又は0〜30℃の範囲が好ましい。
【0064】
塩基として、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、環式アミン(例えば、N−メチルピペリジン又はN,N’−ジメチルピペラジン)、ピリジン、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)を使用する。トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0065】
化学量論比は、例えば1〜3当量の塩基であり、1〜1.5当量であるのが好ましく;1〜5当量のアルカンであり、1〜2当量が好ましい。計量、添加は、過圧のアルカン下で、塩基をゆっくり加えることにより行われるのが好ましい。この反応は、大気圧〜10気圧の範囲で行われ、1〜6気圧の大気圧下であるのが好ましい。
【0066】
3.工程c)
【0067】
【化14】

【0068】
この反応は、新規な、公知でない、イソオキサゾリンの存在下におけるニトロ基の化学的選択性水素化である。驚くべきことに、所定の反応条件下で、イソオキサゾリン環のN−O結合は開裂されていない。芳香族ニトロ化合物を接触水素化してアニリンを形成することは、以前から知られていた(Houben-Weyl, 第IV/1c巻, 506頁以降、参照)。一方、イソオキサゾリンのN−O結合を、例えばラネーニッケル(Curran et al., Synthesis 1986, 312〜315頁)又はパラジウム(Auricchio et al., Tetrahedron, 43, 3983〜3986頁)を触媒として使用して、接触水素化により開裂し得ることも知られていた。
【0069】
反応は、例えば以下の条件下で行われる: 好適な溶剤は、芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン;非プロトン性極性溶剤、例えば、N,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−アセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルプロピレン尿素;テトラメチル尿素、カルボン酸エステル、例えば酢酸エチル、エーテル、例えばジエチルエーテル又はメチルtert−ブチルエーテル、環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノール;カルボン酸、例えば酢酸又はプロピオン酸である。以下の溶剤を使用するのが好ましい:即ち、酢酸エチル、トルエン、キシレン、メタノール。反応は−20℃〜100℃の範囲で行われ、0〜50℃の範囲が好ましく、0〜30℃の範囲が特に好ましい。触媒として、活性炭素の坦体に対する含有量が0.1〜15質量%の、活性炭素に担持された白金又はパラジウム触媒を使用する。パラジウム触媒が使用される場合、硫黄又はセレンでドープ処理されて選択性を良好にすることができる。Pt−又はPd−含有量が0.5〜10質量%の白金/活性炭又はパラジウム/活性炭を使用するのが好ましい。
【0070】
この反応の化学量論比は、例えばニトロ化合物に対して、0.001〜1質量%の白金又はパラジウムであり、0.01〜1質量%の白金が好ましい。水素を、大気圧〜50気圧の範囲、好ましくは大気圧〜10気圧の範囲にて、連続法又はバッチ法、好ましくはバッチ法で計量、導入する。
【0071】
ろ過により触媒を除去して、反応混合物を後処理する。適宜、触媒を再利用することもできる。溶剤を蒸留除去する。次の処理工程で反応を連続して行うために、生成物をさらに精製しないで直接使用することができる。必要により、生成物をさらに精製しても良い。この生成物は、例えば以下のスキームにより精製される:即ち、アニリンを、希薄な鉱酸、例えば希塩酸又は希硫酸に溶解させて、適当な抽出剤、例えばハロゲン化アルカン(例えば、1,2−ジクロロエタン又は塩化メチレン)、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン又はキシレン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル又はメチルtert−ブチルエーテル)又はカルボン酸エステル(例えば、酢酸エチル)で抽出することにより精製し、そして塩基を用いてさらに遊離する。
【0072】
4.工程d)
【0073】
【化15】

【0074】
反応は、例えば以下の条件下で行われる: 溶剤として、ハロゲン化アルカン、例えば1,2−ジクロロエタン又は塩化メチレン;芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼンを使用するか、又は溶剤として、過剰のジアルキルジスルフィドを使用する。過剰のジアルキルジスルフィドを溶剤として使用するのが好ましい。反応温度は、40℃〜150℃の範囲であり、50〜100℃の範囲が好ましく、60〜90℃の範囲が特に好ましい。試薬として、有機ニトリト(R−ONO)、例えば亜硝酸アルキルを使用し、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸(イソ)アミル又は亜硝酸tert−ブチルを使用するのが好ましい。ここで、Rは、実際の反応に影響を及ぼさない化学的に不活性な有機基である。Rは、例えばC1〜C6アルキル又はC2〜C6アルケニル基を表す。
【0075】
この化合物の反応において、化学量論比は、例えば以下の通りである:1〜3当量の亜硝酸アルキルであり、1〜1.5当量の亜硝酸アルキルが好ましい。以下の触媒を使用しても良い:銅粉末、異なる状態の単体の銅、例えば削り屑、ワイヤ、顆粒、ペレット、ロッド;銅(I)塩、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)又はヨウ化銅(I)、銅(II)塩、又は元素のヨウ素であり、銅粉末が特に好ましい。溶剤中で反応を行う場合、1〜3当量のジアルキルジスルフィド、好ましくは1〜2当量で使用する。好ましい態様において、過剰のジアルキルジスルフィドを溶剤として使用し、その後蒸留して回収する。その他の理由から、生成物をさらに精製しないで使用することができる。適宜、あらかじめ、適当な溶剤、例えばジイソプロピルエーテルを使用して蒸留又は結晶化することにより、生成物を精製することもできる。
【0076】
5.工程e)
【0077】
【化16】

【0078】
反応は、WO98/31676に開示されている方法と同様に行われる。酢酸が有効な溶剤である。
【0079】
6.工程f)
【0080】
【化17】

【0081】
酸化は、WO98/31676に開示されている方法と同様に行われる(8頁32行から11頁25行、参照)。
【0082】
7.工程g)
式Xで表される化合物の式Iで表される化合物への選択連続転化は、一酸化炭素、適当な触媒及び塩基の存在下、R6−OH(XI)を添加することにより行われる。R6が置換されていても良いピラゾール又はピラゾロン環である場合、反応は、パラジウム含有触媒、例えばPd(0)又はビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドを使用して行われるのが好ましい。
【0083】
工程g)で述べた方法は、新規であり、かつ式Iで表される化合物を製造するための有効な方法である。式Iの化合物は、ハロフェニル誘導体Xを出発材料として、式R6−OH(XI)で表されるヒドロキシ置換複素環でアシル化又はカルボキシル化することにより得られる。
【0084】
EP−A344775には、4−ベンゾイル−5−ヒドロキシピラゾールを一工程で製造する方法であって、その際、合成がブロモベンゼン及び5−ヒドロキシピラゾールを出発材料として、一酸化炭素、塩基及び触媒の存在下で行われる方法を開示している。目的分子のベンゾイル基は、3位に以下の置換基を有していても良い:即ち、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルコキシメチル。これらの置換基は、比較的安定であるか、又は化学的に不活性であると見なされ、かつ実施例の厳しい反応条件を用いることができる。これと対照的に、イソオキサゾール又はイソオキサゾリン基のような、より不安定な置換基を3位に有しているベンゾイル−5−ヒドロキシピラゾールの製造方法は、厳しい反応条件について、EP344775に開示されていない。特に、これのレソックス性のために、イソオキサゾール又はイソオキサゾリン基は、選択性が高い基であると見なされる。EP−A344775により公知の方法の別の不都合は、5−ヒドロキシピラゾールを常に過剰量で使用するということである。
【0085】
以下に、複素環として、R6がピラゾール(XI.a)である例を用いて、この方法をさらに詳述する。しかしながら、原則的に、冒頭に定義されているような、他の複素環を使用しても良い。
【0086】
この方法は、式XI.a:
【0087】
【化18】

[但し、R7がC1〜C6アルキルを表わし、Mが水素又はアルカリ金属、好ましくはナトリウム又はカリウムを表す]
で表されるヒドロキシピラゾール及び式X:
【0088】
【化19】

【0089】
[但し、R1〜R5が上記と同義である]
で表されるブロモベンゼンを、一酸化炭素、パラジウム触媒、適宜少なくとも1モル当量のカリウム塩及び適宜少なくとも1モル当量の、式XIII: N(Ra3 XIII[但し、基Raの1つがフェニル及びナフチルを表わし、そして他の基RaがC1〜C6アルキルを表す]
で表される第三級アミンの存在下、100〜140℃の温度、1〜40kg/cm2圧力の条件にて反応させることにより行われるのが好ましい。
【0090】
この方法の好ましい態様において、5−ヒドロキシピラゾールXI.a及びブロモベンゼン誘導体Xを、1〜2のモル比で使用する。
【0091】
5−ヒドロキシピラゾールXI.aとして、R7がC1〜C6アルキル、特にメチル又はエチルを表す化合物を使用するのが好ましい。
【0092】
出発材料として使用される式XI.aで表される5−ヒドロキシピラゾール(又はピラゾリノン)は、公知であり、かつそれ自体公知の方法で得られる(EP−A240001、WO96/26206及びJ. Prakt. Chem. 315 (1973), 382、参照)。
【0093】
一般に、5−ヒドロキシピラゾールXI.aは、ブロモベンゼン誘導体Xに対して、等モル量か、又は過剰量で使用される。経済的な理由から、過剰量の5−ヒドロキシピラゾールを避けるのは意味をなす。本発明の反応条件下で、化学量論的な反応により、過剰の5−ヒドロキシピラゾールを使用した場合に得られるのと同様の収量が得られる。これは、EP−A344775に記載されている方法の全実施例で、過剰量の5−ヒドロキシピラゾールを使用しているので驚くべきことであった。本発明の方法において、5−ヒドロキシピラゾールのブロモベンゼンに対するモル比は、1〜2の範囲に調整されるのが好ましく、1.0〜1.2の範囲が特に好ましい。
【0094】
140℃を超えると分解が起こり、100℃未満で反応は停止する。従って、反応は、一般的に100〜140℃の範囲、好ましくは110〜130℃の範囲の温度にて行われる。
【0095】
驚くべきことに、反応に通常必要とされる150kg/cm2までの範囲の高い圧力(詳細は、EP344775を参照されたい)を、40kg/cm2まで、好ましくは20kg/cm2まで、又はその他に10kg/cm2まで低減でき、これは反応温度若しくは反応時間等の反応条件に影響を与えないし、又はこれにより収量の低下がもたらされない。反応圧力は、少なくとも3kg/cm2であるのが好ましく、少なくとも5kg/cm2であるのが特に好ましい。好適な圧力範囲は、例えば1〜40kg/cm2、5〜20kg/cm2又は10〜20kg/cm2であり、特に3〜10kg/cm2が好ましく、5〜8kg/cm2が極めて好ましい。
【0096】
この処理工程が工業的規模で行われる場合、使用される圧力容器について満足させるべき安全上の要求がより厳しくないので、この圧力の低減は特に有効である。そのため、高圧容器のコストのかかる使用を省くことができる。従って、g)に開示されている製造方法は、より安全であり、より経済的である。
【0097】
さらに、触媒として使用されるパラジウム触媒は、所定の反応条件下で元素のパラジウムとして主に得られ、かつろ過により簡易な方法で反応混合物から取り除かれ得る。そのため、次いで廃棄するためのパラジウム含有反応溶液の複雑で、コストのかかる濃縮、及び残留物のいかなる焼却を、実質上省くことができる。これは、再利用コストを低減させる。沈殿パラジウムの孔径は、1〜10μmの範囲、特に1〜4μmの範囲である。再利用コストはパラジウムの濃度に応じて異なるので、このようにろ別されたパラジウムを低コストで後処理して、対応するパラジウム化合物(例えば、塩化パラジウム)を得る。
【0098】
処理工程g)の反応に適当な溶剤は、ニトリル、例えばベンゾニトリル及びアセトニトリル、アミド、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラ−アルキル尿素又はN−メチルピロリドンであり、エーテル、例えばテトラヒドロフラン及びメチルtert−ブチルエーテルが好ましい。1,4−ジオキサン及びジメトキシエタン等のエーテルが特に好ましい溶剤である。
【0099】
好適な触媒は、パラジウムが酸化状態0で存在するパラジウム配位子錯体、適宜担体に担持されている金属パラジウム、及び好ましくはパラジウム(II)塩である。パラジウム(II)塩と金属パラジウムとの反応は、錯体配位子の存在下で行われるのが好ましい。
【0100】
好適なパラジウム(0)配位子錯体は、例えばテトラキス(トリフェニルホスファン)パラジウムである。
【0101】
金属パラジウムは、例えば活性炭、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム又は炭酸カルシウム等の不活性担体に吸着されているのが好ましい。反応は、複合配位子、例えばトリフェニルホスファンの存在下に行われるのが好ましい。
【0102】
好適なパラジウム(II)塩は、例えば酢酸パラジウム及び塩化パラジウムである。反応は、複合配位子、例えばトリフェニルホスファンの存在下に行われるのが好ましい。
【0103】
このパラジウム配位子錯体用としての、或いはその存在下で金属パラジウム又はパラジウム(II)塩との反応が好ましくは行われるための好適な複合配位子は、下式:
【0104】
【化20】

【0105】
[但し、nが1〜4を表わし、基R8〜R14がC1〜C6アルキル、アリール−C1〜C2アルキル又は好ましくはアリールを表す]
で表される構造の第三級ホスファンである。アリールは、例えばナフチル及び置換されていても良いフェニル、例えば2−トリルであり、特に非置換のフェニルである。
【0106】
複合パラジウム塩は、市販のパラジウム塩、例えば塩化パラジウム又は酢酸パラジウム、及び対応するホスフェン、例えばトリフェニルホスファン又は1,2−ビス(ジフェニルホスファノ)エタンを出発材料として、それ自体公知の方法で得られる。多くの複合パラジウム塩は、市販されてもいる。パラジウム塩は、[(R)(+)2,2−ビス(ジフェニルホスファノ)−1,1’−ビナフチル]パラジウム(II)クロリド、ビス(テトラフェニルホスファン)パラジウム(II)アセテート及び、特にビス(トリフェニルホスファン)パラジウム(II)クロリドである。
【0107】
一般に、パラジウム触媒は、0.05〜5モル%の範囲、好ましくは1〜3モル%の範囲の濃度で使用される。
【0108】
この方法に好適な構造XIIIのアミンN(Ra3は、第三級アミン、例えばN−メチルピペリジン、エチルジイソプロピルアミン、1,8−ビスジメチルアミノナフタレン又は、特にトリエチルアミンである。
【0109】
好適なカリウム塩は、例えばリン酸カリウム、シアン化カリウム及び、特に炭酸カリウムである。カリウム塩の水分含有量を低くするのが有利である。このような理由から、炭酸カリウムを使用する前に、150℃以上で一般的には乾燥させる。
【0110】
使用されるカリウム塩の量は、1モル当量以上であるのが有利である。そうでなければ、反応速度が低減するであろうし、又は中間体のフリース転位が完全に進行せず、そしてO−アシル化ピラゾール誘導体が得られる。ブロモベンゼンIIIに対して、2〜4モル当量、特に好ましくは2モル当量のカリウム塩の場合が好ましい。
【0111】
カリウム塩の他に、反応混合物を式XIIIで表されるアミンN(Ra3{但し、基Raの1つがフェニル及びナフチルを表わし、そして他の基RaがC1〜C6アルキルを表す}と混合するのが好ましい。ブロモベンゼンXに対して、1〜4モル当量、特に好ましくは2モル当量のアミンXIIIを使用するのが好ましい。
【0112】
後処理を行うために、反応溶液を、通常、水に導入する。反応が水に相溶性がある溶剤、例えば1,4−ジオキサン中で行われる場合、あらかじめ溶剤の一部又は全てを反応混合物から、適宜減圧下に取り除くのが有利である。その後、固体成分を水性で、アルカリ性の反応混合物から取り除き、そして例えば塩酸等の鉱酸で酸性化して、pHを2.5〜4.5の範囲、好ましくは3.5に到達させ、これにより所望の生成物が事実上完全に沈殿する。特に、イソオキサゾリン基は、加水分解に対して敏感である。この基を含むベンゾイルピラゾールを製造する方法において、pHを2未満にするべきではない。
【0113】
処理工程g)のアシル化は、以下の処理条件下で行われるのが好ましい: 溶剤:ジオキサン又はジオキサンとアセトニトリルの混合物、 温度:110〜130℃、 圧力:5〜8kg/cm2、好ましくは約6kg/cm2、 触媒:塩化パラジウム(II)、 複素環式ヒドロキシ化合物(例えば、5−ヒドロキシピラゾール)のブロモベンゼン誘導体に対するモル比:1〜2、特に好ましくは1.0〜1.2。
【0114】
スキーム1に示されている反応経路の代わりに、式Xで表される化合物を、以下のスキー2及び3により製造することができる。
【0115】
スキーム2は、3−[3−ブロモ−2−メチル−6−(メチルスルホニル)フェニル]−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを使用する式X型のブロモベンゼン誘導体への可能な合成経路を実施例として示している。個々の処理工程は、以下の通常の標準法で行われる。
【0116】
スキーム2
【0117】
【化21】

【0118】
スキーム3は、式X型のブロモベンゼン誘導体への他の可能な合成経路を示している。
【0119】
【化22】

【0120】
式VIで表される化合物の臭素化は、アニリンを直接臭素化するのと同様に行われる。試薬としてテトラブチルアンモニウムトリブロミドを使用する場合、アミン官能基に対してパラ位で選択的モノ臭素化が可能な場合もある(Berthelot et al., Synth. Commun. 1986, 16: 1641頁)。しかしながら、この臭素化における一般的な課題は、ポリ臭素化生成物が形成することである(Bull. Chem. Soc. Jpn. 1988, 61: 597〜599頁)。そのため、例えば、炭酸カリウムを塩基として用い、VIとテトラブチルアンモニウムトリブロミドとをメタノール/水混合物中で反応させることより、ジ臭素化副生成物を約25%含む生成混合物が得られる。特に、置換基が、レドックス性の観点から所定の反応条件下で不安定と見なされるイソオキサゾール又はイソオキサゾリン基を含む場合、生成混合物の分離は重要でない。
【0121】
本発明者等は、所望の生成物XIVを、臭素化副生成物の形成をより高くしないで良好な収量で製造することができる条件を見出した。本発明の反応条件によると、試薬はテトラブチルアンモニウムトリブロミドが好ましい。溶剤として、ハロアルカン(例えば、1,2−ジクロロエタン又は塩化メチレン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール)、又は脂肪族ニトリル(例えば、アセトニトリル)を使用し、アセトニトリルが好ましい。塩基は炭酸カリウムが好ましい。その後、臭素化中間体XIVを、本発明のイソオキサゾール−3−イルブロモベンゼンXに種々の経路で転化することができる。XIVからIX又はIXからXを製造するための中間体は、既述の方法で製造することができる。
【0122】
しかしながら、アニリンを最初にスルホニルクロリドX.c(Houben-Weyl, 第IX巻, 575〜580頁、参照)に転化しても良い。例えばナトリウムスルフィドを使用して、スフフィン酸段階を介して(Houben-Weyl, 第IX巻, 306〜307頁、参照)還元し、次いでアルキル化(Houben-Weyl, 第IX巻, 231〜233頁、参照)することにより、このスルホニルクロリドをアルキルスルホンに転化することができる。この二工程を、「ワンポット反応」で有利に組み合わせることができる。この合成は、好ましい出発材料をアルキルスルホニル基を導入に使用するという利点がある。
【0123】
本発明の方法の処理工程a)で使用される置換トルエンのオキシム化(oximation)は新規であり、かつトルエン誘導体をベンズアルドオキシムに転化するための有効な方法である。原則として、この方法は式XV:
【0124】
【化23】

【0125】
[但し、 XがNO2、S(O)nRyを表わし、 Rxが不活性基を表わし、 Ryが不活性基を表わし、 mが0、1、2、3又は4を表わし、 nが0、1又は2を表す]
で表されるベンズアルドオキシムの製造に適当である。
【0126】
Rx及びRyは、同一又は異なっていても良く、所定の反応条件下で不活性である有機基である。Rxは、例えばハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素);カルボキシル;カルボキシアミド;N−アルキルカルボキシアミド及びN,N−ジアルキルカルボキシアミド;フェニル;C1〜C6アルキル(例えば、メチル、エチル);C1〜C6アルコキシ;C1〜C6アルキルチオ又は他の基である。mが2以上である場合、Rxは同一又は異なっていても良い。RxはR1と同義であり、オキシム基−CH=NOHに対してオルト位であるのが好ましい。特にmが2である場合、置換基Rxの1つはR1と同義であり、二番目のRxは、オキシム基に対して好ましくはメタ位であるハロゲン原子を表す。RyはC1〜C6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルを表すのが好ましい。
【0127】
化合物XVは、Xが基SO2−Ryを表わし、mが2を表すのが好ましい。この場合、Rxの1つはハロゲン(例えば、臭素又は塩素)であり、オキシム基に対してメタ位であるのが好ましい。二番目の基Rxは、C1〜C6アルキル(例えば、メチル、エチル)を表わし、オキシム基に対してオルト位であるのが好ましい。
【0128】
本発明により、式XVI:
【0129】
【化24】

【0130】
[但し、各置換基は、上記と同義である]
で表される化合物(o−ニトロトルエン又はo−アルキルスルホニルトルエン)を、塩基の存在下、既に定義した、式R−O−NOで表される有機ニトリトと反応させる。
【0131】
o−ニトロトルエンのニトロソ化(nitrosation)は、文献に開示されている(Lapworth, J. Chem. Soc. 79 (1901), 1265)。しかしながら、先の研究でさえ、二量体副生成物について言及している。後の研究では、類似の反応条件下で二量体生成物の製造方法だけを開示している(Das et al., J. Med. Chem. 13 (1970), 979)。文献に開示された、o−ニトロトルエンを用いる実験の繰り返しは、実際、2−ニトロベンズアルドオキシムを少量で形成することを示す。
【0132】
上述の条件を3−ニトロ−o−キシレンに適用する場合、二量体XVIIIだけを形成する。
【0133】
【化25】

【0134】
類似の条件下で進行するミカエル添加を行う場合、文献では、3−ニトロ−o−キシレンを用いて達成しないことを同様に記載している(Li, Thottathil, Murphy, Tetrahedron Lett. 36 (1994), 6591)。従って、この記載から、ベンズアルドオキシムは6−置換2−ニトロトルエンから良好な収量で得られることを予想することができない。さらに、アルキルスルホネート(X=SO2−Ry)を、比較可能な条件下で、オルト位のメチル基で同様にオキシム化できないことを、驚くべきことに見出された。本発明により製造される化合物は、農作物保護剤用化合物の製造において、重要な中間体である(WO98/31681)。
【0135】
反応は、以下の条件下で行われるのが好ましい: 溶剤として、非プロトン性の二極性溶剤、例えばN,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−ジアルキルアセトアミド、N−メチルピロリドン、好ましくはDMF、NMP。温度は、−60℃〜室温の範囲、好ましくは−50〜−20℃の範囲が好ましい。ニトリト又はアルキルニトリトは、亜硝酸n−ブチル及び亜硝酸(イソ)アミルが好ましい。好適な塩基は、Mがアルカリ金属を表す、MOアルキル、MOH、RMgXであり、KOMe、NaOMe、KOt−ブトキシドが好ましい。ナトリウム塩基を使用する場合、1〜10モル%のアミルアルコールを加えるのが好ましい。化学量論は、以下の通りである:1〜4当量の塩基、1〜2当量のRONO、好ましくは1.5〜2.5当量の塩基、1〜1.3当量のRONO(即ち、有機ニトリト)。添加の順序は、以下の通りである:a)ニトロ−o−キシレン及びニトリトを最初に導入し、そして塩基を計量、導入する。b)塩基を固体として計量、導入しないために、塩基のDMF溶液を最初に導入し、そしてニトロ−o−キシレン/亜硝酸ブチルを同時に添加する。塩基を比較的長い時間で計量、導入して、必要な冷却を短縮するのが有効である。
【0136】
後処理は、例えば以下の通り行われる:a)水/酸で混合物を撹拌することにより沈殿させる。b)十分な量の水/酸を加えて沈殿させる。好適な酸は、鉱酸、例えば硫酸、塩酸又はリン酸であり、その他にカルボン酸、例えば酢酸である。生成物の精製は、0〜110℃の範囲、好ましくは室温でトルエンを用いて摩砕することにより行われる。
【0137】
反応が比較的高温(−10〜0℃)で行われる場合、室温でさらに撹拌して、後処理することにより、ベンゾニトリルが直接得られる。さらに、酸触媒及び脂肪族アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド水溶液)の存在下、式XVで表されるベンズアルドオキシムからアルデヒド基を遊離することができる。好適な溶剤は、ハロゲン化アルカン、例えば1,2−ジクロロエタン又は塩化メチレン、芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン又はキシレン、非プロトン性の極性溶剤、例えばN,N−ジアルキルホルムアミド、N,N−アセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルプロピレン尿素;テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオニトリル又はアセトンであり、適宜水を加えて用いる。アセトンの水溶液(1〜20%の水)、ジオキサン/水の混合物及びテトラヒドロフラン/水の混合物が特に有効である。反応は、室温から溶剤の還流温度の範囲、好ましくは30〜70℃の範囲の温度にて行われる。適当な酸は、鉱酸、例えば希塩酸、硫酸若しくはリン酸、及び酸性イオン交換体、例えばアンバリスト15(Amberlyst 15)又はダウエックス50W×8(Dowex 50W×8)である。
【0138】
式XVで表される化合物の場合、その後、オキシム基−CH=NOHを対応するアルデヒド(−CHO)、又はそうでなければ対応するニトリル(−CN)に転化させることができる。これら化合物は、式Iで表される有効化合物を製造するための、重要な合成構成単位である(WO98/31681、参照)。
【0139】
本発明により方法の処理工程d)で用いられるチオアルキル化工程は、新規であり、かつアニリン誘導体をチオエーテルに転化させる(アニリン誘導体のチオアルキル化)ための有効な方法である。原則として、これは、一般的に式XIX:
【0140】
【化26】

【0141】
[但し、Rxが不活性基を表し、mが0〜5までを表わし、そしてR2がC1〜C6アルキルを表す]
【0142】
【化27】

で表されるアニリンを、式VII: R2−S−S−R2 VIIで表されるジアルキルジスルフィドと、触媒の存在下にて反応させることを特徴とする製造方法に適当である。触媒としては、銅粉末、特に粒径が70μm未満の銅粉末か、或いは別の状態の単体の銅、例えば削り屑、ワイヤ、顆粒、ペレット、ロッドが好ましい。
【0143】
式XIX及びXXで表される化合物において、Rxは、式VIIで表される化合物との反応の間に所定の反応条件下で化学的に不活性である基である。この意味において、好適なRx基は、例えば水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ又は複素環基(R6の定義において冒頭で述べた)である。複素環基は、イソオキサゾリン、イソオキサゾール、チアゾリン、チアゾール、オキサゾール及びピラゾールから選択される、特に非置換であるか、又はアルキル置換された、飽和、部分飽和若しくは芳香族性の5員複素環である。式XIX及びXXで表される化合物は、1個以上の、好ましくは1〜3個の同一又は異なっていても良い置換基Rxを有していても良い。
【0144】
Rxは、C1〜C6アルキル、例えばメチル、エチル又はプロピルを表すのが好ましい。mは1又は2を表すのが好ましい。mが1である場合、Rxは基−S−R2(この場合、化合物XIX)又はアミノ基(この場合、化合物XX)に対してオルト又はメタであるのが好ましい。mが2である場合、二番目の基Rxは、基−S−R2又はアミノ基に対してオルト又はメタであるのが好ましい。
【0145】
式XIXで表されるチオエーテルは、化学工業において有効化合物、例えば農作物保護剤(例えば、WO96/11906;WO98/31681)又は薬剤を製造するための有用な中間体である。アルキルチオ基を導入するために屡々使用される方法は、ハロゲン置換である(EP0711754)。しかしながら、刊行物に記載された方法は、強力な電子吸引基で置換された芳香族化合物に限定されるという不都合がある。さらに、この製造は、屡々高温で行う必要がある。この反応条件下で、他の敏感な官能基は化学的に変性され、これにより精製が困難で、かつコストがかかるか、又は不純物を全く取り除くことができないこともある複雑な反応混合物が得られる。さらに、適当な前駆体が常に市販されているわけではない。
【0146】
アニリンからアリールアルキルスルフィドを製造する方法は公知であるが、この方法には深刻な問題がある。例えば、サンドマイヤー反応では、等モル量の銅アルキルチオレート(copper alkyl thiolate)を使用する必要がある(Baleja, Synth. Commun. 14 (1984), 215〜218頁)。概して、得られる収量は20〜60%範囲である。
【0147】
開示されている別の方法は、芳香族アミンを亜硝酸アルキルと過剰のジアルキルスルフィド中で反応させることである(Giam et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun 1980, 756〜757頁)。ここでは、頻繁に副反応が起こるので、収率が低く、かつ生成物の精製が高価になるという課題がある。さらに、反応が不活性希釈剤で行われる場合、誘導期後、制御が困難である極めて強力な反応が進行し始めるので、工業的規模での使用は除外される。従って、本発明の目的は、チオエーテルを製造するための代わりとなる方法を提供することにある。本発明の方法により、芳香族アルキルチオエーテルをアニリンから有効に製造することができる。この方法により、生態学上の及び経済上の有効な面を考慮に入れ、製造を低コストで、かつ効果的に簡易な方法で行うことができる。
【0148】
本発明により、アニリンとジアルキルジスルフィド及び有機ニトリトR−ONOとの反応は、触媒、好ましくは単体の銅の存在下、上記反応スキームにより行われる。本発明の条件下で、触媒を使用しない場合より、極めて良好な収率が得られ、かつ副生成物の形成がより少ないということを、比較実施例で示した。さらに、反応は制御が容易であり、かつ工業的規模での使用に適当である。
【0149】
反応は、以下に詳細に特定された反応条件下で行われる: 好適な溶剤は、ハロゲン化アルカン、例えば1,2−ジクロロエタン若しくは塩化メチレン、又は芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン若しくはニトロベンゼンである。或いは、過剰のジアルキルジスルフィドを溶剤として使用することもできる。この変体は特に有効である。反応温度は、40℃〜150℃の範囲であり、60℃〜100℃の範囲が好ましく、70℃〜90℃の範囲が特に好ましい。この反応において、亜硝酸C1〜C6アルキル試薬を添加するのが有効である。このために適当なのは、例えば亜硝酸n−ブチル、亜硝酸(イソ)アミル及び亜硝酸tert−ブチルである。この場合、化学量論は、例えば1〜3当量の亜硝酸アルキル、好ましくは1〜1.5当量の亜硝酸アルキルである。適当な触媒は、銅粉末若しくは別の状態の単体の銅、銅(I)塩、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)若しくはヨウ化銅(I)、銅塩(II)、又は元素のヨウ素であり、銅粉末又は別の状態の単体の銅が好ましい。反応は、例えば以下の化学量論比にて行われる:即ち、反応が溶剤中で行われる場合、1〜3当量のジアルキルジスルフィドであり、1〜2当量のジアルキルジスルフィドが好ましい。反応がさらに溶剤を用いずに行われる場合、即ち、ジアルキルジスルフィドを溶剤として使用する場合、次いで蒸留による回収が可能となる、過剰のジアルキルジスルフィド又はジアルキルジスルフィド混合物を使用する。生成物を、例えば蒸留又は結晶化(例えば、ジイソプロピルエーテルから)により精製する。
【0150】
さらに本発明は、置換トルエンXVIをオキシム化(処理工程a)、参照)するための上述の方法及び/又はアニリン誘導体XXをチオアルキル化(処理工程d)、参照)するための上述の方法により、化合物Xを製造する方法を提供することにある。以下の反応スキーム4において、化合物X{R1=CH3、R2=CH3、R3=R4=R5=H}の実施例を用いて、好適な製造方法が開示されている。原則として、この方法は、化合物X{基R1〜R5が上記と同義である}の製造に適当である。
【0151】
【化28】

【0152】
以下の実施例で、本発明をさらに詳述する。実施例1〜9は、処理工程a)〜g)に関する。実施例10〜26は、出発材料若しくは中間体の製造か、又は対応する比較実施例に関する。実施例27は、スキーム4に示されている、化合物Xを製造するための反応順序に関する。
【実施例】
【0153】
[実施例1]
2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシムの製造(処理工程a)−変体A)
274g(2.6モル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び300g(2.0モル)の3−ニトロ−o−キシレン(97%)を750mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−55〜−60℃に冷却し、そして522g(4.56モル)のカリウムtert−ブトキシドを750mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で2.5時間に亘り滴下した。この滴下の間に、溶液の色が黄色から濃い赤色に変化し、粘稠性がある溶液になった。この反応を、HPLCによりモニターした。後処理をするために、300mlの水を最初に加え、次いで約300mlの氷酢酸をpHが5〜6になるまで加えた。この添加の間、温度が−10℃に上昇し、黄色の懸濁液を形成した。その後、反応混合物を、6kgの氷水に注ぎ、形成した残留物を吸引ろ過し、5mlの水で洗浄し、そして乾燥キャビネットで30℃にて一晩乾燥した。
【0154】
これにより、339gの明るいベージュ色の生成物が得られ、これは、約3L(リットル)のトルエン中にて80〜90℃で2時間懸濁させることにより不純物が取り除かれていた。冷却後、生成物を吸引ろ過し、乾燥した。これにより、276gの2−ニトロ−6−メチルベンズアルドオキシムを得た。
【0155】
収率:77%、融点:190〜192℃、純度(HPLCにより):98%。
【0156】
[実施例2]
2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシムの製造(処理工程a)−変体B)
1200mlの無水DMFを最初に4Lの反応フラスコに導入し、−40℃まで冷却した。この温度で、336.5g(4.56モル)のカリウムメトキシド(95%)を添加し、撹拌しながら懸濁した。その後、300g(1.92モル)の3−ニトロ−o−キシレン(97%)及び274g(2.52モル)の亜硝酸n−ブチル(95%)からなる混合物を、−40℃で7時間に亘り滴下した(混合物を適宜冷却した場合、添加の時間を所望の長さに短縮することができる;添加をより長くした場合については、試験しなかった;−35〜−45℃までの温度変化について許容した)。出発材料が完全に転化したかをHPLCにより調べた。その後、反応排出物を撹拌しながら−5〜0℃にて、300mlの水及び300mlの氷酢酸の混合物に添加した。次いで、反応混合物を6kgの氷水に注ぎ、ろ過により固体を分離し(問題なく、ろ過器の抵抗が決定されなかった)、そして500mlの水でそれぞれ2回洗浄した(注意:粗生成物はきつい臭いがする)。湿潤固体を800mlのトルエン中で1.5時間懸濁させることにより、粗生成物(HPLC:面積の96%)を精製した。固体をろ別し(問題なく、ろ過器の抵抗が決定されなかった)、そして真空乾燥キャビネットで50℃にて乾燥した。
【0157】
収量:306g(HPLC:生成物の面積の99.4%;E/Z混合物)、理論値の85%に相当。
【0158】
[実施例3]
3−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造(処理工程b))
a)60℃で、少量の、3.71g(28ミリモル)のN−クロロスクシンイミドを30mlのアセトニトリルに溶解させた溶液を、5g(28ミリモル)の2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシムを50mlのアセトニトリルに溶解させた溶液に添加した。反応を開始してから、溶液の残りを40〜50℃でゆっくり滴下した。HPLCにより完全に転化するまで、混合物をさらに20分間撹拌した。これにより、注意して濃縮される橙色の溶液を得た。残留物を、50mlのトルエン中で約1.5時間懸濁し、溶液をスクシンイミドから分離した。ろ液は橙赤色のままであった。この溶液を、小型のオートクレーブに充填し、エチレンの圧力を30バールにした。5時間に亘り、4.7gの炭酸水素ナトリウムを50mlの水に溶解させた水溶液を、計量、導入し、そして混合物を30バールのエチレン圧にてさらに5時間撹拌した。後処理するために、層分離し、トルエン層をNaHCO3溶液で2回、水で1回洗浄し、乾燥し、そして濃縮した。
【0159】
収量:4.9g(86%)、褐色がたった結晶、融点:100〜105℃。
【0160】
1H−(CDCl3):δ=8.00(d、1H);7.57(d、1H);7.49(t、1H);4.60(t、2H);3.32(t、2H);2.41(s、3H)。
【0161】
b)100gの2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシムを750mlの氷酢酸に溶解し、塩素を2時間導入した。過剰の塩素を窒素でフラッシュした。その後、氷酢酸を蒸留除去し、残留物を1000mlのトルエンに懸濁した。この反応混合物を上記オートクレーブに満たし、エチレンの圧力を6バールにした。1時間に亘り、300mlのトルエン中の55.6gのトリエチルアミン(1当量)を計量、導入し、混合物を6バールのエチレン圧下、室温で10時間撹拌した。この混合物を飽和NaHCO3水溶液で1回、水で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ別し、そしてロータリーエバポレータでを用いて濃縮した。
【0162】
収量:96.3g(理論量の87%)。
【0163】
[実施例4]
2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリンの製造(処理工程c))
a)117g(0.57モル)の3−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを1.2Lの酢酸エチルに溶解させた溶液及び炭素上の白金5質量%を含む触媒11.7gを、水素化オートクレーブに添加した。このオートクレーブを窒素で2回フラッシュした。水素圧20バールにて、この混合物を25〜30℃にて激しく撹拌しながら48時間水素化した。反応排出物をシリカゲルにより吸引ろ過し、溶剤を減圧下に除去した。これにより、94gの褐色固体が得られ、これをメチルtert−ブチルエーテル及び水に溶解し、1Mの塩酸で抽出した。水生層のpHを10〜11に調節し、塩化メチレンで抽出した。この塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶剤を取り除いた。
【0164】
収量:87g(87%)の橙色固体、融点:86〜88℃、HPLCにより純度97%。
【0165】
この生成物を、還流下、メチルtert−ブチルエーテルを用いて撹拌することによりさらに精製した。融点90〜91℃、HPLCにより純度100%。
【0166】
b)1000g(4.85モル)の3−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを5.5Lのメタノールに溶解させた溶液及び炭素上のパラジウム10質量%を含む触媒4.6gを、水素化オートクレーブに添加した。このオートクレーブを窒素で2回フラッシュした。水素圧2.5バールにて、この混合物を25〜30℃にて激しく撹拌しながら17時間水素化した。反応排出物をシリカゲルにより吸引ろ過し、溶剤を減圧下に除去した。
【0167】
これにより、781.7gの明るい褐色の固体が得られた。
【0168】
収量:781.7g(85%)(HPLCにより含有量が93%)。
【0169】
[実施例5]
3−(2−メチル−6−メチルチオフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造(処理工程d))
19.5g(170ミリモル)の亜硝酸tert−ブチル及び20gの銅粉末を30mlのジメチルジスルフィドにまず溶解させ、そして20g(114ミリモル)の2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリンを100mlのジメチルジスルフィドに溶解させた溶液を50〜55℃で滴下した。その後、この混合物を60℃で1.5時間撹拌した。後処理するために、固体を吸引ろ過し、溶液を塩化メチレンで希釈し、そして希塩酸で抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ別し、そして濃縮した。過剰のジメチルジスルフィドを真空オイルポンプで取り除いた。
【0170】
これにより、23.4g(99%)の、しばらくして凝固する暗色油を得た(HPLCにより含有量が100%)。この生成物を、メチルtert−ブチルエーテル中で撹拌することによりさらに精製した。融点66〜67℃。
【0171】
[実施例6]
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルチオフェニル)−4、5−ジヒドロイソオキサゾールの製造(処理工程e))
0℃にて、10g(48ミリモル)の3−(2−メチル−6−メチルチオフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを、120mlの濃硫酸に少しずつ加え、混合物を約30分間撹拌した。その後、3.7g(23ミリモル)の臭素を滴下し、混合物を0℃で2.5時間撹拌した。その後、この混合物を約45分間に亘り室温まで暖めた。均一な溶液を得た。後処理するために、反応混合物を氷水に注ぎ、塩化メチレンで3回抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、さらに精製することなく次の工程で使用する粗生成物が得られた。
【0172】
[実施例7]
3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造(処理工程f))
45℃以下で、11.3g(100ミリモル)の濃度30%の過酸化水素を、11.4g(40ミリモル)の3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルチオフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール及び400mgのタングステン酸ナトリウム水化物を100mlの氷酢酸に溶解させた溶液に滴下した。この反応混合物を、室温で一晩撹拌した。後処理するために、混合物を氷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。収量:9.6g。精製するために、生成物を65mlのイソプロパノールから再結晶させた。
【0173】
収量:7.7g(2つの工程を通じて50%)、融点:137〜139℃。
【0174】
[実施例8]
1−メチル−4−(3−(4,5−ジヒドロオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾールの製造(処理工程g)−変体A)
2.2Lの1,4−ジオキサン、100g(0.315モル)の3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、30.82g(0.315モル)の1−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、87g(0.63モル)の炭酸カリウム、63.5g(0.63モル)のトリエチルアミン及び11.2g(0.016モル)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドを、3.5Lのオートクレーブに添加した。その後、このオートクレーブを窒素で2回フラッシュし、一酸化炭素圧を10kg/cm2にし、そして混合物を撹拌しながら130℃まで加熱した。一酸化炭素圧を20kg/cm2まで増大させ、混合物を130℃で24時間撹拌した。その後、この混合物を減圧下で濃縮し、残留物を水に溶解させた。pHが11の水性層をジクロロメタンで抽出した。有機層を廃棄した。濃度18%の塩酸を用いて、水性層のpHを4に調節した。沈殿をろ別し、水で3回洗浄し、そして減圧下に40℃で乾燥した。これにより、85gの生成物が得られた。ろ液をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶剤を減圧下に除去し、これによりさらに12.7gの生成物が得られた。
【0175】
収量:97.7g(85.6%)、融点:215〜219℃、1H−NMR(CDCl3):δ=2.38(s);3.23(s);3.41(s);3.74(s);4.61(t);7.37(s);7.64(d);8.16(d)。
【0176】
[実施例9]
1−メチル−4−(3−(4,5−ジヒドロオキサゾール−3−イル)−2−メチル−4−メチルスルホニルベンゾイル)−5−ヒドロキシピラゾールの製造(処理工程g)−変体B)
2Lの1,4−ジオキサン、250g(0.77モル)の3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、77g(0.77モル)の1−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、269g(1.93モル)の炭酸カリウム、197g(1.93モル)のトリエチルアミン、1.39g(0.0077モル)の塩化パラジウム(II)及び4.12g(0.0154モル)のトリフェニルホスフィンを、3.5Lのオートクレーブに添加した。このオートクレーブを窒素で2回洗浄し、混合物を撹拌しながら130℃まで加熱し、そして一酸化炭素圧を6kg/cm2にした。一酸化炭素を連続して加えることにより、一酸化炭素圧を6kg/cm2で一定に保ち、そして混合物を130℃で36時間撹拌した。その後、この混合物を1Lの脱塩水と混合し、沈殿したパラジウムを青色バンドフィルター(blue-band filter)(孔径が2〜3μ)でろ別し、そして水で洗浄した。ジオキサン、トリエチルアミン及び水の一部を、一工程で蒸留除去した(150ミリバール又は大気圧下)。濃度20%の硫酸を用いて水性層のpHを2.5に調節し、そしてpHを再調整しながら、5℃で12時間撹拌した。沈殿をろ別し、水で3回洗浄し、そして減圧下に70℃で乾燥した。これにより、227gの生成物が得られた(計算値の100%)。
【0177】
収量:277g(81%)、融点:215〜219℃、1H−NMR(CDCl3):δ=2.38(s);3.23(s);3.41(bs);3.74(s);4.61(t);7.37(s);7.64(d);8.16(d)。
【0178】
フィルター上のパラジウムの回収率:85〜98%。
【0179】
ろ別されたパラジウムの元素分析(乾燥状態):Pd 48%、O 22%、C 11%、H 1.3%、P 0.2%、S 0.2%、Br<0.5%、Cl<0.5%、N<0.5%。
【0180】
[実施例10]
4−ブロモ−2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリンの製造
30g(170ミリモル)の2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリンを、400mlのアセトニトリルに溶解させ、94g(0.68モル)の炭酸カリウムを加えた。30℃未満で、84g(174ミリモル)のテトラブチルアンモニウムトリブロミドを、激しく撹拌しながら少しずつ加えた。後処理するために、固体を吸引ろ過し、溶液を塩化メチレンで希釈し、そして水で抽出した。有機層を取り除き、残留物をさらにメチルtert−ブチルエーテルに溶解し、そして水で2回洗浄した。有機層を乾燥し、そして濃縮した。
【0181】
収量:20.4g(47%)の褐色固体、融点:126〜130℃、HPLCにより純度97%。
【0182】
[実施例11]
4−ブロモ−2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルベンゼンスルホニルクロリドの製造
15℃で、9g(35ミリモル)の4−ブロモ−2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリンを50mlの氷酢酸に溶解させた溶液を、15mlの濃塩酸に加えた。5〜10℃で、2.44g(35ミリモル)の亜硝酸ナトリウムを10mlの水に溶解させた水溶液を滴下し、混合物を5℃で1時間撹拌した。その後、室温にて、この溶液を、47g(0.74モル)の二酸化硫黄を100mlの氷酢酸に溶解させた溶液及び2.23g(13ミリモル)の塩化銅(II)を5mlの水に溶解させた水溶液の混合物に滴下した。この混合物を室温で1時間撹拌し、その後、300mlの氷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。
【0183】
収量:11.8g(99%)、HPLCにより純度96%。
【0184】
以下の実施例で、式XVで表されるベンズアルドオキシムの製造方法(処理工程a)を、さらに詳述する。
【0185】
[実施例12]
2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシムの製造(変体A)
274g(2.6モル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び300g(2.0モル)の3−ニトロ−o−キシレン(97%)を750mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−55〜−60℃に冷却し、522g(4.56モル)のカリウムtert−ブトキシドを750mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で2.5時間に亘り滴下した。滴下の間、溶液の色が黄色から濃い赤色に変化し、粘稠性がある溶液になった。この反応を、HPLCによりモニターした。後処理をするために、300mlの水を最初に加え、次いで約300mlの氷酢酸をpHが5〜6になるまで加えた。この添加の間、温度が−10℃に上昇し、黄色の懸濁液を形成した。その後、反応混合物を、6kgの氷水に注ぎ、形成した残留物を吸引ろ過し、5Lの水で洗浄し、そして乾燥キャビネットで30℃にて一晩乾燥した。これにより、339gの明るいベージュ色の粗生成物が得られ、これは、約3Lのトルエン中にて80〜90℃で2時間懸濁させることにより不純物が取り除かれていた。冷却後、生成物を吸引ろ過し、乾燥した。これにより、276gの2−ニトロ−6−メチルベンズアルドオキシムを得た。
【0186】
収率:77%、融点:190〜192℃、純度(HPLCにより):98%。
【0187】
[実施例13]
2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシムの製造(変体B)
1200mlの無水DMFを最初に4Lの反応フラスコに導入し、−40℃まで冷却した。この温度で、336.5g(4.56モル)のカリウムメトキシド(95%)を添加し、撹拌しながら懸濁した。その後、300g(1.92モル)の3−ニトロ−o−キシレン(97%)及び274g(2.52モル)の亜硝酸n−ブチル(95%)からなる混合物を、−40℃で7時間に亘り滴下した(混合物を適宜冷却した場合、添加の時間を所望の長さに短縮することができる)。出発材料が完全に転化したかをHPLCにより調べた。その後、反応排出物を撹拌しながら−5〜0℃にて、300mlの水及び300mlの氷酢酸の混合物に添加した。次いで、反応混合物を6kgの氷水に注ぎ、ろ過により固体を分離し、そして500mlの水でそれぞれ2回洗浄した。
【0188】
湿潤固体を800mlのトルエン中で1.5時間懸濁させることにより、粗生成物(HPLC:面積の96%)を精製した。固体をろ別し、そして真空乾燥キャビネットで50℃にて乾燥した。
【0189】
収量:306g(HPLC:生成物の面積の99.4%;E/Z混合物)、理論値の85%に相当。
【0190】
[実施例14]
2−クロロ−6−ニトロベンズアルドオキシムの製造 4.1g(40ミリモル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び5g(29ミリモル)の2−クロロ−6−ニトロトルエンを50mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−55〜−60℃に冷却し、3.3g(29.5ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを30mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で20分間に亘り滴下した。この反応を、HPLCによりモニターした。後処理をするために、水を最初に加え、次いで氷酢酸を用いて、この溶液のpHを5〜6に調節した。酢酸エチルで抽出することにより、生成物を単離した。これにより、5.7gの2−クロロ−6−ニトロベンズアルドオキシムを得た。
【0191】
1H−NMR(CDCl3):δ=8.00(d、1H);7.84(s、1H);7.76(d、1H);7.52(t、1H)。
【0192】
[実施例15]
3−クロロ−2−メチル−6−メチルスルホニルベンズアルドオキシムの製造
12.7g(119ミリモル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び20g(92ミリモル)の2,3−ジメチル−4−メチルスルホニルクロロベンゼンを100mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−55〜−60℃に冷却し、16.8g(147ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを70mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で30分間に亘り滴下した。この反応を、HPLCによりモニターした。後処理をするために、50mlの水を最初に加え、次いで約30mlの氷酢酸を用いて、混合物のpHを5〜6に調節した。次いで、混合物を0.7kgの氷水に注ぎ、水性層を塩化メチレンで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、18.4gの明るいベージュ色の粗生成物が得られ、これを約30mlのトルエンから再結晶することにより精製した。
【0193】
収量:6.15g(27%)の白色結晶、融点:164〜168℃、純度(HPLCにより):100%。
【0194】
[実施例16]
3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルベンズアルドオキシムの製造
2.1g(20ミリモル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び4g(15ミリモル)の2,3−ジメチル−4−メチルスルホニルブロモベンゼンを50mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−55〜−60℃に冷却し、2.8g(25ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを35mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で20分間に亘り滴下した。この反応を、HPLCによりモニターした。後処理をするために、10mlの水を最初に加え、次いで約9mlの氷酢酸を用いて、混合物のpHを5〜6に調節した。次いで、混合物を100mlの氷水に注ぎ、水性層を塩化メチレンで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、3.6gの、トルエンから再結晶することにより精製することができる油性の粗生成物(HPLCにより90%)が得られた。
【0195】
収量:1.22g(27%)、融点:192〜194℃、純度(HPLCにより):99%。
【0196】
[実施例17]
N,N−ジフェニル−3−ヒドロキシアミノ−2−メチル−4−メチルスルホニルベンズアミドの製造
a)前駆体の製造
【0197】
【化29】

【0198】
5g(3ミリモル)の2,3−ジメチルチオアニソール及び7.6g(33ミリモル)のジフェニルカルバモイルクロリドを、50mlの1,2−ジクロロエタンに溶解し、そして室温で、4.8g(36ミリモル)の無水塩化アルミニウムと混合した。反応混合物を還流下で3時間煮沸し、その後、氷及び濃塩酸の混合物に注ぎ、そして水性層を塩化メチレンで2回抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、10.8gの粗生成物が得られ、これを、移動相トルエン/酢酸エチルを用いて、シリカゲルクロマトグラフィにより精製した。
【0199】
収量:7.8gのN,N−ジフェニル−2,3−ジメチル−4−メチルチオベンズアミド。
【0200】
45℃以下で、5.7g(50ミリモル)の濃度30%の過酸化水素を、7g(20ミリモル)のN,N−ジフェニル−2,3−ジメチル−4−メチルチオベンズアミド及び200mgのタングステン酸ナトリウム水化物を50mlの氷酢酸に溶解させた溶液に滴下した。この混合物を、室温で一晩撹拌した。後処理するために、混合物を氷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。
【0201】
収量:7.4gのN,N−ジフェニル−2,3−ジメチル−4−メチルスルホニルベンズアミド、融点:155〜165℃。
【0202】
b)N,N−ジフェニル−3−ヒドロキシイミノ−2−メチル−4−メチルスルホニルベンズアミドの製造
0.7g(6.9ミリモル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び2g(5.3ミリモル)のN,N−ジフェニル−2,3−ジメチル−4−メチルスルホニルベンズアミドを30mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−55〜−60℃に冷却し、1.4g(12ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを10mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で20分間に亘り滴下した。この反応を、HPLCによりモニターした。後処理をするために、10mlの水を最初に加え、次いで氷酢酸を用いて、混合物のpHを5〜6に調節した。次いで、混合物を100mlの氷水に注ぎ、水性層を酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、3.0gの部分的に結晶質の粗生成物が得られ、移動相トルエン/アセトンを用いて、シリカゲルクロマトグラフィにより精製した。
【0203】
収量:1.0g(46%)、融点:208〜211℃。
【0204】
[実施例18]
3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルベンズアルデヒドの製造
7.1gの3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルベンズアルドオキシム(23ミリモル)を、17gの濃度5%塩酸、2gの濃度37%ホルムアルデヒド溶液、15mlの水及び30mlのテトラヒドロフランからなる混合物中で、65℃にて32時間撹拌した。この間、さらに3.5gの濃度37%ホルムアルデヒド溶液を0.5gずつに分けて加えた。その後、この混合物を室温に冷却し、生成物を吸引ろ過した。
【0205】
これにより、5.1g(79%)の、純度が94%(GCにより)の生成物が得られた。
【0206】
[実施例19]
2−メチル−6−ニトロベンズアルデヒドの製造
65℃で、14gの2−メチル−6−ニトロベンズアルドオキシム(80ミリモル)を、55mlの濃度5%塩酸、37gの濃度37%ホルムアルデヒド溶液、50mlの水及び100mlのテトラヒドロフランからなる混合物中で、24時間撹拌した。次いで、層分離し、暗色の層を塩化メチレン/水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、10.1gの粗生成物が得られ、移動相トルエンを用いてシリカゲルでろ過することにより精製した。
【0207】
収量:7.2g(54%)。
【0208】
[実施例20]
2−メチル−6−ニトロベンゾニトリルの製造
16g(150ミリモル)の亜硝酸n−ブチル(97%)及び7.7g(50ミリモル)の3−ニトロ−o−キシレン(97%)を50mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を、−5〜−10℃に冷却し、11g(100ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを50mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液をこの温度で1.5時間に亘り滴下した。反応混合物を室温でさらに6日間撹拌した。後処理するために、この混合物を氷水に注ぎ、塩酸を用いてpHを1に調節し、そして水性層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。これにより、8.2gの生成物が得られた。この2−メチル−6−ニトロベンゾニトリルを、移動相トルエンを用いてシリカゲルクロマトグラフィにより精製した。融点:101〜103℃。
【0209】
以下の実施例で、式VIIIaで表されるチオエーテルの製造方法(処理工程d)を、詳述する。
【0210】
[実施例21]
a)比較実施例
2,3−ジメチルアニリンとジメチルジスルフィド及び亜硝酸tert−ブチルとの塩化メチレン溶剤での反応により、少量の所望の生成物Cだけが得られた。GC分析により、主な生成物は、二量化生成物A及びBであった。反応が、過剰のジメチルジスルフィド中で行われる場合、二量体Aをさらに形成した。
【0211】
【化30】

【0212】
b)本発明の方法
2,3−ジメチルアニリンとジメチルジスルフィド及び亜硝酸tert−ブチルとの反応が、塩化メチレン溶剤を使用して、a)の方法と類似の方法で行われたが、Cu粉末をさらに触媒として加えた。反応は均一に進み、所望のジメチルチオアニソールCが得られた。二量化生成物A及びBをGC分析により確認することができなかった。
【0213】
[実施例22]
a)比較実施例
2−(4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3−メチルアニリンとジメチルジスルフィド及び亜硝酸tert−ブチルとの触媒を用いない反応において、副生成物を形成した。HPLCの面積パーセントから比が2:1のAとBの混合物を得た。
【0214】
【化31】

【0215】
b)本発明の方法
反応がa)に記載の方法と類似の方法であるが、Cu粉末の存在下により行われた。この場合、副生成物Aを検出することができなかった。
【0216】
[実施例23]
2,3−ジメチルチオアニソールの製造 a)355g(3.44モル)の亜硝酸tert−ブチル及び250gの銅粉末(3.9モル)をまず1250mlのジメチルジスルフィドに溶解し、そして250g(2.07モル)の2,3−ジメチルアニリンを1000mlのジメチルジスルフィドに溶解させた溶液を、50〜52℃で滴下した。次いで、この混合物を75〜80℃で1.5時間撹拌した。後処理するために、混合物を冷却し、多孔質珪藻土により吸引ろ過し、そしてろ液を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。生成物を精製するために、有機層を蒸留により分離した。最初に、過剰のジメチルジスルフィドを大気圧下で取り除いた。1446gのジメチルジスルフィド(GCにより純度>97%)を回収した。その後、残留物を減圧下に分留した(0.1ミリバール)。
【0217】
収量263.1g(83%)、GCにより純度97.5%。
【0218】
b)14.2g(124ミリモル)の亜硝酸tert−ブチル及び2.5gの銅粉末(40ミリモル)をまず50mlのジメチルジスルフィドに溶解し、そして10g(81ミリモル)の2,3−ジメチルアニリンを50mlのジメチルジスルフィドに溶解させた溶液を、50〜52℃で滴下した。次いで、この混合物を75〜80℃で1.5時間撹拌した。GC分析により、100%のアニリンを所望の2,3−ジメチルチオアニソールに転化した。
【0219】
[実施例24]
2−メチル−6−ニトロチオアニソールの製造 266g(1.97モル)の亜硝酸tert−ブチル及び100gの銅粉末をまず300mlのジメチルジスルフィドに溶解し、そして200g(1.32モル)の2−メチル−6−ニトロアニリンを700mlのジメチルジスルフィドに溶解させた溶液を、50〜55℃で滴下した。次いで、この混合物を75℃で8時間撹拌した。後処理するために、固体を吸引ろ過し、溶液を塩化メチレンで希釈し、そして希塩酸で抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ別し、そしてロータリーエバポレータを使用して濃縮した。過剰のジメチルジスルフィドを、真空オイルポンプ下で取り除いた。これにより、271g(99%)の暗赤色の、HPLCにより純度が87%の油を得た。
【0220】
[実施例25]
2−メチル−3,4−ジメチルチオブロモベンゼンの製造
14.8g(129ミリモル)の亜硝酸tert−ブチル及び20gの銅粉末をまず50mlのジメチルジスルフィドに溶解し、そして20g(86モル)の4−ブロモ−3−メチル−2−メチルチオアニリンを100mlのジメチルジスルフィドに溶解させた溶液を、50〜55℃で滴下した。次いで、この混合物を50℃で4時間撹拌した。後処理するために、固体を吸引ろ過し、溶液を塩化メチレンで希釈し、そして希塩酸で抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ別し、そしてロータリーエバポレータを使用して濃縮した。過剰のジメチルジスルフィドを、真空オイルポンプ下で取り除いた。
【0221】
これにより、19.7gの暗赤色の油を得た。この生成物を、メチルtert−ブチルエーテル中で摩砕することにより精製した。
【0222】
収量:9.32g(41%)、融点:70〜73℃。
【0223】
[実施例26]
2,3−ジメチル−4−メチルチオブロモベンゼンの製造
603g(5.85モル)の亜硝酸tert−ブチル及び375gの銅粉末(5.9モル)をまず3000mlのジメチルジスルフィドに溶解し、そして761g(3.75モル)の4−ブロモ−2,3−ジメチルアニリンを50〜58℃で滴下した。次いで、この混合物を75〜80℃で9時間撹拌した。後処理するために、混合物を冷却し、残留物をろ別し、そしてろ液を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。生成物を精製するために、有機層を蒸留して分離した。最初に、過剰のジメチルジスルフィドを大気圧下で取り除いた。1870g(GCにより純度>97%)を回収した。その後、残留物を減圧下に分留した(0.1ミリバール)。
【0224】
収量:523g(60%)、GCにより純度99%。
【0225】
[実施例27](スキーム4による反応順)
a)2,3−ジメチルチオアニソールの製造
355g(3.44モル)の亜硝酸tert−ブチル及び250gの銅粉末(3.9モル)をまず1250mlのジメチルジスルフィドに溶解し、そして250g(2.07モル)の2,3−ジメチルアニリンを1000mlのジメチルジスルフィドに溶解させた溶液を、50〜52℃で滴下した。次いで、この混合物を75〜80℃で1.5時間撹拌した。後処理するために、混合物を冷却し、多孔質珪藻土により吸引ろ過し、そしてろ液を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。生成物を精製するために、有機層を蒸留により分離した。最初に、過剰のジメチルジスルフィドを大気圧下で取り除いた。1446gのジメチルジスルフィド(GCにより純度>97%)を回収した。その後、残留物を減圧下に分留した(0.1ミリバール)。
【0226】
収量:261.3g(83%)、純度97.5%(GCにより)。
【0227】
b)2,3−ジメチル−4−メチルチオブロモベンゼンの製造
510g(3.33モル)の2,3−ジメチルチオアニソールを、最初に3Lの氷酢酸に溶解し、そして592g(7.4モル)の臭素を1Lの氷酢酸に溶解させた溶液を室温で3時間に亘り滴下した。反応はわずかに発熱反応であった。反応混合物を室温でさらに3.5時間撹拌した。その後、沈殿を吸引ろ過し、ろ液を270gの酢酸ナトリウムと混合し、そして濃縮した。残留物を2Lのジクロロメタンに溶解し、2Lの炭酸水素ナトリウム溶液で2回及び塩化ナトリウム溶液で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮した。
【0228】
収量:615g(79%)、純度99.2%(GCにより)。
【0229】
c)2,3−ジメチル−4−メチルスルホニルブロモベンゼンの製造
100℃以下(僅かに還流)下で、266g(2.35モル)の濃度30%の過酸化水素を45分間に亘り、182g(0.78モル)の2,3−ジメチル−4−メチルチオブロモベンゼン及び5.24gのタングステン酸ナトリウム水化物を1Lの氷酢酸に溶解させた溶液に滴下した。この反応混合物を、室温でさらに2時間撹拌した。後処理するために、混合物を7.8Lの氷水に注ぎ、さらに30分間撹拌した。その後、白色の残留物を、吸引ろ過し、水で3回洗浄した。結晶を減圧下に70℃にて一晩乾燥した。
【0230】
収量:195g(94%)、純度100%(GCにより)。
【0231】
d)3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルベンズアルドオキシムの製造
272.6gのナトリウムエトキシド(3.8モル)を0.4LのDMFに溶解し、そして400gの2,3−ジメチル−4−メチルスルホニルブロモベンゼン(1.52モル)及び214.6g(1.977モル)の亜硝酸n−ブチルを0.8LのDMFに溶解させた溶液を、−20℃〜−15℃で添加した。次いで、100gのナトリウムエトキシドをさらに加えた。反応混合物を−20℃〜−15℃で合計5.5時間撹拌した。
【0232】
混合物を4Lの氷水及び0.4Lの氷酢酸に注ぎ、合計4LのMtBEで抽出した。MtBE層を1Lの炭酸水素ナトリウム溶液、及び水で2回洗浄した。水性層を集めた。MtBE層をロータリーエバポレータにより濃縮し、そして乾燥した。溶液を濃縮し、そして残留物をオイルポンプにて乾燥した。
【0233】
収量:331g(75%)の黄褐色の結晶、純度96.6%(HPLCにより)。
【0234】
e)3−(3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルフェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造
60℃で、少量のN−クロロスクシンイミドを、50g(171ミリモル)の3−ブロモ−2−メチル−6−メチルスルホニルベンズアルドオキシムを200mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液に添加した。反応が開始してから、合計23.3g(171ミリモル)のN−クロロスクシンイミドを40〜50℃で計量、導入した。HPLCにより転化が完全になるまで、反応混合物をさらに30分間撹拌した。その後、反応混合物を氷水に注ぎ、固体を吸引ろ過し、水で3回及びn−ペンタンで2回洗浄した。ヒドロキサム酸クロリドを、湿潤状態で、かつさらに精製をすることなく次の反応に使用した。固体を250mlのジクロロメタンに溶解し、エチレンをこの溶液に通過させた。エチレンを導入し続けながら、20.3(200ミリモル)のトリエチルアミンを滴下した。よりガス状のエチレンの導入を繰り返しながら、反応混合物を室温で約72時間撹拌した。
【0235】
後処理するために、反応混合物を水で3回洗浄し、溶剤を取り除いた。これにより、49gの褐色がかった結晶が得られ、HPLCにより90.6%の生成物を含んでいた。この生成物を、200mlのイソプロパノールから再結晶させることにより精製した。
【0236】
収量:31g(57%)の白色結晶、融点:133〜136℃、純度99.5%(HPLCにより)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III:
【化1】

[但し、R1がC1〜C6アルキルを表す]
で表される化合物。
【請求項2】
式XV:
【化2】

[但し、
XがNO2、S(O)nRyを表わし、
Rx、Ryがそれぞれ不活性基を表わし、
mが0、1、2、3又は4を表わし、
nが2を表す]
で表される化合物の製造方法であって、
式XVI:
【化3】

[但し、各置換基は上記と同義である]
で表される化合物を、塩基の存在下、式R−O−NO{Rが脂肪族又は芳香族基を表す}で表される有機亜硝酸エステルと反応させ、
その際、この反応が非プロトン性の二極性溶剤の存在下、−20℃未満の温度にて行われ、
次いで、適宜、式XV中のオキシム基−CH=NOHを対応するアルデヒド−CHO、ニトリル(−CN)又はニトリルオキシド(−CNO)に転化させることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
溶剤として、DMFを使用する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式XIX:
【化4】

[但し、
Rxが不活性基を表し、
mが0〜5までを表わし、
2がC1〜C6アルキルを表す]
で表されるチオエーテルの製造方法であって、
式XX:
【化5】

で表されるアニリンを、式VII:
2−S−S−R2 VII
で表されるジアルキルジスルフィドと、触媒の存在下にて反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
触媒として、銅粉末又は単体の銅を使用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式XV:
【化6】

[但し、
XがS(O)nRyを表わし、
1が水素、C1〜C6アルキル、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルキルチオを表わし、
Rxが不活性基を表し、
Ryが水素、塩素及び臭素から選択される基を表し、かつフェニル環の基Xに対してパラ位であり、
mが1を表わし、
nが0、1又は2を表す]
で表される化合物。
【請求項7】
請求項2又は4に記載の方法を使用する化合物IX又はXの製造方法。

【公開番号】特開2010−215642(P2010−215642A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112839(P2010−112839)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【分割の表示】特願2000−548313(P2000−548313)の分割
【原出願日】平成11年5月4日(1999.5.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】