説明

イソシアナトオルガノシランの製造方法

本発明の対象は、イソシアナート官能基を有するシランを、前記シランをそれらの化学的製造後に精製し、かつ精製後に10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で専ら取り扱うことによって、製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された貯蔵安定性が達成される、イソシアナート官能基を有するシランの製造方法に関する。
【0002】
しばらく前から、高い収率及び純度でイソシアナトオルガノシランを経済的に製造する方法への大きな関心が存在している。前記の化合物は大いに経済的に重要である。
【0003】
イソシアナトシランは、例えば有機ポリマーと無機材料とでの接着促進剤(Haftvermittler)として使用されることができる。しかしとりわけ、イソシアナトオルガノシランは、有機ポリオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリウレタン、ポリエステル又はポリ(メタ)アクリラートの停止反応のために工業的に使用される。生じたアルコキシシランを末端基とするプレポリマーは、大気湿分と接触した際に硬化し、かつとりわけ接着剤及びシーラントとして又はまた塗料樹脂としてもしくは塗料樹脂成分として使用される。
【0004】
技術水準において、その際に、たいてい、式(1)に相当する従来のγ−イソシアナトプロピルシランが使用され、
OCN−(CH23−Si(OR′)x(R′′)3-x (1)、
ここで、R′及びR′′はアルキル基を表し、かつxは0〜3、好ましくは3又は2の数を表す。
【0005】
最近、しかしながら、一般式(2)
OCN−CH2−Si(OR′)x(R′′)3-x (2)
で示され、ここで、R′及びR′′及びxは前記の意味を表す、いわゆるα−イソシアナトメチルシランに特別な関心が向けられている。
【0006】
これらのα−イソシアナトメチルシランは、大気湿分に対する特に高い反応性により特徴付けられ、かつ硬化速度が高いがしかし調節できる、アルコキシシランを末端基とするプレポリマーの製造に適している(例えば欧州特許(EP)第1 421 129号明細書及び国際公開(WO)第2004/022618号に記載されている)。そのうえ、前記の相応するα−シランを末端基とするプレポリマーは、毒物学的な視点のもとで異論の余地のあるスズ触媒を用いなくとも架橋されることができる(とりわけ欧州特許(EP)第1 421 129号明細書に記載されている)。
【0007】
イソシアナトオルガノシランを製造する多様な方法が知られている。例えば、欧州特許(EP)第0 212 058号明細書には、尿素単位を有するシランを、熱的に液相中で、イソシアナトオルガノシラン及び相応するアミンもしくはアミドに開裂させることによる方法が記載されている。
【0008】
欧州特許(EP)第1 010 704号明細書からは、カルバマトオルガノシランを熱的に液相中で、塩化スズ(II)の触媒反応下に、相応するイソシアナトオルガノシランへ開裂させることによるイソシアナトオルガノシランの製造方法が知られている。
【0009】
独国特許(DE)第101 08 543号明細書には、イソシアナトオルガノシランを、相応するカルバマトオルガノシラン及びアルキルクロロシラン又はビニルクロロシランから製造することが記載されている。
【0010】
米国特許(US)第6,008,396号明細書からは、さらに、カルバマトオルガノシランを、不活性な熱い媒体中で、アルコールの脱離下に、相応するイソシアナトシランへ変換させ、これらをついで蒸留により直接的に反応混合物から除去することによる方法が知られている。
【0011】
カルバマトオルガノシランをイソシアナトオルガノシラン及びメタノールへ熱分解することは、さらに欧州特許(EP)第0 649 850号明細書に記載されており、そこでは、前記分解は気相中で常圧又は減圧下に行われる。前記反応は、その場合に、好ましくは管形反応器中で実施される。カルバマート分解を不均一系触媒の存在で実施することによるこの方法の改善は、そのうえ、欧州特許(EP)第1 343 793号明細書から知られている。場合により、前記加熱分解は、国際公開(WO)第2005/056565号に記載されているミクロ構造装置の使用下にも行われることができる。
【0012】
イソシアナトオルガノシランをマイクロ波の作用下に製造することによる別の方法が、国際公開(WO)第2005/056564号に記載されている。最後に、国際公開(WO)第2005/055974号には、流動化している固体粒子と組み合わせてのこのマイクロ波法が記載されている。
【0013】
たいてい、技術水準に挙げられた方法は、式(1)の従来のγ−イソシアナトプロピルシランの製造にのみ使用されていた。これらの方法は、しかしながら − 少なくとも原則的には − 式(2)のα−イソシアナトメチルシランの製造にも適している。しかしながら、これらは、全ての方法により得られた式(2)に相当するα−イソシアナトメチルシランが相対的に不安定であり、かつ− 少なくとも室温で − 十分な貯蔵安定性を有しないという欠点を例外なく有する。例えば、既に、室温でほんの数週間のみの − 製造方法に応じて場合によりそれどころかほんの数日のみの − 貯蔵は、それぞれのα−イソシアナトメチルシランの有意な割合(すなわち≫10%)の分解を観察するのに十分である。注目に値するのは、その場合に特に、前記α−イソシアナトメチルシランの分解が、空気遮断下での閉じた容器中でも、行われることである。ここで、式(2)のα−イソシアナトメチルシランは、シラン単位を有しない従来のイソシアナートとは有意に相違する、それというのも、後者は通常、気密な容器中で数ヶ月を越えても問題なく貯蔵されることができるからである。
【0014】
本発明の課題は、故に、明らかに改善された貯蔵安定性を有するイソシアナトオルガノシラン、特にα−イソシアナトメチルシランの製造方法を提供することであった。
【0015】
本発明の対象は、イソシアナート官能基を有するシランを、前記シランをそれらの化学的製造後に精製し、かつ精製後に10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で専ら取り扱うことによって、製造する方法である。
【0016】
前記イソシアナト官能性シランの取り扱いは、その場合にとりわけ、貯蔵を包含し、並びに貯蔵及び/又は輸送に適した容器への詰め替え(Abfuellung)及び/又は移し替え(Umfuellung)も共に包含する。
【0017】
好ましくは、一般式(3)
OCN−(CH2x−SiR1a(OR23-a (3)
で示されるイソシアナート官能性シランの本発明による製造方法が使用され、ここで、
1は、炭素原子1〜10個を有し、ハロゲン置換された又はハロゲン置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、
2は、隣接していない基−O−により中断されていてよい、炭素原子1〜20個を有するアルキル基を表し、
xは1〜8の値を表し、かつ
aは0、1、2又は3の値を表す。
【0018】
基R1として、メチル基、エチル基又はフェニル基が好ましい。R2は好ましくはメチル基又はエチル基である。変数xは、好ましくは1又は3を表し、その際に1の値 − すなわちα−イソシアナトメチルシランの使用 − が特に好ましい。aは、好ましくは0、1又は2であり、特に好ましくは0又は1である。
【0019】
前記イソシアナト官能性シランの化学的製造は、その際に、各々任意の方法により行われることができ、好ましくはこの製造は引用された技術水準に記載された方法の1つにより行われ、ここで、米国特許(US)第6,008,396号明細書、欧州特許(EP)第0 212 058号明細書、欧州特許(EP)第1 010 704号明細書、欧州特許(EP)第0 649 850号明細書又は欧州特許(EP)第1 343 793号明細書に記載されているような熱的方法、又はしかし国際公開(WO)第2005/056564号及び国際公開(WO)第2005/055974号に記載されたマイクロ波法が特に好ましい。
【0020】
前記イソシアナト官能性シランの精製は好ましくは、1つ又はそれ以上の蒸留工程によって行われる。前記蒸留の際に、前記シランは、好ましくは薄膜型蒸発缶を介して、蒸留容器を介して又は蒸留塔への供給を介して、蒸発される。
【0021】
好ましくは、イソシアナト官能性シランの精製の際にそれぞれ最後の精製工程は既に10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で行われる。特に好ましくは、全ての精製工程は、10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で行われる。蒸留による精製の際に、それぞれ最後の蒸留工程は、好ましくは既に10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で又はしかし真空中で、すなわち<100mbar、好ましくは<10mbar及び特に好ましくは<2mbarの圧力で行われる。特に好ましくは、蒸留による精製の際に全ての蒸留工程は、10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で又はしかし減圧下に、すなわち<100mbar、好ましくは<10mbar及び特に好ましくは<2mbarの圧力で行われる。
【0022】
好ましくは、前記イソシアナト官能性シランは、前記精製後に、専ら5%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で及び特に好ましくは専ら1%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で、取り扱われ、貯蔵され、及び/又は貯蔵及び/又は輸送に適した容器へ詰め替えられ、もしくは移し替えられる。これらの容器は、前記充填の前に好ましくは前処理されて、容器内部に場合により存在している水痕跡量が除去される。適した前処理方法は、例えば、前記容器の真空排気及び引き続き昔のガス充填物の最適な排出(Verdraengung)を保証する特別な装置(サイフォン技術(Hebertechologie))を用いる定義された時間に亘る前記のガスでのすすぎ又は不活性ガスでのすすぎ、前記容器(Gebindes)の加熱による前記ガスの排出等である。これらの方法は、前記ガスの任意の温度及び圧力で実施されることができる。使用されたガスは、その際に、技術水準による方法、例えば蒸気熱交換器、電気加熱等を用いて、乾燥され、かつ加熱される。
【0023】
10%未満の大気湿度を有する雰囲気は好ましくは、1000ppm未満の含水量を有する保護ガス雰囲気であり、ここで、500ppm未満の含水量及び特に250ppm未満の含水量が特に好ましい。保護ガスとして、好ましくは乾燥空気、窒素又は希ガスが使用され、その際に窒素又はアルゴンが特に好ましい。
【0024】
貯蔵及び/又は輸送に適した及び場合により前処理された容器への前記イソシアナト官能性シラン、好ましくは一般式(3)に相当するイソシアナトシラン[ここでxについては1の値が特に好ましい]の詰め替えは、好ましくはそれぞれの保護ガス雰囲気が存在するグローブボックス中で行われる。工業的に技術的な方法の場合に、水密に(hermetisch)閉じて遮断された詰め替え系、例えばデッドスペースのない連結部が設けられた詰め替え付属品(Abfuellarmaturen)への詰め替えが特に好ましい。
【0025】
本発明の基礎となるのは、イソシアナト官能性シラン、特にx=1である一般式(3)に相当するα−イソシアナトメチルシランが、これらがそれぞれ最後の精製工程の後に、決して(空気)湿分と接触していない場合に明らかに改善される貯蔵安定性を有するという意外な事実である。
【0026】
ここで、x=1である一般式(3)に相当するα−イソシアナトメチルシランの物質群は、他の全てのイソシアナートとは異なる。確かに、最後に挙げたこれらの全ての化合物も、大気湿分と反応することができ、そのために、これらも、より長い期間を越えて空気中で貯蔵されることができない。しかしながら、従来のイソシアナートは分解に定量的な水量を必要とし(水分子1個につきそれぞれ2個のイソシアナート分子を"壊す")、かつ水自体もイソシアナートと水との反応の分解生成物も触媒能力を有しない。故に、イソシアナート分解は、大気湿分との接触が終了すると同時に停止状態になる。
【0027】
それゆえ、例えば移し替え又は詰め替え過程の際に起こるような短い空気接触は、従来のイソシアナートの場合に大体において問題にならない、それというのも、生成物分解は、その場合にたかだかごく些細であり、かつ通例、もう一度検出すらできない痕跡量で行われるからである。故に専ら保護ガス下での取り扱いは、必要でも普通でもない。
【0028】
それに反して、前記α−イソシアナトメチルシランの場合に、意外なことに、これらが、大気湿分の不在でも、これらがそれらの"生成物履歴(Produkthistorie)"において1回だけでも大気湿分と接触すると同時に、引き続いて直ちに再び精製されていないと、注目に値して高い速度で分解されることが分かった。すなわち、これらの化合物は、 − 他の全てのイソシアナートとは異なり − 詰め替え過程又は移し替え過程で起こるような短い空気接触に対しても、極めて感受性である。故に、これらが専ら保護ガス下にもしくは水の乏しい雰囲気中で取り扱われる場合に、それらのさもなければ著しく制限された貯蔵能力が明らかに上昇されることができる。
【0029】
前記の式の前記の全ての符号は、それらの意味をそれぞれ互いに独立して有する。
【実施例】
【0030】
以下の例及び比較例において、全てのガラスすり合わせ面はすり合わせグリースでグリース塗りされるので、それらのほぼ完全な気密性が保証されている。さらに、それぞれ他に記載されない限り、全ての量の記載及びパーセントの記載は、質量を基準としている。全ての反応を、0.10MPa(絶対)の圧力及び20℃の温度で実施した。
【0031】
α−メチルカルバマトメチル−メチルジメトキシシランから出発して、α−イソシアナトメチル−メチルジメトキシシランは、欧州特許(EP)第1 343 793号明細書に記載された方法に従って製造される。約91%のα−イソシアナトメチル−ジメトキシメチルシラン含量を有する粗生成物(R)が得られる。
【0032】
例1:
1lの容積を有する蒸留フラスコ、30cmの長さを有する充填塔及び標準リービッヒ冷却器を備えた従来の蒸留装置を使用する。前記リービッヒ冷却器は、その場合に、通常通り冷却器区間の端部にゴム管連結を接続するためのゴム止め管(Kernolive)を有する。前記留出物を収容するための受器として、4つの100mlフラスコを使用し、これらは、たこ足(Spinne)を介して前記リービッヒ冷却器と結合されており、かつこうしてたこ足の回転により蒸留を中断することなく、連続して充填されることができる。前記4つの100ml受器フラスコのうち3つに、その際にさらにコックを有するゴム止め管それぞれ1つを備えているが、これらはしかしながら全ての蒸留過程の間に閉じたままである。
【0033】
前記装置は、前記リービッヒ冷却器のゴム止め管を介して、気密な真空ゴム管を用いて従来の実験室用保護ガス設備に接続され、その際に接続された前記装置は、コックによって選択的に、2つのガラス管(Glasstraengen)と結合されることができる。第一のガラス管は、その際に、オイルポンプを用いて真空排気されるのに対して、第二の管にアルゴンが大気圧で導通される。
【0034】
まず最初に、まだ充填されていない蒸留装置を、実験室用保護ガス設備によって真空排気し(圧力<1mbar)、熱風機(150℃)を用いて慎重に加熱する。引き続き、前記装置をアルゴンでフラッシングする(geflutet)。この過程を全部で3回繰り返す。
【0035】
引き続き、前記受器に、アルゴン向流で粗生成物(R)約600mlを充填する。実際の蒸留を、30mbar、85〜90℃の底部温度及び約82℃の頂部温度で実施する。まず最初に、約50mlの前留分(Vorlauf)を留去し、これを、コックを有するゴム止め管を有しない受器フラスコにより収容する。その後、残っている3つの受器フラスコに連続してそれぞれ約60mlが充填される。引き続き、蒸留を中断し、蒸留装置をアルゴンでフラッシングする。
【0036】
その後、主留分を有する3つの受器フラスコを、それらのゴム止め管を介して同様に真空ゴム管を用いて実験室用保護ガス設備に接続する。その際に、ゴム止め管のコックはしかしながらまず最初に、ゴム管連結をそれぞれ3回、保護ガス設備によって真空排気し、かつアルゴンでフラッシングするまで閉じたままである。その後はじめて、3つの受器フラスコを、ゴム止め管コックを開けることによりアルゴン管と結合し、アルゴン向流中で蒸留装置から外し、かつガラス栓で気密に密閉する。引き続き、ゴム止め管のコックも再び密閉する。
【0037】
全ての過程をさらに2回繰り返すので、全部で6つの蒸留したてで気密にアルゴン下に存在するイソシアナトシラン試料が提供される。
【0038】
例2:
保護ガスとしてアルゴンの代わりに窒素を使用した以外は例1とまさに同じように行う。ここでも、全ての蒸留過程を2回繰り返すので、全部で6つの蒸留したてで気密に窒素下に存在するイソシアナトシラン試料が提供される。
【0039】
これらの6つの試料を、引き続き、窒素が充填されたグローブボックス(湿分含量<0.1質量%)へ移し、かつそこでそれぞれ一度、他の100mlフラスコへ移し替え、これを引き続き再びガラス栓で気密に密閉する。
【0040】
比較例1:
保護ガスの代わりに従来の室内空気(約20℃、相対大気湿度約50%)を蒸留装置の換気に使用した以外は例1と同じように行う。そのうえ、主留分フラスコは、蒸留の終了後に、特別な予防措置をせずに蒸留装置から取り除き、引き続き気密に密閉する。
【0041】
ここでも、全ての蒸留過程を2回繰り返すので、全部で6つの蒸留したてで気密に密閉されたイソシアナトシラン試料が提供される。
【0042】
比較例2:
比較例1とまさに同じように行う。しかしながら、6つの蒸留したての試料を空気(約20℃、相対大気湿度約50%)中でさらに1回、他の100mlフラスコへ移し替え、これを引き続き、再び気密に密閉する。
【0043】
例3:
全ての例及び比較例において製造された試料それぞれ5つを、それらの気密容器中で3、6、9、12もしくは15週に亘って約20℃で貯蔵する。引き続き、それらのNCO含量を決定する。全ての例及び比較例の試料それぞれ1つを、それらの製造後直ちに分析する。全ての試料は、それらの分析後に廃棄される、すなわち全部で6つの測定時点のそれぞれについて、それらの製造後にまだ開封されていなかった新鮮な試料が分析される。
【0044】
NCO含量の測定は、湿式化学分析を用いて行う。その際に、既知の量の試料物質は、過剰量のジブチルアミンと反応して、相応するN−(メチルジメトキシシリルメチル)−N′,N′−ジブチル尿素に変換され、かつ消費されなかったアミンを、塩酸を用いて滴定する。消費されたHClと使用されたアミンとの差から、前記試料中のイソシアナート基含量が計算される[100%の純度についての理論値:26.1%]。
【0045】
次の表において、それぞれ記載された貯蔵期間後の例及び比較例からの試料のそれぞれのNCO含量から計算される純度が記載されている。1日未満の貯蔵期間を有する値から明らかであるように、全ての例及び比較例での蒸留したての試料の値は97%を上回る。すなわち、比較例からの試料の大気湿分との短い接触は、有意な即座の生成物分解をもたらさなかった。
【0046】
【表1】

【0047】
本発明により処理された例1及び2からの試料が、比較例からの試料よりも、明らかにより高い貯蔵安定性を有することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアナート官能基を有するシランを、
前記シランをそれらの化学的製造後に精製し、かつ精製後に10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で専ら取り扱うことによって、
製造する方法。
【請求項2】
一般式(3)
OCN−(CH2x−SiR1a(OR23-a (3)
で示されるイソシアナート官能性シランを製造する、ここで、
1は、炭素原子1〜10個を有し、ハロゲン置換された又はハロゲン置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、
2は、隣接していない基−O−により中断されていてよい、炭素原子1〜20個を有するアルキル基を表し、
xは1〜8の値を表し、かつ
aは0、1、2又は3の値を表す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
xが1の値を表す、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記イソシアナト官能性シランの精製を、1つ又はそれ以上の蒸留工程によって行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記イソシアナト官能性シランの精製の際にそれぞれ最後の精製工程を既に10%未満の相対大気湿度を有する雰囲気中で行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記雰囲気が保護ガス雰囲気であり、かつ保護ガスを、乾燥空気、窒素又は希ガスから選択する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2010−518041(P2010−518041A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548644(P2009−548644)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050847
【国際公開番号】WO2008/095791
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】