イソシアヌレート化合物

【課題】光学材料分野における樹脂の原料としての用途が期待される、新規なイソシアヌレート化合物の提供。
【解決手段】化学式(I)で示されるイソシアヌレート化合物。化合物は、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと、二硫化炭素およびハロゲン化合物とを、適宜の塩基および反応溶媒の存在下において、また適宜の反応温度および反応時間にて、反応させることにより合成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子内に硫黄原子を有するイソシアヌレート化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イソシアヌレート化合物を原料とする樹脂は、一般に高い耐熱性と透明性を有することが知られており、硫黄原子を分子内に有する樹脂は、高屈折率であることが知られている。
【0003】
本発明に類似する物質として、例えば非特許文献1には、化1の化学式(II)で示されるイソシアヌレート化合物が開示されている。
【0004】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.Polym.Sci.,PartA:Polym.Chem.,第42号,5983〜5989頁(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光学材料分野における樹脂の原料としての用途が期待される、新規なイソシアヌレート化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、化2の化学式(I)で示されるイソシアヌレート化合物を合成し得ることを認め、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
【化2】

(式中、R、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、シアノ基、イソシアナト基またはオキシラニル基を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明のイソシアヌレート化合物を原料とする樹脂は、高い耐熱性と透明性を発現させるトリアジン骨格と、屈折率を高める特性を有する硫黄原子を含有しているので、光学材料への利用が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明は、前記の化学式(I)で示されるイソシアヌレート化合物であり、化学式(I)におけるR〜Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、シアノ基、イソシアナト基またはオキシラニル基である。
なお、前記のアルキル基とは、炭素数が1〜10であって、直鎖状または分岐状の飽和脂肪族基を示し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等を例示することができる。
【0012】
同アルケニル基としては、ビニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等を例示することができる。
【0013】
同アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、ナフチル基等を例示することができる。
【0014】
同アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を例示することができる。
【0015】
同カルボキシアルキル基としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基、カルボキシヘプチル基等を例示することができる。
【0016】
このようなイソシアヌレート化合物としては、
1,3,5−トリス{2−[(メチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(エチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(プロピルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(イソプロピルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(ブチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(tert−ブチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(ペンチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(ヘキシルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(オクチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(デシルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(アリルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(1−シクロペンテニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(1−シクロヘキセニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(ベンジルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(4−メチルフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(3,5−ジメチルフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(2,4,6−トリメチルフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(4−メトキシフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(4−ニトロフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(4−クロロフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(3,5−ジクロロフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(2,4,6−トリクロロフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(4−ブロモフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(3,5−ジブロモフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(2,4,6−トリブロモフェニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(ナフチルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(メトキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(エトキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(n−プロポキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(イソプロポキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(n−ブトキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(イソブトキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(tert−ブトキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(ベンジルオキシカルボニルメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(カルボキシメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(カルボキシエチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(シアノメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(1−シアノ−1−メチルエチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(イソシアナトメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、
1,3,5−トリス{2−[(2,3−エポキシプロパニルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン等が挙げられる。
【0017】
本発明のイソシアヌレート化合物は、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと、二硫化炭素およびハロゲン化合物とを、適宜の塩基および反応溶媒の存在下において、また適宜の反応温度および反応時間にて、反応させることにより合成することができる。
【0018】
前記のハロゲン化合物としては、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチル、塩化イソブチル、臭化イソブチル、ヨウ化イソブチル、塩化tert−ブチル、臭化tert−ブチル、ヨウ化tert−ブチル、塩化ペンチル、臭化ペンチル、ヨウ化ペンチル、塩化ヘキシル、臭化ヘキシル、ヨウ化ヘキシル、塩化オクチル、臭化オクチル、ヨウ化オクチル、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、1−クロロメチルシクロペンテン、1−ブロモメチルシクロペンテン、1−ヨードメチルシクロペンテン、1−クロロメチルシクロヘキセン、1−ブロモメチルシクロヘキセン、1−ヨードメチルシクロヘキセン、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、4−メチルベンジルクロライド、4−メチルベンジルブロマイド、4−メチルベンジルアイオダイド、3,5−ジメチルベンジルクロライド、3,5−ジメチルベンジルブロマイド、3,5−ジメチルベンジルアイオダイド、2,4,6−トリメチルベンジルクロライド、2,4,6−トリメチルベンジルブロマイド、2,4,6−トリメチルベンジルアイオダイド、4−メトキシベンジルクロライド、4−メトキシベンジルブロマイド、4−メトキシベンジルアイオダイド、4−ニトロベンジルクロライド、4−ニトロベンジルブロマイド、4−ニトロベンジルアイオダイド、4−クロロベンジルクロライド、4−クロロベンジルブロマイド、4−クロロベンジルアイオダイド、3,5−ジクロロベンジルクロライド、3,5−ジクロロベンジルブロマイド、3,5−ジクロロベンジルアイオダイド、2,4,6−トリクロロベンジルクロライド、2,4,6−トリクロロベンジルブロマイド、2,4,6−トリクロロベンジルアイオダイド、4−ブロモベンジルクロライド、4−ブロモベンジルブロマイド、4−ブロモベンジルアイオダイド、3,5−ジブロモベンジルクロライド、3,5−ジブロモベンジルブロマイド、3,5−ジブロモベンジルアイオダイド、2,4,6−トリブロモベンジルクロライド、2,4,6−トリブロモベンジルブロマイド、2,4,6−トリブロモベンジルアイオダイド、ナフチルメチルクロライド、ナフチルメチルブロマイド、ナフチルメチルアイオダイド、クロロ酢酸メチル、ブロモ酢酸メチル、ヨード酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、ブロモ酢酸エチル、ヨード酢酸エチル、クロロ酢酸プロピル、ブロモ酢酸プロピル、ヨード酢酸プロピル、クロロ酢酸イソプロピル、ブロモ酢酸イソプロピル、ヨード酢酸イソプロピル、クロロ酢酸ブチル、ブロモ酢酸ブチル、ヨード酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ブロモ酢酸イソブチル、ヨード酢酸イソブチル、クロロ酢酸tert−ブチル、ブロモ酢酸tert−ブチル、ヨード酢酸tert−ブチル、クロロ酢酸ベンジル、ブロモ酢酸ベンジル、ヨード酢酸ベンジル、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、ヨードアセトニトリル、2−クロロ−2−メチルプロピオニトリル、2−ブロモ−2−メチルプロピオニトリル、2−ヨード−2−メチルプロピオニトリル、クロロメチルイソシアナート、ブロモメチルイソシアナート、ヨードメチルイソシアナート、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が挙げられる。
【0019】
前記の塩基としては、公知のものを制限無く使用することができるが、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような無機アルカリ類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)のような有機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシドのような金属アルコキシド化合物等が挙げられる。
【0020】
また、前記の反応溶媒としては、反応原料を溶解することができ、かつ反応に関与しないものであれば公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール等のアルコール類、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)等のアミド類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。なお、これらの溶媒を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
前記の反応温度は0℃〜還流温度の範囲で、また、前記の反応時間は1〜24時間の範囲で各々適宜設定すればよい。
【0022】
前述の反応において、二硫化炭素、ハロゲン化合物及び塩基の使用量は、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートに対して、2.4〜4.5倍モルとすることが好ましく、2.7〜3.3倍モルとすることがより好ましい。
【0023】
以上の反応条件により生成した本発明のイソシアヌレート化合物は、通常の後処理によって単離することができる。
例えば、反応終了後の反応液を水層と有機溶媒層に分離し、有機溶媒層を水洗、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行うことにより目的物を得ることができる。
【0024】
本発明のイソシアヌレート化合物は、LED等の光学材料分野、プリント配線板および半導体分野における塗料、封止剤、接着剤、レジストインク等の原料の他、木工用塗料、光ファイバーやプラスチック、缶の表面を保護するためのコーティング剤の原料としての利用が期待される。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例に示した合成試験によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、合成試験に使用した主原料は、以下のとおりである。
【0026】
[主原料]
・水素化ナトリウム(和光純薬工業社製)
・N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)
・1,3,5−トリス(2−ヒドロキエチル)イソシアヌレート(商品名「セイク」、四国化成工業社製)
・二硫化炭素(和光純薬工業社製)
・ヨウ化メチル(和光純薬工業社製)
・塩化アリル(和光純薬工業社製)
・塩化ベンジル(和光純薬工業社製)
・クロロアセトニトリル(和光純薬工業社製)
【0027】
〔実施例1〕
<1,3,5−トリス{2−[(メチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンの合成>
水素化ナトリウム1.4g(36.0ミリモル)とN,N−ジメチルホルムアミド50mlからなる溶液に、窒素気流中、氷冷下にて攪拌しながら、1,3,5−トリス(2−ヒドロキエチル)イソシアヌレート2.6g(10.0ミリモル)を添加した。さらに、この溶液を30分間攪拌した後、二硫化炭素2.3g(30.0ミリモル)を添加し、室温下で1時間攪拌した。次いで、氷冷下にてヨウ化メチル5.1g(36.0ミリモル)を添加し、室温下で6時間攪拌した。
その後、氷冷下にて反応液にジクロロメタン50mlと水50mlを添加し、下層のジクロロメタン層を分離した。引き続いて、水層にジクロロメタン30mlを添加し、生成物の抽出を行う操作を3回繰り返した。これらのジクロロメタン溶液を混合して、水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、白色の結晶2.7g(収率:50%)を得た。
【0028】
得られた結晶の融点およびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・融点:108.2-108.8℃
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.89(t,6H,J=5.2Hz),4.34(t,6H,J=5.2Hz),2.55(s,9H)
また、この結晶のIRスペクトルデータは、図1に示したチャートのとおりであった。
これらのスペクトルデータより、得られた結晶は、化3の化学式(III)で示される1,3,5−トリス{2−[(メチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンであるものと同定した。
【0029】
【化3】

【0030】
〔実施例2〕
<1,3,5−トリス{2−[(アリルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンの合成>
水素化ナトリウム1.4g(36.0ミリモル)とN,N−ジメチルホルムアミド50mlからなる溶液に、窒素気流中、氷冷下にて攪拌しながら、1,3,5−トリス(2−ヒドロキエチル)イソシアヌレート2.6g(10.0ミリモル)を添加した。さらに、この溶液を30分間攪拌した後、二硫化炭素2.3g(30.0ミリモル)を添加し、室温下で1時間攪拌した。次いで、氷冷下にて塩化アリル2.8g(36.0ミリモル)を添加し、室温下で6時間攪拌した。
その後、氷冷下にて反応液にジクロロメタン50mlと水50mlを添加し、下層のジクロロメタン層を分離した。引き続いて、水層にジクロロメタン30mlを添加し、生成物の抽出を行う操作を3回繰り返した。これらのジクロロメタン溶液を混合して、水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた濃縮物に酢酸エチル50mlを添加すると結晶が析出し、該結晶をろ取後、酢酸エチルにより再結晶して、白色の結晶3.8g(収率:62%)を得た。
【0031】
得られた結晶の融点およびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・融点:79.9-80.2℃
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:5.81-5.91(m,3H),5.32(d,3H,J=16.8Hz),5.18(d,3H,J=10.0Hz),4.87(t,6H,J=5.6Hz),4.34(t,6H,J=5.6Hz),3.77(d,6H,J=6.8Hz)
また、この結晶のIRスペクトルデータは、図2に示したチャートのとおりであった。
これらのスペクトルデータより、得られた結晶は、化4の化学式(IV)で示される1,3,5−トリス{2−[(アリルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンであるものと同定した。
【0032】
【化4】

【0033】
〔実施例3〕
<1,3,5−トリス{2−[(ベンジルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンの合成>
水素化ナトリウム1.4g(36.0ミリモル)とN,N−ジメチルホルムアミド50mlからなる溶液に、窒素気流中、氷冷下にて攪拌しながら、1,3,5−トリス(2−ヒドロキエチル)イソシアヌレート2.6g(10.0ミリモル)を添加した。さらに、この溶液を30分間攪拌した後、二硫化炭素2.3g(30.0ミリモル)を添加し、室温下で1時間攪拌した。次いで、氷冷下にて塩化ベンジル4.6g(36.0ミリモル)を添加し、室温下で6時間攪拌した。
その後、氷冷下にて反応液にジクロロメタン50mlと水50mlを添加し、下層のジクロロメタン層を分離した。引き続いて、水層にジクロロメタン30mlを添加し、生成物の抽出を行う操作を3回繰り返した。これらのジクロロメタン溶液を混合して、水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた濃縮物に酢酸エチル50mlを添加すると結晶が析出し、該結晶をろ取後、酢酸エチルにより再結晶して、白色の結晶5.2g(収率:68%)を得た。
【0034】
得られた結晶の融点およびH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
・融点:115.0-115.9℃
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.23-7.32(m,15H),4.85(t,6H,J=5.2Hz),4.35(s,6H),4.27(t,6H,J=5.2Hz)
また、この結晶のIRスペクトルデータは、図3に示したチャートのとおりであった。
これらのスペクトルデータより、得られた結晶は、化5の化学式(V)で示される1,3,5−トリス{2−[(ベンジルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンであるものと同定した。
【0035】
【化5】

【0036】
〔実施例4〕
<1,3,5−トリス{2−[(シアノメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンの合成>
水素化ナトリウム1.3g(33.0ミリモル)とN,N−ジメチルホルムアミド30mlからなる溶液に、窒素気流中、氷冷下にて攪拌しながら、1,3,5−トリス(2−ヒドロキエチル)イソシアヌレート2.6g(10.0ミリモル)を添加した。さらに、この溶液を30分間攪拌した後、二硫化炭素2.3g(30.0ミリモル)を添加し、室温下で1時間攪拌した。次いで、氷冷下にてクロロアセトニトリル2.5g(33.0ミリモル)を添加し、室温下で6時間攪拌した。
その後、氷冷下にて反応液にクロロホルム50mlと水30mlを添加し、下層のクロロホルム層を分離した。引き続いて、水層にクロロホルム30mlを添加し、生成物の抽出を行う操作を3回繰り返した。これらのクロロホルム溶液を混合して、水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、黄色の液体1.6g(収率:27%)を得た。
【0037】
得られた液体のH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.91(t,6H,J=4.4Hz),4.41(t,6H,J=4.4Hz),3.80(s,6H)
また、この液体のIRスペクトルデータは、図4に示したチャートのとおりであった。
これらのスペクトルデータより、得られた液体は、化6の化学式(VI)で示される1,3,5−トリス{2−[(シアノメチルチオ)チオカルボキシオキシ]エチル}−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオンであるものと同定した。
【0038】
【化6】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。
【図2】実施例2で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。
【図3】実施例3で得られた結晶のIRスペクトルチャートである。
【図4】実施例4で得られた液体のIRスペクトルチャートである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、光学材料分野における樹脂の原料としての利用が期待される新規なイソシアヌレート化合物を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1の化学式(I)で示されるイソシアヌレート化合物。
【化1】

(式中、R、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、シアノ基、イソシアナト基またはオキシラニル基を表す。)


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43842(P2013−43842A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181083(P2011−181083)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)