説明

イソチアゾール化合物及び農園芸用植物病害防除剤

【課題】
本発明は、新規なイソチアゾール化合物又はその塩、及び、従来の植物病害防除剤が有していた、防除効力が不十分であったり、薬剤耐性を有する病原菌の出現によりその使用が制限されたりすることがあるという問題点を解決し、更に防除効果、残効性等に優れた植物病害防除剤を提供する。
【解決手段】本発明は、式[I]
【化1】


[式中、Q、Qはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子を示す]
で表されることを特徴とするイソチアゾール化合物又はその塩、及び、このイソチアゾール化合物又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソチアゾール化合物又はその塩、及び、それを有効成分とする農園芸用植物病害防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のイソチアゾール化合物は、例えば特許文献1で知られていて、農園芸用殺菌剤としての用途が開示されているが、本発明のイソチアゾール化合物は文献未記載である。
【特許文献1】特開2005−82486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農園芸作物の栽培にあたり、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されている。しかし、従来の防除薬剤は、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性を有する病原菌の出現によりその使用が制限されたりすることがあり、又、植物体に薬害や汚染を生じさせたり、或いは人畜魚類に対する毒性や環境への影響という観点からは、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点が少なく安全に使用できる防除薬剤の出現が強く要請されている。
【0004】
本発明の課題は、従来の植物病害防除剤が有していた前記の如き問題点を解決し、更に防除効果、残効性等に優れた植物病害防除剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、これまで植物病害防除活性の知られていないイソチアゾール化合物を多数合成し、その植物病害防除活性と有用性について鋭意検討した。その結果、本発明のイソチアゾール化合物(以下、本発明化合物という)を植物に対して施用しておくことにより、長期間にわたって植物病害を防除し、植物に薬害を与えることなく顕著な植物病害防除効果を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、次の(1)から(3)に関するものである。
【0007】
(1)式[I]
【化2】


[式中、Q、Qはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子を示す。]
で表されることを特徴とするイソチアゾール化合物又はその塩。
【0008】
(2)式[I]におけるQ及びQが塩素原子である、前記(1)に記載のイソチアゾール化合物又はその塩。
【0009】
(3)前記(1)又は(2)に記載のイソチアゾール化合物又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。
【0010】
次に、式[I]で表される本発明化合物の具体例を表1に記載する。しかしながら、本発明化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。尚、化合物番号は以後の記載において参照される。
【0011】
【表1】

【0012】
式[I]で表される本発明化合物の代表的な製造方法を以下に例示するが、本発明化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
【0013】
【化3】


(式中、Q及びQは前記と同じ意味を示し、Lは塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子を示す。)
【0014】
式[III]で表される化合物は、式[II]で表される化合物とハロゲン化試薬とを、溶媒中又は溶媒非存在下で反応させることによって製造することができる。
【0015】
本工程で使用できるハロゲン化試薬としては、例えばオキサリルクロリド、塩化チオニル等の酸クロリド等があげられる。又、必要に応じてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類を触媒量加えてもよい。
【0016】
ハロゲン化試薬の使用量は、式[II]で表される化合物1モルに対して1〜100モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1〜5モルである。
【0017】
本工程で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0018】
溶媒の使用量は、式[II]で表される化合物1モルに対して0〜100リットルであり、好ましくは0〜2.0リットルである。
【0019】
反応温度は、−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜100℃の範囲で行うのがよい。
【0020】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜10時間である。
【0021】
本工程の目的物である式[III]で表される化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0022】
式[I]で表される本発明化合物は、式[III]で表される化合物と還元剤とを、溶媒中又は溶媒非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0023】
本工程で使用できる還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物等があげられる。
【0024】
還元剤の使用量は、式[III]で表される化合物1モルに対して1〜100モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1〜5モルである。
【0025】
本工程で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類;水;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン等のウレア類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類;アセトニトリル等のニトリル類等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0026】
又、溶媒の使用量は式[III]で表される化合物1モルに対して0〜100リットルであり、好ましくは0.1〜5.0リットルである。
【0027】
反応温度は−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜50℃の範囲で行うのがよい。
【0028】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜10時間である。
【0029】
反応の目的物である式[I]で表される本発明化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0030】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は、式[I]で表されるイソチアゾール化合物又はその塩を有効成分として含有してなる。
【0031】
尚、イソチアゾール化合物の塩としては、例えば塩化水素、臭化水素や硫酸等との無機塩、シュウ酸、酢酸やクエン酸等との有機塩、ナトリウム、カリウム等とのアルカリ金属塩、カルシウム等とのアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0032】
本発明化合物を農園芸用植物病害防除剤として使用する場合には、単独で用いてもよいが、その目的に応じて有効成分を適当な剤型で用いることができる。
【0033】
通常は有効成分を不活性な液体又は固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他をこれに加え、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等の製剤形態で使用できる。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜50%(重量)、又、乳剤及び水和剤とする場合は5〜80%(重量)が適当である。
【0034】
製剤化に際して用いられる担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン等の液体担体等があげられる。
【0035】
界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ジナフチルメタンジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等があげられる。補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アラビアゴム等があげられる。
【0036】
更に、本発明の農園芸用植物病害防除剤には、上記の様々な製剤形態において、有効成分である本発明化合物以外に、必要に応じて他の公知の活性化合物、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、昆虫生育調整剤、殺線虫剤、殺菌剤、植物病害防除剤、除草剤、植物生長調節剤、薬害軽減剤、肥料又は土壌改良剤等と混合してもよい。
【0037】
混合しても良い殺菌剤化合物を以下に例示する。
アミスルブロム(amisulbrom)、ベノミル(benomyl)、ベンチアバリカルブイソプロピル(benthiavalicarb)、ベンチオピラドエタボキサム(benthiopyrade)、ビテルタノール(bitertanol)、ブラストサイジンS(blasticidin-S)、ボスカリド(boscalid)、キャプタン(captan)、カルベンダゾール(carbendazol)、カルプロパミド(carpropamid)、クロロタロニル(chlorothalonil)、シアゾファミド(cyazofamid)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、ジクロメジン(diclomezine)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ジチアノン(dithianon)、エジフェンホス(edifenphos)、フェナミドン(fenamidone)、フェナリモル(fenarimol)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フルアジナム(fluazinam)、フルオピコリド(fluopicolide)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、フルトラニル(flutolanil)、フォルペット(folpet)、ホセチル(fosetyl)、フサライド(fthalide)、グアザチン(guazatine)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyisoxazole)、ヒメキサゾール(hymexazol)、イプロベンホス(iprobenfos)、イプロジオン(iprodione)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イソチアニル(isotianil)、カスガマイシン(kasugamycin)、マンジプロパミド(mandipropamid)、マンネブ(maneb)、メパニピリム(mepanipyrim)、メプロニル(mepronil)、メタラキシル(metalaxyl)、メトラフェノン(metrafenone)、ミクロブタニル(myclobutanyl)、オリサストロビン(orysastrobin)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、ペフラゾエート(pefurazoate)、ペンシクロン(pencycuron)、フェナジンオキシド(phenazine oxide)、ピコオキシストロビン(picoxystrobin)、ポリカーバメート(polycarbamate)、ポリオキシン(polyoxin)、プロベナゾール(probenazole)、プロクロラズ(prochloraz)、プロシミドン(procymidone)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロピネブ(propineb)、プロキナジド(proquinazid)、ビロクロストロビン(pyraclostrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、ピロキロン(pyroquilon)、シメコナゾール(simeconazole)、ストレプトマイシン(Streptomycin)、テクロフタラム(tecloftalam)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、チウラム(thiuram)、チアジニル(tiadinil)、トルニファニド(tolnifanide)、トリアジメホン(triadimefon)、トリシクラゾール(tricyclazole)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、バリダマイシン(validamycin)、ビンクロゾリン(vinchlozoline)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram)
【0038】
混合しても良い殺虫剤化合物を例示する。
アセタミプリド(acetamiprid)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fipronil)、アセトプロール(acetoprol)、クロマフェノイド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、アルファ−シペルメトリン(alpha-cypermethrin)、ベータ・シフルトリン(beta-cyfluthrin)、ベータ−シペルメトリン(beta-cypermethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、ビオアレトリン(bioallethrin)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、シフェノトリン(cyphenothrin )、デルタメトリン(deltamethrin)、エンペントリン(empenthrin )、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルメトリン(flumethrin)、ガンマ・シハロトリン(gamma-cyhalothrin)、イミプロトリン(imiprothrin)、ラムダ・シハロトリン(lambda-cyhalothrin)、メトトリン(methothrin)、ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、レスメトリン(resmethrin)、カデスリン(Kadethrin)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、テフルトリン(tefluthrin)、テトラメスリン(tetramethrin)、ゼタ・シペルメトリン(zeta-cypermethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、エトフェンプロックス(etofenprox)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)、ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、チオスルタップ(thiosultap-sodium)、アセフェート(acephate)、アザメチホス(azamethiphos)、アジンホス・エチル(azinphos-ethyl)、アジンホス・メチル(azinphos-methyl)、カズサホス(cadusafos)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、クロルメホス(chlormephos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホス・メチル(chlorpyrifos-methyl)、クマホス(coumaphos)、シアノホス(cyanophos)、デメトン・S・メチル(demeton-S-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、EPN、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、ファムフル(famphur)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion )、フェンチオン(fenthion)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ヘプテノホス(heptenophos)、イソカルボホス(isocarbophos)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メカルバム(mecarbam)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled)、オメトエート(omethoate)、オキシジメトン・メチル(oxydemeton-methyl)、パラチオン(parathion)、パラチオン・メチル(parathion-methyl)、フェントエート(phenthoate)、ホレート(phorate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホキシム(phoxim)、ピリミホス・メチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノフォス(profenofos)、プロペタムホス(propetamphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、スルホテップ(sulfotep)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テルブホス(terbufos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チオメトン(thiometon)、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、バミドチオン(vamidothion)、イミシアホス(imicyafos)、フルピラゾホス(flupyrazofos)、アルジカルブ(aldicarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、ホルメタネート(formetanate)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メチオカルブ(methiocarb)、メソミル(methomyl)、メトルカルブ(metolcarb)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカルブ(pirimicarb)、プロピキスル(propoxur)、トリメタカルブ(trimethacarb)、XMC(XMC)、キシリルカルブ(xylylcarb)、アラニカルブ(alanycarb)、ブトカルボキシム(butocarboxim)、ブトキシカルボキシム(butoxycarboxim)、チオジカルブ(thiodicarb )、チオファノックス(thiofanox)、ビストリフルロン(bistrifluron)、クロルフルアズウロン(chlorfluazuron)、ジフルベンズウロン(diflubenzuron )、フルシクロクスウロン(flucycloxuron)、フルフェノクスウロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズウロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ハイドロプレン(hydroprene)、キノプレン(kinoprene)、メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、ジエノクロル(dienochlor)、サノピラフェン(cyenopyrafen)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロテトラマト(spirotetramat)、フルベンジアミド(Flubendiamide)、フルリムフェン(フルフェネリム)(flurimfen)、フロニカミド(flonicamid)、メタフルミゾン(metaflumizon)、リナキシピル(rynaxypyr)、レピメクチン(lepmectin)、ピリダリル(pyridalyl)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、インドキサカルブ(indoxacarb)、ブロモプロピレート(bromopropylate)、トリアザメート(triazamate)、フェナザキン(fenazaquin)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、ピリダベン(pyridaben)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、クロフェンテジン(clofentezine)、エトキサゾール(etoxazole)、ヘキサチアゾクス(hexythiazox)、ピメトロジン(pymetrozine)、ブプロフェジン(buprofezin)、1.3ジクロロプロペン(1.3-D)、イソカルボホス(isocarbophos )、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム(NCS)、アゾシクロチン(azocyclotin)、エンドスルファン(endosulfan)、クロルデン(chlordane)、クロルピクリン(chloropicrin)、シヘキサチン(cyhexatin)、スピノサド(spinosad)、メチルジチオカルバマートナトリウム塩(Sodium dimethyldithiocarbamate)、フェンブタンチン・オキシド(fenbutatin oxide)、フルスルファミド(flusulfamide)、メチルイソチオシアネート(MITC)、ロテノン(rotenone)、bioallethrin S-cyclopentenyl isomer、CL−900167、cryolite、NNI−0101、RU−15525、XDE−175、ZXI 8901
【0039】
以上の化合物は、ザ・ペスティサイド・マニュアル(The Pesticide Manual)第13版[ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(British Crop Protection Council)発行、2004年]、シブヤインデックス 第10版、第11版(SHIBUYA INDEX 10th Edition、11th Edition、発行者:SHIBUYA INDEX研究会)に記載されているか、公知のものである。
【0040】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は、これらの製剤をそのまま、或いは希釈して茎葉散布、種子処理、土壌施用、水面施用又は育苗箱施用等により使用することができる。これらの施用量は、使用される化合物の種類、対象病害、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型等によって変動する。
【0041】
例えば粉剤及び粒剤のようにそのまま使用する場合には、有効成分で10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは1g〜1kgの範囲から適宜選ぶのがよい。
【0042】
又、乳剤及び水和剤のように液状で使用する場合には、0.1ppm〜10,000ppm、好ましくは10〜3,000ppmの範囲から適宜選ぶのがよい。
【0043】
又、育苗箱施用によって用いる場合、化合物の溶出性を制御した製剤化を行うことにより、長期にわたる効果を付与することが可能である。
【0044】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は上記の施用形態により、糸状菌、細菌及びウィルスに起因する植物の病害を防除できる。
【0045】
次に、具体的な病害を非限定例としてあげる。
キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、キュウリうどんこ病(Sphaerotheca cucurbitae)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis)、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、イネいもち病(Pyricularia oryzae)、キュウリ灰色かび病(Botrytis cinerea)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringe)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、イネもみ枯細菌病(Burkholderia glumae)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐状病(Acidovorax avenae)、内穎褐変病(Erwinia ananas)、キュウリ炭疽病(Colletotrichum orbiculare)
【発明の効果】
【0046】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は、イネいもち病、イネ紋枯病、コムギふ枯病、コムギうどんこ病、キュウリべと病、キュウリ炭疽病等に対して高い防除効果を有し、しかも、作物に薬害を生ずることなく、残効性、耐雨性に優れるという特徴をも併せ持っているため、農園芸用植物病害防除剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の農園芸用植物病害防除剤で用いる式[I]で表される本発明化合物の製造法、製剤法並びに用途を下記の実施例で詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下の説明において「%」は「重量百分率」を示す。
【実施例】
【0048】
まず、実施例をあげて本発明化合物の製造法を具体的に説明する。
【0049】
〔実施例1〕
3,4−ジクロロイソチアゾール−5−メタノールの製造(化合物番号1)
3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボン酸(50g、253mmol)にオキサリルクロリド(50ml)と触媒量のDMFを加え、50℃で30分撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を減圧蒸留することにより無色結晶の3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボン酸クロリドを得た(50.4g;沸点:55−60℃/0.5mmHg;融点:25−27℃;収率92%)。
【0050】
水素化ホウ素ナトリウム(1.9g、50.5mmol)を水(40ml)に懸濁させ、この懸濁液に、前記で製造した3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボン酸クロリド(4.3g、19.9mmol)のTHF(4ml)溶液を10〜15℃で滴下した。15℃で30分撹拌した後、クエン酸水溶液を加えて弱酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた結晶をヘキサンで洗浄し、無色結晶(融点94−95℃)の3,4−ジクロロイソチアゾール−5−メタノール(3.0g)を得た(収率82%)。
1H-NMR(CDCl3) δ : 2.28(1H, bs), 4.96(2H, s)ppm
【0051】
次に、代表的な製剤例をあげて製剤方法を具体的に説明する。化合物、補助剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更が可能である。以下の説明において、「部」は「重量部」を示す。
【0052】
〔製剤例1〕 粉剤
化合物番号1の化合物2部、珪藻土5部及びクレー93部を均一に混合粉砕して粉剤とした。又、化合物番号1に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に粉剤を得ることができた。
【0053】
〔製剤例2〕 水和剤
化合物番号1の化合物50部、珪藻土45部、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2部及びリグニンスルホン酸ナトリウム3部を均一に混合粉砕して水和剤とした。又、化合物番号1に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に水和剤を得ることができた。
【0054】
〔製剤例3〕 乳剤
化合物番号1の化合物30部、シクロヘキサノン20部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル11部、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム4部及びメチルナフタリン35部を均一に溶解して乳剤とした。又、化合物番号1に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に乳剤を得ることができた。
【0055】
〔製剤例4〕 粒剤
化合物番号1の化合物24部、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2部、リグニンスルホン酸ナトリウム5部、カルボキシメチルセルロース2部及びクレー67部を均一に混合粉砕した。この混合物に水20%相当量を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。又、化合物番号1に代えて、表1記載の化合物各々を用いて同様に粒剤を得ることができた。
【0056】
次に、本発明の農園芸用植物病害防除剤の奏する効果について試験例をあげて具体的に説明する。
【0057】
〔試験例1〕 キュウリ炭疽病予防効果試験
直径5.5cmのプラスチックカップにキュウリ種子(品種:相模半白)を4粒ずつ、播種深度2cmで播種し、温室内で7日間育成した。製剤例2に準じて調製した水和剤を、有効成分濃度が1ppm及び10ppmになるように水で希釈し、展着剤(クミテン)を希釈倍率が3000倍になるように加え、この溶液を、子葉が展開したキュウリ幼苗の根元に、各々1カップ当たり10mlを土壌灌注した。7日後、キュウリ植物体に、PDA平板培地で培養したキュウリ炭疽病菌(Colletotrichum orbiculare)の分生胞子懸濁液(10〜10個/ml)をハンドスプレーで均一に噴霧接種し、25℃の湿室に24時間放置した。その後、ガラス温室内の水盤上に静置し、6日後にポット全体の子葉の病斑数を調査し、以下に数1として示す計算式により防除価を求め、結果を表2に示した。
【0058】
【数1】

【0059】
【表2】

【0060】
尚、表中の比較化合物は、特開2005−82486号に記載された化合物番号1であり、以下のような構造のものである。
【0061】
【化4】


【0062】
試験例2 イネいもち病水面施用試験
直径9cmの白磁鉢に1.5葉期の水稲(品種:愛知旭)稚苗を3茎ずつ4カ所に移植し、温室内で育成した。2.5葉期に、製剤例2に準じて調製した水和剤を、有効成分濃度が10アールあたり100g及び10gになるように鉢に水面施用処理をした。処理10日後に、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後、温室内に移し、接種5日後に接種時の最高位葉の病斑数を調査した。以下に数2として示す計算式により防除価を求め、結果を表3に示した。
【0063】
(数2)
防除価(%)=(1−処理区の病斑数/無処理区の病斑数)×100
【0064】
【表3】

【0065】
尚、表中の比較化合物は、特開2005−82486号に記載された化合物番号1の前記化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[I]
【化1】


[式中、Q、Qはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子を示す。]
で表されることを特徴とするイソチアゾール化合物又はその塩。
【請求項2】
式[I]におけるQ及びQが塩素原子である請求項1に記載のイソチアゾール化合物又はその塩。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のイソチアゾール化合物又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。

【公開番号】特開2007−211002(P2007−211002A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347569(P2006−347569)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【出願人】(000102049)イハラケミカル工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】