説明

イソフムロン類包接体を含んでなるW/O/W型乳化組成物およびその製造方法

【課題】イソフムロン類の苦みのうち、先苦味だけでなく後苦味も低減した、しかも安定性が高い組成物の提供。
【解決手段】イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相と、油相と、外水相とからなるW/O/W型乳化組成物。レシチンは好ましくは未修飾レシチン、酵素分解レシチン、および化学処理レシチンからなる群から選択される。γサイクロデキストリン包接体は、好ましくは内水相の1〜21重量%である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、イソフムロン類包接体を含んでなるW/O/W型乳化組成物およびその中間体、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロンのようなイソフムロン類は、ホップの毬花に含まれるフムロン、コフムロン、アドフムロン、ポストフムロン、プレフムロンのようなフムロン類を異性化したものであり、ビール、発泡酒等の苦味の主体成分として知られている。ホップは、ビール、発泡酒の醸造において、苦味のみならず独特の芳香の付与、腐敗防止、清澄化、泡持ち性の向上など多様な役割を演じている。ホップ(Humulus lupulus L.)はアサ科に属する雌雄異株、宿根多年生の蔓性植物であり、原産地は西アジアから中央ヨーロッパにかけてとされている。比較的寒冷な地域に自生し、また商品作物としてドイツ、アメリカ、チェコ、中国等において実用栽培されている。多くの栽培種があり、Hersbrucker、 Tettnanger、 Saaz、 Hallertau、 Northern Brewer、 Brewers Gold、 Fuggle、 Cluster、などが代表的である。
【0003】
イソフムロン類は、ビール、発泡酒の醸造における役割に加えて、様々な有用生理作用を有することが確認されている。例えば、抗う蝕作用(特開昭63−211219号公報)、抗骨粗鬆症作用(特開平7−330594号公報)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)増殖抑制作用(特開平10−25247号公報)、アルドースリダクターゼ阻害作用(特開2003−226640号公報)、血糖値改善作用(特開2004−224795号公報)などが挙げられる。これらを背景に、イソフムロン類をいわゆる健康食品、機能性食品などの健康志向の飲料・食品へ応用することが期待されている。
【0004】
しかしながらイソフムロン類は前述の通り、独特の苦味を有する。ビール、発泡酒における含有量は20ppm前後、乃至はそれ以下であり、個人差はあるものの、30ppmを超えると軽度の不快感を伴い、50ppmを超えると強い不快感がある。ところが前述の有用生理作用を期待して飲用もしくは食用に供する場合、不快感を伴う量が必要とされる。加えてイソフムロン類は、保存時に分解しやすい、元来油様の性状であるため食品加工に適さない、などの欠点も有している。以上の点から、イソフムロン類を高含有する飲料・食品の具現化は困難であった。
【0005】
ところで、植物に起原する低分子の生理活性物質は、総じて苦味や渋味を有することが多いため、これまでにこれらを軽減するための技術が幾つか提唱されている。サイクロデキストリン(CD)を利用した技術も報告されている。
【0006】
CDはデンプン類にサイクロデキストリン生成酵素(Cyclodextrin glucanotransferase,CGTase)を作用させて得られる環状オリゴ糖の総称であり、グルコース分子がα−1,4結合で環状に連なる構造を形成している。19世紀後半から自然界において存在することが知られていたが、20世紀初頭になってShardingerにより分離精製法や環状構造が明らかにされた。1970年代になると細菌由来のCGTaseが発見され、結晶性CDの生産技術開発が加速した。現在、グルコースの重合度が6、7、8のものが実用上入手可能であり、それぞれαCD、βCD、γCDと呼称されている。
【0007】
CDは立体的に見れば、いわば底のないバケツ様の構造であり、空洞外部が親水性であるのに対し、空洞内部が疎水性を示すことが特徴的である。このような特性のため、CDは空洞内部に特定の有機分子(いわばゲスト分子)を包み込むように取り込む現象を示すことが知られており、該現象を包接と呼んでいる。包接作用を利用することにより、ゲスト分子の味、溶解性などを変化させることができると言われている。
【0008】
これまでに、イソフムロン類がγサイクロデキストリン(CD)により包接されてなるイソフムロン類包接体が報告されている(特許文献1)。しかし、該イソフムロン類包接体が、ホップエキスの先苦味だけではなく後苦味も低減させることについては報告されていない。
【0009】
一方、W/O/W型乳化組成物は、相互作用を起こして不利益をもたらす2種以上の成分を内水相と外水相に分配して同一の液剤に含有させたり、内服用の液剤において苦味や不快味を有する水溶性成分を内水相に封入することにより不快味を軽減させたりする場合に利用されることが知られている。
【0010】
しかし、W/O/W型乳化組成物の内水相に封入される物質としては、通常、水溶性の物質が使用されており、イソフムロン類包接体のような不溶性物質を内水相に封入してW/O/W型乳化組成物を製造することについてはこれまでに知られていない(特許文献2)。
【特許文献1】WO2007/066773号公報
【特許文献2】特許第3685867号公報
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、γCDにより包接化されたイソフムロン類とレシチンとが添加されてなる内水相を、油相に分散させることにより、内水相にイソフムロン類包接体を含んでなり、かつ安定性が高いW/O型乳化組成物を製造できることを見出した(実施例1〜2)。また、該W/O型乳化組成物を、外水相に分散させることにより、内水相にイソフムロン類包接体を含んでなり、かつ安定性が高いW/O/W型乳化組成物を製造できることを見出した(実施例3)。さらに、該W/O/W型乳化組成物は、イソフムロン類特有の苦味のうち、先苦味だけでなく後苦味も大幅に低減させることを見出した(実施例4)。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0012】
本発明は、γCDにより包接化されたイソフムロン類を含んでなるW/O/W型乳化組成物およびその中間体、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明によれば、イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相と、油相と、外水相とからなる、W/O/W型乳化組成物(以下、「本発明によるW/O/W型乳化組成物」)が提供される。
【0014】
本発明によれば、イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相と、油相とからなる、W/O型乳化組成物(以下、「本発明によるW/O型乳化組成物」)が提供される。
【0015】
本発明によれば、イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相を、油相に分散させて得られたW/O型乳化組成物を、外水相に分散させることを含んでなる、W/O/W型乳化組成物の製造方法が提供される。
【0016】
本発明によれば、本発明によるW/O/W型乳化組成物の製造方法により製造される、W/O/W型乳化組成物が提供される。
【0017】
本発明によれば、イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相を、油相に分散させることを含んでなる、W/O型乳化組成物の製造方法が提供される。
【0018】
本発明によれば、本発明によるW/O型乳化組成物の製造方法により製造される、W/O型乳化組成物が提供される。
【0019】
本発明者らによれば、イソフムロン類の水溶液を内水相に封入して得られたW/O/W型乳化組成物については苦味の改善が認めらないことが確認されている(データ省略)。本発明によるW/O/W型乳化組成物は、不溶性物質であるイソフムロン類包接体が内水相に含まれるにも関わらず、沈殿が生じず、安定性が高い点で有利である。本発明によるW/O/W型乳化組成物は、また、イソフムロン類特有の苦みのうち、先苦味だけでなく後苦味も軽減されるため、生体機能を期待しうる程度の量のイソフムロン類を含有しつつ、イソフムロン類の苦みが実質的に緩和された食品の提供が可能となる点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0020】
イソフムロン類
本発明において、イソフムロン類は、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0021】
ここでイソフムロン類は、市販されている異性化ホップエキスを好ましくは用いることができる。イソフムロン類はまた、公知の方法に従って製造することができ、例えば、Developments in Food Science 27, CHEMISTRY AND ANALYSIS OF HOP AND BEER BITTER ACIDS, M. Verzele, ELSEVIERに記載の方法に従って合成することができる。イソフムロン類は、後述する方法により得られたホップエキスまたは異性化ホップエキスから単離、精製することにより得ることができる。
【0022】
異性化ホップエキスは、ホップのルプリン部に由来する抽出物(ホップエキス)を異性化することにより得ることができる。ホップはアサ科に属する多年生植物であり、その毬花(未受精の雌花が熟成したもの)である。ホップのルプリン部は、ビール醸造原料であり、ビールに苦味、芳香を付与する為に用いる。ビール中の醸造過程においてホップ中のフムロン類(α酸画分、例えば、フムロン、コフムロン、アドフムロン、ポストフムロン、プレフムロン等)は、イソフムロン類(イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロン等)に異性化され、ビールに特有の味と香りを付与する。
【0023】
ホップの抽出物は、例えば、毬花やその圧縮物をそのままもしくは粉砕後、抽出操作に供することによって調製することができる。抽出方法としては、例えば、ビール醸造に用いられるホップエキスの調製法として用いられるエタノール溶媒による抽出法や超臨界二酸化炭素抽出法などがある。このうち超臨界二酸化炭素抽出はポリフェノール成分が少なく、苦味質と精油成分がより高く濃縮されるなどの特徴を有する。また、ホップ抽出法として、その他一般に用いられる方法を採用することができ、例えば、溶媒中にホップの毬花、その粉砕物などを冷浸、温浸等によって浸漬する方法;加温し攪拌しながら抽出を行い、濾過して抽出液を得る方法;またはパーコレーション法等を挙げられる。得られた抽出液は、必要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去した後、使用の態様により、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮若しくは乾燥して用いてもよい。
【0024】
また濃縮または乾燥後、さらに非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。更に、本発明においては、例えば、上記のようにして得られた溶媒抽出液を、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によりホップ抽出エキス乾燥物として使用することもできる。
【0025】
前記抽出に用いられる溶媒としては、例えば、水;メタノール,エタノール,プロパノールおよびブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール;酢酸エチルエステル等の低級アルキルエステル;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類;その他エチルエーテル、アセトン、酢酸等の極性溶媒;ベンゼンやヘキサン等の炭化水素;エチルエーテルや石油エーテルなどのエーテル類等の非極性溶媒の公知の有機溶媒を挙げることができる。これら溶媒は、二種以上を組み合わせてもよい。
【0026】
その後必要に応じて不溶物をろ過により除去し、抽出物を減圧等により濃縮し、溶媒を乾固させてもよい。また毬花を粉砕したものを超臨界二酸化炭素抽出、あるいは液化炭酸ガス抽出することも好ましい。
【0027】
これら抽出した粗エキスには、フムロン類に加えその異性化物であるイソフムロン類が含有される。本発明において使用し得るイソフムロン類は、この粗エキスから、慣用の方法を適用して分離精製してもよい。また単離精製したイソフムロン類はほとんど市販されていないため、異性化ホップエキスをそのまま使用してもよい。
【0028】
イソフムロン類をより高含量含むものを得る場合にはこの粗エキスをアルカリ存在下または酸化マグネシウム存在下で加熱化し更に異性化することが好ましい。異性化によりホップ抽出物中のフムロン類はイソフムロン類に完全に変換される。
【0029】
ここで異性化処理をさらに具体例を挙げて説明すると、ホップエキスを、エタノール等のアルコール性溶媒に溶解した後、ここに弱アルカリ性の水を加えて、その存在下において加熱(例えば、92〜93℃程度)して還流することによってホップエキスを熱異性化し、異性化ホップエキスを得ることができる。得られた異性化ホップエキスは、必要に応じて、公知の方法(例えば、ろ過、減圧濃縮、凍結乾燥等)により濃縮したり、精製したりしてもよい。なお、前記異性化処理において使用する弱アルカリ性(例えば、pH8.5〜9.5)の水として、例えば、飲料用アルカリイオン水などのような市販の水(例えば、ボトルドウォーター)を使用することが、安全性の観点からは望ましい。市販の飲料の水であれば、摂取されてきた経験が充分にあるなど、安全性が高い。また、ビール醸造の麦汁煮沸過程で熱異性化されて生成する反応様式と前記異性化処理は本質的に同等であるので、飲食品を提供する観点からは安全性が高い。
【0030】
本発明においては、前述したようにして得られた異性化ホップエキスを組成物および食品等の製造に直接使用してもよいが、さらに有効成分を高濃度に含有する分画物を使用することが好ましい。
【0031】
また、種々の方法で抽出されたホップエキスおよび異性化されたエキスはビール添加物として市販されている。このため、本発明においては、これら市販のホップエキスまたは異性化ホップエキスを、そのまままたは必要に応じてさらに異性化処理に付した後、使用してもよい。市販の異性化ホップエキスとしては、例えば、ホップ毬花粉砕物から主にフムロン類とルプロン類を超臨界二酸化炭素抽出したホップエキス(例えば、CO2 Pure Resin Extract(Hopsteiner社))、ホップ毬花粉砕物の炭酸ガス抽出物を異性化したエキス(例えば、Isomerized Kettle Extract (S.S. Steiner社)、イソフムロン類とルプロン類が主成分)、ホップ毬花粉砕物の炭酸ガス抽出物を異性化した後、さらにカリウム塩化して粘性の低い液体とした水溶性エキス(例えば、ISOHOPCO2N(English Hop Products社)、ISOHOPR(Botanix社)、イソフムロン類が主成分)などを用いることができる。
またこれらのエキスよりもさらにイソフムロン類を高濃度に含有する分画物を、前記等の方法も含め濃縮できることは言うまでもない。
【0032】
また、酸化還元反応により製造され、ホップの代替品、補完品として一部の地域で使用されている還元型異性化ホップエキスまたはこれに含有される還元型イソフムロンであるテトラハイドロ・イソフムロン、ヘキサハイドロ・イソフムロン、ρ-イソフムロンも本発明の対象と成り得る。
【0033】
γCDおよび溶媒
本発明において、γCDは、市販されているものを入手して用いることができる。γCDの形態は、粉末、顆粒、シロップなどいずれであってもよい。
【0034】
γCDの純度は高い方が好ましいが、αCDやβCD、あるいはグルコースやマルトースなど環状糖以外の糖類は本発明の効果を妨げるものではないので、これらとの混合物であってもよい。また、γCDは、分岐γCD、修飾γCD等の、γCDの類縁化合物であってもよい。
【0035】
本発明において、イソフムロン類とγCDの接触を促す媒体である溶媒としては、水性媒体、特に水、が好ましいが、イソフムロン類とγCDを均一に溶解もしくは分散することができるものであれば特に限定されない。水以外の水性媒体としては、例えば、pH緩衝液、極性有機溶媒と水との混合溶媒等が挙げられる。
【0036】
イソフムロン類包接体
本発明において、「イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体」は、イソフムロン類がγサイクロデキストリン(CD)により包接されてなるイソフムロン類包接体(以下、「イソフムロン類包接体」という)を意味する。
【0037】
本発明において用いられるイソフムロン類包接体は、イソフムロン類とγCDと水性溶媒とを一定の比率で混合することにより得られる、イソフムロン類包接体または該イソフムロン類包接体を含んでなる組成物を使用することができる。
【0038】
このようなイソフムロン類包接体または該イソフムロン類包接体を含んでなる組成物は、WO2007/066773号公報の記載に従って調製することができる。
【0039】
例えば、イソフムロン類包接体を含んでなる組成物は、イソフムロン類とγCDと水性溶媒とを一定の比率で混合し、攪拌することにより得ることができる。
【0040】
イソフムロン類包接体を含んでなる組成物は、水性溶媒の比率が低い場合は、白色スラリーとして、水性溶媒の比率が高い場合は、白濁液として得ることができる。
【0041】
イソフムロン類包接体は、このようにして得られた組成物からのイソフムロン類包接体の濃縮・単離は、公知の方法に従って実施できる。例えば、上記製造法により得られた組成物から遠心分離などの固液分離法により固形分を回収し、必要に応じて加水洗浄、再固液分離を行い、イソフムロン類包接体をペースト状物質として得ることができる。また、上記製造法により得られた組成物およびペースト状物質を、噴霧乾燥、凍結乾燥などに付し、イソフムロン類包接体を固形物質として得ることができる。
【0042】
本発明で用いられる「イソフムロン類包接体」または「イソフムロン類包接体を含んでなる組成物」としては、以下の四つの態様が挙げられる。
【0043】
第一の態様としては、イソフムロン類とγCDと水性溶媒とを、イソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:5〜25:20〜112.5(但し、γCD:水性溶媒=1:4〜9である)、より好ましくは、イソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:6〜12.5:54〜112.5(但し、γCD:水性溶媒=1:4〜9である)の比で混合することにより得ることができる、イソフムロン類包接体またはイソフムロン類包接体を含んでなる組成物が挙げられる。
【0044】
第二の態様としては、イソフムロン類とγCDと水性溶媒とを、pH4.0以下で、イソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:5〜33:20〜627(但し、γCD:水性溶媒=1:4〜19である)の比で混合することにより得ることができる、イソフムロン類包接体またはイソフムロン類包接体を含んでなる組成物が挙げられる。
【0045】
第三の態様としては、イソフムロン類とγCDと水性溶媒とを、pH4.5以下で、イソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:5〜272:20〜1088(但し、γCD:水性溶媒=1:4〜9)の比で混合することにより得ることができる、イソフムロン類包接体またはイソフムロン類包接体を含んでなる組成物が挙げられる。
【0046】
第四の態様としては、第一の態様の組成物を、pH4.5以下で、かつイソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:5〜272:4000〜20000の比となるように水性溶媒により希釈することにより得られる、イソフムロン類包接体またはイソフムロン類包接体を含んでなる組成物が挙げられる。
【0047】
本発明の第四の態様としてはまた、第二の態様の組成物を、pH4.5以下で、かつイソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:5〜272:4000〜20000の比となるように水性溶媒により希釈することにより得られる、イソフムロン類包接体またはイソフムロン類包接体を含んでなる組成物が挙げられる。
【0048】
本発明の第四の態様としては更に、第三の態様の組成物を、pH4.5以下で、かつイソフムロン類:γCD:水性溶媒=1:5〜272:4000〜20000の比となるように水性溶媒により希釈することにより得られる、イソフムロン類包接体またはイソフムロン類包接体を含んでなる組成物が挙げられる。
【0049】
W/O型乳化組成物およびその製造方法
本発明によれば、W/O型乳化組成物は、公知の方法に従って、水相(内水相)と油相とから製造することができる。
【0050】
例えば、最初に、油性成分や親油性乳化剤等を含んでなる油相を、攪拌機(例えば、高速乳化機等)を用いて攪拌しながら50〜90℃程度で加熱溶解させ均一にし、その後、10℃〜40℃程度に冷却しながら一定時間攪拌する。次に、イソフムロン類包接体やレシチンを含んでなる所定量の水相を徐々に添加し、液温を40℃以下で一定に維持しながら攪拌乳化することにより、W/O型乳化組成物を得ることができる。
【0051】
本発明において、水相(内水相)は、イソフムロン類包接体とレシチンとを水性成分に添加して適宜調製することにより得ることができる。
【0052】
W/O型乳化組成物において、イソフムロン類包接体は、実質的な絶乾重量で、内水相の1〜21重量%とすることができ、好ましくは、5〜21重量%であり、より好ましくは、10〜21重量%である。
【0053】
レシチンとしては、例えば、未修飾レシチン、酵素分解レシチン、化学処理レシチン(例えば、加水分解レシチン、部分加水分解レシチン、アセチル化レシチン等)等が挙げられるが、好ましくは、酵素分解レシチンである。レシチンは、卵黄、大豆、ナタネ等由来のものを用いることができるが、好ましくは、大豆レシチンである。レシチンは、単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0054】
W/O型乳化組成物において、レシチンは、内水相の1〜5重量%とすることができ、好ましくは、1〜4重量%であり、より好ましくは、1〜3重量%であり、さらにより好ましくは、1〜2重量%である。
【0055】
水性成分は、乳化組成物(エマルション)の製造用に通常用いられる水性成分を、目的とする乳化組成物の特性にあわせて適宜選択することができる。例えば、精製水、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール等が挙げられ、好ましくは、精製水である。
【0056】
水相には、必要に応じて更に、塩等の添加剤を単独でまたは適宜組み合わせて添加することができる。
【0057】
本発明において、油相は、油性成分に親油性乳化剤等を添加して調製することができる。
【0058】
親油性乳化剤としては、例えば、HLB値が10以下、好ましくは7以下である乳化剤を選択することができる。
【0059】
本願明細書において、「HLB値」は、Griffin法(「食品用乳化剤 基礎と応用」(光琳)、1997、戸田義郎、門田則昭、加藤友治)により定義される数値で表される。
【0060】
親油性乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられるが、好ましくは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである。
【0061】
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、好ましくは、ポリグリセリン部位の重合度が4〜10である。より好ましくは、ポリグリセリン部位の重合度が5である縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンである。親油性乳化剤は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
W/O型乳化組成物において、親油性乳化剤は、油相の0.1〜10重量%とすることができ、好ましくは、2〜8重量%であり、より好ましくは、3〜8重量%であり、さらにより好ましくは、4〜8重量%である。
【0063】
油性成分は、乳化組成物の製造に通常用いられている天然または合成の油を、目的とする乳化組成物の特性にあわせて適宜選択することができる。例えば、大豆油、ナタネ油、パーム油等の植物油、牛脂、豚脂等の動物油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油等が挙げられ、好ましくは、合成油(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド)である。油性成分は、単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0064】
油相には、さらに親油性増粘剤を添加することができる。親油性増粘剤は、油脂をゲル化または固化することができる増粘剤を適宜用いることができるが、例えば、ベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物が挙げられる。該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、好ましくは、1:0.5〜2である。
【0065】
W/O型乳化組成物において、親油性増粘剤は、油相の0.2〜2重量%とすることができ、好ましくは、0.2〜0.5重量%である。
【0066】
W/O型乳化組成物において、水相(内水相)と油相との重量比は、1:0.4〜1.5とすることができ、好ましくは、1:0.5〜1.5であり、より好ましくは、1:0.5〜1であり、さらにより好ましくは、1:0.5〜0.9である。
【0067】
W/O型乳化組成物の好ましい態様としては、水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相と、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが添加されてなる油相とからなり、内水相と油相との重量比が、1:0.5〜1.5である、W/O型乳化組成物である。
【0068】
W/O型乳化組成物のより好ましい態様としては、水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相と、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと油相の0.2〜2重量%のベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物(該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、1:0.5〜2である)とが添加されてなる油相とからなり、内水相と油相との重量比が、1:0.5〜1.5である、W/O型乳化組成物である。
【0069】
W/O型乳化組成物の製造方法の好ましい態様としては、水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相を、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが添加されてなる油相に分散させること、を含んでなる製造方法である。
【0070】
W/O型乳化組成物の製造方法のより好ましい態様としては、水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相を、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと油相の0.2〜2重量%のベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物(該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、1:0.5〜2である)とが添加されてなる油相に分散させること、を含んでなる製造方法である。
【0071】
W/O/W型乳化組成物およびその製造方法
本発明において、W/O/W型乳化組成物は、公知の方法に従って、製造することができる。
【0072】
例えば、高圧ホモジナイザー法、高速攪拌法、超音波乳化法、膜乳化法等を用いて、W/O型乳化組成物を外水相に分散させて、W/O/W型乳化組成物を得ることができる。
【0073】
本発明において、外水相は、水性成分に親水性乳化剤等を添加して調製することができる。
【0074】
外水相に用いられる親水性乳化剤としては、例えば、HLB値が10〜18の乳化剤、好ましくは、HLB値が10〜13である乳化剤、より好ましくは、HLB値が11〜12である乳化剤を選択することができる。このような乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、不飽和脂肪酸エステル、ヒドロキシ不飽和脂肪酸エステル等)、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられるが、好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0075】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは、ポリグリセリン部位の重合度が4〜10である。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは、脂肪酸部位が炭素数14〜22の飽和または不飽和脂肪酸であり、より好ましくは、ジ脂肪酸エステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、ジミリスチン酸デカグリセリン、ジオレイン酸デカグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン、ジステアリン酸デカグリセリン等が挙げられるが、好ましくは、ジオレイン酸デカグリセリンまたはジステアリン酸デカグリセリンである。
【0076】
親水性乳化剤は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
W/O/W型乳化組成物において、親水性乳化剤は、外水相の0.01〜10重量%とすることができ、好ましくは、0.1〜2重量%である。
【0078】
水性成分としては、乳化組成物の調製に通常用いられている水性成分を適宜用いることができる。例えば、精製水、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール等が挙げられ、目的とする乳化組成物に望まれる特性にあわせて適宜選択することができるが、好ましくは、精製水である。
【0079】
外水相には、さらに水溶性増粘剤を添加することができる。
【0080】
水溶性増粘剤としては、水溶性多糖類(例えば、天然ガム類、セルロース誘導体、その他水溶性多糖類)、ビニル重合体、アクリル酸重合体等が挙げられる。天然ガム類としては、例えば、キサンタンガム、グアガム、アラビアゴム等が挙げられる。セルロース誘導体としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。その他多糖類としては、ペクチン、アルギン酸、カラギーナン等が挙げられる。ビニル重合体としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。アクリル酸重合体としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。水溶性増粘剤としては、好ましくは、水溶性多糖類であり、より好ましくは、天然ガム類であり、さらにより好ましくは、キサンタンガムである。水溶性増粘剤は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】
W/O/W型乳化組成物において、水溶性増粘剤は、外水相の0.01〜3重量%とすることができ、好ましくは、0.05〜1重量%である。
【0082】
W/O/W型乳化組成物において、W/O型乳化組成物と外水相との重量比は、1:0.3〜1.5とすることができ、好ましくは、1:0.5〜1であり、より好ましくは、1:0.6〜0.7である。
【0083】
W/O/W型乳化組成物の好ましい態様としては、
(a)水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相と、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが添加されてなる油相とからなり、内水相と油相との重量比が、1:0.5〜1.5である、W/O型乳化組成物と、
(b)外水相の0.1〜2重量%のHLB値が13以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルが添加されてなる外水相と、
からなり、W/O型乳化組成物と外水相との重量比が、1:0.5〜1である、W/O/W型乳化組成物である。
【0084】
W/O/W型乳化組成物のより好ましい態様としては、
(a’)水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相と、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと油相の0.2〜2重量%のベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物(該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、1:0.5〜2である)とが添加されてなる油相とからなり、内水相と油相との重量比が、1:0.5〜1.5である、W/O型乳化組成物と、
(b’)外水相の0.1〜2重量%のHLB値が13以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルが添加されてなる外水相と、
からなり、W/O型乳化組成物と外水相との重量比が、1:0.5〜1である、W/O/W型乳化組成物である。
【0085】
W/O/W型乳化組成物のさらにより好ましい態様としては、
(a’’)水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相と、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと油相の0.2〜2重量%のベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物(該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、1:0.5〜2である)とが添加されてなる油相とからなり、内水相と油相との重量比が、1:0.5〜1.5である、W/O型乳化組成物と、
(b’’)外水相の0.1〜2重量%のHLB値が13以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルと外水相の0.05〜1重量%の水溶性増粘剤とが添加されてなる外水相と、
からなり、W/O型乳化組成物と外水相との重量比が、1:0.5〜1である、W/O/W型乳化組成物である。
【0086】
W/O/W型乳化組成物の製造方法の好ましい態様としては、
(1)水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相を、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが添加されてなる油相に分散させて、W/O型乳化組成物を得る工程(ここで、内水相と油相との重量比は、1:0.5〜1.5である);および
(2)(1)で得られたW/O型乳化組成物を、外水相の0.1〜2重量%のHLB値が13以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルが添加されてなる外水相に分散させてW/O/W型乳化組成物(ここで、W/O型乳化組成物と外水相との重量比は、1:0.5〜1である)を得る工程
を含んでなる、製造方法である。
【0087】
W/O/W型乳化組成物の製造方法のより好ましい態様としては、
(1’)水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相を、油相の4〜8重量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと油相の0.2〜2重量%のベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物(該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、1:0.5〜2である)とが添加されてなる油相に分散させて、W/O型乳化組成物(ここで、内水相と油相との重量比は、1:0.5〜1.5である)を得る工程;および
(2’)(1’)で得られたW/O型乳化組成物を、外水相の0.1〜2重量%のHLB値が13以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルが添加されてなる外水相に分散させてW/O/W型乳化組成物(ここで、W/O型乳化組成物と外水相との重量比は、1:0.5〜1である)を得る工程
を含んでなる、製造方法である。
【0088】
W/O/W型乳化組成物の製造方法のさらにより好ましい態様としては、
(1’’)水相の10〜21重量%のイソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体と水相の1〜5重量%のレシチンとが添加されてなる内水相を、油相の4〜8重量%のポリグリセリン脂肪酸エステルと油相の0.2〜2重量%のベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物(該組成物中のベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリルとの重量比は、1:0.5〜2である)とが添加されてなる油相に分散させて、W/O型乳化組成物(ここで、内水相と油相との重量比は、1:0.5〜1.5である)を得る工程;および
(2’’) (1’’)で得られたW/O型乳化組成物を、外水相の0.1〜2重量%のHLB値が13以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルと外水相の0.05〜1重量%の水溶性増粘剤とが添加されてなる外水相に分散させてW/O/W型乳化組成物(ここで、W/O型乳化組成物と外水相との重量比は、1:0.5〜1である)を得る工程
を含んでなる、製造方法である。
【0089】
食品
本発明によるW/O/W型乳化組成物に含まれるイソフムロン類包接体は、適量のブタ膵臓由来のαアミラーゼ(Sigma-Aldrich,Inc.)で処理することにより、γCDが分解されイソフムロン類が遊離する。この現象は、比較的低濃度の白濁状態のイソフムロン類が該処理によって透明化し、該透明液を分析するとグルコース、マルトースおよびマルトトリオースが確認される。このことは、包接体を構成しているγCDがαアミラーゼによりグルコース、マルトースおよびマルトトリオースに分解され、その結果イソフムロン類が遊離することを強く示唆している。
【0090】
これらのことから、本発明によるW/O/W型乳化組成物を利用した飲食物をヒトが摂取した場合、小腸上部でイソフムロン類はγCDと解離し、すみやかに腸管吸収され、イソフムロン類に認められている前記有用生理作用を何ら阻害しないと考えられる。
【0091】
本発明による食品は、本発明によるW/O/W型乳化組成物を添加することにより、イソフムロン類を有効量含有した食品である。ここで「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に、後述するような範囲で有効成分が摂取されるような含有量をいう。本発明による食品には、本発明によるW/O/W型乳化組成物を、組成物の形態で食品に配合することができる。より具体的には、本発明による食品は、本発明によるW/O/W型乳化組成物をそのまま食品として調製したもの、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等を更に配合したもの、半液状またはペースト状にしたもの、一般の食品へ添加したものであってもよい。
【0092】
本発明において「食品」は、哺乳動物が摂取可能なものであればその形態は特に限定されるものではなく、例えば、飲料であってもよい。
【0093】
本発明において「食品」とは、健康食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、栄養補助食品)、機能性食品、病者用食品を含む意味で用いられる。
【0094】
上記健康食品はまた、通常の食品の形状(例えば、ヨーグルト、ゼリー等)であっても、栄養補助食品の形状(例えば、サプリメント)であってもよい。
【0095】
ここで栄養補助食品の形状とは、カプセル(軟カプセルおよび硬カプセル)等が挙げられる。
【0096】
本発明による食品は、イソフムロン類の脂質代謝改善機能(WO03/068205号公報)、血圧降下機能および血管柔軟性改善機能(WO2004/064818号公報)などを期待する消費者に適した食品、すなわち、特定保健用食品、として提供することができる。ここでいう「特定保健用食品」とは、上記機能等を表示して食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。
【0097】
本発明によれば、イソフムロン類包接体を有効量含んでなる食品であって、上記機能が表示された食品が提供される。ここで、上記の各種機能は、食品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、または宣伝物のいずれかに表示することができる。
【0098】
本発明によるW/O/W型乳化組成物の添加・配合の対象である日常摂取する食品としては、具体的には、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、清涼飲料水、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、茶飲料、栄養ドリンク、スポーツ飲料、ミネラルウォーターなどの非アルコール飲料;ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、酎ハイなどのアルコール飲料等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
本発明のより好ましい態様によれば、添加・配合の対象である食品としては、非アルコール飲料(例えば、清涼飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、茶飲料、乳飲料等)やアルコール飲料(ビール、発泡酒等)が挙げられる。
【0100】
果汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、およびウメが挙げられる。また、野菜汁入り飲料や果汁および野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、およびスイカが挙げられる。
【0101】
茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)、または茶樹以外の植物の葉もしくは穀類等を煎じて飲むための飲料をいい、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれも包含される。茶飲料の具体例としては、日本茶(例えば、緑茶、麦茶)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶)、中国茶(例えば、中国緑茶、烏龍茶)、ほうじ茶等が挙げられる。
【0102】
乳飲料とは、生乳、牛乳等またはこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのもの材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳、加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも包含される。
【0103】
本発明において提供される飲料(飲料形態の健康食品や機能性食品を含む)の製造に当たっては、通常の飲料の処方設計に用いられている糖類、香料、果汁、食品添加剤などを適宜添加することができる。飲料の製造に当たってはまた、当業界に公知の製造技術を参照することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
【0104】
本発明による組成物の有効成分であるイソフムロン類は、人類が食品として長年摂取してきたホップ抽出成分に含まれるものであることから、毒性も低く、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いられる。本発明による有効成分の摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存して決定できる。例えば、イソフムロン包接体を食品として摂取する場合には、成人1人1日当たり20mg〜150mg、好ましくは35mg〜55mg程度の摂取量となるように配合することができる。
【0105】
本願明細書において、「先苦味」とは、摂取物と舌が接触してから5秒以内に感じる苦味を意味する。また、「後苦味」とは、摂取物と舌が接触してから15秒以後に感じる苦味を意味する。
【実施例】
【0106】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、下記実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0107】
実施例1:W/O型乳化組成物の検討
内水相にイソフムロン類包接体を含まない単純水系にて、W/O型乳化組成物の検討を行った。
【0108】
[W/O型乳化組成物の調製]
下記の成分を用いて、W/O型乳化組成物のサンプルを調製した(組成物1〜10)。各成分の配合量は表1に示した。
a:水性成分 精製水
b:油性成分 (カプリル/カプリン酸)トリグリセリド
(商品名:サンファットMCT−7、太陽化学株式会社)
c:親油性乳化剤 縮合リシノレイン酸ペンタグリセリン
(商品名:サンソフトNo.818R、太陽化学株式会社)
【0109】
各サンプルは、b、cを約75℃で加熱溶解し、均一に混合溶解したのち、常温まで冷却し、aを徐々に添加して高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて8000rpmで3分間撹拌乳化して得た。
【0110】
[W/O型乳化組成物の安定性評価]
安定性については、得られた各サンプルを一晩放置した後、油水の分離により生じる油膜の形成を目視により観察し、次の4段階で評価した。◎:均一な液体となっている、○:一部クリーム層が浮上している、△:一部油相が分離している、×:油相分離が顕著である。その結果を表1に示す。
【表1】

【0111】
以上の結果より、水相と油相の重量比(W/O比)が4/6〜7/3の条件では、親油性乳化剤を総重量(水相と油相の重量の和)の2〜3%添加した場合に、安定したW/O型乳化組成物を得られることが示された。この親油性乳化剤の添加量を油相に対する百分率に換算すると約3.3〜7.5%となる。また、特に、水相と油相の重量比が6/4の条件で、より安定したW/O型乳化組成物を得られることが確認された。
【0112】
実施例2:イソフムロン類包接体含有W/O型乳化組成物の検討
内水相にイソフムロン類包接体を含む系にて、W/O型乳化組成物の検討を行った。
【0113】
[イソフムロン類包接体の調製]
γCD(商品名:デキシーパールγ−100(γCD含量98%以上)、塩水港精糖株式会社)22%溶液(pH3.5)を予め調製し、イソフムロン類が2.4%となるように異性化ホップエキス(「Iso-Extract 30%」S.S.Steiner,Inc. New York, USA)を添加混合し、イソフムロンγCDスラリーを得た。
【0114】
[W/O型乳化組成物の調製]
下記の成分を用いてW/O型乳化組成物のサンプルを調製した(組成物11〜22)。各成分の配合量は表2に示した。
a:水性成分 精製水
b:イソフムロン類包接体 イソフムロンγCDスラリー
c:レシチン 酵素分解レシチン10%水溶液
(商品名:サンレシチンA、太陽化学株式会社)
d:油性成分 (カプリル/カプリン酸)トリグリセリド
e:親油性乳化剤 縮合リシノレイン酸ペンタグリセリン
f:親油性増粘剤 ベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸
ポリグリセリルからなる組成物(1:0.5〜2)
(商品名:TAISET50、太陽化学株式会社)
【0115】
各サンプルは、d、e、fを約75℃で加熱溶解し、均一に混合溶解したのち、常温まで冷却し、予め常温で混合したa〜cを徐々に添加して高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて8000rpmで3分間撹拌乳化して得た。
【0116】
[W/O型乳化組成物の安定性評価]
実施例1と同様に、イソフムロン類包接体含有W/O型乳化組成物の安定性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【表2】

【0117】
組成物11〜14(レシチン不含)では、水相と油相の重量比(W/O比)が6/4の条件において、親油性乳化剤を総重量の3%添加して、W/O型乳化組成物を調製したにも関わらず、水相へのイソフムロンγCDスラリーの添加により、W/O型乳化組成物の乳化状態は不良となり、すぐに分離した。なお、イソフムロンγCDスラリー添加の代わりに同等量のホップエキスを内水相に溶解させた場合は、分離は生じなかった。(データ省略)。
【0118】
一方、レシチンを添加した組成物15〜17では、乳化状態は良好であった。ここで、レシチンの添加量による乳化状態の違いは認められなかった。
【0119】
また、レシチンとともに親油性増粘剤が添加された組成物18〜20では、乳化状態は良好であり、また、γCDの沈殿が効果的に抑制された。さらに、親油性増粘剤の添加量の増加に伴い、粘度が上昇する現象が観察された。
【0120】
さらに、イソフムロンγCDスラリーの含有量を高くした組成物21、22でも、乳化状態は良好であった。
【0121】
以上の結果から、W/O型乳化組成物の水相中にイソフムロンγCDスラリーを含有させるためにはレシチンが必須であることが確認された。また、γCDの沈殿を効果的に抑制するためには、親油性増粘剤の添加が有効であることが確認された。さらに、このようにして得られたW/O型乳化組成物の中にイソフムロンγCDスラリーを高含有させることが可能であることが確認された。
【0122】
実施例3:イソフムロン類包接体含有W/O/W型乳化組成物の検討
実施例2で得られた組成物21をW/O型乳化組成物として用い、外水相の乳化剤としてポリグリセリン酸脂肪酸エステルを用いてW/O/W型乳化組成物の検討を行った。
【0123】
[W/O/W型乳化組成物の調製]
表3に示す各乳化剤の1%水溶液(外水相)を75℃で加熱溶解し、均一に混合溶解したのち、常温まで冷却して調製した。次に、W/O型乳化組成物(組成物21)と外水相との重量比が6:4となるように、外水相にW/O型乳化組成物を徐々に添加して、高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて3000rpmで3分間撹拌乳化し、W/O/W型乳化組成物を得た。
【0124】
[W/O/W型乳化組成物の安定性評価]
実施例1と同様に、W/O/W型乳化組成物の安定性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【表3】

【0125】
組成物26、28のデカグリセリンジ脂肪酸エステルで良好な乳化状態が得られた。
【0126】
以上の結果から、モノ脂肪酸エステルと比較してHLBが13以下であるジ脂肪酸エステルで安定な乳化状態が得られることが確認された。また、モノ脂肪酸エステルのうち、モノステアリン酸デカグリセリンはやや安定な乳化状態を示すことが確認された。
【0127】
実施例4:イソフムロン類包接体含有W/O/W型乳化組成物の後苦味低減評価試験
イソフムロン類包接体含有W/O/W型乳化組成物の後苦味軽減度について、官能評価により確認した。
【0128】
[組成物29の調製]
a:イソフムロン類包接体 実施例2で調製されたイソフムロンγCDスラリー
30g
b:レシチン 酵素分解レシチン 10%水溶液 6g
c:油性成分 (カプリル/カプリン酸)トリグリセリド 22.2g
d:親油性乳化剤 縮合リシノレイン酸ペンタグリセリン 1.8g
e:外水相水溶液 40g
ジオレイン酸デカグリセリン(外水相の1重量%)
(商品名:サンソフトQ−172Y 、太陽化学株式会社)
キサンタンガム製剤(外水相の0.2重量%)
(商品名:ネオソフトXG 、太陽化学株式会社)
【0129】
c、dを約75℃で加熱溶解し、均一に混合溶解したのち、常温まで冷却し、予め常温で混合したa、bを徐々に添加して高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて8000rpmで3分間撹拌乳化し、W/O型乳化組成物を得た。次に、W/O型乳化組成物と外水相との重量比が6:4となるように、外水相にW/O型乳化組成物を徐々に添加して高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて3000rpmで3分間撹拌乳化し、W/O/W型乳化組成物を得た。
【0130】
得られたW/O/W型乳化組成物をpH3.5の酸性水にてイソフムロン濃度120ppmとなるように希釈、撹拌して得られた溶液を組成物29とした。
【0131】
[比較例1(イソフムロン+γCD+対照W/O/W型乳化組成物)の調製]
a:水性成分 精製水 30g
b:レシチン 酵素分解レシチン10%水溶液 6g
c:油性成分 (カプリル/カプリン酸)トリグリセリド 22.2g
d:親油性乳化剤 縮合リシノレイン酸ペンタグリセリン 1.8g
e:外水相水溶液 40g
ジオレイン酸デカグリセリン(外水相水溶液の1重量%)
キサンタンガム製剤(外水相水溶液の0.2重量%)
【0132】
c、dを約75℃で加熱溶解し、均一に混合溶解したのち、常温まで冷却し、予め常温で混合したa、bを徐々に添加して高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて8000rpmで3分間撹拌乳化し、W/O型乳化組成物を得た。次に、W/O型乳化組成物と外水相との重量比が6:4となるように、外水相にW/O乳化組成物を徐々に添加して高速ミキサー(T.K.ホモミキサー、プライミクス社)を用いて3000rpmで3分間撹拌乳化し、W/O/W型乳化組成物Aを得た。
【0133】
得られたW/O/W型乳化組成物A、異性化ホップエキス、およびγCDを用いて、組成物29とイソフムロン濃度、γCD濃度および油脂・乳化剤の組成が等しくなるようにpH3.5の酸性水に添加混合したものを比較例1とした。
【0134】
[比較例2(イソフムロンγCDスラリー+対照W/O/W型乳化組成物)の調製]
実施例2で調製されたイソフムロンγCDスラリーおよび比較例1で調製されたW/O/W型乳化組成物Aを用いて、組成物29とイソフムロン濃度、γCD濃度および油脂・乳化剤の組成が等しくなるようにpH3.5の酸性水に添加混合したものを比較例2とした。
【0135】
[後苦味低減評価試験]
組成物29、比較例1および比較例2の3例の苦味について、以下の方法で11人の社内パネラーを用いて官能評価を行った。
【0136】
試験手順はまずイソフムロン基準液として、異性化ホップエキス(S.S..Steiner, Inc. New York, U.S.A.)を10、20、30、60、120ppmの濃度となるように酸性水で調整したものを非明示でランダムに評価した後、組成物29、比較例1および比較例2を非明示でランダムに評価した。サンプルの評価に際して、次の評価に影響を与える場合があるため、口内に苦味を感じなくなるまで最大5分の間隔をあけて評価を行った。
【0137】
官能評価はサンプルを数mL口に含み、5秒以内に感じる苦味を先苦味、15秒以降に感じる苦味を後苦味と定義し、次の5段階で主観評価した。0:苦味を感じない、1:わずかに苦味を感じる、2:苦味を感じる、3:とても苦味を感じる、4:非常に強く苦味を感じて飲むことができない。
【0138】
その結果、比較例1については、苦味のスコアはイソフムロン基準液120ppmと同等であることから、組成物29と同じ組成を単に混合しただけでは苦みに対して有効な影響を与えないことが示された。また、比較例2については、先苦味はイソフムロン基準液30、60ppmと同等のレベルまで苦味が低減するものの、後苦味は、イソフムロン基準液30、60ppmのスコアを上回っていたことから、実質的な苦味は50%程度であった。一方、組成物29については、先苦味、後苦味の平均値がともに30、60ppmを下回り、実質的に苦味が25%以下にまで達した。
【0139】
このことは、イソフムロン類包接体による苦味の低減作用がW/O/W乳化されることにより更に強められたことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】苦味低減評価試験の結果を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相と、油相と、外水相とからなる、W/O/W型乳化組成物。
【請求項2】
内水相:油相の重量比が、1:0.4〜1.5である、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項3】
イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体が、内水相の1〜21重量%である、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項4】
レシチンが、未修飾レシチン、酵素分解レシチン、および化学処理レシチンからなる群から選択される、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項5】
レシチンが、内水相の1〜5重量%である、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項6】
親油性乳化剤が、油相に添加されてなる、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項7】
親油性乳化剤が、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである、請求項6に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項8】
親油性乳化剤が、油相の0.1〜10重量%である、請求項6に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項9】
親油性増粘剤が、油相に更に添加されてなる、請求項1または6に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項10】
親油性増粘剤が、ベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物である、請求項9に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項11】
親水性乳化剤が、外水相に添加されてなる、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項12】
親水性乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項11に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項13】
親水性乳化剤が、外水相の0.01〜10重量%である、請求項11に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項14】
水溶性増粘剤が、外水相に更に添加されてなる、請求項1または11に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項15】
水溶性増粘剤が、水溶性多糖類、ビニル重合体、およびアクリル酸重合体からなる群から選択される、請求項14に記載のW/O/W型乳化組成物。
【請求項16】
イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相と、油相とからなる、W/O型乳化組成物。
【請求項17】
内水相:油相の重量比が、1:0.4〜1.5である、請求項16に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項18】
イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体が、内水相の1〜21重量%である、請求項16に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項19】
レシチンが、未修飾レシチン、酵素分解レシチン、および化学処理レシチンからなる群から選択される、請求項16に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項20】
レシチンが、内水相の1〜5重量%である、請求項16に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項21】
親油性乳化剤が、油相に添加されてなる、請求項16に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項22】
親油性乳化剤が、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである、請求項21に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項23】
親油性乳化剤が、油相の0.1〜10重量%である、請求項21に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項24】
親油性増粘剤が、油相に更に添加されてなる、請求項16または21に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項25】
親油性増粘剤が、ベヘン酸グリセリルおよびオクタステアリン酸ポリグリセリルからなる組成物である、請求項24に記載のW/O型乳化組成物。
【請求項26】
イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相を油相に分散させて得られたW/O型乳化組成物を、外水相に分散させることを含んでなる、W/O/W型乳化組成物の製造方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法により製造される、W/O/W型乳化組成物。
【請求項28】
イソフムロン類のγサイクロデキストリン(γCD)包接体とレシチンとが添加されてなる内水相を、油相に分散させることを含んでなる、W/O型乳化組成物の製造方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法により製造される、W/O型乳化組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−173989(P2010−173989A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20611(P2009−20611)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】