説明

イソフラボン組成物

【課題】ホルモン代替療法に代わって、更年期障害やその兆候、アルコール依存症、ストレス障害、不眠症、肥満やセルライト等の治療に用いうる天然物由来の組成物を提供する。
【解決手段】組成物が、少なくとも1種のイソフラボン、フロリジン、および1種または複数種の機能性細菌を含むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソフラボンの生体吸収性および生体利用効率を高めた植物性エストロゲン様イソフラボンを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性成分としてイソフラボンを含有するという製品が、いくつか販売されている。イソフラボンは、フラボノイドに属するポリフェノール環式化合物の1つである。イソフラボンは、天然物から抽出できるとともに、化学的に合成することもできる。フラボノイドに属する多くの化合物の中にあって、イソフラボンは、無色で、かつ分類学的に存在が限られている(

の植物中にしか存在しない)という特徴を有する。
【0003】
イソフラボンは、植物において、いくつかの生化学的役割(そのほとんどが植物性エストロゲンとしての役割であるが、抗酸化効果、および抗菌効果もある。)を担っている。また、医学的な観点からいうと、いつかのイソフラボン(例えば、ゲニステイン、ダイゼイン、クメストロール)は、弱いエストロゲン様効果をもつ。さらに、ゲニステイン(大豆に含まれる主要なイソフラボン)は、ガンに対する化学的予防効果をもつことが実証された(現在のところ作用機序は明らかにされていない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イソフラボンの1日当たりの摂取量は、法律で80mgまでに制限されている。この制限は、種々の副作用に対する予防的な措置であるが、一方で、イソフラボンを有効成分とする製品の効果を弱めたり、全くなくしたりすることにもなりかねない。イソフラボンの実際の生体利用効率は、多くのパラメータに依存するため、個人差が大きい。このため、イソフラボンの摂取量を1日当たり80mgに制限するのは、製品により供給されるイソフラボンの実際の生体利用効率を、必要なレベルに達しなくするおそれがある。
【0005】
したがって、上述の問題を解消するために、組成を工夫して1回の用量に係る生体利用効率を改善した、新しいイソフラボン関連製品を開発する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、上記の事情に鑑み、生体吸収性および生体利用効率を高めたイソフラボン関連製品を提供することである。
【0007】
また、本発明は、ホルモン代替療法に代わりうる自然食品となる組成物を提供することも目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、更年期障害やその兆候、アルコール依存症、ストレス障害、不眠症、肥満、セルライト(皮下脂肪)等の治療に用いうるイソフラボン関連組成物を提供することも目的とする。
【0009】
上記の外、本発明は、信頼性が高く、製造が比較的容易で、かつ安価なイソフラボン関連組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的、および以下に明らかになる上記以外の目的は、本発明に係る、少なくとも1種のイソフラボン、フロリジン、および1種または複数種の機能性細菌を含む組成物によって達成される。
【0011】
別の視点からいうと、上記の各目的は、ホルモン代替療法に代わりうる自然食品として摂取しうる、本発明に係るイソフラボン組成物によって達成される。
【0012】
本発明の組成物は、更年期障害やその兆候、アルコール依存症、ストレス障害、不眠症、肥満、セルライト等の治療に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上記以外の目的、特徴および効果は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
以下では、イソフラボン以外の有効成分をも含み、これらの成分とイソフラボンとの相乗効果によって、個人差のあるイソフラボンの生体吸収性と生体利用効率を最適化しうるイソフラボン組成物について説明する。本発明のイソフラボン組成物における他の有効成分は、フロリジンおよび1種または複数種の機能性細菌である。
【0015】
本発明に係るイソフラボン組成物を調製するには、原材料として少なくとも1種のイソフラボンを1〜100重量%、フロリジンを1〜100重量%、および上記1種または複数種の機能性細菌を50×10〜200×10個/g混合する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種のイソフラボンを0.001〜99.998重量%、フロリジンを0.001〜99.998重量%、1種または複数種の機能性細菌を0.001〜99.998重量%含むことができる。本発明の好ましい実施形態によれば、上記イソフラボンの含有量は、0.15〜0.90重量%である。他の好ましい実施形態によれば、上記フロリジンの含有量は、0.005〜0.090重量%である。さらに他の好ましい実施形態によれば、上記機能性細菌の含有量は、0.004〜0.11重量%である。
【0017】
すでに述べたように、イソフラボンは、植物に由来する物質であり、植物中で抗酸化作用、植物性エストロゲン作用、抗菌作用等を含む、種々の生化学的機能を果たしている。本発明に係るイソフラボン組成物は、少なくとも1種、好ましくは複数種のイソフラボンを含む。イソフラボンの好ましい例として、プエラリン、ダイズジン、ダイゼイン、ゲニスチン、ゲニステイン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
1つの実施形態として、ここで説明する組成物の成分である少なくとも1種のイソフラボンは、

の植物から抽出することができる。
【0019】
本発明に係る組成物の第2の成分であるフロリジンは、数種類の果樹(例えばリンゴの木)に存在し、その樹皮、根、果実の皮等から抽出しうる天然グリコシドである。本発明の組成物におけるフロリジンは、イソフラボンの吸収量を増加させるため、イソフラボンを摂取した際には、最大限可能な量を吸収しうることとなる。
【0020】
本発明に係る組成物の第3の成分は、1種または複数種の機能性細菌である。このような機能性細菌を含む食品として、バクテリアや酵母等の微生物を含むダイエット用サプリメントがあり、適量を摂取すると有益な効果が得られる。この機能性細菌は、所定の腸内濃度があれば、イソフラボンの生体吸収性を向上させる役割を果たす。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、上記1種または複数種の機能性細菌は、

のいずれか、またはこれらを混合したものから選択するのが好ましい。
【0022】
上記1種または複数種の機能性細菌は、生きているかまたは懸濁状態で提供するのが好ましい。
【0023】
本発明のイソフラボン組成物には、人体において有益な役割を果たす他の物質も加えることができる。このような物質としては、ミネラル、ビタミン、植物からの抽出物、プレバイオティックス(腸内細菌の生育を促す難消化性食物繊維)などがある。
【0024】
上記プレバイオティックスは、例えば、イヌリン、フルクト−オリゴサッカリド(FOS)、ガラクト−オリゴサッカリド(GOS)、およびこれらの混合物からなる群より選択するのが好ましい。
【0025】
また、上記植物からの抽出物は、

からなる群より選択される植物からの抽出物、またはこれらの混合物であるのが好ましい。
【0026】
本発明に係るイソフラボン組成物は、種々の形態(例えば、液体や固体)で摂取することができる。
【0027】
固体の形態には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、顆粒等の剤形がある。このような剤形にする場合、本発明に係るイソフラボン組成物には、薬品業界や食品業界において通常用いられる1種または複数種の賦形剤を含ませることができる。
【0028】
一方、液体の形態の場合には、乳液、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル剤の等の剤形がある。このような剤形にする場合、本発明に係るイソフラボン組成物には、薬品業界や食品業界において通常用いられる1種または複数種の賦形剤(例えば、希釈剤、湿潤剤、乳剤、懸濁剤等)を含ませることができる。
【0029】
本発明のもう一つの様相として、医療用医薬品、またはホルモン代替療法に代わる天延物由来の一般医薬品としての上記イソフラボン組成物の使用がある。
【0030】
「ホルモン代替療法」とは、一般に、女性の体内、特に卵巣で産生されるいくつかのホルモンを補充する薬理的な治療をいう。このようなホルモンは、多くはエストロゲンであるが、単独で使用したり、プロゲスチンと関連づけて使用したりする。例えば、子宮の摘出手術を受けた女性には、エストロゲンだけを用いたホルモン代替療法を行う。
【0031】
ホルモン代替療法で主に用いられるホルモンは、エストラジオール、エストロン、およびエチニルエストラジオールである。更年期障害の間、これらのホルモンの産生は減少し、顔面紅潮、不眠、膣疾患等の特徴的な症状が現れる。ホルモン代替療法は、ホルモンの不足を補うことによって、更年期障害の症状を抑えるものである。
【0032】
本発明のイソフラボン組成物は、エストロゲンの代替物としてイソフラボンやフロリジンのような植物に由来する物質を含み、ホルモン代替療法に代わる天然物由来の組成物となりうる。
【0033】
本発明によれば、更年期障害やその兆候、アルコール依存症、ストレス障害、不眠症、肥満、セルライト等の治療に用いうるイソフラボン関連組成物が提供される。
【0034】
本発明のイソフラボン組成物は、更年期障害やその兆候の治療に用いる場合には、上述の3つの主成分に加えて、ミネラル、ビタミン、ならびに

からなる群より選択される植物から抽出しうる1種または複数種の物質を含むのが好ましい。
【0035】
本発明のイソフラボン組成物は、アルコール依存症の治療に用いる場合には、上述の3つの主成分に加えて、

からなる群より選択される植物から抽出しうる1種または複数種の物質を含むのが好ましい。
【0036】
本発明のイソフラボン組成物は、肥満の治療に用いる場合には、上述の3つの主成分に加えて、組織の常態および弾性を保持する上で有用な、脱水・解毒作用をもつ植物から抽出しうる1種または複数種の物質、さらに銅、セレニウム、鉄等の1種または複数種のミネラル、およびテアニン、コラーゲン等の1種または複数種の活性成分を含むのが好ましい。前記脱水・解毒作用をもつ植物から抽出される物質とは、特に、

からなる群より選択される植物から抽出しうる1種または複数種の物質である。
【0037】
さらに、本発明によれば、脂肪塊の分解・分散を容易にしたり、乳房の常態を改善したりするのに用いうるイソフラボン組成物が提供される。
【0038】
上記脂肪塊の分解・分散を容易にするイソフラボン組成物は、上述の3つの主成分に加えて、1種または複数種の脱水・解毒作用をもつ植物抽出物、1種または複数種のミネラル、および肥満治療用の組成物に含まれる1種または複数種の他の活性成分を含むのが好ましい。
【0039】
上記のように、本発明のイソフラボン組成物は、体形のスリム化(特に30歳を超えた女性について)、乳房の常態改善、および肌の欠点、特にセルライトの解消を図りホルモンバランスに係る女性特有の問題の軽減に役立ちうる添加物を、あらゆる剤形で含むことができる。
【0040】
以下に、本発明に係る組成物の例を挙げる:
【0041】
不眠症の治療用として、

から抽出されるイソフラボン、フロリジン、ならびに

を含むイソフラボン組成物;
【0042】
ストレス障害の治療用として、

から抽出されるイソフラボン、フロリジン、ならびに

を含むイソフラボン組成物;
【0043】
更年期障害の治療用として、

から抽出されるイソフラボン、フロリジン、ならびに

の物質を含むイソフラボン組成物;
【0044】
アルコール依存症の治療用として、

から抽出されるイソフラボン、フロリジン、ならびに

の物質を含むイソフラボン組成物;
【0045】
肥満の治療用、または脂肪塊の分解・分散を容易にするための、

から抽出されるイソフラボン、フロリジン、ならびに

を含むイソフラボン組成物。
【0046】
検証してみたところ、本発明に係る組成物は、イソフラボン、フロリジンおよび機能性細菌の相乗効果により、イソフラボンの生体吸収性が増大し、イソフラボンの生体利用効率が高まるため、上述の目的を十分に達成しうることが分かった。
【0047】
また、本発明に係る組成物は、イソフラボンの生体吸収性および生体利用効率が高いため、ホルモン代替療法に代えて用いうることも分かった。
【0048】
さらに、本発明に係る組成物は、種々の植物抽出物と組み合わせが可能なように種々の剤形をとることができ、かつ更年期障害やその兆候、アルコール依存症、ストレス障害、不眠症、肥満、セルライト等の治療に用いることが可能な、ホルモン代替療法に代わる天然物由来の組成物となりうることも分かった。
【0049】
これまでに説明した本発明の組成物は、特許請求の範囲内で、種々の変更・修正が可能である。発明特定事項のいくつかは、技術的に等価な他の要素で置き換えられる可能性もある。
【0050】
イタリア国特許出願PD2008A000367号(本願は、この出願に基づく優先権を主張している)の明細書に記載した内容は、そのすべてを本明細書において引用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のイソフラボン、フロリジン、および1種または複数種の機能性細菌を含む組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のイソフラボンを0.001〜99.998重量%、前記フロリジンを0.001〜99.998重量%、前記1種または複数種の機能性細菌を0.001〜99.998重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のイソフラボンは、プエラリン、ダイズジン、ダイゼイン、ゲニスチン、ゲニステイン、およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のイソフラボンは、

からなる群より選択される植物から抽出しうることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記1種または複数種の機能性細菌は、

からなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
ミネラル、ビタミン、植物からの抽出物、およびプレバイオティックスからなる群より選択される物質をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記プレバイオティックスは、イヌリン、フルクト−オリゴサッカリド(FOS)、ガラクト−オリゴサッカリド(GOS)、およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記植物からの抽出物は、

からなる群より選択される植物からの抽出物、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
液体または固体の形態であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ホルモン代替療法に代わる天然物由来の組成物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
更年期障害やその兆候、アルコール依存症、ストレス障害、不眠症、肥満およびセルライトからなる群より選択される疾患の治療に用いうることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。

【公表番号】特表2012−511547(P2012−511547A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540109(P2011−540109)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066867
【国際公開番号】WO2010/066852
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511141858)ズッカーリ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】ZUCCARI S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via del Commercio, 66, I−38100 Trento, ITALY
【Fターム(参考)】