説明

イソホスホルアミドマスタードの塩およびそれらの類似体

式(I)の結晶性化合物を本明細書で開示する[式中、Aはヒドロキシル化脂肪族アンモニウム種であり、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。ある実施形態では、本発明は、式(I)の化合物と、医薬として許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物に関する。このような化合物および組成物を調製する方法も記載されている。本明細書では、凍結乾燥体、およびイソホスホルアミドマスタード(IPM)および/またはIPM類似体と、1つまたは複数の塩基の等価体と、賦形剤とを含む凍結乾燥体を生成させるための方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年4月6日に出願された米国仮特許出願第60/922,148号、2007年5月2日に出願された同第60/927,363号、2007年6月15日に出願された同第60/934,914号および2007年10月30日に出願された同第61/001,237号の利益を主張し、これらの出願は、その全体を本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
第一次世界大戦でマスタードガスによって殺された兵士を解剖することによって、サルファマスタードが速やかに分割する細胞に対する不均化効果を有することが分かり、サルファマスタード化合物が抗腫瘍効果を有する場合がありそうであることが示唆された。実際、早期の研究者達は、サルファマスタードを腫瘍内に直接注射することによって癌を治療しようと試みた。この研究は、サルファマスタード化合物の極めて強い毒性によって制約を受け、メクロレタミンなどの窒素マスタード類似体が毒性の低い方の代替品として調査された。
【0003】
【化1】

メクロレタミン類似体の大部分には選択性がないので、新生腫瘍細胞中に存在する高濃度のホスホルアミダーゼによって活性化することができる、ホスホルアミド化合物などのプロドラッグが調査されてきた。2つのホスホルアミドアルキル化剤、シクロホスファミド(CPA)およびその異性体化合物であるイホスファミド(Ifos)が、特に有効であることが証明された。
【0004】
【化2】

図1を参照すると、イソホスホルアミドマスタード(IPM)は、CPAおよびIfosの共通の代謝産物である。IPMは、CPAおよびIfosによって示される抗腫瘍活性の原因の少なくとも一部であると考えられている。部分的にはIPMが不安定であるために、抗癌剤としてこの化合物を直接使用する努力は成功していない。IPMが合成され、その化合物の予備的な生物学的評価が実施されているが、残念なことに、IPMが非常に不安定であるために、単離し、ヒトの治療に使用することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
式(I)の結晶性化合物を本明細書で開示する
【0006】
【化3】

[式中、Aは脂肪族アンモニウム種を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【0007】
ある実施形態では、本発明は、式(I)の化合物と、医薬として許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物に関する。このような化合物および組成物を調製する方法も記載されている。
【0008】
本明細書では、凍結乾燥体、およびイソホスホルアミドマスタード(IPM)および/またはIPM類似体と、1つまたは複数の塩基の等価体と、賦形剤とを含む凍結乾燥体を生成させるための方法も開示されている。ある実施形態では、その方法は、IPMまたはその類似体の結晶性塩およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)などの脂肪族アミン、あるいはIPMまたはその類似体と1つまたは複数の脂肪族アミンの混合物(好ましくは、IPMまたはその類似体と1つまたは複数のアミンの比が約1:1)を水と接触させ、生成混合物を凍結乾燥するステップを含む。ある実施形態では、その混合物および生成凍結乾燥体は、マンニトール、無水ラクトース、スクロース、D(+)−トレハロース、デキストラン40またはポビドン(PVP K24)、好ましくはマンニトールなどの賦形剤を含む。
【0009】
このような製剤は、マンニトール、無水ラクトース、スクロース、D(+)−トレハロース、デキストラン40またはポビドン(PVP K24)、好ましくはマンニトールなどの賦形剤と次式の化合物とを好ましくは含む凍結乾燥体を含む
【0010】
【化4】

[式中、Aは、塩基性アミノ酸、複素環式アミン、置換および非置換ピリジン、グアニジンおよびアミジンを含めての、脂肪族アミンおよび芳香族アミンのプロトン化(共役酸)形または第四級形から選択されるアンモニウム種を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【0011】
医薬として許容される希釈剤または賦形剤と、本明細書で開示された化合物とを含む、経口投与に適合した医薬組成物も本明細書で開示されている。
【0012】
ある実施形態では、本発明は、例えば、本明細書で議論された化合物または製剤を用いて、過剰増殖性障害を治療するための方法に関する。このようなある実施形態では、本発明は、急性白血病(急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、および骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血球性白血病などの)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ球性白血病などの)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(緩慢形および重症形)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームグロブリン血症、H鎖病、骨髄異形成症候群、有毛状細胞性白血病および異形成脊髄を含めての白血病から選択される過剰増殖性障害の治療に関する。
【0013】
開示の化合物および組成物を使用して治療できる症状の追加の例として、限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、シクロホスファミド耐性肉腫およびその他の肉腫を含めての肉腫と癌腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵臓癌、乳腺癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆道癌、絨毛上皮腫、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、睾丸腫瘍、膀胱癌ならびにCNS腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、クラニオファリオジマ(craniopharyogioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、メナンジオマ(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽腫)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】アクロレインおよびイソホスホルアミドマスタードの生成を含むイホスファミドの代謝を例示する図である。
【図2】IPM・トリスのX線粉末回析を示す図である。
【図3】IPM・トリスの示差走査熱分析(DSC)を示す図である。
【図4】IPM・トリスの熱重量分析(TGA)を示す図である。
【図5】結晶性IPM・トリスの走査電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【図6】ヒトMX−1乳癌異種移植片におけるIPM・(LYS)とIPM・トリスの比較を示す図である。
【図7】ヒトMX−1乳癌異種移植片における、IPM・トリスのIP投与と経口投与の抗腫瘍活性の比較を示す図である。
【図8−1】(図8A)様々な濃度のIPM・(LYS)を用いて治療したときの、RDおよびRH30横紋筋肉腫細胞の生存度を示す図である。(図8B)様々な濃度のIPM・(LYS)を用いて治療したときの、SKES1およびSKPNDWユーイング肉腫細胞の生存度を示す図である。
【図8−2】(図8C)様々な濃度のIPM・(LYS)を用いて治療したときの、OS230、OS229、OS222、およびSaOS骨肉腫細胞の生存度を示す図である。(図8D)様々な濃度のIPM・(LYS)を用いて治療したときの、SYO1およびHSSYII滑膜肉腫細胞の生存度を示す図である。
【図9】(図9A)様々な濃度のIPM・(LYS)を1日1回または1日3回用いて治療したときの、RH30横紋筋肉腫細胞の生存度を示す図である。(図9B)様々な濃度のIPM・(LYS)を1日1回または1日3回用いて治療したときの、OS229骨肉腫細胞の生存度を示す図である。
【図10】3種の投与計画(対照、175mg/kg毎日×1、または100mg/kg毎日×3)のそれぞれ毎の、CB17雌性スキッドマウスに移植したシクロホスファミド耐性OS31骨肉腫細胞株における最大耐用量(MTD)での投与により、IPM・(LYS)が、腫瘍増殖の有意な遅延につながることを示す図である。
【図11】(図11A)対照と比較して、治療がシクロホスファミドの投与を含み、CB17雌性スキッドマウスに移植したOS31骨肉腫細胞におけるシクロホスファミド耐性を相対腫瘍体積の観点から示す図である。(図11B)対照と比較して、治療がIPM・(LYS)の投与を含み、CB17雌性スキッドマウスに移植したOS33骨肉腫細胞におけるシクロホスファミド耐性を相対腫瘍体積の観点から示す図である。
【図12】CB17雌性スキッドマウス(対照と比較して100mg/kg毎日×3)に移植したシクロホスファミド耐性OS31骨肉腫細胞の治療におけるIPM・(LYS)の活性を相対腫瘍体積の観点から示す図である。
【図13】q1d×5の用量の生理食塩水を用いたIP治療および経口治療に対する、SC MX−1乳房腫瘍の反応を示す図である。
【図14】q1d×5の用量のIPM・トリス、IPMおよびIPM・(LYS)を用いたIP治療に対する、SC MX−1乳房腫瘍の反応を示す図である。
【図15】q1d×5の用量のIPM・トリス、IPMおよびIPM・(LYS)を用いた経口治療に対する、SC MX−1乳房腫瘍の反応を示す図である。
【図16】q1d×5の用量の生理食塩水を用いたIP治療および経口治療に対する、SC MX−1乳房腫瘍の反応を示す図である。
【図17】q1d×5の用量のIPM・トリス、IPMおよびIPM・(LYS)を用いたIP治療に対する、SC MX−1乳房腫瘍の反応を示す図である。
【図18】q1d×5の用量のIPM・トリス、IPMおよびIPM・(LYS)を用いた経口治療に対する、SC MX−1乳房腫瘍の反応を示す図である。
【図19】12mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5および8mg/kgのドキソルビシンQ4D×3の用量で、IPM・トリスをドキソルビシンと併用して用いた治療の、MX−1乳癌腫瘍に対する作用を示す図である。
【図20】12mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5および8mg/kgのドキソルビシンQ4D×3の用量での、IPM・トリスとドキソルビシンの併用の、生存率に対する作用を示す図である。
【図21】24mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5および8mg/kgのドキソルビシンQ4D×3で、IPM・トリスをドキソルビシンと併用して用いた治療の、MX−1乳癌腫瘍に対する作用を示す図である。
【図22】24mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5および8mg/kgドキソルビシンQ4D×3での、IPM・トリスとドキソルビシンの併用の、生存率に対する作用を示す図である。
【図23】54mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5および8mg/kgドキソルビシンQ4D×3で、IPM・トリスをドキソルビシンと併用して用いた治療の、MX−1乳癌腫瘍に対する作用を示す図である。
【図24】54mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5および8mg/kgドキソルビシンQ4D×3での、IPM・トリスとドキソルビシンの併用の、生存率に対する作用を示す図である。
【図25】IPM・トリス/ドキソルビシン併用療法の毒性を示す図である。
【図26】54mg/kg/日のIPM・トリスQ1D×5IPおよび10mg/kgドセタキセルQ4D×3で、IPM・トリスをドセタキセルと併用して用いた治療の、MX−1乳癌腫瘍に対する作用を示す図である。
【図27】36mg/kgIPの用量または81mg/kgPOの用量で投与した、IPM・トリスを用いた治療の、MX−1乳癌腫瘍に対する作用を示す図である。
【図28】36mg/kgIPの用量または81mg/kgPOの用量で投与した、IPM・トリスの、生存率に対する作用を示す図である。
【図29】経口投与およびIV投与したIPM・トリスの、雌性Sprague−Dawleyラットにおける薬物動態を示す図である。
【図30】PO投与またはIV投与したIPM・トリスの用量増加に伴うAUCを示す図である。
【図31】PO投与またはIV投与したIPM・トリスの用量増加に伴うCmaxを示す図である。
【図32】25℃でのpH7.0緩衝液におけるIPMの溶液安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
1.IPM塩およびそれらの類似体
本明細書で開示された組成物は、結晶性IPMまたはそれらの類似体を含む。ある実施形態では、開示された塩は、1つまたは複数のカチオンを含む。ある実施形態では、カチオンは、アミン塩基の共役酸であっても、第四級アンモニウムカチオンであってもよい。
【0016】
ある実施形態では、開示された結晶性化合物は、IPMまたはその類似体の塩を含む。このような化合物は、式(I)の結晶性化合物を含む
【0017】
【化5】

[式中、Aは、ヒドロキシル化脂肪族アミンのプロトン化(共役酸)形または第四級形から選択されるアンモニウム種を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。ある実施形態では、XおよびYは、それぞれ独立に、ハロゲンである。好ましくは、XおよびYは、同じである。ある実施形態では、XおよびYは、共にClである。
【0018】
アミン塩基の適切な共役酸の特定の例として、限定されないが、モノ、ビスまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)の共役酸が挙げられる。このようなある実施形態では、Aは、Trisの共役酸である。
【0019】
ある実施形態では、本発明は、IPMまたはその類似体の結晶性塩を含み、IPMまたはその類似体と対イオン、好ましくは、Trisとが2:1〜1:2の比、好ましくは、1:1の比で存在する化合物に関する。ある実施形態では、結晶性組成物は、2つ、3つ、4つまたは5つさえもの多形結晶など、1つを超える多形結晶を含む。このようなある代替の実施形態では、結晶性組成物は、単一の多形結晶を含む。ある実施形態では、このような塩は、遊離酸としてのIPMおよびIPM類似体よりも安定である。
【0020】
このようなある実施形態では、化合物は、IPMとTrisの比が1:1である結晶塩である。このようなある実施形態では、結晶固体の融点は、約100と約110℃の間、約102〜約108℃、約103〜約106℃、または、105〜約106℃である。
【0021】
ある実施形態では、化合物、例えば、IPMとTrisの比が1:1である結晶性塩は、純度が少なくとも約80%、純度が少なくとも約85%、純度が少なくとも90%、純度が少なくとも95%、純度が少なくとも97%、純度が少なくとも98%、または純度が少なくとも99%もある。ある実施形態では、いかなる単一不純物も1重量%を越えない。ある実施形態では、純度は、組成物のその他の成分の全てを基準として測定されるが、他の実施形態では(例えば、化合物が医薬組成物または凍結乾燥体混合物の一部である場合)、純度は、化合物の分解生成物(例えば、化合物の亜リン酸含有分解生成物)または化合物製造時の副生物(例えば、化合物の亜リン酸含有分解生成物)を基準にして測定され、それによって、組成物に意図的に添加された他の成分を除外する。
【0022】
ある実施形態では、化合物は、IPM塩またはそれらの類似体であり、塩は、同じ条件下で水の存在下でのIPM(即ち、遊離酸として)の半減期よりも長い、室温で(例えば、約23℃)水の存在下での半減期を有する。ある実施形態では、IPM塩は、水の存在下でのIPMそれ自体の半減期の2倍以上、より好ましくは、5倍以上の水の存在下での半減期を有する。
【0023】
ある実施形態では、化合物は、IPM塩またはそれらの類似体であり、塩は、水の存在下室温で少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または1週間も安定である。
【0024】
本明細書では、「安定な」という用語は、一定期間後(例えば、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、1年など)のIPM塩またはその類似体の純度が、最初の純度の少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%もあり、この純度は、例えば、蒸発光散乱検出法(ELSD)を使用したHPLCによって測定できることを意味する。このような検定は、例えば、水中に0.005Mヘプタフルオロ酪酸および0.1%トリフルオロ酢酸を含む移動層を用いるC18カラムおよび定組成系を使用して実施することができる。
【0025】
ある実施形態では、本発明は、次式の化合物を含む凍結乾燥体に関する
【0026】
【化6】

[式中、Aは、塩基性アミノ酸、複素環式アミン、置換および非置換ピリジン、グアニジンおよびアミジンを含めての、脂肪族アミンおよび芳香族アミンのプロトン化(共役酸)形または第四級形から選択されるアンモニウム種を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【0027】
本発明の化合物において使用するための適切なアミン塩基(およびそれらの対応するアンモニウムイオン)の特定の例として、限定されないが、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、N−メチル−N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、モノ、ビスまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンおよびN−メチル−D−グルカミンが挙げられる。
【0028】
ある実施形態では、本発明は、次式の化合物を含む凍結乾燥体に関する。
【0029】
【化7】

式を参照すれば、Bは、それぞれのnに対して独立に選択された塩基性分子であってよい。式の一実施形態では、Bは、塩基性アミノ酸、非環式脂肪族アミン、ジおよびトリアルキルアミン、複素環式脂肪族アミン、芳香族アミン、置換および非置換ピリジン、環式および非環式グアニジン、および環式および非環式アミジンから選択することができる。通常、nは、式が異なる塩基性分子を含み得るように1〜約3である。続けて式を参照すれば、XおよびYは、脱離基である。当業者には、例示のイソホスホルアミドマスタード構造が、酸性プロトンを含み、そのために、生理学的なpHでおよびBなどの塩基の存在下でその共役塩基として主として存在することが理解されよう。同様に、塩基性基であるBは、生理学的なpHでおよびイソホスホルアミドマスタードおよびイソホスホルアミドマスタード類似体の存在下でその共役酸として主として存在する。開示された化合物の例示的な実施形態を表1に示す。
【0030】
【表1−1】

II.組成物および方法
ある実施形態では、本発明は、IPM塩またはその類似体と医薬用希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。このようなある実施形態では、医薬組成物は、溶液、好ましくは、IPMまたはIPM類似体を含む生理食塩水による溶液である。このようなある実施形態では、溶液中のIPM塩またはIPM類似体塩の濃度は、約3mg/mL〜約30mg/mLまたはさらにより大きい。このような生理食塩水による溶液は、例えば、室温で撹拌しながら、例えば、本明細書で開示された、式(I)の結晶性化合物、またはIPMもしくはIPM類似体の凍結乾燥体を生理食塩水中に溶解させることによって調製することができる。このようなある実施形態では、生理食塩水は、塩化ナトリウム濃度が約0.5%、0.9%、2.5%、2.7%、3.0%、4.0%または5.0%になるように調製される。
【0031】
ある実施形態では、水溶液は、本明細書で開示された、式(I)の結晶性化合物、またはIPMもしくはIPM類似体の凍結乾燥体から調製することができる。このような水溶液(例えば、水溶液または等張生理食塩水による溶液)は、室温で少なくとも約60分間、80分間、100分間、120分間、140分間、または約160分間も安定である。
【0032】
ある実施形態では、IPMとTrisの塩などの式(I)の結晶性化合物は、水中の溶解度が、少なくとも約30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、または80mg/mLでさえある。ある実施形態では、IPMとTrisの塩などの式(I)の結晶性化合物は、水中の溶解度が、少なくとも約少なくとも約200mg/mL、少なくとも約500mg/mL、少なくとも約800mg/mL、少なくとも約1000mg/mL、少なくとも約1200mg/mL、または少なくとも約1400mg/mLでさえある。ある実施形態では、結晶性化合物の水溶液のpHは、約5.0と8.5の間、好ましくは約5.0と約7.0の間など約4.5と約10の間である。ある実施形態では、このような溶液のpHは、約5.0である。
【0033】
ある実施形態では、本発明は、式(I)の結晶性化合物と、生理食塩水とを含むキットに関する。
【0034】
本明細書で開示の凍結乾燥体は、1つまたは複数の塩基等価体とともに製剤されたIPMおよびIPM類似体を含む。IPMおよびその類似体は、酸に対して不安定であり、酸性であるので、本発明で開示された凍結乾燥体は、より大きい安定性およびその他の利点を提供する。合成、安定性および生物利用性の点で開示の製剤の利点は、本開示を考察すれば当業者には明らかであろう。1つまたは複数の塩基等価体とともに製剤されたIPMおよびIPM類似体の追加の利点として、水または体液への溶解度の増加を挙げることができる。
【0035】
ある実施形態では、開示された凍結乾燥体は、1つまたは複数のカチオンを含むイソホスホルアミドマスタードもしくはイソホスホルアミドマスタード類似体の塩である。ある実施形態では、カチオンは、アミン塩基の共役酸であっても、第四級アンモニウムカチオンであってもよい。イソホスホルアミドマスタードおよびその類似体に対する適切な対イオンとして、塩基性アミノ酸、脂肪族アミン、複素環式アミン、芳香族アミン、ピリジン、グアニジンおよびアミジンを含めての塩基の共役酸が挙げられる(文脈が、遊離アミンを意図することを明確に示していない限り、本明細書では、アミンを指す用語はそれらの共役酸を含むと理解されたい)。脂肪族アミンのうち、非環式脂肪族アミン、ならびに環式および非環式ジおよびトリアルキルアミンは、開示の化合物において使用するのに特に適している。加えて、第四級アンモニウム対イオンは、使用できる適切な対イオンの例である。ある実施形態では、このような凍結乾燥体は、賦形剤をさらに含むことができる。適切な賦形剤として、限定されないが、マンニトール、無水ラクトース、スクロース、D(+)−トレハロース、デキストラン40およびポビドン(PVP K24)が挙げられる。
【0036】
ある実施形態では、本明細書で開示の凍結乾燥体などの化合物および組成物は、室温で、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月も安定である。ある実施形態では、塩は、より低い温度(例えば、0℃、2℃、4℃、6℃など)で少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、または少なくとも6カ月も安定である。このようなある実施形態では、凍結乾燥体などの化合物および組成物は、より低い温度(例えば、約0℃と約20℃の間、約0℃と約10℃の間、約2℃と約8℃の間)で少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも4カ月、または少なくとも6カ月も安定である。ある実施形態では、凍結乾燥体は、IPM塩またはその類似体を含む。ある実施形態では、凍結乾燥体は、IPM・TrisまたはIPM(LYS)、好ましくは、IPM・Trisを含み、特に好ましい実施形態では、このような組成物は、マンニトールなどの増量剤をさらに含む。
【0037】
さらなる実施形態では、上記の塩は、第2のアミンまたはアンモニウム基を含むことができる。一実施形態では、本明細書で開示の凍結乾燥体は、イソホスホルアミドマスタードまたはイソホスホルアミドマスタード類似体のそれぞれの当量に対して1を超える当量のアミンを含む。このような実施形態は、アミンとイソホスホルアミドマスタードまたはイソホスホルアミドマスタード類似体の非整数比を有する実施形態を含む。ある実施形態では、凍結乾燥体は、アミンとイソホスホルアミドマスタードまたはイソホスホルアミドマスタード類似体の比が、2:1または3:1である。ワーキング実施形態では、イソホスホルアミドマスタード当量当たり2当量のアミン塩基を含む塩が生成された。ある実施形態では、イソホスホルアミドマスタードおよびイソホスホルアミドマスタード類似体の塩を形成するのに使用されたアミン塩基は1を超えるアミノ基を含み、このような塩基は、「多塩基性」と呼ぶことができる。より具体的には、使用できる多塩基性塩基のある例は、2つのアミノ基を有し、このような化合物は、「二塩基性」と呼ぶことができる。例えば、1つの適切な二塩基性分子は、N,N−ジメチルアミノピリジンであり、これは2つの塩基性アミノ基を含む。本明細書で開示の凍結乾燥体のある実施形態は、イソホスホルアミドマスタードまたはイソホスホルアミドマスタード類似体と、一当量の二塩基性アミンとを含む。
【0038】
本明細書で開示のあるイソホスホルアミドマスタードおよびイソホスホルアミドマスタード類似体の凍結乾燥体は、2つの脱離基を含む。理論から制約されることなしに、2つの脱離基は、核酸およびタンパク質などの生体分子求核体によってin vivoで置換され、それによって生体分子を架橋すると考えられている。「脱離基」という用語は、求核体によって置換され得る基を指す。本発明で開示の化合物を参照すれば、脱離基は、置換してアジリジニウム中間体を形成することができ、あるいは核酸求核体などの生体分子求核体によって直接置換されて、例えば、7−アルキル化グアニジニウム種を形成することができる基を指す。適切な脱離基の例として、ハロゲンおよびスルホネート(−SOR)が挙げられる。開示のイソホスホルアミド類似体の塩の一実施形態では、その化合物は、2つの異なる型の脱離基、例えば、ハロゲンとスルホネート、または臭化物および塩化物などの2つの異なるハロゲンを含む、「混合」脱離基化合物である。Struckへの米国特許第6197760は、このような混合脱離基化合物を作製する方法を教示する。
【0039】
ある実施形態では、開示の塩の凍結乾燥体によって、イソホスホルアミドマスタードそれ自体の凍結乾燥調製物に比較してもどした場合の安定性が改良される。このようなある実施形態では、生理食塩水(好ましくは、塩化ナトリウム5%)中でもどされた、例えばマンニトールなどの増量剤を任意選択で含むIPMまたはその類似体とTrisからなど、IPMまたはその類似体の開示の塩と賦形剤とから調製された凍結乾燥体は、>90%の効力を少なくとも約30分間、60分間、90分間、120分間、140分間、または約160分間も保持する。
【0040】
このようなある実施形態では、IPM・Tris、またはIPM・TrisなどのIPMもしくはその類似体の塩と任意選択の賦形剤例えばマンニトールなどの増量剤とから調製された凍結乾燥体などのIPMもしくはその類似体の塩を生理食塩水に溶解させると、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の純度が少なくとも約30分間、60分間、90分間、3時間、または4.5時間も室温で保持される。ある実施形態では、このようなもどされた溶液は、もどされたIPM・(LYS)溶液より同一の条件下で安定性が長い。このようなある実施形態では、もどされたIPM・(LYS)は、IPMもしくはその類似体の塩よりも少なくとも1.25倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、または少なくとも3〜4倍早く分解する。
【0041】
凍結乾燥体が、IPMもしくはその類似体の塩と賦形剤とを含む、例えば、IPMもしくはその類似体とTrisとマンニトールとを含むある実施形態では、その混合物は、水への溶解度が少なくとも約30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、または80mg/mLである。
【0042】
ある実施形態では、IPMまたはその類似体の開示の塩の凍結乾燥体は、イソホスホルアミドマスタードそれ自体、即ち遊離酸としての凍結乾燥調製物より安定性が大きい。好ましいこのようなある実施形態では、開示の塩の凍結乾燥体は、イソホスホルアミドマスタードそれ自体の凍結乾燥調製物より貯蔵寿命が長く、好ましくは、少なくとも2倍、より好ましくは、少なくとも5倍長い。ある実施形態では、凍結乾燥体は、溶解前において結晶性であってもなくてもよいIPMのTris塩から形成される。
【0043】
上記したように、ある実施形態では、このような凍結乾燥体は、賦形剤、例えば、増量剤、好ましくはマンニトールをさらに含む。ある実施形態では、凍結乾燥体は、マンニトール、無水ラクトース、スクロース、D(+)−トレハロース、デキストラン40またはポビドン(PVP K24)から選択される増量剤、好ましくはマンニトールを含む。ある実施形態では、このような増量剤の添加によって増量剤を含まない凍結乾燥体製剤に比較して凍結乾燥体の安定性を改良することができる。このようなある実施形態では、このような凍結乾燥体は、約−70℃、約−20℃、または5℃で、例えば1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、9カ月、1年、または2年以上も安定である。
【0044】
凍結乾燥体がマンニトールなどの増量剤を含むこのようなある実施形態では、凍結乾燥体は、約1%〜約10%、または約1%〜約5%(w/v)の増量剤、例えばマンニトールを含む。凍結乾燥をする前、または再構成する際に、このような組成物は、約15mg/mL〜約25mg/mLのIPM、および/または約0.5〜約1.5Mの濃度で、好ましくはIPMに対してほぼ等モル量でTrisなどのアミンを含むことができる。ある実施形態では、凍結乾燥する前に溶液を調製する場合、別々の成分としてIPMとTrisなどのアミンとを添加する代わりに、本明細書で開示のように結晶性IPM・Tris塩の形で一緒に添加される。
【0045】
ある実施形態では、本発明は、本明細書で開示の凍結乾燥体と生理食塩水とを含むキットに関する。
【0046】
本明細書で開示の化合物は、経口で、局所的に、経皮で、非経口で、吸入またはスプレーを介して投与することができ、従来の非毒性で医薬として許容される、担体、アジュバントおよびビヒクルを含む単位用量製剤で投与することができる。
【0047】
ある実施形態では、注射を介して開示のIPM塩またはそれらの類似体を非経口投与することが好ましい。ある実施形態では、IPM塩またはそれらの類似体を経口投与することが好ましい。ある実施形態では、経口(PO)投与されたIPM塩またはそれらの類似体は、静脈(IV)投与の際に観察されるのと類似の薬物動態(PK)パラメーターを示す。当業者の理解するように、作用剤は、特定の疾患、患者の症状、化合物の毒性およびその他の因子に応じて単一投与または長期的に提供することができる。
【0048】
投与される1つまたは複数の化合物の治療有効量は、所望の効果および上記の因子に応じて変動する場合がある。
【0049】
患者に投与するための医薬組成物は、好みの分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などを含むことができる。医薬組成物はまた、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬などの1つまたは複数の追加の有効成分も含むことができる。医薬製剤は、担体などの追加の成分を含むことができる。こうした製剤に有用な医薬として許容される担体は、従来のものである。E.W.Martin著の「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack PublishingCo.、Easton、PA、第21版(2006年)には、本明細書で開示の化合物を医薬として送達するのに適した組成物および製剤が記載されている。
【0050】
一般には、担体の性質は、用いられる特定の投与形態によって決まることになる。例えば、非経口製剤は、通常、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセリンなど、医薬としておよび生理学的に許容される流体を含む注射可能な流体をビヒクルとして含む。固体組成物(例えば、粉末、ピル、錠剤またはカプセル形態)では、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬級の、マンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性な担体に加えて、投与される医薬組成物は、湿潤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートなどの非毒性補助物質を微量含むことができる。
【0051】
ある実施形態では、開示の化合物は、ピル、錠剤またはカプセルなどの経口用量形態として製剤される。ある実施形態では、経口用量形態はカプセルである。
【0052】
ある実施形態では、このような経口用量形態は、賦形剤、流動促進剤、希釈剤、潤滑剤、および/または崩壊剤を少なくとも1つ含む。このようなある実施形態では、適切な賦形剤、流動促進剤、希釈剤、潤滑剤、および/または崩壊剤として、限定されないが、タルク、フュームド二酸化ケイ素、デンプン、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラクトース、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストロース、グルコース、スクロース、デンプン、デンプン誘導体、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマール酸ナトリウム、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、安息香酸ナトリウム、軽質鉱油、水素化植物油、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、不溶性イオン交換樹脂、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)ガム(例えば、寒天、グアー、キサンタン)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびクロスポビドンが挙げられる。
【0053】
このようなある実施形態では、経口用量形態は、本明細書で開示の化合物と、少なくとも1つの賦形剤、流動促進剤、希釈剤、潤滑剤、および/または崩壊剤;好ましくは、吸湿性の有効剤を含む製剤に対して適切である、少なくとも1つの賦形剤、流動促進剤、希釈剤、潤滑剤、および/または崩壊剤とを含む。このようなある実施形態では、経口用量形態は、微晶質セルロース、ラクトース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、二塩基性リン酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびマンニトールから選択される少なくとも1つの賦形剤、流動促進剤、希釈剤、潤滑剤、および/または崩壊剤を含む。
【0054】
ある実施形態では、開示の化合物は、ヒトの患者へ投与するために製剤される。本実施形態の一態様では、医薬組成物は、約20mg/mL〜約100mg/mLなどの約0.1mg/mL〜約250mg/mLのIPM塩またはその類似体の化合物を含む。
【0055】
一態様では、医薬組成物のある実施形態は、製剤されて単位用量形態になる。例えば、このような単位用量形態は、約5mg〜約200mg、または200mg〜約1500mgなど、約1mg〜約100mg、または100mg〜約1500mgのIPM塩またはその類似体を用量単位当たり含むことができる。ある実施形態では、用量単位は、約15mg、約30mg、約45mg、約60mg、約75mg、または約77mgもの開示のIPM塩またはその類似体を含むことができる。
【0056】
一部の実施形態では、本発明の化合物が、例えば、DepoFoam(SkyePharma、Inc、SanDiego、CA)などの多少胞性リポソームを含む、注入されるおよび/または植え込まれる薬物デポーを介して送達されることが特に企図される(例えば、Chamberlainら、Arch.Neuro.1993年、50巻、261〜264頁;KatriらJ.Pharm.Sci.1998年、87巻、1341〜1346頁;YeらJ.ControlRelease 2000年、64巻、155〜166頁;およびHowell,Cancer J.2001年、7巻、219〜227頁を参照されたい)。
【0057】
1つまたは複数の開示の化合物および組成物を患者に投与することによって異常なもしくは病的な過剰増殖活性または新生組織形成によって特徴づけられる症状を治療するための方法が、本明細書で開示されている。
【0058】
開示された方法に従って治療できる症状として、癌およびその他の新生組織形成状態など、異常な細胞成長および/または分化を特徴とする状態が挙げられる。開示の化合物および組成物を使用して治療できる過剰増殖性障害の典型的な例を以下に列挙する。
【0059】
本明細書で開示の化合物および組成物を使用して治療できる血液学的腫瘍の例として、急性白血病(急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、および骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血球性白血病などの)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ球性白血病などの)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(緩慢形および重症形)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームグロブリン血症、H鎖病、骨髄異形成症候群、有毛状細胞性白血病および異形成脊髄を含めての白血病が挙げられる。
【0060】
開示の化合物および組成物を使用して治療できる症状の追加の例として、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、シクロホスファミド耐性肉腫およびその他の肉腫を含めての肉腫と癌腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵臓癌、乳腺癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆道癌、絨毛上皮腫、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、睾丸腫瘍、膀胱癌ならびにCNS腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、クラニオファルオジマ(craniopharyogioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、メナンジオマ(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽腫などの)が挙げられる。
【0061】
ある実施形態では、本明細書で開示の化合物は、抗CPAおよび/またはIfos性の腫瘍の成長に対してCPAまたはIfos単独より優れている。したがって、本明細書で開示の方法の一態様には、抗CPAおよび/またはIfos性の新生腫瘍症状を有する患者を本明細書で開示のIPM塩またはその類似体を用いて治療するステップが含まれる。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書で開示の化合物では、CPAおよび/またはIfosに比較して毒性が減少する。例えば、CPAおよび/またはIfosを多量に投与すると、クロロアセトアルデヒドおよびアクロレインなどのある代謝産物が存在するために、腎臓、膀胱および/または中枢神経系に対する毒性が増加する恐れがある。一部の実施形態では、本発明の化合物によって、効力を保持しつつ、これらやその他の有毒代謝産物の産生が低減または防止される。したがって、本発明の化合物は、CPAおよび/またはIfosの代謝産物に関係している場合がある、腎臓、膀胱および/または中枢神経系の正常な細胞の死など、有害な副作用を低減しつつ、治療処置を提供することができる。したがって、本発明の化合物は、CPAおよび/またはIfosの代替物として有用である。
【0063】
例えば、本発明の化合物は患者に血液細胞および骨髄移植を提供するのに有用である。CPAおよびIfosは、血液細胞および骨髄移植において使用される場合が多く、本発明の化合物は、例えば、本発明の化合物における毒性プロフィルの低減および/または効力の増加のために、有利な代替物になる。さらには、CPAおよびIfosが不適切である場合、例えば、CPAおよびIfosを多量に投与すると、毒性が過度になることが分かっている場合、本発明の化合物は、血液細胞および骨髄移植において用いることもできる。本発明の化合物は、移植する前に、数分間、数時間、数日間、数週間または数カ月間、特に移植する前に、数日間または数週間投与することができる。さらには、本発明の化合物は、血液細胞または骨髄移植の準備において、単一回の、複数回のおよび/または反復した用量形態でおよび/または他の作用剤と一緒に投与することができる。
【0064】
ある実施形態では、本発明の化合物は、血液細胞または骨髄移植に対する調整投与計画において、例えば、CPAおよび/またはIfosの代替物として有用である。さらには、本発明の化合物は、CPAおよびIfosと一緒に使用される場合が多いメスナおよび/または静脈水和などの保護手段を使用することなく投与することができる。
【0065】
別の実施形態では、本発明の化合物は、CPAおよび/またはIfosと組み合わせて、例えば、患者に血液細胞または骨髄移植を提供する際に、および血液細胞および骨髄移植に対する調整投与計画において使用することができる。CPAおよび/またはIfosと組み合わせて1つまたは複数の本発明の化合物を含む組成物は、CPAおよび/またはIfos単独より優れた毒性の低減および/または効力の増加など追加の利益を提供する。
【0066】
本方法のある実施形態では、患者は、約0.2mg/kg/日〜約20mg/kg/日の開示のIPM塩またはその類似体を投与される。例えば、約1〜約7.5mg/kg/日など約0.5mg/kg/日〜約10mg/kg/日の開示の化合物を患者に投与することができる。
【0067】
ある実施形態では、IPM、類似体またはその塩は、約1.0g超、約1.5g超、約2.0g超、約2.5g超の用量(例えば、日用量)で患者に投与される。ある実施形態では、IPMは、例えば、最高約2.0g、2.5gまたは3.0gのIPM・Trisである。
【0068】
ある実施形態では、IPMまたはその類似体は、IPMまたはその類似体(即ち、塩のIPMアニオンのみを考慮し、対イオンまたは組成物のその他の成分の重量を除外して)の用量(例えば、日用量)が、約0.4g超、約0.6g超、約0.8g超、または約1.0g超になるように塩として患者に投与される。ある実施形態では、IPMは、約0.4g超、約0.6g超、約0.8g超、または約1.0g超、例えば、最高約2.0g、2.5gまたは3.0gの用量で本明細書で開示の組成物において投与される。
【0069】
ある実施形態では、一治療単位のIPM塩またはその類似体は、約0.8g超、約1.0g超、約1.5g超、または約2.0g超であるIPMまたはその類似体の全量(即ち、塩のIPMアニオンのみを考慮し、対イオンまたは組成物のその他の成分の重量を除外して)を含むことができる。
【0070】
ある実施形態では、IPM塩またはその類似体の用量は、1週間に1回、1週間に3回、1週間に5回、1日に1回、1日に2回、好ましくは1日に1回投与することができる。このようなある実施形態では、一治療単位のIPM塩またはその類似体を投与することができ、一治療単位は、2回以上の連続投与である。ある実施形態では、一単位の治療は、2、3、4または5日間、好ましくは3日間、1日1回、IPM塩またはその類似体の用量を投与するステップを含むことができる。このような投与は、連続した日であっても、連続しない日であってもよい。
【0071】
ある実施形態では、単一用量(例えば、1日の用量)は、1を超える用量形態を含むことができ、例えば、単一用量は、2つ以上のカプセル、錠剤またはピルを含むことができる。ある実施形態では、複数の用量形態を含む1日の用量は、一度に全部を投与してもよく、あるいはその用量形態のサブセットを丸1日を一定間隔で投与してもよい。
【0072】
本方法の別の実施形態では、患者は、約1〜約700mg/m、約5〜約1000mg/m、約5〜約700mg/m、約5〜約500mg/m、約600〜約1200mg/m、約100〜約1500mg/m、約30〜約600mg/m、約10〜約600mg/m、または約10〜約100mg/mなどの約1〜約1500mg/mの本明細書で開示のIPM塩またはその類似体の用量(例えば、日用量)を投与される。例えば、約10mg/m、約12、または14mg/m
【0073】
本明細書で開示の高過剰増殖性障害を治療するための方法のある実施形態では、開示の化合物は、日用量の複数のスケジュールで患者に投与される。このような実施形態では、化合物は、少なくとも2日で、および5日もの異なる日で投与される。日用量の複数のスケジュールの一態様では、化合物は、2〜5連続日などの連続日で患者に投与される。あるいは、化合物は、1日おきなどの非連続日で患者に投与される。
【0074】
本方法のある実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤が、本発明で開示の化合物および組成物に加えて患者に投与される。例えば、使用できる追加の治療剤として、微小管結合剤、DNAインターカレータまたは架橋剤、DNA合成阻害剤、DNAおよび/またはRNA転写阻害剤、抗生物質、酵素、酵素阻害剤、遺伝子調整剤、および/または血管形成阻害剤が挙げられる。
【0075】
微小管結合剤は、チューブリンと相互作用することによって微小管の形成を安定化させまたは不安定化させて、それによって細胞分割を阻害する作用剤を指す。IPM、類似体、またはその塩と一緒に使用できる微小管結合剤の例として、限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン(ナベルビン)、エポチロネス、コルヒチン、ドラスタチン15、ノコダゾール、ポドフィロトキシンおよびリゾキシンが挙げられる。このような化合物の類似体および誘導体も使用することができ、それらは、当業者に公知であろう。例えば、本発明の化合物に組み込むための適切なエポチロンおよびエポチロン誘導体は、参照により本明細書に組み込まれている国際公開WO2004/018478に記載されている。パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキソイドは、現在、本発明で開示の化合物において治療剤として特に有用であると考えられている。パクリタキセルの類似体を含めて追加の有用なタキソイドの例は、Holtonの米国特許第6610860号、Gurramらの同第5530020号、およびWittmanらの同第5912264号に教示され、それぞれが、その全体の参照により本明細書に組み込まれている。
【0076】
限定されないが、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ならびにそれらの誘導体および類似体を含めての適切なDNAおよび/またはRNA転写調整剤も、本発明で開示の化合物と組み合わせての使用に適切である。
【0077】
開示の化合物に組み込むことができるDNAインターカレータおよび架橋剤として、限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ブレオマイシン、クロランブシル、シクロホスファミド、ならびにそれらの誘導体および類似体が挙げられる。
【0078】
治療剤として使用するのに適切なDNA合成阻害剤として、限定されないが、メトトレキセート、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシルおよびそれらの類似体が挙げられる。
【0079】
本発明で開示の化合物と組み合わせて使用するための適切な酵素阻害剤の例として、限定されないが、カンプトテシン、エトポシド、ホルメスタン、トリコスタチンならびにそれらの誘導体および類似体が挙げられる。
【0080】
遺伝子調整に影響を与える本発明で開示の化合物とともに使用するための適切な治療剤として、限定されないが、ラロキシフェン、5−アザシチジン、5−アザ−2’−デオキシシチジン、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ミフェプリストンならびにそれらの誘導体および類似体など、1つまたは複数の遺伝子の発現を増加させる、または減少させる作用剤が挙げられる。
【0081】
血管形成阻害剤は当技術分野で公知であり、適切な血管形成阻害剤の例として、限定されないが、アンギオスタチンK1−3、スタウロスポリン、ゲニステイン、フマギリン、メドロキシプロゲステロン、スラミン、インターフェロン−α、メタロプロテナーゼ阻害剤、プラテレット因子4、ソマトスタチン、トロモボスポンジン、エンドスタチン、サリドマイドならびにそれらの誘導体および類似体が挙げられる。
【0082】
1つまたは複数の上記の分類に入っても、入らなくてもよいその他の治療剤、特に抗腫瘍剤も本発明で開示の化合物と組み合わせて投与するのに適切である。このような作用剤の例として、アドリアマイシン、アピゲニン、ラパマイシン、ゼブラリン、シメチジンならびにそれらの誘導体および類似体が挙げられる。
【0083】
ある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、ドキソルビシンなどのDNAおよび/またはRNA転写調整剤と組み合わせて投与される。代替のある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、ドセタキセルまたはパクリタキセルなどの微小管結合剤と組み合わせて投与される。
【0084】
ある実施形態では、本明細書で開示の組合せは、本質的に相乗的である場合があり、これは、IPM塩またはその類似体とその他の治療剤(複数可)との組合せの治療効果が、2つ以上の作用剤を同じ量で別々に投与した場合の個別の効果の和より大きいことを意味する。
【0085】
このようなある実施形態では、このような相乗効果によってIPM塩またはその類似体を治療用量以下で投与することが可能になる。このようなある実施形態では、治療用量以下で投与することによって、IPM塩またはその類似体のより多い用量に伴う副作用を低減または防止することができる、例えば、本発明の方法は、従来の抗癌剤がより少ない用量でより大きい効果を出すことを可能にすることによって既存の組合せ療法より有利である場合がある。
【0086】
ある実施形態では、追加の作用剤の効果は、IPM塩またはその類似体と組み合わせて投与した場合に改良される。このようなある実施形態では、追加の作用剤は、限定されないが、微小管結合剤、DNAインターカレータまたは架橋剤、DNA合成阻害剤、DNAおよび/またはRNA転写阻害剤、抗生物質、酵素、酵素阻害剤、遺伝子調整剤、および/または血管形成阻害剤を含めての化学療法剤である。このようなある実施形態では、ドセタキセルまたはパクリタキセルなどの微小管結合剤の効果は、IPM塩またはその類似体と組み合わせて投与した場合に改良される。このようなある代替の実施形態では、ドキソルビシンなどのDNAおよび/またはRNA転写阻害剤の効果は、IPM塩またはその類似体と組み合わせて投与した場合に改良される。ある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、IPM・Trisである。
【0087】
本明細書では、「治療用量以下」という用語には、腫瘍体積を安定化または低減できるが、その用量では有効な治療と見なされないと思われる用量、または単独ではいかなる治療効果ももたらさない用量が含まれる。
【0088】
ある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、約100mg〜約500mg、約150mg〜約400mg、または約175mg〜約300mgの用量で投与される。ある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、約150mg、約175mg、約185mg、約190mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約285mg、約290、または約300mgの用量で投与される。このようなある実施形態では、このような用量で投与されるIPM塩またはその類似体は、経口で投与される。
【0089】
ある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、ドキソルビシンと組み合わせて、約100mg〜約200mg、約110mg〜約180mg、または約115mg〜約150mgの用量で投与される。このようなある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、ドキソルビシンと組み合わせて、約100mg、約110mg、約115mg、約125mg、約135mg、約140mg、約145mg、約155mg、約165mg、約175mg、約185mg、または約200mgの用量で投与される。
【0090】
ある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、ドセタキセルと組み合わせて、約50mg〜約200g、約75mg〜約195mg、または約80mg〜約190mgの用量で投与される。このようなある実施形態では、IPM塩またはその類似体は、ドセタキセルと組み合わせて、約50mg、約70mg、約80mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの用量で投与される。
【0091】
III.定義
用語および実施例の以下の説明は、本発明の化合物、組成物および方法をよりよく説明するため、および本開示の実施において当業者をガイドするために提供される。本開示で使用される専門用語は特定の実施形態および実施例を説明するためのみのもであり、限定するものではないことも理解されたい。
【0092】
範囲は、本明細書で、1つの特定の「およそ」の値から、別の特定の「およそ」の値までとして表現される。このような1つの範囲が表現された場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用して概略値として表現された場合、特定の値は別の実施形態を形成することを理解されたい。それぞれの範囲の終点は、もう一方の終点との関係において重要でもあり、もう一方の終点とは独立に重要でもあることをさらに理解されたい。
【0093】
「非環式脂肪族アミン」という用語は、少なくとも1つの脂肪族基が非環式である上記のような脂肪族アミンを指す。
【0094】
本明細書では、「脂肪族アミン」は、R1〜3の少なくとも1つが脂肪族基である式NRの化合物を指す。
【0095】
「血管形成阻害剤」という用語は、限定されないが、ペプチド、タンパク質、酵素、ポリサッカライド、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、組換えベクター、および血管成長を阻害する働きをする小分子などの生体分子を含めての分子を意味するために本明細書で使用される。血管形成は、糖尿病性網膜症、慢性炎症疾患、関節リウマチ、皮膚炎、乾癬、胃潰瘍、およびヒト固体腫瘍の大部分の型などの障害に関与する病理プロセスなどのある病理プロセスに関係があるとされている。
【0096】
「複素環式アミン」という用語は、R1〜3の少なくとも1つが複素環式基であり、あるいはR、Rおよび/またはRが共通の窒素原子と一緒に環を形成する式NRの化合物を指す。
【0097】
「脱離基」という用語は、求核体によって置換され得る基を指す。本発明で開示の化合物を参照すれば、脱離基は、置換されてアジリジニウム中間体を形成することができる、あるいは核酸求核体などの生体分子求核体によって直接に置換されて、例えば、7−アルキル化グアニジニウム種を形成することができる基を指す。適切な脱離基の例として、ハロゲンおよびスルホネート(−SOR)が挙げられる。開示のイソホスホルアミド類似体塩のある実施形態では、化合物は、2つの異なる型の脱離基、例えば、ハロゲンとスルホネート、ブロミドとクロリドなどの2つの異なるハロゲンを含む「混合」脱離基化合物である。Struckの米国特許第6197760号は、このような混合脱離基化合物を作製するための方法を教示する。
【0098】
「新生腫瘍形成」は、異常で制御されていない細胞成長を指す。新生腫瘍形成は、過剰増殖障害の一例である。新生腫瘍形成の産生物は、新生生物(腫瘍)であり、これは、過剰な細胞分割に由来する組織の異常な成長である。転移しない腫瘍は、「良性」と呼ばれる。周囲の組織を侵食する、および/または転移できる腫瘍は、「悪性」と呼ばれる。
【0099】
「任意選択の」または「任意選択で」とは、続いて記載された事象または状況が起る必要がなくてもよく、その記載には事象または状況が起る場合と起らない場合が含まれることを意味する。
【0100】
本明細書では、安定なという用語は、化合物が、少なくとも5日間、または指定の期間、5%超は分解しない、好ましくは、2%または1%以下しか分解しないことを意味する。このような分解は、H NMR、HPLCまたは他の適切な手段によって監視することができる。
【0101】
本明細書では、および当技術分野ではよく理解されているように、「治療」は、臨床結果を含めての有利なまたは所望の結果を得るための手法である。有利なまたは所望の臨床結果として、限定されないが、検出されてもされなくても、1つまたは複数の兆候または症状の緩和または改良、疾患状況の軽減、疾患の安定化(即ち、悪化していない)状態、疾患の広がりの防止、疾患の進行の遅延または遅くすること、疾患状態の改良または緩和、および寛解(部分的でも全体的でも)を挙げることができる。「治療」とは、治療を受けない場合の予想生存期間に比較して延長された生存期間を意味する場合もある。
【実施例】
【0102】
IV.実施例
以下の非限定的実施例により前述の開示をさらに説明する。
【0103】
(実施例1)
反応器にトリス(103.3mg)およびMeCN(3mL)を投入し、引き続きIPM(200.5mg)をMeCN(3mL)に添加した。その反応混合物を終夜撹拌した。次いで、固形物を濾過により回収し、MeCNを用いてケーキを洗浄した。ケーキを真空下で恒量まで乾燥させて、最終製品(296mg)を得た。結晶化度を確認するために、最終製品をX線粉末回析に付した(図2)。結晶化度は、105.77で鋭いピークが現れたDSCによって、さらに裏付けられた(図3)。さらに、IPM・トリス塩は、TGAにより、約125℃で0.7692%の重量減少を示した(図4)。最後に、SEMは、IPM・トリスが、板状の結晶形状を有することを示した。
【0104】
結晶性IPM・トリスの安定性をHNMRにより観察し、室温で最大6日間安定なままであることを見出した。結晶構造の安定性をDSCにより観察し、DSCは、室温での10日の間に、IPM・トリス結晶が吸水しなかった、またはその構造が変化しなかったことを示した。
【0105】
(実施例2)
反応器にトリス(8.563g)およびDMF(40mL)を投入し、加熱して透明な溶液を形成した。該溶液を室温まで冷却した後、IPMを添加した。混合物を撹拌して透明な溶液を形成した。次いで、アセトニトリル(40mL)および少量の種結晶を該溶液に添加し、引き続き、MTBE(240mL)を緩徐に添加してスラリーを得た。スラリーをさらに1時間撹拌し、その間に、濾過により沈殿物を回収し、MTBE(80mL)を用いて濾過ケーキを洗浄した。濾過ケーキを真空下で、室温で恒量まで乾燥させて、最終製品(23.2g)を得た。
【0106】
(実施例3)
in vivo継代のMX−1ヒト乳房腫瘍の30〜40mgの切片をnu/nuマウスの乳房脂肪パッドに皮下移植し、治療の開始前に重量を75〜200mgに到達させた。治療は、腫瘍移植後の10日目に開始し、1日1回、5日間、腹腔内投与した。IPM・(LYS)(43%IPMおよび57%Lys)およびIPM・トリスは、用量をIPMに正規化したとき、MX−1腫瘍に対して類似の活性を示した(図6参照)。
【0107】
(実施例4)
in vivo継代のMX−1ヒト乳房腫瘍の30〜40mgの切片をnu/nuマウスの乳房脂肪パッドへsc移植し、治療の開始前に重量を75〜200mgに到達させた。治療は、腫瘍移植後の10日目に開始し、1日に1回、5日間、腹腔内投与または経口投与した。実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリスは、経口投与または全身投与したとき、各投与について最大耐用量で、MX−1腫瘍に対して等しく活性であった(図7参照)。
【0108】
(実施例5)
細胞増殖アッセイ
増殖阻害作用は、微小培養テトラゾリウム法により求めた。簡潔に言うと、100μLの培地中で細胞500個/ウェルの濃度で、96ウェル平底マイクロタイタープレートに細胞を播種した。終夜インキュベートした後、規定最終濃度および200μL/ウェルの最終体積を実現するために、IPM・(LYS)を含有する100μLの培地を添加した。データ点は、平均生存度およびエラーバーを表す(3回実施した各実験の標準偏差)。3−[4,5−ジメチルチアゾン−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Sigma、St. Louis、MO)のホルマジン(formazine)へのミトコンドリア変換により、120時間で、治療および未治療の細胞の相対代謝活性を測定した。薬物療法の完了時に、各ウェルに250μgのMTTを添加し、37℃、5%COで6時間インキュベートした。ホルマジン結晶をDMSO中、およびVERSAmax分光光度計(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)で測定した595nmの光学濃度で溶解した。生存度は、治療した試料の595nmでの吸収度を対照試料の570nmでの吸収率で除度したものとして定義した。IC50は、治療した細胞の生存度が、対照の生存度の50%である濃度(治療/対照=0.5)として定義した。
【0109】
異種移植マウスモデル
CB17雌性スキッドマウス(Taconic Farms、Germantown、NY)に、腫瘍皮下側腹部腫瘍を移植した。OS31腫瘍株は、St.Judes Children’s Cancer Research Hospitalで樹立され、前述した(20)。OS1腫瘍を用いた移植のために、4%のイソフルランを用いて、マウスに麻酔をかけた。マウスの側腹部で小切開をした後、腫瘍の4mm×4mmの切片を皮下移植した。
【0110】
CB17雌性スキッドマウス(Taconic Farms、Germantown、NY)をIPM・(LYS)を用いて、1日目に開始して21日毎に2サイクル、1または3日間、毎日、尾静脈注射を介して治療した。5匹の非担腫瘍マウスを各治療群に割り当てた。75mg/kg/日、100mg/kg/日、150mg/kg/日、または200mg/kg/日のIPM・(LYS)を用いて、マウスを治療した。毒性事象は、無作為化または死亡時における、動物の重量の20%以上の重量減少として定義した。MTDは、毒性が発生しなかった最も高い用量として定義した。
【0111】
腫瘍の直径が約0.20〜0.7cmであるとき、担腫瘍マウスを1つの治療群と1つの対照群の、5〜8匹のマウスの群に無作為に分けた。治療マウスに、90mg/kg/日の用量のタシドチン(tasidotin)を腹腔内注射薬として、1日目と21日目に開始して5日間毎日投与する。球形腫瘍であると仮定して、体積を式:mm/6(D)d(式中、Dは最大直径であり、dは、Dに垂直の直径である)により求めた。任意の所与の時点における腫瘍体積を出発腫瘍体積で除算した相対腫瘍体積(RTV)として、体積を表現する。治療マウスおよび対照マウスのRTVを最低週1回測定した。
【0112】
マウスにおける腫瘍反応の評価および統計的考察
進行性疾患は、Houghtonらによって以前に定義された基準を使用して、研究期間全体の間の、最初の腫瘍体積からの50%未満の退縮(RTV>0.5)、および研究期間の最後における25%を超える腫瘍体積の増加(RTV>1.25)として定義する。研究期間全体を通して最初の腫瘍体積の50%を上回らない安定疾患の腫瘍退縮(RTV>0.5)、および研究期間の最後における25%未満の腫瘍体積の増加(RTV<1.25)。部分寛解は、腫瘍体積の50%を超える退縮であるが、0.10cmを超える測定可能な腫瘍体積を有する(RTV<0.5)ものとして定義する。治療期間(6週間)の間の任意の時点での、測定可能な腫瘍体積の減少(<0.10cm)を完全寛解(CR)と定義した。持続的CRは、治療開始後の任意の時点での、測定可能な腫瘍体積の減量(<0.10cm)であり、6週間の研究期間の間の再増殖を伴わないものとして定義した。9週目の前または腫瘍が初期体積の4倍に到達する前に死亡したマウスは除外した。
【0113】
統計的分析は、無事象生存率(EFS)に基づいていた。事象は、4×の相対腫瘍体積(即ち、出発腫瘍寸法の4倍)、または死亡として定義する。EFSは、研究の開始から事象までの時間として定義する。6週目、研究期間の最後までに事象に到達しない腫瘍に関しては、その場合、EFS時間を除外した。治療群と対照群の間の無事象生存率分布を比較するために、正確なログランク検定を使用した。さらに、Wilcoxian−Mann−Whitney検定を使用して、対照マウスと治療マウスの22日目のRTVを比較した。このことが、1サイクルのタシドチン後と、未治療マウスの事象時またはその付近での腫瘍体積の比較を可能にする。
【0114】
生物学的データ
使用した腫瘍細胞株としては、RDおよびRH30横紋筋肉腫株(American Type Culture Collection、Manassas、VA)、Saos−2骨肉腫株、SKPNDWおよびSKES1ユーイング肉腫株、ならびにHSSYIIおよびSYOI滑膜肉腫株が挙げられる。各細胞は、10%のウシ胎児血清(Invitrogen、Carlsbad、CA)、0.5%のペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen、Carlsbad、CA)、および1%のグルタミン(Invitrogen、Carlsbad、CA)で補足した、MEM(Saos−2、SYO−1、HSSY−II)、DME(SK−PN−DW、RD)、またはRPMI(RH30)の培地中の、37℃、5%のCOの単層中で増殖した。その結果を以下に示す(図8および9)。
【0115】
【数1】

シクロホスファミド(CPA)およびイホスファミド(IFOS)に対する耐性は、癌治療において克服しなければならない主要な障害である。CPA耐性ヒト肉腫細胞の異種移植片を有するマウスは、IPM・(LYS)を用いて治療したとき、肉腫増殖が5倍を超えて減少し、CPA療法は効果がなかった(図10〜12)。
【0116】
ヒト臨床試験
安全性および用量反応の第I相試験は、4週間(1サイクル)毎に毎日3日連続で投与するIPM・(LYS)を利用した。その結果は、肉腫(IFOS療法に失敗した少なくとも1人を含む2/11の被検者)および中皮腫(長期安定疾患を有する1人の被検者)における臨床活性の証拠を示した。この計画でのIPM・(LYS)の最大耐用量(MTD)は、400mg/m/dであった。骨髄毒性はほとんどなく、出血性膀胱炎(膀胱毒性)またはCNS毒性はなかった。用量制限毒性は、電解質不均衡によって特徴づけられた。このMTDは、25g/mを超えるIFOS用量に匹敵し、この用量は、ヒト肉腫細胞株の50%を死滅させる用量より25倍高い血清レベルを実現する。
【0117】
(実施例6)
材料および方法
動物のケア:5〜6週齢の雄性CD2F1マウスをFrederick Cancer Research and Development Center(Frederick、MD)から購入した。
【0118】
腫瘍モデル:23ゲージの針を使用して、マウスに、P388マウス白血病の100万個の細胞をip移植した。P388腫瘍株をin vivoで継代維持した。腫瘍移植した日を0日目と呼び、腫瘍移植後の1日目に治療を開始した。十分な数のマウスに移植し、その結果、可能な限り狭い範囲の体重の動物を試験用に選択した。
【0119】
製剤:予め秤量した100mgのバイアルで供給したIPM・(LYS)を治療初日(1日目)に、70mg/mLの濃度で生理食塩水中に処方した。次いで、この溶液の一部を46.65、23.35、14、9.35、4.65、および2.8mg/mLの、より低い投薬濃度まで希釈した。治療の後日、IPM・(LYS)を14mg/μLで処方し、次いで、その溶液の一部をより低い投薬濃度まで希釈した。全ての注射薬を正確な体重に基づいて投与し、注射容量は0.2mL/体重10gである。
【0120】
薬物療法:該研究は、治療初日に、1群当たり8匹のマウスの8つの治療群および10匹のマウスを有する2つの溶媒投与対照群、計84匹のマウスからなる。IPM・(LYS)を1日目(q1d×1)に、po投与する1400、933、および467mg/kgの投与量、およびip投与する280mg/kgの投与量で、単回注射として投与した。IPM・(LYS)を毎日1回、5日連続で(q1d×5)、po投与する280、187、および93mg/kg/用量の投与量、およびip投与する56mg/kg/投与の投与量でも投与した。1つ目の対照群は、1日目に単回投与としてpo投与する生理食塩水を用いて治療した。2つ目の対照群は、q1d×5治療計画でpo投与する生理食塩水を用いて治療した。
【0121】
研究期間:該研究は、腫瘍移植の61日後に終了した。瀕死状態になった動物は、研究終了前に全て安楽死させた。
【0122】
評価したパラメーター:非特異的死亡数、死亡日数中央値、および死亡日数中央値に基づいて百分率(%ILS)で表現される生存期間の増加;生存期間中央値および生存期間中央値に基づいて算出した%ILS。
【0123】
統計的分析:各群の間の生存データを統計的に比較するために、個々の動物の生存期間を生命表分析(階層的Kaplan−Meier推定とその後のMantel−Haenszelログランク検定)でエンドポイントとして使用した。生命表分析は、エンドポイントに到達しなかった各動物をそれらを除外することにより使用して、各群の間の生存データの比較を可能にする。
【0124】
結果
両方の溶媒投与対照群の死亡日数中央値は、11.0日であり、10日目と14日目の間に死亡が発生した。全ての動物に、腹水が存在していた。
【0125】
1日目に投与する単回治療としてpo投与するIPM・(LYS)は、1400および933mg/kgの投与量で、マウスにとって有毒であった。1400mg/kgの投与量を用いた治療を受けた群では、1匹の動物が死亡し、瀕死が原因で4匹の動物を5日目に安楽死させ、2匹の動物を6日目に安楽死させ、最後の動物は10日目に死亡した。933mg/kgの投与量を用いた治療を受けた群では、瀕死が原因で6匹の動物を5日目に安楽死させ、その群の残りの2匹は、9日目に死亡した。剖検は、これらの2つの治療群において腫瘍の存在を示さなかった。1400および933mg/kgの投与量でIPM・(LYS)を投与した群では、各動物の死亡または安楽死の前に、それぞれ、24%および22%の顕著な重量減少が観察された。単回po治療として467mg/kgの投与量で投与したIPM・(LYS)の耐容性がより高かったが、瀕死が原因で2匹の動物を8日目に安楽死させた。この群の平均体重における最大の減少は、8%であった。その群の残りの6匹の動物は、11日目と15日目の間に死亡し、剖検時に、腹水が存在していると判定した。この治療群に関するILSは、その算出が死亡日数中央値と生存期間中央値のいずれに基づいていても、9%であった。この群に関する生存データと、溶媒投与対照群(群1、治療q1d×1)の生存データの統計的比較は、差が有意ではないことを示した。
【0126】
単回注射として280mg/kgの投与量でip投与したIPM・(LYS)は、死亡がなく、平均体重の減少が最小(4%、1g)であり、耐容性を示した。この群の死亡日数中央値は、34.5日であり、214%のILSであった。生存期間中央値は、38.0日であり、245%のILSであった。さらに、2匹の動物が、61日目の研究終了まで生存した。剖検は、腫瘍の存在を示さなかった。この治療群と溶媒投与対照群(群1、治療q1d×1)に関する生存データの統計的分析は、その差が有意であることを示した。
【0127】
q1d×5治療計画で280、187、および93mg/kg/用量の投与量でpo投与したIPM・(LYS)は、治療関連の死亡なしで耐容性を示した。280mg/kg/用量の投与量でIPM・(LYS)を投与した群で、平均体重の最小の減少(4%、1g)が観察された。より低い2つの投与群では、体重減少は観察されなかった。死亡日数中央値および生存期間中央値は、280、187、および93mg/kg/用量の投与量に関して、それぞれ、17.0、17.0、および15.0日であり、55%、55%、および36%のILS値であった。これら3つの各群に関する生存データと、溶媒投与対照群(群6、治療q1d×5)に関する生存データとの統計的比較は、各群に関する生存期間の増加が、統計的に有意であることを示した。
【0128】
q1d×5注射計画で56mg/kg/用量の投与量でip投与したIPM・(LYS)は、P388/0白血病に対して相当に効果的であり、死亡日数中央値は28.5日であった。最初の死亡は、24日目、最後の死亡は、33日目に発生し、その群の8匹の動物のうちの4匹は、61日目の研究終了時まで生存した。死亡日数中央値に基づいて算出したILS値は、159%であった。この治療群の生存期間中央値は、>47.0日であり、算出したILS値は327%であった。この治療レジメンは、治療関連の死亡なし、および平均体重の減少4%(1g)で、十分に耐容性を示した。この群に関する生存データと、溶媒投与対照群(群6、治療q1d×5)の生存データと比較したとき、その差が有意であることを見出した。
【0129】
【数2】

結論
IPM・(LYS)は、1400および933mg/kgの投与量で単回治療としてpo投与すると、マウスにとって有毒であった。po投与した467mg/kgの投与量を用いた単回治療は、耐容性を示したが、統計的に有意ではない、生存期間の最小限の増加しか誘発しなかった。280mg/kgの投与量で単回ip注射したIPM・(LYS)は、相当に効果的であり、2匹の61日生存マウスおよび生存期間の有意な増加をもたらした。
【0130】
q1d×5治療計画で280、187、および93の投与量でpo投与したIPM・(LYS)は、より高い投与量を用いた単回治療より、はるかに耐容性を示し、P388/0白血病に対してより効果的であった。3種全ての投与量をq1d×5でpo投与した治療は、生存期間の統計的に有意な増加をもたらした。q1d×5治療計画で56mg/kg/用量の投与量でip投与したとき、IPM・(LYS)は、生存期間の有意な増加を誘発し、その群の8匹の動物のうち4匹が、61日の研究終了まで生存した。
【0131】
(実施例7)
材料および方法
動物のケア:5週齢の雌性胸腺欠損NCr−nu/nuマウスをTaconic Farms(Germantown、NY)から購入した。
【0132】
腫瘍モデル:in vivoで継代維持したMX−1ヒト乳房腫瘍の30〜40mgの切片を12ゲージ外套針を使用してマウスの乳房脂肪パッドへsc移植し、増殖させた。腫瘍移植した日を0日目と呼んだ。治療の開始前に、腫瘍を138〜245mgの重量(138〜245mmの寸法)に到達させた。十分な数のマウスに移植し、その結果、治療開始日(腫瘍移植後の10日目)に、可能な限り狭い範囲の重量の腫瘍を試験用に選択した。適切な寸法範囲の腫瘍を有する、選択した動物を治療初日の平均腫瘍重量が可能な限り互いに近接する(172〜197mg)ように、様々な治療群に割り当てた。
【0133】
製剤:実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリス(205mgのIPM/バイアル)、およびIPMの両方を治療初日(10日目)に、6.0mg/mLの濃度で生理食塩水中に処方し、次いで、生理食塩水を用いて、4.05、1.8、および1.2mg/mLの、より低い投薬濃度まで希釈した。治療の後日、IPM・(LYS)(100mgIPM−リジン/バイアル)を治療初日に、14mg/mLの濃度で、生理食塩水中に処方し、次いで、生理食塩水を用いて、9.35、4.2および2.8mg/mLのより低い投薬濃度まで希釈した。次いで、各濃度の薬剤を連日投与のために分け、凍結し、−20℃で保存し、連日投与のために解凍した。全ての注射薬を正確な体重に基づいて投与し、注射容量は0.2mL/体重10gである。
【0134】
薬物療法:該実験は、治療初日に、1群当たり8匹のマウスの12の治療群およびそれぞれが10匹のマウスを有する2つの溶媒投与対照群、計116匹のマウスからなる。全ての薬剤(および溶媒)を毎日1回、5日連続で(q1d×5)投与した。IPM・トリスおよびIPMの両方を36および24mg/kg/用量の投与量でip投与し、120および81mg/kg/用量の投与量でpo投与した。IPM・(LYS)は、84および56mg/kg/用量の投与量でip投与し、280および187mg/kg/用量の投与量でpo投与した。対照群は、溶媒(生理食塩水)を用いて、ipまたはpoで治療した。
【0135】
腫瘍測定および体重:sc腫瘍を測定し、各動物を治療初日に開始して週2回秤量した。腫瘍体積は、キャリパー(caliper)測定(mm)により、楕円球形に関する式
L×W/2=mm
(式中、LおよびWは、各測定で収集した、より大きい、およびより小さい垂線の寸法を指す)を使用して求めた。この式は、単位密度(1mm=1mg)を仮定しながら、腫瘍重量を算出するためにも使用する。
【0136】
研究期間:該研究は、腫瘍移植の50日後に終了した。瀕死状態になった全ての動物、またはその腫瘍が潰瘍化もしくは4000mgに到達したものは、研究終了の前に安楽死させた。
【0137】
評価したパラメーター:非特異的死亡数、部分的および完全な腫瘍退縮の数、腫瘍のない生存マウスの数、ならびに個々の動物の、2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間を求めた。治療群(T)および対照群(C)における、2回の腫瘍体積倍加までの時間の中央値を中央値腫瘍の増殖における遅延全体(T−C)の算出に使用した。
【0138】
統計的分析:各群の間の増殖データを統計的に比較するために、個々の動物の、2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間をStudentのt検定/Mann Whitney順位和検定または生命表分析でエンドポイントとして使用した。生命表分析(階層的Kaplan−Meier推定と、その後のMantel−Haenszelログランク検定)は、その腫瘍が評価点に到達しなかった動物をそれらを除外することによって使用して、各群の間の増殖データの比較を可能にする。
【0139】
結果
両方の溶媒投与対照群の腫瘍は、10匹全てのマウスで十分に増殖した。中央値腫瘍は、ip投与群およびpo投与群に関して、それぞれ、7.4および7.2日で2回の腫瘍体積倍加を達成した。これら2つの群に関しては、研究の間に平均体重の減少はなかった。
【0140】
36および24mg/kg/用量の投与量でのIPM・トリスの腹腔内投与は、それぞれ、10.2および7.7日の腫瘍増殖の遅延(T−C)を誘発した。高い方の投与量では、1匹の腫瘍のない生存マウスがいた。36および24mg/kg/用量の投与量に関して、両方の投与量が耐容性を示し、それぞれ、平均体重の最大減少が10%(2g)および0%であった。36および24mg/kg/用量の投与量でのIPMの腹腔内投与は、それぞれ、5.2および2.6日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。36および24mg/kg/用量の投与量に関して、両方の投与量が耐容であり、それぞれ、平均体重の最大減少が0%および5%(1g)であった。IPMに関して、2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間は、統計的に、IPM・トリスの相当する投与量に関する該時間未満であった(36mg/kg/用量の投与量に関してp=0.000;24mg/kg/用量の投与量に関してp=0.021)。36および24mg/kg/用量のIPM投与量に相当する、84および56mg/kg/用量の投与量でのIPM・(LYS)の腹腔内投与は、それぞれ、24.3および9.0日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。IPM・(LYS)の高い方の投与量は、有毒であり、2匹のマウスが20日目に死亡し、瀕死または体重の過度の減少が原因で、2匹を安楽死させた。IPM・(LYS)の低い方の投与量は、耐容性を示し、平均体重の最大減少は15%(3g)であった。耐容IPM・(LYS)投与量は、24mg/kg/用量の相当する投与量でのIPM・トリスの活性に匹敵する活性(p=0.766)を示し、24mg/kg/用量の相当する投与量でのIPM・トリスの活性より優れた活性(p=0.0047)を示した。
【0141】
120および81mg/kg/用量の投与量でのIPM・トリスの経口投与は、それぞれ、8.7および9.0日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。IPM・トリスの高い方の投与量では、平均体重の15%(3g)の最大減少を誘発し、14g未満の体重が原因で、1匹のマウスを安楽死させた。低い方の投与量は、耐容性を示し、平均体重の最大減少が10%(2g)であった。120および81mg/kg/用量の投与量でのIPM経口投与は、それぞれ、4.6および4.0日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。両方の投与量が耐容性を示し、平均体重の最大減少が5%(1g)であった。2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間と、IPM・トリスの相当する投与量に関する該時間の間には、統計的な差はなかった(120mg/kg/用量の投与量に関してp=0.1174;81mg/kg/用量の投与量に関してp=0.1152)。120および81mg/kg/用量の投与量のIPM投与量に相当する、280および187mg/kg/用量の投与量でのIPM・(LYS)の経口投与は、それぞれ、5.0および3.5日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。両方の投与量が耐容性を示し、平均体重の最大減少が5%(1g)および0%であった。IPM・(LYS)の高い方の投与量は、120mg/kg/用量の相当する投与量でのIPM・トリスおよびIPMの両方の活性に匹敵する活性を示した(それぞれ、p=0.1000およびp=0.9143)。IPM・(LYS)の低い方の投与量は、81mg/kg/用量の相当する投与量でのIPM・トリスの活性より劣った活性(p=0.0290)を示し、81mg/kg/用量の相当する投与量でのIPMの活性に匹敵する活性(p=0.3073)を示した。
【0142】
【数3】

MX−1ヒト乳房腫瘍異種移植片の、(1)溶媒−ipおよびpo、(2)ip IPM・トリス、IPM、およびIPM・(LYS)、ならびに(3)po IPM・トリス、IPM、およびIPM・(LYS)を用いた治療に対する反応をそれぞれ、図13、14、および15に示す。
【0143】
結論
等価IPM投与量のip投与に関しては、IPM・トリスの抗腫瘍活性が、IPM(両方の投与量)の腫瘍活性より優れており、IPM・(LYS)(両方の投与量)の腫瘍活性に匹敵していた。等価IPM投与量のpo投与に関しては、IPM・トリスの抗腫瘍活性が、IPM(両方の投与量)の腫瘍活性に匹敵しており、高い方の投与量でIPM・(LYS)の腫瘍活性に匹敵しており、低い方の投与量でIPM・(LYS)の腫瘍活性より優れていた。
【0144】
(実施例8)
材料および方法
動物のケア:5週齢の雌性胸腺欠損NCr−nu/nuマウスをHarlan(Prattville、AL)から購入した。
【0145】
腫瘍モデル:12ゲージ外套針を使用して、in vivoで継代維持したMX−1ヒト乳房腫瘍の30〜40mgの切片をマウスの乳房脂肪パッドへsc移植し、増殖させた。腫瘍移植した日を0日目と呼んだ。治療の開始前に、腫瘍を113〜245mgの重量(113〜245mmの寸法)に到達させた。十分な数のマウスに移植し、その結果、治療開始日(腫瘍移植後の6日目)に、可能な限り狭い範囲の重量の腫瘍を試験用に選択した。適切な寸法範囲の腫瘍を有する、選択した動物を治療初日の平均腫瘍重量が可能な限り互いに近接する(144〜162mg)ように、様々な治療群に割り当てた。
【0146】
製剤:実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリス(205mgのIPM/バイアル、Cardinal Health)を各治療日に、13.5mg/mLの濃度で生理食塩水中に処方し、次いで、生理食塩水を用いて、9.6、4.05、2.7、1.8、および1.2mg/mLの、より低い投薬濃度まで希釈した。IPM(Eagle−Picher Pharmaceutical Service)を各治療日に、6.0mg/mLの濃度で生理食塩水中に処方し、次いで、生理食塩水を用いて、4.05、1.8、および1.2mg/mLの、より低い投薬濃度まで希釈した。IPM・(LYS)(100mgのIPM−リジン/バイアル、University of Iowa)を各治療日に、14mg/mLの濃度で、生理食塩水中に処方し、次いで、生理食塩水を用いて、9.35、4.2および2.8mg/mLのより低い投薬濃度まで希釈した。全ての投与液を処方後に氷上に保持し、30分以内に投与した。全ての注射液を正確な体重に基づいて投与し、注射容量は0.2mL/体重10gである。
【0147】
薬物療法:該実験は、治療初日に、1群当たり8匹のマウスの16の治療群およびそれぞれが10匹のマウスを有する2つの溶媒投与対照群、計148匹のマウスからなる。全ての薬剤(および溶媒)を毎日1回、5日連続で(q1d×5)投与した。IPM・トリスを81、54、36、および24mg/kg/用量の投与量でip投与し、270、180、120および81mg/kg/用量の投与量でpo投与した。IPMは、36および24mg/kg/用量の投与量でip投与し、120および81mg/kg/用量の投与量でpo投与した。IPM・(LYS)は、84および56mg/kg/用量の投与量でip投与し、280および187mg/kg/用量の投与量でpo投与した。対照群は、溶媒(生理食塩水)を用いて、ip(1番の群)またはpo(10番の群)で治療した。
【0148】
腫瘍測定および体重:sc腫瘍を測定し、各動物を治療初日に開始して週2回秤量した。腫瘍体積は、キャリパー測定(mm)により、楕円球形に関する式
L×W/2=mm
(式中、LおよびWは、各測定で収集した、より大きい、およびより小さい垂線の寸法を指す)を使用して求めた。この式は、単位密度(1mm=1mg)を仮定しながら、腫瘍重量を算出するためにも使用した。
【0149】
研究期間:該研究は、腫瘍移植の52日後に終了した。瀕死状態になった全ての動物、またはその腫瘍が潰瘍化し4000mgに到達したものは、研究終了の前に安楽死させた。
【0150】
評価したパラメーター:非特異的死亡数、部分的および完全な腫瘍退縮の数、腫瘍のない生存マウスの数、ならびに個々の動物の、2回の腫瘍体積の倍加までの時間を求めた。治療群(T)および対照群(C)における、2回の腫瘍体積倍加までの時間の中央値を中央値腫瘍の増殖における遅延全体(T−C)の算出に使用した。
【0151】
統計的分析:各群の間の増殖データを統計的に比較するために、個々の動物の、2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間をStudentのt検定/Mann Whitney順位和検定でエンドポイントとして使用した。
【0152】
結果
両方の溶媒投与対照群の腫瘍は、10匹全てのマウスで十分に増殖した。中央値腫瘍は、ip投与群およびpo投与群に関して、それぞれ、9.2および8.9日に2回の腫瘍体積倍加を達成した。これら2つの群に関しては、研究の間に平均体重の減少はなかった。
【0153】
81mg/kg/用量の投与量でのIPM・トリスの腹腔内投与は、マウスにとって有毒であり、3匹の死亡、ならびに瀕死および平均体重の20%(4.5g)の最大減少が原因の、1匹の動物の安楽死を誘発した。54、36、および24mg/kg/用量の低い方の投与量は、耐容性を示し、平均体重の最大減少が、それぞれ、5%(1.2g)、6%(1.3g)、および1%(0.2g)であった。54、35、および24mg/kg/用量の投与量は、それぞれ、4.4、3.3、および0.9日の腫瘍増殖の遅延(T−C)を誘発した。36および24mg/kg/用量の投与量でのIPMの腹腔内投与は、それぞれ、1.1、および0.3日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。両方の投与量が耐容性を示し、36および24mg/kg/用量の投与量に関して、平均体重の最大減少が、それぞれ、8%(1.8g)および2%(0.4g)であった。IPMに関して、2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間は、統計的に、IPM・トリスの最も高い耐容投与量の該時間未満であったが、IPM・トリスの相当する投与量と統計的に同じであった(54mg/kg/用量の投与量に関してp=0.0148;36mg/kg/用量の投与量に関してp=0.1879)。36および24mg/kg/用量のIPM投与量に相当する、84および56mg/kg/用量の投与量でのIPM・(LYS)の腹腔内投与は、それぞれ、0.5および0.3日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。両方の投与量が耐容性を示し、36および24mg/kg/用量の投与量に関して、平均体重の最大減少が、それぞれ1%(0.3g)および0%であった。IPM・(LYS)に関して、2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間は、統計的に、IPM・トリスの最も高い耐容投与量の該時間未満であったが、IPM・トリスの相当する投与量と統計的に同じであった(54mg/kg/用量の投与量に関してp=0.0104;36mg/kg/用量の投与量に関してp=0.1578)。
【0154】
270、180、および120mg/kg/用量の投与量でのIPM・トリスの経口投与は、マウスにとって有毒であり、それぞれ、瀕死が原因の8匹の死亡/安楽死、7匹の死亡、および3匹の死亡を誘発した。180および120mg/kg/用量は、それぞれ、平均体重の23%(5.3g)および20%(4.7g)の最大減少を誘発した。81mg/kg/用量の最も低い投与量は、耐容性を示し、平均体重の最大減少が10%(2.2g)であった。81mg/kg/用量の投与量は、2.6日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。120mg/kg/用量の投与量でのIPMの経口投与は、マウスにとって有毒であり、2匹の死亡、および平均体重の18%(3.8g)の最大減少を誘発した。81mg/kg/用量の低い方の投与量は、耐容性を示し、平均体重の最大減少が9%(2g)であり、2.3日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。2回の腫瘍体積倍加を達成するまでの時間と、IPM・トリスの相当する投与量に関する該時間との間には、統計的な差はなかった(81mg/kg/用量の投与量に関してp=0.2932)。120および81mg/kg/用量のIPM投与量に相当する、280および187mg/kg/用量の投与量でのIPM・(LYS)の経口投与は、それぞれ、3.9および4.7日の腫瘍増殖の遅延を誘発した。両方の投与量が耐容性を示し、平均体重の最大減少が14%(3g)および7%(1.6g)であった。IPM・(LYS)の低い方の投与量は、81mg/kg/用量の相当する投与量でのIPM・トリスの活性と類似の活性を示した(p=0.8785)。
【0155】
【数4】

MX−1ヒト乳房腫瘍異種移植片の、(1)溶媒−ipおよびpo、(2)ip IPM・トリス、IPM、およびIPM・(LYS)、ならびに(3)po IPM・トリス、IPM、およびIPM・(LYS)を用いた治療に対する反応をそれぞれ、図16、17、および18に示す。
【0156】
結論
等価IPM投与量のip投与に関しては、IPM・トリスの抗腫瘍活性が、IPMおよびIPM・(LYS)の両方(高い方の投与量)の腫瘍活性に匹敵していた。低い方の投与量は、この研究では、MX−1腫瘍に対して不活性であった。IPM・トリスの最も高い耐容投与量は、IPMまたはIPM・(LYS)の最も高い試験投与量より優れていた。等価IPM投与量のpo投与に関しては、IPM・トリスの抗腫瘍活性が、IPMおよびIPM・(LYS)の両方の低い方の投与量での腫瘍活性に匹敵していた。120mg/kg/用量の投与量は、IPM・トリスおよびIPMの両方に関して、マウスに有毒であった。
【0157】
先のMX−1研究(実施例7)では、等価IPM投与量のip投与に関しては、IPM・トリスの抗腫瘍活性が、IPM(両方の投与量)の抗腫瘍活性より優れており、IPM・(LYS)(両方の投与量)の抗腫瘍活性に匹敵していた。等価IPM投与量のpo投与に関しては、IPM・トリスの抗腫瘍活性が、IPM(両方の投与量)の抗腫瘍活性に匹敵しており、IPM・(LYS)の高い方の投与量での抗腫瘍活性に匹敵し、IPM・(LYS)の低い方の投与量での抗腫瘍活性より優れていた。
【0158】
2つの研究を比較すると、ip投与したときの3種の薬剤の活性が、この研究では低かった(例えば、36mg/kg/用量の投与量のIPM・トリスに関して―10.2日vs.3.3日のT−C値;36mg/kg/用量の投与量のIPMに関して―5/2日vs.1.1日のT−C値;および56mg/kg/用量の投与量のIPM・(LYS)に関して―9.0日vs.0.3日のT−C値)。po投与したときのIPM・トリスの活性も、この研究では低かった(IPMおよびIPM・(LYS)に関しても類似の値)(例えば、81mg/kg/用量の投与量のIPM・トリスに関して―9.0日vs.2.6日のT−C値;81mg/kg/用量の投与量のIPMに関して―4.0日vs.2.3日のT−C値;および280mg/kg/用量の投与量のIPM・(LYS)に関して―5.0日vs.3.9日のT−C値)。そのような生命システムに伴う研究毎の変化だとしても、活性の減少の理由(複数可)は明らかではない。該研究の腫瘍成分に関しては、各溶媒投与対照腫瘍が、2つの研究において類似の速度で増殖した。治療初日の平均腫瘍重量は、この実施例(144〜162mgの範囲)より実施例7(172〜197mgの範囲)で僅かに大きかったが、この小さな差は、抗腫瘍活性に対して顕著な効果を有さないであろう。
【0159】
(実施例9)
材料および方法
8匹のマウスの3つの群を実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリスを用いて治療し、8匹のマウスの3つの群をドキソルビシンを用いて治療し、10匹のマウスの1つ群を溶媒を用いて治療し、8匹のマウスの18の群をIPM・トリス/ドキソルビシンの併用を用いて治療した。MX−1腫瘍切片(30〜40mg、in vivo継代から)を雌性胸腺欠損ヌードマウスの乳房脂肪パッドに皮下移植した。IPM・トリス(またはその溶媒)を3種の投与量(12、24、および54mg/kg/用量)で、毎日1回、5日連続で(Q1d×5)腹腔内投与し、IPM・トリス処方は、258.9mgのIPM(MW221.02)、141.9mgのトリス塩基(MW121.14、モル比IPM:トリス塩基1:1)、および3%のマンニトールを含んでいた。ドキソルビシン(またはその溶媒)を8mg/kg/用量で4日毎に1回、計3回分の注射薬として(Q4d×3)腹腔内投与した)。投与液は、治療日に調製し、IPM・トリス投与液は、調製すると氷上に保持した。
【0160】
腫瘍が約175mgの寸法(100〜250mgの範囲)になったとき、治療を開始した。各腫瘍をキャリパーにより2次元で測定し、単位密度(1mm=1mg)を仮定しながら、長軸楕円体に関する式(a×b/2)(式中、aは長い方の寸法、bは小さい方の寸法)を使用して、腫瘍体積へ変換した。腫瘍測定値を週2回記録し、抗腫瘍活性を溶媒投与対照群と比較した治療群の腫瘍増殖の遅延、部分的および完全な退縮、ならびに腫瘍のない生存マウスにより評価した。8mg/kg/日のドキソルビシンと併用して54mg/kg/日でIPM・トリスを投与すると、併用群の2匹の動物が、毒性が原因で早期に死亡したということに留意されたい。結果を図19〜25に示す。
【0161】
IPM・トリスとドキソルビシンの併用は、顕著な腫瘍活性をもたらし、該併用による腫瘍増殖抑制が、単一薬剤投与と共に観察されたものを上回り、該併用は、単一薬剤投与と比較して、生存率を有意に増加させた。実際、該併用の作用は、IPM・トリス単独の投与量が、溶媒投与対照動物と比較して、僅かしか、または全く改善をもたらさないほど低い場合でさえ、相乗効果、即ち、同様の用量で個別に投与した薬剤と比較して、相加効果を超える効果を示す。治療の間に併用群の動物重量が減少した(22日目の投薬終了時に平均動物重量が20%減少した)が、投薬が終了すると、すぐに回復し(38日目に完全な回復が観察された)、毒性が可逆的であることを示唆している。このデータは、IPM・トリスとドキソルビシンを用いた併用療法が、これに限定はしないが、乳癌、卵巣癌、および肉腫を含めた、単一の薬剤としての、または併用による、ドキソルビシンまたはIPM・トリスに反応する全ての癌の治療に、有用であり得ることを示唆する。
【0162】
(実施例10)
in vivo継代のMX−1ヒト乳房腫瘍の切片(それぞれ30〜40mg)をヌードマウスの乳房脂肪パッドに皮下移植し、治療の開始前に75〜198mgの重量に到達させた。実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリス(54mg/kg)、およびドセタキセル(10mg/kg)をそれぞれ、腫瘍移植の10日後に開始してQ1D×5IPおよびQ6D×3IVで投与した。2種の薬剤の併用は、図26に示すように、単一薬剤として投与したいずれかの薬剤と比較して、増加した抗腫瘍効果を実証した。
【0163】
(実施例11)
in vivo継代のMX−1ヒト乳房腫瘍の切片(それぞれ30〜40mg)をヌードマウスの乳房脂肪パッドに皮下移植し、治療の開始前に75〜198mgの重量に到達させた。IP投与した、実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリス(36mg/kg)が、図27に示すように、PO投与したIPM・トリス(81mg/kg)とおおよそ同程度まで、腫瘍増殖を抑制することを見出した。さらに、IPM・トリスの経口投与または全身投与は、MX−1異種移植片保有マウスにおける生存率の同様の増加をもたらした。図28に示すように、IP群の平均生存日数は39日、PO群の平均生存日数は37.5日であり、溶媒対照群の平均生存日数は30日であった。これらのPO用量およびIP用量の等価な腫瘍活性は、経口投与および全身投与したIPM・トリスのPKから予期した範囲内である。
【0164】
(実施例12)
Sprague−Dawleyラットに、実施例1に記載したように調製し得るIPM・トリスを経管栄養(PO)またはボーラスIV注射を介して、毎日1回投与した。IPM・トリスを20、30、または40mg/kgの用量で投与し、PK評価用の血液試料を投与の前に、ならびに投与の0.5、1、2、4、6、8、12、および24時間後に、眼窩後洞から得た。1群当たり3匹の動物を各時点で試料として採取した。投与前、0.5、1、2、および4時間のPK結果を図29に示し、Tmaxが約0.5時間であると分かる。終端の推定値t1/2は、0.25〜0.64時間の範囲であった。各用量に関して、AUC値を経口投与したIPM・トリスの絶対的なバイオアベイラビリティーを推定するために、比(PO投与後AUC)/(IV投与後AUC)として使用した。各用量に関するAUC値を図30に示し、各投与量に関するCmax値は、図31に示す。AUC値およびCmax値の両方は、PO投与またはIV投与したIPM・トリスの用量の増加と共に、直線的に増加した。
【0165】
IPM・トリスの20、30、および40mg/kgPO用量のバイオアベイラビリティーは、それぞれ、48%、65%、および73%であった。全体の平均バイオアベイラビリティーは、雌で62%であった。同様のPKがラットで観察されたが、雄の平均バイオアベイラビリティーは、41%であると推定した。
【0166】
(実施例13)
IPM・トリス/マンニトールおよびIPM・(LYS)の溶液安定性
IPM・トリス処方の再構成安定性を注射用の5%塩化ナトリウム溶液中で評価した。IPMの濃度が、>90%の効力を最大で2.0時間維持することを見出した。
【0167】
IPM・(LYS)処方を注射用の0.9%塩化ナトリウム溶液中で評価した。IPMの濃度が、>90%の効力を最大で1.0時間維持することを見出した。
【0168】
IPM・トリス/マンニトールの溶液安定性
表1は、注射用の5%塩化ナトリウム溶液25mLの存在下での、IPM・トリス/マンニトールに関する再構成安定性データを提示する。〜1時間、1.5時間、2.5時間、3.5時間、4.0時間、および5.0時間の標的時間で、一定分量を採取した。各試料をIPM効力に関して分析した。
【0169】
【表1−2】

IPM・(LYS)の溶液安定性
表2は、注射用の0.9%塩化ナトリウム溶液25mLの存在下での、IPM・(LYS)に関する再構成安定性データを提示する。〜1時間、2時間、2.5時間、3.5時間、4.0時間、および5.0時間の標的時間で、一定分量を採取した。各試料をIPM・(LYS)効力に関して分析した。
【0170】
【表2】

結論
IPM/トロメタミン/マンニトール処方は、溶液の5%塩化ナトリウムに付したとき、90%効力を2.0時間維持する。IPM・(LYS)処方は、0.9%塩化ナトリウムの存在下で、90%効力を1.0時間維持する。2種の処方の間の再構成安定性(>90%効力)の差は、1.0時間、2倍である。安定時間の増加は、薬品の調製および投与の間、臨床医を補助し得る。
【0171】
(実施例14)
IPMの溶液安定性
IPM処方の再構成安定性を以下の表3および図32で示すように、約25℃のpH7緩衝液中で3.5時間にわたって評価した。
【0172】
【表3】

IPM・トリス/マンニトールの溶液安定性
表4は、注射用の5%塩化ナトリウム溶液25mLの存在下での、IPM・トリス/マンニトールの再構成安定性データを提示する。1.5、3.0、および4.5時間の標的時間で、一定分量を採取した。
【0173】
【表4】

IPM・(LYS)の溶液安定性
表5は、注射用の0.9%塩化ナトリウム溶液25mLの存在下での、IPM・(LYS)の再構成安定性データを提示する。1.5、3.0、および4.5時間の標的時間で、一定分量を採取した。
【0174】
【表5】

(実施例15)
固体のIPM・トリスの安定性
【0175】
【数5】

固体のIPM・トリス/マンニトール凍結乾燥体の安定性
【0176】
【数6】

固体のIPM・(LYS)凍結乾燥体の安定性
【0177】
【数7】

(実施例16)
【0178】
【数8】

均等物
当業者は、日常的実験法のみを使用して、本明細書で記載した化合物の多数の均等物およびその使用方法を認識するか、または確認できよう。そのような均等物は、本発明の範囲内であると見なされ、以下の特許請求の範囲により包含される。
【0179】
上に引用した全ての参考文献および刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造を有し、IPMまたはその類似体を含む結晶性化合物
【化8】

[式中、Aはヒドロキシル化脂肪族アミンであり、
XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【請求項2】
が、モノ、ビスまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)から選択される、請求項1に記載の結晶性化合物。
【請求項3】
アンモニウム種がTrisの共役酸である、請求項2に記載の結晶性化合物。
【請求項4】
XおよびYが、それぞれ独立に、ハロゲンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項5】
XおよびYが同じである、請求項4に記載の結晶性化合物。
【請求項6】
XおよびYが共にClである、請求項5に記載の結晶性化合物。
【請求項7】
前記IPMまたはその類似体と前記アンモニウム種が、2:1〜1:2の比で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項8】
前記IPMまたはその類似体と前記アンモニウム種が、1:1の比で存在する、請求項7に記載の結晶性化合物。
【請求項9】
融点が、約103〜約106℃である、請求項8に記載の結晶性化合物。
【請求項10】
融点が、105〜106℃である、請求項9に記載の結晶性化合物。
【請求項11】
単一の多形結晶を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項12】
水の存在下で少なくとも1日室温で安定である、請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項13】
水の存在下で少なくとも3日室温で安定である、請求項12に記載の結晶性化合物。
【請求項14】
水の存在下で少なくとも6日室温で安定である、請求項13に記載の結晶性化合物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の結晶性化合物を生理食塩水に溶解させるステップを含む、医薬組成物を調製するための方法。
【請求項16】
溶液が、少なくとも約120分間室温で安定である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結晶性化合物の溶解度が、少なくとも約50mg/mLである、請求項17に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物が、経口、局所、経皮または非経口投与に適合するように製剤される、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物が、非経口投与用として製剤される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の結晶性化合物を投与するステップを含む、過剰増殖性障害を治療するための方法。
【請求項21】
過剰増殖性障害が、急性白血病、慢性白血病、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームグロブリン血症、H鎖病、骨髄異形成症候群、有毛状細胞性白血病、異形成脊髄、肉腫と癌腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵臓癌、乳腺癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆道癌、絨毛上皮腫、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、睾丸腫瘍、膀胱癌およびCNS腫瘍から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
過剰増殖性障害を治療するための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項23】
前記過剰増殖性障害が、急性白血病、慢性白血病、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームグロブリン血症、H鎖病、骨髄異形成症候群、有毛状細胞性白血病、異形成脊髄、肉腫と癌腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性悪性疾患、膵臓癌、乳腺癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆道癌、絨毛上皮腫、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、睾丸腫瘍、膀胱癌およびCNS腫瘍から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
抗CPA症状を治療するための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項25】
式(I)の構造を有し、IPMまたはその類似体を含む凍結乾燥体
【化9】

[式中、Aはヒドロキシル化脂肪族アンモニウム対イオンであり、
XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【請求項26】
が、モノ、ビスまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)から選択されるプロトン化アミンを表す、請求項25に記載の凍結乾燥体。
【請求項27】
前記アンモニウム対イオンがTrisの共役酸である、請求項26に記載の凍結乾燥体。
【請求項28】
XおよびYが、それぞれ独立に、ハロゲンである、請求項25に記載の凍結乾燥体。
【請求項29】
XおよびYが同じである、請求項28に記載の凍結乾燥体。
【請求項30】
XおよびYが共にClである、請求項29に記載の凍結乾燥体。
【請求項31】
マンニトールをさらに含む、請求項25に記載の凍結乾燥体。
【請求項32】
次式の化合物を含み、生理食塩水中で再構成すると、少なくとも約30分間室温で>90%の効力を維持する凍結乾燥体
【化10】

[式中、Aは、塩基性アミノ酸、複素環式アミン、置換および非置換ピリジン、グアニジンおよびアミジンを含めての、脂肪族アミンおよび芳香族アミンのプロトン化(共役酸)形または第四級形から選択されるアンモニウム種を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【請求項33】
生理食塩水中で再構成すると、少なくとも約160分間室温で>90%の効力を維持する、請求項32に記載の凍結乾燥体。
【請求項34】
賦形剤をさらに含む、請求項32に記載の凍結乾燥体。
【請求項35】
前記賦形剤がマンニトールである、請求項34に記載の凍結乾燥体。
【請求項36】
医薬として許容される希釈剤または賦形剤と、次式の化合物とを含む、経口投与に適合した医薬組成物
【化11】

[式中、Aは、塩基性アミノ酸、複素環式アミン、置換および非置換ピリジン、グアニジンおよびアミジンを含めての、脂肪族アミンおよび芳香族アミンのプロトン化(共役酸)形または第四級形から選択されるアンモニウム種を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【請求項37】
少なくとも1カ月間室温で安定である、IPMまたはその類似体を含む凍結乾燥体。
【請求項38】
少なくとも2カ月間室温で安定である、請求項37に記載の凍結乾燥体。
【請求項39】
前記IPMまたはその類似体が、式(I)の構造を有する、請求項37に記載の凍結乾燥体
【化12】

[式中、Aはヒドロキシル化脂肪族アンモニウム対イオンであり、
XおよびYは、それぞれ独立に、脱離基を表す]。
【請求項40】
が、モノ、ビスまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)から選択されるプロトン化アミンを表す、請求項39に記載の凍結乾燥体。
【請求項41】
前記アンモニウム対イオンがTrisの共役酸である、請求項40に記載の凍結乾燥体。
【請求項42】
XおよびYが、それぞれ独立に、ハロゲンである、請求項39に記載の凍結乾燥体。
【請求項43】
XおよびYが同じである、請求項42に記載の凍結乾燥体。
【請求項44】
XおよびYが共にClである、請求項43に記載の凍結乾燥体。
【請求項45】
マンニトールをさらに含む、請求項39に記載の凍結乾燥体。
【請求項46】
前記IPMまたはその類似体の純度が、蒸発光散乱検出法を使用してHPLCによって室温で1カ月後に測定した場合、初期純度の少なくとも97%である、請求項39に記載の凍結乾燥体。
【請求項47】
前記医薬組成物が、経口投与に適合するように製剤された、請求項18に記載の方法。
【請求項48】
化学療法剤を請求項1に記載の化合物と組み合わせて投与するステップを含む、前記化学療法剤の効果を改良する方法。
【請求項49】
前記化学療法剤が微小管結合剤である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記化学療法剤がドセタキセルである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記化学療法剤がDNAおよび/またはRNA転写阻害剤である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記化学療法剤がドキソルビシンである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
化学療法剤と一緒に投与するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2010−523571(P2010−523571A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502149(P2010−502149)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/004449
【国際公開番号】WO2008/124097
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(507348805)ジオファーム オンコロジー, インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ZIOPHARM ONCOLOGY,INC.
【住所又は居所原語表記】One First Avenue,Paris Building #34,Navy Yard Plaza,Boston,MA 02129,United States of America
【Fターム(参考)】