説明

イットリウム化合物およびそれを用いた共役ジエン重合触媒

【課題】嵩高い配位子を有する新規なイットリウム化合物およびそれを用いた共役ジエン重合触媒を提供する。特にシス−1,4構造含有率の高い共役ジエン重合体を高効率で製造することができる重合触媒を提供する。
【解決手段】嵩高い配位子を有する新規なイットリウム化合物(A)、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)を組み合わせた共役ジエン重合触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高い配位子を有する新規なイットリウム化合物およびそれを用いた共役ジエン重合触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの重合触媒に関しては、従来数多くの提案がなされており、その幾つかは工業化されている。例えば、高シス−1,4構造の共役ジエン重合体の製造方法としては、チタン、コバルト、ニッケル、ネオジム等の化合物と有機アルミニウムの組合せがよく用いられる。
【0003】
周期律表第3族元素を触媒とする共役ジエンの重合は公知であり、これまでに様々な重合方法が提案されてきた。例えば、特開平7−268013号公報(特許文献1)には、希土類金属の塩、周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物、含フッ素有機ホウ素化合物からなる触媒系が開示されている。
【0004】
特開平11−80222号公報(特許文献2)には、周期律表第IIIB族金属の化合物、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物からなる重合触媒が開示されている。
【0005】
国際公開第2006/049016号(特許文献3)には、嵩高い置換基を有するイットリウム化合物、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物、および周期律表第2族、第12族及び第13族元素から選ばれる元素の有機金属化合物からなる触媒系が開示されている。
【0006】
特開2008−56584号公報(特許文献4)には、スカンジウムあるいはイットリウムのカチオン性シクロペンタジエニル錯体を含むオレフィンあるいは共役ジエンの重合触媒が開示されている。しかしながら、活性はきわめて低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−70143号公報
【特許文献2】特開平7−268013号公報
【特許文献3】国際公開第2006/049016号
【特許文献4】特開2008−56584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、嵩高い配位子を有する新規なイットリウム化合物およびそれを用いた共役ジエン重合触媒を提供すること、特にシス−1,4構造含有率の高い共役ジエン重合体を高効率で製造することができる重合触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の一般式(1)で表される嵩高い配位子を有するイットリウム化合物である。
【化1】

(但し、R2、R3は水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【0010】
また、本発明は、上記の嵩高い配位子を有するイットリウム化合物(A)、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)、周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)、を備えたことを特徴とする共役ジエン重合用触媒であり、それを用いて共役ジエン化合物を重合させることを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の嵩高い配位子を有するイットリウム化合物を用いることにより、シス−1,4構造含有率の高い共役ジエン重合体を高活性で製造することができる重合触媒を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のイットリウム化合物は、下記の一般式(1)で表される嵩高い配位子を有するイットリウム化合物である。
【化2】

(但し、R2、R3は水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【0013】
一般式(1)のR2、R3における炭素数1〜12の置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリシクロ[3.3.1.13.7.]デシ−1−イル(アダマンチル)基などの飽和炭化水素基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基などの不飽和炭化水素基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらに、それらにヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基などが任意の位置に置換されているものも含まれる。中でも、炭素数1〜12の飽和炭化水素基が好ましく、特に炭素数1〜10の飽和炭化水素基が好ましい。
【0014】
イットリウム化合物の具体例としては、トリス(1,3−ビス(1−アダマンチル)−1,3−プロパンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−1,3−ブタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−4−メチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオナト)イットリウム、トリス(1,3−ビス(アダマンチル)−2−メチル−1,3−プロパンジオナト)イットリウム、トリス(1−(1−アダマンチル)−2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム
が挙げられる。
【0015】
上記の嵩高い配位子を有するイットリウム化合物(A)は、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)、周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と組み合わせることにより、共役ジエン重合触媒として用いることができる。
【0016】
上記触媒系の(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物において、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラ(トリイル)ボレ−ト、テトラ(キシリル)ボレ−ト、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレ−ト、テトラフルオロボレ−ト、ヘキサフルオロホスフェ−トなどが挙げられる。
【0017】
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0018】
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
【0019】
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリ(i−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
【0020】
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリ−ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0021】
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる
【0022】
中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどが好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
また、(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物の代わりに、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R')O−) n で示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R' は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R' として、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
【0024】
それらの中でも、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
【0025】
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオ−ルなどが挙げられる。
【0026】
上記触媒系の(C)成分である周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物としては、例えば、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム等が用いられる。これらの化合物の内で好ましいのは、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムクロライド、アルキルマグネシウムブロマイド、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等である。
【0027】
具体的な化合物としては、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムアイオダイド、ヘキシルマグネシウムアイオダイドなどのアルキルマグネシウムハライドを挙げることができる。
【0028】
さらに、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、エチルヘキシルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウムを挙げることができる。
【0029】
さらに、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジオクチル亜鉛、ジデシル亜鉛などのジアルキル亜鉛を挙げることができる。
【0030】
さらに、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0031】
さらに、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物も挙げることができる。
【0032】
これらの周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物は、単独で用いることもできるが、2種類以上併用することも可能である。
【0033】
上述した触媒を用いて共役ジエンの重合を行うことができるが、得られる共役ジエン重合体の分子量調節剤としては、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物を用いることができる。
【0034】
上述の分子量調節剤の(2)水素化金属化合物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ガリウム、シラン、ゲルマン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、などが挙げられる。
【0035】
また、(3)水素化有機金属化合物としては、メチルボラン、エチルボラン、プロピルボラン、ブチルボラン、フェニルボランなどのアルキルボラン、ジメチルボラン、ジエチルボラン、ジプロピルボラン、ジブチルボラン、ジフェニルボランなどのジアルキルボラン、メチルアルミニウムジハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライド、ブチルアルミニウムジハイドライド、フェニルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムジハイドライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジブチルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、メチルシラン、エチルシラン、プロピルシラン、ブチルシラン、フェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシランなどのシラン類、メチルゲルマン、エチルゲルマン、プロピルゲルマン、ブチルゲルマン、フェニルゲルマン、ジメチルゲルマン、ジエチルゲルマン、ジプロピルゲルマン、ジブチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、トリメチルゲルマン、トリエチルゲルマン、トリプロピルゲルマン、トリブチルゲルマン、トリフェニルゲルマンなどのゲルマン類、などが挙げられる。
【0036】
これらの中でも、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライドが好ましく、ジエチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
【0037】
触媒成分の添加順序は、特に、制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。
【0038】
(1)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0039】
(2)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、上述した分子量調節剤を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0040】
(3)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在に(A)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(B)成分を添加する。
【0041】
(4)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在に(B)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(A)成分を添加する。
【0042】
(5)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加した後、上述した分子量調節剤を添加する。
【0043】
また、各成分をあらかじめ熟成して用いてもよい。中でも、(A)成分と(C)成分を熟成することが好ましい。
【0044】
熟成条件としては、不活性溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在に(A)成分と(C)成分を混合する。熟成温度は−50〜80℃、好ましくは−10〜50℃であり、熟成時間は0.01〜24時間、好ましくは0.05〜5時間、特に好ましくは0.1〜1時間である。
【0045】
本発明においては、各触媒成分を無機化合物、又は有機高分子化合物に担持して用いることもできる。
【0046】
共役ジエン化合物モノマ−としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。中でも、1,3−ブタジエンを主成分とする共役ジエン化合物モノマ−が好ましい。
【0047】
これらのモノマ−成分は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
ここで重合すべき共役ジエン化合物モノマ−とは、モノマ−の全量であっても一部であってもよい。モノマ−の一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマ−あるいは残部のモノマ−溶液と混合することができる。共役ジエンの他に、エチレン、プロピレン、アレン、1−ブテン、2−ブテン、1,2−ブタジエン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのオレフィン化合物等を含んでいてもよい。
【0049】
重合方法は、特に制限はなく、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物モノマ−そのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)、又は溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
【0050】
中でも、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
【0051】
重合温度は−30〜150℃の範囲が好ましく、30〜100℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間が特に好ましい。
【0052】
所定時間重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
【0053】
本発明で得られる共役ジエン重合体としては、好ましくは、シス−1,4構造を90%以上、さらに好ましくは92%以上、特に好ましくは96%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンが挙げられる。また、該共役ジエン重合体の[η]としては、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは1〜7、特に好ましくは1.5〜5に制御することができる。
【実施例】
【0054】
以下に本発明に基づく実施例について具体的に記載する。重合条件並びに重合結果については表1および2にまとめて記載した。物性等の測定方法は以下の通りである。
1)NMRスペクトル: JEOL社製JNM・AL400スペクトルメーターを用いて測定した。
2)Y含量の測定: ICP発光分析法にて行った。測定には、バリアンジャパン社製Vista MPX型を用いた。
3)元素分析: ヤナコ社製CHNコーダー MT−5型を用いて行った。
4)ミクロ構造: 赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
5)固有粘度([η]): ポリマーのトルエン溶液を使用して、30℃で測定した。
【0055】
(合成例1)
500ml容のナス形二つ口フラスコにt−ブトキシカリウム10.45g(93.1mmol)および乾燥DMF100mlを加え、マグネティックスターラーにて攪拌した。これとは別に1−アダマンタンカルボン酸メチル12.06g(62.1mmol)を乾燥DMF50mlに溶かした溶液を用意し、t−ブトキシカリウムのTHF溶液に滴下した。次に、これとは別に1−アダマンチルメチルケトン13.28g(74.5mmol)を乾燥DMF50mlに溶かした溶液を用意し、反応溶液に滴下した。100℃で15時間反応を行った。室温に冷却した後、1N塩酸を100ml加え、反応停止させた。DMFを留去した後、酢酸エチル40mlを用いて3回抽出した。乾燥硫酸ナトリウムで1晩乾燥させた後、ろ過し、ろ液を減圧乾固して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより分離し、1,3−ビス(1−アダマンチル)−1,3−プロパンジオンを得た。収量5.03g(14.8mmol)、収率24%。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の結果、1H−NMR δ(ppm):5.7(1H)、1.9(18H)、1.6(12H) ただし、測定溶媒はC66を用いた。
【0056】
(合成例2)
300ml容の梨形二つ口フラスコに高純度化学研究所製トリイソプロポキシイットリウムを0.99g(3.71mmol)および脱水トルエン40mlを加え、マグネティックスターラーにて攪拌した。これとは別に1,3−ビス(1−アダマンチル)−1,3−プロパンジオン4.02g(11.5mmol)を脱水トルエン80mlに溶かした溶液を用意し、トリイソプロポキシイットリウムのトルエン溶液に滴下した。トルエン還流下で22時間反応を行い、トルエンを留去し、減圧乾固した。得られた固体に脱水トルエンを20ml追加し、1時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却し、上澄みを除去した。得られた沈殿物を減圧乾固し、トリス(1,3−ビス((1−アダマンチル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン一和物を得た。収量3.55g(2.96mmol)、収率80%。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の結果、1H−NMR δ(ppm):7.3−7.0(5H)、6.0(3H)、2.1(3H)、2.0(54H)、1.7(36H) ただし、測定溶媒はC66を用いた。
生成物のY含量は7.2%、C含量は75.5%、H含量は8.6%であった。
【0057】
(合成例3)
上記合成例2で合成したイットリウム化合物のトルエン一和物123.4mg(0.10mmol)を160℃にて30分間減圧乾固し、トリス(1,3−ビス((1−アダマンチル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウムを得た。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の結果、1H−NMR δ(ppm):6.0(3H)、2.0(54H)、1.7(36H) ただし、測定溶媒はC66を用いた。
生成物のY含量は7.2%、C含量は74.8%、H含量は8.8%であった。
【0058】
(合成例4)
500ml容のナス形二つ口フラスコにt−ブトキシカリウム6.77g(60.4mmol)および乾燥DMF80mlを加え、マグネティックスターラーにて攪拌した。これとは別に2,2−ジメチルプロピオン酸メチル(ピバル酸メチル)3.49g(30.0mmol)を乾燥DMF40mlに溶かした溶液を用意し、t−ブトキシカリウムのDMF溶液に滴下した。次に、これとは別に1−アダマンチルメチルケトン3.57g(20.0mmol)を乾燥DMF40mlに溶かした溶液を用意し、反応溶液に滴下した。80℃で5時間反応させた後、90℃に昇温して、8時間反応を行った。室温に冷却した後、1N塩酸を60ml加え、反応停止させた。DMFを留去した後、酢酸エチル40mlを用いて3回抽出した。乾燥硫酸ナトリウムで1晩乾燥させた後、ろ過し、ろ液を減圧乾固して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより分離し、1−(1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−1,3−プロパンジオンを得た。収量1.79g(6.82mmol)、収率39%。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の結果、1H−NMR δ(ppm):17(1H)、5.7(1H)、1.8(9H)、1.5(6H)、1.1(9H) ただし、測定溶媒はC66を用いた。
【0059】
(合成例5)
300ml容の梨形二つ口フラスコに高純度化学研究所製トリイソプロポキシイットリウムを0.48g(1.79mmol)および脱水トルエン25mlを加え、マグネティックスターラーにて攪拌した。これとは別に1−ビス(1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン1.79g(6.82mmol)を脱水トルエン60mlに溶かした溶液を用意し、トリイソプロポキシイットリウムのトルエン溶液に滴下した。トルエン還流下で22時間反応を行い、トルエンを留去し、減圧乾固した。得られた固体に脱水n−ヘキサンを5ml追加し、1時間加熱還流した。この溶液をドライアイスを用いて冷却し、上澄みを除去した。得られた沈殿物を減圧乾固し、トリス(1−((1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−ペンタン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン一和物を得た。収量0.96g(1.10mmol)、収率61%。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の結果、1H−NMR δ(ppm):5.9(3H)、1.9(27H)、1.6(18H)、1.2(27H) ただし、測定溶媒はC66を用いた。
生成物のY含量は9.5%、C含量は70.5%、H含量は8.6%であった。
【0060】
(実施例1)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(1,3−ビス((1−アダマンチル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(5mmol/L)4mlを添加して4分間攪拌したのち、40℃まで昇温してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で25分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0061】
(実施例2)
トリエチルアルミニウム(TEA)の添加量をトルエン溶液(2mol/L)1mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0062】
(実施例3)
トリエチルアルミニウム(TEA)の添加量をトルエン溶液(2mol/L)2mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0063】
(実施例4)
トリエチルアルミニウム(TEA)の添加量をトルエン溶液(2mol/L)3mlと
したほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0064】
(実施例5)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(1,3−ビス((1−アダマンチル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(5mmol/L)4mlを添加して40℃で30分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で25分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0065】
(参考例1)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)1mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)のトルエン溶液(20mmol/L)1mlを添加して4分間攪拌したのち、40℃まで昇温してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
(実施例6)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)0.3mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(1,3−ビス((1−アダマンチル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(5mmol/L)4mlを添加して4分間攪拌したのち、40℃まで昇温してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0068】
(実施例7)
ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)の添加量をトルエン溶液(2mol/L)0.4mlとしたほかは、実施例6と同様に重合を行った。重合結果を表2に示した。
【0069】
(実施例8)
ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)の添加量をトルエン溶液(2mol/L)0.5mlとしたほかは、実施例6と同様に重合を行った。重合結果を表2に示した。
【0070】
(実施例9)
ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)の添加量をトルエン溶液(2mol/L)0.55mlとしたほかは、実施例6と同様に重合を行った。重合結果を表2に示した。
【0071】
(実施例10)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(1,3−ビス((1−アダマンチル)プロパン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(5mmol/L)4mlを添加して40℃で30分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0072】
【表2】

【0073】
(実施例11)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)のトルエン溶液(1mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(1−((1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−ペンタン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)4mlを添加して4分間攪拌したのち、40℃まで昇温してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0074】
(実施例12)
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)の添加量をトルエン溶液(1mol/L)2.4mlとしたほかは、実施例11と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0075】
(実施例13)
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)の添加量をトルエン溶液(1mol/L)4.0mlとしたほかは、実施例11と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0076】
(実施例14)
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)の添加量をトルエン溶液(1mol/L)5.6mlとしたほかは、実施例11と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0077】
(実施例15)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)のトルエン溶液(1mol/L)2.4mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。40℃まで昇温した後、トリス(1−((1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−ペンタン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)4mlを添加して、すぐにトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0078】
(実施例16)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)のトルエン溶液(1mol/L)2.4mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(1−((1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−ペンタン−1,3ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)4mlを添加して15分間攪拌したのち、40℃まで昇温してトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0079】
【表3】

【0080】
以上のように、本発明のイットリウム化合物を含有する共役ジエン重合触媒を用いることにより、シス−1,4構造含有率の高い共役ジエン重合体を高活性で製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表される嵩高い配位子を有するイットリウム化合物。
【化1】


(但し、R、Rは水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【請求項2】
トリス(1,3−ビス(1−アダマンチル)−1,3−プロパンジオナト)イットリウム。
【請求項3】
トリス(1−(1−アダマンチル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオナト)イットリウム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の嵩高い配位子を有するイットリウム化合物(A)、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)、周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)、を備えたことを特徴とする共役ジエン重合用触媒。
【請求項5】
請求項4に記載の共役ジエン重合触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させることを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2012−56949(P2012−56949A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174508(P2011−174508)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】