説明

イヌリンおよび難消化性デンプンを含有する高繊維質回転成型クッキー

【課題】優れたクッキースプレッドと、色および食感の均一性を示し、デンプン様の後味または望ましくない暗色の斑点(ダークスポット)が無く、サクサクとした、しかし硬くなくかつ軟らかすぎない食感を示す高繊維質クッキーの提供。
【解決手段】a)小麦粉と、b)少なくとも1種の砂糖と、c)少なくとも1種のショートニングまたは脂肪と、d)イヌリンと、e)難消化性デンプンとの少なくとも実質的に均質な混合物を含み、イヌリンおよび難消化性デンプンの総量が、小麦粉の重量に対して少なくとも10重量%であり、イヌリンの量が、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して10重量%から90重量%であり、クッキーの繊維分が、回転成型したクッキーの重量に対して少なくとも7重量%である高繊維質回転成型クッキー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年12月12日に出願した米国特許出願「HIGH FIBER ROTARY MOLDED COOKIES CONTAINING INULIN AND RESISTANT STARCH」の継続出願である。
【0002】
本発明は、イヌリンおよび難消化性デンプンを含有する、高繊維質回転成型クッキーの製造に関する。また本発明は、回転成型クッキーおよび生地であって、子供達を魅了する成型形状を有し、かつ著しく低いカロリー、脂肪分、および糖分とかなりの量の繊維分とを有するものに関する。
【背景技術】
【0003】
官能特性を維持しながら、食品に、特にクッキーに多量の繊維を添加し、かつクッキーの場合にはクッキースプレッドも添加することは、難題である。イヌリンおよび難消化性デンプンは、クッキーに組み込まれた場合に良好な栄養プロファイルおよび健康上の利益をもたらすことのできる、繊維の供給源である。イヌリンは、前生物的性質を有する可溶性繊維である。難消化性デンプンも、大腸の健康の維持を助ける前生物的繊維であり、消化の健康を改善する食物繊維の供給源でもある。繊維の供給源としてイヌリンのみ使用すると、生地を形成するために混合している間に、分散に関する問題が生ずることが見出された。繊維の分散は、繊維の吸湿性および大量の繊維が原因となって難しく、塊が形成される。例えば、イヌリンをクリーミング段階で添加した場合、イヌリンは、水中に分散し水和したときにゲル化剤として作用する。添加した多量のイヌリンを水和するのに水が不十分である場合、混合手順中に塊が形成される。塊を排除するために水の量を増やすと、生地の機械加工性に悪影響を及ぼす可能性があり、ベーキング時間が延びるという悪影響が生じる可能性がある。混合時間を延長しても、塊の問題が満足のいくように排除されないことがわかった。またベーキング後は、イヌリンの塊が存在することによってクッキーに暗色の斑点(ダークスポット)が付いた。したがって、多量のイヌリンと、イヌリンの吸湿性と、少量の利用可能な水は、これらを組み合わせた場合に混合の第1段階でイヌリンの添加を阻止する3つの要素である。第2の段階で小麦粉にイヌリンを添加しても、イヌリンの塊が生じることが見出されている。
【0004】
粉末ミキサを使用して得られた小麦とイヌリンとのプレブレンドの使用は、生地中の塊を実質的に排除するのを助ける。しかし生地は、少し粘着性があるので、成型中に非常に良好な性能を示さない。非常に明確な形状が得られるよう十分に回転金型に一致できず、離型に関する問題が示される可能性がある。さらに、イヌリンのみを用いて製造されたクッキーは、わずかに望ましくない後味と、より硬い食感と、少々暗すぎる色をもたらすことがわかった。
【0005】
クッキーに組み込まれた難消化性デンプンの量が増加するにつれ、クッキーの食感は軟らかくなりすぎる傾向があり、クッキーの風味はデンプン様になりすぎてデンプン様の後味をもたらす傾向があることがわかった。使用される量に応じて、難消化性デンプンは、非常に軟らかい食感と「デンプン様」の風味(後味)をもたらす。
【0006】
食品に用いてよい別の繊維供給源は、ポリデキストロースである。しかし、ポリデキストロースを用いて作製されたクッキーは、非常に硬くかつ脆くなる傾向があり、ベーキング中に過剰なスプレッドを示すことがわかった。また、繊維分を増大させるために大量のポリデキストロースを用いることによって、感受性の高い個人では緩下剤の作用が生じる可能性もある。ある文献(例えば、非特許文献1および2参照)は、ポリデキストロースが、クッキーにおける糖または脂肪の代用のための増量剤として提示されることを開示している。Bullock他の目的は、無糖クッキーを開発することであった。彼らは糖の代わりに甘味料を使用し、増量剤としてポリデキストロースおよび不溶性繊維を使用した。Zoulias他によれば、脂肪の35%までを代えることによって、許容可能な食感および感覚特性を有する製品が得られるが、これらは全脂肪クッキーよりも硬い。Zoulias他は、脂肪分の35%の代用品としてポリデキストロースを含有するクッキーにおいて、糖の代わりにポリオールを用いることの影響について研究し、ラクチトールおよびソルビトールが低脂肪クッキーの食感を改善し、クッキーをより軟らかくかつより脆くない状態にし、しかし甘さをより少なくすることを見出した。
【0007】
別の論文では(例えば、非特許文献3参照)、イヌリン(ラフチリン)およびポリデキストロース(リテッセ)について、クッキーの潜在的な脂肪代用品として試験をしたことが開示されている。ポリデキストロースを用いて作製されたクッキー(脂肪の35%が代用されている)は、対照およびその他の低脂肪サンプルよりも著しく硬かった。一方、イヌリンを用いて作製されたクッキーは、同様の硬さを示した。しかし両方とも、特に脂肪の50%を代えると、対照クッキーよりも風味が著しくまずくなり、スプレッドが不十分になり、一般に受け容れられる点数が低くなった。
【0008】
ある文献は(例えば、非特許文献4参照)、いくつかの製品における脂肪の代用としての、イヌリンおよびオリゴフルクトースの添加について研究した。アンザッククッキーを、イヌリンを使用して作製した。アンザッククッキーは、特にその食感が、全脂肪製品よりも著しく低く評価された。
【0009】
ある文献は(例えば、非特許文献5参照)、Raftilose(糖代用品/フルクトオリゴ糖)、Simplesse(タンパク質ベースの脂肪代用品)、Novelose 330(難消化性デンプン)、およびカゼイン酸ナトリウム(乳タンパク質)を使用した、機能性ショート生地ビスケットの製造について開示している。最適な成分レベルは、小麦粉添加に対してNpvelose 330が14%、カゼイン酸ナトリウムが14.5%、Raftiloseが25%、Simplesse Dryが25%であることがわかった。全ての試みは、対照よりも著しく濃厚なビスケットを製造したことがわかった。
【0010】
これらの文献は、高繊維分成型クッキーの製造、または大量生産ベースで種々の成型デザインの製造を可能にする回転成型機の使用について、開示していない。
【0011】
Haynes他の文献(例えば、特許文献1、2、3、および4参照)は、少なくとも140℃で吸熱融解ピークを有し、強化されたクッキースプレッドや、キツネ色、心地良い香り、表面亀裂などの、予期せぬ優れたベーキング特性を示し、従来の小麦粉を用いて実現されたものに匹敵する高融点難消化性デンプンIII型を含む、デンプンベースの組成物を開示している。Haynes他のクッキー生地は、ポリデキストロースを含有してもよく、回転成型してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6013299号明細書
【特許文献2】米国特許第6352733号明細書
【特許文献3】米国特許第6613373号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0047963A1号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Bullock et al, "Replacement of Simple Sugars in Cookie Dough," Food Technology, pp. 82-85 (Jan. 1992)
【非特許文献2】Zoulias et al, "Effect of Sugar Replacement by Polyols and Acesulfame-K on Properties of Low-Fat Cookies," J. Sci. Food Agric., 80:2049-2056 (2000)
【非特許文献3】Zoulias et al, "Effect of Fat and Sugar Replacement on Cookie Properties," J. Sci. Food Agric., 82:1637-1644 (2002)
【非特許文献4】Devereux et al, "Consumer Acceptability of Low Fat Foods Containing Inulin and Oligofructose," J. Food Science, vol. 66, No. 5, pp. 1850-1854 (2003)
【非特許文献5】Gallagher et al, "Use of Response Surface Methodology to Produce Functional Short Dough Biscuits," J. Food Eng., 56:269-271 (2003)
【非特許文献6】AOAC, J. Assoc. Anal. Chem., 68(2) p. 399 (1985)
【非特許文献7】AOAC. Official Methods of Analysis, J. Assoc. Anal. Chem. 15th ed., pp. 1105-1106 (1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、イヌリンを含有する高繊維分クッキーの製造において、塊の形成を無くしかつ成型性能を改善するための方法を提供する。本発明により製造されたクッキーは、優れたクッキースプレッドと、色および食感の均一性を示し、デンプン様の後味または望ましくない暗色の斑点(ダークスポット)が無く、サクサクとした、しかし硬くなくかつ軟らかすぎない食感を示す。本発明の高繊維質クッキーは、過剰な生地の粘着性によって引き起こされる離型の問題が無い状態で、興味深く面白いエンボス加工または印影を有する様々な形状を実現するために、回転成型を使用して大量生産することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
イヌリンの一部を難消化性デンプンに代えることによって、イヌリンを含有する高繊維分クッキーの製造では、塊の形成が排除され成型性能が改善される。難消化性デンプンの添加およびイヌリンの量の減少によって、イヌリンの分散性も改善され、製品の感覚受容特性が改善され、そのクッキーの食感はサクサクになり、または硬く若しくは砂状になるのではなくてより軟らかくなる。また、繊維の組合せによって望ましくない後味が隠されまたは排除され、変色または暗色の斑点(ダークスポット)が取り除かれ、良好なクッキースプレッドが提供される。
【0016】
本発明の高繊維質成型クッキーは、少なくとも実質的に均質なプレブレンド粒状混合物を得るために、小麦粉などの穀粉の成分の全てまたは一部とイヌリンとを、好ましくは粉末ミキサで混合することによって製造することができる。プレブレンド混合物は、任意の残された穀粉成分、難消化性デンプン、少なくとも1種の糖、および少なくとも1種のショートニングまたは脂肪と混合して、少なくとも実質的に均質な生地を得ることができ、その後、この生地を小片に回転成型し、この小片をベークすることによって、回転成型クッキーが得られる。
【0017】
用いられるイヌリンの量は、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して約10重量%から約90重量%、好ましくは約25重量%から約75重量%、最も好ましくは約40重量%から約60重量%でよい。用いられるイヌリンおよび難消化性デンプンの総量は、小麦粉の重量に対して少なくとも約10重量%、好ましくは約12重量%から約25重量%、最も好ましくは約13重量%から約20重量%でよい。
【0018】
本発明の回転成型クッキーは、イヌリンおよび難消化性デンプンから得られた繊維分を、回転成型クッキーの重量に対して少なくとも約7重量%、好ましくは少なくとも約8重量%有してよい。繊維分は、塊として存在しているのではなく、または多量のショートニング若しくは脂肪および糖を含んでよいアイシングなどのトッピングの中に大量に含まれているのではなく、クッキー全体にわたって少なくとも実質的に均質に分散している。クッキー中に占めるショートニングまたは脂肪の含量は、回転成型クッキーの重量に対して約14重量%未満でよく、クッキーのカロリー量は、回転成型クッキー100g当たり約433Kcal未満にすることができる。回転成型クッキーは、様々な形状に成型することができる。好ましい実施形態では、回転成型クッキーは、人の顔、人体、動物の顔、動物の身体の形をとることができる。身体の小片および顔の小片のそれぞれは、これらの身体部分と顔部分とを一緒に合わせたときにパズルのピースのように完全な形が得られるよう、顔の小片と身体の小片とを一致させる部分を持たせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、イヌリンを含有する高繊維分クッキーの製造において、塊の形成を無くし、成型性能を改善するための方法を提供する。本発明により製造されたクッキーは、優れたクッキースプレッド、色および食感の均質性を示し、デンプン様の後味または望ましくない暗色の斑点(ダークスポット)が無く、サクサクとした、しかし硬くなくまたは軟らかすぎない食感を示す。
【0020】
イヌリンを含有する高繊維質クッキーは、イヌリンのかなりの部分を難消化性デンプンに代えることによって、イヌリンの塊および過剰な生地の粘着性および離型の問題を回避しながら様々な形状を実現するために、回転成型を使用して大量生産される。イヌリンを代えたとしても、難消化性デンプンは良好な繊維供給源であるので、クッキーの繊維分は依然として高い。本発明により得られた高繊維質生地からベークしたクッキーは、イヌリンおよび難消化性デンプンから得られた繊維分を、回転成型クッキーの重量に対して少なくとも約7重量%、好ましくは少なくとも約8重量%有することができる。回転成型クッキーは、高繊維分を持たない従来の回転成型クッキーで得られたものに匹敵する優れたクッキースプレッドを有する、はっきりとした明確な形状の境界と鋭く十分に画定されたエンボス加工および印影を保持している。高繊維質回転成型クッキーは、色および食感において少なくとも実質的な均質性を示し、少なくとも、イヌリンの不十分な分散性または塊の形成によって引き起こされる望ましくない暗色の斑点(ダークスポット)が実質的に無い。難消化性デンプンはイヌリンの後味を隠し、イヌリンは、難消化性デンプンのデンプン様の後味を隠す。大量のイヌリンによって得られた硬い食感を軟らかくするには、より軟らかく、しかしサクサクとした食感をもたらす量の、難消化性デンプンを使用して実現する。カロリーの低下、ショートニングまたは脂肪の含量、および糖分の低下は、イヌリンと難消化性デンプンとの組合せによって実現してもよい。遊びの価値を有する回転成型クッキーの栄養価を改善しかつカロリー低下を実現しながら、繊維分を増加することにより、子供にとって魅力的でより健康な製品が提供される。
【0021】
繊維分の決定に使用される方法は、文献(例えば、非特許文献6および7)に記載されている、食品中の総食物繊維(Total Dietary Fiber in Foods)に関するProsky法でよい。食品中の総食物繊維に関するAOAC法では、a)0.1mlのα−アミラーゼ、Sigma Chemical Co.で処理した後、b)5mgのプロテアーゼ、Sigma Chemical Co.で処理し、次いで0.3mlのアミログルコシダーゼ、Sigma Chemical Co.で処理し、d)エタノールにより可溶性繊維を沈殿させ、e)濾過および乾燥を行う。他に、同様に使用することのできる、食物繊維の含量を決定するためのより厳しい方法が、Haynes他の文献(例えば、特許文献1参照)の実施例1Bに開示されているが、その内容の全体を、参照により本明細書に組み込む。Haynes他の方法が採用され、これはAOACに記載されている食品中の総食物繊維に関するProsky法を、修正したものである。Haynes他が採用した方法は、より厳しく、より多くの量の酵素および凍結乾燥を含み、その結果、難消化性デンプンの収量についてはより低い値となる。
【0022】
本発明で用いられるイヌリンは、栄養補助食品として長く使用されてきた周知のβ−2−フルクトフラノース材料であり、商業上重要なものである。これは、様々な農作物、重要なことだがキクイモおよびチコリから得られた炭水化物材料である。イヌリンは前生物的であり、即ち、ビフィズス菌(bifidus)や乳酸菌(lactobacillus)などの望ましい細菌によって腸内で代謝される食材である。
【0023】
一般にイヌリンは、例えばチコリ、タマネギ、およびキクイモと、その他の一般的な植物源からの抽出によって分離された、清浄で乾燥した繊維性材料である。イヌリンは、様々な商業級の種類として入手可能である。純粋なイヌリンは、例えば、米国のRhone−PoulencからRAFTILINE(登録商標)という商標名で市販されており、また欧州のImperial Suicker Unie、LLCから市販されている。純粋なイヌリンは、その平均重合度(「DP」)が約9から10である。粉末形態で入手可能なRaftilineは、チコリの根から得られ、GFn分子の混合物である(但し、G=グルコース、F=フルクトース、およびn=結合されたフルクトース単位の数であり、約2から50超に及ぶ)。
【0024】
本発明で用いることができるイヌリンの別の商業的供給源は、Orafti Group、ベルギーによって製造されたBeneo(登録商標)イヌリンである。Beneo(登録商標)イヌリンは、微かに甘い味がしかつ後味が残らない、白色無臭の可溶性粉末である。これは、β(2−1)結合によって接続されたフルクトース単位からなる、オリゴ糖および多糖の混合物である。ほとんど全ての分子は、その末端がグルコース単位で終わっている。チコリイヌリンのフルクトースまたはグルコース単位の総数(重合度またはDP)は、主に2から60の間に及ぶ。
【0025】
乾燥キクイモ粉末、風味を無くしたタマネギ粉末、およびこれらの混合物など、それほど純度が高くないイヌリン供給源材料は、本明細書で使用するのにそれほど好ましくない。
【0026】
本発明で用いられる難消化性デンプンは、任意の市販されている、または知られている、酵素難消化性デンプン(RS)I、II、III、若しくはIV型、またはこれらの混合物を含む組成物でよい。用いることができる難消化性デンプンの例は、Haynes他の文献(例えば、特許文献1参照)に開示されている高融点RS III型デンプンと、熱処理したRS I、II、またはIV型デンプンであり、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。本発明で使用することができる、例示的な市販の酵素難消化性デンプン組成物は、Hi−Maize 240であって、かつては酵素難消化性顆粒状デンプン(RS III型成分)であるNovelose 240、酵素難消化性老化デンプン(RS III型成分過多成分、非顆粒状老化デンプン)であるNovelose 330と、Hi−maize 260であって、かつては顆粒状難消化性デンプンであるNovelose 260であり、それぞれがNational Starch and Chemical Co.、Bridgewater、NJで製造されたものであり、さらに、Opta food Ingredients,Inc.、Cambridge、MAによって製造された老化デンプンであるCrystaleanである。Novelose 330は、約7重量%の含水量と、Haynes他の文献(例えば、特許文献1参照)の実施例1Bの方法による約25重量%の難消化性デンプン含量と、それほど厳しくないAOAC法による約33%の食物繊維含量を有してよい。Hi−maize 260は、AOAC法991.43によって測定したときに60%の総食物繊維(TDF)を含有する、顆粒状難消化性デンプンである。Hi−maize 240は、繊維分析のためにAOAC法を使用して分析した場合、40%の総食物繊維に寄与する顆粒状難消化性デンプンである。Hi−maize 260は、本発明の回転成型クッキーで使用される、好ましい市販の難消化性デンプンである。
【0027】
本発明の実施形態において、用いることができるHaynes他の文献(例えば、特許文献1参照)に開示されている非常に高い融点の酵素難消化性デンプンIII型は、変調示差走査熱量測定(MDSC)によって測定したときに、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも145℃、最も好ましくは少なくとも約150℃の吸熱融点ピークを有することができる。非常に高い融点の酵素難消化性デンプン成分は、ベーキングによって実質的に変性せず、即ち、実質的に酵素難消化性のままであり、ベーキング後に繊維分析によって測定したときに、約0.5Kカロリー/g未満の低カロリー値を示す(100重量% RS III型、少なくとも140℃の融点または吸熱ピーク温度を有する)。単離された高融点酵素難消化性デンプンのエンタルピー値は、130℃から約160℃の温度で、約5ジュール/g超、好ましくは約8ジュール/gから、約15ジュール/gに及んでよい。Haynes他の文献(例えば、特許文献1参照)に開示されている、非常に高い融点のRS III型デンプンを含有する増量剤または粉末代用品を、本発明のクッキーに用いてもよい。
【0028】
用いられるイヌリンの量は、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して約10重量%から約90重量%、好ましくは約25重量%から約75重量%、最も好ましくは約40重量%から約60重量%でよい。繊維供給源としての、イヌリンのみまたは少量の難消化性デンプンの使用は、生地が形成されるよう混合している最中に、分散の問題が生じることがわかった。繊維の分散は、繊維の吸湿性および大量の繊維によって困難になり、その結果、塊が形成される。また、生地は、難消化性デンプンの量が少なすぎる場合、粘着性が高くなりすぎる傾向があり、成型性が低下する。さらに、イヌリンのみまたは少なすぎる難消化性デンプンを用いて製造されたクッキーは、微かに望ましくない後味と、より硬い食感と、少し暗すぎる色を示すことがわかった。難消化性デンプンは、感覚受容性および成型性を改善するが、イヌリンの代わりに使用される難消化性デンプンの量が増加するにつれて、クッキーの食感は軟らかくなりすぎる傾向があり、クッキーの風味は非常にデンプン様になってデンプン様の後味をもたらす傾向があることがわかった。
【0029】
本発明の回転成型クッキーの高繊維分を実現するには、用いられるイヌリンおよび難消化性デンプンの総量は、小麦などの粉末成分またはデンプン質材料の重量に対して少なくとも約10重量%、好ましくは約12重量%から約25重量%、最も好ましくは約13重量%から約20重量%でよい。
【0030】
本発明の高繊維質クッキー生地およびクッキーの製造において、イヌリンおよび難消化性デンプン成分と組み合わせることができる粉末成分またはデンプン質材料は、任意の粉砕した穀物または可食種子または野菜の粗挽き粉、またはこれらから得られたもの、およびこれらの混合物でよい。使用することができる粉末成分またはデンプン質材料の例は、小麦、コーンフラワー、挽き割りトウモロコシ、エンバク粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、ジャガイモ粉、グレインソルガム粉、タピオカ粉、グラハム粉、または、トウモロコシデンプンや小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、物理的および/または化学的に変性した粉末またはデンプン、例えばα化デンプンなどのデンプン、およびこれらの混合物である。粉末は、漂白しても漂白しなくてもよい。小麦、または小麦とその他の穀粉との混合物が、好ましい。
【0031】
本発明の組成物で使用される、小麦などの粉末成分の総量は、例えば、生地の重量に対して約20重量%から約80重量%、好ましくは約45重量%から約75重量%に及んでよい。他に指示しない限り、全ての重量パーセンテージは、フレーバチップやナッツ、レーズンなどの含有物を除いた本発明の生地または配合物を形成する、全成分の全重量を基にする。したがって「生地の重量」は、含有物の重量を含まない。
【0032】
粉末成分は、その一部を、成型性、クッキーの食感、およびクッキースプレッドに悪影響を及ぼさない量で、ポリデキストロースやホロセルロース、微結性セルロース、これらの混合物などの従来の粉末代用品または増量剤に代えることができる。コーンブラン、小麦ブラン、オート麦ブラン、米糠、およびこれらの混合物などを、粉末成分の代わりに部分的に用いて、色を強めまたは食感に影響を及ぼしてもよい。
【0033】
本発明で製造された製品の食感を変えるのに使用することができる、プロセス適合成分には、スクロース、フルクトース、ラクトース、デキストロース、ガラクトース、マルトデキストリン、コーンシロップ固形分、水素化デンプン加水分解物、タンパク質加水分解物、グルコースシロップ、およびこれらの混合物などの糖が含まれる。フルクトース、マルトース、ラクトース、およびデキストロースなどの還元糖、または還元糖の混合物は、褐色の着色を促進させるのに使用してよい。フルクトースは、容易に入手可能であり、かつ全体的にその褐色の着色および風味の発生作用がより高まるので、好ましい還元糖である。フルクトースの例示的な供給源には、転化シロップ、高フルクトースコーンシロップ、糖蜜、ブラウンシュガー、メープルシロップ、およびこれらの混合物などが含まれる。
【0034】
糖などの食感付与成分は、結晶性または顆粒状スクロース、顆粒状ブラウンシュガー、または結晶性フルクトースなどの固体または結晶形態にあり、あるいはスクロースシロップや高フルクトースコーンシロップなどの液体形態にある、その他の成分と混合することができる。本発明の実施形態において、高フルクトースコーンシロップ、マルトース、ソルボース、ガラクトース、コーンシロップ、グルコースシロップ、転化シロップ、蜂蜜、糖蜜、フルクトース、ラクトース、デキストロース、およびこれらの混合物などの湿潤性の糖を使用して、ベーク製品の噛み応えを高めてもよい。
【0035】
湿潤性の糖の他に、糖ではなくまたはスクロースに比べて甘さが少ないその他の湿潤性物質または湿潤性物質の水溶液を、生地またはバターに用いてもよい。例えばグリセロール、マンニトールやマルチトール、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコール、およびその他のポリオールを、湿潤性物質として使用してよい。湿潤性ポリオール(即ち、多価アルコール)のその他の例には、グリコール、例えばプロピレングリコールと、水素化グルコースシロップが含まれる。その他の湿潤性物質には、糖エステル、デキストリン、水素化デンプン加水分解物、およびその他のデンプン加水分解生成物が含まれる。
【0036】
本発明の実施形態において、本発明の生地の糖固形分の全含量または食感付与成分の含量は、生地の重量に対して0から約50重量%まで、好ましくは約10重量%から約25重量%に及んでよい。
【0037】
糖固形分は、その全体または一部を、成型性、クッキーの食感、およびクッキースプレッドに悪影響を及ぼさない量のポリデキストロース、ホロセルロース、微結晶性セルロース、およびこれらの混合物などの従来の糖代用品または従来の増量剤に代えてもよい。ポリデキストロースは、本発明の低カロリーベークド製品を作製するための、好ましい糖代用品または増量剤である。例示的な代用品の量は、元々の糖固形分含量の少なくとも約10重量%、例えば約15重量%から約25重量%でよい。
【0038】
本発明の実施形態において、従来の糖代用品、従来の増量剤、または従来の粉末代用品、好ましくはポリデキストロースの量は、生地の重量に対して約3重量%から約15重量%でよい。用いることができる、市販されているポリデキストロースの例は、Danisco製のLitesse II(70重量%溶液)である。
【0039】
本発明の生地の含水量は、生地の適正な形成、機械加工、および成型を可能にする所望のコンシステンシーが得られるように、十分であるべきである。本発明の生地の全含水量は、別々に添加された成分として含まれる全ての水、並びに粉末(通常、約12重量%から約14重量%の水分を含有する)によって提供された水分、イヌリンおよび難消化性デンプン成分の含水量、および高フルクトースコーンシロップ、転化シロップ、またはその他の液体湿潤性物質などの配合物中に含まれるその他の生地添加剤の含水量を含むことになる。
【0040】
別々に添加された水を含む生地またはバターの水分の、全ての供給源を考慮すると、本発明のクッキー生地またはバターの全含水量は、生地の重量に対して一般に約35重量未満であり、好ましくは約30重量%未満、例えば約10重量%から約20重量%である。
【0041】
本発明の生地およびベークド製品を得るのに使用することができる油性組成物は、任意の知られているショートニング、または脂肪ブレンド、またはベーキングの適用分野に有用な組成物を含んでよく、これらは従来の食品級乳化剤を含んでよい。分画され、部分水素化され、かつ/またはエステル交換された植物油、ラード、魚油、およびこれらの混合物は、本発明で使用することができるショートニングまたは脂肪の例である。プロセス適合性である、食用の減または低カロリーの部分消化性または非消化性脂肪、脂肪代用品、またはスクロースポリエステルやトリアシルグリセリドなどの合成脂肪を、使用してもよい。硬質および軟質脂肪またはショートニングと油との混合物は、油性組成物の所望のコンシステンシーまたは融解プロファイルを実現するのに使用することができる。本発明で使用される油性組成物を得るのに使用することができる食用トリグリセリドの例には、大豆油、パーム核油、パーム油、菜種油、紅花油、ゴマ油、ヒマワリ種子油、およびこれらの混合物などの、植物供給源から得られた天然に生ずるトリグリセリドが含まれる。鰯油、ニシン油、ババスー油、ラード、および獣脂などの、魚油および動物油を使用してもよい。合成トリグリセリド、並びに脂肪酸の天然トリグリセリドは、油性組成物を得るのに使用してもよい。脂肪酸は、8から24個の炭素原子の鎖長を有することができる。例えば約75°Fから約110°Fの室温で固体または半固体であるショートニングまたは脂肪を使用することができる。
【0042】
クッキー中に占めるショートニングまたは脂肪の含量は、回転成型クッキーの重量に対して約14重量%未満でよい。本発明により製造することができるベークド物品には、減脂肪、低脂肪、または無脂肪製品でもある減カロリーベークド物品が含まれる。本明細書で使用される減脂肪食品とは、その脂肪分が、標準または従来の製品から少なくとも25重量%減少した製品である。低脂肪製品は、基準量またはラベルサービング当たりの脂肪が3g以下の脂肪分を有する。しかし、基準量が小さい場合(即ち、基準量が30g以下、またはテーブルスプーン2杯以下)、低脂肪製品は、この製品50g当たり3g以下の脂肪分を有する。無脂肪またはゼロ脂肪製品は、その脂肪分が、基準量当たりおよびラベルサービング当たり0.5g未満の脂肪分である。クッキーの場合、その基準量は30gである。したがって、このように低脂肪クッキーの脂肪分は、最終製品50g当たり3g以下の脂肪であり、または最終製品の全重量に対して約6%以下の脂肪である。
【0043】
前述の事項の他に、本発明の生地は、従来からクッキーに用いられてきたその他の添加剤を含むことができる。そのような添加剤には、例えば、ミルクの副製品、卵または卵の副製品、ココア、バニラ、またはその他の香料、並びにナッツ、レーズン、ココナツ、チョコレートチップやバタースコッチチップ、キャラメルチップなどのフレーバ付きチップなどの含有物を、従来の量で含めることができる。
【0044】
ベークド物品の含有物に適したタンパク質の供給源は、メイラードブラウニングを促進させるために本発明の生地に含めることができる。タンパク質の供給源には、脱脂粉乳固形分、乾燥または粉末化した卵、およびこれらの混合物を含めてよい。タンパク質供給源の量は、例えば、生地の重量に対して約5重量%にまで及んでよい。
【0045】
本発明の生地組成物は、生地の重量に対して約5重量%までの膨張系を含有してよい。使用することができる化学膨張剤またはpH調節剤の例には、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸一カルシウム、リン酸二アンモニウム、酒石酸、およびこれらの混合物などの、アルカリ性材料および酸性材料が含まれる。酵母は、単独でまたは化学膨張剤と組み合わせて使用することができる。
【0046】
本発明の生地は、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、およびソルビン酸などの、抗真菌薬または保存剤を含んでよい。例示的な量は、微生物貯蔵安定性を確実にするために、生地の約1重量%にまで及んでよい。
【0047】
乳化剤は、本発明の生地の中に、有効な乳化量で含めてよい。使用することができる例示的な乳化剤には、モノおよびジグリセリド、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、乳酸ステアロイル、およびこれらの混合物が含まれる。使用することができるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、およびこれらの混合物などの、水溶性ポリソルベートである。使用することができる天然レシチンの例には、大豆、菜種、ヒマワリ、またはトウモロコシなどの植物由来のもの、および卵黄などの動物源由来のものが含まれる。大豆油由来のレシチンが好ましい。乳酸ステアロイルの例は、ナトリウムステアロイルラクチレート、カルシウムステアロイルラクチレート、およびこれらの混合物などの、アルカリおよびアルカリ土類乳酸ステアロイルである。使用することができる乳化剤の例示的な量は、生地の約3重量%にまで及んでよい。
【0048】
本発明の生地の製造は、従来の混合装置を使用して行うことができる。塊の形成を避けるには、および少なくとも実質的に均質なイヌリン分散を得るには、実質的に均質な粒状混合物が得られるようにイヌリン成分を粉末成分とプレブレンドし、これをその他の生地成分と混合することができる。イヌリンおよび粉末成分は、粉末ミキサで、または、Buehler AG、Uzwil、スイスにより製造されたSpeedmix High Speed Mixer Model DFML 2000などの、チョッパシステムおよび回転羽若しくはパドルを備えていてもよい高速ミキサで、またはダブルコーンミキサで混合することができる。イヌリンは、プレブレンドを形成するために、粉末ミキサ内で、小麦などの粉末成分の全てまたは一部と混合することができる。例えば、本発明の実施形態では、生地の全小麦含量の100重量%を、イヌリンとプレブレンドすることができる。その他の実施形態では、イヌリンを、生地の全小麦含量の約15重量%から約50重量%とプレブレンドすることができる。粉末成分の残りの部分は、クッキー生地製造プロセスの生地形成段階中に、別々に添加することができる。
【0049】
本発明の生地は、クリーミング段階および生地形成段階を使用して、直立または垂直ミキサなどのクッキー生地の大量生産に使用される従来の混合装置で混合を行いながら製造することができる。クリーミング段階では、実質的に均質なクリーム状混合物を得るために、糖、香料、膨張剤、およびショートニングまたは脂肪を、従来の混合時間および速度を使用して混合することができる。生地形成段階では、イヌリンおよび粉末成分のプレブレンド、粉末の残り、および難消化性デンプンを添加し、従来の混合時間および速度を使用してクリーム状混合物と混合することにより、実質的に均質な生地を得ることができる。
【0050】
次いで本発明の高繊維分クッキー生地は、回転成型機によって個々の小片に形成することができる。Weidenmuller Co.、Morton Grove、Illにより製造されたものなど、市販の回転成型機を本発明で使用してもよい。回転成型装置は、一般に、回転供給ドラムを含む。回転供給ドラムに隣接しかつ周辺接触した状態で、回転成型ダイロールが位置決めされている。回転成型ダイロールは、その周面の周りの特定の配置構成に位置決めされた複数のダイカップまたは成型キャビティを備える。ダイカップおよびそれぞれ成型された生地の小片は、異なる形状および異なるエンボスまたは印影パターンを有することができ、例えば、異なる人または動物の身体形状、および/または異なる頭部形状を有することができる。
【0051】
個々の小片は、回転成型機からオーブンに移すことができる。従来のベーキングオーブンを、回転成型された小片をベークするのに使用してもよい。ガス燃焼型でありかつ最上部および底部加熱手段を備えたマルチゾーンバンドオーブンが好ましい。ベーキングオーブンは、連続オープンメッシュバンドを備えていてもよい。
【0052】
ベーキング時間および温度は、異なる生地またはバター配合物、オーブンタイプなどに合わせて変化することになるが、一般に、商用のクッキーベーキング時間は、約2.5分から約15分に及ぶ可能性があり、ベーキング温度は約250°F(121℃)から約600°F(315℃)に及ぶ可能性がある。
【0053】
本発明のベークド製品は、保存剤が入っていない微生物貯蔵安定性に関し、約0.7未満、好ましくは約0.6未満の相対蒸気圧(「水分活性」)を有することができる。本発明のクッキーまたはビスケット製品の水分は、含有物を除いたベークド製品の重量に対して、一般に約20重量%未満の含水量を有することができ、例えばクッキーの場合は約2重量%から約9重量%である。
【0054】
高繊維質の回転成型されたクッキーは、円形、四角形、三角形、楕円形、長方形などの様々な形状に、好ましくは、人、動物、魚、または蝶、人形、漫画のキャラクタ、自動車、およびおもちゃなどの形をした形状およびデザインに、成型することができる。好ましい実施形態では、回転成型クッキーは、人の顔、人体、動物の顔、および動物の身体の形をとることができる。身体小片のそれぞれ、および顔の小片のそれぞれは、顔の小片と身体の小片とを一致させるための部分を有することができ、したがって、身体部分と顔の部分とを1つに合わせたときに、パズルピースのように完全な形が得られる。例えば、身体小片は、丸みの付いた顔の小片を繋げることができる、ギザギザのまたは凹形の部分を有してよい。種々の顔の小片を、与えられた身体小片に合わせまたは一致させることができ、またその逆も同様であり、それによって、顔と身体との様々な組合せが得られ、その結果、子供達にとって楽しくまたは面白い価値が与えられ、同時に栄養学的に健康な食品の消費が促進される。
【0055】
本発明の高繊維質クッキー生地またはバター組成物は、回転成型されるチョコレートクッキー、バニラクッキー、ミルククッキー、バタークッキー、ビスケット、チョコレートチップクッキー、オートミールクッキー、フルーツクッキー、シュガークッキー、アニマルクラッカー、およびサンドイッチクッキーなどの製造に使用することができる。
【0056】
本発明を、下記の実施例によってさらに例示するが、他に指示しない限り、全ての部、比、およびパーセンテージは重量によるものであり、圧力は大気圧であり、全ての温度は℃を単位とする。
【実施例1】
【0057】
塊および暗色の斑点(ダークスポット)を形成することなく、かつサクサクした食感と、はっきりとした明確な人体および人の顔または頭の形のエンボス加工または印影とを有する状態で、クッキー全体にわたって少なくとも実質的に均一に分散されたイヌリンを含有する、本発明による高繊維分回転成型チョコレートクッキーを作製するのに使用することができる成分およびその相対量は、下記の通りである。
【0058】
【表1】

【0059】
イヌリンプレブレンドは、均質な粒状混合物が得られるようにダブルコーンミキサで、Orafti Group、ベルギーにより製造されたBeneo(登録商標)イヌリンと小麦粉とを混合することによって、製造することができる。混合は、約30分間にわたり約20rpmの混合速度で実行することができる。
【0060】
クリーミング段階では、砂糖、カラメル色素、ココアパウダー、重炭酸ナトリウム、塩、リン酸一カルシウム、脱脂粉乳、大豆レシチン、乳化剤、重炭酸アンモニウム、ビタミンミックス、フレーバー、水素化植物脂肪、水、および転化糖を、垂直ミキサに添加し、約35rpmで約4分間混合することにより、実質的に均質なクリーム状混合物を得ることができる。
【0061】
生地形成段階では、小麦粉の一部、例えば小麦粉の約50重量%を、垂直ミキサ内のクリーム状混合物の最上部に添加してよい。次いでイヌリンと小麦粉とのプレブレンドを、既に添加した小麦粉の最上部に添加し、その後、残りの小麦粉を添加し、次いで難消化性デンプンを添加することができる。成分の全てを、約35rpmで約2.5分間混合することにより、実質的に均質な高繊維分クッキー生地を得ることができる。
【0062】
クッキー生地を回転成型機に供給し、個々のクッキー生地の小片に成型することができ、この小片のおよそ半分は、それぞれが人体形状の明確なエンボス加工または印影を有しており、残りの小片は、それぞれが人の顔の形をした明確なエンボス加工または印影を有している。回転成型機により製造された、人の顔の小片または頭の小片は、同じ形状およびデザインを有してもよく、または複数の互いに異なる形状およびデザインを有していてもよい。また、回転成型機により製造された人体の小片も、同じ形状およびデザインを有していてもよく、または複数の互いに異なる形状およびデザインを有していてもよい。
【0063】
回転成型された生地の小片は、回転成型機によって生地の小片に与えられた、明確なエンボス加工または印影と人体および人の顔の形状とを実質的に保持する高繊維分クッキーを得るために、マルチゾーンバンドオーブン内で貯蔵安定な含水量になるまでベークすることができる。生地の小片を、約338°Fから約482°Fの温度で約4分間から約10分間ベークすることにより、本発明の高繊維分回転成型クッキーを得ることができる。
【0064】
クッキーの繊維分は、食物繊維分析に関するAOAC法によって測定したときに、製品100g当たり約8.5gの繊維を有することができる。クッキーのイヌリン含量と難消化性デンプン含量との比は、約1.0:1.04である。クッキーのイヌリンおよび難消化性デンプンの全含量は、小麦粉の全重量に対して約14.2重量%である。クッキーの脂肪分は、製品100g当たり約12.7gの脂肪でよい。クッキーのカロリー量は、製品100g当たり約409Kcalでよい。
【0065】
人の頭または顔のクッキーおよび人体のクッキーのそれぞれは、1つに見える完全な人体の形を得るために、パズルピースのように、任意の頭のクッキーが任意の人体のクッキーと整合するような形状を首の部位に有することができる。
【実施例2】
【0066】
塊および暗色の斑点(ダークスポット)を形成することなく、かつサクサクした食感と、はっきりとした明確な人体および人の顔または頭の形のエンボス加工または印影とを有する状態で、クッキー全体にわたって少なくとも実質的に均一に分散されたイヌリンを含有する、本発明による高繊維分回転成型ミルクフレーバー付きクッキーを作製するのに使用することができる成分およびその相対量は、下記の通りである。
【0067】
【表2】

【0068】
クリーミング段階では、砂糖、重炭酸ナトリウム、塩、リン酸一カルシウム、脱脂粉乳、大豆レシチン、乳化剤、重炭酸アンモニウム、ビタミンミックス、フレーバー、水素化植物脂肪、水、および転化糖を、垂直ミキサに添加し、約35rpmで約4分間混合することにより、実質的に均質なクリーム状混合物を得ることができる。
【0069】
生地形成段階では、小麦粉の一部、例えば小麦粉の約50重量%を、垂直ミキサ内のクリーム状混合物の最上部に添加してよい。次いで実施例1と同様に作製されたイヌリンと小麦粉とのプレブレンドを、既に添加した小麦粉の最上部に添加し、その後、残りの小麦粉を添加し、次いで難消化性デンプンを添加することができる。成分の全てを、約35rpmで約2.5分間混合することにより、実質的に均質な高繊維分クッキー生地を得ることができる。
【0070】
クッキー生地を回転成型機に供給し、個々のクッキー生地の小片に成型することができ、この小片のおよそ半分は、それぞれが人体形状の明確なエンボス加工または印影を有しており、残りの小片は、それぞれが人の顔の形をした明確なエンボス加工または印影を有している。回転成型機により製造された、人の顔の小片または頭の小片は、同じ形状およびデザインを有してもよく、または複数の互いに異なる形状およびデザインを有していてもよい。また、回転成型機により製造された人体の小片も、同じ形状およびデザインを有しもよく、または複数の互いに異なる形状およびデザインを有していてもよい。
【0071】
回転成型された生地の小片は、回転成型機によって生地の小片に与えられた、明確なエンボス加工または印影と人体および人の顔の形状とを実質的に保持する高繊維分クッキーを得るために、マルチゾーンバンドオーブン内で貯蔵安定な含水量になるまでベークすることができる。生地の小片を、約338°Fから約482°Fの温度で約4分間から約10分間ベークすることにより、本発明の高繊維分回転成型クッキーを得ることができる。
【0072】
クッキーの繊維分は、食物繊維分析に関するAOAC法によって測定したときに、製品100g当たり約8.5gの繊維でよい。クッキーのイヌリン含量と難消化性デンプン含量との比は、約1.0:1.08である。クッキーのイヌリンおよび難消化性デンプンの全含量は、小麦粉の全重量に対して約13.2重量%である。クッキーの脂肪分は、製品100g当たり約13.5gの脂肪でよい。クッキーのカロリー量は、製品100g当たり約424Kcalでよい。
【0073】
パズルピースのように、頭の形のクッキーが他の人体の形のクッキーと組み合わされて、一体として完全なヒトの形状を形成するように、ヒトの頭または顔の形のクッキーおよび人体の形のクッキーは、それぞれのクビの部位(接合部位)に整合するための形状を有していてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)小麦粉と、
b)少なくとも1種の砂糖と、
c)少なくとも1種のショートニングまたは脂肪と、
d)イヌリンと、
e)難消化性デンプンと
の少なくとも実質的に均質な混合物を含み、
イヌリンおよび難消化性デンプンの総量が、小麦粉の重量に対して少なくとも10重量%であり、イヌリンの量が、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して10重量%から90重量%であり、クッキーの繊維分が、回転成型したクッキーの重量に対して少なくとも7重量%であることを特徴とする高繊維質回転成型クッキー。
【請求項2】
イヌリンの量は、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して25重量%から75重量%であることを特徴とする請求項1に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項3】
イヌリンの量は、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して40重量%から60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項4】
イヌリンおよび難消化性デンプンの総量は、小麦粉の重量に対して12重量%から25重量%であることを特徴とする請求項1に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項5】
イヌリンおよび難消化性デンプンの総量は、小麦粉の重量に対して12重量%から25重量%であることを特徴とする請求項2に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項6】
イヌリンおよび難消化性デンプンの総量は、小麦粉の重量に対して12重量%から25重量%であることを特徴とする請求項3に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項7】
クッキー中に占めるショートニングまたは脂肪の含量は、回転成型クッキーの重量に対して14重量%未満であり、クッキーのカロリー量は、回転成型クッキー100g当たり433Kcal未満であることを特徴とする請求項2に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項8】
クッキー中に占めるショートニングまたは脂肪の含量は、回転成型クッキーの重量に対して14重量%未満であり、クッキーのカロリー量は、回転成型クッキー100g当たり433Kcal未満であることを特徴とする請求項3に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項9】
顔または身体の形状に形成され、顔の形のクッキーおよび身体の形のクッキーは、組み合わされて、一体として完全なヒトの形状を形成するように、それぞれの接合部位に整合するための形状を有することを特徴とする請求項1に記載の高繊維質回転成型クッキー。
【請求項10】
a)小麦粉と、
b)少なくとも1種の砂糖と、
c)少なくとも1種のショートニングまたは脂肪と、
d)イヌリンと、
e)難消化性デンプンと
の少なくとも実質的に均質な混合物を含み、
イヌリンおよび難消化性デンプンの総量が、小麦粉の重量に対して12重量%から25重量%であり、イヌリンの量が、イヌリンおよび難消化性デンプンの全重量に対して40重量%から60重量%であり、回転成型された生地は、回転成型されたクッキーの重量に対して少なくとも7重量%の繊維分を有する回転成型クッキーにベークすることが可能であることを特徴とする高繊維質回転成型クッキー生地。

【公開番号】特開2011−167211(P2011−167211A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130272(P2011−130272)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【分割の表示】特願2009−541290(P2009−541290)の分割
【原出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(508247877)クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー (53)
【Fターム(参考)】