イブプロフェンの正荷電水溶性プロドラッグ
式(1)で表されるイブプロフェンの新規な正荷電プロドラッグを合成した。これらのプロドラッグの正に荷電されたアミノ基は、薬物の溶解性を大いに増大させるだけでなく、膜のホスファート頭基上の負電荷と結合し、プロドラッグを細胞質ゾルの中に押し込む。プロドラッグ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、イブプロフェン自体よりも〜250倍速く、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートよりも〜125倍速く人の皮膚を通して拡散する。プロドラッグは人又は動物におけるイブプロフェン治療可能な状態の治療に、経口投与だけでなく経皮投与でも医薬的に使用され、たいていのイブプロフェンの副作用を回避し得る。プロドラッグの制御経皮投与システムは、イブプロフェンが絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、イブプロフェンの副作用を減少させることを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)の正に荷電された水溶性プロドラッグの調製剤、及び人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療する際のその医薬用途に関する。とりわけ、本発明はイブプロフェンの使用と関連する副作用を克服するためにある。これらのプロドラッグは経口又は経皮投与され得る。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬のプロピオン酸グループのうちの一つである。イブプロフェンの合成は、最初は1964年に報告され(J.S. Nicholson and S.S. Adams, Br. Patent No. 971,700)、初めにヨーロッパで医薬的に使用された。イブプロフェンは、抗炎症及びプロスタグランジン生合成抑制検定においてアスピリンよりも効力がある。「米国医薬品集」(PDR Generics, 1996, second edition, Medical Economics, Montvale, New Jersey, pg 243)にはイブプロフェンの多くの医薬用途が記載されている。イブプロフェンは、関節リウマチ及び変形性関節症症状の軽減、解熱、並びに月経困難症の治療のために使用される。イブプロフェンは単独で又は補助薬として、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方の治療で使用される。イブプロフェンはまた、子宮内避妊器具関連性子宮出血に使用され、骨盤照射を受けている患者における悪心の激しさを予防的に減少させるため及び放射線誘発性嘔吐を予防するために使用される。イブプロフェンはまた、糖尿病性神経障害、急性片頭痛に対して処方され、血友病性関節症に使用される。イブプロフェンはまた、骨喪失の治療(Jee; Webster S. S. U.S. Pat. No. 5,604,259)、日焼けの予防又は治療(Sunshine: Abraham. U.S. Pat. No. 5,100,918)に使用される。
【0003】
残念ながら、多くの副作用がイブプロフェンの使用と関連し、最も著しくは胃腸障害であり、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍及び胃炎である。Fishman(Fishman; Robert, U.S. Pat. No. 7,052,715)は、経口薬物治療と関連した追加的な課題が、疼痛又は炎症のある末端部を効果的に治療するためには、血流中で達成されなければならない濃度レベルが有意でなければならないということである、と指摘した。これらのレベルは、しばしば、疼痛又は損傷のある特定部位を正確に標的とすることが可能である場合に必要となるレベルよりもずっと高い。Fishman及びその他多くは(Van Engelen et al. U.S. Pat. No. 6,416,772; Macrides et al. U.S. Pat. No. 6,346,278; Kirby et al. U.S. Pat. No. 6,444,234, Pearson et al. U.S. Pat. No. 6,528,040, and Botknecht et al. U.S. Pat. No. 5,885,597)、配合物による経皮応用伝達システムを発展させようとした。しかしながら、有効血漿レベルのイブプロフェンを配合物によって患者(host)に伝達することは非常に難しい。Susan Milosovichらはテストステロニル−4−ジメチルアミノブチラート塩酸塩(testosteronyl-4-dimethylaminobutyrate.HCl)(TSBH)を設計し、調製した。これは親油性部分及び生理学的pHではプロトン化された形態で存在する第3級アミン基を有する。彼らは、プロドラッグ(TSBH)は、薬物(TS)それ自体よりも〜60倍速く人の皮膚を通して拡散することを見出した[Susan Milosovich, et al., J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イブプロフェンは30年間を超える期間、医薬的に使用されており、抗炎症及びプロスタグランジン生合成抑制においてアスピリンよりも効力がある。イブプロフェンは、関節リウマチ及び変形性関節症症状の軽減、軽度から中程度の疼痛の軽減、解熱、並びに月経困難症の治療のために適応される。イブプロフェンは単独で又は補助薬として、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方の治療で使用される。イブプロフェンはまた、糖尿病性神経障害、急性片頭痛に対して処方され、血友病性関節症に使用される。イブプロフェンはまた、子宮内避妊器具関連性子宮出血に使用され、骨盤照射を受けている患者における悪心の激しさを予防的に減少させるため及び放射線誘発性嘔吐を予防するために使用される。
残念ながら、多くの副作用がイブプロフェンの使用と関連し、最も著しくは胃腸障害であり、例えば、消化不良、胸焼け、嘔吐、胃十二指腸出血、胃潰瘍及び胃炎である。イブプロフェンにより誘発される胃十二指腸出血は一般的に無痛性であるが、便による血液の喪失を招く可能性があり、持続性鉄欠乏性貧血を引き起こし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、イブプロフェンの新規な正荷電プロドラッグの調製及びそれらの医薬用途に関する。これらのプロドラッグは式(1)の構造を有する。
【化1】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、全てのR基はC、H、O、S、N原子を含んでもよく、単結合、二重結合及び三重結合を有してもよい。CH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【0006】
薬物吸収は、胃腸管からであろうと他の部位からであろうと、薬物が分子形で障壁膜を横断して通過することを必要とする。薬物は初めに溶解しなければならず、もし薬物が望ましい生物薬剤的性質を有しているならば、高濃度の領域から低濃度の領域へと膜を横断して通過し、血液循環又は体循環に入るだろう。全ての生物学的膜は主要な構成成分として脂質を含有している。膜の形態について主要な役割を果たしている分子は、全てホスファート含有高極性頭基(head group)を有し、たいていの場合、2つの高疎水性炭化水素尾部(tail)を有している。膜は2分子膜であり、その2つの親水性頭基は両側にある水性領域へと外側を向いている。非常に親水性な薬物は膜の疎水性層を通過することができず、非常に疎水性な薬物はそれらの類似性のため膜の一部として疎水性層に留まり、内側にある細胞質ゾルに能率的に入ることができないだろう。
【0007】
本発明の目的は、胃液中でのイブプロフェンの溶解性を増大させること、並びにイブプロフェンを経皮投与可能(局所応用)にさせるであろう、膜及び皮膚障壁を通してのイブプロフェンの透過率を増大させることにより、イブプロフェンの副作用を回避することである。これらの新規なイブプロフェンのプロドラッグは共通して2つの構造的特徴を有している。これらは、親油性部分及び生理学的pHではプロトン化された形態(親水性部分)で存在する第1級、第2級又は第3級アミン基を有している。膜障壁を通しての能率的な通過のためには、このような親水性親油性バランスが必要とされる[Susan Milosovich, et al., J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。正に荷電されたアミノ基は薬物の溶解性を大きく増大させる。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(diethylaminoethyl 2-(p-isobutylphenyl)propionate.AcOH)及び2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)の水中での溶解性は、>300mg及び0.05mg/mlであった。多くの例では、一連の中での最も遅い又は律速段階は薬物の溶解である。イブプロフェンは胃液中で非常に低い溶解性を有する。イブプロフェンは胃腸管に長時間滞留し、そのため胃粘膜細胞に損傷を引き起こし得る。これらの新規なプロドラッグは、錠剤、カプセル剤、液剤又は懸濁剤のような投与形態で経口投与されると、直ちに胃液中で溶解するだろう。これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、プロドラッグを半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中に押し込む。胃腸管での短い滞留のため、プロドラッグは胃粘膜細胞に損傷を引き起こさないだろう。
【0008】
ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩及び2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸の人の皮膚を通しての透過率は、修正フランツ(Franz)細胞を使用することによって試験管内で測定された。修正フランツ細胞は前大腿部及び後大腿部のヒト皮膚組織(厚さ360〜400μm)から単離された。受容液(receiving fluid)は生理食塩水中2%ウシ血清アルブミン10mlからなり、600rpmで撹拌した。時間に対する、皮膚を透過する2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の累積量を特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。pH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)2mL中、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)30%懸濁液、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート30%懸濁液、及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩30%溶液のいずれかからなるドナーを使用して得た結果を図1に示す。イブプロフェン、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート(2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸の正に荷電されていない通常のエステル)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩に対して、0.5mg、1mg及び125mg/cm2/hという明白な流速値を計算した。本結果は、プロドラッグ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸それ自体よりも〜250倍速く、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートよりも〜125倍速く人の皮膚を通して拡散することを示す。通常のエステル、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート、及び2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸それ自体は非常に類似した透過率を有している(2倍の差にすぎない)。本結果は、ジアルキルアミノエチル基上の正電荷は、薬物が膜及び皮膚障壁を横断して通過することにおいて非常に重要な役割を有していることを示す。式(1)で表される他のプロドラッグは非常に高い透過率を有し、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の透過率と非常に近似している。
【0009】
生体内での、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の無処理ヘアレスマウスの皮膚を通しての透過率を比較した。イソプロパノール1mL中、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)又はジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の30%溶液どちらかからなるドナーをヘアレスマウスの背中1cm2に塗布した。イブプロフェン及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートの血漿レベルを、特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。本結果(図2)は、ドナー系の塗布後、〜30分でジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートのピークレベルに達したことを示す。イブプロフェンを経口投与するとき、イブプロフェンがピークレベルに達するのに1〜2時間かかる。2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)のピークは〜0.2mg/mlであり、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩のピークは〜12mg/mlである(ほぼ60倍の差)。血漿中〜10mg/mlの2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸は、効果的な鎮痛及び抗炎症活性を生じるための2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸血漿レベルよりも30倍を超えて高い。これは非常に興奮させる結果である。これらのプロドラッグによって患者に治療有効血漿レベルの2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸を送達することは、非常に容易で迅速であろう。これらの結果は、様々な薬物治療のために、プロドラッグを経口投与だけでなく、経皮投与もし得ることを示す。生体内での、式(1)で表される他のプロドラッグの透過率は、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の透過率と近似している。
【0010】
薬物によって引き起こされる胃十二指腸出血を調べるため、ラット(2つのグループがあり、それぞれのグループには10匹のラットがいる)に、1日当たりイブプロフェン又はジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩100mg/kgを21日間経口投与した。私たちは、イブプロフェンを投与したグループでは便のグラムあたり平均4mgの便血液があり、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩を投与したグループでは便血液がないことを見出した。
【0011】
イブプロフェンは抗炎症、鎮痛、解熱及び抗リウマチ活性を示す。良いプロドラッグは血漿中で薬物それ自体に戻るべきである。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩のジエチルアミノエチルエステル基は、試験管内でヒト血漿中酵素によって速やかに切り離され、90%を超えるプロドラッグがイブプロフェンに変化して戻る。はるかに高い吸収率を有するプロドラッグのため、プロドラッグは同用量でイブプロフェンそれ自体よりも強い作用を有するだろう。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の鎮痛、解熱及び抗炎症活性を、対照としてイブプロフェンを使用して試験した。式(1)で表される他の化合物を同じ方法により試験したところ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の結果と非常に類似した結果を有する。
【0012】
鎮痛活性:マウス尻尾の痛覚閾値延長時間をD'Amour-Smith法(J. Pharmacol. Exp.
Ther., 72,74(1941))に従って測定した。イブプロフェン200mg/kgを経口投与、並びにジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩200mg/kgを経口及び経皮投与した後、マウスの尻尾を熱にさらし、痛覚閾値延長時間を測定した。得られた結果を図3に示す。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩200mg/kgを経口投与したグループ(C)及び経皮投与したグループ(D)は、イブプロフェン200mg/kgを投与したグループよりも強い鎮痛活性を表すことが示された。
酢酸溶液をマウスの腹腔内に投与したときに起こるライジング(writhing)数を数え、対照群に基づく抑制率を計算した。42匹のマウスを7つのグループ(それぞれ6匹)に分けた。イブプロフェン(IBPP,50mg及び100mg/kg)をB1及びB2グループに投与し、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,50mg及び100mg/kg)をC1及びC2グループに経口投与した。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,50mg及び100mg/kg)をD1及びD2グループに経皮投与した。Aグループは対照群である。酢酸溶液を投与する30分前に、マウスに試験化合物を投与した。結果を以下の表1に示す。
表1.イブプロフェン及びそのプロドラッグによるライジング抑制率
本結果は、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩はイブプロフェンよりも良い鎮痛活性を表すということを示す。式(1)で表される他の化合物は類似した鎮痛活性を示す。
【0013】
解熱活性:ラットは発熱物質として滅菌された大腸菌懸濁液を受容した。56匹のラットを7つのグループに分けた。対照群はグループAである。2時間後、イブプロフェン(IBPP,B1に100mg/kg、B2に150mg/kg)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,C1に100mg/kg、C2に150mg/kg)を経口投与し、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,D1に100mg/kg、D2に150mg/kg)を経皮投与した。ラットの体温を試験化合物の投与前後90分間隔で測った。結果を以下の表2に示す。
表2.イブプロフェン及びそのプロドラッグの解熱活性
本結果から、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は100mg/kg用量において解熱活性を示し、イブプロフェンよりも良い解熱活性を示したということが分かる。本結果は、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の経皮投与は経口投与よりも良いということを示す。式(1)で表される他の化合物は類似した解熱活性を示す。
【0014】
抗炎症活性:ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩50mg/kgをラットに経口又は経皮投与し、イブプロフェン50mg/kgを経口投与した。60分後、カラゲニン溶液をラットの足裏に皮下投与した。後ろ足の体積をカラゲニンの投与後毎時間測定し、足の体積の増加率を計算し、隆起率(rate of swelling)(%)と称した。得られた結果を図4に示す。本結果は、経口投与及び経皮投与によるジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、経口投与によるイブプロフェン50mg/kgの抗炎症活性よりも良い抗炎症活性を表したということを示す。式(1)で表される他の化合物は類似した抗炎症活性を示す。
【0015】
高用量の経口イブプロフェンはまた、シクロオキシゲナーゼ活性の抑制による抗反応−抗喘息活性を示すということも知られている。それらの非常に高い膜透過率のため、これらのプロドラッグは患者の口又は鼻の中にスプレーすることにより喘息の治療に使用され得る。これらは抗炎症性のため、アクネを治療するために使用され得る。
【0016】
上記の式(1)で表される化合物はイブプロフェン又はイブプロフェンの官能誘導体、例えば、式(2)で表される酸ハロゲン化物又は混合酸無水物から調製され得る。
【化2】
式中、Yはハロゲン、アルコキシカルボニル又は置換アリールオキシカルボニルオキシを表し、これは式(3)で表される化合物と反応する。
【化3】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【0017】
上記の式(1)で表される化合物はイブプロフェンから、カップリング試薬、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用することにより、式(3)で表される化合物との反応によって調製され得る。
XがOを表すとき、上記の式(1)で表される化合物は、イブプロフェンの金属塩又は有機塩基塩から、式(4)で表される化合物との反応によって調製され得る。
【化4】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、Zはハロゲン又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【0018】
XがOを表すとき、上記の式(1)で表される化合物は、式(5)で表される、イブプロフェンの固定化された塩基塩から調製され得る。
【化5】
式中、Rは交差結合樹脂を表し、Bは塩基、例えば、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン又は他の塩基を表す。これは式(4)で表される化合物と反応する。
【0019】
本発明は、通例、補助剤及び賦形剤に加えて、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル剤又は液剤の形態で、及び経皮投与のための液剤、ローション剤、軟膏剤、乳剤又はゲル剤の形態で、式(1)で表されるイブプロフェンのプロドラッグを含む薬剤調製に関する。式(1)で表される新規な活性化合物は、人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するために、ビタミン、例えばA、B、C、E若しくはベータ−カロテン、又は他の薬物、例えば、葉酸等と併用され得る。
イブプロフェンはまた、シクロオキシゲナーゼ活性の抑制による抗反応−抗喘息活性を示すということも知られている。それらの非常に高い膜透過率のため、これらのプロドラッグは患者の口又は鼻の中にスプレーすることにより喘息の治療に使用され得る。
これらは抗炎症性のため、アクネ及び他の皮膚病を治療するために使用され得る。これらは内皮機能障害の治療及び予防に対しても同様に使用され得る。
これらのプロドラッグは水溶性中性塩であり、目に非常に良く許容され得る。これらは炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するために使用され得る。
【0020】
式(1)で表される化合物又は少なくとも式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムは、人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するために使用され得る。これらのシステムは、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得る。最も好ましいシステムは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有する。放出の割合を制御することによって、このシステムは、イブプロフェンが絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、イブプロフェンの副作用を減少させることを可能にする。これらのシステムは手首、足首、腕、足又は体のどこでも付けることが可能である。
【発明の効果】
【0021】
これらのイブプロフェンのプロドラッグは、親油性部分及び親水性部分(生理学的pHではプロトン化された形態で存在するアミン基)を有する。これらのプロドラッグの正に荷電されたアミノ基は2つの優れた利点を有する。第一に、薬物の溶解性を大きく増大させる。これらの新規なプロドラッグが、錠剤、カプセル剤、液剤又は懸濁剤のような投与形態で経口投与されるとき、これらは直ちに胃液中で溶解するだろう。第二に、これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、プロドラッグを半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中に押し込む。胃腸管での短い滞留のため、プロドラッグは胃粘膜細胞に損傷を引き起こさないだろう。実験結果は、90%を超えるプロドラッグが薬物それ自体に変化して戻ったということを示す。プロドラッグははるかに高い吸収率を有するため、従って、プロドラッグは同用量でイブプロフェンそれ自体よりも強い作用を有するだろう。実験結果は、プロドラッグ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩はイブプロフェンそれ自体よりも〜250倍速く、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートよりも〜125倍速く人の皮膚を通して拡散することを示す。生体内での、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の無処理ヘアレスマウスの皮膚を通しての透過率は非常に高かった。イブプロフェンを経口投与するとき、イブプロフェンが血漿レベルのピークに達するのに1〜2時間かかるが、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、イブプロフェン血漿レベルのピークに達するのにたったの30分しかかからなかった。最も興奮させる結果は、プロドラッグを経口投与だけでなく、様々な種類の薬物治療のために経皮投与することも可能であり、たいていのイブプロフェンの副作用、最も著しくは胃腸障害であり、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍及び胃炎、を回避するだろうということである。これらのプロドラッグの経皮投与のもう一つの大きな利点は、特に子供への、薬物投与がいっそう容易になるだろうということである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を透過する2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート(E−IBPP)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の累積量。IBPP及びE−IBPPを30%懸濁液として用いた。DEAE−IBPPを30%溶液として用いた。それぞれ、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図2】2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)又はジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の30%溶液1mlをヘアレスマウス(n=5)の背中に局所塗布後の、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)総血漿レベル。
【図3】イブプロフェン200mg/kg経口投与後(B)、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩200mg/kg経口投与後(C)及び経皮投与後(D)の、マウス尻尾の痛覚閾値延長時間。Aは対照群である。
【図4】カラゲニン投与後の隆起率(%)。カラゲニン投与1時間前に、イブプロフェン50mg/kg経口投与(B)、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩50mg/kg経口投与(C)及び経皮投与(D)した。Aは対照群である。 構造1.式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、アセチルサリチラート、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、全てのR基はC、H、O、S、N原子を含んでもよく、単結合、二重結合及び三重結合を有してもよい。CH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジエチルアミノエタノール11.7gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌する。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。酢酸6gを撹拌しながらクロロホルム溶液に加える。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物35g(92%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:400mg/ml、元素分析:C21H35NO4、分子量:365.51、計算% C: 69.01; H: 9.65; N: 3.83; O: 17.51、実測% C: 68.98; H: 9.68; N: 3.82; O: 17.52、1H-NMR (400 MHz,CDCl3): δ: 1.10 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.56 (t, 6H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 3.28 (m, 4H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0024】
ジメチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジメチルアミノエタノール8.9gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌する。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加える。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物31g(92%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:400mg/ml、元素分析:C19H31NO4、分子量:337.45、計算%C: 67.63; H: 9.26; N: 4.15; O: 18.96、実測%C: 67.60; H: 7.28; N: 4.14; O: 18.98、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0025】
S−ジメチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)チオプロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジメチルアミノエチルメルカプタン9.3gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物32g(90.5%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C19H31NO3S、分子量:353.52、計算% C: 64.55; H: 8.84; N: 3.96; O: 13.58, S: 9.07;、実測% C: 64.52; H: 8.86; N: 3.95; O: 13.62; S: 9.05、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.31 (t, 2H), 3.81 (t, 1H ), 3.91 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0026】
N−ジメチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオンアミド酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジメチルアミノエチルアミン8.9gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物30g(89.1%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C19H32N2O3、分子量:336.47、計算% C: 67.82; H: 9.59; N: 8.33; O: 14.27、実測% C: 67.80; H: 9.61; N: 8.31; O: 14.26、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.50(t, 2H), 3.64 (t, 2H), 3.89 (m, 1H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H), 7.8 (b, 1H)。
【0027】
S−ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)チオプロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸20.6g(0.1mol)をジクロロメタン(DCM)100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6gを反応混合物に加えた。混合物を0℃で30分間撹拌した。ジエチルアミノエチルメルカプタン13.4g(0.1mol)を反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×50ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物34g(89.1%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C21H35NO3S、分子量:381.57、計算% C: 66.10; H: 9.25; N: 3.67; O: 12.58, S: 8.40、実測% C: 66.07; H: 9.29; N: 3.66; O: 12.60; S: 8.38、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.56 (t, 6H) 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 3.26 (m, 4H), 3.31 (t, 2H), 3.81 (t, 1H), 3.91 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0028】
N−ジメチルアミノプロピル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオンアミド酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸20.6g(0.1mol)をアセトニトリル100mlに溶解した。O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート32.1g及びトリエチルアミン30mlを反応混合物に加えた。ジメチルアミノプロピルアミン13.1gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。酢酸エチル250mlを反応混合物に加え、混合物を水(3×100ml)で洗浄した。有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。ヘキサン(200ml)を加えた。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、目的生成物32g(91.2%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:320mg/ml、元素分析:C20H34N2O3、分子量:350.5、計算% C: 68.54; H: 9.78; N: 7.99; O: 13.69、実測% C: 68.51; H: 9.80; N: 7.98; O: 13.71、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.98 (m, 2H), 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.20(m, 2H), 3.24 (m, 2H), 3.89 (m, 1H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H), 7.8 (b, 1H)。
【0029】
ジプロピルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸ナトリウム22.3g(0.1mol)をクロロホルム180mlに懸濁した。ジプロピルアミノエチルブロミド臭化水素酸塩28.8g(0.1mol)を混合物に加え、混合物を室温で5時間撹拌した。酢酸ナトリウム8.2g(0.1mol)を撹拌しながら反応混合物に加えた。混合物を2時間撹拌する。固形物を濾過により除去し、クロロホルム(3×50ml)で洗浄した。溶液を真空中で100mlに濃縮する。次いでヘキサン300mlを溶液に加えた。固形生成物を濾過により集め、ヘキサン(3×100ml)で洗浄した。乾燥後、目的生成物35g(88.9%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C23H39NO4、分子量:393.56、計算% C: 70.19; H: 9.99; N: 3.56; O: 16.26、実測% C: 70.14; H: 10.03; N: 3.55; O: 16.28、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 0.96 (d, 6H)、δ: 1.10 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.77 (m, 4H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 3.24 (m, 4H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0030】
ジプロピルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
高分子結合トリエチルアミン(3mmol/g、100〜200mesh)60gをクロロホルム180mlに懸濁した。2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸20.6g(0.1mol)を撹拌しながら混合物に加えた。ジプロピルアミノエチルブロミド臭化水素酸塩43g(0.15mol)を混合物に加え、混合物を室温で5時間撹拌した。高分子を濾過により除去し、テトラヒドロフラン(3×50ml)で洗浄した。酢酸ナトリウム8.2g(0.1mol)を撹拌しながら反応混合物に加えた。混合物を2時間撹拌した。固形物を濾過により除去し、クロロホルム(3×50ml)で洗浄した。溶液を真空中で100mlに濃縮した。次いでヘキサン300mlを溶液に加えた。固形生成物を濾過により集め、ヘキサン(3×100ml)で洗浄した。乾燥後、目的生成物36g(91.5%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:350mg/ml、元素分析:C23H39NO4、分子量:393.56、計算% C: 70.19; H: 9.99; N: 3.56; O: 16.26、実測% C: 70.14; H: 10.03; N: 3.55; O: 16.28、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 0.96 (d, 6H)、δ: 1.10 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.77 (m, 4H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 3.24 (m, 4H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【産業上の利用可能性】
【0031】
式(1)で表されるプロドラッグはイブプロフェンよりも優れている。これらは人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態の治療に医薬的に使用され得る。これらは
は、関節リウマチ及び変形性関節症の徴候及び症状の軽減、解熱、及び月経困難症の治療のために使用され得る。これらは単独で又は補助薬として、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方の治療で使用される。プロドラッグはまた、子宮内避妊器具関連性子宮出血に使用され、骨盤照射を受けている患者における悪心の激しさを予防的に減少させるため及び放射線誘発性嘔吐を予防するために使用される。これらはまた、糖尿病性神経障害及び急性片頭痛に対して処方され、血友病性関節症に使用される。これらはまた骨喪失の治療、日焼けの予防又は治療に使用される。これらは癌予防にも使用され得る。それらの非常に高い膜透過率のため、これらのプロドラッグは患者に吸入することによって喘息の治療に使用され得る。これらは抗炎症性のため、アクネを治療するために使用され得る。これらのプロドラッグは水溶性中性塩であり、目に非常に良く許容され得る。これらは炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するために使用され得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)の正に荷電された水溶性プロドラッグの調製剤、及び人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療する際のその医薬用途に関する。とりわけ、本発明はイブプロフェンの使用と関連する副作用を克服するためにある。これらのプロドラッグは経口又は経皮投与され得る。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬のプロピオン酸グループのうちの一つである。イブプロフェンの合成は、最初は1964年に報告され(J.S. Nicholson and S.S. Adams, Br. Patent No. 971,700)、初めにヨーロッパで医薬的に使用された。イブプロフェンは、抗炎症及びプロスタグランジン生合成抑制検定においてアスピリンよりも効力がある。「米国医薬品集」(PDR Generics, 1996, second edition, Medical Economics, Montvale, New Jersey, pg 243)にはイブプロフェンの多くの医薬用途が記載されている。イブプロフェンは、関節リウマチ及び変形性関節症症状の軽減、解熱、並びに月経困難症の治療のために使用される。イブプロフェンは単独で又は補助薬として、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方の治療で使用される。イブプロフェンはまた、子宮内避妊器具関連性子宮出血に使用され、骨盤照射を受けている患者における悪心の激しさを予防的に減少させるため及び放射線誘発性嘔吐を予防するために使用される。イブプロフェンはまた、糖尿病性神経障害、急性片頭痛に対して処方され、血友病性関節症に使用される。イブプロフェンはまた、骨喪失の治療(Jee; Webster S. S. U.S. Pat. No. 5,604,259)、日焼けの予防又は治療(Sunshine: Abraham. U.S. Pat. No. 5,100,918)に使用される。
【0003】
残念ながら、多くの副作用がイブプロフェンの使用と関連し、最も著しくは胃腸障害であり、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍及び胃炎である。Fishman(Fishman; Robert, U.S. Pat. No. 7,052,715)は、経口薬物治療と関連した追加的な課題が、疼痛又は炎症のある末端部を効果的に治療するためには、血流中で達成されなければならない濃度レベルが有意でなければならないということである、と指摘した。これらのレベルは、しばしば、疼痛又は損傷のある特定部位を正確に標的とすることが可能である場合に必要となるレベルよりもずっと高い。Fishman及びその他多くは(Van Engelen et al. U.S. Pat. No. 6,416,772; Macrides et al. U.S. Pat. No. 6,346,278; Kirby et al. U.S. Pat. No. 6,444,234, Pearson et al. U.S. Pat. No. 6,528,040, and Botknecht et al. U.S. Pat. No. 5,885,597)、配合物による経皮応用伝達システムを発展させようとした。しかしながら、有効血漿レベルのイブプロフェンを配合物によって患者(host)に伝達することは非常に難しい。Susan Milosovichらはテストステロニル−4−ジメチルアミノブチラート塩酸塩(testosteronyl-4-dimethylaminobutyrate.HCl)(TSBH)を設計し、調製した。これは親油性部分及び生理学的pHではプロトン化された形態で存在する第3級アミン基を有する。彼らは、プロドラッグ(TSBH)は、薬物(TS)それ自体よりも〜60倍速く人の皮膚を通して拡散することを見出した[Susan Milosovich, et al., J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イブプロフェンは30年間を超える期間、医薬的に使用されており、抗炎症及びプロスタグランジン生合成抑制においてアスピリンよりも効力がある。イブプロフェンは、関節リウマチ及び変形性関節症症状の軽減、軽度から中程度の疼痛の軽減、解熱、並びに月経困難症の治療のために適応される。イブプロフェンは単独で又は補助薬として、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方の治療で使用される。イブプロフェンはまた、糖尿病性神経障害、急性片頭痛に対して処方され、血友病性関節症に使用される。イブプロフェンはまた、子宮内避妊器具関連性子宮出血に使用され、骨盤照射を受けている患者における悪心の激しさを予防的に減少させるため及び放射線誘発性嘔吐を予防するために使用される。
残念ながら、多くの副作用がイブプロフェンの使用と関連し、最も著しくは胃腸障害であり、例えば、消化不良、胸焼け、嘔吐、胃十二指腸出血、胃潰瘍及び胃炎である。イブプロフェンにより誘発される胃十二指腸出血は一般的に無痛性であるが、便による血液の喪失を招く可能性があり、持続性鉄欠乏性貧血を引き起こし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、イブプロフェンの新規な正荷電プロドラッグの調製及びそれらの医薬用途に関する。これらのプロドラッグは式(1)の構造を有する。
【化1】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、全てのR基はC、H、O、S、N原子を含んでもよく、単結合、二重結合及び三重結合を有してもよい。CH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【0006】
薬物吸収は、胃腸管からであろうと他の部位からであろうと、薬物が分子形で障壁膜を横断して通過することを必要とする。薬物は初めに溶解しなければならず、もし薬物が望ましい生物薬剤的性質を有しているならば、高濃度の領域から低濃度の領域へと膜を横断して通過し、血液循環又は体循環に入るだろう。全ての生物学的膜は主要な構成成分として脂質を含有している。膜の形態について主要な役割を果たしている分子は、全てホスファート含有高極性頭基(head group)を有し、たいていの場合、2つの高疎水性炭化水素尾部(tail)を有している。膜は2分子膜であり、その2つの親水性頭基は両側にある水性領域へと外側を向いている。非常に親水性な薬物は膜の疎水性層を通過することができず、非常に疎水性な薬物はそれらの類似性のため膜の一部として疎水性層に留まり、内側にある細胞質ゾルに能率的に入ることができないだろう。
【0007】
本発明の目的は、胃液中でのイブプロフェンの溶解性を増大させること、並びにイブプロフェンを経皮投与可能(局所応用)にさせるであろう、膜及び皮膚障壁を通してのイブプロフェンの透過率を増大させることにより、イブプロフェンの副作用を回避することである。これらの新規なイブプロフェンのプロドラッグは共通して2つの構造的特徴を有している。これらは、親油性部分及び生理学的pHではプロトン化された形態(親水性部分)で存在する第1級、第2級又は第3級アミン基を有している。膜障壁を通しての能率的な通過のためには、このような親水性親油性バランスが必要とされる[Susan Milosovich, et al., J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。正に荷電されたアミノ基は薬物の溶解性を大きく増大させる。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(diethylaminoethyl 2-(p-isobutylphenyl)propionate.AcOH)及び2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)の水中での溶解性は、>300mg及び0.05mg/mlであった。多くの例では、一連の中での最も遅い又は律速段階は薬物の溶解である。イブプロフェンは胃液中で非常に低い溶解性を有する。イブプロフェンは胃腸管に長時間滞留し、そのため胃粘膜細胞に損傷を引き起こし得る。これらの新規なプロドラッグは、錠剤、カプセル剤、液剤又は懸濁剤のような投与形態で経口投与されると、直ちに胃液中で溶解するだろう。これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、プロドラッグを半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中に押し込む。胃腸管での短い滞留のため、プロドラッグは胃粘膜細胞に損傷を引き起こさないだろう。
【0008】
ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩及び2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸の人の皮膚を通しての透過率は、修正フランツ(Franz)細胞を使用することによって試験管内で測定された。修正フランツ細胞は前大腿部及び後大腿部のヒト皮膚組織(厚さ360〜400μm)から単離された。受容液(receiving fluid)は生理食塩水中2%ウシ血清アルブミン10mlからなり、600rpmで撹拌した。時間に対する、皮膚を透過する2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の累積量を特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。pH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)2mL中、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)30%懸濁液、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート30%懸濁液、及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩30%溶液のいずれかからなるドナーを使用して得た結果を図1に示す。イブプロフェン、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート(2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸の正に荷電されていない通常のエステル)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩に対して、0.5mg、1mg及び125mg/cm2/hという明白な流速値を計算した。本結果は、プロドラッグ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸それ自体よりも〜250倍速く、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートよりも〜125倍速く人の皮膚を通して拡散することを示す。通常のエステル、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート、及び2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸それ自体は非常に類似した透過率を有している(2倍の差にすぎない)。本結果は、ジアルキルアミノエチル基上の正電荷は、薬物が膜及び皮膚障壁を横断して通過することにおいて非常に重要な役割を有していることを示す。式(1)で表される他のプロドラッグは非常に高い透過率を有し、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の透過率と非常に近似している。
【0009】
生体内での、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の無処理ヘアレスマウスの皮膚を通しての透過率を比較した。イソプロパノール1mL中、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)又はジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の30%溶液どちらかからなるドナーをヘアレスマウスの背中1cm2に塗布した。イブプロフェン及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートの血漿レベルを、特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。本結果(図2)は、ドナー系の塗布後、〜30分でジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートのピークレベルに達したことを示す。イブプロフェンを経口投与するとき、イブプロフェンがピークレベルに達するのに1〜2時間かかる。2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(イブプロフェン)のピークは〜0.2mg/mlであり、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩のピークは〜12mg/mlである(ほぼ60倍の差)。血漿中〜10mg/mlの2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸は、効果的な鎮痛及び抗炎症活性を生じるための2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸血漿レベルよりも30倍を超えて高い。これは非常に興奮させる結果である。これらのプロドラッグによって患者に治療有効血漿レベルの2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸を送達することは、非常に容易で迅速であろう。これらの結果は、様々な薬物治療のために、プロドラッグを経口投与だけでなく、経皮投与もし得ることを示す。生体内での、式(1)で表される他のプロドラッグの透過率は、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の透過率と近似している。
【0010】
薬物によって引き起こされる胃十二指腸出血を調べるため、ラット(2つのグループがあり、それぞれのグループには10匹のラットがいる)に、1日当たりイブプロフェン又はジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩100mg/kgを21日間経口投与した。私たちは、イブプロフェンを投与したグループでは便のグラムあたり平均4mgの便血液があり、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩を投与したグループでは便血液がないことを見出した。
【0011】
イブプロフェンは抗炎症、鎮痛、解熱及び抗リウマチ活性を示す。良いプロドラッグは血漿中で薬物それ自体に戻るべきである。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩のジエチルアミノエチルエステル基は、試験管内でヒト血漿中酵素によって速やかに切り離され、90%を超えるプロドラッグがイブプロフェンに変化して戻る。はるかに高い吸収率を有するプロドラッグのため、プロドラッグは同用量でイブプロフェンそれ自体よりも強い作用を有するだろう。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の鎮痛、解熱及び抗炎症活性を、対照としてイブプロフェンを使用して試験した。式(1)で表される他の化合物を同じ方法により試験したところ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の結果と非常に類似した結果を有する。
【0012】
鎮痛活性:マウス尻尾の痛覚閾値延長時間をD'Amour-Smith法(J. Pharmacol. Exp.
Ther., 72,74(1941))に従って測定した。イブプロフェン200mg/kgを経口投与、並びにジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩200mg/kgを経口及び経皮投与した後、マウスの尻尾を熱にさらし、痛覚閾値延長時間を測定した。得られた結果を図3に示す。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩200mg/kgを経口投与したグループ(C)及び経皮投与したグループ(D)は、イブプロフェン200mg/kgを投与したグループよりも強い鎮痛活性を表すことが示された。
酢酸溶液をマウスの腹腔内に投与したときに起こるライジング(writhing)数を数え、対照群に基づく抑制率を計算した。42匹のマウスを7つのグループ(それぞれ6匹)に分けた。イブプロフェン(IBPP,50mg及び100mg/kg)をB1及びB2グループに投与し、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,50mg及び100mg/kg)をC1及びC2グループに経口投与した。ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,50mg及び100mg/kg)をD1及びD2グループに経皮投与した。Aグループは対照群である。酢酸溶液を投与する30分前に、マウスに試験化合物を投与した。結果を以下の表1に示す。
表1.イブプロフェン及びそのプロドラッグによるライジング抑制率
本結果は、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩はイブプロフェンよりも良い鎮痛活性を表すということを示す。式(1)で表される他の化合物は類似した鎮痛活性を示す。
【0013】
解熱活性:ラットは発熱物質として滅菌された大腸菌懸濁液を受容した。56匹のラットを7つのグループに分けた。対照群はグループAである。2時間後、イブプロフェン(IBPP,B1に100mg/kg、B2に150mg/kg)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,C1に100mg/kg、C2に150mg/kg)を経口投与し、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP,D1に100mg/kg、D2に150mg/kg)を経皮投与した。ラットの体温を試験化合物の投与前後90分間隔で測った。結果を以下の表2に示す。
表2.イブプロフェン及びそのプロドラッグの解熱活性
本結果から、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は100mg/kg用量において解熱活性を示し、イブプロフェンよりも良い解熱活性を示したということが分かる。本結果は、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の経皮投与は経口投与よりも良いということを示す。式(1)で表される他の化合物は類似した解熱活性を示す。
【0014】
抗炎症活性:ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩50mg/kgをラットに経口又は経皮投与し、イブプロフェン50mg/kgを経口投与した。60分後、カラゲニン溶液をラットの足裏に皮下投与した。後ろ足の体積をカラゲニンの投与後毎時間測定し、足の体積の増加率を計算し、隆起率(rate of swelling)(%)と称した。得られた結果を図4に示す。本結果は、経口投与及び経皮投与によるジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、経口投与によるイブプロフェン50mg/kgの抗炎症活性よりも良い抗炎症活性を表したということを示す。式(1)で表される他の化合物は類似した抗炎症活性を示す。
【0015】
高用量の経口イブプロフェンはまた、シクロオキシゲナーゼ活性の抑制による抗反応−抗喘息活性を示すということも知られている。それらの非常に高い膜透過率のため、これらのプロドラッグは患者の口又は鼻の中にスプレーすることにより喘息の治療に使用され得る。これらは抗炎症性のため、アクネを治療するために使用され得る。
【0016】
上記の式(1)で表される化合物はイブプロフェン又はイブプロフェンの官能誘導体、例えば、式(2)で表される酸ハロゲン化物又は混合酸無水物から調製され得る。
【化2】
式中、Yはハロゲン、アルコキシカルボニル又は置換アリールオキシカルボニルオキシを表し、これは式(3)で表される化合物と反応する。
【化3】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【0017】
上記の式(1)で表される化合物はイブプロフェンから、カップリング試薬、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用することにより、式(3)で表される化合物との反応によって調製され得る。
XがOを表すとき、上記の式(1)で表される化合物は、イブプロフェンの金属塩又は有機塩基塩から、式(4)で表される化合物との反応によって調製され得る。
【化4】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、Zはハロゲン又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【0018】
XがOを表すとき、上記の式(1)で表される化合物は、式(5)で表される、イブプロフェンの固定化された塩基塩から調製され得る。
【化5】
式中、Rは交差結合樹脂を表し、Bは塩基、例えば、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン又は他の塩基を表す。これは式(4)で表される化合物と反応する。
【0019】
本発明は、通例、補助剤及び賦形剤に加えて、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル剤又は液剤の形態で、及び経皮投与のための液剤、ローション剤、軟膏剤、乳剤又はゲル剤の形態で、式(1)で表されるイブプロフェンのプロドラッグを含む薬剤調製に関する。式(1)で表される新規な活性化合物は、人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するために、ビタミン、例えばA、B、C、E若しくはベータ−カロテン、又は他の薬物、例えば、葉酸等と併用され得る。
イブプロフェンはまた、シクロオキシゲナーゼ活性の抑制による抗反応−抗喘息活性を示すということも知られている。それらの非常に高い膜透過率のため、これらのプロドラッグは患者の口又は鼻の中にスプレーすることにより喘息の治療に使用され得る。
これらは抗炎症性のため、アクネ及び他の皮膚病を治療するために使用され得る。これらは内皮機能障害の治療及び予防に対しても同様に使用され得る。
これらのプロドラッグは水溶性中性塩であり、目に非常に良く許容され得る。これらは炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するために使用され得る。
【0020】
式(1)で表される化合物又は少なくとも式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムは、人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するために使用され得る。これらのシステムは、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得る。最も好ましいシステムは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有する。放出の割合を制御することによって、このシステムは、イブプロフェンが絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、イブプロフェンの副作用を減少させることを可能にする。これらのシステムは手首、足首、腕、足又は体のどこでも付けることが可能である。
【発明の効果】
【0021】
これらのイブプロフェンのプロドラッグは、親油性部分及び親水性部分(生理学的pHではプロトン化された形態で存在するアミン基)を有する。これらのプロドラッグの正に荷電されたアミノ基は2つの優れた利点を有する。第一に、薬物の溶解性を大きく増大させる。これらの新規なプロドラッグが、錠剤、カプセル剤、液剤又は懸濁剤のような投与形態で経口投与されるとき、これらは直ちに胃液中で溶解するだろう。第二に、これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、プロドラッグを半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中に押し込む。胃腸管での短い滞留のため、プロドラッグは胃粘膜細胞に損傷を引き起こさないだろう。実験結果は、90%を超えるプロドラッグが薬物それ自体に変化して戻ったということを示す。プロドラッグははるかに高い吸収率を有するため、従って、プロドラッグは同用量でイブプロフェンそれ自体よりも強い作用を有するだろう。実験結果は、プロドラッグ、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩はイブプロフェンそれ自体よりも〜250倍速く、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナートよりも〜125倍速く人の皮膚を通して拡散することを示す。生体内での、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の無処理ヘアレスマウスの皮膚を通しての透過率は非常に高かった。イブプロフェンを経口投与するとき、イブプロフェンが血漿レベルのピークに達するのに1〜2時間かかるが、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩は、イブプロフェン血漿レベルのピークに達するのにたったの30分しかかからなかった。最も興奮させる結果は、プロドラッグを経口投与だけでなく、様々な種類の薬物治療のために経皮投与することも可能であり、たいていのイブプロフェンの副作用、最も著しくは胃腸障害であり、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍及び胃炎、を回避するだろうということである。これらのプロドラッグの経皮投与のもう一つの大きな利点は、特に子供への、薬物投与がいっそう容易になるだろうということである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を透過する2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)、エチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート(E−IBPP)及びジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の累積量。IBPP及びE−IBPPを30%懸濁液として用いた。DEAE−IBPPを30%溶液として用いた。それぞれ、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図2】2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)又はジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩(DEAE−IBPP)の30%溶液1mlをヘアレスマウス(n=5)の背中に局所塗布後の、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸(IBPP)総血漿レベル。
【図3】イブプロフェン200mg/kg経口投与後(B)、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩200mg/kg経口投与後(C)及び経皮投与後(D)の、マウス尻尾の痛覚閾値延長時間。Aは対照群である。
【図4】カラゲニン投与後の隆起率(%)。カラゲニン投与1時間前に、イブプロフェン50mg/kg経口投与(B)、ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩50mg/kg経口投与(C)及び経皮投与(D)した。Aは対照群である。 構造1.式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、アセチルサリチラート、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、全てのR基はC、H、O、S、N原子を含んでもよく、単結合、二重結合及び三重結合を有してもよい。CH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジエチルアミノエタノール11.7gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌する。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。酢酸6gを撹拌しながらクロロホルム溶液に加える。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物35g(92%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:400mg/ml、元素分析:C21H35NO4、分子量:365.51、計算% C: 69.01; H: 9.65; N: 3.83; O: 17.51、実測% C: 68.98; H: 9.68; N: 3.82; O: 17.52、1H-NMR (400 MHz,CDCl3): δ: 1.10 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.56 (t, 6H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 3.28 (m, 4H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0024】
ジメチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジメチルアミノエタノール8.9gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌する。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加える。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物31g(92%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:400mg/ml、元素分析:C19H31NO4、分子量:337.45、計算%C: 67.63; H: 9.26; N: 4.15; O: 18.96、実測%C: 67.60; H: 7.28; N: 4.14; O: 18.98、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0025】
S−ジメチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)チオプロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジメチルアミノエチルメルカプタン9.3gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物32g(90.5%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C19H31NO3S、分子量:353.52、計算% C: 64.55; H: 8.84; N: 3.96; O: 13.58, S: 9.07;、実測% C: 64.52; H: 8.86; N: 3.95; O: 13.62; S: 9.05、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.31 (t, 2H), 3.81 (t, 1H ), 3.91 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0026】
N−ジメチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオンアミド酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオニルクロリド22.5g(0.1mol)をクロロホルム100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン15ml及びジメチルアミノエチルアミン8.9gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×30ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物30g(89.1%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C19H32N2O3、分子量:336.47、計算% C: 67.82; H: 9.59; N: 8.33; O: 14.27、実測% C: 67.80; H: 9.61; N: 8.31; O: 14.26、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.50(t, 2H), 3.64 (t, 2H), 3.89 (m, 1H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H), 7.8 (b, 1H)。
【0027】
S−ジエチルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)チオプロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸20.6g(0.1mol)をジクロロメタン(DCM)100mlに溶解した。混合物を0℃に冷却した。1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6gを反応混合物に加えた。混合物を0℃で30分間撹拌した。ジエチルアミノエチルメルカプタン13.4g(0.1mol)を反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形副生成物を濾過により除去し、クロロホルム(3×50ml)で洗浄した。有機溶液を蒸発させた。乾燥後、目的生成物34g(89.1%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C21H35NO3S、分子量:381.57、計算% C: 66.10; H: 9.25; N: 3.67; O: 12.58, S: 8.40、実測% C: 66.07; H: 9.29; N: 3.66; O: 12.60; S: 8.38、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.56 (t, 6H) 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 3.26 (m, 4H), 3.31 (t, 2H), 3.81 (t, 1H), 3.91 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0028】
N−ジメチルアミノプロピル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオンアミド酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸20.6g(0.1mol)をアセトニトリル100mlに溶解した。O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート32.1g及びトリエチルアミン30mlを反応混合物に加えた。ジメチルアミノプロピルアミン13.1gを反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。酢酸エチル250mlを反応混合物に加え、混合物を水(3×100ml)で洗浄した。有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。酢酸6gを撹拌しながら反応混合物に加えた。ヘキサン(200ml)を加えた。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、目的生成物32g(91.2%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:320mg/ml、元素分析:C20H34N2O3、分子量:350.5、計算% C: 68.54; H: 9.78; N: 7.99; O: 13.69、実測% C: 68.51; H: 9.80; N: 7.98; O: 13.71、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 1.01 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.98 (m, 2H), 2.20 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.50 (d, 2H), 2.90 (s, 6H), 3.20(m, 2H), 3.24 (m, 2H), 3.89 (m, 1H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H), 7.8 (b, 1H)。
【0029】
ジプロピルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸ナトリウム22.3g(0.1mol)をクロロホルム180mlに懸濁した。ジプロピルアミノエチルブロミド臭化水素酸塩28.8g(0.1mol)を混合物に加え、混合物を室温で5時間撹拌した。酢酸ナトリウム8.2g(0.1mol)を撹拌しながら反応混合物に加えた。混合物を2時間撹拌する。固形物を濾過により除去し、クロロホルム(3×50ml)で洗浄した。溶液を真空中で100mlに濃縮する。次いでヘキサン300mlを溶液に加えた。固形生成物を濾過により集め、ヘキサン(3×100ml)で洗浄した。乾燥後、目的生成物35g(88.9%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:300mg/ml、元素分析:C23H39NO4、分子量:393.56、計算% C: 70.19; H: 9.99; N: 3.56; O: 16.26、実測% C: 70.14; H: 10.03; N: 3.55; O: 16.28、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 0.96 (d, 6H)、δ: 1.10 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.77 (m, 4H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 3.24 (m, 4H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【0030】
ジプロピルアミノエチル2−(p−イソブチルフェニル)プロピオナート酢酸塩の調製
高分子結合トリエチルアミン(3mmol/g、100〜200mesh)60gをクロロホルム180mlに懸濁した。2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸20.6g(0.1mol)を撹拌しながら混合物に加えた。ジプロピルアミノエチルブロミド臭化水素酸塩43g(0.15mol)を混合物に加え、混合物を室温で5時間撹拌した。高分子を濾過により除去し、テトラヒドロフラン(3×50ml)で洗浄した。酢酸ナトリウム8.2g(0.1mol)を撹拌しながら反応混合物に加えた。混合物を2時間撹拌した。固形物を濾過により除去し、クロロホルム(3×50ml)で洗浄した。溶液を真空中で100mlに濃縮した。次いでヘキサン300mlを溶液に加えた。固形生成物を濾過により集め、ヘキサン(3×100ml)で洗浄した。乾燥後、目的生成物36g(91.5%)を得た。吸湿性生成物、水中での溶解性:350mg/ml、元素分析:C23H39NO4、分子量:393.56、計算% C: 70.19; H: 9.99; N: 3.56; O: 16.26、実測% C: 70.14; H: 10.03; N: 3.55; O: 16.28、1H-NMR(400MHz,CDCL3):δ: 0.96 (d, 6H)、δ: 1.10 (d, 6H), 1.52 (d, 3H), 1.77 (m, 4H), 2.21 (s, 3H), 2.22 (m, 1H); 2.51 (d, 2H), 3.24 (m, 4H), 3.52 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 4.52 (t, 2H), 6.8 (b, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.07 (d, 2H)。
【産業上の利用可能性】
【0031】
式(1)で表されるプロドラッグはイブプロフェンよりも優れている。これらは人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態の治療に医薬的に使用され得る。これらは
は、関節リウマチ及び変形性関節症の徴候及び症状の軽減、解熱、及び月経困難症の治療のために使用され得る。これらは単独で又は補助薬として、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方の治療で使用される。プロドラッグはまた、子宮内避妊器具関連性子宮出血に使用され、骨盤照射を受けている患者における悪心の激しさを予防的に減少させるため及び放射線誘発性嘔吐を予防するために使用される。これらはまた、糖尿病性神経障害及び急性片頭痛に対して処方され、血友病性関節症に使用される。これらはまた骨喪失の治療、日焼けの予防又は治療に使用される。これらは癌予防にも使用され得る。それらの非常に高い膜透過率のため、これらのプロドラッグは患者に吸入することによって喘息の治療に使用され得る。これらは抗炎症性のため、アクネを治療するために使用され得る。これらのプロドラッグは水溶性中性塩であり、目に非常に良く許容され得る。これらは炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(1)で表される化合物。
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、アセチルサリチラート、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、全てのR基はC、H、O、S、N原子を含んでもよく、単結合、二重結合及び三重結合を有してもよい。CH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【請求項2】
請求項1に記載の式(1)で表される化合物を調製する方法。
【請求項3】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するために、経口投与又は経皮投与可能である化合物又は組成物であって、前記イブプロフェン治療可能な状態が、歯痛、頭痛、関節炎及び他の炎症性疼痛、熱、癌、月経困難症、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方、子宮内避妊器具関連性子宮出血、悪心、放射線誘発性嘔吐、糖尿病性神経障害並びに急性片頭痛、血友病性関節症、骨喪失並びに日焼けを含むが、これに限定されるものではない化合物又は組成物。
【請求項4】
人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療する方法であって、身体の一部に(溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で)経皮投与することにより、式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物の治療有効血漿レベルを送達することを特徴とする方法。
【請求項5】
治療有効量の式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物を炎症部位に投与することにより、人又は動物において、疼痛、例えば、頭痛、歯痛、筋肉痛、並びに関節炎及び他の炎症性疼痛を局所的に治療することを特徴とする方法。
【請求項6】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、アクネ、日焼け又は他の皮膚病を治療するために、溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で経皮投与され得る化合物又は組成物。
【請求項7】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、喘息を治療するために、口若しくは鼻又は体の他の部分を通してスプレーすることにより投与されることを特徴とする化合物又は組成物。
【請求項8】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、人又は動物において、炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するための化合物又は組成物。
【請求項9】
人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するための、式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムであって、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得、最も好ましくは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有し、放出の割合を制御することによって、イブプロフェンが絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、イブプロフェンの副作用を減少させることを可能にすることを特徴とするシステム。
【請求項1】
次式(1)で表される化合物。
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、XはO、S又はNHを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、アセチルサリチラート、シトラート又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、全てのR基はC、H、O、S、N原子を含んでもよく、単結合、二重結合及び三重結合を有してもよい。CH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【請求項2】
請求項1に記載の式(1)で表される化合物を調製する方法。
【請求項3】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するために、経口投与又は経皮投与可能である化合物又は組成物であって、前記イブプロフェン治療可能な状態が、歯痛、頭痛、関節炎及び他の炎症性疼痛、熱、癌、月経困難症、バーター症候群並びに慢性前部ブドウ膜炎及び慢性後部ブドウ膜炎の両方、子宮内避妊器具関連性子宮出血、悪心、放射線誘発性嘔吐、糖尿病性神経障害並びに急性片頭痛、血友病性関節症、骨喪失並びに日焼けを含むが、これに限定されるものではない化合物又は組成物。
【請求項4】
人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療する方法であって、身体の一部に(溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で)経皮投与することにより、式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物の治療有効血漿レベルを送達することを特徴とする方法。
【請求項5】
治療有効量の式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物を炎症部位に投与することにより、人又は動物において、疼痛、例えば、頭痛、歯痛、筋肉痛、並びに関節炎及び他の炎症性疼痛を局所的に治療することを特徴とする方法。
【請求項6】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、アクネ、日焼け又は他の皮膚病を治療するために、溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で経皮投与され得る化合物又は組成物。
【請求項7】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、喘息を治療するために、口若しくは鼻又は体の他の部分を通してスプレーすることにより投与されることを特徴とする化合物又は組成物。
【請求項8】
式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、人又は動物において、炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するための化合物又は組成物。
【請求項9】
人又は動物において、イブプロフェン治療可能な状態を治療するための、式(1)で表される化合物又は少なくとも請求項1に記載の式(1)で表される化合物を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムであって、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得、最も好ましくは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有し、放出の割合を制御することによって、イブプロフェンが絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、イブプロフェンの副作用を減少させることを可能にすることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2009−543857(P2009−543857A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520065(P2009−520065)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052461
【国際公開番号】WO2008/010025
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509011581)テックフィールズ バイオケム カンパニー リミテッド (10)
【出願人】(509023539)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052461
【国際公開番号】WO2008/010025
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509011581)テックフィールズ バイオケム カンパニー リミテッド (10)
【出願人】(509023539)
【Fターム(参考)】
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