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イブプロフェンを含有するフィルムコーティング製剤
説明

イブプロフェンを含有するフィルムコーティング製剤

【課題】保存安定性に優れた、イブプロフェン含有フィルムコーティング製剤を提供する。
【解決手段】下記の(A)及び(B)を含むフィルムコーティング製剤。
(A)イブプロフェンを含有する粒状物
(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性に優れたフィルムコーティング製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
総合感冒薬等のように、一般用医薬品では複数の有効成分が配合される場合が多い。一方、2種以上の有効成分の配合においては、配合変化が生じることが多く、例えば酸性物質と塩基性物質を配合した製剤等が典型である。
【0003】
解熱鎮痛剤や総合感冒薬で処方されているイブプロフェンは酸性物質であるため、塩基性薬物と反応して湿潤、固化、及び/又は着色変化を生じることが知られており、特に高湿度条件下では約1週間で吸湿し、塩を形成することが報告されている(非特許文献1)。
例えば、イブプロフェンと炭酸水素ナトリウムを併用した顆粒は、20℃、75%RH(75%相対湿度)の条件下に14日静置させると、淡褐色に色調が変化し、顆粒が湿潤して外観変化を生じるので、特に長期間の服用が必要な場合には、保存包装形態の工夫等、慎重な配慮が必要なことが報告されている(非特許文献2)。
また、イブプロフェンと、塩基性薬物のメチルエフェドリンを配合した顆粒は、20℃又は30℃の条件下に2日静置させただけで、色調変化、湿潤による外観変化が発生することが報告されている(非特許文献3)。総合感冒薬に処方される塩基性薬物として、例えばdl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、メキタジン、アンブロキソール塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、及びヒベンズ酸チペピジン等が知られており、これら塩基性物質とイブプロフェンとの配合変化を回避して安定な製剤を調製することは容易ではない。
【0004】
イブプロフェン含有製剤における配合変化を回避し、安定な製剤を得る方法として、イブプロフェンを含む顆粒と塩基性物質や配合禁忌成分を含む顆粒を顆粒分けして多顆粒化製剤とする方法や、顆粒にコーティングする方法が知られている。しかしながら、多顆粒製剤においてもイブプロフェンとの接触を完全に回避することは困難である。また、顆粒コーティング法は均一にコーティングを施す製造難度が高く、また製造コストも高いという問題があった。
また、これまでのフィルムコーティングでは、隠蔽によって外観変化は改善できたが、内部の配合変化で生じた湿潤部分のフィルムコーティング皮膜内への染み出しを防ぐことができなかったことから、例えばイブプロフェンの苦味マスキングが不十分になる、イブプロフェン含有製剤の崩壊時間が延長する等の問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】第十五改正日本薬局方解説書,C−482〜C−486(廣川書店)
【非特許文献2】薬局 Vol.27,No.12,73〜78(1976)
【非特許文献3】ブルフェン錠100:糖衣錠、ブルフェン錠200:糖衣錠、ブルフェン顆粒20%:顆粒剤、医薬品インタビューフォーム,7〜8頁(科研製薬株式会社)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、薬効成分が、薬効成分を含有する粒状物又は該粒状物を含む内核から、それを被膜するフィルムコーティング層中に染み出さない、安定なフィルムコーティング製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ね、その結果、イブプロフェンと塩基性成分を含有する粒状物、特に錠剤を、ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層で被膜することにより、湿潤したイブプロフェンのフィルムコーティング層中への染み出しを防ぎ、安定な製剤が調製できることを見出し、本発明を完成させた。また、イブプロフェンとの配合変化で含量低下するベラドンナ総アルカロイドを、ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層中に処方するか、又は、ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層をアンダーコーティング層とし、さらに外側にベラドンナ総アルカロイドを含む第二のフィルムコーティング層を設けることにより、イブプロフェン及びベラドンナ総アルカロイドを同一製剤中に配合させても安定した製剤を得ることを可能にした。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(12)を提供するものである。
(1)下記の(A)及び(B)を含むフィルムコーティング製剤。
(A)イブプロフェンを含有する粒状物
(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層
(2)(B)のフィルムコーティング層の重量が、フィルムコーティング製剤全体の1〜10重量%である、(1)に記載のフィルムコーティング製剤。
(3)(B)のフィルムコーティング層に、薬効成分を含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルムコーティング製剤。
(4)薬効成分がベラドンナ総アルカロイドである、(3)に記載のフィルムコーティング製剤。
(5)(A)イブプロフェンを含有する粒状物、及び、(B)のポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層の外側に、さらに(C)薬効成分を含む第二のフィルムコーティング層を有する、(1)又は(2)に記載のフィルムコーティング製剤。
(6)薬効成分がベラドンナ総アルカロイドである、(5)に記載のフィルムコーティング製剤。
(7)(A)のイブプロフェンを含有する粒状物に、さらに塩基性成分を含有する、(1)〜(6)のいずれか1に記載のフィルムコーティング製剤。
(8)剤形が錠剤である、(1)〜(7)のいずれか1に記載のフィルムコーティング製剤。
(9)(A)イブプロフェンを含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体及びベラドンナ総アルカロイドを含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(10)(A)イブプロフェンを含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層、及び、(C)ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(11)(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(12)(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層、及び、(C)ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、湿潤したイブプロフェンのフィルムコーティング層中への染み出しが改善された安定な製剤を調製することができる。また、イブプロフェンとの配合変化で含量低下するベラドンナ総アルカロイドをフィルムコーティング層中に処方することにより、内核である粒状物に含有される薬効成分との配合変化防止による製剤の変色や薬効成分の含量低下の防止等、製剤の安定化を可能とした。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明における「ポリビニルアルコール共重合体」としては、WO2005/19286やWO2002/17848に記載されている方法に従って製造することができ、平均重合度100〜2000の部分けん化ポリビニルアルコールと、少なくとも1種以上の重合性ビニル単量体とを、重量比6:4〜9:1の割合で共重合させて得られる共重合体であり、当該共重合体の20℃における2重量%溶液の粘度が10〜300mPa・sであるポリビニルアルコール共重合体である。
ポリビニルアルコール共重合体として、好ましくは、平均重合度150〜1000の部分けん化ポリビニルアルコールと、少なくとも1種以上の重合性ビニル単量体とを、重量比6:4〜9:1の割合で共重合させて得られる共重合体であり、当該共重合体の20℃における2重量%溶液の粘度が10〜250mPa・sであるポリビニルアルコール共重合体である。
使用される重合性ビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マクロゴール等が好ましい。
また、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコール(マクロゴール)の共重合体も本発明で使用されるポリビニルアルコール共重合体として好ましい。
本発明で使用されるポリビニルアルコール共重合体は、例えば、商品名ポバコート(日新化成)、商品名コリコートIR(BASF)等として市販されており、容易に入手できる。
【0011】
本願発明におけるイブプロフェンは、第15改正日本薬局方に収載されており、また、本発明で使用されるベラドンナ総アルカロイドは、例えば商品名ベラドンナ総アルカロイド(アルプス薬品工業)等として市販されており、容易に入手できる。
【0012】
本発明における塩基性成分としては、医薬組成物中に添加され、pKaが7.5以上、若しくは第15改正日本薬局方に収載されている制酸力試験法で制酸力を示す成分を意味し、塩基性の薬効成分の他、一般的な固形製剤の製剤化に使用される製剤添加剤、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、発砲剤、防湿剤、界面活性剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、香料、芳香剤、着色剤、基剤、コーティング剤、糖衣剤、可塑剤、分散剤、消泡剤等をも意味するものである。
特に塩基性成分としては、具体的にはdl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、メキタジン、アンブロキソール塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ヒベンズ酸チペピジン、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロキシタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム等を好ましいものとして挙げることができる。これら塩基性薬物は、第15改正日本薬局方、第14改正日本薬局方・局外規2002、一般用医薬品製造(輸入)承認基準(2000年度版)、2007医薬品添加物事典、及び2007医薬品添加物ハンドブックに収載されている。
【0013】
本願発明は、「(A)イブプロフェンを含有する粒状物」、及び「(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層」を含むフィルムコーティング製剤である。「(A)イブプロフェンを含有する粒状物」を、「(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層」で被覆することにより、粒状物中のイブプロフェンが、フィルムコーティング層に染み出すのを防止することができる。
【0014】
本願発明における「(A)イブプロフェンを含有する粒状物」とは、イブプロフェンを含有する散剤、顆粒剤又は錠剤(素錠)を意味する。「(A)イブプロフェンを含有する粒状物」には、イブプロフェン以外の薬物や一般的に使用される医薬品添加物を含んでいてもよいが、塩基性成分を含んでいる場合には、粒状物中のイブプロフェンがフィルムコーティング層へ染み出し易くなるので、フィルムコーティング層にポリビニルアルコール共重合体を添加した効果が、より現れやすくなる。
【0015】
粒状物中に含まれるイブプロフェンの含量は、粒状物全体の重量の5〜90重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましい。また、イブプロフェンを含有する粒状物に塩基性成分が含まれる場合の塩基性成分の含量は、粒状物全体の重量の0.05〜50重量%が好ましい。
【0016】
本願発明における「(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層」は、ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング剤で、上記「(A)イブプロフェンを含有する粒状物」を被膜する層である。該フィルムコーティング層には、通常、フィルムコーティング剤として配合できる医薬品添加物を含有していてもよく、また、該フィルムコーティング層には、薬効成分、特にイブプロフェンと配合変化を生じる薬効成分が含まれていてもよい。該フィルムコーティング層に含有できる薬効成分としては、具体的にはベラドンナ総アルカロイド、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミン塩酸塩、及びベンフォチアミンからなる群より選択される1種又は2種以上を好ましいものとして挙げることができ;ベラドンナ総アルカロイドがより好ましい。
【0017】
本願発明におけるフィルムコーティング層に配合されるポリビニルアルコール共重合体の重量比は、該フィルムコーティング層全体の10〜90重量%が好ましく、10〜80重量%がより好ましい。また、本発明において、フィルムコーティング層中に、薬効成分を配合する場合、かかる薬効成分の重量は、該フィルムコーティング層全体の重量の0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜10%がより好ましい。
【0018】
本願発明における「(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層」の重量としては、フィルムコーティング製剤全体の重量に対し、1〜10重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましい。
【0019】
本願発明のフィルムコーティング製剤は、「(A)イブプロフェンを含有する粒状物」と、これを被覆する「(B)ポリビニルアルコール共重合体及び薬効成分を含有するフィルムコーティング層」の外側に、さらに「(C)薬効成分を含む第二のフィルムコーティング層」を有していてもよい。このように「(C)薬効成分を含む第二のフィルムコーティング層」を有する場合、「(B)ポリビニルアルコール共重合体及び薬効成分を含有するフィルムコーティング層」は、該フィルムコーティング製剤中において、アンダーコーティング層として(A)イブプロフェン等の薬物の染み出しを防御する役割を果たす。
かかる「(C)薬効成分を含む第二のフィルムコーティング層」に添加する添加剤としては、2007医薬品添加物事典、及び2007医薬品添加物ハンドブックに収載されている可塑剤、及びコーティング剤である添加剤を使用することが好ましく、例えばヒプロメロース、メタクリル酸コポリマーL、オパドライOY−6950、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分けん化物、ポリビニルアルコール共重合体、マクロゴール6000、酸化チタン、タルク、ステアリン酸マグネシウム等を好ましいものとして挙げることができる。 さらに、「(C)薬効成分を含む第二のフィルムコーティング層」の薬効成分としては、イブプロフェンと配合変化を生じるものが好ましく;具体的にはベラドンナ総アルカロイド、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミン塩酸塩、及びベンフォチアミンからなる群より選択される1種又は2種以上を好ましいものとして挙げることができ;ベラドンナ総アルカロイドがより好ましい。
【0020】
本願発明のフィルムコーティング製剤の最も好ましい形態としては、以下(a)〜(e)を挙げることができる。
(a):(A)イブプロフェンを含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体及びベラドンナ総アルカロイドを含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(b):(A)イブプロフェンを含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層、及び、(C)ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(c):(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(d):(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体及びベラドンナ総アルカロイドを含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
(e):(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層、及び、(C)ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
【0021】
本願発明のフィルムコーティング製剤の製造方法としては、常法により調製すればよい。例えば、本発明の製剤の剤形が錠剤の場合、イブプロフェン及び塩基性成分、さらに必要により他の薬効成分や医薬品添加物を添加し、必要に応じて造粒を行い、造粒物のまま、或いは該造粒物に添加剤を配合し、これを打錠して素錠を製造した後、フィルムコーティングを行うことによって製造することができる。かかるフィルムコーティングの方法は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
【0022】
本発明のフィルムコーティング製剤の製剤化に使用される医薬品添加物としては、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、発砲剤、防湿剤、界面活性剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、香料、芳香剤、着色剤、基剤、コーティング剤、糖衣剤、可塑剤、分散剤、消泡剤等が挙げられる。
【実施例】
【0023】
本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例及び比較例を記載する。
【0024】
1.素錠の調製
(a)素錠1の調製
イブプロフェン225.0g、リン酸ジヒドロコデイン6.0g、ベンフォチアミン12.5g、トウモロコシデンプン73.95g、結晶セルロース72.6g、クロスカルメロースナトリウム24.2g、及び適量の乳糖水和物を投入、混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧し、造粒末を調製してA顆粒とした。ベラドンナ総アルカロイド0.15g、ブロムヘキシン塩酸塩6.0g、クレマスチンフマル酸塩0.67g、リン酸ジヒドロコデイン6.0g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩30.0g、無水カフェイン32.5g、リボフラビン6.0g、トウモロコシデンプン115.7g、結晶セルロース90.75g、クロスカルメロースナトリウム24.2g、及び適量の乳糖水和物を投入、混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧し、造粒末を調製してB顆粒とした。A粒、B粒、及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、直径9.5mmの臼、曲率半径13.5mmのR面の杵にて、1錠質量410mg、厚さ5.3mmの素錠を打錠して素錠1を得た。
【0025】
(b)素錠2の調製
イブプロフェン900.0g、ブロムヘキシン塩酸塩24.0g、クレマスチンフマル酸塩2.68g、リン酸ジヒドロコデイン48.0g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩120.0g、無水カフェイン150.0g、ベンフォチアミン50.0g、リボフラビン24.0g、トウモロコシデンプン733.4g、結晶セルロース738.0g、クロスカルメロースナトリウム196.8g、及び適量の乳糖水和物を投入、混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧し、造粒末を調製して顆粒を得た。調製した顆粒、及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、直径9.5mmの臼、曲率半径13.5mmのR面の杵にて、1錠質量410mg、厚さ5.3mmの素錠を打錠して素錠2を得た。
【0026】
2.試験用製剤の調製
(比較例1)
素錠1を試験用錠剤とした。
【0027】
(比較例2)
ベラドンナ総アルカロイド0.29g、ヒプロメロース84.7g、酸化チタン28.3g、タルク28.3gを精製水1058.5gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液とした。素錠2(350g、約850錠)をコーティングパン(ハイコーターラボ、フロイント産業)に充填し、フィルムコーティング溶液を、1錠あたりの製剤の重量が434.6mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0028】
(比較例3)
ベラドンナ総アルカロイド0.22g、ポリビニルアルコール部分けん化物を含有しているフィルムコーティング用基剤(商品名:オパドライII85シリーズ)109.1gを精製水1090.7gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液とした。素錠2(350g、約850錠)を上記コーティングパンに充填し、フィルムコーティング溶液を、1錠あたりの製剤の重量が434.6mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0029】
(実施例1)
ベラドンナ総アルカロイド0.35g、ポリビニルアルコール共重合体(商品名ポバコート)84.7g、酸化チタン28.2g、タルク28.2gを20%エタノール水溶液1058.7gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液とした。素錠2(850g、約2070錠)をコーティングパン(ハイコーターHCT−30N、フロイント産業)に充填し、フィルムコーティング溶液を、1錠あたりの製剤の重量が430mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0030】
(実施例2)
ベラドンナ総アルカロイド0.51g、ポリビニルアルコール共重合体(商品名ポバコート)82.7g、酸化チタン33.0g、タルク49.5gを20%エタノール水溶液1034.2gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液とした。素錠2(850g、約2070錠)を上記コーティングパンに充填し、フィルムコーティング溶液を、1錠あたりの製剤の重量が426.4mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0031】
(実施例3)
ベラドンナ総アルカロイド0.34g、ポリビニルアルコール共重合体(商品名ポバコート)82.7g、酸化チタン33.1g、タルク49.6gを20%エタノール水溶液1034.2gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液とした。素錠2(850g、約2070錠)を上記コーティングパンに充填し、フィルムコーティング溶液を、1錠あたりの製剤の重量が434.6mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0032】
(実施例4)
ベラドンナ総アルカロイド0.25g、ポリビニルアルコール共重合体(商品名ポバコート)82.7g、酸化チタン33.1g、タルク49.7gを20%エタノール水溶液1034.3gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液とした。素錠2(850g、約2070錠)を上記コーティングパンに充填し、フィルムコーティング溶液を、1錠あたりの製剤の重量が442.8mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0033】
(実施例5)
ポリビニルアルコール共重合体(商品名ポバコート)82.7g、酸化チタン33.0g、タルク49.5gを20%エタノール水溶液1034.2gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液1とした。素錠2(850g、約2070錠)を上記コーティングパンに充填し、フィルムコーティング溶液1を1錠につき422.0mgまで噴霧してアンダーコーティング錠を得た。その後、ベラドンナ総アルカロイド0.55g、ヒプロメロース84.9g、酸化チタン28.4g、タルク28.4gを精製水1060.72gに分散、溶解してフィルムコーティング溶液2を調製した。アンダーコーティング錠(875g、約2070錠)を上記コーティングパンに充填し、フィルムコーティング溶液2を、1錠あたりの製剤の重量が435.0mgになるまで噴霧してフィルムコーティング錠を得た。
【0034】
3.試験方法
(1)フィルムコーティング錠の保管条件、及び評価項目
調製した比較例1−3、実施例1−5のフィルムコーティング錠について各80錠を8K規格瓶に充填し、密栓した後に60℃・2週間、60℃・1ヶ月、及び50℃・1ヶ月保管した。保管後の検体ついて、性状(色調)変化、崩壊性、及びベラドンナ総アルカロイドの含量を評価した。
【0035】
(2)評価の方法
フィルムコーティング錠の性状(色調)変化に関しては、目視より評価した。目視での評価は5℃で保管した標準品を対照として、以下の基準の4段階で評価した。
性状(色調)変化の評価基準 A:変化なし、B:わずかな変化、C:変化あり、D:著しい変化
【0036】
崩壊性は崩壊試験(試験水:水、n=6)にて評価した。また、崩壊によって溶出したベラドンナ総アルカロイド量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定し、試験開始時の含量に対する残存率を算出した。
【0037】
調製した比較例1−3、及び実施例1−5のフィルムコーティング層の成分をそれぞれ表1、及び表3に記載した。また、比較例1−3、及び実施例1−5のフィルムコーティング製剤の評価結果を、それぞれ表2、表4に示した。表3、4に示したように、イブプロフェンと塩基性成分を含有する製剤にポリビニルアルコール共重合体をフィルムコーティングした製剤は、湿潤したイブプロフェンのフィルムコーティング層中への染み出しを改善し、保存安定に優れる製剤であることが判明した。このことより、ポリビニルアルコール共重合体をフィルムコーティングした製剤は、経時的に発生する性状(色調)変化を抑制し、かつ崩壊時間の延長を抑制することがわかった。さらに、ベラドンナ総アルカロイドをポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層に配合するか、又は、ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層の内側にポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層をアンダーコーティング層として被覆することにより、ベラドンナ総アルカロイドの含量低下を抑制できることが判明した。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、イブプロフェンを含有する製剤において、塩基性成分やベラドンナ総アルカロイド等のイブプロフェンと配合変化を有する成分を配合しても、保存安定性に優れた製剤を提供することができるので有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)及び(B)を含むフィルムコーティング製剤。
(A)イブプロフェンを含有する粒状物
(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層
【請求項2】
(B)のフィルムコーティング層の重量が、フィルムコーティング製剤全体の1〜10重量%である、請求項1に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項3】
(B)のフィルムコーティング層に、薬効成分を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項4】
薬効成分がベラドンナ総アルカロイドである、請求項3に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項5】
(A)イブプロフェンを含有する粒状物、及び、(B)のポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層の外側に、さらに(C)薬効成分を含む第二のフィルムコーティング層を有する、請求項1又は2に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項6】
薬効成分がベラドンナ総アルカロイドである、請求項5に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項7】
(A)のイブプロフェンを含有する粒状物に、さらに塩基性成分を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項8】
剤形が錠剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルムコーティング製剤。
【請求項9】
(A)イブプロフェンを含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体及びベラドンナ総アルカロイドを含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
【請求項10】
(A)イブプロフェンを含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層、及び、(C)ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
【請求項11】
(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含有するフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。
【請求項12】
(A)イブプロフェン及び塩基性成分を含有する錠剤を、(B)ポリビニルアルコール共重合体を含むフィルムコーティング層、及び、(C)ベラドンナ総アルカロイドを含有する第二のフィルムコーティング層で被覆した、フィルムコーティング製剤。

【公開番号】特開2013−63964(P2013−63964A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188173(P2012−188173)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】