イブプロフェンナトリウムタブレット、およびイブプロフェンナトリウムを含有する医薬組成物の製造方法
イブプロフェンナトリウム組成物、ならびにイブプロフェンナトリウムを含むタブレットおよびカプレットの製造方法を記載する。この配合物は、低いナトリウム含量を有するタブレットの形成を可能にし、さらに、卓越した溶解性および生物学的利用能の特性と合わせて、改良された物理的安定性、高いタブレット硬度および高い強度を示すタブレットを提供するので、有利である。許容できない数の欠陥タブレットなしにそれらを大量に製造できるので、この配合物および方法はさらに有利である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の市販イブプロフェンナトリウム(sodium ibuprofen)剤形と比較して低いナトリウム含量をもつ、新規なイブプロフェンナトリウムコアおよびコーティングしたタブレット/カプレット組成物、ならびにそのようなイブプロフェンナトリウムコアおよび対応する医薬的に許容できる組成物を製造する方法に関する。これらのイブプロフェンナトリウムコア、ならびにイブプロフェンナトリウム組成物および配合物のコーティングしたコアは、患者に対してタブレット/カプレット組成物を基準として140mg/日未満の最大1日ナトリウム含量をもつタブレット/カプレットコアの形成を可能にし、さらに、卓越した溶解性および生物学的利用能の特性と関連および均衡して、改良された物理的安定性、高いタブレット/カプレット硬度および高いイブプロフェンナトリウムコア強度を示すイブプロフェンナトリウムタブレット/カプレットコアおよび対応するコーティングしたイブプロフェンナトリウムコアを提供するので、有利である。この医薬的に許容できるイブプロフェンナトリウムコアおよびコーティングしたコア組成物、配合物、およびその製造方法は、許容できない数の欠陥タブレットなしにそれらを商業的に大量生産できるので、さらに有利である。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンの固体剤形は周知である。イブプロフェンのタブレット組成物は市販されているが、タブレットの圧縮性、安定性および崩壊性が乏しいことは、依然として配合上の重大な問題である。低い圧縮力下で圧縮することによって形成されたタブレットは高い圧縮力によって形成されたタブレットよりやはり速やかに溶解するのが一般的であるが、低い圧力下で製造されたタブレットはしばしば高い脆砕性(friability)をもつ。国際特許出願公開No. WO 2004/035024 A1は、イブプロフェンナトリウムの剤形の代表例である。しかし、これらの錠剤は十分ではあるが最適ではない硬度をもつにすぎず、かつ大きな総ナトリウム含量を含み、これは患者、特にそのような一般用医薬品を頻繁に日常的に使用する者にとって有利ではない。さらに、摂取前のそのようなタブレットの脆さ(crumbling)および破損(breakage)は、錠剤当たりの有効成分の投与量に関して不確実さ、ならびにピッキングおよび粘着を含めたコア欠陥を生じる可能性がある。さらに、高い脆砕性はタブレット破損の原因ともなり、工場での取扱い中にむだが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2004/035024 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、先行技術に伴うこれらおよび他の問題点に対処する。本発明は、市販のイブプロフェンナトリウム剤形と比較して低いナトリウム含量をもつ改良されたイブプロフェンナトリウムタブレットコアを提供し、さらに、卓越した溶解性、低い脆砕性および高い安定性と均衡した最適硬度をもち、かつ原価効率の良い製造方法という利点が付加されたタブレット/カプレットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、組成物を基準として低いナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムを含有するコアを含む医薬組成物を、有利に提供する。本発明は、さらに少なくとも1つのコーティングを含むタブレットまたはカプレットの形の医薬組成物を提供し、その際、該コア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxは約40分以下である。本発明は、コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む医薬組成物を提供する。本発明は、コアのイブプロフェンナトリウムが2水和物の形で存在し、その際、イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として50から90重量まで%の量で存在する、医薬組成物を提供する。本発明は、コーテッドタブレットまたはコーテッドカプレットの形の医薬組成物を提供し、この医薬的に許容できる組成物の水溶液のpHは二酸化炭素を含まない水40mL中、25℃で6.0から8.0までの範囲である。本発明は、さらに1種類以上の追加の賦形剤を医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から20重量%までの量で含み、1種類以上の医薬的に許容できる結合剤および他の賦形剤が医薬組成物のコアの重量を基準として10から50重量%までの量で存在する、医薬組成物をも提供する。本発明は、30Nより大きい硬度をもち、1種類以上の医薬的に許容できるコーティングが医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から10重量%までの量で存在する、医薬組成物を提供する。本発明は、患者に対して140mg/日未満(約134mg/日未満を含む)の総1日ナトリウム含量をもつ医薬組成物を提供し、イブプロフェンナトリウムによる処置を必要とする患者に対して1日に6投与量で22.3mg/投与単位のナトリウム含量を与える。本発明は、140mg/日未満の低い1日ナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムコアを含み、このコア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である医薬組成物を製造する方法を提供し、この方法はさらに、その医薬組成物を圧縮して30Nより大きい硬度をもつコアにする段階を含む。高いイブプロフェンナトリウムコア強度および硬度をもち、市販のイブプロフェンナトリウム配合物と比較して低いナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムコアならびに対応するコーティングされたタブレットおよびカプレットを製造するための医薬的に許容できる組成物および方法が提供され、さらに、卓越した溶解プロフィールおよび生物活性をもつイブプロフェンナトリウムタブレットが提供される。本発明はさらに、イブプロフェンナトリウム組成物を製造する方法を提供する。この方法は、イブプロフェンナトリウムを適切な賦形剤と組み合わせることを含む。さらに、タブレットおよびカプレットを大規模バッチで最も効率的に製造するために最適化した、タブレットおよびカプレットの製造方法が提供される。
【0006】
以下の詳細な記述、実施例および図面は、本発明およびそれの利点をさらに詳述する。
図面の説明
表1は、イブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の代表的組成および配合物中の賦形剤の機能を示す。
【0007】
表2は、乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の代表的組成および配合物中の賦形剤の機能を示す。
表3は、256.25mgコーテッドタブレットを製造するための代表的イブプロフェンナトリウム配合物をまとめたものである。
【0008】
表4は、256.27mgコーテッドタブレットを製造するための乳糖を含有する代表的イブプロフェンナトリウム配合物をまとめたものである。
表5は、コーティングされたイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットを製造するためのコーティング系をまとめたものである。
【0009】
表6は、イブプロフェンナトリウムコアを製造するためのローラー圧密(compaction)パラメーターをまとめたものである。
表7は、イブプロフェンナトリウムタブレット圧縮(compression)データをまとめたものである。
【0010】
表8は、イブプロフェンナトリウムカプレット圧縮データをまとめたものである。
表9は、イブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する硬度データをまとめたものである。
【0011】
表10は、イブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する硬度データをまとめたものである。
表11は、工程内イブプロフェンナトリウムタブレット統計値をまとめたものである。
【0012】
表12は、工程内イブプロフェンナトリウムタブレット硬度データをまとめたものである。
表13は、工程内イブプロフェンナトリウムカプレット硬度データをまとめたものである。
【0013】
表14は、乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムバッチに関するバルク脆砕性データをまとめたものである。
表15(a)、3(b)および3(c)は、イブプロフェンナトリウムタブレットの代表的組成を示す。これらの配合物を、実施例4に開示する生物学的試験に用いた。
【0014】
表16は、イブプロフェンナトリウム投薬試験データをまとめたものである。
表17は、IBU薬物動態パラメーターをまとめたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、256.25mgイブプロフェンナトリウムタブレットの製造のための代表的なフローチャートを示す。
【図2】図2は、実施例4の生物学的試験からの経時的な平均イブプロフェン血漿濃度測定値を示す。基本型I〜IIIは、それぞれ実施例10からの配合物I〜III(表15(a)〜15(c))に対応する。
【図3】図3は、実施例4の生物学的試験からの経時的な平均イブプロフェン血漿濃度測定値を示す(半対数目盛)。基本型I〜IIIは、それぞれ実施例10からの配合物I〜III(表15(a)〜15(c))に対応する。
【図4】図4は、実施例4の生物学的試験からの最初の2時間にわたる平均イブプロフェン血漿濃度測定値を示す。基本型I〜IIIは、それぞれ実施例10からの配合物I〜III(表15(a)〜15(c))に対応する。
【図5】図5は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)における安定性データをまとめたものである。
【図6】図6は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)および25℃/60%相対湿度(RH)Sにおける安定性データをまとめたものである。
【図7】図7は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Sにおける安定性データをまとめたものである。
【図8】図8は、イブプロフェンナトリウムの組成物に関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/65%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図9】図9は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図10】図10は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および40℃/75%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図11】図11は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図12】図12は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)および25℃/60%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図13】図13は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図14】図14は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/65%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図15】図15は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図16】図16は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および40℃/75%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、圧縮により製造したイブプロフェンナトリウムコアおよび対応するコーティングしたタブレットおよびカプレットを提供する。本明細書に述べる成分および方法によって、急速溶解性および卓越したタブレット強度を含む有利な特性を備えたタブレットおよびカプレットを製造できる。本明細書中で用いる語“タブレット”は、錠剤、カプレット、カプセル形錠剤、丸剤、または他のいずれかのその同義語を含むものとする。さらに、“タブレット”は、小さな、本質的に固体ペレットの形のいずれかの形状の薬理学的組成物を表わす。タブレットの形状は円筒形、球形、長方形、カプセル形または不規則であってもよい。
【0017】
本明細書中で用いる用語“約”(aboutまたはapproximately)は、数値の性質およびそれを測定する方法が与えられれば、特定の数値が当業者に許容できるある範囲をもつ可能性があることを意味する。
【0018】
タブレット強度は一般に直径圧縮試験(Brazilian試験とも呼ばれる)により測定される。たとえば、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets. 3rd Edition. Vol. 1. Edited by Larry Augsburger and Stephen Hoag. pg 606を参照。タブレットがある様式で破断する(fracture)場合、結果を引張り強さとして評価することができる。より一般的には、タブレットが破損する(break)ピーク負荷を破砕強さ(crushing strength)または破砕力(crushing forth)と呼ぶ。ニュートン(N)はこの測定値のSI単位であるが、ストロングコブユニット(Strong Cobb Unit)(SCU)およびキロポンド(Kp)が時に用いられる。適切な強度のタブレットを得ることは、圧縮後の取扱い中、フィルムコーティング中、および包装製品を輸送する際に、破損を避けるために重要である。
【0019】
本発明のタブレットは、1種類以上の水溶性賦形剤をも含有する。賦形剤は、イブプロフェンナトリウムコアまたはコーティング中の有効成分以外のいずれかの成分であり、結合剤、希釈剤、崩壊剤、着香剤、着色剤、流動促進剤、酸性化剤(souring agent)および甘味剤を含む。
【0020】
本発明の目的に関して、“結合剤”は、顆粒を形成するために、および/または圧縮中に凝集圧密を促進するために、造粒の前または途中に添加する1種類以上の成分を表わす。本発明の結合剤には、少なくとも微結晶性セルロース(MCC)およびマンニトールが含まれる。MCCは、水中で剪断されてきわめて安定なチキソトロピックゲルを形成する無数の不溶性微結晶からなる三次元マトリックスを形成する成分である。天然物として、それは安定、安全かつ生理的に不活性であることが証明されている。微結晶性セルロース(MCC)は、それの独特な圧縮適性および収容能(carrying capacity)のため、タブレット製造技術分野で知られている。それは固体剤形のための賦形剤として卓越した特性を示す。それは広範囲の圧縮圧力下で良好に圧密され、高い結合能をもち、きわめて硬く安定ではあるけれどもなお急速に崩壊するタブレットを形成する。他の利点には、低い脆砕性、固有滑沢性、およびすべての結合剤のうち最高の希釈能力が含まれる。これらの特性のため、MCCはローラー圧密、直接圧縮、および湿式造粒により製造される配合物のための充填剤および結合剤として特に価値がある。マンニトール、好ましくは中等度の粒度をもつ噴霧乾燥したD−マンニトールも、良好な圧縮適性を備えた卓越した希釈剤−結合剤である。二酸化ケイ素もそれの結合特性が認識されており、本発明において使用される。さらに、本発明において考慮する組成物を配合するために他の結合剤を添加できることは、当業者に自明であろう。
【0021】
タブレットは1種類以上の流動促進剤を含有することもでき、これらは粉末ブレンドの流動性を改善し、タブレット重量変動を最小限に抑える。二酸化ケイ素などの流動促進剤を本発明に使用できる。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の流動促進剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0022】
さらに、本発明のタブレットは、圧縮後に仕上がったタブレットをダイから突き出すのを容易にするために、かつタブレットがパンチ面および相互に粘着するのを阻止するために、滑沢剤を含有することができる。本発明において考慮する2種類のそのような成分は、MCCおよびラウリル硫酸ナトリウムである。さらに、有効成分としてのイブプロフェンナトリウムの独特の特性は、それ自体が良好な滑沢剤であることである。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の滑沢剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0023】
本明細書中で用いる用語“崩壊剤”は、水(または水を含有するインビボ流体)中での本発明の医薬配合物を含む医薬組成物の崩壊を助成する1種類以上の物質を表わす。ある態様において、崩壊剤成分は、微結晶性セルロース(MCC)と、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、イオン交換樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、炭酸金属塩、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、またはリン酸カルシウムのうち1種類以上とを含む。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の崩壊剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0024】
本明細書中で希釈剤は、タブレットおよびカプレットに有効薬物のほかに添加される不活性成分または充填剤を広く表わす。マンニトールおよびMCCは、それらの他の特性と共に考慮される希釈剤である。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の希釈剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0025】
さらに、場合により、医薬配合物中に慣用される他の物質、たとえば着香剤(たとえば、バーントシュガー(burnt sugar)フレーバー、ストローベリーアロマ、ラズベリーアロマ、チェリーフレーバー、マグナスイート135(magnasweet 135)、キーライムフレーバー(key lime flavor)、グレープフレーバー、果実エキス、およびプロスイート(prosweet)、フレーバー増強剤および甘味剤(たとえば、スクラロース(sucralose)、アスパルテーム(aspartame)、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖)、酸性化剤(たとえばクエン酸)、色素または着色剤を含有させることができる。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の希釈剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0026】
本明細書中で用いる“低いナトリウム含量を有する”は、140mg/日未満の最大1日ナトリウム含量をもたらす、医薬的に許容できる組成物を表わす。21 CFR 201.64 “Labeling Requirements for Over-the-Counter Drugs”は、OTC医薬品におけるナトリウム含量の問題を検討している。最大1日量が140mg/日を超えるナトリウムを含有する場合は、警告を示さなければならない。経口摂取を意図したOTC医薬品のラベリングは、その製品の表示された最大1日量中に存在するナトリウムの量が140mg/日を超えるならば、“警告(Warning)”(または、それが追加の警告表記を伴う場合は“警告(Warnings)”)のタイトルのもとに下記の表記を含むべきである:“ナトリウム制限食を摂っている場合は使用前に医師に相談すること(Ask a doctor before use if you have [in bold type] [bullet]1a sodium-restricted diet)”。本明細書に開示する発明の利点のひとつは、そのような警告が必要ないことである。合計140mg/日のナトリウムを多数回量に分けて摂取できることが考慮される。たとえば、実施例2に、256.27mgのイブプロフェンナトリウムを含有するタブレットを開示する。これは、200mg量のイブプロフェンと等量である。少量のナトリウムしか含有しない賦形剤を用いると、実施例2による単一のタブレットまたはカプレットは約23mg/投与単位のナトリウム含量をもたらすであろう。このタブレットを摂取すると、個体は6単位量を摂取してもなお1200mg/日の最大1日許容OTCイブプロフェン用量および140mg/日のナトリウム閾値未満の両方を下回る。本発明によれば、本発明の組成物中に少量の追加ナトリウム、たとえば実施例2からのラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が存在する可能性が考慮される。しかし、本発明の組成物はなお140mg/日未満の合計ナトリウム含量をもたらすであろう。
【0027】
製薬企業は、タブレット配合物に医薬を配合するために多様な方法を用いる。タブレット製造のための成分または成分サブセットの調製に関して、本明細書に開示する発明の組成物に好ましい方法はローラー圧密法である。造粒法はあらゆる利点をもち、材料の流動挙動の改善および含量の均一性などをもたらすことができるが、ローラー圧密法は水分、溶剤または熱(乾燥)に感受性である化合物については湿式造粒法に優る独自の利点をもつ。ローラー圧密法においては、粉末を2つの逆転ロールに供給し、これらが粉末を摩擦によりロール間に引き込み、そして粉末を圧密する。ローラー圧密法は簡単な方法にみえるが、多数の材料特性および機械変数が関与するため、基本的メカニズムは複雑である:たとえば材料の流動特性、ロール表面に対する摩擦、圧縮適性、圧密適性、弾性、通気性、ロール表面、ロール寸法、ロール圧、ロールギャップ、ロール速度、供給の方法および条件(重力またはスクリュー、スクリュー設計、真空であるか否か)、ならびに供給圧力。実際に、ローラー圧密による配合およびプロセス開発は、依然として経験、試行錯誤、および実験の設計に大幅に依存している。基本的な理解に基づくけれども実際に応用することもできるローラー圧密製品のプロセス開発および大規模化方法の開発が明らかに求められている。
【0028】
一般に、ローラー圧密法には制御可能な3つのパラメーターがある:ロール圧、ロールギャップ(または、ギャップ制御をしない場合は、リボン厚を供給スクリュー速度により制御できる)、およびロール速度。粉末ブレンドが団結してリボンになるのはローラー圧密に際しての粉末内の機械的応力(法線応力および剪断応力)の結果であるので、すべてのパラメーターをそれらと法線(圧密)応力および剪断応力との相互関係の検討により調べる。
【0029】
本発明のタブレットをその本質的特色を保存した目的形状に成形する方法はいずれも本発明の範囲に含まれる。
タブレット組成物を調製する際のタブレット成分の混合およびミリングは、組成物が混合されて本質的に均質になるようにするいずれかの方法により達成できる。
【0030】
タブレット組成物が調製されると、それらを多様な形状に成形することができる。好ましい態様において、タブレット組成物を型に圧入する。このプロセスは、タブレット組成物を型に入れ、そして組成物がその組成物の接触している型の表面の形状になるように組成物に圧力をかけることを含むことができる。最も慣用されるタブレットプレスにおいて調整できるパラメーターは、本明細書に開示する発明が意図するタブレットの最終的な強度および安定性に大きな効果を有することができる。成形用具の形状、予備圧縮強度、圧縮力、タレット速度を含めたこれらのパラメーターは調整可能であり、タブレットの硬度、ならびにコアを構成する一次粒子のピッキングおよび粘着を含めたコア欠陥に影響を及ぼす。
【0031】
他のイブプロフェンナトリウム剤形と比較した前記イブプロフェンナトリウム配合物の利点のひとつは、イブプロフェンナトリウムの配合によって、低いナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムコアの形成が可能になり、さらに、卓越した溶解性および生物学的利用能の特性と合わせて、改良された物理的安定性、高いコア硬度および高いコア強度を示すタブレットが提供されることである。本発明のイブプロフェンナトリウム組成物の他の利点は、現在市販されているイブプロフェン製剤は貧溶性である酸形の有効成分を含有することである。本発明によるイブプロフェンナトリウムのコアおよび組成物のさらに他の利点は、たとえば要求されるTmaxを含めた必要な安定性および溶解性のプロフィールを備えた安定なコーテッドタブレット/カプレットが提供されることである。本発明のイブプロフェンナトリウム組成物は、他の最適パラメーターのほかに、改良されたTmaxをもつ。
【0032】
1態様によれば、コアを含む医薬組成物が提供され、このコアはイブプロフェンナトリウムを含み、組成物は低いナトリウム含量をもつ。“タブレットコア”という表現は、本発明の概念において、糖またはフィルムのコートを含まないタブレットまたはカプレットを示す。
【0033】
1態様によれば、さらに少なくとも1つのコーティングを含むタブレットまたはカプレットの形の医薬組成物が提供される。
1態様によれば、コアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、組成物が約11:1のイブプロフェンナトリウム−対−総ナトリウム含量の比率を有する、医薬組成物が提供される。医薬組成物はさらに、コーティングされたコアを含み、そのコアはイブプロフェンナトリウムを含み、コーティングされたコアは23mg/投与単位未満のナトリウム含量をもつ。さらに、そのようなコア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である医薬組成物が提供される。
【0034】
1態様によれば、コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む医薬組成物が提供される。
1態様によれば、コア組成物は少なくとも1種類の結合剤を含む。適切な結合剤の例は、糖類、たとえばショ糖、ブドウ糖、果糖および乳糖、ヘキソース類、たとえばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、加水分解または酵素分解したデンプン、たとえばマルトデキストリン、シクロデキストリン類、たとえばP−およびy−シクロデキストリン、ならびにその組合わせである。
【0035】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは2水和物の形で存在する。本発明に関して“イブプロフェンナトリウム水和物”という表現は、イブプロフェンナトリウム2水和物、ラセミ体イブプロフェンのナトリウム塩、ならびに鏡像異性体S(+)−イブプロフェンおよびR(−)−イブプロフェンならびにこれらの鏡像異性体の混合物のナトリウム塩を含めたイブプロフェンナトリウムのすべての水和物を含む。好ましくは、S(+)−イブプロフェンナトリウム水和物、および特にラセミ体イブプロフェンナトリウム水和物が用いられる。1態様によれば、イブプロフェンナトリウム水和物はイブプロフェンナトリウム2水和物である。
【0036】
別態様によれば、他の塩形のイブプロフェンを本発明のコアおよび対応する組成物に添加できる。代表例には、イブプロフェンカルシウム、イブプロフェンカリウム、イブプロフェンリシン塩、イブプロフェンアルギニン塩、イブプロフェンの炭酸塩類、リン酸塩類、ホスフェート類、リン酸水素塩類、酸化物、水酸化物、クエン酸塩類、酒石酸塩類、酢酸塩類またはプロピオン酸塩類、特に塩基性ナトリウム塩、クエン酸三ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウムなど、塩基性アミノ酸、たとえばリシンおよびアルギニン、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
1態様によれば、pH6.0〜8.0をもつ、カーボネートを含まないコアおよび対応する組成物が提供される。これらのコアおよび組成物は、酸性媒質中で著しく過飽和された溶液を生成し、急速な吸収を補助する。したがって本発明は、既知のイブプロフェン医薬と比較して、作用部位でより急速に有効血中レベルおよび濃度に達し、これによって鎮痛作用の開始が促進され、かつ作用部位でより急速に最大血中レベルおよび濃度に達する。多数のインビボ試験により、一般的なイブプロフェン配合物については投与後、約1.5時間で最大血中レベルに達するにすぎないことが証明された。これに対し、本発明のタブレットについては崩壊剤なしで既に約35分後に最大血中レベルに達した。したがって本発明のタブレットは痛みを特に急速に処置することができ、鎮痛効果の開始が遅すぎる結果として患者がさらにタブレットを摂取する危険性を少なくする。
【0038】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは、医薬組成物の重量を基準として50から99.9重量%までの量で存在するイブプロフェンナトリウム2水和物を含む。
【0039】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは、医薬組成物の重量を基準として少なくとも60〜90重量%の量で存在するイブプロフェンナトリウム2水和物を含む。
【0040】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットはさらに1種類以上の賦形剤または充填剤を含む。この医薬組成物はコーテッドタブレットまたはコーテッドカプレットの形であり、この医薬的に許容できる組成物の水溶液のpHは6.0〜8.0の範囲である。
【0041】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは、さらに、医薬組成物を基準として10から50重量%までの量で存在する1種類以上の医薬的に許容できる結合剤を含む。好ましくは、水溶性賦形剤を使用する。好ましくは適切な賦形剤の例は、糖類、たとえばショ糖、ブドウ糖、果糖および乳糖、ヘキソース類、たとえばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、加水分解または酵素分解したデンプン、たとえばマルトデキストリン、シクロデキストリン類、たとえばP−およびy−シクロデキストリン、非架橋(水溶性)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、有機酸または無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、特にナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、二クエン酸三マグネシウム、二クエン酸三カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどである。特に好ましい賦形剤は、ヘキソース類、たとえばソルビトールおよびマンニトール、非架橋ポリビニルピロリドン、マルトデキストリン、ならびに塩化ナトリウム、特に水溶性の非架橋ポリビニルピロリドンであり、それはイブプロフェンが胃内で沈降するのを遅延させるのにも適切であると思われる。
【0042】
1態様によれば、医薬組成物は、糖衣またはフィルムコーティングを含む少なくとも1つのコーティングをもつコーテッドコアを含み、その際、一般的な糖衣またはフィルムコーティング材料すべてが原則的にコーティング材料として適切である。コートの厚さは決定的ではない;しかし、一般にコートの割合はタブレットコアの重量を基準としてわずか約1〜10重量%であり、これには約3〜6重量%が含まれる。適切なコーティングおよびコーティング材料の例は実施例中にある。
【0043】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、30Nより大きい硬度を構成する。
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、40Nより大きい硬度を構成する。
【0044】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、80Nより大きい硬度を構成する。
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、90Nより大きい硬度を構成する。
【0045】
速やかに溶解する水溶性ポリマーフィルムコートでタブレットをコーティングすることもできる。フィルムコーティング法は、薄い、均一な、一般にポリマーの膜を、通常は吹付け法により支持体に沈着させることを伴う。フィルムコーティング法の利点には、最終剤形の重量増加が最小限に抑えられること、加工時間が短縮されること、およびチッピングに対する抵抗性が改善されることが含まれる。場合により、コーティング組成物は有効成分の味または臭気を遮蔽するために着香剤を含有する。さらに、艶出剤、たとえばカルナウバろうをコーティングプロセスの一部として使用できる。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他のコーティング材料の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。さらに、フィルムコーティング以外の方法が本発明において考慮される。
【実施例】
【0046】
実施例1
下記は本発明者らが意図する配合物の態様である。イブプロフェンナトリウムタブレット200mgは、丸いベージュ色のフィルムコーティングしたタブレットであり、黒色インクでプリントされ、投与単位当たり256.25mgのイブプロフェンナトリウム2水和物を含有する(200mg量のイブプロフェンと等量)。
【0047】
表1は、1個のイブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の組成、および配合物中の賦形剤の機能をまとめたものである。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
乳糖を含有するコーティングした200mg量のイブプロフェンナトリウムカプレットの他の組成、および配合物中の賦形剤の機能を表2にまとめる。イブプロフェンナトリウムタブレット200mgは、丸いベージュ色のフィルムコーティングしたタブレットであり、黒色インクでプリントされ、投与単位当たり256.27mgのイブプロフェンナトリウム2水和物を含有する(200mg量のイブプロフェンと等量)。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例3
実施例1に従った、より大規模バッチの本発明者らが意図する配合物の態様である。イブプロフェンナトリウムタブレットのバッチを約150万タブレットの代表的バッチサイズで製造した。
【0052】
イブプロフェンナトリウムの製造プロセスは、7つの単位操作からなる:秤量、ブレンディング、ローラー圧密/ミリング、ブレンディング、圧縮、コーティング/艶出し、およびプリンティング。それぞれの単位操作の成分を調剤部で個別に秤量する。
【0053】
ふるい分けしたイブプロフェンナトリウム2水和物、マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素をビン内でブレンディングおよび積層することにより、イブプロフェンナトリウムの各プレブレンドを調製した。ビンの内容物を均一になるまでブレンドした。次いで、一体型ミルを備えたローラー圧密装置を用いてブレンドをローラー圧密およびミリングして顆粒にした。ローラー圧密段階の後、微結晶性セルロース、マンニトール、コロイド状二酸化ケイ素、およびラウリル硫酸ナトリウムをふるい分けし、ビンに添加して圧縮用ブレンドを形成した。ビンの内容物を均一になるまでブレンドした。回転式タブレットプレスで圧縮用ブレンドを圧縮してタブレットにした。セットアップ時に下記の工程内試験を実施した:平均重量(421〜439mg、目標430mg)および平均硬度。製造されるタブレットコアの品質を確保するために、圧縮段階全体にわたって工程内試験(平均重量および平均硬度)を実施した。圧縮後、フィルムコーティング機内においてコアを甘味剤入りフィルムコートでコーティングし、カルナウバろう艶出しを施した。
【0054】
【表3】
【0055】
a.2つのビンの材料が1バッチを構成する;
b.イブプロフェンナトリウム2水和物を50.0kgずつ(4部分)に分ける;
c.マンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスに使用するためにマンニトールを5.20kgずつ3つに分ける;
d.マンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスに使用するためにコロイド状二酸化ケイ素を0.78kgずつ3つに分ける;
e.マンニトールを12.0kgずつ3つに分ける;
f.造粒の収率(理論収量に対する%)が特定範囲(97.0〜102.0%)外である場合、圧縮用ミックス成分を実収量に基づいて計算する;
g.ラインを始動できるように、過剰のコーティング懸濁液を調製する;コーティング懸濁液は20%の固形分である;
h.バッチ(2つのビン)をコーティングするために1タンクのフィルムコーティング溶液を調製する;
i.本質的に処理中に除かれて、最終剤形中にはみられない;
j.セットアップのために過剰のインクおよびアルコールを分配する;量には処理中に使用されない可能性のある過剰分が含まれる;
k.インクを薄めるために、必要に応じてアルコールを使用する。
【0056】
実施例4
実施例3に従った、大規模バッチの本発明者らが意図する配合物の態様である。乳糖を含有するコーティングしたイブプロフェンナトリウムタブレットのバッチを約100万タブレットの代表的バッチサイズで製造した。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例5
タブレットおよびカプレット製品のためのコーティングしたイブプロフェンナトリウムコアの他の例を、下記の表5にまとめたコーティング系を用いて製造した。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例6
製造プロセスおよびプロセス制御の記載
イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造のための代表的なフローチャートを図1に示す。
【0061】
実施例7
下記の製造方法は、イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造プロセスにおける段階を記載する。
【0062】
製造プロセス
下記の製造方法は、医薬品イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造プロセスにおける段階を記載する。
【0063】
秤量
指示した量の各成分を秤量し、個別の適宜なラベルを付けた容器に入れた。
ブレンディング(イブプロフェンナトリウムのプレブレンド)
ビンブレンダー内で造粒用ミックスのブレンディングを実施した。1バッチは10のビンからなる。下記の方法を用いて各ビンに装填した:
1)マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素のミックスを調製した;
2)全成分を個別に保持しながら、全成分を#20メッシュのスクリーンで適切な容器内へふるい分けした;
3)すべての材料がビンに入るまでイブプロフェンナトリウム2水和物、マンニトール、およびマンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスを少量ずつ交互に入れることにより、材料をビンに入れた。
【0064】
材料を3〜15分間、17rpm±1rpmでブレンドした。10個のビンそれぞれについてブレンディング段階を繰り返した。
ローラー圧密/ミリング
このプレブレンドを、ブレンディングに用いたビンから直接にローラー圧密機へ供給した。表6に挙げたローラー圧密パラメーターを維持して、許容できるリボンを製造した。
【0065】
【表6】
【0066】
ローラー圧密に続いて、1.5mmのスクリーンを備えた一体型振動ミルによりリボンを処理した。ミリングした材料を適切な容器に採集した。
ブレンディング(圧縮用ミックス)
造粒のビン等量分につき圧縮用ミックスのブレンディングをビンブレンダー内で実施する。各ビンの装填のために下記の方法を用いる:
1)適切な容器を用いて、コロイド二酸化ケイ素を微結晶性セルロースと混和した;
2)コロイド二酸化ケイ素/微結晶性セルロースミックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールを、#20メッシュのスクリーンでふるい分けした;
3)ビン内のイブプロフェンナトリウム造粒物に、ふるい分けしたコロイド二酸化ケイ素/微結晶性セルロースミックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールを添加した。
【0067】
材料を9〜18分間、17rpm±1rpmでブレンドした。
1バッチを構成する10のビンそれぞれについて、この操作を繰り返した。
圧縮
丸形またはカプセル形の成形用具を備えた回転式タブレットプレスを用いて、圧縮用ミックスをカプレットコアとして圧縮した。含量の均一性を確実にするために平均重量を測定した。充填深さを調整することにより、目標重量からの偏差を補正した。コアの性能および強靭性を確実にするために平均硬度を測定した。除塵装置および金属探知器を通過させた後、タブレットを適切な貯蔵容器に採集した。コーティングしたイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットの圧縮パラメーターの例を表7および表8にまとめる。本発明によれば、より広い範囲のそのような圧縮パラメーターが有効に採用されるものとする。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
代表的なイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットの圧縮力および硬度データを表9〜13にまとめる。
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
懸濁液の調製
1)着色したフィルムコーティング材料を水に添加し、少なくとも30分間混合した;
2)甘味剤を添加し、1種類以上の着香剤をこの懸濁液に添加し、少なくとも15分間混合を続けた。
【0077】
フィルムコーティング
1)ある量のカプレットコアまたはタブレットコアを適切なサイズのコーティングパンへ移した。調製したコーティング系を用いて、計算量の懸濁液をカプレット床またはタブレット床に付与した;
コーティング懸濁液の付与が完了した時点で、メッシュスクリーンによりふるい分けしたカルナウバろうを、カプレット床またはタブレット床に付与した;
2)カプレットまたはタブレットをタンブリングしてカルナウバろうを分配させた;
3)カプレットまたはタブレットをコーターから適切な容器内へ排出させた。
【0078】
プリンティング
カプレットまたはタブレットの1面に、必要に応じてイソプロピルアルコールで希釈した黒色インクにより、許容できるプリント質が得られる速度で、オフセットプリンターを用いてプリントした。
【0079】
包装
タブレットまたはカプレットを常法により包装した。
実施例8
実施例1からのイブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する脆砕性データ
イブプロフェンナトリウム組成物の安定性試験および溶解試験を図5〜12にまとめる。
【0080】
実施例9
例15(a)からのコーティングしたイブプロフェンナトリウムのコーテッド組成物に関する脆砕性データを表14にまとめる。乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムバッチに関するバルク脆砕性データの例は0.47%である。USP<1216>タブレット脆砕性試験に従った特定の回転後に脆砕性を試験した。
【0081】
【表14】
【0082】
実施例10
イブプロフェンナトリウム基本型(prototype)タブレットの吸収性を比較するためのパイロット試験
このパイロット試験により、3種類の異なるイブプロフェンナトリウム基本型タブレットの吸収プロフィールを、現在市販されているイブプロフェン製品(以後、“参照標準品”)と比較して評価した。
【0083】
この試験の目的は、イブプロフェンナトリウム基本型タブレットからのイブプロフェン吸収の率および程度(6時間目まで)を参照標準品と比較することであった。
全体的な試験設計および計画の記載
これは単回投与、ランダム化、オープンラベル、患者内、二元交差試験であった。少なくとも12人の被験者が試験を完了するのを確実にするために、16人の健康な男性および女性被験者(ほぼ同数の各性)を参加させる計画を立てた。被験者を4種類の投与シーケンスの1つにランダムに配属し、400mg量の各イブプロフェン配合物を各試験期間中に一夜絶食後に投与した。各試験期間についての投与は、少なくとも48時間の間隔をおいた。4試験期間中それぞれの6時間にわたるラセミ体イブプロフェンの分析用に、各被験者から18の血液試料(3mLずつ)をヘパリンナトリウムチューブ内に採集した。試験中に合計216mLの血液を各被験者から採集した(安全性および妊娠評価のために必要とした約30mLの血液を除く)。被験者を試験期間中は現場に収容した。
【0084】
試験製品の特性
表15(a)〜15(c)に、生物学的試験に用いた基本型I〜IIIを示す。
【0085】
【表15a】
【0086】
【表15b】
【0087】
【表15c】
【0088】
・処置A:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物I(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置B:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物II(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置C:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物III(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置D、参考:2×参照標準品200mg(全量=400mg)0時間目。
【0089】
すべての処置剤を絶食条件下で投与した。
投与した処置剤
【0090】
【表16】
【0091】
生物学的分析方法
確証された高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析/質量分析(HPLC MS/MS)検出方法を用いて、血漿試料をラセミ体IBUについて分析した。
【0092】
下記のPKパラメーターを求めた:AUCL、Cmax、Ln AUCL、Ln Cmax、Tmax、Tmec(6.4mcg/mLの血漿濃度に達する時間)、T20(20mcg/mLの血漿濃度に達する時間)、およびTlag(薬物投与と吸収開始の間の時間の遅れ)。
【0093】
薬物動態比較
下記の対の比較を評価した:
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物I(処置A)−対−参照標準品(処置D);
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物II(処置B)−対−参照標準品(処置D);
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物III(処置C)−対−参照標準品(処置D)。
【0094】
統計分析
AUCLおよびCmaxデータ(log換算したものと換算しないものの両方)を、分散分析(ANOVA)を用いて、性、被験者(性)、期間、処置、および処置−性相関性(treatment-by-gender interaction)の作用に関して処置間の差につき分析した。処置−性相関性は、それが有意であれば(0.10レベルで)最終モデルにおいて保持されているはずであった。被験者(性)を誤差項として用い、逐次(タイプ1)平方和を用いて、性作用を試験した。
【0095】
23〜44歳の合計17人の被験者(男性8人(47%)および女性9人(53%))が試験に参加した。この集団の平均年齢および肥満指数は、30.6歳(23〜44歳)および24.3kg/m2(20.0〜28.0kg/m2の範囲)であった。11人(64.7%)の被験者は白人、これに次いで3人(17.7%)は黒人、2人(11.8%)はアジア人であり、1人(4.9%)は‘その他’の人種と分類された。8人(47.1%)の被験者はヒスパニック人種であった。
【0096】
薬物動態結果
各サンプリング時点での個々の被験者の濃度データ、および各サンプリング時点でのイブプロフェン血漿濃度についての概略統計値を後記にグラフで示す。平均血漿濃度曲線を後記の図2(均等目盛)および図3(半対数目盛)に示す。投与後2時間目までの平均血漿濃度曲線(均等目盛)を図4に示す。
【0097】
薬物動態データ
重要な結果を下記の表17にまとめる。3種類の基本型はそれぞれ、6時間目までのイブプロフェン吸収の程度(AUCL)および率(Cmax)の両方に関して参照標準品と生物学的に同等であり、参照配合物と対比した各比率の試験配合物についての信頼限界は、前決定範囲(75.0〜133.3%)および生物学的同等性についての一般的な範囲(80〜125%)に十分に含まれていた。3種類の配合物はすべて速やかに吸収され(図4)、平均して40分以内にそれらの各ピーク濃度に達した(Tmax);これは約52分の平均Tmaxを示した参照標準品と比較して若干速やかであった。3種類の基本型は投与して12分以内にTmec(6.4mcg/mLの血漿濃度に達する時間)に達し、投与して18.2分以内にT20(20mcg/mLの血漿濃度に達する時間)に達した;これらは参照標準品についての各時間、約22分および29分より速やかであった。
【0098】
全体として、基本型IIの配合物が、関連血漿濃度閾値に達するのが最短時間である最も速やかなPKプロフィール(Tmax、TmecおよびT20)、および最高のCmaxを示した;しかし、他の2種類の基本型も有望であり、基本型IIと類似していた。
【0099】
重要な結果を下記の表17にまとめる。
【0100】
【表17】
【0101】
全体的な薬物動態結論
3種類の基本型すべてが、6時間目までのイブプロフェン吸収の程度(AUC)および率(Cmax)の両方に関して参照標準品と生物学的に同等であった。参照配合物と対比した各比率の試験配合物の信頼限界は、生物学的同等性について確立された範囲(80〜125%)に十分に含まれていた。3種類の基本型配合物はすべて平均して速やかに吸収され(図4)、Tmax値は投与後40分以内であった。
【0102】
考察および全体的な結論
このパイロット試験では、3種類の基本型イブプロフェンナトリウム配合物からのイブプロフェンの吸収の率および程度を参照標準品と比較した。3種類の基本型すべてがAUCLおよびCmaxに関して参照標準品と生物学的に同等であると判定され、3種類の基本型すべてが速やかに吸収され、ピーク血漿濃度に達する時間(Tmax)は投与して40分以内であった。さらに、ピーク血漿濃度に達する時間(Tmax)、最低有効血漿濃度に達する時間(Tmec)、および20mcg/mLの血漿濃度に達する時間(T20)は、3種類のイブプロフェンナトリウム基本型について参照標準品と比較してより速やかであった。
【0103】
これらのデータは、他のイブプロフェンナトリウム製品の吸収プロフィールを参照標準品、イブプロフェンリシン塩および一般的なイブプロフェンと比較した先のPK試験と一致する;それは、イブプロフェンナトリウムがCmaxおよびAUCについて参照標準品およびイブプロフェンリシン塩と生物学的に同等であり、Tmaxはわずかに速やかであることを証明した。さらに、この試験により、イブプロフェンナトリウムはAUCについて一般的イブプロフェンと生物学的に同等であるけれどもより速やかに吸収されることが見出された(より高いCmaxおよびより速やかなTmax)。この他のイブプロフェンナトリウム配合物は標準イブプロフェン錠より速やかな鎮痛作用開始をも与えたので、これらのデータはこの試験で検査したイブプロフェンナトリウムタブレットは標準イブプロフェン錠より速やかに、かつ少なくとも参照標準品と同じ速度で鎮痛作用開始を与えることができることを示唆する。
【0104】
このパイロット試験で評価した3種類のイブプロフェンナトリウム基本型配合物および参照標準品はすべて良好に耐容された。
本発明の範囲は本明細書に記載した特定の態様に限定されるべきではない。実際に、以上の記載および添付の図面から、本明細書に記載したもののほか本発明の多様な改変が当業者に明らかになるであろう。そのような改変は特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0105】
さらに、すべての数値は概数であり、説明のために示したものであることを理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の市販イブプロフェンナトリウム(sodium ibuprofen)剤形と比較して低いナトリウム含量をもつ、新規なイブプロフェンナトリウムコアおよびコーティングしたタブレット/カプレット組成物、ならびにそのようなイブプロフェンナトリウムコアおよび対応する医薬的に許容できる組成物を製造する方法に関する。これらのイブプロフェンナトリウムコア、ならびにイブプロフェンナトリウム組成物および配合物のコーティングしたコアは、患者に対してタブレット/カプレット組成物を基準として140mg/日未満の最大1日ナトリウム含量をもつタブレット/カプレットコアの形成を可能にし、さらに、卓越した溶解性および生物学的利用能の特性と関連および均衡して、改良された物理的安定性、高いタブレット/カプレット硬度および高いイブプロフェンナトリウムコア強度を示すイブプロフェンナトリウムタブレット/カプレットコアおよび対応するコーティングしたイブプロフェンナトリウムコアを提供するので、有利である。この医薬的に許容できるイブプロフェンナトリウムコアおよびコーティングしたコア組成物、配合物、およびその製造方法は、許容できない数の欠陥タブレットなしにそれらを商業的に大量生産できるので、さらに有利である。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンの固体剤形は周知である。イブプロフェンのタブレット組成物は市販されているが、タブレットの圧縮性、安定性および崩壊性が乏しいことは、依然として配合上の重大な問題である。低い圧縮力下で圧縮することによって形成されたタブレットは高い圧縮力によって形成されたタブレットよりやはり速やかに溶解するのが一般的であるが、低い圧力下で製造されたタブレットはしばしば高い脆砕性(friability)をもつ。国際特許出願公開No. WO 2004/035024 A1は、イブプロフェンナトリウムの剤形の代表例である。しかし、これらの錠剤は十分ではあるが最適ではない硬度をもつにすぎず、かつ大きな総ナトリウム含量を含み、これは患者、特にそのような一般用医薬品を頻繁に日常的に使用する者にとって有利ではない。さらに、摂取前のそのようなタブレットの脆さ(crumbling)および破損(breakage)は、錠剤当たりの有効成分の投与量に関して不確実さ、ならびにピッキングおよび粘着を含めたコア欠陥を生じる可能性がある。さらに、高い脆砕性はタブレット破損の原因ともなり、工場での取扱い中にむだが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2004/035024 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、先行技術に伴うこれらおよび他の問題点に対処する。本発明は、市販のイブプロフェンナトリウム剤形と比較して低いナトリウム含量をもつ改良されたイブプロフェンナトリウムタブレットコアを提供し、さらに、卓越した溶解性、低い脆砕性および高い安定性と均衡した最適硬度をもち、かつ原価効率の良い製造方法という利点が付加されたタブレット/カプレットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、組成物を基準として低いナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムを含有するコアを含む医薬組成物を、有利に提供する。本発明は、さらに少なくとも1つのコーティングを含むタブレットまたはカプレットの形の医薬組成物を提供し、その際、該コア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxは約40分以下である。本発明は、コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む医薬組成物を提供する。本発明は、コアのイブプロフェンナトリウムが2水和物の形で存在し、その際、イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として50から90重量まで%の量で存在する、医薬組成物を提供する。本発明は、コーテッドタブレットまたはコーテッドカプレットの形の医薬組成物を提供し、この医薬的に許容できる組成物の水溶液のpHは二酸化炭素を含まない水40mL中、25℃で6.0から8.0までの範囲である。本発明は、さらに1種類以上の追加の賦形剤を医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から20重量%までの量で含み、1種類以上の医薬的に許容できる結合剤および他の賦形剤が医薬組成物のコアの重量を基準として10から50重量%までの量で存在する、医薬組成物をも提供する。本発明は、30Nより大きい硬度をもち、1種類以上の医薬的に許容できるコーティングが医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から10重量%までの量で存在する、医薬組成物を提供する。本発明は、患者に対して140mg/日未満(約134mg/日未満を含む)の総1日ナトリウム含量をもつ医薬組成物を提供し、イブプロフェンナトリウムによる処置を必要とする患者に対して1日に6投与量で22.3mg/投与単位のナトリウム含量を与える。本発明は、140mg/日未満の低い1日ナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムコアを含み、このコア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である医薬組成物を製造する方法を提供し、この方法はさらに、その医薬組成物を圧縮して30Nより大きい硬度をもつコアにする段階を含む。高いイブプロフェンナトリウムコア強度および硬度をもち、市販のイブプロフェンナトリウム配合物と比較して低いナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムコアならびに対応するコーティングされたタブレットおよびカプレットを製造するための医薬的に許容できる組成物および方法が提供され、さらに、卓越した溶解プロフィールおよび生物活性をもつイブプロフェンナトリウムタブレットが提供される。本発明はさらに、イブプロフェンナトリウム組成物を製造する方法を提供する。この方法は、イブプロフェンナトリウムを適切な賦形剤と組み合わせることを含む。さらに、タブレットおよびカプレットを大規模バッチで最も効率的に製造するために最適化した、タブレットおよびカプレットの製造方法が提供される。
【0006】
以下の詳細な記述、実施例および図面は、本発明およびそれの利点をさらに詳述する。
図面の説明
表1は、イブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の代表的組成および配合物中の賦形剤の機能を示す。
【0007】
表2は、乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の代表的組成および配合物中の賦形剤の機能を示す。
表3は、256.25mgコーテッドタブレットを製造するための代表的イブプロフェンナトリウム配合物をまとめたものである。
【0008】
表4は、256.27mgコーテッドタブレットを製造するための乳糖を含有する代表的イブプロフェンナトリウム配合物をまとめたものである。
表5は、コーティングされたイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットを製造するためのコーティング系をまとめたものである。
【0009】
表6は、イブプロフェンナトリウムコアを製造するためのローラー圧密(compaction)パラメーターをまとめたものである。
表7は、イブプロフェンナトリウムタブレット圧縮(compression)データをまとめたものである。
【0010】
表8は、イブプロフェンナトリウムカプレット圧縮データをまとめたものである。
表9は、イブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する硬度データをまとめたものである。
【0011】
表10は、イブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する硬度データをまとめたものである。
表11は、工程内イブプロフェンナトリウムタブレット統計値をまとめたものである。
【0012】
表12は、工程内イブプロフェンナトリウムタブレット硬度データをまとめたものである。
表13は、工程内イブプロフェンナトリウムカプレット硬度データをまとめたものである。
【0013】
表14は、乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムバッチに関するバルク脆砕性データをまとめたものである。
表15(a)、3(b)および3(c)は、イブプロフェンナトリウムタブレットの代表的組成を示す。これらの配合物を、実施例4に開示する生物学的試験に用いた。
【0014】
表16は、イブプロフェンナトリウム投薬試験データをまとめたものである。
表17は、IBU薬物動態パラメーターをまとめたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、256.25mgイブプロフェンナトリウムタブレットの製造のための代表的なフローチャートを示す。
【図2】図2は、実施例4の生物学的試験からの経時的な平均イブプロフェン血漿濃度測定値を示す。基本型I〜IIIは、それぞれ実施例10からの配合物I〜III(表15(a)〜15(c))に対応する。
【図3】図3は、実施例4の生物学的試験からの経時的な平均イブプロフェン血漿濃度測定値を示す(半対数目盛)。基本型I〜IIIは、それぞれ実施例10からの配合物I〜III(表15(a)〜15(c))に対応する。
【図4】図4は、実施例4の生物学的試験からの最初の2時間にわたる平均イブプロフェン血漿濃度測定値を示す。基本型I〜IIIは、それぞれ実施例10からの配合物I〜III(表15(a)〜15(c))に対応する。
【図5】図5は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)における安定性データをまとめたものである。
【図6】図6は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)および25℃/60%相対湿度(RH)Sにおける安定性データをまとめたものである。
【図7】図7は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Sにおける安定性データをまとめたものである。
【図8】図8は、イブプロフェンナトリウムの組成物に関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/65%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図9】図9は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図10】図10は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および40℃/75%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図11】図11は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図12】図12は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する25℃/60%相対湿度(RH)および25℃/60%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図13】図13は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図14】図14は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する30℃/65%相対湿度(RH)および30℃/65%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【図15】図15は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および30℃/60%相対湿度(RH)Uにおける溶解性データをまとめたものである。
【図16】図16は、イブプロフェンナトリウムの組成物のロットに関する40℃/75%相対湿度(RH)および40℃/75%相対湿度(RH)Sにおける溶解性データをまとめたものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、圧縮により製造したイブプロフェンナトリウムコアおよび対応するコーティングしたタブレットおよびカプレットを提供する。本明細書に述べる成分および方法によって、急速溶解性および卓越したタブレット強度を含む有利な特性を備えたタブレットおよびカプレットを製造できる。本明細書中で用いる語“タブレット”は、錠剤、カプレット、カプセル形錠剤、丸剤、または他のいずれかのその同義語を含むものとする。さらに、“タブレット”は、小さな、本質的に固体ペレットの形のいずれかの形状の薬理学的組成物を表わす。タブレットの形状は円筒形、球形、長方形、カプセル形または不規則であってもよい。
【0017】
本明細書中で用いる用語“約”(aboutまたはapproximately)は、数値の性質およびそれを測定する方法が与えられれば、特定の数値が当業者に許容できるある範囲をもつ可能性があることを意味する。
【0018】
タブレット強度は一般に直径圧縮試験(Brazilian試験とも呼ばれる)により測定される。たとえば、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets. 3rd Edition. Vol. 1. Edited by Larry Augsburger and Stephen Hoag. pg 606を参照。タブレットがある様式で破断する(fracture)場合、結果を引張り強さとして評価することができる。より一般的には、タブレットが破損する(break)ピーク負荷を破砕強さ(crushing strength)または破砕力(crushing forth)と呼ぶ。ニュートン(N)はこの測定値のSI単位であるが、ストロングコブユニット(Strong Cobb Unit)(SCU)およびキロポンド(Kp)が時に用いられる。適切な強度のタブレットを得ることは、圧縮後の取扱い中、フィルムコーティング中、および包装製品を輸送する際に、破損を避けるために重要である。
【0019】
本発明のタブレットは、1種類以上の水溶性賦形剤をも含有する。賦形剤は、イブプロフェンナトリウムコアまたはコーティング中の有効成分以外のいずれかの成分であり、結合剤、希釈剤、崩壊剤、着香剤、着色剤、流動促進剤、酸性化剤(souring agent)および甘味剤を含む。
【0020】
本発明の目的に関して、“結合剤”は、顆粒を形成するために、および/または圧縮中に凝集圧密を促進するために、造粒の前または途中に添加する1種類以上の成分を表わす。本発明の結合剤には、少なくとも微結晶性セルロース(MCC)およびマンニトールが含まれる。MCCは、水中で剪断されてきわめて安定なチキソトロピックゲルを形成する無数の不溶性微結晶からなる三次元マトリックスを形成する成分である。天然物として、それは安定、安全かつ生理的に不活性であることが証明されている。微結晶性セルロース(MCC)は、それの独特な圧縮適性および収容能(carrying capacity)のため、タブレット製造技術分野で知られている。それは固体剤形のための賦形剤として卓越した特性を示す。それは広範囲の圧縮圧力下で良好に圧密され、高い結合能をもち、きわめて硬く安定ではあるけれどもなお急速に崩壊するタブレットを形成する。他の利点には、低い脆砕性、固有滑沢性、およびすべての結合剤のうち最高の希釈能力が含まれる。これらの特性のため、MCCはローラー圧密、直接圧縮、および湿式造粒により製造される配合物のための充填剤および結合剤として特に価値がある。マンニトール、好ましくは中等度の粒度をもつ噴霧乾燥したD−マンニトールも、良好な圧縮適性を備えた卓越した希釈剤−結合剤である。二酸化ケイ素もそれの結合特性が認識されており、本発明において使用される。さらに、本発明において考慮する組成物を配合するために他の結合剤を添加できることは、当業者に自明であろう。
【0021】
タブレットは1種類以上の流動促進剤を含有することもでき、これらは粉末ブレンドの流動性を改善し、タブレット重量変動を最小限に抑える。二酸化ケイ素などの流動促進剤を本発明に使用できる。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の流動促進剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0022】
さらに、本発明のタブレットは、圧縮後に仕上がったタブレットをダイから突き出すのを容易にするために、かつタブレットがパンチ面および相互に粘着するのを阻止するために、滑沢剤を含有することができる。本発明において考慮する2種類のそのような成分は、MCCおよびラウリル硫酸ナトリウムである。さらに、有効成分としてのイブプロフェンナトリウムの独特の特性は、それ自体が良好な滑沢剤であることである。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の滑沢剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0023】
本明細書中で用いる用語“崩壊剤”は、水(または水を含有するインビボ流体)中での本発明の医薬配合物を含む医薬組成物の崩壊を助成する1種類以上の物質を表わす。ある態様において、崩壊剤成分は、微結晶性セルロース(MCC)と、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、イオン交換樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、炭酸金属塩、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、またはリン酸カルシウムのうち1種類以上とを含む。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の崩壊剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0024】
本明細書中で希釈剤は、タブレットおよびカプレットに有効薬物のほかに添加される不活性成分または充填剤を広く表わす。マンニトールおよびMCCは、それらの他の特性と共に考慮される希釈剤である。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の希釈剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0025】
さらに、場合により、医薬配合物中に慣用される他の物質、たとえば着香剤(たとえば、バーントシュガー(burnt sugar)フレーバー、ストローベリーアロマ、ラズベリーアロマ、チェリーフレーバー、マグナスイート135(magnasweet 135)、キーライムフレーバー(key lime flavor)、グレープフレーバー、果実エキス、およびプロスイート(prosweet)、フレーバー増強剤および甘味剤(たとえば、スクラロース(sucralose)、アスパルテーム(aspartame)、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖)、酸性化剤(たとえばクエン酸)、色素または着色剤を含有させることができる。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他の希釈剤の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。
【0026】
本明細書中で用いる“低いナトリウム含量を有する”は、140mg/日未満の最大1日ナトリウム含量をもたらす、医薬的に許容できる組成物を表わす。21 CFR 201.64 “Labeling Requirements for Over-the-Counter Drugs”は、OTC医薬品におけるナトリウム含量の問題を検討している。最大1日量が140mg/日を超えるナトリウムを含有する場合は、警告を示さなければならない。経口摂取を意図したOTC医薬品のラベリングは、その製品の表示された最大1日量中に存在するナトリウムの量が140mg/日を超えるならば、“警告(Warning)”(または、それが追加の警告表記を伴う場合は“警告(Warnings)”)のタイトルのもとに下記の表記を含むべきである:“ナトリウム制限食を摂っている場合は使用前に医師に相談すること(Ask a doctor before use if you have [in bold type] [bullet]1a sodium-restricted diet)”。本明細書に開示する発明の利点のひとつは、そのような警告が必要ないことである。合計140mg/日のナトリウムを多数回量に分けて摂取できることが考慮される。たとえば、実施例2に、256.27mgのイブプロフェンナトリウムを含有するタブレットを開示する。これは、200mg量のイブプロフェンと等量である。少量のナトリウムしか含有しない賦形剤を用いると、実施例2による単一のタブレットまたはカプレットは約23mg/投与単位のナトリウム含量をもたらすであろう。このタブレットを摂取すると、個体は6単位量を摂取してもなお1200mg/日の最大1日許容OTCイブプロフェン用量および140mg/日のナトリウム閾値未満の両方を下回る。本発明によれば、本発明の組成物中に少量の追加ナトリウム、たとえば実施例2からのラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が存在する可能性が考慮される。しかし、本発明の組成物はなお140mg/日未満の合計ナトリウム含量をもたらすであろう。
【0027】
製薬企業は、タブレット配合物に医薬を配合するために多様な方法を用いる。タブレット製造のための成分または成分サブセットの調製に関して、本明細書に開示する発明の組成物に好ましい方法はローラー圧密法である。造粒法はあらゆる利点をもち、材料の流動挙動の改善および含量の均一性などをもたらすことができるが、ローラー圧密法は水分、溶剤または熱(乾燥)に感受性である化合物については湿式造粒法に優る独自の利点をもつ。ローラー圧密法においては、粉末を2つの逆転ロールに供給し、これらが粉末を摩擦によりロール間に引き込み、そして粉末を圧密する。ローラー圧密法は簡単な方法にみえるが、多数の材料特性および機械変数が関与するため、基本的メカニズムは複雑である:たとえば材料の流動特性、ロール表面に対する摩擦、圧縮適性、圧密適性、弾性、通気性、ロール表面、ロール寸法、ロール圧、ロールギャップ、ロール速度、供給の方法および条件(重力またはスクリュー、スクリュー設計、真空であるか否か)、ならびに供給圧力。実際に、ローラー圧密による配合およびプロセス開発は、依然として経験、試行錯誤、および実験の設計に大幅に依存している。基本的な理解に基づくけれども実際に応用することもできるローラー圧密製品のプロセス開発および大規模化方法の開発が明らかに求められている。
【0028】
一般に、ローラー圧密法には制御可能な3つのパラメーターがある:ロール圧、ロールギャップ(または、ギャップ制御をしない場合は、リボン厚を供給スクリュー速度により制御できる)、およびロール速度。粉末ブレンドが団結してリボンになるのはローラー圧密に際しての粉末内の機械的応力(法線応力および剪断応力)の結果であるので、すべてのパラメーターをそれらと法線(圧密)応力および剪断応力との相互関係の検討により調べる。
【0029】
本発明のタブレットをその本質的特色を保存した目的形状に成形する方法はいずれも本発明の範囲に含まれる。
タブレット組成物を調製する際のタブレット成分の混合およびミリングは、組成物が混合されて本質的に均質になるようにするいずれかの方法により達成できる。
【0030】
タブレット組成物が調製されると、それらを多様な形状に成形することができる。好ましい態様において、タブレット組成物を型に圧入する。このプロセスは、タブレット組成物を型に入れ、そして組成物がその組成物の接触している型の表面の形状になるように組成物に圧力をかけることを含むことができる。最も慣用されるタブレットプレスにおいて調整できるパラメーターは、本明細書に開示する発明が意図するタブレットの最終的な強度および安定性に大きな効果を有することができる。成形用具の形状、予備圧縮強度、圧縮力、タレット速度を含めたこれらのパラメーターは調整可能であり、タブレットの硬度、ならびにコアを構成する一次粒子のピッキングおよび粘着を含めたコア欠陥に影響を及ぼす。
【0031】
他のイブプロフェンナトリウム剤形と比較した前記イブプロフェンナトリウム配合物の利点のひとつは、イブプロフェンナトリウムの配合によって、低いナトリウム含量をもつイブプロフェンナトリウムコアの形成が可能になり、さらに、卓越した溶解性および生物学的利用能の特性と合わせて、改良された物理的安定性、高いコア硬度および高いコア強度を示すタブレットが提供されることである。本発明のイブプロフェンナトリウム組成物の他の利点は、現在市販されているイブプロフェン製剤は貧溶性である酸形の有効成分を含有することである。本発明によるイブプロフェンナトリウムのコアおよび組成物のさらに他の利点は、たとえば要求されるTmaxを含めた必要な安定性および溶解性のプロフィールを備えた安定なコーテッドタブレット/カプレットが提供されることである。本発明のイブプロフェンナトリウム組成物は、他の最適パラメーターのほかに、改良されたTmaxをもつ。
【0032】
1態様によれば、コアを含む医薬組成物が提供され、このコアはイブプロフェンナトリウムを含み、組成物は低いナトリウム含量をもつ。“タブレットコア”という表現は、本発明の概念において、糖またはフィルムのコートを含まないタブレットまたはカプレットを示す。
【0033】
1態様によれば、さらに少なくとも1つのコーティングを含むタブレットまたはカプレットの形の医薬組成物が提供される。
1態様によれば、コアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、組成物が約11:1のイブプロフェンナトリウム−対−総ナトリウム含量の比率を有する、医薬組成物が提供される。医薬組成物はさらに、コーティングされたコアを含み、そのコアはイブプロフェンナトリウムを含み、コーティングされたコアは23mg/投与単位未満のナトリウム含量をもつ。さらに、そのようなコア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である医薬組成物が提供される。
【0034】
1態様によれば、コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む医薬組成物が提供される。
1態様によれば、コア組成物は少なくとも1種類の結合剤を含む。適切な結合剤の例は、糖類、たとえばショ糖、ブドウ糖、果糖および乳糖、ヘキソース類、たとえばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、加水分解または酵素分解したデンプン、たとえばマルトデキストリン、シクロデキストリン類、たとえばP−およびy−シクロデキストリン、ならびにその組合わせである。
【0035】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは2水和物の形で存在する。本発明に関して“イブプロフェンナトリウム水和物”という表現は、イブプロフェンナトリウム2水和物、ラセミ体イブプロフェンのナトリウム塩、ならびに鏡像異性体S(+)−イブプロフェンおよびR(−)−イブプロフェンならびにこれらの鏡像異性体の混合物のナトリウム塩を含めたイブプロフェンナトリウムのすべての水和物を含む。好ましくは、S(+)−イブプロフェンナトリウム水和物、および特にラセミ体イブプロフェンナトリウム水和物が用いられる。1態様によれば、イブプロフェンナトリウム水和物はイブプロフェンナトリウム2水和物である。
【0036】
別態様によれば、他の塩形のイブプロフェンを本発明のコアおよび対応する組成物に添加できる。代表例には、イブプロフェンカルシウム、イブプロフェンカリウム、イブプロフェンリシン塩、イブプロフェンアルギニン塩、イブプロフェンの炭酸塩類、リン酸塩類、ホスフェート類、リン酸水素塩類、酸化物、水酸化物、クエン酸塩類、酒石酸塩類、酢酸塩類またはプロピオン酸塩類、特に塩基性ナトリウム塩、クエン酸三ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウムなど、塩基性アミノ酸、たとえばリシンおよびアルギニン、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
1態様によれば、pH6.0〜8.0をもつ、カーボネートを含まないコアおよび対応する組成物が提供される。これらのコアおよび組成物は、酸性媒質中で著しく過飽和された溶液を生成し、急速な吸収を補助する。したがって本発明は、既知のイブプロフェン医薬と比較して、作用部位でより急速に有効血中レベルおよび濃度に達し、これによって鎮痛作用の開始が促進され、かつ作用部位でより急速に最大血中レベルおよび濃度に達する。多数のインビボ試験により、一般的なイブプロフェン配合物については投与後、約1.5時間で最大血中レベルに達するにすぎないことが証明された。これに対し、本発明のタブレットについては崩壊剤なしで既に約35分後に最大血中レベルに達した。したがって本発明のタブレットは痛みを特に急速に処置することができ、鎮痛効果の開始が遅すぎる結果として患者がさらにタブレットを摂取する危険性を少なくする。
【0038】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは、医薬組成物の重量を基準として50から99.9重量%までの量で存在するイブプロフェンナトリウム2水和物を含む。
【0039】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは、医薬組成物の重量を基準として少なくとも60〜90重量%の量で存在するイブプロフェンナトリウム2水和物を含む。
【0040】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットはさらに1種類以上の賦形剤または充填剤を含む。この医薬組成物はコーテッドタブレットまたはコーテッドカプレットの形であり、この医薬的に許容できる組成物の水溶液のpHは6.0〜8.0の範囲である。
【0041】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムタブレットは、さらに、医薬組成物を基準として10から50重量%までの量で存在する1種類以上の医薬的に許容できる結合剤を含む。好ましくは、水溶性賦形剤を使用する。好ましくは適切な賦形剤の例は、糖類、たとえばショ糖、ブドウ糖、果糖および乳糖、ヘキソース類、たとえばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、加水分解または酵素分解したデンプン、たとえばマルトデキストリン、シクロデキストリン類、たとえばP−およびy−シクロデキストリン、非架橋(水溶性)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、有機酸または無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、特にナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、二クエン酸三マグネシウム、二クエン酸三カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどである。特に好ましい賦形剤は、ヘキソース類、たとえばソルビトールおよびマンニトール、非架橋ポリビニルピロリドン、マルトデキストリン、ならびに塩化ナトリウム、特に水溶性の非架橋ポリビニルピロリドンであり、それはイブプロフェンが胃内で沈降するのを遅延させるのにも適切であると思われる。
【0042】
1態様によれば、医薬組成物は、糖衣またはフィルムコーティングを含む少なくとも1つのコーティングをもつコーテッドコアを含み、その際、一般的な糖衣またはフィルムコーティング材料すべてが原則的にコーティング材料として適切である。コートの厚さは決定的ではない;しかし、一般にコートの割合はタブレットコアの重量を基準としてわずか約1〜10重量%であり、これには約3〜6重量%が含まれる。適切なコーティングおよびコーティング材料の例は実施例中にある。
【0043】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、30Nより大きい硬度を構成する。
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、40Nより大きい硬度を構成する。
【0044】
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、80Nより大きい硬度を構成する。
1態様によれば、イブプロフェンナトリウムのタブレット/カプレットは、90Nより大きい硬度を構成する。
【0045】
速やかに溶解する水溶性ポリマーフィルムコートでタブレットをコーティングすることもできる。フィルムコーティング法は、薄い、均一な、一般にポリマーの膜を、通常は吹付け法により支持体に沈着させることを伴う。フィルムコーティング法の利点には、最終剤形の重量増加が最小限に抑えられること、加工時間が短縮されること、およびチッピングに対する抵抗性が改善されることが含まれる。場合により、コーティング組成物は有効成分の味または臭気を遮蔽するために着香剤を含有する。さらに、艶出剤、たとえばカルナウバろうをコーティングプロセスの一部として使用できる。さらに、本発明において意図する組成物を配合するために他のコーティング材料の添加または代替が可能であることは、当業者に自明であろう。さらに、フィルムコーティング以外の方法が本発明において考慮される。
【実施例】
【0046】
実施例1
下記は本発明者らが意図する配合物の態様である。イブプロフェンナトリウムタブレット200mgは、丸いベージュ色のフィルムコーティングしたタブレットであり、黒色インクでプリントされ、投与単位当たり256.25mgのイブプロフェンナトリウム2水和物を含有する(200mg量のイブプロフェンと等量)。
【0047】
表1は、1個のイブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の組成、および配合物中の賦形剤の機能をまとめたものである。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
乳糖を含有するコーティングした200mg量のイブプロフェンナトリウムカプレットの他の組成、および配合物中の賦形剤の機能を表2にまとめる。イブプロフェンナトリウムタブレット200mgは、丸いベージュ色のフィルムコーティングしたタブレットであり、黒色インクでプリントされ、投与単位当たり256.27mgのイブプロフェンナトリウム2水和物を含有する(200mg量のイブプロフェンと等量)。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例3
実施例1に従った、より大規模バッチの本発明者らが意図する配合物の態様である。イブプロフェンナトリウムタブレットのバッチを約150万タブレットの代表的バッチサイズで製造した。
【0052】
イブプロフェンナトリウムの製造プロセスは、7つの単位操作からなる:秤量、ブレンディング、ローラー圧密/ミリング、ブレンディング、圧縮、コーティング/艶出し、およびプリンティング。それぞれの単位操作の成分を調剤部で個別に秤量する。
【0053】
ふるい分けしたイブプロフェンナトリウム2水和物、マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素をビン内でブレンディングおよび積層することにより、イブプロフェンナトリウムの各プレブレンドを調製した。ビンの内容物を均一になるまでブレンドした。次いで、一体型ミルを備えたローラー圧密装置を用いてブレンドをローラー圧密およびミリングして顆粒にした。ローラー圧密段階の後、微結晶性セルロース、マンニトール、コロイド状二酸化ケイ素、およびラウリル硫酸ナトリウムをふるい分けし、ビンに添加して圧縮用ブレンドを形成した。ビンの内容物を均一になるまでブレンドした。回転式タブレットプレスで圧縮用ブレンドを圧縮してタブレットにした。セットアップ時に下記の工程内試験を実施した:平均重量(421〜439mg、目標430mg)および平均硬度。製造されるタブレットコアの品質を確保するために、圧縮段階全体にわたって工程内試験(平均重量および平均硬度)を実施した。圧縮後、フィルムコーティング機内においてコアを甘味剤入りフィルムコートでコーティングし、カルナウバろう艶出しを施した。
【0054】
【表3】
【0055】
a.2つのビンの材料が1バッチを構成する;
b.イブプロフェンナトリウム2水和物を50.0kgずつ(4部分)に分ける;
c.マンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスに使用するためにマンニトールを5.20kgずつ3つに分ける;
d.マンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスに使用するためにコロイド状二酸化ケイ素を0.78kgずつ3つに分ける;
e.マンニトールを12.0kgずつ3つに分ける;
f.造粒の収率(理論収量に対する%)が特定範囲(97.0〜102.0%)外である場合、圧縮用ミックス成分を実収量に基づいて計算する;
g.ラインを始動できるように、過剰のコーティング懸濁液を調製する;コーティング懸濁液は20%の固形分である;
h.バッチ(2つのビン)をコーティングするために1タンクのフィルムコーティング溶液を調製する;
i.本質的に処理中に除かれて、最終剤形中にはみられない;
j.セットアップのために過剰のインクおよびアルコールを分配する;量には処理中に使用されない可能性のある過剰分が含まれる;
k.インクを薄めるために、必要に応じてアルコールを使用する。
【0056】
実施例4
実施例3に従った、大規模バッチの本発明者らが意図する配合物の態様である。乳糖を含有するコーティングしたイブプロフェンナトリウムタブレットのバッチを約100万タブレットの代表的バッチサイズで製造した。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例5
タブレットおよびカプレット製品のためのコーティングしたイブプロフェンナトリウムコアの他の例を、下記の表5にまとめたコーティング系を用いて製造した。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例6
製造プロセスおよびプロセス制御の記載
イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造のための代表的なフローチャートを図1に示す。
【0061】
実施例7
下記の製造方法は、イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造プロセスにおける段階を記載する。
【0062】
製造プロセス
下記の製造方法は、医薬品イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造プロセスにおける段階を記載する。
【0063】
秤量
指示した量の各成分を秤量し、個別の適宜なラベルを付けた容器に入れた。
ブレンディング(イブプロフェンナトリウムのプレブレンド)
ビンブレンダー内で造粒用ミックスのブレンディングを実施した。1バッチは10のビンからなる。下記の方法を用いて各ビンに装填した:
1)マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素のミックスを調製した;
2)全成分を個別に保持しながら、全成分を#20メッシュのスクリーンで適切な容器内へふるい分けした;
3)すべての材料がビンに入るまでイブプロフェンナトリウム2水和物、マンニトール、およびマンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスを少量ずつ交互に入れることにより、材料をビンに入れた。
【0064】
材料を3〜15分間、17rpm±1rpmでブレンドした。10個のビンそれぞれについてブレンディング段階を繰り返した。
ローラー圧密/ミリング
このプレブレンドを、ブレンディングに用いたビンから直接にローラー圧密機へ供給した。表6に挙げたローラー圧密パラメーターを維持して、許容できるリボンを製造した。
【0065】
【表6】
【0066】
ローラー圧密に続いて、1.5mmのスクリーンを備えた一体型振動ミルによりリボンを処理した。ミリングした材料を適切な容器に採集した。
ブレンディング(圧縮用ミックス)
造粒のビン等量分につき圧縮用ミックスのブレンディングをビンブレンダー内で実施する。各ビンの装填のために下記の方法を用いる:
1)適切な容器を用いて、コロイド二酸化ケイ素を微結晶性セルロースと混和した;
2)コロイド二酸化ケイ素/微結晶性セルロースミックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールを、#20メッシュのスクリーンでふるい分けした;
3)ビン内のイブプロフェンナトリウム造粒物に、ふるい分けしたコロイド二酸化ケイ素/微結晶性セルロースミックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールを添加した。
【0067】
材料を9〜18分間、17rpm±1rpmでブレンドした。
1バッチを構成する10のビンそれぞれについて、この操作を繰り返した。
圧縮
丸形またはカプセル形の成形用具を備えた回転式タブレットプレスを用いて、圧縮用ミックスをカプレットコアとして圧縮した。含量の均一性を確実にするために平均重量を測定した。充填深さを調整することにより、目標重量からの偏差を補正した。コアの性能および強靭性を確実にするために平均硬度を測定した。除塵装置および金属探知器を通過させた後、タブレットを適切な貯蔵容器に採集した。コーティングしたイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットの圧縮パラメーターの例を表7および表8にまとめる。本発明によれば、より広い範囲のそのような圧縮パラメーターが有効に採用されるものとする。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
代表的なイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットの圧縮力および硬度データを表9〜13にまとめる。
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
懸濁液の調製
1)着色したフィルムコーティング材料を水に添加し、少なくとも30分間混合した;
2)甘味剤を添加し、1種類以上の着香剤をこの懸濁液に添加し、少なくとも15分間混合を続けた。
【0077】
フィルムコーティング
1)ある量のカプレットコアまたはタブレットコアを適切なサイズのコーティングパンへ移した。調製したコーティング系を用いて、計算量の懸濁液をカプレット床またはタブレット床に付与した;
コーティング懸濁液の付与が完了した時点で、メッシュスクリーンによりふるい分けしたカルナウバろうを、カプレット床またはタブレット床に付与した;
2)カプレットまたはタブレットをタンブリングしてカルナウバろうを分配させた;
3)カプレットまたはタブレットをコーターから適切な容器内へ排出させた。
【0078】
プリンティング
カプレットまたはタブレットの1面に、必要に応じてイソプロピルアルコールで希釈した黒色インクにより、許容できるプリント質が得られる速度で、オフセットプリンターを用いてプリントした。
【0079】
包装
タブレットまたはカプレットを常法により包装した。
実施例8
実施例1からのイブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する脆砕性データ
イブプロフェンナトリウム組成物の安定性試験および溶解試験を図5〜12にまとめる。
【0080】
実施例9
例15(a)からのコーティングしたイブプロフェンナトリウムのコーテッド組成物に関する脆砕性データを表14にまとめる。乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムバッチに関するバルク脆砕性データの例は0.47%である。USP<1216>タブレット脆砕性試験に従った特定の回転後に脆砕性を試験した。
【0081】
【表14】
【0082】
実施例10
イブプロフェンナトリウム基本型(prototype)タブレットの吸収性を比較するためのパイロット試験
このパイロット試験により、3種類の異なるイブプロフェンナトリウム基本型タブレットの吸収プロフィールを、現在市販されているイブプロフェン製品(以後、“参照標準品”)と比較して評価した。
【0083】
この試験の目的は、イブプロフェンナトリウム基本型タブレットからのイブプロフェン吸収の率および程度(6時間目まで)を参照標準品と比較することであった。
全体的な試験設計および計画の記載
これは単回投与、ランダム化、オープンラベル、患者内、二元交差試験であった。少なくとも12人の被験者が試験を完了するのを確実にするために、16人の健康な男性および女性被験者(ほぼ同数の各性)を参加させる計画を立てた。被験者を4種類の投与シーケンスの1つにランダムに配属し、400mg量の各イブプロフェン配合物を各試験期間中に一夜絶食後に投与した。各試験期間についての投与は、少なくとも48時間の間隔をおいた。4試験期間中それぞれの6時間にわたるラセミ体イブプロフェンの分析用に、各被験者から18の血液試料(3mLずつ)をヘパリンナトリウムチューブ内に採集した。試験中に合計216mLの血液を各被験者から採集した(安全性および妊娠評価のために必要とした約30mLの血液を除く)。被験者を試験期間中は現場に収容した。
【0084】
試験製品の特性
表15(a)〜15(c)に、生物学的試験に用いた基本型I〜IIIを示す。
【0085】
【表15a】
【0086】
【表15b】
【0087】
【表15c】
【0088】
・処置A:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物I(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置B:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物II(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置C:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物III(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置D、参考:2×参照標準品200mg(全量=400mg)0時間目。
【0089】
すべての処置剤を絶食条件下で投与した。
投与した処置剤
【0090】
【表16】
【0091】
生物学的分析方法
確証された高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析/質量分析(HPLC MS/MS)検出方法を用いて、血漿試料をラセミ体IBUについて分析した。
【0092】
下記のPKパラメーターを求めた:AUCL、Cmax、Ln AUCL、Ln Cmax、Tmax、Tmec(6.4mcg/mLの血漿濃度に達する時間)、T20(20mcg/mLの血漿濃度に達する時間)、およびTlag(薬物投与と吸収開始の間の時間の遅れ)。
【0093】
薬物動態比較
下記の対の比較を評価した:
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物I(処置A)−対−参照標準品(処置D);
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物II(処置B)−対−参照標準品(処置D);
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物III(処置C)−対−参照標準品(処置D)。
【0094】
統計分析
AUCLおよびCmaxデータ(log換算したものと換算しないものの両方)を、分散分析(ANOVA)を用いて、性、被験者(性)、期間、処置、および処置−性相関性(treatment-by-gender interaction)の作用に関して処置間の差につき分析した。処置−性相関性は、それが有意であれば(0.10レベルで)最終モデルにおいて保持されているはずであった。被験者(性)を誤差項として用い、逐次(タイプ1)平方和を用いて、性作用を試験した。
【0095】
23〜44歳の合計17人の被験者(男性8人(47%)および女性9人(53%))が試験に参加した。この集団の平均年齢および肥満指数は、30.6歳(23〜44歳)および24.3kg/m2(20.0〜28.0kg/m2の範囲)であった。11人(64.7%)の被験者は白人、これに次いで3人(17.7%)は黒人、2人(11.8%)はアジア人であり、1人(4.9%)は‘その他’の人種と分類された。8人(47.1%)の被験者はヒスパニック人種であった。
【0096】
薬物動態結果
各サンプリング時点での個々の被験者の濃度データ、および各サンプリング時点でのイブプロフェン血漿濃度についての概略統計値を後記にグラフで示す。平均血漿濃度曲線を後記の図2(均等目盛)および図3(半対数目盛)に示す。投与後2時間目までの平均血漿濃度曲線(均等目盛)を図4に示す。
【0097】
薬物動態データ
重要な結果を下記の表17にまとめる。3種類の基本型はそれぞれ、6時間目までのイブプロフェン吸収の程度(AUCL)および率(Cmax)の両方に関して参照標準品と生物学的に同等であり、参照配合物と対比した各比率の試験配合物についての信頼限界は、前決定範囲(75.0〜133.3%)および生物学的同等性についての一般的な範囲(80〜125%)に十分に含まれていた。3種類の配合物はすべて速やかに吸収され(図4)、平均して40分以内にそれらの各ピーク濃度に達した(Tmax);これは約52分の平均Tmaxを示した参照標準品と比較して若干速やかであった。3種類の基本型は投与して12分以内にTmec(6.4mcg/mLの血漿濃度に達する時間)に達し、投与して18.2分以内にT20(20mcg/mLの血漿濃度に達する時間)に達した;これらは参照標準品についての各時間、約22分および29分より速やかであった。
【0098】
全体として、基本型IIの配合物が、関連血漿濃度閾値に達するのが最短時間である最も速やかなPKプロフィール(Tmax、TmecおよびT20)、および最高のCmaxを示した;しかし、他の2種類の基本型も有望であり、基本型IIと類似していた。
【0099】
重要な結果を下記の表17にまとめる。
【0100】
【表17】
【0101】
全体的な薬物動態結論
3種類の基本型すべてが、6時間目までのイブプロフェン吸収の程度(AUC)および率(Cmax)の両方に関して参照標準品と生物学的に同等であった。参照配合物と対比した各比率の試験配合物の信頼限界は、生物学的同等性について確立された範囲(80〜125%)に十分に含まれていた。3種類の基本型配合物はすべて平均して速やかに吸収され(図4)、Tmax値は投与後40分以内であった。
【0102】
考察および全体的な結論
このパイロット試験では、3種類の基本型イブプロフェンナトリウム配合物からのイブプロフェンの吸収の率および程度を参照標準品と比較した。3種類の基本型すべてがAUCLおよびCmaxに関して参照標準品と生物学的に同等であると判定され、3種類の基本型すべてが速やかに吸収され、ピーク血漿濃度に達する時間(Tmax)は投与して40分以内であった。さらに、ピーク血漿濃度に達する時間(Tmax)、最低有効血漿濃度に達する時間(Tmec)、および20mcg/mLの血漿濃度に達する時間(T20)は、3種類のイブプロフェンナトリウム基本型について参照標準品と比較してより速やかであった。
【0103】
これらのデータは、他のイブプロフェンナトリウム製品の吸収プロフィールを参照標準品、イブプロフェンリシン塩および一般的なイブプロフェンと比較した先のPK試験と一致する;それは、イブプロフェンナトリウムがCmaxおよびAUCについて参照標準品およびイブプロフェンリシン塩と生物学的に同等であり、Tmaxはわずかに速やかであることを証明した。さらに、この試験により、イブプロフェンナトリウムはAUCについて一般的イブプロフェンと生物学的に同等であるけれどもより速やかに吸収されることが見出された(より高いCmaxおよびより速やかなTmax)。この他のイブプロフェンナトリウム配合物は標準イブプロフェン錠より速やかな鎮痛作用開始をも与えたので、これらのデータはこの試験で検査したイブプロフェンナトリウムタブレットは標準イブプロフェン錠より速やかに、かつ少なくとも参照標準品と同じ速度で鎮痛作用開始を与えることができることを示唆する。
【0104】
このパイロット試験で評価した3種類のイブプロフェンナトリウム基本型配合物および参照標準品はすべて良好に耐容された。
本発明の範囲は本明細書に記載した特定の態様に限定されるべきではない。実際に、以上の記載および添付の図面から、本明細書に記載したもののほか本発明の多様な改変が当業者に明らかになるであろう。そのような改変は特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0105】
さらに、すべての数値は概数であり、説明のために示したものであることを理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、組成物が低いナトリウム含量を有する、医薬組成物。
【請求項2】
さらに少なくとも1つのコーティングを含むタブレットまたはカプレットの形の、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
コアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、組成物が約11:1のイブプロフェンナトリウム−対−総ナトリウム含量の比率を有する、医薬組成物。
【請求項4】
コーティングされたコアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、コーティングされたコアが23mg/投与単位未満のナトリウム含量を有する、医薬組成物。
【請求項5】
コア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
コアがさらに少なくとも2種類の結合剤を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
タブレットコアのイブプロフェンナトリウムが2水和物の形で存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として50から90重量%までの量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として60から80重量%までの量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として60から70重量%までの量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
さらに、1種類以上の追加の賦形剤を医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から20重量%の量で含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに、1種類以上の医薬的に許容できる結合剤および他の賦形剤が、医薬組成物のコアの重量を基準として10から50重量%までの量で存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
30Nより大きい硬度を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
40Nより大きい硬度を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
80Nより大きい硬度を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
1種類以上の医薬的に許容できるコーティングが、医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から10重量%までの量で存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
低い1日ナトリウム含量をもたらすイブプロフェンナトリウムのコアを含む医薬組成物の製造方法であって、医薬組成物を圧縮して30Nより大きい硬度を有するコアにする段階を含む方法。
【請求項19】
イブプロフェンナトリウムを含有するコアを含む医薬組成物の製造方法であって、イブプロフェンナトリウムおよび1種類以上の賦形剤を圧縮してコアにし、このコアをコーティングする段階を含み、このコーティングしたコアは30Nより大きい硬度を有し、このコーティングしたコアは23mg/投与単位未満のナトリウム含量を有する方法。
【請求項20】
コアを含む医薬組成物の製造方法であって、コアはイブプロフェンナトリウムを含み、組成物は約11:1のイブプロフェンナトリウム−対−総ナトリウム含量の比率を有する方法。
【請求項21】
組成物が140mg/日未満の最大1日ナトリウム含量をもたらす、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
コアがさらに少なくとも1種類の結合剤および少なくとも1つのコーティングを含み、医薬組成物がタブレットまたはカプレットの形である、請求項20または22に記載の方法。
【請求項24】
コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む、請求項22または22に記載の方法。
【請求項25】
コアのイブプロフェンナトリウムが2水和物の形で存在する、請求項20または22に記載の方法。
【請求項26】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として50から90重量%までの量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として少なくとも60〜90重量%の量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として60から80重量%までの量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
圧縮した組成物が40Nより大きい硬度を有する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項30】
圧縮した組成物が80Nより大きい硬度を有する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項31】
医薬的に許容できる1種類以上の結合剤および他の賦形剤の量が、医薬組成物のコアの重量を基準として10から50重量%までの量で存在する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項32】
1種類以上の医薬的に許容できるコーティングが、医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から10重量%までの量で存在する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項33】
400mg等量のイブプロフェンを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下であるイブプロフェンナトリウムコアを含む医薬組成物。
【請求項34】
40Nより大きい硬度を有する、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項1】
コアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、組成物が低いナトリウム含量を有する、医薬組成物。
【請求項2】
さらに少なくとも1つのコーティングを含むタブレットまたはカプレットの形の、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
コアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、組成物が約11:1のイブプロフェンナトリウム−対−総ナトリウム含量の比率を有する、医薬組成物。
【請求項4】
コーティングされたコアを含む医薬組成物であって、コアがイブプロフェンナトリウムを含み、コーティングされたコアが23mg/投与単位未満のナトリウム含量を有する、医薬組成物。
【請求項5】
コア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
コアがさらに少なくとも2種類の結合剤を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
タブレットコアのイブプロフェンナトリウムが2水和物の形で存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として50から90重量%までの量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として60から80重量%までの量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として60から70重量%までの量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
さらに、1種類以上の追加の賦形剤を医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から20重量%の量で含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに、1種類以上の医薬的に許容できる結合剤および他の賦形剤が、医薬組成物のコアの重量を基準として10から50重量%までの量で存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
30Nより大きい硬度を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
40Nより大きい硬度を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
80Nより大きい硬度を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
1種類以上の医薬的に許容できるコーティングが、医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から10重量%までの量で存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
低い1日ナトリウム含量をもたらすイブプロフェンナトリウムのコアを含む医薬組成物の製造方法であって、医薬組成物を圧縮して30Nより大きい硬度を有するコアにする段階を含む方法。
【請求項19】
イブプロフェンナトリウムを含有するコアを含む医薬組成物の製造方法であって、イブプロフェンナトリウムおよび1種類以上の賦形剤を圧縮してコアにし、このコアをコーティングする段階を含み、このコーティングしたコアは30Nより大きい硬度を有し、このコーティングしたコアは23mg/投与単位未満のナトリウム含量を有する方法。
【請求項20】
コアを含む医薬組成物の製造方法であって、コアはイブプロフェンナトリウムを含み、組成物は約11:1のイブプロフェンナトリウム−対−総ナトリウム含量の比率を有する方法。
【請求項21】
組成物が140mg/日未満の最大1日ナトリウム含量をもたらす、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コア2つを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
コアがさらに少なくとも1種類の結合剤および少なくとも1つのコーティングを含み、医薬組成物がタブレットまたはカプレットの形である、請求項20または22に記載の方法。
【請求項24】
コアがさらに少なくとも1種類の結合剤を含む、請求項22または22に記載の方法。
【請求項25】
コアのイブプロフェンナトリウムが2水和物の形で存在する、請求項20または22に記載の方法。
【請求項26】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として50から90重量%までの量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として少なくとも60〜90重量%の量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
イブプロフェンナトリウム2水和物が医薬組成物のコアの重量を基準として60から80重量%までの量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
圧縮した組成物が40Nより大きい硬度を有する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項30】
圧縮した組成物が80Nより大きい硬度を有する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項31】
医薬的に許容できる1種類以上の結合剤および他の賦形剤の量が、医薬組成物のコアの重量を基準として10から50重量%までの量で存在する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項32】
1種類以上の医薬的に許容できるコーティングが、医薬組成物のコアの重量を基準として0.1から10重量%までの量で存在する、請求項22または24に記載の方法。
【請求項33】
400mg等量のイブプロフェンを摂取したヒトにより得られるイブプロフェンのTmaxが約40分以下であるイブプロフェンナトリウムコアを含む医薬組成物。
【請求項34】
40Nより大きい硬度を有する、請求項33に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−530781(P2012−530781A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517628(P2012−517628)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/039346
【国際公開番号】WO2011/005478
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/039346
【国際公開番号】WO2011/005478
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】
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