説明

イベントの演出システム

【課題】 携帯電話等のモバイル端末を使用して、花火やイベント時の音声や音楽を花火の変化する形態やイベントの進行と同期して聞くことができるイベントの演出システムを提供する。
【解決手段】 打ち上げ花火のイベントの内容に合わせた音声と、この音声に同期して花火の形態を変化させる信号を記録した花火点火用コンピューター2と、前記花火点火用コンピューター2に連結された花火の点火装置11と、前記花火点火用コンピューター2に連結され前記音声と花火の形態を変化させる信号を記録した再生機5と、前記再生機5の音声を電話回線を介して発信する音声装置6と、前記音声装置6からの音声を受信する鑑賞者の携帯電話機8と、からなるイベントの演出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの電話機能を備えたモバイル端末を利用した打ち上げ花火等の各種イベントの演出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、花火をより効果的に見せるために、特許文献1に示すような、花火のプログラム演出システムが提案されていた。
このシステムは、花火の点火タイミングに連動して、花火の形態に応じた音楽並びに所望の音声を制作し、前記制作した音楽並びに所望の音声をFM波による情報伝達手段を介在して花火が視認可能な範囲の広域的な地域の花火観賞者へFM放送により伝達するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−184042号公報上記構成の発明によれば、花火の点火タイミングに連動して、花火の形態に応じた音楽並びに所望の音声を、花火が視認可能な範囲の広域的な地域の花火観賞者へFM放送により伝達するようにしたため、花火会場に出向くことなく、花火会場の臨場感をリアルタイムで楽しむことができるという効果を奏するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、打ち上げ花火は、広い地域の人々が鑑賞できるように河川敷や海岸等で打ち上げられる。最近では打ち上げた花火の変化する形態に同期させて音楽を流すことが行われているが、スピーカーの数は限られているため、遠隔地では花火は目視できるがその音楽を明瞭に聞くことができないため臨場感に欠けるものであった。
【0005】
また、例えば野球場等を利用したイベント会場では、遠くの観客席からはイベントは目視できても、音声はスピーカーの近くにいないと聞こえない。スピーカーのボリュームを大きくしたり、数を増やすのも限界があるため、音声が会場全体に均等にいきわたることはなく、遠くの観客は音声や音楽が明瞭に聞き取れないという問題点があった。
【0006】
前記特許文献1に記載の発明は、花火会場に出向くことなく花火会場の臨場感をリアルタイムで楽しむことができるが、FM放送により音声を伝達するため、鑑賞者はラジオ受信機を携帯することが必要であり煩わしく、またその音声も放送局から送られてくるものであるから場所によっては聞き取りにくいこともあった。
さらには放送内容によっては、花火と関係のないコマーシャル等が入り、鑑賞者にとっては一方的に流される放送内容に不満足な点もあった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、携帯電話等のモバイル端末を使用して音声を聞きながら、それと同期して進行する打ち上げ花火やイベントを楽しむことができるイベントの演出システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨とするところは、打ち上げ花火のイベントの内容に合わせた音声と、この音声に同期して花火の形態を変化させる信号を記録した花火点火用コンピューターと、前記花火点火用コンピューターに連結された花火の点火装置と、前記花火点火用コンピューターに連結され前記音声と花火の形態を変化させる信号を記録した再生機と、前記再生機の音声を電話回線を介して発信する音声装置と、前記音声装置からの音声を受信する鑑賞者の携帯電話機とからなるイベントの演出システムである。
【0009】
本発明の要旨とするところは、イベントの内容に合わせた音声と、この音声に同期してイベントを進行させる信号を記録したイベント用コンピューターと、前記イベント用コンピューターに連結され前記音声とイベントを進行させる信号を記録した再生機と、前記再生機の音声を電話回線を介して発信する音声装置と、前記音声装置からの音声を受信する鑑賞者の携帯電話機とからなるイベントの演出システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記のような構成であるから、請求項1の発明では、自己の携帯電話機で打ち上げ花火に同期した音声を聞くことができ、その音声と同期した打ち上げ花火を遠隔地で目視しながら、臨場感にあふれた打ち上げ花火が手軽に楽しめると共に、移動しながら聞けるため花火のベストポジションを探しながら楽しむことができる。
また、スピーカーの設置も必要がなくなり、経費が節約できると共に、多くの人が打ち上げ花火と音声の同期したショーを楽しむことができる。
【0011】
請求項2の発明では、各種イベントの鑑賞者はイベントの音声を自己の電話機能を有するモバイル端末で聞きながら、その音声と同期したイベントを離れた場所から目視して、近くで鑑賞しているのと同様の臨場感にあふれたイベントが楽しめる。さらにスピーカーの設置も必要がなくなり、経費が節約できると共に、多くの人がイベントを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態を表わす模式図
【図2】本発明の第2の実施形態を表わす模式図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の第1の実施形態を表す模式図であって、打ち上げ花火に使用した際のシステムを示すものである。
本実施形態は、屋外で行われる打ち上げ花火のイベントの鑑賞時に、携帯電話機を用いた場合を説明する。
本明細書において「関係者」とは、主催者だけでなく主催者に依頼されてイベントの実施に携わる者、例えば花火業者等を含み、「音声」とは、音楽や特殊効果音あるいはナレーションを含むものとする。
さらに「打ち上げ花火」には、いわゆる打ち上げ花火のほかに、演出効果用の花火も含むものとする。
【0014】
図1に基づいて花火の打ち上げ工程について説明する。
(1)花火の関係者は、あらかじめ打ち上げ花火のイベントの内容、すなわち花火のテーマあるいは当該会場の雰囲気等に合わせた音楽を選曲し制作する。そしてその音楽に合わせた花火のレイアウトプランを作成し、それぞれの花火を組み合わせて専用のソフトウエアを制作する。
(2)花火の点火のタイミングは、DAT/MD/CD/TAPEなどのマスター(本番時出力ソース)に予め信号音と音声を2チャンネルで録音し、専用のソフトウエアを使用して各音楽のメロディー、リズム等に同期するよう花火のキューを打ち込みコンピューターに入力し、その後このコンピューターから花火点火用コンピューター2に入力する。
一方、前記信号音と音声を録音した2チャンネル以上の再生機5は、信号音を送信するために花火点火用コンピューター2と連結し、同時に電話局7に音声を送信するための音声装置6にも連結している。
(3)以上の作業が完了したら、花火の打ち上げ現場で、前記再生機5をスピーカー4と連結すると共に、前記花火点火用コンピューター2をモジュール11にケーブル3で接続する。
これにより再生機5をオンにすると、その信号は花火点火用コンピューター2に送られ、同時にその音声はスピーカー4と音声装置6に送られる。
(4)前記モジュール11の各端子は、それぞれ筒に装填された花火1に接続され、前記花火点火用コンピューター2からの信号の命令を受ける。命令を受けたモジュール11は、その命令を各端子に伝達し花火1を発射する。
それと同時に再生機5からスピーカー4に音声が送られるから、花火の発射と同期して会場に設置してあるスピーカー4から音声が流れるのである。
(5)一方、前記再生機5から音声装置6に送られた音声は電話局7に送られる。
打ち上げ花火を遠隔地で鑑賞する場合、鑑賞者は花火の打ち上げ時刻に合わせて、予め定められた電話番号を電話局7にかける。
電話局7は携帯電話機8からの電話を受けると、音声装置6から送られてくる音声を携帯電話機8に発信するので、鑑賞者は、自己の携帯電話機8で所定の時間に音声装置6からの音声を聞くことができる。
この音声は、花火1の打ち上げと同期すると共に、刻々と変化する花火の形態に応じて、例えば100分の1秒単位で同期するようになっている。
【0015】
このようにして遠隔地の鑑賞者は、遠隔地から打ち上げ花火を鑑賞しながら、それと同期する音楽を自己の携帯電話機8のイヤホンを通じて聴くことができるので、従来では一部のスピーカー4の近傍の鑑賞者10しか聞くことのできなかった音楽を、遠隔地から明瞭に聴くことができる。
そのため打ち上げ会場に多数のスピーカー4の設置が不要となると共に、広い範囲の多数の鑑賞者が、同時に打ち上げ花火を楽しむことができる。
【0016】
図2は本発明の第2の実施形態を表す模式図であって、イベントが野球場等で行われる場合の実施形態を示している。
本実施形態は第1の実施形態と同一の構成は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0017】
例えば野球場等を利用したイベント会場では、関係者は前記実施形態と同様にあらかじめイベントの内容に合わせて音楽等の音声を制作、録音して、各音楽のメロディー、リズム等に同期するようイベントのキューを打ち込みコンピューターにダウンロードし、その後このコンピューターからイベント用コンピューター2に入力する。
一方、前記信号音と音声を録音した2チャンネル以上の再生機5は、信号音を送信するためにイベント用コンピューター2と連結し、同時に電話局7に音声を送信するための音声装置6にも連結している。
前記再生機5、音声装置6を準備して図2に示す装置を構成する。なお、図中12はイベント用コンピューター2に連動する照明装置である。
【0018】
本実施形態の作用を説明すると、まずスピーカー4から離れた位置にいるイベントの鑑賞者は、自己の携帯電話機8でイベントの開始時刻に合わせて予め定められた電話番号に電話をかける。
電話局7は、前記携帯電話機8からの電話を受けると、音声装置6からの音声を予め定められた時間に電話回線を通じて携帯電話機8に発信する。
この音声は、照明装置12による照明の変化やその他の舞台9上の変化によって刻々と変化するイベントの進行と同期している。
【0019】
スピーカー4から離れた位置にいる鑑賞者は、遠い客席からイベントを鑑賞しながら、それと同期する音楽等を自己の携帯電話機8のイヤホンを通じて聴くことができるので、従来ではスピーカー4の近傍の鑑賞者10しか聞くことのできなかった音楽等が遠い客席から明瞭に聴くことができる。
そのため、イベント会場に多数のスピーカー4の設置が不要となると共に、広い範囲のたくさんの鑑賞者が同時にイベントを楽しむことができる。
【0020】
前記各実施形態において、音楽等の音声の発信装置は電話局に限らずミニFM局やテレビ局を利用することができる。この場合、電話局を介して音声を聞く場合は、システムを利用して携帯電話機で聞くことができる。
また、ミニFM局等を介して音声を聞く場合は、FMラジオ機能搭載の携帯電話機で聞くことができ、テレビ局を介して音声を聞く場合は、ワンセグテレビ機能搭載の携帯電話機で聞くことができる。この場合、ワンセグの音声の部分だけをイヤホンを通して聞く。
さらに受信機は、携帯電話に限らず電話機能を備えたモバイル端末を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、打ち上げ花火や各種イベントに使用することができ、イベントを楽しく鑑賞できる等、産業上利用可能性が高いのである。
【符号の説明】
【0022】
1 花火
2 花火点火用コンピューター(イベント用コンピューター)
4 スピーカー
5 再生機
6 音声装置
7 電話局の発信装置
8 鑑賞者の電話機能を備えたモバイル端末
9 イベントの舞台
10 通常の鑑賞者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち上げ花火のイベントの内容に合わせた音声と、この音声に同期して花火の形態を変化させる信号を記録した花火点火用コンピューターと、
前記花火点火用コンピューターに連結された花火の点火装置と、
前記花火点火用コンピューターに連結され前記音声と花火の形態を変化させる信号を記録した再生機と、
前記再生機の音声を電話回線を介して発信する音声装置と、
前記音声装置からの音声を受信する鑑賞者の携帯電話機と、
からなるイベントの演出システム。
【請求項2】
イベントの内容に合わせた音声と、この音声に同期してイベントを進行させる信号を記録したイベント用コンピューターと、
前記イベント用コンピューターに連結され前記音声とイベントを進行させる信号を記録した再生機と、
前記再生機の音声を電話回線を介して発信する音声装置と、
前記音声装置からの音声を受信する鑑賞者の携帯電話機と、
からなるイベントの演出システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−276242(P2010−276242A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127701(P2009−127701)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(503066631)株式会社丸玉屋 (1)