説明

イベント情報収集サーバ及びイベント情報収集方法

【課題】突発的に発生するイベントのイベント種別を考慮し、当該イベントに関するイベント情報の収集を適切に行うこと。
【解決手段】イベント情報収集サーバ4は、移動通信端末2から当該移動通信端末2の位置情報及び速度情報を収集する収集部41と、所定速度以上で移動する移動通信端末2が集中する集中エリアを特定するイベント発生検出部42と、集中エリア内で移動する移動通信端末の移動方向に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定するイベント種別判定部43と、イベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に対して、発生したイベントに関するイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送る通知部45と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末の移動状況に基づいて発生したイベントに関するイベント情報を収集するイベント情報収集サーバ及びイベント情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末の位置情報及び歩数情報に基づいて当該携帯端末ユーザの移動動作状態を判定し異常情報を通知する異常通知システムが知られている(特許文献1参照)。この異常通知システムでは、携帯端末に、予め所定の移動経路及びこの移動経路上の所定の移動区間毎の正常時の移動動作状態が正常な移動動作パターンとして記憶されている。そして、携帯端末は、位置情報及び歩数情報から認識した移動動作と正常な移動動作パターンとを比較して異常の有無を判定し、異常と判定した場合に、異常情報を当該携帯端末に関係のあるクライアント端末に通知する。
【0003】
また、最新の撮影スケジュールと撮影者の現在地を把握して、撮影を行う撮影管理システムが知られている(特許文献2参照)。この撮影管理システムでは、管理サーバが、スケジュールデータ内の撮影予定場所の位置と撮影者の撮影端末の現在位置とに基づいて、撮影予定場所の位置・距離や撮影対象に関する情報を、ネットワークを介して撮影端末に送って撮影を指示するように構成されている。スケジュール内の撮影予定場所が更新された場合、撮影端末には、管理サーバから更新後の撮影場所に関する情報が送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−226714号公報
【特許文献2】特開2006−135722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、突発的に発生する異常事態(イベント)には、例えば、事件などのユーザに危険が迫るような異常事態(危険イベント)や、事前に周知されないライブ等のユーザの興味を引くような異常事態(興味イベント)が考えられる。
しかしながら、従来の撮影管理システムでは、スケジュールデータに基づいて、予め決められた撮影予定場所の位置情報等を撮影端末に送って撮影を指示しているため、突発的に発生するイベントの種別に応じて、当該イベントに関する情報(イベント情報)を収集するために撮影等の依頼を適切に行うことができない問題があった。例えば、発生したイベントが危険イベントの場合において、移動通信端末に対して興味イベントと同様の収集依頼をした際には、ユーザが危険にさらされた状況の中でイベント情報の収集処理を行う可能性がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、突発的に発生するイベントのイベント種別を考慮し、当該イベントに関するイベント情報の収集を適切に行うことができるイベント情報収集サーバ及びイベント情報収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のイベント情報収集サーバは、移動通信端末から当該移動通信端末の位置情報及び速度情報を収集する収集手段と、所定速度以上で移動する移動通信端末が集中する集中エリアを特定するエリア特定手段と、前記集中エリア内で移動する移動通信端末の移動方向に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定するイベント判定手段と、前記イベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、前記発生したイベントに関するイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送る通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、発生したイベントのイベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末にイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送るので、突発的に発生するイベントのイベント種別を考慮してイベント情報の収集を適切に行うことができる。
【0009】
本発明は、上記イベント情報収集サーバにおいて、前記通知手段は、前記イベント種別が前記移動通信端末の移動方向が集中することにより特定される第1イベントである場合、前記イベントが発生したイベント発生エリアに近接する情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して前記依頼通知を送ることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、イベント種別が移動通信端末の移動方向が集中するような第1イベントである場合には、ユーザの興味を引くような突発的なイベント(興味イベント)が発生していると判断し、この興味イベントの発生エリアに近接する情報収集エリア周辺の移動通信端末に依頼通知を送るので、移動通信端末ユーザがイベント発生エリアに近い位置で詳細なイベント情報を収集することができる。ここで、興味イベントには、事前に周知されないライブ、バーゲン等のエンタテイメント関連イベントが挙げられる。
【0011】
本発明は、上記イベント情報収集サーバにおいて、前記通知手段は、前記イベント種別が前記移動通信端末の移動方向が発散することにより特定される第2イベントである場合、前記イベントが発生したイベント発生エリアから離れた、移動方向が発散した移動通信端末の動きが留まった情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して前記依頼通知を送ることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、イベント種別が移動通信端末の移動方向が発散するような第2イベントである場合には、ユーザに危険が迫るような危険イベントが発生していると判断し、この危険イベントの発生エリアから離れた、移動方向が発散した移動通信端末の動きが留まった情報収集エリア周辺の移動通信端末に依頼通知を送るので、安全な状況で移動通信端末ユーザがイベント情報を収集することができる。ここで、危険イベントには、事件、事故及び災害等のユーザが緊急避難を要するようなイベントが挙げられる。
【0013】
本発明は、上記イベント情報収集サーバにおいて、前記通知手段は、前記情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、イベントの撮影方向を指示することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末にイベントの撮影方向を指示するので、移動通信端末ユーザに対して、効率的かつ効果的にイベント情報の収集を依頼することができる。
【0015】
本発明は、上記イベント情報収集サーバにおいて、前記通知手段は、前記情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、イベント発生エリアを示す地図情報を送ることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末にイベント発生エリアを示す地図情報を送るので、移動通信端末ユーザに対して、正確なイベント発生エリアを把握させることができる。
【0017】
本発明のイベント情報収集方法は、移動通信端末から当該移動通信端末の位置情報及び速度情報を収集するステップと、所定速度以上で移動する移動通信端末が集中する集中エリアを特定するステップと、前記集中エリア内で移動する移動通信端末の移動方向に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定するステップと、前記イベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、前記発生したイベントに関するイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送る通知するステップとを備えたことを特徴とする。
【0018】
この方法によれば、発生したイベントのイベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末にイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送るので、突発的に発生するイベントのイベント種別を考慮してイベント情報の収集を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、突発的に発生するイベントのイベント種別を考慮し、当該イベントに関するイベント情報の収集を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るイベント情報収集システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係るイベント情報収集サーバを示す機能ブロック図である。
【図3】集中エリアの特定方法の一例を説明するための模式図である。
【図4】移動通信端末の移動方向に基づくイベント種別の判定を説明するための模式図である。
【図5】情報収集エリアを説明するための模式図である。
【図6】通知部から送られる地図情報及び撮影方向情報の表示例を示す図である。
【図7】イベント発生エリアの移動に伴い情報収集エリアが移動する状態を示した模式図である。
【図8】本実施の形態に係るイベント情報収集システムのイベント情報収集動作を示すシーケンス図である。
【図9】本実施の形態に係るイベント情報収集サーバのイベント発生検出、イベント種別判定及び情報収集エリア特定動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るイベント情報収集システムを説明するための概略構成を示す図である。図1に示すイベント情報収集システム1は、複数の移動通信端末2(2A〜2D)と、移動通信網3を介して複数の移動通信端末2A〜2Dと接続されるイベント情報収集サーバ4及びコンテンツサーバ5と、を備えている。なお、図1に示すイベント情報収集システム1では、説明を簡単にするために4つの移動通信端末2を示しているが、移動通信端末2の数はこれに限定されるものではない。
【0022】
このイベント情報収集システム1は、複数の移動通信端末2の位置及び移動速度に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定し、このイベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末にイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送るようにしたビジネスモデルに適用可能である。例えば、イベント情報収集サーバ4は、イベント種別がユーザの興味を引くような事前に周知されないライブ等の興味イベントの場合には、イベント発生エリアに近い情報収集エリア周辺の移動通信端末2に依頼通知を送り、イベント種別がユーザに危険が迫るような事件等の危険イベントの場合には、イベント発生エリアから一定距離離れた安全な情報収集エリア周辺の移動通信端末2に依頼通知を送る。
【0023】
各移動通信端末2A〜2Dは、端末の加速度を測定する加速度センサ機能及び端末の位置及び方位を測定する端末位置・方位測定機能を備えた携帯電話機等の端末装置で構成されており、移動通信網3を介してイベント情報収集サーバ4との間で、自端末の位置・加速度情報や発生したイベントに関するイベント情報(例えば、イベントを撮影した画像・動画データ等)の各種情報の送受信を行うことができる。各移動通信端末2A〜2Dは、オペレーティングシステム(移動機OS)上でブラウザ機能、ビューワ機能、アプリケーション管理機能等の機能を有し、アプリケーション機能等のこれら各機能は、イベント情報収集サーバ4からアプリケーション起動信号を受信することにより起動され、移動通信端末2上の各アプリケーションとイベント情報収集サーバ4との間で通信が行われる。そして、移動通信端末2は、自端末の位置情報、加速度情報及び収集したイベント情報をイベント情報収集サーバ4に送信すると共に、イベント情報収集サーバ4から依頼通知、地図及び撮影方向情報等を受信する(詳細は後述する)。
【0024】
移動通信網3は、各移動通信端末2A〜2Dとイベント情報収集サーバ4との間のネットワークである。この移動通信網3には、通常の移動通信網に加えて移動パケット通信網や、インターネット、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークも含まれる。
【0025】
コンテンツサーバ5は、地図情報、ニュース情報及びアーティストに関連するエンタテイメント情報等の様々なコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバであり、イベント情報収集サーバ4からのコンテンツの取得要求に対応して、イベント発生エリアを示す地図情報等のコンテンツをイベント情報収集サーバ4に提供する。
【0026】
図2は、イベント情報収集サーバ4の概略構成を示す機能ブロック図である。イベント情報収集サーバ4は、移動通信端末2と協働して、移動通信端末2から端末の位置・加速度情報及び発生したイベントに関するイベント情報を収集するものであり、収集部41と、イベント発生検出部42と、イベント種別判定部43と、地図情報取得部44と、通知部45と、を備えている。このイベント情報収集サーバ4は、移動通信端末2から当該移動通信端末2の位置・加速度情報やイベント情報を収集するため、予め移動通信端末2に対して、移動通信端末2に内蔵されたアプリケーション機能を実行するための起動信号を送っている。なお、収集部41、イベント発生検出部42、イベント種別判定部43、地図情報取得部44、通知部45は、イベント情報収集サーバ4内に組み込まれたCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)内の各種プログラムに従ってRAM(Random Access Memory)内のデータを演算し、各部と協働して収集処理、イベント発生検出処理、イベント種別判定処理及び通知処理等を実行するようになっている。
【0027】
収集部41は、移動通信網3を介して複数の移動通信端末2と通信可能に構成されており、所定の監視エリア(例えば、半径200m)毎に移動通信端末2の位置情報及び加速度センサ情報を継続的に監視し、当該位置情報及び加速度センサ情報を収集してイベント発生検出部42に送る。
【0028】
イベント発生検出部42は、収集部41から受け取った移動通信端末2の加速度センサ情報を速度情報に変換し、速度情報及び位置情報により所定の速度以上で移動している移動通信端末2の集中するエリア(集中エリア)を特定し、突発的なイベント発生を検出する(エリア特定手段)。所定の速度は、例えば、通勤・通学時の人の移動をイベント発生と検出しないように、日常生活における人の平均移動速度以上の速度を基準とする。ここで、集中エリアの特定は、収集部41が監視する監視エリアを基準にして、当該監視エリア内を所定速度で移動する移動通信端末2が所定の閾値以上となるエリアを集中エリアとしてもよい。
【0029】
図3は、イベント発生検出部42の集中エリアの特定方法の一例を説明するための模式図である。ここでは、監視エリア内の移動通信端末2の半数(閾値50%)以上が所定速度以上で移動した場合を例に説明する。図3において、黒丸は所定速度以上で移動する移動通信端末2を示し、白丸は所定速度未満で移動する移動通信端末2を示している。図3に示すように、点線で示す監視エリア(例えば、半径200m)AR1内においては、黒丸の数は8であり、当該監視エリアAR1内における移動通信端末2の総端末数(20)の半数以上でないので、黒丸の数が半数以上となるような実線で示すエリア(例えば、半径100m)AR2まで絞り込んでいく。エリアAR2内の黒丸の数は6であり、当該エリアAR2内の総端末数11の半数以上になっているので、エリアAR2を集中エリアとして特定する。すなわち、イベント発生検出部42は、所定速度以上で移動する移動通信端末数が閾値以上となるようなエリア(集中度の高いエリア)を見つけ出し、このエリアでのイベント発生を検出する。
【0030】
イベント種別判定部43は、イベント発生検出部42が特定した集中エリア内の移動通信端末2の移動方向に基づいて発生したイベントの種別を判定し、判定結果を地図情報取得部44及び通知部45に送る。具体的には、図4(a)に示すように、複数の移動通信端末2の移動方向が一方向に集中している場合、移動方向から特定される移動先エリアで複数の移動通信端末2が集まるような突発的なイベント、つまりユーザの興味を引くような興味イベントが発生していると判断する。一方、図4(b)に示すように、複数の移動通信端末2の移動方向が発散している場合には、移動方向から特定される移動元エリアから離れていくような突発的なイベント、つまりユーザに危険が迫るような危険イベントが発生していると判断する。興味イベントには、例えば、事前に周知されないアーティストのライブ・コンサートやバーゲン等のエンタテイメント関連イベントが、危険イベントには、例えば、事件、事故、災害等の緊急避難を要するようなイベントが挙げられる。
【0031】
地図情報取得部44は、イベント種別判定部43からイベント種別の判定結果を受け取ると、コンテンツサーバ5にアクセスして、判定結果に基づいてイベント発生エリアを示す地図情報を取得し、取得した地図情報を通知部45に送る。
【0032】
通知部45は、イベント種別判定部43からイベント種別の判定結果を受け取ると、イベント種別に応じた情報収集エリアを特定し、この情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に対して、発生したイベントに関するイベント情報の収集を依頼する依頼通知(依頼通知情報)を送る。具体的には、イベント種別が移動通信端末2の移動方向が集中することにより特定される興味イベント(第1イベント)である場合(図4(a))、通知部45は、イベント発生エリアに近接するエリアを情報収集エリアとし(図5(a))、この情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に依頼通知を送る。一方、イベント種別が移動通信端末2の移動方向が発散することにより特定される危険イベント(第2イベント)である場合、通知部45は、イベント発生エリアから離れた、移動方向が発散した移動通信端末2の動きが留まったエリアを情報収集エリアとし(図5(b))、このイベント発生エリアから離れた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に依頼通知を送る。
【0033】
このように、通知部45は、イベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に依頼通知を送るので、突発的に発生するイベント種別を考慮してイベント情報の収集を適切に行うことができる。例えば、イベント種別が興味イベントである場合、この興味イベントの発生エリアに近い情報収集エリア周辺の移動通信端末2に依頼通知を送り、移動通信端末ユーザがイベント発生エリアに近づいた状態で詳細なイベント情報を収集することができる。一方、イベント種別が危険イベントである場合には、この危険イベントの発生エリアから離れた情報収集エリア周辺の移動通信端末2に依頼通知を送り、移動通信端末ユーザが安全な状況でイベント情報を収集することができる。
【0034】
また、通知部45は、地図情報取得部44から受け取ったイベント発生エリアを示す地図情報を、情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に送る。図6(a)は、通知部45から送られた地図情報の表示例を示す図である。図6(a)では、イベント情報収集の依頼通知情報と共に地図情報が表示されている。これにより、移動通信端末ユーザに対して、正確なイベント発生エリアを把握させることができる。
【0035】
また、通知部45は、特定した情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に対して、図6(b)に示すように、イベントの撮影方向(イベント発生エリアの方向)を示す撮影方向情報を送る。これにより、移動通信端末ユーザに対して、効率的かつ効果的にイベント情報の収集を依頼することができる。ここで、移動通信端末2が方位センサを搭載する場合には、図6(a)及び(b)に示す地図表示と方向表示とを切り替え可能な依頼通知を送るようにしてもよい。さらに、情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2に依頼通知を送る場合には、移動通信端末2の位置情報に基づいて、イベントの撮影方向が同一方向に偏らないように(分散するように)調整してもよい。これにより、様々な方向からのイベント情報(撮影画像・動画データ)を収集することができる。
【0036】
なお、通知部45は、図7に示すように、イベント発生エリア(実線で示す範囲)が移動している場合、このイベント発生エリアの移動に情報収集エリア(点線で示す範囲)を追従させ、当該変化する情報収集エリア周辺の移動通信端末2に対して依頼通知及び地図情報を連続的に送ることが好ましい。これにより、イベント発生エリアの移動に伴って情報収集エリアも変動するので、正確なイベント情報を収集することができる。イベント発生エリアが移動するような場合としては、例えば、事件の犯人が逃走中である場合や災害等が拡大しているような場合が該当する。
【0037】
次に、図8を用いて、イベント情報収集システム1のイベント情報収集動作を説明する。図8は、イベント情報収集システム1のイベント情報収集動作を示すシーケンス図である。ここでは、図1に示す移動通信端末2A及び2Bが所定速度以上で移動している場合を例に説明する。
【0038】
イベント情報収集サーバ4は、継続的に複数の移動通信端末2A及び2Bから位置情報及び加速度センサ情報を受け付け(ステップS81)、加速度センサ情報及び位置情報を収集する(ステップS82)。イベントが発生すると、イベント情報収集サーバ4は、収集した加速度センサ情報及び位置情報に基づいて、所定速度以上の移動通信端末2A及び2Bの集中するエリアAを集中エリアと特定し(ステップS83)、当該移動通信端末2A及び2Bの移動方向に基づいて発生したイベント種別を判定する(ステップS84)。そして、判定したイベント種別に応じて情報収集エリアを特定する(ステップS85)。このとき、イベント情報収集サーバ4は、イベント種別判定結果に基づいて、コンテンツサーバ5にイベント発生エリアを示す地図情報の取得要求を送り(ステップS86)、コンテンツサーバ5は、取得要求に従って地図情報をイベント情報収集サーバ4に送る(ステップS87)。
【0039】
次に、イベント情報収集サーバ4は、情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2A及び2Bに、イベント情報収集の依頼通知及びイベント発生エリアの地図情報を送る(ステップS88)。そして、移動通信端末2A及び2Bには、図6に示すような依頼通知及び地図情報が表示され、この依頼通知及び地図情報に従い、移動通信端末2A及び2Bのユーザはイベント情報(例えば、発生したイベントを撮影した画像・動画データ)を収集し(ステップS89)、収集したイベント情報をイベント情報収集サーバ4に送る(ステップS90)。
【0040】
次に、図9を用いて、イベント情報収集サーバ4のイベント発生検出、イベント種別判定及び情報収集エリア特定動作について詳細に説明する。図9は、イベント情報収集サーバ4のイベント発生検出、イベント種別判定及び情報収集エリア特定動作を示すフロー図である。
【0041】
イベント情報収集サーバ4は、複数の移動通信端末2の加速度センサ情報及び位置情報を収集すると、加速度センサ情報を移動通信端末2の速度情報に変換し(ステップS901)、所定速度以上で移動している移動通信端末2が集中する集中エリアがあるか否か判定する(ステップS902)。所定速度以上で移動する移動通信端末2が集中するエリアがある場合(ステップS902:Yes)、当該エリアを集中エリアとして特定してイベントが発生していると判断する(ステップS903)。集中するエリアが無い場合(ステップS902:No)、当該処理は繰り返し行われる。
【0042】
次に、所定速度以上で移動する移動通信端末2の移動方向が集中しているか否かを判定する(ステップS904)。移動通信端末の移動方向が集中している場合(ステップS905:Yes)、当該移動方向から特定される移動先エリアにおいて、移動通信端末ユーザが急速に集合するような興味イベントが発生していると判断する(ステップS905)。そして、図5(a)に示すように、興味イベントの発生エリアに近接するエリアを情報収集エリアを特定する(ステップS906)。すなわち、イベント種別が興味イベントであれば、ユーザに危険が迫るような状況もないため、詳細なイベント情報の収集を期待できるイベント発生エリアに最も近いエリアを情報収集エリアとして特定する。
【0043】
一方、移動通信端末2の移動方向が集中していない、つまり移動方向が発散している場合(ステップS904:No)、当該移動方向から特定される移動元エリアから移動通信端末ユーザが急速に離れたいような危険イベントが発生していると判断する(ステップS907)。そして、図5(b)に示すように、危険イベントの発生エリアから離れた、移動方向が発散した移動通信端末2の動きが留まったエリアを情報収集エリアとして特定する(ステップS908)。すなわち、イベント種別が危険イベントであれば、ユーザに危険が迫るような状況であるため、発散した移動通信端末2の加速度情報の変化から移動通信端末2の動きが留まった位置を、ユーザの安全を確保できるエリアと判断し、このエリアを情報収集エリアとして特定する。
【0044】
そして、地図情報取得部44は、コンテンツサーバ5からイベント発生エリアの地図情報を取得し(ステップS909)、通知部45は、情報収集エリア周辺の移動通信端末2に依頼通知及び地図情報を送る(ステップS910)。
【0045】
このように、本実施の形態では、所定速度以上で移動する移動通信端末2の移動方向に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定し、判定したイベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末2にイベント情報の収集を依頼するので、突発的に発生するイベントのイベント種別を考慮してイベント情報の収集を適切に行うことができる。イベント種別が移動通信端末2の移動方向が集中する場合には、ユーザの興味を引くような突発的な興味イベントが発生していると判断し、この興味イベントの発生エリアに近接する情報収集エリア周辺の移動通信端末2にイベント情報の収集を依頼するので、イベント発生エリアに近い位置で詳細なイベント情報を収集することができる。一方、イベント種別が移動通信端末2の移動方向が発散する場合には、ユーザに危険が迫るような突発的な危険イベントが発生していると判断し、この危険イベントの発生エリアから離れた、移動方向が発散した移動通信端末の動きが留まった情報収集エリア周辺の移動通信端末2にイベント情報の収集を依頼するので、安全な状況で移動通信端末ユーザがイベント情報を収集することができる。このようにして移動通信端末2から収集したイベント情報は、イベント発生エリア近傍に位置する移動通信端末2であって当該イベントに気づいていないユーザに対してイベント発生情報として通知することが好ましい。例えば、発生したイベントが興味イベントであれば、興味イベントの発生エリアの周辺エリア内の移動通信端末2にイベント発生情報を通知し、ユーザが興味イベントの発生位置に集まるように促すことが可能であり、発生したイベントが危険イベントであれば、危険イベントの発生エリアに特に近いエリア内の移動通信端末2にイベント発生情報を通知し、危険イベントの発生エリアから避難するように促すことが可能である。
【0046】
また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、携帯電話機等の移動通信端末の移動状況に基づいて発生したイベントに関するイベント情報を収集するイベント情報収集サーバ及びイベント情報収集方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 イベント情報収集システム
2 移動通信端末
3 移動通信網
4 イベント情報収集サーバ
5 コンテンツサーバ
41 収集部
42 イベント発生検出部
43 イベント種別判定部
44 地図情報取得部
45 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末から当該移動通信端末の位置情報及び速度情報を収集する収集手段と、
所定速度以上で移動する移動通信端末が集中する集中エリアを特定するエリア特定手段と、
前記集中エリア内で移動する移動通信端末の移動方向に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定するイベント判定手段と、
前記イベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、前記発生したイベントに関するイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送る通知手段と、を備えたことを特徴とするイベント情報収集サーバ。
【請求項2】
前記通知手段は、前記イベント種別が前記移動通信端末の移動方向が集中することにより特定される第1イベントである場合、前記イベントが発生したイベント発生エリアに近接する情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して前記依頼通知を送ることを特徴とする請求項1に記載のイベント情報収集サーバ。
【請求項3】
前記通知手段は、前記イベント種別が前記移動通信端末の移動方向が発散することにより特定される第2イベントである場合、前記イベントが発生したイベント発生エリアから離れた、移動方向が発散した移動通信端末の動きが留まった情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して前記依頼通知を送ることを特徴とする請求項1に記載のイベント情報収集サーバ。
【請求項4】
前記通知手段は、前記情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、イベントの撮影方向を指示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のイベント情報収集サーバ。
【請求項5】
前記通知手段は、前記情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、イベント発生エリアを示す地図情報を送ることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のイベント情報収集サーバ。
【請求項6】
移動通信端末から当該移動通信端末の位置情報及び速度情報を収集するステップと、
所定速度以上で移動する移動通信端末が集中する集中エリアを特定するステップと、
前記集中エリア内で移動する移動通信端末の移動方向に基づいて発生したイベントのイベント種別を判定するステップと、
前記イベント種別に応じた情報収集エリア周辺に位置する移動通信端末に対して、前記発生したイベントに関するイベント情報の収集を依頼する依頼通知を送る通知するステップとを備えたことを特徴とするイベント情報収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−272909(P2010−272909A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120512(P2009−120512)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】