説明

イミダゾピリジノン

本発明は、イミダゾピリジノン、医薬品でのその使用、それを含有する組成物、それを調製するプロセスおよびそのようなプロセスで使用される中間体に関する。TLRを活性化させることにより、免疫細胞を誘発または刺激して、免疫応答を高めることができるはずである。特に、TLR7は、ウイルス感染(HCVまたはHBVなど)、癌および腫瘍ならびにT2ヘルパー細胞(TH2)媒介疾患に関与しているので、TLR7アゴニストは、このような疾患を治療する際に有用である可能性がある。我々は、TLR7のアゴニストである一連のイミダゾピリジノンを発見した。したがって、Rが、1個の環員が−O−である3員から8員の飽和複素環式基であり、Rが、C〜Cアルキルによりそれぞれ置換されていてもよいフェニルまたはピリジニルである式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾピリジノン、医薬品でのその使用、それを含有する組成物、それを調製するプロセスおよびそのようなプロセスで使用される中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
Toll様受容体(TLR)は、細胞外ロイシンリッチドメインと、Toll/IL−1受容体(TIR)ドメインと称される保存ドメインを含有する細胞質尾部により特徴づけられる重要な膜内外タンパク質である。これらは、免疫細胞(例えば、樹状細胞、Tリンパ球、マクロファージ、単球およびナチュラルキラー細胞)で主に発現され、先天性免疫系の鍵となる部分として役立つ。これらは、病原体関連分子パターンに結合する一群のパターン認識受容体である(総説に関しては、例えば、Ulevitch,R.J.、Nature Reviews:Immunology、4、512〜520、2004年ならびにAkira,S.、Takeda,K.およびKaisho,T.、Annual Rev.Immunol.、21、335〜376、2003年参照)。その名称は、ミバエにおいて、ハエを真菌感染から保護する際に鍵となる役割を果たすことが判明しているキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)遺伝子Tollに対する配列相同性に由来する(Hoffmann,J.A.、Nature、426、33〜38、2003年)。哺乳動物系では、11種のTLRが同定されていて、非哺乳動物TLRが、他の脊椎動物で判明している。全てのTLRは、細菌細胞表面リポ多糖類、リポタンパク質、細菌フラジェリン、細菌およびウイルス両方からのDNAならびにウイルスRNAを包含する病原体生物に存在する特異的か、一群の特異的な分子決定子を認識する際にホモダイマーまたはヘテロダイマーとして機能するようである。TLR活性化に対する細胞応答には、1種または複数の転写因子の活性化、病原侵入の死滅および排除に寄与するインターフェロン、TNF−α、インターロイキン、MIP−1およびMCP−1などのサイトカインおよび共同刺激分子の産生および分泌の誘導が伴われる。TLRを活性化させることにより、免疫細胞を誘発または刺激して、免疫応答を高めることが可能であるはずである。特に、TLR7は、ウイルス感染(HCVまたはHBVなど)、癌および腫瘍ならびにT2ヘルパー細胞(TH2)媒介疾患を包含するいくつかの障害に関与しているので(例えば、Kanzlerら、Nature Medicine 2007、Vol13、No5、pp552〜559参照)、TLR7アゴニストは、このような疾患を治療する際に有用である可能性がある。また、TLRは、先天性および適応免疫の両方の調節において重要な役割を果たしうる(例えば、Parkerら、Clinical and Experimenal Immunology 2007年、199〜207参照。
【0003】
インターフェロン−αを誘発し、したがってウイルス性疾患を治療すると言われているある種のイミダゾピリジノンが、WO2007/028129から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、良好な薬物候補である新規のTLR7アゴニストを提供することが依然として必要とされている。特に、このような化合物は、TLR7には強力に結合するが、他の受容体には親和性をほとんど示すべきではなく、TLR7アゴニストとしての機能的活性を示すべきである。これらは、胃腸管から十分に吸収され、代謝安定であり、有利な薬理学的特性(作用の迅速な開始および最小限の「食効」など)を有するべきである。これらは、非毒性で、副作用をほとんど示すべきではない。さらに、理想的な薬物候補は、良好な水溶性を有し、安定で、非吸湿性で、容易に製剤される物理的形態で存在すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
TLR7のアゴニストである一連のイミダゾピリジノンを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
したがって、本発明の第1の態様では、式(I)の化合物
【0007】
【化1】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する[式中、
は、1個の環員が−O−である3員から8員の飽和複素環式基であり、
は、C〜Cアルキルによりそれぞれ置換されていてもよいフェニルまたはピリジニルである]。
【0008】
別段に示されていない限り、アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってよく、1から6個の炭素原子および好ましくは、1から4個の炭素原子を含有する。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが包含される。
【0009】
本発明の一実施形態では、Rは、テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニルである。他の実施形態では、Rは、テトラヒドロピラニルである。他の実施形態では、Rは、テトラヒドロピラン−4−イルである。
【0010】
本発明の他の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルにより置換されていてもよいピリジニルである。本発明の他の実施形態では、Rは、メチルにより置換されていてもよいピリジニルである。先行する実施形態では、Rは好ましくは、ピリジン−3−イル、即ち:
【0011】
【化2】

である。
【0012】
他の実施形態では、Rは、6−メチル−ピリジン−3−イル、即ち:
【0013】
【化3】

である。
【0014】
本発明の他の実施形態では、
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
から選択される化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0015】
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物は、本発明の好ましい化合物である。
【0016】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、その酸付加塩および塩基塩を含む。
【0017】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプ酸塩(gluceptate)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシノフォ酸塩が包含される。
【0018】
適切な塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩が包含される。
【0019】
また、酸および塩基の半塩、例えば、半硫酸塩および半カルシウム塩を形成することもできる。
【0020】
当業者であれば、前記の塩には、対イオンが光学活性であるもの、例えば、d−乳酸塩もしくはl−リシンまたはラセミであるもの、例えば、dl−酒石酸塩もしくはdl−アルギニンが包含されることを理解するであろう。
【0021】
適切な塩に関する総説に関しては、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、Weinheim、ドイツ、2002年)参照。
【0022】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、3種の方法のうちの1種または複数により調製することができる:
(i) 式(I)の化合物を所望の酸または塩基と反応させることによる方法、
(ii) 所望の酸または塩基を使用して、式(I)の化合物の適切な前駆体から酸または塩基不安定性保護基を除去する方法または
(iii) 適切な酸または塩基との反応により、または適切なイオン交換カラムを用いて、式(I)の化合物の1種の塩を他の塩に変換する方法。
【0023】
3種の反応を全て典型的には、溶液で実施する。生じた塩を沈殿させて、濾過により集めるか、溶媒を蒸発させることにより回収することができる。生じた塩の電離度は、完全な電離から、ほぼ非電離まで変動してよい。
【0024】
式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方で存在しうる。「溶媒和物」との用語は本明細書では、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩および1個または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えば、エタノールを含む分子複合体を記載するために使用されている。「水和物」との用語は、前記溶媒が水である場合に使用される。本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよいもの、例えば、DO、d−アセトンおよびd−DMSOが包含される。
【0025】
有機水和物に関して現在認められている分類体系は、孤立サイト、チャンネルまたは金属イオン配位水和物を定義する分類体系である。参照により本明細書に援用されるK.R.Morrisによる「Polymorphism in Pharmaceutical Solids」(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995年)参照。孤立サイト水和物は、その水分子が、有機分子の介在により、相互の直接的な接触から孤立している水和物である。チャンネル水和物では、水分子は、格子チャンネル内に存在し、他の水分子に隣接している。金属イオン配位水和物では、水分子は、金属イオンに結合している。溶媒または水が十分に結合していると、複合体は、湿度とは独立に、十分に定義される化学量論を有するはずである。しかしながら、チャンネル溶媒和物および吸湿性化合物においてのように、溶媒または水の結合が弱い場合、水/溶媒含分は、湿度および乾燥状態に左右される。このようなケースでは、非化学量論が標準となる。
【0026】
本発明の化合物は、完全な非晶質から完全な結晶までの範囲の固体状態の連続で存在しうる。「非晶質」との用語は、その物質が、分子レベルで長距離秩序を欠いていて、温度に応じて固体または液体の物理的特性を示しうる状態を指す。典型的には、このような物質は、特有のX線回折パターンを示さず、固体の特性を示しながらも、液体としてより形式的には記載される。加熱すると、固体特性から液体特性への変化が生じ、これは、状態変化、典型的には二次変化により特徴づけられる(「ガラス転移」)。「結晶」との用語は、その物質が、分子レベルで規則的に配列している内部構造を有し、規定のピークを有する特有のX線回折パターンを示す固相を指す。このような物質は十分に加熱すると、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、相変化、典型的には一次変化により特徴づけられる(「融点」)。
【0027】
また、薬物および少なくとも1種の他の成分が、化学量論的量または非化学量論的量で存在している式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩の多成分複合体(塩および溶媒和物以外)も、本発明の範囲内に包含される。このタイプの複合体には、包接化合物(薬物−ホスト包接複合体)および共結晶が包含される。後者は典型的には、非共有結合相互作用を介して相互に結合している中性分子成分同士の結晶複合体と定義されるが、中性分子と塩との複合体であってもよい。溶融結晶化、溶媒からの再結晶化または成分同士の物理的粉砕により、共結晶を調製することができる(参照により本明細書に援用されるO.AlmarssonおよびM.J.ZaworotkoによるChem Commun、17、1889〜1896(2004年)参照)。多成分複合体の一般的総説に関しては、参照により本明細書に援用されるHaleblianによるJ.Pharm.Sci、64(8)、1269〜1288(1975年8月)参照。
【0028】
本発明の化合物はまた、適切な条件に掛けると、中間状態(中間相または液晶)でも存在しうる。中間状態は、真の結晶状態と真の液体状態(溶融または溶液)との中間である。温度変化の結果として生じる液晶性は、「サーモトロピック」と記載され、水または他の溶媒などの第2の成分を加えると生じる液晶性は、「リオトロピック」と記載される。リオトロピック中間相を形成する可能性のある化合物は、「両親媒性」と記載され、イオン性(−COONa、−COOまたは−SONaなど)または非イオン性(−N(CHなど)極性ヘッド基を持つ分子からなる。さらなる情報に関しては、参照により本明細書に援用されるN.H.HartshorneおよびA.Stuartによる「Crystals and the Polarizing Microscope」、第4版(Edward Arnold、1970年)参照。
【0029】
後記では、本発明の化合物に関する言及は全て、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物もしくは多成分複合体または式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩の薬学的に許容できる溶媒和物もしくは多成分複合体を包含する。
【0030】
本発明の好ましい化合物は、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物である。
【0031】
本発明の化合物は、プロドラッグとして投与することができる。例えば、それ自体は薬理学的活性をほとんど有さないか、有さなくてもよい式(I)の化合物のある種の誘導体は、体内または体上に投与すると、例えば、加水分解による分裂により、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換しうる。このような誘導体が、「プロドラッグ」と称される。[プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、Vol.14、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987年(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)で見ることができる。]
【0032】
例えば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えばH.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985年)に記載されている通りに、当業者に「プロ部分」として知られているある種の部分に置き換えることにより、プロドラッグを製造することができる。
【0033】
プロドラッグの例には、場合に応じて、式(I)の化合物の4−アミノ官能基の1個または複数の水素が(C〜C10)アルカノイルにより置き換えられている式(I)の化合物のアミドが包含される。
【0034】
先行する例に従った置換基のさらなる例および他のプロドラッグタイプの例は、上記の参考文献で見つけることができる。
【0035】
また、式(I)の化合物の代謝産物、即ち、薬物を投与されるとin vivoで形成される化合物も本発明の範囲内に包含される。本発明による代謝産物のいくつかの例には、
(i) 式(I)の化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH→−CHOH):
(ii) 式(I)の化合物がフェニル(Ph)部分を含有する場合、そのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH);
(iii)式(I)の化合物がピリジニル(Pyr)部分を含有する場合、そのヒドロキシピリジニル誘導体(−Pyr→−PyrOH);
が包含される。
【0036】
1個または複数の不斉炭素原子を含有する本発明の化合物は(例えば、Rがテトラヒドロフラニルである場合)、2種以上の立体異性体として存在しうる。構造異性体が、低エネルギー障壁を介して相互転換可能である場合、互変異性(「tautomerism」)が生じうる。これは、例えば、ケト基を含有する本発明の化合物では、プロトン互変異性の形態を、または芳香族部分を含有する化合物ではいわゆる原子価互変異性の形態をとりうる。したがって、単一化合物が、1種を上回る異性で存在しうる。
【0037】
特に、本発明の化合物は、次の通りのケト−エノール互変異性を示す:
【0038】
【化4】

1種を超える異性を示す化合物および1種以上のその混合物を包含する本発明の化合物の全ての立体異性体および互変異性形態が、本発明の範囲内に包含される。
【0039】
個々の鏡像異性体を調製/単離するための慣用の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してのラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が包含される。
【0040】
別法では、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を適切な光学的に活性な化合物、例えば、アルコールと、または式(I)の化合物が酸性または塩基性部分を含有する場合には、1−フェニルエチルアミンまたは酒石酸などの塩基または酸と反応させることができる。生じたジアステレオ異性体混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化により分離し、そのジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者によく知られている手段により対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
【0041】
クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを、不斉樹脂上、炭化水素、典型的には、イソプロパノール0から50体積%、典型的には2から20体積%およびアルキルアミン0から5体積%、典型的にはジエチルアミン0.1体積%を含有するヘプタンまたはヘキサンからなる移動相と共に使用して、本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)を鏡像異性体濃縮された形態で得ることができる。溶離液を濃縮すると、濃縮混合物が得られる。
【0042】
当業者に知られている慣用の技術により、立体異性体の混合物を分離することができる。例えば、E.L.ElielおよびS.H.Wilenによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、New York、1994年参照。
【0043】
本発明の範囲には、そのラセミ化合物およびラセミ混合物(複合物)を包含する、本発明の化合物の結晶形態の化合物全てが包含される。また、立体異性体複合物は、上記で本明細書に記載されている慣用の技術により分離することができる。
【0044】
本発明の範囲は、1個または複数の原子が、同じ原子番号を有するが、自然で優勢な原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子に置き換えられている薬学的に許容できる同位体標識された本発明の化合物全てを包含する。
【0045】
本発明の化合物中に包含されるのに適している同位体の例には、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリンならびに35Sなどのイオウの同位体が包含される。
【0046】
ある種の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を導入されているものは、薬物および/または基質組織分布研究で有用である。放射性同位体のトリチウム、即ちHおよび炭素−14、即ち14Cは、導入の容易さおよび検出の迅速な手段である点において、この目的のために特に有用である。
【0047】
ジュウテリウム、即ちHなどの重同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、高いインビボ半減期または低い用量要求から生じるある種の治療的利点をもたらすので、場合によっては好ましいことがある。
【0048】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮影法(PET)研究において有用でありうる。
【0049】
当業者に知られている慣用の技術により、または前に使用されていた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する添付の実施例および調製に記載のプロセスと同様のプロセスにより、同位体標識された式(I)の化合物を通常は調製することができる。
【0050】
また、上記で定義された通りの中間体化合物、その全ての塩、溶媒和物および複合体ならびに式(I)の化合物に関して上記で定義された通りのその塩の全ての溶媒和物および複合体が、本発明の範囲内である。本発明は、上述の種の全ての多形体およびその晶癖の全てを包含する。
【0051】
本発明による式(I)の化合物を調製する場合、特徴の最良の組合せをこの目的にもたらす中間体の形態を日常的に選択することが、当業者には可能である。このような特徴には、中間体形態の融点、溶解性、加工性および収率ならびに生成物を単離で精製することができる結果的な容易性が包含される。
【0052】
本発明の化合物は、類似の構造の化合物を調製するために当分野で知られている任意の方法により調製することができる。特に、本発明の化合物は、下記のスキーム1を参照して記載される手順により、または実施例に記載されている具体的な方法により、またはどちらかに類似のプロセスにより調製することができる。
【0053】
さらに、変換をスキームに記載されている順序と異なる順序で実施するか、変換の1つまたは複数を変更することが、本発明の所望の化合物を提供するために必要か、または望ましいことがあることは理解されるであろう。
【0054】
加えて、本発明の化合物を合成する任意の段階で、1個または複数の不安定な基を保護して、望ましくない副反応を防ぐことが必要であるか、望ましいことがあることは、当業者であれば理解するであろう。特に、アミノ基を保護することが必要であるか、望ましいことがある。本発明の化合物の化合物を調製する際に使用される保護基は、慣用の方法で使用することができる。例えば、参照により本明細書に援用されるTheodora W GreeneおよびPeter G M Wutsによる「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版(John Wiley and Sons、2006年)、特に第7章(「Protection for the Amino Group」)に記載されている方法(そのような基を脱離するための方法もまた記載されている)を参照のこと。アミノ保護基のt−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルおよびアセチルが、式(I)の化合物およびそのための中間体を調製する際に特に有用である。
【0055】
別段に示されていない限り、下記スキーム1中のRおよびRは、本明細書と同様に定義される。同じであっても異なってもよいLGはそれぞれ、ステップ(e)におけるアンモニア源による芳香族求核性置換を促進するために適した脱離基である。このような基には、クロロなどのハロゲンおよびトシル酸エステル、メタンスルホン酸エステルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステルが包含される。LGは、ステップ(d)におけるアミノ基による脂肪族求核性置換を促進するために適した脱離基である。このような基にはまた、ブロモなどのハロゲンおよびトシル酸エステル、メタンスルホン酸エステルまたはトリフルオロメタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステルが包含される。PGは、アルコキシカルボニル(例えば、エトキシカルボニル)アミノ保護基であり、これは、スキーム1の先行する合成ステップの間にアミノ基を保護するためと、ステップhでは、環化の際にアミノ基と反応して、所望の式(I)のイミダゾピリジノンを提供するためとの両方で役立つ。当業者であれば、例えば、上記の「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」に記載されている通りに、他の適切な保護基を選択することができるであろう。
【0056】
【化5】

a)式(XI)のアミンを、当業者に知られている慣用のニトロ化条件下に処理すると、対応する式(X)の(N−ニトロ)アミンを得ることができる。慣用のニトロ化条件は、下記の調製1に記載されている。
b)式(X)の(N−ニトロ)アミンを、当業者に知られている慣用の条件下に対応する式(IX)の異性体ニトロ化合物に転位させる。簡便には、転位を酸性条件下に行う。例えば、WO2005026164のpp41〜42の手順に記載されている類似の化学を参照のこと。
c)式(IX)のアミン中のアミン基を当業者に知られている慣用の条件下に保護すると、対応する式(VIII)の保護誘導体を得ることができる。簡便には、式(IX)のアミンをアルカリ金属塩基(例えば、水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシドまたはリチウムジイソプロピルアミド)などの強塩基で、クロロギ酸アルキルもしくはアリール(例えば、クロロギ酸またはシアノギ酸エチル)などのアシル化剤またはアルキルもしくはアリール酸無水物(例えば、無水酢酸)などの酸無水物の存在下に処理することにより、アミノ基をアルキルカルバメートの形態で保護する。
d)式(VIII)の化合物を、ベンジルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジル)またはハロメチルピリジン(例えば、5−(クロロメチル)−2−メチルピリジン)などの式(VII)の化合物で当分野で知られている慣用の条件下にアルキル化すると、対応する式(VI)の化合物を得ることができる。簡便には、アルキル化を、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム)などの弱塩基を使用して、アルカリ金属ヨウ化物(例えば、ヨウ化ナトリウム)などのヨージド源の存在下に;および極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトン)などの有機溶媒中で行う。
e) 式(VI)の化合物をアンモニアまたはアンモニウム塩(例えば、酢酸アンモニウム)などのアンモニア源で、当業者に知られている慣用の条件下に処理すると、対応する式(V)のアミノピリジンを得ることができる。簡便な反応条件は、下記の調製6および7に記載されている。
f) 式(V)のアミノピリジン中のLGを式(IV)のアルコールとの反応を介して当業者に知られている慣用の条件下に置換すると、対応する式(III)のエーテルを得ることができる。簡便には、置換を、アルカリ金属塩基(例えば、水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシドまたはナトリウムヘキサメチルジシラジド)などの強塩基の存在下にエーテル(例えば、テトラヒドロフラン)などの有機溶媒中で行う。
g) 式(III)の化合物中のニトロ基を当業者に知られている慣用の条件下に還元すると、対応する式(II)のアミンを得ることができる。簡便には、還元を、鉄またはスズなどの金属により、無機酸(例えば、HCl)などの酸の存在下に行うことができる。一別法では、還元を、パラジウム、白金またはニッケルなどの遷移金属触媒の存在下、アルコール(例えば、エタノール)などの溶媒中での水素化により行うことができる。他の別法では、還元を、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウム)などの金属水素化物または二チオン酸ナトリウムにより、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)などの溶媒中、−78℃から0℃などの低温で行うことができる。
h)式(II)のアミンを、プロトン酸で慣用の条件下に処理することにより、対応する式(I)のイミダゾピリジノンに環化することができる。簡便には、プロトン酸は、酢酸もしくはギ酸などの有機酸または塩酸などの無機酸であり、反応を周囲温度から高温(例えば、40〜80℃の範囲)などの高温で行う。
【0057】
本発明の他の態様では、式(I)の化合物を調製するプロセスを提供し、これは、式(II)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をプロトン酸で慣用の環化条件下に処理することを含む。
【0058】
他の態様では、本発明は、式(III)または(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0059】
式(XI)、(VII)および(IV)の化合物は、市販されているか、文献から知られているか、当業者によく知られている方法により容易に調製される。
【0060】
薬学的使用を意図されている本発明の化合物は、結晶または非晶質生成物として投与することができるか、完全な非晶質から完全な結晶までの範囲の固体状態の連続で存在しうる。これらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ、粉末またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥を、この目的のために使用することもできる。
【0061】
これらは、単独で、または1種もしくは複数の他の本発明の化合物と組み合わせて、または1種もしくは複数の他の薬物と組み合わせて(またはその任意の組合せとして)投与することができる。通常、これらは、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与される。「賦形剤」との用語は本明細書では、1種または複数の本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために使用されている。賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する賦形剤の作用ならびに剤形の性質などの要因に大きく左右される。
【0062】
他の態様では、本発明は、本発明の化合物を1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0063】
本発明の化合物を送達するために適切な医薬組成物およびその調製方法は、当業者には容易に分かるであろう。このような組成物およびその調製方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995年)に見ることができる。
【0064】
適切な投与方法には、経口、非経口、局所、吸入/鼻腔内、直腸/膣内および眼/耳投与が包含される。
【0065】
上記の投与様式に適した製剤は、即時および/または変更放出であるように製剤することができる。変更放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、調節放出、ターゲット放出またはプログラム放出が包含される。
【0066】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るような嚥下を伴ってもよいし、化合物が口から直接、血流に入る頬または舌下投与を使用することもできる。経口投与に適している製剤には、錠剤などの固体製剤、粒子、液体または粉末を含有するカプセル、ロゼンジ(液体充填を包含)、チューイング剤、マルチおよびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、薄膜、卵形剤、スプレー、液体製剤ならびに頬/粘膜接着パッチが包含される。
【0067】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップおよびエリキシルが包含される。このような製剤を、軟質または硬質カプセル中の充填剤として使用することもでき、典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切なオイルならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体、例えばサシェからの再構成により調製することもできる。
【0068】
本発明の化合物はまた、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986ページ(2001年)に記載されている剤形などの急速溶解、急速分解剤形で使用することもできる。
【0069】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%から80重量%、より典型的には剤形の5重量%から60重量%を構成していてよい。薬物に加えて、錠剤は通常、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが包含される。通常、崩壊剤は、剤形の1重量%から25重量%、好ましくは5重量%から20重量%を構成している。
【0070】
通常は結合剤を使用して、錠剤製剤に粘着性を付与する。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが包含される。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有してもよい。
【0071】
錠剤はまた、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでもよい。存在する場合には、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%から5重量%を構成し、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%から1重量%を構成してよい。
【0072】
また錠剤は通常、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑剤を含有する。滑剤は通常、錠剤の0.25重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から3重量%を構成する。他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香料、防腐剤および矯味剤が包含される。
【0073】
例示的な錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%から約90重量%、希釈剤約0重量%から約85重量%、崩壊剤約2重量%から約10重量%および滑剤約0.25重量%から約10重量%を含有する。錠剤ブレンドを、直接か、ローラーにより圧縮して、錠剤を形成することができる。別法では、錠剤ブレンドまたは一部のブレンドを湿潤、乾燥または溶融顆粒化するか、溶融凝固させるか、押し出し、その後に錠剤化することができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよく、さらにカプセル封入されていてもよい。錠剤の製剤は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」、Vol.1(Marcel Dekker、New York、1980年)で検討されている。
【0074】
本発明の目的に適している変更放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液および浸透性コーティングされた粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaらによる「Pharmaceutical Technology On−line」、25(2)、1〜14(2001年)に見ることができる。調節放出を達成するためにチューインガムを使用することは、WO00/35298に記載されている。
【0075】
本発明の化合物はまた、血流中、筋肉中または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適している手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下、心室内、尿管内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が包含される。非経口投与のための適切なデバイスには、針(微細針を包含する)注射器、無針注射器および点滴技術が包含される。
【0076】
非経口製剤は典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3から9に)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、いくつかの用途では、これらをより適切に、無菌非水溶液として、または無菌の発熱物質不含水などの適切な媒体と共に使用される乾燥形態として製剤することができる。
【0077】
例えば、凍結乾燥による無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的な製薬技術を使用して容易に達成することができる。
【0078】
非経口溶液を調製する際に使用される式(I)の化合物の溶解性は、溶解性増強剤を導入するなどの適切な製剤技術を使用することにより高めることができる。非経口投与のための製剤は、即時および/または変更放出であるように製剤することができる。変更放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、調節放出、ターゲット放出およびプログラム放出が包含される。したがって本発明の化合物を、活性化合物の変更放出をもたらす移植デポーとして投与するための固体、半固体またはチキソトロピー液として製剤することもできる。このような製剤の例には、薬物コーティングされたステントならびに薬物負荷されたポリ(dl−乳酸−コグリコール酸)(PGLA)微小球を含む。
【0079】
本発明の化合物はまた、皮膚または粘膜に局所で、即ち、皮膚または経皮で投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏、散布剤、包帯、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ、ウェハ、インプラント、スポンジ、繊維、帯具およびマイクロエマルションが包含される。リポソームもまた使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが包含される。透過増強剤を導入することもできる。例えば、FinninおよびMorganによるJ.Pharm.Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)参照。
【0080】
局所投与の他の手段には、電気穿孔法、イオン導入法、音波泳動法、音泳動法および微細針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が包含される。
【0081】
本発明の化合物はまた、鼻腔内または吸入により、典型的には乾燥粉末の形態(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドで、または混合成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合して)で、乾燥粉末吸入器から、またはエアロゾルスプレーとして、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、微細な霧を生じさせるために電磁流体力学を使用する噴霧器)またはネブライザから、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、または使用せずに投与することができる。鼻腔内使用では、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでもよい。
【0082】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザは、例えば、エタノール、エタノール水溶液または活性剤の分散、可溶化もしくはその放出の延長のために適している別の薬剤、溶媒としての噴射剤およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸もしくはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0083】
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、薬物生成物を、吸入により送達するために適したサイズ(典型的には5ミクロン未満)まで超微粉砕する。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための臨界液体処理、高圧均一化または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により達成することができる。
【0084】
吸入器または注入器で使用するためのカプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスターおよびカートリッジを、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤の粉末混合物を含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水であってよいか、または一水和物の形態であってよいが、後者が好ましい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが包含される。
【0085】
微細な霧を発生させるために電磁流体力学を使用する噴霧器で使用するために適している液剤は、動作1回当たり本発明の化合物1μgから20mgを含有してよく、その動作体積は、1μlから100μlまで変動してよい。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、無菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含んでよい。プロピレングリコールの代わりに使用することができる別の溶媒には、グリセリンおよびポリエチレングリコールが包含される。
【0086】
メントールおよびレボメントールなどの適切な香料またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を、吸入/鼻腔内投与を意図されている本発明の製剤に加えることができる。
【0087】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合には、投与単位は、計測量を送達するバルブ手段により決定される。本発明による単位は典型的には、式(I)の化合物1μgから100mgを含有する計測量または「パフ」を投与するように設計される。全1日用量は典型的には、1μgから200mgの範囲であり、これを、単回用量で、またはより通常では、1日を通して複数回に分けた用量で投与することができる。
【0088】
本発明の化合物は、直腸または膣に、例えば、坐剤、ペッサリ、殺菌剤、膣用リングまたは浣腸剤の形態で投与することができる。カカオバターは、慣用的な坐剤基剤であるが、様々な代替物を適切に使用することもできる。
【0089】
本発明の化合物はまた、眼または耳に、典型的には等張性pH調節無菌食塩水中の超微粉砕された懸濁液または溶液の液滴の形態で直接投与することもできる。眼および耳投与に適している他の製剤には、軟膏、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、ウェハ、レンズならびに粒子またはニオソームもしくはリポソームなどの小胞系が包含される。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロースまたはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランゴムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と共に導入することもできる。このような製剤はまた、イオン泳動法により送達することもできる。
【0090】
任意の前記の投与様式で使用するために、本発明の化合物を、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体などの溶解性高分子成分またはポリエチレングリコール−含有ポリマーと組み合わせて、その溶解性、溶解速度、矯味、生物学的利用率および/または安定性を改良することもできる。
【0091】
例えば、薬物−シクロデキストリン複合体は通常、多くの剤形および投与経路に有用であることが判明している。包接複合体と非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接的な錯化の代わりに、シクロデキストリンを補助的添加剤、即ち、担体、希釈剤または可溶化剤として使用することもできる。これらの目的のために最も一般的に使用されるのは、アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンであり、この例は、国際特許出願WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148に見ることができる。
【0092】
ヒト患者への投与では、本発明の化合物の全一日用量は典型的には、勿論投与様式および効力に応じて、10mgから1g、例えば25mgから500mgなどの1mgから10gの範囲である。例えば、経口投与は、50mgから100mgの全一日用量を必要としうる。全一日用量を、単回投与で、または分割投与で投与することができ、医師の裁量で、本明細書に示されている典型的な範囲を逸脱することもある。これらの投与は、約60kgから70kgの体重を有する平均的なヒト対象をベースとしている。医師であれば、乳児および高齢者などのこの範囲外に体重が該当する対象での用量を容易に決定することができるであろう。
【0093】
上記の通り、TLR7をアゴナイズすることにより、免疫細胞を誘発または刺激して、例えば、ウイルス感染(HCVまたはHBVなど)、癌および腫瘍ならびにT2ヘルパー細胞(TH2)媒介疾患に応答した免疫応答を高めることができるはずである。したがって、動物において薬理学的活性、即ち、TLR7アゴニズムを示すので、本発明の化合物は有用である。より特定すれば、本発明の化合物は、TLR7アゴニストが適応とされる障害を治療する際に有用である。好ましくは、動物は哺乳動物、より好ましくはヒトである。
【0094】
本発明のさらなる態様では、医薬品として使用するために、本発明の化合物を提供する。
【0095】
本発明のさらなる態様では、TLR7アゴニストが適応とされる障害を治療するために、本発明の化合物を提供する。
【0096】
本発明のさらなる態様では、TLR7アゴニストが適応とされる障害を治療するための医薬品を調製するための本発明の化合物の使用を提供する。
【0097】
本発明のさらなる態様では、TLR7アゴニストが適応とされる動物(好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒト)における障害を治療するための方法を提供し、これは、前記動物に、治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0098】
TLR7アゴニストが適応とされる障害には、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV−I、HSV−II、CMVまたはVZV)、ポックスウイルス(例えば、痘瘡もしくはワクシニアなどのオルトポックスウイルスまたは伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えば、リノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルスまたは呼吸系発疹ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、生殖器いぼ、尋常性いぼまたは足底いぼをもたらすものなどのパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルスまたはデングウイルス)、レトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)またはフィロウイルス(例えば、エボラウイルスまたはマールブルグ(marbug)ウイルス)が原因の感染などのウイルス感染;エシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、クラミジア(Chlamydia)属の細菌が原因の感染などの細菌感染;カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコッカス髄膜炎などの真菌感染;および原虫感染(例えば、マラリア)などの寄生虫感染が包含される。
【0099】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染などのウイルス感染を治療する際に本発明の化合物を使用することが、特に重要である。
【0100】
TLR7アゴニストが適応とされるさらなる障害には、扁平上皮癌、腎細胞癌、カポジ肉腫、黒色腫、腎細胞癌、骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫などの癌腫、肉腫および白血病を包含する腫瘍または癌が包含される。
【0101】
TLR7アゴニストが適応とされるいっそうさらなる障害には、これらに限られないが、アトピー性皮膚炎または湿疹、好酸球増加、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患を包含するT−ヘルパー細胞(Th2)媒介疾患が包含される(例えば、参照により本明細書に援用されるDabbaghら、Curr Opin Infect Dis 2003、16:199〜204)。
【0102】
TLR7アゴニストが適応とされるいっそうさらなる障害には、瘢痕化およびしわなどの皮膚の損傷または加齢が包含される。
【0103】
TLR7アゴニストが適応とされるいっそうさらなる障害には、クローン病および炎症性腸疾患などの自己免疫疾患が包含される。
【0104】
本発明の化合物はまた、特にウイルス感染および腫瘍または癌の治療において、ワクチンアジュバントとして使用することができる。ワクチンアジュバントとしての本発明の化合物の使用は、HCVおよびHIV感染の治療において特に重要である。
【0105】
本発明の化合物は、単独で、または併用療法の一部として投与することができる。そこで、本発明の化合物および1種または複数の追加の治療薬を同時投与することは、本発明の範囲内に包含される。このような組合せは、患者の服薬遵守、投与の容易さおよび相乗活性を包含する重要な利点の可能性をもたらす。
【0106】
本発明のさらなる態様では、1種または複数の追加の治療薬を包含する医薬組成物を提供する。
【0107】
一実施形態では、本発明の組合せは、本発明の化合物およびHCVの治療で有用な1種または複数の追加の薬剤を包含する。このような追加の薬剤には、E1アンタゴニストまたはE2アンタゴニストなどのHCV融合阻害剤;HCV NS2阻害剤;HCV NS3阻害剤(例えば、VX−950、SCH−503034、ITMN−191);HCV NS4A阻害剤;HCV NS4B阻害剤;HCV NS5A阻害剤(例えば、A−831);HCV NS5B阻害剤(例えば、PSI−6130、バロピシタビン、HCV−796、R−1479、GS−9190または6−シクロペンチル−6−(2−(2,6−ジエチルピリジン−4−イル)エチル)−3−((5,7−ジメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)メチル)−4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロピラン−2−オン);HCVメタロプロテアーゼ阻害剤;HCVヘリカーゼ阻害剤;HCV p7阻害剤;イノシン1リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤(例えば、ビラミジン、メレメポジブ(meremepodib));ペグ化インターフェロン(例えば、ペグインターフェロンアルファ−2aおよびペグインターフェロンアルファ−2b)または長時間作用性インターフェロン(例えば、アルブフェロンまたはロクテロン)などのインターフェロン;モノクローナル抗体(例えば、XTL−6865、Tarvacin)またはポリクローナル抗体(例えば、シバシル(civacir))などの抗体;免疫増強剤(例えば、SCV−07)などの免疫調節剤;カスパーゼの阻害剤(例えば、IDN−6556);シクロフィリン阻害剤(例えば、Debio−025、SCy−635、NIM−811);アルファ−グルコシダーゼI阻害剤(例えば、セルゴシビル);アンチセンス化合物(例えば、AVI−4065);RNA合成阻害剤(例えば、Suvus、Nitazoxanide);およびヌクレオシド類似体(例えば、Ribavarin)が包含される。
【0108】
さらなる実施形態では、本発明の組合せは、本発明の化合物および1種または複数のTLRアゴニストを包含する。このような追加のTLRアゴニストには、TLR3アゴニスト;他の本発明の化合物、ANA−975、SM276001またはN−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミドなどのTLR7アゴニスト;レシキモドなどの二重TLR7/TLR8アゴニスト;TLR8アゴニスト;またはアクチロン(actilon)などのTLR9アゴニストが包含される。
【0109】
さらなる実施形態では、本発明の組合せは、本発明の化合物およびHIVの治療で有用な1種または複数の追加の薬剤を包含する。このような組合せは、HCV−HIV同時感染の治療で有用である。HIVの治療で有用な薬剤には、プロテアーゼ阻害剤;NNRTIおよびNRTIなどの逆転写酵素の阻害剤;CCR5アンタゴニスト、gp120とCD4との相互作用を阻害する薬剤およびgp41の阻害剤などの進入阻害剤;インテグラーゼ阻害剤;プレニル化阻害剤;RNアーゼH阻害剤;ならびに成熟阻害剤が包含される。
【0110】
プロテアーゼ阻害剤の例には、アムプレナビル;CGP−73547;CGP−61755;モゼナビル;ネルフィナビル;リトナビル;サキナビル;ロピナビル;TMC−126;アタザナビル;パリナビル;GS−3333;KNI−413;KNI−272;LG−71350;CGP−61755;PD173606;PD177298;PD178390;PD178392;U−140690;ABT−378;DMP−450;AG−1776;MK−944;VX−478;インジナビル;チプラナビル;TMC−114;DPC−681;DPC−684;フォサムプレナビルカルシウム;WO03/053435に開示されているベンゼンスルホンアミド誘導体;R−944;Ro−03−34649;VX−385;GS−224338;OPT−TL3;PL−100;PPL−100;SM−309515;AG−148;DG−35−VIII;DMP−850;GW−5950X;KNI−1039;L−756423;LB−71262;LP−130;RS−344;SE−063;UIC−94−003;Vb−19038;A−77003;BMS−182193;BMS−186318;SM−309515;JE−2147;およびGS−9005が包含される。
【0111】
NNRTIの例には、エファビレンツ;HBY−097;ネビラピン;TMC−120(ダピビリン);TMC−125;エトラビリン;デラビルジン;DPC−083;DPC−961;カプラビリン;リルピビリン;5−{[3,5−ジエチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]オキシ}イソフタロニトリルまたは薬学的に許容できるその塩、溶媒和物;GW−678248;GW−695634;MIV−150;カラノリドおよびWO03/062238に開示されている三環式ピリミジノン誘導体が包含される。
【0112】
CCR5アンタゴニストの例には、TAK−779;SC−351125;アンクリビロク(ancriviroc);ビクリビロク;マラビロク;PRO−140;アプラビロク;AMD−887;CMPD−167;メチル1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレートまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物;メチル3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレートまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物;エチル1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレートまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物ならびにN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物が包含される。
【0113】
侵入および融合阻害剤の例には、BMS−806;BMS−488043;5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドおよび4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド;エンフヴィルチド(T−20);シフヴィルチド(sifuvirtide)SP−01A;T1249;PRO542;AMD−3100;溶解性CD4;特開2003171381号公報に開示されている化合物および特開2003119137号公報に開示されている化合物が包含される。
【0114】
HIVインテグラーゼの阻害剤の例には、L−000870810;GW−810781;WO03/062204に開示されている1,5−ナフチリジン−3−カルボキサミド誘導体;WO03/047564に開示されている化合物;WO03/049690に開示されている化合物;WO03/035076に開示されている5−ヒドロキシピリミジン−4−カルボキサミド誘導体;MK−0518;WO03016315に開示されている(5−(1,1−ジオキソ−1,2−チアジナン−2−イル)−N−(4−フルオロベンジル)−8−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−7−カルボキサミド−;3−(4−フルオロベンジル)−7−ヒドロキシ−1−(ピペリジン−1−イルメチル)−3,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ピロロ[2,3−c]−1,7−ナフチリジン−6−オンまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物およびGS−9137(JTK−303)が包含される。
【0115】
プレニル化阻害剤の例には、スタチン(例えば、アトルバスタチン)などのHMG CoAレダクターゼ阻害剤が包含される。
【0116】
成熟阻害剤の例には、3−O−(3’3’−ジメチルスクシニル)ベツリ酸(別法では、PA−457として知られている)およびアルファHGAが包含される。
【0117】
さらなる実施形態では、本発明の組合せは、本発明の化合物およびアゾール(例えば、フルコナゾール、フォスフルコナゾールまたはボリコナゾール)またはカンジン(candin)(例えば、アニデュラファンギン)などの抗真菌剤;マクロライド抗菌剤(例えば、アジスロマイシン)などの抗菌剤;インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ)、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびパクリタクセルなどの抗癌剤ならびにシドフォビル、フォミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビルおよびヴァルサイト(valcyte)などのサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を治療するための薬剤から選択される1種または複数の追加の薬剤を包含する。
【0118】
さらなる実施形態では、本発明の組合せは、本発明の化合物および身体の免疫系を増強する1種または複数の追加の治療薬を包含する。身体の免疫系を増強する薬剤には、低用量シクロホスファミド;サイモスチムリン;ビタミンおよび抗酸化剤などの栄養サプリメント(例えば、ビタミンA、C、E;βカロテン;亜鉛;セレン;グルタチオン;補酵素Q−10およびエキナセア)および多量体5提示の抗原およびアジュバントを組み合わせるワクチン製剤を含む免疫刺激複合体(ISCOM)などのワクチンが包含される。
【0119】
本発明で使用するためのさらなる組合せには、本発明の化合物と、BX−471などのCCR1アンタゴニスト;サルメテロールなどのベータアドレノセプターアゴニスト;プロピオン酸フルチカゾンなどのコルチコステロイドアゴニスト;モンテルカストなどのLTD4アンタゴニスト;臭化チオトロピウムなどのムスカリン様アンタゴニスト;クリオミラスト(cliomilast)またはロフルミラストなどのPDE4阻害剤;セレコキシブ、バルデコキシブまたはロフェコキシブなどのCOX−2阻害剤;ガバペンチンまたはプレガバリンなどのアルファ−2−デルタリガンド;TNF−アルファ阻害剤(例えば、アダリムマブ)などのTNF受容体調節剤;またはシクロスポリンなどの免疫抑制剤またはタクロリムスなどのマクロライドなどとの組合せが包含される。
【0120】
また、本発明の化合物と、本発明の化合物の代謝速度を遅くして、患者において高い曝露をもたらす1種または複数の追加の治療薬との組合せも、本発明の範囲内に包含される。このような方法で曝露を高めることは、ブースティングとして知られている。これは、本発明の化合物の効力を高めるか、ブースティングされていない用量と同じ効力を達成するために必要な用量を低減するという利点を有する。本発明の化合物の代謝には、P450(CYP450)酵素、特にCYP3A4により実施される酸化プロセスならびにUDPグルクロノシルトランスフェラーゼおよびスルフェート化酵素による結合が包含される。このように、本発明の化合物への患者の曝露を高めるために使用することができる薬剤は、シトクロムP450(CYP450)酵素の少なくとも1種のアイソフォームの阻害剤として作用しうるものである。有利に阻害されうるCYP450のアイソフォームには、これらに限られないが、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4が包含される。CYP3A4を阻害するために使用することができる適切な薬剤には、リトナビル、サキナビル、ケトコナゾール、N−(3,4−ジフルオロベンジル)−N−メチル−2−{[(4−メトキシピリジン−3−イル)アミノ]スルホニル}ベンズアミドおよびN−(1−(2−(5−(4−フルオロベンジル)−3−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセチル)ピペリジン−4−イル)メタンスルホンアミドが包含される。
【0121】
前記の組合せでは、本発明の化合物を、1種または複数の他の治療薬と組み合わせて同時に、連続して、または別々に投与することができる。
【0122】
そのうちの少なくとも1種が本発明の化合物を含有する2種以上の医薬組成物を簡便に、それらの組成物を同時投与するために適しているキットの形態に組み合わせることができることも、本発明の範囲内である。したがって、本発明のキットは、そのうちの少なくとも1種が本発明の化合物を含有する2種以上の別々の医薬組成物ならびに容器、別々のボトルまたは別々のホイルパケットなどの前記の組成物を別々に保持するための手段を含む。このようなキットの例は、錠剤、カプセルなどを包装するために使用される通常のブリスターパックである。本発明のキットは、別の剤形、例えば、経口と非経口を投与するために、別々の組成物を別々の投与間隔で投与するために、または相互に別々の組成物を滴定するために特に適している。服薬遵守を補助するために、キットは典型的には、投与指示書を含み、いわゆる記憶補助体と共に提供されうる。
【0123】
他の態様では、本発明は、TLR7アゴニストが適応とされる障害を治療する際に、同時に、別々に、または連続して使用するための組み合わされた製剤として本発明の化合物を1種または複数の追加の治療活性な薬剤と共に含む医薬製品(キットの形態などで)を提供する。
【0124】
本明細書における治療との言及には全て、治癒的、対症的および予防的治療が包含されることを理解されたい。
【0125】
本発明を、次の非限定的な実施例により説明し、ここでは、次の略語および定義を使用する:
Arbocel(登録商標) 濾過材、J.Rettenmaier & Sohne製(Germany)、
APCI 大気圧化学イオン化(陽性スキャン)、
br ブロード、
Chiralpak AD−H 5uMのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)からなるキラル固定相を充填されたクロマトグラフィーカラム、Chrial Technologies Europe製
δ 化学シフト
d 二重項、
DCM ジクロロメタン
dd 二重項の二重項、
DMSO ジメチルスルホキシド、
EtOAc 酢酸エチル、
ES エレクトロスプレーイオン化陽性スキャン、
H NMR プロトン核磁気共鳴分光学、
HPLC 高速液体クロマトグラフィー、
IPA イソプロピルアルコール、
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析、
LRMS 低分解能質量分析、
m 多重項、
m/z 質量スペクトルピーク、
q 四重項、
s 一重項、
t 三重項、
TBME tert−ブチルメチルエーテル、
THF テトラヒドロフラン。
【実施例】
【0126】
(実施例1)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン
【0127】
【化6】

[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(30.5g)を酢酸(300ml)に溶かし、40℃で3時間加熱した。次いで、生じた混合物を室温に冷却し、減圧下での蒸発により溶媒を除去し、メタノールと共沸させると、赤色のオイルが残った。ジエチルエーテル(150ml)を加えると、懸濁液が生じ、これを音波処理し、1時間激しく撹拌した。懸濁液を濾過すると、オレンジ色の固体が得られた。固体をメタノール(70ml)に入れ、ジエチルエーテル(50ml)を加えた。淡ピンク色の沈澱物を濾別し、乾燥器中で乾燥させた。次いで、これを、温IPA約1Lに溶かし、次いで、室温に冷却した。次いで、混合物を−20℃に16時間冷却した。淡ピンク色の固体を濾別し、ジエチルエーテル(200ml)で洗浄すると、表題化合物(13.2g)が淡ピンク色の粉末として得られた。
1H NMR
(DMSO D6, 400MHz) δ
10.05 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 7.55 (dd, 1H), 7.19 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.58
(br, s, 2H), 4.82 (br, s, 2H), 3.90 (q, 2H), 3.85-3.80 (m, 2H), 3.30-3.20 (m,
2H) 2.40 (s, 3H), 1.90-1.80 (m, 1H), 1.65-1.55 (m, 2H), 1.25-1.15 (m,
2H). LC-MS (ES+) 1.32分, m/z 370 [MH]+
【0128】
(実施例2)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン
【0129】
【化7】

[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(164mg)を酢酸(5ml)に溶かし、80℃に2時間加熱した。生じた混合物を室温に冷却し、真空下に酢酸を除去すると、茶色の固体が残った。この固体をジエチルエーテル(15ml)に入れると、茶色沈澱物が形成し、これを濾過し、さらに3回ジエチルエーテル(それぞれ5ml)で洗浄した。沈澱物を真空炉中で乾燥させると、茶色の固体が得られた。この物質をメタノールに溶かし、シリカゲルに負荷し、自動カラムクロマトグラフィーにより、勾配溶離(100%DCMから2%メタノール/DCMへ)で精製すると、表題化合物(52mg)がオフホワイト色の固体として得られた。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.0 (s, 2H), 4.15-4.05
(m, 1H), 4.05-3.95 (m, 1H), 3.90-3.80 (m, 2H), 3.75-3.70 (m, 1H), 3.65-3.60 (m,
1H) 2.70-2.60 (m, 1H), 2.50 (s, 3H), 2.10-2.00 (m, 1H), 1.75-1.65 (m,
1H). LRMS (ES+) m/z 356 [MH]+
【0130】
(実施例3)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−S*−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(「S*」は、未定であるが、絶対立体化学を示す)
【0131】
【化8】

4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(30mg)をメタノール(5ml)に入れ、溶液を分取スケールキラルHPLCに、Chiralpak AD−Hの固相を使用して、メタノール:エタノールの1:1混合物で流速18ml/分で溶離して通過させた。生成物を7.60分で集めると、表題化合物(10mg)が>99.5%eeの白色の固体として得られた。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.0 (s, 2H), 4.15-4.05
(m, 1H), 4.05-3.95 (m, 1H), 3.90-3.80 (m, 2H), 3.75-3.70 (m, 1H), 3.65-3.60 (m,
1H) 2.70-2.60 (m, 1H), 2.50 (s, 3H), 2.10-2.00 (m, 1H), 1.75-1.65 (m, 1H).
LRMS (ES+) m/z 356 [MH]+
【0132】
(実施例4)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R*−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(「R*」は、未定であるが、絶対立体化学を示す)
【0133】
【化9】

4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(30mg)をメタノール(5ml)に入れ、溶液を分取スケールキラルHPLCに、Chiralpak AD−Hの固相を使用して、メタノール:エタノールの1:1混合物で流速18ml/分で溶離して通過させた。生成物を8.34分で集めると、表題化合物(11mg)が>95%eeの白色の固体として得られた。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.0 (s, 2H), 4.15-4.05
(m, 1H), 4.05-3.95 (m, 1H), 3.90-3.80 (m, 2H), 3.75-3.70 (m, 1H), 3.65-3.60 (m,
1H) 2.70-2.60 (m, 1H), 2.50 (s, 3H), 2.10-2.00 (m, 1H), 1.75-1.65 (m, 1H).
LRMS (ES+) m/z 356 [MH]+
【0134】
(実施例5)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン
【0135】
【化10】

[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(171mg)を酢酸(5ml)に溶かし、80℃に2時間加熱した。生じた混合物を室温に冷却し、酢酸を減圧下での蒸発により除去すると、茶色の固体が残った。固体をジエチルエーテル(15ml)に入れ、摩砕した。茶色の沈澱物が形成し、これを濾過し、さらに3回ジエチルエーテル(それぞれ5ml)で洗浄した。沈澱物を真空炉中で乾燥させると、表題化合物(101mg)が茶色の粉末として得られた。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.0 (s, 2H), 4.20-4.10
(m, 2H), 4.10-4.05 (m, 1H), 3.90-3.85 (m, 1H), 3.80-3.75 (m, 1H), 2.50 (s, 3H),
2.10-1.85 (m, 3H), 1.75-1.65 (m, 1H). LRMS (ES+) m/z 356 [MH]+
【0136】
(実施例6)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン
【0137】
【化11】

表題化合物を、実施例5と同じ方法を使用して調製したが、鏡像異性的に純粋な[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステルを、本明細書に挙げられているカルバミン酸エチルエステルの代わりに使用した。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.0 (s, 2H), 4.20-4.10
(m, 2H), 4.10-4.05 (m, 1H), 3.90-3.85 (m, 1H), 3.80-3.75 (m, 1H), 2.50 (s, 3H),
2.10-1.85 (m, 3H), 1.75-1.65 (m, 1H). LRMS (ES+) m/z 356 [MH]+
【0138】
(実施例7)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン
【0139】
【化12】

表題化合物を実施例5と同じ方法を使用して調製したが、鏡像異性的に純粋な[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステルを本明細書に挙げられているカルバミン酸エチルエステルの代わりに使用した。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.0 (s, 2H), 4.20-4.10
(m, 2H), 4.10-4.05 (m, 1H), 3.90-3.85 (m, 1H), 3.80-3.75 (m, 1H), 2.50 (s, 3H),
2.10-1.85 (m, 3H), 1.75-1.65 (m, 1H). LRMS (ES+) m/z 356 [MH]+
【0140】
(実施例8)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン塩酸塩
【0141】
【化13】

4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(50.0mg)を、アセトニトリル(1.0ml)に懸濁させ、1NのHCl溶液(0.2ml)を加えた。透明な溶液が得られ、これを室温で15分間撹拌し、この時点で、白色の固体が混合物から沈殿した。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、固体を濾別した。固体をアセトニトリル(0.5ml)で洗浄し、濾紙パッド上で短時間乾燥させ、次いで、真空炉中、50℃で乾燥させた。これにより、表題化合物(20mg)が白色の固体として得られた。
1H NMR
(DMSO D6, 400MHz) δ
8.8 (s, 1H), 8.41 (dd, 1H), 7.85 (d, 1H), 6.60 (s, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.15 (d,
2H), 3.95 (m, 2H), 3.45 (m, 2H), 2.79 (s, 3H), 2.15 (m, 1H), 1.75 (m, 2H), 1.45
(m, 2H). LC-MS (ES+) 1.33分, m/z 370 [MH]+
【0142】
(実施例9)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(多形B形)
【0143】
【化14】

調製22からの[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−イル]−(6−メチルピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステルのエタノール溶液(1600mL中323g)を反応容器に投入し、窒素下に撹拌した。酢酸(44.5ml)を容器に投入し、完全な反応が示されるまで(約2時間)、内容物を還流加熱した。反応混合物を5℃に徐々に冷却し、さらに2時間撹拌した。生じたスラリーを濾過し、エタノール(2×323mL)で洗浄すると、粗製の生成物がピンク色の固体として得られた。単離されたピンク色の固体を真空下に50℃で15時間乾燥させると、257g、88%)が得られた。
【0144】
粗製の物質を反応容器に再投入し、エタノール(1286ml)を投入した。生じたスラリーを2時間還流加熱し、5℃に1時間にわたって冷却し、この温度でさらに2時間撹拌した。ピンク色のスラリーを濾過し、エタノール(2×128mL)で洗浄すると、ピンク色の固体が得られ、これを、真空下に50℃で12時間さらに乾燥させると、表題化合物(256g、99%)が得られた。
1H NMR
(CD3OD D4, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.65 (dd, 1H), 7.25 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 4.95 (s, 2H), 3.90 (m,
4H), 3.40 (m, 2H) 2.50 (s, 3H), 2.05-1.90 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.38 (m, 2H).
【0145】
後記で記載されている通りのPXRD分析により、表題化合物はB形と称される単一の多形体であることが示された。
【0146】
(実施例10)
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(多形A形)
【0147】
【化15】

完全な反応が示されるまで(約2時間)、[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−イル]−(6−メチルピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(405mg)のエタノール(4.5mL)および酢酸(0.5mL)中の溶液を80℃で加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、メタノールと共沸させた。生じた茶色の固体をメタノール(約10mL)に溶かし、一晩冷却した。生じたスラリーを濾過し、メタノールで洗浄し、真空下に40℃で2時間乾燥させると、表題化合物257g(88%)がオフホワイト色の固体として得られた。
1H NMR
(DMSO D6, 400MHz) δ
10.05 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 7.55 (dd, 1H), 7.19 (d, 1H), 5.90 (s, 1H), 5.58
(br, s, 2H), 4.82 (br, s, 2H), 3.90 (q, 2H), 3.85-3.80 (m, 2H), 3.30-3.20 (m,
2H) 2.40 (s, 3H), 1.90-1.80 (m, 1H), 1.65-1.55 (m, 2H), 1.25-1.15 (m,
2H). LC-MS (ES+) 1.32分, m/z 370 [MH]+
【0148】
後記で記載されている通りのPXRD分析により、表題化合物はA形と称される単一の多形体であることが示された。
【0149】
調製1
2,6−ジクロロ−4−(N−ニトロ)アミノ−ピリジン
【0150】
【化16】

2,6−ジクロロ−4−アミノピリジン(43.8g)を硫酸(620ml)に0℃で窒素雰囲気下に入れ、温度が0℃を超えないような速度で、硝酸(12ml)を1時間にわたって滴下した。全ての硝酸を加えたら、赤/オレンジ色の溶液を0℃で1時間撹拌し、次いで、撹拌しながら粉砕氷(2.4L)に慎重に注いだ。沈澱物を濾過により集め、次いで、水(1L)に再懸濁させ、もう一度濾過した。固体を乾燥器中、P上で一晩乾燥させると、表題化合物(52.83g)がオフホワイト色の固体として得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
10.4 (s, 1H), 7.40 (s, 2H). LC-MS (AP+) 2.56分, m/z 209 [MH]+
【0151】
調製2
2,6−ジクロロ−4−アミノ−5−ニトロ−ピリジン
【0152】
【化17】

硫酸(550ml)を50℃に加熱し、次いで、加熱浴を外した。2,6−ジクロロ−4−(N−ニトロ)アミノ−ピリジン(52.83g)を、反応混合物の温度が46から48℃にとどまるような速度で、加温された硫酸に45分にわたって少量ずつ加えた。添加が完了したら、反応を50℃に再度加温した。30分後に、生じた混合物を室温に冷却し、次いで、激しく撹拌しながら、粉砕氷(3L)に徐々に注いだ。沈澱物を濾過により集め、次いで、水(1L)に懸濁させ、再濾過した。次いで、固体を酢酸エチル(400ml)に溶かし、分離漏斗に移し、残りの水性相を除去し、その後、残りの有機相を水(100ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100ml)およびブライン(100ml)で洗浄した。次いで、有機相を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下に除去すると、表題化合物(34.82g)が淡黄色の固体として得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
6.70 (s, 1H), 5.70 (s, 2H). LRMS (ES+) m/z 209 [MH]+
【0153】
調製3
(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステル
【0154】
【化18】

クロロギ酸エチル(17.4ml)の無水2−メチルTHF(50ml)溶液を冷却(0℃)されている2,6−ジクロロ−4−アミノ−5−ニトロ−ピリジン(34.5g)およびトリエチルアミン(46ml)の無水2−メチルTHF(450ml)溶液に0℃で1時間にわたって滴下添加したが、その際、添加速度を、反応温度が5℃を超えないように維持した。生じた混濁した鮮黄色の溶液を0℃で45分間撹拌し、次いで、室温に加温した。室温でさらに2時間撹拌した後に、水(200ml)を加えて反応をクエンチし、混合物を分離漏斗に移した。層を分離し、水性層を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた抽出物をブライン(100ml)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。次いで、溶媒を除去すると、粘稠性のオレンジ色のオイルが得られ、これから、固体化合物が2日間にわたって結晶化した。結晶を混合物から濾過し、冷メタノール(3×25ml)で洗浄し、減圧下での蒸発により乾燥させると、表題化合物が透明な淡黄色の結晶(12.43g)として得られた。濾液を合わせ、濃縮すると、暗オレンジ色のオイルが得られた。オイルを自動カラムクロマトグラフィー(SiO;ペンタン中10から30%の酢酸エチルの勾配溶離)により精製すると、表題化合物の第2バッチが黄色の固体(4.07g)として、第3バッチ(21.94g)と共に得られた。全てのバッチを合わせると、表題化合物(36.51g)が黄色の結晶質固体として得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 8.10 (br, s, 1H), 4.30 (q, 2H), 1.35 (t, 3H).
LC-MS (ES+) 2.98分, m/z 280 [MH]+
【0155】
調製4
(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0156】
【化19】

炭酸カリウム(25.1g)を(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステル(25.5g)および5−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(12.9g)のアセトン(365ml)溶液に室温で窒素下に加えた。溶液は暗茶色になり、これを5分間撹拌した。ヨウ化ナトリウム(16.4g)を一度に加え、反応混合物を室温で3日間撹拌した。溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、茶色の固体が残った。粗製物質を酢酸エチル(500ml)に入れ、水(500ml)を加えた。相を分離し、水性相を酢酸エチル(2×250ml)でさらに抽出した。合わせた有機フラクションを水(2×250ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、暗茶色のゴムが残った。これを、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中20%の酢酸エチルから、ヘプタン中40%の酢酸エチルへと上昇させて溶離)により精製すると、表題化合物(22.8g)が緑色のオイルとして得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.00 (s, 1H), 4.80 (s, 2H), 4.25 (q,
2H), 2.58 (s, 3H), 1.25 (t, 3H). LC-MS (ES+) 2.12分, m/z 385 [MH]+
【0157】
調製5
ベンジル−(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステル
【0158】
【化20】

臭化ベンジル(2.33ml)を撹拌されている(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステル(4.57g)および炭酸カリウム(4.51g)のアセトニトリル(40ml)懸濁液に滴下添加し、反応混合物を室温で窒素下に16時間撹拌した。混合物を真空濃縮し、次いで、酢酸エチル(50ml)および水(50ml)に分配した。層を分離し、有機層を飽和NHCl(50ml)、水(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、減圧下に蒸発させると、黄色のオイルが得られた。これを、シリカに吸着させ、自動カラムクロマトグラフィーによりシリカカラム(330g、Redisep)で、酢酸エチル:ヘプタンを用いて、1カラム体積は10:90の定組成で、次いで、6カラム体積にわたって10:90から30:70へと勾配を高める溶離で精製した。所望のフラクションを合わせ、蒸発させると、表題化合物(5.96g)が黄色のオイルとして得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
7.40-7.30 (m, 3H), 7.25-7.20 (m, 2H), 6.88 (s, 1H), 4.80 (s, 2H), 4.20 (q, 2H),
1.25 (t, 3H). LC-MS (ES+) 3.62分, m/z 370 [MH]+
【0159】
調製6
(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0160】
【化21】

アンモニア(325ml)を(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(50.1g)の2−メチル−THF(325ml)溶液に加えた。反応容器を密閉し、溶液を室温で20時間撹拌した。酢酸エチル(500ml)および水(500ml)を加え、相を分離した。水性相を酢酸エチル(2×250ml)でさらに抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、オレンジ色の泡が残った。TBME(50ml)を加え、溶媒を除去すると、暗黄色の固体が残った。固体を温TBME(80ml)中でスラリー化し、還流下に30分間撹拌した。混合物を室温に冷却し、固体を濾過すると、黄色の粉末が残った。このプロセスを3回繰り返すと、黄色の粉末(37g)が得られ、合わせた濾液を減圧下に蒸発させると、茶色のオイル(11g)が得られた。次いで、固体を3バッチ(1×10g、1×12g、1×15g)に分け、各バッチで、次の手順を実施した:物質を還流している80%DCM、20%アセトンの混合物(約100ml)に溶かした。見えている黄色バンドが全て集められるまで、溶液をシンター中のシリカプラグに、80%のDCM、10%のアセトン、10%のヘプタン(10l)で溶離して通過させた。溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、3バッチの黄色の泡が得られた。合わせた濾液(11g)を自動カラムクロマトグラフィーにより、80%のDCM、10%のアセトン、10%のヘプタンで溶離して精製すると、さらなるバッチの生成物が黄色の固体として得られた。全てのバッチを会わせると、表題化合物(40g)が黄色の固体として得られた。
1H NMR (アセトン D6, 400MHz) δ 8.45 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.21 (d, 1H),
7.18 (br, s, 2H), 6.70 (s, 1H), 5.00 (br, s, 2H), 4.15 (br, q, 2H), 2.42 (s,
3H), 1.18 (br, t, 3H). LC-MS (ES+) 0.98分, m/z 366 [MH]+
【0161】
調製7
(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−ベンジルカルバミン酸エチルエステル
【0162】
【化22】

アンモニア(メタノール中7M、1ml)をベンジル−(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステル(500mg)の2−メチル−THF(3ml)溶液に加えた。反応容器を密閉し、溶液を室温で48時間撹拌した。反応混合物をシリカに吸着させ、自動カラムクロマトグラフィーによりシリカカラム(40g、Redisep)上で、酢酸エチル:ヘプタンを用いて10:90から40:60へと10カラム体積にわたって勾配を直線的に高める溶離で精製した。所望のフラクションを合わせ、蒸発させて、黄色のゴムにし、これを、スクラッチングで凝固させると、表題化合物(304mg)が黄色の固体として得られた。
1H NMR
(DMSO D6, 400MHz) δ
7.60 (br, s, 2H), 7.35-7.20 (m, 5H), 6.59 (s, 1H), 4.85 (br, s, 2H), 4.00 (q,
2H), 1.05 (t, 3H). LC-MS (ES+) 3.24分, m/z 351 [MH]+
【0163】
調製8
[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0164】
【化23】

水素化ナトリウム(鉱油中60%の分散液、7.52g)を、(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−メタノール(21.8g)のTHF(350ml)溶液に室温で窒素下に少量ずつ加え、生じた懸濁液を30分間撹拌した。次いで、(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(34.0g)のTHF(150ml)溶液を加え、深赤色の反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に蒸発により除去し、生じたゴムを酢酸エチル(750ml)および水(500ml)に分配した。ブライン(100ml)を加え、相を分離した。有機相を集め、水性相を酢酸エチル(2×250ml)で洗浄した。次いで、合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空除去すると、オレンジ色のオイルが得られた。オイルをDCM(250ml)に入れ、溶媒を除去すると、オレンジ色の泡が残った。TBME(250ml)を加え、溶媒を減圧下に除去すると、オレンジ色の固体が得られた。固体を温TBME(150ml)中でスラリー化し、還流で30分間撹拌した。懸濁液を室温に冷却し、濾過すると、表題化合物(35.3g)がオレンジ色粉末として得られた。
1H NMR
(DMSO D6, 400MHz) δ
8.30 (s, 1H), 7.75 (br, s, 2H), 7.48 (d, 1H), 7.15 (d, 1H), 5.90 (s, 1H),
4.90-4.60 (br, d, 2H), 4.10 (d, 2H), 4.05 (br, q, 2H), 3.80 (d, 2H), 3.30-3.20
(m, 2H) 2.40 (s, 3H), 1.95-1.85 (m, 1H), 1.60-1.50 (m, 2H), 1.30-1.20 (m, 2H),
1.05 (br, t, 3H). LRMS (ES+) m/z 446 [MH]+
【0165】
調製9
[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0166】
【化24】

[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(20.0g)をエタノール(800ml)に入れ、40℃に30分間加熱した。大部分の物質が溶けた。Pd/C(4.00g)を加え、混合物を40℃に水素40psi下に4時間加熱した。緑色の溶液をアーボセル(arbocel)で濾過し、大部分の色が洗い流されるまで、フィルターケークをエタノール(約1.5L)で洗浄した。溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、黄色/茶色の泡が残った。物質をエタノール(200ml)に再び溶かし、物質をセライトで濾過して、残りのPd触媒を除去した。色が洗い流されるまで、フィルターケークをメタノール(200ml)で洗浄した。溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、表題化合物(15.6g)が茶色のオイルとして得られ、これを、さらに精製することなく次のステップで使用した。
LC−MS(ES+)0.72分、LRMS m/z 416[MH]+
【0167】
調製10
[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0168】
【化25】

水素化ナトリウム(55mg)を(R/S−テトラヒドロ−フラン−3−イル)−メタノール(79ul)のTHF(10ml)溶液に加え、生じた曇った混合物を室温で5分間撹拌した。(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(200mg)を加え、深赤色の混合物を室温で3時間撹拌した。水(10ml)およびブライン(10ml)を加え、混合物を酢酸エチル(3×20ml)に抽出した。合わせた有機フラクションを乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、茶色のオイルが残った。粗製物質をシリカゲルに負荷し、カラムクロマトグラフィー(勾配溶離、30分にわたってペンタン中20%の酢酸エチルから100%の酢酸エチルへ)により精製すると、表題化合物(220mg)が黄色の泡として得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
8.35 (s, 1H), 7.60 (br, s, 1H), 7.09 (d, 1H), 6.60 (br, s, 2H), 5.78 (s, 1H),
4.95 (br, d, 1H), 4.50 (br, d, 1H), 4.20-4.00 (m, 4H), 3.85-3.75 (m, 2H),
3.74-3.65 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 1H) 2.65-2.55 (m, 1H), 2.45 (s, 3H), 2.05-1.95
(m, 2H), 0.90 (br, t, 3H). LRMS (ES+) m/z 432 [MH]+
【0169】
調製11
[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0170】
【化26】

Pd/C(22mg)を[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(220mg)のエタノール(10ml)溶液に加えた。反応混合物を40℃で水素40psi下に2時間加熱した。混合物をアーボセルで濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、表題化合物(202mg)が緑色のオイルとして得られ、これを、さらに精製することなく使用した。
LC-MS (ES+) 0.69分, LRMS m/z 402 [MH]+
【0171】
調製12
[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0172】
【化27】

水素化ナトリウム(87.5mg)を(R/S−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−メタノール(159ul)のTHF(10ml)溶液に加え、生じた濁った混合物を室温で5分間撹拌した。(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(200mg)を加えると、混合物は深赤色になり、発泡が観察された。生じた混合物を室温で3時間撹拌した。水(10ml)およびブライン(10ml)を加え、混合物を酢酸エチル(3×20ml)に抽出した。合わせた有機フラクションを乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、茶色のオイルが残った。粗製物質をシリカゲルに負荷し、自動カラムクロマトグラフィー(勾配溶離、30分にわたって40%ペンタン/酢酸エチルから100%酢酸エチルへ)により精製すると、表題化合物(169mg)が黄色の泡として得られた。
1H NMR
(CD3OD, 400MHz) δ
8.30 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 5.85 (br, s, 1H), 5.00-4.95 (br, d,
1H), 4.65-4.60 (br, d, 1H), 4.30-4.25 (m, 1H), 4.20-4.00 (m, 4H), 3.90-3.70 (m,
2H), 2.45 (s, 3H), 2.05-1.95 (m, 1H), 1.95-1.85 (m, 2H), 1.65-1.60 (m, 1H),
1.10 (br, t, 3H).
LC-MS (ES+) 1.28分, LRMS (ES+) m/z 432 [MH]+
【0173】
調製13
[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0174】
【化28】

Pd/C(22mg)を[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(220mg)のエタノール(5ml)溶液に加えた。生じた混合物を40℃に、水素40psi下に90分間加熱した。室温に冷却した後に、混合物をアーボセルで濾過し、溶媒を減圧下での蒸発により除去すると、表題化合物(173mg)が黄色の泡として得られ、これを、さらに精製することなく、次のステップで使用した。
LC-MS (ES+) 1.81分, LRMS m/z 402 [MH]+
【0175】
調製14
[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0176】
【化29】

表題化合物を、調製12で説明された様式と同様の様式で、この場合には、鏡像異性的に純粋な(R−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−メタノールを使用して調製した。
LRMS (ES+) m/z 432 [MH]+
【0177】
調製15
[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0178】
【化30】

表題化合物を、調製13で説明された様式と同様の様式で、この場合には、鏡像異性的に純粋な[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステルを使用して調製した。
LRMS m/z 402 [MH]+
【0179】
調製16
[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0180】
【化31】

表題化合物を、調製12で説明された様式と同様の様式で、この場合には、鏡像異性的に純粋な(S−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−メタノールを使用して調製した。
LRMS (ES+) m/z 432 [MH]+
【0181】
調製17
[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0182】
【化32】

表題化合物を、調製13で説明された様式と同様の様式で、この場合には、鏡像異性的に純粋な[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステルを使用して調製した。
LRMS m/z 402 [MH]+
【0183】
調製18
(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステル
【0184】
【化33】

カリウムt−ブトキシド(2.64mol、297g)のTHF(2.64L)中の1M溶液を冷却(−20℃)されている6−ジクロロ−4−アミノ−5−ニトロ−ピリジン(500g)のTHF(2.5L)溶液に滴下添加し、その間、添加速度を、内部反応温度が−20℃から−15℃に維持されるように保持した。生じた赤色の懸濁液を−20℃から−15℃で1時間撹拌した。クロロギ酸エチル(313g)のTHF(1000ml)溶液を混合物に1時間にわたって徐々に加え、その際、内部温度を−20℃から−15℃に維持した。生じた茶色の懸濁液を−20℃から−15℃で30分間撹拌した。カリウムt−ブトキシド(4.57mol、512g)のTHF(4.6L)中の1M溶液を調製し、反応混合物に3時間にわたって徐々に加えたが、この場合にも、内部温度を−20℃から−15℃に保持した。生じた暗色の茶色の懸濁液を20℃に1時間にわたって加温し、この温度で2時間維持した。反応混合物を5℃に冷却し、1Mのクエン酸水溶液(5L)を反応混合物に徐々に加え、その際、内部温度を20℃未満に維持した。生じた二相混合物を20℃で1時間撹拌し、EtOAc(2.5L)で洗浄した。相を分離し、有機相を飽和NaHCO水溶液(5L)で洗浄し、続いて、飽和NaCl水溶液(5L)で洗浄した。有機層を分離し、40℃で減圧下(約250mbar)に約1L(2ml/g)まで濃縮すると、表題化合物がEtOAc中の溶液として得られた。アセトン(9.0L、18ml/g)を加え、混合物を調製19でそのまま使用した。
1H NMR
(CD3OD D4, 400MHz) δ 8.24 (s, 1H), 4.25 (q, 2H), 1.30 (t, 3H).
【0185】
調製19
(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0186】
【化34】

炭酸カリウム(663.4g)を(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)カルバミン酸エチルエステルのEtOAc:アセトン中の調製19からの溶液(EtOAc:アセトン10L中約672g)に、20℃で窒素下に加えた。ヨウ化ナトリウム(1080g)を、撹拌溶液に20℃で、続いて、塩酸5−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(427.3g)を加えた。生じたオレンジ色の懸濁液を50℃に加熱し、この温度で4時間撹拌した。反応混合物を5℃に冷却し、この温度で1時間撹拌し、次いで、濾過した。フィルターケークをアセトン(2mL/g)で洗浄し、合わせた有機抽出物を減圧下に40℃で乾燥するまで蒸発させると、暗茶色のゴム様の固体が得られた。ジクロロメタン(1613ml、2.4ml/g)を固体に加え、生じたスラリーを1時間撹拌して溶かした。この溶液を自動カラムクロマトグラフィー(Biotageシリカカートリッジ、150L、シリカ5Kg、CV=8.6L)により、トルエン:EtOAc 2:1で溶離して精製した。所望のフラクションを合わせ、蒸発させると、表題化合物が暗紫色のオイル(592g、64%)として得られた。
【0187】
(調製20)
(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0188】
【化35】

水酸化アンモニウム溶液(770ml)を撹拌されている(2,6−ジクロロ−3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−(6−メチルピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(592g)の2−メチル−THF(2000ml)溶液に周囲温度で投入した。反応混合物を周囲温度で6時間撹拌し、さらに1回の水酸化アンモニウム溶液(770ml)を周囲温度で投入し、反応混合物をさらに15時間撹拌した。第3の水酸化アンモニウム溶液(770mL)を反応容器に周囲温度で投入し、反応物をさらに4時間撹拌した。反応が完了したら、有機層を分離し、20%塩化ナトリウム水溶液(3000mL)で洗浄した。有機層を分離し、35℃で減圧下に1000mLまで濃縮した。TBME(7500mL)を投入し、手順をさらに2回繰り返した。生じた濃厚なスラリーを5℃に冷却し、この温度で60分間撹拌し、濾過し、TBME(300mL)で洗浄した。単離された黄色の固体を真空下に50℃で15時間さらに乾燥させると、表題化合物(423g、75%)が得られた。
1H NMR
(CDCl3, 400MHz) δ
8.40 (s, 1H), 7.60 (br, s, 1H), 7.15 (d, 1H), 6.40 (s, 3H), 5.00-4.70 (br, m,
2H), 4.15 (br, m, 2H), 2.55 (s, 3H), 1.20 (br, m, 3H).
【0189】
調製21
[2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0190】
【化36】

(2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロピリジン−4−イル)−(6−メチルピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(400g)および(テトラヒドロピラン−4−イル)メタノール(152g)のテトラヒドロフラン(2000mL)溶液を、水素化ナトリウム(96g)のテトラヒドロフラン(2000mL)懸濁液に0〜5℃で1時間にわたって徐々に投入し、その際、内部温度を0〜5℃に維持した。生じた赤色の混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、周囲温度に15〜30分にわたって加温した。反応混合物を、完了するまで周囲温度で撹拌した。反応混合物を水(400mL)を徐々に加えることによりクエンチし、塩化ナトリウム溶液(20%w/v、3000mL)を投入し、内容物を15〜20分間撹拌し、層を分離した。水性相を酢酸エチル(2000mL)で抽出し、有機相を合わせ、減圧下に800mLまで濃縮した。TBME(5000mL)を投入し、生じた混合物を減圧下に800mLまで再濃縮した。このプロセスをさらに2回繰り返した。生じたオレンジ色のスラリーを0〜10℃に冷却し、2時間撹拌し、濾過し、TBME(200mL)で洗浄した。単離されたオレンジ色の固体を真空下に50℃で15時間さらに乾燥させると、表題化合物(421g、86%)が得られた。
【0191】
単離されたオレンジ色の固体を還流している2−プロパノール(3368mL)中で再結晶化させ、周囲温度に冷却し、濾過し、真空下に50℃で16時間乾燥させると、365g(回収率87%)が得られた。
1H NMR
(DMSO D6, 400MHz) δ
8.30 (s, 1H), 7.80 (br, s, 2H), 7.58 (d, 1H), 7.15 (d, 1H), 5.95 (s, 1H),
4.95-4.60 (br, d, 2H), 4.10 (d, 2H), 4.00 (br, q, 2H), 3.82 (d, 2H), 3.35-3.25
(m, 2H) 2.40 (s, 3H), 1.95 (m, 1H), 1.55 (m, 2H), 1.25 (m, 2H), 1.05 (br, m,
3H).
【0192】
調製22
[2,3−ジアミノ−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−ピリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル
【0193】
【化37】

2−アミノ−3−ニトロ−6−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−イル]−(6−メチルピリジン−3−イルメチル)カルバミン酸エチルエステル(365g)をメタノール(7300ml)に溶かし、炭素上10%のPd(OH)(37g)と共に水素雰囲気(20psi)下に40℃で3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、メタノール(2×1100mL)で洗浄し、液体を減圧下に40℃で700mLまで濃縮した。エタノール(3700mL)を投入し、混合物を減圧下に40℃で700mLまで再濃縮した。この手順をもう一回繰り返し、エタノール(900mL)を投入すると、表題化合物の最終エタノール溶液(1600mL)が得られ、これを、実施例9でそのまま使用した。
【0194】
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンの多形体
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンは、A形およびB形と称される2種の無水多形体で結晶化することが判明している。これら2種の形は、その粉末X線回折パターンにより識別することができる。
【0195】
特性決定
(a)粉末X線回折(PXRD)
自動試料チェンジャー、シータ−シータゴニオメーター、自動ビーム広がりスリットおよびコランダム標準(NIST:SRM 1976 XRD)に対してピーク2シータ位置に関して補正されるPSD Vantec−1検出器を備えたBruker−AXS Ltd.D4粉末X線回折計を使用して、PXRDパターンを決定した。低バックグラウンドシリコンウェハに試料量をマウントすることにより、試料を分析のために調製した。試料を回転させたが、その間、40kV/30mAで運転されるX線管を用いて、銅K−アルファX線(波長=1.5406Å)を照射した。2°から55°の2シータ範囲にわたって0.018°ステップ当たり0.2秒カウントに設定された連続モードで運転するゴニオメーターを用いて、分析を行った。Bruker−AXS Ltd.評価ソフトウェアを使用して、手動でピークを選択した。
【0196】
当業者には理解されるであろう通り、下記に示されている様々なピークの相対強度は、例えば、X線ビームにおける結晶の配向効果または分析される物質の純度または試料の結晶度などのいくつかのファクターによって変動しうる。ピーク位置もまた、試料高さの変化でシフトすることがあるが、ピーク位置は、定義されている通りに実質的にはとどまる。
【0197】
また、当業者であれば、異なる波長を使用しての測定は、Bragg式−nλ=2d sinθに従い、異なるシフトをもたらすであろうことも理解するであろう。別の波長を使用することにより生じるこのような他のPXRDパターンは、本発明の結晶物質のPXRDパターンの別の表現であると考えられ、それ自体、本発明の範囲内である。
【0198】
A形でのPXRDパターンを図1に示す。主な2シータピーク位置および相対強度を表1に挙げる。A形は、7.6、13.3、15.3および25.0度2−シータ(±0.1度)に特徴的な回折ピークを示す。
【0199】
B形でのPXRDパターンを図2に示す。主な2シータピーク位置および相対強度を表2に挙げる。B形は、7.3、17.9、20.3、24.0および24.3度2−シータ(±0.1度)に特徴的な回折ピークを示す。
【0200】
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
【表3】

【0203】
【表4】

【0204】
生物学的データ
TLR7活性をアゴナイズする本発明の化合物の能力を、下記で詳述するPBL/HCVレプリコンバイオアッセイにより証明するが、ここでは、次の略語を使用する:
EMCV:脳心筋炎ウイルス、
IRES:内部リボソーム導入部位、
Huh:Huh−7ヒト肝癌細胞系7(HCVレプリコン細胞系を生じさせるために使用される親細胞)、
luc:ルシフェラーゼ、
ubi:ユビキチン、
neo:ネオマイシン、
ET:グルタミン酸、トレオニン(アッセイで使用されるレプリコンにおける突然変異に適応する細胞培養)、
RPMI−FCS:Roswell Park Memorial Institute(PBLのための細胞培地)−ウシ胎児血清、
PBL:末梢血リンパ球。
【0205】
PBLは、部分母集団として、感染の間に天然インターフェロンを産生する細胞であり、そのままでインターフェロン誘発因子をプロファイルするための優れたモデルである形質球様樹状細胞を含有する。極めて高感度の抗ウイルスバイオアッセイとして、PBLから採取された上澄みを、HCVレプリコン系での抗ウイルス活性に関してアッセイする。抗ウイルスEC50値は、規定量のPBL培地をHCVレプリコン含有細胞系に移すと、HCVレプリコンレベルの50%の低減をもたらすPBLに適用された試験化合物の濃度として定義される。HCVレプリコン含有細胞は十分にPBL調整培地に応答するが、これらは、ResiquimodおよびImiquimodなどの知られているTLRアゴニストには直接は応答しない。
【0206】
HCVレプリコン(Huh−5−2[I389luc−ubi−neo−NS3−3’/ET])は、HCV配列にルシフェラーゼレポーターが組み込まれており、ヒト肝癌細胞系Huh−7に安定して維持されるHCV複製のin vitroモデルである。ホタルルシフェラーゼレポーターは、ルシフェラーゼ−ユビキチン−ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ融合タンパク質として発現され、これは、宿主プロテアーゼにより切断されて、ルシフェラーゼを放出する。レプリコンは内部EMCV IRESをさらに含有し、これは、高いクローニング効率を可能にする細胞培養適合突然変異を内包するHCV NS3−5Bポリプロテインの翻訳を駆動する。ルシフェラーゼ出力は、宿主細胞に存在するHCV RNAのレベルに正比例することが示されている。ホタルルシフェラーゼ活性は、Promegaにより製造されているBright−Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイ系を使用して検出する。
【0207】
典型的には、試験化合物1〜3mgを、100%(v/v)のDMSOに溶かして、アッセイで必要な出発濃度に応じて通常は1、4または10mM以上の最終濃度にする。100%DMSO中の化合物の当初3倍連続希釈列を、ストックから調製する。次いで、希釈列を、完全RPMI−FCSを用いてさらに100倍に希釈する。このように、アッセイでのDMSOの最終濃度は、0.1%であり、試験化合物の最終濃度は、100%DMSO希釈列中1/1000である。
【0208】
PBLを、5×105個/ウェル/90μlで、予め調製された化合物含有アッセイプレート(96ウェル透明底TCグレート)に接種して調製し、24時間インキュベーションした。
【0209】
LucUbiNeo HCVレプリコン細胞を10個/ウェル/90μlで接種する。これらを、24時間インキュベーションする。24時間後に、培地10μlをPBLアッセイプレートからHCVレプリコンプレートに移し、さらに48時間インキュベーションする。
【0210】
【表5】

【0211】
本発明の化合物は、他の知られているTLRよりもTLR7に対して選択性を有することが望ましい。また、本発明の化合物は、細胞キナーゼおよび/またはアデノシンもしくはホスホジエステラーゼ受容体などのプリン性受容体よりもTLR7に対して選択性を有することが望ましい。
【0212】
実施例1の化合物を試験したところ、知られているTLR2〜5および7〜9よりもTLR7に対して選択的であることが判明した。
【0213】
加えて、実施例1を試験したところ、これは、細胞キナーゼ、ホスホジエステラーゼ受容体およびアデノシン受容体よりもTLR7に対して選択的であることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
は、1個の環員が−O−である3員から8員の飽和複素環式基であり、
は、C〜Cアルキルによりそれぞれ置換されていてもよいフェニルまたはピリジニルである]。
【請求項2】
が、テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、テトラヒドロピラニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記Rが、C〜Cアルキルにより置換されていてもよいピリジニルである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が、メチルにより置換されていてもよいピリジニルである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が、C〜Cアルキルにより置換されていてもよいピリジン−3−イルである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が、メチルにより置換されていてもよいピリジン−3−イルである、請求項5または6に記載の化合物。
【請求項8】
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−3−R−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R/S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−R−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
4−アミノ−1−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−6−(テトラヒドロ−フラン−2−S−イルメトキシ)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン;
から選択される請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項10】
1種または複数の追加の治療薬を包含する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬品として使用するための、請求項1から8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項12】
TLR7アゴニストが適応とされる障害を治療する際に使用するための、請求項1から8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項13】
TLR7アゴニストが適応とされる前記障害が、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、コロナウイルス、パポバウイルス、パピローマウイルス、ヘパドナウイルス、フラビウイルス、レトロウイルスおよびフィロウイルスから選択されるウイルスが原因の感染である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
TLR7アゴニストが適応とされる前記障害がC型肝炎である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
TLR7アゴニストが適応とされる障害を治療するための医薬品を調製するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項16】
TLR7アゴニストが適応とされる動物における障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を前記動物に投与することを含む方法。
【請求項17】
式(I)の化合物を調製するプロセスであって、RおよびRは先に定義された通りであり、PGはアルコキシカルボニル基である式(II)の化合物を
【化2】

慣用の環化条件下、プロトン酸で処理し、場合によって、調製された式(I)の化合物を薬学的に許容できるその塩または溶媒和物に変換することを含むプロセス。
【請求項18】
式(III)または(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。

【公表番号】特表2010−535755(P2010−535755A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519534(P2010−519534)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001962
【国際公開番号】WO2009/019553
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】