説明

イミダゾリウム塩及びそれを用いた不斉合成触媒並びにイミダゾリウム塩の製造方法

【課題】様々な光学活性イミダゾリウム塩を効率的かつ簡便に製造し、これらを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるイミダゾリウム塩とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾリウム塩及びそれを用いた不斉合成触媒並びにイミダゾリウム塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性イミダゾリウム塩から調製される含窒素複素環カルベンは、有機触媒や金属触媒の配位子として有用である。特に最近では多環性の光学活性イミダゾリウム塩の利用が注目されている。公知の合成手法としては、例えば下記非特許文献1乃至4がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】N−Heterocyclic Carbenes in Synthesis;Nolan,S.P.,Ed.;Wiley−VCH;Weinheim,2006.
【非特許文献2】N−Heterocyclic Carbenes in Transition Metal Catalysis;Glorius,F.,Ed.;Springer;Berlin,2007.
【非特許文献3】Enders,D.;Niemeier,O.; Henseler,A.Chem.Rev.2007,107,5606−5655.
【非特許文献4】Diez−Gonzalez,S.;Marion,N.;Nolan,S.P.Chem.Rev.2009,109,3612−3676.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記合成手法では合成困難なイミダゾリウム塩が多数存在する。
【0005】
そこで本発明は、上記課題を鑑み、様々な光学活性イミダゾリウム塩を効率的かつ簡便に製造し、これらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について検討し、新たな二環性光学活性イミダゾールを開発し、これをアルキルハライド等の求電子剤と反応させることで、様々な光学活性二環性イミダゾリウム塩を合成した。
【0007】
すなわち、本発明の第一の観点に係るイミダゾリウム塩は、下記一般式(1)で表される。
【化1】

【0008】
上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。また、上記式中のZはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。
【0009】
また、本発明の第二の観点に係るイミダゾリウム塩は、下記一般式(2)で表される。
【化2】

【0010】
なお上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のWは架橋鎖となりうるものであり、例えば置換基を有していてもよいC〜C20炭素原子を示す。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。また、上記式中のZはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。
【0011】
また、本発明の第三の観点に係るイミダゾリウム塩の製造方法は、下記一般式(3)で表されるイミダゾ−ルを求電子剤と反応させる。
【化3】

【0012】
なお上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。
【0013】
なお、本発明の第四の観点に係る不斉合成触媒は、上記第一の観点又は第二の観点に係るイミダゾリウム塩から調製される含窒素複素環カルベンを利用する不斉合成触媒である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の記載にのみ限定されるわけではない。
【0015】
(実施形態1)
(イミダゾリウム塩)
本実施形態に係るイミダゾリウム塩は、下記一般式(1)で示される。
【化4】

【0016】
なお上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。また、上記式中のZはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。
【0017】
ここで、本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C〜C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれしたものでもよい。「C〜C20炭化水素基」にはC〜C20アルキル基、C〜C20アルケニル基、C〜C20アルキニル基、C〜C20アルキルジエニル基、C〜C20アリ−ル基、C〜C20アルキルアリール基、C〜C20アリールアルキル基、C〜C20シクロアルキル基、C〜C20シクロアルケニル基、(C〜C10シクロアルキル)C〜C20アルキル基などが含まれる。
【0018】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アルキル基」は、C〜C10アルキル基であることが好ましく、C〜Cアルキル基であることがさらに好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0019】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アルケニル基」は、C〜C10アルケニル基であることが好ましく、C〜Cアルケニル基であることがさらに好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0020】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アルキニル基」は、C〜C10アルキニル基であることが好ましく、C〜Cアルキニル基であることがさらに好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル等を挙げることができる。
【0021】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アルキルジエニル基」は、C〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C〜Cアルキルジエニル基であることがさらに好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1、3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0022】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アリール基」は、C〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0023】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アルキルアリ−ル基」は、C〜C12アルキルアリ−ル基であることが好ましい。アルキルアリ−ル基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲において,「C〜C20アリールアルキル基」は、C〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2、2−ジフェニルメチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0025】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20シクロアルキル基」は、C〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0026】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20シクロアルケニル基」は、C〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル等を挙げることができる。
【0027】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アルコキシ基」は、C〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C〜Cアルコキシ基であることがさらに好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0028】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「C〜C20アリールオキシ基」は、C〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニリルオキシ等を挙げることができる。
【0029】
また本明細書及び特許請求の範囲において、「アルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)」において、Y及びYは、C〜C10アルキル基であることが好ましく、C〜Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0030】
また本明細書及び特許請求の範囲において、R〜R16で示される「C〜C20炭化水素基」、「C〜C20アルコキシ基」、「C〜C20アリ−ルオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げる事ができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜6個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0032】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「ヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団」の例としては、制限するわけではないが、-CH2-CH2-CH2-O-、-CH2-S-CH2 -、-CH2-O-等がある。
【0033】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0034】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、R〜Rで示される置換基は互いに架橋してC〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これらの置換基が形成する環は、4員環〜12員環であることが好ましく、4員環〜6員環であることが更に好ましい。この環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよいし、脂肪族環であってもよい。また、これらの置換基が形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていてもよい。前記飽和環又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は−N(B)−で示される(Bは水素原子またはC〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。Bは、水素原子またはC〜C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC〜C炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C〜Cアルキル基、フェニル基又はベンジル基であることが更になお好ましい。この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル基)、C〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0035】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「芳香環」とは、単環式芳香環、多環式芳香環をあげることができる。「単環式芳香環」としては、ベンゼン環、5員又は6員の複素環を挙げることができる。「5員又は6員の複素環」としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、チオピラン、ピリジン、チアゾール、イミダゾール、ピリミジン、1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。「多環式芳香族環」としては、多環式芳香族炭化水素、多環式複素芳香族環を挙げることができる。「多環式複素炭化水素」としては、ビフェニル、トリフェニル、ナフタレン、インデン、アントラセン、フェナントレン等を挙げることができる。「多環式複素芳香環」としては、インドール、キノリン、プリン等を挙げることができる。
【0036】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、Wは架橋鎖となりうるものであり、例えば置換基を有していてもよいC〜C20炭素原子を示す。また、Xは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子である。また、Zはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。
【0037】
(イミダゾリウム塩の製造方法)
また、本実施形態に係るイミダゾリウム塩は、下記一般式(3)で表されるイミダゾールを求電子剤と反応させることで製造することができる。
【化5】

【0038】
なお上記式中、R〜R、およびXは、上記の定義と同じである。
【0039】
また本明細書及び特許請求の範囲において求電子剤とは、窒素原子上を修飾できるものである限りにおいて限定されるわけではないが、アルキルハライド(R1Z)を挙げることができる。なおR1、およびZは、上記の定義と同じである。
【0040】
本実施形態において、イミダゾールおよび求電子剤はそのまま用いてもよいし、反応に使用する溶媒に溶解しない物質、例えば炭素、シリカ、アルミナなどに担持してもよい。かかる反応においてイミダゾールの使用量は求電子剤に対し通常0.01モル倍以上、通常100モル倍以下、好ましくは0.5モル倍以上、2倍以下である。
【0041】
またこの反応は、通常、有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、水、メタノール、エタノールなどのプロトン性溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含ハロゲン溶媒などが挙げられる。溶媒はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は原料に対して通常は1重量倍以上2000重量倍以下、好ましくは5重量倍以上500重量倍以下程度である。
【0042】
また上記反応は空気下でおこなってもよいし、窒素やアルゴンガス雰囲気下で行ってもよい。そのガス圧は、通常は1気圧以上500気圧以下、好ましくは1気圧以上5気圧以下程度である。
【0043】
また上記反応は、−78℃以上200℃以下の温度範囲で行われることが好ましく、より好ましくは0℃以上150℃以下の温度範囲、さらに好ましくは20℃以上100℃以下の温度範囲である。
【0044】
また上記反応の反応時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上120時間以下、さらに好ましくは10分以上72時間以下である。
【0045】
そしてこの反応終了後、生成した上記一般式(1)で表わされるイミダゾリウム塩は、例えば、溶媒を留去することにより、反応マスから取り出すことができる。また、得られたイミダゾリウム塩は、必要に応じて再結晶等の手段を施すことにより、更に精製することもできる。
【0046】
また、本反応において、イミダゾール、求電子剤、及び溶媒は任意の順序で加えることができる。
【0047】
(イミダゾールの製造方法(1))
次に、上記一般式(3)で示されるイミダゾールを製造する方法について説明する。
【0048】
上記一般式(3)で表されるイミダゾールは、下記一般式(4)、(5)で表されるアミノ酸誘導体から一般式(6)のペプチドを得て、更に、下記一般式(7)で表されるオキサゾリンを経由して得ることができる。
【化6】

【0049】
ここで、一般式(6)で示されるペプチドはそのまま用いてもよいし、反応に使用する溶媒に溶解しない物質、例えば炭素、シリカ、アルミナなどに担持してもよい。
【0050】
またこの反応は、通常、有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、水、メタノ−ル、エタノールなどのプロトン性溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含ハロゲン溶媒などが挙げられる。溶媒はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は原料に対して通常は1重量倍以上2000重量倍以下、好ましくは5重量倍以上500重量倍以下程度である。
【0051】
また上記反応は空気下でおこなってもよいし、窒素やアルゴンガス雰囲気下で行ってもよい。そのガス圧は、通常は1気圧以上500気圧以下、好ましくは1気圧以上5気圧以下程度である。
【0052】
上記反応は、−78℃以上200℃以下の温度範囲で行われることが好ましく、より好ましくは0℃以上150℃以下の温度範囲、さらに好ましくは20℃以上100℃以下の温度範囲である。
【0053】
また上記反応の反応時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上120時間以下、さらに好ましくは10分以上72時間以下である。
【0054】
そしてこの反応終了後、生成した上記一般式(3)で表わされるイミダゾールは、例えば、溶媒を留去することにより、反応マスから取り出すことができる。また、得られたイミダゾールは、必要に応じて再結晶等の手段を施すことにより、更に精製することもできる。
【0055】
(イミダゾールの製造方法(2))
また、上記一般式(3)で表されるイミダゾ−ルはウロカイン酸誘導体(8)から得られる一般式(9)のアルデヒドから、一般式(10)で表されるアルコ−ルを経由して得ることができる。
【化7】

【0056】
本製造方法において、上記一般式(9)で示されるアルデヒドは、そのまま用いてもよいし、反応に使用する溶媒に溶解しない物質、例えば炭素、シリカ、アルミナなどに担持してもよい。
【0057】
またこの反応は、通常、有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、水、メタノ−ル、エタノ−ルなどのプロトン性溶媒、ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、1、4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含ハロゲン溶媒などが挙げられる。溶媒はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は原料に対して通常は1重量倍以上2000重量倍以下、好ましくは5重量倍以上500重量倍以下程度である。
【0058】
上記反応は空気下でおこなってもよいし、窒素やアルゴンガス雰囲気下で行ってもよい。そのガス圧は、通常は1気圧以上500気圧以下、好ましくは1気圧以上5気圧以下程度である。
【0059】
上記反応は、−78℃以上200℃以下の温度範囲で行われることが好ましく、より好ましくは0℃以上150℃以下の温度範囲、さらに好ましくは20℃以上100℃以下の温度範囲である。
【0060】
また上記反応の反応時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上120時間以下、さらに好ましくは10分以上72時間以下である。
【0061】
そしてこの反応終了後、生成した上記一般式(3)で表わされるイミダゾ−ルは、例えば、溶媒を留去することにより、反応マスから取り出すことができる。また、得られたイミダゾールは、必要に応じて再結晶等の手段を施すことにより、更に精製することもできる。
【0062】
上記一般式(3)で示されるイミダゾールをラセミ体で得た場合には分割を行うことによって、光学活性なイミダゾールを得ることができる。光学分割はジアステレオマーへと誘導する方法が好ましいが、キラルカラムによる分離も可能である。
【0063】
(含窒素複素環カルベンを利用する不斉合成触媒の製造方法)
次に、本実施形態に係る上記一般式(1)で示すイミダゾリウム塩から含窒素複素環カルベンを利用する不斉合成触媒を製造する方法について説明する。
【0064】
本含窒素複素環カルベンは、上記一般式(1)で表されるイミダゾリウム塩に塩基等を作用させることで得ることができる。なおこのカルベンは光学活性を有している。またこのカルベンはそのまま有機触媒として利用することもできるし、様々な金属錯体と反応させることで、カルベンの配位した金属触媒としても利用できる。
【0065】
また本明細書及び特許請求の範囲において塩基等とは、カルベンを発生できるものである限りにおいて限定されるわけではないが、ブチルリチウム、tert-ブトキシカリウム、水酸化ナトリウムを挙げることができる。
【0066】
本製造方法において、イミダゾリウム塩及び塩基等はそのまま用いてもよいし、反応に使用する溶媒に溶解しない物質、例えば炭素、シリカ、アルミナなどに担持してもよい。かかる反応においてイミダゾールの使用量は塩基等に対し通常0.01モル倍以上、通常100モル倍以下、好ましくは0.5モル倍以上、2倍以下である。
【0067】
またこの反応は、通常、有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、水、メタノ−ル、エタノ−ルなどのプロトン性溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含ハロゲン溶媒などが挙げられる。溶媒はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は原料に対して通常は1重量倍以上2000重量倍以下、好ましくは5重量倍以上500重量倍以下程度である。
【0068】
また上記反応は空気下でおこなってもよいし、窒素やアルゴンガス雰囲気下で行ってもよい。そのガス圧は、通常は1気圧以上500気圧以下、好ましくは1気圧以上5気圧以下程度である。
【0069】
また上記反応は、−78℃以上200℃以下の温度範囲で行われることが好ましく、より好ましくは0℃以上150℃以下の温度範囲、さらに好ましくは20℃以上100℃以下の温度範囲である。
【0070】
また上記反応の反応時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上120時間以下、さらに好ましくは10分以上72時間以下である。
【0071】
次に、上記反応により得られた含窒素複素環カルベンに金属を配位させ、金属錯体を形成し、不斉合成触媒をえる。
【0072】
金属錯体を形成させる場合に利用できる金属としては、例えば、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、銅、ニッケル、白金、コバルト、銀、金、鉄等が挙げられる。金属と共に錯体を形成させる方法としては、公知な方法を用いることができるが、例えば上記非特許文献1及び非特許文献2に記載されている方法に従うことで得ることができる。
【0073】
以上、本実施形態により、従来法では合成が困難であったイミダゾリウム塩を効率的かつ簡便に製造することができ、更にはこれに基づき含窒素複素環カルベン及び不斉合成触媒を得ることができる。
【0074】
(実施形態2)
本実施形態は、ほぼ実施形態1と同様であり、異なる部分のみ説明を加え、実施形態1と同様の部分については、説明を省略する。
【0075】
(イミダゾリウム塩)
本実施形態に係るイミダゾリウム塩は、下記一般式(2)で示される。
【化8】

【0076】
上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリ−ル基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリ−ル基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のWは架橋鎖となりうるものであり、例えば置換基を有していてもよいC〜C20炭素原子を示す。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。また、上記式中のZはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。
【0077】
(イミダゾリウム塩の製造方法)
本実施形態におけるイミダゾリウム塩は、上記実施形態1と同様であるが、架橋させる点が異なる。具体的にはイミダゾールを、分子内に2箇所求電子部位をもつ求電子剤と2対1で反応させることで製造することができる。
【0078】
なお、本実施形態におけるイミダゾリウム塩も、上記実施形態1に係るイミダゾリウム塩と同様、塩基等を作用させることで得ることができる。なおこのカルベンは光学活性を有している。またこのカルベンは上記実施形態と同様、そのまま有機触媒として利用することもできるし、様々な金属錯体と反応させることで、カルベンの配位した金属触媒としても利用できる。
【0079】
以上、本実施形態により、従来法では合成が困難であったイミダゾリウム塩を効率的かつ簡便に製造することができ、更にはこれに基づき含窒素複素環カルベン及び不斉合成触媒を得ることができる。特に、本実施形態に係るイミダゾリウム塩からなる不斉合成触媒は、不斉誘起に理想的なC対称性を有しているため、遷移金属触媒不斉水素化、不斉炭素炭素結合形成反応等において優れた性能を発揮するものと期待される。
【実施例】
【0080】
以下、上記実施形態に係るイミダゾリウム塩の効果の確認として、具体的な実施を行った。以下に説明する。しかしこれは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0081】
(実施例1)
本実施例では下記式で示される(R)−7−イソプロピル−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−b]オキサゾール((R)−3a)を合成した。以下詳細に説明する。なお更に、本実施例の反応のスキームも下記に示しておく。
【化9】

【化10】

【0082】
上記(R)−3aの合成に先立ち、下記に示す(S)−N,N’−ホルミルバリル−(R)−2−フェニルグリシノール(6a)を合成した。
【化11】

【0083】
まず(S)−N−ホルミルバリン (2.93g、20.2mmol)の乾燥THF(72ml)溶液に、−15℃でN−メチルモルホリン(2.53mL、2.33g、23.0mmol)とイソブチルクロロホルメート(2.63ml、2.76g、20.2 mmol)を窒素雰囲気下で滴下して加えた。
【0084】
上記操作後、同じ温度で15分攪拌した後、この混合液に更に(R)−2−フェニルグリシノール(2.74g、20.0mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。
【0085】
そしてこの混合溶液を減圧下で濃縮後、水(25ml)を加え、ろ過操作をした。ろ過後の固体を、水、酢酸エチル及び少量のCHClで洗浄し、上記式中6aで示される化合物(4.17g、15.8mmol、79%収率)を白色固体として得た。なお、この化合物の融点(mp)、旋光度([α]20)、H NMR、13C NMR、HRMSの各データは以下のとおりであった。
【0086】
mp 211−213℃
【0087】
[α]20 −91.9(c 0.939、MeOH)
【0088】
H NMR(DMSO−d) δ 0.80(d,J=6.7Hz,3H),0.83(d,J=6.7Hz,3H),1.96−2.04(m,1H),3.59−3.62(m,2H),4.42(t,J=7.3Hz,1H),4.89−4.94(m,2H),7.27−7.36(m,5H),8.12(s,1H),8.21(d,J=8.9Hz,1H),8.57(d,J=7.6Hz,1H)
【0089】
13C NMR(DMSO−d) δ 17.73,19.24,31.03,55.12,55.99,64.67,126.86,126.94,128.07,141.14,161.07,170.31
【0090】
HRMS (ESI) calcd for C1420NaO (M+Na) 287.1366, found 287.1361.
【0091】
次に、上記(6a)の化合物から下記式で示す2−[(S)−N−ホルミル−1−アミノ−2−メチルプロピル]−(R)−4−フェニルオキサゾリン(7a)を合成した。以下詳細に示す。
【化12】

【0092】
室温、窒素雰囲気下で、トリエチルアミン(7.20ml、5.23g、51.7mmol)を、上記式(6a)の化合物(3.17g、12.0mmol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(24.4mg,0.200mmol)の1,2−ジクロロエタン(96ml)懸濁液に加えた。
【0093】
その後、上記反応液に、p−トルエンスルホニルクロライド(2.32g、12.2mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン(46ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した後、さらに3時間還流した。
【0094】
その後、飽和NaHCO溶液を添加し、CHClで水層を2度抽出し、有機層をNaSOを用いて乾燥させた。ろ過後、濃縮し、得られた残留物に対し、シリカゲル(酢酸エチル)クロマトグラフィーを行うことで、上記(7a)の化合物(2.33g,9.47mmol,79%収率,ジアステレオマー混合物(9/1))を得た。なお、得られた化合物は無色の結晶であった。
【0095】
なお、以下に、主たるジアステレオマーに関するH NMR、13C NMR、HRMSのデータを示す。
【0096】
H NMR(CDCl) d 0.92(d,J=6.7Hz,3H),0.98(d,J=6.7Hz,3H),2.19−2.24(m,1H),4.15(t,J=8.8 Hz,1H),4.72(dd,J=10.1,8.6Hz,1H),4.81(dd,J=8.6,4.3Hz,1H),5.17−5.21(m,1H),6.74(br d,J=8.3Hz,1H),7.20−7.25(m,2H),7.29(tt,J=7.3,1.6Hz,1H),7.34−7.38(m,2H),8.23(s,1H)
【0097】
13C NMR (CDCl) δ 17.28, 18.76, 30.89, 50.68, 69.09, 75.23, 126.59, 127.68, 128.66, 141.31, 161.00, 168.11; HRMS (ESI) calcd for C1418NaO (M+Na) 269.1260, found 269.1255.
【0098】
次に、五酸化ニリン(1.84g、13.0mmol)と上記(7a)(800mg、3.25mmol)をシュレンクフラスコに入れ、窒素ガスで3回置換した後、乾燥トルエン(15ml)を加えた。その後100℃まで加熱し、23時間攪拌した。
【0099】
そして室温まで冷却した後、溶媒を除去した。残った褐色固体に1M HCl(15ml)を加え、その後水層のpHが12となるようにKOHを加えた。CHCl(3×15ml)で得られた溶液を抽出した。
【0100】
なお、抽出後の有機層はNaSOを用いて乾燥及びろ過し、真空下で濃縮し、残留物に対しシリカゲル(酢酸エチル)を用いたクロマトグラフィーを行い、上記(R)−3aを(620mg,2.72mmol,84%収率)無色の油状物質として得た。なお、以下に、本物質の旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSの各データについて示しておく。
【0101】
[α]20 −160.2(c 0.915,CHCl
【0102】
H NMR(CDCl) δ 1.29(d,J=7.1Hz,3H),1.30(d,J=7.1Hz,3H),2.89(septet,J=7.1Hz,1H),4.72(dd,J=8.8,6,8Hz,1H),5.24(dd,J=8.8,7.8Hz,1H),5.42(t,J=7.3Hz,1H),6.94(s,1H),7.17−7.19(m,2H),7.36−7.43(m,3H)
【0103】
13C NMR(CDCl) δ 21.94,22.00,26.39,58.77, 84.26,116.67,121.83,126.24,129.02,129.23,137.18,148.17
【0104】
HRMS(ESI) calcd for C1417O (M+H) 229.1335, found 229.1333.
【0105】
以上、本実施例により、新規イミダゾールを得ることができた。
【0106】
(実施例2)
本実施例では、下記で示す(R)−3c、(S)−3cを合成した。以下詳細に説明する。また下記に、(R)−3c、(S)−3cを合成するためのスキームも示しておく。
【化13】

【化14】

【0107】
まず、下記式(10b)で示す4−[(3−フェニル)−3−ヒドロキシプロプ−1−イル]−1−トリチル−1H−イミダゾール(10b)を合成した。以下説明する。
【化15】

【0108】
まず、3−(l−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)プロピオンアルデヒド(9b)(430mg,1.17mmol)の乾燥THF(25ml)溶液に、フェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.93M,2.52ml、2.34mmol)を−40℃の窒素雰囲気下で加え、徐々に温度を上昇させながら室温まで昇温した。その後、18時間攪拌した。
【0109】
攪拌の後、0℃まで冷却し、飽和NHCl溶液及び食塩水でクエンチした。その後水層をCHClで2回抽出し、有機層をNaSOを用いて乾燥、ろ過後、真空下で濃縮した。
【0110】
その後、シリカゲル(酢酸エチル/ヘキサン)を用いてクロマトグラフィーを行い、上記式(10b)で示す化合物(420 mg, 0.945 mmol, 81%収率)を白色固体として得た。なお、以下に、本物質の融点、H NMR、13C NMR、HRMSの各データについて示しておく。
【0111】
mp 185−189℃
【0112】
H NMR(CDCl) δ 2.00−2.11(m,2H),2.68(t,J=6.7Hz,2H),4.81(dd,J=7.7,4.6Hz,1H),5.14(br s,1H),6.53(s,1H),7.12−7.16(m,6H),7.22(t,J=7.3Hz,1H),7.30−7.39(m,14H)
【0113】
13C NMR(CDCl) δ 24.95,38.54,73.84,75.12,117.84,125.84,126.82,127.95,127.97,128.10,129.72,138.04,140.97,142.39,145.41
【0114】
HRMS (ESI) calcd for C3129O (M+H) 445.2274, found 445.2257.
【0115】
次に、(R)−フェニル−6,7−ジヒロドロ−5H−ピロロ−[1,2−c]イミダゾール((R)−3b)、及び、(S)−フェニル−6,7−ジヒロドロ−5H−ピロロ−[1,2−c]イミダゾール((S)−3b)を合成した。以下に示す。
【0116】
まず、上記式(10b)で示される化合物(438mg,0.985mmol)を含むCHCl溶液に、窒素雰囲気下でチオニルクロライド(252μl,411mg,3.45mmol)を加え、40℃まで加熱し1時間攪拌した。
【0117】
攪拌後0℃まで冷却し、飽和NaHCO溶液を用いてクエンチし、有機層をNaSOを用いて乾燥させ、ろ過後、真空下で濃縮、未精製の4−[(3−フェニル)−3−クロロプロプ−1−イル]−1−トリチル−1H−イミダゾール(492mg)を得た。
【0118】
上記化合物を30mlのCHCNに溶解し、20時間還流させた。その後、この混合物にメタノールを30ml加え、更に11時間還流させた。
【0119】
この後、ジエチルエーテルと水によって分液操作を行い、有機層を1N HCl(10mL)で2回抽出した。水層はpHが8になるようにNaOHを加えて調整し、CHCl で3回抽出した。
【0120】
その後、有機層をNaSOを用いて乾燥、ろ過した後、濃縮し、シリカゲル(CHCl/MeOH)を用いてクロマトグラフィーを行い、上記ラセミ体の3b(104 mg,0.564mmol,57%)を、薄黄色固体として得た。なお、以下に、本物質の融点、H NMR、13C NMR、HRMSの各データについて示しておく。
【0121】
mp 68−73℃
【0122】
H NMR(CDCl) δ 2.47−2.55(m,1H),2.83−3.07(m,3H),5.29(t,J=6.8Hz,1H),6.80(s,1H),7.10−7.12(m,2H),7.27−7.37(m,4H)
【0123】
13C NMR(CDCl) δ 21.17,40.30,60.40,119.62,126.02,128.23,128.98,130.45,137.14,140.48
【0124】
HRMS(ESI) calcd for C1213 (M+H) 185.1073, found 185.1073.
【0125】
上記によって得られたラセミ体の3bに対し、HPLC(ダイセル社製、OD−H,2cm×25cm(3cycles=2cm×75cm),ヘキサン/イソプロパノール=9/1,5.0mL/min;t=163 min((R)−3b),t = 204min((S)−3b))による光学分割を行う事で、純粋な(R)−3b、(S)−3bを得た。なお、下記に各化合物の旋光度について示しておく。
【0126】
(R)−3b:[α]20 +186.4(c 1.00,CHCl
(S)−3b:[α]20 −185.7(c 1.00,CHCl
【0127】
(実施例3〜14)
実施例3〜14では、下記(3)で示されるイミダゾールからキラルイミダゾール塩(1)及び(2)を得た。以下詳細に説明する。
【化15】

【0128】
(実施例3)
ここではまず下記(1a)に示す(R)−7−イソプロピル−6−メチル−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−b]オキサゾリウム イオジド(1a)を得た。以下詳細に示す。
【化16】

【0129】
(R)−3a(114mg,0.499mmol)を含む乾燥CHCN溶液(10mL)に、窒素雰囲気下でCHI(623μL,1.42g,10.0mmol)を加え、70℃まで加熱して密閉し、12時間攪拌した。
【0130】
攪拌後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。この後、CHCl/EtOを加えて、沈殿させ、この沈殿物をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させることで、(R)−1aを黄色粉末(148 mg,0.400mmol,80%収率)として得た。なお、この化合物の融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータについて以下に示しておく。
【0131】
mp 177℃(分解)
【0132】
[α]20 −51.5(c1.00, CHCl
【0133】
H NMR(CDCl) δ 1.37(d,J=7.0Hz,3H),1.37(d,J=7.0Hz,3H),2.94(septet,J=7.0Hz,1H),3.89(s,3H),4.98(dd,J=8.9,5.5Hz,1H),5.48(dd,J=9.2,8.6Hz,1H),6.43(dd,J=8.3,5.5Hz,1H),7.41−7.46(m,5H),9.14(s,1H)
【0134】
13C NMR(CDCl) δ 20.92,21.56,23.38,35.81,60.64,83.86,113.13,125.42,126.85,129.70,130.03,134.43,146.99
【0135】
HRMS(ESI) calcd for C1519O (M−I) 243.1492, found 243.1490.
【0136】
(実施例4)
次に、下記式(2a)で示される(R,R)−1,3−ビス[(S)−7−イソプロピル−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−b]オキサゾリウム−6−イル]プロパンジブロミドを得た。以下に示す。
【化17】

【0137】
上記(R)−3a(228mg,0.999mmol)の乾燥CHCN(4mL)溶液に、窒素雰囲気下で1,3−ジブロモプロパン(45.7μL,90.9mg,0.450mmol)を加え、70℃で5日間攪拌した。
【0138】
攪拌後、室温に冷却した後、減圧下で反応液を濃縮した。その後ジエチルエーテルと飽和NaHCO水溶液で分液操作を行い、水層を取り出し、ジエチルエーテルで5回洗浄し、水を減圧下で蒸発させた。
【0139】
その後、残留物をCHClに溶解し、ろ過し、真空下で乾燥させ、(R,R)−2a(244 mg,0.371mmol,82%収率)を吸湿性の黄色固体として得た。なお以下に、融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータを示しておく。
【0140】
mp 120−123℃
【0141】
[α]20 −71.5(c0.200,CHCl
【0142】
H NMR(CDCl) δ 1.33(d,J=6.7Hz,6H),1.34(d,J=7.0Hz,6H),2.52(quintet,J=7.3Hz,2H),3.29(septet,J=6.9Hz,2H),4.65(dt,J=14.4,7.1Hz,2H),4.81(dt,J=14.7,7.1Hz,2H),4.88(dd,J=8.9,5.8Hz,2H),5.52(t,J=8.9Hz,2H),6.21(dd,J=8.0,5.8Hz,2H),7.33−7.42(m,10H),9.49(s,2H)
【0143】
13C NMR(CDCl) δ 20.79,21.56,22.78,31.18,44.53,60.38,83.59,113.09,124.63,126.20,129.28,129.52,133.88,146.65
【0144】
HRMS(ESI) calcd for C3138BrN(M−Br) 577.2178, found 577.2184.
【0145】
(実施例5)
ここでは、下記式(2b)で示す(R,R)−α,α’−ビス[(S)−7−イソプロピル−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−b]オキサゾリウム−6−イル]−o−キシレンジブロミドを合成した。以下説明する。
【化18】

【0146】
上記(R)−3aで示される化合物(300mg,1.31mmol)と、α,α’−ジブロモ−o−キシレン(158mg,0.599mmol)の化合物を乾燥CHCN(4mL)に溶解し、その混合物を70℃まで加熱し、窒素雰囲気下で40時間攪拌した。
【0147】
攪拌後、この混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。そして、CHClと1M HClを用いて分液操作を行い、有機層を取り出し、NaSOを用いて乾燥させ、ろ過した。なおこのろ過物は、減圧下で乾燥させた。この結果、上記式で示す(R,R)−2bを黄色粉末として得た(430mg,0.597mmol,99%収率)。なお以下に、融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータを示しておく。
【0148】
mp 115℃(分解)
【0149】
[α]20 −125.1(c1.05,CHCl
【0150】
H NMR(CDCl) δ 1.16(d,J=6.8Hz,6H),1.21(d,J=7.2Hz,6H),3.15(septet,J=6.8Hz,2H),4.94(dd,J=8.8,5.6Hz,2H),5.57(t,J=8.4Hz,2H),5.99(d,J=16.0Hz,2H),6.14(dd,J=8.4,6.0Hz,2H),6.41(d,J=16.4Hz,2H),6.98(t,J=4.8Hz,2H),7.33−7.45(m,12H),9.70(s,2H)
【0151】
13C NMR(CDCl) δ 21.05,21.66,23.34,50.75,60.78,83.94,114.38,125.52,126.60,128.58,129.30,129.70,129.95,132.55,134.65,147.43
【0152】
HRMS(ESI) calcd for C3640BrN(M−Br) 639.2329, found 639.2327.
【0153】
(実施例6)
ここでは、イミダゾリウム塩をメリフィールド樹脂に結合させた下記式(1b)で示される化合物を合成した。以下に説明する。
【化19】

【0154】
上記式(R)−3aで示される化合物(151mg,0.661mmol)と、メリフィールド樹脂(1.28mmol/g,100−200mesh,1% DVB)(49.9 mg,0.0639 mmol)を乾燥トルエン(2mL)に加え、70℃まで加熱し、窒素雰囲気下で5日間攪拌した。
【0155】
その後、室温まで冷却し、樹脂をろ過によって集め、エタノール、エーテル及びアセトンで洗浄した。減圧乾燥後、上記式の樹脂(R)−1bを黄色粉末で得た(64.1mg,0.0622mmol,97%)。なおこの化合物のIR測定において、1670cm−1にブロードのピークが観測された。
【0156】
(実施例7)
ここでは、下記(1c)で示す(R)−2−メチル−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾールヘキサフルオロホスフェートを合成した。以下説明する。
【化20】

【0157】
上記式((3)−3b)の化合物(92.1mg,0.500mmol)とヨードメタン(623μl,1.42g,10.0 mmol)を乾燥CHCN(2ml)に加えたものを70℃まで加熱し、窒素雰囲気下で3日間攪拌した。
【0158】
攪拌後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、イミダゾリウムアイオダイドを粘着性の固体として得た。
【0159】
得られた生成物のアセトン(1ml)溶液に、室温でポタシウムヘキサフルオロホスフェート(110mg,0.598mmol)を加え、空気中、室温で12時間攪拌した。
【0160】
その後、この混合物をろ過し、真空下にて濃縮し、グリース状の上記式(1c)で示される化合物を得た(158mg,0.459mmol,92%収率)。なお以下に、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータを示しておく。
【0161】
[α]20 −55.4(c1.07,CHCl
【0162】
H NMR(CDCl) δ 2.59−2.67(m,1H),3.07−3.20(m,3H),3.94(s,3H),5.78(t,J=6.8 Hz,1H),7.25−7.28(m,3H),7.35−7.42(m,3H),8.47(s,1H)
【0163】
13C NMR(CDCl) δ 22.65,37.27,37.54,64.19,116.03,126.49,129.35,129.44,130.48,136.45,138.91
【0164】
HRMS (ESI) calcd for C1315 (M−PF) 199.1230, found 199.1230.
【0165】
(実施例8)
ここでは、下記式(1d)で示す(R)−2−イソプロピル−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウムブロミドを合成した。以下説明する。
【化21】

【0166】
まず上記式((R)−3b)で示される化合物(92.1mg,0.500mmol)と2−ブロモプロパン(939μl,1.23g,10.0mmol)を乾燥CHCN(2 ml)に加えた混合液を70℃まで加熱し、窒素雰囲気下で5日間攪拌した。
【0167】
その後、CHClとEtOで再沈殿操作をし、ろ過後、ろ過物をジエチルエーテルで洗浄、真空下で乾燥させ、上記(R)−1dを薄褐色固体として得た(152mg,0.495mmol,99%収率)。なお以下に、融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータを示しておく。
【0168】
mp 153−159℃
【0169】
[α]=−69.2(c1.06,CHCl
【0170】
H NMR (CDCl) δ 1.60(d,J=6.7Hz,6H),2.64−2.71(m,1H),3.11−3.22(m,3H),4.93(septet,J=6.8Hz,1H),6.01−6.04(m,1H),7.30−7.31(m,2H),7.37−7.42(m,4H),9.33(s,1H)
【0171】
13C NMR(CDCl) δ 22.67,23.09,23.15,37.18,53.60,63.79,112.23,126.47,129.22,129.41,129.95,137.08,138.79
【0172】
HRMS (ESI) calcd for C1519 (M−Br) 227.1543, found 227.1541.
【0173】
(実施例9)
ここでは、下記式((R)−1e)で示す(R)−5−フェニル−2−(2−ピリジニルメチル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウムブロミドを合成した。以下説明する。
【化22】

【0174】
2−ブロモメチルピリジンヒドロブロミド(22.4mg,0.0886mmol)を溶解した水溶液に飽和NaHCO溶液を加えて中和し、ジエチルエーテルを用いて抽出した。そして、抽出した有機層を飽和NaHCO溶液で4回洗浄し、NaSOを用いて乾燥させ、更にろ過、及び真空下で濃縮した。
【0175】
次に、得られた2−ブロモメチルピリジンと上記式((R)−3b)の化合物(13.6 mg,0.0738mmol)をメタノール(1.5mL)に加え、窒素雰囲気下で48時間攪拌した。
【0176】
攪拌後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮、CHClとEtOを用いて再沈殿後、上記式((R)−1e)で示す化合物を吸湿性の薄褐色の固体として得た(26.7mg,0.0749mmol,>99%収率)。なお以下に、融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータを示しておく。
【0177】
mp 80−83℃
【0178】
[α]20 −3.2(c0.20,CHCl
【0179】
H NMR(CDCl) δ 2.59−2.68(m,1H),3.09−3.20(m,3H),5.84(s,2H),5.88(t,J=7.0Hz,1H),7.22−7.25(m,2H),7.28(dd,J=7.6,4.9Hz,1H),7.35−7.42(m,3H),7.66(s,1H),7.73(td,J=7.6,1.6Hz,1H),7.88(d,J=7.7Hz,1H),8.52(d,J=4.9Hz,1H),9.47(s,1H)
【0180】
13C NMR(CDCl) δ 22.50,37.69,54.38,64.08,115.37,123.79,124.19,126.20,129.34,129.46,131.34,136.52,137.57,138.14,149.51,152.67
【0181】
HRMS(ESI) calcd for C1818 (M−Br) 276.1495, found 276.1489.
【0182】
(実施例10)
ここでは、下記式(1f)で示される(R)−6−(2−ブロモエチル)−7−イソプロピル−3−フェニル−2,3−ジヒドロイミダゾ[5,1−b]オキサゾール−6−イウムブロミドを合成した。以下説明する。
【化23】

【0183】
上記式((R)−3a)で示される化合物(92.9mg,0.407mmol)の乾燥CHCN(500μL)溶液に、1,2−ジブロモエタン(351μl,765mg,4.07mmol)を窒素雰囲気で加え、70℃で21時間攪拌した。
【0184】
攪拌した後、室温に冷却し、減圧下で濃縮、EtOと飽和NaHCOを用いて分液操作を行った。水層をジエチルエーテルで洗浄、減圧下で水を蒸発させた。
【0185】
その後、残留物をCHClに溶解させ、ろ過し、真空下で乾燥させ、上記式(1f)で示される(R)−N−2−ブロモエチルイミダゾリウム塩を得た(144mg,0.346mmol,85%収率)。なお以下に、H NMRのデータを示しておく。
【0186】
H NMR (CDCl) δ 1.35(d,J=6.9Hz,3H),1.39 (d,J=6.9Hz,3H),3.02(septet,J=6.9Hz,1H),3.83−3.93(m,2H),4.60−4.65(m,1H),4.83−4.89(m,1H),4.97(dd,J=9.2,5.6Hz,1H),5.46(t,J=8.8 Hz,1H),6.28(dd,J=8.0,5.6Hz,1H),7.34−7.39(m,2H),7.43−7.47(m,3H),9.67(s, 1H)
【0187】
なお、1,2−ブロモエタンと(R)−3a(2equiv)の配合比を変え、4日間80℃で攪拌し、同様の手順を行なったところ、7−イソプロピル−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−b]オキサゾール ヒドロブロミド((R)−5a・HBr)が大量に生成し、N−2−ブロモエチルイミダゾリウム塩は少量しか得られなかった。
【0188】
(実施例11)
ここでは、下記式(2c)で示される(R,R)−1,1−ビス[5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウム−2−イル]メタン ジブロミドを合成した。以下説明する。
【化24】

【0189】
上記式((R)−3b)で示される化合物(184mg,0.999mmol)とメチレンジブロミド(351μl,869mg,5.00mmol)を乾燥CHCN(1ml)に溶かし、70℃に加熱、窒素雰囲気下で5日間攪拌した。
【0190】
その後、室温に冷却し、減圧下で濃縮、残った固体をCHClとEtOによって再沈殿させた。固体をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄、真空下で乾燥させ、上記式で示される(R,R)−2cを薄褐色の粉末として得た(253mg,0.467mmol,93%収率)。なお、この化合物の融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータについて以下に示しておく。
【0191】
mp 235℃(分解)
【0192】
[α] +160.3(c0.95, CHCl
【0193】
H NMR(CDCl) δ 2.65−2.69(m,2H),3.07−3.18(m,6H),5.81(t,J=6.7Hz,2H),7.21−7.23(m,4H),7.38−7.42(m,6H),7.50(s,2H),8.89(s,2H),10.44(s,2H)
【0194】
13C NMR(CDCl) δ 22.54,37.27,57.52,64.59,116.07,126.19,129.67,129.70,132.53,135.73,138.75
【0195】
HRMS(ESI) calcd for C2526BrN (M−Br) 461.1335, found 461.1318.
【0196】
(実施例12)
ここでは、下記式((R)−2d)で示される(S,S)−1,2−ビス [5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウム−2−イル]エタン ビス−(ヘキサフルオロホスフェイト)を合成した。以下に示す。
【化25】

【0197】
上記式((S)−3b)で示される化合物(92.1mg,0.500mmol)と、1,2−ジブロモエタン(20.5μL,44.7mg,0.238mmol)を乾燥CHCN(1mL)に加えた溶液を、70℃まで加熱し、窒素雰囲気下で2日間攪拌し、更に、80℃で3日間攪拌した。
【0198】
その後、室温に冷却し、減圧下で濃縮、ビス(イミダゾリウム)ジブロミドを吸湿性の固体として得た。
【0199】
この固体をアセトン(1mL)及びCHCl(1mL)に溶解し、ポタシウムヘキサフルオロホスフェート(110mg,0.603mmol)を加え、空気中室温にて12時間攪拌した。
【0200】
攪拌の後、ろ過し、真空下で濃縮、上記式((R)−2d)で与えられる化合物を得た(167mg,0.243mmol,>99%収率)。なお、この化合物の融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータについて以下に示しておく。
【0201】
mp 223−228℃
【0202】
[α] −149(c0.101,MeOH)
【0203】
H NMR(DMSO−d) δ 2.50−2.58(m,2H),2.92−3.15(m,6H),4.52−4.58(m,2H),4.63−4.68(m,2H),5.70(t,J=7.3Hz,2H),7.31−7.34(m,4H),7.42−7.49(m,8H),8.88(s,2H)
【0204】
13C NMR(DMSO−d) δ 22.22,37.51,49.17,63.44,114.67,126.73,129.02,129.17,131.65,137.60,138.91
【0205】
HRMS(ESI) calcd for C2628P (M−PF) 541.1950, found 541.1945.
【0206】
(実施例13)
ここでは、下記式(2e)で示す(S,S)−1,3−ビス [5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウム−2−イル]プロパン ビス−(ヘキサフルオロホスフェートを合成した。以下に説明する。
【化26】

【0207】
上記式((S)−3b)で示す化合物(92.1mg,0.500mmol)と1,3−ジブロモプロパン(24.2μl,48.1mg,0.238mmol)を乾燥CHCN(1 mL)に加えたものを70℃まで加熱し、窒素雰囲気下で2日間攪拌し、更に80℃で、3日間攪拌した。
【0208】
攪拌後、室温に冷却し、減圧下で濃縮、ビス(イミダゾリウム)ジブロミドを吸湿性の固体として得た。
【0209】
そしてこの固体をアセトン(1mL)とCHCl(1mL)に溶解し、ポタシウム ヘキサフルオロホスフェート(111mg,0.603mmol)を加え、空気中室温下にて12時間攪拌した。
【0210】
攪拌後、固体をろ別し、真空下で濃縮することで、上記(2e)で示す化合物を白色粉末として得た(173mg,0.247mmol,>99%収率)。なお、この化合物の融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータについて以下に示しておく。
【0211】
mp 77−79℃
【0212】
[α] −92.6(c0.500,MeOH)
【0213】
H NMR(DMSO−d) δ 2.39(quintet,J=7.0Hz,2H),2.51−2.58(m,2H),2.94−3.08(m,4H),3.10−3.19(m,2H),4.12−4.23(m,4H),5.74(t,J=7.3Hz,2H),7.36(d,J=7.1Hz,4H),7.40−7.49(m,6H),7.58(s,2H),8.98(s,2H)
【0214】
13C NMR(DMSO−d) δ 22.11,29.51,37.45,46.31,63.34,114.48,126.69,128.91,129.12,131.12,137.66,138.76
【0215】
HRMS (ESI) calcd for C2730 (M−PF) 555.2107, found 555.2123.
【0216】
(実施例14)
ここでは、下記式(2f)で示される(R,R)−2,6−ビス(5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウム−2−イル)ルチジン ジブロミドを合成した。以下説明する。
【化27】

【0217】
上記式(R)−3bで示す化合物(84.7mg,0.460mmol)と2,6−ジ(ブロモメチル)ピリジン(50.9mg,0.192mmol)を乾燥メタノール(2.0mL)に加え、75℃に加熱し、窒素雰囲気下で48時間攪拌した。
【0218】
攪拌後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮、CHClとEtOで再沈殿操作を行うことで、上記式((R,R)−2f)で示す化合物を吸湿性の白色固体として得た(118 mg,0.186mmol,97%収率)。なお、この化合物の融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータについて以下に示しておく。
【0219】
mp 132−135℃
【0220】
[α]20 +113.0(c1.00,CHCl
【0221】
H NMR(CDCl) δ 2.54−2.61(m,2H),3.06−3.15(m,6H),5.73(d,J=14.7Hz,2H),5.84(d,J=14.7Hz,2H),6.02−6.06(m,2H),7.22(d,J=7.1Hz,4H),7.34−7.43(m,6H),7.59−7.64(m,3H),7.67(s,2H),9.71(s,2H)
【0222】
13C NMR(CDCl) δ 22.35,37.33,53.66,63.66,115.63,123.44,126.08,129.02,129.27,131.53,137.32,138.08,138.62,153.18
【0223】
HRMS(ESI) calcd for C3131Br (M−Br) 552.1757, found 552.1755.
【0224】
(実施例15)
本実施例では、上記式(2f)で示される化合物と、下記式(11)で示されるC−N−C架橋型Ni錯体[(R,R)−2,6−ビス(5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−c]イミダゾリウム−2−イル)ルチジン]クロロニッケル テトラフルオロボレートの合成を行なった。以下に説明する。また下記に、この化合物の合成のスキームも示しておく。
【化28】

【化29】

【0225】
上記式(2f)で示す化合物(117mg,0.185mmol)とAgO(214mg,0.925mmol)と、粉末状4Åのモレキュラーシーブ(200mg)の1,2−ジクロロエタン(2mL)懸濁液を窒素雰囲気下で24時間還流させた。
【0226】
その後、この混合物に対しろ過を行い、Celiteパッドを用いてろ過した。ろ液を減圧下で濃縮することで、褐色の化合物を得た。
【0227】
その後、この化合物を窒素雰囲気下で70mlのCHClに溶解し、更に、この溶液にNiCl(DME)のCHCl(20ml)懸濁液(43.9mg,0.200mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。
【0228】
そして、反応液にAgBF(38.9mg,0.200mmol)を加え、更に室温で24時間攪拌した。その後、Celiteパッドを用いてろ過した。
【0229】
減圧下による濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製することで、目的の化合物を黄色固体として得た(CHCl/MeOH=10/1 to 1/1)(54.3mg,0.0832mmol,45%収率)。
【0230】
なおX線結晶構造解析のための単結晶は、上記式(R,R)−11を含むCHCl溶液にペンタンをゆっくり拡散させることで得ることができた。なお、この化合物の融点、旋光度、H NMR、13C NMR、HRMSのデータについて以下に示しておく。
【0231】
mp 185−189℃
【0232】
[α]20 +337.5(c0.200,CHCl
【0233】
H NMR(CDCl) δ 2.37−2.44(m,2H),2.77−2.97(m,6H),5.35(d,J=15.0Hz,2H),5.41(d,J=15.0 Hz,2H),5.85(dd,J=8.3,4.9Hz,2H),7.06−7.10(m,6H),7.32−7.40(m,6H),7.67−7.72(m,3H)
【0234】
13C NMR(CDCl) δ 21.85,37.28,53.80,61.38,113.64,125.03,126.60,128.17,128.81,138.67,140.21,142.38,156.26,158.49
【0235】
HRMS(ESI) calcd for C3129ClNNi (M−BF) 564.1459, found 564.1453.
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明は、新たな光学活性イミダゾ−ル塩の合成法およびその応用として、産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるイミダゾリウム塩。
【化1】

(上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。また、上記式中のZはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表されるイミダゾリウム塩。
【化2】

(上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のWは架橋鎖となりうるものであり、例えば置換基を有していてもよいC〜C20炭素原子を示す。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。また、上記式中のZはハロゲン原子、PF、BF、ClO、BPhを示す。)
【請求項3】
下記一般式(3)で表されるイミダゾ−ルを求電子剤と反応させるイミダゾリウム塩の製造方法。
【化3】

(上記式中、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよいC〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいホスフィノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよいC〜C20アリール基を示す。)、水酸基又はハロゲン原子である。また、R〜Rは、それぞれ互いに独立し、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びR、R及びR、並びにR及びRは、それぞれ、互いに架橋してC〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環の場合は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は−N(B)−で示される基(ここでBは水素原子又はC〜C10炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。また、上記式中のXは置換基を有していてもよいC〜C炭素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またこれらヘテロ原子と置換基を有していてもよい炭素原子の任意の組み合せからなる原子団である。)
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のイミダゾリウム塩から調製される含窒素複素環カルベンを利用する不斉合成触媒。


【公開番号】特開2011−178709(P2011−178709A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43643(P2010−43643)
【出願日】平成22年2月28日(2010.2.28)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】