説明

イミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法

【課題】魚介類、家禽、家畜又は鯨から得られるエキス類を原料としてイミダゾールジペプチドを含有する組成物を得る方法において、より効率的にイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる技術を提供する。
【解決手段】魚介類、家禽、家畜又は鯨から得られたエキス類を強酸性イオン交換樹脂に接触させ前記エキス類に含まれるイミダゾールジペプチドを前記強酸性イオン交換樹脂に吸着させた後、塩基性の第一溶出溶媒で該第一溶出溶媒による溶出液のpHが4.5〜7.5になるようにして該溶出液に溶出する成分を除去し、更に、塩基性の第二溶出溶媒で該第二溶出溶媒による溶出液のpHが7.5以上になるようにして、溶出するイミダゾールジペプチドを回収することによりイミダゾールジペプチド含有組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性食品素材として化粧品や飲食品等に幅広く利用することのできるイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダゾールジペプチドは、ヒスチジンもしくはヒスチジン誘導体にアミノ酸が結合したペプチドであり、代表的なものとして、アンセリン(β−アラニル−1−メチルヒスチジン)、カルノシン(β−アラニルヒスチジン)、バレニン(β−アラニル−3−メチルヒスチジン)が知られている。これらのイミダゾールジペプチドは、抗疲労効果や血糖値降下作用などの生理機能性が見出され、近年、機能性食品素材として注目を集めている。
【0003】
イミダゾールジペプチドは、マグロやカツオなどの高速回遊魚や、牛、豚、鶏などの筋肉中に多く存在している。したがって、これらを原料とするエキス中には、イミダゾールジペプチドが豊富に含まれている。
【0004】
イミダゾールジペプチドを含むエキス中から、イミダゾールジペプチドを精製する方法としては、分離膜を用いる方法などが知られており、例えば、下記特許文献1には、魚介類、家禽、家畜又は鯨の肉から得られるエキス類からタンパク質及び/又は脂肪を除去する前処理工程と、前記前処理工程で得られた処理液を、食塩阻止率の異なる2種以上の逆浸透膜を組み合わせて用いてイミダゾールジペプチド類を分離・精製する膜処理工程とを含むイミダゾールジペプチド類含有組成物を製造する方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、畜肉加工廃液並びにその濃縮物である畜肉エキスを、中性〜酸性条件のpHにおいて電気透析して脱塩することにより、L‐カルニチン、ヒスチジン関連ペプチド、タウリンを豊富に含む畜肉抽出物を製造する方法が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献3には食用鶏、あるいは産卵用廃鶏の中抜き屠体に対して、抗酸化剤を含む水を加え、110℃以下の微加圧条件下で加熱してチキンエキスを抽出し、脂肪及び不溶物を除去し、室温〜60℃の条件下で分画分子量3,000〜10,000の限外ろ過膜で処理して透過液を回収することにより、主要な機能性成分として固形物重量当たりアンセリン、カルノシン及びタウリンの総量として10〜40%含有するチキンエキス由来機能性食品を製造する方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、分離膜を用いる方法は、エキス類において、イミダゾールジペプチドと共存する成分のうち、イミダゾールジペプチドと同程度の分子量を有するアミノ酸や低分子ペプチド等の成分と分離することは困難であるため、イミダゾールジペプチドの精製度を高める為には、イオン交換樹脂等の別の手法と組み合わせる必要があった。
【0008】
また、魚介類から得られるエキス類などには、畜肉類等のエキス類などに比べて多くのヒ素化合物が含まれており、その90%以上が、イミダゾールジペプチドと同程度の分子量を有するアルセノベタインであることが知られている。その為、上記手法では、イミダゾールジペプチドとヒ素化合物を分離することは困難であり、むしろイミダゾールジペプチドとともに濃縮されていた。魚介類から得られるエキス類に含まれるヒ素化合物は、毒性が低い有機態ではあるが、一般的にヒ素化合物は、毒性の強い無機態の印象が強いため、製品イメージとして良いものではなかった。更には、食品等におけるヒ素含量の基準は、有機態と無機態を分別していないため、魚介類から得られるエキス類を原料としたイミダゾールジペプチド含有組成物中にヒ素が残存している場合には、配合において種々の制限を受けてしまうという問題もあった。
【0009】
このような問題に対して、下記特許文献4には、カツオ煮汁よりL−ヒスチジンを回収した母液を脱塩後、弱酸性イオン交換樹脂(H型)に通液して、アンモニア水で吸着成分を分別溶離して、カツオ煮汁からジペプチドを分離精製する方法が開示され、弱酸性イオン交換樹脂を、イミダゾールジペプチドを含むエキス中から、イミダゾールジペプチドを精製する方法に、有効に利用できることが記載されている。
【0010】
また、下記特許文献5には、魚介類から抽出されたエキス類を脱塩処理し、得られた脱塩処理液を弱酸性イオン交換樹脂に通液させた後、前記弱酸性イオン交換樹脂を水洗浄し、次いで塩酸及び/又は食塩水で前記弱酸性イオン交換樹脂の吸着物質を溶出させるイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法が開示され、固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量が5〜80質量%であり、且つ、ヒ素の含量が質量比でイミダゾールジペプチド類を1としたとき150ppm以下であるイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−092996号公報
【特許文献2】特開2001−046021号公報
【特許文献3】特開2003−102435号公報
【特許文献4】特開昭63−132878号公報
【特許文献5】特開2007−181421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献4,5に記載されているような、弱酸性イオン交換樹脂を用いる方法は、イミダゾールジペプチドと共存する成分との吸着特性の違いにより、アミノ酸や低分子ペプチド、ヒ素化合物とも分離可能である為、分離膜を用いる方法よりも精製度を高めることが可能である。しかし、原料となるエキス類に塩分が含まれている場合には、イミダゾールジペプチドの弱酸性イオン交換樹脂への吸着を阻害する為、前処理として脱塩をする必要があり、工業的には、その処理が大きな手間となり、コストの増加・収率の低下に繋がるため、決して効率の良い方法ではなかった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、魚介類、家禽、家畜又は鯨から得られるエキス類を原料としてイミダゾールジペプチドを含有する組成物を得る方法において、より効率的にイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究した結果、エキス類を強酸性イオン交換樹脂に接触させ、イミダゾールジペプチドを吸着させた後、塩基性の溶出溶媒でその溶出溶媒による溶出液のpHが特定の範囲になるように調整して、イミダゾールジペプチドと他の共存成分の強酸性イオン交換樹脂への吸着、溶出を選択的に行うことにより、イミダゾールジペプチドを他の共存成分から効率よく分離精製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法は、魚介類、家禽、家畜又は鯨から得られたエキス類を強酸性イオン交換樹脂に接触させ前記エキス類に含まれるイミダゾールジペプチドを前記強酸性イオン交換樹脂に吸着させた後、塩基性の第一溶出溶媒で該第一溶出溶媒による溶出液のpHが4.5〜7.5になるようにして該溶出液に溶出する成分を除去し、更に、塩基性の第二溶出溶媒で該第二溶出溶媒による溶出液のpHが7.5以上になるようにして、溶出するイミダゾールジペプチドを回収することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、強酸性イオン交換樹脂からの溶出液のpHを調整することにより、イミダゾールジペプチドを効率的に分離精製することができる。そのため強酸性イオン交換樹脂を用いてより効率的にイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。そして、魚介エキスを原料にする場合にもイミダゾールジペプチドとヒ素化合物とを有効に分離できるので、ヒ素含量の少ない組成物を得ることができる。
【0017】
本発明においては、前記第一溶出溶媒での溶出を、前記強酸性イオン交換樹脂に前記第一溶出溶媒を攪拌しながら添加することにより行い、溶出する成分を除去することが好ましい。また、前記第二溶出溶媒での溶出を、前記強酸性イオン交換樹脂に前記第二溶出溶媒を攪拌しながら添加することにより行い、溶出するイミダゾールジペプチドを回収することが好ましい。これらの態様によれば、溶出液全体のpHを均一に調整できるので、より効率よくイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。
【0018】
本発明においては、更に、前記イミダゾールジペプチドを回収した回収液を中和し、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することが好ましい。これによれば前記塩分阻止率の逆浸透膜によって、イミダゾールジペプチド類と食塩とを効率的に分離できるので、塩分含有量の少ないイミダゾールジペプチド含有組成物とすることができる。
【0019】
本発明においては、更に、前記イミダゾールジペプチドを回収した回収液を、強塩基性イオン交換樹脂に接触させ、その非吸着画分を回収することが好ましい。これによれば、効率よく脱色、脱臭を行うことができると共に、その他の塩基性アミノ酸やペプチド等も除去し、イミダゾールジペプチドの精製度をより高めることができる。
【0020】
本発明においては、更に、前記イミダゾールジペプチドを回収した回収液を、強塩基性イオン交換樹脂に接触させ、その非吸着画分を回収し、該非吸着画分を回収した回収液を中和した後、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理することがより好ましい。
【0021】
本発明においては、前記エキス類は、魚介類、家禽、家畜又は鯨から抽出して得られた抽出物から脂肪を除去して得られたものであることが好ましい。これによれば、原料エキスに含まれる脂肪による強酸性イオン交換樹脂の汚染を防ぎ、より効率的にイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。また、再現性の向上、イオン交換樹脂の耐用回数の向上をもたらす。
【0022】
本発明においては、カツオやマグロなどのサバ亜目の魚類、サケやマスなどのサケ目の魚類、ウナギやアナゴなどのウナギ目の魚類、サメやエイなどの板鰓亜綱の魚類、及びクジラ目の水生動物からなる群から選ばれた少なくとも1種の水生動物から得られたエキスを用いることが好ましい。これらの水生動物は、イミダゾールジペプチドを多く含んでいることから、イミダゾールジペプチドの含有量のより高いイミダゾールジペプチド含有組成物とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エキス類を原料としてイミダゾールジペプチドを含有する組成物を得る方法において、より効率的に精製度を高めることが可能となる。また、魚介類から得られる魚介エキスにはヒ素化合物が含まれていることがあるが、これらを原料として用いた場合であっても、イミダゾールジペプチドとヒ素化合物とを有効に分離することができるので、ヒ素含量の少ない組成物を得ることができる。よって飲食品等の配合において制限を受けることなく、幅広い分野に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】移動相溶媒のpHと溶出物の関係を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法は、魚介類、家禽、家畜又は鯨から得られたエキス類を強酸性イオン交換樹脂に接触させ前記エキス類に含まれるイミダゾールジペプチドを前記強酸性イオン交換樹脂に吸着させる、イミダゾールジペプチド吸着工程(1)と、塩基性の第一溶出溶媒で、その第一溶出溶媒による溶出液のpHが4.5〜7.5になるようにして、その溶出液に溶出する成分を除去する、夾雑物除去工程(2)と、塩基性の第二溶出溶媒で、その第二溶出溶媒による溶出液のpHが7.5以上になるようにして、溶出するイミダゾールジペプチドを回収する、イミダゾールジペプチド回収工程(3)とから主に構成されている。
【0026】
本発明において、イミダゾールジペプチドとは、ヒスチジンもしくはヒスチジン誘導体にアミノ酸が結合したジペプチドであり、代表的なものとして、アンセリン(β−アラニル−1−メチルヒスチジン)、カルノシン(β−アラニルヒスチジン)、バレニン(β−アラニル−3−メチルヒスチジン)などが知られている。これらイミダゾールジペプチドは、アミノ酸分析装置などを用いた公知の手段によって、エキス類、又はエキス類から精製して得られたイミダゾールジペプチド含有組成物等、その試料中での含有量を求めることができる。
【0027】
本発明において用いられるエキス類の由来としては、イミダゾールジペプチドを含有している魚介類、家禽、家畜又は鯨等であればよく、特に制限されない。例えば、カツオ、マグロ、サケ、ウナギ、サメ、ウシ、鶏等の肉にはアンセリンが多く含まれている。また、豚肉にはカルノシンが多く含まれている。また、鯨肉(例えばヒゲクジラ類)にはバレニンが多く含まれている。魚介類では、資源量として豊富なカツオやマグロが特に好ましい。
【0028】
本発明において用いられるエキス類は、上記魚介類、家禽、家畜又は鯨等を、水抽出、熱水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の方法により抽出して、得ることができる。エキス類には市販されているものがあるのでそれらを用いることもできる。また、エキス類は、魚介類、家禽又は家畜から抽出して得られた抽出物から、静置分離、遠心分離、吸着除去等の処理により脂肪を除去して得られたものであることが好ましい。脱脂されたものを用いることにより、原料エキスに含まれる脂肪による強酸性イオン交換樹脂の汚染を防ぎ、より効率的にイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。また、再現性の向上、イオン交換樹脂の耐用回数の向上をもたらす。
【0029】
・(1)イミダゾールジペプチド吸着工程
上記エキス類を、H型に置換された強酸性イオン交換樹脂(以下、「強酸性イオン交換樹脂」と記す。)に接触させ、イミダゾールジペプチドを吸着させる。なお、従来知られている弱酸性イオン交換樹脂を用いる方法では、上記エキス類の塩分濃度が高いため、イオン交換膜を用いた電気透析や、逆浸透膜を用いた方法等により、弱酸性イオン交換樹脂に供する前に塩分濃度が1質量%以下程度となるように予め脱塩処理しておく必要があった。本発明においては、強酸性イオン交換樹脂を用いるのでそのような特別な脱塩処理を施さなくても、エキス類をそのまま、又は適宜希釈等して接触させることで、エキス類に含まれるイミダゾールジペプチドを強酸性イオン交換樹脂に吸着させることができる。
【0030】
本発明において強酸性イオン交換樹脂とはスルホ基等の強酸性の官能基を有するイオン交換樹脂である。なお、弱酸性イオン交換樹脂とは、カルボキシル基等の弱酸性の官能基を有するイオン交換樹脂である。
【0031】
本発明における強酸性イオン交換樹脂としては、特に限定されるものではなく、市販のものが幅広く利用でき、例えば商品名「アンバーライトCR1310NA」(オルガノ社製)、商品名「アンバーライトCR1320CA」(オルガノ社製)、商品名「ムロマックMT-C-002 Ca型」(ムロマチテクノス社製)等が挙げられる。
【0032】
エキス類の濃度及び強酸性イオン交換樹脂への負荷量は、原料や抽出液の製造方法、塩分濃度、及び使用するイオン交換樹脂により異なるので、使用するイオン交換樹脂の吸着容量範囲内で適宜決定すればよい。また、接触速度については特に制限されず、接触させる上記エキス類の性状や、使用する樹脂に応じて適宜決定される。例えばカラムで通液する場合にはSV=0.5〜8の流速で通液させる。なお、SVとは、単位時間(1時間)当たりにカラムを通過した溶液量の樹脂量に対する比を表し、1時間に樹脂量と同量の溶液が通過した場合の流速はSV=1となる。
【0033】
・(2)夾雑物除去工程
上記イミダゾールジペプチド吸着工程においては、イミダゾールジペプチドをイオン交換樹脂に吸着させるにあたり、強酸性イオン交換樹脂を用いるので、イミダゾールジペプチド以外の中性・酸性アミノ酸や、ペプチドなどがイオン交換樹脂に吸着してしまう。そして、ヒ素化合物も吸着してしまう。したがって、これらの夾雑物を除去するために、下記の操作を行う。
【0034】
まず、塩基性の第一溶出溶媒で、その第一溶出溶媒による溶出液のpHが4.5〜7.5、好ましくはpHが6.5〜7.2になるようにして、イミダゾールジペプチドを吸着させた強酸性イオン交換樹脂から溶出させる。ここで、塩基性の第一溶出溶媒の種類やpH、又は処理量は、用いる強酸性イオン交換樹脂の種類や移動相溶媒のボリュームなどに応じて、適宜選択すればよいが、好ましくは液体苛性ソーダ(NaOH溶液)を用いる。なお、後述する実施例でも示されるように、強酸性イオン交換樹脂としてH型強酸性ゲル型イオン交換樹脂(商品名 アンバーライトCR1310NA、オルガノ株式会社製)の100Lを用いて、これにマグロエキスを処理する場合、エキスが接触した後のイオン交換樹脂の状態によっても異なるが、通常その移動相溶媒のpHを7.0付近に調整するのには、25質量%の液体苛性ソーダの5〜10Lを必要とする。
【0035】
上記塩基性の第一溶出溶媒で、その第一溶出溶媒による溶出液のpHが、4.5〜7.5になるようにして、夾雑物を上記強酸性イオン交換樹脂から溶出させると、イミダゾールジペプチド以外の成分(ヒ素化合物を含む)の多くのものはイオン交換樹脂への吸着力が弱まり実質的に遊離するのに対し、イミダゾールジペプチドは吸着力を維持している。よって、その第一溶出溶媒による溶出液を除去することによって、夾雑物を除去することができる。更に、その強酸性イオン交換樹脂を水等の希薄水性液体で濯ぐことにより非吸着成分、及び吸着力の弱い成分を除去することができる。すなわち強酸性イオン交換樹脂の水洗浄を行うことができる。この水洗浄は、2〜20RVの処理量で行うことが好ましく、より好ましくは4〜10RVで行う。なお、RVとは樹脂量を表し、樹脂量と同量の溶液で濯いだ場合の処理量を1RVとする。
【0036】
また、上記強酸性イオン交換樹脂に上記第一溶出溶媒を攪拌しながら添加することにより、上記第一溶出溶媒での溶出を行うこともできる。これによれば、溶出液全体のpHを均一に調整できるので、より効率よくイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。
【0037】
上記強酸性イオン交換樹脂に上記第一溶出溶媒を攪拌しながら添加するためには、いわゆるバッチ式に攪拌を行ってもよいが、好ましくは、カラムやタンク内に樹脂が充填・保持された状態で、攪拌機により、または気体を吹き込むことによりイオン交換樹脂を攪拌しつつ、上記第一溶出溶媒を徐々に加えていくことで行うことができる。これによれば、樹脂の量が多くても作業性よく溶出液全体のpHを均一に調整できるので、より効率よくイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。
【0038】
・(3)イミダゾールジペプチド回収工程
このイミダゾールジペプチド回収工程においては、まず、塩基性の第二溶出溶媒で、その第二溶出溶媒による溶出液のpHが7.5以上、好ましくはpHが10以上になるようにして溶出する。ここで、塩基性の第二溶出溶媒の種類やpH、又は処理量は、用いる強酸性イオン交換樹脂の種類や移動相溶媒のボリュームなどに応じて、適宜選択すればよいが、好ましくは液体苛性ソーダ(NaOH溶液)を用いる。なお、後述する実施例でも示されるように、強酸性イオン交換樹脂としてH型強酸性ゲル型イオン交換樹脂(商品名 アンバーライトCR1310NA、オルガノ株式会社製)の100Lを用いて、これにマグロエキスを接触させた場合、エキスが接触した後のイオン交換樹脂の状態によっても異なるが、通常その移動相溶媒のpHを7.0付近から10付近へと上げるには、25質量%の液体苛性ソーダの3〜6Lを必要とする。
【0039】
上記塩基性の第二溶出溶媒で、その第二溶出溶媒による溶出液のpHが、7.5以上になるように、上記強酸性イオン交換樹脂に添加すると、イミダゾールジペプチドはイオン交換樹脂への吸着力が弱まり実質的に遊離する。よって、その第二溶出溶媒による溶出液を回収することによって、上記エキス類由来のイミダゾールジペプチドを回収することができる。更に、その強酸性イオン交換樹脂を水等の希薄水性液体で濯ぐことにより非吸着成分及び/又は吸着力の弱い成分としてイミダゾールジペプチドを溶出させて、イミダゾールジペプチドを回収することもできる。この水等の希薄水性液体による処理は、1〜20RVの処理量で行うことが好ましく、5〜10RVの処理量で行うことがより好ましい。
【0040】
また、上記強酸性イオン交換樹脂に上記第二溶出溶媒を攪拌しながら添加することにより、上記第二溶出溶媒での溶出を行うこともできる。これによれば、溶出液全体のpHを均一に調整できるので、より効率よくイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。
【0041】
上記強酸性イオン交換樹脂に上記第二溶出溶媒を攪拌しながら添加するためには、いわゆるバッチ式に攪拌を行ってもよいが、好ましくは、カラムやタンク内に樹脂が充填・保持された状態で、攪拌機により、または気体を吹き込むことによりにイオン交換樹脂を攪拌しつつ、上記第二溶出溶媒を徐々に加えていくことで行うことができる。これによれば、樹脂の量が多くても作業性よく溶出液全体のpHを均一に調整できるので、より効率よくイミダゾールジペプチドの精製度を高めることができる。
【0042】
上記のようにして得られるイミダゾールジペプチド含有組成物は、通常、その固形分あたりのイミダゾールジペプチドの含量が10〜80質量%であり、ヒ素化合物の含量が、8質量ppm以下である。処理条件により固形分あたりのイミダゾールジペプチド類の含量は、30〜60質量%が得られ、さらに良好には、35〜55質量%を得ることができる。また、固形分あたりのヒ素化合物の含量は、6質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が特に好ましい。
【0043】
本発明においては、上記イミダゾールジペプチド吸着工程(1)と、夾雑物除去工程(2)と、イミダゾールジペプチド回収工程(3)とを経て得られたイミダゾールジペプチド含有組成物を、更に、脱色及び脱臭の処理を施すか、又は脱塩処理を施すことが好ましい。また、これらの処理を組み合わせて行うことが好ましく、脱色及び脱臭の処理を行った後に、更に脱塩処理をすることが特に好ましい。
【0044】
脱色及び脱臭の処理は、例えば、上記イミダゾールジペプチド回収工程(3)を経た回収液をそのまま、又は適宜希釈等して、強塩基性イオン交換樹脂に接触させ、その非吸着画分を回収することで、行うことができる。これによれば、脱色、脱臭を行うことができると共に、その他の塩基性アミノ酸やペプチド等も除去し、イミダゾールジペプチドの精製度をより高めることができる。
【0045】
また、活性炭による脱色及び脱臭の処理を行うには、例えば、まず、上記イミダゾールジペプチド回収工程(3)を経た回収液を、塩酸、もしくは苛性ソーダやソーダ灰等のナトリウム塩を用いてpHを2.5〜5.5に調整する。pHが上記範囲外であると、活性炭による脱色効果が不十分となる傾向にある。活性炭による脱色処理方法としては、特に制限は無く、pH調整を行った後に、直接活性炭を添加するバッチ方式や、活性炭をあらかじめ充填したカラムに通液するカラム方式等が例示できる。
【0046】
上記のように脱色及び脱臭の処理を施して製造された本発明のイミダゾールジペプチド含有組成物は、通常、イミダゾールジペプチドの含量が1.0質量%の水溶液とした際の波長420nmの吸光値が、0.5以下になっているので、化粧品や飲食品に配合した際の色調に及ぼす影響が少ない。その吸光値が0.3以下であることがより好ましい。
【0047】
また、脱塩処理は、例えば、まず、上記イミダゾールジペプチド回収工程(3)を経た回収液を、塩酸、もしくは苛性ソーダやソーダ灰等のナトリウム塩を用いて、pH3.5〜7.0に調整した後に行うことが好ましい。そして、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて行うことが好ましく、このような逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−729」(日東電工社製)等が挙げられる。具体的には、Brixが1〜20%となるように調整した上記イミダゾールジペプチド回収液の中和液を上記食塩阻止率の逆浸透膜を装着した膜分離装置を用いて脱塩処理を行うことで、イミダゾールジペプチドが膜を透過することなく、塩類が透過し、効率よく脱塩をすることができる。なお、上記逆浸透膜を用いた脱塩処理に際して、上記イミダゾールジペプチド回収液に硫酸や硝酸、有機酸及びこれらの塩が含まれる場合や、その後のpH調整工程において、有機酸やカルシウム塩、マグネシウム塩等のナトリウム塩以外を用いた場合、これらの塩は、上記食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜に対する透過率が低いため、脱塩が困難となることがある。この点、上述した強酸性イオン交換樹脂からの溶出は、苛性ソーダ(NaOH)を用い、更にpH調整において塩酸、及び苛性ソーダやソーダ灰等を用いて、脱塩の対象となる塩類を食塩とした上で、上記食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いることにより、食塩のみが膜を透過するためこれを効率よく除去しつつ、イミダゾールジペプチドを高い収率で回収することができる。一方、電気透析法や食塩阻止率60〜80%の逆浸透膜を用いて脱塩を行うこともできるが、イオン交換樹脂処理を行う前のエキス類では、イミダゾールジペプチドを透過させずに塩分のみを透過させるため、効率よく脱塩処理できるのであるが、イオン交換樹脂処理後では、理由は明らかではないが、イミダゾールジペプチドが塩分と共に膜を透過してしまい、イミダゾールジペプチドの回収率が低下する傾向がある。
【0048】
本発明の製造方法で得られるイミダゾールジペプチド含有組成物は、上記のように脱塩処理を施して、その塩分含量を、質量比でイミダゾールジペプチドを1としたとき0.8以下とすることが好ましく、0.4以下がより好ましく、0.2以下が特に好ましい。
【0049】
本発明においては、上記イミダゾールジペプチド吸着工程(1)と、夾雑物除去工程(2)と、イミダゾールジペプチド回収工程(3)とを経て得られたイミダゾールジペプチド含有組成物、又は、更に、脱色及び脱臭の処理及び/又は脱塩処理を施されたイミダゾールジペプチド含有組成物を、スプレードライ処理で粉末状にすることが好ましい。粉末状にすることで、長期の保存に適したものとすることができる。
【0050】
スプレードライの処理の条件としては、通常、イン120〜200℃、アウト50〜120℃で行えばよい。また、デンプン、デキストリン、乳糖、トレハロース等の賦形剤を添加してもよい。これにより、スプレードライ法でより容易に粉末乾燥化することができ、効率的な製造が可能となる。
【0051】
本発明の製造方法で得られたイミダゾールジペプチド含有組成物は、イミダゾールジペプチドを高濃度で含有し、かつヒ素化合物、塩分等の不純物が少なく、色調も薄いため、飲食品、化粧品と幅広く利用可能な組成物である。
【0052】
飲食品に配合して利用する場合、後述するサプリメントや一般的な飲食品等に対し、イミダゾールジペプチドが0.1%以上、かつヒ素含量が0.15ppm以下となるように上記イミダゾールジペプチド含有組成物を配合することが好ましい。
【0053】
サプリメントとしては、その形態としては特に限定は無く、液剤、散剤、錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、ゼリー、チュアブル、ペースト等が挙げられる。
【0054】
また、一般的な飲食品としては、(1)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(8)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類、(9)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(11)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。
【0055】
また、化粧品に配合して使用する場合は、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、パック剤等、様々な形態で使用することが可能である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、イミダゾールジペプチドの含量は、自動アミノ酸分析計(日立製作所製)を用いて分析を行った。また、ヒ素化合物の含量は原子吸光光度法により分析し、亜ヒ酸換算で示した。
【0057】
(試験例1)
常法にしたがって調製したマグロエキス(ブリックス60%、アンセリン1.8質量%を含む)50gに100mlの水を加え、ブリックスを約20%に調整した。ついで、H型強酸性ゲル型イオン交換樹脂(商品名 アンバーライトCR1310NA、オルガノ株式会社製)の100mlに上記マグロエキスの希釈液を加え、15分間マグネティックスターラーで撹拌した。その後、樹脂と液を分離し、樹脂を水道水で洗浄した。洗浄は洗浄液のブリックスが0%になるまで行った。
【0058】
洗浄後の樹脂を撹拌しながら、25質量%液体苛性ソーダを加えて、pHを変化させ、pHが安定したら、樹脂と液を固液分離してその溶出液をサンプリングした。また、樹脂はさらに水道水で洗浄して25質量%液体苛性ソーダでpHを変化させ、pHが安定したら、樹脂と液を固液分離してその溶出液をサンプリングした。この操作を繰り返し、得られた各pHでの溶出液の試料について、アミノ酸分析装置によりアミノ酸含量を分析した。
【0059】
その結果、溶出物は図1に示すようになった。すなわち、酸性、中性アミノ酸は、pH4から7の範囲で溶出しており、PH 7以上では、塩基性アミノ酸(主としてヒスチジン)の溶出が始まり、pH 11で溶出は認められなくなった。イミダゾールジペプチドについても同様であり、pH 7.5付近から溶出が始まり、pH 10で90%以上が溶出していた。
【0060】
さらに、pH7.0以下の画分とpH7.5以上の画分に分けてその他の成分について分析したところ、酸性、中性の低分子ペプチド類及びヒ素化合物は、pH 4から7の範囲で溶出していた。また、タンパクは非吸着画分に含まれていた。
【0061】
(実施例1)
常法にしたがって調製したマグロエキス(ブリックス60%、アンセリン1.8質量%を含む)50kgに2倍量の水を加え、ブリックスを約20%に調整した。また、H型強酸性ゲル型イオン交換樹脂(商品名 アンバーライトCR1310NA、オルガノ株式会社製)の100Lを、水を移動相溶媒にしてカラムに充填した。
【0062】
上記マグロエキスの希釈液を、上記イオン交換樹脂のカラムにSV=4で通液し、その素通り画分を除去した。ついで水道水の200LをSV=4で通液し、その洗浄液を除去した。
【0063】
次に、イオン交換樹脂のカラムに空気を吹き込むことにより、イオン交換樹脂を攪拌しつつ、25質量%の液体苛性ソーダを徐々に加え、カラム中の移動相溶媒のpHを7.0に調整した。なお、このときカラム移動相溶媒のボリュームはおよそ60Lであり、エキスが通液された後の上記イオン交換樹脂の状態によっても異なるが、通常その移動相溶媒のpHを7.0付近に調整するのには、25質量%の液体苛性ソーダの5〜10Lを必要とする。その後、水道水の200Lを加えてからカラムを静置してSV=4で通液し、その溶出液を除去した。
【0064】
再び、イオン交換樹脂のカラムに空気を吹き込むことによりに、イオン交換樹脂を攪拌しつつ、25質量%の液体苛性ソーダを徐々に加え、カラム中の移動相溶媒のpHを10.2に調整した。なお、このときカラム移動相溶媒のpHの調整には、上記イオン交換樹脂の状態によっても異なるが、通常25質量%の液体苛性ソーダの3〜6Lを必要とする。その後、水道水の200Lを加えてからカラムを静置してSV=2で通液し、その溶出液を得た。また更にこの溶出液をOH型強塩基性マクロポーラス型イオン交換樹脂(商品名 Lewatitt MonoPlus MP600、Lanxess製)のカラムに通液し、素通り画分を回収した。
【0065】
上記の素通り画分に塩酸を加え、pHを7.0に調整した後、逆浸透膜(商品名 NTR-729HG、日東電工株式会社製)を用いて脱塩及び濃縮を行った。脱塩は電位差滴定による塩分濃度が、ブリックス濃度の16%以下になるまで行った。このようにして得られた濃縮液19Lには、固形分6.0質量%が含まれており、そのうちアンセリンが3.2質量%(固形分換算で53.3質量%)であった。
【0066】
(実施例2)
実施例1で得られた濃縮液にデキストリン4.3kgを加えて、噴霧乾燥を行い、粉末状の組成物4.8kgを得た。この粉末状の組成物には、アンセリンが10.9質量%含まれていた。また、ヒ素化合物が0.3質量ppm含まれていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類、家禽、家畜又は鯨から得られたエキス類を強酸性イオン交換樹脂に接触させ前記エキス類に含まれるイミダゾールジペプチドを前記強酸性イオン交換樹脂に吸着させた後、塩基性の第一溶出溶媒で該第一溶出溶媒による溶出液のpHが4.5〜7.5になるようにして該溶出液に溶出する成分を除去し、更に、塩基性の第二溶出溶媒で該第二溶出溶媒による溶出液のpHが7.5以上になるようにして、溶出するイミダゾールジペプチドを回収することを特徴とするイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項2】
前記第一溶出溶媒での溶出を、前記強酸性イオン交換樹脂に前記第一溶出溶媒を攪拌しながら添加することにより行い、溶出する成分を除去する、請求項1記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項3】
前記第二溶出溶媒での溶出を、前記強酸性イオン交換樹脂に前記第二溶出溶媒を攪拌しながら添加することにより行い、溶出するイミダゾールジペプチドを回収する、請求項1又は2記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項4】
更に、前記イミダゾールジペプチドを回収した回収液を中和し、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項5】
更に、前記イミダゾールジペプチドを回収した回収液を、強塩基性イオン交換樹脂に接触させ、その非吸着画分を回収する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項6】
更に、前記イミダゾールジペプチドを回収した回収液を、強塩基性イオン交換樹脂に接触させ、その非吸着画分を回収し、該非吸着画分を回収した回収液を中和した後、食塩阻止率80〜98%の逆浸透膜を用いて脱塩処理する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項7】
前記エキス類は、魚介類、家禽、家畜又は鯨から抽出して得られた抽出物から脂肪を除去して得られたものである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。
【請求項8】
前記エキス類として、カツオやマグロなどのサバ亜目の魚類、サケやマスなどのサケ目の魚類、ウナギやアナゴなどのウナギ目の魚類、サメやエイなどの板鰓亜綱の魚類、及びクジラ目の水生動物からなる群から選ばれた少なくとも1種の水生動物から得られたエキスを用いる、請求項1〜7のいずれか1つに記載のイミダゾールジペプチド含有組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−235503(P2010−235503A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84476(P2009−84476)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【Fターム(参考)】