説明

イミダゾールベースHMG−CoAレダクターゼ阻害剤

コレステロール低下薬および抗高脂血症薬として有用なHMG−Co−Aレダクターゼ阻害化合物が提供される。該化合物の医薬組成物もまた提供される。該化合物の製造方法および使用方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コレステロール血症剤および抗高脂血症薬として有用な化合物および医薬組成物に関する。さらに具体的には、本発明は、酵素3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ(「HMG−CoAレダクターゼ」)の特定の強力な阻害剤に関する。
【0002】
本発明はさらに、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、BPH、糖尿病および骨粗鬆症を患う対象(ヒトを含む)を治療するためのかかる化合物および組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高レベルの血液コレステロールおよび血液脂質はアテローム性動脈硬化症の発症に関与する状態である。HMG−CoAのメバロン酸への変換は、コレステロール生合成経路における初期の律速段階である。この段階は酵素HMG−CoAレダクターゼにより触媒される。スタチン系薬物は、HMG−CoAレダクターゼがこの変換を触媒するのを阻害する。この様に、スタチン系薬物は共通して強力な脂質低下薬である。従って、スタチン系薬物は多くの脂質異常の処置のための第1選択薬である。代表的なスタチン系薬物はアトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンを含む。
【0004】
HMG−CoAレダクターゼの阻害剤は、ヒトにおいて低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の血漿レベルを低下させる作用を有することで知られている。(M. S. Brown and J. L. Goldstein, New England Journal of Medicine,
305, No. 9,515-517 (1981) を参照されたい)。LDL−Cレベルを低下させることにより、冠動脈疾患を予防できることが明らかにされている(Journal
of the American Medical Association, 251, No. 3,351-374 (1984) を参照されたい)。さらに、特定のメバロン酸誘導体(3,5−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸)および対応する閉環ラクトンであるメバロノラクトンはコレステロールの生合成を阻害することが知られている(F.
M. Singer ら, Proc. Soc. Exper. Biol. Med., 102: 370 (1959) and F. H. Hulcher,
Arch. Biochem. Biophys., 146: 422(1971) を参照されたい)。米国特許第3,983,140号;第4,049,495号および第4,137,322号は、コレステロール生合成の阻害作用を有する、現在ではコンパクチンと呼ばれている天然物の醗酵生産を開示している。コンパクチンは、メバロノラクトン部分を含む複雑な構造を有することが明らかにされている(Brown
ら, J. Chem. Soc. Perkin I (1976) 1165)。Okaらの米国特許第4,255,444号は、抗脂血症活性を有する複数の合成メバロノラクトン誘導体を開示している。Mitsueらの米国特許第4,198,425号および第4,262,013号は高脂血症の治療に有用なメバロノラクトンのアラルキル誘導体を開示している。
【0005】
アトルバスタチンおよびその薬学的に許容できる塩はHMG−CoAレダクターゼの選択的、競合阻害剤である。このように、アトルバスタチンカルシウムは強力な脂質低下剤であり、従って、抗高脂血症薬および/または低コレステロール血症剤として有用なばかりではなく、骨粗鬆症およびアルツハイマー病の治療においても有用である。アトルバスタチンを開示している多くの特許が公表されている。これらは、米国特許第4,681,893号;第5,273,995号および第5,969,156号(これらを本願に引用して援用する)を含む。
【0006】
全てのスタチン系薬物は、HMG−CoAの、HMG−CoAレダクターゼによるコレステロール前駆体であるメバロン酸への変換を種々の程度に阻害する。これらの薬物は多くの共通の特徴を有するが、また、冠動脈疾患の脂質危険因子の修飾における、臨床的有用性および有効性の差異に寄与することができる薬理学的属性における差異も示す(Clin. Cardiol. Bol. 26 (Suppl.III), III-32-III-38 (2003) )。スタチン療法についての所望される薬理学的特徴は、HMG−CoAレダクターゼの強力な可逆的阻害、LDL−Cおよび非高比重リポタンパク質コレステロール(non−HDL−C)を大きく減少させる能力、HDLコレステロール(HDL−C)を増加させる能力、組織選択性、至適な薬物動態、一日一回投与の利用可能性および薬物−薬物相互作用の可能性の低さを含む。循環超低密度リポタンパク質(VLDL)を低下させる能力と共に、トリグリセリドレベルを低下させる能力もまた所望される。
【0007】
現在のところ、最も強力なスタチン系薬物は、精製したヒトHMG−CoAレダクターゼ触媒ドメイン試料を用いるとき、約5.4〜約8.0nMのin vitroIC50値を示す(Am J. Cardiol 2001; 87 (suppl): 28B-32B; Atheroscer Suppl. 2002; 2:
33-37)。一般に、最も強力なLDL−C−低下スタチン系薬物はまた、最も強力な非−HDL−C−低下スタチン系薬物である。従って、最大の阻害活性が望ましい。HDL−Cに関しては、公知のスタチン系薬物は一般に、HDL−Cを中程度に増加させるに過ぎない。従って、HDL−Cをより大きく増加させる能力もまた、好都合である。
【0008】
組織選択性に関しては、相対的な親油性または親水性のスタチン系薬物間の差異は、薬物動態および組織選択性に影響することができる。比較的親水性である薬物は、受動拡散の弱さの結果として非肝細胞に対するアクセスの減少を示し、選択的な有機イオン輸送による肝細胞の取り込みの相対的増加を示し得る。さらに、薬物の相対的水溶性により、広範なシトクロムP450(CYP)酵素代謝の必要性を減じることができる。公知のスタチン系薬物を含む多くの薬物は、CYP3A4酵素系により代謝される(Arch Intern Med 2000; 160:2273-2280 ; J Am Phann Assoc 2000; 40:
637-644)。従って、スタチン療法には相対的親水性が望まれる。
【0009】
スタチン系薬物における2つの重要な薬物動態学変数は、生物学的利用率および消失半減期である。全身の副作用の潜在リスクをいずれも最小化するために、全身利用率を抑えたスタチンであって、同時にスタチン治療に伴って血管系にいずれの多面的効果が見られる十分な全身利用率を有するスタチンを服用することは利点を有する。これらの多面的効果は、内皮機能の改善または修復、アテローム斑安定性の向上、C反応性タンパク質などの特定の炎症マーカの血漿レベルにおける減少、酸化ストレスの減少および血管炎症の低下を含む(Arterioscler Thromb Vasc Biol 2001; 21: 1712-1719; Heart Dis 5(1) :
2-7, 2003)。さらに、LDL−Cを低下させるための有効性を最大化するために、十分に長い消失半減期を有するスタチンを服用することは利点を有するであろう。
【0010】
最後に、スタチン系薬物が他の薬物と組み合わされて投与される場合、薬物−薬物相互作用の潜在リスクをいずれも最小化するために、CYP3A4により代謝されないかまたは最小限しか代謝されないスタチンを服用することは利点を有すると思われる。
【0011】
従って、HMG−CoAレダクターゼの阻害における高い有効性、LDL−Cおよび非高密度リポタンパク質コレステロールを大きく減少させる能力、HDLコレステロールを増加させる能力、肝細胞における効果または取り込みの選択性、至適の全身生物学的利用率、長期の消失半減期、およびCYP3A4系により代謝されないかまたは最小限しか代謝されないことを含む所望される性質の組み合わせを有するスタチンを提供することが最も有益であろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤としての一連の新規イミダゾールを提供する。本発明の化合物はコレステロール生合成の強力な阻害剤である。従って、本化合物は高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、BPH、糖尿病および骨粗鬆症を治療するための治療剤としての有用性を有する。より具体的には、本発明は、式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、立体異性体もしくはプロドラッグ、またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩を提供する
【化1】

(式中、
−−−−−−−−−−−は1本の結合または無結合であり;
はH;C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
はH;ハロゲン;置換されていてもよいC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル;置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;RNS(O)−;
S(O)−;−(CHCOR’;−(CHNR;−(CHCOOR’;またはRNC(O)−であり;
およびRはそれぞれ独立してH;ハロゲン、OR’、(CHCOOR’、(CHCONR’R”、(CHSOR’もしくはCNで置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;
置換されていてもよいC−C10アルキル;(CHCOR’;(CHCOOR’;(CH)CONR’R”または(CHSOR’であり;あるいは
N、RおよびRは共に、所望によりO、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい4〜11員環を形成し;
は置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル;H;ハロ;置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
は置換されていてもよいアリール、アラルキル、アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
R’およびR”はそれぞれ独立してH;置換されていてもよいC−C12アルキル、アリールまたはアラルキルであり;かつnは0〜2である)。
【0013】
下記式を有する化合物またはその薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、立体異性体もしくはプロドラッグ、またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩がさらに提供される:
【化2】

(式中、
はH;C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
はH;ハロゲン;置換されていてもよいC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル;
NS(O)−;RS(O)−;−(CHCOR’;−NR;−(CHCOOR’;またはRNC(O)−であり;
およびRはそれぞれ独立してH;ハロゲン、OR’、(CHCOOR’、(CHCONR’R”、(CHSOR’もしくはCNで置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;
置換されていてもよいC−C10アルキル;(CHCOR’;(CHCOOR’;(CH)CONR’R”;または(CHSOR’であり;あるいは
N、RおよびRは共に、所望によりO、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい4〜11員環を形成し;
は置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル;H;ハロ;置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
は置換されていてもよいアリール、アラルキル、アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
R’およびR”はそれぞれ独立してH、置換されていてもよいC−C12アルキル、アリールまたはアラルキルであり;かつnは0〜2である)。
(発明の詳細な説明)
【0014】
本発明は式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、立体異性体もしくはプロドラッグ、またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩を提供する
【化3】

(式中、
−−−−−−−−−−は1本の結合または無結合であり;
はH;C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
はH;ハロゲン;置換されていてもよいC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル;置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;RNS(O)−;RS(O);−(CHCOR’;−(CHNR;−(CHCOOR’;またはRNC(O)−であり;
およびRはそれぞれ独立してH;ハロゲン、OR’、(CHCOOR’、(CHCONR’R”、(CHSOR’もしくはCNで置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;
置換されていてもよいC−C10アルキル;(CHCOR’;(CHCOOR’;(CH)CONR’R”または(CHSOR’であり;あるいは
N、RおよびRは共に、所望によりO、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい4〜11員環を形成し;
は置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル;H;ハロ;置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
は置換されていてもよいアリール、アラルキル、アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
R’およびR”はそれぞれ独立して置換されていてもよいH;C−C12アルキル、アリールまたはアラルキルであり;かつnは0〜2である)。
【0015】
さらに、RがC1−3アルキルである上記化合物が提供される。さらに、Rがイソプロピルまたはシクロプロピルである化合物が提供される。さらに、Rがエチルである化合物が提供される。さらに、RがRNS(O)−またはRNC(O)−である上記化合物が提供される。さらに、Rが−(CHNRである上記化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物が提供される。さらに、RおよびRがそれぞれ独立してH;または置換されていてもよいアラルキルである化合物が提供される。
【0016】
さらに、RおよびRがそれぞれ独立してH;ハロゲン、CN、(CHCONR’R”、(CHSOR’、OR’、もしくは(CHCOOR’で置換されていてもよいフェニル、ピリジニル、フェニル−エチルまたはベンジルであり;R”およびR’がそれぞれ独立してHまたは低級アルキルである化合物が提供される。
【0017】
さらに、RがH;置換されていてもよい低級アルキル、フェニルまたはヘテロアリールである上記化合物が提供される。さらに、Rがハロゲンまたは−CHから選択される1つ以上の基により置換されているフェニル;またはピリジニルである化合物が提供される。さらに、Rが4−フルオロフェニル、メチルフルオロ−フェニルまたはジフルオロフェニルである化合物が提供される。
【0018】
さらに、RおよびRがそれぞれ独立して置換されていてもよい低級アルキルまたはフェニル;またはピリジニルである上記化合物が提供される。さらにRおよびRの1つが置換されていてもよいフェニルであり、RおよびRの他の1つがメチルである化合物が提供される。
【0019】
さらに、Rがイソプロピルである上記化合物が提供される。
【0020】
さらに、塩がナトリウム塩またはカルシウム塩である、上記化合物の薬学的に許容できる塩が提供される。
【0021】
さらに、(3R,5R)−異性体またはその薬学的に許容できる塩、エステルもしくはアミドを含む上記化合物の立体異性体が提供される。さらに、上記化合物の(3S,5R)−異性体が提供される。さらに、上記化合物の(3S,5S)−異性体が提供される。さらに、上記化合物の(3R,5S)−異性体が提供される。さらに、上記化合物を含むラセミ混合物が提供される。
【0022】
さらに、エステルがメチルエステルである上記化合物の薬学的に許容できるエステルが提供される。
【0023】
本発明は特に以下の化合物:(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−プロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−イソブチル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−エチル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−イソプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェネチルカルバモイル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロ−ベンジルカルバモイル)−3−プロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−フェニルカルバモイル−3−プロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロ−ベンジルカルバモイル)−5−(4−フルオロ−3−メチル−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−3−イソプロピル−5−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸;(3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3−イソプロピル−5−フェニル−2−((R)−1−フェニル−エチルカルバモイル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ヘプタン酸;(3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3−イソプロピル−5−フェニル−2−((S)−1−フェニル−エチルカルバモイル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノ−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−(メチル−フェニルメタンスルホニル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニルアミノ−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−ベンゼンスルホニルアミノ−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−(ベンゼンスルホニル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩;7−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−アセチルアミノ−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−(アセチル−ベンジル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−(ベンゾイル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−ベンゾイルアミノ−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルアセチルアミノ−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−(メチル−フェニルアセチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−(ベンジル−メタンスルホニル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−メチルスルファモイル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[2−ベンジルスルファモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルスルファモイル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;(3R,5R)−7−{5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−[(ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−3H−イミダゾール−4−イル}−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;ならびにその薬学的に許容できる塩、アミドおよびエステルを提供する。
【0024】
さらに、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を適応とする疾患を治療するための医薬の製造のための上記化合物の使用が提供される。さらに、上記化合物と他の薬学的に活性な薬物との組み合わせが提供される。さらに、もう一方の薬学的に活性な薬物がCTEP阻害剤、PPAR−活性化剤、MTP/アポB分泌阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステロール合成阻害剤、フィブラート、ナイアシン、イオン交換樹脂、抗酸化剤、ACAT阻害剤、胆汁捕捉剤、降圧剤、またはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤である組み合わせが提供される。
【0025】
さらに、上記化合物または上記組み合わせおよび薬学的に許容できる担体、希釈剤またはビヒクルを含む医薬組成物が提供される。さらに、アテローム性動脈硬化症を治療するための医薬の製造のための、上記の化合物、組み合わせまたは組成物の使用が提供される。
【0026】
特記しない限り、以下の定義が使用される。ハロはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルなどは、直鎖および分枝鎖の基の両方を指す。
【0027】
本明細書においては、「アルキル」という用語は、1〜11炭素原子の直鎖または分枝鎖炭化水素を指し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、などを含む。アルキル基はまた、低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−O(CH0−2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=O、=S、−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、−NR’R”または−CONR’R”から選択される置換基の1つ以上で置換されていることができる(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。有用なアルキル基は1〜6炭素原子(C−Cアルキル)を有する。
【0028】
本明細書においては、「低級アルキル」という用語は、1〜6炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味するアルキルのサブセットを指し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含む。所望により、低級アルキルを「C−Cアルキル」と呼ぶ。
【0029】
本明細書においては、「ハロアルキル」という用語は、例えばクロロメチル、フルオロエチル、トリフルオロメチル、または1,1,1−トリフルオロエチルなどの、少なくとも1つのハロゲン置換基を有する、上記で定義した低級アルキルラジカルを指す。ハロアルキルはまた、低級アルキル基の全ての水素がフッ素原子で置換されているパーフルオロアルキルも含む。
【0030】
「アルケニル」という用語は、2〜12炭素原子の直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素ラジカルを意味し、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−3−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル、1−ウンデセニル、1−ドデセニルなどを含む。
【0031】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を有する2〜12炭素原子の直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味し、例えば、3−プロピニル、1−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、3−ヘキシニル、3−ヘプチニル、1−オクチニル、1−ノニニル、1−デシニル、1−ウンデシニル、1−ドデシニルなどを含む。
【0032】
本明細書においては、「アルキレン」という用語は、例えばメチレン、1,2−エチレン、1,1−エチレン、1,3−プロピレン、2,2−ジメチルプロピレンなどの、1〜10炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から2個の水素原子を除去することにより誘導される二価の基を指す。本発明のアルキレン基は、低級アルキル、低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−O(CH0−2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=O、=S、−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、NR’R”、または−CONR’R”から選択される置換基の1つ以上で置換されていてもよい(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。有用なアルキレン基は1〜6炭素原子(C−Cアルキレン)を有する。
【0033】
本明細書においては、「ヘテロ原子」という用語は、特記しない限り、酸素、窒素、または硫黄(O、N、またはS)ばかりでなく、スルホキシルまたはスルホニル(SOまたはSO)も指す。
【0034】
本明細書においては、「炭化水素鎖」という用語は、2〜6炭素原子の直鎖炭化水素を指す。炭化水素鎖は、低級アルキル、低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−O(CH0−2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=O、=S、−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、NR’R”または−CONR’R”から選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。
【0035】
本明細書においては、「炭化水素−ヘテロ原子鎖」という用語は、1つ以上の炭素原子がヘテロ原子で置換された炭化水素鎖を指す。炭化水素−ヘテロ原子鎖は、低級アルキル、低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−O(CH0‐2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=O、=S、−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、NR’R”または−CONR’R”から選択される1つ以上の置換基により置換されていてもよい(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。
【0036】
本明細書においては、「ヘテロアルキレン」という用語は、炭素鎖中または炭素鎖の末端に、酸素、硫黄、または窒素(水素または酸素により完結された原子価を有する)などの1つ以上のヘテロ原子を含む、上記で定義したアルキレンラジカルを指す。
【0037】
本明細書においては、「低級アルコキシ」および「低級チオアルコキシ」という用語は、「低級アルキル」に関して上記で定義した、1〜6炭素原子のO−アルキルまたはS−アルキルを指す。
【0038】
本明細書においては、「アリール」という用語は、非置換の芳香環、もしくは低級アルキル、低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−O(CH0−2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、−NR’R”、−S(O)アルキル、S(O)アリール、S(O)NR’R”、または−CONR’R”から選択される1〜4置換基により置換されていてもよい芳香環を指す(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。例は、限定するものではないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−クロロ−3−メチルフェニル、2−クロロ−4−メチルフェニル、2−クロロ−5−メチルフェニル、3−クロロ−2−メチルフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、4−クロロ−2−メチルフェニル、4−クロロ−3−メチルフェニル、5−クロロ−2−メチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニルなどを含む。さらに、「アリール」という用語は、アルキル、アルケニル、およびアルキニルに関して列挙した4個までの置換基で非置換もしくは置換の、5〜12炭素原子を有する単環式または多環式芳香環を意味する。
【0039】
本明細書においては、アラルキルという用語は、上記で定義したアルキル基に結合した、上記で定義したアリールを意味する。
【0040】
「ヘテロアリール」という用語は、1つ以上のヘテロ原子を含有する芳香環を意味する。さらに、「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択される1つ以上の(すなわち1〜4)ヘテロ原子を含有する芳香族単環式、二環式、または多環式環を意味する。ヘテロアリールは、アリールに関して列挙した1つ以上の基で置換されていてもよい。ヘテロアリールの例は、限定するものではないが、チエニル、フラニル、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、およびキナゾリニルなどを含む。例は、さらに、1−、2−、4−、または5−イミダゾリル、1−、3−、4−、または5−ピラゾリル、2−、4−、または5−チアゾリル、3−、4−、または5−イソチアゾリル、2−、4−、または5−オキサゾリル、3−、4−、または5−イソオキサゾリル、1,3−、または5−トリアゾリル、1−、2−、または3−テトラゾリル、2−ピラジニル、2−、4−、または5−ピリミジニルを含む。適切な二環式ヘテロアリール化合物の具体例は、限定するものではないが、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、または7−インドリル、1−、2−、3−、5−、6−、7−、または8−インドリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、または7−イソインドリル、2−、3−、4−、5−、6−、または7−ベンゾチエニル、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾオキサゾリル、1−、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾイミダゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−キノリニル、および1−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−イソキノリニルを含む。
【0041】
本明細書においては、ヘテロアラルキルという用語は、上記で定義したアルキル基に結合した、上記で定義したヘテロアリールを意味する。
【0042】
「複素環」という用語は、N、O、およびSから選択される1つ以上の(すなわち1〜4)ヘテロ原子を含有する飽和単環式または多環式(すなわち二環式)環を意味する。複素環は、低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−O(CH0−2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=O、=S、−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、−NR’R”または−CONR’R”から選択される置換基の1つ以上により置換されていてもよいと理解される(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。有用なアルキル基は1〜6炭素原子(C−Cアルキル)を有する。適切な単環式複素環の例は、限定するものではないが、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、アジリジニル、モルホリニル、チエタニル、オキセタリルを含む。
【0043】
「シクロアルキル」という用語は、飽和炭化水素環を意味する。さらに、「シクロアルキル」という用語は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、デカリニル、ノルピナニル、またはアダマンチルなどの3〜12炭素原子を含有する炭化水素環を意味する。シクロアルキル環は低級アルコキシ、低級チオアルコキシ、−(CH0−2CF、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=O、=S、−OH、−SH、−CF、−COH、−CO−Cアルキル、−NR’R”または−CONR’R”から選択される置換基の1つ以上から選択される1〜3置換基により非置換もしくは置換されていることができる(ここでR’およびR”は独立してH、アルキル、シクロアルキル、アケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、あるいは共に4〜7員環を形成し;あるいはN、R’およびR”は共に4〜7員環を形成する)。有用なアルキル基は、1〜6炭素原子(C−Cアルキル)を有し、ここでアルキル、アリール、およびヘテロアリールは本明細書で定義したものである。置換シクロアルキル基の例は、フルオロシクロプロピル、2−ヨードシクロブチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、2,2−ジメトキシシクロへキシル、および3−フェニルシクロペンチルを含む。
【0044】
「シクロアルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有するシクロアルキル基を意味する。例は、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロブタジエン、シクロペンタジエンなどを含む。
【0045】
「異性体」という用語は、下記で定義する「立体異性体」および「幾何異性体」を意味する。
【0046】
「立体異性体」という用語は、1つ以上のキラル中心を有する化合物を意味し、各中心はRまたはS配置で存在できる。立体異性体は、全てのジアステレオマー形、エナンチオマー形およびエピマー形ばかりでなく、それらのラセミ体およびそれらの混合物を含む。
【0047】
「幾何異性体」という用語は、シス、トランス、シン、アンチ、entgegen(反対側)(E)、およびzusammen(同じ側)(Z)形ばかりでなく、それらの混合物としても存在できる。
【0048】
「=」という記号は二重結合を意味する。
【0049】
「∩」という記号は、4〜8員環が形成される基への結合を意味する。一般的にこの記号は対で現れる。
【0050】
置換基への結合が環中の2原子を接続する結合に交差するように描かれている場合、原子がその原子価を損ねることなく置換基と結合できるという条件で、かかる置換基が環中の任意の原子に結合できる。環原子に結合できる置換基にいくつかの原子がある場合、記載されている置換基の最初の原子が環に結合している。
【0051】
置換基からの結合が置換基の環中の2原子を接続する結合に交差するように描かれている場合、かかる置換基は環中の結合可能な任意の原子に結合できる。
【0052】
結合が「−−−」などの線で表されている場合、結果として生じる化合物が安定で原子価を満足する場合において、その結合が存在することもしないこともできることを表すことを意味する。かかる結合により不斉炭素が生じる場合、特記しない限り、特別な立体化学構造を意味しない。
【0053】
本明細書においては、以下の用語は、与えられた意味を有する:RTまたはrtは室温を意味する。MPは融点を意味する。MSは質量分析法を意味する。TLCは薄層クロマトグラフィーを意味する。[S]at.は飽和を意味する。[C]onc.は高濃度を意味する。TBIAはtert−ブチルイソプロピリデンアミンを意味する。DCMはジクロロメタンを意味し、塩化メチレンと同義で使用される。NBSはN−ブロモスクシンイミドを意味する。「h」は時間を意味する。「v/v」は容量比または「容量対容量」を意味する。Rは保持係数を意味する。TfOは「トリフルオロメタンスルホン酸無水物」またはC(F)S(O)OS(O)C(F)または(CFSO)Oを意味する。AcOは無水酢酸を意味する。「[T]rifluorotol.」または「TFT」はトリフルオロトルエンを意味する。「DMF」はジメチルホルムアミドを意味する。「DCE」はジクロロエタンを意味する。「Bu」はブチルを意味する。「Me」はメチルを意味する。「Et」はエチルを意味する。「DBU」は1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデク−7−エンを意味する。「TBS」は「TBDMS」またはtert−ブチルジメチルシリルを意味する。「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味する。「TBAF」はフッ化テトラブチルアンモニウムを意味する。THFはテトラヒドロフランを意味する。[N]−BuLiまたはBuLiはn−ブチルリチウムを意味する。TFAはトリフルオロ酢酸を意味する。i−Prはイソプロピルを意味する。[M]in.は分を意味する。mlまたはmLはミリリットルを意味する。「M」または「m」はモルを意味する。
【0054】
「患者」という用語は、ヒトを含む全ての哺乳動物を意味する。患者の例はヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギを含む。
「治療的有効量」は、患者に投与するとき、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、BPH、アルツハイマー病、糖尿病または骨粗鬆症の症状を改善する本発明の化合物の量を言う。
【0055】
本明細書においては、「薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、またはプロドラッグ」という用語は、医学的に正しい判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わない患者の組織との接触における使用に適し、妥当な便益/リスク比と整合し、目的の用途に効果のある、本発明の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド、およびプロドラッグばかりでなく、可能な場合には、本発明の化合物の両性イオン形のこともいう。「薬学的に許容できる塩」という用語は、比較的無毒の、本発明の化合物の無機および有機酸または塩基付加塩を指す。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中に、in situで、あるいは個別に、適切な有機または無機酸または塩基と化合物の遊離形を反応させ、ついで生成した塩を単離することにより製造できる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などを含む。
【0056】
薬学的に許容できる塩はまた、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属に基づく陽イオンばかりでなく、限定するものではないがアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含む無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミン陽イオンもまた含むことができる。(例えば、Berge S. M., ら, ”Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci., 1977; 66:
1-19, を参照されたい。これを本願に引用して援用する)。遊離塩基形は、塩形を塩基と接触させることにより再生できる。遊離塩基は、溶解性などの物理的特性に関して塩形と異なる場合があるが、塩は本発明の目的において対応する遊離塩基と同等である。
【0057】
本発明の化合物の薬学的に許容できる無毒のエステルの例は、アルキル基が直鎖または分枝鎖である、C−Cアルキルエステルを含む。許容できるエステルはまた、C−Cシクロアルキルエステルばかりでなく、ベンジルなどに限定されないが、それを含むアリールアルキルエステルを含む。C−Cアルキルエステルが好ましい。本発明の化合物のエステルは従来の方法に従って製造できる。
【0058】
本発明の化合物の薬学的に許容できる無毒のアミドの例は、アンモニア、アルキル基が直鎖または分枝鎖である一級C−Cアルキルアミンおよび二級C−Cジアルキルアミンから誘導されるアミドを含む。二級アミンの場合において、アミンはまた、窒素原子を1つ含有する5または6員複素環の形であることができる。アンモニア、一級C−Cアルキルアミンおよび二級C−Cジアルキルアミンから誘導されるアミドが好ましい。本発明の化合物のアミドは従来の方法に従って製造できる。
【0059】
「プロドラッグ」は、in vivoで式I記載の活性な親薬物を放出する共有結合したすべての担体を含むという意味で用いられる。さらに、「プロドラッグ」という用語は、例えば血液中の加水分解により上記式の親化合物をin vivoで生成するように変換された化合物を指す。徹底した議論が、T.Higuchi および V. Stellaによる、”Pro-drugs as Novel Delivery Sytems, ”Vol.
14 of the A. C. S. Symposium Series、および Bioreversible Carriers in Drug Design, ed.
Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987 において示されている(両方とも、本願に引用して援用する)。プロドラッグの例は、式Iの化合物中に存在するアルコールのアセテート、ホルメート、ベンゾエート誘導体およびアミン類を含む。
【0060】
場合によっては、化合物は互変異性体として存在できる。全ての互変異性体は式Iに含まれ、本発明により提供される。
【0061】
特定の本発明の化合物は非溶媒和形ばかりでなく、水和形を含む溶媒和形で存在できる。一般に、水和形を含む溶媒和形は非溶媒和形と同等であり、本発明の範囲に含まれるという意味で用いられる。
【0062】
特定の本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を有し、各中心はRまたはS配置で存在できる。本発明は、全てのジアステレオマー形、エナンチオマー形およびエピマー形ばかりでなく、それらの適切な混合物を含む。立体異性体は、所望により、例えばキラルクロマトグラフィーカラムおよびキラル合成による立体異性体の分離などの当技術分野で公知の方法により得ることができる。さらに、本発明の化合物は幾何異性体として存在できる。本発明は、全てのシス、トランス、シン、アンチ、entgegen(反対側) (E)、およびzusammen(同じ側)(Z)形異性体ばかりでなく、それらの適切な混合物も含む。
【0063】
本発明の化合物は、高コレステロール血症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、BPH、アルツハイマー病、糖尿病および骨粗鬆症の治療、抑制、または予防のために患者に投与されるのに適切である。「治療」、「処置」、「抑制」、「予防」などという用語は、かかる用語が適用される疾患または状態、あるいはかかる疾患または状態の1つ以上の症状を食い止めたり、緩和したり、進行を阻害したりすることを指す。本明細書においては、これらの用語はまた、患者の状態に応じて、前記疾患または状態に伴う苦痛の前に疾患または状態あるいはそれに伴う症状の重症度を緩和することを含む、疾患または状態または疾患または状態に伴う症状の開始を予防することを含む。苦痛に先立つかかる予防または緩和は、投与時に疾患または状態の苦痛を受けていない被験者への本発明の化合物の投与を指す。「予防」はまた、疾患または状態あるいはそれに伴う症状の再発の予防を含む。従って、本発明の化合物は、単独で、あるいは賦形剤、希釈剤、および担体などの他の成分(全て当技術分野で公知のもの)を含有する組成物の一部として患者に投与することができる。組成物は、経口、直腸内、非経口(静脈内、筋肉内、または皮下)、胸骨内、膣内、腹腔内、静脈内、局所(粉末剤、軟膏、または滴剤)で、あるいは頬または点鼻スプレーとしてヒトおよび動物に投与できる。
【0064】
非経口注射剤に適した組成物は、生理学的に許容できる滅菌水性または非水性の溶液、分散剤、サスペンジョンまたはエマルジョン、および滅菌注射液または分散剤に再構成するための滅菌粉末剤を含むことができる。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散剤の場合における必要とされる粒子径の維持、および界面活性剤の使用により、適切な流動性が維持できる。
【0065】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、およびディスペンシング剤などのアジュバントも含むことができる。微生物の活動の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの種々の抗菌剤および抗真菌剤により確実にすることができる。例えば、糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望まれる場合もある。注射製剤の持続吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬物の使用によりもたらすことができる。
【0066】
経口投与のための固体製剤は、カプセル、錠剤、ピル、粉末剤、および顆粒剤を含む。かかる固体製剤において、クエン酸ナトリウムまたは第2リン酸カルシウム、あるいは(a)デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤;(b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアラビアゴムなどの結合剤;(c)グリセロールなどの湿潤剤;(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(e)パラフィンなどの溶液遅硬剤;(f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(h)カオリンおよびベントナイトなどの吸着剤;および(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの組み合わせの滑沢剤などの少なくとも1つの不活性な通常の賦形剤(または担体)と活性化合物が混合される。カプセル、錠剤、およびピルの場合において、剤型はまた緩衝化剤も含むことができる。
【0067】
同様なタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ばかりでなく、高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、軟充填および硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤としても使用できる。
【0068】
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、および顆粒剤などの固体剤型は、当技術分野で公知の腸溶性コーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて製造できる。これらは乳白剤を含むことができ、腸管内の特定の部位で遅延放出により、活性化合物または化合物を放出するような組成物であることもできる。使用可能な埋め込み型組成物の例は、高分子物質およびワックスである。活性化合物はまた、適切ならば前記の賦形剤の1つ以上を加えて、マイクロカプセル化製剤に詰めることもできる。
【0069】
経口投与のための液体剤型は、薬学的に許容できるエマルジョン、溶液、サスペンジョン、シロップ、およびエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤型は、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤など、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物など、当技術分野に一般的に用いられる不活性希釈剤を含むことができる。
【0070】
かかる不活性希釈剤以外にも、組成物は湿潤剤、乳化剤、縣濁化剤、甘味剤、風味剤、および香料などのアジュバントを含むこともできる。
【0071】
活性化合物に加えて、サスペンジョンは、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガントまたはこれらの物質の混合物などの縣濁化剤を含むことができる。
【0072】
直腸投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、カカオバター、ポリエチレングリコール、または座剤ワックスなどの、常温で固体であるが体温では液体で、従って直腸または膣腔で溶解し活性化合物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤または担体とを混合して製造できる座剤である。
【0073】
本発明の化合物の局所投与のための剤型は、軟膏、粉末剤、スプレー、および吸入剤を含む。活性成分を滅菌条件で生理学的に許容できる担体と、必要に応じて任意の防腐剤、緩衝液、または噴射剤とを混合する。眼内製剤、眼軟膏、粉末剤、および溶液もまた本発明の範囲内と考えられる。
【0074】
本発明の化合物は、約0.1〜約2,000mg/日の範囲の投与量レベルで患者に投与できる。約70キログラムの体重を有する正常なヒト成人に関しては、約0.01〜約100mg/体重1kg/日の範囲の投与量が好ましい。しかしながら、特定の使用投与量は変更することができる。例えば、投与量は、患者の要求、治療を受ける疾患の重症度、および使用する化合物の薬理活性を含む多くの要素によって決定することができる。特定の患者に関する至適投与量の決定法は当分野の技術者に公知である。

本発明の組み合わせの態様
【0075】
本発明の化合物は、以下の疾患/状態:脂質代謝異常、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、心血管障害、狭心症、虚血、心虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流障害、血管形成術後再狭窄、高血圧、糖尿病および糖尿病の血管合併症、肥満、不安定狭心症、アルツハイマー病、BPH、骨粗鬆症、脳血管疾患、冠動脈疾患、心室機能障害、心臓不整脈、肺血管疾患、腎血管疾患、腎疾患、血管止血障害、自己免疫疾患、肺疾患、性的不全、認知機能障害、癌、臓器移植拒絶反応、乾癬、子宮内膜症、および黄斑変性の治療において、単独で、あるいは本明細書に記載の他の薬物と組み合わせて使用できる
【0076】
本発明の化合物はまた、本明細書に記載の疾患/状態の治療のために、他の薬物(例えば、HDL−コレステロール上昇剤、トリグリセリド低下剤)と共に使用することもできる。本発明の組み合わせの態様は、本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩および少なくとも1つ他の化合物を含む医薬組成物を含む。例えば、本発明の化合物は、コレステロール吸収阻害剤、MTP/アポB分泌阻害剤、またはフィブラート、ナイアシン、イオン交換樹脂、抗酸化剤、ACAT阻害剤、PPAR−活性化剤、CETP阻害剤もしくは胆汁酸捕捉剤などの他のコレステロールモジュレーターと組み合わせて使用できる。組み合わせ治療処置において、従来の方法により、本発明の化合物および他の薬物治療が共に哺乳動物に投与される。以下に、本発明の種々の組み合わせの態様をさらに具体的に説明する。
【0077】
本発明の組み合わせの態様に、任意のコレステロール吸収阻害剤を使用することができる。コレステロール吸収阻害という用語は、腸の内腔内に含まれるコレステロールが腸細胞内に取り込まれることおよび/または腸細胞内から血流中に放出されることを抑制する化合物の能力を指す。当分野の技術者は、かかるコレステロール吸収阻害活性を標準的なアッセイに従って容易に測定できる(例えば、J. Lipid Res. (1993) 34: 377-395) 。コレステロール吸収阻害剤は当分野の技術者に公知であり、例えば、PCT国際公開番号WO94/00480号に記載されている。最近認可されたコレステロール吸収阻害剤の例には、ZETIA(商標)がある。
【0078】
任意のコレステロールエステル輸送タンパク質(「CETP」)阻害剤を、本発明の組み合わせの態様に使用できる。CETP阻害剤という用語は、コレステリルエステルおよびトリグリセリドの高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、およびカイロミクロンを含むリポタンパク質粒子間の輸送を阻害する化合物を指す。CETP活性の最終結果は、HDLコレステロールの減少とLDLコレステロールの増加であり、従って、かかる最終効果はアテローム形成促進性である。従って、CETP阻害剤のリポタンパク質プロフィールに対する効果は、アテローム形成を抑制するものと考えられる。当分野の技術者は、特定の哺乳動物の血漿中のHDLコレステロール値、LDLコレステロール値、VLDLコレステロール値またはトリグリセリドなどの血漿脂質レベルを変化させるために必要な薬物の量を測定することにより、かかる阻害を容易に測定できる(例えば、Crook ら、 Arteriosclerosis 10,625, 1990; 米国特許第6,140,343号)。種々のこれらの化合物について、以下に説明し、引用するが、他のCETP阻害剤も当分野の技術者に公知であろう。例えば、米国特許第6,197,786号、第6,723,752号および第6,723,753号(各開示を本願に引用して援用する)は、高密度リポタンパク質−コレステロールを含む特定の血漿脂質レベルを上昇させ、LDL−コレステロールおよびトリグリセリドなどの特定の他の血漿脂質レベルを低下させ、それによりヒトを含む哺乳動物のアテローム性動脈硬化症および心血管疾患などの、低レベルのHDLコレステロールおよび/または高レベルのLDL−コレステロールおよびトリグリセリドにより悪化する疾患を治療するための、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、かかる阻害剤を含有する医薬組成物およびかかる阻害剤の使用を開示している。有用なCETP阻害剤の例は、以下の化合物を含む:[2R,4S]4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−l−カルボン酸エチルエステル(トルセトラピブ(商標)としても知られる)および3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−ベンジル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オール。本発明のCETP阻害剤の多くは溶解性が低く、溶解性を高めた剤型により、かかる化合物の投与が容易になる。かかる剤型の1つは、(1)コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤および酸性濃度改善ポリマーを含む固体非晶質分散剤;ならびに(2)酸に敏感なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む剤型である。この剤型は、米国特許出願第10/739,567号に、「CETP阻害剤およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む剤型」という発明の名称で、さらに詳しく説明されている(該明細書を本願に引用して援用する)。
【0079】
ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(「PPAR」)を活性化するかまたは他の相互作用をする化合物はいずれも本発明の組み合わせの態様に使用できる。3つの哺乳動物ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体が単離され、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマ、およびPPAR−ベータ(NUC1またはPPAR−デルタとしても知られる)と命名された。これらのPPARは、PPAR応答要素と呼ばれるDNA配列要素に結合することにより標的遺伝子の発現を調節する。これらの要素は、脂質代謝を調節するタンパク質をコード化する多くの遺伝子のエンハンサー中に特定されており、このことはPPARが脂質シグナル伝達カスケードおよび脂質ホメオスタシスに極めて重要な役割を果たしていることを示唆している。PPAR−ガンマ受容体は、インスリン感受性および血糖レベルの調節に関与している。PPAR−α活性化剤は、血漿トリグリセリドおよびLDLコレステロールの低下に関与している。PPAR−β活性化剤は、HDL−Cレベルを上昇させると共にLDL−Cレベルを低下させることが報告されている。従って、PPAR−β単独を活性化するか、あるいはPPAR−αおよび/またはPPAR−ガンマを同時に活性化する組み合わせが、HDLが増加し、LDLが減少している脂質代謝異常の治療を計画する上で所望され得る。当分野の技術者は、PPAR−活性化を標準的なアッセイを用いて容易に測定できる(例えば米国特許第2003/0225158号および米国特許第2004/0157885号)。種々のこれらの化合物を下記に引用し説明するが、他のPPAR−活性化剤も当分野の技術者に公知であろう。本願に引用して援用する以下の特許および公開特許出願にサンプルを提供する。米国特許第2003/0225158号は、PPAR活性を変化させる化合物、ならびに脂質代謝異常、高コレステロール血症、肥満、高血糖、アテローム性動脈硬化症および高トリグリセリド血症を治療または予防するための治療剤としてのその使用方法を開示している。米国特許第6,710,063号は、PPARデルタの選択的活性化剤を開示している。米国特許第2003/0171377号は抗糖尿病薬として有用な特定のPPAR−活性化剤を開示している。米国特許第2004/0157885号は、PPARアゴニスト(特に、特定のPPARαアゴニスト)、かかるアゴニストを含有する医薬組成物、ならびにアテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、肥満、骨粗鬆症およびシンドロームXまたは代謝症候群を治療するためのかかるアゴニストの使用に関する。有用なPPAR−活性化剤の例は、以下の化合物:[5−メトキシ−2−メチル−4−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4イルメチルスルファニル)−フェノキシ]−酢酸;[5−メトキシ−2−メチル−4−(3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチルスルファニル)−フェノキシ]−酢酸;[4−(4’フルオロ−ビフェニル−4−イルメチルスルファニル)−5−メトキシ−2メチル−フェノキシ]−酢酸;{5−メトキシ−2メチル−4−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ベンジルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸;{{5−メトキシ−2−メチル−4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ベンジルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸;(4−{4−[2−(3−フルオロ−フェニル)−ビニル]−ベンジルスルファニル}−5−メトキシ−2−メチル−フェノキシ)−酢酸;[5−メトキシ−2−メチル−4−(3−メチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチルスルファニル)−フェノキシ]−酢酸;[5−メトキシ−2−メチル−4−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イルメチルスルファニル)−フェノキシ]−酢酸;{5−メトキシ−2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ベンジルスルファニル]−フェノキシ}酢酸;3−{5−[2−(−5−メチル−2フェニル−オキサゾール−4−イル−エトキシ]−インドール−1−イル}−プロピオン酸;3−{4[2−(5−メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾール−4−イル)エトキシ−1H−インダゾール−1イル}プロパン酸;2−メチル−2−{3−[({2−(5−メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾール−4−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)メチル]フェノキシ}プロピオン酸;1−{3’−[2−5−メチル−2−フェニル−1,3−オキサゾール−4−イル]−1,1’−ビフェニル−3−イル}オキシ)シクロブタンカルボン酸;3−[3−(1−カルボキシ−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸3−トリフルオロメチル−ベンジルエステル;2−{2−メチル−4−[({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}メチル)スルファニル]フェノキシ}酢酸;2−{2−メチル−4−[({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−5−イル}メチル)スルファニル]フェノキシ}酢酸;2−{4−[({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}メチル)スルファニル]フェノキシ}酢酸メチル;2−{4−[({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}メチル)スルファニル]フェノキシ}酢酸;(E)−3−[2−メチル−4−({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}メトキシ)フェニル]−2−プロペン酸;2−{3−クロロ−4−[({4−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−l,3−チアゾール−5−イル}メチル)スルファニル]フェニル}酢酸;2−{2−メチル−4−[({4−メチル−2−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}メチル)スルファニル]フェノキシ}酢酸;およびその薬学的に許容できる塩を含む。
【0080】
任意のMTP/アポB分泌(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質および/またはアポリポタンパク質B分泌)阻害剤を本発明の組み合わせの態様に使用できる。MTP/アポB分泌阻害剤という用語は、トリグリセリド、コレステリルエステルおよびリン脂質の分泌を阻害する化合物を指す。当分野の技術者は、かかる阻害を標準的なアッセイに従って容易に測定できる(例えば、Wetterau, J. R. 1992;Science 258 : 999)。インプタプリド(バイエル社)および国際公開番号WO96/40640号および国際公開番号WO98/23593号に開示されている化合物などの他の化合物を含む種々のこれらの化合物は当分野の技術者に公知である。
【0081】
任意のACAT阻害剤を本発明の組み合わせ療法の態様に使用できる。ACAT阻害剤という用語は、酵素アシルCoA(コレステロールアシルトランスフェラーゼ)による食事コレステロールの細胞内エステル化を阻害する化合物を指す。当分野の技術者は、Heiderらの方法(Journal of Lipid Research. 24 : 1127 (1983))などの標準的なアッセイに従ってかかる阻害を容易に測定できる。種々のこれらの化合物は当分野の技術者に公知であり、例えば、米国特許第5,510,379号は特定のカルボキシスルホネートを開示し、国際公開番号WO96/26948号および国際公開番号WO96/10559号は共にACAT阻害活性を有する尿素誘導体を開示している。ACAT阻害剤の例は、アバシミブ(ファイザー)、CS−505(三共)およびエフルシミブ(Eli
Lillyおよび Pierre Fabre)などの化合物を含む。
【0082】
リパーゼ阻害剤は、本発明の組み合わせ療法の態様に使用できる。リパーゼ阻害剤は、食事トリグリセリドを遊離脂肪酸およびモノグリセリドに代謝分解することを阻害する化合物である。正常な生理状態下では、脂肪分解はリパーゼ酵素の活性化セリン部分のアシル化を含む二段階プロセスで起こる。これにより、脂肪酸−リパーゼヘミアセタール中間体が生成し、ついでこれが分解してジグリセリドが放出される。さらに脱アシル化した後、リパーゼ−脂肪酸中間体は分解し、遊離リパーゼ、モノグリセリド、および脂肪酸が生成する。生成した遊離脂肪酸およびモノグリセリドは胆汁酸−リン脂質ミセルに取り込まれ、ついでこれは小腸刷子縁のレベルで吸収される。このミセルは、最終的に、カイロミクロンとして末梢循環中に入る。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従って、かかるリパーゼ阻害活性を容易に測定できる(例えば、Methods Enzymol. 286: 190-231)。
【0083】
膵臓リパーゼは、トリグリセリドのC−1およびC−3位からの脂肪酸の代謝分解を仲介する。摂取脂肪代謝の主要部位は、膵臓リパーゼによる十二指腸および近位空腸であり、このリパーゼは、通常、小腸上部における脂肪の分解のために必要な大過剰の量で分泌される。膵臓リパーゼは食事トリグリセリドの吸収のために必要な主要酵素なので、阻害剤は肥満および他の関連状態の治療に有用性を有する。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従って、かかる膵臓リパーゼ阻害活性を容易に測定できる(例えば、Methods Enzymol. 286: 190-231)。
【0084】
胃リパーゼは、食事脂肪の消化のおおよそ10〜40%を担う免疫学的に区別できるリパーゼである。胃リパーゼは、機械刺激、食物の摂取、高脂肪食の存在、または交感神経作用薬に反応して分泌される。摂取脂肪の胃での脂肪分解は、腸における膵臓リパーゼ活性を誘発するために必要な脂肪酸の供給において生理学的な重要性を有し、また、膵臓機能不全と関連する種々の生理学的および病理学的状態における脂肪の吸収も重要である。例えば、C. K. Abrams, ら, Gastroenterology, 92, 125 (1987) を参照されたい。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従って、かかる胃リパーゼ阻害活性を容易に測定できる(例えば、Methods
Enzymol. 286: 190-231)。
【0085】
種々の胃および/または膵臓リパーゼ阻害剤が当分野の技術者に知られている。好ましいリパーゼ阻害剤はリプスタチン、テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)、バリラクトン、エステラスチン、エベラクトンA、およびエベラクトンBからなるグループから選択される阻害剤である。テトラヒドロリプスタチンという化合物が特に好ましい。リパーゼ阻害剤である、N−3−トリフルオロメチルフェニル−N’−3−クロロ−4’−トリフルオロメチルフェニル尿素、およびそれに関連する種々の尿素誘導体が米国特許第4,405,644号に開示されている。リパーゼ阻害剤エステラシンは米国特許第4,189,438号および4,242,453号に開示されている。リパーゼ阻害剤である、シクロ−O,O’−[(l,6−ヘキサンジイル)−ビス−(イミノカルボニル)]ジオキシム、およびそれに関連する種々のビス(イミノカルボニル)ジオキシムは、Petersen ら, Liebig's Annalen, 562, 205-229 (1949) に記載されているようにして製造できる。
【0086】
種々の膵臓リパーゼ阻害剤を以下に説明する。膵臓リパーゼ阻害剤リプスタチンである、(2S,3S,5S,7Z,10Z)−5−[(S)−2−ホルムアミド−4−メチル−バレリルオキシ]−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−7,10−ヘキサデカン酸ラクトン、およびテトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)、(2S,3S,5S)−5−[(S)−2−ホルムアミド−4−メチル−バレリルオキシ]−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−ヘキサデカン酸1,3ラクトン、ならびに種々置換した置換N−ホルミルロイシン誘導体およびその立体異性体は、米国特許第4,598,089号に開示されている。例えば、テトラヒドロリプスタチンは、例えば、米国特許第5,274,143号;第5,420,305号;第5,540,917号;および第5,643,874号に記載されているようにして製造される。膵臓リパーゼ阻害剤FL−386である、1−[4−(2−メチルプロピル)シクロヘキシル]−2−[−(フェニルスルホニル)オキシ]−エタノン、およびそれに関連する種々の置換スルホネート誘導体は米国特許第4,452,813号に開示されている。膵臓リパーゼ阻害剤WAY−121898である、4−フェノキシフェニル−4−メチルピペリジン−1−イル−カルボキシレート、ならびにそれに関連する種々のカルバメートエステルおよび薬学的に許容できる塩は、米国特許第5,512,565号;第5,391,571号および第5,602,151号に開示されている。膵臓リパーゼ阻害剤バリラクトン、およびActinomycetes属菌株MG147−CF2の微生物培養によるその製造方法は、Kitahara ら, J. Antibiotics, 40 (11), 1647-1650 (1987) に開示されている。膵臓リパーゼ阻害剤エベラクトンAおよびエベラクトンB、ならびにそのActinomycetes属菌株MG7−G1の微生物培養による製造方法は、Umezawa
ら, J. Antibiotics, 33, 1594-1596 (1980) に記載されている。モノグリセリド生成の抑制におけるエベラクトンAおよびBの使用は、1996年6月4日に公開された、特開平08−143457に開示されている。
【0087】
高コレステロール血症を含む高脂血症用として市販され、アテローム性動脈硬化症の予防または治療を助けるためという意味で用いられる他の化合物は、Welchol(登録商標)、Colestid(登録商標)、LoCholest(登録商標)、Questran(登録商標)などの胆汁酸捕捉剤ならびにAtromid(登録商標)、Lopid(登録商標)およびTricor(登録商標)などのフィブリン酸誘導体を含む。
【0088】
本発明の化合物は、抗糖尿病薬と共に使用できる。糖尿病(特にII型)、インスリン抵抗性、耐糖能異常など、あるいは神経障害、腎症、網膜症もしくは白内障などの糖尿病性合併症のいずれかを有する患者に、糖尿病の治療に使用できる他の薬物(例えば、インスリン)と組み合わせて、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、糖尿病を治療できる。これには、本明細書に記載の抗糖尿病薬(および特定の薬物)のクラスを含む。
【0089】
任意のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を本発明の式Iの化合物と組み合わせて使用できる。グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤という用語は、酵素グリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される、グリコーゲンからグルコース−1−リン酸への生物変換を阻害する化合物を指す。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従って、かかるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を容易に測定できる(例えば、J. Med. Chem. 41 (1998) 2934-2938)。国際公開番号WO96/39384号および国際公開番号WO96/39385号に記載されているものを含め、種々のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤が当分野の技術者に公知である。任意のアルドースレダクターゼ阻害剤を本発明の式Iの化合物と組み合わせて使用できる。アルドースレダクターゼ阻害剤という用語は、酵素アルドースレダクターゼにより触媒される、グルコースからソルビトールへの生物変換を阻害する化合物を指す。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従ってアルドースレダクターゼ阻害を容易に測定できる(例えば、J.
Malone, Diabetes, 29: 861-864 (1980). ”Red Cell Sobitol, an Indicator of Diabetic
Control”)。種々の アルドースレダクターゼ阻害剤は当分野の技術者に公知である。
【0090】
任意のソルビトール脱水素酵素阻害剤を本発明の式Iの化合物と組み合わせて使用できる。ソルビトール脱水素酵素阻害剤という用語は、酵素ソルビトール脱水素酵素により触媒される、ソルビトールからフルクトースへの生物変換を阻害する化合物を指す。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従って、かかるソルビトール脱水素酵素阻害剤活性を容易に測定できる(例えば、Analyt. Biochem (2000) 280: 329-331)。種々のソルビトール脱水素酵素阻害剤が公知であり、例えば、米国特許第5,728,704号および第5,866,578号は酵素ソルビトール脱水素酵素を阻害することによる、糖尿病性合併症を治療または予防するための化合物および方法を開示している。
【0091】
任意のグルコシダーゼ阻害剤を本発明の式Iの化合物と組み合わせて使用することができる。グルコシダーゼ阻害剤は、糖加水分解酵素(例えばアミラーゼまたはマルターゼ)による複合炭水化物の生体利用性単純糖類(例えば、グルコース)への酵素加水分解を阻害する。とりわけ、高レベルの炭水化物の摂取後の、グルコシダーゼの急速な代謝作用は、食事性高血糖の状態をもたらし、このことは、脂肪過多症または糖尿病の患者において、インスリンの分泌増加、脂肪合成の増加および脂肪分解の減少をもたらす。かかる高血糖に続いて、過剰レベルのインスリンの存在による低血糖症がしばしば起こる。さらに、胃に残っているキームスは胃液の産生を促し、これにより胃炎または十二指腸潰瘍の発現が開始され、あるいは促進される。従って、グルコシダーゼ阻害剤は、炭水化物が胃を通過するのを促進し、腸からのグルコースの吸収を阻害する有用性を有することが知られている。さらに、脂肪組織の脂質への炭水化物の変換およびそれに続く食事性脂肪の脂肪組織貯蔵物への取り込みは、それに応じて減少また遅延され、それによって生じる有害な異常を緩和または予防する利点がある。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従ってかかるグルコシダーゼ阻害活性を容易に測定できる(例えば、Biochemistry (1969) 8 : 4214)。
【0092】
一般に好ましいグルコシダーゼ阻害剤はアミラーゼ阻害剤を含む。アミラーゼ阻害剤は、デンプンまたはグリコーゲンのマルトースへの酵素分解を阻害するグルコシダーゼ阻害剤である。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従ってかかるアミラーゼ阻害活性を容易に測定できる(例えば、Methods Enzymol. (1955) 1: 149 )。かかる酵素分解の阻害はグルコースおよびマルトースを含む生体利用性糖類の量を減少させ、生体利用性糖類によって引き起こされる有害疾患を減少させる利点を有する。
【0093】
種々のグルコシダーゼ阻害剤は当分野の技術者に公知であり、例を以下に示す。好ましいグルコシダーゼ阻害剤は、アカルボース、アジポシン、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテート、カミグリボース、テンダミスタット、トレスタチン、プラジミシン−Qおよびサルボスタチンからなるグループから選択される阻害剤である。グルコシダーゼ阻害剤アカルボース、およびそれに関連する種々のアミノ糖誘導体は米国特許第4,062,950号および第4,174,439号にそれぞれ開示されている。グルコシダーゼ阻害剤アジポシンは米国特許第4,254,256号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤ボグリボースである、3,4−ジデオキシ−4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−2−C−(ヒドロキシメチル−1)−D−エピ−イノシトール、およびそれに関連する種々のN−置換擬似アミノ糖は米国特許第4,701,559号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤ミグリトールである、(2R,3R,4R,5S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル)−3,4,5−ピペリジントリオール、およびそれに関連する種々の3,4,5−トリヒドロキシピペリジンは、米国特許第4,639,436号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤エミグリテートである、p−[2−[(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ]エトキシ]−安息香酸エチル、それに関連する種々の誘導体およびそれらの薬学的に許容できる酸付加塩は、米国特許第5,192,772号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤MDL−25637である、2,6−ジデオキシ−7−O−ベータ−D−グルコピラノシル−2,6−イミノ−−D−グリセロ−L−グルコ−ヘピトール、それに関連する種々のホモ二糖、およびそれらの薬学的に許容できる酸付加塩は、米国特許第4,634,765号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤カミグリボースである、メチル6−デオキシ−6−[(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ]−アルファ−D−グルコピラノシド3/2水和物、それに関連するデオキシノジリマイシン誘導体、その種々の薬学的に許容できる塩およびその合成方法は、米国特許第5,157,116号および5,504,078号に開示されている。グリコシダーゼ阻害剤サルボスタチンおよびその種々の擬似糖は、米国特許第第5,091,524号に記載されている。
【0094】
種々のアミラーゼ阻害剤が当分野の技術者に公知である。アミラーゼ阻害剤テンダミスタットおよびそれに関連する種々の環状ペプチドは米国特許第4,451,455号に開示されている。アミラーゼ阻害剤AI−3688およびそれに関連する種々の環状ポリペプチドは、米国特許第4,623,714号に開示されている。トレスタチンA、トレスタチンBおよびトレスタチンCの混合物からなるアミラーゼ阻害剤トレスタチンおよびそれに関連する種々のトレハロースを含有するアミノ糖は、米国特許第4,273,765号に開示されている。
【0095】
本発明の式Iの化合物と組み合わせて使用できるさらなる抗糖尿病薬は、例えば、ビグアナイド剤(例えば、メトホルミン)、インスリン分泌促進剤(例えば、スルホニル尿素およびグリニド)、グリタゾン系薬物、非グリタゾン系PPARガンマアゴニスト、PPARベータアゴニスト、DPP−IV阻害剤、PDE5阻害剤、GSK−3阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、f−1阻害剤、6−BPアーゼ(Metabasis/三共)、GLP−1/類似体(AC2993、エキセンディン−4としても知られる)、インスリンおよびインスリンミメティック(メルク天然物)を含む。他の例はPKC−ベータ阻害剤およびAGE破壊剤を含む。
【0096】
本発明の化合物は抗肥満薬と組み合わせて使用できる。任意の抗肥満薬をかかる組み合わせに使用でき、例を本明細書に示す。当分野の技術者は当該技術分野で公知の標準的なアッセイに従って、容易にかかる抗肥満活性を測定できる。適切な抗肥満薬は、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミン、ベータsub.3アドレナリン受容体アゴニスト、アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(アポB/MTP)阻害剤、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害薬(例えば、シブトラミン)、交感神経興奮薬、セロトニン作動薬、カンナビノイド受容体アンタゴニスト(例えば,リモナバント(SR−141、716A))、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、5HT2cアゴニスト、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、テトラヒドロリプスタチン、すなわちオルリスタット)、ボンベシンアゴニスト、食欲抑制薬(例えば、ボンベシンアゴニスト)、神経ペプチド−Yアンタゴニスト、チロキシン、チロミメティック(thyromimetic)薬、デヒドロエピアンドロステロンもしくはその類似体、グルココルチコイド受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養因子(例えば、アクソキン(商標))、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニストもしくは逆アゴニスト、ニューロメディンU受容体アゴニストなどを含む。
【0097】
任意のチロミメティック薬を本発明の化合物と組み合わせて使用できる。当分野の技術者は、標準的なアッセイに従ってかかるチロミメティック活性を容易に測定できる(例えば、Atherosclerosis (1996) 126: 53-63)。例えば、米国特許第4,766,121号;第4,826,876号;第4,910,305号;第5,061,798号;第5,284,971号;第5,401,772号;第5,654,468号;および第5,569,674号などの、種々のチロミメティック薬が当分野の技術者に公知である。他の抗肥満薬は、米国特許第4,929,629号に記載されているようにして製造できるシブトラミン、および米国特許第3,752,814号および第3,752,888号に記載されているようにして製造できるブロモクリプチンを含む。
【0098】
骨粗鬆症は、骨量減少および骨組織の劣化により特徴付けられ、結果として骨脆弱性と骨折発生性の増加を伴う、全身性骨疾患である。米国においては、2500万人を超す人がこの疾患に侵され、毎年500,000例の脊椎骨折、250,000例の股関節骨折および240,000例の手首骨折を含む、毎年130万例を超す骨折の原因となっている。股関節骨折が骨粗鬆症の最も深刻な結果であり、5〜20%の患者が1年以内に死亡し、50%以上の生存者が就労不能となる。高齢者が骨粗鬆症のリスクに最もさられており、従って、この問題は人口の高齢化と共に顕著に増加すると予測される。世界的な骨折の発生率は、次の60年間で3倍に増加すると予想され、1つの研究によれば、2050年には世界中で450万例の股関節骨折が予測されている。女性の場合、男性よりも骨粗鬆症のリスクが高い。女性は、閉経後の5年間に骨量減少の急激な減少を経験する。リスクを増加させる他の因子は、喫煙、アルコール乱用、座りがちな生活様式およびカルシウムの摂取不足を含む。
【0099】
当分野の技術者は、本発明の式Iの化合物と共に骨吸収抑制剤(例えばプロゲスチン、ポリホスホネート、ビホスホネート、エストロゲンアゴニスト/アンタゴニスト、エストロゲン、エストロゲン/プロゲスチンの組み合わせ、プレマリンRTM、エストロン、エストリオールまたは17アルファ−もしくは17ベータ−エチニルエストラジオール)を使用できることを認識するであろう。典型的なプロゲスチンは販売元から入手でき、アルゲストンアセトフェニド、アルトレノゲスト、酢酸アマジノン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、シンゲストール、酢酸クロゲストン、酢酸クロメゲストン、酢酸デルマジノン、デソゲストレル、ジメチステロン、ジヒドロゲステロン、エチネロン、二酢酸エチノジオール、エトノゲストレル、酢酸フルロゲストン、ゲスタクロン、ゲストデン、カプロン酸ゲストノロン、ゲストリノン、ハロプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、リネステレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、二酢酸メチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストメット、ノルゲストレル、フェンプロピオン酸オキソゲストン、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール、キンゲストロン、およびチゲストールを含む。好ましいプロゲスチンはメドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロンおよびノルエチノドレルである。典型的な骨吸収阻害ポリホスホネートは、米国特許第3,683,080号(その開示を本願に引用して援用する)に開示されているタイプのポリホスホネートを含む。好ましいポリホスホネートはジェミナルジホスホネートである(ビスホスホネートとも呼ばれる)。チルドロネート二ナトリウムは特に好ましいポリホスホネートである。イバンドロン酸は特に好ましいポリホスホネートである。アレンドロネートおよびレシンドロネートは特に好ましいポリホスホネートである。ゾレドロン酸は特に好ましいポリホスホネートである。他の好ましいポリホスホネートは6−アミノ−1−ヒドロキシ−ヘキシリデン−ビスホスホン酸および1−ヒドロキシ−3(メチルペンチルアミノ)−プロピリデン−ビスホスホン酸である。ポリホスホネートは、酸、または可溶性アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の形で投与できる。ポリホスホネートの加水分解可能なエステルもまた同様に含まれる。具体例は、エタン−1−ヒドロキシ1,1−ジホスホン酸、メタンジホスホン酸、ペンタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、メタンジクロロジホスホン酸、メタンヒドロキシジホスホン酸、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホン酸、エタン−2−アミノ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−3−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−N,N−ジメチル−3−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−3,3−ジメチル−3−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、フェニルアミノメタンジホスホン酸、N,N−ジメチルアミノメタンジホスホン酸、N(2−ヒドロキシエチル)アミノメタンジホスホン酸、ブタン−4−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、ペンタン−5−アミノ−1−ヒドロキシ−−1,1−ジホスホン酸、ヘキサン−6−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸ならびにそれらの薬学的に許容できるエステルおよび塩を含む。
【0100】
特に、本発明の化合物は哺乳動物エストロゲンアゴニスト/アンタゴニストと組み合わせることができる。いずれのエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストも本発明の二番目の化合物として使用できる。エストロゲンアゴニスト/アンタゴニストという用語は、エストロゲン受容体と結合し、骨代謝を阻害し、および/または骨量減少を抑制する化合物を指す。本明細書においては、特に、エストロゲンアゴニストは哺乳動物組織におけるエストロゲン受容体部位に結合し、1つ以上の組織においてエストロゲンの作用を模倣することができる化学化合物として定義される。本明細書においては、エストロゲンアンタゴニストは哺乳動物組織におけるエストロゲン受容体に結合し、1つ以上の組織においてエストロゲンの作用を遮断することができる化学化合物として定義される。当分野の技術者は、エストロゲン受容体結合アッセイ、標準的な骨組織形態計測学的方法およびデンシトメーター法、ならびにEriksen E.F. ら, Bone Histomorphometry, Raven Press, New York, 1994,
pages 1-74; Grier S. J. ら, The Use of Dual-Energy X-Ray Absorptiometry In
Animals, Inv. Radiol., 1996, 31(1) : 50-62; Wahner H. W. and Fogelman I., The
Evaluation of Osteoporosis: Dual Energy X-Ray Absorptiometry in Clinical
Practice., Martin Dunitz Ltd., London 1994, pages 1-296) を含む標準的なアッセイによりかかる活性を容易に測定できる。下記に、種々のこれらの化合物について説明し、参照する。
【0101】
他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは、3−(4−(1,2−ジフェニル−ブト−1−エニル)−フェニル)−アクリル酸であり、これはWillson ら, Endocrinology, 1997,138, 3901-3911 に開示されている。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストはタモキシフェン:(2−(−4−((Z)−2−1,2−ジフェニル−l−ブテニル)フェノキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート(1:1))および関連化合物(米国特許第4,536,516号に開示されている)であり、その開示を本願に引用して援用する。他の関連化合物は4−ヒドロキシタモキシフェン(米国特許第4,623,660号に開示されている)であり、その開示を本願に引用して援用する。
【0102】
好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストはラロキシフェン:((6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チエン−3−イル)(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−メタノン塩酸塩)であり、米国特許第4,418,068号に開示されている(その開示を本願に引用して援用する)。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストはトレミフェン:(2−(4−((Z)−4−クロロ−1,2−ジフェニル−1−ブテニル)フェノキシ)−N,N−ジメチル−エタンアミン、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート(1:1))であり、これは米国特許第4,996,225号に開示されている(その開示を本願に引用して援用する)。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストはセントクロマン:1−(2−((4−(−メトキシ−2,2,ジメチル−3−フェニル−クロマン−4−イル)−フェノキシ)−エチル)−p−ピロリジンでありこれは米国特許第3,822,287号に開示されている(その開示を本願に引用して援用する)。同様に好ましいものは、レボルメロキシフェンである。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストはイドキシフェン:(E)−1−(2−(4−(1−(4−ヨード−フェニル)−2−フェニル−ブト−1−エニル)−フェノキシ)−エチル)−ピロリジノンであり、これは米国特許第4,839,155号に開示されている(その開示を本願に引用して援用する)。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは2−(4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェノキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−6−オールであり、これは米国特許第5,488,058号に開示されている(その開示を本願に引用して援用する)。
【0103】
他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−ナフタレン−2−オールであり、これは米国特許第5,484,795号に開示されている(この開示を本願に引用して援用する)。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは(4−(2−(2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−エトキシ)−フェニル)−(6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)−メタノンであり、これは製造方法と共に、ファイザー株式会社に譲渡されたPCT国際公開番号WO95/10513号に開示されている(その開示を本願に引用して援用する)。
【0104】
他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは化合物TSE−424(Wyeth-Ayerst Laboratories)およびアラゾキシフェンを含む。他の好ましいエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,552,412号に記載されている化合物を含む(その開示を本願に引用して援用する)。それに開示されている特に好ましい化合物は:シス−6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,−7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール;(−)−シス−6−フェニル−5−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール(ラソフォキシフェンとしても知られる);シス−6−フェニル−5−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール;シス−1−(6’−ピロリジノエトキシ−3’−ピリジル)−2−フェニル−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン;1−(4’−ピロリジニルエトキシフェニル)−2−(4”−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−1,2,3,−4−テトラヒドロイソキノリン;is−6−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,−7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール;および1−(4’−ピロリジノエトキシフェニル)−2−フェニル−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンである。他のエストロゲンアゴニスト/アンタゴニストは米国特許第4,133,814号に記載されている(その開示を本願に引用して援用する)。米国特許第4,133,814号は、2−フェニル−3−アロイル−ベンゾチオフェンおよび2−フェニル−3−アロイルベンゾチフェン−1−オキシドの誘導体を開示している。
【0105】
本発明の式Iの化合物と組み合わせて使用できる他の骨粗鬆症薬は、例えば以下:副甲状腺ホルモン(PTH)(骨同化薬);副甲状腺ホルモン(PTH)分泌促進薬(例えば、米国特許第6,132,774号参照されたい)、とりわけカルシウム受容体アンタゴニスト;カルシトニン;ならびにビタミンDおよびビタミンD類似体を含む。
【0106】
降圧剤である任意の化合物を本発明の組み合わせの態様に使用できる。かかる化合物はアムロジピンおよび関連ジヒドロピリジン化合物、カルシウムチャンネル遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(「ACE−阻害剤」)、アンジオテンシン−II受容体アンタゴニスト、ベータ−アドレナリン受容体遮断薬ならびにアルファ−アドレナリン受容体遮断薬を含む。当分野の技術者は標準的な試験に従ってかかる降圧剤活性を測定できる(例えば血圧測定)。
【0107】
アムロジピンおよび関連ジヒドロピリジン化合物は、強力な抗虚血薬および降圧剤として米国特許第4,572,909号(これを本願に引用して援用する)に開示されている。米国特許第4,879,303号(これを本願に引用して援用する)はアムロジピンベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸アムロジピンとも呼ばれる)を開示している。アムロジピンおよびベシル酸アムロジピンは強力な持続性カルシウムチャンネル遮断薬である。このように、アムロジピン、ベシル酸アムロジピンおよびアムロジピンの他の薬学的に許容できる酸付加塩は降圧剤および抗虚血薬として有用性を有する。アムロジピンおよびその薬学的に許容できる酸付加塩もまた、うっ血性心不全の治療に有用性を有するとして、米国特許第5,155,120号に開示されている。ベシル酸アムロジピンは現在ノルバスク(登録商標)として販売されている。
【0108】
本発明の範囲内であるカルシウムチャンネル遮断薬は、限定するものではないが、ベプリジル(米国特許第3,962,238号または米国再発行特許第30,577号に開示されているようにして製造できる);クレンチアゼム(米国特許第4,567,175号に開示されているようにして製造できる);ジルチアゼム(米国特許第3,562に開示されているようにして製造できる);フェンジリン(米国特許第3,262,977号に開示されているようにして製造できる);ガロパミル(米国特許第3,261,859号に開示されているようにして製造できる);ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、べラパミル、アラニピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エフォニジピン、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノン、およびペルヘキシリンを含む。かかる米国特許の全ての開示を本願に引用して援用する。
【0109】
本発明の範囲内であるアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE−阻害剤)は、限定するものではないが、アラセプリル(米国特許第4,248,883号に開示されているようにして製造できる);ベナゼプリル(米国特許第4,410,520号に開示されているようにして製造できる);カプトプリル、セロナプリル、デラプリル、エナラプリル、フォシノプリル、イマダプリル、リシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、およびトランドラプリルを含む。全てのかかる米国特許の開示を本願に引用して援用する。
【0110】
本発明の範囲内であるアンジオテンシン−II受容体アンタゴニスト(A−IIアンタゴニスト)は、限定するものではないが、カンデサルタン(米国特許第5,196,444号に開示されているようにして製造できる);エプロサルタン(米国特許第5,185,351号に開示されているようにして製造できる);イルベサルタン、ロサルタン、およびバルサルタンを含む。全てのかかる米国特許の開示を本願に引用して援用する。
【0111】
本発明の範囲内であるベータ−アドレナリン受容体遮断薬(ベータ−またはベータ遮断薬)は、限定するものではないが、アセブトロール(米国特許第3,857,952号に開示されているようにして製造できる);アルプレノロール、アモスラロール(米国特許第4,217,305号に開示されているようにして製造できる);アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロールを含む。全てのかかる米国特許の開示を本願に引用して援用する。
【0112】
本発明の範囲内であるアルファ−アドレナリン受容体遮断薬(α−またはアルファ−遮断薬)は、限定するものではないが、アモスラロール(米国特許第4,217,307号に開示されているようにして製造できる);アロチノロール(米国特許第3,932,400号に開示されているようにして製造できる);ダピプラゾール、ドキサゾシン、フェンスピリド、インドラミン、ラベトロール、ナフトピジル、ニセルゴリン、プラゾシン、タムスロシン、トラゾリン、トリマゾシン、およびヨヒンビン(当分野の技術者に公知の方法に従って自然源から単離することができる)を含む。全てのかかる米国特許の開示を本願に引用して援用する。
【0113】
アルツハイマー病の治療に有用であることが知られる任意の化合物を、本発明の組み合わせの態様に使用できる。かかる化合物はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む。公知のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の例は、ドネペジル(アリセプト(登録商標))、タクリン(コグネックス(登録商標))、リバスチグミン(エキセロン(登録商標))およびガランタミン(レミニル)を含む。アリセプト(登録商標)は以下の米国特許:第4,895,841号、第5,985,864号、第6,140,321号、第6,245,911号および第6,372,760号に開示されている(その全てを完全に本願に引用して援用する)。エキセロン(登録商標)は、米国特許第4,948,807号および第5,602,176号に開示されている(その全てを完全に本願に引用して援用する)。コグネックス(登録商標)は、米国特許第4,631,286号および第4,816,456号に開示されている(全て本願に完全に引用して援用する)。レミニル(登録商標)は米国特許第4,663,318号および第6,099,863号に開示されている(その全てを完全に本願に引用して援用する)。
(本発明の化合物の製造方法)
【0114】
本発明は、有機合成の当分野の技術者に公知の多くの方法で製造できる化合物を含む。本明細書に概説する化合物は、下記の方法と共に、合成化学の当分野の技術者に一般に知られている、有機合成化学者に一般的に用いられる方法およびそれらの方法の組み合わせまたは変形法に従って合成できる。本発明における化合物の合成経路は下記に概説する方法に限定されない。当分野の技術者は下記のスキームを使用して本発明において、請求した化合物を合成できると思われる。個々の化合物は、種々の官能基に合わせるために条件の巧妙な取り扱いを必要とする場合がある。当分野の技術者に公知の種々の保護基が必要とされる場合がある。必要に応じて、適切な有機溶媒系を用いて溶出するシリカゲルカラムで精製を行うことができる。あるいは、逆相HPLCまたは再結晶を用いることができる。限定するものではないが、以下に本発明の化合物の合成方法を示す。
【0115】
スキーム1は、−−−−−−−−−が無結合であり、RがRNC(O)−である式Iの化合物の製造方法を示す。
【化4】

【0116】
スキーム1aは、−−−−−−−が無結合であり、Rがイソプロピルであり、RがRNC(O)−であり、RおよびRの1つがHであり、RおよびRの他の1つがベンジルであり、Rが4−フルオロフェニルであるさらなる例を示す。
【化5】


【0117】
スキーム1aにおいて、化合物1aは、1−(イソシアノ−4−フルオロフェニル−メタンスルホニル)−4−メチル−ベンゼンと、イミン(イソプロピルアミンとジメトキシ−アセトアルデヒドをin situで縮合させることにより生成する)との環化付加により製造される(J.Org. Chem. 1998, 63, 4529 およびその引用文献)。化合物1aをn−ブチルリチウムで処理し、得られる2−リチオ化イミダゾールをベンジルイソシアネートと反応させて化合物2aを得て、これを酸性条件で脱保護化して化合物3aを得る。化合物4aを、化合物3aと光学活性イリド(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−6−(トリフェニル−λ−ホスファニリデン)−ヘキサン酸メチルエステルとの縮合により得る(Konoike,
T.; Araki, Y. J. Org. Chem. 1994, 59, 7849)。化合物4aの接触水素化により化合物5aを得て、これをフッ化水素で脱保護して化合物6aを得る。ジエチルメトキシボランの存在下で、水素化ホウ素ナトリウムで化合物6aをジアステレオ選択的還元して化合物7aを得る。最後に、化合物7aを水酸化ナトリウム水溶液で鹸化して化合物8aを得る。別法としては、反応の後処理を酸性条件下で行って、対応するラクトン9aを得るか、あるいは対応する遊離酸10aを得ることもできる。
【0118】
スキーム2は、スキーム1の化合物3の別法の合成経路を示す(化合物4、スキーム2)
【化6】

【0119】
スキーム2aにさらなる例を示す。
【化7】

【0120】
スキーム2aに示すように、トリブロモイミダゾール9aをヨウ化イソプロピルでアルキル化してN−アルキルイミダゾール10aを合成できる。三臭化物10aを1当量のn−ブチルリチウムで処理して2−リチオ−イミダゾール中間体を得て、これをベンジルイソシアネートと反応させる。得られるリチオアミドを単離せずに、1当量のn−ブチルリチウムをさらに加えて、5位をリチオ化する。このジアニオンをDMFで処理し、後処理の後、アルデヒド11aを得る。臭化物11aを、Pd触媒により3−ピリジニルボロン酸とカップリングさせて化合物12aを得る。
【0121】
スキーム3に、−−−−−−−−−が無結合であり、Rが−(CHNRであり、nが0である本発明の化合物の製造方法を示す。
【化8】

スキーム3に概略を示すように、式12のイソシアニドとTBSOCHCHOおよび式RNHの一級アミンとを縮合させることにより、式13のイミダゾールを得ることができる。ついで酢酸によるシリルエーテルの脱保護により式14のアルコールを生成させ、次いでこれをトリフェニルホスフィンおよびHBrで式15のホスホニウム塩に変換することができる。式15のホスホニウム塩を例えばn−ブチルリチウムなどの適切な塩基で脱プロトン化し、ついで適切なアルデヒドを添加することにより、式16のオレフィンを得ることができ、これを接触水素化で還元して式17のイミダゾールを得ることができる。ついでN−ブロモスクシンイミドで臭素化して式18の臭化物を得ることができ、これを適切なパラジウム触媒の存在下でRNHと反応させて式19のアミノイミダゾールを得ることができる。あるいはまた、化合物18を一級アミンと反応させて式20のアミノイミダゾールを得ることができる。さらに、RCOCl、RNCO、ROCOClまたはRSOClなどのアシル化剤またはスルホニル化剤との反応により、アシル化アミンまたはスルホニル化アミンを生成させることができる。ついで、ケタールおよびtert−ブチルエステル保護基を酸水溶液で切断することにより最終生成物22を得ることができる。スキーム3aに類似化合物の別法の経路を示す。
【化9】

【0122】
スキーム3aに示すように、例えば、亜硝酸アルキルを用いるニトロソ化による置換アセトン前駆体から製造できるα−オキシミノケトン23を、1,3,5−三置換ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン24(市販のものを用いるか、あるいはアミンRNHおよびホルムアルデヒドから製造する)で処理してイミダゾールN−オキシド25に変換する(Helv. Chim. Acta 1998, 81, 1585, およびその引用文献)。ついでイソシアネートまたはイソチオシアネート(RNCOまたはRNCS)で処理して2−アミノイミダゾール26(Tetrahedron
2000, 56, 5405, およびその引用文献)を得て、これをR’COCl、(R’CO)OまたはR’SOClなどのアシル化剤またはスルホニル化剤と反応させてイミダゾール27を得る。硝酸セリウムアンモニウムで5−メチル基を酸化してアルデヒド官能基を導入し、ついでこれを例えば水素化トリ−tert−ブトキシアルミニウムリチウムで還元してアルコール中間体29を得る。トリフェニルホスフィン臭化水素酸塩と反応させてホスホニウム塩30を得て、ついでこれをn−ブチルリチウムまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの適切な塩基で脱プロトン化し、6−ホルミル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4−イル)酢酸tert−ブチルエステル(または6−オキソ−3,5−O−イソプロピリデン−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチル)[光学活性体、(4R,6S)−6−ホルミル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4−イル)酢酸tert−ブチルエステル、Syn.
Conm. 2003, 33 (13), 2275-83) と同様に製造する]で処理して、シス/トランスオレフィン異性体混合物としてWittig生成物31を得る。ついでアセトニド保護基を酸水溶液の存在下で切断してジオール32を得て、ついでこのオレフィンを例えばパラジウム/カーボンで接触水素化で還元して中間体33を得る。ついで水酸化ナトリウム水溶液で鹸化して−−−−−−−が無結合である最終生成物34を得る。あるいはまた、シス/トランスオレフィン異性体32をクロマトグラフィーで分離し、鹸化して−−−−−−−が1本の結合である最終生成物34を得る。あるいはまた、スキーム1に記載した方法を用い、アルデヒド28を変換して最終生成物34にしてもよい。
【0123】
スキーム4に、化合物17から出発する、−−−−−−−−−が無結合であり、RがSONRである本発明の化合物の製造方法を示す。
【化10】

【0124】
スキーム4に示すように、n−ブチルリチウムで化合物17を脱プロトン化し、二酸化硫黄ガスでクエンチし、ついでN−クロロスクシンイミドに暴露して、式35のクロロスルホニルイミダゾールを得ることができる。ついで種々のアミンを付加することにより、式36のスルホンアミドを得ることができる。酸水溶液でケタールおよびtert−ブチルエステル保護基を切断して、最終生成物37を得ることができる。
【0125】
スキーム5に−−−−−−−−−が1本の結合である本発明の化合物の製造方法を示す。
【化11】

スキーム5ステップ1に図示するように、適切な5−ホルミル−1,2,4−三置換イミダゾール38をイリド(3R)−3−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−5−オキソ−6−トリフェニルホスホラニリデンヘキサノエートと反応させてエノン39を得ることができる。ステップ2において、エノン39を水素化ホウ素ナトリウムまたはカリウムにより還元して分離可能なエピマーアルコール40および41の混合物を得る。この変換の溶媒には、−78℃〜0℃の温度のメタノールおよびイソプロパノールなどが含まれる。ステップ3において、シリルエーテル40または41をフッ化テトラブチルアンモニウムで処理して、それぞれジオール42または43を得る。反応時間および温度に応じて、ステップ3において、メチルエステル42または46からラクトン44または45がさらに生じる可能性がある。メチルエステルおよびラクトンの混合物は分離でき、あるいは最終の鹸化に共に用いることができる。従って、ステップ4において、42[および/または44]または46[および/または45]を水酸化ナトリウム水溶液で処理して、ナトリウム塩46または47をそれぞれ得る。スキーム6に、Rが−(CHNRでありnが1である本発明の化合物の製造方法を示す。
【化12】

【0126】
スキーム6に概要を示すように、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド49は、イミダゾール48(スキーム1と同様に製造)をn−ブチルリチウムまたはリチウムジイソプロピルアミドなどの塩基で処理し、得られた2−リチオ化イミダゾールをN,N−ジメチルホルムアミドと反応させて製造できる。ついでアミンRNHで還元的アミノ化を行って2−(アミノメチル)イミダゾール50を得て、スキーム3aと同様にアシル化またはスルホニル化して中間体51を得る。別法としては、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド49をヒドロキシルアミン塩酸塩で処理してオキシム誘導体に変換し、ついで接触水素化条件で還元して、例えばRがHである2−(アミノメチル)イミダゾール50を得ることができる。酸性条件でアセタール51を脱保護して、5−ホルミルイミダゾール52を得て、これを、構造28を最終化合物34に変換するためのスキーム3aに記載した方法を用いて、最終生成物53に変換する。
【実施例】
【0127】
以下の限定するものではない実施例に、本発明の実施方法を示す。本発明の化合物の合成経路は下記に概説する方法に限定されない。当分野の技術者は、本発明に記載の化合物を合成するために下記に概説したスキームを使用することができるであろう。実施例1に、Rがイソプロピルであり、RがRNC(O)−でありRが4−フルオロフェニルである、式Iの化合物の製造方法を示す。実施例1において、RおよびRの1つはHであり、RおよびRの他の1つはベンジルである。RおよびRのバリエーションを有する化合物を同様な反応スキームを用いて製造し、実施例1に続く表Iに、特性データと共に示す。
(実施例1)
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【化13】

ステップA
5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール
【化14】

【0128】
ジメトキシ−アセトアルデヒド(7.2mL,28mmol,メチル−tertブチルエーテル中に45%,Fluka Chem.)およびイソプロピルアミン(5.7mL,67mmol,Aldrich Chemical Co.)の無水テトラヒドロフラン(90mL)溶液を窒素雰囲気下、周囲温度でおおよそ3時間撹拌した。この溶液に1−(イソシアノ−4−フルオロフェニル−メタンスルホニル)−4−メチルベンゼン(6.44g,22mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で18時間撹拌し、ついで真空下で最初の容量の30%に濃縮した。反応混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(2×)した。合わせた抽出物を水酸化ナトリウム溶液(20mL,1M)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を真空下で濃縮して黄色オイルを得て、シリカクロマトグラフィー(10〜80%酢酸エチル/ヘキサン)にかけて4.88gの淡黄色非晶質粉末を得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z279[M+H]
ステップB
5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド
【化15】

【0129】
−78℃に冷却した、5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール(1.07g,3.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(15mL)撹拌溶液に、−70℃未満に温度を維持しながらシリンジでn−ブチルリチウム(2.9mL,2.0Mペンタン溶液)を加えた。混合物を30分間撹拌した。1−フルオロ−4−イソシアナトメチル−ベンゼン(0.863mL,7.7mmol)を加え、反応混合物を30分間放置して暖め周囲温度にした。飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)を加え、混合物を酢酸エチル(2×15mL)で抽出した。合わせた抽出物を減圧濃縮し、黄色スラリーを得た。スラリーを1−プロパノールで粉末化し、固体沈殿物を真空濾過で取り除き、1−プロパノールで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して黄色オイルを得て、これをシリカクロマトグラフィー(10〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、真空下で濃縮して1.2gの所望の生成物を淡黄色粉末で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z412[M+H]
ステップC
4−(4−フルオロ−フェニル)−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド
【化16】

【0130】
5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1−H−イミダゾール−2−カルボン酸4−フルオロ−ベンジルアミド(1.2g,2.9mmol)をトリフルオロ酢酸10%塩化メチレン(10mL)混合物中に溶解し、室温で2時間撹拌した。溶液を真空下で最初の容量の10%まで濃縮し、水酸化ナトリウム(40mL,1M)を加えた。混合物を塩化メチレン(3×15mL)で抽出した。抽出物を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、1.0gの所望の生成物をオフホワイト非晶質粉末で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z366[M+H]
ステップD
(R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル
【化17】

【0131】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸4−フルオロ−ベンジルアミド(1.16g,3.2mmol)および(R)−3−(tert−ブチルジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−6−(トリフェニル−15−ホスファニリデン)−ヘキサン酸メチルエステル(2.5g,4.8mmol)のトルエン(15mL)溶液を窒素雰囲気下で24時間加熱還流した。冷却した混合物を真空下で濃縮して粗製オイルを得て、これをシリカクロマトグラフィー(15〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して所望の生成物を無色ガラス質で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z622[M+H]H−NMR(400MHz,クロロホルム−D)δppm0.0(d,J=3.4Hz,2H),0.1(m,4H),0.8(m,10H),1.7(m,8H),2.5(m,2H),2.6(m,2H),3.1(m,1H),(d,J=3.9Hz,3H),3.7(s,1H),4.6(m3H),7.1(m,2H),7.3(m,2H),7.3(d,J=5.9Hz,4H),7.5(m,1H),7.6(d,J=3.4Hz,1H).
ステップE
(R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル
【化18】

【0132】
ステップDからの生成物を、テトラヒドロフラン中、(0.2g)の10%Pd/Cを用い、水素雰囲気(4295psi/mol)で13.3時間水素化した。混合物をセライトで濾過し、真空下で濃縮して、0.862gの所望の生成物を淡黄色ガラス質で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z624[M+H]
ステップF
(R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル
【化19】

【0133】
50mLポリプロピレンコニカルチューブ中の(R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル(0.862g,1.4mmol)の無水THF(12mL)氷冷溶液をフッ化水素−ピリジン(3mL,70%HF)で処理した。混合物を周囲温度に暖め、2時間撹拌した。反応混合物を炭酸ナトリウム溶液(40mL,1M)でpH11に調節した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出(3×15mL)した。抽出物を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液(15mL)および食塩水(15mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を真空下で濃縮して、757mgの生成物をコハク色ガラス質で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z510[M+H]H−NMR(400MHz,クロロホルム−D)δppm1.4(s,1H),1.7(m,7H),2.5(m,2H),2.6(m,1H),2.7(m,1H),3.1(d,J=8.3Hz,2H),3.7(m,3H),4.4(s,1H),4.6(d,J=6.1Hz,2H),7.1(t,J=8.7Hz,2H),7.3(m,6H),7.5(dd,J=8.8Hz,5.4Hz,2H),7.9(s.1H)
ステップG
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸メチルエステル
【化20】

【0134】
(R)−7−[2−(ベンジルカルバモイル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル(643mg,1.3mmol)の無水テトラヒドロフラン(5mL)溶液を窒素雰囲気下で−74℃に冷却した。ジエチルメトキシボラン(0.497mL,3.79mmol,Aldrich
Chemical Co.)を滴下し、溶液を−74℃で60分撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(67mg,1.8mmol)をニートで加え、撹拌を−75℃で1.5時間続けた。氷酢酸を6滴加え、混合物を周囲温度に暖めた。エタノールアミン(0.457mL,7.6mmol,Aldrich)を加えてホウ素を脱錯体化し、RTで18時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(15mL)で洗浄し、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して粗製オイルを得た。生成物をシリカクロマトグラフィー(10〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、574mgの所望の生成物を無色ガラス質で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z512[M+H]H−NMR(400MHz,クロロホルム−D)δppm1.4(m,1H),1.6(m,1H),1.7(d,J=7.1Hz,6H),1.8(m,1H),1.9(m,1H),2.6(m,1H),2.9(m,1H),3.2(m,1H),3.7(s,3H),4.0(m,1H),4.4(m,1H),4.6(d,J=6.1Hz,2H),5.3(m,1H),7.1(m,2H),7.3(m,1H),7.3(m,4H),7.6(m,2H),8.0(t,J=6.0Hz,1H)
ステップH
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【0135】
(3R,5R)−7−[2−(ベンジルカルバモイル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸メチルエステル(574mg,1.12mmol)のTHF(1mL)および水(1mL)撹拌溶液を、水酸化ナトリウム(1.07mL,1M)で処理した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。水(30mL)を加え、混合物を凍結乾燥して、496mgの所望の最終生成物をふわふわした白色粉末で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z498[M+H]
およびRのバリエーションを有する化合物を実施例1と同様な反応スキームを用いて製造した。代表的化合物を、特性データと共に、表Iに示す。
【表1】

【0136】
実施例2に、Rがイソプロピルであり、Rがベンジルカルバモイルであり、Rがジフルオロフェニルである式Iの化合物の製造方法を示す。Rを変化させた化合物を、同様な反応スキームで製造した。特性データと共に、実施例2に続く表IIに示す。
(実施例2)
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【化21】

ステップA
N−[(3,4−ジフルオロ−フェニル)−(トルエン−4−スルホニル)−メチル]−ホルムアミド
【化22】

【0137】
スルフィン酸ナトリウム塩二水和物(21.4g,95mmol)およびホルムアミド(4.28g,95.0mmol,Aldrich
Chemical Co.)を1L3頚フラスコに合わせた。窒素ガスの陽圧を加え、500mLの乾燥アセトニトリルを加えた。混合物を撹拌してスラリーを形成し、ニートの3,4−ジフルオロベンズアルデヒド(9.0g,63.33mmol)を一度に加えた。フラスコを氷水浴で12℃に冷却し、添加中(およそ20分間)温度を25℃未満に保ちながら、均圧滴下漏斗を介してクロロトリメチルシラン(28.13mL,221.7mmol)を加えた。混合物をRTまでゆっくり暖め、48時間撹拌した。不均一混合物を水(1.2L)で処理し、得られた懸濁液を30分間撹拌した。固体を濾過で単離し、得られた濾過ケーキを水(500mL)で洗浄した。固体を真空オーブン中、50℃、27インチHgで24時間乾燥して、生成物(18.2gの白色固体)を得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z326[M+H]
ステップB
1,2−ジフルオロ−4−[イソシアノ−(トルエン−4−スルホニル)−メチル]−ベンゼン
【化23】

(注意:この試薬は40℃以上で不安定な場合がある。)
【0138】
N−[(3,4−ジフルオロ−フェニル)−(トルエン−4−スルホニル)−メチル]−ホルムアミド(18.2g,55.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(150mL)懸濁液を機械撹拌しながら、オキシ塩化リン(8.2mL,89.5mmol)で処理した。溶液を10〜15分間撹拌し、ついで−5℃〜0℃に冷却した。スラリーに、反応温度を0℃より低く、−5℃より高く保てるような速度で、45分間かけてトリエチルアミン(37.4mL,268.5mmol)を滴下した。トリエチルアミン添加完了後、黄褐色スラリーを0℃で30分間撹拌した。反応混合物を、冷やした酢酸エチル(100mL)および水(50mL)で希釈し、10℃付近で10分間撹拌し、分液漏斗に移した。水層を除き、有機相を水(2×100mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、再度水(100mL)で洗浄した。有機相を最初の容量の10〜15%になるまで真空下で濃縮した。1−プロパノール(100mL)を加え、最初の容量の10%になるまで、35℃真空下で溶液を再度濃縮した。溶液を4〜8℃で40分間放置し、生成した微細黄色沈殿を真空濾過で回収し、1−プロパノール(30mL)で洗浄した。オフホワイト固体を、真空下で一定重量に達するまで乾燥して、4.3gの所望の生成物を得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z308[M+H].実施例1のステップA〜Hに示したものと同様な方法で、残りのステップを実施した。
【0139】
実施例2に示したものと同様な反応スキームを用いて、Rのバリエーションを有する化合物を製造した。表IIに、特性データと共に、代表的化合物を示す。
【表2】

(実施例3)
(3R,5R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−3−イソプロピル−5−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【化24】

ステップA
4−ブロモ−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド
【化25】

【0140】
−78℃(ドライアイス−アセトン浴)に冷却した2,4,5トリブロモ−1−イソプロピル−1H−イミダゾール(2.0g,5.8mmol)(トリブロモインドールからiPrI/KCO/DMF/60℃で製造)の乾燥THF(20mL)溶液を、窒素雰囲気下、n−ブチルリチウム(3.91mL,6.05mmol,1.6Mヘキサン溶液)で処理した。得られた溶液を−78℃で5分間撹拌し、ついでベンジルイソシアネート(0.71mL,5.8mmol)で処理した。反応混合物を−78℃で10分間撹拌し、その時点で冷却浴を氷水浴に置き換えた。20分後、ループインジェクション質量分析法による反応混合物の分析は、所望される付加生成物に相当する新規な質量を示した:MS
APCI401.9[M+H]。反応混合物を再度−78℃に冷却し、さらなる等モル量のn−ブチルリチウム(3.91mL,6.05mmol,1.6Mヘキサン溶液)で処理した。溶液を−78℃で5分間撹拌し、ついでDMF(0.89mL,11.53mmol)で処理し、冷却したままで15分間撹拌した。反応混合物を−78℃で10分間撹拌し、その時点で冷却浴を氷水浴に置き換えた。30分後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和NHClおよび食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して黄色固体を得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル/ヘキサン1:19〜1:4)で精製して、所望の生成物を無色固体で得た;収率:1.24g(61.4%);mp=128〜129℃(酢酸エチル−ヘキサン);MS
APCI350,352[M+H])。
ステップB
5−ホルミル−1−イソプロピル−4−ピリジン−3−イル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド
【化26】

【0141】
4−ブロモ−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール2−カルボン酸ベンジルアミド(0.87g,2.48mmol)とトルエン/エタノール/2M
NaCO(15mL,1:1:1)の混合物に短時間アルゴンを吹きつけ、ついで3−ピリジルボロン酸(0.37g,2.98mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.14g,0.12mmol)で処理した。得られた混合物を70℃で12時間加熱した。TLC(5%MeOH/DCM)による分析で、出発物質が完全に消費されていることが示された。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機層を分離し、飽和NaHCOで洗浄(2×)し、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して黄色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,CHCl/メタノール100:0〜97:3)で精製して、所望の生成物を無色固体で得た。収量:0.59g(68%);MS
APCI349[M+H];H−NMR(CDCl)δ(9.86s,1H),(8.84d,J=2.2Hz,1H),(8.68d,J=4.8Hz,1H),(8.04bs,1H),(7.93d,1H),(7.67m,1H),(7.54−7.28m,5H),(6.35m,1H),(4.62d,J=6.1Hz,2H),(1.63d,J=7.1Hz,6H).
ステップC
7−(2−ベンジルカルバモイル−3−イソプロピル−5−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル
【化27】

【0142】
5−ホルミル−1−イソプロピル−4−ピリジン−3イル−1Hイミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド(0.55g,1.58mmol)および3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−6−(トリフェニル−15−ホスファニリデン)−ヘキサン酸メチルエステル(0.89g,1.66mmol)のトルエン(10mL)溶液を終夜加熱還流した。溶媒を真空下で除いてオレンジ色オイル(1.74g)を得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,CHCl/ヘキサン/MeOH80:20:0〜97:0:3:3)で精製してオレンジ色オイルを得て、これを粉末化(ヘキサン−酢酸エチル)し、濾過してトリフェニルホスフィンオキシドを除去した。収率:0.98g(100%);MS
APCI605[M+H]。H−NMR(CDCl)δ(8.81dd,J=2.2,0.7Hz,1H),(8.60dd,J=4.9,1.7Hz,1H),(7.85s,1H),(7.85d,J=0.49Hz,1H),(7.73−7.65m,3H),(7.56−7.53m,1H),(7.49−7.45m,1H),(7.37−7.32m,7H),(6.34d,J=15.9Hz,1H),(6.10bs1H),(4.60d,J=6.1Hz,3H),(3.67s,3H),(2.72m,2H),(2.50m,2H),(1.65d,J=7.1Hz,6H),(0.81s,9H),(0.05,s,3H),(0.00s,3H);物質は不純物としてトリフェニルホスフィンオキシドを有していたが、次の反応にそのまま用いた。
【0143】
残りのステップを実施例1のステップE〜Hと同様な方法で行った。実施例4は、Rがエチルであり、Rがベンジルカルバモイルであり、かつRが4−フルオロフェニルである式Iの化合物の製造方法を示す。Rのバリエーションを有する化合物を、実施例4に続く表IIIに示す。
(実施例4)
3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−エチル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【化28】

ステップA
5−ジメトキシメチル−1−エチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール
【化29】

【0144】
ジメトキシ−アセトアルデヒド(2.2mL,8.6mmol,45%メチル−tert−ブチルエーテル溶液)およびエチルアミン(10.4mL,20.7mmol)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液を、窒素雰囲気下、周囲温度でおおよそ3時間撹拌した。α−(p−トルエンスルホニル)−4−フルオロベンジルイソニトリル(2.0g,6.9mmol)を加え、混合物を周囲温度でさらに18時間撹拌した。得られた黄色スラリーを最初の容量の30%まで真空下で濃縮した。水(15mL)を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた抽出物を1m水酸化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を真空下で濃縮して粗製オイルを得て、これをシリカクロマトグラフィー(10〜80%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.13gの所望の生成物を淡黄色オイルで得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z265[M+H]
ステップB
5−ジメトキシメチル−1−エチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド
【化30】

【0145】
5−ジメトキシメチル−l−エチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1H−イミダゾール(1.13g,4.3mmol)の無水テトラヒドロフラン(15mL)撹拌溶液を−78℃に冷却し、温度を−70℃未満に維持しながらn−ブチルリチウム(3.2mL,6.3mmol,2.0Mペンタン溶液)で処理した。30分後、反応混合物をイソシアナトメチル−ベンゼン(1.06mL,8.5mmol)で処理し、放置して30分間暖め周囲温度にした。飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)を加え、混合物を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた抽出物を真空下で濃縮して黄色スラリーを得て、1−プロパノールで粉末化した。微細白色沈殿物を真空濾過で除き、1−プロパノールで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して黄色オイルを得た。オイルをシリカクロマトグラフィー(10〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して1.51gの所望の生成物を淡黄色オイルで得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z398[M+H]
【0146】
実施例1と同様な方法でステップC〜Hを実施した。
【0147】
のバリエーションを有する化合物を実施例4に示したものと同様な反応スキームを用いて製造した。代表的化合物を表IIIに特性データと共に示す。
【表3】

(実施例5)
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【化31】

ステップA
5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−カルボアルデヒド
【化32】

【0148】
5−ジメチオキシメチル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール(510mg,1.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(15mL)溶液を窒素雰囲気下で−78℃(ドライアイス/アセトン浴)に冷却し、温度を−70℃未満に維持しながらシリンジでn−ブチルリチウム(1.4mL,2.8mmol,2.0Mペンタン溶液)を滴下した。反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、ついでベンジルジスルフィド(1.15g,4.6mmol)で処理し、−78℃で1時間撹拌した。反応混合物を冷却浴から除き、放置して暖め周囲温度にした。反応混合物は、2時間後、乾燥窒素気流下、最初の容量の50%まで反応混合物を濃縮し、ついで塩化メチレン(10mL)で希釈し、3−クロロ−過安息香酸(2.05g,9.15mmol,77%)で処理した。得られた混合物を周囲温度で30分間撹拌し、ついで3−クロロ−過安息香酸(2.05g,9.15mmol,77%)の第2のアリコートで処理し、周囲温度で18時間撹拌した。3−クロロ安息香酸を濾過で除き、濾過ケーキをクロロホルム(10mL)で洗浄した。濾液を3−クロロ−過安息香酸(2.05g,9.15mmol,77%)で処理し、周囲温度で10分間撹拌し、再度濾過した。濾液を真空下で濃縮し、粗生成物をCHClおよび1M水酸化ナトリウム溶液間で分配した。有機層を除き、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して黄色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル/ヘキサン1:9〜6:4)で精製して所望の生成物を非晶質粉末で得た。低分解能質量分析法(APCI)m/z387[M+H]
ステップB
(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル
【化33】

【0149】
5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−カルボアルデヒド(0.318g,0.82mmol)および(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−6−(トリフェニル−λ−5−ホスファニリデン)−ヘキサン酸メチルエステル(0.66g,1.2mmol)のトルエン(5mL)溶液を、窒素雰囲気下で24時間加熱還流した。冷却した反応混合物を真空下濃縮してオレンジ色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル/ヘキサン3:17〜1:1)で精製して、所望の生成物を赤橙色ガラス質で得た;収率:0.347g;低分解能質量分析法(APCI)m/z643[M+H]。)
ステップC
(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル
【化34】

【0150】
(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル(374mg,0.54mmol)のメタノール−テトラヒドロフラン(1:1)溶液を水素雰囲気(4295psi/mol)下、5%Pd/BaSO(0.2g)で39.1時間水素化した。反応混合物をセライトで濾過し、真空下で濃縮して所望の生成物を淡黄色ガラス質で得た;収率:0.366g;低分解能質量分析法(APCI)m/z645[M+H]H−NMR(400MHz,クロロホルム−D)δppm−0.0(m,3H),0.1(m,3H),0.8(m,9H),1.3(m,6H),1.4(s,1H),2.5(d,J=6.1Hz,2H),2.6(m,3H),3.1(t,J=8.1Hz,2H),3.7(m,3H),4.5(m,1H),4.8(d,J=9.0Hz,2H),5.0(s,1H),7.1(ddd,J=8.7,6.7,2.2Hz,2H),7.3(m,5H),7.6(m,2H)
ステップD
(R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル
【化35】

【0151】
50mLポリプロピレンコニカルチューブ中、(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル(0.366g,0.57mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)氷冷溶液をフッ化水素−ピリジン(3mL,70)で処理した。得られた混合物を周囲温度に暖め、1時間撹拌した。反応混合物を1M炭酸ナトリウム溶液(40mL,pH=11)で処理し、水で希釈し、酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空下で濃縮して、粗生成物をオレンジ色ガラス質で得た;収率:0.290g;低分解能質量分析法(APCI)531[M+H]
ステップE
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸メチルエステル
【化36】

【0152】
(R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3−ヒドロキシ−5−オキソ−ヘプタン酸メチルエステル(290mg,0.547mmol)の無水テトラヒドロフラン(10mL)溶液を窒素雰囲気下で−78℃(ドライアイス−アセトン浴)に冷却し、ジエチルメトキシボラン(0.222mL,1.64mmol)で処理した。反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、ついで固体水素化ホウ素ナトリウム(29mg,0.77mmol,Aldrich
Chemical Co.)で処理した。−78℃で撹拌を2時間続けた。反応混合物を氷酢酸(6滴)でクエンチし、0℃に加温し、2−アミノエタノール(0.198mL,3.28mmol)で処理した。周囲温度で30分間撹拌後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)で塩基性化(pH11)し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し濃縮して、粗製ガラス質を得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル/ヘキサン1:4〜3:2)で精製して、所望の生成物を淡黄色ガラス質で得た;収率:0.151g;低分解能質量分析法(APCI)m/z533[M+H]H−NMR(400MHz,クロロホルム−D)δppm0.9(m,3H),1.3(m,1H),1.4(m,5H),1.5(m,1H),1.7(m,1H),1.9(m,1H),2.4(dd,J=15.6,6.6Hz,1H),2.6(dd,J=15.6,6.6Hz,1H),2.9(m,1H),3.2(m,1H),3.7(m,3H),3.9(m,1H),4.3(m,1H),4.8(m,2H),5.0(m,1H),7.1(m,2H),7.3(m,5H),7.6(m,2H)
ステップF
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ナトリウム塩
【0153】
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸メチルエステル(151mg,0.284mmol)のテトラヒドロフラン−水(2mL,1:1)溶液を水酸化ナトリウム水溶液(0.269mL,1M)で処理した。得られた混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を水(20mL)で希釈し、凍結乾燥して、所望の生成物をふわふわした淡黄色粉末で得た(収率:0.138g;低分解能質量分析法(APCI)m/z519[M+H]+.CHN燃焼分析:理論値:C=54.38%,H=5.92%,N=4.88%:実測値:C=53.99%,H=5.83%,N=4.67%
(実施例6)
(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸ナトリウム塩
【化37】

ステップA
(3R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル
【化38】

【0154】
製造方法:4−ブロモ−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド(632mg,1.80mmol)および(3R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−6−(トリフェニル−15−ホスファニリデン)−ヘキサン酸メチルエステル(1.18g,2.21mmol)のトルエン(8mL)溶液を還流条件下で19時間加熱した。反応混合物を真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー[勾配溶離,ジクロロメタン〜ジクロロメタン−メタノール(9:1)]により299mgの生成物と、不純物を有するバッチとを得た。後者を再精製してさらに170mg(全収率43%)の(3R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソヘプト−6−エン酸メチルエステルを褐色フィルムで得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.76(br
t,J=6.0Hz,1H),7.60(d,J=15.9Hz,1H),7.38−7.27(m,5H),7.15(d,J=15.9Hz,1H),6.19(m,1H),4.69(m,1H),4.55(d,J=6.1Hz,2H),3.68(s,3H),2.90(m,2H),2.58(m,2H),1.59(dd,J=7.1,2.0Hz,6H),0.83(s,9H),0.08(s,3H),0.05(s,3H).MS(APCI+):C2840BrNSiの実測値:m/z606.2,608.2[M+H]
ステップB
(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−ヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステルおよび(3R,5R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−ヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル
【化39】

【0155】
製造方法:
(3R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸メチルエステルのメタノール(7mL)溶液を−78℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(30mg,0.79mmol)で処理した。得られた反応混合物を−78℃で45分間撹拌した。さらに水素化ホウ素ナトリウムの一部(20mg,0.53mmol)を加え、反応混合物を−78℃でさらに45分間撹拌した。反応混合物を水(1mL)でクエンチし、酢酸エチル(40mL)で希釈し、周囲温度に暖めた。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー[勾配溶離,ジクロロメタン〜ジクロロメタン−エーテル(19:1)]により、最初に出発物質(40mg)が回収され、ついで早めに移動するアンチアルコール(3R,5R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−ヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル(16mg)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.71(brt,J=5.9Hz,1H),7.38−7.27(m,5H),6.57(dd,J=15.9,1.7Hz,1H),6.39(dd,J=15.9,4.6Hz,1H),6.01(m,1H),4.63(m,1H),4.54(d,J=6.1Hz,2H),4.52(m,1H),3.69(s,3H),3.35(brs,1H),2.66(m,2H),1.85(m,2H),1.54(dd,J=6.9,0.9Hz,6H),0.90(s,9H)0.15(s,3H),0.11(s,3H).C2842BrNSiのMS(APCI+)実測値:m/z608.2,610.2[M+H]
【0156】
ジクロロメタン−エーテル(19:1)でさらに溶出して、シンおよびアンチアルコールの両方を含有する分画(112mg)を得た。遅めに移動する純粋の分画であるシンアルコール(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−ヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル(28mg)が最後に溶出した。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.72(brt,J=6.0Hz,1H),7.36−7.27(m,5H),6.56(dd,J=15.9,1.7Hz,1H),6.41(dd,J=15.9,4.9Hz,1H),5.99(br m,1H),4.55(m,1H),4.45(d,J=6.1Hz,2H),4.41(m,1H),3.68(s,3H),3.08(br d,J=6.8Hz,1H),2.61(m,2H),1.92(ddd,J=14.4,4.9,3.2Hz,1H),1.80(ddd,J=14.4,8.5,7.3Hz,1H),1.54(d,J=6.8Hz,6H),0.91(s,9H),0.15(s,3H),0.12(s,3H).C2842BrNSiのMS(APCI)実測値:m/z608.2,610.2[M+H]
ステップC
(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステルおよび(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステルおよび4−ブロモ−5−[(2S,4R)−2−(4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−ビニル]−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド
【化40】

【0157】
(3R,5S)−7−(2ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−ヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステル(50mg,0.082mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を0℃に冷却し、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.12mL,1.0Mテトラヒドロフラン溶液)で処理した。反応混合物を0℃で45分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(1mL)を加え、反応物を酢酸エチル−ヘキサン(1:1,40mL)および水(10mL)間で分配した。有機層を水(2×10mL)および飽和食塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー[勾配溶離,ジクロロメタン〜ジクロロメタン−メタノール(9:1)]により、(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸メチルエステルおよび4−ブロモ−5−[(2S,4R)−2−(4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−ビニル]−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸ベンジルアミド(28mg,収率70%)の2:1混合物を得た。
ステップD
(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸ナトリウム塩
【0158】
ステップCの生成物(28mg,0.058mmol)をテトラヒドロフラン(1.0mL)および水(1.0mL)に溶解した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0M溶液を0.055mL)を加えた。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。テトラヒドロフランを真空下で除き、残った水溶液を凍結(−78℃浴)し、高真空下で凍結乾燥して、(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸ナトリウム塩(28.7mg,収率99%)をふわふわした白色粉末で得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.91(brt,J=6.2Hz,1H),7.32−7.18(m,5H),6.45(d,J=16.1Hz,1H),6.32(dd,J=16.1,4.7Hz,1H),5.61(m,1H),5.31(brs,1H),4.37−4.30(m,3H),3.76(m,1H),2.02(dd,3=14.9,3.8Hz,1H),1.82(dd,J=14.9,8.2Hz,1H),1.56(m,1H),1.45(m,1H),1.42(d,J=7.0Hz,6H).C2125BrNNaのMS(APCI)実測値:m/z480.0,482.0[C2126BrN+H].元素分析値:C2125BrNNa・HOの理論値/実測値:C,48.47/48.66;H,5.23/4.87;8.08/7.76.
(実施例7)
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【化41】

ステップA
4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール3−オキシド
【化42】

【0159】
1−(4−フルオロフェニル)−1,2−プロパンジオン1−オキシム(44.3g,245mmol,国際公開番号WO00/153585号,PCT/US00/05241)および1,3,5−トリイソプロピルヘキサヒドロ−シン−トリアジン(17.7g,83.2mmol)の無水エタノール(315mL)均一混合物を窒素雰囲気下、5時間加熱還流し、ついで真空下で溶媒を除いた。残渣をジエチルエーテル(400mL)で粉末化し、固体生成物を濾過で除き、真空下で乾燥して53.7g(94%)の表題化合物を白色固体を得た(mp153〜156℃;MS(APCl)m/z235)。
ステップB
[4−(4フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]メチルアミン
【化43】

【0160】
ステップAからの4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール3−オキシド(6.00g,25.6mmol)の無水塩化メチレン(50mL)撹拌溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、イソチオシアン酸メチル(1.97g,26.9mmol)の無水塩化メチレン(20mL)溶液を滴下した。得られた均一混合物を周囲温度で2日撹拌し、ついで濃縮し、真空下で乾燥して〜6.3g(〜99%,純度〜90%)の表題化合物をコハク色フォーム(MS(APCI)m/z248)で得、これを次のステップにさらに精製せずに用いた。
ステップC
N−[4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化44】

【0161】
ステップBからの[4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]メチルアミン(4.00g,16.2mmol)およびトリエチルアミン(3.38mL,24.3mmol)の無水塩化メチレン(50mL)撹拌溶液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(1.31mL,17.0mmol)の無水塩化メチレン(15mL)溶液を40分かけて滴下した。得られた混合物を−20℃で4時間撹拌し、ついで塩化メチレン(30mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)および食塩水(25mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(15〜30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.68g(32%)の表題化合物を白色固体(mp98〜101℃;MS(APCI+)m/z326)で得た。
ステップD
N−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化45】

【0162】
ステップCからのN−[4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(1.65g,5.07mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)、水(50mL)および氷酢酸(13mL)の混合物の撹拌溶液を、15分間かけて、少量づつの硝酸セリウムアンモニウム(11.3g,20.6mmol)で処理した。得られた淡黄色均一混合物を周囲温度で2時間撹拌し、ついで激しく撹拌しながら氷水(200mL)に加えた。混合物を塩化メチレン(200mL)で抽出し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)および食塩水(50mL)で注意深く洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(15〜25%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.06g(65%)の表題化合物を白色固体で得た(mp119〜123℃;MS(APC)m/z340)。
ステップE
N−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化46】

【0163】
ステップDからのN−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(0.865g,2.55mmol)の無水テトラヒドロフラン(25mL)撹拌溶液を、窒素雰囲気下、氷−食塩浴で冷却し、5分間かけて、トリ−tert−ブトキシ水素化アルミニウムリチウム(1Mテトラヒドロフラン溶液,3.82mL)を滴下した。得られた均一混合物を1.5時間、−5〜0℃で撹拌し、ついで飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でゆっくりクエンチした。得られた不均一混合物を1M塩酸(25mL)および酢酸エチル(50mL)で希釈し、10分間撹拌して固体を溶解し、ついで層を分離した。水相を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機相を食塩水(50mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(1〜5%メタノール/ジクロロメタン)で精製して0.86g(94%)の表題化合物を白色固体で得た;mp173〜174℃;MS(APC+)m/z342)。
ステップF
臭化[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イルメチル]トリフェニルホスホニウム
【化47】

【0164】
ステップEからのN−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシメチル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(0.855g,2.50mmol)の乾燥アセトニトリル(50mL)撹拌溶液に、窒素雰囲気下でトリフェニルホスフィン臭化水素酸塩(0.857g,2.50mmol)を加えた。得られた均一混合物を65℃の加熱浴に置き、この温度で2日撹拌した。加熱浴を除き、混合物を週末の間、周囲温度で撹拌し、ついで真空下で濃縮して1.67g(95%,純度〜90%)の表題化合物をオフホワイト非晶質固体(MS(APCR)m/z586)で得て、これをさらに精製せずに用いた。
ステップG
((4R,6S)−6−{2−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−ビニル}−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4−イル)酢酸tert−ブチルエステル
【化48】

【0165】
ステップFからの臭化[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イルメチル]トリフェニルホスホニウム(1.34g,2.01mmol)の乾燥ジメチルスルホキシド(9mL)およびテトラヒドロフラン(45mL)溶液を窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、白色スラリーを得て、激しく撹拌しながら2分間かけてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1Mテトラヒドロフラン溶液,2.41mL)を滴下した。得られた黄色スラリーを−78℃で7〜8分撹拌し、ついで2分間かけて((4R,6S)−6−ホルミル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4−イル)酢酸tert−ブチルエステル(0.779g,3.02mmol,Syn. Comm. 2003, 33 (13), 2275-83,別名:(3R,5S)−6−オキソ−3,5−O−イソプロピリデン−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチル)の無水テトラヒドロフラン(2.2mL)溶液を滴下した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、冷却浴を除き、混合物を放置して暖め周囲温度にして、3時間撹拌した。ついで混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)でゆっくりクエンチし、水(20mL)および酢酸エチル(20mL)間で分配した。有機相を分離し、食塩水(20mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(20〜30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、0.73gの表題化合物(シス/トランスアルケン異性体の〜4:1混合物)を白色非晶質固体で得た。生成物混合物を次のステップに用いた。MS(APCI)m/z566.
ステップH
(3R,5S)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸tert−ブチルエステル
【化49】

【0166】
ステップGからの((4R,6S)−6−{2−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−ビニル}−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4−イル)酢酸tert−ブチルエステル(0.335g,0.592mmol)のメタノール(24mL)溶液を、1N塩酸(1.48mL)で処理し、混合物を周囲温度で終夜撹拌した。溶媒を真空下で除き、残渣を水(20mL)および酢酸エチル(25mL)で希釈し、層を分離した。有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、247mg(79%)の表題化合物(シス/トランスアルケン異性体の混合物)を白色非晶質固体で得た;(MS(APCI)m/z526)。
ステップI
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸tert−ブチルエステル
【化50】

【0167】
ステップHからの(3R,5S)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸tert−ブチルエステル(0.449g,0.854mmol)のメタノール(16mL)溶液を10%パラジウム/カーボン(0.10g)で処理し、混合物を水素雰囲気下(50psi)、1.75時間、パール装置で振盪した。ついで混合物をセライトで濾過して触媒を除去し、濾液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して301mg(67%)の表題化合物を白色非晶質固体で得た;(MS(APCI+)m/z528)。
ステップJ
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【0168】
ステップIからの(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸tert−ブチルエステル(0.250g,0.474mmol)のメタノール(15mL)溶液を、水酸化ナトリウム水溶液(1.028N,0.495mL)で処理し、反応混合物を周囲温度で26時間撹拌した。溶媒を真空下で除き、残渣を最小量の10%メタノール/ジクロロメタン(〜3mL)に溶解し、追加の塩化メチレン(10mL)で希釈し、濾過し、残った水酸化ナトリウムをすべて除去した。濾液を真空下で濃縮し、残渣をジエチルエーテル(〜20mL)で粉末化し、固体を濾過で回収し、真空下で乾燥して220mg(94%)の表題化合物を白色非晶質固体で得た。NMR(400MHz,DMSO−d)δ7.60,7.47,7.14,4.92,4.51,3.73,3.65,3.24,3.10,2.90,2.70,1.99,1.78,1.60,1.45,1.32;MS(APCI)m/z470.
(実施例8)
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−(フェニルメタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【化51】

【0169】
実施例7のステップC〜Jに記載されているものと同様な方法で、ステップCにおける塩化メタンスルホニルを塩化ベンジルスルホニルに変えて、表題化合物を製造した。MS(APCI)m/z548;mp191〜194℃(分解).
(実施例9)
(3R,5R)−7−[2−(ベンゼンスルホニル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【化52】

【0170】
実施例7のステップC〜Jに記載されているものと同様な方法で、ステップCの塩化メタンスルホニルを塩化ベンゼンスルホニルに変えて、表題化合物を製造した。NMR(400MHz,DMSO−d)δ7.87,7.73,7.63,7.51,7.12,4.93,4.59,3.73,3.68,2.94,2.72,1.98,1.79,1.62,1.50,1.43,1.32;MS(APCI)m/z532.
(実施例10)
(3R,5R)−7−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【化53】

【0171】
実施例7のステップBからの[4−(4−フルオロフェニル)−l−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]メチルアミン(3.10g,12.5mmol)およびピリジン(2.03mL,25.1mmol)の無水塩化メチレン(50mL)撹拌溶液を、窒素雰囲気下で、無水酢酸(1.42mL,15.0mmol)で処理した。得られた混合物を週末中、周囲温度で撹拌し、塩化メチレン(50mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)および食塩水(25mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(30〜80%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1.16g(32%,純度〜80%)のN−[4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]−N−メチル−アセトアミドをコハク色非晶質固体で得て、これをさらに精製せずに用いた。ラジアルクロマトグラフィー(4%メタノール/ジクロロメタン;2000ミクロンシリカゲルローター)で分析サンプルを調製し、白色固体を得た;(mp108〜111℃;MS(APCI)m/z290)。残りのステップを実施例7のステップD〜Jと同様に実施し、表題化合物を白色固体で得た。NMR(400MHz,DMSO−d)δ7.60,7.52,7.13,4.92,4.37,3.73,3.65,3.00,2.95,2.75,1.99,1.78,1.70,1.62,1.45,1.32;MS(APCI)m/z434.
(実施例11)
(3R,5R)−7−{5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−[(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−メチル]−3H−イミダゾール−4−イル}−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【化54】

ステップA
5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド
【化55】

【0172】
リチウムジイソプロピルアミド(1.5Mシクロヘキサン溶液,9.67mL,14.5mmol)の無水テトラヒドロフラン(43mL)の撹拌溶液に、−78℃、窒素雰囲気下で、実施例1のステップAからの5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール(3.67g,13.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(10mL)溶液を8分間かけて滴下した。得られた混合物を−78℃で25分間撹拌し、ついでN,N−ジメチルホルムアミド(4.08mL,52.7mmol)で処理した。−78℃でさらに30分間撹拌後、この混合物を放置して暖め周囲温度にし、ついで飽和塩化アンモニウム水溶液(25mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL)および水(25mL)で希釈した。層を分離し、有機相を水(50mL)および食塩水(20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(25%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、3.41g(84%)の表題化合物を白色固体で得た;(mp98〜99℃;MS(APCI)m/z307)。
ステップB
[5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−メチル−アミン
【化56】

【0173】
ステップAからの5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2.90g,9.47mmol)のメタノール(20mL)撹拌溶液に、0℃、窒素雰囲気下でメチルアミン(2Mメタノール溶液,28.4mL)を滴下し、0℃で20分間撹拌し、ついで15分かけて水素化ホウ素ナトリウム(0.716g,18.9mmol)を少しずつ加えた。得られた均一混合物を0℃で15分間、ついで周囲温度で2.5時間撹拌し、ついで溶媒を真空下で除いた。残渣をジクロロメタン(150mL)で希釈し、このスラリーを激しく撹拌しながら氷冷した飽和重炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり加えた。この2相混合物をガスの発生がやむまで撹拌し、層を分離し、有機相を食塩水(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮して、定量的収率の表題化合物を不透明な粘性のあるオイルで得た;(MS(APC)m/z322)。これをさらに精製せずに用いた。
ステップC
N−[5ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化57】

【0174】
ステップBからの[5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−メチル−アミン(1.36g,4.23mmol)およびトリエチルアミン(0.885mL,6.35mmol)の無水塩化メチレン(42mL)撹拌溶液を、窒素雰囲気下で0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(0.36mL,4.65mmol)で処理した。得られた混合物を0℃で1.5時間撹拌し、ついで塩化メチレン(20mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)および食塩水(15mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40〜80%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、収率80%の表題化合物を白色固体で得た;(mp136〜138℃;MS(APCI)m/z400)。
ステップD
N−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
【化58】

【0175】
ステップCからのN−[5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−メタンスルホンアミド(1.28g,3.20mmol)の乾燥ジクロロメタン(5mL)撹拌溶液を、窒素雰囲気下で、トリフルオロ酢酸(7.5mL)で処理し、周囲温度で1時間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を1M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を食塩水(20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮して、1.11g(98%)の表題化合物を白色固体で得た;(MS(APCI)m/z354)。
【0176】
残りのステップを実施例7のステップE〜Jと同様な方法で実施し、(3R,5R)−7−{5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−2−[(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−メチル]−3H−イミダゾール−4−イル}−3,5ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩を白色固体で得た;mp177〜180℃;MS(APCI)m/z484。
(実施例12)
(3R,5R)−7−[2−[(ベンゼンスルホニル−メチル−アミノ)−メチル]−5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩
【化59】

ステップA
N−[5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド
【化60】

【0177】
実施例11のステップCに記載されているものと同様な方法で、塩化メタンスルホニルを塩化ベンゼンスルホニルに変えて表題化合物を製造した。Mp112〜113℃;MS(APCI)m/z462.
ステップB
N−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ホルミル−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド
【化61】

【0178】
実施例11のステップDに記載されているものと同様な方法で、N−[5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−l−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−メタンスルホンアミドをN−[5−ジメトキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−イミダゾール−2−イルメチル]−N−メチル−ベンゼンスルホンアミドに変えて、表題化合物を製造した。MS(APCI)m/z416.
【0179】
残りのステップを実施例7のステップE〜Jと同様な方法で実施し、(3R,5R)−7−[2−[(ベンゼンスルホニル−メチル−アミノ)−メチル]−5−(4−フルオロフェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸ナトリウム塩を白色非晶質固体で得た。NMR(400MHz,DMSO−d)δ7.87,7.73,7.63,7.51,7.12,4.93,4.59,3.73,3.68,2.94,2.72,1.99,1.79,1.62,1.51,1.44,1.32;MS(APCI)m/z546.
(製剤)
【0180】
以下において「化合物(単数または複数)」と呼ぶ、本明細書に例示した化合物および全ての式Iの化合物を含む本発明の化合物は、単独または1つ以上の治療剤との組み合わせで投与できる。これらは、例えば、脂質代謝異常、インスリン非依存型糖尿病、肥満、高血糖、高コレステロール血症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、または高インスリン血症を治療、予防または調節する他の薬物を含む。
【0181】
したがって、本化合物は、かかる障害の予防と治療のために哺乳動物に好便に投与するための製剤に適している。
【0182】
以下の実施例により、本発明により提供される化合物の典型的な製剤をさらに例示する。
【表4】

【0183】
患者への静脈内投与のために、上記成分を混合し、生理食塩水に溶解する。
【表5】

【0184】
成分を均一に混合して、患者への経口投与に適した錠剤に圧縮する。
【表6】

【0185】
成分を混合しミリングして、患者に投与する硬ゼラチンカプセルの充填に適した原料を得る。
【表7】

【0186】
成分を融解して混合し、ついで全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0187】
本発明の実施形態を例示し記載してきたが、これらの実施形態が本発明の全ての可能な形を例示し記載することを意図したものではない。本明細書に使用される言葉は、限定のためというよりはむしろ記載のための言葉であって、本発明の精神と範囲から離れることなく、種々の変更がなされうることが理解される。
(生物学的アッセイ)
【0188】
本発明の化合物は、当分野の技術者により通常用いられる標準的なアッセイによりHMG Co−Aレダクターゼ阻害作用を示した(例えば、J. of Lipid Research 1998; 39: 75-84; Analytical Biochemistry, 1991;
196: 211-214; RR 740-01077 Pharmacology 8-Nov-82 を参照されたい)。従って、かかる化合物およびかかる化合物を含む製剤は、特に高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症またはアテローム性動脈硬化症の治療、調節または予防に有用である。
A.)in vitroアッセイ
【0189】
ラット肝ミクロソームの分離手順:雄のスプラーグ・ドーリー・ラット(Charles
River)に2.5%コレスチラミンを含有するラット固形飼料を5日間与え、ついで屠殺した。肝臓を細かく刻み、ホモジナイズ用ショ糖液中で、氷浴中10回、ホモジナイズした。ホモジネートを200mLの最終容量に希釈し、Sorvall
Centrifugeを用い、5℃、10,000rpm(12,000×G)で15分間遠心分離した。上部の脂肪層を除き、上澄みを新しいチューブにデカントで移した。このステップをもう一度繰り返し、ついで上澄みを超遠心管に移し、5℃、36,000rpm(105,000×G)で1時間遠心分離した。得られた上澄みを捨て、ペレットに最終で15mLになるまで0.2M
KHPOを加えた。ペレットを約10回、手で穏やかにホモジナイズした。サンプルをプールし、緩衝液で希釈して最終で60mLにした。Pierce
Chemical Company製のBCA(ビシンコニン酸)キットを用い、ローリー法により、ホモジネートのタンパク質濃度を測定した。ミクロソームの1mLアリコートを液体窒素中で凍結して保存した。
【0190】
HMG CoA(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA)レダクターゼアッセイ:材料および方法:[3−l4C]−HMG
CoA(57.0mCi/mmol)はAmersham Biosciences,UKから購入した。HMG CoA、メバロノラクトン、β−NADPH(β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(還元型))はSigma
Chemical Co.から購入した。AG1−8X樹脂はBio-Rad Laboratoryから購入した。
【0191】
1μLのジメチルスルホキシド(DMSO)または0.1nM〜1mMの最終アッセイ濃度を与えるために十分な濃度で試験化合物を含有する1μLのDMSOを、コーニング96ウェルプレートの各ウェルに入れ、50μg/mLのラット肝臓ミクロソームを含有する34μLの緩衝液(100mM
NaHPO、10mMイミダゾールおよび10mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸))を各ウェルに加えた。氷上で30分間インキュベートした後、15mM
NADPH、25mM DTT(ジチオスレイトール)を含む15μlのl4C−HMG CoA(0.024μCi)を加え、さらに45分間37℃でインキュベートした。10μLのHClを加えて反応を停止させ、ついで5μLのメバロノラクトンを加えた。プレートを室温で終夜インキュベートし、メバロン酸からメバロノラクトンにラクトン化した。インキュベートしたサンプルをコーニングフィルタープレート中に300μLのAG1−X8陰イオン交換樹脂を含有するカラムに添加した。溶離液をコーニング96ウェル捕捉プレート中に回収した。シンチレーションカクテル(Ultima-Flo-M)を各ウェルに加え、Trilux Microbeta Counterでプレートを計測した。IC50値をGraphPadソフトウェア(Prism)で算出した。
【0192】
手順:
1.プロトコルに従って、1μlのDMSOまたは化合物をウェルに加える。
2.ラットミクロソームを含む35μLのインキュベーション緩衝液を各ウェルに加える。4℃で30分間インキュベートする。
3.15μLのl4C−HMG CoAを加える。37℃で45分間インキュベートする。
4.10μLのHCl停止試薬を加える。
5.5μLのメバロノラクトンを加える。終夜室温でインキュベートする。
6.内容物をコーニングフィルタープレート中のAG1−X8陰イオン交換樹脂に添加する。
7.溶離液をコーニング捕捉プレート中に回収する。
8.シンチレーションカクテルUltima−Flo−Mを加える。
9.Trilux Microbeta Counterで計測する。
10.IC50値を算出する。
【0193】
本発明の化合物は、約500nM未満のIC50値の範囲を示す。好ましい本発明の化合物は約100nM未満のIC50値の範囲を示す。さらに好ましい本発明の化合物は、約20nM未満のIC50値の範囲を示す。例えば、実施例1の化合物は、9.75nMのIC50を有し、実施例7の化合物は6.6nMのIC50を有し、表Iの最初に記入されている物質は3.6nMのIC50を有する。
B.)細胞アッセイ
【0194】
ラット肝細胞におけるステロール生合成のためのプロトコル:細胞培養、化合物処理および細胞標識:XenoTech(製品番号;N400572)から購入した凍結ラット肝細胞を、10細胞/ウェルの濃度で6ウェルコラーゲンIコートプレート上に塗布した。10%FBS(ウシ胎児血清)および10mM
HEPES(N−2−ヒドロキシエチル−ピペラジン−N−2−エタンスルホン酸)(Gibco製品番号;15630−080)を含有するDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)(Gibco,製品番号;11054−020)で24時間、細胞を培養した。細胞を化合物と共に4時間プレインキュベートし、ついで1μCi/mLの14C酢酸を含有する培地でさらに4時間インキュベートして標識した。標識後、細胞を150mM
NaClおよび1mM EDTAを含有する5mM MOPS(3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸)溶液で2度洗浄し、10%KOHおよび80%(容量)エタノールを含有する溶解緩衝液に回収した。
【0195】
コレステロール抽出およびデータ分析:標識コレステロールを標識非コレステロール脂質から分離するために、細胞溶解物を60℃で2時間鹸化した。ついで溶解物を0.5容量のH0および2容量のヘキサンと混合し、ついで30分間激しく撹拌した。2相を分離後、上相溶液を回収し、5容量のシンチレーションカクテルと合わせた。14Cコレステロール量を液体シンチレーション計数により定量した。IC50値をGraphPadソフトウェア(Prism3.03)で算出した。本発明の化合物は、約1000nM未満のIC50値の範囲を示す。好ましい本発明の化合物は、約100nM未満のIC50値の範囲を示す。例えば、実施例1の化合物は0.73nMのIC50値を有し、実施例7の化合物は0.99nMのIC50値を有し、表Iの最初に出てくる化合物は0.71nMのIC50を有する。
C.)L6ラット筋芽細胞におけるステロール生合成のためのプロトコル:
【0196】
細胞培養、化合物処理および細胞標識:ATCC(CRL−1458)から購入したL6ラット筋芽細胞をT−150ベント培養フラスコ中で培養し、60,000細胞/ウェルの濃度で12ウェル培養プレートに塗布した。10%熱失活FBS(ウシ胎児血清)(Gibco製品番号;10082−139)を含有するDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)(Gibco,製品番号;10567−014)中、72時間、コンフルエンスに達するまで細胞を培養した。化合物および0.2%DMSO(ジメチルスルホキシド)を含有する培地中で3時間、細胞をプレインキュベートし、化合物、0.2%DMSOおよび1μCi/mLの14C酢酸を含有する培地中でさらに3時間インキュベートすることにより標識した。標識後、lxPBS(Gibco製品番号;14190−144)で細胞を1度洗浄し、ついで10%KOHおよび78%(容量)エタノールを含有する緩衝液中、4℃で終夜溶解した。
【0197】
コレステロール抽出およびデータ分析:60℃で2時間、溶解物を鹸化することにより、脂質エステル結合をを加水分解した。3容量のヘキサンと合わせ、ピペットで6回混合することにより、鹸化した溶解物からステロール(コレステロールを含む)を抽出した。上部の有機相溶液を回収し、等容量の1N
KOH/50%メタノールと合わせ、ピペットで6回混合した。上部の有機相をシンチラント−コートプレート(Wallac製造番号;1450−501)に回収し、室温で3時間、蒸発させてヘキサンを除いた。Trilux1450プレートリーダー(Wallac)でシンチレーション計数することにより14Cコレステロールの量を定量した。式:
y=Bmax(l−(x/K+x))+y2
のシグモイド阻害曲線モデルを用い、Microsoft excel2000データ分析ウィザードにより、陰性対照と比較した、化合物濃度に対する阻害%からIC50値を算出した。ここで、Kは阻害曲線のIC50値であり、Xは阻害剤濃度であり、Yは阻害された反応であり、Bmax+Y2はXが0に近づくときの制限反応である。本発明の化合物は、約0.5nMより大きいL6IC50値を有する。例えば、実施例1の化合物は227nMのL6IC50を有し、実施例7の化合物は4330nMのL6IC50を有し、表Iの最初に出てくる物質は0.84nMのL6IC50を有する。好ましい本発明の化合物は、約1000((L6IC50/ラット肝細胞IC50)>1000)より大きい肝細胞選択性を示し、約1nMより大きいL6IC50を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、立体異性体もしくはプロドラッグ、またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩
【化1】

(式中、
−−−−−−−−−−−は1本の結合または無結合であり;
はH;C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
はH;ハロゲン;置換されていてもよいC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル;置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;
NS(O)−;RS(O)−;−(CHCOR’;−(CHNR;−(CHCOOR’;またはRNC(O)−であり;
およびRはそれぞれ独立してH;ハロゲン、OR’、(CHCOOR’、(CHCONR’R”、(CHSOR’もしくはCNで置換されていてもよいアリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキル;
置換されていてもよいC−C10アルキル;(CHCOR’;(CHCOOR’;(CHCONR’R”または(CHSOR’であり;あるいは
N、RおよびRは共に、所望によりO、NおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい4〜11員環を形成し;
は置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル;H;ハロ;置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
は置換されていてもよいアリール、アラルキル、アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
R’およびR”はそれぞれ独立してH、置換されていてもよいC−C12アルキル、アリールまたはアラルキルであり;かつ
nは0〜2である)。
【請求項2】
がC1−3アルキルである、請求項1の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物。
【請求項3】
がRNS(O)−またはRNC(O)−である、請求項1の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物。
【請求項4】
が−(CHNRである、請求項1の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物。
【請求項5】
がH;置換されていてもよい低級アルキル、フェニルまたはヘテロアリールである、請求項1の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物。
【請求項6】
以下からなるグループから選択される、請求項1の式Iの化合物:
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−5−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−プロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−イソブチル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−エチル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[2−ベンジルカルバモイル−3−イソプロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェネチルカルバモイル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロ−ベンジルカルバモイル)−3−プロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[2−フェニルカルバモイル−3−プロピル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;ならびにその薬学的に許容できる塩、アミドおよびエステル。
【請求項7】
下記からなるグループから選択される請求項1の式Iの化合物:
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロ−ベンジルカルバモイル)−5−(4−フルオロ−3−メチル−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5R)−7−(2−ベンジルカルバモイル−3−イソプロピル−5−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
(3R,5S)−7−(2−ベンジルカルバモイル−5−ブロモ−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシ−ヘプト−6−エン酸;ならびにその薬学的に許容できる塩、アミドおよびエステル。
【請求項8】
下記からなるグループから選択される請求項1の式Iの化合物:
(3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3−イソプロピル−5−フェニル−2−((R)−1−フェニル−エチルカルバモイル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ヘプタン酸;
(3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3−イソプロピル−5−フェニル−2−((S)−1−フェニル−エチルカルバモイル)−3H−イミダゾール−4−イル]−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノ−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−(メチル−フェニルメタンスルホニル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルメタンスルホニルアミノ−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−ベンゼンスルホニルアミノ−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−(ベンゼンスルホニル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−アセチルアミノ−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−(アセチル−ベンジル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−(ベンゾイル−メチル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−ベンゾイルアミノ−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルアセチルアミノ−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−(メチル−フェニルアセチル−アミノ)−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−(ベンジル−メタンスルホニル−アミノ)−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−メチルスルファモイル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[2−ベンジルスルファモイル−5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;
7−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−フェニルスルファモイル−3H−イミダゾール−4−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;および
(3R,5R)−7−{5−(4−フルオロ−フェニル)−3−イソプロピル−2−[(ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−3H−イミダゾール−4−イル}−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸;ならびにその薬学的に許容できる塩、アミドおよびエステル。
【請求項9】
(3R,5R)−異性体および(3R,5S)−異性体から選択される、請求項1〜8のそれぞれいずれか1つに記載の式Iの化合物の立体異性体、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物。
【請求項10】
(3S,5R)−異性体および(3S,5S)−異性体から選択される、請求項1〜8のそれぞれいずれか1つに記載の式Iの化合物の立体異性体、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物。
【請求項11】
HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を適応とする疾患を治療するための医薬の製造のための、請求項1〜10のそれぞれいずれか1つに記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、もしくは組成物の使用。
【請求項12】
請求項1〜10のそれぞれいずれか1つに記載の式Iの化合物と他の薬学的に活性な薬物との組み合わせ。
【請求項13】
もう一方の薬学的に活性な薬物がCTEP阻害剤、PPAR−活性化剤、MTP/アポB分泌阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステロール合成阻害剤、フィブラート、ナイアシン、イオン交換樹脂、抗酸化剤、ACAT阻害剤、胆汁捕捉剤、降圧剤、またはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤である、請求項12の組み合わせ。
【請求項14】
請求項1〜10のそれぞれいずれか1つに記載の式Iの化合物または請求項12〜13のいずれか1つに記載の組み合わせ;および薬学的に許容できる担体、希釈剤またはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項15】
アテローム性動脈硬化症を治療するための医薬の製造のための、請求項1〜10のいずれか1つに記載の式Iの化合物、請求項12〜13のいずれか1つに記載の組み合わせ、または請求項14に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2007−518787(P2007−518787A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550325(P2006−550325)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000030
【国際公開番号】WO2005/079790
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】