説明

イミダゾ[4,5−c]ピリジン化合物および抗ウイルス処置法

【課題】イミダゾ[4,5−c]ピリジン化合物および抗ウイルス処置法の提供。
【解決手段】化合物5−((3−(2,4−トリフルオロメチルフェニル)イソオキサゾール−5−イル)メチル)−2−(25フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジンならびにその塩および溶媒和物。この化合物および医薬的に許容され得るキャリアを含む組成物、ならびに、ウイルス感染症の処置または予防におけるそのような組成物の使用もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ウイルス感染症、具体的には、C型肝炎ウイルス(HCV)を含むフラビウ
イルスおよびピコルナウイルスによるウイルス感染症の処置または予防において有用な化
合物に関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フラビウイルス科は3つの属(ペスチウイルス属、フラビウイルス属およびヘパシウイ
ルス属)からなる。フラビウイルス科にはまた、属が未だ特定されていないG型肝炎ウイ
ルス(HGV/GBV−C)が含まれる。ペスチウイルス(例えば、古典的豚コレラウイ
ルス(CSFV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)およびボーダー病ウイルス
(BDV)など)は家畜(それぞれ、ブタ、ウシおよびヒツジ)の感染症を引き起こし、
世界中で著しい経済的損失の原因となっている。BVDV(ペスチウイルス属を代表する
典型例)は至る所に存在しており、流産、奇形発生、呼吸器問題、慢性消耗病、免疫系機
能不全、ならびに、二次的なウイルス感染症および細菌感染症に対する素因を含めて、様
々な臨床症状を引き起こしている。
【0003】
ぺスチウイルス疾患を抑えるための成功の程度は様々であるが、様々なワクチンが一部
の国では使用される。その他の国では、動物の間引きおよび畜殺により、ペスチウイルス
疾患の突然の発生を阻止する。
【0004】
世界保健機関は、世界中で1億7000万人(世界人口の3%)がHCVに慢性的に感
染していると推定している。これらの慢性的保因者は、肝硬変および/または肝臓ガンを
発症する危険性がある。10年〜20年の追跡による研究では、肝硬変が患者の20%〜
30%で発症し、そのうちの1%〜5%が次の10年の期間中に肝臓ガンを発症し得る。
今日用いることができる唯一の処置選択肢は、単独またはリバビリンとの併用のどちらか
でのインターフェロンα−2(またはそのペグ化形態)の使用である。しかしながら、持
続した応答が患者の約40%で観察されるだけであり、処置には、重大な副作用が伴う。
従って、HCVの強力かつ選択的な阻害剤が早急に求められている。
【0005】
化合物3−[((2−ジプロピルアミノ)エチル)チオ]−5H−1,2,4−トリア
ジノ[5,6−b]インドールが、BVDVおよび他のペスチウイルスの複製を選択的に
阻害することが報告されている(Baginski他、Proc.Natl.Acad.
Sci.U.S.A.、2000(Jul 5)、97(14):7981〜6)。現在
、薬学的方法は何1つ、ペスチウイルス感染症を抑えるために利用することができない。
【0006】
コクサッキーウイルスはピコルナウイルス科のエンテロウイルス属に属する。コクサッ
キーウイルスにより、ヘルパンギナ、無菌性髄膜炎、かぜ様症候群、非麻痺性灰白髄炎様
症候群、流行性胸膜痛(一般には流行病で発生する急性の熱性感染性疾患)、手足口症候
群、小児および成人の膵炎、ならびに重篤な心筋炎を含む不均一な一群の感染症が引き起
こされている。
【0007】
現在、プレコナリル(3−13,5−ジメチル−4−[[3−メチル−5−イソオキサ
ゾリル)プロピル]フェニル]−5−(トリフルオロメチル−1,2,4−オキサジアゾ
ール))およびエンビロキシム(2−アミノ−1−(イソプロピルスルホニル)−6−ベ
ンゾイミダゾールフェニルケトンオキシム)だけが、エンテロウイルスによる感染症の処
置のために臨床的に研究されている。プレコナリルはいわゆる「カプシド機能阻害剤」で
あり、一方、エンビロキシムはRNA複製中間体の形成を妨げる。エンビロキシムはわず
かばかりの臨床的およびウイルス学的な利点を一部の研究でもたらしただけであり、他の
研究では何の利点ももたらさなかった。プレコナリルによる臨床的応答が一部の研究では
観察されているが、この化合物は現在、食品医薬品局によって承認されていない(200
2年3月18日のヒアリング)。
【0008】
関連した開示には、下記が含まれる:米国特許第4,914,108号、同第4,98
8,707号、同第4,990,518号、同第5,137,896号、同第5,208
,242号、同第5,227,384号、同第5,302,601号、同第5,374,
638号、同第5,405,964号、同第5,438,063号、同第5,486,5
25号、同第6,479,508号;および米国特許出願US2003/0108862
Al、カナダ国特許2423800Al、ドイツ国特許4211474A1、同4236
026、同4309969、同4318813、欧州特許EP0138552A2、同E
P0706795A2、同EP1132381A1、英国特許2158440A、PCT
特許出願WO00/20416、同WO00/39127、同WO00/40583、同
WO03/007945A1、同WO03/010140A2、同WO03/01014
1A2、同WO93/02080、同WO93/14072、同WO96/11192、
同WO96/12703、同WO99/27929、PCT−US2004/43112
、PCT−BE2003/000117、PCT−US2005/26606;Akam
atsu他、“New Efficient Route for Solid−Pha
se Syntesis of Benzimidazole Derivatives
”、4:475〜483、J.COMB.CHEM.、2002;Cleve他、“De
rivate des Imidazo[4,5−b]− und Imidazo[4
,5−c]pyridins”、747:158〜171、JUSTUS LIEBIG
S ANNALEN DER CHEMICA、1971;Kiyama他、“Synt
hesis and Evaluation of Novel Nonpeptide
Angiotensin II Receptor Antagonists: Im
idazo[4,5−c]pyridine Derivatives with an
Aromatic Substituent”、43(3):450〜60、CHEM
PHARM BULL、1995;Mederski他、“Synthesis an
d Structural Assignment of Some N−substi
tuted Imidazopyridine Derivatives”、48(48
):10549〜58、TETRAHEDRON、1992;Yutilov他、23(
1):56〜9、KHIMIKO−FARMATSEVTICHESKII ZHURN
AL、1989。本明細書中に示されるすべての引用物の開示は、そのような開示が本明
細書中において内容に関連する程度に参考として明確に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
治療的特性(例えば、フラビウイルス科に属するウイルス(C型肝炎ウイルスを含む)
に対する、また、ピコルナウイルス科に属するウイルスに対する、経口でのより大きな生
物学的利用能、低下した毒性、最適なクリアランス、および、増大した効力など)を有す
る化合物が求められている。本発明のこれらの目的および他の目的が、全体として本明細
書の検討から当業者には明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明の目的によれば、新規な化合物の5−((3−(2,4−トリフルオロメチルフ
ェニル)イソオキサゾール−5−イル)メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H
−イミダゾ[4,5−c]ピリジン:
【0011】
【化1】

【0012】
ならびにその塩および溶媒和物。本発明の化合物を医薬的に許容され得るキャリアと一緒
に含む組成物、ならびに、ウイルス感染症(特に、HCV感染症)の処置または予防にお
けるそのような組成物の使用もまた提供される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
5−((3−(2,4−トリフルオロメチルフェニル)イソオキサゾール−5−イル)
メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジンなら
びにその塩および溶媒和物。
(項目2)
項目1に記載される化合物と、少なくとも1つの医薬的に許容され得るキャリアとを
含む組成物。
(項目3)
項目1に記載される化合物の抗ウイルス量を対象に投与することを含む、ウイルス感
染症の処置または予防のための方法。
(項目4)
前記ウイルス感染症がHCVである、項目3に記載の方法。
(項目5)
遊離塩基である項目1に記載の化合物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の化合物はフラビウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、具体的には、
HCV感染症およびBVDV感染症の処置または予防のために用いられる。
【0014】
本発明の治療化合物は、この分野で広く知られている任意の手段によって、すなわち、
経口的に、鼻腔内に、皮下に、筋肉内に、皮内に、静脈内に、動脈内に、非経口的に、ま
たはカテーテル法によって、治療効果的な量で、すなわち、フラビウイルスまたはピコル
ナウイルスの成長阻害量あるいはフラビウイルスまたはピコルナウイルスの複製阻害量で
、対象の哺乳動物(ヒトを含む)に投与される。この量は、約1μg/ml〜100mg
/mlの間の血漿中濃度(場合により、10mg/mlの血漿中濃度)を確実にする量で
あると考えられる。このことは、ヒトについては体重1kgあたり1日につき、0.00
1mg〜60mgの範囲、好ましくは0.01mg〜10mgの範囲、好ましくは約0.
5mg〜1.5mgの範囲での投薬量の投与によって場合により達成される。1mg/k
g、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kgお
よび60mg/kgの投薬量が、イヌにおける毒性研究を行うために、また、ヒトにおけ
る好適な服用量に外挿するために好適である。本発明の化合物の最適な投薬量は、とりわ
け、対象における化合物の生物学的利用能、その代謝および分布、その毒性およびその効
力を含めて、当業者に知られている多くの要因に依存する。適正な服用は典型的には、前
臨床および臨床での設定で決定され、十分に当業者の能力の範囲内である。本発明の化合
物の治療効果的な量は場合により、感染症の性質、患者の全身的状態、および、本発明の
化合物の性質に応じて、1日あたり数個の部分単位に分割されるか、あるいは、毎日、ま
たは、2日以上の間隔で投与される。一般に、本発明の化合物は毎日投与される。
【0015】
本発明の化合物は、ピコルナウイルス感染症またはフラビウイルス感染症に対して効果
的な他の薬剤と合わせて用いられる。そのような薬剤には、例えば、インターフェロンα
、リバビリン、ならびに/あるいは、EP1162196、WO03/010141、W
O03/007945、WO00/204425および/またはWO03/010140
(およびそれらの特許ファミリーに含まれる他の出願明細書)の開示に含まれる化合物が
含まれる。そのような他の薬剤は従来の量で使用され、だが、本発明の化合物およびその
ような他の化合物の効力が付加的であるならば、それぞれの活性な薬剤の量は場合により
、比例して少なくされ、また、これらの薬剤が相乗的に作用するならば、それ以上に少な
くされる。しかしながら、一般には、これらの薬剤は組成物においてそれらの通常的な活
性な量で用いられる。
【0016】
併用して投与される薬剤は一般には、それらが化学的に適合性であり、かつ、同じ経路
によって投与されることが意図される限り、本発明の化合物との単位組成物に配合される
。そうでないならば、それらは場合により、これら2つの薬剤を別個の保管場所または区
画に含有する医療用のキットまたは包装物の形態で提供される。
【0017】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つ化合物をそのための獣医学的キャリアと一緒
に含む、例えば、BVDVの処置における獣医学的組成物を提供する。獣医学的キャリア
は、組成物を投与するという目的のために有用な物質であり、また、そうでない場合には
不活性であるか、または、獣医学分野において許容可能であり、かつ、本発明の化合物と
の適合性を有する賦形剤である。このような獣医学的組成物は、経口的に、非経口的に、
または、任意の他の所望される経路によって投与される。
【0018】
本発明の化合物は、遊離塩基として、または、塩として提供される。塩は典型的には、
遊離塩基へのある種の有機酸および無機酸の酸付加によって調製される。例には、(1)
無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸または臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リ
ン酸およびスルファミン酸など;または(2)有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒド
ロキシ酢酸、安息香酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、乳酸、フマ
ル酸、酒石酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、サリチル酸(例えば、2
−ヒドロキシ安息香酸)、p−アミノサリチル酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、コハ
ク酸、シュウ酸およびクエン酸など;有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、C1〜C6アルキルスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびシクロヘキサンスルファミ
ン酸などが含まれる。本発明の範囲にはまた、1つまたは複数のアミノ酸(典型的には、
天然に存在するアミノ酸、例えば、タンパク質に見出されるアミノ酸の1つなど)との本
発明の化合物の塩が含まれる。酸性対イオンは望ましくは、その塩が化合物の調製(この
ときには毒性は関係がない)における中間体として使用されていない限り、生理学的に無
害かつ非毒性であるか、または、そうでない場合には医薬的に許容され得る。遊離塩基が
好ましい一方で、好適な塩には、メシラート(メタンスルホン酸)およびHClが含まれ
る。
【0019】
本発明の化合物には、本発明の化合物またはその塩を用いて形成される溶媒和物、例え
ば、水和物およびアルコラートなどが含まれる。
【0020】
本発明の化合物は、場合により、通常の実施に従って選択される従来の医薬用のキャリ
アおよび賦形剤とともに配合される。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、増量剤および結合剤
などを含有する。水性の配合物が無菌形態で調製され、また、経口投与以外による送達の
ために意図されるときには、一般に、等張性である。配合物は場合により、賦形剤(例え
ば、“Handbook of Pharmaceutical Excipients
”(1986)に示されるような賦形剤など)を含有し、また、アスコルビン酸および他
の酸化防止剤、キレート化剤(例えば、EDTAなど)、炭水化物(例えば、デキストリ
ンなど)、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロースおよび
ステアリン酸を含む。
【0021】
本明細書中で使用される用語「医薬的に許容され得るキャリア」は、その調製、および
/あるいは、処置すべき部位に対するその適用または散布を容易にするために有効成分と
ともに配合される任意の材料または物質を意味する。本発明の組成物において使用される
様々な好適な医薬用キャリアが当業者には広く知られている。それらには、薬学的実施と
一致するならば、すなわち、哺乳動物に対して毒性でないならば、様々な添加剤、例えば
、湿潤化剤、分散化剤、接着剤、乳化剤、溶媒、流動促進剤、コーティング剤、抗菌剤お
よび抗カビ剤(例えば、フェノール、ソルビン酸、クロラムブチル)、等張剤(例えば、
糖または塩化ナトリウムなど)が含まれる。
【0022】
本発明の医薬組成物は任意の知られている様式で調製され、例えば、有効成分を、選択
されたキャリア物質、および、適する場合には、他の添加剤(例えば、界面活性剤など)
と一段階または多段階の手順で均質に混合し、被覆し、かつ/または粉砕することによっ
て調製される。ミクロスフェア(これは通常、約1gm〜10gmの直径を有する)に配
合された本発明の化合物を含有する組成物は制御放出配合物または持続放出配合物として
有用である。
【0023】
様々な好適な界面活性剤(これはまたエマルジェント(emulgent)または乳化
剤として知られている)が本発明の医薬組成物において有用である。それらは、好適な乳
化特性、分散化特性および/または湿潤化特性を有する非イオン性物質、カチオン性物質
および/またはアニオン性物質である。好適なアニオン性界面活性剤には、水溶性石けん
および水溶性の合成界面活性剤の両方が含まれる。好適な石けんは、高級脂肪酸(C10
〜C22)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩または置換ア
ンモニウム塩、例えば、オレイン酸またはステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩
、あるいは、ココナッツオイルまたはタローオイルから得ることができる天然脂肪酸混合
物のナトリウム塩またはカリウム塩である。合成界面活性剤には、ポリアクリル酸のナト
リウム塩またはカルシウム塩;脂肪スルホン酸塩および脂肪硫酸塩;スルホン化ベンゾイ
ミダゾール誘導体およびアルキルアリールスルホン酸塩が含まれる。脂肪スルホン酸塩お
よび脂肪硫酸塩は通常、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩、
あるいは、8個〜22個の炭素原子を有するアルキル基またはアシル基で置換されたアン
モニウム塩の形態であり、例えば、リグノスルホン酸またはドデシルスルホン酸のナトリ
ウム塩またはカルシウム塩、あるいは、天然脂肪酸から得られる脂肪アルコール硫酸塩の
混合物、硫酸エステルまたはスルホン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金
属塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、および、脂肪アルコール/エチレンオキ
シド付加物のスルホン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。好適なスル
ホン化ベンゾイミダゾール誘導体は、好ましくは、8個〜22個の炭素原子を含有する。
アルキルアリールスルホン酸塩の例には、ドデシルベンゼンスルホン酸またはジブチル−
ナフタレンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物のナト
リウム塩、カルシウム塩またはアルコールアミン塩がある。対応するリン酸塩、例えば、
リン酸エステルの塩、ならびに、p−ノニルフェノールとエチレンおよび/またはプロピ
レンオキシドとの付加物の塩、あるいは、リン脂質もまた好適である。この目的のための
好適なリン脂質はセファリン型またはレシチン型の天然(動物細胞または植物細胞に由来
する)または合成のリン脂質であり、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
ァチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタ
ニルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびそれらの混合物
である。
【0024】
好適な非イオン性界面活性剤には、少なくとも12個の炭素原子を分子に含有するアル
キルフェノール、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪族アミンまたは脂肪族アミドのポリエト
キシル化誘導体およびポリプロポキシル化誘導体、アルキルアレーンスルホナートおよび
ジアルキルスルホスクシナート、例えば、脂肪族アルコール、シクロ脂肪族アルコール、
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸およびアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体(
前記誘導体は、好ましくは、3個〜10個のグリコールエーテル基、ならびに、(脂肪族
)炭化水素成分における8個〜20個の炭素原子、および、アルキルフェノールのアルキ
ル成分における6個〜18個の炭素原子を含有する)が含まれる。さらなる好適な非イオ
ン性界面活性剤が、ポリエチレンオキシドと、ポリプロピレングリコール、エチレンジア
ノポリプロピレングリコールとの、1個〜10個の炭素原子をアルキル鎖に含有する水溶
性の付加物であり、この場合、そのような付加物は20個〜250個のエチレングリコー
ルエーテル基および/または10個〜100個のプロピレングリコールエーテル基を含有
する。そのような化合物は通常、1個のプロピレングリコールユニットあたり1個〜5個
のエチレングリコールユニットを含有する。非イオン性界面活性剤の代表的な例が、ノニ
ルフェノール−ポリエトキシエタノール、ひまし油ポリグリコール酸エーテル、ポリプロ
ピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、
ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリ
エチレンソルビタンの脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレ
アートなど)、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、スクロー
スの脂肪酸エステル、および、ペンタエリトリトールの脂肪酸エステルもまた好適な非イ
オン性界面活性剤である。
【0025】
好適なカチオン性界面活性剤には、ハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシで
場合により置換される4つの炭化水素基を有する第四級アンモニウム塩(具体的には、ハ
リド)が含まれ、例えば、N−置換基として、少なくとも1つのC8〜C22アルキル基
(例えば、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチルおよびオレイル)と、さらなる置
換基として、置換または非置換またはハロゲン化の低級アルキル基、ベンジル基および/
またはヒドロキシ低級アルキル基とを含有する第四級アンモニウム塩が含まれる。
【0026】
この目的に好適な界面活性剤のより詳細な説明が、“McCutcheon’s De
tergents and Emulsifiers Annual”(MC Publ
ishing Corp.、Ridgewood、New Jersey、1981)、
“Tensid−Taschenbucw”(第2版)(Hanser Verlag、
Vienna、1981)および“Encyclopaedia of Surfact
ants”(Chemical Publishing Co.、New York、1
981)に見出される。
【0027】
本発明の化合物は、処置される状態に対して適切な任意の経路(例えば、経口、直腸、
鼻腔、局所的(眼、口内および舌下を含む)、膣および非経口的(皮下、筋肉内、静脈内
、皮内、クモ膜下および硬膜外を含む)によって投与される。好ましい投与経路は、例え
ば、被投与者の状態により変化し得るが、一般には経口である。
【0028】
経口投与のための本発明の化合物の配合物は通常、それぞれが所定量の有効成分を含有
する個別の単位物(例えば、カプセル、カシェ剤、錠剤など)として、あるいは、粉末形
態または顆粒形態として、あるいは、水性の液体または非水性の液体における溶液または
懸濁物として、あるいは、水中油型の液体エマルションまたは油中水型の液体エマルショ
ンとして提供される。本発明の化合物は場合により、ボーラス剤、舐剤またはペーストと
して提供される。
【0029】
錠剤は、場合により1つまたは複数の補助的な成分を用いて圧縮成形または型成形する
ことによって作製される。圧縮成形錠剤は、結合剤、滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、界
面活性剤および/または分散化剤と場合により混合された易流動性形態(例えば、粉末ま
たは顆粒など)での本発明の化合物を好適な装置で圧縮することによって調製される。型
成形錠剤は典型的には、不活性な液体希釈剤により湿らされた粉末化されている化合物の
混合物を好適な装置で型成形することによって作製される。錠剤は場合により被覆または
刻み目が施される場合があり、また、その中の有効成分のゆっくりした放出または制御さ
れた放出を提供するように配合される場合がある。
【0030】
眼または他の外部組織(例えば、口および皮膚など)の感染症については、配合物は場
合により、例えば、0.075%(w/w)〜20%(w/w)の量での有効成分(0.
1%(w/w)刻みで0.1%〜20%の範囲(例えば、0.6%(w/w)、0.7(
w/w)など)で有効成分を含む)、好ましくは0.2%(w/w)〜15%(w/w)
の量での有効成分、最も好ましくは0.5%(w/w)〜10%(w/w)の量での有効
成分を含有する局所用の軟膏またはクリームとして適用される。軟膏に配合されるとき、
化合物はパラフィン性または水混和性の軟膏基剤とともに用いられる。あるいは、化合物
は水中油型のクリーム基剤とともにクリームに配合される。所望されるならば、クリーム
基剤の水相は、例えば、少なくとも30%(w/w)の多価アルコール(すなわち、2つ
以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、プロピレングリコール、ブタン−1
,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコ
ール(PEG400を含む)、ならびに、それらの混合物など)を含むことができる。局
所用配合物は望ましくは、皮膚または他の罹患領域を介した有効成分の吸収または浸透を
強化する化合物を含むことができる。そのような皮膚浸透強化剤の例には、ジメチルスル
ホキシドおよび関連したアナログが含まれる。
【0031】
本発明のエマルションの油相は、知られている様式で、知られている成分から構成され
る。この相は乳化剤(これは他の場合にはエマルジェントとして知られている)を単に含
むだけであるが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と脂肪またはオイルとの混合物、
あるいは、少なくとも1つの乳化剤と脂肪およびオイルの両方との混合物を含む。場合に
より、親水性の乳化剤が、安定化剤として作用する親油性の乳化剤と一緒に含められる。
オイルおよび脂肪の両方を含むこともまた好ましい。まとめると、安定化剤を伴うか、ま
たは伴わない乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスならびにオイルおよび
脂肪は、クリーム配合物の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
【0032】
配合物のための好適なオイルまたは脂肪の選択は、所望される化粧的特性を達成するこ
とに基づく。従って、クリームは場合により、チューブまたは他の容器からの漏れを避け
るために好適な粘稠度を有する、べとつかず、汚れさせず、かつ、洗浄可能である製造物
でなければならない。直鎖または分枝鎖の一塩基性アルキルエステルまたは二塩基性アル
キルエステル(例えば、ジイソアジパート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸
のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パ
ルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、また
は、Crodamol CAPとして知られている分枝鎖エステルの混合物などを使用す
ることができ、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、要求される性質に依存
して、単独または組合せで使用することができる。あるいは、高融点の脂質、例えば、白
色の軟パラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱油などを使用することがで
きる。
【0033】
眼に対する局所投与のために好適な配合物にはまた、有効成分が好適なキャリア(特に
、有効成分のための水性溶媒)に溶解または懸濁される点眼薬が含まれる。有効成分が場
合により、0.5%(w/w)〜20%(w/w)の濃度でそのような配合物に存在し、
好都合には0.5%(w/w)〜10%(w/w)(特に約1.5%(w/w))の濃度
でそのような配合物に存在する。
【0034】
口内での局所投与のために好適な配合物には、有効成分を風味のある基剤(通常の場合
にはスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント)に含むトローチ剤;有効成分を
不活性な基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、または、スクロースおよびアラビア
ゴムなど)に含む香剤(pastille);および、有効成分を好適な液体キャリアに
含む口腔洗浄剤が含まれる。
【0035】
直腸投与のための配合物は、例えば、カカオ脂またはサリチリラートを含む好適な基剤
との坐薬として提供することができる。キャリアが固体である鼻腔投与のために好適な配
合物には、粒子サイズが例えば20ミクロン〜500ミクロンの範囲(5ミクロン刻みで
20ミクロン〜500ミクロンの範囲での粒子サイズ(例えば、30ミクロン、35ミク
ロンなど)を含む)にある粗い粉末が含まれ、そのような粉末はエアロゾル吸入器または
粉末吸入器によって投与され、そのような吸入器の数多くの例を利用することができる。
キャリアが液体である、例えば、鼻腔スプレー剤または点鼻薬として投与される好適な配
合物には、有効成分の水溶液または油性溶液が含まれる。
【0036】
膣投与のために好適な配合物は、有効成分に加えて、適切であることがこの分野で知ら
れているようなキャリアを含有する膣坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォ
ーム剤またはスプレー配合物として提供することができる。
【0037】
非経口投与のために好適な配合物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および、配合物を
意図された被投与者の血液と等張性にする溶質を含有し得る水性および非水性の無菌の注
射液;ならびに、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌の懸濁物が含
まれる。そのような配合物は、単位服用容器または多回服用容器で、例えば、密封された
アンプルおよびバイアルで提供することができ、また、無菌の液体キャリア(例えば、注
射用水)を使用直前に添加することのみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)された状態で
保存することができる。即座の注射用の溶液および懸濁物を、以前に記載された種類の無
菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0038】
本発明の化合物は、化合物の放出が制御および調節されて、より少ない服用頻度を可能
にするか、あるいは、本発明の化合物の薬理学的プロフィルまたは毒性プロフィルを改善
する制御放出組成物に配合される。制御放出組成物は、知られている様々な方法に従って
調製され、そのような方法の多くでは、活性な化合物を、ポリエステル、ポリアミノ酸、
ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースおよび/または硫酸プロタミンのような1つまたは複数のポリマーキャ
リアと配合することが伴う。薬物放出速度および作用持続期間は場合により、有効成分を
ポリマー物質(例えば、ヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメタ
クリル酸メチルおよび他の上記ポリマーなど)の粒子(例えば、マイクロカプセル)に取
り込むことによって制御される。コロイド薬物送達システムもまた好適である(例えば、
リポソーム、ミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセルなど
)。投与経路に依存して、医薬組成物(例えば、錠剤)は保護のための被覆を必要とする
場合がある。
【実施例1】
【0039】
実施例1
5−((3−(2,4−トリフルオロメチルフェニル)イソオキサゾール−5−イル)
メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン
2,4−(ビス−トリフルオロメチル)ベンズアルドキシム
芳香族アルデヒド(0.021mol)をEtOH/HO(1:2、230mL、0
.09M)に懸濁して、これにヒドロキシルアミン塩酸塩(1.58g、0.023mo
l)を加え、4℃に冷却した。この溶液にNaOH水溶液(50%、w/w)(4.13
mL、0.052mol)を滴下して加えた。室温で1.5時間撹拌した後、反応混合物
を2NのHCl水溶液で酸性化し、CHClにより抽出した(50mLで3回)。有
機溶液を飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の除去により、
粗オキシム(5.3g、定量的)が得られ、これを次工程においてそのまま使用した。
【0040】
3−(2,4−(ビス−トリフルオロメチル)フェニル)−5−(クロロメチル)イソ
オキサゾール
2,4−(ビス−トリフルオロメチル)ベンズアルドキシム(9.75g、0.038
mol)をCHCl(45mL、0.85M)に懸濁し、4℃に冷却した。プロパル
ギルクロリド(2.72mL、0.038mol)を反応液に加え、続いて、NaOCl
(10%〜13%の遊離塩素、37.6mL、0.061mol)を滴下して加えた。反
応混合物を4℃で15分間撹拌し、その後、3時間にわたって加熱還流した。室温に冷却
した後、反応液をCHClおよびHOの間で分配した。有機層を分離し、飽和Na
Cl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除いた後、粗生成物のクロロメ
チルイソオキサゾールをシリカでのカラムクロマトグラフィー(10%CHCl/ヘ
キサン(hexanes))によって精製した(6.5g、0.020mol)。
【0041】
5−((3−(2,4−トリフルオロメチルフェニル)イソオキサゾール−5−イル)
メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン
イミダゾピリジン(14.28g、0.067mol)をDMF(40mL)に懸濁し
、これにNaOH水溶液(10%、w/w)(32.2mL、0.080mol)を滴下
して加え、続いて、前工程からのクロロメチルイソオキサゾール(26.3g、0.08
0mol)をDMF(16mL)に溶解して加えた。室温で12時間撹拌した後、溶媒を
蒸発させて、粗生成物を黄褐色の固体として得た。この粗固体をHOとともに粉砕し(
7回)、MeOH/HO(2:1)から結晶化して(2回)、純粋な表題生成物を得た

【0042】
NMR;300Mhz、DMSO
ケミカルシフト、多重度、プロトンの数:
6.1、s、2
7.0、s、1
7.3、t、2
7.4〜7.5、m、1
7.8〜7.9、d、1
7.9〜8.0、d、1
8.2〜8.4、m、4
9.2、s、1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2012−184265(P2012−184265A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−148683(P2012−148683)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【分割の表示】特願2007−548448(P2007−548448)の分割
【原出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(599098493)カトリーケ・ウニフェルジテイト・ルーベン・カー・イュー・ルーベン・アール・アンド・ディ (83)
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven,K.U.Leuven R&D
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【出願人】(505001764)
【Fターム(参考)】