説明

イミド錯体、その製造方法、金属含有薄膜及びその製造方法

【課題】良好な蒸気圧を持ち、CVD法又はALD法等によってニオブ又はタンタル含有薄膜を製造するための原料となる新規なニオブあるいはタンタル錯体、その製造方法、それを用いた金属含有薄膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるイミド錯体を、例えばM(NR)X(L)(2)とアルカリ金属アルコキシド(3)との反応等により製造し


(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示し、Rは炭素数2から13のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、Lが1,2−ジメトキシエタン配位子のとき、rは1であり、Lがピリジン配位子のとき、rは2であり、Mはアルカリ金属を示す。)、そのイミド錯体(1)を原料として用いることにより、ニオブ又はタンタル含有薄膜を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造に有用な金属錯体、その製造方法、金属含有薄膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに開発されてきた半導体装置のDRAMキャパシタ誘電体には、窒化酸化ケイ素(SiON)やアルミナ(Al)が主な素材として用いられてきた。しかし、次世代の半導体には、高性能化に応えるために素子の微細化が求められており、次世代のキャパシタ誘電体の素材としては、さらに誘電率が高いものが求められている。現在、キャパシタ誘電体に使用される新規な素材として酸化タンタルや酸化ニオブが注目されている。
【0003】
現在半導体用素子として用いられている薄膜の形成方法としては、スパッタによる物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。しかし次世代以降の半導体製造では、微細化した素子の複雑な3次元構造の表面に均一で薄い膜を形成することが求められるため、凹凸のある面に均一な膜を形成することが難しいPVD法は適切ではない。そのため段差被覆性よく薄膜を作成する手法として、原料を気体として反応槽に送り込み、分解して膜を堆積させるCVD法又は基板表面に吸着させた原料を分解して膜を堆積させる原子層蒸着法(ALD法)による薄膜形成法が検討されている。
【0004】
半導体素子製造において、CVD法又はALD法により薄膜を形成するための材料には、適度な蒸気圧と熱安定性を持ち、安定した供給量で気化させることが出来る材料が選択される。さらに複雑な3次元構造の表面に均一な膜厚で成膜出来ることも必要な条件のひとつである。さらに供給時には液体であるほうが好ましい。
【0005】
CVD法又はALD法により酸化ニオブ薄膜及び酸化タンタル薄膜を形成するための原料としては、アミド化合物(例えば特許文献1及び非特許文献1)やペンタアルコキシド(例えば非特許文献2)の使用が検討されている。しかしながら、アミド化合物のうちNb(NPe)(NMeは、室温で固体であり、Nb(NBu)(NEt及びTa(NBu)(NEtは、室温で液体ではあるが蒸気圧が低い。Nb(OEt)及びTa(OEt)などのペンタアルコキシドも、室温で液体ではあるが蒸気圧が低い。すなわち、これらの化合物は、CVD法又はALD法による薄膜形成用の原料として用いる上で、それぞれ問題点を有しており、最適な原料とは言いがたい。
【0006】
【特許文献1】特開2006−131606号公報
【非特許文献1】Journal of Chinese Chemical Society、45巻、355ページ(1998年)
【非特許文献2】Chemistry of Materials、12巻、1914ページ(2000年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好な蒸気圧を持ち、CVD法またはALD法などの手法によって金属含有薄膜を製造するための原料となる新規な化合物、その製造方法、それを用いた金属含有薄膜及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上述の現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表されるイミド錯体及びその製造方法、並びにイミド錯体(1)を原料として用いる金属含有薄膜及びその製造方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0010】
【化1】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示し、Rは炭素数2から13のアルキル基を示す。)で表されることを特徴とするイミド錯体である。
【0011】
また本発明は、一般式(2)
【0012】
【化2】

(式中、M、Rは前記と同様を示し、Xはハロゲン原子を示す。Lは1,2−ジメトキシエタン配位子又はピリジン配位子を示す。Lが1,2−ジメトキシエタン配位子のとき、rは1であり、Lがピリジン配位子のとき、rは2である。)で表される化合物に、一般式(3)
【0013】
【化3】

(式中、Rは前記と同様を示す。Mはアルカリ金属を示す。)で表されるアルカリ金属アルコキシドを反応させることを特徴とする、一般式(1)で表されるイミド錯体の製造方法である。
【0014】
さらに本発明は、一般式(4)
【0015】
【化4】

(式中、M、Rは前記と同様を示す。R及びRはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。)で表される化合物に、一般式(5)
【0016】
【化5】

(式中、Rは前記と同様を示す。)で表されるアルコールを反応させることを特徴とする、一般式(1)で表されるイミド錯体の製造方法である。
【0017】
また本発明は、一般式(1a)
【0018】
【化6】

(式中、M、Rは前記と同様を示し、R1aはtert−ブチル基又はイソプロピル基を示す。)で表される化合物に、一般式(7)
【0019】
【化7】

(式中、Rは前記と同様を示す。ただし、RとR1aは同時に同じ基を示すことはない。)で表されるアミンを反応させることを特徴とする、一般式(1)で表されるイミド錯体の製造方法である。
【0020】
また本発明は、一般式(8)
【0021】
【化8】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Yはハロゲン原子を示す。)で表される金属ハロゲン化物に、一般式(3)で表されるアルカリ金属アルコキシド及び一般式(9)
【0022】
【化9】

(式中、Rは炭素数1から12のアルキル基を示す。)で表されるリチウムアミドを反応させることを特徴とする、一般式(1)で表されるイミド錯体の製造方法である。
【0023】
また本発明は、一般式(1)で表されるイミド錯体を原料として用いることを特徴とする、ニオブ又はタンタル含有薄膜の製造方法である。
【0024】
また本発明は、上述の製造方法により製造されることを特徴とする、ニオブ又はタンタル含有薄膜である。以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0025】
で表される炭素数1から12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、1,1−ジエチル−プロピル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、オクチル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル基、1,1―ジエチル―3,3−ジメチルブチル基、アダマンチル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジエチルオクチル基などを例示することができる。
【0026】
で表される炭素数2から13のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、オクチル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル基、1,1―ジエチル―3,3−ジメチルブチル基、アダマンチル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジエチルオクチル基、1,1−ジメチルウンデシル基、1,1−ジブチルペンチル基などを例示することができる。
【0027】
イミド錯体(1)は、良好な蒸気圧を持つという点で、Rは炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またRは炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、特にイソプロピル基又はtert−ブチル基であることが好ましい。特にMがニオブ原子の場合には、更に好ましくは、Rがプロピル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、かつRがtert−ブチル基である。Mがタンタル原子の場合には、更に好ましくは、Rがイソプロピル基又はtert−ブチル基であり、Rがtert−ブチル基である。
【0028】
次に本発明の製造方法について詳細に説明する。製法1は、化合物(2)とアルカリ金属アルコキシド(3)との反応により、本発明のイミド錯体(1)を製造する方法である。
【0029】
【化10】

(式中、M、R、X、L、r、R及びMは前記と同じ意味を示す。)
製法1は、有機溶媒中で実施することができ、有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭化水素類や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類を例示することが出来、これらを単独で又は混合して用いることが出来る。収率が良好な点でテトラヒドロフラン、ヘキサン、トルエン又はヘキサンとトルエンを混合して用いることが好ましい。
【0030】
製法1において、反応温度に限定は無いが、−80℃から150℃の範囲から適宜選択された温度で反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。反応時間にも限定はないが、1時間から150時間の範囲内から適宜選択された時間反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。イミド錯体(1)の収率がことさら良好な点で、15℃から110℃の範囲内の温度で6時間から48時間反応させることがさらに好ましい。
【0031】
製法1において、反応はアルゴン又は窒素雰囲気下で行うことがイミド錯体(1)の収率が良い点で好ましい。また、原料化合物(2)において、Xが塩素原子であることが収率が良い点で好ましい。さらに、原料化合物(3)において、Mがリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることが収率が良い点で好ましく、とりわけリチウム原子であることが好ましい。
【0032】
得られた本発明のイミド錯体(1)は、通常の後処理により単離することが出来る。
【0033】
製法1における原料化合物(2)は、公知の方法(例えば、Inorganic Chemistry、36巻、2647ページ(1997年)またはJournal of Chinese Chemical Society、45巻、355ページ(1998年))を参考にして容易に合成することが出来る。
【0034】
製法2は、化合物(4)とアルコール(5)との反応により、本発明のイミド錯体(1)を製造する方法である。
【0035】
【化11】

(式中、M、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
製法2は、有機溶媒中で実施することができる。有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭化水素類や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類を例示することが出来、これらを単独で又は混合して用いることが出来る。収率が良好な点でヘキサン又はトルエンが好ましい。
【0036】
製法2において、反応温度には限定は無いが、−20℃から100℃の範囲から適宜選択された温度で反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。反応時間にも限定はないが、1時間から150時間の範囲内から適宜選択された時間反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。イミド錯体(1)の収率がとりわけ良好な点で、0℃から50℃の範囲内の温度で6時間から48時間反応させることがさらに好ましい。
【0037】
製法2において、反応はアルゴン又は窒素雰囲気下で行うことがイミド錯体(1)の収率が良い点で好ましい。また、原料化合物(4)において、R及びRはともにメチル基又はともにエチル基であることが収率が良い点で好ましい。
【0038】
得られた本発明のイミド錯体(1)は、通常の後処理により単離することが出来る。
【0039】
製法2における原料化合物(4)は、公知の方法(例えば、Journal of Chinese Chemical Society、45巻、355ページ(1998年)またはInorganic Chemistry、22巻、965ページ(1983年))を参考にして容易に合成することが出来る。
【0040】
特に製法2における原料化合物(4)は、以下の工程により製造することが収率がよい点で好ましい。すなわち、化合物(2)とリチウムジアルキルアミド(6)との反応により化合物(4)を製造する方法である。
【0041】
【化12】

(式中、M、R、X、L、r、R、及びRは前記と同じ意味を示す。)
この工程は、化合物(2)とリチウムジアルキルアミド(6)との反応により、化合物(4)を得るものである。本反応は、有機溶媒中で実施することができる。有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭化水素類や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類を例示することが出来、これらを単独で又は混合して用いることが出来る。収率が良好な点でヘキサン、トルエン又はヘキサンとトルエンを混合して用いることが好ましい。
【0042】
この工程において、反応温度には限定は無いが、−80℃から100℃の範囲から適宜選択された温度で反応させることにより、化合物(4)を収率よく得ることが出来る。反応時間にも限定はないが、4時間から150時間の範囲内から適宜選択された時間反応させることにより、化合物(4)を収率よく得ることが出来る。収率がことさら良好な点で、0℃から50℃の範囲内の温度で6時間から72時間反応させることがさらに好ましい。
【0043】
この工程において、反応はアルゴン又は窒素雰囲気下で行うことが化合物(4)の収率が良い点で好ましい。また、原料化合物(2)において、Xが塩素原子であることが収率が良い点で好ましい。さらに、リチウムジアルキルアミド(6)において、R及びRは、ともにメチル基又はともにエチル基であることが収率が良い点で好ましい。
【0044】
この工程によって得られた化合物(4)は、単離することなくそのまま前述の製法2における原料化合物として反応に供することも出来るが、必要に応じて通常の後処理により単離してから製法2の反応に供してもよい。
【0045】
製法3は、化合物(1a)とアミン(7)との反応によりイミド錯体(1)を製造する方法である。
【0046】
【化13】

(式中、M、R1a、R、Rは前記と同じ意味を示す。)
製法3は、有機溶媒中で実施することも出来るが、有機溶媒を用いなくても実施することが出来る。有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭化水素類や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類を例示することが出来、これらを単独で又は混合して用いることが出来る。収率が良好な点で、溶媒を用いない方法又はヘキサン若しくはトルエン中で反応させることが好ましい。
【0047】
製法3において、反応温度には限定は無いが、10℃から150℃の範囲から適宜選択された温度で反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。反応時間にも限定はないが、4時間から150時間の範囲内から適宜選択された時間反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。イミド錯体(1)の収率がことさら良好な点で、20℃から50℃の範囲内の温度で8時間から72時間反応させることがさらに好ましい。
【0048】
製法3において、反応はアルゴン又は窒素雰囲気下で行うことがイミド錯体(1)の収率が良い点で好ましい。
【0049】
得られた本発明のイミド錯体(1)は、通常の後処理により単離することが出来る。
【0050】
製法4は、ニオブ又はタンタルの五ハロゲン化物(8)にアルカリ金属アルコキシド(3)及びリチウムアミド(9)を反応させてイミド錯体(1)を製造する方法である。
【0051】
【化14】

(式中、M、Y、R、M及びRは前記と同じ意味を示す。)
製法4は、有機溶媒中で実施することができ、有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭化水素類や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類を例示することが出来、これらを単独で又は混合して用いることが出来る。収率が良好な点でペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンが好ましく、ヘキサンが更に好ましい。
【0052】
製法4において、反応温度に限定は無いが、−80℃から150℃の範囲から適宜選択された温度で反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。反応時間にも限定はないが、4時間から150時間の範囲内から適宜選択された時間反応させることにより、イミド錯体(1)を収率よく得ることが出来る。イミド錯体(1)の収率がことさら良好な点で、15℃から110℃の範囲内の温度で6時間から48時間反応させることがさらに好ましい。
【0053】
製法4において、反応はアルゴン又は窒素雰囲気下で行うことがイミド錯体(1)の収率が良い点で好ましい。また、原料である金属ハロゲン化物(8)としては、五塩化ニオブ又は五塩化タンタルが収率が良い点で好ましい。さらに、原料であるアルカリ金属アルコキシド(3)において、Mがリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることが収率が良い点で好ましく、とりわけリチウム原子であることが好ましい。アルカリ金属アルコキシド(3)は、例えばアルコールROHとアルカリ金属を反応させる方法やアルコールROHとアルキルリチウムを反応させる方法によって調製することが出来る。原料であるリチウムアミド(9)は、例えばアルキルリチウムとアミンRNHを反応させることにより調製することが出来る。これらの方法で調製したアルカリ金属アルコキシド(3)およびリチウムアミド(9)を精製して用いることも精製せずに用いることも出来る。アルカリ金属アルコキシド(3)およびリチウムアミド(9)を同一系内で混合溶液として調製し、そのまま使用することも出来る。
【0054】
得られた本発明のイミド錯体(1)は、通常の後処理により単離することが出来る。
【0055】
本発明のイミド錯体(1)を原料に用いて、ニオブ又はタンタル含有薄膜を製造することが出来る。ニオブ又はタンタル含有薄膜の製造方法に特に限定はないが、例えばCVD法又はALD法によりニオブ又はタンタル含有薄膜を製造する場合には、イミド錯体(1)をガス化して基板上に供給する。ガス化する方法としては、例えば加熱した恒温槽にイミド錯体(1)を入れ、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン若しくは窒素などのキャリアガスを吹き込みガス化する方法、又はイミド錯体(1)をそのまま若しくは溶液とし、これらを気化器に送って加熱して気化器内でガス化する方法などがある。溶液とする場合に用いる溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の炭化水素類を例示することが出来る。
【0056】
ガスとして基板上に供給したイミド錯体(1)を、水、酸素、オゾンなどの反応性ガスを共存させて分解する方法又は基板上に吸着させたイミド錯体(1)にこれらの反応ガスを反応させることによって金属含有薄膜を製造することが出来る。分解は加熱だけでも可能であるが、プラズマや光などを併用しても良い。
【発明の効果】
【0057】
本発明のイミド錯体(1)は、良好な蒸気圧を持ち、これを原料に用いて例えばCVD法またはALD法などの手法によってニオブまたはタンタル含有薄膜を製造することが可能である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Prはイソプロピル基を、Buはtert−ブチル基を、Buはsec−ブチル基を、Peはtert−ペンチル基を示す。dmeは1,2−ジメトキシエタン配位子を示す。
【0059】
(参考例1)(tert−ブチルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)ニオブ(Nb(NBu)Cl(dme))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン30mLに五塩化ニオブ3.48g(12.9mmol)を懸濁させ、氷浴で冷却しながらtert−ブチルアミン2.87g(39.2mmol)及び1,2−ジメトキシエタン1.17g(13.0mmol)、塩化亜鉛(II)4.22g(31.0mmol)を順に加えた。室温で12時間撹拌した後、−8℃で6時間冷却しながら静置した。不溶物をろ別し、ろ液からトルエンを減圧留去することにより、明黄色の固体3.62g(10.0mmol)を得た。収率78%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.45(s,3H),3.27(s,3H),3.05(m,2H),3.01(m,2H),1.33(s,9H)。
【0060】
(実施例1)(tert−ブチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.59M)18.9mLにtert−ブタノール2.24gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをNb(NBu)Cl(dme)3.62g(10.0mmol)をトルエン15mlに溶かした溶液に加え、室温で15時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.85gを得た(収率74%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.38(s,27H),1.37(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.5(br),66.2(br),33.8,32.9。
【0061】
Nb(NBu)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTG(熱重量測定)の結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSC(示差走査熱量測定)の結果を図1に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0062】
Nb(NBu)(OBu)の蒸気圧測定
Nb(NBu)(OBu)の蒸気圧を測定したところ、46℃において0.1Torrであった。
【0063】
(実施例2)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、(tert−ブチルイミド)トリス(ジメチルアミド)ニオブ(Nb(NBu)(NMe)1.06g(3.59mmol)をヘキサン5mlに溶かした溶液にtert−ブタノール810mg(10.9mmol)を加え、室温で24時間攪拌した、溶媒を減圧留去し、残渣を蒸留することにより、無色の液体1.17gを得た(収率85%)。この液体をCに溶かしてH NMR及び13C NMRスペクトルを測定したところ、実施例1と同じスペクトルが得られ、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0064】
(実施例3)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)Cl(dme)4.79g(13.3mmol)をトルエン20mLに溶かし、LiNMeをヘキサンに懸濁させた液(5.3wt%,38.6g,40.1mmol)を加え、室温で11時間攪拌した。不溶物をろ別して暗黄色溶液を得た。この暗黄色溶液に含まれる成分を分析するため、一部をサンプリングして濃縮した。得られた残渣のH NMR及び13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NBu)(NMeが生成していることを確認した。また、得られた残渣の質量を基にして算出した暗黄色溶液中のNb(NBu)(NMeの含量は、3.15gであった(工程1;収率80%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.19(s,18H),1.42(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
47.3,33.7。
【0065】
工程1で得た暗黄色溶液に、tert−ブタノール2.37g(32.0mmol)を加え、室温で6時間攪拌した、溶媒を減圧留去し、残渣を蒸留することにより、無色の液体2.98gを得た(工程2;収率73%、工程1及び2を通じた収率58%)。この液体をCに溶かしてH NMR及び13C NMRスペクトルを測定したところ、実施例1と同じスペクトルが得られ、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0066】
(実施例4)(プロピルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NPr)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)(OBu)2.98g(7.77mmol)をプロピルアミン14.0gに溶かし、室温で17時間攪拌した。残ったプロピルアミン及び副生したtert−ブチルアミンを減圧留去し、残渣を蒸留することにより、無色の液体2.36gを得た(収率82%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.72(br,t,J=7Hz,2H),1.68(sext,J=7Hz,2H),1.39(s,27H),0.91(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.0,65.3(br),32.9,27.6,12.2。
【0067】
Nb(NPr)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図3に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0068】
(実施例5)(イソプロピルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NPr)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)(OBu)2.80g(7.30mmol)をヘキサン3mLおよびイソプロピルアミン13.0gに溶かし、室温で17時間攪拌した。ヘキサン、残ったイソプロピルアミン及び副生したtert−ブチルアミンを減圧留去し、残渣を蒸留することにより、無色の液体2.25gを得た(収率83%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.94(br,1H),1.39(s,27H),1.26(d,J=7Hz,6H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.7(br),62.6(br),32.9,27.3。
【0069】
Nb(NPr)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図4に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0070】
Nb(NPr)(OBu)の蒸気圧測定
Nb(NPr)(OBu)の蒸気圧を測定したところ、49℃において0.1Torrであった。
【0071】
(実施例6)Nb(NBu)(OBu)を用いたNb含有薄膜の製造
Nb(NBu)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量20sccm、原料圧力100Torr、希釈ガス(Ar)流量220sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出され、また、膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化ニオブであった。膜厚をSEMにより確認したところ約40nmであった。
【0072】
(実施例7)(メチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NMe)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)(OBu)2.43g(6.34mmol)をメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(2.0M、100mL)に溶かし、室温で12時間攪拌した。溶媒及び過剰のメチルアミンを減圧留去し、残渣を昇華することにより、白色固体1.22gを得た(収率56%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.55(s,3H),1.38(s,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.2,50.3(br),33.0。
【0073】
Nb(NMe)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図5に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0074】
(参考例2)(エチルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)ニオブ(Nb(NEt)Cl(dme))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン80mLに五塩化ニオブ10.9g(40.2mmol)を懸濁させ、氷浴で冷却しながらエチルアミン5.57g(124mmol)をトルエン10mLに溶かした溶液及び1,2−ジメトキシエタン3.62g(40.2mmol)、塩化亜鉛(II)16.4g(120mmol)を順に加えた。室温で12時間撹拌した後、−8℃で12時間冷却しながら静置した。不溶物をろ別し、ろ液からトルエンを減圧留去することにより、明黄色の固体9.46g(28.5mmol)を得た。収率71%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.71(q,J=7Hz,2H),3.42(s,3H),3.15(s,3H),2.97(m,2H),2.92(m,2H),1.11(t,J=7Hz,3H)。
【0075】
(実施例8)(エチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NEt)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)19.6mLにtert−ブタノール2.30gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをNb(NEt)Cl(dme)3.44g(10.4mmol)をトルエン15mlに溶かした溶液に加え、室温で12時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体3.41gを得た(収率93%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.72(q,J=7Hz,2H),1.35(s,27H),1.20(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.9,57.6(br),32.9,19.7。
【0076】
Nb(NEt)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図6に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0077】
(実施例9)(エチルイミド)トリ(tert−ペンチルオキソ)ニオブ(Nb(NEt)(OPe))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)16.2mLにtert−ペンタノール2.26gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ペンチルオキシド溶液を調製した。これをNb(NEt)Cl(dme)2.85g(8.57mmol)をトルエン12mlに溶かした溶液に加え、室温で12時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体3.09gを得た(収率91%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.69(q,J=7Hz,2H),1.58(q,J=8Hz,6H),1.30(s,18H),1.18(t,J=7Hz,3H),0.95(t,J=8Hz,H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
80.0,57.5(br),37.8,30.6,19.6,9.3。
【0078】
Nb(NEt)(OPe)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図7に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0079】
(実施例10)(エチルイミド)トリ(1−エチル−1−メチルプロピルオキソ)ニオブ(Nb(NEt)(OCEtMe))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)14.5mLに3−メチル−3−ペンタノール2.35gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウム1−エチル−1−メチルプロピルオキシド溶液を調製した。これをNb(NEt)Cl(dme)2.55g(7.68mmol)をトルエン10mlに溶かした溶液に加え、室温で12時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.67gを得た(収率79%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.72(q,J=7Hz,2H),1.62(m,12H),1.32(s,9H),1.20(t,J=7Hz,3H),0.98(t,J=8Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
82.2,57.5(br),35.5,27.6,19.5,9.1。
【0080】
Nb(NEt)(OCEtMe)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図8に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0081】
(実施例11)(tert−ブチルイミド)トリ(tert−ペンチルオキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OPe))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)5.40mLにtert−ペンタノール754mgを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ペンチルオキシド溶液を調製した。これをNb(NBu)Cl(dme)1.03g(2.85mmol)をトルエン5mlに溶かした溶液に加え、室温で6時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体1.11gを得た(収率91%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.60(q,J=8Hz,6H),1.34(s,9H),1.32(s,18H),0.95(t,J=8Hz,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
79.5(br),66.0(br),37.7,33.7,30.7,9.4。
【0082】
Nb(NBu)(OPe)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図9に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0083】
(実施例12)(tert−ペンチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NPe)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)15.8mLにtert−ブタノール1.86gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これを(tert−ペンチルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)ニオブ(Nb(NPe)Cl(dme))3.13g(8.37mmol)をトルエン12mlに溶かした溶液に加え、室温で8時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.73gを得た(収率82%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.66(q,J=8Hz,2H),1.39(s,27H),1.33(s,6H),1.06(t,J=8Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.7(br),69.0(br),38.6,32.9,31.1,10.4。
【0084】
Nb(NPe)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図10に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0085】
(実施例13)(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NCMeCHCMe)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)52.6mLにtert−ブタノール6.16gを加えて室温で1時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これを(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)ニオブ(Nb(NCMeCHCMe)Cl(dme))11.53g(27.7mmol)をトルエン50mlに溶かした溶液に加え、室温で12時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、淡黄色の液体9.94gを得た(収率82%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.88(s,2H),1.48(s,6H),1.40(s,27H),1.09(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.8(br),70.1(br),59.0,33.3,32.9,32.3,31.9。
【0086】
Nb(NCMeCHCMe)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図11に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0087】
(実施例14)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)Cl(dme)2.96g(8.21mmol)をトルエン15mlに溶かし、カリウムtert−ブトキシド2.77g(24.6mmol)を15mLのヘキサンに懸濁させたスラリーを加え、室温で15時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体1.79gを得た(収率57%)。この液体をCに溶かしてH NMR及び13C NMRスペクトルを測定したところ、実施例1と同じスペクトルが得られ、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0088】
(実施例15)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)Cl(dme)4.95g(13.7mmol)をトルエン25mlに溶かし、ナトリウムtert−ブトキシド3.96g(41.2mmol)を25mLのヘキサンに懸濁させたスラリーを加え、室温で15時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体1.44gを得た(収率27%)。この液体をCに溶かしてH NMR及び13C NMRスペクトルを測定したところ、実施例1と同じスペクトルが得られ、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0089】
(実施例16)(エチルイミド)トリ(tert−ペンチルオキソ)タンタル(Ta(NEt)(OPe))の合成
アルゴン雰囲気下で、(エチルイミド)トリス(ジエチルアミド)タンタル(Ta(NEt)(NEt)1.45g(3.29mmol)をトルエン7mlに溶かした溶液にtert−ペンタノール871mg(9.88mmol)を加え、室温で18時間攪拌した、溶媒を減圧留去し、残渣を昇華することにより、白色の固体1.19gを得た(収率74%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.11(q,J=7Hz,2H),1.63(m,12H),1.31(s,9H),1.26(t,J=7Hz,3H),0.97(t,J=8Hz,18H)。
【0090】
(実施例17)(エチルイミド)トリ(1−エチル−1−メチルプロピルオキソ)タンタル(Ta(NEt)(OCEtMe))の合成
アルゴン雰囲気下で、Ta(NEt)(NEt1.46g(3.32mmol)をトルエン7mlに溶かした溶液に3−メチル−3−ペンタノール1.02g(9.98mmol)を加え、室温で12時間攪拌した、溶媒を減圧留去し、残渣を昇華することにより、無色の液体1.52gを得た(収率87%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.11(q,J=7Hz,2H),1.63(m,12H),1.31(s,9H),1.26(t,J=7Hz,3H),0.97(t,J=8Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
82.4,55.6,35.5,27.7,21.2,9.0。
【0091】
Ta(NEt)(OCEtMe)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図12に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0092】
(参考例3)(イソプロピルイミド)トリクロロジピリジンタンタル(Ta(NPr)Cl(pyridine))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン25mLとジエチルエーテル5mLの混合液に五塩化タンタル3.82g(10.7mmol)を懸濁させ、メタけい酸ナトリウム2.61g及びイソプロピルアミン1.26gを順に加えた。室温で10時間撹拌した後、ピリジン7.0mLを加えてさらに12時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液から溶媒及び過剰のピリジンを減圧留去することにより、黄白色の固体3.36g(6.69mmol)を得た。収率63%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
9.18(br,2H),8.83(d,J=7Hz,2H),6.83(br,1H),6.67(t,J=7Hz,1H),6.51(br,2H),6.28(t,J=7Hz,2H),5.23(sept,J=7Hz,1H),1.40(d,J=7Hz,6H)。
【0093】
(実施例18)(イソプロピルイミド)トリ(tert−ブトキソ)タンタル(Ta(NPr)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)12.7mLにtert−ブタノール1.49gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをTa(NPr)Cl(pyridine)3.36g(6.68mmol)をトルエン15mlに溶かした溶液に加え、室温で12時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.65gを得た(収率87%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.31(sept,J=7Hz,1H),1.38(s,27H),1.31(d,J=7Hz,6H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.1,61.0,32.9,28.9。
【0094】
Ta(NPr)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図13に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0095】
Ta(NPr)(OBu)の蒸気圧測定
Ta(NPr)(OBu)の蒸気圧を測定したところ、47℃において0.1Torrであった。
【0096】
(参考例4)(イソプロピルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)タンタル(Ta(NPr)Cl(dme))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン60mLに五塩化タンタル5.87g(16.4mmol)を懸濁させ、氷浴で冷却しながらイソプロピルアミン2.90g(49.1mmol)及び1,2−ジメトキシエタン1.48g(16.4mmol)、塩化亜鉛(II)5.80g(42.6mmol)を順に加えた。室温で12時間撹拌した後、−8℃で22時間冷却しながら静置した。不溶物をろ別し、ろ液からトルエンを減圧留去することにより、淡黄色の固体4.67g(10.7mmol)を得た。収率66%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.88(sept,J=7Hz,1H),3.52(s,3H),3.49(s,3H),3.21(m,2H),3.18(m,2H),1.25(d,J=7Hz,6H)。
【0097】
(実施例19)Ta(NPr)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M)20.5mLにtert−ブタノール2.39gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをTa(NPr)Cl(dme)4.67g(10.7mmol)をトルエン17mlに溶かした溶液に加え、室温で12時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体3.23gを得た(収率66%)。この液体をCに溶かしてH NMR及び13C NMRスペクトルを測定したところ、実施例18と同じスペクトルが得られ、Ta(NPr)(OBu)であることを確認した。
【0098】
(参考例5)(プロピルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)タンタル(Ta(NPr)Cl(dme))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン50mLに五塩化タンタル5.86g(16.4mmol)を懸濁させ、氷浴で冷却しながらプロピルアミン2.91g(49.2mmol)及び1,2−ジメトキシエタン1.48g(16.4mmol)、塩化亜鉛(II)5.36g(39.3mmol)を順に加えた。室温で12時間撹拌した後、−8℃で24時間冷却しながら静置した。不溶物をろ別し、ろ液からトルエンを減圧留去することにより、白色の固体3.39g(7.80mmol)を得た。収率48%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.67(t,J=6Hz,1H),3.41(s,3H),3.31(s,3H),2.94(s,4H),1.63(m,2H),1.11(t,J=7Hz,3H)。
【0099】
(実施例20)(プロピルイミド)トリ(tert−ブトキソ)タンタル(Ta(NPr)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.59M)14.7mLにtert−ブタノール1.74gを加えて室温で4時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをTa(NPr)Cl(dme)3.39g(7.80mmol)をトルエン14mlに溶かした溶液に加え、室温で18時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.50gを得た(収率70%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.71(m,2H),2.06(m,2H),1.48(s,27H),1.09(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.6,65.4,32.8,28.7,12.2。
【0100】
(実施例21)(tert−ブチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)タンタル(Ta(NBu)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)79.0mLにtert−ブタノール9.26gを加えて室温で12時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これを(tert−ブチルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)タンタル(Ta(NBu)Cl(dme))18.6g(41.6mmol)をトルエン80mlに溶かした溶液に加え、室温で6時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体14.5gを得た(収率74%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.43(s,9H),1.38(s,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.9,64.4,35.3,33.0。
【0101】
Ta(NBu)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図14に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0102】
Ta(NBu)(OBu)の蒸気圧測定
Ta(NBu)(OBu)の蒸気圧を測定したところ、50℃において0.1Torrであった。
【0103】
(実施例22)Ta(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58M)14.3mLにtert−ブタノール1.68gを加えて室温で30分間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これを(tert−ブチルイミド)トリクロロジピリジンタンタル(Ta(NBu)Cl(pyridine))3.90g(7.55mmol)をトルエン15mlに溶かした溶液に加え、室温で6時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.60gを得た(収率73%)。この液体をCに溶かしてH NMR及び13C NMRスペクトルを測定したところ、実施例21と同じスペクトルが得られ、Ta(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0104】
(実施例23)(tert−ブチルイミド)トリ(tert−ペンチルオキソ)タンタル(Ta(NBu)(OPe))の合成
アルゴン雰囲気下で、(tert−ブチルイミド)トリス(ジエチルアミド)タンタル(Ta(NBu)(NEt)2.52g(5.38mmol)をヘキサン8mlに溶かした溶液にtert−ペンタノール1.42g(16.1mmol)を加え、室温で12時間攪拌した、溶媒を減圧留去し、残渣を蒸留することにより、無色の液体2.57gを得た(収率93%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.62(q,J=7Hz,6H),1.41(s,9H),1.35(s,18H),0.96(t,J=7Hz,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
80.0,64.4,37.7,35.2,30.7,9.3。
【0105】
Ta(NBu)(OPe)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図15に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0106】
(実施例24)(tert−ブチルイミド)トリス(1,1−ジエチルプロピルオキソ)タンタル(Ta(NBu)(OCEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、Ta(NBu)(NEt1.40g(3.00mmol)をヘキサン4mlに溶かした溶液に3−エチル−3−ペンタノール1.05g(9.04mmol)を加え、室温で12時間攪拌した、溶媒を減圧留去し、残渣を蒸留することにより、無色の液体1.56gを得た(収率87%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.66(q,J=8Hz,18H),1.41(s,9H),0.94(t,J=8Hz,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
84.2,64.6,35.0,32.2,8.8。
【0107】
Ta(NBu)(OCEtの熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図16に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0108】
(実施例25)(tert−ペンチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)タンタル(Ta(NPe)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M)13.6mLにtert−ブタノール1.58gを加えて室温で1時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これを(tert−ペンチルイミド)トリクロロジピリジンタンタル(Ta(NPe)Cl(pyridine))3.77g(7.11mmol)をトルエン10mlに懸濁させた液に加え、室温で6時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、無色の液体2.66gを得た(収率77%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.67(q,J=8Hz,2H),1.37(s,27H),1.36(s,6H),1.10(t,J=8Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.1,66.8,39.8,32.9,32.7,10.4。
【0109】
Ta(NPe)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図17に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0110】
(実施例26)(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)タンタル(Ta(NCMeCHCMe)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M)14.9mLにtert−ブタノール1.73gを加えて室温で1時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これを(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)トリクロロジピリジンタンタル(Ta(NCMeCHCMe)Cl(pyridine))4.47g(7.80mmol)をトルエン10mlに懸濁させた液に加え、室温で6時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を蒸留することにより、淡黄色の液体3.26gを得た(収率80%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.88(s,2H),1.50(s,6H),1.39(s,27H),1.12(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.2,68.3,60.7,34.9,33.0,32.4,32.0。
【0111】
Ta(NCMeCHCMe)(OBu)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果及び密閉容器中で昇温速度10℃/minで測定したDSCの結果を図18に示した。TGからCVD法またはALD法などの材料として良好な気化特性を有していることがわかり、DSCから熱安定性も良好であることがわかった。
【0112】
(比較例1)
Nb(OEt)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果を図19に示した。本発明のイミド錯体(1)に比べて気化特性が悪いことが明らかである。
【0113】
Nb(OEt)の蒸気圧測定
Nb(OEt)の蒸気圧を測定したところ、120℃において0.1Torrであった。
【0114】
(比較例2)
Ta(OEt)の熱分析
アルゴンを400ml/minにて流通させている雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で測定したTGの結果を図20に示した。本発明のイミド錯体(1)に比べて気化特性が悪いことが明らかである。
【0115】
Ta(OEt)の蒸気圧測定
Ta(OEt)の蒸気圧を測定したところ、129℃において0.1Torrであった。
【0116】
(実施例27)(メチルイミド)トリス(1―エチル―1−メチルプロピルオキソ)ニオブ(Nb(NMe)(OCEtMe))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)23.8mLに3−メチル−3−ペンタノール2.41gおよびメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(2.0M)9.8mLを加えて室温で1時間撹拌した後、減圧乾固した。残った白色固体にヘキサン20mLを加えてスラリーとした。このスラリーを五塩化ニオブ2.13g(7.87mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で12時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体1.70gを得た(収率51%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.52(s,3H),1.66−1.55(m,12H),1.30(s,9H),0.97(t,J=8Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
82.5,49.8(br),35.5,27.7,9.0。
【0117】
(実施例28)(エチルイミド)トリス(1,1―ジエチルプロピルオキソ)ニオブ(Nb(NEt)(OCEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)23.9mLに3−エチル−3−ペンタノール2.75gおよびエチルアミンのトルエン溶液(70wt%)1.22gを加えて室温で10時間撹拌した後、減圧乾固した。残った白色固体にヘキサン20mLを加えてスラリーとした。このスラリーを五塩化ニオブ2.13g(7.90mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で12時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体3.14gを得た(収率83%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.71(br,2H),1.64(q,J=8Hz,18H),1.19(t,J=7Hz,3H),0.95(t,J=8Hz,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
84.3,57.0(br),32.2,19.4,8.7。
【0118】
(実施例29)(イソプロピルイミド)トリス(1―エチル―1−メチルプロピルオキソ)ニオブ(Nb(NPr)(OCEtMe))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)23.3mLに3−メチル−3−ペンタノール2.36gおよびイソプロピルアミン909mgを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ2.08g(7.70mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で14時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体2.22gを得た(収率64%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.91(br,1H),1.61(m,12H),1.30(s,9H),1.22(d,J=7Hz,6H),0.96(t,J=8Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
82.0,62.5(br),35.5,27.7,27.1,9.1。
【0119】
(実施例30)Nb(NPr)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)16.1mLにイソプロピルアミン1.57gを加えて室温で4時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ3.58g(13.2mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で7時間撹拌した。さらに、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)24.1mLにtert−ブタノール2.95gを加えて11時間撹拌して調製したリチウムtert−ブトキシド溶液を加え、室温で14時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体3.14gを得た(収率64%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NPr)(OBu)であることを確認した。
【0120】
(実施例31)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)62.4mLにtert−ブタノール4.58gおよびtert−ブチルアミン3.02gを加えて室温で11時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ5.56g(20.6mmol)のヘキサン(20mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体6.04gを得た(収率77%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0121】
(実施例32)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)30.9mLにtert−ブタノール2.27gおよびtert−ブチルアミン1.49gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五臭化ニオブ5.02g(10.2mmol)を10mLのヘキサンに懸濁させた液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体1.56gを得た(収率40%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0122】
(実施例33)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)19.0mLにtert−ブチルアミン2.29gを加えて室温で11時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ4.23g(15.7mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で10分間撹拌した。さらにナトリウムtert−ブトキシド4.52gを加え、24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体4.37gを得た(収率73%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0123】
(実施例34)Nb(NBu)(OPe)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)26.5mLにtert−ペンタノール2.32gおよびtert−ブチルアミン1.28gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ2.37g(8.76mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体2.93gを得た(収率79%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NBu)(OPe)であることを確認した。
【0124】
(実施例35)(tert−ブチルイミド)トリス(1,1―ジエチルプロピルオキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OCEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)24.2mLに3−エチル−3−ペンタノール2.78gおよびtert−ブチルアミン1.17gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ2.16g(7.98mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体3.33gを得た(収率82%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.65(q,J=8Hz,18H),1.35(s,9H),0.95(t,J=8Hz,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
84.1,66.4(br),33.5,32.2,8.9。
【0125】
(実施例36)Nb(NPe)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)23.1mLにtert−ブタノール1.69gおよびtert−ペンチルアミン1.33gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ2.06g(7.62mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体2.19gを得た(収率72%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NPe)(OBu)であることを確認した。
【0126】
(実施例37)(1,3−ジメチルブチルイミド)トリス(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NCHMeCHCHMe)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)26.6mLにtert−ブタノール1.95gおよび1,3−ジメチルブチルアミン1.78gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化ニオブ2.37g(8.78mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、淡黄色の液体1.58gを得た(収率44%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.90(br,1H),1.93(m,1H),1.70(m,1H),1.39(s,27H),1.29(d,J=6Hz,3H),1.25(m,1H),0.96(d,J=7Hz,3H),0.94(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.8,64.2(br),51.0,35.9,32.9,25.7,23.22,23.21。
【0127】
(実施例38)Nb(NCMeCHCMe)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)28.6mLにtert−ブタノール2.10gおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン2.45gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五臭化ニオブ4.66g(9.46mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、淡黄色の液体2.07gを得た(収率50%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NCMeCHCMe)(OBu)であることを確認した。
【0128】
(実施例39)(メチルイミド)トリス(1,1―ジエチルプロピルオキソ)タンタル(Ta(NMe)(OCEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)18.4mLに3−エチル−3−ペンタノール2.11gおよびメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(2.0M)7.5mLを加えて室温で1時間撹拌した後、減圧乾固した。残った白色固体にヘキサン20mLを加えてスラリーとした。このスラリーを五塩化タンタル2.17g(6.06mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で12時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体1.07gを得た(収率32%)。この液体を室温まで冷却して数時間放置したところ、無色の固体となった。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.91(s,3H),1.63(q,J=8Hz,18H),0.95(t,J=8Hz,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
84.5,48.0,32.3,8.6。
【0129】
(実施例40)(エチルイミド)トリス(1,1―ジエチルプロピルオキソ)タンタル(Ta(NEt)(OCEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)23.9mLに3−エチル−3−ペンタノール2.75gおよびエチルアミンのトルエン溶液(70wt%)1.22gを加えて室温で10時間撹拌した後、減圧乾固した。残った白色固体にヘキサン20mLを加えてスラリーとした。このスラリーを五塩化タンタル2.83g(7.90mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で12時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体3.02gを得た(収率67%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.09(q,J=7Hz,2H),1.64(q,J=8Hz,18H),1.24(t,J=7Hz,3H),0.94(t,J=8Hz,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
84.4,55.5,32.3,21.0,8.7。
【0130】
(実施例41)(イソプロピルイミド)トリス(1,1―ジエチルプロピルオキソ)タンタル(Ta(NPr)(OCEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)21.7mLに3−エチル−3−ペンタノール2.49gおよびイソプロピルアミン846mgを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化タンタル2.56g(7.16mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で13時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体2.02gを得た(収率48%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.31(sept.,J=7Hz,1H),1.65(q,J=8Hz,18H),1.29(d,J=7Hz,6H),0.95(t,J=8Hz,27H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
84.3,61.0,32.2,28.6,8.7。
【0131】
(実施例42)Ta(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)36.7mLにtert−ブタノール2.70gおよびtert−ブチルアミン1.77gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化タンタル4.34g(12.1mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で8時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体4.48gを得た(収率78%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Ta(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0132】
(実施例43)Ta(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)24.8mLにtert−ブタノール1.82gおよびtert−ブチルアミン1.20gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五臭化タンタル4.74g(8.17mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体1.51gを得た(収率39%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Ta(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0133】
(実施例44)(tert−ブチルイミド)トリス(1―エチル―1−メチルプロピルオキソ)タンタル(Ta(NBu)(OCEtMe))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)27.0mLに3−メチル−3−ペンタノール2.73gおよびtert−ブチルアミン1.30gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化タンタル3.19g(8.90mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体3.49gを得た(収率71%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.69−1.56(m,12H),1.40(s,9H),1.31(s,9H),0.95(t,J=8Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
82.1,64.5,35.5,35.1,27.7,9.1。
【0134】
(実施例45)(tert−ブチルイミド)トリス(1―メチル―1−プロピルブチルオキソ)タンタル(Ta(NBu)(OCMePr)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)25.8mLに4−メチル−4−ヘプタノール3.33gおよびtert−ブチルアミン1.25gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化タンタル3.06g(8.53mmol)のヘキサン(10mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体3.89gを得た(収率71%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.63−1.58(m,12H),1.47−1.41(m,12H)1.44(s,9H),1.36(s,9H),0.98(t,J=7Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
81.8,64.5,46.135.328.9,18.1,15.2。
【0135】
(実施例46)Ta(NPe)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)18.9mLにtert−ブタノール1.39gおよびtert−ペンチルアミン1.09gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化タンタル2.24g(6.25mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体2.04gを得た(収率67%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Ta(NPe)(OBu)であることを確認した。
【0136】
(実施例47)Ta(NCMeCHCMe)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)32.3mLにtert−ブタノール2.37gおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン2.76gを加えて室温で12時間撹拌した。この溶液を五塩化タンタル3.82g(10.7mmol)のヘキサン(5mL)懸濁液に加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体4.07gを得た(収率72%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Ta(NCMeCHCMe)(OBu)であることを確認した。
【0137】
(実施例48)(tert−ブチルイミド)トリス(1―メチル―1−プロピルブチルオキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OCMePr)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M)12.4mLに4−メチル−4−ヘプタノール2.53gを加えて室温で12時間撹拌し、リチウム1―メチル―1−プロピルブチルオキシド溶液を調製した。これをNb(NBu)Cl(pyridine)2.77g(6.47mmol)をトルエン12mLに懸濁させたスラリーに加え、室温で24時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体2.62gを得た(収率73%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
1.61−1.56(m、12H),1.47−1.41(m、12H),1.39(s,9H),1.35(s,9H),0.97(t,J=8Hz,18H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
81.5,64.8(br),46.1,33.8,28.9,18.1,15.3。
【0138】
(参考例6)(tert−ブチルイミド)トリブロモジピリジンニオブ(Nb(NBu)Br(pyridine))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン50mLとジエチルエーテル5mLの混合液に五臭化ニオブ4.62g(9.39mmol)を懸濁させ、メタけい酸ナトリウム2.29g及びtert−ブチルアミン1.37gを順に加えた。室温で10時間撹拌した後、ピリジン7.0mLを加えてさらに7時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液から溶媒及び過剰のピリジンを減圧留去することにより、黄色の固体3.48g(6.19mmol)を得た。収率66%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
9.52(br,2H),8.81(d,J=5Hz,2H),6.85(br,1H),6.60(m,1H),6.58(br,2H),6.19(t,J=7Hz,2H),1.61(s,9H)。
【0139】
(実施例49)Nb(NBu)(OBu)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)11.2mLにtert−ブタノール1.38gを加えて室温で1時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをNb(NBu)Br(pyridine)3.48g(6.19mmol)をトルエン10mlに溶かした溶液に加え、室温で24時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、無色の液体1.81gを得た(収率76%)。この液体をCに溶かしてH NMRおよび13C NMRスペクトルを測定し、Nb(NBu)(OBu)であることを確認した。
【0140】
(参考例7)(sec−ブチルイミド)トリクロロ(1,2−ジメトキシエタン)ニオブ(Nb(NBu)Cl(dme))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン50mLとジエチルエーテル5mLの混合液に五塩化ニオブ6.04g(22.4mmol)を溶かし、氷浴で冷却しながらsec−ブチルアミン4.98g及び1,2−ジメトキシエタン2.34mL、塩化亜鉛(II)7.69gを順に加えた。室温で21時間撹拌した後、−20℃で6時間冷却しながら静置した。不溶物をろ別し、ろ液から溶媒を減圧留去することにより、黄色の固体6.73g(18.7mmol)を得た。収率83%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.82(sext,J=7Hz,1H),3.47(s,3H),3.29(s,3H),3.09(m,2H),3.08(m,2H),1.74(m、1H),1.37(m,1H),1.25(d,J=7Hz,3H),1.14(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
75.1,73.3,70.4,68.7,61.8,31.7,20.9,11.6。
【0141】
(実施例50)(sec−ブチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)33.9mLにtert−ブタノール4.15gを加えて室温で1時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをNb(NBu)Cl(dme)6.73g(18.7mmol)をトルエン10mlに溶かした溶液に加え、室温で10時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、淡黄色の液体6.09gを得た(収率85%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.69(br,1H),1.71(m,1H),1.45(m,1H),1.37(s,27H),1.24(d,J=6Hz,3H),0.98(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.8,67.8(br),34.0,32.9,24.6,11.8。
【0142】
(参考例8)(sec−ブチルイミド)トリクロロジピリジンタンタル(Ta(NBu)Cl(pyridine))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン70mLとジエチルエーテル7mLの混合液に五塩化タンタル8.75g(24.4mmol)を懸濁させ、メタけい酸ナトリウム5.96g及びsec−ブチルアミン3.57gを順に加えた。室温で20時間撹拌した後、ピリジン20mLを加えてさらに5時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液から溶媒及び過剰のピリジンを減圧留去することにより、淡黄色の固体9.69g(18.8mmol)を得た。収率77%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
9.16(br,2H),8.83(d,J=7Hz,2H),6.86(br,1H),6.73(t,J=7Hz,1H),6.52(br,2H),6.32(t,J=7Hz,2H),5.06(sext,J=6Hz,1H),1.90(m,1H),1.59(m,1H),1.42(d,J=6Hz,3H),1.28(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
153.1,152.2,139.6,138.4,124.4,124.2,68.3,33.8,23.5,11.8。
【0143】
(実施例51)(sec−ブチルイミド)トリ(tert−ブトキソ)タンタル(Ta(NBu)(OBu))の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)34.1mLにtert−ブタノール4.17gを加えて室温で1時間攪拌し、リチウムtert−ブトキシド溶液を調製した。これをTa(NBu)Cl(pyridine)9.69g(18.8mmol)をトルエン10mlに溶かした溶液に加え、室温で10時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、淡黄色の液体4.48gを得た(収率51%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.05(sext,J=6Hz,1H),1.71(m,1H),1.50(m,1H),1.38(s,27H),1.30(d,J=6Hz,3H),1.06(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
78.2,66.8,35.4,32.9,26.4,12.0。
【0144】
(参考例9)(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)トリクロロジピリジンニオブ(Nb(NCMeCHCMe)Cl(pyridine))の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン50mLとジエチルエーテル5mLの混合液に五塩化ニオブ7.63g(28.2mmol)を懸濁させ、メタけい酸ナトリウム6.89g及び1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン7.30gを順に加えた。室温で3時間撹拌した後、ピリジン15.0mLを加えてさらに24時間撹拌した。不溶物をろ別し、ろ液から溶媒及び過剰のピリジンを減圧留去することにより、暗黄色の固体10.7g(22.0mmol)を得た。収率78%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
9.17(br,2H),8.89(br,2H),6.83(br,1H),6.70(t,J=8Hz,1H),6.52(br,2H),6.31(br,2H),1.87(s,2H),1.67(s,6H),1.15(s,9H)。
【0145】
(参考例10)トリス(ジメチルアミド)(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)ニオブ(Nb(NCMeCHCMe)(NMe)の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン5mLにNb(NCMeCHCMe)Cl(pyridine)1.63g(3.37mmol)を懸濁させ、リチウムジメチルアミドのヘキサンスラリー(5.28wt%)を10.8g加えた。室温で20時間撹拌した後、不溶物をろ別し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留することにより、暗黄色の液体418mg(1.18mmol)を得た。収率35%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.19(s,18H),1.77(s,2H),1.51(s,6H),1.16(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
72.9,57.9,47.2,34.1,32.3,32.2。
【0146】
(実施例52)(1,1,3,3−テトラメチルブチルイミド)(トリイソプロポキソ)ニオブ(Nb(NCMeCHCMe)(OPr))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NCMeCHCMe)(NMe410mg(1.16mmol)をトルエン4mLに溶かした溶液を−78℃に冷却し、イソプロピルアルコール(210mg)のトルエン(4mL)溶液を30分間かけて滴下した。室温で4時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧昇華することにより、白色固体310mgを得た(収率67%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
5.18(sept,J=6Hz,3H),1.98(s,2H),1.51(s,6H),1.48(d,J=6Hz,18H),1.05(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.9,70.5,59.1,33.1,32.2,26.9,25.9。
【0147】
(実施例53)(tert−ブチルイミド)(トリイソプロポキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OPr))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)(NEt415mg(1.09mmol)をトルエン10mLに溶かした溶液を−78℃に冷却し、イソプロピルアルコール(197mg)のトルエン(10mL)溶液を30分間かけて滴下した。−78℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。室温で残渣をヘキサン5mLに溶かし、−78℃に冷却することにより白色固体255mgを得た(収率68%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
5.12(m,3H),1.45(d,J=7Hz,18H),1.38(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.7,65.7(br),33.8,26.7。
【0148】
(実施例54)(tert−ブチルイミド)(トリエトキソ)ニオブ(Nb(NBu)(OEt))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NBu)(NEt826mg(2.17mmol)をトルエン10mLに溶かした溶液を−78℃に冷却し、エタノール(300mg)のトルエン(10mL)溶液を30分間かけて滴下した。−78℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。室温で残渣をヘキサン5mLに溶かし、−78℃に冷却することにより白色固体255mgを得た(収率39%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.72(q,J=7Hz,6H),1.50(d,J=7Hz,9H),1.33(s,9H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
72.1,66.7(br),33.4,20.0。
【0149】
(参考例11)トリス(ジエチルアミド)(tert−ペンチルイミド)ニオブ(Nb(NPe)(NEt)の合成
アルゴン雰囲気下で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M)36.1mLにジエチルアミン4.36gを加えて12時間撹拌し、リチウムジエチルアミド溶液を調製した。これをNb(NPe)Cl(dme)7.44g(19.9mmol)のトルエン(30mL)懸濁液に加え、室温で12時間撹拌した後、不溶物をろ別し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留することにより、黄褐色の液体2.70g(6.85mmol)を得た。収率34%。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
3.68(q,J=7Hz,12H),1.64(q,J=8Hz,2H),1.37(s,6H),1.15(t,J=7Hz,18H),1.13(t,J=8Hz,3H)。
【0150】
(実施例55)(tert−ペンチルイミド)(トリイソプロポキソ)ニオブ(Nb(NPe)(OPr))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NPe)(NEt921mg(2.33mmol)をトルエン10mLに溶かした溶液を−78℃に冷却し、イソプロピルアルコール(421mg)のトルエン(10mL)溶液を30分間かけて滴下した。−78℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシクロヘキサン1mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより白色固体555mgを得た(収率67%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
5.09(m,3H),1.66(q,J=7Hz,2H),1.41(d,J=6Hz,18H),1.31(s,6H),1.01(t,J=7Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
77.7,68.8(br),33.7,30.8,26.7,9.8。
【0151】
(実施例56)(tert−ペンチルイミド)(トリエトキソ)ニオブ(Nb(NPe)(OEt))の合成
アルゴン雰囲気下で、Nb(NPe)(NEt889mg(2.25mmol)をトルエン10mLに溶かした溶液を−78℃に冷却し、エタノール(311mg)のトルエン(10mL)溶液を30分間かけて滴下した。−78℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシクロヘキサン1mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより黄色固体701mgを得た(収率99%)。
H NMR(500MHz、C、δ/ppm)
4.68(q,J=8Hz,6H),1.60(d,J=8Hz,2H),1.46(t,J=8Hz,9H),1.26(s,6H),1.02(t,J=8Hz,3H)
13C NMR(125MHz、C、δ/ppm)
71.9,69.0(br),38.5,30.6,20.0,9.9。
【0152】
(比較例3)Nb(OEt)を用いたNb含有薄膜の形成
Nb(OEt)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度97℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化ニオブであった。膜厚は約14nmであった。
【0153】
(比較例4)Nb(OEt)を用いたNb含有薄膜の形成
Nb(OEt)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度97℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度200℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出されなかった。
【0154】
(実施例57)Nb(NBu)(OBu)を用いたNb含有薄膜の形成
Nb(NBu)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化ニオブであった。膜厚は約210nmであった。
【0155】
(実施例58)Nb(NBu)(OBu)を用いたNb含有薄膜の形成
Nb(NBu)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度200℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化ニオブであった。膜厚は約220nmであった。
【0156】
(実施例59)Nb(NPr)(OBu)を用いたNb含有薄膜の形成
Nb(NPr)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化ニオブであった。膜厚は約250nmであった。
【0157】
(実施例60)Nb(NPr)(OBu)を用いたNb含有薄膜の形成
Nb(NPr)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度200℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Nbの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化ニオブであった。膜厚は約240nmであった。
【0158】
(比較例5)Ta(OEt)を用いたTa含有薄膜の形成
Ta(OEt)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度98℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Taの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化タンタルであった。膜厚は約30nmであった。
【0159】
(比較例6)Ta(OEt)を用いたTa含有薄膜の形成
Ta(OEt)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度98℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度200℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。蛍光X線分析装置にて測定したところ、Taの特性X線が検出されなかった。
【0160】
(実施例61)Ta(NBu)(OBu)を用いたTa含有薄膜の形成
Ta(NBu)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度38℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Taの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化タンタルであった。膜厚は約270nmであった。
【0161】
(実施例62)Ta(NBu)(OBu)を用いたTa含有薄膜の形成
Ta(NBu)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度38℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度200℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Taの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化タンタルであった。膜厚は約100nmであった。
【0162】
(実施例63)Ta(NPr)(OBu)を用いたTa含有薄膜の形成
Ta(NPr)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度400℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Taの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化タンタルであった。膜厚は約340nmであった。
【0163】
(実施例64)Ta(NPr)(OBu)を用いたTa含有薄膜の形成
Ta(NPr)(OBu)を原料として、図2の装置を用いて、原料温度40℃、キャリアガス(Ar)流量30sccm、原料圧力50Torr、希釈ガス(Ar)流量210sccm、反応ガス(O)流量60sccm、基板温度200℃、反応槽内圧力4Torrで、CVD法によりSiO/Si基板上に1時間成膜を行った。作製した膜を蛍光X線分析装置にて測定したところ、Taの特性X線が検出された。膜組成をX線光電子分光法で確認したところ酸化タンタルであった。膜厚は約120nmであった。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】実施例1で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図2】実施例6及び57から64並びに比較例3から6で用いたCVD成膜装置の概略図である。
【図3】実施例4で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図4】実施例5で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図5】実施例7で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図6】実施例8で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図7】実施例9で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図8】実施例10で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図9】実施例11で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図10】実施例12で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図11】実施例13で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図12】実施例17で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図13】実施例18で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図14】実施例21で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図15】実施例23で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図16】実施例24で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図17】実施例25で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図18】実施例26で測定したTG及びDSCの結果を示す図である。
【図19】比較例1で測定したTGの結果を示す図である。
【図20】比較例2で測定したTGの結果を示す図である。
【符号の説明】
【0165】
1.原料容器
2.恒温槽
3.反応槽
4.基板
5.反応ガス
6.希釈ガス
7.キャリアガス
8.マスフローコントローラー
9.マスフローコントローラー
10.マスフローコントローラー
11.真空ポンプ
12.排気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示し、Rは炭素数2から13のアルキル基を示す。)で表されることを特徴とするイミド錯体。
【請求項2】
が炭素数1から10のアルキル基を示し、Rがイソプロピル基又はtert−ブチル基であることを特徴とする、請求項1に記載のイミド錯体。
【請求項3】
がニオブ原子であり、Rがプロピル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、Rがtert−ブチル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイミド錯体。
【請求項4】
がタンタル原子であり、Rがイソプロピル基又はtert−ブチル基であり、Rがtert−ブチル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイミド錯体。
【請求項5】
一般式(2)
【化2】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。Lは1,2−ジメトキシエタン配位子又はピリジン配位子を示す。Lが1,2−ジメトキシエタン配位子のとき、rは1であり、Lがピリジン配位子のとき、rは2である。)で表される化合物に、一般式(3)
【化3】

(式中、Rは炭素数2から13のアルキル基を示す。Mはアルカリ金属を示す。)で表されるアルカリ金属アルコキシドを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化4】

(式中、M、R及びRは前記と同じ意味を示す。)で表されるイミド錯体の製造方法。
【請求項6】
Xが塩素原子であり、Mがリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
一般式(4)
【化5】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示す。R及びRはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。)で表される化合物に、一般式(5)
【化6】

(式中、Rは炭素数2から13のアルキル基を示す。)で表されるアルコールを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化7】

(式中、M、R及びRは前記と同じ意味を示す。)で表されるイミド錯体の製造方法。
【請求項8】
一般式(2)
【化8】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。Lは1,2−ジメトキシエタン配位子又はピリジン配位子を示す。Lが1,2−ジメトキシエタン配位子のとき、rは1であり、Lがピリジン配位子のとき、rは2である。)で表される化合物に、一般式(6)
【化9】

(式中、R及びRはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。)で表されるリチウムジアルキルアミドを反応させることにより得られた一般式(4)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
Xが塩素原子であり、R及びRは、ともにメチル基又はともにエチル基である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(1a)
【化10】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、R1aはtert−ブチル基又はイソプロピル基を示し、Rは炭素数2から13のアルキル基を示す。)で表される化合物に、一般式(7)
【化11】

(式中、Rは炭素数1から12のアルキル基を示す。ただし、RとR1aは同時に同じ基を示すことはない。)で表されるアミンを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化12】

(式中、M、R及びRは前記と同じ意味を示す。)で表されるイミド錯体の製造方法。
【請求項11】
一般式(8)
【化13】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Yはハロゲン原子を示す。)で表される金属ハロゲン化物に、一般式(3)
【化14】

(式中、Rは炭素数2から13のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示す。)で表されるアルカリ金属アルコキシド及び一般式(9)
【化15】

(式中、Rは炭素数1から12のアルキル基を示す。)で表されるリチウムアミドを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化16】

(式中、M、R及びRは前記と同じ意味を示す。)で表されるイミド錯体の製造方法。
【請求項12】
Yが塩素原子であり、Mがリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
一般式(1)
【化17】

(式中、Mはニオブ原子又はタンタル原子を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基を示し、Rは炭素数2から13のアルキル基を示す。)で表されるイミド錯体を原料として用いることを特徴とする、ニオブ又はタンタル含有薄膜の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法により製造されることを特徴とする、ニオブ又はタンタル含有薄膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−266280(P2008−266280A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186071(P2007−186071)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】