説明

イムノクロマト測定法ならびにそれに用いられるキットおよびシステム

【課題】目視判定にも適用することができ、簡便性を損なわずに短時間で行える、高い検出感度が得られるイムノクロマト測定法、およびそのためのキット等を提供する。
【解決手段】クロマトグラフ媒体の反応部位に捕捉された標識物質の発光シグナルを観測する際に、当該反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させることにより、支持体中の光の屈折頻度を下げ、不透明性を減じた状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫分析法(イムノクロマト測定法)による被験物質の検出方法およびその方法のためのキットやシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抗原−抗体による特異的反応を利用して特定の抗原または抗体よりなる被検出物質を検出する免疫測定法としては、試料中の被検出物質を、微粒子に感作させた抗体または抗原と免疫反応により結合させ、結合によって生じる微粒子の凝集状態を測定する凝集法が簡便な免疫測定法であり、特に目視判定が可能である点で一般的に用いられている。
【0003】
これらの免疫測定法では、競合型反応、サンドイッチ型反応が広く使われている。これらのうち、いわゆるサンドイッチ型反応の測定法として、イムノクロマトグラフ法が知られている。例えば、特許文献1ではイムノクロマトグラフ法における標識微粒子の好ましい形態が提案されており、特許文献2では固相アッセイのための装置および方法が提案されている。
【0004】
イムノクロマト法における試料中の抗原よりなる被検出物質を検出するための典型的な操作は以下の手順でなされる。
【0005】
被検出物質である抗原に対する抗体をクロマトグラフ媒体(例えば、ニトロセルロースからなるメンブレン)に固定化することにより、検査領域を有するクロマトグラフ媒体を調製する。一方、標識微粒子に被検出物質と特異的に結合可能な抗体を感作させて感作標識微粒子を調製する。この感作標識微粒子を、試料と共に、クロマトグラフ媒体上でクロマトグラフ的に移動させる。
【0006】
以上の操作により、クロマトグラフ媒体に形成された検査領域において、固定化された抗体が固定化試薬となり、これに被検出物質である抗原を介して感作標識微粒子が特異的に結合し、その結果、感作標識微粒子が検査領域に捕捉される。そのようにして生ずる信号の有無または程度を目視で判定することにより、試料中の被検出物質の存在の有無または量を測定する。なお、標識微粒子を調製するため微粒子としては、従来、金、白金、銅、酸化鉄などのコロイド状金属粒子またはコロイド状金属酸化物粒子、硫黄などのコロイド状非金属粒子、染料粒子、蛍光粒子などが用いられている。
【0007】
さて、クロマトグラフ媒体としては一般的に、比較的屈折率の高いニトロセルロースなどの有機高分子からなる、膜厚1mm程度のメンブレンが用いられている。
【0008】
一般的に、図1に示すように、信号(標識微粒子)の有無または程度は検査領域を厚み方向上方から目視して判定するが、この場合、メンブレン(屈折率が1.48)とメンブレン内の空隙を満たしている溶媒(たとえば、水:屈折率が1.33)との屈折率の差が大きいために、両者の界面において光散乱が生じて不透明になり、標識微粒子は厚み方向の全域に亘って分布しているにも拘わらず、表面近傍(表面から)の領域の標識微粒子しか視認できていない。検体液を滴下後、溶媒が乾燥した状態で目視する場合、メンブレンと空気(屈折率が1)との屈折率差はさらに大きいため、空隙に水が存在する場合以上に光散乱が生じ、さらに薄い表面のみしか視認できない。
【0009】
また、検体液中の抗原が非常に少ない場合には、表面近傍に吸着する抗原の数が限られることから、正確な目視判定が困難で高い検出感度を得ることができないという問題もある。
【0010】
これに対して、特許文献3には、支持体であるニトロセルロースメンブレン近い屈折率を有する溶媒(たとえばジメチルスルホキシド)を用いて、メンブレンからの光散乱を低減する方法が開示されている。しかしながら、標識微粒子を含む試料をクロマトグラフ媒体に添加し、毛細管現象により検査領域を含むメンブレン全体に浸透させた後、再度溶媒を添加してメンブレン全体に浸透させるまでには、長い時間を要し、イムノクロマトグラフ法の特徴である簡便性が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−167497号公報
【特許文献2】特開平5−10950号公報
【特許文献3】特開2009−257819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、目視判定にも適用することができ、簡便性を損なわずに短時間で行える、高い検出感度が得られるイムノクロマト測定法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのようなイムノクロマト測定法を実施するためのイムノクロマト測定キットやシステムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、検出領域(以下、本発明において「反応部位」と称することもある。)において標識微粒子を補足した後、その検査領域の支持物質を圧縮し、厚さを減少させてから、標識微粒子(以下、本発明において「標識物質」と称することもある。)のシグナルを観測することにより、微量抗原の検出、すなわち、高感度検出が可能になることを見出し、本発明を完成させるに至った。これは、メンブレンと空気または溶媒の界面が減少し、光の乱反射が減少するため、メンブレンのより深部にある標識物質のシグナルを検出できるようになったためであると推測される。
【0014】
すなわち本発明は、下記の事項を包含する。
【0015】
[1] 試料中の被検出物質の存在を標識物質により検出するためのイムノクロマト測定法であって、クロマトグラフ媒体上の、前記被験物質と特異的に結合する第一の物質が固定化された反応部位に、試料と共にまたは試料に引き続いて、前記標識物質が結合した、前記被検出物質に特異的に結合する第二の物質からなる検出試薬を接触させる第1工程、前記反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させる第2工程、および前記標識物質の発光シグナルを観測する第3工程を含むことを特徴とするイムノクロマト測定法。
【0016】
[2]前記圧縮後の支持物質の厚さが圧縮前の30〜1%である、[1]に記載のイムノクロマト測定法。
【0017】
[3]前記標識物質が蛍光有機色素、量子ドットまたはこれらの集積体である、[1]または[2]に記載のイムノクロマト測定方法。
【0018】
[4]試料中の被検出物質の存在を標識物質により検出するためのイムノクロマト測定キットであって、圧縮により厚さを減少させることのできる支持物質で形成された、前記被験物質と特異的に結合する第一の物質が固定化された反応部位を有するクロマトグラフ媒体と、前記標識物質が結合した、前記被検出物質に特異的に結合する第二の物質からなる検出試薬と、前記クロマトグラフ媒体の反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させるための圧縮器具とを含むことを特徴とするイムノクロマト測定キット。
【0019】
[5]前記圧縮後の支持物質の厚さが圧縮前の30〜1%である、[4]に記載のイムノクロマト測定キット。
【0020】
[6]前記標識物質が発色物質又は発光物質であることを特徴とする、[4]または[5]に記載のイムノクロマト測定キット。
【0021】
[7]試料中の被検出物質の存在を標識物質により検出するためのイムノクロマト測定システムであって、少なくとも、クロマトグラフ媒体の反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させるための圧縮器具を含むことを特徴とするイムノクロマト測定システム。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、イムノクロマト分析において、簡便性を損なわずに、被験物質を高感度に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、従来法(上)および本発明のイムノクロマト測定法(下)における発光シグナル観測時の反応部位の断面図である。一点鎖線部分は、標識試薬からの発光シグナルを検出できる領域を示す。
【図2】図2は、本発明で用いることのできる圧縮装置の一例である。
【図3】図3は、上から下にかけて、本発明のイムノクロマト測定法における測定手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(クロマトグラフ媒体)
本発明で用いられるクロマトグラフ媒体は、圧縮により(好ましくは圧縮前に比べて1〜30%に)厚さを減少させることのできるものでなければならない。このような要件を満たす限り、一般的なイムノクロマトグラフ法におけるクロマトグラフ媒体と同様、毛管現象を示す微細多孔性物質からなる不活性のものであって、使用される検出試薬、固定化試薬、被検出物質などと反応せず、短時間での判定で十分な感度が得られる展開速度を有していればよく、その素材は特に限定されるものではない。
【0025】
上記の要件を満たすクロマトグラフ媒体としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース又は酢酸セルロース等のセルロース誘導体等で構成される繊維状又は不織繊維状マトリクス、膜、濾紙、ガラス繊維濾紙、布、綿等が挙げられる。好ましくはセルロース誘導体やナイロンの膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等が用いられ、より好ましくはニトロセルロース膜、混合ニトロセルロースエステル(ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合物)膜、ナイロン膜、濾紙が用いられる。
【0026】
本発明の実施に供されるクロマトグラフ媒体の形態及び大きさは特に制限されるものではなく、実際の操作の点及び反応結果の観察の点において適切であればよい。操作をより簡便にするためには、反応部位が表面に形成されているクロマトグラフ媒体の裏面に、プラスチックなどよりなる支持体を設けることが好ましい。この支持体の性状は特に制限されるものではないが、目視判定によって測定結果の観察を行う場合には、支持体は、標識物質によりもたらされる色彩と類似しない色彩を有するものであることが好ましく、通常、無色又は白色である。
【0027】
(反応部位等)
本発明で用いられるクロマトグラフ媒体上には、被検出物質と特異的に結合する第一の物質、例えば抗体が固定化試薬として任意の位置に固定化された反応部位が形成される。固定化試薬をクロマトグラフ媒体に固定化する方法としては、固定化試薬をクロマトグラフ媒体に物理的又は化学的手段により直接的に固定化する方法と、固定化試薬をラテックス粒子などの微粒子に物理的又は化学的に結合し、この微粒子をクロマトグラフ媒体に捕捉することにより間接的に固定化する方法がある。
【0028】
直接的に固定化する方法においては、物理吸着を利用してもよいし、共有結合を利用してもよい。一般的にクロマトグラフ媒体がニトロセルロース膜又は混合ニトロセルロースエステル膜である場合、物理吸着を利用することができる。共有結合を利用する場合、一般的に臭化シアン、グルタルアルデヒド、カルボジイミド等によりクロマトグラフ媒体を活性化する方法が用いられるが、いずれの方法も用いることができる。
【0029】
間接的に固定化する方法としては、不溶性微粒子に固定化試薬を結合した後に、その不溶性微粒子をクロマトグラフ媒体に固定化する方法がある。不溶性微粒子の粒径は、クロマトグラフ媒体に捕捉されるが移動することのできないサイズを選択することができるが、好ましくは平均粒径10μm程度以下である。そのような不溶性微粒子としては抗原抗体反応に使用されるものが種々知られており、本発明でもこれら公知のものを使用することができる。例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などの乳化重合法によって得られる有機高分子ラテックス粒子などの有機高分子物質の微粒子、ゼラチン、ベントナイト、アガロース、架橋デキストランなどの微粒子、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナなどの無機酸化物や無機酸化物にシランカップリング処理などで官能基を導入した無機粒子等が挙げられる。
【0030】
本発明においては、感度調整の容易さ等から、直接的に固定化する方法を用いる方が好ましい。また、クロマトグラフ媒体に固定化試薬を固定化する手段としては、例えば、マイクロシリンジ、調節ポンプ付きペン、インキ噴射印刷等、種々の技術が使用可能である。反応部位の形態は特に限定されないが、円形のスポット、クロマトグラフ媒体の展開方向に垂直にのびるライン、数字、文字や+、−などの記号等として固定化することもできる。
【0031】
固定化試薬を固定化した後、非特異的な吸着により分析の精度が低下することを防止するため、必要に応じて、クロマトグラフ媒体に、公知の方法でブロッキング処理を行うことができる。一般的にブロッキング処理にはウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質が好適に用いられる。かかるブロッキング処理後に、必要に応じて、ツイーン20、トリトンX−100、SDS等の界面活性剤を1つ又は2つ以上組み合わせて洗浄してもよい。
【0032】
その他、クロマトグラフ媒体には、必要に応じて、被検出物質を含む試料を添加するための試料添加部位(サンプルパッド等)、試料中の血球等の固形成分を除去する部位(血球分離部位等)、展開液を添加するための展開液添加部位、反応部位に捕獲されなかった被検出物質や展開液を吸い取る吸収部位(吸収パッド等)、測定が正常に行われたことを示す対照部位等を組み入れてもよい。これらの部位を構成する部材は、毛管現象により試料液や展開液が移動できれば特に限定されず、一般的には、ニトロセルロース膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等の複数の多孔性物質からその目的に応じたものを選択して用い、固定化試薬が固定化されたクロマトグラフ媒体と毛管で繋がるように配置することができる。
【0033】
(検出試薬・標識物質)
本発明で用いられる検出試薬は、被検出物質と特異的に結合する第二の物質、例えば抗体と、それを標識化するための標識物質とのコンジュゲートである。イムノクロマトグラフ法における検出試薬の標識化には、基質と反応して色素を生成する酵素等も一般的に使用されるが、被検出物質の存在を目視で判定するのに適していることから、本発明における標識物質としては酵素等以外の、標識物質自体がシグナルを発光するものが好ましい。
【0034】
本発明で用いられる標識物質の一つのグループとして、金、銀、白金のようなコロイド状金属粒子、酸化鉄のようなコロイド状金属酸化物粒子、硫黄などのコロイド状非金属粒子及び合成高分子よりなるラテックス粒子やシリカ粒子などの着色物質を挙げることができる。
【0035】
また、本発明で用いられる標識物質のもう一つのグループとしては、蛍光有機色素、量子ドット、あるいはそれらの集積体などの蛍光物質(蛍光微粒子)を挙げることができる。200〜700nmの範囲内の波長の紫外〜近赤外光により励起されたときに、400〜900nmの範囲内の波長の可視〜近赤外光の発光を示すことが好ましい。
【0036】
有機蛍光色素としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード系色素分子、クマリン系色素分子、エオジン系色素分子、NBD系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red系色素分子、シアニン系色素分子等を挙げることができる。
【0037】
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、及びAlexa Fluor 350,Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL,BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
【0038】
量子ドットとしては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを用いることができる。いずれか一種を単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが例示できるが、これらに限定されない。また、上記量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けたコア・シェル型の量子ドットを用いることもできる。以下本明細書中シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えばCdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO、Si/ZnS、Ge/GeO、Ge/ZnSなどを用いることができるが、これらに限定されない。量子ドットは必要に応じて、有機ポリマーなどにより表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)などが挙げられる。
【0039】
また、蛍光有機色素または量子ドットの集積体として、複数の蛍光有機色素または量子ドットがナノ粒子の内部に分散したもの(蛍光物質内包ナノ粒子と称されることもある)を用いることもできる。蛍光物質はそれを被覆するナノ粒子と化学的に結合していても、していなくてもよい。ナノ粒子を構成する素材は特に限定されるものではなく、ポリスチレン、ポリ乳酸、シリカなどを挙げることができる。そのような蛍光物質の集積体は、公知の方法により作製することができる。例えば、蛍光有機色素を内包したシリカナノ粒子は、ラングミュア8巻2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカ粒子の合成を参考に合成することができる。FITCの代わりに所望の蛍光有機色素を用いることで種々の蛍光有機色素内包シリカナノ粒子が合成できる。
【0040】
本発明での高感度の測定を実施する際には、標識物質として蛍光物質を用いることが好ましい。また、標識物質として使用される粒子の平均粒径は50〜500nmの範囲内であることが好ましい。ここでいう平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数(たとえば1000個)の粒子について断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径を粒径として求められる算術平均である。
【0041】
被検出物質と特異的に結合する物質と標識物質とのコンジュゲートは、物理吸着や化学結合などの公知の方法を用いて、被検出物質と特異的に結合する物質を標識物質に感作することにより調製することができる。例えば、蛍光シリカ粒子に抗体を感作した検出試薬は、蛍光シリカ粒子が分散した溶液に抗体を加えて物理吸着させた後、牛血清アルブミン溶液を添加して抗体が未結合である粒子表面をブロッキングすることにより調製する。
【0042】
実際のイムノクロマトグラフ法の実施において、検出試薬は、移動相を構成する展開液に分散して適用することもできるし、固定相を構成するクロマトグラフ媒体における移動相の展開移動経路上、すなわちクロマトグラフ媒体の移動相が適用される端部と反応部位との間の領域(検出試薬保持部位)に存在させて適用することもできる。クロマトグラフ媒体上に存在させる場合、検出試薬が展開液に速やかに溶解して毛管作用によって自由に移動できるように、検出試薬を支持させるのが好ましい。そのために、検出試薬を支持させる部位(検出試薬保持部位)には、サッカロース、マルトース、ラクトース等の糖類、マンニトール等の糖アルコールを添加して塗布したり、これらの物質を予めコーティングしたりしておくこともできる。また、クロマトグラフ媒体上に検出試薬保持部位を形成するためには、固定化試薬が固定化されたクロマトグラフ媒体に検出試薬を直接、塗布・乾燥等してもよいし、別の多孔性物質、例えばセルロース濾紙、ガラス繊維濾紙、ナイロン不織布に検出試薬を塗布・乾燥等して検出試薬保持部材を作製した後、この部材を固定化試薬が固定化されたクロマトグラフ媒体と毛管で繋がるように配置してもよい。
【0043】
(被検出物質・試料)
本発明の方法により検出される被検出物質は、一般的なイムノクロマトグラフ法と同様、それに特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではなく、蛋白質、ペプチド、核酸、糖(特に糖タンパク質の糖部分、糖脂質の糖部分等)、複合糖質などを例示することができる。上記の「特異的に結合する」とは、生体分子が持つ親和力に基づいて結合することを意味する。このような親和力に基づく結合としては、抗原と抗体との結合、糖とレクチンとの結合、ホルモンと受容体との結合、酵素と阻害剤との結合、相補的核酸同士及び核酸と核酸結合蛋白質との結合などが挙げられる。従って、被検出物質が抗原性を有する場合、被検出物質に特異的に結合する物質としてはポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を例示することができる。また、被検出物質が糖の場合、被検出物質に特異的に結合する物質としてはレクチンタンパク質を例示することもできる。具体的な被検出物質としては、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、HER2タンパク、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、α−フェトプロテイン(AFP)、免疫抑制酸性タンパク(IPA)、CA15−3、CA125、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、便潜血、トロポニンI、トロポニンT、CK−MB、CRP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、梅毒抗体、インフルエンザウイルス、ヒトヘモグロビン、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、HBs抗体、HBs抗原、ロタウイルス、アデノウイルス、アルブミン、糖化アルブミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも非イオン性界面活性剤により可溶化される抗原が好ましく、ウイルス核タンパク質のように自己集合体を形成する抗原がより好ましい。
【0044】
上記被検出物質を含む試料としては、例えば、生体試料、即ち、全血、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、鼻腔又は咽頭拭い液、髄液、羊水、乳頭分泌液、涙、汗、皮膚からの浸出液、組織や細胞及び便からの抽出液等が挙げられる。これらの試料は、必要に応じて、被検出物質と検出試薬又は固定化試薬が特異的な結合反応を起こしやすい状態に処理をする。処理方法は酸、塩基、界面活性剤等の各種化学薬品等を用いた化学的処理方法、加熱・撹拌・超音波等を用いた物理的処理方法のいずれでもよく、またその両方法を用いても良い。特に、インフルエンザウイルスNP抗原等の通常は表面に露出していない領域を利用して、被検出物質と検出試薬又は固定化試薬との結合反応を行う場合には、界面活性剤等による処理を行うのが好ましい。この目的に使用される界面活性剤としては、特異的な結合反応、例えば、抗原抗体反応に与える影響を考慮して、非イオン性界面活性剤を使用するのが好ましい。また、これらの試料は、必要に応じて、固定相であるクロマトグラフ媒体において展開可能となるように展開液で希釈してもよい。
【0045】
イムノクロマトグラフ媒体の反応部位に対する試料の接触は、試料液をクロマトグラフ媒体上で展開させ、クロマトグラフ的に移動させることによって行うことができる。この際に、試料液の展開は移動相を構成する展開液の展開と同時に行ってもよいし、あるいは試料液を先行して展開し、その後に展開液を展開してもよい。
【0046】
(展開液)
本発明で用いられる展開液は、一般的なイムノクロマトグラフ法における展開液と同様に、移動相を構成する液体であって、固定相であるクロマトグラフ媒体上を、被検出物質を含む試料及び標識化した検出試薬と共に移動するものであればよい。展開液を構成する溶媒としては、通常水が用いられる。また、上記のような展開液は試料希釈液としても使用することができ、それにより希釈された試料をそのままイムノクロマトグラフ媒体上に展開させることができる。
【0047】
(圧縮装置等)
本発明で用いる圧縮装置ないし圧縮器具は、クロマトグラフ媒体の反応部位を圧縮し、当該部位を薄膜化するためのものである。一般的な装置としては万力などが考えられるが、図2に示すような簡便な治具も使用可能である。図2の凹み部にクロマトグラフ媒体を設置し、上からスクリュー式の圧縮部材で圧縮を行う。また、より簡便な器具として、クロマトグラフ媒体の反応部位に対応する位置に凸部(圧縮部材)を有し、その凸部を圧着することにより反応部位を圧縮することのできるクリップ状の器具を用いることもできる。
【0048】
(イムノクロマトグラフ測定法)
本発明のイムノクロマトグラフ測定法は、上述したようなクロマトグラフ媒体等を用いて行われる、次のような第1〜第3工程を含むものである。
【0049】
第1工程:クロマトグラフ媒体上の、被験物質と特異的に結合する第一の物質が固定化された反応部位に、試料と共にまたは試料に引き続いて、標識物質が結合した、被検出物質に特異的に結合する第二の物質からなる検出試薬を接触させる工程、
第2工程:上記第1工程後、前記反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させる工程、
第3工程:上記第2工程後、前記標識物質の発光シグナルを観測する工程。
【0050】
第1工程は、公知のクロマトグラフ測定法における工程と同様の手法により行うことができ、その態様は特に限定されるものではない。たとえば、クロマトグラフ媒体上にあらかじめ検出試薬を保持しておき、試料をクロマトグラフ媒体に滴下すると、試料とともにその検出試薬も展開されるようにすると好適である。被検出物質が存在する場合、反応部位において、被験物質と特異的に結合する第一の物質(固定化試薬)−被検出物質−被験物質と特異的に結合する第二の物質と標識物質とのコンジュゲート(検出試薬)の複合体が形成され、標識物質が反応部位に捕捉される。
【0051】
第2工程における、反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させる(薄膜化する)ための手段は、特に限定されるものではないが、前述のような圧縮装置等を用いて適切に行うことができる。反応部位の厚さは、検出試薬の発光シグナルが増強される効果が奏されるまで減少させればよく、その範囲は適宜調整することができるが、圧縮前に比べて1〜30%の厚さになるまで圧縮することが好ましい。反応物質の支持物質は、通常はそれほど弾力性を有さないので、圧縮後に圧縮装置等を外しても厚さは減少したままである。そのため、次の第3工程における発光シグナルの観測は、圧縮装置等を反応部位から外した状態で行うことができるが、圧縮装置等の反応部位に当接する部分が透過性を有する素材で形成されている場合は、圧縮装置等を反応部位に当接させたまま発光シグナルの観測を行うことも可能である。また、圧縮はクロマトグラフ媒体の少なくとも反応部位において行えばよいが、その他の部位も含めて圧縮しても、あるいはクロマトグラフ媒体全体を圧縮してもよい。
【0052】
第3工程も、公知のクロマトグラフ測定法における工程と同様の手法により行うことができ、その態様は特に限定されるものではない。標識物質の発光シグナルの観測は、目視によりクロマトグラフ媒体上に所定の形状の発色の有無を確認するといった定性的なものであってもよいし、CCD検出器等の装置を用いて発光シグナルの強度を測定するといった定量的なものであってもよい。また、標識物質として蛍光微粒子を用いる場合は、必要に応じて適切なフィルタを用いながら、所定の波長を有する励起光を反応部位に照射し、そこから発せられる所定の波長の蛍光を観測するようにしてもよい。
【0053】
(キット)
本発明は一つの側面において、前述のようなイムノクロマト測定法のために用いられるキットを提供する。このイムノクロマト測定キットは、少なくとも、圧縮により厚さを減少させることのできる支持物質で形成された、前記被験物質と特異的に結合する第一の物質が固定化された反応部位を有するクロマトグラフ媒体と、前記標識物質が結合した、前記被検出物質に特異的に結合する第二の物質からなる検出試薬とを含み、必要に応じてさらにその他の構成要素が含んでいてもよい。
【0054】
たとえば、目視により被検出物質を有無を確認するためのキットであれば、上記所定のクロマトグラフ媒体および検出試薬に加えて、クロマトグラフ媒体の反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させることできる、前述のようなクリップ状の圧縮器具を含むことが好ましい。検出試薬はクロマトグラフ上に保持された状態であっても、別個に包装された状態であってもよい。また、上記のようなクリップ状の圧縮器具は、クロマトグラフ媒体と分離していても、一体化していてもよい。
【0055】
(システム)
本発明は一つの側面において、前述のようなイムノクロマト測定法のために用いられるシステムを提供する。このイムノクロマト測定システムは、設置されたクロマトグラフ媒体の反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させることできる、前述のような圧縮装置を備え、通常はさらに、検出試薬を発光させるための光源や、検出試薬の発光シグナルを検出するための光検出器も備える。また、イムノクロマト測定システムは必要に応じてさらにその他の構成要素、たとえば、生体から採取した検体を用いて試料を調製するための装置や、試料等の溶液をクロマトグラフ媒体に滴下するための装置などを備えていてもよい。このような装置は、前述した本発明のイムノクロマトグラフ測定法の第1工程〜第3工程を自動的に遂行するよう、プログラム等により制御されていてもよい。
【実施例】
【0056】
実施例1(イムノクロマトグラフ媒体の作製)
・コンジュゲートパッド(検出試薬保持部位)
遠心管に50mMKHPO(pH6.5)を1mLとローダミン誘導体含有シリカナノ粒子分散液(sicastar-redF、MicroMod社製)(10mg/mL)9mLを加えて軽く撹拌した。遠心管に抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008, Medix Biochemica社製)1mL(60μg/mL)を撹拌しながら加え、室温で1時間静置し、抗hCG抗体を前記シリカナノ粒子に吸着させた。これに1%PEG(ポリエチレングリコール、分子量20000、和光純薬工業社製)を0.55mL加え軽く撹拌し、更に10%BSAを1.1mL加え軽く撹拌した。
【0057】
混合液を12000×gで15分間遠心分離し、上清を1mL程度残して取り除き、残した上清に沈殿を分散させた。この分散液に保存用バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2),0.05% PEG(分子量20,000),150mM NaCl,1%BSA,0.1%NaN)を20mL加え、再度遠心分離し、上清を1mL程度残して取り除き、残した上清に沈殿を分散させた。この分散液に蒸留水1mLおよび塗布バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2),0.05%PEG(分子量20,000),150mM NaCl,1%BSA,0.1%NaN)を2mL加え、軽く撹拌した。
【0058】
このようにして得られた抗体を吸着させてなるシリカナノ粒子分散液を、Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)(8×150mm)1枚あたり0.8mL、均等に塗布した。デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥し、ローダミン誘導体含有シリカナノ粒子を含有するコンジュゲートパッドを作製した。
【0059】
・抗体固定化メンブレン(反応部位)
メンブレン(丈25mm、商品名Hi−Flow Plus120 メンブレン、MILLIPORE社製)の中央付近(端から約12mm)に、幅約1mmのテストラインとして、抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH), clone code/6601、Medix Biochemica社製)が1mg/mL含まれる溶液((50mMKHPO,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
【0060】
続いて、幅約1mmのコントロールラインとして、抗IgG抗体(Anti Mouse IgG、Dako社製)が1mg/mL含まれる溶液((50mMKHPO,pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、50℃で30分乾燥させた。
【0061】
次に、ブロッキング処理として前記メンブレン全体をブロッキングバッファー中に室温で30分浸した。
【0062】
メンブレン洗浄/安定バッファーに移し室温で30分以上静置した。メンブレンを引き上げ、ペーパータオル上に置いて室温で一夜乾燥させて、抗体固定化メンブレンを作製した。
【0063】
・テストストリップ
上記のようにして得られたコンジュゲートパッドおよび抗体固定化メンブレン、サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)、吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)(MILLIPORE社製)をバッキングシート(商品名AR9020,Adhesives Research社製)上で組み立て、5mm幅、長さ60mmのストリップ状に切断し、テストストリップを得た。なお、各構成部材は、各々その両端を隣接する部材と2mm程度重ね合わせて貼付した。
【0064】
実施例2(hCGの検出)
リコンビナントhCG(PROSPEC社製)を、PBSに溶解させ、100ng/mLに濃度を調整、前記ストリップのサンプルパッド部分に100μL滴下し、15分間放置したところ、抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH), clone code/6601、Medix Biochemica社製)を塗布したライン(テストライン)および、抗IgG抗体を塗布したライン(コントロールライン)に赤色の発色が確認できた。同様に、リコンビナントhCGを、PBSに溶解させ、10ng/mL、1ng/mL、0.1ng/mLに濃度を調整、前記ストリップのサンプルパッド部分に100μL滴下した。また、各濃度につき、10サンプル実施した。
【0065】
実施例3(メンブレンの圧縮)
圧縮は、バイス(TOYOMITU社製、MP−305)を用いた。実施例1にて赤色発色を確認したメンブレン初期厚さは140μmであった。同様のメンブレンを三サンプル用意し、前記バイスを用いてメンブレン圧縮を行い、それぞれメンブレン厚さを75μm、42μm、2μmまで減少させた。初期のメンブレンをサンプル1群とし、圧縮後のメンブレンをそれぞれサンプル2群(メンブレン厚さ:75μm),サンプル3群(メンブレン厚さ:42μm),サンプル4群(メンブレン厚さ:2μm)とした。
【0066】
実施例4(蛍光高感度検出)
励起光源側のフィルタとしてFF01−482(商品名、Semrock社製)、検出器側のフィルタとしてFF01−536(商品名、Semrock社製)を用い、前記テストストリップを水銀ランプ(103W)で照射し、検出器としてCCD検出器(C2741−35A(商品名、浜松ホトニクス社製))を用いて画像化を行った。その結果、テストライン部およびコントロールライン部に蛍光発色を確認した。取得した画像を画像解析ソフトImage−Jを用いて、テストライン部の蛍光量を数値化した。さらに3シグマ法を用いて、検出感度の算出を行った。3シグマ法を用いた計算結果を下記表1に示す(数値は平均±標準偏差×3を表す)。厚さを30%以下に圧縮させたメンブレンについて検出される蛍光量が増大する結果が得られ、検出感度が約10倍向上した。
【0067】
【表1】

【符号の説明】
【0068】
1:イムノクロマトグラフ媒体
2:反応部位(テストライン)
3:対象部位(コントロールライン)
4:試料添加部位(サンプルパッド)
5:吸収部位(吸収パッド)
10:試料
11:被検出物質
12:固定化試薬
13:検出試薬
50:圧縮装置
51:圧縮部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の被検出物質の存在を標識物質により検出するためのイムノクロマト測定法であって、
クロマトグラフ媒体上の、前記被験物質と特異的に結合する第一の物質が固定化された反応部位に、試料と共にまたは試料に引き続いて、前記標識物質が結合した、前記被検出物質に特異的に結合する第二の物質からなる検出試薬を接触させる第1工程、
前記反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させる第2工程、および
前記標識物質の発光シグナルを観測する第3工程
を含むことを特徴とするイムノクロマト測定法。
【請求項2】
前記圧縮後の支持物質の厚さが圧縮前の30〜1%である、請求項1に記載のイムノクロマト測定法
【請求項3】
前記標識物質が着色物質または蛍光物質である、請求項1記載のイムノクロマト測定方法。
【請求項4】
試料中の被検出物質の存在を標識物質により検出するためのイムノクロマト測定キットであって、
圧縮により厚さを減少させることのできる支持物質で形成された、前記被験物質と特異的に結合する第一の物質が固定化された反応部位を有するクロマトグラフ媒体と、
前記標識物質が結合した、前記被検出物質に特異的に結合する第二の物質からなる検出試薬と、
前記クロマトグラフ媒体の反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させるための圧縮器具と
を含むことを特徴とするイムノクロマト測定キット。
【請求項5】
前記圧縮後の支持物質の厚さが圧縮前の30〜1%である、請求項4に記載のイムノクロマト測定キット。
【請求項6】
前記標識物質が発色物質又は発光物質であることを特徴とする、請求項4記載のイムノクロマト測定キット。
【請求項7】
試料中の被検出物質の存在を標識物質により検出するためのイムノクロマト測定システムであって、少なくとも、クロマトグラフ媒体の反応部位の支持物質を圧縮して厚さを減少させるための圧縮器具を含むことを特徴とするイムノクロマト測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−215494(P2012−215494A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81731(P2011−81731)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】