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イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬
説明

イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬

Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬をイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患に対する治療薬として用いる。イムノグロブリン遺伝子転座を伴う疾患では、イムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子の発現が異常に亢進することが、発症や症状の進行に関与しており、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の投与により、該パートナー遺伝子がコードする蛋白質の分解が促進され、該疾患の治療を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬、イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖阻害剤およびイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の分解の促進剤に関する。
【背景技術】
ヒートショック蛋白質(以下、Hspと略す)は、細胞が熱ショック等のストレス環境にさらされた時に細胞内で発現する一連の蛋白質群であり、その分子量によってHsp90、Hsp70、Hsp60などのファミリーに分類される。これらの蛋白質は分子シャペロン(chaperone)とも呼ばれ、一般的には蛋白質のフォールディング、膜透過、会合、凝集の抑制等がその主な機能と考えられている。Hsp90は分子量約90kDaのHspからなるHspのファミリーであり、真核生物のHsp90ファミリーに属するHspとしては、Hsp90α、Hsp90β、Grp94、Hsp75/TRAP1などが同定されている。以下、Hsp90ファミリーに属するHspを総称してHsp90とよぶ。
近年Hsp90が細胞増殖や癌化に関わる分子と特異的に複合体を形成し、細胞周期や細胞増殖シグナルに関与していることが明らかにされている。Hsp90と特異的に複合体を形成する蛋白はHsp90クライアント(client)蛋白質と呼ばれる。Hsp90クライアント蛋白質の細胞内での機能や安定性の保持には、Hsp90との結合が必要であると考えられている。例えば、ステロイドホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体など)、非受容体型チロシンキナーゼ(Src、Lckなど)、受容体型チロシンキナーゼ(EGF受容体、ErbB2など)、セリンスレオニンキナーゼ〔Raf−1、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)4、Cdk6など〕、遺伝子の転座に由来する融合蛋白質(Bcr−Abl、NPM−ALKなど)等がHsp90クライアント蛋白質として知られている。Hsp90の機能を制御することによってHsp90と特異的に結合するこれら分子の関わる細胞内情報伝達を変動させることができる事が知られている〔Pharmacol.Ther.,79,129−168(1997);Biochem.Pharmacol.,56,675−682(1998);Invest.New Drugs,17,361−373(1999)〕。
ラディシコール(Radicicol)ならびにその誘導体はHsp90のN末端に位置するATP/ADP結合領域に結合し、その機能を阻害することが明らかにされている〔Cell Stress Chaperones,,100−108(1998);J.Med.Chem.,42,260−266(1999)〕。また、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)、ハービマイシン(Herbimycin)Aなどのアンサマイシン系化合物とその誘導体〔Cell,89,239−250(1997);J.Natl.Cancer Inst.,92,242−248(2000)〕、プリン誘導体(WO 02/36075)などもHsp90のN末端の同じ領域に結合する化合物として報告されている。Hsp90は、p50/Cdc37、p23などの共役分子とともに、前述のHsp90クライアント蛋白質と分子複合体を形成して機能するが、これらの低分子化合物は、Hsp90のN末端のATP/ADP結合領域に結合することにより、Hsp90を含む分子複合体の構成を変化させ、その結果、Hsp90クライアント蛋白質の機能、細胞内局在、あるいは細胞内安定性などを変化させることにより、癌細胞の増殖抑制、アポトーシス誘導をはじめとする種々の生物活性を示すと考えられている〔Invest.New Drugs,17,361−373(1999)〕。ノボビオシン(Novobiocin)などのクマリン系化合物は、Hsp90のC末端領域(380〜728番アミノ酸に含まれる)に結合することにより、上記のN末端に結合する低分子化合物と同様の効果を示すことが報告されている〔J.Natl,Cancer Inst.,92,242−248(2000)〕。ゲルダナマイシン誘導体〔Invest.New Drugs,17,361−373(1999)〕およびラディシコール誘導体〔Cancer Res.,59,2931−2938(1999);Blood,96,2284−2291(2000);Cancer Chemother.Pharmacol.,48,435−445(2001)〕は、動物モデルにおいても抗腫瘍効果を示すことが報告されている。
Bcr−Abl、NPM−ALKなどの遺伝子の転座に由来する融合蛋白質の安定性がHsp90阻害作用を有する化合物により減少すると考えられることから、Hsp90阻害作用を有する化合物により、白血病や固形腫瘍等の遺伝子の転座がみられる疾患の治療を行うことが提唱されている(WO 02/069900)。
B細胞系(形質細胞も含む)の腫瘍では、第14番染色体のq32領域(以下、14q32と表記する)上のイムノグロブリン遺伝子の転座を伴うことが多いことが報告されている。例えば、多発性骨髄腫の場合、病期の進展とともに14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座がみられる割合は高くなり、患者から採取した腫瘍細胞の14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座を調べた場合、骨髄腫前病変と考えられている単クローン性免疫グロブリン血症患者では50%、髄内性骨髄腫患者では60〜65%、髄外性骨髄腫患者では70〜80%に、また株化された骨髄腫細胞では90%以上に転座があることが報告されている〔Oncogene,20,5611−5622(2001)〕。
14q32上のイムノグロブリン遺伝子と転座を起こす相手の染色体領域と、その領域上の転座の相手となる遺伝子(パートナー遺伝子)の主なものとしては、11q13上のサイクリン(cyclin)D1遺伝子、6p21上のサイクリンD3遺伝子、4p16上のFGFR3(繊維芽細胞増殖因子受容体3)遺伝子およびMMSET(多発性骨髄腫SETドメイン)遺伝子、16q23上のc−maf遺伝子などがあげられる〔Oncogene,20,5611−5622(2001)〕。また、6p25上のMUM1/IRF−4(多発性骨髄腫癌遺伝子1/インターフェロン制御因子4)遺伝子、1q21−24上のIRTA1(イムノグロブリンスーパーファミリー受容体転座関連遺伝子1)遺伝子およびIRTA2遺伝子、20q12上のmafB遺伝子等も14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子となることがこれまでに報告されている〔Oncogene,20,5611−5622(2001)〕。14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座の結果生じた異常染色体上では、転座のパートナー遺伝子上にコードされている蛋白質(cyclin D1、FGFR3、MMSET、c−maf、cyclin D3、IRF−4、IRTA1、IRTA2、mafBなど)が、第14番染色体のイムノグロブリン遺伝子エンハンサー下で異常に発現上昇し細胞の癌化に関与すると考えられている〔Oncogene,20,5611−5622(2001)〕。さらに、コードする蛋白質は同定されていないものの、14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座の相手となることが知られている染色体領域として1q10−12、2p23、3q21、4p22−33、9q13、11q23、20q12、21q22、22q12なども報告されており、これらの染色体領域と14q32上のイムノグロブリン遺伝子との転座の結果生じる遺伝子発現異常に関しても癌化に関与している可能性が考えられる〔Oncogene,20,5611−5622(2001)〕。
しかしながら、14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う癌に対する従来の治療では、一般的な化学療法剤が用いられ、イムノグロブリン遺伝子の転座の結果、発現異常を生じた転座のパートナー遺伝子がコードする分子を標的にした特異的治療法は行われていない。例えば多発性骨髄腫の場合、その治療目的で一般的にDNAアルキル化剤〔メルファラン(melphalan)、シクロフォスファミド(cyclophosphamyde)、N,N’−ビス(2−クロロエチル)−N−ニトロソウレア(BCNU)など〕、トポイソメラーゼ阻害剤〔ドキソルビシン(doxorubicin)、エトポシド(etoposide)など〕、グルココルチコイド〔プレドニゾン(predonisone)、デキサメタゾン(dexamethasone)など〕、チューブリン阻害剤〔ビンクリスチン(vincristine)など〕等が単剤あるいは併用で用いられている。治療当初はこれら化学療法剤による抗腫瘍効果がみられるものの、その後再発、薬剤耐性化などを生じるため、5年生存率28%、10年生存率3%と従来の治療薬のみで充分な薬効が得られているとは言えない〔Oncogene,20,5611−5622(2001);Hematology(Am.Soc.Hematol.Educ.Program),157−177(2001)〕。
Hsp90阻害作用を有する化合物であるゲルダナマイシンが、種々の多発性骨髄腫細胞株や患者から得た多発性骨髄腫細胞の増殖を阻害すること〔Blood,98,1587(2001)〕、およびゲルダナマイシンの誘導体である17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシンの投与により、多発性骨髄腫細胞を移植したマウスの生存日数が延長したこと〔Blood,100,392(2002)〕が報告されているが、Hsp90とイムノグロブリン遺伝子の転座との関係には言及しておらず、Hsp90阻害作用を有する化合物が、イムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質を標的とすることを示唆するものではない。
Bcr−Abl、NPM−ALKなどの遺伝子の転座に由来する融合蛋白質がHsp90クライアント蛋白質であることは知られているが、転座の結果生ずる異常遺伝子がコードする蛋白質が全てHsp90クライアント蛋白質であるかどうかは不明である。14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座の結果、発現異常を生じた転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質についても、Hsp90クライアント蛋白質であるかどうか、その機能や細胞内での安定性がHsp90との結合に依存するかどうかは従来明らかにされていない。また、Hsp90阻害作用を有する化合物がイムノグロブリン遺伝子の転座を有する癌細胞に対し抗腫瘍効果を示すという報告は無い。
【発明の開示】
本発明は、多発性骨髄腫のようなイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患に対し、新たなメカニズムに基づく治療薬を提供することを目的とする。本発明は以下の(1)〜(16)の発明に関する。
(1)Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬。
(2)Hsp90阻害作用を有する化合物が、Hsp90α、Hsp90β、Grp94およびHsp75/TRAP1のうちの少なくとも一つのHsp90に対する阻害作用を有する化合物である(1)に記載の治療薬。
(3)Hsp90阻害作用を有する化合物が、Hsp90のATP/ADP結合領域に結合する化合物である(1)に記載の治療薬。
(4)Hsp90のATP/ADP結合領域に結合する化合物が、ラディシコールまたは下記一般式(I)で表されるラディシコール誘導体である(3)に記載の治療薬。

[式中、R及びRは同一または異なって水素原子、アルカノイル、アルケノイル、tert−ブチルジフェニルシリル、またはtert−ブチルジメチルシリルを表し、
はY−R{式中、Yは置換もしくは非置換のアルキレンを表し、RはCONR〔式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、またはNR(式中、R及びRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基と結合したカルボニル、または置換もしくは非置換のアリールカルバモイルを表す。)を表し、Rはヒドロキシ、置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、またはNR1011(式中、R10及びR11はそれぞれ前記のR及びRと同義である。)を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する〕、CO12(式中、R12は、置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換の複素環基を表す。)、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジル、置換もしくは非置換のピリドニル、置換もしくは非置換のピロリドニル、置換もしくは非置換のウラシリル、置換もしくは非置換のピペリジル、置換もしくは非置換のピペリジノ、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のモルホリノ、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のピペラジニル、置換もしくは非置換のチオモルホリノ、または置換もしくは非置換のジオキソラニルを表す}、COR13〔式中、R13は、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、またはNR1415(式中、R14及びR15は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジルを表すか、またはR14とR15が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表す。〕、または置換もしくは非置換のアリールを表し、
Xはハロゲンを表し、Rは水素原子、アルカノイル、アルケノイル、または−SO−Z{式中、Zは式(A)

〔式中、R1A及びR2Aはそれぞれ前記のR及びRと同義であり、Xはハロゲンを表し、WはOまたはN−O−R3A(式中、R3Aは前記のRと同義である。)を表す。〕を表す。}を表すか、またはXとRが一緒になって単結合を表す。]
(5)イムノグロブリン遺伝子の転座が、第14番染色体q32領域(14q32)における転座である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の治療薬。
(6)14q32における転座が、t(11;14)(q13;q32)、t(6;14)(p21;q32)、t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、t(6;14)(p25;q32)、t(1;14)(q21−24;q32)、t(14;20)(q32;q12)、t(1;14)(q10−12;q32)、t(2;14)(p13;q32)、t(3;14)(q21;q32)、t(4;14)(q22−33;q32)、t(9;14)(p13;q32)、t(11;14)(q23;q32)、t(12;14)(p13;q32)、t(14;21)(q32;q22)またはt(14;22)(q32;q12)である(5)に記載の治療薬。
(7)14q32における転座が、11q13上のサイクリンD1遺伝子、6p21上のサイクリンD3遺伝子、4p16上のFGFR3遺伝子もしくはMMSET遺伝子、16q23上のc−maf遺伝子、6p25上のMUM1/IRF−4遺伝子、1q21−24上のIRTA1遺伝子もしくはIRTA2遺伝子、または20q12上のmafB遺伝子をパートナー遺伝子とする転座である(5)に記載の治療薬。
(8)イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患が、造血器腫瘍である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の治療薬。
(9)造血器腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫である(8)に記載の治療薬。
(10)Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するイムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖阻害剤。
(11)Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の分解の促進剤。
(12)イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療用の医薬組成物の製造のためのHsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(13)患者から細胞を採取し、該細胞の染色体においてイムノグロブリン遺伝子の転座があるかどうかを調べ、イムノグロブリン遺伝子の転座がある患者を、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬を治療薬として投与する対象の患者として選択することを特徴とする患者の選別方法。
(14)患者が、造血器腫瘍の患者である(13)に記載の選別方法。
(15)造血器腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫である(14)に記載の選別方法。
(16)患者から細胞を採取し、該細胞の染色体においてイムノグロブリン遺伝子の転座があるかどうかを調べ、イムノグロブリン遺伝子の転座がある患者にHsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬を投与することからなるイムノブロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療方法。
本発明者らは、Hsp90阻害作用を有する化合物が、イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞において、転座の結果異常に発現が上昇する転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の細胞内での分解を促進し、該細胞の増殖を抑制することを見いだした。したがって、Hsp90阻害作用を有する物質またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する薬剤を、多発性骨髄腫のようなイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患に対する治療薬として用いることができる。
「転座」とは染色体の一部が、同じ染色体の他の場所または別の染色体に移動している遺伝子異常を意味する。「イムノグロブリン遺伝子の転座」とは、第14番染色体上のイムノグロブリン遺伝子の一部または全部を含む染色体の領域が、第14番以外の別の染色体または第14番染色体の他の場所に移動している遺伝子異常を意味する。なお、「イムノグロブリン遺伝子」には、イントロンを含む転写される領域だけでなく、プロモーターやエンハンサー等の転写制御領域も含まれる。「14q32における転座」とは、14q32の領域内で切断された第14番染色体の断片が、他の染色体に移動している遺伝子異常を意味する。「パートナー遺伝子」とは、2本の染色体が切断を受け、互いに融合する相手を交換し、相手の染色体の断片と融合したような転座において、相手の染色体の切断点あるいはその近傍に存在する遺伝子を意味する。領域aで切断を受けた第x番染色体と領域bで切断を受けた第y番染色体が、互いに相手を交換し、相手の染色体の断片と融合した転座は、t(x;y)(a;b)で表される。この場合、相手の染色体の切断点が存在する領域を「転座のパートナーの染色体領域」とよぶ。以下に本発明を説明する。
1.イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患とは、患者の疾患部位の細胞の染色体にイムノグロブリン遺伝子の転座がある疾患をいう。
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患であればいかなる疾患でも、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容する塩を有効成分とする医薬を該疾患の治療薬として用いることができる。
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の例としては、造血器腫瘍があげられ、中でも白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫をあげることができる。特に多発性骨髄腫は、14q32上のイムノグロブリン遺伝子の転座を高い確率で有するため、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容する塩を有効成分とする医薬をその治療薬として用いることができる。
疾患における、イムノグロブリン遺伝子の転座としては、イムノグロブリン遺伝子の転座であれば、どのような転座でもよいが、特に、イムノグロブリンH鎖の遺伝子が存在する染色体の14q32の領域における転座があげられる。14q32における転座としては、11q13、6p21、4p16、16q23、6p25、1q21−24、20q121q10−12、2p23、3q21、4q22−33、9q13、11q23、20q12、21q22および22q12のいずれかを14q32の転座のパートナーの染色体領域とする、t(11;14)(q13;q32)、t(6;14)(p21;q32)、t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、t(6;14)(p25;q32)、t(1;14)(q21−24;q32)、t(14;20)(q32;q12)、t(1;14)(q10−12;q32)、t(2;14)(p13;q32)、t(3;14)(q21;q32)、t(4;14)(q22−33;q32)、t(9;14)(p13;q32)、t(11;14)(q23;q32)、t(12;14)(p13;q32)、t(14;21)(q32;q22)、t(14;22)(q32;q12)で表される転座があげられる。また、これらの14q32における転座には、11q13上のサイクリンD1遺伝子、6p21上のサイクリンD3遺伝子、4p16上のFGFR3遺伝子およびMMSET遺伝子、16q23上のc−maf遺伝子、6p25上のMUM1/IRF−4遺伝子、1q21−24上のIRTA1遺伝子およびIRTA2遺伝子、20q12上のmafB遺伝子をパートナー遺伝子とする14q32における転座が含まれる。これらのイムノグロブリン遺伝子の転座の結果、発現の異常な亢進がおこると考えられる蛋白質としては、転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質であるサイクリンD1、サイクリンD3、FGFR3、MMSET、c−maf、MUM1/IRF−4、IRTA1、IRTA2およびmafBをあげることができる。
2.Hsp90阻害作用を有する化合物
本発明に用いるHsp90阻害作用を有する化合物は、Hsp90の機能、例えばHsp90クライアント蛋白質と分子複合体を形成する機能を阻害する物質であれば、どのような構造の物質でもよい。本発明に用いるHsp90阻害作用を有する化合物には、Hsp90に属するHspのうち、Hsp90α、Hsp90β、Grp94およびHsp75/TRAP1の少なくとも一つのHsp90の機能を阻害する化合物が含まれる。
Hsp90阻害作用を有する化合物としては、Hsp90のN末端に位置するATP/ADP結合領域に結合し、その機能を阻害する化合物、Hsp90のC末端領域(380〜728番めのアミノ酸に相当する)に結合することによりその機能を阻害する化合物があげられる。Hsp90のATP/ADP結合領域に結合し、その機能を阻害する化合物としては、ラディシコールおよびその誘導体、ゲルダナマイシン、ハービマイシンAなどのアンサマイシン系の化合物とその誘導体、WO 02/36075に記載のHsp90と結合するプリン誘導体などがあげられる。Hsp90のC末端領域に結合することによりその機能を阻害する薬剤としては、ノボビオシン、クロロビオシン(chlorobiocin)、クメルマイシン(coumermycin)A1などのクマリン系化合物とその誘導体があげられる。ラディシコール、ゲルダナマイシン、ハービマイシンA、ノボビオシンはカルビオケム社から購入できる。また、US3595955、J.Biol.Chem.,273,822(1998)等に記載の方法により微生物の培養液から精製し、単離することができる。
ラディシコール誘導体としては、KF58333〔Blood,96,2284(2000)〕、KF25706〔Cancer Res.,59,2931(1999)〕、特開平4−226991号公報に記載のフェノール性水酸基が種々のアシル基で修飾された誘導体、WO96/33989またはWO99/55689に記載のジエノンのオキシム誘導体、一般式(I)

[式中、R及びRは同一または異なって水素原子、アルカノイル、アルケノイル、tert−ブチルジフェニルシリル、またはtert−ブチルジメチルシリルを表し、
はY−R{式中、Yは置換もしくは非置換のアルキレンを表し、RはCONR〔式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、またはNR(式中、R及びRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基と結合したカルボニル、または置換もしくは非置換のアリールカルバモイルを表す。)を表し、Rはヒドロキシ、置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、またはNR1011(式中、R10及びR11はそれぞれ前記のR及びRと同義である。)を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する〕、CO12(式中、R12は、置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換の複素環基を表す。)、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジル、置換もしくは非置換のピリドニル、置換もしくは非置換のピロリドニル、置換もしくは非置換のウラシリル、置換もしくは非置換のピペリジル、置換もしくは非置換のピペリジノ、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のモルホリノ、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のピペラジニル、置換もしくは非置換のチオモルホリノ、または置換もしくは非置換のジオキソラニルを表す}、COR13〔式中、R13は、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、またはNR1415(式中、R14及びR15は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジルを表すか、またはR14とR15が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表す。〕、または置換もしくは非置換のアリールを表し、
Xはハロゲンを表し、Rは水素原子、アルカノイル、アルケノイル、または−SO−Z{式中、Zは式(A)

〔式中、R1A及びR2Aはそれぞれ前記のR及びRと同義であり、Xはハロゲンを表し、WはOまたはN−O−R3A(式中、R3Aは前記のRと同義である。)を表す。〕を表す。}を表すか、またはXとRが一緒になって単結合を表す。]で表されるラディシコール誘導体があげられる。以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)と称する。
化合物(I)の各基の定義において、特に断らない限り、低級とは炭素数1〜8まで、高級とは炭素数9〜30までを表す。
アルカノイルとしては、炭素数1〜30の直鎖または分岐状の、例えばホルミル、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、及びステアロイル等があげられる。アルケノイルとしては、炭素数3〜30の直鎖または分岐状の、例えばアクリロイル、メタクルロイル、クロトノイル、イソクロトノイル、パルミトレオイル、リノレオイル、及びリノレノイル等があげられる。低級アルキル及び低級アルコキシのアルキル部分としては、直鎖または分岐状の、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びイソオクチル等があげられ、さらにその炭素原子の一つがケイ素原子に置き換えられていてもよい。高級アルキルとしては、直鎖または分岐状の、例えばデカニル、ドデシル、及びヘキサデシル等があげられる。アルケニルとしては、炭素数2〜30の直鎖または分岐状の、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニル、1,3−ペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、ドデセニル、及びヘキサデセニル等があげられる。低級シクロアルキルとしては、炭素数3〜8の、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチル等があげられる。アリールとしては、例えばフェニル、及びナフチル等があげられ、アロイル及びアリールカルバモイルにおけるアリールはこれと同義である。複素環基としては、脂環式複素環基、芳香族複素環基等があげられ、例えばピリドニル、ピロリドニル、ウラシリル、ジオキソラニル、ピロリル、テトラゾリル、ピロリジニル、チエニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、ピラゾリジニル、ピペリジノ、ピリジル、ホモピペラジニル、ピラゾリル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、フリル、ピペリジル、キノリル、フタラジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、及びピリミジニル等があげられる。複素環基と結合したカルボニルにおける複素環基部分は上記と同義であり、カルボニルまで併せた基名としては、例えばフロイル、テノイル、ニコチノイル、及びイソニコチノイル等があげられる。RとR及びR14とR15がそれぞれ隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換もしくは非置換の複素環基としては(該複素環基には、さらに酸素原子、硫黄原子、または他の窒素原子が含まれてもよい。)、例えばピロリジル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジノ、ホモピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロアゾシニル、インドリル、及びイソインドリル等があげられる。アルキレンとしては、前記の低級アルキル及び高級アルキルのアルキル部分における基から水素原子を一つ除いた基があげられる。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子があげられる。
置換低級アルキル、置換高級アルキル、置換アルケニル、置換低級アルコキシ、及び置換低級アルカノイルにおける置換基としては、同一または異なって置換数1〜3の、ヒドロキシ、低級シクロアルキル、低級シクロアルケニル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、アジド、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、モノもしくはジ低級アルカノイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルケニルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン、低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、環状イミド(但し、イミドの窒素原子に結合している水素原子を除いてできる基を表す。)、またはCONR1617〔式中、R16及びR17は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級シクロアルキル、高級アルキル、アルケニル、低級アルコキシ、アリール、複素環基、またはNR1819(式中、R18及びR19は同一または異なって、水素、低級アルキル、低級シクロアルキル、アリール、複素環基、低級アルカノイル、アロイル、複素環と結合したカルボニル、またはアリールカルバモイルを表す。)を表す。〕、CO20(式中、R20は、水素原子、低級アルキル、高級アルキル、低級シクロアルキル、アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換の複素環基を表す。)、または−(OCHCHOCH(式中、nは1から10の整数を表す。)があげられる。
置換アルキレンにおける置換基としては、同一または異なって置換数1〜3の、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、アジド、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、モノもしくはジ低級アルカノイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルケニルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン、低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジル、置換もしくは非置換のピリドニル、置換もしくは非置換のピロリドニル、置換もしくは非置換のウラシリル、置換もしくは非置換のピペリジル、置換もしくは非置換のピペリジノ、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のモルホリノ、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のピペラジニル、置換もしくは非置換のチオモルホリノ、または置換もしくは非置換のジオキソラニル、環状イミド(但し、イミドの窒素原子に結合している水素原子を除いてできる基を表す。)、CONR1617(式中、R16及びR17は前記と同義である。)、またはCO20(式中、R20は前記と同義である。)があげられる。
置換低級シクロアルキル、置換アリール、置換複素環基、置換アロイル、置換複素環と結合したカルボニル、置換アリールカルバモイル、置換ピリジル、置換ピリドニル、置換ピロリドニル、置換ウラシリル、置換ピペリジル、置換ピペリジノ、置換ピロリジニル、置換モルホリノ、置換モルホリニル、置換ピペラジニル、置換チオモルホリノ、置換ジオキソラニル、及びRとR及びR14とR15がぞれぞれ隣接する窒素原子と一緒になって形成する複素環基における置換基としては、同一または異なって置換数1〜3の、ヒドロキシ、低級アルキルもしくは複素環置換低級アルキル(但し、本複素環は低級アルキルで置換されてもよい。)、高級アルキル、アルケニル、低級シクロアルキル、低級シクロアルケニル、低級アルコキシ、低級アルコキシ低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、アジド、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、モノもしくはジ低級アルカノイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルケニルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン、低級アルカノイル、アリール、複素環基、環状イミド(但し、イミドの窒素原子に結合している水素原子を除いてできる基を表す。)、CONR1617(式中、R16及びR17は前記と同義である。)、CO20(式中、R20は前記と同義である。)、またはSONR2122(式中、R21及びR22は同一または異なって、水素原子または低級アルキルを表す。)があげられる。ここで低級アルキル、高級アルキル、アルケニル、低級シクロアルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、アリール、アロイル、アリールカルバモイル、複素環基、及び複素環が結合したカルボニルはそれぞれ前記と同義である。モノもしくはジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル、及び低級アルコキシカルボニルアミノ、及び低級アルコキシ低級アルコキシにおける低級アルキルは前記と同義である。低級アルケニルオキシカルボニルアミノにおける低級アルケニルは前記アルケニルにおける炭素数2〜8までの、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニル、1,3−ペンタジエニル、及び1,3−ヘキサジエニル等があげられる。低級シクロアルケニルとしては、炭素数4〜8の、例えば2−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、及び1,3−シクロペンタジエニル等があげられる。低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、及びモノもしくはジ低級アルカノイルアミノにおける低級アルカノイルは、前記アルカノイルにおける炭素数1〜8の直鎖または分岐状の、例えばホルミル、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル、及びカプロイル等があげられる。環状イミドとしては、例えばフタルイミド、スクシンイミド、及びグルタルイミド等があげられる。
なお、KF58333は一般式(I)において、RおよびRが水素原子であり、Rが1−エチル−2−ピロリドニル基であり、XとRが一緒になって単結合を表している下記式(B)で表される化合物である。

KF58333および化合物(I)はWO 98/18780に記載の方法により製造することができる。特開平4−226991、WO96/33989、WO99/55689に記載のラディシコール誘導体はそれぞれ、特開平4−226991、WO96/33989、WO99/55689に記載の方法により合成することができる。
アンサマイシン系の化合物の誘導体としては、17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、US4261989、US5387584、US5932566に記載の化合物等があげられ、US4261989、US5387584、US5932566に記載の方法により合成することができる。また、17−AAGはカルビオケム社から購入できる。Hsp90と結合するプリン誘導体は、WO 02/36075に記載の方法により製造することができる。
Hsp90阻害作用を有する化合物としては、さらに以下の(1)〜(4)に示す化合物等があげられる。
(1) 一般式(II)

{式中、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R)−(式中、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)または−CH−を表し、
aは−CRa1a2−[式中、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Ra3(式中、Ra3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアラルキルアミノを表す)、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORa4(式中、Ra4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CHO−(式中、rは2または3を表す)を表す]、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換の二価の複素環基または結合を表し、
bは−(CRb1b2−[式中、mは0〜5までの整数を表し、Rb1およびRb2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Rb1とRb2が一緒になって酸素原子(=O)を表す]または−CHRb3CRb4b5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、置換もしくは非置換のアリールチオ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rb3とRb4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、またはRb4とRb5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)を表し、
cは−(CRc1c2−(CHRc3CRc4c5−(式中、nおよびpはそれぞれ前記mと同義であり、Rc1およびRc2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、Rc3、Rc4およびRc5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
dは−(CRd1CRd2−(式中、qは前記mと同義であり、Rd1およびRd2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRd3CRd4d5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
eは−CRe1e2−(式中、Re1およびRe2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表す}で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
一般式(II)中の各基の定義において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイルアミノ、ジ低級アルキルカルバモイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルキルスルホニルアミノ、低級アルキルチオおよび低級アルコキシカルボニルオキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等、および例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。ジ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシおよびジ低級アルキルカルバモイルアミノにおける2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニル、より具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプテニル、オクチニル等があげられる。
低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシおよび低級アルカノイルアミノの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。
アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アロイルおよびアロイルオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、インデニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
アラルキル、アラルキルオキシおよびアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル等があげられる。
複素環基としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられ、芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、より具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル等があげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニル等があげられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
アリーレンは、前記アリールから水素原子を1つ除いた基を表し、二価の複素環基は、前記複素環基から水素原子を1つ除いた基を表す。
置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルコキシ、置換低級アルカノイルオキシ、置換低級アルコキシカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノ、置換ジ低級アルキルアミノ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルカノイル、置換低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルスルホニルアミノ、置換低級アルキルカルバモイルアミノ、置換ジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換低級アルコキシカルボニルアミノ、置換低級アルキルチオおよび置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ等があげられる。置換基の置換位置は特に限定されない。ここで、低級アルコキシは前記と同義であり、置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば置換数1〜3のヒドロキシ等があげられる。
置換アロイルオキシ、置換アラルキルオキシ、置換アリール、置換アロイル、置換アラルキル、置換アリールオキシ、置換アリールアミノ、置換アラルキルアミノ、置換アリールチオ、置換複素環基、置換アリーレンおよび置換二価の複素環基における置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ等があげられる。置換基の置換位置は特に限定されない。ここで、ハロゲン、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルキルおよび低級アルコキシは、それぞれ前記と同義であり、置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン等があげられ、ハロゲンは前記と同義である。
以下、一般式(II)で表される化合物を化合物(II)と称する。
<製造法>
化合物(II)は、例えば文献〔特開2000−287697;Tetrahedron,54,15937−15958(1998);Chin.Chem.Lett.,,481−484(1994);Heterocycles,32,307−310(1991);Tetrahedron Lett.,30,2241−2244(1989);Chem.Lett.,589−592(1990);日本化学会誌,,883−885(1981);Agrc.Biol.Chem.,40,1663−1664(1976);J.Chem.Soc.C.,10,947−948(1967)等〕に記載の方法またはそれらに準じた方法により製造することができる。
さらに、有機合成化学で常用される公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive rganic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕によって各官能基を変換して種々の化合物(II)を製造することもできる。また、必要に応じて各官能基の保護、脱保護〔例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕等を組み合わせ、種々の官能基を有する目的化合物を製造することができる。
(2) 一般式(III)

{式中、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルケニルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノスルホニルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは、酸素原子、硫黄原子または−N(R)−(式中、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表し、
aは−(CRa1a2−(式中、mは0〜5の整数を表し、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)を表す)、−CHRa3CRa4a5−(式中、Ra3、Ra4およびRa5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルを表すか、Ra3とRa4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、Ra4とRa5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)または−CHRa6Y−(式中、R6aは前記Ra3と同義であり、Yは前記Xと同義である)を表し、
bは−(CRb1b2−(式中、nは前記mと同義であり、Rb1およびRb2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)を表し、
cは−(CHRc1CHRc2−(式中、pは前記mと同義であり、Rc1およびRc2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、Rc1とRc2が一緒になって結合または酸素原子を表す)または−CHRc3Z−(式中、Rc3は前記Ra1と同義であり、Zは前記Xと同義である)を表し、
dは−CRd1d2−[式中、Rd1およびRd2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Rd3(式中、Rd3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rd1とRd2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORd4(式中、Rd4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CHO−(式中、rは2または3を表す)を表す]または−NRd4(C=O)−(式中、Rd4は前記Rと同義である)を表し、
eは、−CRe1e2−(式中、Re1およびRe2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRe3CHRe4−(式中、Re3およびRe4はそれぞれ前記Ra3およびRa4と同義である)を表し、
fは−(CRf1f2−(式中、Rf1およびRf2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、qは前記mと同義である)を表し、
gは−CRg1g2−(式中、Rg1およびRg2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表すが、
ただし、
(i)RおよびRがヒドロキシであり、
およびRが水素原子であり、
Xが酸素原子であり、
−a−b−c−が−(CH−または−CH=CH−(CH−であり、
eおよびfがそれぞれ−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−であるとき、
dは−C(=O)−または−CH(OH)−ではなく、
(ii)Rがヒドロキシまたはメトキシであり、
がヒドロキシであり、
およびRが水素原子であり、
Xが酸素原子であり、
−a−b−c−が−CH=CH−(CH−であり、
−e−f−が−CH−であり、かつ
gが−CH(CH)−であるとき、
dは−C(=O)−ではない}で表される環状安息香酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
一般式(III)中の各基の定義において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルコキシカルボニルオキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、低級アルキルスルホニルアミノ、低級アルキルアミノスルホニルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルアミノおよび低級アルキルアミノカルボニルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等、および例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。ジ低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノカルボニルオキシにおける2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
低級アルケニルおよび低級アルケニルオキシの低級アルケニル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニル、より具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル等があげられる。
低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシおよび低級アルカノイルアミノの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。
アリール、アリールオキシ、アリールアミノおよびアロイルオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
アラルキル、アラルキルオキシおよびアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル等があげられる。
複素環基としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられ、芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、より具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、フタルイミド等があげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニル等があげられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルケニルオキシ、置換低級アルカノイルオキシ、置換アロイルオキシ、置換低級アルコキシカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノ、置換ジ低級アルキルアミノ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルキルスルホニルアミノ、置換低級アルキルアミノスルホニルアミノ、置換低級アルキルアミノカルボニルアミノ、置換低級アルコキシカルボニル、置換低級アルカノイル、置換アリール、置換複素環基、置換アラルキル、置換低級アルキルアミノカルボニル、置換アラルキルオキシ、置換アリールアミノおよび置換アラルキルアミノにおける置換基としては、例えば同一または異なって置換数1〜3の、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボキシ、ホルミル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル等があげられる。置換基の置換位置は、特に限定されない。ここで、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイルおよび低級アルコキシカルボニルは、それぞれ前記と同義であり、置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば置換数1〜3のヒドロキシ等があげられる。
以下、一般式(III)で表される化合物を化合物(III)と称する。他の式番号の化合物についても同様である。
<製造法>
化合物(III)は、市販品として入手するか、例えば文献〔US5795910;EP0606044;Chem.Lett.,172−173(2001);Tetrahedron,55,8215−8230(1999);J.Org.Chem.,43,2339−2343(1978);US3954805;US3925423;US3836544;US3810918;US3764614;US3373039;US3373030;US3239347;US3239342;US3239341等〕に記載の方法またはそれらに準じて製造するか、または市販の化合物もしくはこれら文献記載の方法またはそれらに準じて製造される化合物から、さらにこれら文献記載の方法またはそれらに準じて製造することができる。
さらに、有機合成化学で常用される公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕によって各官能基を変換して種々の化合物(III)を製造することもできる。また、必要に応じて各官能基の保護、脱保護〔例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕等を組み合わせ、種々の官能基を有する目的化合物を製造することができる。
(3) 一般式(IV)

〔式中、nは0〜10の整数を表し、
は水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換の複素環基、CONR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換の複素環アルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)またはNR10(式中、RおよびR10はそれぞれ前記RおよびRと同義である)を表し、
は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
およびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表し、
およびRは同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す〕
で表されるベンゾイル化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩。
一般式(IV)の各基の定義において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキルがあげられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。ジ低級アルキルアミノにおける2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニルがあげられ、具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニルがあげられ、具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル等があげられる。
低級アルカノイルおよび低級アルカノイルオキシの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイルがあげられ、具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。
シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
アリール、アリールスルホニル、アリールオキシおよびアロイルのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14の単環式、二環式または三環式のアリールがあげられ、具体的にはフェニル、インデニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
アラルキルとしては、例えば炭素数7〜15のアラルキルがあげられ、具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル等があげられる。
複素環基および複素環アルキルの複素環基部分としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられる。芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、ベンゾジオキソラニル等があげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげられ、具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニル、オキソピペラジニル、2−オキソピロリジニル等があげられる。
隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の単環性複素環基(該単環性複素環基は、他の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい)、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で少なくとも1個の窒素原子を含む縮環性複素環基(該縮環性複素環基は、他の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい)等があげられ、具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、オキソピペラジニル、2−オキソピロリジニル等があげられる。
複素環アルキルのアルキレン部分は、前記低級アルキルの定義から水素原子を一つ除いたものと同義である。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルコキシカルボニル、置換低級アルケニルおよび置換低級アルキニルにおける置換基(A)としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、シクロアルキル、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ等があげられる。置換基の置換位置は、特に限定されない。置換基(A)の例示であげたハロゲン、低級アルコキシ、シクロアルキル、低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノは、それぞれ前記と同義である。置換基(A)の例示であげた置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン等があげられ、該ハロゲンは前記と同義である。
置換低級アルカノイル、置換低級アルカノイルオキシ、置換シクロアルキル、置換アリール、置換アリールスルホニル、置換アリールオキシ、置換アラルキル、置換アロイル、置換複素環アルキル、置換複素環基および隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基(B)としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アラルキルオキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルファニル、シクロアルキル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、複素環基、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環アルキルオキシ、置換もしくは非置換の複素環カルボニルアルキルオキシ等があげられる。置換基の置換位置は、特に限定されない。置換基(B)の例示であげたハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、複素環基およびアリールは、それぞれ前記と同義であり、低級アルキルスルホニルおよび低級アルキルスルファニルの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義であり、アラルキルオキシのアラルキル部分は前記アラルキルと同義であり、複素環アルキルオキシおよび複素環カルボニルアルキルオキシの複素環基部分およびアルキレンはそれぞれ前記複素環基および前記低級アルキルの定義から水素原子を一つ除いたものと同義である。置換基(B)の例示であげた置換底級アルキル、置換低級アルコキシおよび置換アリールにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシ、シアノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ等があげられ、該ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノはそれぞれ前記と同義である。置換基(B)の例示であげた置換複素環アルキルオキシおよび置換複素環カルボニルアルキルオキシにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、複素環基等があげられ、ここで示したハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシおよび複素環基はそれぞれ前記と同義である。
以下、一般式(IV)で表される化合物を化合物(IV)と称する。
次に、化合物(IV)の製造法について説明する。
なお、以下に示した製造法において、定義した基が反応条件下変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される方法、例えば官能基の保護、脱保護等〔例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕の手段に付すことにより容易に製造を実施することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
<製造法>
化合物(IV)は、例えば以下に示す製造法1〜製造法6等によって得ることができる。
製造法1:
化合物(IV)は、例えば以下の工程により製造することができる。

(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ前記と同義であり、Xはヒドロキシまたはハロゲンを表し、該ハロゲンは前記と同義である)
(工程1)
化合物(IV)は、化合物(Va)と1〜10当量の化合物(VI)とを、酸存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
酸としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸、三塩化アルミニウム、四塩化チタン等のルイス酸等があげられ、化合物(Va)に対して、好ましくは1〜50当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム等があげられるが、酢酸、トリフルオロ酢酸等を溶媒として用いることもできる。
反応は、通常−50℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間行われる。また、1〜10当量の無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸等を添加することにより、反応を促進することもできる。
なお、原料化合物(Va)は、公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕またはそれらに準じた方法により得ることができる。
原料化合物(VI)は、市販品として、または公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕もしくはそれらに準じた方法により得ることができる。
また、後述の製造法6に準じた方法により、化合物(Va)のうちRが水素原子である化合物(Va−i)から、化合物(Va)のうちRがR6a(式中、R6aはRの定義中、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表す)である化合物(Va−ii)を製造することもできる。
また、上記工程1に準じた方法により、化合物(Va)のうちRが水素原子である化合物(Va−i)から、化合物(Va)のうちRがアセチルである化合物(Va−iii)を得て、化合物(Va−iii)を例えばトリフルオロ酢酸中、例えばトリエチルシラン等で処理することにより、化合物(Va)のうちRがエチルである化合物(Va−iv)を得ることもできる。
製造法2:
化合物(IV)は、例えば以下の工程により製造することもできる。

(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ前記と同義であり、Yはハロゲンを表し、該ハロゲンは前記と同義である)
(工程2−1)
化合物(VIII)は、化合物(Vb)を不活性溶媒中、1〜5当量の例えばn−ブチルリチウム等の強塩基で処理した後、化合物(VII)と反応させることにより得ることができる。
不活性溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等があげられる。
反応は、通常−78〜30℃の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
なお、原料化合物(Vb)は市販品として、または公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕もしくはそれらに準じた方法により得ることができ、例えば以下の工程により製造することもできる。

(式中、R、R〜R、nおよびYはそれぞれ前記と同義である)
化合物(Vb)は、化合物(Va)を不活性溶媒中、1〜2当量の例えばN−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、塩素、臭素、ヨウ素等の対応するハロゲン化剤で処理することにより得ることができる。
不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられる。
反応は、通常0〜50℃の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
(工程2−2)
化合物(IV)は、化合物(VIII)を不活性溶媒中、1〜10当量の酸化剤で処理することにより得ることができる。酸化剤としては、例えばクロム酸、二酸化マンガン、二クロム酸ピリジニウム(PDC;pyridinium dichromate)、1−ヒドロキシ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン=1−オキシド(IBX;1−hydroxy−1,2−benziodoxol−3(1H)−one 1−oxide)等があげられる。また、この反応はモレキュラーシーブスの存在下で行ってもよい。
不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド等があげられる。
反応は、通常0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
製造法3:
化合物(IV)のうち、RがCONRである化合物(IVa)は、以下の方法により製造することもできる。

(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ前記と同義である)
(工程3)
化合物(IVa)は、化合物(IX)と化合物(X)との縮合反応により得ることができる。
例えば、化合物(IX)を溶媒中、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシコハク酸イミド等の活性化剤および縮合剤存在下、化合物(X)と反応させることにより化合物(IVa)を得ることができる。また、必要に応じて1〜20当量の塩基を添加して反応を行うことも可能である。通常、化合物(IX)に対して、縮合剤、活性化剤および化合物(X)は1〜20当量用いられ、反応は−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、1分間〜24時間行われる。
溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類、エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピペリドン、これらの混合溶媒等があげられる。
縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩、ポリマーバウンド−1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、トリフェニルホスフィンオキシド・トリフルオロメタンスルホン酸無水物等があげられる。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等のアルキルアミン類、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物等があげられる。
また、化合物(IX)をあらかじめ活性化剤で処理してから反応に用いること、または常法に従って、化合物(IX)のカルボキシル基を酸塩化物、酸臭化物、p−ニトロフェノキシカルボニル、ペンタフルオロフェノキシカルボニル、ペンタフルオロチオフェノキシカルボニル等の反応性の高い基に変換してから反応に用いることもできる。
なお、原料化合物(IX)は製造法1、製造法2、公知の方法〔例えば、J.Am.Chem.Soc.,93,6708−6709(1971)等〕またはそれらに準じた方法により得ることができ、原料化合物(X)は市販品としてまたは公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕もしくはそれらに準じた方法により得ることができる。
製造法4:
およびRが水素原子である化合物(IVc)は、RがR3a(式中、R3aは前記Rの定義中、水素原子を除いたものと同義である)であり、RがR5a(式中、R5aは前記Rの定義中、水素原子を除いたものと同義である)である化合物(IVb)から、以下の工程によって製造することもできる。

(式中、R、R、R3a、R、R5、Rおよびnはそれぞれ前記と同義である)
(工程4)
化合物(IVc)は、化合物(IVb)を例えばジクロロメタン等の不活性溶媒中、例えば三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化チタンまたはそれらの錯体等のルイス酸で処理することにより得ることができる。通常、化合物(IVb)に対して、ルイス酸は1〜20当量用いられ、反応は−78℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、1分間〜24時間行われる。
また、化合物(IVb)のうち、R3aおよびR5aがアリルである化合物(IVb−i)からは、化合物(IVb−i)を不活性溶媒中、例えばビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド等のパラジウム錯体とギ酸アンモニウム等のギ酸塩、例えばトリブチルスズヒドリド等の典型金属水素化物、例えばモルホリン等の二級アミン、例えばジメドン等の活性メチレン化合物等の求核剤で処理することにより化合物(IVc)を得ることもできる。
不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、酢酸、1,4−ジオキサン等があげられる。
これらの反応は、通常室温から用いる溶媒の沸点の間の温度で、1分間〜24時間行われる。
また、化合物(IVb−i)を、例えば酢酸、ギ酸等の有機酸中またはそれらとテトラヒドロフランの混合溶媒中、例えばトリフェニルホスフィン等の配位子存在下または非存在下、例えば酢酸パラジウム(II)で処理するか、または例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(II)等のパラジウム錯体、二酸化セレン等で処理することにより化合物(IVc)を得ることもできる。
これらの反応は、通常室温から用いる溶媒の沸点の間の温度で、1分間〜24時間行われる。
また、化合物(IVb)のうち、R3aおよびR5aがメトキシメチルである化合物(IVb−ii)からは、化合物(IVb−ii)を溶媒中、例えば塩酸、酢酸等の酸で処理することにより化合物(IVc)を得ることもできる。
溶媒としては、例えば水、メタノール、イソプロピルアルコール等のプロトン性溶媒、これらと1,4−ジオキサン等の不活性溶媒との混合溶媒等があげられる。
これらの反応は、通常0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
また、化合物(IVb)のR3aとR5aが異なる場合には、上記の方法を適宜組み合わせることにより目的とする化合物(IVc)を得ることもでき、化合物(IV)のうち、RとRのどちらか一方が水素原子である化合物(IVd)は、化合物(IVb)から上記の方法において例えば試薬の当量数、反応温度等を調整することにより得ることができる。
なお、原料化合物(IVb)は、製造法1、製造法2もしくは公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕またはそれらに準じた方法により得ることができる。
製造法5:
製造法1または2で原料として使用される化合物(Va)のうち、Rが置換もしくは非置換の低級アルコキシである化合物(Va−v)は、以下の方法により製造することもできる。

(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ前記と同義であり、Yは前記Yと同義であり、Rは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R1dは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、該低級アルキルおよび低級アルコキシはそれぞれ前記と同義であり、該置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基と同義である)
(工程5−1)
化合物(XII)は、化合物(XI)を不活性溶媒中、1〜5当量の例えば水素化イソブイチルアルミニウム、水素化リチウムアルミニウム等の還元剤で処理することにより得ることができる。
不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン等があげられる。
反応は、通常−78℃から用いる溶媒の沸点の間で、5分間〜24時間行われる。
なお、原料化合物(XI)は、製造法1、製造法2もしくは公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕またはそれらに準じた方法により得ることができる。
(工程5−2)
化合物(VA−v)は、化合物(XII)を不活性溶媒中、1〜5当量の例えば水素化ナトリウム等で処理した後、1〜5当量の化合物(XIII)と反応させることにより得ることができる。
不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられる。
反応は、通常0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
製造法6:
化合物(IV)のうち、Rがハロゲンである化合物(IVf)またはRがR6a(式中、R6aは前記と同義である)である化合物(IVg)は、以下の方法により製造することもできる。

(式中、R〜R、R6aおよびnはそれぞれ前記と同義であり、Yは前記Yと同義であり、R7aは低級アルキルを表し、該低級アルキルは前記と同義である)
(工程6−1)
化合物(IVf)は、化合物(IVe)を不活性溶媒中、1〜2当量の例えばN−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、塩素、臭素、ヨウ素等の対応するハロゲン化剤で処理することにより得ることができる。
不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられる。
反応は、通常0〜50℃の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
なお、原料化合物(IVe)は、製造法1〜4もしくは公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕またはそれらに準じた方法により得ることができる。
(工程6−2)
化合物(IVg)は、化合物(IVf)を不活性溶媒中、0.01〜1当量の例えばビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド等の存在下、1〜5当量の化合物(XIV)と反応させ、必要に応じて例えば塩酸等の酸で処理することにより得ることができる。
不活性溶媒としては、例えば1,2−ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、これらの混合溶媒等があげられる。
反応は、通常50℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間行われる。
なお、原料化合物(XIV)は、市販品としてまたは公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & sons Inc.(1999)等〕に記載の方法もしくはそれらに準じた方法により得ることができる。
また、化合物(IV)は上記の製造法以外にも、例えば国際公開第01/81288号、特開平8−92082号公報、特開2001−39968号公報、米国特許第6125007号明細書、J.Antibiot.,55,61−70(2002)、J.Am.Chem.Soc.,93,6708−6709(1971)、Bioorg.& Med.Chem.Lett., 1945−1948(1999)、Tetrahedron Lett.,43,291−293(2002)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,441−448(1989)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,2502−2512(1977)、J.Chem.Soc.(C),3899−3902(1971)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,1417−1421(1974)、Tetrahedron Lett.,22,267−270(1981)等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得ることもできる。
さらに、化合物(IV)、原料化合物および中間体化合物における各官能基の変換および置換基に含まれる官能基の変換は、公知の方法〔例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,second edition,John Wiley & Sons Inc.(1999)等〕またはそれらに準じた方法によって行うことができる。
上記の方法等を適宜組み合わせて実施することにより、所望の位置に所望の官能基を有する化合物(IV)を得ることができる。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法を適当に組み合わせて、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
上記、Hsp90阻害作用を有する化合物の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を、本発明のイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬に使用することができる。
Hsp90阻害作用を有する化合物の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
Hsp90阻害作用を有する化合物の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
Hsp90阻害作用を有する化合物の塩を取得したい場合には、Hsp90阻害作用を有する化合物の塩が得られるときはそのまま精製すればよく、またHsp90阻害作用を有する化合物が遊離の形で得られるときはHsp90阻害作用を有する化合物を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればよい。
また、Hsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、それら付加物もイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬に使用することができる。
3.Hsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬製剤
本発明のHsp90阻害活性を有する医薬製剤は、活性成分としてHsp90阻害活性を有する化合物単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、注射剤などがある。
経口投与に適当な、例えばシロップ剤のような液体調製物は、水、蔗糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを使用して製造できる。また、錠剤、散剤および顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した希釈剤、防腐剤、フレーバー類、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
本発明の医薬製剤の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
Hsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩は、イムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の細胞内での分解を促進し、減少させる。つまり、Hsp90は、イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患において、発現が異常に亢進している転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質と結合し、その安定性を保持していると考えられる。Hsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩は、転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の細胞内での分解の促進剤に用いることができる。
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患においては、転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の発現が異常に亢進していることが、疾患の発症や進行、あるいは悪性化の原因となっていると考えられる。Hsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬製剤は、該蛋白質の細胞内での分解を促進し、減少させることにより、イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の発症や進行、あるいは悪性化を阻害するので、このような疾患の治療薬として用いることができる。
また、イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞では、転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の発現が異常に亢進しているため、細胞増殖が促進されていると考えられる。Hsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩は、該蛋白質の細胞内での分解を促進し、減少させることにより、イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖の阻害をすることができる。
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴わない疾患の患者には、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬製剤を投与しても治療効果が期待できないことも考えられるが、疾患によっては、イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患と伴わない疾患が、症状だけでは区別できない場合もある。
患者がイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の患者であるかどうかは、文献〔Blood,94,2583−2589(1999)〕に記載の方法に基づいて、以下のようにして調べることができる。患者の疾患部位から細胞を採取する。例えば、多発性骨髄腫の場合は骨髄から形質細胞を採取する。採取した細胞を固定化した後、それぞれ異なる波長の2種類の蛍光色素で標識したイムノグロブリン遺伝子に特異的なプローブとイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子に特異的なプローブとを用いて、細胞の間期核に対して蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を行う。イムノグロブリン遺伝子とパートナー遺伝子との転座がある場合は、2種類の蛍光が隣接している個所が細胞内に検出されるが、転座がない場合は、2種類の蛍光は隣接せず、別々に検出される。また、染色体DNAを単離し、その染色体DNAを鋳型とし、イムノグロブリン遺伝子とパートナー遺伝子にそれぞれに特異的なプライマーを利用したPCRにより、転座により生じたイムノグロブリン遺伝子とパートナー遺伝子との融合遺伝子を特異的に検出することにより、転座があるかどうかを調べることができる。
このようにして、イムノグロブリン遺伝子の転座がある患者に対して、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬を投与することにより、イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図 細胞内における、イムノグロブリン遺伝子の転座パートナー遺伝子がコードする蛋白質の消失作用を示す図である。KMS−11細胞にKF58333を添加したときの細胞中のFGFR3の消失を示す。各レーンは、左からKF58333非添加のKMS−11細胞、KF58333を4nmol/L、20nmol/L、100nmol/Lの濃度になるようにそれぞれ添加したKMS−11細胞でのウェスタンブロットで、上から、FGFR3、Raf1、Cdk6、Erk−2をそれぞれ検出した結果を示す。
第2図 KF58333のKMS−11細胞に対する増殖阻害を示す。横軸は、KF58333の濃度(nmol/L)、縦軸はコントロールに対する生細胞数の割合(%)を示す。
第3図 KF58333のKMS−11細胞移植マウスに対する抗腫瘍効果を示す。横軸は、投与試験開始後の日数、縦軸は、投与試験開始0日の腫瘍体積(V)に対する腫瘍体積(V)の比(V/V)を示す。●はKF58333を投与したマウス、○はコントロールのマウスでの結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1 Hsp90阻害作用を有する化合物による細胞内でのイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の消失
イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞において、イムノグロブリン遺伝子の転座により異常な発現の亢進を示すパートナー遺伝子がコードする蛋白質が、Hsp90阻害作用を有する化合物の添加により細胞内で消失することを、以下のようにウェスタンブロットにより確認した。
125cm培養用プラスチックフラスコ(ヌンク社製)中に、10%牛胎児血清を含むRPMI 1640培地(以下、培養用培地とよぶ)にて10,000細胞/mLに希釈したヒト多発性骨髄腫由来KMS−11細胞〔In Vitro Cell.Dev.Biol.,25,723(1989)〕を30mlずつ分注した。KMS−11細胞は、14q32上のイムノグロブリン遺伝子と4p16.3上のFGFR3遺伝子との転座の結果、FGFR3が大量に発現していることが報告されている細胞である〔Blood,90,4062(1997)〕。ここにHsp90阻害作用を有する化合物として、10mmol/Lに調製したラディシコール誘導体KF58333〔Blood,96,2284(2000)〕のジメチルスルフォキシド(以下、DMSOと略す)溶液を培養用培地でさらに1/10000に希釈した溶液(KF58333の濃度1μmol/L)を、それぞれ最終濃度4.0nmol/L、20nmol/L、100nmol/Lになるように添加した。コントロールには、KF85333の溶液を添加しなかった。5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃にて40時間培養した後に細胞を1000Gで5分間の遠心分離により回収した。
回収した細胞に、冷却した溶解用緩衝液〔50mmol/Lヘペス(HEPES)NaOH,pH7.4、250mmol/L塩化ナトリウム、1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸、1%ノニデットP−40、1mmol/Lジチオスレイトール、1mmol/Lフッ化フェニルメチルスルホニル、5μg/mLロイペプチン(leupeptin)〕を加えて、4℃に30分間置いて細胞を溶解した後、20000Gで10分間遠心分離した。得られた上清の蛋白質濃度を測定し、各レーンあたり同一蛋白質量になるよう試料を調製した後、4連でSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により蛋白質の分離を行なった。
各分離された蛋白質試料は、ポリビニリデンジフルオライド膜(ミリポア社製)に移した後、1次抗体として、それぞれ抗FGFR3抗体〔サンタ・クルズ(Santa Cruz)社製〕、抗Raf−1抗体(サンタ・クルズ社製)、抗Cdk6抗体(サンタ・クルズ社製)、抗Erk2抗体〔アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)社製〕を加え、膜上の蛋白質と反応させた。その後2次抗体として、それぞれの1次抗体と反応する酵素標識抗体〔アルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIg抗体または抗マウスIg抗体、バイオラッド(BIO−RAD)社製〕を反応させた。各蛋白質のバンドは、ECF試薬〔モレキュラー・ダイナミクス(MolecularDynamics)社製〕と反応させた後、フルオルイメージャー(FluorImager、モレキュラー・ダイナミクス社製)にて検出した。
その結果、第1図に示すようにHsp90阻害作用を有するKF58333の添加によって、既にHsp90クライアント蛋白であることが報告されているRaf−1やCdk6が消失するだけでなく、イムノグロブリン遺伝子の転座パートナー遺伝子がコードするFGFR3が消失していることが確認された。一方、非Hsp90クライアント蛋白であるErk2の蛋白質量には変化が見られなかった。したがって、イムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質は、Hsp90のクライアント蛋白質となること、該蛋白質が、他のHsp90クライアント蛋白質と同様に、Hsp90阻害作用を有する化合物により、細胞内から選択的に消失することが見いだされた。
実施例2 Hsp90阻害作用を有する化合物によるイムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖阻害
KMS−11細胞においてイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードするFGFR3は、腫瘍の増殖・悪性化に関与していると考えられるので、Hsp90阻害作用を有する化合物が、FGFR3を細胞から消失させることにより、細胞の増殖に与える影響を調べた。
96ウェルマイクロプレート(ヌンク社製)中に、培養用培地にて2×10細胞/mLに希釈したKMS−11細胞を、1ウェルあたり50μl(10000個)ずつ分注した。ここに10mmol/Lに調製したKF58333のDMSO溶液を培養用培地で600nmol/Lに希釈し、さらに培養用培地で1/3ずつ段階的に希釈した溶液を50μlずつ、KF58333の終濃度として、それぞれ300、100、33.3、11.1、3.70、1.23nmol/Lとなるように添加した。コントロールとしては、KF58333を含まない培養用培地50μLを添加した。その後5%炭酸ガスインキュベーター内37℃にて72時間培養を行い、生細胞数を以下のようにして測定した。培養終了後、培養用培地で2倍希釈したXTT〔2,3−ビス−(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルフェニル)−(2H)−テトラゾリウム−5−カルボキシアニライド〕を、1ウェルあたり20μLずつ添加した後、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、1時間培養し、マイクロプレート分光光度計(バイオラッド社製、Model 550)を用い、450nmと655nmでの吸光度を測定した。各ウェルの450nmでの吸光度から655nmでの吸光度を減じた値(差吸光度)を算出した。生細胞数と差吸光度は比例の関係にあるので、KF58333を添加しないコントロールの細胞で得られた差吸光度の値を100%としたときの、各濃度のKF58333を添加した細胞で得られた差吸光度の値の割合(%)を、コントロールに対する生細胞数の割合として算出し、KF58333の細胞増殖阻害活性を測定した。
第2図に示すように、KF58333はKMS−11細胞に対し、細胞増殖阻害を示した。また、第2図のグラフから細胞増殖を50%阻害するKF58333の濃度(GI50値)を算出した結果、19.8nmol/Lであった。この濃度は、実施例1で遺伝子産物の消失を示すKF58333の濃度とほぼ等しい濃度であり、細胞増殖の阻害が、FGFR3の消失によることが示唆された。
以上から、Hsp90阻害作用を有する化合物は、イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖を阻害し、多発性骨髄腫等のイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬として用いることができることが示された。
実施例3 Hsp90阻害作用を有する化合物のイン・ビボでの抗腫瘍効果
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患のモデルとして、KMS−11細胞を免疫不全マウスに移植したヒト腫瘍のモデルを用い、イン・ビボでのHsp90阻害作用を有する化合物の抗腫瘍効果を調べた。
KMS−11細胞を、培養用培地を用い、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃にて培養し増殖させた。ヒト多発性骨髄腫由来KMS−11細胞Fox C.B−17/Icr−scidJclマウス(日本クレア)10匹に、移植1日前に抗アシアロGM1抗体を0.3mg/マウスずつ腹腔内投与した。抗体の投与の1日後、そのマウスに、培養したKMS−11細胞を1×10細胞/マウスずつ皮下移植した。移植後14日後にノギスにて皮下で増殖した腫瘍の腫瘍の長径・短径を測定し以下の式に従って腫瘍体積を求めた。
腫瘍体積V(mm)={長経(mm)×[短経(mm)]}/2
同時に各マウスの体重も測定し、腫瘍体積と体重がランダムになるよう1群5匹ずつ2つの群に分けた。この日を投与試験開始0日と定義し、以下のように薬剤投与を開始した。
KF58333投与群に対しては、投与用溶媒〔N,N,ジメチルアセトアミド(和光純薬社製)、クレモフォア(CREMOPHOR)EL(シグマ−アルドリッチ社製)および生理食塩水(大塚製薬社製)を容量比5:7.5:87.5で混合した溶液〕にて2.5mg/mLの濃度で溶解させたKF58333を、1日1回5日間連続でマウス体重1gあたり0.01mL(25mg/kg)の用量で、尾静脈より静脈内投与した。コントロールの薬剤非投与群には、投与用溶媒のみをKF58333投与群と同じ容量と回数ずつ静脈内投与した。投与試験開始4日、7日、10日、14日、17日、21日、24日後に薬剤非投与群とKF58333投与群の腫瘍体積を測定し、投与試験開始0日の腫瘍体積(V)に対する体積比(V/V)を算出し、比較した。その結果、第3図に示すようにKF58333投与群において明らかな腫瘍の増殖の抑制が見られ、KF58333は抗腫瘍効果を有することが認められた。
以上から、Hsp90阻害作用を有する化合物の投与により、多発性骨髄腫等のイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患が治療にできること、したがってHsp90阻害作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む医薬を、イムノグロブリン遺伝子転座を伴う疾患の治療薬として用いることができることが示された。
【産業上の利用可能性】
本発明により、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、多発性骨髄腫のようなイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患に対する治療薬、イムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖阻害剤およびイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の分解の促進剤が提供される。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するイムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療薬。
【請求項2】
Hsp90阻害作用を有する化合物が、Hsp90α、Hsp90β、Grp94およびHsp75/TRAP1のうちの少なくとも一つのHsp90に対する阻害作用を有する化合物である請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】
Hsp90阻害作用を有する化合物が、Hsp90のATP/ADP結合領域に結合する化合物である請求項1に記載の治療薬。
【請求項4】
Hsp90のATP/ADP結合領域に結合する化合物が、ラディシコールまたは下記一般式(I)で表されるラディシコール誘導体である請求項3に記載の治療薬。

[式中、R及びRは同一または異なって水素原子、アルカノイル、アルケノイル、tert−ブチルジフェニルシリル、またはtert−ブチルジメチルシリルを表し、
はY−R{式中、Yは置換もしくは非置換のアルキレンを表し、RはCONR〔式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、またはNR(式中、R及びRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基と結合したカルボニル、または置換もしくは非置換のアリールカルバモイルを表す。)を表し、Rはヒドロキシ、置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、またはNR1011(式中、R10及びR11はそれぞれ前記のR及びRと同義である。)を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する〕、CO12(式中、R12は、置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換の低級シクロアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換の複素環基を表す。)、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジル、置換もしくは非置換のピリドニル、置換もしくは非置換のピロリドニル、置換もしくは非置換のウラシリル、置換もしくは非置換のピペリジル、置換もしくは非置換のピペリジノ、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のモルホリノ、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のピペラジニル、置換もしくは非置換のチオモルホリノ、または置換もしくは非置換のジオキソラニルを表す}、COR13〔式中、R13は、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、またはNR1415(式中、R14及びR15は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の高級アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のピリジルを表すか、またはR14とR15が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表す。〕、または置換もしくは非置換のアリールを表し、
Xはハロゲンを表し、Rは水素原子、アルカノイル、アルケノイル、または−SO−Z{式中、Zは式(A)

〔式中、R1A及びR2Aはそれぞれ前記のR及びRと同義であり、Xはハロゲンを表し、WはOまたはN−O−R3A(式中、R3Aは前記のRと同義である。)を表す。〕を表す。}を表すか、またはXとRが一緒になって単結合を表す。]
【請求項5】
イムノグロブリン遺伝子の転座が、第14番染色体q32領域(14q32)における転座である請求項1〜4のいずれか1項に記載の治療薬。
【請求項6】
14q32における転座が、t(11;14)(q13;q32)、t(6:14)(p21;q32)、t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、t(6;14)(p25;q32)、t(1;14)(q21−24;q32)、t(14;20)(q32;q12)、t(1;14)(q10−12;q32)、t(2;14)(p13;q32)、t(3;14)(q21;q32)、t(4;14)(q22−33;q32)、t(9;14)(p13;q32)、t(11;14)(q23;q32)、t(12;14)(p13;q32)、t(14;21)(q32;q22)またはt(14;22)(q32;q12)である請求項5に記載の治療薬。
【請求項7】
14q32における転座が、11q13上のサイクリンD1遺伝子、6p21上のサイクリンD3遺伝子、4p16上のFGFR3遺伝子もしくはMMSET遺伝子、16q23上のc−maf遺伝子、6p25上のMUM1/IRF−4遺伝子、lq21−24上のIRTA1遺伝子もしくはIRTA2遺伝子、または20q12上のmafB遺伝子をパートナー遺伝子とする転座である請求項5に記載の治療薬。
【請求項8】
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患が、造血器腫瘍である請求項1〜7のいずれか1項に記載の治療薬。
【請求項9】
造血器腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫である請求項8に記載の治療薬。
【請求項10】
Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するイムノグロブリン遺伝子の転座を有する細胞の増殖阻害剤。
【請求項11】
Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するイムノグロブリン遺伝子の転座のパートナー遺伝子がコードする蛋白質の分解の促進剤。
【請求項12】
イムノグロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療用の医薬組成物の製造のためのHsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項13】
患者から細胞を採取し、該細胞の染色体においてイムノグロブリン遺伝子の転座があるかどうかを調べ、イムノグロブリン遺伝子の転座がある患者を、Hsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬を治療薬として投与する対象の患者として選択することを特徴とする患者の選別方法。
【請求項14】
患者が、造血器腫瘍の患者である請求項13に記載の選別方法。
【請求項15】
造血器腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫である請求項14に記載の選別方法。
【請求項16】
患者から細胞を採取し、該細胞の染色体においてイムノグロブリン遺伝子の転座があるかどうかを調べ、イムノグロブリン遺伝子の転座がある患者にHsp90阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬を投与することを特徴とするイムノブロブリン遺伝子の転座を伴う疾患の治療方法。

【国際公開番号】WO2005/018674
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513380(P2005−513380)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012418
【国際出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】