説明

イメージスキャナ及び該イメージスキャナを利用した資料の情報の整理方法

【課題】 電子媒体に記録された内容を逐一開かなくても開けることが可能な資料の情報の整理方法及び該整理方法に使用するイメージスキャナを提供することである。
【解決手段】 資料を走査する前又は資料を走査した後に、資料を特定する識別マークを資料に印字する印字手段を備えたイメージスキャナを利用した資料の整理方法であって、イメージスキャナで資料を走査して資料の情報をデジタル画像情報化するとともにデジタル画像情報に識別マークを付与し、該識別マークを資料に印字し、該識別マークを有するデジタル画像情報をコンピュータに取り込み、該デジタル画像情報のファイル名と該識別マークとを関連付けてマップとしてコンピュータに記憶し、識別マークスキャナで資料に印字された識別マークを読み取り、抽出した複数の資料のデジタル画像情報をマップを参照して同一ホルダーに仕分ける各工程とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料を走査して資料の情報をデジタル画像情報化するイメージスキャナ及び該イメージスキャナを利用した資料の情報の整理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージスキャナは、通信や記録のために紙に書かれた文書、写真、図面等の情報を走査してデジタル画像情報化するための機器であり、ペーパレスを可能にする機器として広く利用されている。
【0003】
イメージスキャナには反射型と透過型の二種類があり、反射型の場合には、透明なプラスチック製若しくはガラス製の原稿台側から光をあててその反射光を撮像素子で電気信号に変換する。透過型の場合には、原稿台を覆う原稿台カバーから光を当ててその透過光を撮像素子で電気信号に変換する。
【0004】
その電気信号をアナログ‐デジタル変換回路でデジタルデータに変換し、更に論理回路で外部インターフェイス信号へ変換して接続されているコンピュータ等に送信する。外部インターフェイスとしては、現在はUSB接続が一般的である。
【0005】
また、光学系による分類では、縮小光学系タイプと等倍光学系タイプがある。縮小光学系タイプは、光源として白色蛍光ランプを使用し、複数のミラーとレンズを用いて光束の反射及び集約を繰り返した後に、原稿からの光を光学系で撮像素子であるCCDイメージセンサに導くものであり、機構は複雑になるが、光路長が長く取れるために焦点深度が深く、原稿が原稿台に密着していなくてもピントが合いやすいという特徴を有しており、現在は広くこのタイプが利用されている。
【0006】
等倍光学系タイプは密着センサー方式とも呼ばれ、光源にRGBの発光ダイオード(LED)を用い、R・G・BのLEDをそれぞれ高速に切り替えてロッドレンズアレイを通して原稿からの光を撮像素子であるCMOSイメージセンサに直接導くものであり、光学系が単純で装置のサイズをコンパクトにできるという特徴を有している。
【0007】
しかし、光源を切り替えるのに時間がかかるので、CCDタイプのものよりも読み取り速度は遅く、更に焦点深度が浅いため原稿が原稿台に密着していないとピントが合いにくいという欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、イメージスキャナで多くの資料を走査してとりあえずコンピュータのハードディスクドライブ(HDD)等の電子媒体にデジタル画像情報を記録しておき、後から仕分けをしたり、他のデータベース(DB)に登録を行う場合に、電子媒体に記録された内容を逐一開き内容を確認しながら仕分け又はDBに登録を行わなければならず、作業効率が悪いという問題がある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子媒体に記録された内容を逐一開かなくても容易に仕分け又はデータベースに登録可能な資料の情報の整理方法及び該整理方法に利用可能なイメージスキャナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明によると、資料を走査して資料の情報をデジタル画像情報化するイメージスキャナであって、資料を走査する前又は資料を走査した後に、該資料を特定する識別マークを該資料に印字する印字手段を具備したことを特徴とするイメージスキャナが提供される。
【0011】
請求項4記載の発明によると、請求項1記載のイメージスキャナを利用した資料の情報の整理方法であって、該イメージスキャナで資料を走査して該資料の情報をデジタル画像情報化するとともに該デジタル画像情報に識別マークを付与する資料走査工程と、該識別マークを該資料に印字する印字工程と、該識別マークを有する該デジタル画像情報をコンピュータに取り込む取り込み工程と、該デジタル画像情報のファイル名と該識別マークとを関連付けてマップとしてコンピュータに記憶する記憶工程と、識別マークスキャナで該資料に印字された識別マークを読み取り、抽出した複数の資料のデジタル画像情報を該マップを参照して同一ホルダーに仕分ける仕分け工程と、を具備したことを特徴とする資料の情報の整理方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のイメージスキャナは、バーコード等の識別マークを資料に印字できる機能を有しているので、資料を見ながら必要な情報を仕分ける際に、資料に印字されたバーコード等の識別マークをバーコードスキャナ等によって読み取ることで、資料の情報が記録されている記録媒体から必要な情報を容易に仕分けることが可能となり、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の資料の情報の整理方法を実施するのに適したシステム構成図である。
【図2】資料の一例を示す図である。
【図3】資料にイメージスキャナでバーコードを印字した状態を示す図である。
【図4】ファイル名と識別マーク(ID)とが関連付けられたマップである。
【図5】関連情報を同一ホルダーに仕分けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の資料の情報の整理方法を実施するのに適したシステム構成図が示されている。符号2はイメージスキャナであり、原稿台4に図2に示すような資料を置いて自動的に資料を送ることにより資料を走査して資料の情報をデジタル画像情報化する。
【0015】
図1でコンピュータ6はディスプレイ8及びキーボード10に接続されているとともに、バーコード等の識別マークを読み取るバーコードスキャナ(識別マークスキャナ)12に接続されている。
【0016】
本実施形態のイメージスキャナ2は、資料を走査する前又は資料を走査した後に、資料を特定するバーコード等の識別マークを資料に印字する図示しない印字手段を具備している。イメージスキャナ2でバーコード14を印字した状態の資料が図3に示されている。
【0017】
本実施形態のイメージスキャナ2は、識別マークの印字機能に加えて、資料を走査して資料の情報をデジタル画像情報化するとともに該デジタル画像情報にバーコード14等の識別マークを付与する機能を有している。
【0018】
このバーコードが付与されたデジタル画像情報は論理回路で外部インターフェイス信号に変換され、コンピュータ6に取り込まれ、取り込まれたデジタル画像情報がファイル名を付与されてHDDの所定箇所に格納される。これと同時に、デジタル画像情報のファイル名とバーコード等の識別マーク(ID)とを関連付けた図4に示すようなマップ16が作成されてHDDに記録される。
【0019】
本発明の資料の情報の整理方法では、数多くの資料をイメージスキャナ2で走査して資料の情報をデジタル画像情報化してコンピュータ6に取り込むとともに、資料のファイル名と識別マークとを関連付けて図4に示すマップ16に登録する。更に、紙媒体の資料には、イメージスキャナ2で走査することにより自動的に図3に示すバーコード14等の識別マークが印字される。
【0020】
例えば、印字手段によりバーコード14は図3に示すように資料の隅に印字される。或いは、バーコード14を資料の裏面に印字するようにしてもよい。或いは、バーコード14が印字される資料の領域に剥離可能なシールを貼着しておき、このシール上にバーコード14を印字するようにしてもよい。この場合には、必要に応じてシールを剥離することにより、資料からバーコード14を除去することができる。
【0021】
このようにイメージスキャナ2で資料を次々に走査して資料に異なる識別マークを印字し、コンピュータ6のHDDに走査した資料のデジタル画像情報を格納するとともに、図4に示すマップ16に取り込んだ資料のファイル名と識別マークとを関連付けて登録する。
【0022】
コンピュータに格納された資料の情報を仕分ける際には、バーコードスキャナ(バーコードリーダー)12で図3に示すように紙媒体に印字されたバーコード14を読み取り、図4に示すマップ16を参照してファイル名を抽出し、図5(A)に示すようにファイル名1のファイルをホルダー1に仕分ける。
【0023】
仕分けをするオペレータは、それぞれバーコード14が印字されている数多くの資料から同一ホルダーに仕分けたい複数の資料を取り出し、バーコードスキャナ12でこれらの資料に印字されているバーコード14を読み取り、図4に示すマップ16を参照して読み取ったバーコードに対応するファイル名を抽出し、ファイル名1,4,7,88,90,100のファイルを図5(A)に示すホルダー1に仕分ける。
【0024】
例えば、数多くの資料から切削装置関連の資料を抽出し、これらの資料のバーコード14をバーコードスキャナ12で読み取って、読み取ったバーコードに対応するファイル名を抽出して、図5(A)に示すホルダー1に仕分ける。
【0025】
研削装置関連の資料を抽出して、これらの資料のバーコード14をバーコードスキャナ12で読み取って、読み取ったバーコードに対応するファイル名を抽出して、図5(B)に示すホルダー2に仕分ける。
【0026】
また、消耗品関連の資料を抽出し、これらの資料のバーコード14をバーコードスキャナ12で読み取って、読み取ったバーコードに対応するファイル名を抽出して、消耗品関連の情報を図5(C)に示すホルダー3に仕分ける。
【0027】
上述した説明では、仕分けた資料のデジタル画像情報をファイル別に格納しているが、複数のデータベースを作成し、仕上げたデジタル画像情報を異なるデータベースに格納するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
2 イメージスキャナ
6 コンピュータ
12 バーコードスキャナ(識別マークスキャナ)
14 バーコード
16 マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料を走査して資料の情報をデジタル画像情報化するイメージスキャナであって、
資料を走査する前又は資料を走査した後に、該資料を特定する識別マークを該資料に印字する印字手段を具備したことを特徴とするイメージスキャナ。
【請求項2】
該識別マークは該資料の隅に印字する請求項1記載のイメージスキャナ。
【請求項3】
該識別マークが印字される該資料の領域に剥離可能なシールが貼着されている請求項1又は2記載のイメージスキャナ。
【請求項4】
請求項1記載のイメージスキャナを利用した資料の情報の整理方法であって、
該イメージスキャナで資料を走査して該資料の情報をデジタル画像情報化するとともに該デジタル画像情報に識別マークを付与する資料走査工程と、
該識別マークを該資料に印字する印字工程と、
該識別マークを有する該デジタル画像情報をコンピュータに取り込む取り込み工程と、
該デジタル画像情報のファイル名と該識別マークとを関連付けてマップとしてコンピュータに記憶する記憶工程と、
識別マークスキャナで該資料に印字された識別マークを読み取り、抽出した複数の資料のデジタル画像情報を該マップを参照して同一ホルダーに仕分ける仕分け工程と、
を具備したことを特徴とする資料の情報の整理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−114880(P2012−114880A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264574(P2010−264574)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】