説明

イメージセンサモジュール

【課題】 読み取り対象物の画像の色をより忠実に再現することが可能なイメージセンサモジュールを提供すること。
【解決手段】 イメージセンサモジュール101は、線状光を出射する発光ユニット400と、複数の受光部を有するセンサIC600と、レンズユニット500と、ケース200と、を備えており、発光ユニット400は、青色光を発するLEDチップ441を有するLEDモジュール410と、導光体460と、黄色光を発する主蛍光体と、を有しており、かつ、青色光および黄色光を混色させることにより白色の線状光を出射し、上記複数の受光部は、互いに異なる第1ないし第3波長領域の光を受光する第1ないし第3グループに属するものを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
読み取り対象物に記載された内容を画像データとして読み取るために、イメージセンサモジュールが広く用いられている。このようなイメージセンサモジュールにおいては、主走査方向に延びる線状光を読み取り対象物に向けて出射し、その反射光をセンサICなどの光電変換機能を有する受光手段によって受光する。線状光を生成するための光源としては、たとえば冷陰極管が用いられている(特許文献1参照)。冷陰極管からは、白色光が発せられる。この白色光は、導光体などによって線状光に変換される。
【0003】
イメージセンサモジュールの読み取り品質を高める要請としては、たとえば読み取り対象物の画像の色調をより忠実に読み取り、画像データとして再現することが挙げられる。忠実な色再現を実現するには、たとえば線状光の波長スペクトルを読み取り対象物や受光手段に合わせて微調整することが好ましい。しかしながら、冷陰極管の発する光の色調を微調整することは非常に困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−164574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、読み取り対象物の画像の色をより忠実に再現することが可能なイメージセンサモジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるイメージセンサモジュールは、主走査方向に延びる線状光を読み取り対象物に向けて出射する発光ユニットと、主走査方向に並べられた複数の受光部を有する受光手段と、上記読み取り対象物からの光を上記受光手段に集光するレンズユニットと、上記発光ユニット、上記受光手段、および上記レンズユニットを収容するケースと、を備えており、上記発光ユニットは、主発光波長領域の光を発する1以上の主LEDチップを有するLEDモジュールと、主走査方向に延びる棒状の導光体と、上記主発光波長領域の光によって励起されることにより上記主発光波長領域とは異なる主蛍光波長領域の光を発する主蛍光体と、を有しており、上記導光体は、上記LEDモジュールからの光が入射する主走査方向端面である入射面、上記入射面から長手方向に進行してきた光を反射する主走査方向に延びた反射面、および上記反射面から進行してきた光を主走査方向に延びる線状光として出射する主走査方向に延びた出射面を有しており、上記発光ユニットは、上記主発光波長領域の光および上記主蛍光波長領域の光を混色させることにより白色の線状光を出射し、上記複数の受光部は、互いに異なる第1ないし第3波長領域の光を受光する第1ないし第3グループに属するものを含むことを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記受光手段は、上記第1ないし第3グループごとに信号出力休止時間を挟んで順次光電変換処理を行うことが可能とされており、上記発光ユニットは、上記信号出力休止時間に含まれる発光休止時間における消灯を挟んで、点灯を繰り返すことが可能とされている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光ユニットは、上記主発光波長領域および上記主蛍光波長領域のいずれとも異なる補助光波長領域の光を発する補助光手段を有する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助光手段は、上記主発光波長領域の光によって励起されることにより上記補助光波長領域の光を発する補助蛍光体である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助光手段は、上記補助光波長領域の光を発する補助LEDチップである。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光ユニットからの線状光の波長スペクトルは、上記補助光波長領域において極大値を有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記主発光波長領域は、青色光領域であり、上記主蛍光波長領域は、黄色光領域である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助光波長領域は、赤色光領域である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光ユニットは、2つの主LEDチップを備える。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各主LEDチップは、長矩形状であり、発光部位である活性層が長手方向一方寄りに配置されている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が平行となり、かつ短手方向において互いに対面する配置とされているとともに、互いの上記活性層が上記長手方向において反対側に配置されている。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が一致するように直列に配置されている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が平行となり、かつ短手方向において互いに対面しない配置とされている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、個別に発光可能とされている。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを収容する凹部を有するLEDケースを備えている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部内には、上記1以上の主LEDチップを覆い、上記主蛍光体を含む透光樹脂が設けられている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透光樹脂は、上記導光体の上記入射面との間に隙間を有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、2つの上記主LEDチップを有しており、上記透光樹脂は、上記2つの主LEDチップを覆う部分の厚さが互いに異なる。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを覆う透明な透光樹脂を有し、上記発光ユニットは、上記入射面を覆い、上記主蛍光体を含む蛍光体シートを有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを覆い、上記主蛍光体を含むドーム状の透光樹脂を有しており、上記導光体の入射面が、上記透光樹脂に沿う凹面状とされている。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1波長領域は赤色光領域であり、上記第2波長領域は緑色光領域であり、上記第3波長領域は青色光領域である。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1ないし第3グループに含まれる複数の受光部は、これらのグループ毎に主走査方向に沿って配列されており、かつ互いに平行に配置されている。
【0028】
本発明の第2の側面によって提供される発光ユニットは、主走査方向に延びる線状光を出射する発光ユニットであって、主発光波長領域の光を発する1以上の主LEDチップを有するLEDモジュールと、主走査方向に延びる棒状の導光体と、上記主発光波長領域の光によって励起されることにより上記主発光波長領域とは異なる主蛍光波長領域の光を発する主蛍光体と、を有しており、上記導光体は、上記LEDモジュールからの光が入射する主走査方向端面である入射面、上記入射面から長手方向に進行してきた光を反射する主走査方向に延びた反射面、および上記反射面から進行してきた光を主走査方向に延びる線状光として出射する主走査方向に延びた出射面を有しており、上記発光ユニットは、上記主発光波長領域の光および上記主蛍光波長領域の光を混色させることにより白色の線状光を出射することを特徴としている。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記主発光波長領域および上記主蛍光波長領域のいずれとも異なる補助光波長領域の光を発する補助光手段を有する。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助光手段は、上記主発光波長領域の光によって励起されることにより上記補助光波長領域の光を発する補助蛍光体である。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助光手段は、上記補助光波長領域の光を発する補助LEDチップである。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記線状光の波長スペクトルは、上記補助光波長領域において極大値を有する。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記主発光波長領域は、青色光領域であり、上記主蛍光波長領域は、黄色光領域である。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記補助光波長領域は、赤色光領域である。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、2つの主LEDチップを備える。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各主LEDチップは、長矩形状であり、発光部位である活性層が長手方向一方寄りに配置されている。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が平行となり、かつ短手方向において互いに対面する配置とされているとともに、互いの上記活性層が上記長手方向において反対側に配置されている。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が一致するように直列に配置されている。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が平行となり、かつ短手方向において互いに対面しない配置とされている。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記2つの主LEDチップは、個別に発光可能とされている。
【0041】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを収容する凹部を有するLEDケースを備えている。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部内には、上記1以上の主LEDチップを覆い、上記主蛍光体を含む透光樹脂が設けられている。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透光樹脂は、上記導光体の上記入射面との間に隙間を有する。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、2つの上記主LEDチップを有しており、上記透光樹脂は、上記2つの主LEDチップを覆う部分の厚さが互いに異なる。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを覆う透明な透光樹脂を有し、上記発光ユニットは、上記入射面を覆い、上記主蛍光体を含む蛍光体シートを有する。
【0046】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを覆い、上記主蛍光体を含むドーム状の透光樹脂を有しており、上記導光体の入射面が、上記透光樹脂に沿う凹面状とされている。
【0047】
このような構成によれば、上記発光ユニットにおいて、上記主発光波長領域の光と上記主蛍光波長領域の光とを混色させることにより、白色光を適切に出射することができる。上記受光手段は、上記第1ないし第3波長領域の光を個別に受光可能であるため、読み取り対象物に白色光を照射すれば、いわゆるフルカラーの読み取りを行うことができる。したがって、読み取り対象物に記載された画像の色をより忠実に再現することができる。
【0048】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るイメージセンサモジュールの一例を示す平面図である。
【図2】図1のイメージセンサモジュールを示す底面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1のイメージセンサモジュールに用いられる発光ユニットを示す正面図である。
【図5】図4の発光ユニットに用いられるLEDモジュールを示す要部正面図である。
【図6】図5のLEDモジュールを示す要部拡大正面図である。
【図7】図5のLEDモジュールを示す背面図である。
【図8】図5のLEDモジュールを示す側面図である。
【図9】図4の発光ユニットの図5のIX−IX線に沿う要部断面図である。
【図10】図1のイメージセンサモジュールに用いられるセンサICを示す要部平面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】図1のイメージセンサモジュールを用いた画像読み取り処理を示すタイミングチャートである。
【図13】参考例としてのイメージセンサモジュールの波長スペクトルを示すグラフである。
【図14】図1のイメージセンサモジュールの波長スペクトルを示すグラフである。
【図15】図5のLEDモジュールの変形例を示す要部拡大正面図である。
【図16】図5のLEDモジュールの他の変形例を示す要部拡大正面図である。
【図17】図5のLEDモジュールの他の変形例を示す要部拡大正面図である。
【図18】図5のLEDモジュールの他の変形例を示す要部拡大正面図である。
【図19】図5および図9の発光ユニットの変形例を示す要部断面図である。
【図20】図5および図9の発光ユニットの他の変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0051】
図1〜図3は、本発明に係るイメージセンサモジュールの一例を示している。本実施形態のイメージセンサモジュール101は、ケース200、基板300、発光ユニット400、レンズユニット500およびセンサIC600を備えている。イメージセンサモジュール101は、たとえばスキャナに組み込まれることにより、読み取り対象物の画像を画像データとして読み取るために用いられる。
【0052】
ケース200は、イメージセンサモジュール101の外形を構成し、その他の構成要素を収容している。ケース200は、主走査方向xに長く延びており、副走査方向yおよび厚さ方向z(主走査方向xおよび副走査方向yのいずれに対しても直角である方向)によって規定される断面形状が、概略矩形状とされている。ケース200の材質としては、たとえば液晶ポリマ樹脂が挙げられる。
【0053】
基板300は、主走査方向xを長手方向、副走査方向yを幅方向とする長矩形状であり、たとえば、ガラスエポキシ樹脂、またはセラミックスからなる。基板300には、センサIC600が搭載されており、発光ユニット400が接続されている。また、基板300には、イメージセンサモジュール101を上記スキャナなどに接続するためのコネクタが取り付けられている。
【0054】
発光ユニット400は、図4および図9に示すように、LEDモジュール410、導光体460および導光体ケース465を有しており、白色の線状光を出射可能に構成されている。
【0055】
LEDモジュール410は、図5〜図9に示すように、リード420、LEDケース430、2つのLEDチップ441、2つのツェナーダイオード445および透光樹脂450を有している。なお、図5および図6においては、理解の便宜上、透光樹脂450を省略している。
【0056】
リード420は、2つのLEDチップ441および2つのツェナーダイオード445を支持し、これらに電流を流すためのものであり、たとえばCu合金などの金属からなる。リード420は、ダイボンディング部421および複数の端子部422を有する。ダイボンディング部421は、リード420のほぼ中央に位置し、2つのLEDチップ441および2つのツェナーダイオード445がダイボンディングされる。複数の端子部422は、LEDケース430から厚さ方向z下方に向けて延びており、基板300に対してLEDモジュール410(発光ユニット400)を取り付けるために用いられる。LEDケース430は、略矩形状であり、たとえば白色樹脂からなる。LEDケース430は、リード420を部分的に覆っている。LEDケース430には、凹部431が形成されている。凹部431は、ダイボンディング部421を露出させる円形状とされている。
【0057】
2つのLEDチップ441は、本発明でいう主LEDチップに相当し、ダイボンディング部421に対してたとえば絶縁樹脂ペーストによってダイボンディングされている。図5および図6においては、発光ユニット400の線状光の出射方向中心線を一点鎖線で示している。本実施形態においては、2つのLEDチップ441は、この出射方向中心線を挟んで並べられている。各LEDチップ441は、長矩形状であり、いわゆる2ワイヤタイプとして構成されている。LEDチップ441は、リード420に対してワイヤを介して接続されている。LEDチップ441は、たとえばGaN系半導体からなるn型半導体層、p型半導体層およびこれらに挟まれた活性層を有しており、青色光を発する。すなわち、本実施形態においては、本発明でいう主発光波長領域が青色光領域となっている。図6において斜線が付された部分は、上記活性層が存在する部位である。本図によく表れているように、2つのLEDチップ441は、互いの長手方向が平行な姿勢とされている。さらに、互いの上記活性層がこれらの長手方向において同じ側に位置している。また、2つのLEDチップ441は、それぞれ個別に発光させることが可能である。
【0058】
2つのツェナーダイオード445は、2つのLEDチップ441が静電破壊することを回避するためのものであり、たとえばAgペーストを用いてダイボンディング部421にダイボンディングされている。各ツェナーダイオード445は、リード420のうちダイボンディング部421以外の部位に対してワイヤを介して接続されている。
【0059】
図9に示すように、透光樹脂450は、LEDケース430の凹部431内において、2つのLEDチップ441および2つのツェナーダイオード445とこれらに接続された複数のワイヤとを覆うように形成されている。透光樹脂450は、メチル系またはジメチル系などの透明なシリコーン樹脂に主蛍光体が混入された材質からなる。この主蛍光体は、LEDチップ441からの青色光によって励起されることにより、黄色光を発する。すなわち、本実施形態においては、主蛍光波長領域の光が黄色光とされている。これにより、LEDモジュール410からは、青色光と黄色光とが混色することによって得られる白色光が出射される。さらに、透光樹脂450には、光の拡散を目的として、たとえば酸化チタンを混入してもよい。本実施形態においては、透光樹脂450の表面は、LEDケース430の表面に対して若干凹んでいる。また、透光樹脂450のうち一方のLEDチップ441を覆う部分と、他方のLEDチップ441を覆う部分とは、互いの主走査方向xにおける厚さが異なっている。
【0060】
さらに本実施形態においては、透光樹脂450が補助蛍光体を含んでいる。この補助蛍光体は、青色光によって励起されることにより主蛍光としての黄色光とは異なる、補助蛍光を発するものである。本実施形態においては、この補助蛍光は、赤色光である。
【0061】
導光体460は、主走査方向xに延びる棒状であり、たとえば透明なPMMA樹脂に代表されるアクリル樹脂などからなる。図3および図9に示すように、導光体460は、入射面461、反射面462、および出射面463を有する。入射面461は、導光体460の主走査方向xにおける一端面であり、LEDモジュール410のLEDチップ441と正対している。本実施形態においては、入射面461と透光樹脂450との間には隙間が設けられている。反射面462は、主走査方向xに長く延びており、入射面461から入射した後に導光体460内を進行してきた光を、図3における左斜め上方向に向けて反射する。反射面462は、たとえば複数の溝が主走査方向xに密に並べられた構成とされている。出射面463は、主走査方向xに長く延びており、反射面462によって反射された光を、主走査方向xに延びる線状光として出射する。
【0062】
導光体ケース465は、導光体460をLEDモジュール410に対して固定するとともに、導光体460から光が不当に漏れてしまうことを防止するためのものである。導光体ケース465は、たとえば白色樹脂からなり、図3に示すように、導光体460のうち反射面462が形成された側の部分をほぼ全長にわたって囲む形状とされている。また、導光体ケース465のうちLEDモジュール410に取り付けられる部分は、略矩形板状とされている。
【0063】
レンズユニット500は、読み取り対象物から厚さ方向zに進行してきた光を、正立等倍でセンサIC600に集光する。レンズユニット500は、複数のレンズ510とレンズホルダ520とからなる。複数のレンズ510は、それぞれの光軸が厚さ方向zに沿っており、主走査方向xに配列されている。レンズホルダ520は、不透明な樹脂からなり、複数のレンズ510を保持している。
【0064】
センサIC600は、本発明で言う受光手段の一例であり、基板300に搭載されている。図10および図11に示すように、センサIC600は、複数の受光部610および複数のフィルタ620を備える。
【0065】
複数のフィルタ620は、第1フィルタ621、第2フィルタ622、および第3フィルタ623からなる。これらの第1〜第3フィルタ621,622,623は、それぞれが主走査方向xに延びる帯状であり、副走査方向yに間隔を置いて互いに平行に配置されている。本実施形態においては、第1フィルタ621は、赤色光を選択的に透過させるものであり、赤色以外の可視光を減衰させる。第2フィルタ622は、緑色光を選択的に透過させるものであり、緑色以外の可視光を減衰させる。第3フィルタ623は、青色光を選択的に透過させるものであり、青色以外の可視光を減衰させる。
【0066】
複数の受光部610は、第1グループ611、第2グループ612、および第3グループ613に分けられている。第1〜第3グループ611,612,613は、各々が主走査方向xに沿って配列されている。また、第1〜第3グループ611,612,613は、副走査方向yに間隔を置いて互いに平行に配置されている。第1グループ611は、第1フィルタ621によって覆われており、第2グループ612は、第2フィルタ622によって覆われており、第3グループ613は、第3フィルタ623によって覆われている。
【0067】
レンズユニット500によって集光された光は、第1〜第3フィルタ621,622,623を透して、第1〜第3グループ611,612,613に受光される。第1グループ611は、集光された光の赤色成分を受光し、第2グループ612は、集光された光の緑色成分を受光し、第3グループ613は、集光された光の青色成分を受光する。センサIC600は、たとえばパッド630から、第1グループ611、第2グループ612、第3グループ613ごとに、受光した光の強度に応じた強さの電気信号を出力する光電変換機能を有する。
【0068】
図12は、イメージセンサモジュール101を用いた画像読み取り処理のタイミングチャートを示している。図中の信号LEDは、Hi状態の時にLEDモジュール410のLEDチップ441が点灯していることを示している。信号CLKは、いわゆるクロック信号であり、1パルスが1画素の読み取りを規定している。信号Aoは、イメージセンサモジュール101によって読み込まれた画像データをアナログ信号として出力するタイミングを示しており、Hi状態の時にたとえばスキャナ側に出力されている。
【0069】
まず、期間DrRに信号LEDがHiとなり、発光ユニット400から白色の線状光が出射される。この期間DrRにおいては、センサIC600の複数の受光部610のうち第1グループ611に属するものによって、赤色光についての光電変換処理がなされる。この光電変換処理は、主走査方向xに沿った1列分である。この1列分の信号は、期間DrRの後の期間AoRにおいて上記スキャナにアナログ信号として一括して出力される。
【0070】
次に、期間DrRの終了時点から所定の発光休止時間を経たのちに期間DrGが始まる。期間DrGにおいては、発光ユニット400から白色の線状光が再び出射され、センサIC600の複数の受光部610のうち第2グループ612に属するものによって、緑色光についての光電変換処理がなされる。この緑色光についての信号は、期間DrRの後であって、期間AoRの終了時点から所定の信号出力休止時間を経たのちに始まる期間AoGにおいて上記スキャナにアナログ信号として一括して出力される。
【0071】
さらに、期間DrGの終了時点から所定の発光休止時間を経たのちに期間DrBが始まる。期間DrBにおいては、発光ユニット400から白色の線状光が再び出射され、センサIC600の複数の受光部610のうち第3グループ613に属するものによって、青色光についての光電変換処理がなされる。この青色光についての信号は、期間DrBの後であって、期間AoGの終了時点から所定の信号出力休止時間を経たのちに始まる期間AoBにおいて上記スキャナにアナログ信号として一括して出力される。これらの処理により、主走査方向xの1列分について、赤色光、緑色光、青色光についての画像データの読み取りが完了する。これらの処理を副走査方向yに沿って順次実行することにより、読み取り対象物の全面に対して読み取り処理を行うことができる。以上の処理においては、発光休止時間は、信号出力休止時間よりも短く設定されることが一般的であり、最長でも信号出力休止時間と同じ長さである。
【0072】
次に、イメージセンサモジュール101の作用について説明する。
【0073】
本実施形態によれば、発光ユニット400において、主発光波長領域の光としての青色光と主蛍光波長領域の光としての黄色光とを混色させることにより、白色光を適切に出射することができる。センサIC600は、赤色光、青色光および緑色光を個別に受光可能であるため、読み取り対象物に白色光を照射すれば、いわゆるフルカラーの読み取りを行うことができる。したがって、読み取り対象物に記載された画像の色をより忠実に再現することができる。
【0074】
本実施形態においては、赤色光を補助蛍光として発する補助蛍光体が採用されている。これにより、発光ユニット400から出射される白色光の波長スペクトルをより忠実な色の再現に適したものとすることができる。たとえば、図13は、主発光波長領域の光として青色光を採用し、主蛍光波長領域の光として黄色光を採用した場合の出射光の波長スペクトルである。一方、図14は、本実施形態の発光ユニット400から出射される光の波長スペクトルである。両者を比較すると、図14に示す波長スペクトルには、620nmを含む波長領域に極大値が認められる。この波長領域は、いわゆる赤色領域であり、赤色光を発する補助蛍光体を採用することによって赤色領域の強度が高められたことが認められる。このような波長スペクトルの光は、図13に示された波長スペクトルの光と比べて、色の再現性をより高めるのに適している。
【0075】
図12を参照して説明した通り、本実施形態においては、読み取り対象物の読み取り処理において、LEDモジュール410が、必要なタイミングでのみ点灯し、不要なタイミングでは、消灯している状態を繰り返しており、常時点灯するものではない。これにより、発光ユニット400、ひいてはイメージセンサモジュール101の省電力化を図ることができる。
【0076】
個別に点灯可能である2つのLEDチップ441を備えることにより、読み取りに必要とされる光量に応じて、1つのLEDチップ441のみを点灯させるといった使用形態が実現できる。これは、読み取り時の明るさを適切に設定可能であるとともに、省電力化にも寄与する。
【0077】
透光樹脂450と入射面461との間に隙間を設けておくことにより、たとえば透光樹脂450の一部のみが入射面461に接することに起因する色のばらつきを抑制することができる。特に、LEDチップ441は発光時に発熱するため、透光樹脂450の熱膨張が予想される。上記隙間を設けることにより、透光樹脂450が熱膨張しても、透光樹脂450全体が入射面461から離間した状態を保つことができる。
【0078】
透光樹脂450のうち、2つのLEDチップ441を覆う部分の厚さが互いに異なることにより、一方のLEDチップ441の光によって励起される蛍光の光量と他方のLEDチップ441の光によって励起される蛍光の光量とが異なる。これにより、2つのLEDチップ441の付近から発せられる白色光の波長スペクトルが互いに異なるものとなる。このため、一方のLEDチップ441のみを光らせた状態、他方のLEDチップ441のみを光らせた状態、双方のLEDチップ441を光らせた状態において、波長スペクトルが異なる白色光を出射することが可能である。したがって、よりきめ細やかな色の再現を行うことができる。
【0079】
図15〜図20は、イメージセンサモジュール101の各部の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0080】
図15は、LEDモジュール410の変形例を示している。本変形例においては、2つのLEDチップ441は、互いの活性層がそれぞれの長手方向において反対側に位置するように配置されている。このような構成によれば、2つのLEDチップ441の活性層どうしが、互いが発した光を吸収してしまうことを防止可能である。上記活性層が設けられている部位(図15における斜線部)は、リード420からの高さが周囲よりも高くなっている部位である。この部位が隣接することを避けることは、光の吸収を抑制するのに適している。
【0081】
図16は、LEDモジュール410の他の変形例を示している。本変形例においては、2つのLEDチップ441は、互いの長手方向が一致するように直列に配置されている。このような構成によっても、LEDチップ441どうしが互いの光を吸収してしまうことを抑制することができる。
【0082】
図17は、LEDモジュール410の他の変形例を示している。本変形例においては、2つのLEDチップ441は、それぞれの長手方向において互いに重ならない配置とされており、それぞれの短手方向において互いに対向していない。このような構成によっても、LEDチップ441どうしが互いの光を吸収してしまうことを抑制することができる。
【0083】
図18は、LEDモジュール410の他の変形例を示している。本変形例においては、図6に示した構成に加えて、LEDチップ442が追加された構成とされている。LEDチップ442は、本発明でいう補助LEDチップに相当し、補助光波長領域の光としてのたとえば赤色光を発する。このような構成によれば、LEDモジュール410(発光ユニット400)から出射される白色光の波長スペクトルを、赤色光領域において相対強度がより高いものとすることができる。これにより、色の再現性をさらに高めることができる。また、図5および図18から理解されるように、LEDチップ442は、2つのLEDチップ441とは別に、単独で発光させることができる。これは、たとえば、LEDチップ442に流れる電流を制御することにより、発光ユニット400から出射される白色光の波長スペクトルを任意に調整するといった手法が実現できる。
【0084】
図19は、発光ユニット400の変形例を示している。本変形例においては、透光樹脂450は、透明な樹脂のみからなり、蛍光体を含んでいない。そして、本変形例の発光ユニット400は、蛍光体シート451を備えている。蛍光体シート451は、本発明でいう主蛍光体、さらに補助蛍光体を含む、樹脂を主成分とするシートである。蛍光体シート451は、たとえば導光体460の入射面461に貼り付けられており、LEDモジュール410の凹部431を覆っている。本変形例においては、透光樹脂450は、2つのLEDチップ441および2つのツェナーダイオード445を覆う程度の大きさのドーム状とされており、凹部431の内部全域を埋めるものでなくてもよい。このような構成によれば、2つのLEDチップ441から蛍光体シート451までの距離を比較的正確に決定することができる。これにより、LEDチップ441からの青色光と、蛍光体シート451からの黄色光、さらには赤色光との混色割合を所望の割合により近づけることができる。
【0085】
図20は、発光ユニット400の他の変形例を示している。本変形例においては、上述した主蛍光体さらには補助蛍光体を含む透光樹脂450が、ドーム状に形成されている。そして、導光体460の入射面461は、透光樹脂450に沿った凹面とされている。透光樹脂450は、入射面461とわずかな隙間を隔てて、入射面461に収容されている。このような構成によれば、導光体460とLEDモジュール410のたとえばリード420とをより近づけることが可能であり、発光ユニット400の主走査方向xにおける寸法を読み取り長さを変更することなく短縮することができる。
【0086】
本発明に係るイメージセンサモジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るイメージセンサモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0087】
101 イメージセンサモジュール
200 ケース
300 基板
400 発光ユニット
410 LEDモジュール
420 リード
421 ダイボンディング部
422 端子部
430 LEDケース
431 凹部
441 (主)LEDチップ
443 活性層
442 (補助)LEDチップ
445 ツェナーダイオード
450 透光樹脂
451 蛍光体シート
460 導光体
461 入射面
462 反射面
463 出射面
465 導光体ケース
500 レンズユニット
510 レンズ
520 レンズホルダ
600 センサIC(受光手段)
610 受光部
611 第1グループ
612 第2グループ
613 第3グループ
620 フィルタ
621 第1フィルタ
622 第2フィルタ
623 第3フィルタ
630 パッド
x 主走査方向
y 副走査方向
z 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に延びる線状光を読み取り対象物に向けて出射する発光ユニットと、
主走査方向に並べられた複数の受光部を有する受光手段と、
上記読み取り対象物からの光を上記受光手段に集光するレンズユニットと、
上記発光ユニット、上記受光手段、および上記レンズユニットを収容するケースと、を備えており、
上記発光ユニットは、主発光波長領域の光を発する1以上の主LEDチップを有するLEDモジュールと、主走査方向に延びる棒状の導光体と、上記主発光波長領域の光によって励起されることにより上記主発光波長領域とは異なる主蛍光波長領域の光を発する主蛍光体と、を有しており、
上記導光体は、上記LEDモジュールからの光が入射する主走査方向端面である入射面、上記入射面から長手方向に進行してきた光を反射する主走査方向に延びた反射面、および上記反射面から進行してきた光を主走査方向に延びる線状光として出射する主走査方向に延びた出射面を有しており、
上記発光ユニットは、上記主発光波長領域の光および上記主蛍光波長領域の光を混色させることにより白色の線状光を出射し、
上記複数の受光部は、互いに異なる第1ないし第3波長領域の光を受光する第1ないし第3グループに属するものを含むことを特徴とする、イメージセンサモジュール。
【請求項2】
上記受光手段は、上記第1ないし第3グループごとに信号出力休止時間を挟んで順次光電変換処理を行うことが可能とされており、
上記発光ユニットは、上記信号出力休止時間に含まれる発光休止時間における消灯を挟んで、点灯を繰り返すことが可能とされている、請求項1に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項3】
上記発光ユニットは、上記主発光波長領域および上記主蛍光波長領域のいずれとも異なる補助光波長領域の光を発する補助光手段を有する、請求項1または2に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項4】
上記補助光手段は、上記主発光波長領域の光によって励起されることにより上記補助光波長領域の光を発する補助蛍光体である、請求項3に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項5】
上記補助光手段は、上記補助光波長領域の光を発する補助LEDチップである、請求項3に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項6】
上記発光ユニットからの線状光の波長スペクトルは、上記補助光波長領域において極大値を有する、請求項3ないし5のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項7】
上記主発光波長領域は、青色光領域であり、上記主蛍光波長領域は、黄色光領域である、請求項3ないし6のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項8】
上記補助光波長領域は、赤色光領域である、請求項7に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項9】
上記発光ユニットは、2つの主LEDチップを備える、請求項1ないし8のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項10】
上記各主LEDチップは、長矩形状であり、発光部位である活性層が長手方向一方寄りに配置されている、請求項9に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項11】
上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が平行となり、かつ短手方向において互いに対面する配置とされているとともに、互いの上記活性層が上記長手方向において反対側に配置されている、請求項10に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項12】
上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が一致するように直列に配置されている、請求項10に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項13】
上記2つの主LEDチップは、互いの長手方向が平行となり、かつ短手方向において互いに対面しない配置とされている、請求項10に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項14】
上記2つの主LEDチップは、個別に発光可能とされている、請求項9ないし13のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項15】
上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを収容する凹部を有するLEDケースを備えている、請求項1ないし14のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項16】
上記凹部内には、上記1以上の主LEDチップを覆い、上記主蛍光体を含む透光樹脂が設けられている、請求項15に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項17】
上記透光樹脂は、上記導光体の上記入射面との間に隙間を有する、請求項16に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項18】
上記LEDモジュールは、2つの上記主LEDチップを有しており、
上記透光樹脂は、上記2つの主LEDチップを覆う部分の厚さが互いに異なる、請求項17に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項19】
上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを覆う透明な透光樹脂を有し、
上記発光ユニットは、上記入射面を覆い、上記主蛍光体を含む蛍光体シートを有する、請求項1ないし15のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項20】
上記LEDモジュールは、上記1以上の主LEDチップを覆い、上記主蛍光体を含むドーム状の透光樹脂を有しており、
上記導光体の入射面が、上記透光樹脂に沿う凹面状とされている、請求項1ないし15のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項21】
上記第1波長領域は赤色光領域であり、上記第2波長領域は緑色光領域であり、上記第3波長領域は青色光領域である、請求項1ないし20のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項22】
上記第1ないし第3グループに含まれる複数の受光部は、これらのグループ毎に主走査方向に沿って配列されており、かつ互いに平行に配置されている、請求項21に記載のイメージセンサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−115442(P2013−115442A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256743(P2011−256743)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】