イメージセンサユニットおよび紙葉類識別装置
【課題】可視光領域に感度を有する光電変換モジュールを用いて、可視光と赤外線の両方の読み取りを実施できるイメージセンサユニットおよび紙葉類識別装置を提供する。
【解決手段】紙幣Sに光を照射し、紙幣Sで反射した反射光を受光して紙幣Sの画像を読み取る紙葉類識別装置のイメージセンサユニット1a,1bであって、赤外線を紙幣Sに照射する光源2と、紙幣Sからの反射光を可視光に変換する波長変換層15と、波長変換層15が変換した反射光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュール141とを有し、波長変換層15が紙幣Sと光電変換モジュール141との間に設けられる。
【解決手段】紙幣Sに光を照射し、紙幣Sで反射した反射光を受光して紙幣Sの画像を読み取る紙葉類識別装置のイメージセンサユニット1a,1bであって、赤外線を紙幣Sに照射する光源2と、紙幣Sからの反射光を可視光に変換する波長変換層15と、波長変換層15が変換した反射光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュール141とを有し、波長変換層15が紙幣Sと光電変換モジュール141との間に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサユニットおよびイメージセンサユニットを用いた紙葉類識別装置に関する。特に、紙幣、有価証券等の記録媒体の真贋判定を行う紙葉類識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣には、真贋の判定のために可視光下と赤外線下とで得られる画像が夫々異なるような領域が設けられている。このため、赤外線画像を読み取イメージセンサユニットが組み込まれた紙葉類識別装置が、たとえば、特許文献1または特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−203243号公報
【特許文献2】特開2009−059214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な画像読取装置のイメージセンサユニットは、可視光領域には感度を有するが、赤外線領域には感度を有さない。このため、一般的な画像読取装置のイメージセンサユニットを、赤外線画像を読み取る紙葉類識別装置に適用することができない。したがって、一般的なイメージスキャナなど画像読取装置と、紙幣を扱う紙葉類識別装置とで、部品の共通化を図ることができない。
【0005】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、可視光領域に感度を有するが赤外線領域には感度を有しない光電変換モジュールによって、可視光領域と赤外線領域の両方の読み取りを実施する紙葉類識別装置のイメージセンサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、被照明体に光を照射して前記被照明体を読み取るイメージセンサユニットであって、赤外線を照射する光源と、赤外線を可視光に変換する波長変換層と、光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュールとを有し、前記波長変換層は前記被照明体と前記光電変換モジュールとの間に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被照明体の赤外線画像を、波長変換層によって可視光画像に変換して光電変換モジュールで受光し電気信号に変換できる。このため、可視光の領域に感度を有する光電変換モジュールによって、赤外線を用いる被照明体の読み取りを実施することができる。したがって、一般的なイメージスキャナに用いられるような、赤外線領域に感度を有さない光電変換モジュールが適用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、イメージセンサユニットの断面模式図である。
【図2】図2は、イメージセンサユニットの分解斜視図である。
【図3】図3は、イメージセンサユニットに設けられる光電変換モジュールの感度の特性と、波長変換層および波長変換部材の特性を示したグラフである。
【図4】図4は、フィルタを備えるイメージセンサユニットの断面模式図である。
【図5】図5は、フィルタを備えるイメージセンサユニットの分解斜視図である。
【図6】図6は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図7】図7は、イメージセンサユニットの変形例を示した分解斜視図である。
【図8】図8は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図9】図9は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図10】図10は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図11】図11は、紙葉類識別装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。イメージセンサユニット1aは、たとえば、被照明体である紙葉類としての紙幣Sを取り扱う紙葉類識別装置に組み込まれて用いられる。そして、イメージセンサユニット1aは、紙幣Sの表面を可視光を用いて読み取ることができる。図1は、イメージセンサユニット1aの断面模式図であり、図2は、イメージセンサユニット1aの分解斜視図である。図1と図2に示すように、イメージセンサユニット1aは、ケーシング11と、光源2としての発光モジュール21および導光部材22と、ロッドレンズアレイ17と、センサ基板14と、カバー部材13と、波長変換層15とを有する。
【0010】
ケーシング11は、イメージセンサユニット1aの筐体であり、たとえば、略棒状の構成を有し、樹脂材料により形成される。ケーシング11の内部には、導光部材22を収容可能な領域と、ロッドレンズアレイ17を収容可能な領域と、センサ基板14を収容可能な領域とが形成される。さらに、ケーシング11の長手方向の端部には、発光モジュール21を収容可能な領域が形成される。
【0011】
光源2としての発光モジュール21および導光部材22は、紙幣Sに対して可視光および赤外線を照射できる。発光モジュール21は、可視光を発する発光素子(たとえば、赤色LEDや緑色LEDや青色LED)と、赤外線を発する素子(たとえば、赤外LED)とを備える点光源が適用できる。なお、発光モジュール21は、紙幣Sのフルカラー読み取りに必要な色の発光素子を備える構成でなくてもよく、たとえば、一色のみの発光素子を備える構成であってもよい。導光部材22は、発光モジュール21が発した可視光および赤外線を線状化して紙幣Sに照射する光学部材である。導光部材22は、所定の断面形状を有する透明な棒状の部材であり、たとえば、アクリル系の樹脂材料や、ポリカーボネートなどにより形成される。導光部材22の側面には、射出面221と反射面222とが形成される。射出面221は、紙幣Sに向かって光を照射する面である。反射面222は、光を反射・拡散しやすい表面性状を有する面である。反射面222には、たとえば、シルク印刷などにより光反射性の塗料からなるパターン(図略)が形成される。射出面221と反射面222とは、いずれも導光部材22の長手方向に延伸する帯状の面であり、互いに対向する位置に形成される。
【0012】
ロッドレンズアレイ17は、紙幣Sで反射した可視光および赤外線を、センサ基板14に設けられる光電変換モジュール141(後述)表面の図示しない受光部に結像させるための結像素子としての光学部材である。ロッドレンズアレイ17は、紙幣Sからの可視光および赤外線が入射する入射面171と、光電変換モジュール141へ可視光および赤外線を射出する射出面172とが形成される。ロッドレンズアレイ17は、たとえば、複数の正立等倍結像型の結像素子が直線状に配列される構成を有する。なお、このロッドレンズアレイ17には、従来公知のロッドレンズアレイが適用できる。
【0013】
センサ基板14は、可視光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュール141が実装される基板である。光電変換モジュール141は、可視光領域に感度を有する複数の光電変換素子を有し、これらの複数の光電変換素子が直線状に配列される構成を備える。なお、光電変換モジュール141に適用される光電変換素子は、赤外線領域に感度を有していなくてよい。したがって、光電変換モジュール141には、一般的なイメージスキャナなどといった画像読取装置に用いられる光電変換モジュールが適用できる。
【0014】
カバー部材13は、導光部材22とロッドレンズアレイ17とを覆うように設けられる部材である。そして、カバー部材13は、導光部材22とロッドレンズアレイ17とを保護する機能や、シート状の紙幣Sに接して平面に維持する機能を有する。カバー部材13は、平板状の部材であり、たとえば、ガラス板や透明な樹脂板などが適用できる。
【0015】
波長変換層15は、赤外線を可視光に変換する。たとえば、波長変換層15には、赤外線によって励起して可視光を発するアップコンバージョン(周波数上方変換)蛍光材が適用できる。特に、1000〜1500nmの波長領域の赤外線によって励起して、500〜750nmの波長領域の可視光を発する蛍光材が好適である。このような特性を有する蛍光材としては、たとえば、フッ化物微結晶が適用できる。そして、波長変換層15は、紙幣Sと光電変換モジュール141との間(換言すると、紙幣Sに接するカバー部材13と光電変換モジュール141との間)の可視光および赤外線の経路L上に設けられる。図1と図2においては、波長変換層15が、光電変換モジュール141の表面に形成される構成を示す。波長変換層15の形成方法としては、たとえば、光電変換モジュール141の表面に蛍光材を含有する塗料を塗布し、波長変換層15としての蛍光剤の膜を形成する方法が適用できる。このほか、光電変換モジュール141の表面に、蛍光剤を含有する材料からなる部材(=波長変換層15としての部材)が配設される構成であってもよい。波長変換層15としての部材には、たとえば、蛍光材を含有するガラスなどが適用できる。このように、波長変換層15は、光電変換モジュール141の表面に一体に設けられる構成であってもよく、別部材として配設される構成であってもよい。
【0016】
次に、イメージセンサユニット1aの組み付け構成を説明する。導光部材22とロッドレンズアレイ17とは、互いに略平行に配設される。発光モジュール21は、導光部材22の長手方向の端面に対して可視光および赤外線を照射できるように配設される。このため、発光モジュール21が発した可視光および赤外線は、導光部材22の端面からその内部に入射する。導光部材22の内部に入射した可視光および赤外線は、反射面222で反射・拡散などして、射出面221から紙幣Sに向かって射出する。導光部材22の射出面221は、長手方向に延伸する帯状に形成されるから、発光モジュール21が射出した可視光および赤外線は、導光部材22によって線状化される。そして、カバー部材13が、導光部材22の射出面221と、ロッドレンズアレイ17の入射面171とを覆うように配設される。ロッドレンズアレイ17と、センサ基板14に実装される光電変換モジュール141とは、それらの長手方向が略平行となるように配設される。そして、ロッドレンズアレイ17の射出面172と、光電変換モジュール141とが対向する。
【0017】
次に、イメージセンサユニット1aの動作について説明する。発光モジュール21の発光素子が発する可視光および赤外線は、導光部材22によって線状化され、紙幣Sに照射される。紙幣Sの表面で反射した可視光および赤外線は、ロッドレンズアレイ17の入射面171からその内部に入射し、射出面172からセンサ基板14の光電変換モジュール141に向かって射出される。ロッドレンズアレイ17の射出面172から射出された可視光は、波長変換層15を透過して、光電変換モジュール141の受光部に結像する。光電変換モジュール141は、結像した可視光を受光して電気信号に変換する。一方、ロッドレンズアレイ17の射出面172から射出された赤外線は、光電変換モジュール141の表面に設けられる波長変換層15に達する。そして、波長変換層15は、赤外線によって励起して可視光を発する(すなわち、赤外線を可視光に変換する)。光電変換モジュール141は、波長変換層15が発する可視光を受光して電気信号に変換する。
【0018】
そして、イメージセンサユニット1aは、紙幣Sに可視光を照射して反射光を検出する動作と、紙幣Sに赤外線を照射して反射した赤外線によって励起された可視光を検出する動作とを、短時間で交互に繰り返す。イメージセンサユニット1aは、このような動作によって、紙幣Sに設けられる所定のパターン(たとえば、ホログラム)を可視光画像として読み取るとともに、紙幣Sを赤外線画像として読み取る。
【0019】
赤外線を用いた読み取り動作の詳細は、次のとおりである。図3は、光電変換モジュール141の感度特性と、波長変換層15の蛍光特性(=波長変換特性)との関係を示したグラフである。図3(a)に示すように、光電変換モジュール141は、400〜700nmの領域に感度を有し、530nm近傍において感度のピークを有する。これに対して、図3(b)に示すように、波長変換層15は、1000〜1500nmの波長の赤外線が照射されると励起して、500〜750nmの波長の可視光を発する。このように、波長変換層15は、赤外線が照射されると、光電変換モジュール141の感度のピークの近傍の波長領域の可視光を発する。このため、可視光領域に感度を有する光電変換モジュール141によって、紙幣Sの赤外線画像を可視光画像として読み取ることができる。したがって、このイメージセンサユニット1aと、一般的なイメージスキャナとで、光電変換モジュール141の共通化を図ることができる。
【0020】
また、波長変換層15により変換された可視光を遮断し、それ以外の波長領域の可視光および赤外線を透過するフィルタ16が設けられる構成であってもよい。そこで、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bについて、図4と図5を参照して説明する。図4は、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bの構成を、模式的に示した断面図である。図5は、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bの構成を、模式的に示した分解斜視図である。なお、フィルタ16を備えないイメージセンサユニット1aと共通の構成については、同じ符号を付して記し、説明は省略する。
【0021】
図4に示すように、イメージセンサユニット1bには、波長変換層15と紙幣Sとの間の可視光および赤外線の経路L上に、フィルタ16が設けられる。たとえば、図4に示すように、フィルタ16は、光電変換モジュール141の表面に設けられる波長変換層15と、ロッドレンズアレイ17との間に設けられる。なお、このフィルタ16は、波長変換層15により変換された可視光を遮断し、それ以外の波長領域の可視光および赤外線を透過するものであればよく、構成は限定されない。フィルタ16には、たとえば、公知の各種バンドカットフィルタが適用できる。
【0022】
フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bの動作は、基本的には、フィルタを備えないイメージセンサユニット1aと同じである。そして、フィルタ16は、波長変換層15が発する可視光を、紙幣Sに到達しないように遮断する。具体的には、フィルタ16は、530nm近傍の可視光を遮断し、それ以外の波長領域の可視光および赤外線を透過させることができる。このため、フィルタ16は、波長変換層15が発する可視光が紙幣Sに戻って反射して光電変換モジュール141に到達することを防止できる。したがって、光電変換モジュール141は、波長変換層15から直接に到達する可視光のみを検出して電気信号に変換することができる。このような構成であると、赤外線を用いた読み取りの精度の低下を防止できる。
【0023】
すなわち、波長変換層15が発する可視光は無指向性であるため、フィルタ16が設けられないと、波長変換層15が発する可視光の一部が、紙幣Sに戻って反射してから光電変換モジュール141に到達する。そうすると、光電変換モジュール141は、波長変換層15から直接に到達する可視光に、紙幣Sで反射した可視光が加算された可視光を受光する。この結果、光電変換モジュール141は、紙幣Sで反射した赤外線のレベルを正確に測定できなくなるおそれがある。特に、紙幣Sで反射する可視光が加算されるため、光電変換モジュール141で検出される可視光のレベルが高くなることがある。これに対して、フィルタ16が設けられる構成であると、フィルタ16によって、波長変換層15が発する可視光が紙幣Sに戻って反射してから光電変換モジュール141に到達することを防止できる。したがって、紙幣Sで反射した赤外線のレベルを正確に測定することができる。すなわち、このような構成であれば、紙幣Sの表面で反射した赤外線を、波長変換層15およびフィルタ16を有さずに赤外線の領域に感度を有する光電変換モジュール141を用いて測定する構成と、同様の結果が得られる。
【0024】
前述した波長変換層15およびフィルタ16の位置は一例であり、この位置に限定されるものではない。たとえば、波長変換層15とフィルタ16とが、図6〜図9に示す位置に設けられる構成であってもよい。図6と図7は、波長変換層15が光電変換モジュール141の表面に設けられ、フィルタ16がロッドレンズアレイ17とカバー部材13との間に配設される構成を示す。図8は、波長変換層15がロッドレンズアレイ17の射出面172の表面に形成され、フィルタ16がロッドレンズアレイ17とカバー部材13との間に配設される構成を示す。図9は、波長変換層15がロッドレンズアレイ17の入射面171の表面に形成され、フィルタ16がロッドレンズアレイ17とカバー部材13との間に配設される構成を示す。図6〜図9に示す構成は、いずれも、波長変換層15が、光電変換モジュール141と紙幣Sとの間に設けられ、フィルタ16が、波長変換層15と紙幣Sとの間に配設される。なお、波長変換層15は、同様に、光電変換モジュール141またはロッドレンズアレイ17の表面に一体に設けられる構成であってもよく、別部材として配設される構成であってもよい。また、図6〜図9においては、波長変換層15とフィルタ16の両方が設けられる構成を示すが、フィルタ16が設けられない構成であってもよい。
【0025】
これらのように、光電変換モジュール141と紙幣Sとの間に、波長変換層15が設けられる構成であればよい。さらに、波長変換層15と紙幣Sとの間に、フィルタ16が設けられる構成であればよい。そして、これらのような構成であれば、同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
なお、イメージセンサユニット1a,1bのうち、図示および説明を省略した部分については、従来公知のイメージセンサユニットと同じ構成が適用できる。
【0027】
前述した実施形態においては、イメージセンサユニット1a,1bが紙幣Sで反射する可視光および赤外線を読み取る構成を示したが、紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取る構成であってもよい。さらに、イメージセンサユニット1a,1bが、紙幣Sで反射する可視光および赤外線と、紙幣Sを透過する可視光および赤外線とを読み取ることができる構成であってもよい。
【0028】
紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取ることができる構成について、図10を参照して説明する。図10は、イメージセンサユニット1bによって紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取る構成を示した図である。なお、図10においては、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bが適用される構成を示したが、フィルタ16を備えないイメージセンサユニット1aが適用される構成であってもよい。図10に示すように、イメージセンサユニット1a,1bに対向して光源ユニット5が配設されており、イメージセンサユニット1a,1bと光源ユニット5の間に紙幣Sを通過させることができる。この光源ユニット5は、紙幣Sに可視光および赤外線を照射できる光源6を備える。光源ユニット5の光源6には、イメージセンサユニット1a,1bの光源2と同じ構成が適用できる。たとえば、光源ユニット5の光源6は、可視光を発する発光素子と赤外線を発する素子とが実装されて点光源として機能する発光モジュール61と、発光モジュール61が発する可視光および赤外線を線状化する導光部材62とを備える。そして、光源ユニット5は、可視光と赤外線を紙幣Sに照射することができる。光源ユニット5から照射された可視光および赤外線は、紙幣Sを透過し、イメージセンサユニット1a,1bのロッドレンズアレイ17の入射面171に入射する。イメージセンサユニット1a,1bが紙幣Sを透過した可視光および赤外線を読み取る動作は、紙幣Sで反射した可視光および赤外線を読み取る動作と同じである。
【0029】
イメージセンサユニット1a,1bは、光源ユニット5から紙幣Sに照射されて透過した可視光を検出する動作と、光源ユニット5から紙幣Sに照射されて透過した赤外線を検出する動作とを、短時間で交互に繰り返す。このような動作によって、イメージセンサユニット1a,1bは、紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取ることができる。さらに、イメージセンサユニット1a,1bは、これら二つの動作と、紙幣Sに可視光を照射して反射光を検出する動作と、紙幣Sに赤外線を照射して反射した赤外線によって励起された可視光を検出する動作とを、短時間で周期的に繰り返してもよい。このような動作によって、イメージセンサユニット1a,1bは、紙幣Sを透過する可視光および赤外線と、紙幣Sで反射する可視光および赤外線を読み取ることができる。
【0030】
次に、イメージセンサユニット1a,1bが適用される紙葉類識別装置3について、図11を参照して説明する。紙葉類識別装置3は、紙幣Sなどの紙葉類に光を照射して反射光を読み取り、読み取った反射光を用いて、紙葉類を識別する。図11に示すように、紙葉類識別装置3は、イメージセンサユニット1a(または、1b)と、紙幣Sを搬送する搬送ローラー31とを備える。そして、紙葉類識別装置3は、搬送ローラー31どうしの間には、紙幣Sを挟んでカバー部材13を介してイメージセンサユニット1a(または、1b)上を読取方向(副走査方向)に搬送するための搬送路Aが設定される。この時、ロッドレンズアレイ17の紙幣S側の焦点は、搬送路Aの略中央に設定されるものである。このような構成の紙葉類識別装置3の動作は、次のとおりである。紙葉類識別装置3に適用されるイメージセンサユニット1a,1bが、前述した動作によって、紙葉類としての紙幣Sに設けられる所定のパターンを可視光画像として読み取るとともに、紙幣Sを赤外線画像として読み取る。その後、紙葉類識別装置3は、予め用意された真券である紙幣Sに可視光および赤外線を照射することで得られた真券紙幣画像と、真贋判定時に判定対象となる紙幣Sに可視光および赤外線を照射することで得られた画像とを比較することで、紙幣Sの真贋判定を行う。これは、真券である紙幣Sには、可視光下と、赤外光下とから得られる画像がそれぞれ異なるような領域が設けられているためである。なお、説明および図示を省略した部分については、従来の紙葉類識別装置と同じ構成が適用できる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。たとえば、前述した実施形態においては、光源が、点光源である発光モジュールと、点光源を線光源化する導光部材とを備える構成を示したが、光源は、このような構成に限定されるものではない。光源は、点光源の発光素子が直列に配列される線光源などであってもよい。要は、光源は、被照明体の表面に対して、可視光と赤外線とを照射できる構成であればよい。さらに、前述した実施形態においては、イメージセンサユニットが一組の光源を備える構成を示したが、光源の数は限定されない。たとえば、イメージセンサユニットが二組の光源を備える構成であってもよい。
【0032】
また、前述した実施形態においては、被照明体として紙幣が適用される構成を示したが、被照明体の種類は限定されるものではない。たとえば、被照明体として、各種有価証券や、IDカードなどが適用できる。赤外線に反応する紙葉類であれば、種類を問わずに適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、イメージセンサユニットおよび紙葉類識別装置として有効な技術である。
【符号の説明】
【0034】
1a,1b:イメージセンサユニット、11:ケーシング、13:カバー部材、14:センサ基板、141:光電変換モジュール、15:波長変換層、16:フィルタ、17:ロッドレンズアレイ、2:光源、21:発光モジュール、22:導光部材、3:紙葉類識別装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサユニットおよびイメージセンサユニットを用いた紙葉類識別装置に関する。特に、紙幣、有価証券等の記録媒体の真贋判定を行う紙葉類識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣には、真贋の判定のために可視光下と赤外線下とで得られる画像が夫々異なるような領域が設けられている。このため、赤外線画像を読み取イメージセンサユニットが組み込まれた紙葉類識別装置が、たとえば、特許文献1または特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−203243号公報
【特許文献2】特開2009−059214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な画像読取装置のイメージセンサユニットは、可視光領域には感度を有するが、赤外線領域には感度を有さない。このため、一般的な画像読取装置のイメージセンサユニットを、赤外線画像を読み取る紙葉類識別装置に適用することができない。したがって、一般的なイメージスキャナなど画像読取装置と、紙幣を扱う紙葉類識別装置とで、部品の共通化を図ることができない。
【0005】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、可視光領域に感度を有するが赤外線領域には感度を有しない光電変換モジュールによって、可視光領域と赤外線領域の両方の読み取りを実施する紙葉類識別装置のイメージセンサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、被照明体に光を照射して前記被照明体を読み取るイメージセンサユニットであって、赤外線を照射する光源と、赤外線を可視光に変換する波長変換層と、光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュールとを有し、前記波長変換層は前記被照明体と前記光電変換モジュールとの間に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被照明体の赤外線画像を、波長変換層によって可視光画像に変換して光電変換モジュールで受光し電気信号に変換できる。このため、可視光の領域に感度を有する光電変換モジュールによって、赤外線を用いる被照明体の読み取りを実施することができる。したがって、一般的なイメージスキャナに用いられるような、赤外線領域に感度を有さない光電変換モジュールが適用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、イメージセンサユニットの断面模式図である。
【図2】図2は、イメージセンサユニットの分解斜視図である。
【図3】図3は、イメージセンサユニットに設けられる光電変換モジュールの感度の特性と、波長変換層および波長変換部材の特性を示したグラフである。
【図4】図4は、フィルタを備えるイメージセンサユニットの断面模式図である。
【図5】図5は、フィルタを備えるイメージセンサユニットの分解斜視図である。
【図6】図6は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図7】図7は、イメージセンサユニットの変形例を示した分解斜視図である。
【図8】図8は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図9】図9は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図10】図10は、イメージセンサユニットの変形例を示した断面模式図である。
【図11】図11は、紙葉類識別装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。イメージセンサユニット1aは、たとえば、被照明体である紙葉類としての紙幣Sを取り扱う紙葉類識別装置に組み込まれて用いられる。そして、イメージセンサユニット1aは、紙幣Sの表面を可視光を用いて読み取ることができる。図1は、イメージセンサユニット1aの断面模式図であり、図2は、イメージセンサユニット1aの分解斜視図である。図1と図2に示すように、イメージセンサユニット1aは、ケーシング11と、光源2としての発光モジュール21および導光部材22と、ロッドレンズアレイ17と、センサ基板14と、カバー部材13と、波長変換層15とを有する。
【0010】
ケーシング11は、イメージセンサユニット1aの筐体であり、たとえば、略棒状の構成を有し、樹脂材料により形成される。ケーシング11の内部には、導光部材22を収容可能な領域と、ロッドレンズアレイ17を収容可能な領域と、センサ基板14を収容可能な領域とが形成される。さらに、ケーシング11の長手方向の端部には、発光モジュール21を収容可能な領域が形成される。
【0011】
光源2としての発光モジュール21および導光部材22は、紙幣Sに対して可視光および赤外線を照射できる。発光モジュール21は、可視光を発する発光素子(たとえば、赤色LEDや緑色LEDや青色LED)と、赤外線を発する素子(たとえば、赤外LED)とを備える点光源が適用できる。なお、発光モジュール21は、紙幣Sのフルカラー読み取りに必要な色の発光素子を備える構成でなくてもよく、たとえば、一色のみの発光素子を備える構成であってもよい。導光部材22は、発光モジュール21が発した可視光および赤外線を線状化して紙幣Sに照射する光学部材である。導光部材22は、所定の断面形状を有する透明な棒状の部材であり、たとえば、アクリル系の樹脂材料や、ポリカーボネートなどにより形成される。導光部材22の側面には、射出面221と反射面222とが形成される。射出面221は、紙幣Sに向かって光を照射する面である。反射面222は、光を反射・拡散しやすい表面性状を有する面である。反射面222には、たとえば、シルク印刷などにより光反射性の塗料からなるパターン(図略)が形成される。射出面221と反射面222とは、いずれも導光部材22の長手方向に延伸する帯状の面であり、互いに対向する位置に形成される。
【0012】
ロッドレンズアレイ17は、紙幣Sで反射した可視光および赤外線を、センサ基板14に設けられる光電変換モジュール141(後述)表面の図示しない受光部に結像させるための結像素子としての光学部材である。ロッドレンズアレイ17は、紙幣Sからの可視光および赤外線が入射する入射面171と、光電変換モジュール141へ可視光および赤外線を射出する射出面172とが形成される。ロッドレンズアレイ17は、たとえば、複数の正立等倍結像型の結像素子が直線状に配列される構成を有する。なお、このロッドレンズアレイ17には、従来公知のロッドレンズアレイが適用できる。
【0013】
センサ基板14は、可視光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュール141が実装される基板である。光電変換モジュール141は、可視光領域に感度を有する複数の光電変換素子を有し、これらの複数の光電変換素子が直線状に配列される構成を備える。なお、光電変換モジュール141に適用される光電変換素子は、赤外線領域に感度を有していなくてよい。したがって、光電変換モジュール141には、一般的なイメージスキャナなどといった画像読取装置に用いられる光電変換モジュールが適用できる。
【0014】
カバー部材13は、導光部材22とロッドレンズアレイ17とを覆うように設けられる部材である。そして、カバー部材13は、導光部材22とロッドレンズアレイ17とを保護する機能や、シート状の紙幣Sに接して平面に維持する機能を有する。カバー部材13は、平板状の部材であり、たとえば、ガラス板や透明な樹脂板などが適用できる。
【0015】
波長変換層15は、赤外線を可視光に変換する。たとえば、波長変換層15には、赤外線によって励起して可視光を発するアップコンバージョン(周波数上方変換)蛍光材が適用できる。特に、1000〜1500nmの波長領域の赤外線によって励起して、500〜750nmの波長領域の可視光を発する蛍光材が好適である。このような特性を有する蛍光材としては、たとえば、フッ化物微結晶が適用できる。そして、波長変換層15は、紙幣Sと光電変換モジュール141との間(換言すると、紙幣Sに接するカバー部材13と光電変換モジュール141との間)の可視光および赤外線の経路L上に設けられる。図1と図2においては、波長変換層15が、光電変換モジュール141の表面に形成される構成を示す。波長変換層15の形成方法としては、たとえば、光電変換モジュール141の表面に蛍光材を含有する塗料を塗布し、波長変換層15としての蛍光剤の膜を形成する方法が適用できる。このほか、光電変換モジュール141の表面に、蛍光剤を含有する材料からなる部材(=波長変換層15としての部材)が配設される構成であってもよい。波長変換層15としての部材には、たとえば、蛍光材を含有するガラスなどが適用できる。このように、波長変換層15は、光電変換モジュール141の表面に一体に設けられる構成であってもよく、別部材として配設される構成であってもよい。
【0016】
次に、イメージセンサユニット1aの組み付け構成を説明する。導光部材22とロッドレンズアレイ17とは、互いに略平行に配設される。発光モジュール21は、導光部材22の長手方向の端面に対して可視光および赤外線を照射できるように配設される。このため、発光モジュール21が発した可視光および赤外線は、導光部材22の端面からその内部に入射する。導光部材22の内部に入射した可視光および赤外線は、反射面222で反射・拡散などして、射出面221から紙幣Sに向かって射出する。導光部材22の射出面221は、長手方向に延伸する帯状に形成されるから、発光モジュール21が射出した可視光および赤外線は、導光部材22によって線状化される。そして、カバー部材13が、導光部材22の射出面221と、ロッドレンズアレイ17の入射面171とを覆うように配設される。ロッドレンズアレイ17と、センサ基板14に実装される光電変換モジュール141とは、それらの長手方向が略平行となるように配設される。そして、ロッドレンズアレイ17の射出面172と、光電変換モジュール141とが対向する。
【0017】
次に、イメージセンサユニット1aの動作について説明する。発光モジュール21の発光素子が発する可視光および赤外線は、導光部材22によって線状化され、紙幣Sに照射される。紙幣Sの表面で反射した可視光および赤外線は、ロッドレンズアレイ17の入射面171からその内部に入射し、射出面172からセンサ基板14の光電変換モジュール141に向かって射出される。ロッドレンズアレイ17の射出面172から射出された可視光は、波長変換層15を透過して、光電変換モジュール141の受光部に結像する。光電変換モジュール141は、結像した可視光を受光して電気信号に変換する。一方、ロッドレンズアレイ17の射出面172から射出された赤外線は、光電変換モジュール141の表面に設けられる波長変換層15に達する。そして、波長変換層15は、赤外線によって励起して可視光を発する(すなわち、赤外線を可視光に変換する)。光電変換モジュール141は、波長変換層15が発する可視光を受光して電気信号に変換する。
【0018】
そして、イメージセンサユニット1aは、紙幣Sに可視光を照射して反射光を検出する動作と、紙幣Sに赤外線を照射して反射した赤外線によって励起された可視光を検出する動作とを、短時間で交互に繰り返す。イメージセンサユニット1aは、このような動作によって、紙幣Sに設けられる所定のパターン(たとえば、ホログラム)を可視光画像として読み取るとともに、紙幣Sを赤外線画像として読み取る。
【0019】
赤外線を用いた読み取り動作の詳細は、次のとおりである。図3は、光電変換モジュール141の感度特性と、波長変換層15の蛍光特性(=波長変換特性)との関係を示したグラフである。図3(a)に示すように、光電変換モジュール141は、400〜700nmの領域に感度を有し、530nm近傍において感度のピークを有する。これに対して、図3(b)に示すように、波長変換層15は、1000〜1500nmの波長の赤外線が照射されると励起して、500〜750nmの波長の可視光を発する。このように、波長変換層15は、赤外線が照射されると、光電変換モジュール141の感度のピークの近傍の波長領域の可視光を発する。このため、可視光領域に感度を有する光電変換モジュール141によって、紙幣Sの赤外線画像を可視光画像として読み取ることができる。したがって、このイメージセンサユニット1aと、一般的なイメージスキャナとで、光電変換モジュール141の共通化を図ることができる。
【0020】
また、波長変換層15により変換された可視光を遮断し、それ以外の波長領域の可視光および赤外線を透過するフィルタ16が設けられる構成であってもよい。そこで、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bについて、図4と図5を参照して説明する。図4は、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bの構成を、模式的に示した断面図である。図5は、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bの構成を、模式的に示した分解斜視図である。なお、フィルタ16を備えないイメージセンサユニット1aと共通の構成については、同じ符号を付して記し、説明は省略する。
【0021】
図4に示すように、イメージセンサユニット1bには、波長変換層15と紙幣Sとの間の可視光および赤外線の経路L上に、フィルタ16が設けられる。たとえば、図4に示すように、フィルタ16は、光電変換モジュール141の表面に設けられる波長変換層15と、ロッドレンズアレイ17との間に設けられる。なお、このフィルタ16は、波長変換層15により変換された可視光を遮断し、それ以外の波長領域の可視光および赤外線を透過するものであればよく、構成は限定されない。フィルタ16には、たとえば、公知の各種バンドカットフィルタが適用できる。
【0022】
フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bの動作は、基本的には、フィルタを備えないイメージセンサユニット1aと同じである。そして、フィルタ16は、波長変換層15が発する可視光を、紙幣Sに到達しないように遮断する。具体的には、フィルタ16は、530nm近傍の可視光を遮断し、それ以外の波長領域の可視光および赤外線を透過させることができる。このため、フィルタ16は、波長変換層15が発する可視光が紙幣Sに戻って反射して光電変換モジュール141に到達することを防止できる。したがって、光電変換モジュール141は、波長変換層15から直接に到達する可視光のみを検出して電気信号に変換することができる。このような構成であると、赤外線を用いた読み取りの精度の低下を防止できる。
【0023】
すなわち、波長変換層15が発する可視光は無指向性であるため、フィルタ16が設けられないと、波長変換層15が発する可視光の一部が、紙幣Sに戻って反射してから光電変換モジュール141に到達する。そうすると、光電変換モジュール141は、波長変換層15から直接に到達する可視光に、紙幣Sで反射した可視光が加算された可視光を受光する。この結果、光電変換モジュール141は、紙幣Sで反射した赤外線のレベルを正確に測定できなくなるおそれがある。特に、紙幣Sで反射する可視光が加算されるため、光電変換モジュール141で検出される可視光のレベルが高くなることがある。これに対して、フィルタ16が設けられる構成であると、フィルタ16によって、波長変換層15が発する可視光が紙幣Sに戻って反射してから光電変換モジュール141に到達することを防止できる。したがって、紙幣Sで反射した赤外線のレベルを正確に測定することができる。すなわち、このような構成であれば、紙幣Sの表面で反射した赤外線を、波長変換層15およびフィルタ16を有さずに赤外線の領域に感度を有する光電変換モジュール141を用いて測定する構成と、同様の結果が得られる。
【0024】
前述した波長変換層15およびフィルタ16の位置は一例であり、この位置に限定されるものではない。たとえば、波長変換層15とフィルタ16とが、図6〜図9に示す位置に設けられる構成であってもよい。図6と図7は、波長変換層15が光電変換モジュール141の表面に設けられ、フィルタ16がロッドレンズアレイ17とカバー部材13との間に配設される構成を示す。図8は、波長変換層15がロッドレンズアレイ17の射出面172の表面に形成され、フィルタ16がロッドレンズアレイ17とカバー部材13との間に配設される構成を示す。図9は、波長変換層15がロッドレンズアレイ17の入射面171の表面に形成され、フィルタ16がロッドレンズアレイ17とカバー部材13との間に配設される構成を示す。図6〜図9に示す構成は、いずれも、波長変換層15が、光電変換モジュール141と紙幣Sとの間に設けられ、フィルタ16が、波長変換層15と紙幣Sとの間に配設される。なお、波長変換層15は、同様に、光電変換モジュール141またはロッドレンズアレイ17の表面に一体に設けられる構成であってもよく、別部材として配設される構成であってもよい。また、図6〜図9においては、波長変換層15とフィルタ16の両方が設けられる構成を示すが、フィルタ16が設けられない構成であってもよい。
【0025】
これらのように、光電変換モジュール141と紙幣Sとの間に、波長変換層15が設けられる構成であればよい。さらに、波長変換層15と紙幣Sとの間に、フィルタ16が設けられる構成であればよい。そして、これらのような構成であれば、同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
なお、イメージセンサユニット1a,1bのうち、図示および説明を省略した部分については、従来公知のイメージセンサユニットと同じ構成が適用できる。
【0027】
前述した実施形態においては、イメージセンサユニット1a,1bが紙幣Sで反射する可視光および赤外線を読み取る構成を示したが、紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取る構成であってもよい。さらに、イメージセンサユニット1a,1bが、紙幣Sで反射する可視光および赤外線と、紙幣Sを透過する可視光および赤外線とを読み取ることができる構成であってもよい。
【0028】
紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取ることができる構成について、図10を参照して説明する。図10は、イメージセンサユニット1bによって紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取る構成を示した図である。なお、図10においては、フィルタ16を備えるイメージセンサユニット1bが適用される構成を示したが、フィルタ16を備えないイメージセンサユニット1aが適用される構成であってもよい。図10に示すように、イメージセンサユニット1a,1bに対向して光源ユニット5が配設されており、イメージセンサユニット1a,1bと光源ユニット5の間に紙幣Sを通過させることができる。この光源ユニット5は、紙幣Sに可視光および赤外線を照射できる光源6を備える。光源ユニット5の光源6には、イメージセンサユニット1a,1bの光源2と同じ構成が適用できる。たとえば、光源ユニット5の光源6は、可視光を発する発光素子と赤外線を発する素子とが実装されて点光源として機能する発光モジュール61と、発光モジュール61が発する可視光および赤外線を線状化する導光部材62とを備える。そして、光源ユニット5は、可視光と赤外線を紙幣Sに照射することができる。光源ユニット5から照射された可視光および赤外線は、紙幣Sを透過し、イメージセンサユニット1a,1bのロッドレンズアレイ17の入射面171に入射する。イメージセンサユニット1a,1bが紙幣Sを透過した可視光および赤外線を読み取る動作は、紙幣Sで反射した可視光および赤外線を読み取る動作と同じである。
【0029】
イメージセンサユニット1a,1bは、光源ユニット5から紙幣Sに照射されて透過した可視光を検出する動作と、光源ユニット5から紙幣Sに照射されて透過した赤外線を検出する動作とを、短時間で交互に繰り返す。このような動作によって、イメージセンサユニット1a,1bは、紙幣Sを透過する可視光および赤外線を読み取ることができる。さらに、イメージセンサユニット1a,1bは、これら二つの動作と、紙幣Sに可視光を照射して反射光を検出する動作と、紙幣Sに赤外線を照射して反射した赤外線によって励起された可視光を検出する動作とを、短時間で周期的に繰り返してもよい。このような動作によって、イメージセンサユニット1a,1bは、紙幣Sを透過する可視光および赤外線と、紙幣Sで反射する可視光および赤外線を読み取ることができる。
【0030】
次に、イメージセンサユニット1a,1bが適用される紙葉類識別装置3について、図11を参照して説明する。紙葉類識別装置3は、紙幣Sなどの紙葉類に光を照射して反射光を読み取り、読み取った反射光を用いて、紙葉類を識別する。図11に示すように、紙葉類識別装置3は、イメージセンサユニット1a(または、1b)と、紙幣Sを搬送する搬送ローラー31とを備える。そして、紙葉類識別装置3は、搬送ローラー31どうしの間には、紙幣Sを挟んでカバー部材13を介してイメージセンサユニット1a(または、1b)上を読取方向(副走査方向)に搬送するための搬送路Aが設定される。この時、ロッドレンズアレイ17の紙幣S側の焦点は、搬送路Aの略中央に設定されるものである。このような構成の紙葉類識別装置3の動作は、次のとおりである。紙葉類識別装置3に適用されるイメージセンサユニット1a,1bが、前述した動作によって、紙葉類としての紙幣Sに設けられる所定のパターンを可視光画像として読み取るとともに、紙幣Sを赤外線画像として読み取る。その後、紙葉類識別装置3は、予め用意された真券である紙幣Sに可視光および赤外線を照射することで得られた真券紙幣画像と、真贋判定時に判定対象となる紙幣Sに可視光および赤外線を照射することで得られた画像とを比較することで、紙幣Sの真贋判定を行う。これは、真券である紙幣Sには、可視光下と、赤外光下とから得られる画像がそれぞれ異なるような領域が設けられているためである。なお、説明および図示を省略した部分については、従来の紙葉類識別装置と同じ構成が適用できる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。たとえば、前述した実施形態においては、光源が、点光源である発光モジュールと、点光源を線光源化する導光部材とを備える構成を示したが、光源は、このような構成に限定されるものではない。光源は、点光源の発光素子が直列に配列される線光源などであってもよい。要は、光源は、被照明体の表面に対して、可視光と赤外線とを照射できる構成であればよい。さらに、前述した実施形態においては、イメージセンサユニットが一組の光源を備える構成を示したが、光源の数は限定されない。たとえば、イメージセンサユニットが二組の光源を備える構成であってもよい。
【0032】
また、前述した実施形態においては、被照明体として紙幣が適用される構成を示したが、被照明体の種類は限定されるものではない。たとえば、被照明体として、各種有価証券や、IDカードなどが適用できる。赤外線に反応する紙葉類であれば、種類を問わずに適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、イメージセンサユニットおよび紙葉類識別装置として有効な技術である。
【符号の説明】
【0034】
1a,1b:イメージセンサユニット、11:ケーシング、13:カバー部材、14:センサ基板、141:光電変換モジュール、15:波長変換層、16:フィルタ、17:ロッドレンズアレイ、2:光源、21:発光モジュール、22:導光部材、3:紙葉類識別装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明体に光を照射して前記被照明体を読み取るイメージセンサユニットであって、
赤外線を照射する光源と、
赤外線を可視光に変換する波長変換層と、
光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュールとを有し、
前記波長変換層は前記被照明体と前記光電変換モジュールとの間に設けられることを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記波長変換層は、前記光電変換モジュールの表面に設けられることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記被照明体からの反射光を前記光電変換モジュールの表面に結像する結像素子をさらに備え、
前記波長変換層は、前記光電変換モジュールと前記結像素子との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記波長変換層は、前記結像素子の表面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記被照明体からの反射光を前記光電変換モジュールの表面に結像する結像素子と、前記結像素子を覆うカバー部材とをさらに備え、
前記波長変換層は、前記結像素子と前記カバー部材との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
前記波長変換層と前記被照明体との間には、前記波長変換層が変換した可視光を遮断するフィルタが設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
紙葉類に光を照射して前記紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、
赤外線を照射する光源と、光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュールと、前記紙葉類と前記光電変換モジュールとの間に設けられ赤外線を可視光に変換する波長変換層とを有するイメージセンサユニットを備えることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項8】
前記波長変換層と前記紙葉類との間には、前記波長変換層が変換した可視光を遮断するフィルタが設けられることを特徴とする請求項7に記載の紙葉類識別装置。
【請求項1】
被照明体に光を照射して前記被照明体を読み取るイメージセンサユニットであって、
赤外線を照射する光源と、
赤外線を可視光に変換する波長変換層と、
光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュールとを有し、
前記波長変換層は前記被照明体と前記光電変換モジュールとの間に設けられることを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記波長変換層は、前記光電変換モジュールの表面に設けられることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記被照明体からの反射光を前記光電変換モジュールの表面に結像する結像素子をさらに備え、
前記波長変換層は、前記光電変換モジュールと前記結像素子との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記波長変換層は、前記結像素子の表面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記被照明体からの反射光を前記光電変換モジュールの表面に結像する結像素子と、前記結像素子を覆うカバー部材とをさらに備え、
前記波長変換層は、前記結像素子と前記カバー部材との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
前記波長変換層と前記被照明体との間には、前記波長変換層が変換した可視光を遮断するフィルタが設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
紙葉類に光を照射して前記紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、
赤外線を照射する光源と、光を受光して電気信号に変換する光電変換モジュールと、前記紙葉類と前記光電変換モジュールとの間に設けられ赤外線を可視光に変換する波長変換層とを有するイメージセンサユニットを備えることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項8】
前記波長変換層と前記紙葉類との間には、前記波長変換層が変換した可視光を遮断するフィルタが設けられることを特徴とする請求項7に記載の紙葉類識別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−30100(P2013−30100A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167227(P2011−167227)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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