説明

イメージセンサ及び電磁波イメージング装置

【課題】被写体の状態に依存すること無く、良好な画像を得ることが可能な小型のイメージセンサ及び電磁波イメージング装置を提供する。
【解決手段】2次元状に配置された複数の画素401を備えるイメージセンサであって、画素401は、フォトダイオード302及びフォトダイオード302’から構成されるフォトダイオード対と、フォトダイオード対と接続され、フォトダイオード対で発生した信号を読み出して出力する読み出し回路と、読み出し回路と接続され、フォトダイオード302から読み出された信号と、フォトダイオード302’から読み出された信号との差分に対応する差分信号を出力する差分回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサ及びその応用装置に関し、特にTHz電磁波をイメージングするイメージセンサ及び電磁波イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ検査、医療検査、食品分析、薬品分析、環境モニター等を目的として、THz帯電磁波イメージング装置の開発が進められている(非特許文献1及び2、並びに特許文献1、2及び3参照)。
【0003】
これらの技術においては、THz電磁波源より発せられた周波数0.1THzから100THzの領域にある電磁波(以下、THz電磁波と称する)を被検査物に照射し、その透過または反射波の強度または位相空間分布に該被検査物の物理特性(形状、材質など)の空間分布情報を変調量として担わせ、これを受信することにより被検査物の物理特性の空間分布情報を2次元画像として構成する。
【0004】
被検査物の2次元情報を得る方法としては、当初、非特許文献2に記載されているように、照射THz電磁波ビームをレンズによって該被検査物の一部に集束し、該被検査物を走査し、変調されたTHz電磁波を1次元情報のみ受信可能な受信器によって逐次受信し、2次元情報を構成するという方法が取られた。
【0005】
しかし、この方法では2次元情報の全データを採取するために数時間という長時間を要し、実時間で検査を終了させることが要求される検査装置としては非実用的であった。
【0006】
この欠点を補う方法として、図16に示すTHz電磁波イメージング装置が非特許文献3で報告されている。
【0007】
図16において、超短パルス光源1601より、パルス幅100fsの超短パルス光が1kHzの周波数で発生され、偏光ビームスプリッター1602によりP偏光はポンプ光1603として分離され、S偏光はプローブ光1604として分離される。
【0008】
ポンプ光1603は光学遅延線1605を経て、半絶縁性GaAsウエハー上に間隔10mmをおいて形成された電極対を有する光伝導スイッチによって構成されたTHz電磁波エミッター1606に入射され、THz電磁波1607が発生される。このようにして発生されたTHz電磁波1607は極めてコリメート性が高く幅の広いビームであり、THz電磁波の進行方向に対して垂直な面において2次元的な透過分布を有する被測定物1608に照射される。
【0009】
被測定物1608を通過したTHz電磁波1607は被測定物の2次元透過特性に伴い、空間的に強度変調されたビームとなる。これをポリエチレンレンズ1609によって、後段のZnTe結晶よりなる電界変調器1613内に結像する。
【0010】
プローブ光1604はプローブ光進路変更用ミラー1610で進路変更され、さらにビームエクスパンダー1611によってビーム幅が広げられた後、シリコンウエハーで構成されたシリコンミラー1612に入射し、シリコンミラー1612を透過した強度変調されたTHz電磁波1607と光軸を共有する。言い換えれば、重畳される。
【0011】
重畳されたプローブ光1604とTHz電磁波1607とは、[110]面が光軸に垂直に配置されたZnTe結晶よりなる電界変調器1613に入射する。
【0012】
電界変調器1613の後段には、位相板1614、プローブ光1604に直交する偏波面を有する直線偏光のみ透過させる偏光板1615、及び偏光板1615からの透過光を受光する一画素あたり1つのフォトダイオードを有する2次元CMOSイメージセンサ1616がこの順に配置される。
【0013】
偏光板1615の透過光量を最小限に抑制しつつ、得られる画像の信号雑音比(S/N比)を最大にするために、位相板1614はその後段において、THz電磁波1607がプローブ光1604の各パルスと同時に電界変調器1613に入射しない場合、すなわちTHz電磁波パルスとプローブパルスとが非同期の場合には、プローブ光1604の偏波面が偏光板1615の透過偏波面に直交する方向から2〜3°程度の偏角を成すように設定する。
【0014】
このように、プローブ光を直線偏波で用いると共にその偏波面を制御することによって偏光板を透過する光量を抑制することを、以下ではプローブ光の位相バイアスを抑制すると言う。
【0015】
両パルス間の同期が取れていない場合、CMOSイメージセンサ1616には光量の抑制されたプローブ光1604、つまり微小バイアス量に相当する偏光板からの透過光が入射する。しかし、電界変調器1613にTHz電磁波パルスとプローブ光パルスとが同時に入射する、すなわち両パルス間の同期が取れている場合に、電界変調器1613に透過後のプローブ光の偏光状態はTHz電磁波と非同期の場合に比べて偏角がさらに0.02°程度回転しているため、1%程度の強度変調量を期待できる。
【0016】
本装置では、連続する2つのプローブ光パルスに各々THz電磁波によって変調された情報、及び未変調の情報を担わせ、これらの連続する2つのプローブ光パルスによって形成される連続する2画面の情報を、同期回路1617によってプローブ光のパルス周期とレーザー光源のパルス周期と同期を取ることによって取りこむ。時間的に先に取り込んだ画像を一時保存し次の画像信号が出力される期間に、両画像間の差分を画像処理回路1618によって演算することによってTHz電磁波によって形成された被測定物1608の透過特性の画像を得る。
【特許文献1】特開2002−5828号公報
【特許文献2】特開2004−20504号公報
【特許文献3】特開2005−37213号公報
【非特許文献1】Kiyomi Sakai ed., “Terahertz Optoelectronics”, Springer Verlag, 2005, pp.331-pp.381.
【非特許文献2】B. B. Hu and M. C. Nuss, Opt. Lett. Vol.20, p.1716, (1995).
【非特許文献3】F. Miyamaru, T. Yonera, M. Tani and M. Hangyo, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.43, p.L489-L491, (2004).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、上記の従来の技術においては、次の課題が生じる。
すなわち、上述のように1枚の偏光板によって一方向の偏光成分のみを信号として使用するため、プローブ光がTHz電磁波によって未変調の時の画像データと変調された時の画像データとを異なる時刻で取得し、両画像間の差分を出力する必要がある。このような方法では、静止画等の2画像を取得するのに要する時間に比して、十分に長い時間内で移動する被写体については、実物を再現することが可能である。しかし、画像取得時間と同等以下の短時間で移動、運動する被写体については像の歪み、ボケなどが発生し、良好な画像を得ることができない。また、時間差の発生する2画像の取得と先行して取得された一画面分のデータを一時保存する回路が必要となるため、装置が大型化する。
【0018】
また、この従来の技術では、未変調時においてイメージセンサに入射する光の強度を極力抑え、イメージセンサの画素への光信号の加入力を回避するために、未変調時のプローブ光の偏光状態を直線偏光とし、THz電磁波によって変調されたプローブ光の偏光状態を楕円偏光とするが、このような位相バイアス点では電界変調方式により得られる画像の信号雑音比(S/N比)を最大にできない。得られる信号雑音比(S/N比)を最大とするには、理想的には未変調時には偏光フィルターに入射するプローブ光が円偏光であり、互いに直行する偏光成分を等量有することが好ましい(Yariv, A.,(多田、神谷共訳)“光エレクトロニクスの基礎”, 丸善、pp.245, (1974))。この方式を実現するにはプローブ光を等しい強度に分割し互いに直交する2種類の偏光板を透過せしめ、かつ、各々の後段に独立したイメージセンサを配置し、両センサで得られる2画像間の差分を取る必要がある。その結果、複数のイメージセンサが必要となり、装置が複雑化する。
【0019】
さらに、この従来の技術においては、信号レベルが低い場合にS/N比を向上させるためには、多数の画面を取得蓄積する必要があり、多大な外部メモリ及び長い画像取得時間が必要となり、非実用的である。
【0020】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被写体の状態に依存すること無く、良好な画像を得ることが可能な小型のイメージセンサ及び電磁波イメージング装置を提供することを第1の目的とする。
【0021】
また、プローブ光の位相バイアスを抑制せず、かつ回路を飽和させることもなしに、変調されたプローブ光の変調量を検出可能なイメージセンサ及び電磁波イメージング装置を提供することを第2の目的とする。
【0022】
また、信号レベルが低い場合でもS/N比を向上させることが可能なイメージセンサ及び電磁波イメージング装置を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために本発明のイメージセンサは、2次元状に配置された複数の画素部を備えるイメージセンサであって、前記画素部は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードと、前記第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードと接続され、前記第1フォトダイオードで発生した信号及び第2フォトダイオードで発生した信号を読み出して出力する読み出し回路と、前記読み出し回路と接続され、前記第1フォトダイオードから読み出された信号と、前記第2フォトダイオードから読み出された信号との差分に対応する差分信号を出力する差分回路とを備えることを特徴とする。ここで、前記イメージセンサは、さらに、前記第1フォトダイオードの上に配置された第1偏光フィルターと、前記第2フォトダイオードの上に配置された第2偏光フィルターとを備え、前記第1偏光フィルター及び前記第2偏光フィルターは、異なる偏光透過特性を有してもよい。また、前記イメージセンサは、さらに、前記第1フォトダイオードの上に配置された第1波長フィルターと、前記第2フォトダイオードの上に配置された第2波長フィルターとを備え、前記第1波長フィルター及び前記第2波長フィルターは、異なる波長透過特性を有してもよい。
【0024】
本構成とすることによって、偏波面の方向や波長について変調されたプローブ光の変調量の検出にこのイメージセンサを用いる場合には、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードのそれぞれにフィルターを形成し、所定の基準状態、例えばプローブ光の変調量が0である場合、つまりプローブ光が変調されていない状態において、各々のフォトダイオードに入射するプローブ光の光量が等しくなるように設定される。
【0025】
例えば、未変調光には円偏光となるプローブ光を2つのフォトダイオードに入射し、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードのそれぞれに等量の電荷を発生させることによって、出力を抑止する。そして、変調時には、フィルター特性の違いによって変調量に応じた受光量の差をそれぞれのフォトダイオードについて生ぜしめ、蓄積電荷量の差に応じた差分信号を検出することが可能となる。従って、未変調光が入射した場合では2つのフォトダイオードで発生する電流は信号に寄与することは無く、変調光が入射した場合のみ変調光に起因する信号を検出することが可能となる。
【0026】
これにより、2つのフォトダイオード間の信号の差分を一画面信号蓄積期間内で出力することが可能となる。従って、プローブ光が未変調の時の画像データと変調された時の画像データとを異なる時刻で取得する必要がない。また、時間差の発生する2画像の取得と先行して取得された一画面分のデータを一時保存する外部メモリ等の回路が必要ない。その結果、被写体の状態に依存すること無く、良好な画像を得ることが可能な小型のイメージセンサが得られる。また、高速に画像を出力させることが可能なイメージセンサが得られる。
【0027】
また、プローブ光の位相バイアスを抑制せず、かつ信号量低下を伴わず、変調されたプローブ光の変調量を検出可能なイメージセンサが得られる。
【0028】
また、全ての画素部について並列に差分演算を実行し、並列に差分信号を出力させることができるので、より高速の出力動作が可能なイメージセンサが得られる。
【0029】
また、前記画素部は、さらに、前記差分信号を積分し、前記積分された差分信号を画素信号として出力する積分回路を備えてもよい。
【0030】
本構成とすることによって、微小な差分信号を繰り返し読み出し、積分回路によって差分信号を積算し、ノイズ成分を低減することができるので、信号レベルが低い場合でもS/N比を向上させることができる。
【0031】
また、前記積分回路は、一方の入力端子が前記差分回路の出力と接続され、他方の入力端子が定電位と接続されたオペアンプと、前記オペアンプの一方の入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に挿入されたフィードバック容量とを有してもよい。
【0032】
このような構成とすることによって、微小な差分信号をフィードバック容量に積算し、S/N比を向上させることが可能となる。
【0033】
また、前記読み出し回路は、前記第1フォトダイオードで発生した信号及び前記第2フォトダイオードで発生した信号を同時に出力し、前記差分回路は、一方の端子が前記第1フォトダイオードと接続され、他方の端子が前記第2フォトダイオードと接続された第1容量から構成されてもよい。
【0034】
このような構成とすることによって、通常使用される多数のトランジスタよりなる差分回路によらず最小の回路素子数で差分演算を実現することが可能となる。その結果、小型のイメージセンサが得られる。
【0035】
また、前記積分回路は、定電流負荷を持つソースフォロア回路を構成する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのゲートと定電位との間に挿入された第2容量とを有し、前記積分回路では、前記差分信号が前記第1トランジスタのゲート及びソース間の電圧として入力されてもよい。
【0036】
このような構成とすることによって、多数のトランジスタを必要とする演算増幅器を用いずに少ないトランジスタ数で積分演算を実現することが可能となる。特に、ソースフォロアを定電流負荷とした場合には、積分回路の入出力信号間の比例関係が保たれ、定量的な信号演算が可能となる。同時に、積分時の非線形動作に伴う信号レベルの飽和が抑圧され、高いS/N比と広いダイナミックレンジを実現することが可能となる。
【0037】
また、前記積分回路は、ソースが接地された第2トランジスタと、前記第2トランジスタのゲート及びドレイン間に挿入された第3容量とを有し、前記積分回路では、前記差分信号が前記第2トランジスタのゲート及びソース間の電圧として入力されてもよい。
【0038】
このような構成とすることによって、多数のトランジスタを必要とする演算増幅器を用いずに少ないトランジスタ数で積分動作を実現することが可能となる。
【0039】
また、前記読み出し回路は、前記第1フォトダイオードで発生した信号及び前記第2フォトダイオードで発生した信号を順次出力し、前記差分回路は、前記読み出し回路から順次出力された信号の差分に対応する差分信号を蓄積する第4容量を持つ相関二重サンプリング回路から構成されてもよい。
【0040】
このような構成とすることによって、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードからの信号が共通のノイズ成分を有するので、通常フォトダイオードの信号成分を出力する際に必要としていたリセット信号とフォトダイオード信号との間の差分演算を第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの信号間の差分演算時に同時に行うことが可能となる。さらに、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの信号間の差分を少ない素子数で得ることが可能となる。特に第1フォトダイオードの信号が差分回路に入力される期間と第2フォトダイオードの信号が差分回路に入力される期間において、相関二重サンプリング回路を構成する直列に配置された2つの容量の接続点電圧を異なる電圧に設定することによって、2つの容量の後段側容量に第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの信号間の差分信号を蓄積させることができ、最小の回路素子数で差分演算を実現することができる。
【0041】
また、前記第4容量の容量値は、前記第2容量又は第3容量の容量値よりも大きくてもよい。
【0042】
このような構成とすることによって、積分演算時に微弱な差分信号を第4容量及び第2容量又は第3容量の容量比に比例した増幅率で増幅することが可能となり、より高いS/N比を実現することが可能となる。
【0043】
また、前記積分回路は、さらに、前記第4容量と並列に接続され、所定の電圧に充電された第5容量を有してもよい。
【0044】
このような構成とすることによって、第5容量に充電された電圧によって第1トランジスタ又は第2トランジスタが飽和領域で動作するために必要なバイアスを第1トランジスタ又は第2トランジスタのゲートに充電し、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの信号間の差分信号を確実に第2容量又は第3容量に充電することができる。
【0045】
また、前記相関二重サンプリング回路のクランプ電圧は、前記第1トランジスタ又は第2トランジスタの閾値電圧より小さくてもよい。
【0046】
このような構成とすることで、第5容量による積分回路のバイアス機能を相関二重サンプリング回路のクランプ電圧で実現することができる。従って、第5容量が不要となり、部品点数が大幅に削減できるとともに、回路の安定動作も可能となる。
【0047】
また、前記画素信号の生成は、一画面分のデータ蓄積時間内に行われてもよい。
このような構成とすることによって、イメージセンサの信号出力動作期間に同期した差分及び積分演算が可能となり、上記高速化された構成と併せることによって実時間でイメージセンサから信号を出力させることが可能となる。
【0048】
また、本発明は電磁波を発生する電磁波源と、プローブ光を発生する光源と、被写体を透過又は反射した後の前記電磁波を前記プローブ光と重畳する重畳光学素子と、前記重畳された電磁波とプローブ光とが入射され、前記電磁波の電界に応じて前記プローブ光の特定の物理量を変調する電気光学変調素子と、前記変調後のプローブ光を撮像する上記のイメージセンサとを備えることを特徴とする電磁波イメージング装置とすることもできる。
【0049】
このような構成とすることによって、プローブ光を円偏光状態で入射させるにもかかわらず、電磁波によって変調されていない状態のプローブ光の位相バイアスを抑制せず、また複数のイメージセンサを必要とせず、電磁波によるプローブ光の変調量を同一フレーム期間で出力させることが可能となる。その結果、被写体の状態に依存すること無く、良好な画像を得ることが可能な小型の電磁波イメージング装置を実現できる。また、プローブ光の位相バイアスを抑制せず、かつ回路を飽和させることもなしに、変調されたプローブ光の変調量を検出可能な電磁波イメージング装置を実現できる。
【0050】
ここで、前記光源は、パルス状のプローブ光を発生し、前記イメージセンサは、前記パルスに同期して前記撮像を行ってもよい。
【0051】
このような構成とすることによって、差分及び積分演算を信号の入力周期に同期して行うことが可能となり、ノイズ帯域を狭帯域化し、より高いS/N比を実現することができる。
【0052】
また、本発明は、上記イメージセンサの駆動方法であって、前記第5容量の所定の電圧を前記積分回路に入力する電位入力ステップと、前記電位入力ステップの後に、差分信号を前記積分回路に入力する信号入力ステップとを含むことを特徴とするイメージセンサの駆動方法とすることもできる。
【0053】
このような構成とすることによって、第5容量及び第4容量の2つの容量が同時に、第2容量又は第3容量すなわち第1トランジスタ又は第2トランジスタのゲートに接続される際に生ずる不安定状態を回避することができ、回路の安定動作が保証される。
【発明の効果】
【0054】
本発明のイメージセンサによれば、異なるフォトダイオード間の信号の差分を一画面信号蓄積期間内で出力させることが可能となる。特に、フォトダイオード対を形成する各フォトダイオードの上面に異なる偏光特性を有する偏光フィルターを配置することによって、入射光の異なる偏光成分間の差分を一画像形成期間内で出力させることが可能となる。同様に、フォトダイオード対を形成する各フォトダイオードの上面に異なる透過波長特性を有する波長フィルターを配置することによって、入射光の異なる波長成分間の差分を一画像形成期間内で出力させることが可能となる。さらに、イメージセンサに入射する入射光の偏光または波長特性をTHz電磁波によって電界変調することにより、高速かつ高S/N比のTHz電磁波イメージングを簡便な装置で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るイメージセンサについて図1〜5を参照しながら説明する。
【0056】
図1は、本実施形態のイメージセンサの動作原理を示す回路構成図である。
この回路は、近接する一対のフォトダイオード101及び101’と、一対の読み出し回路102及び102’と、一対の信号出力回路103及び103’と、差分回路204と、積分回路205とを備える。同回路では、フォトダイオード101及び101’に蓄積された信号電荷が各々読み出し回路102及び102’によって後段の信号出力回路103及び103’に転送される。そして、各フォトダイオード101及び101’からの信号出力は後段の差分回路204に入力され、例えば異なる偏光成分あるいは異なる波長成分間の差分信号が検出される。差分出力は極めて微弱であるため、同一データの読み出し動作が繰り返し行われる。各読み出し時の差分信号は後段の積分回路205に出力され、該差分信号は積分回路205にて蓄積され積算される。ランダムなノイズ成分はこの積算動作時に低減される。
【0057】
図2は、本実施形態に係るイメージセンサの全体構成を示す図である。
このイメージセンサは、Si基板301と、複数のフォトダイオード302及び302’と、複数の偏光フィルター303及び303’と、信号処理駆動回路304と、行走査回路305と、列走査回路306とを備える。
【0058】
なお、フォトダイオード302は本発明の第1のフォトダイオードの一例であり、フォトダイオード302’は本発明の第2のフォトダイオードの一例である。また、偏光フィルター303は本発明の第1偏光フィルターの一例であり、偏光フィルター303’は本発明の第2偏光フィルターの一例である。
【0059】
このイメージセンサでは、Si基板301上に形成された2つのフォトダイオード、つまりフォトダイオード302とこれと等価なフォトダイオード302'が対を形成している。また、このフォトダイオード対と等価なフォトダイオード対が列方向(X方向)と行方向(Y方向)との2次元に規則的に配列されている。各フォトダイオード対の周辺には光入射によってフォトダイオード302及び302’で発生した信号電荷を順次読み出す回路が配置されている。
【0060】
各フォトダイオード対上には、X方向またはY方向に偏波面を有する偏光のみを透過させる偏光フィルター303及び303’が配置されている。つまり、フォトダイオード302上にはY方向に垂直な方向に配列された金属細線よりなるY方向偏光のみを透過する偏光フィルター303が、フォトダイオード302'上にはX方向に垂直な方向に配列された金属細線よりなるX方向偏光のみを透過する偏光フィルター303'が配置されている。
【0061】
信号処理駆動回路304によって、各フォトダイオード対からの信号読み出し動作、及び各フォトダイオード対内のフォトダイオード間の差分信号検出動作、及び該差分信号の積分及び演算処理動作を実行させる駆動信号が1つのフォトダイオード対で形成される画素に分配される。本イメージセンサでは各フォトダイオード対の積分演算処理後の信号が一画素分の画素信号として読み出される。画素信号の読み出しは、行走査回路305によって読み出し行を選択させ、列走査回路306によって被選択行の各フォトダイオード対の積分演算後の信号を順次水平信号出力線に出力させることより行われる。
【0062】
図3は、本実施形態に係るイメージセンサの回路構成を示す図であり、図4は、画素401内の詳細な回路構成を示す図である。なお、図3において座標系は図2と同等である。
【0063】
このイメージセンサでは、1つのフォトダイオード対で形成される画素401が2次元状に配置され、信号処理駆動回路304、行走査回路305及び列走査回路306からの駆動信号が信号線を介して各画素401に分配されている。図2のフォトダイオード302及び302’で形成される画素は、本発明の画素部の一例であり、画素401として示してある。
【0064】
フォトダイオード302及び302’が対を形成しており、このフォトダイオード対と接続された読み出し回路によりフォトダイオード対の信号が読み出されて出力される。この読み出し回路は、転送ゲート501及び501’と、フローティング・ディフュージョン・アンプ502及び502’と、リセットトランジスタ503及び503’と、ソースフォロアアンプ504及び504’と、負荷トランジスタ505及び505’と、トランジスタ506及び506’とから構成される。
【0065】
この読み出し回路では、信号処理駆動回路304より発せられたTRANP及びTRANS信号により転送ゲート501及び501’が導通状態となる。転送ゲート501及び501’と接続されたリセットトランジスタ503及び503’は、信号処理駆動回路304からのリセット信号RSCELLにより導通状態となり、フローティング・ディフュージョン・アンプ502及び502’をリセットする。フォトダイオード対の信号電荷は、リセットされたフローティング・ディフュージョン・アンプ502及び502’に転送ゲート501及び501’により転送され、負荷トランジスタ505及び505’と接続されたソースフォロアアンプ504及び504’によって電圧信号として読み出し可能状態、すなわち、電圧出力可能状態となる。これらの電圧出力は信号処理駆動回路304からの読み出し開始信号CHGP及びCHGSによってトランジスタ506及び506’を介して差分回路に出力される。
【0066】
差分回路は、フォトダイオード302から読み出された信号と、フォトダイオード302’から読み出された信号との差分に対応する差分信号を出力する回路である。差分回路は、一方の端子がフォトダイオード302と接続され、他方の端子がフォトダイオード302’と接続された、つまり読み出し回路と接続された容量507より構成される。
【0067】
なお、容量507は本発明の第1容量の一例である。
この差分回路では、フォトダイオード302から読み出された信号と、フォトダイオード302’から読み出された信号とが容量507の別々の端子に出力される。該容量507はフォトダイオード302及び302’の差信号に相当する電圧で充電される。容量507が充電された後、トランジスタ506及び506’はオフ状態とされる。このようにして容量507に蓄積されたフォトダイオード302及び302’間の差分信号は、次段の差動入力アンプによって構成される積分回路にて積分される。以下にこの積分回路の構成と動作を説明する。
【0068】
積分回路は、差分信号を積分して積分された差分信号を画素信号として出力する回路であり、トランジスタ508、508’及び509と、差動増幅器と、この差動増幅器の入出力端子間に接続されたフィードバック容量513とから構成される。差動増幅器は、トランジスタ510に直列に接続された差動入力段トランジスタ511及び512を入力段とするオペアンプから構成され、トランジスタ510は定バイアス電圧VBでバイアスされて定電流動作をする。すなわち、差動増幅器は、一方の入力端子が差分回路の出力と接続され、他方の入力端子が定電位と接続されたオペアンプから構成されている。
【0069】
この積分回路では、信号処理駆動回路304より得られるINTG信号によりトランジスタ509がオン状態となり、かつ、信号処理駆動回路304より得られるDCHGP信号によりトランジスタ508がオン状態となると、容量507のトランジスタ508と接続された端子と反対側の端子に充電された電荷は、差動増幅器の仮想接地動作及び電荷保存則からフィードバック容量513に完全転送される。この動作を繰り返すことにより、フォトダイオード302及び302’間の差分信号を繰り返しフィードバック容量513に蓄積させて積分することが可能となる。そして、フィードバック容量513に蓄積される電荷量に応じて変動する負荷トランジスタ514のソース側電圧が画素信号として出力される。所定の回数の差分及び積分演算を施した後、行走査回路305より発せられる列選択信号RAWSELによってトランジスタ515がオン状態とされる。その結果、画素信号は、列走査回路306に接続された列信号出力線(垂直出力線)516にトランジスタ515を介して出力される。その後、行選択信号COLSELによってトランジスタ520がオン状態とされ、列信号出力線516に出力された画素信号は、画素毎にトランジスタ520を介して順次後段の水平信号出力線521に出力される。
【0070】
図5は、図3及び4の回路構成を有するイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【0071】
一画素分の画素信号の生成、つまりフォトダイオードからの信号の読み出し、差分信号の生成及び差分信号の積分は、一画面分のデータ蓄積時間内に行われる。フォトダイオード302及び302’の信号間の差分及び積分演算が所定の回数施される期間(信号蓄積及び差分積分演算繰り返し期間)の後に、積分された差分信号(画素信号)が画素から読み出される期間(画素信号読出し期間)が設けられる。これによって、差分及び積分演算を行う期間と画素信号を読み出す期間とを重ならせずに2次元画面データを出力させることができる。
【0072】
各演算動作終了後、容量507を初期化するためにDCHGP信号によって容量507の両端がグラウンドにショートされる。また、画素信号読出し期間の後、信号処理駆動回路304より得られるINIT信号によって、フィードバック容量513が初期化される。このような構成とすることによって各画素内で信号の差分及び積分演算を行った後、演算が行われた信号を画素信号とする一画面分のデータを出力させることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るイメージセンサについて図6〜9を参照しながら説明する。
【0074】
図6は、本実施形態に係るイメージセンサにおける画素内の詳細な回路構成を示す図である。なお、図6は図2のフォトダイオード302及び302’で形成される画素内の回路構成を示している。
【0075】
本実施形態のイメージセンサにおいても図2のイメージセンサと同様の偏光フィルターがフォトダイオード対毎に配置されており、信号処理駆動回路304、行走査回路305及び列走査回路306は図3と同様に複数の画素401が2次元状に配置された画素領域の周辺に配置されている。一方、画素内のフォトダイオード対の信号を読み出す読み出し回路並びに差分及び積算演算を行う差分回路及び積分回路が第1の実施形態のイメージセンサとは異なる。
【0076】
フォトダイオード302及び302’が対を形成しており、このフォトダイオード対と接続された読み出し回路によりフォトダイオード対の信号が読み出されて出力される。この読み出し回路は、転送ゲート701及び701’と、フローティング・ディフュージョン・アンプ702と、リセットトランジスタ703と、ソースフォロアアンプ704と、負荷トランジスタ705とから構成される。
【0077】
フォトダイオード対はフローティング・ディフュージョン・アンプ702、及び信号読み出し用のソースフォロアアンプ704を共有している。従って、この読み出し回路では、フォトダイオード302及び302’の信号は時分割によって順次出力される。フォトダイオード対と接続された転送ゲート701及び701’は、信号処理駆動回路304より発せられたTRANP及びTRANS信号により導通状態となる。リセットトランジスタ703は、信号処理駆動回路304からのリセット信号RSCELLにより導通状態となり、フローティング・ディフュージョン・アンプ702をリセットする。フォトダイオード302の信号電荷は、リセットされたフローティング・ディフュージョン・アンプ702に転送され、負荷トランジスタ705と接続されたソースフォロアアンプ704によって電圧信号として読み出し可能状態、すなわち、電圧出力可能状態となる。この電圧出力は、後段の差分及び積分演算を行う差分回路及び積分回路に出力される。この後、もう一方のフォトダイオード302’の信号電荷が同様の動作によって後段の差分及び積分演算を行う差分回路及び積分回路に出力される。
【0078】
本実施形態のイメージセンサにおいては、以上のようにして時系列信号として順次出力される2つのフォトダイオード302及び302’の差分信号を得る差分回路として、直列に接続された2つの容量706及び707への電荷の容量分割を用いる相関二重サンプリング回路が用いられる。この相関二重サンプリング回路は、スイッチトランジスタ708、709及び710と、容量706及び707とから構成される。
【0079】
なお、容量707は、本発明の第4容量の一例である。
スイッチトランジスタ708及び709は、信号処理駆動回路304より得られるクロック信号φ1によって導通状態となる。ソースフォロアアンプ704によって先に出力されるフォトダイオード302の電圧信号は容量706にクランプされる。スイッチトランジスタ708及び710は信号処理駆動回路304より得られるクロック信号φ1'によって導通状態となる。後続してフォトダイオード302’の電圧信号が出力されると、容量707にはフォトダイオード302及び302’の出力信号間の差分に比例する電圧VCDSがサンプルホールドされる。このような直列容量を用いた相関二重サンプリング方式による差分回路はCMOSセンサのノイズキャンセラ回路として従来より応用されている(例えばJ. Hynecek, IEEE Trans. Electron Devices, Vol.37, No.10, pp.2193-pp.2200, (1990).参照)。しかし、これらの応用においては該差分回路がイメージセンサの画素領域の外側に配置されている。具体的には、列信号出力線(垂直信号線)に接続された信号処理回路に配置されている。従って、信号処理回路の後段に設けられた水平信号出力線の配線容量の影響を低減するために、該差分回路自体に用いられる2つの容量の容量値も1pF以上という極めて大きなものにする必要があり、該差分回路はチップ全体の面積においては冗長な領域を占有している。一方、本実施形態のイメージセンサにおいては差分回路が各画素内に配置されるため水平出力回路等による大きな配線容量の影響はなく、差分回路の容量の最大値も0.4pF以下に低減され、上記のようなチップ面積の冗長性は排除される。
【0080】
本実施形態のイメージセンサにおいては、以上のようにして容量707に蓄積された2つのフォトダイオード間の差分信号は、相関二重サンプリング回路後段の積分回路により積分される。この積分回路は、差分信号を積分して積分された差分信号を画素信号として出力する回路であり、スイッチトランジスタ711及び712と、容量713及び717と、トランジスタ714、716、716’、718、718’及び719と、負荷トランジスタ715とから構成される。この積分回路では、容量707の差分信号がトランジスタ714のゲート及びソース間の電圧として入力される。
【0081】
なお、トランジスタ714は本発明の第1トランジスタの一例であり、容量717は本発明の第5容量の一例であり、容量713は本発明の第2容量の一例である。
【0082】
信号処理駆動回路304より得られる別相クロックφ2によってスイッチトランジスタ711及び712をオン状態とすることで、容量707は、定電流負荷を持つ第2のソースフォロアアンプを構成するトランジスタ714のゲート及びソース間に接続される。このとき、トランジスタ714の入力段のゲート及びグラウンド間には容量713が挿入されており、容量713には容量707の信号に比例した信号が蓄積される。ここで、トランジスタ714は一定バイアス電圧VGBでバイアスされた負荷トランジスタ715に直列に接続されており、そのドレイン電流も負荷トランジスタ715のドレイン電流と等しく一定である。従って、該積分回路の出力電圧としては容量713の信号蓄積量に比例した電圧値が得られる。以降この動作を反復することにより、容量713にフォトダイオード302及び302’間の差分信号を蓄積することが可能である。ここで、フォトダイオード302の信号を容量713にクランプするタイミングと同じタイミングで、一定電圧VGB'で充電された容量717がフォトダイオード302の信号が蓄積された容量707と並列に接続される。このとき、一定電圧VGB'はトランジスタ714の閾値電圧より小さい。容量717に充電された電圧によってトランジスタ714が飽和領域で動作するために必要なバイアスをトランジスタ714のゲートに充電し、フォトダイオード302及び302’の差分信号を確実に容量713に充電する。容量707、713及び717の容量値をそれぞれCi、Ca及びCBとし、負荷トランジスタ715のバイアス電圧をVGB、容量717の充電電圧をVGB'、クロックφ2が入力する前後のトランジスタ714の出力信号をそれぞれVon-1、Von、同様に容量707の充電電圧をVi,n-1、さらにトランジスタ714及び負荷トランジスタ715の閾値電圧をVT、各k値をk1、k2とすると、一般解は以下の式(1)で与えられる。
【0083】
【数1】

【0084】
従って、容量717の充電電圧VGB'を以下の式(2)の関係を満たすように設定すれば、負荷トランジスタ715のバイアス電圧VGBに起因する出力のオフセット電圧を正確にキャンセルすることが可能である。
【0085】
【数2】

【0086】
さらに容量707の容量値Ciの値を容量713の容量値Caよりも大きい値とすることで電圧Vin-1の係数Ci/Caが1より大きくなり、差分信号を積分するとともに増幅することも可能である。
【0087】
このようなスイッチトキャパシタとソースフォロアとを用いた積分回路がS. C. Fan, R. Gregorian, G.C. Temes and M. Zomorrdi, Proc. IEEE Int. Symp. Circuits and Systems, pp.334-pp.337, (1980).に報告されている。この積分回路は、図6の積分回路と同様の回路構成を有し、容量707、713及び717の容量値が全て等しい。しかし、スイッチトランジスタ711及び712、並びにトランジスタ718及び718’のドレイン電圧が異なるため、各トランジスタのON抵抗が異なる。従って、クロックφ2入力時にスイッチトランジスタ711及び712、並びにトランジスタ718及び718’が同時にON状態に遷移する際、容量713の端子電圧すなわちトランジスタ714のゲート電圧が不安定状態になり、過剰ノイズが発生する可能性がある。このような課題を解決するために、本実施形態のイメージセンサにおける積分回路では、容量717の充電電圧が積分回路に入力されるタイミングと、差分信号が積分回路に入力されるタイミングとを異ならせることでノイズを低減している。つまり、トランジスタ718及び718’をφ2とは別相のクロックφ2’で駆動し、同一ノードに接続されるトランジスタが同時に遷移するタイミングを回避することでノイズを低減している。
【0088】
なお、容量713の一端は、グラウンドに接続されるとしたが、所定の固定電位に接続されてもよい。この場合には、トランジスタ714のゲートに印加するバイアスを設定することができる。
【0089】
図7は、図6の回路構成を有するイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【0090】
一画素分の画素信号の生成、つまりフォトダイオードからの信号の読み出し、差分信号の生成及び差分信号の積分は、一画面分のデータ蓄積時間内に行われる。フォトダイオード302及び302’の信号間の差分及び積分演算が所定の回数施される期間(信号蓄積及び差分積分演算繰り返し期間)の後に、積分された差分信号(画素信号)が画素から読み出される期間(画素信号読出し期間)が設けられる。これによって、各画素においてRAWSEL信号及びCOLSEL信号が同時に立ち上がるタイミングで差分及び積分演算がされた後の信号(画素データ)を列信号出力線(垂直信号線)720及びトランジスタ520を介して水平信号出力線521に出力させることが可能である。このような構成とすることで、第1の実施形態のイメージセンサと同様に、差分及び積分演算を行う期間と画素信号を読み出す期間とを重ならせずに2次元画面データを出力させることができる。
【0091】
図8は、本実施形態に係るイメージセンサの変形例の画素内の詳細な回路構成を示す図である。
【0092】
このイメージセンサにおいても、容量707に蓄積された2つのフォトダイオード間の差分信号は、相関二重サンプリング回路後段の積分回路により積分される。この積分回路は、差分信号を積分して積分された差分信号を画素信号として出力する回路であり、スイッチトランジスタ711及び712と、容量713と、トランジスタ714及び719と、負荷トランジスタ715とから構成される。
【0093】
このイメージセンサにおいては、図6に示した回路と比較してバイアス入力用の容量717が省略されている。同一ノードに複数のトランジスタが接続される構成を避けることによって、上述のようなトランジスタ714の不安定動作を回避することが可能である。トランジスタ714を駆動するために必要なバイアス電圧は、図8に示した回路では、グラウンドに接地されている容量706の信号入力側とは反対側の端子の電圧として入力することが可能である。容量706及び707の容量値をそれぞれCC及びCSとし、これら直列容量よりなる相関二重サンプリング回路にクロックφ1入力時に容量706の信号入力側端子に電圧値V1の第一の信号(フォトダイオード302の信号)が入力され、容量706の信号入力側とは反対側の端子にスイッチトランジスタ709を介してクランプ電圧Vcが入力されるとする。このとき、クランプ電圧Vcはトランジスタ714の閾値電圧より小さい。スイッチトランジスタ709をオフ状態にした後、第2の信号(フォトダイオード302’の信号)が入力側端子より入力されると、容量706及び707の接続点電圧VCDSは以下の値となる。
【0094】
【数3】

【0095】
従って、(1)式においてVGB’=0、Vi=VCDSとし、VCの値を
【数4】

とすることで、負荷トランジスタ715のバイアス電圧VGBに起因する出力のオフセット電圧を正確にキャンセルするという(2)式による効果をバイアス容量とこれをスイッチングするトランジスタを用いずに実現できるとともに回路の不安定動作を回避することが可能となる。さらに回路素子数も大幅に削減することが可能となり、より小面積のセンサを構成することが可能となる。
【0096】
図9は図8の回路構成を有するイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。なお、信号名の定義は図7と同様である。
【0097】
一画素分の画素信号の生成、つまりフォトダイオードからの信号の読み出し、差分信号の生成及び差分信号の積分は、一画面分のデータ蓄積時間内に行われる。フォトダイオード302及び302’の信号間の差分及び積分演算が所定の回数施される期間(信号蓄積及び差分積分演算繰り返し期間)の後に、積分された差分信号(画素信号)が画素から読み出される期間(画素信号読出し期間)が設けられる。これによって、各画素においてRAWSEL信号及びCOLSEL信号が同時に立ち上がるタイミングで差分及び積分演算がされた後の信号(画素データ)を列信号出力線720及びトランジスタ520を介して水平信号出力線521に出力させることが可能である。このような構成とすることで、第1の実施形態のイメージセンサと同様に、差分及び積分演算を行う期間と画素信号を読み出す期間とを重ならせずに2次元画面データを出力させることができる。また、図8に示した回路は図6に示した回路と比較して、トランジスタバイアス用の容量717をスイッチングするクロックφ2’を省略できる分駆動タイミングにもマージンがある。
【0098】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るイメージセンサについて図10及び11を参照しながら説明する。
【0099】
図10は、本実施形態に係るイメージセンサにおける画素内の詳細な回路構成を示す図である。なお、図10は図2のフォトダイオード302及び302’で形成される画素内の回路構成を示している。
【0100】
本実施形態のイメージセンサにおいても図2のイメージセンサと同様に、偏光フィルターがフォトダイオード対毎に配置されており、信号処理駆動回路304、行走査回路305及び列走査回路306は図3と同様に画素領域の周辺に配置されている。また、画素内のフォトダイオード対の信号を読み出す読み出し回路の構成は第2の実施形態のイメージセンサと同様であり、さらにフォトダイオード間の差分信号を得る差分回路も相関二重サンプリング回路を用いており、第2の実施形態のイメージセンサと同様である。一方、積分演算を行う積分回路は第1及び第2の実施形態のものとは異なる。
【0101】
本実施形態のイメージセンサにおいては、容量707に充電された2つのフォトダイオード間の差分信号は、相関二重サンプリング回路後段の積分回路により積分される。この積分回路は、差分信号を積分して積分された差分信号を画素信号として出力する回路であり、スイッチトランジスタ711と、容量1102と、トランジスタ719及び1101と、負荷トランジスタ1103とから構成される。この積分回路では、差分信号がトランジスタ1101のゲート及びソース間の電圧として入力される。
【0102】
なお、トランジスタ1101は本発明の第2トランジスタの一例であり、容量1102は本発明の第3容量の一例である。
【0103】
このイメージセンサでは、第2の実施形態のイメージセンサと同様の動作により、信号処理駆動回路304より得られる別相クロックφ2によってスイッチトランジスタ711をオン状態とすることで、2つのフォトダイオード間の差分信号が蓄積された容量707が第2のソース接地のトランジスタ1101におけるゲート−グラウンド間に接続される。この時、トランジスタ1101の入力段のゲート及びドレイン間には容量1102が挿入されており、容量707の信号電荷に比例した信号電荷が容量1102に蓄積される。ここで、トランジスタ1101は一定バイアス電圧VGBでバイアスされた負荷トランジスタ1103に直列に接続されている。また、増幅動作に必要なバイアス電圧は図8のイメージセンサと同様に、相関二重サンプリング回路のスイッチングトランジスタ709を介して容量706の信号入力側と反対側の端子からクランプ電圧Vcとして入力される。このとき、クランプ電圧Vcはトランジスタ1101の閾値電圧以上である。トランジスタ1101のドレイン電流は負荷トランジスタ1103のドレイン電流と等しく一定である。従って、積分回路の出力電圧としては容量1102の充電量に比例した電圧値が得られる。以降この動作を反復することにより、容量1102にフォトダイオード302及び302’間の差分信号を蓄積することが可能である。
【0104】
なお、前述したように、容量707の容量値の値を容量1102の容量値よりも大きい値とすることで差分信号を積分するとともに増幅することも可能である。
【0105】
図11は図10の回路構成を有するイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。なお、このタイミングチャートは図9とほぼ同様である。しかし、出力がトランジスタ714でなくトランジスタ1101からされる点が異なる。また、図9では出力電圧の位相がソースフォロアの入力電圧と同相であるのに対し、図11ではソース接地増幅回路で逆相出力(入力の増加に対して信号電圧が減少する)となる点が異なる。
【0106】
一画素分の画素信号の生成、つまりフォトダイオードからの信号の読み出し、差分信号の生成及び差分信号の積分は、一画面分のデータ蓄積時間内に行われる。フォトダイオード302及び302’の信号間の差分及び積分演算が所定の回数施される期間(信号蓄積及び差分積分演算繰り返し期間)の後に、積分された差分信号(画素信号)が画素から読み出される期間(画素信号読出し期間)が設けられる。このとき、行走査回路305より得られるRAWSEL信号及びCOLSEL信号が同時にオン状態となったタイミングで、トランジスタ1101のドレインから取り出される出力電圧が列信号出力線720及びトランジスタ520を介して一画素分の画素信号として水平信号出力線521に出力される。画素信号読出し期間を差分及び積分演算が施された後に行毎に設定することで一画面分のデータの取得を一画面分の信号出力動作と並行して行うことが可能となる。
【0107】
(第4の実施形態)
図12は第1〜3の実施形態に示したイメージセンサを用いたTHz電磁波イメージング装置の構成例を模式的に示したものである。
【0108】
この装置は、超短パルス光源1301、偏光ビームスプリッター1302、光学遅延線1305、THz電磁波エミッター1306、ポリエチレンレンズ1309、プローブ光進路変更用ミラー1310、ビームエクスパンダー1311、シリコンミラー1312、電界変調器1313、1/4波長板1314、イメージセンサ1315及び画像再生装置1316から構成される。
【0109】
なお、超短パルス光源1301は本発明の光源の一例であり、THz電磁波エミッター1306は電磁波源の一例である。また、ポリエチレンレンズ1309、プローブ光進路変更用ミラー1310、ビームエクスパンダー1311及びシリコンミラー1312は本発明の重畳光学素子の一例であり、電界変調器1313は電気光学変調素子の一例である。
【0110】
この装置では、超短パルス光源1301より、パルス幅100fsの超短パルス光が1kHzの周波数で発生され、偏光ビームスプリッター1302によりP偏光はポンプ光1303として分離され、S偏光はプローブ光1304として分離される。
【0111】
ポンプ光1303は光学遅延線1305を経て、半絶縁性GaAsウエハー上に間隔10mmをおいて形成された電極対を有する光伝導スイッチによって構成されたTHz電磁波エミッター1306に入射され、THz電磁波1307が発生される。このようにして発生されたTHz電磁波1307は極めてコリメート性の高いビームであり、THz電磁波1307の進行方向に垂直な面において2次元的な透過分布を有する被測定物1308に照射される。
【0112】
被測定物1308を通過したTHz電磁波1307は被測定物1308の2次元透過特性に伴い、空間的に強度変調されたビームとなる。これをポリエチレンレンズ1309によって、後段のZnTe結晶よりなる電界変調器1313内に結像する。
【0113】
プローブ光1304はプローブ光進路変更用ミラー1310で進路変更され、さらにビームエクスパンダー1311によってビーム幅が広げられた後、シリコンウエハーで構成されたシリコンミラー1312に入射し、シリコンミラー1312を透過した強度変調されたTHz電磁波1307と光軸を共有する。言い換えれば、重畳される。
【0114】
重畳されたプローブ光1304とTHz電磁波1307は、[110]面が光軸に垂直に配置されたZnTe結晶よりなる電界変調器1313に入射する。
【0115】
電界変調器1313の後段には、1/4波長板1314、及び第1〜3の実施形態で説明したイメージセンサ1315がこの順に配置される。
【0116】
1/4波長板1314は、THz電磁波1307がプローブ光1304の各パルスと同時に電界変調器1313に入射しない場合、すなわちTHz電磁波パルスとプローブパルスとが非同期の場合には、プローブ光1304を完全な円偏光状態に設定する。この時、イメージセンサ1315には円偏光が入射するため、P偏光成分及びS偏光成分は等しく、従って、イメージセンサ1315によりプローブ光1304を撮像する際には、イメージセンサ1315内部の各画素のフォトダイオード対には等量の電流が発生し、フローティング・ディフュージョン・アンプには信号電荷は蓄積されない。
【0117】
一方、電界変調器1313にTHz電磁波パルスとプローブ光パルスとが同時に入射する、すなわち両パルス間の同期が取れている場合には、プローブ光はその特定の物理量がTHz電磁波の電界に応じて変調を受け、電界変調器1313を透過後のプローブ光の偏光状態はTHz電磁波1307と非同期の場合に比べて、偏光軸が回転し、さらに、楕円偏光となる。従って、1/4波長板1314透過後の偏光状態も完全な円偏光とはならず、楕円偏光となる。その結果、イメージセンサ1315によりプローブ光1304を撮像する際には、イメージセンサ1315内部の各画素のフォトダイオード対に入射する光強度も異なり、異なった量の電流が発生するため、フローティング・ディフュージョン・アンプには信号電荷が蓄積され、信号電圧すなわちTHz電磁波検出信号が出力される。
【0118】
以上の原理で検出されたTHz電磁波検出信号(2次元信号)は画像再生装置1316によって出力される。従って、高いS/N比を有する被測定物のTHz電磁波イメージングを高速に行うことができる。
【0119】
また、本実施形態のイメージセンサでは超短パルス光源1301のパルス繰り返し周期と同期した同期信号1317が直接イメージセンサ1315の信号処理駆動回路に入力され、リセット信号のベースクロックとされる。このような同期をかけることによって、パルスに同期した撮像をイメージセンサ1315に行わせることができ、レーザー光パルスが被測定物1308に入射する期間だけイメージセンサ1315に受光動作を行わせ、S/N比を向上させることが可能となる。また、パルスの回数だけイメージセンサ1315に差分信号の積分動作を行わせることが可能となる。
【0120】
以上、本発明のイメージセンサ及び電磁波イメージング装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0121】
例えば、上記実施形態のTHz電磁波イメージング装置では超短パルス光源のパルス繰り返し周期とイメージセンサの信号処理駆動回路との同期を取った。しかし、図13に示すように光源としてCWレーザー光源1401を用い、さらにチョッパー1402を設けて図12と同様の原理でTHz電磁波イメージングを行うことも可能である。すなわち、ポンプ光1303をチョッパー1402で間欠的にチョッピングし、このチョッピングの周期信号をイメージセンサの信号処理駆動回路の周期信号と同期をとることも可能である。
【0122】
また、本実施形態のイメージセンサでは、偏光特性を変調する電界変調器1313が用いられ、各フォトダイオード対上には透過する偏光角が最大となる角度が異なる透過特性を有する偏光フィルター、つまり異なる偏光透過特性を有する偏光フィルターが配置されるとした。しかし、THz電磁波が入射することによって透過波長特性が変化する電界変調器が電界変調器1313の代わりに用いられ、イメージセンサ1315のフォトダイオード対上に透過波長帯域の異なる波長フィルター、つまり異なる波長透過特性を有する波長フィルターが配置されても同等の効果を得ることが可能である。
【0123】
この場合、透過波長特性を変調する電界変調器は、アルミニウムガリウム砒素とガリウム砒素薄膜とを交互に積層した超格子によって構成することができる。また、フォトダイオード対上に配置される波長フィルターとしては、フィルター最大透過率が0.6、半値幅が20nmのものが用いられる。このような波長フィルターは、例えば、E. Hecht, “Optics”, 4th ed., p.425-p.430, Addison Wesley, San Francisco (2002).に示されるように、多層誘電体薄膜を用いた干渉フィルターをフォトリソグラフィーによって各々のフォトダイオードに別々に作製することで形成できる。
【0124】
例えば、図14(a)及び図14(b)に示されるような透過波長特性を持つ2つの波長フィルターが、フォトダイオード対のそれぞれの上に配置される。この波長フィルターを用いたイメージセンサに波長800nmの光を入射すると、両波長フィルターの透過波長特性は透過ピークを中心に対称であるので、透過光量は等しく、フォトダイオード302及び302’に発生する光電流も等しい。従って、フローティング・ディフュージョン・アンプには正味の信号電荷は蓄積されず、信号出力は発生しない。一方、入射光の波長が例えば低波長側に5nmシフトした場合には、フォトダイオード302上の波長フィルターを透過する光量が増加し、フォトダイオード302’上の波長フィルターを透過する光量が減少し、これに従ってフォトダイオード302及び302’に発生する電流が各々増減する。従って、この発生する電流の差分に相当する信号電荷がフローティング・ディフュージョン・アンプに正味の信号電荷として蓄積され、信号出力を得ることが可能となる。
【0125】
その結果、このイメージセンサは入射光の中心波長が定まっており、時間とともに該入射光の中心波長が外乱または別入力信号によってシフトされる場合の波長シフトモニターとして利作用可能である。
【0126】
また、上記実施の形態に係るイメージセンサにおいて、画素毎に積分回路が設けられるとした。しかし、各画素に設けられた2つのフォトダイオード間の差分信号が検出可能な程度に十分な大きさのものであれば積分回路は特に画素毎に設けられなくてもよく、各画素は、図15に示されるような回路構成を有してもよい。すなわち、各画素は、近接する一対のフォトダイオード101及び101’と、読み出し回路102及び102’と、信号出力回路103及び103’と、信号処理回路104とを備える回路構成を有してもよい。同回路では、フォトダイオード101及び101’に蓄積された信号電荷が各々読み出し回路102及び102’によって後段の信号出力回路103及び103’に転送される。そして、各フォトダイオード101及び101’からの信号出力は後段の差分回路よりなる信号処理回路104に入力される。
【0127】
また、上記実施の形態に係るイメージセンサにおいて、1つの画素には2つのフォトダイオードが含まれるとしたが、これに限られず、3以上の複数のフォトダイオードが含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、イメージセンサ及び電磁波イメージング装置に利用可能であり、特にセキュリティ検査装置、食品検査装置、大気センサ、医療診断装置などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るイメージセンサの動作原理を示す回路図である。
【図2】同実施形態に係るイメージセンサの全体構成を示す図である。
【図3】同実施形態に係るイメージセンサの回路構成を示す図である。
【図4】同実施形態に係るイメージセンサの画素内の詳細な回路構成を示す図である。
【図5】同実施形態に係るイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るイメージセンサの画素内の詳細な回路構成を示す図である。
【図7】同実施形態に係るイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図8】同実施形態に係るイメージセンサの変形例の画素内の詳細な回路構成を示す図である。
【図9】同実施形態に係るイメージセンサの変形例の動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るイメージセンサの画素内の詳細な回路構成を示す図である。
【図11】同実施形態に係るイメージセンサの動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係るTHz電磁波イメージング装置の構成を模式的に示す図である。
【図13】同実施形態に係るTHz電磁波イメージング装置の変形例の構成を模式的に示す図である。
【図14】本発明のイメージセンサの変形例に用いられる波長フィルターの透過波長特性を示す図である。
【図15】本発明のイメージセンサの変形例の動作原理を示す回路図である。
【図16】従来のTHz電磁波イメージング装置の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0130】
101、101’、302、302' フォトダイオード
102、102’ 読み出し回路
103、103’ 信号出力回路
104 信号処理回路
204 差分回路
205 積分回路
301 Si基板
303、303' 偏光フィルター
304 信号処理駆動回路
305 行走査回路
306 列走査回路
401 画素
501、501’、701、701’ 転送ゲート
502、502’、702 フローティング・ディフュージョン・アンプ
503、503’、703 リセットトランジスタ
504、504’、704 ソースフォロアアンプ
505、505’、514、705、715、1103 負荷トランジスタ
506、506’、508、508’、509、510、515、520、714、716、716’、718、718’、719、1101 トランジスタ
507、706、707、713、717、1102 容量
511、512 差動入力段トランジスタ
513 フィードバック容量
516、720 列信号出力線
521 水平信号出力線
708、709、710、711、712 スイッチトランジスタ
1301、1601 超短パルス光源
1302、1602 偏光ビームスプリッター
1303、1603 ポンプ光
1304、1604 プローブ光
1305、1605 光学遅延線
1306、1606 THz電磁波エミッター
1307、1607 THz電磁波
1308、1608 被測定物
1309、1609 ポリエチレンレンズ
1310、1610 プローブ光進路変更用ミラー
1311、1611 ビームエクスパンダー
1312、1612 シリコンミラー
1313、1613 電界変調器
1314 1/4波長板
1315 イメージセンサ
1316 画像再生装置
1317 同期信号
1401 CWレーザー光源
1402 チョッパー
1614 位相板
1615 偏光板
1616 CMOSイメージセンサ
1617 同期回路
1618 画像処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配置された複数の画素部を備えるイメージセンサであって、
前記画素部は、
第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードと、
前記第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードと接続され、前記第1フォトダイオードで発生した信号及び第2フォトダイオードで発生した信号を読み出して出力する読み出し回路と、
前記読み出し回路と接続され、前記第1フォトダイオードから読み出された信号と、前記第2フォトダイオードから読み出された信号との差分に対応する差分信号を出力する差分回路とを備える
ことを特徴とするイメージセンサ。
【請求項2】
前記画素部は、さらに、前記差分信号を積分し、前記積分された差分信号を画素信号として出力する積分回路を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記積分回路は、一方の入力端子が前記差分回路の出力と接続され、他方の入力端子が定電位と接続されたオペアンプと、前記オペアンプの一方の入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に挿入されたフィードバック容量とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記読み出し回路は、前記第1フォトダイオードで発生した信号及び前記第2フォトダイオードで発生した信号を同時に出力し、
前記差分回路は、一方の端子が前記第1フォトダイオードと接続され、他方の端子が前記第2フォトダイオードと接続された第1容量から構成される
ことを特徴とする請求項3に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記積分回路は、定電流負荷を持つソースフォロア回路を構成する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのゲートと定電位との間に挿入された第2容量とを有し、
前記積分回路では、前記差分信号が前記第1トランジスタのゲート及びソース間の電圧として入力される
ことを特徴とする請求項2に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
前記積分回路は、ソースが接地された第2トランジスタと、前記第2トランジスタのゲート及びドレイン間に挿入された第3容量とを有し、
前記積分回路では、前記差分信号が前記第2トランジスタのゲート及びソース間の電圧として入力される
ことを特徴とする請求項2に記載のイメージセンサ。
【請求項7】
前記読み出し回路は、前記第1フォトダイオードで発生した信号及び前記第2フォトダイオードで発生した信号を順次出力し、
前記差分回路は、前記読み出し回路から順次出力された信号の差分に対応する差分信号を蓄積する第4容量を持つ相関二重サンプリング回路から構成される
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のイメージセンサ。
【請求項8】
前記第4容量の容量値は、前記第2容量又は第3容量の容量値よりも大きい
ことを特徴とする請求項7に記載のイメージセンサ。
【請求項9】
前記積分回路は、さらに、前記第4容量と並列に接続され、所定の電圧に充電された第5容量を有する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のイメージセンサ。
【請求項10】
前記相関二重サンプリング回路のクランプ電圧は、前記第1トランジスタ又は第2トランジスタの閾値電圧より小さい
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のイメージセンサ。
【請求項11】
前記画素信号の生成は、一画面分のデータ蓄積時間内に行われる
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のイメージセンサ。
【請求項12】
前記イメージセンサは、さらに、前記第1フォトダイオードの上に配置された第1偏光フィルターと、前記第2フォトダイオードの上に配置された第2偏光フィルターとを備え、
前記第1偏光フィルター及び前記第2偏光フィルターは、異なる偏光透過特性を有する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のイメージセンサ。
【請求項13】
前記イメージセンサは、さらに、前記第1フォトダイオードの上に配置された第1波長フィルターと、前記第2フォトダイオードの上に配置された第2波長フィルターとを備え、
前記第1波長フィルター及び前記第2波長フィルターは、異なる波長透過特性を有する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のイメージセンサ。
【請求項14】
電磁波を発生する電磁波源と、
プローブ光を発生する光源と、
被写体を透過又は反射した後の前記電磁波を前記プローブ光と重畳する重畳光学素子と、
前記重畳された電磁波とプローブ光とが入射され、前記電磁波の電界に応じて前記プローブ光の特定の物理量を変調する電気光学変調素子と、
前記変調後のプローブ光を撮像する請求項1〜13のいずれか1項に記載のイメージセンサとを備える
ことを特徴とする電磁波イメージング装置。
【請求項15】
前記光源は、パルス状のプローブ光を発生し、
前記イメージセンサは、前記パルスに同期して前記撮像を行う
ことを特徴とする請求項14に記載の電磁波イメージング装置。
【請求項16】
請求項9に記載のイメージセンサの駆動方法であって、
前記第5容量の所定の電圧を前記積分回路に入力する電位入力ステップと、
前記電位入力ステップの後に、差分信号を前記積分回路に入力する信号入力ステップとを含む
ことを特徴とするイメージセンサの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−55479(P2009−55479A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221771(P2007−221771)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】