説明

イメージングユニットおよび画像形成装置

【課題】簡単な構成で感光体への中間転写ベルトの巻付け量を確保することができるイメージングユニットを提供する。
【解決手段】感光体フレーム14と中間転写フレーム18とを一体に構成し、感光体フレーム18に、中間転写ベルト8の内側に当接し、感光体5に対向する1次転写ローラ7を設ける。1次転写ローラ7を、感光体5に対して中間転写ベルト8の進行方向上流側の中間転写ベルト8と感光体5との接点よりも中間転写ベルト8の進行方向下流側に配置し、1次転写ローラ7により中間転写ベルト8を感光体5側に押し付けて中間転写ベルト8を部分的に感光体5に巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージングユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、静電潜像が形成される感光体を含むユニット、感光体に現像剤を供給してトナー画像を現像するユニット、および、感光体からトナー画像が転写される中間転写ベルトを張架した状態に保持するユニット、中間転写ベルトから記録紙にトナー画像を2次転写するユニット、記録紙を加熱してトナー画像を定着させるユニット等を、それぞれ、着脱可能に保持し、画像形成装置をユニット毎に交換やメンテナンスできるようにしたものが多い。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体から中間転写ベルトにトナー像が確実に安定して転写されるように、中間転写ベルトは感光体にある程度巻き付けて圧接する必要がある。このために、従来の画像形成装置では、特許文献1に示すように、1次転写ローラの前後に中間転写ベルトを感光体に押し付けるローラを設けている。また、特許文献2や特許文献3では、中間転写ベルトの内側に接触する2つの転写ローラ間に張架された中間転写ベルトを感光体に接触させている。
【0004】
しかし、前記従来の画像形成装置では、中間転写ベルトを感光体に部分的に巻き付けるのに2つのローラが必要であり、構造が複雑になり、圧接力や接触範囲の調整が困難であるという問題があった。
【0005】
近年、画像形成装置の小型化に伴い、各ユニットを構成する部品点数を削減する一方で、機能と強度を確保する必要が生じている。
【特許文献1】特開2006−18021号公報
【特許文献2】特開2000−356885号公報
【特許文献3】特開2001−350392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、簡単な構成で感光体への中間転写ベルトの巻付け量を確保することができるイメージングユニットおよび画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、第1の手段によるイメージングユニットは、
表面に画像が形成される感光体を回転可能に保持する感光体フレームと、
前記感光体から画像が転写される中間転写ベルトを張架する少なくとも2つの張架ローラを回転可能に保持する中間転写フレームとを一体に構成し、
前記感光体フレームに、前記中間転写ベルトの内側に当接し、前記感光体に対向する1次転写ローラを設け、
前記1次転写ローラを、前記感光体に対して前記中間転写ベルトの進行方向上流側の前記中間転写ベルトと前記感光体との接点よりも前記中間転写ベルトの進行方向下流側に配置し、前記1次転写ローラにより前記中間転写ベルトを前記感光体側に押し付けて前記中間転写ベルトを部分的に感光体に巻き付けたものである。
【0008】
第2の手段では、前記中間転写フレームを、前記感光体フレームと互いに揺動可能に接続した。
【0009】
具体的には、前記感光体フレームと前記中間転写フレームの少なくともいずれかに長穴を設け、他方に前記長穴に嵌入する突起を設ける。また、前記長穴は、前記中間転写フレームの前記2つの張架ローラのいずれかの軸を中心とする円弧上にする。
【発明の効果】
【0010】
第1の手段からなる発明によれば、1つの感光体フレームに感光体と1次転写ローラを配置できるため、両者間の距離の精度の確保が容易になる。中間転写ベルトと感光体との接点よりも下流側に1つの1次転写ローラを配置しただけの構成であるため、構成が簡単である。中間転写ベルトを感光体に巻き付けるために2つのローラを設けた従来のイメージングユニットよりも、部品点数が減少し、装置が小型化する。また、1つの1次転写ローラを感光体側に押し付けるだけで、中間転写ベルトの巻付け量を確保することができる。転写電流を印加する1次転写ローラから巻付け部までの距離の精度を確保できるため、転写領域が安定し、良好な転写性を維持することができる。
【0011】
第2の手段からなる発明によれば、中間転写フレームと感光体フレームが一体に構成され、しかも中間転写フレームと感光体フレームが互いに揺動可能であるので、装着時には感光体フレームと中間転写フレームを独立して本体に固定することができ、イメージングユニットを安定した状態に確実に装着することができ、また離脱時には中間転写フレームが感光体フレームに対して移動可能な状態になり、スムーズに取り出すことができることになり、イメージングユニットの着脱時の操作性が向上する。さらに、感光体フレーム14と中間転写フレーム8がそれぞれ個別に固定できるので、ユニット全体のねじれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
これより、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の1つの実施形態の画像形成装置1を示す。画像形成装置1は、本体2の内部に、それぞれ、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナーを供給する現像器3を環状に保持する現像ロータリユニット4と、表面に静電潜像を形成できる回転可能な感光体5、感光体5を帯電させる帯電器6、1次転写ローラ7および1次転写ローラ7によって感光体5に形成した画像が転写される中間転写ベルト8を保持するイメージングユニット9と、感光体5を露光する露光ユニット10と、2転写ローラ11と、定着ユニット12と、給紙ユニット13とを備える。
【0013】
イメージングユニット9は、感光体5、帯電器6および1次転写ローラ7を保持する感光体フレーム14と、中間転写ベルト8を張架した張架ローラ15,16およびテンションローラ17を保持する中間転写フレーム18とからなる。感光体5は、中間転写ベルト8の外側に位置し、1次転写ローラ7は、中間転写ベルト8の内側に当接し、中間転写ベルト8を介して感光体5と1次転写ローラ7とが対向するように保持されている。このように、同一の1つの感光体フレーム14に1次転写ローラ7と感光体5が設けられているため、両者間の距離の精度を容易に確保することができる。
【0014】
また、イメージングユニット9は、本体2の蓋19を開放して画像形成装置1に着脱できるようになっており、装着状態で、張架ローラ15が中間転写ベルト8を介して2転写ローラ11に圧接されるようになっている。
【0015】
図2に詳しく示すように、中間転写フレーム18は、長穴20,21が形成されている。長穴20には、感光体フレーム14から突出した感光体5の回転軸の端部である揺動ボス22が係合し、長穴21には、感光体フレーム14に突設した揺動ボス23が係合している。感光体フレーム14と中間転写フレーム18とは、長穴20,21に沿って揺動ボス22,23が移動可能な範囲で、互いに揺動することができる。このため、後述するように、イメージングユニットの着脱時の操作性が向上する。また、感光体フレーム14と中間転写フレーム8が揺動できない構造であれば、ユニットを保持(位置決め)する点が多くなり、着脱時にどこかに集中的に負荷がかかり、ユニット全体が歪み、中間転写ベルト8がねじれて蛇行する問題があるが、本実施例では、感光体フレーム14と中間転写フレーム8が揺動可能であり、それぞれ個別に固定できるので、ユニット全体のねじれを防止することができる。
【0016】
感光体フレーム14と中間転写フレーム18との揺動範囲において、1次転写ローラ7は、張架ローラ15,16の間に完全に入り込むことなく、中間転写ベルト8を張架ローラ15,16の接線の外側に引き出すように位置する。
【0017】
また、感光体フレーム14には、回転止めボス24が突設されており、中間転写フレーム18は、張架ローラ15,16の回転軸が突出してなる回転止めボス25および位置決めボス26を有する。
【0018】
1次転写ローラ7は、感光体5に対して片側、すなわち、中間転写ベルト8の進行方向aの下流側のみに設けられている。1次転写ローラ以外に感光体に当接する部材は存在しない。具体的には、図3に示すように、感光体5に対して中間転写ベルト8の進行方向aの上流側の中間転写ベルト8と感光体5との接点Sよりも中間転写ベルト8の進行方向aの下流側に配置されている。そして、1次転写ローラ7は、中間転写ベルト8を感光体5側に押し付けて中間転写ベルト8を部分的に感光体5に巻き付けて、所定の範囲の巻付け部8aを設けている。巻付け部8aの弧長は0.56〜1.17mmの範囲が好ましく、実施例では弧長約0.94mm(角度約3.59°)とした。
【0019】
このように、中間転写ベルト8と感光体5との接点Sよりも下流側に1つの1次転写ローラ7を配置しただけの構成であるため、構成が簡単であり、部品点数が減少し、装置が小型化する。また、1つの1次転写ローラ7を感光体5側に押し付けるだけで、中間転写ベルト8の巻付け量を確保することができる。転写電流を印加する1次転写ローラ8からかん巻付け部8aまでの距離の精度を確保できるため、転写領域が安定し、良好な転写性を維持することができる。
【0020】
また、1次転写ローラ7は、図4に示すように、該一次転写ローラ7の少なくとも一端の軸部7aに断面D字形の固定部7bが設けられ、該固定部7bを感光体フレーム14の軸孔14aに係合させ、Eリング7cで抜け止めすることで回転不能に固定されている。この1次転写ローラ7の固定構造は非常に簡素であり、特別な固定装置が不要で、部品点数を増加させることなく、組立性が向上する。
【0021】
1次転写ローラ7は、回転不能に固定されているので、1次転写ローラ7の部品精度による偏心があっても、転写部への影響がない。また、1次転写ローラ7の負荷トルクや電気抵抗が安定し、色ずれや像ひずみが解消され、転写性が安定する。また、1次転写部を板金で形成するよりも曲率のあるローラで形成しているので、1次転写ローラ7が圧接する中間転写ベルト8のクリープ現象を抑えることができる。1次転写ローラ7の径を大きくすることで、中間転写ベルト8に集中する負荷を分散し、変形しにくくすることができる。
【0022】
次に、前記構成からなるイメージングユニット9の装着時の動作を説明する。蓋19を開放してイメージングユニット9を本体2に挿入すると、位置決めボス26は、本体2に形成された位置決めブシュ27に受け入れられ、本体2にばね付勢して設けられた押さえレバー28によって正確に位置決めされる。また、同様に本体2にばね付勢して設けられた押さえレバー29が揺動ボス22を押下してイメージングユニット9を位置決めボス26を中心に回動させるが、感光体フレーム14の位置決めボス24が、本体2に形成された規制部30に当接して感光体フレーム14の揺動を規制する。
【0023】
中間転写フレーム18の張架ローラ15,16に掛け渡された中間転写ベルト8は、テンションローラ17によって張力が付与されているので、張架ローラ15,16間で真っ直ぐに伸びようとして内側に配置された1次転写ローラ7を引き込もうとする。1次転写ローラ7を保持する感光体フレーム14は、押さえレバー29に押下されて位置決めされているので、中間転写ベルト8の張力は、中間転写フレーム18を、位置決めボス26を中心にして感光体5に向かって回動させることになる。すると、回転止めボス25が本体2に設けた規制部31に当接して、中間転写フレーム18の位置および姿勢が決定される。
【0024】
このように、本発明では、中間転写ベルト8の張力によって感光体フレーム14と中間転写フレーム18とが互いに引き寄せ合うように揺動するので、感光体5の回転軸である揺動ボス22を本体2の内部に押し込むようにして位置決めすることで、中間転写フレーム18にも本体2の内部に引き込む力が作用し、中間転写フレーム18を位置決めできる。
【0025】
最後に、蓋19を閉じることで、本体2に設けた図示しない突片が本体2に設けたレバー32を押圧し、該レバー32が位置決めボス25に係合して、中間転写フレーム18が固定される。
【0026】
また、本発明では、感光体5と1次転写ローラ7とを同じ感光体フレーム14に保持しているので、感光体5と1次転写ローラ7との圧接力が中間転写フレーム18を押し出す方向に作用しないので、イメージングユニット9を大きな力で押さえ込む必要がない。このため、本体2に設ける押さえレバー28,29にかかる負荷が小さい。よって、画像形成装置1の本体2や蓋19に強度が要求されず、安価な構造とすることができる。
【0027】
また、本発明のイメージングユニット9は、中間転写フレーム18に長穴20,21を形成し、感光体フレーム14に長穴20,21に係合する揺動ボス22,23を突設しただけの簡素な接続構造である。このため、イメージングユニット9自体も安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1つの実施形態の画像形成装置の概略図。
【図2】図1のイメージングユニットの拡大図。
【図3】感光体と1次転写ローラの位置関係を示す側面図。
【図4】1次転写ローラの固定構造を示す図3のIV−IV線断面図。
【符号の説明】
【0029】
1 画像形成装置
5 感光体
7 1次転写ローラ
8 中間転写ベルト
8a 巻付け部
9 イメージングユニット
14 感光体フレーム
15,16 張架ローラ
18 中間転写フレーム
20 長穴
21 長穴
22 揺動ボス
23 揺動ボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像が形成される感光体を回転可能に保持する感光体フレームと、
前記感光体から画像が転写される中間転写ベルトを張架する少なくとも2つの張架ローラを回転可能に保持する中間転写フレームとを一体に構成し、
前記感光体フレームに、前記中間転写ベルトの内側に当接し、前記感光体に対向する1次転写ローラを設け、
前記1次転写ローラを、前記感光体に対して前記中間転写ベルトの進行方向上流側の前記中間転写ベルトと前記感光体との接点よりも前記中間転写ベルトの進行方向下流側に配置し、前記1次転写ローラにより前記中間転写ベルトを前記感光体側に押し付けて前記中間転写ベルトを部分的に感光体に巻き付けたことを特徴とするイメージングユニット。
【請求項2】
前記中間転写フレームを、前記感光体フレームと互いに揺動可能に接続したことを特徴とする請求項1に記載のイメージングユニット。
【請求項3】
前記感光体フレームと前記中間転写フレームの少なくともいずれかに長穴を設け、他方に前記長穴に嵌入する突起を設けたことを特徴とする請求項2に記載のイメージングユニット。
【請求項4】
前記長穴は、前記中間転写フレームの前記2つの張架ローラのいずれかの軸を中心とする円弧上にあることを特徴とする請求項3に記載のイメージングユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のイメージングユニットを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−91945(P2010−91945A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264076(P2008−264076)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】