説明

イメージ内のウィルス顆粒を集計及び区分する方法

イメージ内のウィルス顆粒の細胞内の集計及び区分をする方法である。イメージは、その中に多数の対象物を有するものを提供する。ウィルス顆粒の半径範囲を特定する。所定の半径範囲内にある半径を有する、イメージ内の円形のアイテムを同定する。所定の半径範囲から形成し得る楕円形のアイテムが同定される。同定された円形及び楕円形のアイテムをグループに振り分ける。円形及び楕円形のアイテムにおけるウィルス顆粒が同定される。例えば、かかる方法は、TEMイメージ内における、siRNA処理を施した人間のサイトメガロウィルス顆粒の細胞内における集計及び区分に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子顕微鏡イメージ等のイメージとして表されたウィルス顆粒等の対象物の集計、区分及び同定に関するものである。
【0002】
これまで、ウィルス及びその他の成分を含んだ細胞の構造を分類し分析するために多くの努力が払われてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
利用可能なイメージ技術を用いて、ウィルスを描写、区分及び分類するための多様なイメージ分析方法が開発されてきた。例えば、低温電子顕微鏡観察が用いられてきたが、細胞の構造及びウィルス顆粒を充分に示すものではなかった。また、細胞成分を、対象物として、再現性を有し、信頼性を有するように表し、細胞成分の成熟ステージを正確に同定することは困難であった。
【0004】
とりわけ、ウィルス集合は複雑な過程であり、徹底した研究の課題となっている。ウィルスは宿主細胞を利用して、成熟及び細胞内輸送の複雑な過程を経て、その子孫であるウィルス顆粒を生産する。電子顕微鏡(EM)を用いて、この過程を高倍率にてモニタリングし、異なる細胞内区分にて、異なる型のウィルス顆粒を同定することが可能となっている。未だ、未解決である重要な問題は、それらウィルス集合過程の夫々のステップ、並びに、ウィルスの成熟過程における異なる型のウィルス顆粒の細胞内輸送及び局在に関するウィルスタンパク質を識別することにある。トモグラフィーや低温EMなどの可視化技術がウィルス構造の利用可能な情報の提供に貢献してきたが、一般に、ウィルス成熟を構造的な観点から取り扱うことは困難である。これら技術は、安定的で成熟したウィルス顆粒の情報を提供するものである。また、鍵となるウィルスタンパク質成分の変異体を生産するために遺伝的手段が利用可能である。EMは、構造に与える影響を可視化するために使用することができる。しかし、構造的な影響、特には、中間的で不明瞭な顆粒の形態を特徴付け、それらを客観的な方法により適切に定量化するための適切な手段が未だに無い。
【0005】
このことは、過去の分析方法が充分に効果を奏するものではなく、細胞及びウィルス顆粒の構造をより効果的な方法の需要があることの理由付けを部分的に説明するものである。また、異なるウィルス集合の客観性のある研究を促進すべく、ウィルス顆粒の成熟及び細胞内輸送を特徴付けて定量化する、イメージ分析手段の需要もある。更に、イメージ内に示されたウィルス顆粒を同定し、定量化する効果的な方法の需要もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の方法は、上記に概略を説明した問題の解決策を提供するものである。かかる方法は、電子顕微鏡イメージなどのイメージ内にあるウィルス顆粒の細胞内集計及び区分に用いることができる。提供されるイメージは、多数の対象物/アイテムを含むものである。イメージ内の全ての円形及び楕円形の対象物が同定される。そして、円形及び楕円形の対象物は、グループに振り分けられる。円形のウィルス顆粒の半径密度プロファイルが特定される。また、円形のウィルス顆粒の半径密度プロファイルから得られる楕円形のアイテムについても特定される。ウィルス顆粒は、選択されたグループの対象物の半径密度プロファイルを分析することにより、振り分けられた円形及び楕円形の対象物のグループから特定される。かかる方法は、TEMイメージ内における、siRNA処理を施した、人間のサイトメガロウィルス顆粒の細胞内における集計及び区分に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】Aは、回転不変量イメージを示した例の概略図であり、Bは、角度不変量イメージを示した例の概略図である。
【図2】5セットのイメージの濃度測定の図である。
【図3】LVS内に配置された全てのイメージのセットの半径密度プロファイルの概略図である。
【図4】標準偏差を平均の周囲にて点線にて示した、サブセットAに関する平均半径プロファイルの概略図である。
【図5】標準偏差を平均の周囲にて点線にて示した、サブセットBに関する平均半径プロファイルの概略図である。
【図6】半径30〜40nm間を示した図5の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)のイメージに表示された対象物などといった、イメージ内の顆粒/対象物を調査、区分け及び同定することに使用し得る。イメージ内にて同定された対象物は、円形又は楕円形を有するウィルス顆粒及びその他の顆粒に関するものである。楕円形は、完全な円形が1つの半径を有するのに対し、最大半径及び最小半径を有するものとして定義される。好適には、該方法は、分析対象のウィルス顆粒の半径範囲から、如何なる楕円形状のアイテムが形成され得るかを特定するものである。例えば、ウィルス顆粒が100ユニットの半径を有する場合、楕円形の最大半径及び最小半径は、例えば、ウィルス顆粒が円形のときのウィルス顆粒の半径よりも、20%大きく(すなわち120ユニット)、また、20%小さい(すなわち80ユニット)。最大半径又は最小半径が、許容半径の範囲外にある場合には、そのアイテムは許容されずに、ウィルス顆粒としては同定されない。円形及び楕円形のものは、振り分けられ、類似の半径範囲のものを同一のグループとしてグループ化する。次いで、ウィルス顆粒は、アイテムのグループ化された形状において、同定、定量される。また、2つの異なる成熟ステージ、すなわち、2つの異なる成熟グループ間の成熟ステージにあるウィルス顆粒を同定することも可能である。ウィルス顆粒は、所定の半径密度プロファイルを有することから、フーリエ変換などの数学的方程式を使用して、ウィルス顆粒に典型的な所定の半径密度プロファイルに基づき、どの楕円形の対象物がウィルス顆粒であるかを特定することができる。また、損傷を受けたウィルス顆粒や、2つの異なる成熟ステージ間にあるウィルス顆粒は、パンフレットを使用してもみつけられないことから、特定の成熟ステージにあるウィルス顆粒の半径密度プロファイルを示すパンフレットを使用する必要が無いことが好ましい。
【0009】
また、図3に示し、以下に詳細に説明するように、クラスター状の半径範囲又は半径密度プロファイルの分布を特定することも可能である。また、以下に記載にされているように、ウィルス顆粒を薬剤などの化学物質に曝露し、次いで、修正されたイメージに基づき、この発明に従う方法を再度実施し、化学物質又は薬剤処理に曝露した後に、顆粒の寸法又は半径密度プロファイルの分布がどのように変化したかを特定することができる。この方法により、ウィルス顆粒に対する化学物質処理による効果を特定することができる。
【0010】
更に、pp150タンパク質をターゲットとし、cmv顆粒の生産をブロックするなどといった、特定の構築要素(building blocks)をブロックするsiRNA技術を使用することも可能である。そのようなsiRNA処理の後、ウィルス顆粒への影響と、ウィルス顆粒の形態的/構造的な変化を分析することができる。また、影響を受けたウィルス顆粒の量的な数値を調査することができる。
【0011】
更にまた、半径密度プロファイルを分析してウィルス顆粒を同定するこの発明に従う方法を使用して、どのようなウィルス顆粒がイメージ内に表示されているかを判別することも可能である。イメージ内の全ての円形及び楕円形の対象物を見つけ、対象物をグループに振り分けた後に、次のステップでは、特定のウィルス顆粒の半径の特徴を同定する。80±3ユニットの半径範囲内などといった、ウィルス顆粒の所定の半径範囲内にある半径の特徴を有する全ての対象物のクラスターは、ウィルスを同定するために使用し得る。半径特性の範囲を使用すると、変形した又は楕円の顆粒が含まれることとなる。この許容可能な範囲外にある半径範囲を有する顆粒は、放棄され、ウィルス顆粒ではないものとしてカテゴライズされる。また、所望の半径範囲内に複数種のウィルス顆粒が存在する場合には、ウィルス顆粒を薬剤又は化学物質により処理してから、再度この方法を実施して、ウィルス顆粒が該処理に対しどのように反応するかを特定することができる。この反応に基づき、ウィルス顆粒が何であるのかを同定することができる。例えば、PCR技術等を使用し、DNAを増幅して、ウィルス顆粒を同定することに使用し得る参考パンフレットを作成することができる。このように、付加的な試験を使用して、同定されたウィルス顆粒を検証又は確認することができる。
【0012】
このように、この発明に従う方法は、以下に詳細に説明するように、TEMイメージ内のウィルス顆粒を調査し、振り分け、同定することができる。ウィルス顆粒のカプシドは、中心からの半径が固定されており、同一のタンパク質濃度を有する略円形の対象物であることから、回転不変対象物と呼ばれ、図1Aに最も良く示されている。回転不変量の基準値を得るために、対応して回転不変量を測定するための「反対」の特性が必要となる。このため、同一のタンパク質密度を有し、中心から固定された角度にある、角度不変量対象物を使用することができ、これは図1Bに最も良く示されている。
【0013】
対応するフーリエ周波数(wr)を導く、中心からの半径r、及び、対応するフーリエ周波数(wt)を導く、中心からの任意の固定された方向にある角度(t)により特定される、関数(f)のフーリエスペクトルの値は、回転不変対象物及び角度不変対象物を図示するために使用することができる。完全な回転不変量関数は、エネルギーをwt=0に有し、完全なる角度不変関数は、エネルギーをwr=0に有し、その間の全ての対象物は両周波数帯域にエネルギーを有する。このように、合理的で好適な測定は、これらエネルギーの差異を比較し、ネガティブコントロールとして与えられる、唯一の未知の定数として測定値の閾値を有する推測的な測定をすることにある。
【0014】
TEMイメージ内のウィルス構造の密度測定を以下に示す。異なるイメージ間におけるウィルス顆粒の個数を比較する密度測定は、イメージの面積ユニットA当りのイメージ内の特定の個数(n)として取り込まれる。
d=n/A
【0015】
異なるウィルス顆粒の区分けを以下に示す。発見された対象物すなわちアイテム/顆粒の夫々の半径密度プロファイルは、ウィルス顆粒の好適な近似値を提供するものである。かかるプロファイルを、該プロファイルの慣性主軸を基軸にセットするように、線形ベクトル空間(LVS)にセットし、特異値分解(SVD)を算出し、異なるウィルス構造のクラスターの挙動について映像的な解釈が得られる。この情報により、異なるクラスターを抽出し、個々を集計することができ、薬剤を添加した場合に、イメージの夫々のセットから、平均的な構造を算出して、構造的な違いを識別することが可能となる。
【0016】
以下の表1に示すように、4種の異なるsiRNAを添加した感染細胞について、約500MBのイメージが3.3nm/ピクセルの解像度にて電子顕微鏡により得られた。イメージは回転不変性測定法により処理された。回転不変量のコントロール半径は、15ピクセル(約50nm)に設定され、イメージ内の対象物は、半径不変量測定値が15のレベルで超過し、15ピクセルの局所半径最大値にて得られる。半径密度プロファイルが得られると、異なるイメージ間における異なる照度レベルを補正するために、夫々のプロファイルの平均が取り除かれる。平均は、100ピクセルの半径にて得られ、約330nmである。
【0017】
【表1】

【0018】
表2は、平均値及び算出された密度の平均値の標準偏差を示したものである。スチューデントのT検定により、ポジティブコントロールと、pp150とMCPのイメージの結果を比較すると、7,21*10−13及び2,19*10−11のP値が夫々得られ、同一の平均の分布から密度がなるとの仮説を覆すものである。
【0019】
【表2】

【0020】
図2は、1標準偏差を有する、5セットのイメージ(ポジティブコントロール、MCP、gB、MCP+gB+pp150及びpp150)の密度測定値を示したものである。MCP及びpp150ポジティブコントロールよりも顕著に小さな密度を示した。
【0021】
ウィルス顆粒の区分けを以下に示す。図3にて最も適切に示されるように、半径密度プロファイルはLVS内にてプロットされ、2つの最大の慣性主軸からの情報を示す。図3は、LVS内に配された全てのセットのイメージの半径密度プロファイルを示す。イメージは、以下に更に詳細に示すように、A及びBとして示される2つの充分に分離されたクラスターを示す。二つのクラスター間にある顆粒の重要な特性も示されている。例えば、それらの顆粒は、クラスターにより示される成熟ステージ間にある成熟ステージにある。また、薬剤の効果を特定することができることから、ウィルス顆粒が薬剤に曝露された際に、クラスター間にある顆粒又は顆粒のグループを調査することは特に重要である。
【0022】
図4には、クラスターAの夫々のセット(ポジティブコントロール、MCP、pp150、gB及びMCP+gB+pp150)の平均半径密度プロファイルが示されている。このことは、従来から知られているHCMV成熟中間産物のA(空のウィルス殻)分類を表している。この種の見つかった対象物の数が少なく、対象物の半径及び角度エネルギーが小さく、また、多数のその他の非ウィルス構造が存在することから、中心から約40μmに配されたカプシド壁に関する情報以外の情報は抽出されない。
【0023】
図5には、クラスターBの夫々のセット(ポジティブコントロール、MCP、pp150、gB及びMCP+gB+pp150)の平均半径密度プロファイルが示されている。このことは、従来から知られているHCMV成熟中間産物のB(半透明のコアを有するカプシド)及びC(密なコアを有する成熟したカプシド)の分類を表している。図6の拡大図にて最も適切に示されているように、中心おいにおいて、ポジティブコントロール及びgBのセットは、MCP、pp150及びMCP+gB+pp150のセットとは、半径が30〜40nm異なる。
【0024】
その結果、TEMイメージ内にあるウィルス顆粒のモデルが発展した。回転不変量特性を比較するための測定法に、角度不変両特性を利用することは、回転不変量対象物及び全エネルギーにより表される関数エネルギーのフラクションに置き換えることができる。しかし、全エネルギーが小さい場合には、フラクションは数値を算出するに不安的となる。
【0025】
このことを解消するために、閾値のレベルが使用される。設定された閾値レベルを使用すると、主観性の源となってしまう。しかし、このレベルでは、誤って計測される数が大変少ない。しかし、ネガティブコントロールのグループを閾値の設定に使用して、siRNA分子の影響を調べることができる。
【0026】
慣性主軸を含む密度プロファイルの如何なる正規変形であっても、L2−LVS内の距離及び内部産物を保持している。そのことから、異なるサブ構造のクラスターは、基礎となる選択から独立している。
【実施例】
【0027】
使用に供した実施例の材料と方法を以下に示す。ヒト胚肺繊維芽細胞(HF)は、Hank’s塩(GIBCO BRL社製)が、25mMのHEPES[4-(2ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸] 、10%熱不活性化ウシ胎仔血清、L−glutamine(2mM)、ペニシリン(100U/ml)及びストレプトマイシン(100mg/ml)(GIBCO BRL社製、グランドアイランド、ニューヨーク、米国)を含む、重炭酸塩フリーの最小の基本的媒質において維持されている。かかる細胞は、175cm組織培養フラスコ(コーニング社製、ニューヨーク、米国)で培養され、17回継代されるまで使用された。また、細胞は、1の感染多重度(MOI)にて、HCMVに感染させた。ウイルスの上澄液は、感染後(pi)、7又は10日後に集められた。次いで、ウイルスの上澄液は、細胞片から低速走行速度遠心分離によって綺麗にされ、使用に供されるまで−70℃にて保存された。96穴プレートまたはチャンバスライド上にて培養した単層のHF細胞は、1の感染多重度(MOI)にて、HCMV AD169に感染させた。
【0028】
ヒト肺動脈内皮細胞(HPAEC)は、Clonetics社、カルフォルニア、米国から得た。かかる細胞は、成長因子を有するEBM-2(Clonetics社製、カリフォルニア、米国)にて、37℃、5%COの条件にて維持された。感染の1時間前に、培地は、5%のウシ胎仔血清を有するEBMに取り替えられ、感染プロセスの間、この培地で培養された。細胞は、0.2%ゼラチンにより被覆された175cmの組織培養フラスコ(ファルコン社製)又は8ウェル・チャンバスライド(ナルゲヌンクインターナショナル社製)を用いて培養され、第8の継代まで実験に使用された。ヒト臍の静脈内皮細胞(HUVEC)は、EGM培地(Clonetics社製、カリフォルニア、米国)で培養された。感染の1時間前に、培地は、5%のウシ胎仔血清を有するEBMに取り替えられ、感染プロセスの間、この培地で培養された。細胞は、175cmの組織培養フラスコ(ファルコン社製)又は8ウェル・チャンバスライド(ナルゲヌンクインターナショナル社製)を用いて培養され、第8の継代まで実験に使用された。細胞は、1のMOIにて内皮細胞性適合株であるTB40により感染させた。
【0029】
平滑筋細胞は、大動脈の移植片の挿入をする大動脈瘤の外科手術を受けている患者から、或いは、移植提供者の腸骨血管の大動脈の移植片又は移植から得られた大動脈の移植片から単離された。細胞は、鋭利器具で細胞をひっかいて、最初に内皮細胞を取り除くことによって単離された。次いで、血管は、一対のピンセットを用いて2枚の層へと穏やかに分離することによって、2つの異なる層、すなわち、最内層(血管の内膜に対応する)及び最外層(血管中膜に対応する)へと分けられた。大動脈の移植片は、小さな1mmの断片に分割され、SmGM−2 Single Quotes(hEGF 0.5μg/ml、0.5ml; インシュリン5mg/ml、0.5ml; hFGF−b 1μg/ml、1ml;FBS、25ml; GA−1000、0.5ml)が添加されたSMGM2培地内の細胞ペトリ皿上にて、外植片からのSMC細胞移行が発生するまで、約2週間培養された。細胞は、175cmの細胞培養フラスコ(ファルコン社製)にて培養された。SMC培養組織の純度を決定するために、細胞は、3%ホルムアルデヒドでチャンバスライドにより4℃で45分間固定され、0.3%トリトンXによって5分間透明化に供された。固定後、細胞は、平滑筋細胞特異的なFITC複合抗アクチン(SIGMA社製)により染色され、蛍光顕微鏡により評価した。細胞はメタノール:アセトン(1:1)により4℃で5分間固定され、FITC複合抗フォン−ウィルブランド因子(抗vWF)及び内皮細胞特異的フォン−ウィルブランド因子によって染色され、蛍光顕微鏡により評価された。抗体のアイソタイプのコントロールが、実験にて使用された。培養組織は、抗a−actinに100%陽性であり、フォン−ウィルブランド因子に陰性であった。
【0030】
電子顕微鏡法によってウィルス感染細胞を検査するために、感染してない及びHCMV感染している、(1のMOI)細胞が、3、5、7及び10dpiにて集められ、0.1Mスクロース及び3mMCaCl(pH 7.4)を含む1M塩化カコジル緩衝液中の2%グルタルアルデヒドにて、pH7.4、室温にて30分間固定された。細胞は、木製の棒によりかきとられ、エッペンドルフチューブに移され、更に、冷蔵庫内にて一晩固定された。細胞を固定した後、pH7.4、3mMのCaClを含む0.15Mの塩化カコジル緩衝液によりリンスされ、遠心される。次いで、得られたペレットは、pH7.4、1.5mMのCaClを含んでいる0.07Mの塩化カコジル緩衝液中の2%四酸化オスミウムにより、4℃で2時間事後的に固定され、エタノールついでアセトンにより脱水され、LX-112(ラッド社製、バーリントン、ヴァーモント、米国)に埋め込まれる。切片標本は、クエン酸鉛、次いで、酢酸ウラニルと比較され、80kVにてTecnai 10透過型電子顕微鏡(FEI社製、オランダ)によって検討された。デジタルイメージは、MegaViewIIデジタルカメラ(ソフトイメージングシステムゲーエムベーハー社製、マンスター、独国)によりキャプチャされる。
【0031】
電子顕微鏡写真の処理を以下に説明する。切片標本は、クエン酸鉛、次いで、酢酸ウラニルと比較され、80kVにてTecnai 10透過型電子顕微鏡(FEI社製、オランダ)によって検討された。デジタルイメージは、MegaViewIIデジタルカメラ(ソフトイメージングシステムゲーエムベーハー社製、マンスター、独国)によりキャプチャされる、又は、デジタル化のために、電子顕微鏡写真がキャプチャ、展開、及びスキャンされる。顕微鏡写真は、HP社のScanJet 6200C flatbedスキャナにより、ピクセルサイズが2×2nmm又は3×3nmの、8ビットイメージにデジタル化され、カプシドの半径を夫々25又は17ピクセルにてデジタル化した顕微鏡写真を提供する。夫々のデジタルイメージは、凡そ1000×1000ピクセル(1メガバイト)の寸法を有する。解像度は、ここに調査された3種のカプシドのクラスを判別するに充分であるが、非常にきめ細かいバックグラウンドがカプシドの同定作業を困難としている。Hp者のTru4 UNIX(登録商標)を動かしているDEC alpha personal workstation 433は、この発明に従う方法の開発及び評価に使用された。実施及び試験はMatlab 7.0.1 (ザマスワーク(the MathWorks, Inc)社製、Natick、MA)を使用して行われた。得られたグレーレベルプロファイル図は、CoralDraw10(Corel社製、オタワ、カナダ)及びPhotoshopCS(アドビシステムズ社製、サンノゼ、カルフォルニア、米国)により処理された。
【0032】
この発明は好適な組成及び実施形態にて説明されているが、特許請求の範囲に記載のこの発明の範囲内であれば、その他の置き換え及び変更が可能であることには留意されたい。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージ内において、細胞内のウィルス顆粒を集計し、区分する方法であって、該方法は、
その中に多数の対象物を有するイメージを提供するステップと、
円形の対象物を同定するステップと、
円形の対象物をグループに振り分けるステップと、
円形のウィルス顆粒の半径の範囲を特定するステップと、
半径の範囲から形成され得る楕円形の対象物を同定するステップと、
同定された楕円形の対象物をグループに振り分けるステップと、
円形及び楕円形の対象物の選択されたグループの半径の範囲に基づき、振り分けられた円形及び楕円形の対象物からウィルス顆粒を同定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージ内の対象物の半径密度プロファイルを分析するステップを更に含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記ウィルス顆粒を化学物質に曝露するステップを更に含む方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記化学物質に曝露した後に、同定された円形及び楕円形の対象物をグループに振り分け、該曝露前の半径密度プロファイルの分布と曝露後の半径密度プロファイルの分布との間の差異を分析するステップを更に含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記化学物質に曝露する前後における、グループとなった対象物の量的な差異を特定するステップを更に含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、ウィルス顆粒の形態学的な構造を分析するステップを更に含む方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−529428(P2010−529428A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510391(P2010−510391)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061499
【国際公開番号】WO2008/150588
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507339869)インテリジェント ヴァイルス イメージング インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】