説明

イメージ処理装置

【課題】係員が簡単な操作で顧客取引を完了できる改良された金融機関用の営業店端末装置の提供。
【解決手段】イメージスキャナで読取られた取引伝票イメージデータ83と文字認識手段で認識された取引情報を、各伝票識別子と対応して予め決められたフォーマットをもつ伝票データレコード81として蓄積するための手段を有し、各伝票データレコードが、前記文字認識手段で認識された取引情報と対をなして、認識対象領域となった部分的イメージデータを含み、上記制御手段が、上記部分的イメージデータを前記取引画面中の対応する取引情報と比較できる位置に表示し、取引伝票と対応した帳票定義テーブルと取引画面テーブルを検索し、帳票定義テーブルで定義された部分領域から取引情報を自動認識し、これを取引画面テーブルで定義された取引画面の入力フィールドに自動的に設定して、係員による操作を省略して取引に必要なデータ入力を完了できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関用の営業店端末装置に関し、更に詳しくは、金融機関の営業店窓口に設置されるホストオンライン窓口端末装置のように、端末画面に表示された取引画面の入力フィールドに、顧客が記入した多種類の取引伝票に従って取引情報を設定し、ホストコンピュータにデータ伝送する営業店端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関の営業店窓口に設置されているホストオンライン窓口端末装置では、利用者から取引科目別の取引伝票を受け取ったオペレータが、伝票と対応する取引データ入力画面を呼び出すための画面番号をキーボードから入力し、端末画面に表示された取引画面の各入力フィールドに取引金額等、伝票上の記入データをキーボード入力することにより、目的の取引を実行していた。
【0003】
特許文献1には、取引伝票の特定個所をイメージリーダで読み取ることによって、各伝票と対応する取引データ入力画面を端末画面に呼び出し、表示された取引データ入力画面の各入力フィールドに、伝票の記入データを係員がキーボード入力するようにしたシステムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、様式コードと取引コードとからなる伝票識別コードを各取引伝票からOCRによって読取り、通帳の磁気ストライプから科目コードを読取り、上記科目コードと取引コードとの組み合わせによって、取引内容を記録するためのデータ項目を設定し、取引内容の確認画面を表示する端末装置が提案されている。この場合、取引内容の確認画面には、伝票からOCRで読取られた各データ項目の内容、例えば、店番、口座番号、入金額などが表示され、確認画面の表示データに問題がなければ、これらのデータが記録データとして管理装置に送信処理される。
【0005】
【特許文献1】特開平7−121635号公報
【特許文献2】特開平8−153242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、特許文献1のように、顧客が記入した取引伝票の内容を見て、係員がキーボードでデータ入力する方式では、キーボード操作の不慣れや誤操作などによって、データ入力操作に時間がかかり、端末装置の効率的な運用が阻害されるという問題があった。また、特許文献2のように、各伝票から読取ったコード情報と通帳から読取ったコード情報との組み合わせによって取引データ項目を設定し、取引内容の確認画面を表示する方式では、自動読取りされた各コード情報を確認するための画面が発生するため、係員の操作ステップが増えるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、係員が簡単な操作で顧客取引を完了できる改良された金融機関用の営業店端末装置を提供することにある。 本発明の他の目的は、顧客が記入した取引データと金融機関側で記入した取引データとを自動的に読取って取引画面に表示可能な改良された金融機関用の営業店端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の金融機関用の営業店端末装置は、取引伝票の内容をイメージデータに変換するイメージスキャナと、取引伝票に印刷された伝票識別子と対応して、取引データ入力用の画面データと、上記画面データに含まれる各データ入力フィールドと伝票上のデータ項目との対応関係を定義した取引画面テーブルと、取引伝票に印刷された伝票識別子と対応して自動認識処理すべきフィールド位置とデータ項目との関係を定義した帳票定義テーブルと、上記イメージスキャナで読取られた取引伝票イメージデータ中の特定データ項目の取引情報を各取引伝票の伝票識別子で特定された帳票定義テーブルに従って自動的に認識する文字認識手段と、上記文字認識手段で認識された取引情報を上記取引画面テーブルの定義に従って取引情報入力用の画面データに設定し、取引画面として端末表示画面に表示する制御手段とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の特徴は、上記取引画面テーブルのうちの1つが、特定のデータ項目と対応して、前記キーボード上の特定ファンクションキーのランプ点灯条件を定義したランプ定義情報を含み、上記制御手段が、文字認識手段で認識された特定の項目の取引情報が上記ランプ定義情報で定義された点灯条件を満たしている時、該ランプ定義情報で定義されたキーボード上の特定のファンクションキーのランプを点灯させるための手段を備えたことにある。
【0010】
本発明の他の特徴は、取引画面テーブルのうちの1つが、画面データに含まれる資金内訳用の金額データ入力フィールドに付随して、資金内訳区分名と該区分名の表示条件を定義しており、上記制御手段が、前記文字認識手段で認識された資金内訳項目の取引情報が上記表示条件を満たしている時、上記資金内訳用の金額データ入力フィールドに上記資金内訳区分名を表示するための手段を備えたことにある。
【0011】
本発明の更に他の特徴は、上記イメージスキャナで読取られた取引伝票イメージデータと文字認識手段で認識された取引情報を、各伝票識別子と対応して予め決められたフォーマットをもつ伝票データレコードとして蓄積するための手段を有し、各伝票データレコードが、前記文字認識手段で認識された取引情報と対をなして、認識対象領域となった部分的イメージデータを含み、上記制御手段が、上記部分的イメージデータを前記取引画面中の対応する取引情報と比較できる位置に表示することにある。本発明の1実施例では、上記制御手段が、文字認識手段によって認識された取引情報中の不読文字を検出し、不読文字のある取引情報が設定されたデータ入力フィールドを他のフィールドとは区別できる形式で取引画面に表示する。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、本発明によれば、取引伝票から自動認識された伝票IDに基づいて、取引伝票と対応した帳票定義テーブルと取引画面テーブルを検索し、帳票定義テーブルで定義された部分領域から取引情報を自動認識し、これを取引画面テーブルで定義された取引画面の入力フィールドに自動的に設定することによって、係員による操作を省略化して取引に必要なデータ入力を完了できる。また、取引画面への資金内訳情報の自動表示機能や、関係するファンクションキーランプの自動点灯機能を備えたことによって、端末の操作性を大幅に改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面により詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明によるイメージ認識機能を備えた金融機関用の営業店窓口端末装置の1実施例を示すブロック図である。
【0015】
窓口端末装置は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)と主記憶装置とから構成されて、蓄積プログラム方式により端末装置の動作を制御する制御装置10と、取引伝票の内容をイメージとして読取るイメージスキャナ11と、取引画面や取引データなどが表示される表示画面(ディスプレイ装置)12と、テンキーと複数のファンクションキーとを備え、ファンクションキーの一部がキーランプ付きとなっているキーボード13と、表示画面上でカーソル位置を移動し、表示画面上の位置を指定するマウス14と、取引結果を印刷するプリンタ15と、ホストコンピュータとのオンライン接続制御を行なう通信装置16と、ホストコンピュータに接続するための通信回線17と、イメージスキャナで読取られた伝票のイメージデータから後述する帳票定義テーブルに従って印刷文字列または記入文字列を自動的に認識する文字認識装置(プログラムルーチン)18とを備える。
【0016】
また、上記窓口端末装置は、磁気ディスク等の外部記憶装置からなるメモリ領域に、伝票識別子(伝票ID)と画面番号との関係を定義した取引対応テーブルを記憶するための取引定義ファイル20と、取引画面上の各データ入力フィールドの識別子(入力FID)と設定すべきデータ項目の識別子(項目ID)との関係を定義した取引画面テーブルを記憶するための画面定義ファイル30と、イメージスキャナ11で読み取られた伝票イメージ上の部分イメージ領域切出位置と自動認識された取引データの項目IDとの関係を定義した帳票定義テーブルを記憶するための帳票定義ファイル50と、1つの取引画面が複数の画面からなる場合に、各取引画面の入力情報を一時的に保存するためのメモリ領域である取引画面キュー60と、各顧客の届出印鑑の印影データが登録される印鑑データベース(DB)70と、イメージスキャナ11で読み取った伝票の全体イメージおよび文字認識装置18で認識された取引情報を格納するための帳票データファイル80とを備える。但し、ファイル20〜80は、複数の端末で共用させてもよい。
【0017】
本実施例の窓口端末装置は、顧客が提出した取引伝票をイメージスキャナ11で読み取り、各取引伝票から自動認識された伝票IDと対応する取引画面を自動的に端末表示画面12に表示し、表示された取引画面の各データ入力フィールドに、伝票イメージから自動認識された取引情報(取引金額、資金内訳金額、資金内訳キー名称など)を表示すると共に、取引形態に応じて、キーボード13上の特定のファンクションキーのキーランプを点灯させることを特徴としている。
【0018】
図2は、イメージスキャナ11で読み取られる取引伝票の1例を示す。
【0019】
取引伝票1000は、店番号記入欄1001と、口座番号、顧客氏名、取引金額などの取引データの記入欄1002の他に、各伝票の所定位置に印刷された伝票ID:1003と、取引区分欄1004と、印鑑の押印欄1005と、資金内訳金額の記入欄1006と、この伝票が処理済であることを表示する処理済印字部1007と、取引科目を示す伝票グループ欄1008を備えている。
【0020】
図3は、取引定義ファイル20の構造を示す。
【0021】
取引定義ファイル20は、伝票の種類および取引画面に対応した複数の取引対応テーブル21から構成される。各取引対応テーブル21は、各伝票に印刷された伝票ID:1003に一致する伝票ID:22と、伝票グループ23と、取引画面の画面番号24と、テーブル属性25との関係を定義している。伝票グループ23は、例えば、図2の伝票グループ欄1008に含まれる普通預金や定期預金等の科目と対応した複数のエントリからなり、各エントリは、データ項目ID231と、各データ項目の伝票記述内容を定義した項目情報232を含む。
【0022】
図4は、画面定義ファイル30の構造を示す。
【0023】
画面定義ファイル30は、取引対応テーブル21で定義された画面番号24に対応する複数の取引画面テーブル31からなる。各取引画面テーブル31は、画面番号32と、これに付随する1つ以上の画面テーブル40からなり、ここでは、各取引画面テーブル31に、画面番号32と、付随する画面テーブル40を示す画面テーブルポインタ33とを定義し、画面テーブルポインタ33に従って各画面テーブル40を参照できるようにしてある。取引画面が複数のサブ画面に分割されている場合、画面テーブルポインタ33には各サブ画面の画面テーブルと対応した複数のポインタ331、332、・・・が設定される。
【0024】
本実施例では、各画面テーブル40が、取引画面の画面データ41と、ランプ定義情報42と、複数の表示定義情報エントリ43(43−1、43−2、・・・)とを含む。画面データ41は、例えば、表示すべき各データ項目名と対応して、取引情報を設定するための入力フィールドと、伝票イメージから抽出された取引情報の自動認識対象領域となる部分的イメージデータの表示フィールドとを定義している。
【0025】
ランプ定義情報42は、取引形態に応じてキーボード13上の特定のファンクションキーのキーランプの点灯条件を示すものであり、点灯すべきキーの名称421と、該キーと対応する伝票上のデータ項目ID:422と、点灯条件となる伝票の記述内容(項目情報)423との関係を定義している。また、表示定義情報エントリ43は、取引画面(画像データ41)における各入力フィールドと伝票上のデータ項目との対応関係を定義したものであり、本実施例では、各表示定義情報エントリ43が、表示定義部と内訳定義部とからなっている。
【0026】
表示定義部は、取引画面上の入力フィールドID:431と、この入力フィールドに表示すべき伝票上のデータ項目ID:432との関係を示す。内訳定義部は、上記入力フィールドへの資金内訳区分名(資金内訳キー名称)の表示条件を示すものであり、伝票上のデータ項目ID:434と、項目情報435と、伝票上で上記データ項目IDの記述内容が上記項目情報435と一致した場合に、資金内訳入力フィールドに金額データと対をなして表示すべき資金内訳キー名称433との関係を定義している。尚、資金内訳には関係のない入力フィールド用の表示定義情報エントリでは、上記内訳定義部は省略される。
【0027】
図5は、帳票定義ファイル50の構造を示す。
【0028】
帳票定義ファイル50は、取り扱う取引伝票(伝票ID)の種類に対応した複数の帳票定義テーブル51から構成され、各帳票定義テーブル51は、イメージスキャナ11に入力される伝票の縦、横サイズ(帳票サイズ)52と、伝票上の部分領域の切出しに際して切出位置計算の基準位置となる伝票の左/右、上/下の基点位置(基準値)53と、伝票ID定義情報54と、フィールド定義情報55とからなる。
【0029】
伝票ID定義情報54は、伝票IDの切出し位置541と、伝票IDの文字種類542と、文字コード変換後の伝票IDがもつ伝票上での項目ID:543とを含む。尚、伝票IDの印刷位置(切出し位置541)は、各伝票で同一位置となるよう帳票設計される。フィールド定義情報55は、取引情報が含まれる伝票イメージ上の部分領域(フィールド)の切出し位置551と、認識対象となる文字の大きさや数字/英字/印鑑データ等の区分を示す文字種552と、上記フィールドに含まれる取引情報がもつデータ項目ID553との関係を定義した複数のエントリ550(550−1〜550−n)からなっている。
【0030】
図6は、取引画面キュー60の構造を示す。
【0031】
取引画面キュー60は、ポインタテーブル61とキューデータ64とからなっている。ポインタテーブル61は、キューに登録中の取引画面(キューデータ)の数62と、取引画面キューにおける表示中の取引画面(キューデータ)の位置を指す表示中画面ポインタ63とからなる。各キューデータ64は、取引画面の画面番号65と、取引画面をキュー登録したときのカーソル位置66と、複数の入力フィールドデータ67とからなる。入力フィールドデータ67は、取引画面を構成する入力フィールド毎に、入力フィールドID:671と、入力フィールドに含まれるべき取引情報の属性672と、取引情報(入力データ)673を含む。
【0032】
図7は、印鑑DB:70のデータ構造を示す。
【0033】
印鑑DBには、それぞれ検索キーとなる口座番号72と届出印影データ73とを含む複数の印鑑データエントリ71が登録されている。
【0034】
図8は、帳票データファイル80のデータ構造を示す。
【0035】
帳票データファイル80には、窓口端末装置で処理された各取引伝票毎に生成される複数の伝票データレコード81が登録されている。各伝票データレコード81は、イメージスキャナによる伝票の読み取り日時を示す日時刻データ82と、イメージスキャナで読取られた伝票の全体イメージデータ83と、項目別伝票データ84とからなる。イメージスキャナ11で読み取られた伝票イメージデータ83は、帳票定義テーブル51に従ってフィールドの切り出しが行われ、各フィールド内の文字列が文字認識ルーチン18で認識され、文字コードに変換された取引情報が上記項目別伝票データ84として保存される。
【0036】
図9は、項目別伝票データ84の1例を示す。
【0037】
項目別伝票データ84は、伝票上のデータ項目毎に、伝票イメージデータ83から切り出された各フィールド内の部分的イメージデータと、項目IDと、文字認識によって得られたコードデータ(認識データ)とを組にして記憶している。
【0038】
図示した例では、項目別伝票データ84は、伝票IDデータ85と、伝票グループデータ86と、項目データ87と、印鑑イメージデータ88とからなる。
【0039】
伝票IDデータ85は、伝票IDフィールド内のイメージデータ851と、該イメージデータから認識された伝票ID:1003を示す文字コード(認識データ)852とを含む。伝票グループデータ86は、図2に示した伝票グループ1008内のチェック枠と科目の組に対応した複数のエントリ860(860−1〜860−n)からなり、各エントリ860が、項目ID:861と、イメージデータ862と、認識データ863とを含む。項目データ87は、伝票上のその他のデータ項目と対応した複数のエントリ870(870−1〜870−m)からなり、上記伝票グループと同様、各エントリ870が、項目ID:871と、イメージデータ872と、認識データ873とからなっている。
【0040】
印鑑イメージデータ88は、帳票定義テーブル51のフィールド定義55で文字種552として印鑑データが指定されているフィールドから得られたものであり、当該フィールド定義で指定された切出位置の部分的イメージデータを示している。
【0041】
図10は、窓口端末が備えるキーボード13の1例を示す。
【0042】
キーボード13は、図2に示した伝票上の金額記入部1006の資金内訳と対応した資金内訳キー群91と、ID登録キー92と、テンキー群93と、伝票上の取引区分1004と対応した取引形態キー群94と、印鑑検索キー95と、表示画面の制御キーとして、スキップキー96、次画面呼び出しキー97および前画面呼び出しキー98と、画面入力データの確定またはセンタ送信を指令するための送信キー99とを含む。また、取引形態キー群94は、図面で○印で示すように、係員に実行中の取引形態を報知するためのキーランプを備えている。
【0043】
本発明の窓口端末装置では、係員が取引伝票をイメージスキャナ11に入力すると、伝票の全体イメージが読み取られ、文字認識装置によって伝票IDが識別され、伝票IDに対応した取引画面が画面表示12に自動的に表示される。また、上記伝票IDと対応した帳票定義テーブルに従って伝票イメージ中の取引情報が自動的に読取られ、取引金額、資金内訳金額、資金内訳キー名称などのデータが取引画面の該当フィールドに表示され、取引形態に応じて、キーボード上の該当する取引形態キーランプが点灯する。
【0044】
以下、図11に示すフローチャートと、図12〜図21に示す表示画面を参照して、本発明による窓口端末装置の動作の1例について説明する。
【0045】
初期状態において、端末画面には、図12に示すメニュー画面901が表示される。この状態で、係員が取引伝票をイメージスキャナ11に入力すると、伝票の全体イメージが読み取られ、文字認識装置18によって伝票イメージ中の所定の位置にある伝票IDが自動認識される(ステップ100)。
【0046】
自動認識された伝票IDの値をチェック(101)し、伝票IDの読取り結果に誤りがあった場合は、例えば、図13に示すエラーメッセージ画面902を表示し(102)、係員に伝票イメージの再読取りを要求する。伝票IDの正誤チェックは、例えば、自動認識された伝票ID(図2の例では6桁の数字)の各桁の数字を1桁毎に加算し、加算結果の1の位の値と伝票IDの最終桁の値との一致をチェックし、不一致の場合は伝票IDの認識結果に誤りがあったものとみなす。
【0047】
伝票IDの認識結果に誤りがなければ、帳票定義ファイル50に用意されている上記伝票IDと対応した帳票定義テーブル51に基づいて、伝票イメージ中の各フィールド領域のイメージの切り出しと、フィールド領域内の文字認識を行なう(103)。ステップ100で読取られた伝票イメージデータと、ステップ103で抽出された部分イメージおよび認識データは、帳票データファイル80に図8、図9で示した伝票データ形式で蓄積される。
【0048】
次に、伝票イメージから認識された上記伝票IDと、伝票グループの項目IDおよび認識データを検索キーとして、取引定義ファイル20から、上記伝票と対応する取引対応テーブル21を選択し、表示画面に出力すべき取引画面の画面番号を特定する(104)。この時、伝票上の処理済印字部1007と対応する項目の認識データをチェックし、イメージスキャナに入力した伝票が処理済の伝票であった場合は、例えば、図14に示す処理済メッセージの画面903を表示し(106)、最初のステップ100に戻る。取引定義ファイル20に上記伝票と対応する取引対応テーブル21がなかった場合(107)は、例えば、図15に示すような伝票未定義を知らせるメッセージ画面904を出力し(108)、係員からの応答を待つ。ここで、係員が別の伝票をイメージスキャナ11に入力した場合は、最初のステップ100に戻る。
【0049】
係員がID登録キー92を押下した場合は、例えば、図16に示した帳票追加メニュー画面905を表示する(110)。上記帳票追加メニュー画面905に対する係員の応答入力をチェックし(111)、「終了」メニューが選択(数字0のテンキー操作)された場合は、最初のステップ100に戻って、次の取引伝票の入力待ちとなる。係員が、他のメニュー(帳票定義、取引対応テーブル定義、取引画面テーブル、画面テーブル定義のメニュー)を選択した場合は、選択されたメニューに該当する定義画面が表示され(112)、係員が定義画面で入力したデータに基づいて各種の定義テーブルが生成され、該当するファイルに登録される(113)。
【0050】
例えば、係員が帳票定義メニューを選択(数字1のテンキー操作)すると、図17に示すような帳票定義画面906が表示(112)されるため、係員は、キーボードから上記帳票定義画面が示す各項目の数値データを入力する。帳票定義は、図5に示したように多数の項目からなっているため、帳票定義画面は複数の画面に分けて表示される。係員が、帳票定義に必要な全ての項目データの入力を完了し、送信キー99または帳票定義画面に用意された完了ボタンを押すと、上記帳票定義画面の入力データに従って新たな帳票定義テーブル51が生成され、伝票IDと対応付けて帳票定義ファイル50に追加登録される(113)。1つの定義テーブルの作成が完了すると、ステップ110に戻って帳票追加メニュー905が再表示される。従って、別の定義メニューを選択することによって、係員は、上記帳票定義テーブル以外の他のテーブルの定義/生成を繰り返すことができる。
【0051】
ここでは、帳票定義画面にキーボードから定義データを入力したが、フィールドの切出位置の指定は、例えば、イメージスキャナで読み取った伝票全体のイメージを表示画面に表示し、マウス14を使用して切出領域の開始位置から終了位置までをドラッグする形式で定義するようにしてもよい。また、上述した帳票メニュー画面905は、ID登録キー92の押下に応答して任意のタイミングで表示されるものであり、例えば、初期のメニュー画面901が表示された状態でID登録キーを押下すれば、係員は、ステップ110〜113の手順によって、帳票定義ファイルへの帳票定義テーブル51の追加、および取引定義ファイル20への取引対応テーブル21の追加等の作業を実行することが可能となる。
【0052】
ステップ107において、伝票と対応する取引対応テーブル21が取引定義ファイル20に登録済の場合は、画面定義ファイル30から上記取引対応テーブル21に定義された画面番号をもつ取引画面テーブル31が検索され、この取引画面テーブル31に定義されている画面テーブル51に従って、データ入力用の取引画面が表示画面に出力される(114)。
【0053】
図18は、ステップ114で表示される取引画面の1例として、普通入/出金用の取引画面907を示す。取引画面907は、左側から順に、項目名と、データ入力フィールド(認識データの表示フィールド)と、イメージ表示フィールドが配列されている。尚、取引対応テーブル21におけるテーブル属性の定義方法によっては、ステップ114で、表示中の取引画面に対応する伝票の読取りを指定することも可能である。
【0054】
表示画面への取引画面の表示に伴って、伝票読取りデータ84から、画面テーブル40のランプ定義情報42に定義されている項目ID:422、項目情報423と一致した項目ID:871と認識データ873をもつ項目データ870−iを検索する。伝票読取りデータ84にランプ定義情報42で定義された項目データ870−iが見つかった場合、上記ランプ定義情報のキー名称421で定義されている取引形態キー94の表示ランプ、例えば、出金キーのランプを点灯する(115)。画面テーブル40には、複数のキーについてランプ定義情報42が定義されているため、取引形態キーランプの点灯処理と、上述した伝票読取りデータ84からの項目データ870−iの検索処理は、複数のキーについて繰り返される。
【0055】
次に、画面テーブル40に定義されている表示定義情報43(43−1、43−2、・・・)を参照して、伝票読取りデータ84から、上記表示定義情報43の表示定義部の項目ID:432に一致する項目ID:871をもつ項目データ870−iを検索し、一致項目データ870−iの認識データ873の内容を上記表示定義部の入力フィールドID(FID)431が示す取引画面入力フィールドに表示し、一致項目データ870−iのイメージデータ872の内容を取引画面入力フィールドと対をなすイメージ表示フィールドに表示する(116)。
【0056】
このとき、伝票読取りデータ84から、上記表示定義部の内訳定義部で定義された項目ID:434と項目情報435に一致する項目ID:871と認識データ873をもつ項目データ870−kを検索する。項目データ870−kが見つかった場合は、画面テーブル40の表示定義部の入力FIDが示す入力フィールドに、上記内訳定義部のキー名称433の内容を資金内訳キー名称として認識データと並べて表示する。
【0057】
画面テーブル40の表示定義情報において、内訳定義部でキー名称433のみが定義され、項目ID:434と項目情報435が未定義の場合は、表示定義部の入力FID:431が示す取引画面入力フィールドに伝票読取りデータ84の認識データ873の内容を表示する時、上記内訳定義部のキー名称433の内容を資金内訳キー名称として同時に表示する。
【0058】
上述した取引画面入力フィールドの内容と資金内訳キーの表示は、画面テーブル40に定義された複数の表示定義情報43−1、43−2、・・・について繰り返され、これによって、例えば、図19に示すように、データ入力フィールドに認識データと資金内訳キー表示(文字列「現金」および「当所」)を含む取引画面が得られる。認識データに不読文字があった場合は、例えば、図19に黒色背景のフィールドで示すように、不読文字を特殊マーク(例えば、?マーク)に置き換え、不読文字を含む入力フィールドを他のフィールドとは区別できるように、例えば、特殊な背景色、白黒反転、または太枠として表示する。
【0059】
上述したステップ115による取引形態キーランプの点灯処理と、ステップ116による入力フィールドへの認識データおよび資金内訳キーの表示処理は、取引画面テーブル31の画面テーブルポインタ33で指定された複数画面分の画面テーブルについて繰り返される。これらの表示画面は、キーボードのファンクションキー(次画面呼び出しキー97、前画面呼び出しキー98)によって切替えられ、第1画面から最終画面までの表示内容が、取引画面キュー60において、図6に示したポインタテーブル61とキューデータ64の形式で管理される。
【0060】
ステップ116で表示された取引画面、例えば、画面908において、係員は、マウスで指定した特定入力フィールド内の表示データの一部をキーボードからの入力によって訂正したり、前述した不読文字を適切な文字に置き換えたり、取引に必要な他のデータを追加入力することができる。
【0061】
また、イメージスキャナ11で読み取られた印鑑イメージ部分を含む取引画面の表示中に、係員が印鑑照合を要求すると(117)、印鑑照合画面が表示される(118)。印鑑照合要求は、キーボード13に用意された印鑑検索キー95を押下することによって指令できる。印鑑照合が要求されると、口座番号を検索キーとして印鑑DB70から検索された登録印鑑(届出印)のイメージと、伝票読取りデータ84にある印鑑イメージデータ(伝票印)88とが照合される。印鑑照合結果は、例えば、図20に示す印鑑照合画面909として表示され、係員は、上記印鑑照合画面909によって、伝票印と届出印との印影を確認できる。
【0062】
表示画面に表示された取引画面に対して、自動認識データの確認と取引情報の入力処理が終了すると、係員は、キーボードの送信キー99を押下することによって、取引データのホストコンピュータへの送信を要求する(119)。上記送信キーの押下に応答して、取引画面キュー60から第1画面から最終画面までのキューデータ64が順次読み出され、各入力フィールドの設定データがホスト送信データとして編集される。送信データ編集処理中に、入力フィールド毎のデータ属性を参照して、認識データが自動的にチェックされ(120)、不読文字が検出された場合は、不読文字の存在する取引画面を表示し、係員にデータの訂正を要求する(121)。不読文字の訂正要求画面は、例えば、図21に示すように、不読文字の訂正要求メッセージを含み、不読文字の存在する入力フィールドを他のフィールドとは区別できる色で表示し、不読文字の在る最初の入力フィールドにカーソルを位置付けた画面910とする。
【0063】
係員は、上記訂正要求画面910において、不読文字のあった入力フィールドの表示内容と、これ対をなす部分イメージの表示内容とを比較し、必要に応じて伝票の該当領域の記載内容をチェックした上で、不読文字を適切な文字に置き換え、カーソルを次の不読文字フィールドに位置付けることによって、次々と訂正作業を行う(122)。次の不読文字フィールドへのカーソルの移動は、マウス14の操作によって行われるが、キーボードにあるスキップキー96を使用すれば、制御装置10によって、カーソルを自動的に次の不読文字フィールドに位置付けることができる。
【0064】
全ての不読文字についての訂正が完了すると、取引データがホストコンピュータに送信される。また、伝票処理日を示す日時刻データ82を付加した形で、伝票データ81(伝票読取りデータ85)が帳票データファイル80に蓄積される(123)。帳票データファイル80の蓄積データは、後日、例えば、日時刻をキーボードから指定することにより、該当する伝票データ81を検索し、表示画面への表示や、ホストコンピュータへの再送信が可能となる。
【0065】
ホストコンピュータは、窓口端末装置から取引データを受信すると、例えば、今回の取引で使用された取引画面の入力フィールドおよびイメージ表示フィールドのクリア指示と、通帳印字や伝票への処理済印字のためのデータを含む応答メッセージを端末に送信する。窓口端末装置は、ホストコンピュータから上記応答メッセージを受信すると、応答メッセージの指示に従い、取引画面の入力フィールドのクリア、取引形態キーランプの消灯、プリンタによる伝票1000への処理済印字データ1007の印字、通帳への記帳等の処理を行い(124)、初期状態に戻って、次の伝票の入力を待つ。
【0066】
尚、不読文字があった時、ステップ108〜113における帳票定義テーブル、取引対応テーブルの追加と同様の手法で、文字認識装置18が備える辞書に対して、文字検定ポイントの訂正や追加を行なようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による営業店端末装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の営業店端末装置で使用される取引伝票の1例を示す図。
【図3】取引定義ファイル20を構成する取引対応テーブル21の1例を示す図。
【図4】画面定義ファイル30を構成する取引画面テーブル31と画面テーブル40の1例を示す図。
【図5】帳票定義ファイル50を構成する帳票定義テーブル51の1例を示す図。
【図6】取引画面キュー60の構成を示す図。
【図7】印鑑DB:70の構成を示す図。
【図8】帳票データファイル80に蓄積される伝票データレコード81の構成図。
【図9】伝票データレコード81の項目別伝票データ84の詳細を示す図。
【図10】キーボード13上のキー配列の1例を示す図。
【図11】本発明の営業店端末装置の動作の1例を示すフローチャート。
【図12】端末画面に表示される初期メニュー画面901の1例を示す図。
【図13】伝票IDの読取りミスが発生した時に端末画面に表示されるエラーメッセージ画面902の1例を示す図。
【図14】処理済の伝票が入力された時に端末画面に表示される処理済メッセージ画面903の1例を示す図。
【図15】未定義の伝票が入力された時に端末画面に表示されるメッセージ画面904の1例を示す図。
【図16】端末画面に表示される帳票追加メニュー画面905の1例を示す図。
【図17】端末画面に表示される帳票定義画面906の1例を示す図。
【図18】端末画面に表示される取引画面907の1例を示す図。
【図19】端末画面に表示される取引情報設定後の取引画面908の1例を示す図。
【図20】端末画面に表示される印鑑照合画面909の1例を示す図。
【図21】端末画面に表示される不読文字訂正要求画面910の1例を示す図。
【符号の説明】
【0068】
10:制御装置、11:イメージスキャナ、12:ディスプレイ、13:キーボード、14:マウス、15:プリンタ、16:通信装置、17:通信回線、18:文字認識装置、20:取引定義ファイル、21:取引対応テーブル、30:画面定義ファイル、31:取引画面テーブル、40:画面テーブル、50:帳票定義ファイル、51:帳票定義テーブル、60:取引画面キュー、61:ポインタテーブル、70:印鑑DB、71:印鑑データ、80:帳票データファイル、81:伝票データレコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプを有するファンクションキーを備えたキーボードと、
取引伝票に記載された取引内容をイメージデータとして読取るイメージデータ取得部と、
前記イメージデータ取得部が読込んだイメージデータの文字を認識する文字認識部と、
前記文字認識部で認識された前記取引伝票の取引内容に基づいて、該ファンクションキーのランプを点灯させる制御部とを有するイメージ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のイメージ処理装置であって、
前記制御部は、前記キーボードのファンクションキーのランプの点灯条件を定義したランプ定義情報を記憶するランプ定義情報記憶部と、
前記文字認識部で認識された前記取引伝票の取引内容が前記ランプ定義情報記憶部に記憶されたランプ定義情報の上記点灯条件に適合するか否かを判断する判断部とを有することを特徴とする。
【請求項3】
ランプを有する複数のファンクションキーを備えたキーボードと、
取引伝票に記載された取引内容をイメージデータとして読取るイメージデータ取得部と、
前記イメージデータ取得部が読込んだイメージデータの文字を認識する文字認識部と、
前記文字認識部で認識された前記取引伝票の取引内容に基づいて、前記複数のファンクションキーのうち、該取引内容に対応する前記ファンクションキーのランプを点灯させるか否かを判断し、該ファンクションキーのランプを点灯させる制御部とを有するイメージ処理装置。
【請求項4】
イメージ処理装置において、
ランプを有するファンクションキーを備えたキーボードと、
取引伝票に記載された取引内容をイメージデータとして読取るイメージデータ取得部と、
前記取引伝票のデータ項目と前記取引伝票の取引データ入力画面データに含まれる各データ入力フィールドとの対応関係を伝票識別子毎に定義した取引画面定義情報を記憶する画面定義記憶部と、
前記取引伝票のデータ項目と取引データ入力用画面データに含まれるデータ入力フィールドのなかの自動認識処理すべきフィールドの位置の関係を伝票識別子毎に定義した帳票定義情報を記憶する帳票定義記憶部と、
前記イメージデータ取得部が取得した前記取引伝票のイメージデータ中の特定データ項目の取引情報を前記取引伝票の伝票識別子によって特定される前記帳票定義記憶部の帳票定義情報に従って認識する文字認識部と、
前記画面定義記憶部に記憶された前記取引画面定義情報のうちの1つが、前記取引伝票の特定のデータ項目と対応して当該データ項目の内容条件を定義した定義情報を含み、
前記文字認識部で認識された特定のデータ項目の取引情報が上記内容条件を満たしているとき、該取引情報に対応する該ファンクションキーのランプを点灯させる制御部とを有するイメージ処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のイメージ処理装置であって、さらに、
取引画面や取引データを表示する表示部を有し、
前記制御部は、前記取引画面定義情報のうちの1つが、画面データに含まれる資金内訳用の金額データ入力フィールドに付随して、資金内訳区分名と該区分名の表示条件を定義しており、前記文字認識部で認識された資金内訳項目の取引内容が上記表示条件を満たしているとき、上記資金内訳用の金額データ入力フィールドに上記資金内訳区分名を表示することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−127499(P2006−127499A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285870(P2005−285870)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【分割の表示】特願2001−189358(P2001−189358)の分割
【原出願日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】