説明

イルベサルタンを含む医薬組成物

【課題】イルベサルタンを含む医薬組成物に関し、高い相対量又は濃度のイルベサルタンを含む経口製剤を提供する。
【解決手段】1つの実施態様において、本発明は、70%w/w超のイルベサルタンを含むイルベサルタンの経口製剤を提供する。別の実施態様において、本発明は、USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、約85%超のイルベサルタンが約30分以内に溶解する溶解プロファイルを示すイルベサルタンの経口製剤を提供する。この製剤は、少なくとも1つの追加の活性成分を任意に含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、イルベサルタンを含む医薬組成物、並びにイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イルベサルタンは、2−ブチル−3−[[29−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,19−ビフェニル]−4−イル]メチル]1,3−ジアザスピロ[4,4]ノン−1−エン−4−オンとして、また2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[(2’−(テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル)メチル]−2−イミダゾリン−5−オンとして、また2−ブチル−3−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−1,3−ジアザスピロ [4,4]ノン−1−エン−4−オンとして化学的に記載される。その実験式は、C25286Oであり、以下の構造を有する:
【化1】

【0003】
イルベサルタンは428.5の分子量を有する。この化合物は、米国特許第5,270,317号(特許文献1:本明細書にその全内容を援用する)に記載されている。
【0004】
米国において、75mg、150mg、又は300mgのイルベサルタンを含む経口投与錠剤に用いることができる(AVAPROという商標名で販売されている)。この薬剤は、12.5mgのヒドロクロロチアジドも含む、150及び300mgの錠剤として製剤されている(AVALIDEという商標名で販売されている)。
【0005】
米国特許第6,342,247号(特許文献2)に記載されているように、イルベサルタンは比較的低い体積及びタップ密度を有する綿毛状物質である。更に、イルベサルタンは特定の所望されない流量特性を有する。これらの特性は、多量のその薬剤を小さな錠剤中に製剤することを困難にしている。事実、特許文献2は最大でほんの70%の薬剤を含むイルベサルタンの経口製剤について記載している。従って、より多量の活性成分を含むイルベサルタンの改善された製剤を提供する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,270,317号
【特許文献2】米国特許第6,342,247号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、イルベサルタンを含んで成る医薬組成物に関し、高い相対量又は濃度のイルベサルタンを有する経口製剤を提供する。1つの実施態様において、本発明は70%w/w超のイルベサルタンを含むイルベサルタンの経口製剤を提供する。別の実施態様において、本発明は、USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、約85%超のイルベサルタンが約30分以内に溶解し、好ましくは約80%超のイルベサルタンが約10分以内に溶解する溶解プロファイルを示すイルベサルタンの経口製剤を提供する。別の実施態様において、本発明は2つの活性医薬物質(イルベサルタン、及び利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド)の経口製剤を提供する。これらの側面及び利点、並びに更なる発明性のある特徴は、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるだろう。本製剤は、少なくとも1つの追加の活性成分を任意に含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、イルベサルタンを含んで成る経口製剤を提供し、そしてイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含んで成る経口組成物を提供する。本発明の製剤中の含有物のためのイルベサルタンは、任意の所望の方法(それらの多くは、当業者に知られている)に従って製造することができる。イルベサルタンを製造するための適した方法の例は、米国特許第5,270,317号(本明細書にその全内容を援用する)に記載されている。ヒドロクロロチアジドは周知であり、当業界で知られた方法により製造することができる。
【0009】
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも約70%のイルベサルタンw/wを含む、イルベサルタンを含んで成る経口製剤を提供する。好ましくは本製剤は少なくとも約75%w/wのイルベサルタンを含み、より好ましくは本製剤は約75%w/w〜約80%w/wのイルベサルタンを含む。もし必要であれば、より高い相対量の又は濃度のイルベサルタンを含むことができる。
【0010】
別の実施態様において、本発明は、米国薬局方に従って、USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、向上した溶解プロファイルを示すイルベサルタンを含んで成る経口製剤を提供する。本発明のいくつかの実施態様において、イルベサルタンを含んで成る経口製剤は、約80%超のイルベサルタンが約10分以内に溶解し、更により好ましくは約85%超のイルベサルタンが約10分以内に溶解する溶解プロファイルを示す。本発明は、別の側面において、少なくとも約75%のイルベサルタンが約5分以内に溶解し、少なくとも約85%のイルベサルタンが約10分以内に溶解し、且つ少なくとも約95%のイルベサルタンが約20分で溶解する溶解プロファイルを示すイルベサルタンを含んで成る経口製剤を提供する。本発明の別の側面により、少なくとも97%のイルベサルタンが30分以内に溶解する溶解プロファイルを示すイルベサルタンを含んで成る経口製剤を提供する。本発明のいくつかの実施態様において、イルベサルタンを含んで成る経口製剤は約85%超のイルベサルタンが約30分以内に溶解する溶解プロファイルを示す。
【0011】
イルベサルタンに加えて、経口製剤は、少なくとも1つの追加の活性剤又は追加の活性剤の組み合わせを含むことができる。製剤中に含めるための好ましい活性剤は、利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メトラゾン、ポリチアジド、キネタゾン及びトリクロルメチアジドである。好ましくは、少なくとも1つの利尿薬は、チアジン系(thiazidic)、例えばクロロチアジド及びヒドロクロロチアジドである。ヒドロクロロチアジド(クロロチアジドの3,4−ジヒドロ誘導体)は、本発明の組成物中の含有物のための好ましい利尿薬である。その化学名は、6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド1,1−ジオキシドである。その実験式は、C78ClN342である。ヒドロクロロチアジドは、当業者に知られた方法により調製することができる。利尿薬の量(例えば、製剤中に含まれるヒドロクロロチアジド)は、所望の治療効果を得るように変えることができる。好ましい実施態様において、利尿薬の量は、製剤の約3重量%〜約7重量%、より好ましくは製剤の3.32〜6.65重量%である。好ましい利尿薬はヒドロクロロチアジドである。
【0012】
イルベサルタン及び任意の追加の活性成分又は追加の活性成分の組み合わせに加えて、製剤は少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含む。これとの関連において、「賦形剤」という用語は、薬剤の投与を補助するための、薬学の当業者に知られた医薬として許容される化学物質を指す。本発明の製剤中の含有物のための好ましい賦形剤はとしては、結合剤、界面活性剤、希釈剤、崩壊剤、抗接着剤(antiadherent)及び潤滑油が挙げられる。
【0013】
好ましくは、本発明の組成物は、1つ又は複数の結合剤を含んで成る。適切な「結合剤」は、イルベサルタンのより大きく、より密度の高く、そしてより自由に流動する粒子への造粒を容易にすることのできるものから選択することができる。好ましい結合剤としては、ポビドン(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、ゼラチン化前のデンプン(最も好ましくは、1.0〜10.0重量%の範囲で用いる)、アルギン酸(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)若しくはアルギン酸ナトリウム(最も好ましくは、1.0〜5.0重量%の範囲で用いる)、セルロース若しくはセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(最も好ましくは、1.0〜6.0重量%の範囲で用いる)、エチルセルロース(最も好ましくは、1.0〜4.0重量%の範囲で用いる)、ヒドロキシエチルセルロース(最も好ましくは、1.0〜5.0重量%の範囲で用いる)、ヒドロキシプロピルセルロース(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(最も好ましくは、1.0〜6.0重量%の範囲で用いる)若しくはメチルセルロース(最も好ましくは、1.0〜6.0重量%の範囲で用いる)、ゼラチン(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)が挙げられる。当業者に知られている他の結合剤を用いることができる。好ましくは結合剤はポビドン、最も好ましくはPVP K−30であり、存在する場合は、それは製剤の約2.0%w/w〜約2.5%w/w、最も好ましくは2.13%w/wを示す。別の好ましい結合剤は、ゼラチン化前のデンプン、最も好ましくはstarch 1500であり、もし存在する場合は、ゼラチン化前のデンプン(starch 1500)は典型的には、製剤の約6.35%、最も好ましくは6.38%w/w、そして約8%w/wを示す。
【0014】
本発明の組成物は好ましくは、少なくとも1つの崩壊剤を含む。適切な「崩壊剤」は、水性媒体と接触させておいた場合に、組成物から調製した錠剤の崩壊を容易にする1又は複数の成分から選択することができる。任意の適切な崩壊剤は、本発明の製剤内で用いることができる。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、例えばAc−Di−Sol(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、アルギン酸(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)若しくはアルギン酸ナトリウム(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、クロスポビドン(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、ナトリウムデンプングリコール酸塩(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)、ゼラチン化前のデンプン(最も好ましくは、1.0〜7.0重量%の範囲で用いる)である。存在する場合には、典型的にはクロスカルメロースである。存在する場合には、好ましくはクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol)は、製剤の約3.15%w/w、好ましくは3.19%w/w〜約5.0%w/w、好ましくは4.0%w/wを示す。
【0015】
本発明の組成物は好ましくは、少なくとも1つの界面活性剤を含む。適切な「界面活性剤」は、溶解を促進するために湿潤を補助する化合物を含む。任意の適切な界面活性剤は、本発明の製剤中で用いることができる。好ましい界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(最も好ましくは、0.2〜6.0重量%の範囲で用いる)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシプロピレン) ブロック共重合体、例えばポロキサマー、特にポロキサマー188(最も好ましくは、0.2〜6.0重量%の範囲で用いる)である。存在する場合には、ポロキサマー188は典型的に、製剤の約1.00%w/w、好ましくは1.06%w/w〜約2.0%を示す。
【0016】
本製剤は好ましくは、1又は複数の希釈剤を含む。適切な希釈剤としては、所望の質量、例えば所望の錠剤質量を得るための、体積を提供することのできる化合物が挙げられる。任意の適切な希釈剤は、本発明の製剤中で用いることができる。好ましい希釈剤は、微結晶性セルロース、例えばAvicel PH 102 FMC、無機リン酸塩、例えば第二リン酸カルシウム、糖類、例えばラクトース水和物又は無水ラクトース及びマンニトールである。希釈剤は好ましくは、製剤の2〜10重量%の範囲において含まれる。存在する場合には、微結晶性セルロースは典型的に、製剤の約1%w/w〜約7.5%w/wを示す。活性医薬物質としてイルベサルタンのみを含む製剤の場合、微結晶性セルロースは、存在する場合に典型的には、製剤の約1.9%w/w〜約7.5%w/wを示す。活性医薬物質として、イルベサルタン及び利尿薬、例えばヒドロクロロチアジドを含む製剤の場合、微結晶性セルロースは、存在する場合に典型的には、製剤の約1.9%w/w〜約6%w/wを示す。本発明のいくつかの実施態様において、微結晶性セルロースは好ましくは、製剤の約1.97%w/w〜約5.3%w/w、好ましくは5.29%w/wの量で存在する。他の実施態様において、微結晶性セルロースは好ましくは、製剤の約3.56%w/w〜約5.96%w/wの量で存在する。
【0017】
本発明の組成物は、好くなくとも1つの抗接着剤を更に含むことができる。適切な「抗接着剤」としては、製剤の流動性に寄与する化合物が挙げられる。任意の適切な抗接着剤は、二酸化ケイ素、例えばSyloid 244(最も好ましくは、0.2〜2.0重量%の範囲で用いる)又はタルク(最も好ましくは、0.5〜5.0重量%の範囲で用いる)である。存在する場合には、二酸化ケイ素は典型的には、製剤の約0.4%w/w〜約0.5%w/wを示す。
【0018】
本発明の組成物は好ましくは、少なくとも1つの潤滑油を含む。適切な「潤滑油」としては、投与のための製剤の所望の形態、例えば錠剤を調製するのを補助する化合物が挙げられる。任意の適切な潤滑油は、本発明の製剤中で用いることができる。好ましい潤滑油は、脂肪酸又は脂肪酸誘導体、例えばステアリン酸カルシウム(最も好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲で用いる)、モノステアリン酸グリセリン(最も好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲で用いる)、パルミトステアリン酸(palmitostearate)グリセリン(最も好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲で用いる)、ステアリン酸マグネシウム(最も好ましくは、0.2〜2.0重量%の範囲で用いる)、ラウリル硫酸ナトリウム(最も好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲で用いる)、ステアリルフマル酸ナトリウム(最も好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲で用いる)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸(最も好ましくは、0.5〜3.0重量%の範囲で用いる)、水素化植物油(最も好ましくは、0.5〜5.0重量%の範囲で用いる)、ポリアルキレン・グリコール、例えばポリエチレン・グリコール(最も好ましくは、1.0〜5.0重量%の範囲で用いる) 、タルク(最も好ましくは、1.0〜5.0重量%の範囲で用いる)である。存在する場合には、ステアリン酸マグネシウムは、製剤の約1.0%w/w〜約1.1%w/w、好ましくは製剤の約1.0%w/w〜約1.06%w/wを示す。
【0019】
本発明の好ましい組成物を表1に示す:
【表1】

【0020】
本発明の製剤は、任意の形態の経口投与のためのイルベサルタン、又は任意の形態のイルベサルタン及び利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、例えば、錠剤、カプレット、カプセルなどを含む。好ましい製剤は錠剤である。最も好ましくは、本発明の錠剤は、錠剤あたり300mgのイルベサルタンを含む。錠剤の総重量は、376mg〜400mgである。
【0021】
イルベサルタンを含む製剤は、任意の適した方法により調製することができる。本発明の実施態様のイルベサルタンを含んで成る錠剤製剤を形成するための好ましい方法は、湿式造粒方法による。実施例の方法により、イルベサルタン製剤は以下の方法に従って調製することができる:
1.イルベサルタンを、高せん断ミキサーを用いて、精製水中のポビドンの造粒溶液を用いて部分的に造粒する。
2.ゼラチン化前のデンプンを、高せん断ミキサー中で段階1の混合物と混合する。
3.段階2の混合物を、高せん断ミキサーを用いて、精製水中のポロキサマー188の造粒溶液とともに造粒する。
4.段階3で形成した顆粒を、流動層乾燥器中で乾燥させる。
5.乾燥させた顆粒を、振動造粒機に通すことにより分粒(size)する。
6.段階5の製粉した乾燥顆粒を、ブレンダー中で微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び二酸化ケイ素と混合する。
7.ステアリン酸マグネシウムを段階6の混合物に加え、混合する。
8.段階7からの混合物を、錠剤プレス機を用いて圧縮し、錠剤を形成する。
【0022】
イルベサルタン及び利尿薬、例えばヒドロクロロチアジドを含む製剤は、界面活性剤を含まずに結合剤、例えばポビドンを含むことができ、またそれらは結合剤、例えばポビドン及び界面活性剤、例えばポロキサマー、好ましくはポロキサマー188を含むことができる。本発明のいくつかの好ましい実施態様において、ポビドンは、イルベサルタン及び利尿薬、例えばヒドロクロロチアジドを含んで成る組成物の約2〜約2.5%w/w、好ましくは2.13%w/wを含んで成る。本発明のイルベサルタン及び利尿薬、例えばヒドロクロロチアジドを含んで成る組成物の別の好ましい実施態様において、本組成物は、組成物の約2〜約2.5%w/w、より好ましくは2.13%w/wの量のポビドン、及び組成物の約1〜約1.2%w/w、より好ましくは1.06%w/wのポロキサマーを含んで成る。
【0023】
イルベサルタン及び利尿薬を含む製剤は、任意の適切な方法により調製することができる。本発明の実施態様のイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含んで成る錠剤製剤を形成するための好ましい方法は、湿式造粒方法による。一例として、イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含んで成る製剤は、以下の方法により調製することができる:
1.イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを、高せん断ミキサーを用いて混合する。
2.ゼラチン化前のデンプンを、高せん断ミキサー中で段階1の混合物と混合する。
3.段階2からの混合物を、高せん断ミキサーを用いて、精製水中のポビドンの造粒溶液とともに造粒する。
4.顆粒を、流動層乾燥器中で乾燥させる。
5.乾燥させた顆粒を、振動造粒機を用いることにより分粒する。
6.製粉した乾燥顆粒を、ブレンダー中で微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び二酸化ケイ素と混合する。
7.段階6の混合物を、潤滑油としてのステアリン酸マグネシウムと混合する。
8.段階7からの混合物を混合し、錠剤プレス機を用いて錠剤を形成する。
【0024】
更なる一例として、イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含んで成る製剤は以下の方法に従って調製することができる:
1.イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを、高せん断ミキサーを用いて混合する。
2.段階1からの混合物を、高せん断ミキサーを用いて、精製水中のポビドンの造粒溶液とともに部分的に造粒する。
3.ゼラチン化前のデンプンを、高せん断ミキサー中で段階2の混合物と混合する。
4.段階3からの混合物を、高せん断ミキサーを用いて、精製水中のポロキサマー188の造粒溶液とともに造粒する。
5.顆粒を、流動層乾燥器中で乾燥させる。
6.乾燥させた顆粒を、振動造粒機を用いることにより分粒する。
7.製粉した乾燥顆粒を、ブレンダー中で微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び二酸化ケイ素と混合する。
8.段階7の混合物を、潤滑油としてのステアリン酸マグネシウムと混合する。
9.段階8からの混合物を混合し、錠剤プレス機を用いて錠剤を形成する。
【0025】
本発明の組成物から調製したイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含んで成る錠剤は好ましくは、150mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジド、又は300mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジド(錠剤あたり)を含む。典型的には、150mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジドを含んで成る錠剤の総重量は188mgであり、300mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジドを含んで成る錠剤の総重量は376mg〜400mgである。
【0026】
イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含んで成る本発明の好ましい組成物は以下の通りである:
【表2】

【0027】
以下の実施例は、本発明の特定の特徴を説明するために示されるが、これらは本発明の範囲を限定するものと理解されるべきでない。
【実施例】
【0028】
実施例1
この実施例は、75%のイルベサルタンを含む錠剤の調製について説明する。
【0029】
イルベサルタンを含む錠剤は、表2に示す本発明の組成物を用いて、3つの有効量(potency)において調製した。
【0030】
1.錠剤あたり100mgの総重量を有する75mgのイルベサルタン。
【0031】
2.錠剤あたり200mgの総重量を有する150mgのイルベサルタン。
【0032】
3.錠剤あたり400mgの総重量を有する300mgのイルベサルタン。
【表3】

【0033】
上記の製剤を用いて、上記の方法に従って、水性湿式造粒方法により錠剤を調製した。精製水中のポビドンの造粒溶液を用いたイルベサルタンの部分的な造粒は、高せん断ミキサー(Diosna)中で実施した。この混合物をゼラチン化前のデンプンと混合し、その後精製水中のポロキサマー188の造粒流体を用いて造粒した。得られた顆粒は、乾燥減量(LOD)が1.5%以下になるまで流動層乾燥器中で乾燥させた。乾燥した顆粒を、振動造粒機に通した。製粉した乾燥顆粒を、ブレンダー中で微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び二酸化ケイ素と混合した。次いで、得られた混合物を、ステアリン酸マグネシウムと混合した。錠剤プレス機を用いた混合物の圧縮により、表3に示す組成物を有する各有効量に関して錠剤を調製した。
【表4】

【0034】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置き、米国薬局方に従って、各有効量の錠剤を溶解に関して試験した。溶解の結果を表3Aに示す。
【表5】

【0035】
実施例2
この実施例は、80%のイルベサルタンを含む錠剤の調製について説明する。
【0036】
イルベサルタンを含む錠剤は、表4に示す本発明の組成物から、これらの有効量において調製した。
【0037】
1.錠剤あたり94mgの総重量を有する75mgのイルベサルタン。
【0038】
2.錠剤あたり188mgの総重量を有する150mgのイルベサルタン。
【0039】
3.錠剤あたり376mgの総重量を有する300mgのイルベサルタン。
【表6】

【0040】
上記の製剤を用いて、実施例1のものに類似した方法の湿式造粒方法により錠剤を調製した。
【表7】

【0041】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置き、米国薬局方に従って、各有効量の錠剤を溶解に関して試験した。時間とともに溶解した製剤中のイルベサルタン(%)について、表5Aに示す。
【表8】

【0042】
実施例3
この実施例は、その製剤の約80重量%の量のイルベサルタン、及び製剤の約3.32重量%〜6.65重量%ヒドロクロロチアジドを含んで成る錠剤の調製について説明する。
【0043】
イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含む錠剤は、表6に記載したとおり、本発明に従って様々な有効量において調製した。
【0044】
錠剤a)は、錠剤あたり188mgの総重量で150mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジドを含んで成り、b)は錠剤あたり376mgの総重量で300mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジドを含んで成る。
【表9】

【0045】
上記の製剤を用いて、湿式造粒方法により錠剤を調製した。イルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを、高せん断ミキサー(Diosna)中で混合した。この混合物をゼラチン化前のデンプンと混合し、その後精製水中のポビドンの造粒流体を用いて造粒した。得られた顆粒は、乾燥減量(LOD)が1.5%以下になるまで流動層乾燥器中で乾燥させた。乾燥した顆粒を、振動造粒機に通した。製粉した顆粒を、ブレンダー中で微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び二酸化ケイ素と混合した。次いで、得られた混合物を、ステアリン酸マグネシウムと混合した。錠剤化装置を用いた混合物の圧縮により、上記の表に示す組成物を有する各有効量に関して錠剤を調製した。
【0046】
実施例4
この実施例は、本発明のイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含む別の製剤を説明する。製剤は、上記のように湿式造粒方法により製造した。
【表10】

【0047】
実施例5
この実施例は、本発明のイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含む別の製剤を説明する。製剤は、上記のように湿式造粒方法により製造した。
【表11】

【0048】
この実施例は、本発明のイルベサルタン及びヒドロクロロチアジドを含む別の製剤を説明する。製剤は、上記のように湿式造粒方法により製造した。
【表12】

【0049】
本明細書中で引用した全ての引用文献、例えば刊行物、特許出願、及び特許は、各引用文献が引用文献により組み込まれるように個々にそして具体的に示されているのと同程度にそれらによって引用文献により組み込まれ、その全てが本明細書中に示される。また、他の刊行物に対する本明細書中の引用文献は、そのような刊行物が本願の先行技術を構成することの承認ではない。
【0050】
本発明の好ましい実施態様が本明細書中に記載され、本発明を実施するための本発明者に知られた最良の形態を含む。それらの好ましい実施態様のバリエーションは、前述の記載を読むことにより、当業者に対して明らかとなり得る。本発明者は、当業者が適切にこのようなバリエーションを用いることを期待し、本発明者は本明細書に具体的に記載されたのとは異なった方法で本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は適応可能な法律により許可されているように、ここに添付した特許請求の範囲において列挙されている対象物の全ての変化物及び同等物を含む。更に、それらのすべての可能なバリエーションにおける上記の要素の任意の組み合わせが、本明細書中で別段に示され或いは別段に事情によって明確に否定されない限り、本発明により包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70%w/w超のイルベサルタン及び少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含んで成る組成物。
【請求項2】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、約85%超のイルベサルタンが約30分以内に溶解する溶解プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、約85%超のイルベサルタンが約30分以内に溶解する溶解プロファイルを示す、70%w/w超のイルベサルタンを含んで成る組成物。
【請求項4】
75%w/w超のイルベサルタン及び少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含んで成る、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
錠剤の形態における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が結合剤を含んで成る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
結合剤がポビドン又はゼラチン化前のデンプンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
結合剤がポビドンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポビドンが、組成物の約1.0〜約7.0%w/wである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
結合剤がゼラチン化前のデンプン(starch 1500)である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ゼラチン化前のデンプン(starch 1500)が、組成物の約1.0〜約10.0%w/wである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が崩壊剤を含んで成る、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
クロスカルメロースナトリウムがAc−Di−Solであり、組成物の約1.0〜約7.0%w/wである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が界面活性剤を含んで成る、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
界面活性剤がポロキサマー188である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ポロキサマー188が、組成物の約0.2〜約6.0%w/wである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が希釈剤を含んで成る、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記希釈剤が微結晶性セルロースである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
微結晶性セルロースがAvicel PH 102 FMCであり、組成物の約2.0〜約10.0%w/wを含んで成る、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が抗接着剤を含んで成る、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
抗接着剤が二酸化ケイ素である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
二酸化ケイ素がsyloid 244であり、組成物の約0.4%w/w〜約0.5%w/wを含んで成る、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が潤滑油を含んで成る、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記潤滑油がステアリン酸マグネシウムである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ステアリン酸マグネシウムが、組成物の約0.2〜約2.0%w/wを含んで成る、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、少なくとも1つの追加の活性医薬物質を更に含んで成る、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
追加の活性医薬物質が利尿剤である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
追加の活性医薬物質がヒドロクロロチアジドである、請求項27又は28記載の組成物。
【請求項30】
組成物が、75重量%のイルベサルタン、並びに約10重量%の結合剤、約7.5重量%の希釈剤、約4重量%の崩壊剤、約2重量%の界面活性剤、約1重量%の潤滑油、及び約0.5重量%の抗接着剤を含んでなり、前記結合剤がゼラチン化前のデンプン及びポビドンから成り、前記希釈剤が微結晶性セルロースであり、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムであり、前記界面活性剤がポロキサマー188であり、前記潤滑油がステアリン酸マグネシウムであり、且つ前記抗接着剤が二酸化ケイ素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が錠剤であり、当該錠剤が以下の条件:USP装置2、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置く条件下で、そこに含まれる85%超のイルベサルタンが30分以内に溶解する溶解性を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
組成物が、79.79重量%のイルベサルタンを含んで成り、且つ医薬賦形剤が約8.5重量%の結合剤、約5.9重量%の希釈剤、約3.1重量%の崩壊剤、約1重量%の界面活性剤、約1重量%の潤滑油、及び約0.5重量%の抗接着剤を含んでなり、前記結合剤がゼラチン化前のデンプン及びポビドンから成り、前記希釈剤が微結晶性セルロースであり、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムであり、前記界面活性剤がポロキサマー188であり、前記潤滑油がステアリン酸マグネシウムであり、且つ前記抗接着剤が二酸化ケイ素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が錠剤であり、当該錠剤が以下の条件:USP装置2、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置く条件下で、そこに含まれる85%超のイルベサルタンが30分以内に溶解する溶解性能を有する、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、約80%超のイルベサルタンが約10分以内に溶解する溶解プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、約85%超のイルベサルタンが約10分以内に溶解する溶解プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
USP装置2を用いて、50rpmのパドルスピードで37℃において1000mLの0.1Nの塩酸中に錠剤を置いた場合に、少なくとも約75%のイルベサルタンが約5分以内に溶解し、少なくとも約85%のイルベサルタンが約10分以内に溶解し、且つ少なくとも95%のイルベサルタンが約20分以内に溶解する溶解プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
組成物が、79.79重量%のイルベサルタン、約3重量%〜約7重量%のヒドロクロロチアジド、約5.3重量%〜約7.5重量%の結合剤、約3.5重量%〜約6重量%の希釈剤、約3重量%〜約3.2重量%の崩壊剤、約1重量%〜約1.1重量%の潤滑油、及び約0.4重量%〜約0.5重量%の抗接着剤を含んでなり、前記結合剤がゼラチン化前のデンプン及びポビドンから成り、前記希釈剤が微結晶性セルロースであり、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムであり、前記潤滑油がステアリン酸マグネシウムであり、且つ前記抗接着剤が二酸化ケイ素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
組成物が、79.79重量%のイルベサルタン、2.13重量%のポビドン、6.38重量%のゼラチン化前のデンプン、3.15重量%のクロスカルメロースナトリウム、1.01重量%のポロキサマー188、5.96重量%の微結晶性セルロース、1.01重量%のステアリン酸マグネシウム及び0.43重量%の二酸化ケイ素を含んで成る、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
組成物が、150mgのイルベサルタン及び12.5mgのヒドロクロロチアジドを含んで成る、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
組成物が、約79重量%のイルベサルタン、約3.3重量%のヒドロクロロチアジド、約3.1重量%のゼラチン化前のデンプン、約2.1重量%のポビドン、約5.3重量%の微結晶性セルロース、約4.7重量%のクロスカルメロースナトリウム、約0.4重量%の二酸化ケイ素及び約1重量%のステアリン酸マグネシウムを含んで成る、請求項37に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−252022(P2011−252022A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−179762(P2011−179762)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【分割の表示】特願2007−514218(P2007−514218)の分割
【原出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】