説明

インクカートリッジの再生方法、インクカートリッジの製造方法及びインクカートリッジ

【課題】流量制御弁を機能させることなくインク室へインクを注入可能な手段を提供する。
【解決手段】インクカートリッジ10の再生方法は、バルブ収容室54からバルブユニット30を取り外す第1工程と、バルブユニット30が取り外されたインクカートリッジ110のインク室100及びバルブ収容室54を洗浄する第2工程と、バルブ収容室54において弁体31が機能しない第1位置に、バルブユニット30を圧入する第3工程と、第1位置に位置されたバルブユニット30を通じてインク室100へインクを流入させる第4工程と、バルブ収容室54において弁体31が機能可能な第2位置に、第1位置に位置されたバルブユニット30を位置せしめる第5工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク室とバルブ収容室とが流路を介してインクが流通可能に連通されており、当該流路においてバルブ収容室からインク室へのインクの流れを遮断ないし制限する流量制御弁を有するバルブユニットが、バルブ収容室に対して挿抜可能に設けられたインクカートリッジに関し、また、当該インクカートリッジの再生方法及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式の記録装置に装着されるインクカートリッジは、インクが収容されるインク室を有している。インクカートリッジが記録装置に装着されると、インク室内のインクが記録装置の記録ヘッドへ供給可能となる。記録ヘッドは、インクカートリッジから供給されたインクを記録用紙へ向けて選択的に噴出する。これにより、記録用紙の画像が記録される。従来のインクカートリッジは、インクの逆流を防止するための流量制御弁を備えている(特許文献1)。
【0003】
また、流量制御弁を備えたインクパックへインクを導入するために、流量制御弁によって開閉されるインク流路とは別の流路として、インク導入部が設けられたものが公知である。インク導入部からインクパック内へインクが注入された後に、インク導入部が封止される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−144808号公報
【特許文献2】特開2007−145032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述されたように、流量制御弁により開閉されるインクの流路は、外部からインク室へのインクの流れが制限ないし遮断されるので、インク室へインクを注入するための流路として用いることができない。そのために、別途インク導入路を設けて、インクが注入された後に封止させる必要がある。しかしながら、インク導入路を設けて、インクが注入された後にインク導入路を風刺させる方法では、インク供給部に空気が残留する原因になっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、流量制御弁を機能させることなくインク室へインクを注入可能な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、インク室とバルブ収容室との間にバルブ収容室からインク室へのインクの流れを制限する流路制御弁を有するバルブユニットが設けられたインクカートリッジの再生方法である。本再生方法は、バルブ収容室からバルブユニットを取り外す第1工程と、バルブユニットが取り外されたインクカートリッジのインク室及びバルブ収容室を洗浄する第2工程と、バルブ収容室内で上記流路制御弁が機能しない第1位置に、バルブユニットを位置せしめる第3工程と、上記第1位置に位置されたバルブユニットを通じてインク室へインクを流入させる第4工程と、上記第1位置に位置するバルブユニットを上記流路制御弁が機能可能な第2位置に位置せしめる第5工程と、を含む。
【0008】
第1工程において、インク室に貯留されたインクが消費されたインクカートリッジのバルブユニットが取り外される。これにより、バルブ収容室とインク室との間をインクなどの液体が流通可能となる。
【0009】
第2工程において、バルブ収容室からインク室へ水などの洗浄のための液体が注入されてインク室に残存したインクが洗われる。インク室への液体の注入、排出が繰り返されることによって、インク室に残存したインクが除去される。
【0010】
第3工程において、バルブユニットがバルブ収容室の第1位置に位置せしめられる。このバルブユニットは、インクカートリッジに設けられて使用されていたものを洗浄したものであってもよいし、新規なバルブユニットであってもよいが、環境負荷を考慮すると、洗浄したものが好ましい。
【0011】
第4工程において、バルブユニットを通じてインク室へインクが注入される。第1位置に位置されたバルブユニットの流量制御弁は、バルブ収容室からインク室へのインクなどの液体の流通を制限しない。したがって、外部から圧力を負荷することによってインク室へインクが流れ込む。
【0012】
第5工程において、第1位置のバルブユニットが第2位置に位置される。第2位置に位置されたバルブユニットの流量制御弁は、バルブ収容室からインク室へのインクの流れを制限する。
【0013】
(2) 上記第3工程において、上記第1工程においてバルブ収容室から取り外されたバルブユニットを使用してよい。
【0014】
(3) 上記第3工程において、上記第1工程においてバルブ収容室から取り外されたバルブユニットを使用せず、新たなバルブユニットを上記第1位置に位置せしめてもよい。
【0015】
(4) 上記第3工程及び上記第5工程において、バルブユニットをバルブ収容室へ圧入して、バルブユニットを上記第1位置又は上記第2位置に位置せしめてもよい。
【0016】
(5) 本発明は、インク室とバルブ収容室とが流路を介してインクが流通可能に連通されており、当該流路を通過するインクの流量を制限する流量制御弁を有するバルブユニットが設けられたインクカートリッジの製造方法である。本製造方法は、バルブ収容室内で上記流量制御弁が機能しない第1位置に、バルブユニットを位置せしめる第3工程と、上記第1位置に位置されたバルブユニットを通じてインク室へインクを流入させる第4工程と、上記第1位置に位置するバルブユニットを上記流路制御弁が機能可能な第2位置に位置せしめる第5工程と、を含む。
【0017】
(6) 本発明は、記録装置に装着可能なインクカートリッジであって、インクが貯留されるインク室と、上記インク室と流路を介してインクが流通可能に連通されており、外部に開口されたバルブ収容室と、上記記録装置に設けられたインク導入管の挿入によって開かれる第1の弁、及び上記流路においてバルブ収容室からインク室へのインクの流れを制限する第2の弁を有し、当該第2の弁によって上記バルブ収容室から上記インク室へのインクの流れを制限しつつ、外部へインクを流出可能とするバルブユニットと、を具備するものとして捉えられてもよい。
【0018】
(7) 上記バルブ収容室は、上記第2の弁が機能しない第1位置において、上記バルブユニットの挿抜に対する抵抗を変化させるように上記バルブユニットと嵌合するものであってもよい。
【0019】
これにより、第1位置にバルブユニットを位置せしめたことを抵抗により体感することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バルブ収容室において、第1位置と第2位置とにバルブユニットが挿抜されるので、バルブユニットの流量制御弁を機能させることなく、バルブユニットを通じてインク室へインクを注入可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るインクカートリッジ10の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、カートリッジ本体20の外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、大気連通バルブの構成を示すカートリッジ本体20の一部拡大図である。
【図4】図4は、バルブユニット30の外観を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4のV−V切断線における断面図である。
【図6】図6は、バルブユニット30が第2位置に位置された状態のカートリッジ本体20の断面図である。
【図7】図7は、インク供給バルブ90がインク導入管112によって開放された状態のカートリッジ本体20の断面図である。
【図8】図8は、バルブユニット30が第1位置に位置された状態のカートリッジ本体20の断面図である。
【図9】図9は、バルブユニット30が第1位置から第2位置へ移動される状態のカートリッジ本体20の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
[インクカートリッジ10]
インクジェット方式のプリンタに代表される記録装置には、インク供給装置が設けられている。インク供給装置は、記録装置の記録ヘッドへインクを供給するものである。インクカートリッジ10は、このインク供給装置に装着されて使用される。インク供給装置の詳細な構成については図示されていないが、インクカートリッジ10は、インク供給装置が備えるカートリッジ装着部に対して着脱可能である。カートリッジ装着部の奥には、インク導入管112(図7参照)が設けられている。インク導入管112は、記録装置の記録ヘッドから導出されたインクチューブとインクを流通可能に連結された樹脂製の管である。カートリッジ装着部にインクカートリッジ10が装着されると、後述されるシール部材36の貫通孔74(図2参照)にインク導入管112が挿入される。これにより、インクカートリッジ10に貯留されたインクがインク導入管112を通じて外部へ流出され、記録装置の記録ヘッドへ供給される。
【0024】
図1に示されるように、インクカートリッジ10の外形は、扁平な形状の概ね六面体である。インクカートリッジ10は、幅方向(矢印51の方向)に細く、高さ方向(矢印52の方向)及び奥行き方向(矢印57の方向)が幅方向よりも長い略直方体形状である。インクカートリッジ10の外形は、概ね、カバー21により形成されている。
【0025】
インクカートリッジ10は、図1に示された起立状態にされて、カートリッジ装着部に対して矢印56で示される方向(以下「挿抜方向56」と称される。)へ挿抜される。カバー21における前壁17の下側には、挿抜方向56にカバー21を貫通する貫通孔19が形成されている。貫通孔19には、インク供給バルブ90が挿通される。カバー21における前壁17の上側には、挿抜方向56にカバー21を貫通する貫通孔18が形成されている。貫通孔18には、大気連通バルブ80が挿通される。
【0026】
カバー21の内部空間にはカートリッジ本体20が収容されている。図2に示されるように、カートリッジ本体20は、大別して、フレーム110と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90とを備える。なお、図2においては、大気連通バルブ80が省略されている。
【0027】
フレーム110は、カートリッジ本体20の筐体を構成する。フレーム110は、外形が概ね矩形の枠である。フレーム110の外面のうち、カバー21の前壁17に対応する側の面が正面101と称される。挿抜方向56において正面101と対向する面が背面102である。また、インクカートリッジ10が挿抜される起立姿勢において、高さ方向51の上側の面が上面103であり、下側の面が下面104である。フレーム110において幅方向51の左右両側は開口されている。各図には表されていないが、この左右の開口は、フィルムが貼り付けられて閉塞されている。フレーム110とフィルムとによって囲まれた内部空間は、インクが貯留可能なインク室100である。なお、本実施形態では、フレーム110の両側にフィルムが貼り付けられてインク室100が形成されているが、例えば、幅方向51の一方のみが開口されており、他方が閉塞されているフレーム110に対して、一方の開口のみがフィルムで閉塞されることにより、インク室100が形成されていてもよい。
【0028】
図2に示されるように、フレーム110の正面101の高さ方向52の中段付近に検知窓140が設けられている。検知窓140は、インク室100に貯留されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知窓140は、外部からの光を透過することができる透明の樹脂材料で構成される。各図には示されていないが、検知窓140の内部を形成する空間はインク室100と連続している。その空間において、インク室100に貯留されたインクの量に対応してインジケータが姿勢変化する。この検知窓140には、インク供給装置に取り付けられたフォトインタラプタなど光センサが有する発光素子から検出光が照射される。そして、検知窓140を透過した検出光が光センサの受光素子に受光される。この受光量が、インジケータの姿勢によって変化する。
【0029】
図2に示されるように、フレーム110の正面101の上部、言い換えれば、検知窓140の上方に、円形の開口82が設けられている。開口82に連続してフレーム110の内部側に円筒状のバルブ収容室55が形成されている。バルブ収容室55は、正面101からカートリッジ本体20の奥行き方向57へ延出されている。バルブ収容室55は、その延出された奥部においてインク室100に連通している。
【0030】
図3に示されるように、バルブ収容室55には、大気連通バルブ80が収容されている。大気連通バルブ80は、開口82からインク室100に通ずる気体が流通可能な経路を開放又は閉塞する弁機構である。大気連通バルブ80は、圧縮コイルバネ86と、バルブ本体87と、シール部材83と、キャップ85とを有している。これらのうち、圧縮コイルバネ86、バルブ本体87がバルブ収容室55に収容される。シール部材83、キャップ85は、開口82の周縁に装着される。大気連通バルブ80は、バルブ収容室55から外部に至る通路を閉塞する。当該通路が大気連通バルブ80におり開放されると、インク室100内の空気層が大気圧と同圧になる。
【0031】
図2及び図6に示されるように、カートリッジ本体20の正面101の下部にインク流通部99が設けられている。インク流通部99は、カートリッジ本体20の外側へ突出する円筒形状の外観を形成しており、カートリッジ本体20と一体に成形されている。このインク流通部99に内部空間によってバルブ収容室54が形成されている。
【0032】
図6に示されるように、バルブ収容室54は、インク室100側、すなわち、カートリッジ本体20の奥行き方向(矢印57の方向)へ延出されている。バルブ収容室54の奥部には奥壁53が設けられている。奥壁53は、インク室100とバルブ収容室54とを隔てる壁である。奥壁53には、貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、奥壁53を矢印57の方向へ貫通している。この貫通孔28を通じて、インク室100とバルブ収容室54との間をインクが流通可能となっている。貫通孔28が、本発明における流路に相当する。
【0033】
バルブ収容室54における奥壁53と矢印57方向において反対側となる端は、外部へ開口された開口92である。インク供給バルブ90は、開口92からバルブ収容室54、貫通孔28を通じてインク室100に至る経路を開放又は閉塞する弁機構である。インク供給バルブ90は、弁体31と、弁支持部材32,33と、ロッド34と、コイルバネ35と、シール部材36と、キャップ37とを有している。弁体31、弁支持部材32,33、ロッド34、及びコイルバネ35は、一体のバルブユニット30として組み付けられている。
【0034】
弁体31は、奥壁53の貫通孔28を開閉するものである。弁体31は、シリコンゴムなどの弾性変形可能な材質から成形されている。図5に示されるように、弁体31は、筒40、壁41、蓋42、及び貫通孔43を有する。
【0035】
筒40は、その内部空間に配置される壁41及び蓋42を支持するものであり、円筒形状をなす。筒40の内部空間には、壁41が設けられている。壁41は、筒40の中心線44と直交する方向へ延びている。貫通孔43は、中心線44に沿った方向に壁41を貫通している。貫通孔43は、中心線44に対して対称な位置の2箇所に形成されている。壁41の中心、つまり中心線44と交わる箇所には蓋42が形成されている。蓋42は、バルブユニット30がバルブ収容室54に組み付けられた際に、奥壁53の貫通孔28と対向する側から外側へ膨出されている。蓋42は、半球形状の外観を形成している。この半球形状の直径は、貫通孔28の直径より大きい。したがって、蓋42は、貫通孔28を塞ぐようにして奥壁53と密接可能である。壁41は、インクからの圧力により中心線44に沿った方向へ弾性変形可能である。壁41の弾性変形により、蓋42が奥壁53と接離する。弁体31が、本発明における流量制御弁及び第2の弁に相当する。
【0036】
弁支持部材32,33は、弁体31を挟み込むようにして保持するものである。弁支持部材32は、円筒形状である。弁支持部材32の内部空間には、弁体31が嵌め込まれるようにして挿入されている。弁支持部材32において、バルブユニット30がバルブ収容室54に組み付けられた際に、奥壁53と対向する側の開口には、その周縁から中心へ向かって延びるドーナツ形状の壁45が形成されている。弁体31は、この壁45と当接することによって、弁支持部材32の内部空間から奥壁53側へ抜け出すことが防止されるとともに、奥壁53に対して離間された位置に保持される。弁支持部材32において、バルブユニット30がバルブ収容室54に組み付けられた際に、奥壁53と反対側となる開口には、径方向外側へ突出する凸部46が形成されている。バルブユニット30がバルブ収容室54へ圧入されると、凸部46は、バルブ収容室54の内壁に圧接する。
【0037】
弁支持部材33は、円筒形状である。弁支持部材33において、弁支持部材32と対向する側の端部60は、弁支持部材32の内部空間へ嵌り込むようにして挿入されている。端部60の挿入によって、弁支持部材32,33が一体に組み付けられている。弁支持部材33における端部60付近には、径方向外側へ突出する凸部61が形成されている。凸部61が、弁支持部材32と当接することによって、弁支持部材33の端部60の挿入位置が決定されている。凸部61が弁支持部材32と当接した状態において、端部60は、弁体31の筒40と当接する。この状態において、弁体31の筒40は、弁支持部材32の壁45と、弁支持部材33の端部60とによって挟み込まれている。弁支持部材33の凸部61の外径は、弁支持部材32の凸部46の外径より小さい。したがって、バルブユニット30がバルブ収容室54へ圧入された状態において、凸部61は、バルブ収容室54の内壁には圧接しない。また、凸部46は、コイルバネ35の一端と当接して、バネ座として機能する。
【0038】
また、端部60には、弁支持部材33の長尺方向へ延びる複数の長孔64が形成されている。各長孔64は、弁支持部材33の径方向へ離間されて配置されている。各長孔64は、端部60から凸部46を越えて反対側の端部62へ向かって延出されている。各長孔64を通じて、弁支持部材33の外部と内部空間とをインクが流通可能である。
【0039】
弁支持部材33において、端部60と反対側の端部62には、その周縁から中心へ向かって延びるドーナツ形状の壁63が形成されている。壁63によって、後述されるロッド34が弁支持部材33から抜け出すことが防止されている。端部62及び壁63には、弁支持部材33の長尺方向に沿って延びる複数のスリット65が形成されている。このスリット65によって、壁63の中心の空間が拡がるように端部62が弾性変形可能である。また、スリット65を通じて、弁支持部材33の外部と内部空間とをインクが流通可能である。
【0040】
ロッド34は、弁支持部材33に対して長尺方向へスライド可能に弁支持部材33に組み付けられている。ロッド34は、軸部70と、軸部70において弁支持部材33側となる一端側に設けられたフランジ部71と、他端側に設けられた蓋部72とを有する。軸部70は、弁支持部材33の端部62における壁63の中心の空間を通じて、弁支持部材33の内部空間へ挿入されている。フランジ部71は、軸部70から径方向外側へ突出されている。フランジ部71は、弁支持部材33の内部空間を長尺方向(中心線44に沿った方向)へ移動可能である。また、フランジ部71は、弁支持部材33の端部62における壁63の中心の空間を通過することができない外形である。したがって、軸部70が、弁支持部材33の壁63から外側へ飛び出す向きへスライドされると、フランジ部71と壁63とが当接する。この当接によって、軸部70は壁63から更に飛び出す向きへスライドすることが制止される。
【0041】
蓋部72は、軸部70から径方向外側へ突出されている。蓋部72は、弁支持部材33の端部62における壁63の中心の空間を通過することができない外形の平板形状である。したがって、軸部70が、弁支持部材33の内部空間へ没入する向きへスライドされると、蓋部72と壁63とが当接する。この当接によって、軸部70は更に弁支持部材33の内部空間へ没入する向きへスライドすることが制止される。蓋部72の外形は、バルブ収容室54の内部空間の内径よりも小さい。したがって、バルブユニット30がバルブ収容室54に組み付けられた状態において、蓋部72とバルブ収容室54の内壁との間には、インクが流通可能な空間が形成される。蓋部72は、コイルバネ35の他端と当接して、バネ座として機能する。
【0042】
コイルバネ35は、弁支持部材33及びロッド34の軸部70の外側を囲むようにして、弁支持部材33の凸部61とロッド34の蓋部72との間に設けられている。コイルバネ35は、ロッド34のスライド方向に弾性変形可能な姿勢に組み付けられている。コイルバネ35は、その両端が凸部61と蓋部72とそれぞれ当接した状態において、圧縮変形されている。したがって、凸部61と蓋部72とは、コイルバネ35から互いに離れる向きへ付勢力を受けている。このコイルバネ35の付勢力によって、ロッド34は、軸部70が弁支持部材33から最大限に飛び出した状態、つまりフランジ部71と壁63とが当接した状態に維持されている。
【0043】
図6に示されるように、前述されたバルブユニット30が、バルブ収容室54の内部空間へ収納されている。バルブ収容室54に収納されたバルブユニット30は、ロッド34における蓋部72側の一部が、バルブ収容室54の開口から外側へ突出する。この蓋部72に当接するようにして、シール部材36が配置されている。シール部材36は、バルブ収容室54の開口を液密に封止可能な材質、例えばゴムやエラストマーなどからなる円盤形状のものである。シール部材36の中心には、厚み方向に貫通する貫通孔74が形成されている。この貫通孔74には、不図示のインク導入管112が液密に挿入可能である。
【0044】
図2に示されるように、ロッド34における蓋部72及びシール部材36を外側から囲むようにして、キャップ37が設けられている。キャップ37は円筒形状の外形を形成している。キャップ37は、インク流通部99の外側を覆うようにして開口側からカートリッジ本体20の正面101側へ嵌め込まれている。キャップ37において、インク流通部99の開口とシール部材36を介して対向する端には、その周縁から中心へ向かって延びるドーナツ形状の壁76が形成されている。壁76によって、シール部材36がキャップ37から抜け出すことが防止されている。
【0045】
キャップ37において壁76と反対側の端部には、係合爪77,78が設けられている。係合爪77,78は、キャップ37の外周壁から高さ方向52へそれぞれ突出されている。係合爪77,78は、カートリッジ本体20の正面101において、インク流通部99の上下にそれぞれ設けられた係合受け部23,24とそれぞれ係合可能である。係合爪77,78と係合受け部23,24とがそれぞれ係合することにより、キャップ37がインク流通部99から脱落することが防止されている。
【0046】
係合爪77,78と係合受け部23,24とがそれぞれ係合された状態において、キャップ37の壁76は、ロッド34のコイルバネ35の付勢力に抗して、シール部材36及びロッド34の蓋部72を弁支持部材33側へ押圧している。これにより、ロッド34の軸部70が弁支持部材33の内部空間へ没入する向きへ若干スライドされ、フランジ部71が弁支持部材33の壁63から離れる。また、シール部材36は、インク流通部99の開口に押しつけられて、その開口と液密に当接する。また、シール部材36とキャップ37の壁76とが液密に当接する。このシール部材36に対して、ロッド34の蓋部72が、コイルバネ35の付勢力を受けて液密に当接する。この蓋部72によって、シール部材36の貫通孔74が液密に封止される。蓋部72は、シール部材36の貫通孔74を開閉可能な弁として機能する。蓋部72が、本発明における第1の弁に相当する。
【0047】
なお、本実施形態では、蓋部72によりインクカートリッジ10からのインクの流出が制御される弁構造を有するバルブユニット30が示されてるが、蓋部72に代えて、フィルムやゴムなどによってインク流通部99の開口が封止されており、インク導入管112によりフィルムなどが破断されて、インクカートリッジ10からインクが流出可能となる簡易な構造が採用されてもよい。そのような簡易な構造によれば、バルブユニット30の構造も簡略化されて、バルブユニット30のコストダウンが実現される。
【0048】
[インクカートリッジ10の使用方法]
インクカートリッジ10は、インク供給装置に装着されると、図7に示されるように、インク供給装置に設けられたインク導入管112が、シール部材36の貫通孔74に挿通される。このインク導入管112は、さらにロッド34の蓋部72に当接して、コイルバネ35の付勢力に抗して、蓋部72をシール部材36から離れるように押し込む。これにより、インク導入管112の先端がバルブ収容室54へ進入する。インク導入管112の先端には、蓋部72に当接した状態でインクが流入可能な孔113が形成されている。
【0049】
バルブ収容室54の奥壁53に対して、弁体31の蓋42は離間されている。したがって、奥壁53の貫通孔28を通じて、インク室100からバルブ収容室54へインクが流入可能である。バルブ収容室54においては、弁体31の貫通孔43、弁支持部材33の内部空間、弁支持部材33の長孔64を通じて、奥壁53から開口までインクが流通可能である。したがって、バルブ収容室54の開口付近、つまりシール部材36付近に進入したインク導入管112へ、インク室100に貯留されたインクが流通可能となる。
【0050】
仮に、インク導入管112からバルブ収容室54へインクが流入すると、バルブ収容室54の開口付近から、弁支持部材33の長孔64、弁支持部材33の内部空間を通じて、弁体31へ向かうインクの流れが生じる。このインクの流れ、つまりインクからの圧力を受けて、弁体31の壁41がバルブ収容室54の奥壁53側へ弾性的に変形する。この壁41の変形によって、蓋42が奥壁53に当接して貫通孔28を閉塞ないしほぼ閉塞する。これにより、バルブ収容室54からインク室100へインクが流れ込むことが制限される。つまり、弁体31が流量制御弁として機能する。
【0051】
インク室100に貯留されたインクが消費されて、インク室100において一定量以下となると、検知窓140においてインジケータが姿勢変化して、光センサが検知窓140の透光量の変化を検出する。これにより、インク室100のインクが消費されたことが検知される。インクが消費されたインクカートリッジ10は、インク供給装置から取り外され、インクが満たされた新たなインクカートリッジ10がインク供給装置に装着される。
【0052】
[インクカートリッジ10の再生方法]
以下、インクが消費されたインクカートリッジ10のインク室100に、再びインクが充填されてインクカートリッジ10が再生される方法が説明される。このインクカートリッジの再生方法は、次の5つの工程に大別される。
(1)バルブ収容室54からバルブユニット30を取り外す第1工程。
(2)バルブユニット30が取り外されたインクカートリッジ10のインク室100及びバルブ収容室54を洗浄する第2工程。
(3)バルブ収容室54において、弁体31が機能しない第1位置に、バルブユニット30を位置せしめる第3工程
(4)第1位置に位置されたバルブユニット30を通じてインク室100へインクを流入させる第4工程。
(5)バルブ収容室54において、弁体31が機能可能な第2位置に、第1位置に位置されたバルブユニット30を移動させる第5工程。
【0053】
第1工程において、インク室100に貯留されたインクが消費されたインクカートリッジ10のバルブユニット30が取り外される。詳細には、キャップ37の係合爪77,78がカートリッジ本体20の係合受け部23,24から外される。そして、キャップ37がインク流通部99から取り外される。キャップ37がインク流通部99から取り外されると、シール部材36は、バルブユニット30のコイルバネ35に付勢されて、インク流通部99の開口から離される。そして、バルブユニット30が、インク流通部99の内部空間、つまりバルブ収容室54から抜き出される。これにより、バルブ収容室54の奥壁53の貫通孔28を通じて、バルブ収容室54とインク室100との間をインクや洗浄液などの液体が流通可能となる。
【0054】
第2工程において、バルブ収容室54からインク室100へ洗浄液が注入されて、インク室100に残存したインクが洗われる。洗浄液は、蒸留水やイオン交換水、これらに界面活性剤が溶解されたものなどが使用可能である。バルブ収容室54からインク室100への洗浄液の注入、排出が繰り返されることによって、インク室100やバルブ収容室54に残存したインクが除去される。なお、一度使用されたバルブユニット30やシール部材36、キャップ37も洗浄されることによって再使用されてもよいし、次の工程から新たなものが使用されてもよい。
【0055】
第3工程において、バルブユニット30がバルブ収容室54の第1位置に圧入される。図8に示されるように、第1位置は、バルブユニット30の弁体31が、インクからの圧力を受けて弾性変形しても、蓋42がバルブ収容室54の奥壁53に接触しない位置である。バルブユニット30が第1位置に圧入されて位置せしめられた後、バルブユニット30のロッド34の蓋部72にシール部材36を当接させて、インク流通部99にキャップ37が嵌め込まれる。第1位置に位置されたバルブユニット30のロッド34は、バルブ収容室54の開口から外側へ突出している。つまり、ロッド34の蓋部72はバルブ収容室54の外側にある。この蓋部72にシール部材36を当接させて、そのシール部材36をキャップ37によって蓋部72との間に挟み込むようにする。図8においては、キャップ37は、インク流通部99に対して完全に組み付けられておらず、係合爪77,78はカートリッジ本体20の係合受け部23,24と係合されていない状態が示されているが、第3工程において、キャップ37の係合爪77,78は、カートリッジ本体20の係合受け部23,24と係合される。
【0056】
第4工程において、バルブユニット30を通じて、バルブ収容室54からインク室100へインクが注入される。図9に示されるように、シール部材36の貫通孔74にインク導入管112と同様の管114が挿入されると、バルブユニット30の蓋部72が、コイルバネ35の付勢力に抗して、シール部材36から離間される。このとき、弁支持部材32,33もコイルバネ35の付勢力を受けるが、弁支持部材32の凸部46とバルブ収容室54の内壁との摩擦抵抗によって、バルブユニット30がバルブ収容室54の第1位置に保持される。第1位置に位置されたバルブユニット30の弁体31は、バルブ収容室54からインク室100へ向かって流れるインクからの圧力を受けて弾性変形しても、奥壁53に当接することはない。つまり、弁体31は、奥壁53の貫通孔28を塞がない。したがって、外部から圧力を負荷することによって、バルブ収容室54からインク室100へインクを流入させることができる。これにより、インク室100にインクが再び満たされる。
【0057】
第5工程において、第1位置のバルブユニット30が第2位置に移動される。管114が、シール部材36の貫通孔74に対して更に押し込まれると、コイルバネ35の付勢力に抗してロッド34が弁支持部材33側へ移動する。ロッド34の蓋部72が弁支持部材33の壁63に当接すると、弁支持部材32の凸部46とバルブ収容室54の内壁との摩擦抵抗に抗して、バルブユニット30の全体がバルブ収容室54の奥壁53側へ移動する。このバルブユニット30の移動により、弁支持部材32がバルブ収容室54の奥壁53と当接して、バルブユニット30が第1位置から第2位置に移動される。第2位置に位置されたバルブユニット30の弁体31は、前述されたように、弾性変形によってバルブ収容室54の奥壁53の貫通孔28を閉塞ないしほぼ閉塞し、バルブ収容室54からインク室100へのインクの流れを制限する。このようにして、使用済みのインクカートリッジ10に再びインクが充填される。
【0058】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、バルブ収容室54において、第1位置と第2位置とにバルブユニット30が挿抜されるので、バルブユニット30の弁体31により開閉される奥壁53の貫通孔28を通じてインク室100へインクを注入して、インクカートリッジ10を再生することができる。
【0059】
[インクカートリッジ10の製造方法]
なお、本実施形態では、インクカートリッジ10の再生方法として、前述された各工程が説明されたが、インクカートリッジ10に最初にインクを充填する方法として、つまりインクカートリッジ10の製造方法として、前述された各工程が行われてもよい。このインクカートリッジの製造方法は、次の3つの工程に大別される。
(3)バルブ収容室54において、弁体31が機能しない第1位置に、バルブユニット30を位置せしめる第3工程
(4)第1位置に位置されたバルブユニット30を通じてインク室100へインクを流入させる第4工程。
(5)バルブ収容室54において、弁体31が機能可能な第2位置に、第1位置に位置されたバルブユニット30を移動させる第5工程。
【0060】
なお、バルブユニット30を構成する各要素、すなわち弁体31、弁支持部材32,33、ロッド34、及びコイルバネ35を一体に組み付ける工程も一工程として把握される。この組み付け工程は、第3工程の前に行われる。
【0061】
図6に示されるように、第3工程において、一体に組み付けられたバルブユニット30がバルブ収容室54の第1位置に位置せしめられる。第1位置は、バルブユニット30の弁体31が、インクからの圧力を受けて弾性変形しても、蓋42がバルブ収容室54の奥壁53に接触しない位置である。バルブユニット30が第1位置に圧入されて位置せしめられた後、バルブユニット30のロッド34の蓋部72にシール部材36を当接させて、インク流通部99にキャップ37が嵌め込まれる。第1位置に位置されたバルブユニット30のロッド34は、バルブ収容室54の開口から外側へ突出している。つまり、ロッド34の蓋部72はバルブ収容室54の外側にある。この蓋部72にシール部材36を当接させて、そのシール部材36をキャップ37によって蓋部72との間に挟み込むようにする。この状態において、キャップ37は、インク流通部99に対して完全に組み付けられておらず、係合爪77,78はカートリッジ本体20の係合受け部23,24と係合されていない。
【0062】
第4工程において、バルブユニット30を通じて、バルブ収容室54からインク室100へインクが注入される。図9に示されるように、シール部材36の貫通孔74にインク導入管112と同様の管114が挿入されると、バルブユニット30の蓋部72が、コイルバネ35の付勢力に抗して、シール部材36から離間される。このとき、弁支持部材32,33もコイルバネ35の付勢力を受けるが、弁支持部材32の凸部46とバルブ収容室54の内壁との摩擦抵抗によって、バルブユニット30がバルブ収容室54の第1位置に保持される。第1位置に位置されたバルブユニット30の弁体31は、バルブ収容室54からインク室100へ向かって流れるインクからの圧力を受けて弾性変形しても、奥壁53に当接することはない。つまり、弁体31は、奥壁53の貫通孔28を塞がない。したがって、外部から圧力を負荷することによって、バルブ収容室54からインク室100へインクを流入させることができる。これにより、インク室100にインクが満たされる。
【0063】
第5工程において、第1位置のバルブユニット30が第2位置に移動される。管114が、シール部材36の貫通孔74に対して更に押し込まれると、コイルバネ35の付勢力に抗してロッド34が弁支持部材33側へ移動する。ロッド34の蓋部72が弁支持部材33の壁63に当接すると、弁支持部材32の凸部46とバルブ収容室54の内壁との摩擦抵抗に抗して、バルブユニット30の全体がバルブ収容室54の奥壁53側へ移動する。このバルブユニット30の移動により、弁支持部材32がバルブ収容室54の奥壁53と当接して、バルブユニット30が第1位置から第2位置に移動される。第2位置に位置されたバルブユニット30の弁体31は、前述されたように、弾性変形によってバルブ収容室54の奥壁53の貫通孔28を閉塞ないしほぼ閉塞し、バルブ収容室54からインク室100へのインクの流れを制限する。このようにして、インク室100にインクが充填されてインクカートリッジ100が製造される。
【0064】
[変形例]
また、前述された実施形態においては、バルブ収容室54において、バルブユニット30は、弁支持部材32の凸部46とバルブ収容室54の内壁との摩擦抵抗により第1位置に保持されるが、バルブ収容室54の内壁に弁支持部材32の凸部46と嵌合する凹溝を形成して、その凹溝と凸部46との嵌合によってバルブユニット30が第1位置に保持されることとしてもよい。
【0065】
これにより、バルブ収容室54においてバルブユニット30が第1位置以外の位置にあるときには、弁支持部材32の凸部46がバルブ収容室54の内壁に対して所定の摩擦抵抗を生じさせながら摺動され、第1位置においては、凸部46が凹溝に嵌り込んで、バルブユニット30の挿抜に対する抵抗が変化される。また、第1位置に位置されたバルブユニット30をバルブ収容室54に対して挿抜させようとすると、凹溝に嵌り込んだ凸部46を凹溝から外すように押し込む或いは引き出す必要があるので、バルブユニット30の挿抜に対して比較的大きな抵抗が生じる。これにより、バルブ収容室54の第1位置にバルブユニット30を位置せしめたことを抵抗により体感することができる。
【符号の説明】
【0066】
10・・・インクカートリッジ
28・・・貫通孔(流路)
30・・・バルブユニット
31・・・弁体(流量制御弁)
54・・・バルブ収容室
100・・・インク室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク室とバルブ収容室との間にバルブ収容室からインク室へのインクの流れを制限する流路制御弁を有するバルブユニットが設けられたインクカートリッジの再生方法であって、
バルブ収容室からバルブユニットを取り外す第1工程と、
バルブユニットが取り外されたインクカートリッジのインク室及びバルブ収容室を洗浄する第2工程と、
バルブ収容室内で上記流路制御弁が機能しない第1位置に、バルブユニットを位置せしめる第3工程と、
上記第1位置に位置されたバルブユニットを通じてインク室へインクを流入させる第4工程と、
上記第1位置に位置するバルブユニットを上記流路制御弁が機能可能な第2位置に位置せしめる第5工程と、を含むインクカートリッジの再生方法。
【請求項2】
上記第3工程において、上記第1工程においてバルブ収容室から取り外されたバルブユニットを使用する請求項1に記載のインクカートリッジの再生方法。
【請求項3】
上記第3工程において、上記第1工程においてバルブ収容室から取り外されたバルブユニットを使用せず、新たなバルブユニットを上記第1位置に位置せしめる請求項1に記載のインクカートリッジの再生方法。
【請求項4】
上記第3工程及び上記第5工程において、バルブユニットをバルブ収容室へ圧入して、バルブユニットを上記第1位置又は上記第2位置に位置せしめる請求項1から3のいずれかに記載のインクカートリッジの再生方法。
【請求項5】
インク室とバルブ収容室とが流路を介してインクが流通可能に連通されており、当該流路を通過するインクの流量を制限する流量制御弁を有するバルブユニットが設けられたインクカートリッジの製造方法であって、
バルブ収容室内で上記流量制御弁が機能しない第1位置に、バルブユニットを位置せしめる第3工程と、
上記第1位置に位置されたバルブユニットを通じてインク室へインクを流入させる第4工程と、
上記第1位置に位置するバルブユニットを上記流路制御弁が機能可能な第2位置に位置せしめる第5工程と、を含むインクカートリッジの製造方法。
【請求項6】
記録装置に装着可能なインクカートリッジであって、
インクが貯留されるインク室と、
上記インク室と流路を介してインクが流通可能に連通されており、外部に開口されたバルブ収容室と、
上記記録装置に設けられたインク導入管の挿入によって開かれる第1の弁、及び上記流路においてバルブ収容室からインク室へのインクの流れを制限する第2の弁を有し、当該第2の弁によって上記バルブ収容室から上記インク室へのインクの流れを制限しつつ、外部へインクを流出可能とするバルブユニットと、を具備するインクカートリッジ。
【請求項7】
上記バルブ収容室は、上記第2の弁が機能しない第1位置において、上記バルブユニットの挿抜に対する抵抗を変化させるように上記バルブユニットと嵌合するものである請求項6に記載のインクカートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−851(P2012−851A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137803(P2010−137803)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】